説明

銃火器管理システム及び銃火器管理プログラム

【課題】銃火器の管理負担を低減し、かつ銃火器の管理を確実に行うことが可能な銃火器管理システムを提供する。
【解決手段】けん銃Gを保管するための個人用保管庫21と、通信回線を介して個人用保管庫21と接続された中央管理コンピュータ32とを備え、個人用保管庫21は、内部に収納されたけん銃Gの重量情報を検知する電子天秤26と、この電子天秤26で検知された重量情報を中央管理コンピュータ32に送信するライン5と、を具備し、中央管理コンピュータ32は、個人用保管庫21に収納されるべきけん銃Gの重量情報を登録重量56fとして予め記憶した利用者認証データベース56と、電子天秤26から送信された重量情報と利用者認証データベース56に予め記憶されている登録重量56fとを比較し、個人用保管庫21に収納されたけん銃Gが予め登録されたけん銃Gであるか否かを判別するけん銃管理プログラム55と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は銃火器管理システム及び銃火器管理プログラムに係り、特に、保管庫からの銃火器の持出しや収納を自動的に管理するための銃火器管理システム及び銃火器管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
警察署やクレー射撃場などの施設において、けん銃やライフルといった銃火器の保管が行われている。通常、銃火器の保管は、専用の特殊保管庫を用いて行われている(例えば、特許文献1参照)。利用者は、銃火器を使用する際に保管庫から銃火器を持ち出し、使用後は保管庫内の所定の位置に銃火器を収納する。
【0003】
銃火器の盗難防止のため、銃火器がいつ保管庫から持ち出されたり収納されたりしたかについて厳密に管理する必要がある。従来、銃火器の管理は、人手によって行われてきた。例えば警察署では、警官が勤務時に携帯するけん銃を保管庫から持ち出したり保管庫へ収納したりする際に、管理責任者が警官に付き添って保管庫からのけん銃の持出しや収納を目視により確認し、持出し時間や収納時間などを専用の台帳に手書きで記入している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−238744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような人手による確認作業は、人件費がかかるため管理上の負担が大きく、管理コストの増大を招いていた。加えて、従来の確認作業では人手が介入するため人為的ミスが発生しやすく、このためけん銃の紛失などの事態を招くおそれもある。
【0006】
本発明の目的は、保管庫への銃火器の持出しや収納を自動的に管理することで、銃火器の管理負担を低減し、かつ銃火器の管理を確実に行うことが可能な銃火器管理システム及び銃火器管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、本発明の銃火器管理システムによれば、銃火器(けん銃G)の持出し及び収納を管理するための銃火器管理システムであって、銃火器を保管するための保管庫(個人用保管庫21)と、通信回線を介して前記保管庫と接続された中央管理コンピュータ(32)とを備え、前記保管庫は、内部に収納された銃火器を特定するための銃火器特定情報を検知する銃火器検知手段(電子天秤26、接触センサ43、けん銃撮像カメラ44、無線タグリーダ42c)と、該銃火器検知手段で検知された前記銃火器特定情報を前記中央管理コンピュータに送信する送信手段(ライン5)と、を具備し、前記中央管理コンピュータは、前記保管庫に収納されるべき銃火器を特定するための銃火器特定情報を登録特定情報として予め記憶した特定情報記憶手段(ハードディスク51、利用者認証データベース56)と、前記銃火器検知手段で検知された前記銃火器特定情報と前記特定情報記憶手段に予め記憶されている前記登録特定情報とを比較し、前記保管庫に収納された銃火器が前記保管庫に収納されるべき銃火器として予め登録された銃火器であるか否かを判別する銃火器判別手段(CPU50、けん銃管理プログラム55)と、を具備し、また、前記銃火器検知手段は、実包が装填されていない状態の未装填銃火器を特定するための未装填銃火器特定情報を検知する未装填銃火器検知手段(けん銃用電子天秤66)と、実包の数を特定するための実包特定情報を検知する実包検知手段(実包用電子天秤76)とを具備し、前記送信手段は、前記未装填銃火器検知手段で検知された前記未装填銃火器特定情報と、前記実包検知手段で検知された実包特定情報を前記中央管理コンピュータに送信し、前記特定情報記憶手段は、前記保管庫に収納されるべき未装填銃火器を特定するための登録未装填銃火器特定情報と、前記未装填銃火器に装填されるべき実包の数を特定するための登録実包特定情報とを前記登録特定情報として予め個別に記憶し、前記銃火器判別手段は、前記未装填銃火器検知手段で検知された前記未装填銃火器特定情報と前記特定情報記憶手段に予め記憶されている前記登録未装填銃火器特定情報とを比較するとともに、前記実包検知手段で検知された前記実包特定情報と前記特定情報記憶手段に予め記憶されている前記登録実包特定情報とを比較し、前記保管庫に収納された未装填銃火器が収納されるべき未装填銃火器として予め登録された未装填銃火器か否か、及び前記保管庫に収納されるべき数の実包が収納されたか否かをそれぞれ判別することにより解決される。
【0008】
このように、予め登録された銃火器が保管庫に収納されたか否かを中央管理コンピュータが自動的に判別するため、人手による管理を行う必要が無い。また、銃火器を特定するための銃火器特定情報を検知し、これを中央管理コンピュータの情報と比較して銃火器の判別を自動的に行っているため、人手で判別を行う場合と比較して判別精度が向上する。なお、この場合における銃火器とは、実包を装填した状態と、実包を装填していない未装填状態の両方を含むものである。また、実包未装填の銃火器を特定するための情報と実包を特定するための情報を個別に検知し、それぞれについて特定情報記憶手段に予め記憶された登録特定情報と比較するため、未装填の銃火器と実包の両方について特定情報記憶手段に登録されているか否かを個別に判別することができる。このため、例えば実包の紛失や詐取などを確実に見つけ出すことができる。
【0009】
上記課題は、本発明の銃火器管理プログラムによれば、銃火器を保管するための保管庫と、通信回線を介して前記保管庫と接続された中央管理コンピュータとを備え、該保管庫を利用した銃火器の持出し及び収納を管理するための銃火器管理プログラムであって、前記中央管理コンピュータに、前記保管庫に収納されるべき銃火器を特定するための銃火器特定情報を登録特定情報として予め記憶する登録特定情報記憶処理と、前記保管庫の内部に収納された銃火器を特定するための銃火器特定情報を、前記通信回線を介して前記保管庫から受信する銃火器受信処理と、前記登録特定情報記憶処理で記憶された前記登録特定情報を読み出す登録特定情報読出処理と、前記銃火器受信処理で受信した前記銃火器特定情報と前記登録特定情報読出処理で読み出した前記登録特定情報とを比較し、前記保管庫に収納された銃火器が前記保管庫に収納されるべき銃火器として予め登録された銃火器であるか否かを判別する銃火器判別処理と、を実行させ、前記銃火器受信処理は、実包が装填されていない状態の未装填銃火器を特定するための未装填銃火器特定情報を受信する未装填銃火器受信処理と、実包の数を特定するための実包特定情報を受信する実包受信処理とを具備し、前記登録特定情報記憶処理は、前記保管庫に収納されるべき未装填銃火器を特定するための登録未装填銃火器特定情報と、前記未装填銃火器に装填されるべき実包の数を特定するための登録実包特定情報とを前記登録特定情報として予め個別に記憶し、前記銃火器判別処理は、前記未装填銃火器検知手段で検知された前記未装填銃火器特定情報と前記登録特定情報記憶処理において予め記憶された前記登録未装填銃火器特定情報とを比較するとともに、前記実包受信処理で受信された前記実包特定情報と前記登録特定情報記憶処理において予め記憶された前記登録実包特定情報とを比較し、前記保管庫に収納された未装填銃火器が収納されるべき未装填銃火器として予め登録された未装填銃火器か否か、及び前記保管庫に収納されるべき数の実包が収納されたか否かをそれぞれ判別することにより解決される。
【0010】
このように、予め登録された銃火器が保管庫に収納されたか否かを中央管理コンピュータが自動的に判別するため、人手による管理を行う必要が無い。また、銃火器を特定するための銃火器特定情報を検知し、これを中央管理コンピュータの情報と比較して銃火器の判別を自動的に行っているため、人手で判別を行う場合と比較して判別精度が向上する。また、実包未装填の銃火器を特定するための情報と実包を特定するための情報を個別に検知し、それぞれについて予め記憶された登録特定情報と比較するため、未装填の銃火器と実包の両方について登録されているか否かを個別に判別することができる。このため、例えば実包の紛失や詐取などを確実に見つけ出すことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の銃火器管理システムや銃火器管理プログラムによれば、予め登録された銃火器が保管庫に収納されたか否かを中央管理コンピュータが自動的に判別するため、人手による管理を行う必要が無い。したがって、銃火器の管理に要する負担を低減することができる。
【0012】
また、本発明の銃火器管理システムや銃火器管理プログラムによれば、中央管理コンピュータで自動的に銃火器の判別を行うため、従来のように人手で判別を行う場合と比較して判別結果の確実性が高くなる。したがって、人手で行う場合と比較して、銃火器の判別精度が向上し、不正行為を確実に見つけ出すことができる。
【0013】
また、本発明の銃火器管理プログラムによれば、予め登録された銃火器が保管庫に収納されたか否かを自動的に判別するため、人手による管理を行う必要が無い。したがって、管理負担を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】銃火器管理システムの全体構成を示す概念図である。
【図2】けん銃保管室の概要を示す斜視部分断面図である。
【図3】電子天秤の概要を示す斜視図である。
【図4】中央管理コンピュータの機能ブロック図である。
【図5】利用者認証データベースのデータ構造を示す説明図である。
【図6】けん銃管理システムの全体の流れを示すフローチャートである。
【図7】けん銃保管室入室管理の流れを示すフローチャートである。
【図8】個人用保管庫開閉管理の流れを示すフローチャートである。
【図9】けん銃収納照会管理の流れを示すフローチャートである。
【図10】けん銃持出照会管理の流れを示すフローチャートである。
【図11】けん銃保管室退室管理の流れを示すフローチャートである。
【図12】表示装置で保管庫利用状況を詳細表示する画面例である。
