銀行券検証装置
本発明は、銀行券の読み取り/認証を行う装置の技術分野に関する。また、本発明は、異なる銀行券金種を特定する手持ち式装置、特に視覚障害者が利用可能なものにも関する。本発明は、従来技術の欠点を回避する銀行券検証機を提供することを目的とする。また、本発明による検証機は、適切な紫外光照明下で固有色発光で輝くように動作可能なマーキング(例えば、保護対象書類に印刷された発光性のインクまたは模様、発光性のセキュリティスレッドまたは帯のようなもの)を含む保護対象書類の検証に用いられてもよい。本発明はさらに、適切な紫外光照明下で金種に従って固有色発光で輝くように動作可能なマーキングを含む検査ゾーンを有する銀行券の金種を特定する方法を記載している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行券の読み取り/認証を行う装置の技術分野に関する。また、本発明は、異なる銀行券金種を特定する手持ち式装置、特に視覚障害者が利用可能なものにも関する。
【背景技術】
【0002】
通貨の固有のマーキングの光学特性または紙自体の光学特性は、しばしば偽造を阻止するために利用される。例えば、(一般には市販されていない)高品質な非蛍光性の紙が多くの通貨に用いられていることはよく知られている。この特徴により、従来のコピー用紙を用いて銀行券をコピーすることで得られる偽造を単純に検出することができる。なぜならば、こうした紙は、(紫外光を吸収して可視領域の高い波長で発光する)光学的光沢剤の存在により、紫外光照明下で蛍光を発するからである。他にも多くの種類のマーキングが当技術分野で知られている。例えば、銀行券に印刷された発光性のインクまたは模様、帯(strip)または(場合により発光性の)セキュリティスレッド、赤外吸収インクによるマーキング等である。
【0003】
他の例示的かつ非限定的な例としては、紫外光に暴露した時に明るい二次発光を有するふぞろいの点を含むカナダ通貨、または同じく紫外光に暴露した時に明るい二次発光を有する固有の小さな特徴を有するペルー通貨がある。
【0004】
銀行券検証機は、銀行券を走査してその金種を決定および/または銀行券を認証するのに広く用いられており、これは例えば、以下の特許、すなわち米国特許第5,640,463号明細書(特許文献1)、米国特許第5,960,103号明細書(特許文献2)、米国特許第7,378,665(B2)号明細書(特許文献3)、米国特許第7,550,736(B2)号明細書(特許文献4)、および欧州特許第1471472(B1)号明細書(特許文献5)、または特許出願である英国特許出願公開第2355522(A)号明細書(特許文献6)に開示された銀行券検証機で説明されている通りである。
【0005】
典型的には、これらの銀行券検証機は、適切な光(例えば紫外光、白色光、または赤外光)による照明下で、いくつかの通貨に関わる銀行券の反射特性および/または透過特性を用い、その銀行券によって反射および/または透過された光の強度、強度閾値、または強度比を、真正な銀行券についてのいくつかの対応する基準値と比較することによって、金種を決定し、または真正性を確認する。
【0006】
また、銀行券上または銀行券内部の蛍光体および/または燐光体(すなわち発光体)の存在をさらに検出できたり、対応する発光強度の計測までできたりする銀行券検証機もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,640,463号明細書
【特許文献2】米国特許第5,960,103号明細書
【特許文献3】米国特許第7,378,665(B2)号明細書
【特許文献4】米国特許第7,550,736(B2)号明細書
【特許文献5】欧州特許第1471472(B1)号明細書
【特許文献6】英国特許出願公開第2355522(A)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、反射強度もしくは透過強度、または発光強度を利用するには、別々の超短パルス光源(intense pulsed light source)(高輝度発光ダイオードのようなもの)、および反射/透過した光を焦点に集めて良好な信号対雑音比で計測データを得るように構成されたレンズを有する必要がある。このため、検証機の走査ヘッドの小型化がより困難になり、そのコストが、特に手持ち式検証機の場合に増えてしまう。さらに、単なる反射強度または透過強度の利用では、必ずしもいくつかの金種を識別したり偽造銀行券を識別したりできるとは限らない。例えば、高レベルの紫外光を全体的な蛍光のない状態で反射する真正な米国通貨では、これらの特性を有する偽造通貨を識別することが不可能である。
【0009】
銀行券検証機によっては、さまざまな金種をよりよく識別するために、銀行券の所与の場所における、銀行券の固有のマーキングの撮像、または磁性インクもしくは導電性を持つマーキング(例えば、銀行券に印刷された固有の模様、帯もしくはセキュリティスレッド、または印刷された物のない部分)の検出を利用するものもある。しかし、マーキングの位置は通常、金種やシリーズごとに変わるので、これらの検証機は、横と縦を区別して銀行券通路の中の通り道に沿って銀行券を搬送するためのさらなる手段を用いる必要があり、そうした手段は、マーキングの特性を正確に発見、検出するために、走査動作中に通路中の銀行券の位置を計測する制御手段およびセンサを含む。これは、通路内の銀行券の挿入の方向および/または側にかかわらずこうした検査を行わなければならない場合に、さらに複雑になる。銀行券を搬送するこのさらなる手段は、検証機の走査ヘッドの小型化にとって好ましくない上に、(例えば視覚障害者のような)ユーザが用いる手持ち式の機器には適さない。それに、こうしたユーザは、銀行券を持ったまま、検証機に銀行券を挿入して単純に通すことによって走査動作を行うほうを好むであろう。
【0010】
このようなわけで、通貨の金種を完全に識別し、それらの金種を確実に認証することのできる、手持ち式装置とすることさえ可能な、頑健な銀行券検証機が明らかに必要である。特に、視覚障害者用に構成されたそのような手持ち式の銀行券検証機が必要であるが、これは、最近発表された、米国財務省の内局である造幣局(Bureau of Engraving and Printing、BEP)のためのARINC Engineering services社による報告(Final Report, "Study to Address Options for Enabling the Blind and Visually Impaired Community to Denominate U.S. Currency, Contract S08-00156", July 2009)から明らかである。
【0011】
本発明は、従来技術の上記欠点を回避する銀行券検証機を提供することを目的とする。また、本発明による検証機は、適切な紫外光照明下で固有色発光で輝くように動作可能なマーキング(例えば、保護対象書類に印刷された発光性のインクまたは模様、発光性のセキュリティスレッドまたは帯のようなもの)を含む保護対象書類の検証に用いられてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のある態様によれば、適切な紫外光照明下で金種に従って固有色発光で輝くように動作可能なマーキングを含む検査ゾーンを有する銀行券の金種を特定する銀行券検証機は、
銀行券通路が設けられた筐体と、
第1の波長範囲の紫外光で通路において銀行券の検査ゾーンの一方の側を照射するように動作可能な第1の紫外光源、および検査ゾーンを透過した、または検査ゾーンから反射した、対応する第1の励起発光光を受けるように動作可能な第1のカラーセンサと、
第1の波長範囲とは異なる第2の波長範囲の紫外光で銀行券の検査ゾーンの一方の側を照射するように動作可能な第2の紫外光源、および検査ゾーンを透過した、または検査ゾーンから反射した、対応する第2の励起発光光を受けるように動作可能な第2のカラーセンサと、
銀行券の金種を示すように動作可能な伝達手段と、
第1および第2の紫外光源、第1および第2のカラーセンサ、ならびに伝達手段を制御するように動作可能で、メモリを備える処理手段と
を備え、処理手段は、
第1のカラーセンサから受け取った第1の信号から第1の励起発光光の第1の色値を決定し、
第2のカラーセンサから受け取った第2の信号から第2の励起発光光の第2の色値を決定し、
決定された色値を、第1および第2の波長範囲の紫外光下の発光について、異なる金種に対応する格納された異なる基準色値とそれぞれ比較して、決定された色値が基準色値と一致した場合には、銀行券の金種が基準色値と関連付けられた金種に該当すると決定し、
決定された金種を示すように伝達手段を制御する
ようにさらに動作可能である。
【0013】
上記従来技術とは対照的に、本発明による銀行券検証機は、カラーセンサ、すなわち、蛍光強度だけを計測する単なる蛍光センサではなく、検出された励起発光光の平均波長および振幅の両方を測定できる、(ある波長範囲内のみの蛍光を受ける)フィルタを装備したフォトダイオードを用いる。まさしくこれが、励起光の波長の関数である、信号の色の部分であり、それを用いて励起発光光の(上記の平均波長および振幅に対応する)色値が決定される。カラーセンサは、必ずしも分光光度計のような高価な部品である必要はなく、例えば単純で安価なRGBフォトダイオードでよい。
【0014】
計測された発光色値を、真正な異なる金種に対応する基準色値との比較に用いることは、所与の通貨のさまざまな金種の特徴をより正確かつ微細に表すことを可能にするとともに、認証検査にもなる。従って、このようなカラーセンサを用いることにより、銀行券の金種の決定/認証の信頼性が、より伝統的な反射計測および/または透過計測または蛍光強度計測に対して明らかに向上する。また、少なくとも2つの紫外励起光源を用い、2つの異なる励起波長範囲内で発光して、2つの発光色値を得ることにより、通貨のさまざまな金種の識別もさらに向上する。
【0015】
さらに、銀行券検証機の電源を入れて、通路を通される銀行券の照明を行えば、銀行券上の発光マーキングがセンサを横切るとすぐに、(センサの波長範囲外の光波長を遮断する波長フィルタのおかげで)カラーセンサにより発光信号が検出されて、対応する発光色値が非常に短時間(典型的にはおよそ1msから10ms)のうちに決定される。その結果、上記の搬送手段および通路内におけるマーキングの位置を決定する手段が不必要であり、色値の決定は発光信号の検出が直接の引き金となって行われる。これにより、検証機がより安価になり、小型化しやすくなる。
【0016】
本発明による上記の銀行券検証機の実施の形態では、伝達手段が、銀行券が特定されないことを示すようにさらに動作可能であり、決定された色値が格納された基準色値のいずれとも一致しないと処理手段が判定した場合に、処理手段が、銀行券の金種が特定されないことを示すように伝達手段を制御するようにさらに動作可能である。
