説明

鉄鋼プラントの制御盤設計支援装置

【課題】制御盤設計の作業効率向上及び品質向上を図ることのできる鉄鋼プラントの制御盤設計支援装置を提供する。
【解決手段】過去に設計されたプラントを構成する各プラント用機械の登録用識別子と、該プラント用機械に付属する各機器の制御機器情報とを関連付けたプラントマスタ情報を記憶する。設計中のプラントを構成する各プラント用機械の設計用識別子が入力された場合に、前記プラントマスタ情報から該設計用識別子と一致する前記登録用識別子に関連付いている前記各機器の制御機器情報を抽出しベースプラント情報を生成する。前記設計中のプラントを構成する各プラント用機械に付属する各機器固有の制御機器情報が入力された場合に、該固有の制御機器情報で前記ベースプラント情報を上書きする。前記ベースプラント情報を、まず入出力区分で、次に入力信号先で、更に電圧仕様の順でグループ分けして制御盤情報を抽出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄鋼プラントエンジニアリングにおいて、特に、鉄鋼プラントの制御盤設計の作業効率向上及び品質向上を図るための鉄鋼プラントの制御盤設計支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の鉄鋼プラントエンジニアリング業務では、設計中のプラントで製品を生産するために必要な機械構成・配置及びこれらを制御する各機器の制御機器情報が機械メーカ等から提示される。これらの制御機器情報は、設計中のプラント毎に毎回作成される。そして、これらの制御機器情報には、共通的に配置される機械に対応したものと、生産する製品により異なる機械に対応したものがある。しかし、機械メーカ等からは、これらの制御機器情報が混在して提示される。
【0003】
鉄鋼プラントを構成するプラント用機械は、プログラマブルコントローラに代表される制御機器からの制御信号によって制御されるが、プラント毎に配置される機械が異なるため、プラント毎に機械を制御するために必要な入出力信号を検討する必要がある。そして、機械の配置状態、入出力信号の仕様、設計中のプラントのスペース等の制限を加味し、検討の結果得られた入出力信号に基づいて、実際に信号を入出力する制御盤を製作するための盤設計を行う。盤設計では制御盤の展開接続図を毎回作成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−305824号公報
【特許文献2】特開2008−84051号公報
【特許文献3】特開2008−225820号公報
【特許文献4】特開2010−79664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、機械メーカ等から提示される各機器の制御機器情報は、設計中のプラント用として毎回作成される。そのため、鉄鋼プラントにおいて共通的に配置される機械を制御するための入出力信号についても、毎回機械メーカ等に確認をし、それらの入出力信号を制御盤に割り付けるための設計作業を必要とし、多大の時間を要していた。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、制御盤の設計に必要な情報(制御盤情報)を効率的に作成し、制御盤設計の作業効率向上及び品質向上を図ることのできる鉄鋼プラントの制御盤設計支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の目的を達成するため、鉄鋼プラントの制御盤設計支援装置であって、過去に設計されたプラントについて、該プラントを構成する各プラント用機械の登録用識別子と、該プラント用機械に付属する各機器の制御機器情報(入出力区分、入力信号先、電圧仕様を含む)とを関連付けたプラントマスタ情報を記憶するプラントマスタ情報記憶装置と、
設計中のプラントを構成する各プラント用機械の設計用識別子が入力された場合に、前記プラントマスタ情報から該設計用識別子と一致する前記登録用識別子に関連付いている前記各機器の制御機器情報を抽出し、これらを機器の種類でグループ分けしてベースプラント情報を生成するマスタ情報抽出装置と、
前記設計中のプラントを構成する各プラント用機械に付属する各機器固有の制御機器情報が入力された場合に、該固有の制御機器情報で前記ベースプラント情報を上書きする差分修正装置と、