【図13】表示装置で保管庫利用状況を表示する画面例である。
【図14】表示装置で警告表示するときの画面例である。
【図15】第2、第3の実施形態に係る銃火器管理システムの電子天秤を示す斜視図である。
【図16】第4の実施形態に係る銃火器管理システムの電子天秤を示す斜視図である。
【図17】第5の実施形態に係る銃火器管理システムの全体構成を示す概念図である。
【図18】第6の実施形態に係る銃火器管理システムのけん銃保管室の概要を示す斜視部分断面図である。
【図19】第6の実施形態に係る銃火器管理システムの電子天秤の概要を示す斜視図である。
【図20】第7の実施形態に係る銃火器管理システムの利用者認証データベースのデータ構造を示す説明図である。
【図21】第7の実施形態に係る銃火器管理システムにおいて表示装置で利用者勤怠状況を一覧表示する画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
【0016】
図1〜図21は本発明の一実施形態に係る銃火器管理システムや銃火器管理プログラムの説明図であり、このうち図1は銃火器管理システムの全体構成を示す概念図、図2はけん銃保管室の概要を示す斜視部分断面図、図3は電子天秤の概要を示す斜視図、図4は中央管理コンピュータの機能ブロック図、図5は利用者認証データベースのデータ構造を示す説明図、図6はけん銃管理システムの全体の流れを示すフローチャート、図7はけん銃保管室入室管理の流れを示すフローチャート、図8は個人用保管庫開閉管理の流れを示すフローチャート、図9はけん銃収納照会管理の流れを示すフローチャート、図10はけん銃持出照会管理の流れを示すフローチャート、図11はけん銃保管室退室管理の流れを示すフローチャート、図12は表示装置で保管庫利用状況を詳細表示する画面例、図13は表示装置で保管庫利用状況を表示する画面例、図14は表示装置で警告表示するときの画面例である。
【0017】
また、図15は第2、第3の実施形態に係る銃火器管理システムの電子天秤を示す斜視図、図16は第4の実施形態に係る銃火器管理システムの電子天秤を示す斜視図、図17は第5の実施形態に係る銃火器管理システムの全体構成を示す概念図、図18は第6の実施形態に係る銃火器管理システムのけん銃保管室の概要を示す斜視部分断面図、図19は第6の実施形態に係る銃火器管理システムの電子天秤の概要を示す斜視図、図20は第7の実施形態に係る銃火器管理システムの利用者認証データベースのデータ構造を示す説明図、図21は第7の実施形態に係る銃火器管理システムにおいて表示装置で利用者勤怠状況を一覧表示する画面例である。
【0018】
なお、図1と図2では、発明の理解を容易にするために、本来は視認できない位置にある保管室電子錠13、入退室ドア制御盤15、保管庫電子錠23、保管庫制御盤25、電子天秤26を破線で示している。図17、図18についても同様である。
(第1の実施形態)
以下の各実施形態では、銃火器の一例としてけん銃の管理を行うシステムの説明をしているが、銃火器としてはけん銃に限定されず、小銃、機関銃などであってもよい。
【0019】
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1に示すように、銃火器管理システムは、けん銃を保管するためのけん銃保管室1(銃火器保管室)と、けん銃保管室1を利用する利用者の管理を行うための管理室3とを備えている。管理室3は、けん銃保管室1とは別の部屋として設けられており、遠隔からけん銃保管室1の利用者を管理することができるように構成されている。このため、銃火器管理の際のセキュリティが確保されている。
【0020】
けん銃保管室1は、入退出口に対して開閉自在に設けられた入退室ドア11と、入退室ドア11に設けられた開閉制御装置12と、入退室ドア11に設けられた保管室電子錠13と、けん銃保管室1の外壁に設けられたRFIDタグリーダ14と、開閉制御装置12,保管室電子錠13及びRFIDタグリーダ14と接続された入退室ドア制御盤15と、けん銃保管室1の外壁に設けられた外部スピーカ16と、けん銃保管室1の外部に設けられた外部監視カメラ17とを備えている。
【0021】
けん銃保管室1の内部には、個人用保管庫21が配置されている。図1、図2に示すように、個人用保管庫21は、それぞれ開口を有する複数の保管室と、それぞれの保管室の開口に対して開閉自在に設けられた複数の保管庫扉22と、それぞれの保管庫扉22に設けられた保管庫電子錠23と、個人用保管庫21に設けられたカードリーダ24と、保管庫電子錠23及びカードリーダ24と接続された保管庫制御盤25と、それぞれの保管室内に設けられた電子天秤26と、けん銃保管室1の内壁に設けられた内部スピーカ27と、けん銃保管室1の内壁に設けられた内部監視カメラ28とを備えている。
【0022】
また、管理室3の内部には、中央制御装置31と、中央管理コンピュータ32と、表示装置33と、入力装置34とが設けられている。
【0023】
けん銃保管室1の各装置と管理室3の中央制御装置31とは、通信回線であるライン5によって電気的に接続されている。ライン5は、本発明の送信手段に相当する。
【0024】
入退室ドア11は、けん銃保管室1の入退出口を塞ぐ位置に設けられている。入退室ドア11の内部には開閉制御装置12が設けられており、この開閉制御装置12は入退室ドア制御盤15に電気的に接続されている(図1参照)。開閉制御装置12は、入退室ドア制御盤15からの制御信号により入退室ドア11の開動作や閉動作を行う。
【0025】
なお、本実施形態の入退室ドア11は、けん銃保管室1側の側端部を軸に円弧状に開閉する開き戸式のドアであるが、左右にスライドする引戸式であってもよい。
【0026】
保管室電子錠13は、入退室ドア11のドアノブ部分近傍のドア本体内部に取り付けられており、長方形状のデッドボルトが入退室ドア11の側面から出没する構造となっている。
【0027】
けん銃保管室1の入退室口のうちデッドボルトに対応する位置には図示しない開口が設けられており、入退室ドア11から突出したデッドボルトがこの開口内に収容されることで、入退室ドア11が施錠される。反対に、開口内に収容されたデッドボルトが入退室ドア11に没入することで、入退室ドア11が開錠される。
【0028】
保管室電子錠13は、入退室ドア制御盤15に電気的に接続されており(図1参照)、入退室ドア制御盤15からの制御信号により入退室ドア11の施錠や開錠が行われる。
【0029】
RFIDタグリーダ14は、利用者が所持するRFIDタグの情報を無線で読み取って入退室ドア制御盤15に送信するための装置である。RFIDタグリーダ14はRFIDタグを読み取るための読取り装置を備えている。この読取り装置は、けん銃保管室1の外壁面と内壁面の入退室ドア11の上部にそれぞれ設置されている。
【0030】
利用者はRFIDタグを内蔵した名札を予め所持している。利用者が入退室ドア11の入口あるいは出口の前に立つと、RFIDタグリーダ14は利用者の名札からRFIDタグに記憶された固有情報を無線で読み取り、入退室ドア制御盤15に送信する。
【0031】
なお、RFIDタグリーダ14は、本発明の利用者検知手段に相当する。
RFIDタグリーダ14の読取装置は、けん銃保管室1の外部と内部にそれぞれ設置されている。このため、利用者が入室しようとしているときは外部の読取装置が内部の読取装置よりも先に作動する。反対に、利用者が退室しようとしているときは内部の読取装置が外部の読取装置よりも先に作動する。したがって、どの読取装置が先に作動したかにより、利用者が入室しようとしているのか退室しようとしているのかを判別することができるようになっている。
【0032】
なお、RFIDタグを内蔵する物品としては名札に限定されず、利用者が常時携帯する物品に取り付けられていてRFIDタグリーダ14で読み取ることができればどのようなものであってもよい。例えば、利用者が警察官であれば警察手帳などに内蔵させてもよい。
【0033】
図1に戻って、入退室ドア制御盤15は、RFIDタグリーダ14で読み取られたRFIDタグ情報を管理室3の中央制御装置31に送信する装置である。また、入退室ドア制御盤15は、中央制御装置31からの制御信号に基づいて、開閉制御装置12を開閉駆動して入退室ドア11を開閉したり、保管室電子錠13を駆動して施錠又は開錠を行ったりするよう構成されている。
【0034】
外部スピーカ16は、警報や各種アナウンスを出音する装置である。外部スピーカ16は、ライン5を介して中央制御装置31と電気的に接続されており、中央制御装置31から送信される音声出力信号に基づいて警報音やアナウンス音声などを発する。
【0035】
外部監視カメラ17は、けん銃保管室1の入退出口を撮像する装置である。外部監視カメラ17は、入退出口を向けて設置され、入退出口を出入りする利用者を撮像できるようになっている。外部監視カメラ17は、中央制御装置31に接続され、撮像データを送信したり、中央制御装置31からの制御信号を受信したりすることが可能となっている。撮像された画像データは中央管理コンピュータ32に保存されるとともに、表示装置33で表示される。
【0036】
本実施形態の外部監視カメラ17は、常時起動した状態となっており、入退室口を出入りする利用者を常に撮像している。なお、入退室口の近くに人体センサなどを設置して利用者の接近を検知し、利用者が入退室口に近づいたときのみ外部監視カメラ17を起動してもよい。このようにすることで、外部監視カメラ17を常時駆動する場合と比較して電力消費などを低減することができる。
【0037】
次に、けん銃保管室1の室内について説明する。
けん銃保管室1の室内には、保管対象物であるけん銃を保管するための個人用保管庫21が設置されている。個人用保管庫21は、けん銃を収納して保管するための複数の保管室が画設されたロッカータイプの保管庫である。各保管室の開口には保管庫扉22がそれぞれ開閉自在に設けられている。
【0038】
保管庫扉22は、入退室ドア11と同様に開き戸式の扉である。保管庫扉22には透明な保管庫窓22aが設けられており、外部から保管室内を視認できるようになっている。それぞれの保管庫扉22には、保管庫電子錠23が設けられている。また、保管庫扉22には、図示しないセンサが設けられており、保管庫扉22の開閉状態に応じた信号を出力するように構成されている。
【0039】
保管庫電子錠23は、保管庫扉22のドアノブ部分近傍に取り付けられており、保管庫扉22の側面からデッドボルトが出没自在となっている。保管庫電子錠23は、保管庫制御盤25と電気的に接続されており、保管庫制御盤25からの制御信号に基づいて施錠又は開錠が行われる。
【0040】
個人用保管庫21の正面側部には、カードリーダ24が設けられている。カードリーダ24は、利用者が所有するICカードをカードリーダ24の読取り部でスライドさせることで、ICカードに記録されたカード情報を読み取って保管庫制御盤25に送信できるようになっている。
