説明

銀を含有する洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤

本発明は、界面活性剤、銀および/または銀化合物およびさらなる洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤の通常の活性成分を含んでなり、非中和脂肪酸の添加により安定化された、液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性剤、銀および/または銀化合物、ならびに、さらに洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤に常套の成分を含有する洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤に関する。本発明は、さらに、洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者の洗濯習慣における変化の結果として、昨今、繊維洗浄に関して衛生問題が生じる可能性がある。現在、一方ではエネルギーコストのために、しかし、他方では素材および色へのストレスを減らすために、多くの洗濯物が40℃またはそれより低い温度で洗浄されている。実際のところ、現代の繊維製品の多くが30℃以下の温度でのみ洗濯可能である。
【0003】
かつては慣例であったような60℃での洗濯では、より高い温度、および、通常使用されていた汎用洗浄剤中に含まれる漂白剤の結果の両方のために、ほぼ全ての細菌類が確実に死滅した。
【0004】
しかしながら、より低い洗浄温度に加えて、昨今、一般に漂白剤を含まない液状洗浄剤の使用も通常である。
【0005】
細菌またはかびまたは酵母菌で汚染された繊維製品は、必要な範囲で無菌にすることができず、そのため、状況次第では、消費者が一応清潔な洗濯物に再度接触する際に(再)感染が起こり得る。
【0006】
洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤における抗菌有効組成物およびその使用は、既存技術において既知である。使用される殺菌剤は、多くの場合、ハロゲン含有物質またはフェノール誘導体または他の芳香族炭化水素であり、それらは環境適合性の理由から問題があるといえる。他の、より適合性の殺菌剤は、限られた作用範囲しか有さないか、または特定の物理的条件下でのみ効果がある。しかしながら、家庭用の用途において、微生物の幅広いスペクトルに対し効果的で、環境にも優しい抗菌性組成物の高い必要性があり、天然成分が同様に好ましい。
【0007】
銀および銀イオンは、微生物中のチオール酵素に阻害効果を及ぼし、そのため、高い殺細菌効果および殺真菌効果を有する。さらに、銀は殺病原菌作用を有する。銀および/または銀イオンを含有し病原菌を減少する洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤は、既存技術、例えば欧州特許出願公開第1670885号から既知である。
【0008】
銀および/または銀イオンを含有する洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤は、剤に含まれる銀イオンが不純物と反応し得るため多くの場合において安定ではなく、例えば塩化物イオンと反応し光に敏感な銀塩化物塩を与え、または、例えば硫化物と反応し、難溶性の銀硫化物塩を生成する。(高)アルカリ性媒体中で、溶解性銀イオンは、まずAgOHに反応でき、次いでさらに、難溶性のAgOを与える。これらの銀塩の難溶性に加えて、特に酸化銀および硫化銀は(少量にも関わらず)、液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤において、特に茶または黒色着色のかなりの色調変化をひきおこす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1670885号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、銀および/または銀イオン含有し、病原菌を減少する液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤を利用可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本目的は、
a)2〜60重量%のアニオン性、非イオン性、カチオン性および双性イオン性界面活性物質ならびにそれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤、
b)元素および/または酸化型の銀、
c)0.01〜10重量%の非中和脂肪酸、
d)および、洗浄および清浄剤に常套の他の成分、
を含有する液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤により達成される。
【0012】
驚くべきことに、非中和脂肪酸の存在により、液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤の殺病原菌効果を全く妨げることなく達成すべき元素銀および/または銀カチオンの安定化が可能となることがわかった。
【0013】
