説明

鉄骨造の山形屋根構造体

【課題】建設コストを大幅に低減しつつ、高強度の簡易鉄骨造建物山形屋根構造を提供す
ることを目的とする。
【解決手段】梁間に長スパン、桁行に短スパンで建て込まれた複数の柱と、前記梁間に長
スパンで建て込まれた複数の柱上部に接合されたトラス梁と、前記桁行に短スパンで建て
込まれた複数の柱頂部に接合された構造谷樋とから構成された鉄骨造の下部構造体の上に
接合される鉄骨造の山形屋根構造体であって、該屋根構造体を、棟木と垂木とから構成するとともに、屋根面を前記棟木を上弦材、前記下部構造体の前記構造谷樋を下弦材とし
た鉄骨造のトラス構造とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温室、畜舎、物置等の簡易鉄骨造建物の骨組み構造、特にその屋根構造に関
するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の大型温室は、強度的には満足できるものであるが、このものを建築するに当たっ
ては、多くの種類の部材を事前に製作準備し、これら部材を建築現場まで運搬した上で多
数の部材を組立加工する必要があったこと、及び、上記したものとは別の大型温室、いわ
ゆるダッチライト型といわれる棟木と母屋材と垂木とからなる屋根材が梁間に複数(2個
の例が多い)構築される大型温室が、我が国において広く普及しているが、このタイプの
ものは、屋根材が構造材で構成されていないのでその強度が不足しているため、屋根材に
強風、降雨、降雪、地震等によるある程度以上の荷重が掛かると屋根部が倒壊するという
事例も発生していることを課題とし、事前に製作準備すべき各種部材の種類と使用部材の
量を削減するとともに、従来の大型温室の構造強度を維持し得る大型温室の簡潔で多様性
に富んだ軸組構造を提供することを目的として、適宜間隔で立設された柱と、間口方向の
柱同士を連結固定する梁と、棟方向の柱同士並びに梁中間点同士を連結固定する谷樋と、
棟木と、一端を前記谷樋に他端を前記棟木に連結固定された垂木とより構成され、前記垂
木は、前記柱同士の間隔より小さな間隔で多数設けられ、前記谷樋は、その側壁上部に前
記垂木材の端部を固定する固定手段を具備してなる多連棟型耐候性温室の軸組構造が提案
されている。
【特許文献1】特開2002−291348号公報(図9参照)
【0003】
他方、一組の端部架構の間の適当数の中間架構の梁間に陸梁を設けざれ共トラスの作用
により強固なる骨格を構成し得る故屋根裏の大なる空隙を有効に利用し得る架構を提供す
ることを目的として、支柱上に合掌及び陸梁を装置したる一組の端部架構の間に支柱上に
合掌を装置したる適当数の中間架構を配置しこれらを陸梁にて連結すると共に隣接架構を
斜方トラスを以て互に連結したる山形屋根骨格の構造が提案されている。
【特許文献2】実用新案登録第352833号公報(図10参照)
【0004】
前記特許文献1に記載された発明は、屋根構造体そのものがいわば屋根の構造材として
機能するようにされていて、屋根材が風速力、積雪荷重等構造計算範囲内の荷重に対して
充分に耐え得るものとなっている(段落0020)が、この屋根構造体を具体的に構成す
るためには、垂木は、柱同士の間隔より小さな間隔で多数設ける必要があり(段落001
1)、また、多連棟型耐候性温室の隅部においてその他の場所よりも密に配設する必要が
ある(段落0017)。
さらには、この垂木は、その全てがトラス梁と同一の方向に配列されているため、棟木
、垂木及び谷樋にて形成される形状は四角形となり、円滑な応力伝達ができないことから
、剛性を高めた構造とせざるを得ない。
以上のことから、構築のための工数を減らし、高強度の屋根構造を提供し得たとしても
、使用部材の量をさほど削減することができないという問題が残る。
【0005】