【0041】
なお、カードリーダ24は、本発明の利用者特定手段に相当する。また、ICカードに記憶されたカード情報は、利用者を特定するための利用者特定情報に相当する。
【0042】
保管庫制御盤25(図1参照)は、カードリーダ24で読み取られたICカード情報を中央制御装置31に送信する装置である。また、保管庫制御盤25は、中央制御装置31からの制御信号に応じて保管庫電子錠23の施錠や開錠を制御する信号を保管庫電子錠23に送信し、その施錠と開錠を制御する。
【0043】
各保管室内には、電子天秤26が設けられている。図3に示すように、電子天秤26は、台座41と、台座41の上に配置された載置台42とを備え、載置台42に装着されたけん銃Gと弾倉Mの重量を計測できるよう構成されている。すなわち、電子天秤26は、けん銃Gと弾倉Mを特定するための銃火器特定情報としてこれらの重量を計測する銃火器検知手段であるとともに、けん銃Gと弾倉Mを保管室内に固定する固定手段も兼ねている。
【0044】
本実施形態のけん銃Gは、実包を装填した弾倉Mを取り外すことが可能になっている。そして、電子天秤26は、実包を装填していない状態のけん銃Gと、実包を装填した状態の弾倉Mとを個別に固定できるようになっている。このように、けん銃本体と実包を分離して収納することで、保管室内で暴発等が生じることがなく安全である。
【0045】
台座41は、内部にコンピュータを備え、載置台42に載置されたけん銃Gや弾倉Mの重量を計測できるようになっている。台座41は、ライン5を介して中央制御装置31と電気的に接続されており、計測されたけん銃Gと弾倉Mの合計重量を送信可能となっている。また、台座41には、デジタル表示部41aが設けられており、台座41で計測されたけん銃Gと弾倉Mの合計重量を表示できるようになっている。
【0046】
また、台座41は、載置台42に取り付けられた接触センサ43の検知信号を受信し、解析することができるようになっている。
【0047】
載置台42の上面には、弾倉Mを抜き出した状態のけん銃Gを装着するためのけん銃用刻設部42aと、弾倉Mを装着するための弾倉用刻設部42bとが設けられている。けん銃用刻設部42aは、けん銃Gの側面形状とほぼ一致する形状が刻設されたくぼみである。弾倉用刻設部42bは、弾倉Mの側面形状とほぼ一致する方形状のくぼみである。
【0048】
けん銃用刻設部42aの表面の複数箇所には、表面形状検知手段としての接触センサ43が配設されている(図3(a)参照)。接触センサ43は、物品の接触による圧力の変化を検知する感圧センサであり、検知結果は台座41に内蔵されたコンピュータに送信される。接触センサ43は、そのけん銃Gに特徴的な突出部などの特徴部位に対応する位置に配設されている。
【0049】
なお、接触センサ43は、本発明の銃火器検知手段に相当する。
利用者は、保管室内にけん銃Gを収納する際に、けん銃用刻設部42aにけん銃を嵌着させる(図3(b)参照)。けん銃用刻設部42aの形状は、けん銃Gの種類に応じて個別に決定されており、異なる形状のけん銃Gはけん銃用刻設部42aに嵌着できないようになっている。けん銃用刻設部42aに一致する形状のけん銃Gが嵌着された場合にのみ複数の接触センサ43のすべてで検知信号が出力され、形状が一致しないけん銃Gが嵌着された場合は少なくともいずれかの接触センサ43で検知信号が出力されない。
【0050】
すなわち、接触センサ43のすべてでけん銃Gとの接触が検知された場合には、その保管室で収納されるべき所定の形状のけん銃Gが電子天秤26に装着されたと判断することができ、接触センサ43のいずれかにおいて接触が検知されない場合には、所定の形状のけん銃Gが電子天秤26に装着されていないと判断できる。
【0051】
なお、本実施形態の電子天秤26は、けん銃Gや弾倉Mを横に寝かせて装着する横置きタイプであるが、けん銃Gの銃把の部分を下に向けて設置する縦置きタイプでもよい。
【0052】
図2に戻って、けん銃保管室1内の壁面には、内部スピーカ27が設けられている。内部スピーカ27は、警報や各種アナウンスを出音する装置である。内部スピーカ27は、ライン5を介して中央制御装置31と電気的に接続されており、中央制御装置31から送信される音声出力信号に基づいて警報音やアナウンス音声などを発する。
【0053】
内部監視カメラ28は、個人用保管庫21の前面側を向けて設置され、個人用保管庫21を利用する利用者を撮像できるようになっている。内部監視カメラ28は、中央制御装置31に接続され、撮像データを送信したり、中央制御装置31からの制御信号を受信したりすることが可能となっている。本実施形態の内部監視カメラ28は、けん銃保管室1に誰もいないときに入退室ドア11が開扉することを契機に起動し、撮像を開始するように構成されている。ただし、内部監視カメラ28を常時起動している状態にして、けん銃保管室1内を常に撮像するようにしてもよい。
【0054】
次に、管理室3について説明する。
図1に示すように、中央制御装置31は、けん銃保管室1に設置されている入退室ドア制御盤15、外部スピーカ16、外部監視カメラ17、保管庫制御盤25、電子天秤26、内部スピーカ27、内部監視カメラ28とライン5を介して電気的に接続されている。そして、中央制御装置31は、これらの装置との間で信号の送受信を行い、遠隔から駆動制御できるようになっている。
【0055】
具体的に説明すると、中央制御装置31は、入退室ドア制御盤15を介してRFIDタグリーダ14からRFIDタグ情報を受信し、これを中央管理コンピュータ32に送信する。また、中央制御装置31は、中央管理コンピュータ32から送信される情報に基づいて、入退室ドア11の開閉制御を行う制御信号を入退室ドア制御盤15に送信する。入退室ドア制御盤15は、送信された制御信号に基づいて開閉制御装置12を駆動制御し、入退室ドア11を開閉する。
【0056】
同様に、中央制御装置31は、保管室電子錠13の施錠・開錠を制御する制御信号を入退室ドア制御盤15に送信する。入退室ドア制御盤15は、送信された制御信号に基づいて保管室電子錠13を駆動制御し、その開錠、施錠を行う。
【0057】
また、中央制御装置31は、保管庫制御盤25を介してカードリーダ24からICカード情報を受信し、これを中央管理コンピュータ32に送信する。また、中央制御装置31は、保管庫制御盤25を介して中央管理コンピュータ32からの制御信号を保管庫電子錠23に送信する。
【0058】
中央管理コンピュータ32は、利用者の認証を行い、その認証結果を中央制御装置31に送信する装置である。
【0059】
図4に示すように、中央管理コンピュータ32は、演算装置としてのCPU50と、記憶装置としてのハードディスク51と、一時記憶装置としてのメモリ52と、内部クロックを基準に現在時刻を発生させる現在時刻発生部53と、外部とのデータのやり取りを行う入出力ポート54とを備えている。
【0060】
ハードディスク51には、利用者のRFIDタグやICカード情報、けん銃Gの重量情報などが予め記憶された利用者認証データベース56と、利用者によるけん銃Gなどの持出し状況や入退室状況が記憶された利用状況データベース57と、これらのデータベースに基づいて利用者を認証したり、けん銃Gの持出し状況などのログを取得したりするためのけん銃管理プログラム55とが格納されている。
【0061】
なお、中央管理コンピュータ32は、上述したけん銃Gを特定する手段であるとともに、本発明の入退室管理手段も兼ねている。また、ハードディスク51と利用者認証データベース56は、本発明の特定情報記憶手段に相当する。また、CPU50とけん銃管理プログラム55は、本発明の銃火器判別手段に相当する。
【0062】
また、ハードディスク51は、外部監視カメラ17で撮像された映像を記憶する外部監視カメラ映像記憶部と、内部監視カメラ28で撮像された映像を記憶するための内部監視カメラ映像記憶部を備えている。
【0063】
メモリ52には、後述する入室人数カウンタとカード照会回数カウンタが記憶されている。
【0064】
図5に示すように、利用者認証データベース56には、個人用保管庫21の使用を許可された利用者が予め登録されており、各利用者に固有の「利用者ID56a」が割り振られて記憶されている。それぞれの利用者ID56aに対応して、利用者の氏名に関する情報である「氏名56b」と、利用者が所有するRFIDタグに記憶された情報である「RFIDタグ情報56c」と、その利用者が使用可能な保管室の番号である「保管庫番号56d」と、その利用者が所持するICカードに記録された情報である「ICカード情報56e」と、その保管室に収納されるべきけん銃Gと弾倉Mの合計重量を示す「登録重量56f」とが予め記憶されている。
【0065】
なお、ICカード情報56eは、本発明の登録利用者情報に相当する。また、登録重量56fは、本発明の登録特定情報に相当する。
【0066】
ここで、弾倉Mの重量は、弾倉M内に装填されるよう予め決められた数の実包がすべて装填された状態での重量である。例えば、弾倉Mに装填する実包の数が5発と決められている場合、弾倉Mの重量は、空の弾倉Mの重量と5発分の実包の重量の合計した重量となる。
【0067】
具体的には、けん銃Gと空の弾倉Mをあわせた重量が810g、実包1発が8g、装填される実包数が5発である場合、けん銃Gと弾倉Mの合計重量である850gが登録重量56fとして利用者認証データベース56に記憶されている。この数値は、けん銃Gの種類や実包の重量、実包の装填数などによって異なっている。
【0068】
利用者ID56a、氏名56b、保管庫番号56dの利用者認証データベース56への登録は、入力装置34を用いて管理責任者が手作業で入力することにより行われる。
【0069】
RFIDタグ情報56c、ICカード情報56e、登録重量56fについても同様に、予めRFIDタグに記憶された情報、ICカードに記録された情報、登録されているけん銃Gと実包の合計重量を、それぞれ数値データとして入力装置34を用いて入力する。
【0070】
あるいは、中央管理コンピュータ32が、利用者認証データベース56へ登録情報を記憶させるためのモードである「登録モード」を有するようにし、利用者認証データベース56へ登録重量56fなどを記憶させる際には登録モードにして情報を入力させるようにしてもよい。
【0071】
この登録モードでは、管理責任者の監視のもとで電子天秤26に予め登録されたけん銃Gを載置すると、その重量情報が中央管理コンピュータ32に送信されて利用者認証データベース56の登録重量56fに記憶される。
【0072】
なお、RFIDタグ情報56cについても同様に、中央管理コンピュータ32のモードを登録モードにして、管理責任者の監視の下で利用者の所持するRFIDタグをRFIDタグリーダ14で読み取らせて利用者認証データベース56のRFIDタグ情報56cとして記憶させる。ICカード情報56eについても同様の方法で登録させる。
【0073】