【0017】
適切な紫外照明下での減衰の存在(マーキング中の燐光体による)は、偽造するのが困難なセキュリティ特徴であり、さらなる識別検査になる。
【0018】
従って、本発明の銀行券処理機は、
銀行券を照明し、銀行券の照明を中断し、対応する励起発光光の減衰を検出するように、第1の紫外光源および第1のカラーセンサ、または第2の紫外光源および第2のカラーセンサを制御し、
金種が検出された減衰にさらに適合する場合に限り金種を示すように伝達手段を制御する
ようにさらに動作可能な処理手段を有してよい。
【0019】
適切な紫外照明下で減衰が存在する場合は、(金種に依存する)減衰時間値を計測して真正な金種に関する基準値と比較すれば、向上した識別および/または認証が得られる。
【0020】
従って、上記の銀行券検証機は、
銀行券を照明し、銀行券の照明を中断し、励起発光光の減衰時間値を計測するように、第1の紫外光源および第1のカラーセンサ、または第2の紫外光源および第2のカラーセンサを制御し、
計測された減衰時間値を、異なる金種に対応する格納された異なる基準減衰時間値と比較し、
決定された色値が基準色値と一致した場合には、計測された減衰時間値が金種に対応する基準減衰時間値とさらに一致する場合に限り、銀行券の金種が基準色値と関連付けられた金種に該当すると決定する
ようにさらに動作可能である処理手段を有してよい。
【0021】
紫外照明下で銀行券全体にわたって支配的な青色を露呈する光学的光沢剤を含有する紙の利用に関する偽造を検出するため、本発明による銀行券検証機は、
通路を通過した検査ゾーンの複数の部分から放出された光に対応する第1または第2のカラーセンサから受け取った信号から決定された色値に基づいて、支配的な青色の存在を検出するように、第1の光源および第1のカラーセンサ、または第2の光源および第2のカラーセンサを制御し、
支配的な青色の存在が検出された場合に、銀行券が有効でないことを示すように伝達手段を制御する
ようにさらに動作可能である処理手段を有してよい。
【0022】
さらに、ハイライトマーカーペンインクの使用に基づく偽造は、頻繁に起こるので、検出しなければならない。こうしたハイライトマーカーペンインクは、青色光照明下で蛍光を発する特性を有する。
【0023】
従って、上記の銀行券検証機は、
青色光成分を有する第3の光で通路において銀行券の検査ゾーンの一方の側を照射するように動作可能な第3の光源、および検査ゾーンを透過した、または検査ゾーンから反射した、対応する第3の励起発光光を受けるように動作可能な第3のカラーセンサ
をさらに備えてよく、ここで処理手段は、
通路を通過した検査ゾーンの複数の部分から第3の光の照明に応じて放出された光に対応する第3のカラーセンサから受け取った信号から決定された検査ゾーン発光色値に基づいて、対応する発光色の存在を検出するように、第3の光源および第3のカラーセンサを制御し、
対応する発光色の存在が検出された場合に、銀行券が有効でないことを示すように伝達手段を制御する
ようにさらに動作可能である。
【0024】
上記の第3の光源は、例えば白色光源であってよい。実際、放出される第3の光が実質的に青色の光成分を含めば十分である。
【0025】
好ましくは、本発明の銀行券検証機において、実施の形態に応じて、第1、第2、および第3の光源のうちの少なくとも1つが発光ダイオード(LED)であってよい。これにより、検証機の小型化がより容易になる。さらに、現在は、放出された光を1点に合焦させるレンズが直付けされたLEDが入手可能である。
【0026】
好ましくは、カラーセンサのうちの少なくとも1つがRGBフォトダイオードであってよく、あるいは、実施の形態によっては、同一のRGBフォトダイオードが第1、第2、および第3のカラーセンサのいずれとしても働いてよい。この構成により、検証機のコストおよび消費量が低減され、また検証機の寸法を小さくすることもできる。
【0027】
本発明による銀行券検証機は、上記の任意の実施の形態において、銀行券の縦または横に対応する走査方向に沿った銀行券の移動を可能にするように構成された通路をさらに有してよく、光源のうちの2つおよび対応するカラーセンサが、異なっていて、走査方向に対してほぼ直角な方向に整列しており(または走査方向に沿って整列しておらず)、処理手段が、光源のそれぞれに関して走査方向に沿ったカラープロファイルを決定するように2つの光源および対応するカラーセンサを制御し、決定されたカラープロファイルを異なる金種に対応する格納された異なる基準カラープロファイルと比較し、決定されたカラープロファイルが基準カラープロファイルと一致した場合には、銀行券の金種が基準カラープロファイルと関連付けられた金種に該当すると決定するようにさらに動作可能である。
【0028】
上記の構成では、銀行券検証機は、銀行券が通路を移動させられる間に、銀行券の縦または横に沿って少なくとも2つのカラープロファイルを決定することができる。従って、検証機が上記の第3の光源および第3のカラーセンサを含み、3つの光源および対応する3つのカラーセンサが走査方向に整列していない場合は、最大3つのカラープロファイルを決定することができる(例えば、これらの光源およびカラーセンサは、走査方向に対して直角の方向に直線配列の光源および対応する直線配列のセンサを構成してよい)。これらの計測されたカラープロファイルを真正な金種の基準カラープロファイルと比較することにより、金種の決定および/または認証が一層確実になる。これらのカラープロファイルが透過カラープロファイルである場合は特にそうである。さらに、第3の光源が白色光源で第3のカラーセンサがRGBフォトダイオードの場合は、対応するカラープロファイルがより豊かになり、従ってより一層識別しやすくなる(これは、計測されるRGBカラープロファイルが3次元だからである)。
【0029】
本発明による検証機によってもたらされる小型化の可能性のため、上記の任意の実施の形態は手持ち式の銀行券検証機に相当し得る。
【0030】
本発明の別の態様は、添付の請求の範囲に示されたように銀行券の金種を特定する方法に関し、また上記の銀行券検証機の実施の形態に対応する方法に関する。
【0031】
特に、本発明は、以下の方法、すなわち適切な紫外光照明下で金種に従って固有色発光で輝くように動作可能なマーキングを含む検査ゾーンを有する銀行券の金種を特定する方法であって、
第1の紫外光源を用いて第1の波長範囲の紫外光で銀行券の検査ゾーンの一方の側を照射し、対応する第1の励起発光光の第1の色値を、検査ゾーンを透過した、または検査ゾーンから反射した第1の励起発光光を受けるように動作可能な第1のカラーセンサからの第1の信号を用いて決定するステップと、
第2の紫外光源を用いて、第1の波長範囲とは異なる第2の波長範囲の紫外光で銀行券の検査ゾーンの一方の側を照射し、対応する第2の励起発光光の第2の色値を、検査ゾーンを透過した、または検査ゾーンから反射した第2の励起発光光を受けるように動作可能な第2のカラーセンサからの第2の信号を用いて決定するステップと、
処理手段を含む制御ユニットにより、決定された色値を、第1および第2の波長範囲の紫外光下の発光について、処理手段のメモリに格納された、異なる金種に対応する所与の異なる基準色値とそれぞれ比較して、決定された色値が基準色値と一致した場合には、銀行券の金種が基準色値と関連付けられた金種に該当すると決定するステップと、
決定された金種を示すように伝達手段を制御するステップと
を含む方法にも関する。
【0032】
以下、本発明について、添付の図面を参照してさらに十分に説明する。図面では、同一の番号がそれら別々の図を通して同一の要素を表し、また本発明の顕著な態様および特徴が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明による手持ち式銀行券検証機の上面図を示す。
【図2A】図2Aは、本発明による手持ち式銀行券検証機の斜視図を示す。
【図2B】図2Bは、図1の手持ち式銀行券検証機の部分破断斜視図を示す。
【図3A】図3Aは、図1〜2の銀行券検証機の破断側面図を示す。
【図3B】図3Bは、図1〜2の銀行券検証機の破断側面図を示す。
【図4A】図4Aは、図3の銀行券検証機の破断斜視図を示す。
【図4B】図4Bは、図3の銀行券検証機の破断斜視図を示す。
【図5A】図5Aは、図1〜4の銀行券検証機の光源およびカラーセンサの断面図を示す。
【図5B】図5Bは、図1〜4の銀行券検証機の光源およびカラーセンサの断面図を示す。
【図6】図6は、図1〜5の銀行券検証機で金種を特定する方法の実施の形態を説明するフローチャート図である。
【図7】図7は、本発明による手持ち式銀行券検証機のさまざまな図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明による銀行券検証機の実施の形態を図1に示す。同図は、ユーザが保持する手持ち式銀行券検証機の上面図を示しており、10ドルの金種の米国通貨を、ユーザがクリップ型(U字形)を有する銀行券通路に挿入したところである。ただし、本発明は手持ち式装置に限定されない。
【0035】
以下の詳細な説明において、我々は単に例示を目的として米国通貨を用いる。この通貨は、適切な紫外光照明下で金種に従って固有色発光で輝くように動作可能なマーキング(ここでは、銀行券の金種に応じて異なる位置に配置された発光セキュリティスレッド)を含む検査ゾーンを有する通貨の一例である。実際、米国通貨は、紫外光暴露に対する全体的な最小限の反応に加えて、適切な紫外光暴露下で異なる波長での二次発光により光を放出する、各金種用のセキュリティスレッド(マーキング)を有する。これらのセキュリティスレッドは、適切な紫外光に暴露された時に、金種に応じて以下の特有の蛍光色を有する(1996年のシリーズで初めて実施されたこの特徴は、ほとんどの流通銀行券に存在する)。
・5ドルの金種では青色
・10ドルの金種では橙色
・20ドルの金種では緑色
・50ドルの金種では黄色
・100ドルの金種では赤色
【0036】
これに加えて、100ドルと10ドルの新シリーズにおけるセキュリティスレッドは、紫外光暴露下で特有の減衰特性をさらに有する。
【0037】
しかしながら、固有の発光マーキングを有する他の通貨を本発明の対象として考慮してもよい(もちろん、そのマーキングを露呈させるには、光源および対応するカラーセンサを固有の波長値に合わせなければならない)。
【0038】
本発明による銀行券検証機の以下の例示的かつ詳細な実施の形態では、光源としてLEDが用いられ、カラーセンサとしてRGBフォトダイオードが用いられる。さらに、コンパクトさの理由から、カラーセンサは、通路内で銀行券を透過した光を検出するのに適した構成で用いられる。しかしながら、(考慮対象の光源および対応するカラーセンサの対により)反射のみ、または反射および透過で検出するように光源およびカラーセンサを構成することもまた(当業者によく知られるように)可能であるが、ここには示さない。
【0039】