銀化合物は、酢酸銀、クエン酸銀、銀ジアミノクロリド錯体、銀シクロデキストリン錯体、銀ジシアノカリウム錯体、銀フタルイミド、銀フェニルシアナミド、銀(エチレンチオ尿素)錯体、銀イミダゾレート、遷移金属−NHC-カリックス[4]アレーン錯体、銀クラウンエーテル、硝酸銀、およびそれらの混合物からなる群から選択されるのが好ましい。特に好ましくは、液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤が硝酸銀を含有する。
【0014】
これらの銀化合物は、十分に高い溶解性を示し、液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤から析出沈殿しない。
【0015】
元素銀および/または銀化合物の量が、液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤の全体に基づいて、0.0001〜1重量%であるのがさらに好ましい。
【0016】
非中和脂肪酸と元素銀および/または銀カチオンの量との割合が、8以上:1であるのが特に好ましい。銀または銀カチオンの特に効果的な安定化が、この比率を達成することにより得られる。
【0017】
非中和脂肪酸の量が、液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤の全体に基づいて、0.01〜10重量%であるのがさらに好ましい。銀または銀カチオンの効果的な安定化が、非中和脂肪酸のこの量により得られる。過剰に多量の非中和脂肪酸は、非中和脂肪酸の全量がそれぞれの剤中に溶解できないため、液状剤の望ましくない濁りを引き起こし得る。
【0018】
液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤が、さらに、(液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤に基づいて)0.01〜3重量%の水酸化アンモニウムを含有することが好適であり得る。驚くべきことに、少量の水酸化アンモニウムを加えるだけで、特に透明な、したがって、審美的に魅力のある洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤が得られることがわかった。
【0019】
好ましい液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤は、中和型および非中和型の脂肪酸を含有する。脂肪酸石鹸および銀を含有する安定な洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤は、液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤のpHにより、またはpH調整剤の添加により、簡単かつ迅速に製造することができる。
【0020】
液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤は、0.5〜50重量%カチオン性界面活性剤を含有する繊維柔軟剤として製造されるのが好ましくあり得る。
【0021】
本発明のこの種の繊維柔軟剤は、洗濯機の処理サイクルの最後に洗濯物が病原菌を減少する銀と接触する状態になり、その結果、洗濯物の表面の病原菌の数がさらに減少するという利点がある。その上、剤自体に病原菌の減少効果があるため、多くの場合見苦しい黒色の変色および析出として現れ、消費者からの不満を引き起こす、繊維柔軟剤ディスペンサーの微生物汚染を防ぐ。
【0022】
本発明は、
a)2〜60重量%のアニオン性、非イオン性、カチオン性および双性イオン性界面活性剤ならびにそれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤、
b)銀および/または銀化合物、および、
c)さらに、洗浄および清浄剤に常套の成分、
を含有する液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤の製造方法であって、
洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤の全体に基づいて0.01〜10重量%の非中和脂肪酸を、さらに剤に添加する製造方法にも関する。
【0023】
本発明は、さらに、銀を含有する液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤を安定化するための、非中和脂肪酸の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、特に例を参照して、本発明をさらに詳細に記載する。
【0025】
液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤は、必須成分として、銀および/または銀化合物を含有する。
【0026】
本発明によれば、銀を元素形態またはその化合物の形態のいずれかで使用する。銀を元素形態で使用するならば、0.1〜100μmの粒度を有するのが好ましい。さらなる銀粒度も、コロイド形態で元素銀を使用することにより得られ、銀は0.001〜0.1μmの粒度を有する。
【0027】
しかしながら、剤が銀化合物を含有し、この銀化合物が酢酸銀、クエン酸銀、銀ジアミノクロリド錯体、銀シクロデキストリン錯体、銀ジシアノカリウム錯体、銀フタルイミド、銀フェニルシアナミド、銀(エチレンチオ尿素)錯体、銀イミダゾレート、遷移金属−NHC−カリックス[4]アレーン錯体、銀クラウンエーテル、硝酸銀、およびそれらの混合物からなる群から選択されるのが好ましい。銀化合物は、好ましくは溶液、懸濁液または分散体の形態で添加される。特に好ましくは、液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤が水溶液の形態で使用される硝酸銀を含有する。