一方、前記特許文献2に記載された発明は、一組の端部架構の間の適当数の中間架構の
梁間に陸梁を設けないことにより、屋根裏の大なる空隙を有効に利用し得、また、トラス
の作用により強固なる骨格を構成し得るものではあるが、この適当数の中間架構は、支柱
上に合掌を装置し、これらを陸梁にて連結すると共に隣接架構を斜方トラスを以て互に連
結したるものであることから、各柱上の合掌と棟木と桁とで構成される各矩形構造に斜方
トラスを建て込むもので、使用する部材の量が中間架構の陸梁について削減した以上の量
を要することとなる。
また、この屋根架構に対する荷重は、その最も長い部材である斜方トラスに最大の応力
を負担させることとなるから、屋根架構を同一の強度の部材から構成する場合、斜方トラ
スの許容応力を考慮して柱スパンを短く設定する必要があり、使用する部材の量や組立コ
ストが増大する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上の実状に鑑み、本発明は前記従来技術の欠点を克服することを課題とし、従来の鉄
骨造建物の屋根構造を極めて特異の構造とすることで、従来鉄骨造建物の屋根の骨組みと
して使用していた鋼材料の使用総量を重量ベースで削減すること、及び、組立作業を簡略
化すること、によって建設コストを大幅に低減しつつ、高強度の鉄骨造建物の屋根構造を
提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、梁間に長スパン、桁行に短スパンで建て込まれた複数の柱と、
前記梁間に長スパンで建て込まれた複数の柱上部に接合されたトラス梁と、前記桁行に短
スパンで建て込まれた複数の柱頂部に接合された構造谷樋とから構成された鉄骨造の下部
構造体の上に接合される鉄骨造の山形屋根構造体であって、該屋根構造体は、棟木と垂木
とから構成されるとともに、屋根面を前記棟木を上弦材、前記下部構造体の前記構造谷樋
を下弦材としたトラス構造とした鉄骨造の山形屋根構造体である。
請求項2に係る発明は、間口複数スパンの鉄骨造の間口1スパン当たり2棟の山形屋根
を有することを特徴としている。
請求項3に係る発明は、前記棟木の端部は妻面に位置し、該端部は妻面に沿って伸びる
垂木と接合されていることを特徴としている。
請求項4に係る発明は、前記棟木の端部は妻面よりも前記下部構造体内方に位置し、該
端部は妻面から斜めに立ち上げられた垂木の上端に接合されていることを特徴としている

請求項5に係る発明は、同一の前記屋根面に位置する垂木は、4本を1組としてその両
端部下端が前記構造谷樋を介して柱の直上に位置していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の鉄骨造建物の屋根構造は、請求項1に係る発明にあっては、梁間に長スパン、
桁行に短スパンで建て込まれた複数の柱と、前記梁間に長スパンで建て込まれた複数の柱
上部に接合されたトラス梁と、前記桁行に短スパンで建て込まれた複数の柱頂部に接合さ
れた構造谷樋とから構成された、従来公知の鉄骨造の下部構造体の上に接合される鉄骨造
の山形屋根構造体であって、該山形屋根構造体は、棟木と垂木とから構成されるとともに
、屋根面を前記棟木を上弦材、前記下部構造体の前記構造谷樋を下弦材としたトラス構造
とした鉄骨造の山形屋根構造体として、屋根面の構造体としては極めてユニークな構成と
することによって、従来簡易鉄骨造建物の屋根骨組みとして使用していた鋼材の使用総量
を重量ベースで削減すること、及び、組立作業を簡略化すること、によって建設コストを
大幅に低減しつつ、高強度の鉄骨造の山形屋根構造体を提供することができる。
請求項2に係るものにあっては、間口複数スパンの鉄骨造の間口1スパン当たり2棟の
山形屋根を有しているので、間口1スパン当たり1棟の山形屋根を有しているものに比し