利用状況データベース57は、利用者がけん銃保管室1に入室した時刻の情報である「入室時刻57a」と、退室した時刻の情報である「退室時刻57b」と、けん銃Gが持ち出された時刻の情報である「持出時刻57c」と、けん銃Gが収納された時刻の情報である「収納時刻57d」と、利用者が現在けん銃保管室1内に入室しているか退室したかの情報である「入退室状況57e」と、けん銃Gが現在持ち出されているか収納されているかの情報である「持出状況57f」と、を記憶している。なお、これらの情報は、いずれも書換え可能な状態で記憶されている。
【0074】
けん銃管理プログラム55は、中央管理コンピュータ32に、けん銃保管室1への利用者の入退室を管理する機能、個人用保管庫21の開閉を管理する機能、検知されたけん銃G等の重量に基づいてけん銃Gなどの持出し・収納を管理する機能を実行させるためのプログラムである。
【0075】
まず、けん銃管理プログラム55による、けん銃保管室1への利用者の入退室を管理する機能について説明する。
【0076】
中央管理コンピュータ32は、けん銃管理プログラム55を実行して、RFIDタグリーダ14で読み取られたRFIDタグ情報を利用者認証データベース56で照会し、入室しようとする利用者が予め登録された利用者(以下、「登録利用者」という。)であるか否かを判別する。判別の結果、RFIDタグリーダ14で読み取られたRFIDタグ情報と一致するRFIDタグ情報56cが利用者認証データベース56にあれば、その利用者は登録利用者であるとして、その利用者の利用者ID56aを抽出する。
【0077】
中央管理コンピュータ32は、登録利用者が存在する場合には、登録利用者の入退室を許可する入退室許可信号を中央制御装置31に送信する。中央制御装置31は、入退室許可信号を受けて、保管室電子錠13を開錠する制御信号を、入退室ドア制御盤15を介して保管室電子錠13に送信する。これにより、保管室電子錠13は開錠する。さらに、中央制御装置31は、入退室許可信号を受けて、入退室ドア11を開扉する制御信号を、入退室ドア制御盤15を介して開閉制御装置12に送信する。これにより、入退室ドア11が開扉する。
【0078】
一方、RFIDタグリーダ14で読み取られたRFIDタグ情報と一致するRFIDタグ情報56cが利用者認証データベース56に無ければ、その利用者は登録利用者でないとして利用者ID56aを抽出しない。そして、登録利用者が存在しない場合、中央管理コンピュータ32は入退室許可信号を中央制御装置31に送信しない。このため、保管室電子錠13は施錠したままとなる。
【0079】
けん銃管理プログラム55は、入退室ドア11を開扉して利用者が入室したときの時刻を入室時刻57aとして利用状況データベース57に記憶するとともに、入退室状況57eを「入室中」にする。また、入退室ドア11を開扉して利用者が退室したときの時刻を退室時刻57bとして利用状況データベース57に記憶するとともに、入退室状況57eを「退室済」にする。
【0080】
次に、けん銃管理プログラム55による、個人用保管庫21の開閉を管理する機能について説明する。
【0081】
中央管理コンピュータ32は、けん銃管理プログラム55を実行して、カードリーダ24で読み取られたICカード情報を利用者認証データベース56で照会し、個人用保管庫21を利用しようとする利用者が登録利用者であるか否かを判別する。判別の結果、カードリーダ24で読み取られたICカード情報と一致するICカード情報56eが利用者認証データベース56にあれば、その利用者は登録利用者であるとして、その利用者の利用者ID56aを抽出する。
【0082】
中央管理コンピュータ32は、登録利用者が存在する場合には、登録利用者が存在する旨を示す保管庫利用許可信号を中央制御装置31に送信する。中央制御装置31は、保管庫利用許可信号を受けて、保管庫電子錠23を開錠する制御信号を、保管庫制御盤25を介して保管庫電子錠23に送信する。これにより、保管庫電子錠23は開錠する。
【0083】
一方、カードリーダ24で読み取られたICカード情報と一致するICカード情報56eが利用者認証データベース56に無ければ、その利用者は登録利用者でないとして利用者ID56aを抽出しない。そして、登録利用者が存在しない場合、中央管理コンピュータ32は保管庫利用許可信号を中央制御装置31に送信しない。このため、保管庫電子錠23は施錠したままとなる。
【0084】
続いて、けん銃管理プログラム55による、検知されたけん銃G等の重量に基づいてけん銃G等の持出し・収納を管理する機能について説明する。
【0085】
中央管理コンピュータ32は、上述したICカードによる利用者認証の際に、認証された登録利用者の利用者ID56aをメモリ52に一時的に記憶している。
【0086】
利用者がけん銃Gと弾倉Mを保管室に収納する際、中央管理コンピュータ32は、電子天秤26で計測されたけん銃Gと弾倉Mの合計重量を利用者認証データベース56で照会する。まず、前述の利用者ID56aを読み出し、これに関連付けられて記憶されている登録重量56fを取得する。そして、電子天秤26で計測されたけん銃Gと弾倉Mの合計重量と、取得された登録重量56fを比較して、両者が一致するか否かを判別する。
【0087】
一致した場合は、けん銃Gと弾倉Mが適切に収納されたと判断する。この場合、けん銃管理プログラム55は、けん銃Gが収納されたときの時刻を収納時刻57dとして利用状況データベース57に記憶するとともに、持出状況57fを「収納済」にする。
【0088】
逆に、実包を発射したり紛失したりした場合には、電子天秤26で計測された重量と利用者認証データベース56内の登録重量56fが不一致となる。また、重量の異なる偽のけん銃Gがけん銃用刻設部42aに装着された場合にも同様に不一致となる。不一致の場合、内部スピーカ27で警告音を出音し、表示装置33に警告表示する。
【0089】
また、利用者がけん銃Gと弾倉Mを保管室から持ち出す際、中央管理コンピュータ32は、電子天秤26で計測されたけん銃Gと弾倉Mの合計重量が「0」であるか否かを判別する。
【0090】
この結果、「0」である場合は、けん銃Gと弾倉Mが適切に持ち出されたと判断する。この場合、けん銃管理プログラム55は、けん銃Gが持ち出されたときの時刻を持出時刻57cとして利用状況データベース57に記憶するとともに、持出状況57fを「持出中」にする。
【0091】
以上により、中央管理コンピュータ32によってけん銃Gと弾倉Mの持出し、収納が管理される。これにより、実包の盗難や紛失を確実に防止することができる。また、実包を使用したにもかかわらず利用者が報告を怠っている場合にも警告がなされるため、実包の使用状況を管理責任者が確実に把握することができる。
【0092】
さらに、けん銃用刻設部42aに嵌着できる偽のけん銃G(例えば、プラスチック製の模造品など)が装着されたとしても、本物のけん銃Gと質量が異なる場合は利用者認証データベース56に記憶された質量と電子天秤26で計測された質量が不一致となり警告が発せられる。このため、偽のけん銃Gを電子天秤26にセットして本物のけん銃Gを詐取しようとしても、これを確実に看破することができる。
【0093】
なお、けん銃Gや弾倉Mの使用により、磨耗したり汚れなどが付着したりして重量の誤差変動が生じる場合がある。このような場合を考慮して、登録重量56fに多少の許容範囲(例えば、±1.0gの範囲)を設定してもよい。この場合、電子天秤26で計測された合計重量がこの範囲内にあれば登録重量56fと一致すると判断する。
【0094】
外部監視カメラ映像記憶部と内部監視カメラ映像記憶部は、それぞれ外部監視カメラ17と内部監視カメラ28の映像を記憶する。外部監視カメラ17と内部監視カメラ28で撮像された映像は、いずれも表示装置33で表示できるようになっている。
【0095】
次に、けん銃管理プログラム55によって実行されるけん銃管理フローを、図6〜図11に基づいて説明する。
【0096】
図6はけん銃管理フローのメインルーチンを示している。この図に示すように、RFIDタグリーダ14が作動したか否かを判別する(ステップS1)。作動した場合は(ステップS1の「Y」)、RFIDタグリーダ14のうちどの読取装置が先に作動したかを判別し、利用者がけん銃保管室1に入室しようとしているのか退室しようとしているのかを判別する(ステップS2)。その結果、入室しようとしている場合は(ステップS2の「Y」)、けん銃保管室への利用者の入室を管理するけん銃保管室入室管理ルーチン(ステップS3)を実行する。
【0097】
一方、退室しようとしている場合は(ステップS2の「N」)、けん銃保管庫からの利用者の退室を管理するためのけん銃保管庫退室管理ルーチン(ステップS4)を実行する。
【0098】
RFIDタグリーダ14が作動していない場合は(ステップS1の「N」)、個人用保管庫21を開けようとしているか否かをカードリーダ24の作動状況により判断する(ステップS5)。その結果、作動した場合は(ステップS5の「Y」)、利用者が個人用保管庫21を開扉使用としていると判断して、個人用保管庫21の開閉を管理する個人用保管庫開閉管理ルーチン(ステップS6)を行う。
【0099】
次に、利用者がけん銃Gを持ち出そうとしているのかあるいは収納しているのかを、利用状況データベース57に記憶されている持出状況57fにより判別し(ステップS7)、けん銃Gが「持出中」であれば(ステップS7の「Y」)、利用者はけん銃Gを収納しようとしていると判断し、けん銃Gの収納を管理するためのけん銃収納照会管理ルーチンを実行する(ステップS8)、一方、けん銃Gが「収納済」であれば(ステップS7の「N」)、利用者はけん銃Gを持ち出そうとしていると判断し、けん銃Gの持出しを管理するためのけん銃持出照会管理ルーチンを実行する(ステップS9)。
【0100】
カードリーダ24が作動しない場合は(ステップS5の「N」)、処理を終了する。以上の一連のメインルーチンを行うことでけん銃Gの管理を行っている。
【0101】
次に、図7を参照してけん銃保管室入室管理ルーチン(図6のステップS3)について説明する。
【0102】
まず、けん銃保管室1にすでに人がいるかどうかを、メモリ52に記憶された入室人数カウンタの値が「0」であるか否かにより確認する(ステップS11)。入室人数カウンタが「0」の場合(ステップS11の「Y」)、入室している人がおらず、内部監視カメラ28が起動していないと判断し、これを起動して撮像可能状態にする(ステップS12)。入室人数カウンタが「0」でない場合(ステップS11の「N」)、既に入室している人がおり、内部監視カメラ28が起動しているため、起動処理を行わずに後述するステップS13に進む。
【0103】
利用者のRFIDタグ情報は、RFIDタグリーダ14で読み取られる(ステップS13)。RFIDタグリーダ14で読み取られた利用者のRFIDタグ情報は、装置内で数値化され、中央制御装置31を介して中央管理コンピュータ32に送信される。中央管理コンピュータ32のCPU50は、けん銃管理プログラム55を実行し、利用者認証データベース56を検索してRFIDタグリーダ14で読み取られたRFIDタグ情報と一致するRFIDタグ情報56cが利用者認証データベース56に予め記憶されているか否かを判別する(ステップS14)。