【0028】
元素銀および/または銀化合物の量は、洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤の全体に基づいて、好ましくは0.0001〜1重量%、より好ましくは0.001〜0.25重量%である。極めて好ましくは、液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤が、洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤の全体に基づいて0.01〜0.1重量%の元素銀および/または銀化合物を含有する。
【0029】
液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤は、さらなる必須成分として非中和脂肪酸を含有する。
【0030】
洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤中の非中和脂肪酸の量は、使用する銀または銀化合物の量にもよる。一般に、最小の費用で最適安定化を得るためには、非中和脂肪酸の量は、0.01%〜10%、好ましくは0.1%〜5%、よりさらに好ましくは0.5%〜3%の範囲である。
【0031】
これに関連して、元素銀および/または銀カチオンの量に対する非中和脂肪酸の割合が1に対して8以上であるのがさらに好ましい。銀および/または銀化合物の効果的な安定化を達成するために、非中和脂肪酸を、かなり過剰に使用することが必要である。元素銀および/または銀カチオンの量に対する非中和脂肪酸の割合が1に対して8未満では、十分な安定化が得られない場合が多く、望ましくない沈殿および/または色調変化が生じ得ることがわかった。
【0032】
適当な脂肪酸は、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、(水素化)エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸、およびベヘン酸、ならびに、特に天然脂肪酸、例えばココナツ、パーム核、オリーブ油または獣脂脂肪酸を含む。
【0033】
脂肪酸石鹸を含有する液状洗浄剤または清浄剤中における、非中和脂肪酸の濃度は、一方では実験的に(例えば滴定により)、あるいは、使用した脂肪酸のpKa値がわかる場合、ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式を用いて測定または確定することができる。
【0034】
洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤は、2〜60重量%のアニオン性、非イオン性、カチオン性および双性イオン性界面活性剤、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤を含有する。
【0035】
使用する非イオン性界面活性剤は、好ましくは8〜18個の炭素原子を有し、アルコール1モルあたりに平均して1〜12モルのエチレンオキシド(EO)を有する、好ましくはアルコキシ化された、有利にはエトキシ化された、特に第一級アルコールであり、アルコール残基は直鎖または好ましくは2位でメチル分枝であってよく、あるいは、混合した直鎖およびメチル分枝残基を含有することができ、このようなものは、通常オキソアルコール残基中に存在する。しかしながら、12〜18個の炭素原子を有する天然由来のアルコール(例えばココナツ、ヤシ、獣脂由来)またはオレイルアルコールで構成される直鎖の残基を有し、アルコール1モルあたりに平均して2〜8EOである、アルコールエトキシレートが特に好ましい。好ましいエトキシ化アルコールとしては、例えば3EO、4EOまたは7EOを有するC12−14アルコール、7EOを有するC9−11アルコール、3EO、5EO、7EOまたは8EOを有するC13−15アルコール、3EO、5EOまたは7EOを有するC12−18アルコール、およびそれらの混合物、例えば、3EOを有するC12−14アルコールと5EOを有するC12−18アルコールとの混合物が挙げられる。示されるエトキシ化度は、特定の生成物についての整数または分数に相当できる統計的平均を意味する。好ましいアルコールエトキシレートは、同族体の限られた分布を示す(狭い範囲のエトキシレート、NRE)。これらの非イオン性界面活性剤に加えて、12より大きいEOを有する脂肪アルコールを用いることもできる。これらの例は、14EO、25EO、30EOまたは40EOを有する獣脂脂肪アルコールである。分子内にEOおよびPO基を共に含有する非イオン性界面活性剤も、本発明にしたがい使用することができる。
【0036】
性能エンジニアリングの観点および生分解性に関して、8〜18個の炭素原子を有し、1モルあたりに平均して1〜12モルのエチレンオキシドを有する直鎖エトキシ化アルコールを使用するのが特に好ましい。
【0037】
好ましい非イオン性界面活性剤のさらなる種類は、アミンオキシド型の界面活性剤、例えばN−ココアルキル−N,N−ジメチルアミンオキシドおよびN−獣脂アルキル−N,N−ジヒドロキシエチルアミンオキシドである。これらは、特定の汚れ(例えばモーターオイル)において、特に良好な洗浄性能を有するので、特に繊維洗浄剤において好ましく使用される。
【0038】
洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤中の非イオン性界面活性剤の濃度は、それぞれの場合に、その洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤全体に基づいて、好ましくは2〜40重量%、好ましくは4〜30重量%、特に5〜15重量%である。
【0039】
非イオン性界面活性剤に加えて、洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤の界面活性剤混合物は、アニオン性界面活性剤を含有することもできる。アニオン性界面活性剤として、スルホン酸塩、硫酸塩、石鹸およびそれらの混合物が好ましくは使用される。
【0040】
スルホン酸塩型の界面活性剤として、好ましくは、C9−13アルキルベンゼンスルホネート、オレフィンスルホネート、すなわちアルケン−およびヒドロキシアルカンスルホネートの混合物、およびジスルホネートが挙げられ、例えば、末端または内部二重結合を有するC12−18モノオレフィンから、三酸化硫黄ガスでスルホン化し、続いてスルホン化生成物のアルカリまたは酸加水分解により得られる。C12−18アルカンから、例えばスルホ塩素化またはスルホ酸化し、続いて加水分解および中和することにより得られる、アルカンスルホネートも適当である。α−スルホ脂肪酸のエステル(スルホン酸エステル)、例えば水素化ヤシ、パーム核または獣脂脂肪酸のα−スルホン化メチルエステルも同様に適当である。
【0041】
好ましいアルキル(アルケニル)硫酸塩は、C12〜C18脂肪アルコール、例えばヤシ脂肪アルコール、獣脂脂肪アルコール、ラウリル、ミリスチル、セチルまたはステアリルアルコール、またはC10〜C20オキソアルコールの硫酸セミエステルのアルカリ塩、特にナトリウム塩、およびこれらの鎖長の第2級アルコールのこれらセミエステルである。洗浄技術の目的のために、C12〜C16アルキル硫酸塩およびC12〜C15アルキル硫酸塩ならびにC14〜C15アルキル硫酸塩が、好ましいアニオン性界面活性剤である。
【0042】
1〜6モルのエチレンオキシドでエトキシ化した直鎖または分枝鎖C7−21アルコールの硫酸モノエステル、例えば平均して3.5モルのエチレンオキシド(EO)を有する2−メチル−分枝C9-11アルコールまたは1〜4EOを有するC12−18脂肪アルコールも適当である。
【0043】
石鹸も、好ましいアニオン性界面活性剤である。飽和および不飽和脂肪酸石鹸、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、(水素化)エルカ酸およびベヘン酸の塩が適当であり、それに、特に天然脂肪酸、例えばココナツ、パーム核、オリーブ油または獣脂脂肪酸から誘導した石鹸混合物が適当である。
【0044】
石鹸を含むアニオン性界面活性剤は、それらのナトリウム、カリウムまたはマグネシウム塩の形態で存在し得る。アニオン性界面活性剤は、好ましくはそれらのナトリウム塩の形態で存在する。さらに好ましくは、アニオン性界面活性剤の対イオンは、コリン、トリエチルアミンまたはメチルエチルアミンのプロトン化形態でもある。
【0045】
洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤において、中和型および非中和型脂肪酸を含有するのが好ましくあり得る。銀または銀カチオンの安定化に必要な非中和脂肪酸の量を、pHを用いることにより(例えばpH調整剤の添加により)極めて簡単に調整できるため、特に脂肪酸石鹸を含有する液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤に有利である。
【0046】
また、脂肪酸石鹸は、元素銀および/または銀カチオンを安定化するために使用する脂肪酸以外の脂肪酸から誘導することができる。
【0047】
銀および/または銀化合物ならびに脂肪酸石鹸を含有する、特に安定で、審美的に魅力のある洗浄または清浄剤は、非中和脂肪酸:脂肪酸石鹸の比が、5:95〜60:40、より好ましくは10:90〜40:60である場合に得られることがわかった。
【0048】
繊維柔軟剤の形態の後処理剤は、繊維柔軟効果を有するカチオン性界面活性剤を含む。
【0049】
カチオン性界面活性剤は、例えば、第四級アンモニウム化合物、例えばモノアルキル(アルケニル)トリメチルアンモニウム化合物、ジアルキル(アルケニル)ジメチルアンモニウム化合物、脂肪酸とアルカノールアミンとのモノ−、ジ−またはトリエステルを含む。
【0050】
適当な第四級アンモニウム化合物の例は、例えば、式(I)〜(III):
【化1】

【化2】

【化3】

に示され、そのような(I)において、Rは12〜24個の炭素原子を有する非環式アルキル基を意味し、Rは飽和C〜Cアルキルまたはヒドロキシアルキル基を意味し、および、RおよびRのいずれかは、RまたはRと同一であるか芳香族基を意味する。Xは、ハライド、メトサルフェート、メトホスフェートまたはホスフェートイオン、およびそれらの混合物のいずれかを意味する。式(I)のカチオン性化合物の例は、塩化モノ獣脂トリメチルアンモニウム、塩化モノステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジ獣脂ジメチルアンモニウムまたは塩化ジヘキサデシルアンモニウムである。
【0051】