前記ベースプラント情報を、まず入出力区分で、次に入力信号先で、更に電圧仕様の順でグループ分けして制御盤情報を抽出する制御盤情報抽出装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、制御盤の設計に必要な情報を効率的に作成し、制御盤設計の作業効率向上及び品質向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】鉄鋼プラントの入側ラインの構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1における鉄鋼プラントエンジニアリング支援装置の第1の要部を示すブロック構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1における鉄鋼プラントエンジニアリング支援装置の第2の要部を示すブロック構成図である。
【図4】この発明の実施の形態1におけるプラントエンジニアリング支援装置のプラントマスタ情報の一例を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1におけるプラントエンジニアリング支援装置が制御機器情報をグループ分けした制御盤情報の第1の例を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態1におけるプラントエンジニアリング支援装置が制御機器情報をグループ分けした制御盤情報の第2の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、鉄鋼プラントの入側ラインの構成図である。図1に示すように、鉄鋼プラントは、ペイオフリール(巻き戻し機)、ピンチロール等の多数のプラント用機械により構成されている。これらの機械には、当該機械を制御するためのモータ、電磁弁等のアクチュエータや、センサー等の機器が付属されている。これらの機器は、ケーブルを介して制御盤に実装された入出力カードに接続されている。
【0012】
鉄鋼プラントを制御するには、これらの機器に関する入出力信号を定める必要がある。また、入出力カードは、対象機器の仕様(例えば、電圧値、信号の種類等)を検討して選定する必要がある。このように、鉄鋼プラントを制御するには、制御盤の設計作業が必要となる。
【0013】
ところで、鉄鋼プラントを構成するプラント用機械は、各鉄鋼プラントで共通的に配置される機械と、プラント固有の機械とが存在する。機械メーカ等からは、これらの機械に付属する各機器の制御機器情報が毎回提示されるが、共通的に配置される機械については、過去に設計されたプラントの制御機器情報を利用できれば、制御盤設計の作業効率向上、及び品質向上が期待される。
【0014】
そこで、本発明では、過去に設計されたプラントと共通する制御機器情報を抽出し、これに設計中プラント固有の制御機器情報を加え、得られた情報を入出力信号等でグルーピングすることにより制御盤の設計作業に必要な制御盤情報を効率的に作成することとした。
【0015】
以下、図2、図3を用いて、制御盤情報作成までの処理と、制御盤情報作成後の処理とについてそれぞれ説明する。
【0016】
まず、制御盤情報作成までの処理について説明する。図2はこの発明の実施の形態1における鉄鋼プラントの制御盤設計支援装置の第1の要部を示すブロック構成図である。図2において、鉄鋼プラントの制御盤設計支援装置は、汎用パーソナルコンピュータから構成される。1はマスタ情報登録修正装置である。このマスタ情報登録修正装置1は、プラント用機械を制御する制御機器(以下、単に機器という。)毎の制御機器情報に、プラント用機械毎の識別子(機械名等)を関連付けて入力する機能を備える。
【0017】
具体的には、マスタ情報登録修正装置1には、種々の鉄鋼プラントで共通して配置されるプラント用機械(標準機械)の登録用識別子と、このプラント機械を制御する各機器の制御機器情報とが入力される。この制御機器情報には、機器の仕様情報、機器の制御信号に対する入出力区分、入力信号先/出力信号元、電圧仕様、セクション区分が含まれる。
【0018】
また、マスタ情報登録修正装置1には、プラント用機械の登録用識別子と、プラント用機械を制御する各機器に関する試験項目、試験方法、データ収集方法、収集データによる動作成否判定方法等の試験情報が入力される。
【0019】