図1および図2に示した銀行券検証機(10)は、通路(12)を有し、通路(12)は、クリップ形で、ユーザが容易にボタン(13)を押して電源のスイッチを入れられると同時に検査対象の銀行券(11)を通路に挿入して動かせる挿入口が付いている。このU字形クリップの上側の分岐(14)はカラーセンサ(22)を収容し、カラーセンサ(22)は、ここではRGBフォトダイオードであり、クリップの下側の分岐(15)は、銀行券(11)を照明する光源(17〜19)を収容する。銀行券(11)は、銀行券の横方向に沿って配置されたセキュリティスレッドを有する(これは米国通貨のすべての金種の場合と同様である)。
【0040】
図3Aおよび図3Bに示すように、CPUおよびメモリを含む制御ユニット(20)が、電池収納部(21)の電池によって電源供給され、スイッチ(13)、カラーセンサ(22)、および光源(17〜19)に接続されている。この制御ユニット(20)は、ユーザがスイッチのボタン(13)を押している間、銀行券(11)を照明するようにカラーセンサと光源とを制御して同期させ、上側の分岐(14)の(デジタル信号をCPUに送るA/D変換器に接続された)増幅器(16)により銀行券からカラーセンサ(22)へと透過した対応する光の存在を検出して、色値を決定する。色検出を透過で行うことが反射に対して有利な点は、計測が銀行券の向きに依存しないことである。
【0041】
本発明による検証機の実施の形態のこの例では、光源は、
・370nm(50%で±5nm)のピーク発光波長(米国通貨に合わせてある)を有し、放出された光をRGBフォトダイオード(22)に集中させる半球形のサファイアレンズをさらに備える紫外発光LEDである第1の紫外光源(17)と、
・390nm(50%で±5nm)のピーク発光波長(米国通貨に合わせてある)を有し、放出された光をRGBフォトダイオード(22)に集中させる半球形のサファイアレンズをさらに備える紫外発光LEDである第2の紫外光源(18)と、
・410nm(50%で±5nm)のピーク発光波長を有し、放出された光をRGBフォトダイオード(22)に集中させる半球形のサファイアレンズもさらに備える青色発光LEDである第3の光源(19)と
で構成される。
【0042】
RGBフォトダイオード(22)(ここでは浜松のSiフォトダイオードS10170)は、RGBカラーフィルタが装備され、ピーク波長が720nm(50%で±112nm)の赤色光、ピーク波長が544nm(50%で±34nm)の緑色光、およびピーク波長が468nm(50%で±40nm)の青色光を検出するように動作可能である。
【0043】
制御ユニット(20)は、
・第1の光源(17)による銀行券(11)の照明に応じてカラーセンサ(22)から受け取った第1の信号から、セキュリティスレッドによって放出された第1の励起発光光の第1の色値を決定し、
・第2の光源(18)による銀行券(11)の照明に応じてカラーセンサ(22)から受け取った第2の信号から、セキュリティスレッドによって放出された第2の励起発光光の第2の色値を決定し、そして
・決定された色値を、異なる真正な金種に対応する格納された異なる基準色値と比較して、決定された色値が基準色値と一致した場合には、銀行券(11)の金種が基準色値と関連付けられた金種に該当すると決定し、
・決定された金種を示すように伝達手段を制御する
ように動作可能である。
【0044】
上記の伝達手段(図示しない)は、例えば、
・(異なる金種のための)異なる色のLED、またはディスプレイ、のように視覚的であってもよいし、あるいは、
・音声手段、または符号化されたノイズもしくは振動の放出に基づいたもの、または(点字符号のような)触覚的なもの、のように非視覚的であってもよい。これらの非視覚的手段は、視覚障害のあるユーザに合わせたものである。
【0045】
さらに、制御ユニット(20)は、
・第1の光源もしくは第2の光源のいずれかで、または両方の光源で銀行券(11)を照明し、
・次に、銀行券の照明を中断し、所与の時間(典型的にはおよそ1msないし10ms)にわたって、この時間にわたりカラーセンサで連続計測を行うことにより、カラーセンサ(22)でセキュリティスレッドからの励起発光(燐光)光の減衰時間値を計測し、
・計測された減衰時間値を、メモリに格納された、真正な異なる金種に対応する異なる基準減衰時間値と比較し、
・決定された色値が基準色値と一致した場合には、計測された減衰時間値があらかじめ定められた金種に対応する基準減衰時間値とさらに一致する場合に限り(すなわち、色値の一致に基づいて)、(上に示したように)銀行券の金種が基準色値と関連付けられた金種に該当すると判定する
ように、第1の紫外光源(17)および第2の紫外光源(18)、ならびにカラーセンサ(22)を制御するようにさらに動作可能である。そして、決定された金種を伝達手段が示す。
【0046】
実際には、第1の光源(17)または第2の光源(18)により、カラーセンサ(22)を用いて、
・セキュリティスレッドの発光色と、
・光学的光沢剤は、(セキュリティスレッドの場合は部分的であるのと違って)銀行券全体にわたって放出される支配的な青色を露呈するので、紙の中の光学的光沢剤の存在と、
・ハイライトマーカーペンインクのような材料は第1の光の照明下だけでなく第3の光の照明下でも輝くので、第3の光源の照明を合わせて考えた場合は、ハイライトマーカーペンインクの存在と、
・10ドルおよび100ドル(新シリーズ)のセキュリティスレッドにおける発光の減衰と
を検出することが可能である。
【0047】
第3の光源(19)により、カラーセンサ(22)を用いて、放出された第3の光によって励起されてハイライトマーカーペンインクから届く発光を検出することと、第3の光の暴露下でのセキュリティスレッドの非発光を確かめることとが可能である。
【0048】
第1(17)および第2(18)の光源を用いることにより、古いシリーズの10ドルと50ドルとをさらに識別することができる。実際、第1の光源の光(17)のみによる370nmでの照明下では、古いシリーズの10ドルおよび50ドルの金種それぞれのセキュリティスレッドは、黄色で蛍光を発して輝く。第2の光源の光(18)による390nmでの照明下では、10ドル(古いシリーズ)のセキュリティスレッドは橙色で輝くが、50ドル(古いシリーズ)のセキュリティスレッドは、引き続き黄色で輝く。
【0049】
図6は、銀行券検証機(10)が動作する様子を説明するフローチャート図である。ユーザが、検証機のスイッチを入れ(て照明および検出手段に電源を供給す)るためにボタン(13)を押しながら、銀行券(11)を通路(12)に挿入して前方に送る。そこで制御ユニットが、カラーセンサ(22)を用いた照明閾値の検出により銀行券の存在を検出する。第1の光源(17)が通路内を移動する銀行券(11)を照明し、セキュリティスレッドがカラーセンサ(22)の前を通過する時に(これにより銀行券上の検出のための検査ゾーンの範囲が定まる)、セキュリティスレッドが照明下で輝いて、カラーセンサ(22)が、銀行券を透過した第1の励起発光光から対応する第1の色値を決定する。次に、制御ユニットが第1の色値を基準色値と比較して一致するか確認する。次に、第2の光源(18)のスイッチが入り、銀行券がさらに照明される。そして、カラーセンサ(22)が、銀行券を透過した第2の励起発光光から対応する第2の色値を決定し、制御ユニットが第2の色値を基準色値と比較して一致するか確認する。十分な時間がたってセキュリティスレッドからの燐光放出による減衰を検出できた後(典型的にはおよそ1ms)、光源(17)および光源(18)のスイッチが切れてセキュリティスレッドの照明が中断される。そこでカラーセンサ(22)が、セキュリティスレッドから受けた発光光の減衰を検出する。制御ユニットは、銀行券の金種を決定するか、またはそれが有効でないことを決定し、それに応じて伝達手段を制御する。
【0050】
第3の光源(19)は、第3の光によるセキュリティスレッドの照明で生じる発光色が存在しないことをさらに検査するのにも用いられてよい(存在する場合は、その銀行券は有効でない)。
【0051】
例えば、5ドルを検査すると、減衰はなく、色値は青色の基準値と一致する。10ドルを検査した場合は、減衰が検出され(従って10ドルの新シリーズおよび100ドルだけが候補であり)、第1および第2の色値がそれぞれ橙色の基準値と一致して、検査対象の銀行券が10ドルの金種であることが検証される。もし10ドルを検査して、減衰が検出されず(従ってその銀行券は10ドルの新シリーズでも100ドルでもあり得ず)、第1および第2の色値がそれぞれ橙色の基準値と一致したら、検査対象の銀行券は有効ではない。これとは対照的に、第1および第2の色値がそれぞれ黄色および橙色の基準値と一致したら、検査対象の銀行券が10ドルの金種の古いシリーズであることが検証される。
【0052】
本発明は、上記の実施の形態に限定されず、請求の範囲により定められた本発明の範囲から離れることなく多様な変更が可能である。例えば、検証機の形状および/または光源とカラーセンサの配置は(例えば図7に示したように)変更してもよく、また通路は必ずしもクリップでなくてよい。また、光源のピーク値およびカラーセンサのピーク値は、対象通貨のマーキングの光学特性に応じて合わせなければならない。
【0053】
本発明の変形では、紫外光源が1つだけ用いられ、発光色が1つだけ決定されて基準色値と比較され、紫外光励起に応じてマーキングから放出される燐光の減衰時間も計測される。この組み合わせで十分に(米国通貨以外の)多くの通貨の金種を識別できる。また、ハイライトマーカーペンインクを検出するために、実質的に青色の光成分を有するさらなる光源(例えば白色光源)が加えられてもよい。金種を特定するために、この変形ではカラープロファイルも設定されてよい。
【符号の説明】
【0054】
10 銀行券検証機
11 銀行券
12 通路
13 ボタン(スイッチ)
14 分岐
15 分岐
16 増幅器
17 第1の光源
18 第2の光源
19 第3の光源
20 制御ユニット
21 電池収納部
22 カラーセンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行券の読み取り/認証を行う装置の技術分野に関する。また、本発明は、異なる銀行券金種を特定する手持ち式装置、特に視覚障害者が利用可能なものにも関する。
【背景技術】
【0002】
通貨の固有のマーキングの光学特性または紙自体の光学特性は、しばしば偽造を阻止するために利用される。例えば、(一般には市販されていない)高品質な非蛍光性の紙が多くの通貨に用いられていることはよく知られている。この特徴により、従来のコピー用紙を用いて銀行券をコピーすることで得られる偽造を単純に検出することができる。なぜならば、こうした紙は、(紫外光を吸収して可視領域の高い波長で発光する)光学的光沢剤の存在により、紫外光照明下で蛍光を発するからである。他にも多くの種類のマーキングが当技術分野で知られている。例えば、銀行券に印刷された発光性のインクまたは模様、帯(strip)または(場合により発光性の)セキュリティスレッド、赤外吸収インクによるマーキング等である。