式(II)および(III)の化合物は、いわゆるエステルクォートである。エステルクォートは、極めて優れた生分解性のために注目すべきである。式(II)において、Rは、0、1、2、または3個の二重結合を有するおよび/または所望により置換基を有する12〜22個の炭素原子を有する脂肪族アルキル(アルケニル)基を意味し、RはH、OHまたはO(CO)Rを意味し、Rは独立してR、H、OHまたはO(CO)Rを意味し、RおよびRはそれぞれ互いに独立して、0、1、2または3個の二重結合を有する12〜22個の炭素原子を有する脂肪族アルキル(アルケニル)基を意味する。m、nおよびpは、それぞれ互いに独立して1、2または3の値を有し得る。Xはハライド、メトサルフェート、メトホスフェートまたはホスフェートイオン、ならびに前記イオンの混合物のいずれかであり得る。Rが基O(CO)Rを示す化合物が好ましい。Rが基O(CO)Rを示し、RおよびRは16〜18個の炭素原子を有するアルキル基である化合物は、特に好ましい。さらにRがOHを意味する化合物は、とりわけ好ましい。式(III)において、R12、R13およびR14は、互いに独立してC1−4アルキル、アルケニルまたはヒドロキシアルキル基を意味し、R15およびR16はそれぞれ独立して選択されるC8−28アルキル基を意味し、Xはアニオンであり、rは0〜5の数である。例は、メチル−N−(2-ヒドロキシエチル)−N,N−ジ(獣脂アシルオキシエチル)アンモニウムメトサルフェート、ビス(パルミトイルオキシエチル)ヒドロキシエチルメチルアンモニウムメトサルフェート、1,2−ビス−[獣脂アシルオキシ]−3−トリメチルアンモニウムプロパンクロリド、メチル−N,N−ビス(ステアロイルオキシエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムメトサルフェートまたはN,N−ジメチル−N,N−ジ(獣脂アシルオキシエチル)アンモニウムメトサルフェートを含む。
【0052】
エステル基O(CO)R(式中Rは長鎖アルキル(アルケニル)基を意味する)の代わりに、以下の基:RO(CO)、N(CO)RまたはRN(CO)を含む繊維柔軟化合物を使用することができ、このうち、N(CO)R基が好ましい。
【0053】
洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤のさらに有利な原料は、水酸化アンモニウムであり得る。洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤の全体に基づいて、少量(0.01重量%)の水酸化アンモニウムでさえ、極めて透明であり、そのために審美的に極めて魅力的な剤を与えることがわかった。
【0054】
界面活性剤、銀または銀化合物および非中和脂肪酸に加えて、洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤は、洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤の技術的有用性および/または審美的特性をさらに向上するためのさらなる成分を含有することができる。本発明に関して、洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤は、好ましくは、洗浄力増進剤、漂白剤、漂白触媒、漂白活性剤、酵素、電解質、非水溶媒、pH調整剤、香油、香料担体、蛍光剤、染料、ヒドロトロープ、発泡防止剤、シリコーン油、抗再沈着剤、抗曇り剤、縮み防止剤、しわ予防剤、色移り防止剤、抗菌活性物質、殺病原菌剤、殺細菌剤、酸化防止剤、防腐剤、さび止め剤、帯電防止剤、苦味剤、アイロンがけ補助剤、補強および含浸剤、膨張および滑り止め剤、繊維柔軟成分およびUV吸収剤の群から選択されるさらに1つ以上の成分を含有する。
【0055】
洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤中に含まれ得る洗浄力増進剤として、審美的理由のために、水溶性の有機洗浄力増進剤が好ましい。
【0056】
有機洗浄力増進剤は、例えば、それらのナトリウム塩の形態で使用できるポリカルボン酸であり、「ポリカルボン酸」は、1つより多くの酸官能基を有するこれらカルボン酸として理解される。これらは、例えばクエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、糖酸、アミノカルボン酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)およびそれらの派生物質ならびにそれらの混合物である。好ましい塩は、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、酒石酸、糖酸およびそれらの混合物といったポリカルボン酸の塩である。酸自体を用いることもできる。通常、酸は、増進作用だけでなく、酸性化成分の特性も有する。重合ポリカルボン酸塩も、洗浄力増進剤として適当である。
【0057】
液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤中の水溶性有機洗浄力増進剤として、クエン酸またはそれらの塩が好ましくは使用される。
【0058】
液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤は、酵素または酵素混合物を含有することもできる。ヒドロラーゼ、例えばプロテアーゼ、(ポリ)エステラーゼ、リパーゼまたは脂肪分解性活性酵素、アミラーゼ、セルラーゼおよび他のグリコシルヒドロラーゼ、ヘミセルラーゼ、クチナーゼ、β−グルカナーゼ、オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、マンナナーゼ、タンナーゼ、エステラーゼ/ポリエステラーゼ、ペルヒドロラーゼ、オキシレダクターゼおよび/またはラッカーゼの種類から選択されるものが特に適当である。
