説明

銀粒子の製造方法および銀粒子分散液

【課題】平均粒子径DTEMが3〜7nmと極めて微細であり、かつ液中分散性が極めて良好な銀粒子であって、特にインクジェット法による微細配線の描画に好適な銀粒子を提供する。
【解決手段】 不飽和結合を持つ分子量200以上の1級アミン(例えばオレイルアミン)を溶媒として銀化合物を溶解させる工程、この溶媒を95℃以上かつ前記銀化合物が熱分解しない温度域に加熱保持することにより、前記アミンに被覆された平均粒子径DTEM:3〜7nmの銀粒子を合成する工程、を有する銀粒子の製造方法。このようにして得られる銀粒子は、[粒子径の標準偏差σD]/DTEM×100で表されるCV値が15%以下の粒度分布を有し、DTEM/DXで表される単結晶化度は例えば2.0以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機物質に被覆された銀ナノ粒子であって、特に粒子径が極めて微細である銀粒子の製造方法、およびその銀粒子が分散した分散液に関する。なお、本明細書において「ナノ粒子」とは、粒子径が20nm程度以下のものを広く指す。
【背景技術】
【0002】
金属ナノ粒子は活性が高く、低温でも焼結が進むため、耐熱性の低い素材に対するパターニング材料として着目されて久しい。なかでも銀ナノ粒子は、銀の有する良好な導電性と耐食性を活かすことができ、微細配線形成用の素材として種々の用途への適用が期待されている。
【0003】
銀ナノ粒子の合成法としては気相法と液相法が知られている。気相法の例は特許文献1に開示がある。これはガス中での蒸着法により銀ナノ粒子を合成するものである。これによると粒子径10nm以下の銀粒子を得ることができる。しかし、粒径の揃った(すなわち粒度分布が良い)粉末を得ることは必ずしも容易ではない。銀インクを用いた微細配線の描画においては、粒度分布はできるだけ良好であることが望まれる。また、気相法を実施するには高真空が実現できる特殊な装置が必要であり、液相法に比べるとコストが高くなる。
【0004】
一方、液相法を用いた銀ナノ粒子の合成法として、本出願人は有機保護材存在下のアルコール中で銀化合物をアルコールによって還元する方法を特許文献2などに開示した。これによると粒度分布が良くかつ液中分散性に優れた銀ナノ粒子を製造することができる。その実施例1には平均粒子径DTEMが6.6nmの微細銀粒子を合成した実験例が示されている。しかし、この方法でDTEMが7nm以下のレベルの微細銀粒子を工業的に安定して製造することは実際には非常に難しい。すなわち、還元の効率を向上させるために反応温度を高くすれば析出した銀粒子が容易に焼結を起こして粒径20nmを超える粗大な粒子が生じやすい。また、還元補助剤を添加する手法を採用すると、還元反応の急激な進行による温度上昇や突沸が起こりやすく、やはり粗大な粒子が生じやすい。このようなことから平均粒子径を7nm程度以下に安定してコントロールすることは容易でない。発明者らの検討によると、引用文献2の方法で粒径コントロールが無理なく行えるのは、DTEMが9〜20nm程度の範囲であることがわかってきた。
【0005】
【特許文献1】特開2001−35255号公報
【特許文献4】特開2006−213955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明者らは多くの実験例により銀ナノ粒子の分散液を種々作成し、特性等を調査してきた。その結果、平均粒子径DTEMが9nm程度の場合、用途によっては分散液中での経時安定性(すなわち保存安定性)が不十分であるという問題が生じやすいことがわかった。この問題を解消するには、DTEMが7nm以下の銀粒子を安定して合成することのできる技術が必要となる。また、インクジェット法による微細配線の描画においては、今後、DTEMが6nm以下さらには5nm以下という極微細の銀粒子を安定して製造する技術の開発が望まれるところである。
本発明はこのようなニーズに対応しうる極微細の銀粒子を製造する技術を提供しようというものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らは種々検討の結果、本来、銀ナノ粒子の保護材として機能するアミンそのものにも、銀化合物を還元するだけの還元力があることを見出した。そして、このアミンの液中で直接銀化合物を還元すれば、析出した銀が粗大化しにくく、極微細の銀粒子を安定して合成できることが明らかになった。本発明はこのような知見に基づいて完成したものである。