【0003】
他の例示的かつ非限定的な例としては、紫外光に暴露した時に明るい二次発光を有するふぞろいの点を含むカナダ通貨、または同じく紫外光に暴露した時に明るい二次発光を有する固有の小さな特徴を有するペルー通貨がある。
【0004】
銀行券検証機は、銀行券を走査してその金種を決定および/または銀行券を認証するのに広く用いられており、これは例えば、以下の特許、すなわち米国特許第5,640,463号明細書(特許文献1)、米国特許第5,960,103号明細書(特許文献2)、米国特許第7,378,665(B2)号明細書(特許文献3)、米国特許第7,550,736(B2)号明細書(特許文献4)、および欧州特許第1471472(B1)号明細書(特許文献5)、または特許出願である英国特許出願公開第2355522(A)号明細書(特許文献6)に開示された銀行券検証機で説明されている通りである。
【0005】
典型的には、これらの銀行券検証機は、適切な光(例えば紫外光、白色光、または赤外光)による照明下で、いくつかの通貨に関わる銀行券の反射特性および/または透過特性を用い、その銀行券によって反射および/または透過された光の強度、強度閾値、または強度比を、真正な銀行券についてのいくつかの対応する基準値と比較することによって、金種を決定し、または真正性を確認する。
【0006】
また、銀行券上または銀行券内部の蛍光体および/または燐光体(すなわち発光体)の存在をさらに検出できたり、対応する発光強度の計測までできたりする銀行券検証機もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,640,463号明細書
【特許文献2】米国特許第5,960,103号明細書
【特許文献3】米国特許第7,378,665(B2)号明細書
【特許文献4】米国特許第7,550,736(B2)号明細書
【特許文献5】欧州特許第1471472(B1)号明細書
【特許文献6】英国特許出願公開第2355522(A)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、反射強度もしくは透過強度、または発光強度を利用するには、別々の超短パルス光源(intense pulsed light source)(高輝度発光ダイオードのようなもの)、および反射/透過した光を焦点に集めて良好な信号対雑音比で計測データを得るように構成されたレンズを有する必要がある。このため、検証機の走査ヘッドの小型化がより困難になり、そのコストが、特に手持ち式検証機の場合に増えてしまう。さらに、単なる反射強度または透過強度の利用では、必ずしもいくつかの金種を識別したり偽造銀行券を識別したりできるとは限らない。例えば、高レベルの紫外光を全体的な蛍光のない状態で反射する真正な米国通貨では、これらの特性を有する偽造通貨を識別することが不可能である。
【0009】
銀行券検証機によっては、さまざまな金種をよりよく識別するために、銀行券の所与の場所における、銀行券の固有のマーキングの撮像、または磁性インクもしくは導電性を持つマーキング(例えば、銀行券に印刷された固有の模様、帯もしくはセキュリティスレッド、または印刷された物のない部分)の検出を利用するものもある。しかし、マーキングの位置は通常、金種やシリーズごとに変わるので、これらの検証機は、横と縦を区別して銀行券通路の中の通り道に沿って銀行券を搬送するためのさらなる手段を用いる必要があり、そうした手段は、マーキングの特性を正確に発見、検出するために、走査動作中に通路中の銀行券の位置を計測する制御手段およびセンサを含む。これは、通路内の銀行券の挿入の方向および/または側にかかわらずこうした検査を行わなければならない場合に、さらに複雑になる。銀行券を搬送するこのさらなる手段は、検証機の走査ヘッドの小型化にとって好ましくない上に、(例えば視覚障害者のような)ユーザが用いる手持ち式の機器には適さない。それに、こうしたユーザは、銀行券を持ったまま、検証機に銀行券を挿入して単純に通すことによって走査動作を行うほうを好むであろう。
【0010】
このようなわけで、通貨の金種を完全に識別し、それらの金種を確実に認証することのできる、手持ち式装置とすることさえ可能な、頑健な銀行券検証機が明らかに必要である。特に、視覚障害者用に構成されたそのような手持ち式の銀行券検証機が必要であるが、これは、最近発表された、米国財務省の内局である造幣局(Bureau of Engraving and Printing、BEP)のためのARINC Engineering services社による報告(Final Report, "Study to Address Options for Enabling the Blind and Visually Impaired Community to Denominate U.S. Currency, Contract S08-00156", July 2009)から明らかである。
【0011】
本発明は、従来技術の上記欠点を回避する銀行券検証機を提供することを目的とする。また、本発明による検証機は、適切な紫外光照明下で固有色発光で輝くように動作可能なマーキング(例えば、保護対象書類に印刷された発光性のインクまたは模様、発光性のセキュリティスレッドまたは帯のようなもの)を含む保護対象書類の検証に用いられてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のある態様によれば、適切な紫外光照明下で金種に従って固有色発光で輝くように動作可能なマーキングを含む検査ゾーンを有する銀行券の金種を特定する銀行券検証機は、
銀行券通路が設けられた筐体と、
第1の波長範囲の紫外光で通路において銀行券の検査ゾーンの一方の側を照射するように動作可能な第1の紫外光源、および検査ゾーンを透過した、または検査ゾーンから反射した、対応する第1の励起発光光を受けるように動作可能な第1のカラーセンサと、
第1の波長範囲とは異なる第2の波長範囲の紫外光で銀行券の検査ゾーンの一方の側を照射するように動作可能な第2の紫外光源、および検査ゾーンを透過した、または検査ゾーンから反射した、対応する第2の励起発光光を受けるように動作可能な第2のカラーセンサと、
銀行券の金種を示すように動作可能な伝達手段と、
第1および第2の紫外光源、第1および第2のカラーセンサ、ならびに伝達手段を制御するように動作可能で、メモリを備える処理手段と
を備え、処理手段は、
第1のカラーセンサから受け取った第1の信号から第1の励起発光光の第1の色値を決定し、
第2のカラーセンサから受け取った第2の信号から第2の励起発光光の第2の色値を決定し、
決定された色値を、第1および第2の波長範囲の紫外光下の発光について、異なる金種に対応する格納された異なる基準色値とそれぞれ比較して、決定された色値が基準色値と一致した場合には、銀行券の金種が基準色値と関連付けられた金種に該当すると決定し、
決定された金種を示すように伝達手段を制御する
ようにさらに動作可能である。
【0013】
上記従来技術とは対照的に、本発明による銀行券検証機は、カラーセンサ、すなわち、蛍光強度だけを計測する単なる蛍光センサではなく、検出された励起発光光の平均波長および振幅の両方を測定できる、(ある波長範囲内のみの蛍光を受ける)フィルタを装備したフォトダイオードを用いる。まさしくこれが、励起光の波長の関数である、信号の色の部分であり、それを用いて励起発光光の(上記の平均波長および振幅に対応する)色値が決定される。カラーセンサは、必ずしも分光光度計のような高価な部品である必要はなく、例えば単純で安価なRGBフォトダイオードでよい。
【0014】
計測された発光色値を、真正な異なる金種に対応する基準色値との比較に用いることは、所与の通貨のさまざまな金種の特徴をより正確かつ微細に表すことを可能にするとともに、認証検査にもなる。従って、このようなカラーセンサを用いることにより、銀行券の金種の決定/認証の信頼性が、より伝統的な反射計測および/または透過計測または蛍光強度計測に対して明らかに向上する。また、少なくとも2つの紫外励起光源を用い、2つの異なる励起波長範囲内で発光して、2つの発光色値を得ることにより、通貨のさまざまな金種の識別もさらに向上する。
【0015】
さらに、銀行券検証機の電源を入れて、通路を通される銀行券の照明を行えば、銀行券上の発光マーキングがセンサを横切るとすぐに、(センサの波長範囲外の光波長を遮断する波長フィルタのおかげで)カラーセンサにより発光信号が検出されて、対応する発光色値が非常に短時間(典型的にはおよそ1msから10ms)のうちに決定される。その結果、上記の搬送手段および通路内におけるマーキングの位置を決定する手段が不必要であり、色値の決定は発光信号の検出が直接の引き金となって行われる。これにより、検証機がより安価になり、小型化しやすくなる。
【0016】
本発明による上記の銀行券検証機の実施の形態では、伝達手段が、銀行券が特定されないことを示すようにさらに動作可能であり、決定された色値が格納された基準色値のいずれとも一致しないと処理手段が判定した場合に、処理手段が、銀行券の金種が特定されないことを示すように伝達手段を制御するようにさらに動作可能である。
【0017】
適切な紫外照明下での減衰の存在(マーキング中の燐光体による)は、偽造するのが困難なセキュリティ特徴であり、さらなる識別検査になる。
【0018】
従って、本発明の銀行券処理機は、
銀行券を照明し、銀行券の照明を中断し、対応する励起発光光の減衰を検出するように、第1の紫外光源および第1のカラーセンサ、または第2の紫外光源および第2のカラーセンサを制御し、
金種が検出された減衰にさらに適合する場合に限り金種を示すように伝達手段を制御する
ようにさらに動作可能な処理手段を有してよい。
【0019】
適切な紫外照明下で減衰が存在する場合は、(金種に依存する)減衰時間値を計測して真正な金種に関する基準値と比較すれば、向上した識別および/または認証が得られる。
【0020】
従って、上記の銀行券検証機は、
銀行券を照明し、銀行券の照明を中断し、励起発光光の減衰時間値を計測するように、第1の紫外光源および第1のカラーセンサ、または第2の紫外光源および第2のカラーセンサを制御し、
計測された減衰時間値を、異なる金種に対応する格納された異なる基準減衰時間値と比較し、
決定された色値が基準色値と一致した場合には、計測された減衰時間値が金種に対応する基準減衰時間値とさらに一致する場合に限り、銀行券の金種が基準色値と関連付けられた金種に該当すると決定する
ようにさらに動作可能である処理手段を有してよい。
【0021】
紫外照明下で銀行券全体にわたって支配的な青色を露呈する光学的光沢剤を含有する紙の利用に関する偽造を検出するため、本発明による銀行券検証機は、