【0104】
その結果、利用者認証データベース56内のRFIDタグ情報56cのいずれかと読み取られたRFIDタグ情報とが一致すれば、入室しようとしている利用者が予め利用者認証データベース56に登録された「登録利用者」であると判断する(ステップS14の「Y」)。そして、保管室電子錠13の開錠処理を行うとともに(ステップS15)、入退室ドア11の扉を開く開扉処理を行う(ステップS16)。これにより、利用者の入室が可能となる。
【0105】
一方、利用者認証データベース56内のRFIDタグ情報56cのいずれとも読み取られたRFIDタグ情報が一致しなければ、入室しようとしている利用者が登録利用者でないと判断する(ステップS14の「N」)。そして、外部スピーカ16で警報を出音したのち(ステップS17)、ステップS13に戻る。
【0106】
再びステップS16に戻って、けん銃保管室1に入室する利用者の人数をカウントするため、RFIDタグリーダ14が作動するたびに入室人数カウンタをインクリメントする(ステップS18)。そして、利用状況データベース57のうち入室した利用者の入室時刻57aに現在時刻を記憶するとともに、入退室状況57eを「入室中」に書き換える(ステップS19)。
【0107】
その後、RFIDタグリーダ14の作動状況を再度確認し、所定時間入退室がないかどうかを判別する(ステップS20)。この結果、入退室があれば(ステップS20の「N」)、ステップS13に戻る。
【0108】
一方、所定時間入退室がなければ(ステップS20の「Y」)、入退室ドア11を閉扉し(ステップS21)、保管室電子錠13を施錠制御する(ステップS22)。
【0109】
以上の処理により、入退室ドア11が開扉している間に複数の利用者が入室できるようになっている。
【0110】
なお、けん銃保管室1に入室できる人数を必ず一人に制限する実施態様としてもよい。しかしながら、本実施形態では上述のように利用者をカウントすることで、入室人数を一人に制限せずに複数が同時に入退室できるようにしている。これにより、入退室口で利用者が込み合うことがなく、入室人数を一人に制限した場合よりもけん銃保管室1の利用の際の利便性を向上させることができる。
【0111】
次に、図8を参照して、個人用保管庫開閉管理ルーチン(図6のステップS6)を説明する。
【0112】
個人用保管庫開閉管理ルーチンの開始時に、まずカード照会回数カウンタの値を初期化し、照会回数を「0」とする(ステップS31)。
【0113】
けん銃保管室1に入室した利用者は、個人用保管庫21のうち予め定められた所定の保管室からけん銃Gを持ち出したり収納したりするために、ICカードに記憶された固有情報をカードリーダ24で読み取らせる操作を行う。
【0114】
利用者のICカード情報は、カードリーダ24で読み取られ(ステップS32)、中央制御装置31を介して中央管理コンピュータ32に送信される。
【0115】
次に、読み取られたICカード情報が利用者認証データベース56に予め登録されているICカード情報56eのいずれかと一致するか否かを判別する(ステップS33)。その結果、一致するICカード情報56eがあれば、個人用保管庫21を利用しようとしている利用者が予め利用者認証データベース56に登録された「登録利用者」であると判断する(ステップS33の「Y」)。次に、その利用者ID56aを利用者認証データベース56から抽出してメモリ52に記憶する(ステップS34)。
【0116】
さらに、その利用者ID56aに対応する保管庫番号56dを抽出し、これに対応する保管室の保管庫電子錠23を開錠するように中央制御装置31に開錠指示信号を送信する(ステップS35)。中央制御装置31は保管庫制御盤25に開錠制御信号を送信し、保管庫電子錠23を開錠する。これにより、利用者は、その保管庫番号56dの保管庫扉22を開扉できるようになる。
【0117】
一方、カードリーダ24で読み取られたICカード情報と利用者認証データベース56に登録されているICカード情報56eとが一致していなければ(ステップS33の「N」)、中央管理コンピュータ32は照会回数の値を参照し(ステップS36)、照会回数の値が3よりも小さければ(ステップS36の「N」)、ICカードの読取りを再度行うよう利用者に指示する再確認指示音声を内部スピーカ27に出音させる(ステップS37)。さらに、照会回数をインクリメントし(ステップS38)、ステップS32に戻る。
【0118】
以下、ステップS32、S33、S36〜S38までを順次繰り返してICカード認証と再確認指示を行い、合計3回認証に失敗するまで再確認が行われる。
【0119】
ステップS36で照会回数の値が3以上である場合、すなわちICカード認証を3回失敗した場合、不審者が個人用保管庫21を開けようとしている可能性があるとして、これ以上ICカード認証をさせないようにする。まず、カードリーダ24によるICカード読取り処理を停止し、内部スピーカ27で警報音を発生させる(ステップS39)。続いて、管理室3の表示装置33に異常が発生した旨の警告表示を行う(ステップS40)。
【0120】
警告表示がされた後で管理室3の管理責任者が異常確認を行い、その結果問題ないと判断すると管理責任者はカードリーダ24の読取り停止状態を手動で解除する(ステップS41の「Y」)。これにより、再びステップS31に戻り、カードリーダ24は読取り可能な状態に復帰する。解除されなければ(ステップS41の「N」)、ステップS39に戻り警告表示を継続する。
【0121】
次に、図9を参照してけん銃収納照会管理ルーチン(図6のステップS8)について説明する。
【0122】
けん銃Gを収納するために、利用者は保管庫電子錠23で開錠した保管庫扉22を開き、保管室内に設置されている電子天秤26の載置台42にけん銃Gを設置する。これにより、載置台42の接触センサ43での接触検知情報と重量情報が台座41に内蔵されたコンピュータで読み取られ、中央制御装置31を介して中央管理コンピュータ32に送信される(ステップS51)。
【0123】
中央管理コンピュータ32は、すべての接触センサ43で接触が検知されたか否かを判別する(ステップS52)。その結果、すべての接触センサ43で接触が検知された場合には(ステップS52の「Y」)、所定のけん銃Gが載置台42に載置されたと判断し、次に載置されたけん銃Gの重量照会を行う(ステップS53)。
【0124】
けん銃Gの重量照会では、電子天秤26で計測されたけん銃Gと弾倉Mの合計重量が中央制御装置31を介して中央管理コンピュータ32に送信される。中央管理コンピュータ32は、ステップS34で記憶された利用者ID56aに基づいて、これに対応する登録重量56fを利用者認証データベース56から取得してメモリ52に記憶する。次に、電子天秤26から送信された合計重量が、この記憶された登録重量56fと一致しているか否かを調べる(ステップS54)。その結果、両者が一致していれば(ステップS54の「Y」)、その利用者のものとして予め登録されたけん銃Gと弾倉Mが収納されたと判断する。
【0125】
次に、保管庫扉22が閉じられたか否かを判別する(ステップS55)。保管庫扉22が閉じられていれば(ステップS55の「Y」)、保管庫電子錠23を施錠し(ステップS56)、利用状況データベース57中のその利用者ID56aに対応する持出状況57fを「収納済」に書き換える(ステップS57)。一方、保管庫扉22が閉じられていなければ(ステップS55の「N」)、待機する。
【0126】
すべての接触センサ43で接触が検知されずにいずれかが非接触の場合(ステップS52の「N」)や、電子天秤26にて計測された合計重量と登録重量56fとが一致しない場合(ステップS54の「N」)は、登録されたけん銃Gなどが適切に収納されなかったと判断する。
【0127】
この場合、模造品などが収納された可能性と、単に利用者が保管庫扉22を開閉したに過ぎない場合とが考えられる。そこで、まず保管庫扉22が閉じたか否かを保管庫扉22のセンサで判別し(ステップS58)、閉じられていれば(ステップS58の「Y」)、電子天秤26で計測されたけん銃Gと弾倉Mの合計重量が「0」であるか否かを判別する(ステップS59)。
【0128】
その結果、合計重量が「0」で無い場合は(ステップS59の「N」)、不審物などが電子天秤26に載置されている可能性があると判断し、警報を鳴らし(ステップS60)、表示装置33に警告表示を行う(ステップS61)。
【0129】
警告表示がされた後で管理室3の管理責任者が異常確認を行い、その結果問題ないと判断すると管理責任者は警告を手動で解除する(ステップS62の「Y」)。解除された場合、メインルーチンに戻り、解除されなければ警告表示を継続する(ステップS62の「N」)。
【0130】
一方、合計重量が「0」の場合(ステップS59の「Y」)、電子天秤26に不審物などはなにも載置されておらず、単に利用者が保管庫扉22を開閉したに過ぎないと判断し、メインルーチンに戻る。
【0131】
次に、図10を参照してけん銃持出照会管理ルーチン(ステップS9)について説明する。
【0132】
利用者は、保管庫電子錠23で開錠した保管庫扉22を開き、保管室内に設置されている電子天秤26の載置台42からけん銃Gを持ち出す。これにより、載置台42の接触センサ43での接触検知情報と重量情報が台座41に内蔵されたコンピュータで読み取られ、中央制御装置31を介して中央管理コンピュータ32に送信される(ステップS71)。
【0133】
中央管理コンピュータ32は、すべての接触センサ43で接触が検知されなくなったか否かを判別する(ステップS72)。その結果、どの接触センサ43でも接触が検知されない場合には(ステップS72の「Y」)、けん銃Gが載置台42から持ち出されたと判断し、次に電子天秤26の重量照会を行う(ステップS73)。
【0134】
重量照会では、電子天秤26で計測された重量が中央制御装置31を介して中央管理コンピュータ32に送信される。中央管理コンピュータ32は、電子天秤26で計測された合計重量が「0」であるか否かを調べる(ステップS74)。その結果、合計重量が「0」であれば(ステップS74の「Y」)、けん銃G等が適切に持ち出されたと判断する。
【0135】
次に、保管庫扉22が閉じられたか否かを判別する(ステップS75)。そして、閉じられていれば(ステップS75の「Y」)、保管庫電子錠23を施錠し(ステップS76)、利用状況データベース57中のその利用者ID56aに対応する持出状況57fを「持出中」に書き換える(ステップS77)。一方、保管庫扉22が閉じられていなければ(ステップS75の「N」)、待機する。
【0136】
