説明

銃型コントローラ

【課題】高次制御機能の搭載を効率的に実現しながら、実射の雰囲気を損なうことのない、操作性と機動性に優れる銃型コントローラを提供する。
【解決手段】射撃ゲームシステムに於ける銃型コントローラに於て、銃型をしたフレームでのグリップ部の末端に連結基部110を設け、この連結基部110から任意の適性方向に、操作子を適所へ配し係る制御回路18を収容する付帯制御部120を、掌握可能に形成して付設し、上記フレームと一体化させて携帯操作の可能な構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射撃ゲームシステムに於ける銃型コントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
射撃ゲームシステムは、受像機、並びに端末器であるコントローラを接続配備し統括制御を行うハードウエア資源を利用して、ソフトウエアのプログラムに基づいた処理情報を、受像機が映像化する中での、画面上に表示される標的を狙撃対象にして、コントローラの操作で疑似射撃を行えることにしたものである。
【0003】
その疑似射撃を行うために使用されるコントローラに於て、所謂、汎用型のコントローラでは、画面上に、コントローラに備わる操作子での操縦可能な照準指標のカーソルを表示させ、このカーソルによる標的の追尾を行いながら、ボタンスイッチでの射撃時機を図る照準操作を要するものとしている(特許文献1を参照)。
【0004】
これに対して、コントローラに銃口部を形成し、そこへ受光素子、或るいは撮像素子等の視覚端末を組み入れ、視覚端末が指向する検出軸での、任意の射出方向先にある着弾地点を検知する仕様にして、実射と同様の銃口を向ける操作での照準修整を可能にすると共に、射撃に際して専用のトリガースイッチにした銃型コントローラがある(特許文献2と3を参照)。
【0005】
そうした銃型コントローラにあって、ゲーム内容の娯楽性を追求し係る演出を高度化させるに伴い、上記した視覚端末とトリガースイッチの構成による射撃機能を準用した上での他に、実行プログラムから生成される様々な局面に、能動的に対応するための操作子を増設し、これに伴なう付加要素で構成された制御回路を搭載する高次対応型の銃型コントローラも考案されている(特許文献4を参照)。
【0006】
【特許文献1】 特表2003−519548号 公報
【特許文献2】 第2686675号 特許公報
【特許文献3】 特開平10−165642号 公報
【特許文献4】 特開平11−319316号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、以上に述べた従来の高次対応型にした銃型コントローラは、銃身部とグリップ部からなる銃の外形をして、そのフレーム内に高次制御機構を集約させたコントローラであって、制御機能の拡張に伴う各操作子が銃身部位に集中して配備されている。
【0008】
故に、その操作子に添えられる手が、標的を捕えた目線に銃身部を沿わせての、実射と同様にした基本的な射撃姿勢で構えた際には、視界を遮り標的の目測での捕捉を妨げると共に、照準操作の運転軸にするグリップ部を握る手首の動きを阻害して、身体的な機敏性を要する照準操作に支障を来たし、演出された臨場感を損なう欠点がある。
【0009】
そこで本発明は、高次制御機能の搭載を効率的に実現しながら、実射の雰囲気を損なうことのない、操作性と機動性に優れる銃型コントローラの提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
その目的を達成するために、本発明の請求項1に記載する銃型コントローラは、射撃ゲームシステムに於ける銃型コントローラに於て、銃型をしたフレームでのグリップ部の末端に連結基部を設け、この連結基部から任意の適性方向に、操作子を適所へ配し係る制御回路を収容する付帯制御部を、掌握可能に形成して付設し、上記フレームと一体化させて携帯操作の可能な構成にしたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載する銃型コントローラは、請求項1に於ける連結基部への付帯制御部の接合に於て、連結基部側に球状の突出部を設け、他方、付帯制御部側の当接部位を、上記突出部の摺動を可能としながら嵌合保持する形状にして一対の滑節部とし、この滑節部を介した連結基部と付帯制御部の連結により、相対して回動可能な構成であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、高次制御機能を備える付帯制御部を銃型フレームの枠外にしたグリップ下方へ設けることで、操作性本位にして操作子と係る制御回路の構成が可能であって、目障りな銃身部への添え手を不要とし、死角の発生原因を排除することができる。