通路を通過した検査ゾーンの複数の部分から放出された光に対応する第1または第2のカラーセンサから受け取った信号から決定された色値に基づいて、支配的な青色の存在を検出するように、第1の光源および第1のカラーセンサ、または第2の光源および第2のカラーセンサを制御し、
支配的な青色の存在が検出された場合に、銀行券が有効でないことを示すように伝達手段を制御する
ようにさらに動作可能である処理手段を有してよい。
【0022】
さらに、ハイライトマーカーペンインクの使用に基づく偽造は、頻繁に起こるので、検出しなければならない。こうしたハイライトマーカーペンインクは、青色光照明下で蛍光を発する特性を有する。
【0023】
従って、上記の銀行券検証機は、
青色光成分を有する第3の光で通路において銀行券の検査ゾーンの一方の側を照射するように動作可能な第3の光源、および検査ゾーンを透過した、または検査ゾーンから反射した、対応する第3の励起発光光を受けるように動作可能な第3のカラーセンサ
をさらに備えてよく、ここで処理手段は、
通路を通過した検査ゾーンの複数の部分から第3の光の照明に応じて放出された光に対応する第3のカラーセンサから受け取った信号から決定された検査ゾーン発光色値に基づいて、対応する発光色の存在を検出するように、第3の光源および第3のカラーセンサを制御し、
対応する発光色の存在が検出された場合に、銀行券が有効でないことを示すように伝達手段を制御する
ようにさらに動作可能である。
【0024】
上記の第3の光源は、例えば白色光源であってよい。実際、放出される第3の光が実質的に青色の光成分を含めば十分である。
【0025】
好ましくは、本発明の銀行券検証機において、実施の形態に応じて、第1、第2、および第3の光源のうちの少なくとも1つが発光ダイオード(LED)であってよい。これにより、検証機の小型化がより容易になる。さらに、現在は、放出された光を1点に合焦させるレンズが直付けされたLEDが入手可能である。
【0026】
好ましくは、カラーセンサのうちの少なくとも1つがRGBフォトダイオードであってよく、あるいは、実施の形態によっては、同一のRGBフォトダイオードが第1、第2、および第3のカラーセンサのいずれとしても働いてよい。この構成により、検証機のコストおよび消費量が低減され、また検証機の寸法を小さくすることもできる。
【0027】
本発明による銀行券検証機は、上記の任意の実施の形態において、銀行券の縦または横に対応する走査方向に沿った銀行券の移動を可能にするように構成された通路をさらに有してよく、光源のうちの2つおよび対応するカラーセンサが、異なっていて、走査方向に対してほぼ直角な方向に整列しており(または走査方向に沿って整列しておらず)、処理手段が、光源のそれぞれに関して走査方向に沿ったカラープロファイルを決定するように2つの光源および対応するカラーセンサを制御し、決定されたカラープロファイルを異なる金種に対応する格納された異なる基準カラープロファイルと比較し、決定されたカラープロファイルが基準カラープロファイルと一致した場合には、銀行券の金種が基準カラープロファイルと関連付けられた金種に該当すると決定するようにさらに動作可能である。
【0028】
上記の構成では、銀行券検証機は、銀行券が通路を移動させられる間に、銀行券の縦または横に沿って少なくとも2つのカラープロファイルを決定することができる。従って、検証機が上記の第3の光源および第3のカラーセンサを含み、3つの光源および対応する3つのカラーセンサが走査方向に整列していない場合は、最大3つのカラープロファイルを決定することができる(例えば、これらの光源およびカラーセンサは、走査方向に対して直角の方向に直線配列の光源および対応する直線配列のセンサを構成してよい)。これらの計測されたカラープロファイルを真正な金種の基準カラープロファイルと比較することにより、金種の決定および/または認証が一層確実になる。これらのカラープロファイルが透過カラープロファイルである場合は特にそうである。さらに、第3の光源が白色光源で第3のカラーセンサがRGBフォトダイオードの場合は、対応するカラープロファイルがより豊かになり、従ってより一層識別しやすくなる(これは、計測されるRGBカラープロファイルが3次元だからである)。
【0029】
本発明による検証機によってもたらされる小型化の可能性のため、上記の任意の実施の形態は手持ち式の銀行券検証機に相当し得る。
【0030】
本発明の別の態様は、添付の請求の範囲に示されたように銀行券の金種を特定する方法に関し、また上記の銀行券検証機の実施の形態に対応する方法に関する。
【0031】
特に、本発明は、以下の方法、すなわち適切な紫外光照明下で金種に従って固有色発光で輝くように動作可能なマーキングを含む検査ゾーンを有する銀行券の金種を特定する方法であって、
第1の紫外光源を用いて第1の波長範囲の紫外光で銀行券の検査ゾーンの一方の側を照射し、対応する第1の励起発光光の第1の色値を、検査ゾーンを透過した、または検査ゾーンから反射した第1の励起発光光を受けるように動作可能な第1のカラーセンサからの第1の信号を用いて決定するステップと、
第2の紫外光源を用いて、第1の波長範囲とは異なる第2の波長範囲の紫外光で銀行券の検査ゾーンの一方の側を照射し、対応する第2の励起発光光の第2の色値を、検査ゾーンを透過した、または検査ゾーンから反射した第2の励起発光光を受けるように動作可能な第2のカラーセンサからの第2の信号を用いて決定するステップと、
処理手段を含む制御ユニットにより、決定された色値を、第1および第2の波長範囲の紫外光下の発光について、処理手段のメモリに格納された、異なる金種に対応する所与の異なる基準色値とそれぞれ比較して、決定された色値が基準色値と一致した場合には、銀行券の金種が基準色値と関連付けられた金種に該当すると決定するステップと、
決定された金種を示すように伝達手段を制御するステップと
を含む方法にも関する。
【0032】
以下、本発明について、添付の図面を参照してさらに十分に説明する。図面では、同一の番号がそれら別々の図を通して同一の要素を表し、また本発明の顕著な態様および特徴が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明による手持ち式銀行券検証機の上面図を示す。
【図2A】図2Aは、本発明による手持ち式銀行券検証機の斜視図を示す。
【図2B】図2Bは、図1の手持ち式銀行券検証機の部分破断斜視図を示す。
【図3A】図3Aは、図1〜2の銀行券検証機の破断側面図を示す。
【図3B】図3Bは、図1〜2の銀行券検証機の破断側面図を示す。
【図4A】図4Aは、図3の銀行券検証機の破断斜視図を示す。
【図4B】図4Bは、図3の銀行券検証機の破断斜視図を示す。
【図5A】図5Aは、図1〜4の銀行券検証機の光源およびカラーセンサの断面図を示す。
【図5B】図5Bは、図1〜4の銀行券検証機の光源およびカラーセンサの断面図を示す。
【図6】図6は、図1〜5の銀行券検証機で金種を特定する方法の実施の形態を説明するフローチャート図である。
【図7】図7は、本発明による手持ち式銀行券検証機のさまざまな図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明による銀行券検証機の実施の形態を図1に示す。同図は、ユーザが保持する手持ち式銀行券検証機の上面図を示しており、10ドルの金種の米国通貨を、ユーザがクリップ型(U字形)を有する銀行券通路に挿入したところである。ただし、本発明は手持ち式装置に限定されない。
【0035】
以下の詳細な説明において、我々は単に例示を目的として米国通貨を用いる。この通貨は、適切な紫外光照明下で金種に従って固有色発光で輝くように動作可能なマーキング(ここでは、銀行券の金種に応じて異なる位置に配置された発光セキュリティスレッド)を含む検査ゾーンを有する通貨の一例である。実際、米国通貨は、紫外光暴露に対する全体的な最小限の反応に加えて、適切な紫外光暴露下で異なる波長での二次発光により光を放出する、各金種用のセキュリティスレッド(マーキング)を有する。これらのセキュリティスレッドは、適切な紫外光に暴露された時に、金種に応じて以下の特有の蛍光色を有する(1996年のシリーズで初めて実施されたこの特徴は、ほとんどの流通銀行券に存在する)。
・5ドルの金種では青色
・10ドルの金種では橙色
・20ドルの金種では緑色
・50ドルの金種では黄色
・100ドルの金種では赤色
【0036】
これに加えて、100ドルと10ドルの新シリーズにおけるセキュリティスレッドは、紫外光暴露下で特有の減衰特性をさらに有する。
【0037】
しかしながら、固有の発光マーキングを有する他の通貨を本発明の対象として考慮してもよい(もちろん、そのマーキングを露呈させるには、光源および対応するカラーセンサを固有の波長値に合わせなければならない)。
【0038】
本発明による銀行券検証機の以下の例示的かつ詳細な実施の形態では、光源としてLEDが用いられ、カラーセンサとしてRGBフォトダイオードが用いられる。さらに、コンパクトさの理由から、カラーセンサは、通路内で銀行券を透過した光を検出するのに適した構成で用いられる。しかしながら、(考慮対象の光源および対応するカラーセンサの対により)反射のみ、または反射および透過で検出するように光源およびカラーセンサを構成することもまた(当業者によく知られるように)可能であるが、ここには示さない。
【0039】
図1および図2に示した銀行券検証機(10)は、通路(12)を有し、通路(12)は、クリップ形で、ユーザが容易にボタン(13)を押して電源のスイッチを入れられると同時に検査対象の銀行券(11)を通路に挿入して動かせる挿入口が付いている。このU字形クリップの上側の分岐(14)はカラーセンサ(22)を収容し、カラーセンサ(22)は、ここではRGBフォトダイオードであり、クリップの下側の分岐(15)は、銀行券(11)を照明する光源(17〜19)を収容する。銀行券(11)は、銀行券の横方向に沿って配置されたセキュリティスレッドを有する(これは米国通貨のすべての金種の場合と同様である)。
【0040】
図3Aおよび図3Bに示すように、CPUおよびメモリを含む制御ユニット(20)が、電池収納部(21)の電池によって電源供給され、スイッチ(13)、カラーセンサ(22)、および光源(17〜19)に接続されている。この制御ユニット(20)は、ユーザがスイッチのボタン(13)を押している間、銀行券(11)を照明するようにカラーセンサと光源とを制御して同期させ、上側の分岐(14)の(デジタル信号をCPUに送るA/D変換器に接続された)増幅器(16)により銀行券からカラーセンサ(22)へと透過した対応する光の存在を検出して、色値を決定する。色検出を透過で行うことが反射に対して有利な点は、計測が銀行券の向きに依存しないことである。
【0041】
本発明による検証機の実施の形態のこの例では、光源は、
・370nm(50%で±5nm)のピーク発光波長(米国通貨に合わせてある)を有し、放出された光をRGBフォトダイオード(22)に集中させる半球形のサファイアレンズをさらに備える紫外発光LEDである第1の紫外光源(17)と、