2はプラントマスタ情報記憶装置である。このプラントマスタ情報記憶装置2は、マスタ情報登録修正装置1に入力された登録用識別子と制御機器情報(又は試験情報)とを関連付けて記憶する機能を備える。具体的には、プラントマスタ情報記憶装置2は、プラント用機械毎に制御機器情報を、センサー、バルブ、モータ等の機器の種類でグループ分けしてプラントマスタ情報として記憶する。また、プラント用機械毎の試験情報を、試験項目、試験方法、データ収集方法、収集データによる動作成否判定方法等で機器毎にグループ分けしてプラントマスタ情報として記憶する。
【0020】
また、プラントマスタ情報記憶装置2は、マスタ情報登録修正装置1に、修正用識別子と機器に関する修正情報とが入力された場合に、修正用識別子に対応する登録用識別子に関連付いた制御機器情報(又は試験情報)を、修正用の制御機器情報(又は試験情報)に修正して記憶する機能を備える。
【0021】
3はプラント概要機械配置図である。このプラント概要機械配置図3は、機械メーカ等から提示されるものである。このプラント概要機械配置図3には、設計中のプラントを構成するプラント用機械が記載されている。
【0022】
4は機器抽出条件入力装置である。この機器抽出条件入力装置4は、プラント概要機械配置図3に提示されたプラント用機械に割り付けられた機械名等の識別子が入力される機能を備える。プラントエンジニアは、プラント概要機械配置図3、設計中のプラントに必要な標準機械(過去に設計されたプラントを構成するプラント用機械であって、現在設計中のプラントでも共通して用いられる機械をいう。)を認識し、機器抽出条件入力装置4に抽出条件として標準機械情報を入力する。具体的には、当該プラントを構成する標準機械名、または各標準機械に割り付けられた識別子などを入力する。
【0023】
5はマスタ情報抽出装置である。このマスタ情報抽出装置5は、機器抽出条件入力装置4に標準機械の識別子が入力された場合に、プラントマスタ情報記憶装置2から、当該識別子に関連付いた標準機械の制御機器情報を抽出して、機器種別毎にベースプラント情報を生成する機能を備える。また、当該標準機械の試験情報を抽出してベースプラント情報を生成する機能を備える。
【0024】
6はベースプラント情報記憶装置である。このベースプラント情報記憶装置6は、マスタ情報抽出装置5が生成したベースプラント情報を記憶する機能を備える。このベースプラント情報は、アクチュエータ情報7、センサー情報8、操作機器情報9、I/F信号情報10、HMI画面情報11、試験・調整情報12等に、機器の種類に基づいてグループ分けした状態で記憶される。なお、これらの情報は、一例であり、さらに詳細にグループ分けされる場合もある。
【0025】
13はプラント構成機器情報である。このプラント構成機器情報13は、機械メーカ等から提示された機器の制御機器情報が記載されている。この制御機器情報には、電圧値、電流値、交流又は直流の別等、電気的仕様に関する情報も含まれる。
【0026】
14は差分修正装置である。この差分修正装置14は、ベースプラント情報とプラント構成機器情報13とを比較し、標準機械に関し、プラント構成機器情報13に記載されている制御機器情報との過不足を上書き修正する機能を備える。例えば、ベースプラント情報にはない特有の機器がプラント構成機器情報13にある場合や、ベースプラント情報にある機器がプラント構成機器情報13にない場合にこれを抽出する。抽出された制御機器情報を確認し上書き修正する。さらに、設計中のプラントに配置される特有のプラント用機械についても、ベースプラント情報の構成にあわせて、特有の機械を制御する各機器の制御機器情報を順次ベースプラント情報に追加する。
【0027】
これにより、ベースプラント情報が、設計中のプラント特有の制御機器情報に上書きされる。また、差分修正装置14は、修正されたベースプラント情報を、機器の種類に基づいて、アクチュエータリスト15、センサーリスト16、操作機器リスト17、I/F信号リスト18、HMI画面リスト19、試験要領書20等を生成する機能を備える。なお、これらのリストは、一例であり、さらに詳細にグループ分けされる場合もある。さらに、差分修正装置14は、設計中のプラントの各機器に付加される機器番号等の固有情報も修正する機能を備える。
【0028】