【0008】
すなわち本発明では、不飽和結合を持つ分子量200以上の1級アミンを溶媒として銀化合物を溶解させる工程(溶解工程)、
この溶媒を95℃以上かつ前記銀化合物が熱分解しない温度域に加熱保持することにより、前記アミンに被覆された平均粒子径DTEM:3〜7nmの銀粒子を合成する工程(合成工程)、
を有する銀粒子の製造方法が提供される。上記の合成工程は、溶媒のアミンを還元剤として金属銀を析出させるとともに析出粒子の表面に溶媒のアミンからなる保護層を形成させるものである。溶媒のアミンとしてはオレイルアミン(C918=C917−NH2、分子量約267)が好適に使用できる。この場合は、加熱保持の温度域を95〜130℃の範囲で調整することが望ましい。
【0009】
ここでDTEMは、TEM(透過型電子顕微鏡)による粒子の観察画像から求まる平均粒子径であり、詳しくは後述の方法に従って求めることができる。
【0010】
上記の製造方法によって得られる銀粒子としては、不飽和結合を持つ分子量200以上の1級アミン(例えばオレイルアミン)に被覆された平均粒子径DTEM:3〜6.5nm好ましくは3〜5nmの銀粒子、あるいはX線結晶粒子径DX:1〜5nmの銀粒子が挙げられる。特に[粒子径の標準偏差σD]/DTEM×100で表されるCV値が15%以下の粒度分布を有する銀粒子が好ましく、さらにDTEM/DXで表される単結晶化度が2.0以下である銀粒子がより好ましい。本発明では、このような銀粒子が単分散した銀粒子分散液が提供される。
【0011】
ここで、「単分散」とは、液状媒体中に個々の銀粒子が互いに凝集することなく、独立して動ける状態で存在していることをいう。別の言い方をすれば、「銀粒子が単分散した液」は、銀粒子を含む液を遠心分離による固液分離操作に供したとき、銀粒子が分散したまま上澄み液中に留まるほど極めて分散性の良い銀粒子のみが分散している液である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、平均粒子径DTEMが7nm以下の銀粒子を安定して製造することが可能である。この銀粒子は液中分散性が極めて良好であり、その保存安定性(分散状態の維持性)にも優れる。また粒子径のバラツキが小さい。したがって本発明で提供される銀粒子はインクジェット法による微細配線描画の材料として好適である。また、粒子径が極めて小さい銀粒子が提供できることから、粒子合成後に保護材を低分子量のもの(すなわち低温焼結性の良好なもの)に付け替えた場合でも、インク中での沈降が効果的に抑制され、従来難しいとされていた「分散性」と「低温焼結性」の両立を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の銀粒子製造法では、有機保護材として機能するアミン自体によって、その中に溶解している銀化合物を直接還元する。分子量200以上の1級アミンを使用するが、その還元力はアルコールなどと比較すると弱い。また、還元反応によって析出した銀粒子の周囲には多量の保護材(すなわち溶媒であるアミン)が存在するので、析出した銀粒子の表面には速やかにアミンによる保護層(おそらく厚さは1分子層に近いと思われる)が形成されると考えられる。このため、アルコールで還元する従来法(特許文献2など)に比べ、銀粒子の合成は穏やかに進行し、急激な還元反応が生じて粒子が粗大化するといった要因が非常に少ない。このようなことから、本発明の銀粒子製造法は粒径の揃った極微細の銀ナノ粒子を合成しやすい方法である。
【0014】
「銀化合物を溶かす溶媒」、「還元剤」、「有機保護材」の3者の機能を併せ持つアミンとして、本発明では不飽和結合を持つ分子量200以上の1級アミンを使用する。分子量があまり小さいと、有機保護材として銀粒子を被覆したとき、液状媒体中でのいわゆる「浮き輪」としての能力が不足することがあり、その場合は極めて良好な液中分散性を実現し得る液状媒体の選択自由度が減少する。種々検討の結果、分子量200以上のものが適している。分子量が大きくなりすぎると、この有機保護材で被覆した銀粒子を成分とするインクで薄膜を描画し、これを焼成して導電膜を作るときに、有機保護材の揮発が生じにくくなるので、昨今要求が厳しくなっている「低温焼成」のニーズに十分応えられない場合がある。分子量は概ね400程度以下とすることが望ましい。