・390nm(50%で±5nm)のピーク発光波長(米国通貨に合わせてある)を有し、放出された光をRGBフォトダイオード(22)に集中させる半球形のサファイアレンズをさらに備える紫外発光LEDである第2の紫外光源(18)と、
・410nm(50%で±5nm)のピーク発光波長を有し、放出された光をRGBフォトダイオード(22)に集中させる半球形のサファイアレンズもさらに備える青色発光LEDである第3の光源(19)と
で構成される。
【0042】
RGBフォトダイオード(22)(ここでは浜松のSiフォトダイオードS10170)は、RGBカラーフィルタが装備され、ピーク波長が720nm(50%で±112nm)の赤色光、ピーク波長が544nm(50%で±34nm)の緑色光、およびピーク波長が468nm(50%で±40nm)の青色光を検出するように動作可能である。
【0043】
制御ユニット(20)は、
・第1の光源(17)による銀行券(11)の照明に応じてカラーセンサ(22)から受け取った第1の信号から、セキュリティスレッドによって放出された第1の励起発光光の第1の色値を決定し、
・第2の光源(18)による銀行券(11)の照明に応じてカラーセンサ(22)から受け取った第2の信号から、セキュリティスレッドによって放出された第2の励起発光光の第2の色値を決定し、そして
・決定された色値を、異なる真正な金種に対応する格納された異なる基準色値と比較して、決定された色値が基準色値と一致した場合には、銀行券(11)の金種が基準色値と関連付けられた金種に該当すると決定し、
・決定された金種を示すように伝達手段を制御する
ように動作可能である。
【0044】
上記の伝達手段(図示しない)は、例えば、
・(異なる金種のための)異なる色のLED、またはディスプレイ、のように視覚的であってもよいし、あるいは、
・音声手段、または符号化されたノイズもしくは振動の放出に基づいたもの、または(点字符号のような)触覚的なもの、のように非視覚的であってもよい。これらの非視覚的手段は、視覚障害のあるユーザに合わせたものである。
【0045】
さらに、制御ユニット(20)は、
・第1の光源もしくは第2の光源のいずれかで、または両方の光源で銀行券(11)を照明し、
・次に、銀行券の照明を中断し、所与の時間(典型的にはおよそ1msないし10ms)にわたって、この時間にわたりカラーセンサで連続計測を行うことにより、カラーセンサ(22)でセキュリティスレッドからの励起発光(燐光)光の減衰時間値を計測し、
・計測された減衰時間値を、メモリに格納された、真正な異なる金種に対応する異なる基準減衰時間値と比較し、
・決定された色値が基準色値と一致した場合には、計測された減衰時間値があらかじめ定められた金種に対応する基準減衰時間値とさらに一致する場合に限り(すなわち、色値の一致に基づいて)、(上に示したように)銀行券の金種が基準色値と関連付けられた金種に該当すると判定する
ように、第1の紫外光源(17)および第2の紫外光源(18)、ならびにカラーセンサ(22)を制御するようにさらに動作可能である。そして、決定された金種を伝達手段が示す。
【0046】
実際には、第1の光源(17)または第2の光源(18)により、カラーセンサ(22)を用いて、
・セキュリティスレッドの発光色と、
・光学的光沢剤は、(セキュリティスレッドの場合は部分的であるのと違って)銀行券全体にわたって放出される支配的な青色を露呈するので、紙の中の光学的光沢剤の存在と、
・ハイライトマーカーペンインクのような材料は第1の光の照明下だけでなく第3の光の照明下でも輝くので、第3の光源の照明を合わせて考えた場合は、ハイライトマーカーペンインクの存在と、
・10ドルおよび100ドル(新シリーズ)のセキュリティスレッドにおける発光の減衰と
を検出することが可能である。
【0047】
第3の光源(19)により、カラーセンサ(22)を用いて、放出された第3の光によって励起されてハイライトマーカーペンインクから届く発光を検出することと、第3の光の暴露下でのセキュリティスレッドの非発光を確かめることとが可能である。
【0048】
第1(17)および第2(18)の光源を用いることにより、古いシリーズの10ドルと50ドルとをさらに識別することができる。実際、第1の光源の光(17)のみによる370nmでの照明下では、古いシリーズの10ドルおよび50ドルの金種それぞれのセキュリティスレッドは、黄色で蛍光を発して輝く。第2の光源の光(18)による390nmでの照明下では、10ドル(古いシリーズ)のセキュリティスレッドは橙色で輝くが、50ドル(古いシリーズ)のセキュリティスレッドは、引き続き黄色で輝く。
【0049】
図6は、銀行券検証機(10)が動作する様子を説明するフローチャート図である。ユーザが、検証機のスイッチを入れ(て照明および検出手段に電源を供給す)るためにボタン(13)を押しながら、銀行券(11)を通路(12)に挿入して前方に送る。そこで制御ユニットが、カラーセンサ(22)を用いた照明閾値の検出により銀行券の存在を検出する。第1の光源(17)が通路内を移動する銀行券(11)を照明し、セキュリティスレッドがカラーセンサ(22)の前を通過する時に(これにより銀行券上の検出のための検査ゾーンの範囲が定まる)、セキュリティスレッドが照明下で輝いて、カラーセンサ(22)が、銀行券を透過した第1の励起発光光から対応する第1の色値を決定する。次に、制御ユニットが第1の色値を基準色値と比較して一致するか確認する。次に、第2の光源(18)のスイッチが入り、銀行券がさらに照明される。そして、カラーセンサ(22)が、銀行券を透過した第2の励起発光光から対応する第2の色値を決定し、制御ユニットが第2の色値を基準色値と比較して一致するか確認する。十分な時間がたってセキュリティスレッドからの燐光放出による減衰を検出できた後(典型的にはおよそ1ms)、光源(17)および光源(18)のスイッチが切れてセキュリティスレッドの照明が中断される。そこでカラーセンサ(22)が、セキュリティスレッドから受けた発光光の減衰を検出する。制御ユニットは、銀行券の金種を決定するか、またはそれが有効でないことを決定し、それに応じて伝達手段を制御する。
【0050】
第3の光源(19)は、第3の光によるセキュリティスレッドの照明で生じる発光色が存在しないことをさらに検査するのにも用いられてよい(存在する場合は、その銀行券は有効でない)。
【0051】
例えば、5ドルを検査すると、減衰はなく、色値は青色の基準値と一致する。10ドルを検査した場合は、減衰が検出され(従って10ドルの新シリーズおよび100ドルだけが候補であり)、第1および第2の色値がそれぞれ橙色の基準値と一致して、検査対象の銀行券が10ドルの金種であることが検証される。もし10ドルを検査して、減衰が検出されず(従ってその銀行券は10ドルの新シリーズでも100ドルでもあり得ず)、第1および第2の色値がそれぞれ橙色の基準値と一致したら、検査対象の銀行券は有効ではない。これとは対照的に、第1および第2の色値がそれぞれ黄色および橙色の基準値と一致したら、検査対象の銀行券が10ドルの金種の古いシリーズであることが検証される。
【0052】
本発明は、上記の実施の形態に限定されず、請求の範囲により定められた本発明の範囲から離れることなく多様な変更が可能である。例えば、検証機の形状および/または光源とカラーセンサの配置は(例えば図7に示したように)変更してもよく、また通路は必ずしもクリップでなくてよい。また、光源のピーク値およびカラーセンサのピーク値は、対象通貨のマーキングの光学特性に応じて合わせなければならない。
【0053】
本発明の変形では、紫外光源が1つだけ用いられ、発光色が1つだけ決定されて基準色値と比較され、紫外光励起に応じてマーキングから放出される燐光の減衰時間も計測される。この組み合わせで十分に(米国通貨以外の)多くの通貨の金種を識別できる。また、ハイライトマーカーペンインクを検出するために、実質的に青色の光成分を有するさらなる光源(例えば白色光源)が加えられてもよい。金種を特定するために、この変形ではカラープロファイルも設定されてよい。
【符号の説明】
【0054】
10 銀行券検証機
11 銀行券
12 通路
13 ボタン(スイッチ)
14 分岐
15 分岐
16 増幅器
17 第1の光源
18 第2の光源
19 第3の光源
20 制御ユニット
21 電池収納部
22 カラーセンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
適切な紫外光照明下で金種に従って固有色発光で輝くように動作可能なマーキングを含む検査ゾーンを有する銀行券の金種を特定する銀行券検証機であって、
銀行券通路が設けられた筐体と、
第1の波長範囲の紫外光で前記通路において前記銀行券の前記検査ゾーンの一方の側を照射するように動作可能な第1の紫外光源、および前記検査ゾーンを透過した、または前記検査ゾーンから反射した、対応する第1の励起発光光を受けるように動作可能な第1のカラーセンサと、
前記第1の波長範囲とは異なる第2の波長範囲の紫外光で前記銀行券の前記検査ゾーンの一方の側を照射するように動作可能な第2の紫外光源、および前記検査ゾーンを透過した、または前記検査ゾーンから反射した、対応する第2の励起発光光を受けるように動作可能な第2のカラーセンサと、
前記銀行券の金種を示すように動作可能な伝達手段と、
前記第1および第2の紫外光源、前記第1および第2のカラーセンサ、ならびに前記伝達手段を制御するように動作可能で、メモリを備える処理手段と
を備える銀行券検証機において、前記処理手段が、
前記第1のカラーセンサから受け取った第1の信号から前記第1の励起発光光の第1の色値を決定し、
前記第2のカラーセンサから受け取った第2の信号から前記第2の励起発光光の第2の色値を決定し、
前記決定された色値を、前記第1および第2の波長範囲の紫外光下の発光について、異なる金種に対応する格納された異なる基準色値とそれぞれ比較して、前記決定された色値が基準色値と一致した場合には、前記銀行券の前記金種が前記基準色値と関連付けられた金種に該当すると決定し、
前記決定された金種を示すように前記伝達手段を制御する
ようにさらに動作可能である銀行券検証機。
【請求項2】
前記伝達手段は、前記銀行券が特定されないことを示すようにさらに動作可能であり、
前記処理手段は、決定された色値が前記格納された基準色値のいずれとも一致しないと前記処理手段が判定した場合に、前記銀行券の金種が特定されないことを示すように前記伝達手段を制御するようにさらに動作可能である
請求項1に記載の銀行券検証機。
【請求項3】
前記処理手段は、
前記銀行券を照明し、前記銀行券の前記照明を中断し、前記対応する励起発光光の減衰を検出するように、前記第1の紫外光源および前記第1のカラーセンサ、または前記第2の紫外光源および前記第2のカラーセンサを制御し、
前記金種が前記検出された減衰にさらに適合する場合に限り前記金種を示すように前記伝達手段を制御する