次に、当該プラントを制御するための制御盤の設計に用いられる制御盤情報を作成する。上述した当該プラントの各機器情報は、機器毎にアクチュエータリスト15、センサーリスト16、操作機器リスト17、I/F信号リスト18、HMI画面リスト19、試験要領書20等にグルーピングされているが、実際に当該プラントを制御する場合、これらの機器への制御信号は、制御盤に実装される入出力カードと対象機器との間を接続するケーブルにより伝送される。
【0029】
制御盤に実装される入出力カードは、対象機器の仕様(例えば電圧値、電流値、信号の種類等)に基づいて選定する必要がある。また、各入出力カードには、制御信号としての入出力信号を割り付ける必要がある。さらに、制御盤は、制御対象の設置場所、ケーブル敷設条件等から当該プラントでの配置場所を決定する必要がある。このように複雑な制御盤の設計を支援するために、本発明では、アクチュエータリスト15、センサーリスト16、操作機器リスト17、I/F信号リスト18に基づいて制御盤情報を作成する。
【0030】
21は制御盤情報抽出装置である。制御盤情報抽出装置21は、アクチュエータリスト15、センサーリスト16、操作機器リスト17、I/F信号リスト18を入力し、機器の入出力信号の種類に基づいてグループ分けする機能を備える。例えば各機器の情報である電圧仕様、入力信号先/出力信号元、セクション区分、入出力区分の各要素の情報により各機器をグルーピングする。具体的には、図5に示すように、まず入力信号であるか出力信号であるかの入出力区分にて分類し、次に入力信号先、さらに電圧仕様の順でグルーピングする。図5にはペイオフリールの例が示されているが、当該プラント用に差分情報を加味した各リスト15〜18内に登録されている全ての機器の情報をグルーピングすることにより、当該プラントに配置されるすべての機器に対する入出力信号をグルーピングし制御盤情報を生成することができる。当然、その他の情報を追加してさらに詳細にグルーピングすることも可能である。
【0031】
次に、図3を用いて制御盤情報作成後の処理について説明する。図3はこの発明の実施の形態1における鉄鋼プラントの制御盤設計支援装置の第2の要部を示すブロック構成図である。
【0032】
22は制御盤情報記憶装置である。この制御盤情報記憶装置22は、制御盤情報抽出装置21がグループ分けした制御盤情報を記憶する機能を備える。23はヒューマンインターフェースである。このヒューマンインターフェース23は、制御盤情報記憶装置22が記憶した制御盤情報を提示する提示装置として機能する。また、ヒューマンインターフェース23は、設計中のプラントの制御盤の配置場所、配置面数、実装入出力カード枚数等の情報が入力される機能を備える。この際、制御盤情報記憶装置22が記憶した制御盤情報を利用することも可能となっている。
【0033】
24は制御盤割付ルール記憶装置である。この制御盤割付ルール記憶装置24は、ヒューマンインターフェース23に入力された設計中のプラントの制御盤等の情報を記憶する機能を備える。この際、入出力カードへのケーブルの繋ぎ込み本数制限、電源要領制限等の制限情報を割付ルールとして登録することも可能となっている。
【0034】
25はH/W盤設計支援装置である。このH/W盤設計支援装置25は、制御盤情報記憶装置22と制御盤割付ルール記憶装置24から、制御盤に実装する入出力カード枚数、これらの入出力カードを動作させるための電源装置、バッファーカード等の周辺機器といった制御盤構成機器の情報を生成する機能を備える。
【0035】
また、H/W盤設計支援装置25は、実装する入出力カードへの各入出力信号の割付情報を生成する機能を備える。具体的には、H/W盤設計支援装置25は、各入出力カードの各入出力点に対し割り付ける具体的信号を、制御盤情報記憶装置22から抽出して、割付情報を生成する。なお、本割付作業は、ヒューマンインターフェース23で確認しながら、手動で行うことも可能となっている。
【0036】
26は入出力カード割付情報記憶装置である。この入出力カード割付情報記憶装置26は、H/W盤設計支援装置25が生成した割付情報を記憶する機能を備える。27は付加情報入力装置である。この付加情報入力装置27は、入出力カード割付情報記憶装置26が記憶した割付情報に、制御盤の展開接続図を生成するための付加情報を付加し、CADシステム用情報に変換する変換装置として機能する。
【0037】