【0015】
この1級アミンは1個以上の不飽和結合を有していることが重要である。分子量が200以上と大きいアミンで不飽和結合を持たないものでは還元剤としての能力が不足するおそれがある。また有機保護材として見ると、不飽和結合の存在によって金属銀の表面からの脱離が起こりやすくなるので、「低温焼成」にとって有利となる。銀粒子表面の有機保護材を低温焼結性に優れる低分子量の化合物に付け替える場合にも、脱離が起こりやすいことは極めて有利である。
【0016】
このような1級アミンとして、例えばオレイルアミンが好適な対象として挙げられる。
【0017】
銀粒子を合成する際には、まず、上記の1級アミンに銀化合物を溶解させる。銀化合物は溶媒であるアミンに溶解しやすいものを選択する必要があるが、例えば硝酸銀が使いやすい。オレイルアミンは常温で液体であり、硝酸銀が良く溶けるので、その意味でも本発明に適している。銀化合物とアミン(溶媒)との配合比は、銀化合物が反応温度で溶解できる範囲で設定する必要があるが、アミン中における銀イオン濃度を概ね0.05〜5モル/Lの範囲とすればよい。工業的には1バッチで処理できる量を増やすためになるべく高い銀イオン濃度とすることが有効であるが、2モル/Lを超えると溶解液がゲル化してしまい、反応に適さないため、0.5〜2モル/L程度とするのがよい。
【0018】
還元反応を進行させるために、銀化合物が溶解したアミン液を加熱して昇温させる。発明者らの検討によると、常温では還元反応はほとんど進まない。ただし、444℃(無機化合物・錯体辞典より)を超えると硝酸銀が熱分解する恐れがあり、その場合、粒径の揃った銀粒子を合成することは困難である。オレイルアミンを例にとると、95℃未満では反応の進行速度が極めて遅く、実質的にほとんど反応が起こらないので、それ以上に温度を上げることが望まれる。種々検討の結果、反応温度によって合成される銀粒子の粒子径をコントロールすることが可能である。オレイルアミンの例では、反応温度を95〜160℃の範囲に設定することが望ましい。それより高温では合成される銀粒子が粗大化しやすい。95〜130℃とすることがより好ましい。特に100〜125℃の範囲で極めて微細な銀粒子を合成しやすい。
【0019】
反応中は液を撹拌することが望ましいが、撹拌の強さによっても合成される銀粒子の粒子径が変動するので注意を要する。還元反応が進行して銀粒子が析出するに伴い、液は褐色(または暗い黄色)に変化していく。反応時間は、通常1〜24時間の範囲で最適時間を設定することができる。
【0020】
反応終了後の液を遠心分離等により固液分離して、固形分を回収する。この固形分の中にアミンで被覆された銀粒子が主成分として含まれている。
【0021】
この銀粒子を抽出して、分散液を得るためには、まず、上記の回収された固形分を洗浄する。例えば、「固液分離された固形分にアルコールなどの溶媒を添加して、必要に応じて超音波分散させ、その後、遠心分離などで固液分離して固形分を回収する」、という洗浄操作を1回以上行う。次に、洗浄された固形分と液状媒体とを混合する。
【0022】
液状媒体としては、炭化水素系の有機媒体が好適に使用できる。例えば、イソオクタン、n−デカン、イソドデカン、イソヘキサン、n−ウンデカン、n−テトラデカン、n−ドデカン、トリデカン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、デカリン、テトラリン等の芳香族炭化水素等が使用できる。これらの物質を1種以上使用して液状媒体とすれば良い。
【0023】
微細配線描画用のインクを得るには、極めて分散性の良い粒子のみからなる分散液を作ることが望ましい。そのためには、「銀粒子を含む液状媒体を遠心分離によって固液分離し、粒子が分散したまま残っている状態の液(上澄み液)の方を回収する」、という操作を1回以上行う方法が有効である。これによって、遠心分離でも沈降しないような極めて分散性の良い銀粒子のみが分散した銀粒子分散液を得ることができる。本発明に従って得られた平均粒子径DTEMが3〜7nm、あるいは3〜5nmといった極微細粒子が分散している銀粒子分散液(上記の上澄み液に相当するもの)は、保存安定性にも極めて優れる。
【0024】