いずれかの接触センサ43で接触が検知された場合(ステップS72の「N」)や、電子天秤26にて計測された合計重量が「0」でない場合(ステップS74の「N」)は、けん銃Gなどが適切に持ち出されなかったと判断する。
【0137】
この場合、不審物や模造品などが載置されている可能性と、単に利用者が保管庫扉22を開閉したに過ぎない場合とが考えられる。そこで、まず保管庫扉22が閉じたか否かを保管庫扉22のセンサで判別し(ステップS78)、閉じられていれば(ステップS78の「Y」)、電子天秤26で計測された重量が、利用者ID56aに対応する登録重量56fと一致するか否かを判別する(ステップS79)。
【0138】
その結果、計測された重量と登録重量56fが一致しなければ、不審物などが電子天秤26に載置されている可能性があると判断し、警報を鳴らし(ステップS80)、表示装置33に警告表示を行う(ステップS81)。警告表示がされた後で管理室3の管理責任者が異常確認を行い、その結果問題ないと判断すると管理責任者は警告を手動で解除する(ステップS82)。解除された場合、メインルーチンに戻り、解除されなければ警告表示を継続する。
【0139】
一方、計測された重量が登録重量56fと一致する場合、不審物などは載置されておらずけん銃Gと弾倉Mがそのまま載置されているため、単に利用者が保管庫扉22を開閉したに過ぎないと判断し、メインルーチンに戻る。
【0140】
次に、図11を参照してけん銃保管室退室管理ルーチン(ステップS4)について説明する。
【0141】
利用者のRFIDタグ情報は、RFIDタグリーダ14で読み取られる(ステップS91)。RFIDタグリーダ14で読み取られた利用者のRFIDタグ情報は、装置内で数値化され、中央制御装置31を介して中央管理コンピュータ32に送信される。中央管理コンピュータ32のCPU50は、けん銃管理プログラム55を実行し、利用者認証データベース56を検索してRFIDタグリーダ14で読み取られたRFIDタグ情報と一致するRFIDタグ情報56cが利用者認証データベース56に予め記憶されているか否かを判別する(ステップS92)。
【0142】
その結果、利用者認証データベース56内のRFIDタグ情報56cのいずれかと読み取られたRFIDタグ情報とが一致すれば、退室しようとしている利用者が予め利用者認証データベース56に登録された「登録利用者」であると判断する(ステップS92の「Y」)。そして、保管室電子錠13の開錠処理を行うとともに(ステップS93)、入退室ドア11の扉を開く開扉処理を行う(ステップS94)。これにより、利用者の退室が可能となる。
【0143】
一方、利用者認証データベース56内のRFIDタグ情報56cのいずれとも読み取られたRFIDタグ情報が一致しなければ、退室しようとしている利用者が登録利用者でないと判断する(ステップS92の「N」)。そして、内部スピーカ27で警報を出音したのち(ステップS95)、ステップS91に戻る。
【0144】
再びステップS94に戻って、けん銃保管室1から退室する利用者の人数をカウントするため、RFIDタグリーダ14が作動するたびに入室人数カウンタをデクリメントする(ステップS96)。そして、利用状況データベース57のうち退室した利用者の退室時刻57bに現在時刻を記憶するとともに、入退室状況57eを「退室済」に書き換える(ステップS97)。
【0145】
その後、RFIDタグリーダ14の作動状況を再度確認し、所定時間入室がないかどうかを判別する(ステップS98)。この結果、入室があれば(ステップS98の「N」)、ステップS91に戻る。
【0146】
一方、所定時間入室がなければ(ステップS98の「Y」)、入退室ドア11を閉扉し(ステップS99)、保管室電子錠13を施錠制御する(ステップS100)。
【0147】
以上の処理により、入退室ドア11が開扉している間に複数の利用者が退室できるようになっている。
【0148】
次に、退室人数が「0」でない場合は(ステップS101の「N」)、利用状況データベース57の入室時刻57aと現在時刻に基づいて入室から今までの滞在時間を算出し、予め定められた滞在時間(例えば、60分など)をオーバーして利用者が滞在しているか否かを判別する(ステップS103)。その結果、予定の滞在時間をオーバーしている場合は(ステップS103の「Y」)、内部スピーカ27で退室を促すアナウンス音声を出力する(ステップS104)。オーバーしていない場合は、ステップS91に戻る。
【0149】
アナウンスの後、利用者の滞在時間を再度取得し(ステップS105)、更に一定時間が経過したか否かを判別する(ステップS106)。その結果、更に一定時間が経過した場合は(ステップS106の「Y」)、不審者がけん銃保管室1内に居座っている可能性があると判断し、室内からの入退室ドア11の開錠を不能とする(ステップS107)。続いて、内部スピーカ27で警報を出音し(ステップS108)、表示装置33に異常が発生した旨の警告表示を行う(ステップS109)。
【0150】
警告表示がされた後で管理室3の管理責任者が異常確認を行い、その結果問題ないと判断すると、管理責任者は開錠不能制御、警報の出音、警告表示を解除する(ステップS110の「Y」)。解除されなければ警告表示を継続する(ステップS110の「N」)。
【0151】
このように、けん銃保管室1内に長期に居座る不審者がいた場合、これをけん銃保管室1内に閉じ込めることができるため、不審者の脱走を阻止して捕縛を容易に行うことができる。これにより、けん銃Gや実包の不正な持出しを未然に阻止することができる。
【0152】
中央管理コンピュータ32は、以上の流れにより入退室の管理を行う。
次に、利用者がけん銃Gなどを収納する場合と持ち出す場合に分けて、処理の流れの概要を説明する。
【0153】
(けん銃を収納する場合)
利用者がけん銃Gを収納する場合、以下の流れになる。
【0154】
まず、利用者がけん銃Gを収納するためにけん銃保管室1の入退室口の前に立つと、RFIDタグリーダ14が作動し(ステップS1)、利用者の所持するRFIDタグを読み取る。次に、利用者が入室しようとしているのか退室しようとしているのかを判別する(ステップS2)。この場合、利用者は入室しようとしているので、けん銃保管室入室管理ルーチン(ステップS3)を実行し、処理を終了(エンド)する。
【0155】
次に、けん銃保管室1内での処理に移行する。その後再びスタートに戻って、RFIDタグリーダ14の作動状況を確認する。次に個人用保管庫21のカードリーダ24の作動状況を確認する(ステップS5)。利用者がカードリーダ24にICカードの情報を読み取らせる操作を行うと、個人用保管庫開閉管理ルーチンを実行し(ステップS6)、保管庫電子錠23の開閉を行う。
【0156】
続いて、利用状況データベース57の持出状況57fを参照する。この場合、利用者はけん銃Gを収納しようとしているため、持出状況57fは「持出中」となっている。次に、けん銃収納照会管理ルーチンを実行し(ステップS8)、処理を終了(エンド)する。
【0157】
次に、けん銃保管室1からの退室処理に移行する。再びスタートに戻って、利用者がけん銃保管室1の入退室口の前に立つと、RFIDタグリーダ14が作動し(ステップS1)、利用者の所持するRFIDタグを読み取る。次に、入室しようとしているのか退室しようとしているのかを判別する(ステップS2)。
【0158】
この場合、利用者は退室しようとしているので、けん銃保管室入室管理ルーチン(ステップS4)を実行し、処理を終了(エンド)する。
【0159】
(けん銃を持ち出す場合)
利用者がけん銃Gを持ち出す場合、以下の流れになる。
【0160】
利用者が入室する際と個人用保管庫21を開閉する際の処理は、上述した「けん銃を収納する場合」と同じ処理なので、詳細な説明は省略する。
【0161】
処理の概要としては、まず利用者が入室する際にステップS1、ステップS2、ステップS3の順に処理を実行した後で処理を終了(エンド)し、次に利用者が個人用保管庫21を開閉する際にステップS5、ステップS6を順次実行する。
【0162】
続いて、利用状況データベース57の持出状況57fを参照する。この場合、利用者はけん銃Gを持ち出そうとしているため、持出状況57fは「収納済」となっている。このため、次にけん銃持出照会管理ルーチンを実行し(ステップS9)、処理を終了(エンド)する。
【0163】
最後に、上述した「けん銃を収納する場合」と同様にけん銃保管室入室管理ルーチン(ステップS4)を実行し、処理を終了(エンド)する。
【0164】
次に、表示装置33での表示画面について説明する。
表示装置33の表示画面には、図12に示すように、保管庫利用状況の概要がわかるように保管室ごとに利用状況がハイライト表示されている。
【0165】
中央管理コンピュータ32は、利用状況データベース57の入退室状況57eと持出状況57fを参照し、それぞれの組合せに基づいて、「持出中(入室中)」、「持出中(退室済)」、「収納済(入室中)」、「収納済(退室済)」のいずれに該当するかを判別する。そして、この判別結果に基づいて、各保管室の色を異ならせてハイライト表示させる。ハイライト表示の一覧は、画面の右側に表示され、各保管室のハイライト表示と見比べることで、それぞれの保管室の利用状況を一目で判別できるようになっている。
【0166】
図13は、保管庫利用状況の詳細表示画面を示している。この図に示すように、詳細表示画面では、保管庫ごとに利用者の氏名、持出時刻、収納時刻、入室時刻、退室時刻が表示される。これにより、管理責任者は、それぞれの保管庫の詳細を簡単に知ることができる。
【0167】
図14は、図11のステップS109における異常表示画面の一例を示している。この図に示すように、利用者の滞在時間が一定以上となると、けん銃保管室1の内部から入退室ドア11を開けることができないように制御するとともに、表示装置33に警告ダイヤログを表示し、けん銃保管室1内に不審者がいる旨を表示する。このように、表示装置33に異常表示を行うことで、管理室3にいる管理責任者が表示装置33を確認しているときに、異常が発生したことを確認することができ、異常に対して管理責任者が迅速に対応することが可能となる。
【0168】
異常表示画面において、外部監視カメラ映像記憶部と内部監視カメラ映像記憶部に記憶された外部監視カメラ17と内部監視カメラ28の映像を表示させるようにしてもよい。
【0169】
この場合、それぞれの記憶部で記憶した映像に日付と時刻を示すタイムスタンプを付加しておき、異常が発生した時間帯の映像のみを表示させるようにするとよい。このようにすることで、長時間にわたって記憶された監視カメラの映像のすべてについて検証を行う必要がなく、必要な時間帯の映像のみを検証してすることで素早く異常を発見することができる。これにより、異常に対して管理責任者が迅速に対応することが可能となる。
【0170】
なお、例えば利用者が警察官の場合、非常事態発生時には警察官が一斉に出動することがある。このような場合には、上述の管理を行わずに、管理責任者の指示により特別なキーを用いて入退室ドア11や保管庫扉22を一斉に開錠してよい。