28は展開接続図作成情報記憶装置である。この展開接続図作成情報記憶装置28は、付加情報入力装置27が変換したCADシステム用情報を記憶する機能を備える。29は展開接続図CADツールである。この展開接続図CADツール29は、展開接続図作成情報記憶装置28が記憶した展開接続図生成情報を利用して、制御盤の展開接続図を作成する機能を備える。
【0038】
次に、図4乃至図6を用いて、鉄鋼プラントの制御盤設計支援装置の動作の一例を説明する。図4はこの発明の実施の形態1における制御盤設計支援装置のプラントマスタ情報の一例を示す図である。図5はこの発明の実施の形態1における制御盤設計支援装置が制御機器情報をグループ分けした制御盤情報の第1の例を示す図である。図6はこの発明の実施の形態1における制御盤設計支援装置が制御機器情報をグループ分けした制御盤情報の第2の例を示す図である。
【0039】
図4には、鉄鋼プラントの入側セクションに配置される標準機械の1つであるペイオフリールのプラントマスタ情報が示される。ペイオフリールには、モータ、電磁弁といったアクチュエータ、ペイオフリールの動作状態を検出するセンサー、ペイオフリールをオペレータが操作するための操作用品等の機器が必要である。これらの機器情報はプラントマスタ情報内に予め登録されている。具体的には、図4の最上段から、順々に、モータリスト、センサーリスト、バルブリスト、操作機器リストが示される。また、プラントマスタ情報記憶装置2には、プラントを構成する他の標準機械に必要な機器に関するプラントマスタ情報も登録されている。
【0040】
そして、機器抽出条件入力装置4に、設計中のプラントを構成するプラント用機械に割り付けられた設計用識別子が入力されると、マスタ情報抽出装置5が、プラントマスタ情報記憶装置2から、設計用識別子に対応する登録用識別子に関連付いた制御機器情報をベースプラント情報として抽出する。そして、差分修正装置14により、ベースプラント情報とプラント構成機器情報13とを比較し、プラント構成機器情報13に記載されている制御機器情報との過不足を上書き修正し各リストを作成する。さらに、制御盤情報抽出装置21が、機器の入出力信号に基づいて、各リストをグループ化して制御盤情報を作成する。
【0041】
具体的には、図5及び図6に示すように、制御盤情報抽出装置21は、アクチュエータリスト15、センサーリスト16、操作機器リスト17を、電圧仕様、入力信号先/出力信号元、セクション区分、入出力区分に基づいてグループ分けし、制御盤情報が生成される。そして、H/W盤設計支援装置25は、入出力カードへの割付点数等の割付ルールに基づいて、入出力カードの割付情報を生成する。なお、H/W盤設計支援装置25、展開接続図CADツール29の機能に合わせてグループ分けする場合もある。そして、上述したように、付加情報入力装置27、展開接続図作成情報記憶装置28を介して、展開接続図CADツール29により、制御盤の接続展開図が作成される。
【0042】
以上で説明した実施の形態1によれば、マスタ情報抽出装置5は、プラントマスタ情報記憶装置2から、設計用識別子に対応する登録用識別子に関連付いた制御機器情報を抽出してベースプラント情報を生成する。このため、種々の鉄鋼プラントで共通して配置されるプラント用機械(標準機械)について、機械メーカ等から提示されたプラント構成機器情報13に記載されている制御機器情報の内容及び過不足をより効率的に、かつ、正確に確認することができる。
【0043】
即ち、設計中のプラントに配置されるべき機器の漏れ等を検出することができる。また、事故、プラント用機械破損の防止用機器に不足がないかを確認することができる。さらに、ベースプラント情報に無い機械及び制御機器情報の目的を確認することで、設計中のプラント特有の機械及び制御内容を明確化することができる。これにより、最低限必要な制御機器情報が包含されているかを確認し、作業の後戻りを防止することができる。
【0044】
また、マスタ情報登録修正装置1は、修正用識別子と機器に関する修正用制御機器情報とが入力された場合に、マスタ情報登録装置に登録された制御機器情報のうち、修正用識別子に対応する登録用識別子に関連付いた制御機器情報を、修正用の制御機器情報に修正する。このため、プラントマスタ情報を、常に、最新制御方法に対応したものにすることができる。
【0045】
さらに、マスタ情報抽出装置5は、設計用識別子が入力された場合に、ベースプラント情報を、機器の種類に基づいてグループ分けした状態で生成する。このため、プラント構成機器情報13に記載されている機器情報の過不足の確認を早急に行うことができる。