このような銀粒子分散液は、必要に応じて銀濃度や粘度を調整した後、微細配線描画用のインクとして利用することができるが、一方で、有機保護材をより低分子量の有機化合物(例えば炭素数が6〜12のアミン)に付け替えた後、インクとして使用することもできる。低分子量の有機化合物に付け替えた場合、焼成温度を一層低下させることが可能になると期待される。一般に、有機保護材の分子量が小さくなると低温焼成には有利となる反面、「浮き輪」としての能力が減少することにより液中分散性は低下するようになる。つまり、液中分散性と低温焼結性は、通常、トレードオフの関係にある。ところが本発明に従えば、平均粒子径DTEMが3〜7nm、あるいは3〜5nm(X線結晶粒子径で見ると、DXが例えば1〜5nm)といった極微細の銀ナノ粒子が合成されるので、これを使えば「浮き輪」の能力が小さくても高い分散性が維持できる。したがって、液中分散性と低温焼結性を高レベルで兼備したインクを作成することが可能になると期待される。
【0025】
本発明の銀粒子製造法によれば、粒子径の極めて小さい銀粒子が合成できることに加え、粒子径の揃った銀粒子が得られる。具体的には[粒子径の標準偏差σD]/DTEM×100で表されるCV値が15%以下の粒度分布を有するものを得ることも可能である。本発明で対象とする極微細の粒子径範囲で、このように粒子径が揃っていることは、インクジェット法に適した高性能のインクを得る上で非常に有効である。
【0026】
また本発明の銀粒子製造法によれば、DTEM/DXで表される単結晶化度が2.0以下である銀粒子が得られる。このことは、緻密な配線を形成して、かつ優れた耐マイグレーション性を付与する上で非常に有効である。単結晶化度が大きくなると結晶粒界に不純物を含みやすくなる。この不純物は焼成時にポアを生じる原因となり、緻密な配線を得る上で障害となる。また不純物は耐マイグレーション性を阻害する要因となる。
【実施例】
【0027】
《実施例1》
オレイルアミン(和光純薬株式会社製、分子量=267)239.9gと、硝酸銀結晶(関東化学株式会社製)49.8gを混合し、マグネットスターラーにて撹拌してオレイルアミン中に硝酸銀を完全に溶解させた。この溶液における銀イオン濃度は1.0モル/Lである。
【0028】
この溶液を還流器のついた容器に移してマントルヒーターに載せ、容器内に不活性ガスとして窒素ガスを500mL/minの流量で吹込みながら、液を撹拌機により100rpmの回転速度で撹拌しながら加熱した。その際、昇温速度を0.5℃/minとして115℃まで昇温させた。昇温後、上記の撹拌を継続し、環流を行いなから保持温度115℃で5時間保持した。その後、加熱を止め、液温が常温付近まで低下したのち、反応後の液(スラリー)を3000rpm30分の遠心分離により固液分離し、上澄みを廃棄して固形分を回収した。
【0029】
その後、「固液分離された固形分にメタノールを加えて超音波分散させたのち、3000rpm30分の遠心分離により固液分離して固形分を回収する」、という洗浄操作を3回行った。次いで、洗浄後の固形分に液状媒体としてn−テトラデカンを加えて超音波分散させたのち、3000rpm30分の遠心分離により固液分離して、ここでは液(上澄み液)を回収した。この液中にはオレイルアミンに被覆された分散性の良い銀粒子が存在している。この液(銀粒子分散液)を試料液とした。なお、遠心分離はいずれも日立工機製CF7D2を用いて行った。
【0030】
試料液についてTEM観察を行い、平均粒子径DTEM、粒子径の標準偏差σDを求め、CV値を算出した。また、X線結晶粒子径DXを求めた。その方法は以下のとおりである。
【0031】
〔平均粒子径DTEM、CV値〕
TEM(日本電子株式会社製JEM−2010)により倍率60万倍で観察される銀粒子のうち、重なっていない独立した300個の銀粒子を無作為に選択して、粒子径(画像上での長径)を計測した。個々の粒子についての粒子径を算術平均することにより平均粒子径DTEMを求めた。また、そのときの個々の粒子の粒子径について標準偏差σDを計算した。CV=σD/DTEM×100によりCV値を算出した。
【0032】
〔X線結晶粒子径DX
銀粒子が分散した試料液にアセトンを体積で3倍量添加し、上記遠心分離機を用いて3000rpm30分遠心分離を実施する。これにより試料液中の粒子が沈降する。沈降した粒子を、ガラス製セルに塗り、X線回折装置にセットし、Ag(111)面の回折ピークを用いて、下記(1)式に示すScherrerの式によりX線結晶粒径DXを求めた。X線にはCu−Kαを用いた。