【0013】
それと共に、グリップ部を握りながらトリガーの操作を行う利き手に対し、その下に位置する付帯制御部への添え手は、利き手の動きに追従する態様にして利き手の手振れを防ぐ支えにもなり、射撃姿勢を安定させ照準操作時での機動性の向上に効果がある。
【0014】
次いで、請求項2に記載の発明によれば、意表を突く標的の動きに対して、グリップ部を握る利き手の手首運転で、反応を素早くした照準操作が可能であり、更なる機動性の向上に効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、各図と照らした本発明の実施形態を説明する。
【実施例1】
【0016】
本実施例は、図1と図2、そして図3にて示されている。この実施形態では、外観様式を実銃に倣う銃身部2とグリップ部3からなるフレーム10にして、銃身部2前端面に設けられた銃口部2aにあっては、視覚端末15が、視覚端末15での検出軸を、想定した射軸1と同一軸となる設定にして配備されている。
【0017】
また、銃身部2と交叉するグリップ部3前面の先に置かれたトリガー4は、バネ6での付勢を受ける常態定位置にして、回転軸5を介し銃身部2に軸支され、これに伴うトリガー4操作時の矢示方向Xへの回転動作に応じて入力稼動するスイッチ16を配置し、以上による銃本体が構成されている。
【0018】
この銃本体を基にして、グリップ部3の末端3aには、図2に示す板状にした突起の連結基部11が設けられている。
【0019】
そして、その連結基部11を側方左右から挟み一体にする付帯制御部12が、上記連結基部11から前方向に射軸1と並行させて、圧入、若しくは螺着式のピン14にて上記連結基部11に固定されている。
【0020】
上記付帯制御部12は、図3の部分断面にした一例にある通りの、適当とする外周側壁面の適所へ設けられた穿孔部に、嵌挿されて内外方向の上下動が可能な操作子17を配し、そうした操作子17と連係する付加要素で構成された制御回路18を搭載している。
【0021】
その上で、上記した銃本体での視覚端末15とスイッチ16の各配線(図示省略)を、連結基部11に設けられた連通口13から付帯制御部12内に通しての、制御回路18と接続させた複合回路にする構成も可能としながら、これ等電装と繋った配線ケーブル19による付帯制御部12先端からのハードウエア側(図示省略)への接続がなされている。
【0022】
ところで、この様に制御回路18を備えて構成されるコントローラであれば、その回路内に無線送信装置を組み込むことも容易であり、ハードウエア側に受信部を付設すれば、無線方式の銃型コントローラにすることも可能である。
【0023】
以上のように、本実施例の適用された銃型コントローラは、操作性本位での操作子17と係る制御回路18の配置としたことで、目障りな銃身部2への添え手を不要とし、死角の発生原因を排除すると共に、グリップ部3を握りながらトリガー4の操作を行う利き手に対し、その下に位置する付帯制御部12への添え手は、利き手の動きに追従する態様にして利き手の手振れを防ぐ支えにもなり、射撃姿勢が安定し照準操作時での機動性を向上させることができる。
【0024】
更に副次的な利点として、連結基部11にあるピン14を抜くことで、銃本体と付帯制御部12の二分割が可能であることから、例えば、銃本体に個性的な意匠での各種型式を用意し、他方の付帯制御部12では難易度による初級と上級向け等の専用機を設け、夫々に組み替えることが容易であり、利用者側での多様な要望に開発と生産の両面で効率的に対応することが出来る。
【実施例2】
【0025】
本実施例は、図4と図5にて示されている。この実施形態では、実施例1での銃本体を基にして、グリップ末端3aの平面部に鉛直とした円柱111を設け、その円柱111先端には球状の突出部112を形成し、新たな連結基部110が備えられている。
【0026】
上記突出部112は、上記円柱111と同心円にして円柱111外径よりも大径とした上で、図5に示す、突出部112の球面に当接する湾曲面を形成して、突出部112を側方左右から挟む接合部121をなした付帯制御部120を連結させている。
【0027】
上記接合部121にあっては、滑節として円柱111軸を自転軸にした銃本体、若しくは、付帯制御部120の回動を可能とし、また、円柱111を囲んだ口腔部を接合部121に設け、この口腔部内壁面122と内接する円柱111での周回軌道を範囲にした、旋回運転も可能としている。
【0028】
こうして連結された上記付帯制御部120には、連結基部110に備わる連通口113からの配線引込口とした通用口123を設け、実施例1と同様の装備構成がなされている。
【0029】