ようにさらに動作可能である請求項1または2に記載の銀行券検証機。
【請求項4】
前記処理手段は、
前記銀行券を照明し、前記銀行券の前記照明を中断し、前記励起発光光の減衰時間値を計測するように、前記第1の紫外光源および前記第1のカラーセンサ、または前記第2の紫外光源および前記第2のカラーセンサを制御し、
前記計測された減衰時間値を、異なる金種に対応する格納された異なる基準減衰時間値と比較し、
前記決定された色値が基準色値と一致した場合には、前記計測された減衰時間値が前記金種に対応する基準減衰時間値とさらに一致する場合に限り、前記銀行券の前記金種が前記基準色値と関連付けられた金種に該当すると決定する
ようにさらに動作可能である請求項1または2に記載の銀行券検証機。
【請求項5】
前記処理手段は、
前記通路を通過した前記検査ゾーンの複数の部分から放出された光に対応する前記第1または第2のカラーセンサから受け取った信号から決定された色値に基づいて、支配的な青色の存在を検出するように、前記第1の光源および前記第1のカラーセンサ、または前記第2の光源および前記第2のカラーセンサを制御し、
支配的な青色の存在が検出された場合に、前記銀行券が有効でないことを示すように前記伝達手段を制御する
ようにさらに動作可能である請求項1ないし4のいずれかに記載の銀行券検証機。
【請求項6】
青色光成分を有する第3の光で前記通路において前記銀行券の前記検査ゾーンの一方の側を照射するように動作可能な第3の光源、および前記検査ゾーンを透過した、または前記検査ゾーンから反射した、対応する第3の励起発光光を受けるように動作可能な第3のカラーセンサ
をさらに備え、前記処理手段は、
前記通路を通過した前記検査ゾーンの複数の部分から前記第3の光の照明に応じて放出された光に対応する前記第3のカラーセンサから受け取った信号から決定された検査ゾーン発光色値に基づいて、対応する発光色の存在を検出するように、前記第3の光源および前記第3のカラーセンサを制御し、
前記対応する発光色の存在が検出された場合に、前記銀行券が有効でないことを示すように前記伝達手段を制御する
ようにさらに動作可能である請求項1ないし5のいずれかに記載の銀行券検証機。
【請求項7】
前記光源のうちの1つがLEDである請求項1ないし6のいずれかに記載の銀行券検証機。
【請求項8】
前記カラーセンサのうちの1つがRGBフォトダイオードである請求項1ないし7のいずれかに記載の銀行券検証機。
【請求項9】
前記カラーセンサのそれぞれが同一のRGBフォトダイオードに依存する請求項1ないし7のいずれかに記載の銀行券検証機。
【請求項10】
前記通路は、前記銀行券の縦または横に対応する走査方向に沿った前記銀行券の移動を可能にするものであり、
前記光源のうちの2つおよび対応する前記カラーセンサは、異なっていて、前記走査方向に対してほぼ直角な方向に整列しており、
前記処理手段は、前記光源のそれぞれに関して前記走査方向に沿ったカラープロファイルを決定するように前記2つの光源および前記対応するカラーセンサを制御し、前記決定されたカラープロファイルを異なる金種に対応する格納された異なる基準カラープロファイルと比較し、前記決定されたカラープロファイルが基準カラープロファイルと一致した場合には、前記銀行券の前記金種が前記基準カラープロファイルと関連付けられた金種に該当すると決定するようにさらに動作可能である請求項1ないし8のいずれかに記載の銀行券検証機。
【請求項11】
手持ち式装置である請求項1ないし10のいずれかに記載の銀行券検証機。
【請求項12】
適切な紫外光照明下で金種に従って固有色発光で輝くように動作可能なマーキングを含む検査ゾーンを有する銀行券の金種を特定する方法であって、
第1の紫外光源を用いて第1の波長範囲の紫外光で前記銀行券の前記検査ゾーンの一方の側を照射し、対応する第1の励起発光光の第1の色値を、前記検査ゾーンを透過した、または前記検査ゾーンから反射した前記第1の励起発光光を受けるように動作可能な第1のカラーセンサからの第1の信号を用いて決定するステップと、
第2の紫外光源を用いて、前記第1の波長範囲とは異なる第2の波長範囲の紫外光で前記銀行券の前記検査ゾーンの一方の側を照射し、対応する第2の励起発光光の第2の色値を、前記検査ゾーンを透過した、または前記検査ゾーンから反射した前記第2の励起発光光を受けるように動作可能な第2のカラーセンサからの第2の信号を用いて決定するステップと、
処理手段を含む制御ユニットにより、前記決定された色値を、前記第1および第2の波長範囲の紫外光下の発光について、前記処理手段のメモリに格納された、異なる金種に対応する所与の異なる基準色値とそれぞれ比較して、前記決定された色値が基準色値と一致した場合には、前記銀行券の前記金種が前記基準色値と関連付けられた金種に該当すると決定するステップと、
前記決定された金種を示すように伝達手段を制御するステップと
を含む方法。
【請求項13】
決定された色値が前記格納された基準色値のいずれとも一致しない場合に、前記銀行券の金種が特定されないことを示すように前記伝達手段を制御するさらなるステップを含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記銀行券を照明し、前記銀行券の前記照明を中断し、前記対応する励起発光光の減衰を検出するように、前記第1の紫外光源および前記第1のカラーセンサ、または前記第2の紫外光源および前記第2のカラーセンサを制御するさらなるステップと、
前記金種が前記検出された減衰にさらに適合する場合に限り前記金種を示すように前記伝達手段を制御するさらなるステップと
を含む請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記銀行券を照明し、前記銀行券の前記照明を中断し、前記励起発光光の減衰時間値を計測するように、前記第1の紫外光源および前記第1のカラーセンサ、または前記第2の紫外光源および前記第2のカラーセンサを制御するさらなるステップと、
前記計測された減衰時間値を、異なる金種に対応する格納された異なる基準減衰時間値と比較するさらなるステップと、
前記決定された色値が基準色値と一致した場合には、前記計測された減衰時間値が前記金種に対応する基準減衰時間値と一致する場合に限り、前記銀行券の前記金種が前記基準色値と関連付けられた金種に該当すると決定するさらなるステップと
を含む請求項12または13に記載の方法。
【請求項16】
前記検査ゾーンの複数の部分から放出された光に対応する前記第1または第2のカラーセンサから受け取った信号から決定された色値に基づいて、支配的な青色の存在を検出するように、前記第1の光源および前記第1のカラーセンサ、または前記第2の光源および前記第2のカラーセンサを制御するさらなるステップと、
支配的な青色の存在が検出された場合に、前記銀行券が有効でないことを示すように前記伝達手段を制御するさらなるステップと
を含む請求項12ないし15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
青色光成分を有する第3の光で前記銀行券の前記検査ゾーンの一方の側を照射する第3の光源、および前記検査ゾーンを透過した、または前記検査ゾーンから反射した、対応する第3の励起発光光を受けるように動作可能な第3のカラーセンサを、前記検査ゾーンの複数の部分から前記第3の光の照明に応じて放出された光に対応する前記第3のカラーセンサから受け取った信号から決定された検査ゾーン発光色値に基づいて、対応する発光色の存在を検出するように制御するさらなるステップと、
前記対応する発光色の存在が検出された場合に、前記銀行券が有効でないことを示すように前記伝達手段を制御するさらなるステップと
を含む請求項12ないし16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記通路は、前記銀行券の縦または横に対応する走査方向に沿った前記銀行券の移動を可能にするものであり、
前記光源のうちの2つおよび対応する前記カラーセンサは、異なっていて、前記走査方向に対してほぼ直角な方向に整列しており、
前記光源のそれぞれに関して前記走査方向に沿ったカラープロファイルを決定するように前記2つの光源および前記対応するカラーセンサを制御するさらなるステップと、前記決定されたカラープロファイルを異なる金種に対応する格納された異なる基準カラープロファイルと比較するさらなるステップと、前記決定されたカラープロファイルが基準カラープロファイルと一致した場合には、前記銀行券の前記金種が前記基準カラープロファイルと関連付けられた金種に該当すると決定するさらなるステップとを含む
請求項12ないし17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項1】
適切な紫外光照明下で金種に従って固有色発光で輝くように動作可能なマーキングを含む検査ゾーンを有する銀行券の金種を特定する銀行券検証機であって、
銀行券通路が設けられた筐体と、
第1の波長範囲の紫外光で前記通路において前記銀行券の前記検査ゾーンの一方の側を照射するように動作可能な第1の紫外光源、および前記検査ゾーンを透過した、または前記検査ゾーンから反射した、対応する第1の励起発光光を受けるように動作可能な第1のカラーセンサと、
前記第1の波長範囲とは異なる第2の波長範囲の紫外光で前記銀行券の前記検査ゾーンの一方の側を照射するように動作可能な第2の紫外光源、および前記検査ゾーンを透過した、または前記検査ゾーンから反射した、対応する第2の励起発光光を受けるように動作可能な第2のカラーセンサと、
前記銀行券の金種を示すように動作可能な伝達手段と、
前記第1および第2の紫外光源、前記第1および第2のカラーセンサ、ならびに前記伝達手段を制御するように動作可能で、メモリを備える処理手段と
を備える銀行券検証機において、前記処理手段が、
前記第1のカラーセンサから受け取った第1の信号から前記第1の励起発光光の第1の色値を決定し、
前記第2のカラーセンサから受け取った第2の信号から前記第2の励起発光光の第2の色値を決定し、
前記決定された色値を、前記第1および第2の波長範囲の紫外光下の発光について、異なる金種に対応する格納された異なる基準色値とそれぞれ比較して、前記決定された色値が基準色値と一致した場合には、前記銀行券の前記金種が前記基準色値と関連付けられた金種に該当すると決定し、
前記決定された金種を示すように前記伝達手段を制御する
ようにさらに動作可能である銀行券検証機。
【請求項2】
前記伝達手段は、前記銀行券が特定されないことを示すようにさらに動作可能であり、
前記処理手段は、決定された色値が前記格納された基準色値のいずれとも一致しないと前記処理手段が判定した場合に、前記銀行券の金種が特定されないことを示すように前記伝達手段を制御するようにさらに動作可能である
請求項1に記載の銀行券検証機。
【請求項3】
前記処理手段は、