X=K・λ/(β・cosθ) ……(1)
ただし、KはScherrer定数で、0.94を採用した。λはCu−Kα線のX線波長、βは上記回折ピークの半価幅、θは回折線のブラッグ角である。
【0033】
測定の結果、銀粒子分散液中に分散している銀粒子の平均結晶粒径DTEMは4.95nm、CV値は3.0%、X線結晶粒子径DXは3.04nmであった。DTEM/DXで表される単結晶化度は1.63となる。図1a、図1bに、この銀粒子のTEM写真を例示する。
【0034】
《実施例2》
実施例1において、オレイルアミンの仕込量を165.6g、硝酸銀結晶の仕込量を20.6gとし、保持温度を115℃から108℃に変更したことを除き、実施例1と同様の操作で実験を行った。硝酸銀が溶解した初期の溶液における銀イオン濃度は0.6モル/Lである。
【0035】
測定の結果、銀粒子分散液中に分散している銀粒子の平均結晶粒径DTEMは6.49nm、CV値は12.6%、X線結晶粒子径DXは4.82nmであった。DTEM/DXで表される単結晶化度は1.35となる。図2a、図2bに、この銀粒子のTEM写真を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1a】実施例1で得られた銀粒子のTEM写真。
【図1b】実施例1で得られた銀粒子のTEM写真(図1aの拡大)。
【図2a】実施例2で得られた銀粒子のTEM写真。
【図2b】実施例2で得られた銀粒子のTEM写真(図2aの拡大)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不飽和結合を持つ分子量200以上の1級アミンを溶媒として銀化合物を溶解させる工程、
この溶媒を95℃以上かつ前記銀化合物が熱分解しない温度域に加熱保持することにより、前記アミンに被覆された平均粒子径DTEM:3〜7nmの銀粒子を合成する工程、
を有する銀粒子の製造方法。
【請求項2】
不飽和結合を持つ分子量200以上の1級アミンを溶媒として銀化合物を溶解させる工程、
この溶媒を95℃以上かつ前記銀化合物が熱分解しない温度域に加熱保持することにより、溶媒のアミンを還元剤として金属銀を析出させるとともに析出粒子の表面に溶媒のアミンからなる保護層を形成させ、前記アミンに被覆された平均粒子径DTEM:3〜7nmの銀粒子を合成する工程、
を有する銀粒子の製造方法。
【請求項3】
前記1級アミンがオレイルアミンであり、前記加熱保持の温度域を95〜130℃とする請求項1または2に記載の銀粒子の製造方法。
【請求項4】
不飽和結合を持つ分子量200以上の1級アミンに被覆された平均粒子径DTEM:3〜6.5nmの銀粒子が単分散した銀粒子分散液。
【請求項5】
不飽和結合を持つ分子量200以上の1級アミンに被覆された平均粒子径DTEM:3〜5nmの銀粒子が単分散した銀粒子分散液。
【請求項6】
不飽和結合を持つ分子量200以上の1級アミンに被覆されたX線結晶粒子径DX:1〜5nmの銀粒子が単分散した銀粒子分散液。
【請求項7】
不飽和結合を持つ分子量200以上の1級アミンに被覆された平均粒子径DTEM:3〜5nm、X線結晶粒子径DX:1〜5nmの銀粒子が単分散した銀粒子分散液。
【請求項8】
銀粒子が[粒子径の標準偏差σD]/DTEM×100で表されるCV値が15%以下の粒度分布を有するものである請求項4〜7のいずれかに記載の銀粒子分散液。
【請求項9】
TEM/DXで表される単結晶化度が2.0以下である請求項6〜8のいずれかに記載の銀粒子分散液。
【請求項10】
前記1級アミンはオレイルアミンである請求項4〜9のいずれかに記載の銀粒子分散液。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【公開番号】特開2009−68053(P2009−68053A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236037(P2007−236037)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(506334182)DOWAエレクトロニクス株式会社 (336)
【Fターム(参考)】