、山形屋根の強度を向上することができる。
請求項3に係るものにあっては、前記棟木の端部は妻面に位置し、該端部は妻面に沿っ
て伸びる垂木と接合することとしているので、妻部における山形屋根構造体の強度を向上
することができる。
請求項4に係るものにあっては、前記棟木の端部は妻面よりも前記下部構造体内方に位
置し、該端部は妻面から斜めに立ち上げられた垂木の上端に接合することとしているので
、山形屋根の適正な強度を確保しつつ、妻面近傍の採光性を向上することができる。
請求項5に係るものにあっては、同一の前記屋根面に位置する垂木は、4本を1組とし
てその両端部下端が前記構造谷樋を介して柱の直上に位置しているよう構成したから、ブ
レースの軸力を構造谷樋を介して柱に伝達する合理的な軸組みとすることができる。
【実施例】
【0009】
図1は、本発明に係る屋根構造が軽量形鋼柱、トラス梁、構造谷樋から成る従来公知の
下部骨組み構造の上に建て込まれた概略斜視図、図2は、簡易鉄骨造建物の軽量形鋼柱、
トラス梁、構造谷樋から成る下部構造のみを示す斜視図、図3は、簡易鉄骨造建物全体の
正面図、図4は、同平面図である。図5は、請求項3に係る棟木の端部が妻面にまで伸び
、端部は妻面に沿って伸びる垂木と接合された鉄骨造の山形屋根構造体の側面図、図6は
、請求項4に係る棟木の端部は妻面よりも下部構造体内方に位置し、その端部は妻面から
斜めに立ち上げられた垂木の上端に接合された鉄骨造の山形屋根構造体の側面図である。
図7は、軽量形鋼柱と構造谷樋との接合部を示す斜視図、図8は、上弦材である棟木とト
ラス(斜材)である垂木と下弦材である構造谷樋の接合構造を示す縦断面図である。図9
は、棟木とトラスの接合構造を示す斜視図である。図10は天窓の棟木への取付構造を示
す縦断面図である。図11は、従来の温室を示す斜視図、図12は、その他の従来の温室
を示す斜視図である。
【0010】
図1は、本発明の棟木と垂木とからなる屋根構造が、梁間に複数構築される多連棟型
温室に適用された実施例の斜視図で、図2は、図1の屋根構造を取り除いて軽量形鋼柱、
トラス梁、構造谷樋から成る従来公知の簡易鉄骨造建物の下部構造のみを示す斜視図であ
る。図3は、図1の天窓が開いた状態を示す温室妻面正面図である。
これらの図において1は、棟木と垂木とからなる屋根構造体が梁間に複数構築される簡
易鉄骨造建物である多連棟型温室の軸組構造の全体を示している。
以下、この実施例の多連棟型温室の軸組構造の構成要素について説明する。
2は軽量形鋼からなる柱材で、間口方向及び棟方向に適宜間隔をもって基礎に固定され
て立設されている。この実施例では、柱高3.5m、間口8mスパン、桁行4mスパンで
柱が配置されている。すなわち、複数の柱は、梁間に長スパン、桁行に短スパンで建て込
まれている。
トラス梁3の両端部には、図7に示される、梁自体の高さよりも長く、梁の幅と同幅の
取付金具25が溶接にて固定されている。
そして、この取付金具25と前記柱材2には、数本のボルトを螺入するためのネジ孔が
形成されている。
温室を組み上げるときには、柱材2とトラス梁3の取付金具25とに形成された前記ネ
ジ孔を合致させた状態でボルトを螺入して、柱材2とトラス梁3とを連結固定するもので
ある。
また、構造材である前記谷樋4は、端部同士が柱材2上で継がれる。この実施例では、
その底壁形状がV字状に形成されている。もちろん、単純な水平面としてもよい。
そして図7に示されるように、柱材2の頂部には、形状が構造谷樋4の底壁と同一で、
幅及び長さが柱材2よりも大きな支持金具23が溶接固定されている。
この支持金具23の上に、断面谷樋4の底・側壁と同形状で長さが前記支持金具23と
ほぼ同程度の接合金具24を介在して、構造谷樋4の端部同士を突き合わせ状態で柱材2
上端部に接合するものである。