前記銀行券を照明し、前記銀行券の前記照明を中断し、前記対応する励起発光光の減衰を検出するように、前記第1の紫外光源および前記第1のカラーセンサ、または前記第2の紫外光源および前記第2のカラーセンサを制御し、
前記金種が前記検出された減衰にさらに適合する場合に限り前記金種を示すように前記伝達手段を制御する
ようにさらに動作可能である請求項1または2に記載の銀行券検証機。
【請求項4】
前記処理手段は、
前記銀行券を照明し、前記銀行券の前記照明を中断し、前記励起発光光の減衰時間値を計測するように、前記第1の紫外光源および前記第1のカラーセンサ、または前記第2の紫外光源および前記第2のカラーセンサを制御し、
前記計測された減衰時間値を、異なる金種に対応する格納された異なる基準減衰時間値と比較し、
前記決定された色値が基準色値と一致した場合には、前記計測された減衰時間値が前記金種に対応する基準減衰時間値とさらに一致する場合に限り、前記銀行券の前記金種が前記基準色値と関連付けられた金種に該当すると決定する
ようにさらに動作可能である請求項1または2に記載の銀行券検証機。
【請求項5】
前記処理手段は、
前記通路を通過した前記検査ゾーンの複数の部分から放出された光に対応する前記第1または第2のカラーセンサから受け取った信号から決定された色値に基づいて、支配的な青色の存在を検出するように、前記第1の光源および前記第1のカラーセンサ、または前記第2の光源および前記第2のカラーセンサを制御し、
支配的な青色の存在が検出された場合に、前記銀行券が有効でないことを示すように前記伝達手段を制御する
ようにさらに動作可能である請求項1ないし4のいずれかに記載の銀行券検証機。
【請求項6】
青色光成分を有する第3の光で前記通路において前記銀行券の前記検査ゾーンの一方の側を照射するように動作可能な第3の光源、および前記検査ゾーンを透過した、または前記検査ゾーンから反射した、対応する第3の励起発光光を受けるように動作可能な第3のカラーセンサ
をさらに備え、前記処理手段は、
前記通路を通過した前記検査ゾーンの複数の部分から前記第3の光の照明に応じて放出された光に対応する前記第3のカラーセンサから受け取った信号から決定された検査ゾーン発光色値に基づいて、対応する発光色の存在を検出するように、前記第3の光源および前記第3のカラーセンサを制御し、
前記対応する発光色の存在が検出された場合に、前記銀行券が有効でないことを示すように前記伝達手段を制御する
ようにさらに動作可能である請求項1ないし5のいずれかに記載の銀行券検証機。
【請求項7】
前記光源のうちの1つがLEDである請求項1ないし6のいずれかに記載の銀行券検証機。
【請求項8】
前記カラーセンサのうちの1つがRGBフォトダイオードである請求項1ないし7のいずれかに記載の銀行券検証機。
【請求項9】
前記カラーセンサのそれぞれが同一のRGBフォトダイオードに依存する請求項1ないし7のいずれかに記載の銀行券検証機。
【請求項10】
前記通路は、前記銀行券の縦または横に対応する走査方向に沿った前記銀行券の移動を可能にするものであり、
前記光源のうちの2つおよび対応する前記カラーセンサは、異なっていて、前記走査方向に対してほぼ直角な方向に整列しており、
前記処理手段は、前記光源のそれぞれに関して前記走査方向に沿ったカラープロファイルを決定するように前記2つの光源および前記対応するカラーセンサを制御し、前記決定されたカラープロファイルを異なる金種に対応する格納された異なる基準カラープロファイルと比較し、前記決定されたカラープロファイルが基準カラープロファイルと一致した場合には、前記銀行券の前記金種が前記基準カラープロファイルと関連付けられた金種に該当すると決定するようにさらに動作可能である請求項1ないし8のいずれかに記載の銀行券検証機。
【請求項11】
手持ち式装置である請求項1ないし10のいずれかに記載の銀行券検証機。
【請求項12】
適切な紫外光照明下で金種に従って固有色発光で輝くように動作可能なマーキングを含む検査ゾーンを有する銀行券の金種を特定する方法であって、
第1の紫外光源を用いて第1の波長範囲の紫外光で前記銀行券の前記検査ゾーンの一方の側を照射し、対応する第1の励起発光光の第1の色値を、前記検査ゾーンを透過した、または前記検査ゾーンから反射した前記第1の励起発光光を受けるように動作可能な第1のカラーセンサからの第1の信号を用いて決定するステップと、
第2の紫外光源を用いて、前記第1の波長範囲とは異なる第2の波長範囲の紫外光で前記銀行券の前記検査ゾーンの一方の側を照射し、対応する第2の励起発光光の第2の色値を、前記検査ゾーンを透過した、または前記検査ゾーンから反射した前記第2の励起発光光を受けるように動作可能な第2のカラーセンサからの第2の信号を用いて決定するステップと、
処理手段を含む制御ユニットにより、前記決定された色値を、前記第1および第2の波長範囲の紫外光下の発光について、前記処理手段のメモリに格納された、異なる金種に対応する所与の異なる基準色値とそれぞれ比較して、前記決定された色値が基準色値と一致した場合には、前記銀行券の前記金種が前記基準色値と関連付けられた金種に該当すると決定するステップと、
前記決定された金種を示すように伝達手段を制御するステップと
を含む方法。
【請求項13】
決定された色値が前記格納された基準色値のいずれとも一致しない場合に、前記銀行券の金種が特定されないことを示すように前記伝達手段を制御するさらなるステップを含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記銀行券を照明し、前記銀行券の前記照明を中断し、前記対応する励起発光光の減衰を検出するように、前記第1の紫外光源および前記第1のカラーセンサ、または前記第2の紫外光源および前記第2のカラーセンサを制御するさらなるステップと、
前記金種が前記検出された減衰にさらに適合する場合に限り前記金種を示すように前記伝達手段を制御するさらなるステップと
を含む請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記銀行券を照明し、前記銀行券の前記照明を中断し、前記励起発光光の減衰時間値を計測するように、前記第1の紫外光源および前記第1のカラーセンサ、または前記第2の紫外光源および前記第2のカラーセンサを制御するさらなるステップと、
前記計測された減衰時間値を、異なる金種に対応する格納された異なる基準減衰時間値と比較するさらなるステップと、
前記決定された色値が基準色値と一致した場合には、前記計測された減衰時間値が前記金種に対応する基準減衰時間値と一致する場合に限り、前記銀行券の前記金種が前記基準色値と関連付けられた金種に該当すると決定するさらなるステップと
を含む請求項12または13に記載の方法。
【請求項16】
前記検査ゾーンの複数の部分から放出された光に対応する前記第1または第2のカラーセンサから受け取った信号から決定された色値に基づいて、支配的な青色の存在を検出するように、前記第1の光源および前記第1のカラーセンサ、または前記第2の光源および前記第2のカラーセンサを制御するさらなるステップと、
支配的な青色の存在が検出された場合に、前記銀行券が有効でないことを示すように前記伝達手段を制御するさらなるステップと
を含む請求項12ないし15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
青色光成分を有する第3の光で前記銀行券の前記検査ゾーンの一方の側を照射する第3の光源、および前記検査ゾーンを透過した、または前記検査ゾーンから反射した、対応する第3の励起発光光を受けるように動作可能な第3のカラーセンサを、前記検査ゾーンの複数の部分から前記第3の光の照明に応じて放出された光に対応する前記第3のカラーセンサから受け取った信号から決定された検査ゾーン発光色値に基づいて、対応する発光色の存在を検出するように制御するさらなるステップと、
前記対応する発光色の存在が検出された場合に、前記銀行券が有効でないことを示すように前記伝達手段を制御するさらなるステップと
を含む請求項12ないし16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記通路は、前記銀行券の縦または横に対応する走査方向に沿った前記銀行券の移動を可能にするものであり、
前記光源のうちの2つおよび対応する前記カラーセンサは、異なっていて、前記走査方向に対してほぼ直角な方向に整列しており、
前記光源のそれぞれに関して前記走査方向に沿ったカラープロファイルを決定するように前記2つの光源および前記対応するカラーセンサを制御するさらなるステップと、前記決定されたカラープロファイルを異なる金種に対応する格納された異なる基準カラープロファイルと比較するさらなるステップと、前記決定されたカラープロファイルが基準カラープロファイルと一致した場合には、前記銀行券の前記金種が前記基準カラープロファイルと関連付けられた金種に該当すると決定するさらなるステップとを含む
請求項12ないし17のいずれか1項に記載の方法。
【図2A】
【図2B】
【図3B】
【図4B】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図1】
【図3A】
【図4A】
【図5A】
【図2B】
【図3B】
【図4B】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図1】
【図3A】
【図4A】
【図5A】
【公表番号】特表2013−509631(P2013−509631A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535831(P2012−535831)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066381
【国際公開番号】WO2011/051399
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(311003204)シクパ ホールディング エスアー (21)
【氏名又は名称原語表記】SICPA HOLDING SA
【住所又は居所原語表記】Avenue de Florissant 41,CH−1008 Prilly Switzerland
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066381
【国際公開番号】WO2011/051399
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(311003204)シクパ ホールディング エスアー (21)
【氏名又は名称原語表記】SICPA HOLDING SA
【住所又は居所原語表記】Avenue de Florissant 41,CH−1008 Prilly Switzerland
【Fターム(参考)】
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