【0171】
また、停電発生の際には、バックアップ用の発電機や蓄電池に電極供給源を切り換えるようにしてもよい。電気系統のトラブルなどが発生した場合は、権利者の指示により特別なキーを用いて入退室ドア11や保管庫扉22を一斉に開錠してよい。この際、保管庫扉22を一つずつ手作業で開錠するには時間がかかるため、一つのキーで一斉開錠できるようにしてもよい。また、個人用保管庫21を複数のブロックに分けてそれぞれ別の電気系統で電力を供給し、電気系統のトラブルが発生したときはトラブルが発生したブロックのみ一斉開錠し、それ以外のブロックは通常の認証を行うようにしてもよい。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る銃火器管理システムについて説明する。
【0172】
上述した第1の実施形態では、接触センサ43を用いてけん銃Gの形状を識別していたが、本実施形態ではこれとは異なる方法でけん銃Gを特定するための銃火器特定情報を取得している点を特徴としている。
【0173】
図15(a)に示すように、本実施形態では、保管室内に撮像手段としてのけん銃撮像カメラ44が設けられており、電子天秤26の載置台42に設置されたけん銃Gを撮像できるように構成されている。けん銃撮像カメラ44には図示しない画像処理装置が接続されている。画像処理装置は、けん銃撮像カメラ44で撮像されたけん銃Gの画像処理を行い、輝度などに基づく特徴点を抽出し、中央管理コンピュータ32に送信する装置である。
【0174】
なお、けん銃撮像カメラ44は、本発明の銃火器検知手段に相当する。
また、図には示さないが、中央管理コンピュータ32の利用者認証データベース56には、この保管室に収納されるものとして登録されたけん銃Gの特徴点データが登録画像情報として予め記憶されている。この登録画像情報は、利用者IDごとに登録重量56fと関連付けられて記憶されている。
【0175】
けん銃管理プログラム55は、けん銃収納照会管理ルーチン(図9参照)で、接触センサ43から表面形状情報を取得する処理(ステップS51)に換えてけん銃撮像カメラ44から画像情報を取得する処理を実行する。また、続く接触センサ43での判別処理に換えて(ステップS52)、けん銃撮像カメラ44から送信される画像情報と利用者認証データベース56の登録画像情報とを比較する処理を行う。
【0176】
また、けん銃管理プログラム55は、けん銃持出照会管理ルーチン(図10参照)で、接触センサ43から表面形状情報を取得する処理(ステップS71)に換えてけん銃撮像カメラ44から画像情報を取得する処理を実行する。また、続く接触センサ43での判別処理に換えて(ステップS72)、けん銃撮像カメラ44から送信される画像情報と利用者認証データベース56の登録画像情報とを比較する処理を行う。
【0177】
けん銃Gが載置台42に載置されると、けん銃撮像カメラ44によりけん銃Gが撮像され、その撮像データがけん銃撮像カメラ44に接続された画像処理装置に送信される。画像処理装置では、撮像されたデータが画像解析されて特徴点が抽出されるとともに、その特徴点データ(画像情報)が銃火器特定情報として中央管理コンピュータ32に送信される。中央管理コンピュータ32では、送信された画像情報と利用者認証データベース56の登録画像情報とが比較・判定され、載置台42に載置されたけん銃Gが予め登録されたけん銃Gであるか否かが判定される。
【0178】
それとともに、電子天秤26でけん銃Gと弾倉Mの合計重量が計測され、第1の実施形態と同様に中央管理コンピュータ32で登録重量56fと比較判定される。
【0179】
その結果、けん銃撮像カメラ44から送信された画像情報と利用者認証データベース56の登録画像情報が一致し、かつ電子天秤26から送信された合計重量と利用者認証データベース56の登録重量56fが一致した場合に、収納されたけん銃Gが予め登録されたけん銃Gであると判定する。
【0180】
このように、けん銃Gの画像に基づいて判定を行うことで、上述した第1の実施形態のように載置台42に刻設部を設ける必要が無い。このため、載置台42の加工に要するコストを低減することが可能となる。また、利用者認証データベース56に記憶されている登録画像情報を変更することで、登録されているけん銃Gを他の種類に容易に変更することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る銃火器管理システムについて説明する。
【0181】
本実施形態では、図15(b)に示すように、けん銃Gに予め無線タグ45(情報記憶媒体)を取り付けておくとともに、載置台42に固有情報検知手段としての無線タグリーダ42cを設置している。けん銃Gには、他のけん銃Gと重複しないかあるいは重複する可能性が低い固有の情報が記憶されている。無線タグリーダ42cは、無線タグ45に記録された固有情報を読み出し、中央管理コンピュータ32に送信する。また、図には示さないが、中央管理コンピュータ32の利用者認証データベース56には、この保管室に収納されるべき予め登録されたけん銃Gの固有情報が登録固有情報として予め記憶されている。この登録固有情報は、利用者IDごとに登録重量56fと関連付けられて記憶されている。
【0182】
なお、無線タグリーダ42cは、本発明の銃火器検知手段に相当する。
けん銃管理プログラム55は、けん銃収納照会管理ルーチン(図9参照)で、接触センサ43から表面形状情報を取得する処理(ステップS51)に換えて無線タグリーダ42cから無線タグ45に記憶された固有情報を取得する処理を実行する。また、続く接触センサ43での判別処理に換えて(ステップS52)、無線タグリーダ42cから送信される固有情報と利用者認証データベース56の登録固有情報とを比較する処理を行う。
【0183】
また、けん銃管理プログラム55は、けん銃持出照会管理ルーチン(図10参照)で、接触センサ43から表面形状情報を取得する処理(ステップS71)に換えて無線タグリーダ42cから無線タグ45に記憶された固有情報を取得する処理を実行する。また、続く接触センサ43での判別処理に換えて(ステップS72)、無線タグリーダ42cから送信される固有情報と利用者認証データベース56の登録固有情報とを比較する処理を行う。
【0184】
けん銃Gが載置台42に載置されると、無線タグリーダ42cによりけん銃Gの無線タグ45に記憶された固有情報が銃火器特定情報として読み出され、中央管理コンピュータ32に送信される。中央管理コンピュータ32では、無線タグリーダ42cから送信された固有情報と利用者認証データベース56の登録固有情報とが比較・判定され、載置台42に載置されたけん銃Gが予め登録されたけん銃Gであるか否かが判定される。
【0185】
それとともに、電子天秤26でけん銃Gと弾倉Mの合計重量が計測され、第1の実施形態と同様に中央管理コンピュータ32で登録重量56fと比較判定される。
【0186】
その結果、無線タグリーダ42cから送信された固有情報と利用者認証データベース56の登録固有情報が一致し、かつ電子天秤26から送信された合計重量と利用者認証データベース56の登録重量56fが一致した場合に、収納されたけん銃Gが予め登録されたけん銃Gであると判定する。
【0187】
このように、けん銃Gに無線タグ45を取り付けておくことで、上述した第1の実施形態のように載置台に刻設部を設ける必要が無いため、載置台の加工に要するコストを低減することが可能となる。また、利用者認証データベース56に記憶されている登録固有情報を変更することで、登録されているけん銃Gを他の種類に容易に変更することができる。
【0188】
さらに、本実施形態では、けん銃G等を特定するための情報として、重量情報とそれ以外の他の情報の少なくとも2種類の情報を検知し、これらの銃火器特定情報に基づいてけん銃G等が予め登録されているか否かを判別している。このため、1種類の情報に基づいて判別する場合と比較して、判別精度を向上させることが可能となる。
【0189】
なお、上記実施形態では、2種類の情報に基づいてけん銃G等の判別を行っているが、3種類以上の情報に基づいて判別を行ってもよい。この場合、けん銃Gの重量情報、表面形状情報、画像情報、及びけん銃Gに設けられた情報記憶媒体に記憶された固有情報から選択される3種類以上の情報の組合せに基づいて、けん銃Gの判別を行うようにすることが好ましい。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る銃火器管理システムについて説明する。
【0190】
上述した第1の実施形態では、実包未装填のけん銃Gと実包の合計重量を計測していたが、この実施形態では、けん銃Gの重量と実包の重量を個別に計測できる点を特徴としている。
【0191】
図16に示すように、本実施形態では、電子天秤としてけん銃用電子天秤80の他に実包用電子天秤90を備えている点で、第1の実施形態と相違する。これらけん銃用電子天秤80と実包用電子天秤90は、一つの保管室内に設置されている。なお、けん銃用電子天秤80は本発明の未装填銃火器検知手段に、実包用電子天秤90は本発明の実包検知手段に相当する。
【0192】
けん銃用電子天秤80は、けん銃用台座81とけん銃用載置台82を備えている。けん銃用載置台82は、第1の実施形態の載置台42と同様の構成をしており、表面にけん銃用刻設部82aが刻設され、複数の接触センサ83が配設されている。
【0193】
一方、実包用電子天秤90は、実包用台座91と実包用載置台92を備えている。実包用載置台92には、実包Bの側面形状より僅かに大きな形状の実包用刻設部92aが実包Bの数だけ刻設されている。
【0194】
また、第1の実施形態の利用者認証データベース56には、保管室内に収容されるべきけん銃Gと実包Bの合計重量が登録重量56fとして記憶されていたが、本実施形態では、実包未装填のけん銃Gの重量と実包Bの重量が分けて記憶されている。すなわち、利用者認証データベース56は、実包未装填のけん銃Gの重量が登録銃火器重量(本発明の「登録銃火器特定情報」に相当する。)として、実包Bの重量が登録実包重量(本発明の「登録実包情報」に相当する。)として記憶されている。
【0195】
さらに、第1の実施形態のけん銃管理プログラム55は、けん銃Gと弾倉の合計重量を照会する処理を行っていたが(図9のステップS53、S54参照)、本実施形態では、けん銃Gと実包Bの重量を個別に照会する処理を行う。
【0196】
けん銃用電子天秤80は、けん銃用刻設部82aにけん銃Gが設置されると、その重量を取得し、ライン5を介して中央管理コンピュータ32に重量情報(未装填銃火器特定情報)を送信するように構成されている。
【0197】
また、実包用電子天秤90は、実包用刻設部92aに実包Bが設置されると、その重量を取得し、ライン5を介して中央管理コンピュータ32に重量情報(実包特定情報)を送信するように構成されている。これにより、けん銃Gと実包Bの重量を個別に計測することが可能となる。