そしてこの支持金具23と、接合金具24と、谷樋4には、数本のボルトを挿入するた
めの孔が形成されているので、該孔を合致させた状態でボルトを挿入ナットを螺合して、
柱材2と谷樋4の端部同士を連結固定するものである。
さらにこの構造谷樋4は、トラス梁3の柱と柱の中間位置にも谷樋束7を介して連結固
定されている。
11は、温室妻面に立設した妻間柱であり、12は側胴縁、13は柱ブレース、14は
水平ブレース、21は竪樋である。
【0011】
以上の多連棟型温室の基本的な下部構造としての軸組に、さらに上部構造としての本発
明の特徴である、山形屋根構造体たる棟木5と垂木6とが構築されている。
図1と図4乃至図6を参照して、以下詳細に説明する。
この山形屋根構造体は、5寸勾配とされていて、棟木を上弦材とし構造谷樋を下弦材と
し、垂木をブレース6としたトラス構造とされている。
この実施例の山形屋根構造体は、間口複数スパンの鉄骨造の間口1スパン8m当たり2
棟の山形屋根が建て込まれ、また、桁行4m1スパン当たり4本のブレース6が配設され
ているので、底辺2m、斜辺約2.45mの2等辺三角形と同サイズの逆2等辺三角形が
交互に連続するので、均一、均等な応力の伝達が可能となり、従来必須とされていた母屋
を省いても十分な強度を確保することができることから、部材の使用量を重量ベースで大
幅に縮減することができる。
【0012】
上記した山形屋根構造体の妻部における構造は、図5に示されるような、棟木5の端部
は妻面に位置し、該端部は妻面に沿って伸びる垂木6の上端と接合された構造とするか、
あるいは、図6に示されるような、棟木の端部は妻面よりも下部構造体内方に位置し、該
端部は妻面から斜めに立ち上げられた垂木の上端に接合された構造とすることも可能であ
る。
図5に示されるような構造とすれば、特に棟木方向の水平荷重に対する抵抗力を大きく
することができる。
また、図6に示されるような構造とすれば、部材の使用量を適正に維持しつつ、妻部に
おける採光性を良好ならしめることができる。
【0013】
図8(a)は、棟木5と垂木6の接合構造を示す縦断面図、図8(b)は、垂木6と構
造谷樋4の接合構造を示す縦断面図であり、棟木5が本発明の屋根構造体のトラスの
材となり、構造谷樋4が下弦材となる。
55は、短尺のジョイント金具で、矩形頭部56から垂下する垂下片57と、該垂下片
57下端から斜め下両方向に張り出した翼片58とを有している。
このジョイント金具55の矩形頭部56は、棟木5のいずれかの自由端部から挿入され
、棟木5下部に形成された矩形中空部54の適宜位置に嵌合配置される。
6は、本発明の屋根構造体の垂木、すなわちトラス(斜材)であって、上部にフィルム
とフィルムを固定するための図示しないフィルム固定具を弾発的に収容するフィルム固定
部61を有している。
62は、ジョイント金具55の翼片58に垂木6を斜め状に取り付けるための垂木取付
具で、垂木6の内部で摺動可能で回転不能の形状をした矩形板63がネジ頭部に固定され
ており、図示しないナットによって固定される。
図8(b)において、64は垂木6と構造谷樋4を接続する短尺の接続金具で、垂木6
に沿って流下する結露水を構造谷樋4に案内する機能をも有している。
図9(a)は、図8(a)の棟木5と垂木6の接合構造の斜視図である。
室内下方から屋根構造体に向かって風が吹き上げられることがある。このため本実施例
においては、風によって棟木5が持ち上げられて、垂木6がジョイント金具55から外れ
てしまうことを防止するため、垂木6の1と同6の4の下面に、図9(b)に示す垂木固
定具65を取り付けている。この垂木固定具65は、パイプの両端を圧潰して平板とした
部位にボルト挿通孔が穿設されたもので、対向する2本の垂木6の間に、上記取付金具6
2にて固定される。
対向する2本の垂木6の組合せは、6の1と6の3、6の2と6の3、6の2と6の4