【0059】
酵素を安定化するために、本発明の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤は、安定化剤、例えば、ホウ酸またはホウ酸塩、ホウ酸誘導体またはアミノアルコールを含有することができる。
【0060】
洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤のpHを所望の範囲内にするために、pH調整剤の使用が示され得る。全ての既知の酸またはアルカリをここで使用することができる。好ましいpH調整剤は、NaOHまたはクエン酸である。
【0061】
洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤のpHは、好ましくは5〜8.5、より好ましくは7.5〜8.5である。
【0062】
洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤は好ましくは香料を含有する。個々の香料化合物、例えばエステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素型の合成生成物を香油として使用することができる。しかしながら、組み合わさって魅力的な香調を生成する、異なる香料の混合物を使用するのが好ましい。このような香油は、例えば植物源から入手できるような、天然香料混合物を含有することもできる。
【0063】
本発明の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤は、織物を洗浄および/または清浄および/または調整するために使用できる。
【0064】
本発明の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤を製造するための1つの方法は、銀を完成した液状剤へ添加する方法であり、銀を、固体、好ましくは微細分散形態で、および、銀の適当な溶媒における溶液、懸濁液または分散体としての両方で使用する。銀化合物ならびに銀化合物の溶液、懸濁液または分散体も、本発明により使用することができる。
【0065】
液状の洗浄または清浄剤は、常用かつ既知の方法および工程により製造される。例えば、洗浄または清浄剤の成分を単に攪拌容器中で混合でき、有用に、水、それぞれ存在するならば、酸成分(例えばアルキルアリールスルホネート、クエン酸、ホウ酸、ホスホン酸、脂肪アルコールエーテル硫酸塩など)および非イオン性界面活性剤をはじめに調製する。存在するならば、非水溶媒も好ましくはこの時点で添加するが、後の時点で添加することも可能である。非中和脂肪酸を次いで添加し、その後さらなる成分を、好ましくは数回に分けて添加する。
【0066】
液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤が、中和脂肪酸も含有するならば、界面活性剤および非水溶媒(存在するならば)の添加後に、(存在するならば水酸化アンモニウムを含む)塩基を調製し、次いで非中和脂肪酸を添加し、その後非中和脂肪酸の一部を50〜60℃で鹸かするのが有用である。その後さらなる成分を、好ましくは数回に分けて添加する。
【0067】
繊維柔軟剤形態における後処理剤の製造は、繊維柔軟剤製造技術における当業者によく知られる技術に従い達成できる。このことは、例えば、原材料を、任意に高せん断混合装置を用いて混合することにより行うことができる。カチオン性界面活性剤を溶かし、次いで、溶解物を溶媒(好ましくは水)中に分散させることを勧める。非中和脂肪酸を含むさらなる原料は、それらを繊維柔軟剤中に単に混合することにより、繊維柔軟剤中に配合することができる。
【0068】
全ての場合において、銀または銀化合物を最終工程で添加する。
【0069】
コロイドミル中で均一化することにより、または銀ワイヤーのアーク原子化により、洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤中に銀をコロイド的に生成することも、良好な選択であり得る。
【実施例】
【0070】
表1は、比較式V1の組成物および5つの本発明の洗浄または清浄剤E1〜E5の組成物(全ての量は、剤に基づく活性物質の重量%として示す)を示す。
【0071】
【表1】

【0072】
非中和脂肪酸および脂肪酸石鹸の濃度は、ミリスチン酸の8.15のpKa値(J.R. Kanicky, A.F. Poniatowski, N.R. Mehta, and D. Shah, Langmuir、Vol. 16、pp. 172-177、2000)を用い、ヘンダーソン・ハッセルバルヒの方程式を用いて決定した。
【0073】
洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤V1は、すでに示したように、製造後の数時間で、明らかな色調変化が生じた。その一方で、洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤E2〜E4は4週間後でさえもまだ透明な製剤であり、全く色調変化を示さなかった。洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤E6も、4週間後においてさえ、全く色調変化を示さなかったが、最初からわずかに濁った。洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤E1も、色調変化を示したが、洗浄または清浄剤V1の場合よりもずっと遅くかつよりわずかに生じた。