以上のように、本実施例の適用された銃型コントローラであれば、標的の意表を突いた動きに対し、滑節部を設けたことによる、グリップ部3を握る利き手の手首運転での反応の素早い照準操作が可能であり、機動性の向上に効果があると共に、実施例1と同様にした副次的な効果を応用して得ることができる。
【実施例3】
【0030】
本実施例は、図6と図7、そして図8と図9にて示されている。この実施形態では、本発明を適用することで実現可能な銃型コントローラの一例として、前記した実施例での銃本体部にあって、トリガー操作と連動するハンマー機構を設けると共に、圧縮空気、または、液化ガスの気化による膨張圧力を動力源にする駆動装置と、この駆動装置に連動するスライド機構を配し、これ等が連係して、実銃が次弾の発射用意を自動で行う実射時作動の再現可能な構成にしている。
【0031】
上記した各要素の関連を具体的に説明すると、スライド機構はそうした中軸であり、銃身部20の側面左右に射軸1と並走した案内溝20dを設け、この案内溝20dに対し、図7に示す断面形状にして嵌挿されるスライド51を配備させ、その内側にする銃身部位にあっては、視覚端末15を配した銃口部20aと同外径で連なる筒型銃身部20bを設け、これを支えるブロック部20cが、グリップ部30と同体でのフレーム100にして形成されている。
【0032】
そして上記ブロック部20c前面には、ガイドロッド53を案内にしてスライド51を前方向に付勢するバネ52を配し、これに伴いスライド51前端面には、上記筒型銃身部20bとガイドロッド53の夫々の貫通口51aを穿孔し、上記スライド51が、ブロック部20cの後方端と当接した常態での定位置から後退動した状況に於て、自動復帰することを可能としたスライド機構にして構成されている。
【0033】
次いで上記したフレーム100では、射軸1を機軸にして、ブロック部20c後端から前方向への気筒部61と、その頭頂部の狭窄孔62と、これに続く奥室空洞部63を同軸配列で穿設すると共に、他方、グリップ末端30aに注入口31を配し、これを上記奥室空洞部63と通気孔64で結び、上記注入口31から気筒部61後端に至るまでの気密通路が確保されている。
【0034】
そうした下で、上記気筒部61前後方向の内法と等長にした、気筒部61に内嵌するピストン65と、上記奥室空洞部63内を前後動する狭窄孔62への可動弁66を配備し、この可動弁66には、ピストン65を貫通しスライド51後方へ後端部を突出させる一方で、奥室空洞部63前方に突き抜けた先端部を形成する押圧軸66aが付されていると共に、可動弁66が狭窄孔62を常態で密閉状態に付勢するバネ67を備え、以上によるフレーム100内での駆動装置を構成している。
【0035】
これと共にある同フレーム100内でのハンマー機構は、フレーム100後部に回転軸72で軸支されたハンマー71にあって、図8に示すプレート73と押しバネ74からなる付勢装備で、ハンマー71に形成されたカム部71aの作用により、矢示方向Yへの自転を可能とし、また、このハンマー71を後方へ回転させた際の適当な回転度合で、ハンマー71のノッチ部71bと係合する係止装置80を備えることの他に、係止装置80と係脱可能な連係器45をトリガー40に保持させた構成としている。
【0036】
即ち、ハンマー71を後転させ、係止装置80での係留をなした図9(A)の状況に於て、係留の解除がなればハンマー71の図6に示す常態への復帰が可能であり、その際のハンマー71の慣性回転で上記押圧軸66a後端部を衝打した後、押圧軸66aに付勢するバネ67からの反撥を受けて常態へ回帰する設定とし、同押圧軸66a先端側には、同時押圧稼動のなるスイッチ16を配して、以上による銃本体を完成させている。
【0037】
この銃本体は、前述した実施例に準じる付帯制御部12、120の連結手段によって、電装をハードウエアへ接続されると共に、上記注入口31を蓄圧補充の可能な高圧容器(図示省略)とホース90で結び、奥室空洞部63に圧縮空気を供給する常態にして、射撃ゲームシステムの銃型コントローラとした実銃に於ける実射作動の再現を可能にしている。
【0038】
ところで、当実施例にある銃型コントローラは、図6に示した常態時からではトリガー40操作を行っても射撃機能は作動をしない。所謂、実銃機構に倣ったシングルアクションとして、初動時には図9(A)に示したハンマー71を後転させての係止状態にする(これを「コッキング」という。)ことの操作を要する。
【0039】
その操作は、利き手で押えられた銃本体にあって、添え手側で案内溝20dを軌道にするスライド51を後方へ引くことにより、スライド51後端がハンマー71と摺接し半自動的に行うことができるが、直接的に指でハンマー71を回転させることも可能であり、そうした後に銃型コントローラの射撃体勢がなる。
【0040】