の組合せのいずれでもよい。要するに同じ屋根面の垂木6同士を連結しなければよい。
【0014】
同一の屋根面に位置するブレース6、6、6、6の下端は、4本を1組として軸力を柱
2に伝達するように、中央寄り2本の下端直下には柱2が配設されていない。
そして、外側2本の下端直下には柱2が配設されている。
この構成により、山形屋根構造体に対する荷重は、4本を1組とした中央寄り2本のブ
レース6、6に伝達された軸力は、前記構造谷樋4を介してトラス梁3、柱2に伝達され
、4本を1組とした外側2本のブレース6、6に伝達された軸力は、前記構造谷樋4を介
することなく直接トラス梁3、柱2に伝達される。
以上の構造を有する屋根構造体の垂木の坪当たり重量は、図10に示された従来のもの
と比べて、37%低減することができた。
【0015】
図10は、天窓枠に設けられた雌部材を、棟木に設けられた雄部材に装着またはそれか
ら離脱するときの様子を拡大して表した図である。
以下、図10を参照して、棟木と天窓のヒンジ結合構造について詳述する。
棟木5の右肩部基部には、略図面視やや左に傾斜した上方、すなわち第1の方向に向か
って前記基部から一定距離離間して円形軸52が形成されている。
前記第1の方向とは異なる方向で右方向、すなわち第2の方向に向かって前記基部から
前記一定距離より短い距離離間して規制軸53が形成されている。
この円形軸52と規制軸53とで雄部材が構成されている。
一方、天窓枠22の先端には、その周壁の一部が全長に亘って切り欠かれて開口部22
7を有する断面C字状の筒形軸受221が形成されている。
そして案内部材224が、一方の開口端222近傍から放射状に伸びさらに前記筒形軸
受軸心の円弧に沿って開口部227方向に向かって伸びて、円弧状内面226を形成して
いる。
筒形軸受221の他方の開口端223と案内部材224の先端225の内面間距離l3
は、円形軸52と規制軸53の前記第1の方向における外面間距離l1より小さく、同前
記第2の方向における外面間距離l2より大きく設定されている。
そして、この天窓枠22を棟木5に装着または離脱するときは、図5に示すように、天
窓枠22を所定角度に傾斜させて、筒形軸受221の他方の開口端223と案内部材先端
225を結ぶ線が前記第2の方向に平行する位置関係で前記第1の方向へ下降させ、その
後案内部材224が規制部材53に係合する方向に回転すればよい。
このように、雌部材を雄部材の前記第1の方向へ直線的に移動しその後円形軸52廻り
に回転させれば簡単に装着することができ、従来の円形軸52方向からスライドして挿入
するものに比べ、格段にその装着操作を簡素化でき、特に重量物である天窓枠を棟木に取
り付ける作業を軽減し効率的な施工に資するものである。
なお、天窓枠を棟木に装着した後は、規制軸53が案内部材224の円弧状内面226
に対向する範囲内で回動するよう、天窓枠22の動きを規制する。
このようにすれば、天窓枠22の雌部材は棟木5の雄部材から離脱することはない。
この実施例においては、間口1スパン当り2棟の山形屋根構造体を設置しているが、こ
の棟数は1であっても3以上であってもよい。
【0016】
前記特許文献2に記載された発明は、一組の端部架構の間の適当数の中間架構の梁間に
陸梁を設けないことにより、屋根裏の大なる空隙を有効に利用し得るようにしたものであ
る。
これに対して、本発明の鉄骨造建物の屋根構造は、梁間に長スパン、桁行に短スパンで
建て込まれた複数の柱と、前記梁間に長スパンで建て込まれた複数の柱上部に接合された
トラス梁と、前記桁行に短スパンで建て込まれた複数の柱頂部に接合された構造谷樋とか
ら構成された、従来公知の鉄骨造の下部構造体の上に接合される鉄骨造の山形屋根構造体
を強度の低下をもたらすことなく、極力軽量化しようとするものである。