【0074】
表2に、さらなる6つの本発明の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤の組成物E6〜E11(全ての量は、剤に基づく活性物質の重量%として示す)を示す。
【0075】
【表2】

【0076】
洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤E6〜E11は、4週間後でさえ、まだ透明な製剤であり、全く色調変化がないか、あるいは、極めてわずかにのみ色調変化を示した。
【0077】
洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤E1〜E11は、グラム陽性試験細菌(黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌)および酵母(カンジダ・アルビカンス)の両方に対して、良好な効果を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)アニオン性、非イオン性、カチオン性および双性イオン性界面活性剤ならびにそれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤、2〜60重量%、
b)銀および/または銀化合物、
c)非中和脂肪酸、
d)および、洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤に常套の他の成分、
を含有する液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤。
【請求項2】
酢酸銀、クエン酸銀、銀ジアミノクロリド錯体、銀シクロデキストリン錯体、銀ジシアノカリウム錯体、銀フタルイミド、銀フェニルシアナミド、銀(エチレンチオ尿素)錯体、銀イミダゾレート、遷移金属-NHC−カリックス[4]アレーン錯体、銀クラウンエーテル、硝酸銀、およびそれらの混合物からなる群から選択される銀化合物を含有する、請求項1に記載の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤。
【請求項3】
銀および/または銀化合物の量が、洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤の全体に基づいて0.0001〜1重量%である、請求項1または2に記載の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤。
【請求項4】
非中和脂肪酸と元素銀および/または銀カチオンの量との割合が、8以上:1である、請求項1〜3のいずれかに記載の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤。
【請求項5】
非中和脂肪酸の量が、洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤の全体に基づいて、0.01〜10重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤。
【請求項6】
さらに、洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤の全体に基づいて0.01〜3重量%の水酸化アンモニウムを含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤。
【請求項7】
中和型および非中和型の脂肪酸を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤。
【請求項8】
0.5〜50重量%のカチオン性界面活性剤を含有する繊維柔軟剤として製造される、請求項1〜6のいずれかに記載の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤。
【請求項9】
a)2〜60重量%のアニオン性、非イオン性、カチオン性および双性イオン性界面活性剤ならびにそれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤、
b)銀および/または銀化合物、および、
c)さらに、洗浄および清浄剤に常套の成分、
を含有する液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤の製造方法であって、
洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤の全体に基づいて0.01〜10重量%の非中和脂肪酸を、さらに剤に添加する方法。
【請求項10】
銀を含有する液状の洗浄、清浄、後処理または補助的洗浄剤を安定化するための非中和脂肪酸の使用。

【公表番号】特表2012−509372(P2012−509372A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536803(P2011−536803)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063490
【国際公開番号】WO2010/057723
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】