そして照準を定めた適時にトリガー40を引くことにより、トリガー40に保持されている連係器45が、ハンマー71でのノッチ部71bと係合した、回転軸81に軸支されバネ82による付勢状態にある係止装置80を、係脱方向へ引き倒し、他方で解放されたハンマー70はプレート73と押しバネ74での付勢装備により、矢示方向Yへの復帰回転をして押圧軸66a後端を衝打する。
【0041】
この衝打によって、押圧軸66a先端がスイッチ16を押し射撃信号の入力がなり、同時にまた、同一体の可動弁66が狭窄孔62を開くことで、蓄圧気体が奥室空洞部63から気筒部61へ流出し、その膨張力で気筒部61内周壁に摺接するピストン65が自動的な後退動をなし、これと連動するスライド51により、ハンマー71は図9(B)に示すコッキング態勢となる。
【0042】
この態勢での係止装置80の作動と同時機にあって、ハンマー71が押圧軸66aから離れることでの可動弁66の閉作動によって、排気遮断された気筒部61内が平常気圧に戻り、これにより、バネ52に付勢されたスライド51が常態復帰可能となり、図9(A)の次弾発射用意を整えた状態にして、以降でのトリガー40操作を繰り返すのみにした自動連射がなる。
【0043】
また、ハンマー71を押えて強制停止しながらトリガー40を引き、コッキング解除にして、このハンマー71を常態定位置までゆっくりと戻すことで発射用意からの係脱可能となる。
【0044】
本実施例の適用された銃型コントローラは、以上のように、実銃が次弾の発射用意を自動で行う一連動作を再現可能にして、その迫力を体感することができる。
【0045】
また、注入口31に液化ガスの注入バルブを配し、通気孔64には、その注入されたガスの気化室を兼ねた貯留部位を設けることで、補給用ホース90を不用にすることが可能であって、前述した配線ケーブル19の無線化と併用すれば、銃型コントローラのコードレス化がなり、その機動性での更に臨場感のある射撃を体感することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】 実施例1にする銃型コントローラの概略断面図。
【図2】 本発明に係る要部を部分断面にして同銃型コントローラを後方から見た外観図。
【図3】 本発明に係る要部を部分断面にして同銃型コントローラを前方から見た外観図。
【図4】 実施例2にする銃型コントローラの概略断面図。
【図5】 本発明に係る要部を部分断面にして同銃型コントローラを後方から見た外観図。
【図6】 実施例3にする銃型コントローラの概略断面図。
【図7】 同銃身部を断面にして前方から見た外観図(バネ52の図示省略)。
【図8】 同ハンマー機構での付勢装備の概略断面図(押しバネ74の図示省略)。
【図9】 (A) 係止装置80の作動状態を示した概略断面図。(B) 射撃時の作動状態を示した概略断面図。
【符号の説明】
【0047】
1 射軸
2、20 銃身部
2a、20a 銃口部
3、30 グリップ部
3a、30a 末端
4、40 トリガー
5 回転軸
6 バネ
10、100 フレーム
11、110 連結基部
12、120 付帯制御部
13、113 連通口
14 ピン
15 視覚端末
16 スイッチ
17 操作子
18 制御回路
19 配線ケーブル
20b 筒型銃身部
20c ブロック部
20d 案内溝
31 注入口
45 連係器
51 スライド
51a 貫通口
52 バネ
53 ガイドロッド
61 気筒部
62 狭窄孔
63 奥室空洞部
64 通気孔
65 ピストン
66 可動弁
66a 押圧軸
67 バネ
71 ハンマー
71a カム部
71b ノッチ部
72 回転軸
73 プレート
74 押しバネ
80 係止装置
81 回転軸
82 バネ
90 ホース
111 円柱
112 突出部
121 接合部
122 口腔部内壁面
123 通用口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
射撃ゲームシステムに於ける銃型コントローラに於て、銃型をしたフレームでのグリップ部の末端に連結基部を設け、この連結基部から任意の適性方向に、操作子を適所へ配し係る制御回路を収容する付帯制御部を、掌握可能に形成して付設する構成にしたことを特徴とする銃型コントローラ。
【請求項2】
連結基部への付帯制御部の接合に於て、滑節部を介した連結基部と付帯制御部の連結により、相対して回動可能な構成であることを特徴とする請求項1に記載の銃型コントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−145081(P2010−145081A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−336318(P2008−336318)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(505028750)
【Fターム(参考)】