それ故本発明は、前記特許文献2に記載された発明の必須とする合掌を不要としており
、両者は技術思想の根底が全く異なるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の簡易鉄骨造建物の屋根構造体の斜視図である。
【図2】本発明の簡易鉄骨造建物の下部骨組み構造のみを示す斜視図である。
【図3】本発明の簡易鉄骨造建物の骨組み構造の正面図である。
【図4】本発明の屋根構造体の平面図である。
【図5】本発明の鉄骨造の妻面に沿って垂木を備えた型式の山形屋根構造体の側面図である。
【図6】本発明の鉄骨造の妻面に沿って垂木を備えない型式の山形屋根構造体の側面図である。
【図7】本発明の軽量形鋼柱と構造谷樋との接合部を示す斜視図である。
【図8】本発明の上弦材である棟木とトラス(斜材)である垂木と構造谷樋4の接合構造を示す縦断面図である。
【図9】本発明の棟木とトラスの接合構造を示す斜視図である。
【図10】天窓の棟木への取付構造を示す縦断面図である。
【図11】従来例1の屋根骨組み構造を示す斜視図である。
【図12】従来例2の屋根骨組み構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0018】
1 簡易鉄骨造建物の全体軸組構造
2 柱
3 トラス梁
4 構造谷樋
5 棟木
6 垂木
7 谷樋束
11 間口間柱
12 側胴縁
13 柱ブレース
14 水平ブレース
21 竪樋
22 天窓
23 支持金具
24 接合金具
25 取付金具
51 棟木接合金具
54 矩形中空部
55 短尺のジョイント金具
56 矩形頭部
57 垂下片
58 翼片
61 フィルム固定部
62 垂木取付具
63 矩形板
64 短尺のジョイント金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
梁間に長スパン、桁行に短スパンで建て込まれた複数の柱と、前記梁間に長スパンで建
て込まれた複数の柱上部に接合されたトラス梁と、前記桁行に短スパンで建て込まれた複
数の柱頂部に接合された構造谷樋とから構成された鉄骨造の下部構造体の上に接合される
鉄骨造の山形屋根構造体であって、
該山形屋根構造体は、棟木と垂木とから構成されるとともに、屋根面を前記棟木を上弦
材、前記下部構造体の前記構造谷樋を下弦材としたトラス構造とした鉄骨造の山形屋根構
造体。
【請求項2】
間口複数スパンの鉄骨造の間口1スパン当たり2棟の山形屋根を有することを特徴とす
る請求項1に記載された鉄骨造の山形屋根構造体。
【請求項3】
前記棟木の端部は妻面に位置し、該端部は妻面に沿って伸びる垂木と接合されているこ
とを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれかに記載された鉄骨造の山形屋根構造体。
【請求項4】
前記棟木の端部は妻面よりも前記下部構造体内方に位置し、該端部は妻面から斜めに立
ち上げられた垂木の上端に接合されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいず
れかに記載された鉄骨造の山形屋根構造体。
【請求項5】
同一の前記屋根面に位置する垂木は、4本を1組としてその両端部下端が前記構造谷樋
を介して柱の直上に位置していることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記
載された鉄骨造の山形屋根構造体。

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図11】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図10】
image rotate

【図12】
image rotate