【0046】
加えて、差分修正装置14により、ベースプラント情報に、特有の制御機器情報を追加することができる。このため、過去のプラントエンジニアリング業務で蓄積されたプラントマスタ情報に設計中のプラント特有の情報が加味し、設計中のプラントエンジニアリング業務を行うための制御機器情報を作成することができる。また、マスタ情報抽出装置5は、ベースプラント情報を、入出力信号の種類に基づいてグループ分けして生成する。このため、制御盤設計の妥当性確認作業を軽減することができる。
【0047】
さらに、ベースプラント情報として試験・調整情報12を抽出し、そこから差分修正装置14により試験要領書20を作成する。設計・制作された当該プラント内の機器を制御するため制御システムについて、共通配置される機器については、過去に蓄積された試験・現地調整方法をベースとすることが出来、また当該プラント特有部分については、工場での試験方法、現地調整時での確認方法について集中的に検討することが出来るため、効率的に密度の濃い試験を行うことができる。
【0048】
加えて、付加情報入力装置27は、入出力信号の種類に基づいてグループ分けした状態で、機器を制御する制御盤の展開接続図の設計時に用いるCADシステムに対応したCADシステム用情報に変換する。このため、制御盤の展開接続図を計算機に作成させるための情報をエディタ等を用いて入力することが不要となる。即ち、ヒューマンエラーの発生を防止することができる。
【0049】
さらに、ヒューマンインターフェース23は、ベースプラントの制御機器情報を、入出力信号の種類の種類に基づいてグループ分けした状態で提示する。このため、エンジニアリング業務を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0050】
1 マスタ情報登録修正装置、 2 プラントマスタ情報記憶装置
3 プラント概要機械配置図、 4 機器抽出条件入力装置
5 マスタ情報抽出装置、 6 ベースプラント情報記憶装置
7 アクチュエータ情報、 8 センサー情報
9 操作機器情報、 10 I/F信号情報
11 HMI画面情報、 12 試験・調整情報
13 プラント構成機器情報、 14 差分修正装置
15 アクチュエータリスト、 16 センサーリスト
17 操作機器リスト、 18 I/F信号リスト
19 HMI画面リスト、 20 試験要領書
21 制御盤情報抽出装置、 22 制御盤情報記憶装置
23 ヒューマンインターフェース、 24 制御盤割付ルール記憶装置
25 H/W盤設計支援装置、 26 入出力カード割付情報記憶装置
27 付加情報入力装置、 28 展開接続図作成情報記憶装置
29 展開接続図CADツール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去に設計されたプラントについて、該プラントを構成する各プラント用機械の登録用識別子と、該プラント用機械に付属する各機器の制御機器情報(入出力区分、入力信号先、電圧仕様を含む)とを関連付けたプラントマスタ情報を記憶するプラントマスタ情報記憶装置と、
設計中のプラントを構成する各プラント用機械の設計用識別子が入力された場合に、前記プラントマスタ情報から該設計用識別子と一致する前記登録用識別子に関連付いている前記各機器の制御機器情報を抽出し、これらを機器の種類でグループ分けしてベースプラント情報を生成するマスタ情報抽出装置と、
前記設計中のプラントを構成する各プラント用機械に付属する各機器固有の制御機器情報が入力された場合に、該固有の制御機器情報で前記ベースプラント情報を上書きする差分修正装置と、
前記ベースプラント情報を、まず入出力区分で、次に入力信号先で、更に電圧仕様の順でグループ分けして制御盤情報を抽出する制御盤情報抽出装置と、
を備えることを特徴とする鉄鋼プラントの制御盤設計支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−226540(P2012−226540A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93264(P2011−93264)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(501137636)東芝三菱電機産業システム株式会社 (904)