【0198】
けん銃管理プログラム55は、けん銃用電子天秤80から送信された未装填銃火器の重量と利用者認証データベース56に記憶された登録銃火器重量とを比較し、両者が一致するか否かを判別する。また、けん銃管理プログラム55は、実包用電子天秤90から送信された実包Bの重量と利用者認証データベース56に記憶された登録実包重量とを比較し、両者が一致するか否かを判別する。
【0199】
この結果、けん銃用電子天秤80で計測されたけん銃Gの重量と登録銃火器重量とが一致し、かつ、実包用電子天秤90で計測された実包Bの重量と登録実包重量とが一致した場合に、保管室内に収納されるべき予め登録されたけん銃Gと実包が収納されたと判断する。
【0200】
このように、けん銃Gと実包Bを個別に計測することで、実包Bのみを詐取するといった不正行為を未然に防止することができる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態に係る銃火器管理システムについて説明する。
【0201】
上述した第4の実施形態では、けん銃用電子天秤80と実包用電子天秤90が同一の保管室内に設置されていたが、別々の保管庫を設けてけん銃Gと実包をそれらの保管庫で保管するようにしてもよい。
【0202】
図17に示すように、本実施形態では、けん銃用保管庫61と実包用保管庫71が設けられている。
【0203】
なお、けん銃用保管庫61は、本発明の銃火器用保管庫に相当する。
第1の実施形態と同様に、けん銃用保管庫61には、けん銃用保管庫電子錠63と、けん銃用カードリーダ64と、けん銃用保管庫制御盤65と、けん銃用電子天秤66とが設けられている。これらは、第1の実施形態の保管庫電子錠23、カードリーダ24、保管庫制御盤25、第4の実施形態のけん銃用電子天秤80とそれぞれ同様の構成であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0204】
なお、けん銃用電子天秤66は、本発明の未装填銃火器検知手段に相当する。
また、実包用保管庫71には、実包用保管庫電子錠73と、実包用カードリーダ74と、実包用保管庫制御盤75と、実包用電子天秤76とが設けられている。これらは、第1の実施形態の保管庫電子錠23、カードリーダ24、保管庫制御盤25、第4の実施形態の実包用電子天秤90とそれぞれ同様の構成であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0205】
なお、実包用電子天秤76は、本発明の実包検知手段に相当する。
さらに、中央管理コンピュータ32の構成やけん銃管理プログラム55の処理についても第4の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0206】
けん銃用保管庫61のけん銃用電子天秤66に実包未装填の状態のけん銃Gが載置されると、第4の実施形態と同様にけん銃用電子天秤66でけん銃Gの重量が計測される。けん銃用電子天秤66で計測されたけん銃Gの重量は、ライン5を介して中央管理コンピュータ32に送信される。
【0207】
同様に、実包用保管庫71の実包用電子天秤76に実包Bが載置されると、第4の実施形態と同様に実包用電子天秤76で実包Bの重量が計測される。計測された実包Bの重量は、ライン5を介して中央管理コンピュータ32に送信される。
【0208】
第4の実施形態と同様に、けん銃管理プログラム55は、けん銃用電子天秤66から送信されたけん銃Gの重量と利用者認証データベース56に記憶された登録銃火器重量とを比較するとともに、実包用電子天秤76から送信された実包Bの重量と利用者認証データベース56に記憶された登録実包重量とを比較し、けん銃Gと実包Bの重量がそれぞれ登録された重量と一致するか否かを判別する。
【0209】
このように、本実施形態では、けん銃Gと実包Bを別々の保管庫に収納する点を特徴としている。
【0210】
上述した各実施形態では、一つの保管室にけん銃Gと実包Bを収納しているため、不審者などにより保管庫扉22が開けられると、けん銃Gと実包Bの両方が盗難される可能性がある。しかし、本実施形態のようにけん銃Gと実包Bを別の保管庫で保管することで、両方を同時に盗まれる可能性が低くなり、より安全性を向上させることが可能となる。
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態に係る銃火器管理システムについて説明する。
【0211】
上述した各実施形態では、保管庫扉を設けてこれを開閉して保管室にけん銃Gや実包を収納していた。しかしながら、これらの保管庫に保管庫扉を設けない構成としてもよい。
【0212】
図18に示すように、本実施形態では、個人用保管庫101と電子天秤102が設けられている。個人用保管庫101には、保管庫扉が設けられておらず、保管室に設置された電子天秤102が外部に露出している。
【0213】
図19に示すように、電子天秤102は、台座111と載置台112を備えている。台座111は、第1の実施形態と同様にデジタル表示部111aを備え、載置台112に載置されたけん銃Gの重量を計測できるようになっている。
【0214】
載置台112は、箱型の部材で構成され、一方の側部から対向する側部に向けて凹状の溝である収容溝112aが刻設されている。収容溝112aの先端側には、円形の収容口112bが形成されている。収容溝112aの内側側壁には、固定バー113a、113bが出没自在に設けられている。
【0215】
本実施形態の電子天秤102は、けん銃Gの銃把を下に向けてけん銃Gを設置する、いわゆる縦置きタイプとなっている。
【0216】
けん銃Gは、銃口の先端側を僅かに下に向けた状態で、収容溝112aの長手方向に沿って移動させ、銃口側の先端が収容口112bの奥の壁に当たるまで挿通する。この状態で、図示しないスイッチを押下すると、固定バー113a、113bが突出する。けん銃Gがこの電子天秤102に合う形状であれば、固定バー113aはけん銃Gの銃把の後側面よりも後に位置し、固定バー113bはけん銃Gのトリガーガードに挿通される。これにより、けん銃Gが収容溝112aから抜け出さなくなる。
【0217】
このように固定バー113a、113bが完全に突出することを契機として、けん銃Gの重量の計測が行われる。固定バー113a、113bがけん銃Gの側面に当たって完全には突出しない場合、所定の形状のけん銃Gが設置されておらず、不正行為が行われる可能性があるとして、重量の計測が行われない。なお、この場合、警告音声を出音したり、管理室3の表示装置33で警告表示を行ったりしてもよい。
【0218】
このように、電子天秤自体にけん銃Gの固定手段を設けたため、個人用保管庫101に保管庫扉を設ける必要が無く、個人用保管庫101の構成を単純化することができる。
【0219】
また、けん銃Gの形状が予め登録された所定の形状と異なる場合、固定バー113a、113bが突出してもけん銃Gと当たるなどするため、固定バー113a、113bによるけん銃Gの固定を行うことができない。このため、固定バー113a、113bはけん銃Gの固有情報取得する手段の一つとして機能も兼ね備えている。したがって、重量のみでけん銃Gの固有情報を取得する場合と比較して、より確実にけん銃Gを特定することができる。
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態に係る銃火器管理システムについて説明する。
【0220】
本実施形態では、上述した第1〜第6の実施形態でのけん銃管理に加えて、利用者の勤務シフト情報に基づいて利用者のけん銃G等の持出し、収納管理を行っている。
【0221】
具体的には、本実施形態の中央管理コンピュータ32は、利用者の勤務シフト情報を記憶したデータベースを備え、勤務シフト時間内に適切にけん銃Gの持出し、収納が行われたか否かを判別する点を特徴としている。
【0222】
図20は、中央管理コンピュータ32のハードディスク51のデータ構造を示している。この図に示すように、ハードディスク51には、利用者認証データベース56と利用状況データベース57の他に、利用者の勤務シフトに関する情報を記憶した勤務シフトデータベース58を備えている。
【0223】
勤務シフトデータベース58には、利用者認証データベース56のそれぞれの利用者ID56aに関連付けて、出勤予定時刻58aと退勤予定時刻58bが記憶されている。出勤予定時刻58aには、その利用者が出勤する時刻として予め設定しておいた時刻が記憶されている。また、退勤予定時刻58bには、その利用者が退勤する時刻として予め設定しておいた時刻が記憶されている。
【0224】
中央管理コンピュータ32は、上述した第1の実施形態と同様に、利用者がけん銃保管室1から入室や退室した時刻をそれぞれ入室時刻57aや退室時刻57bとして利用状況データベース57に記憶する。また、中央管理コンピュータ32は、上述した第1の実施形態と同様に、利用者が個人用保管庫21からけん銃Gや実包の持出しや収納を行った時刻をそれぞれ持出時刻57cや収納時刻57dとして利用状況データベース57に記憶する。
【0225】
本実施形態の中央管理コンピュータ32は、更に勤務シフトデータベース58に記憶された出勤予定時刻58aと退勤予定時刻58bを取得し、利用状況データベース57に記憶された持出時刻57cを参照して、利用者の個人用保管庫21からのけん銃Gの持出しが勤務時間内に行われたか否かを判別する。具体的には、持出時刻57cに記憶されている時刻が出勤予定時刻58aと退勤予定時刻58bに記憶されている時刻の間(すなわち、勤務時間内)であれば、勤務時間内に適切に持出しが行われたと判断する。逆に、持出時刻57cに記憶されている時刻が勤務時間外にあれば、適切に持出しが行われていないと判断する。
【0226】
さらに、中央管理コンピュータ32は、利用状況データベース57に記憶された収納時刻57dを参照して、個人用保管庫21へのけん銃Gの収納が勤務時間内に行われたか否かを判別する。具体的には、収納時刻57dに記憶されている時刻が勤務時間内にあれば、勤務時間内に適切に収納が行われたと判断する。逆に、収納時刻57dに記憶されている時刻が勤務時間外にあるか、あるいは退勤予定時刻58bを過ぎても収納時刻57dに時刻が記憶されていないときは、勤務時間を過ぎて収納されたか、勤務時間を過ぎても収納が行われていないと判断する。
【0227】
中央管理コンピュータ32は、けん銃Gの持出しや収納が適切に行われていない場合は、警告信号を出力し、表示装置33に警告表示させる。
【0228】
図21は表示装置33での表示態様の一例を示した図である。この図に示すように、複数の利用者の勤怠が一覧表示される。横軸は日と曜日を示している。
【0229】
上述したように、勤務時間内にけん銃Gの持出しや収納が適切に行われなかった利用者については、その行われなかった日をハイライト表示(図中の斜線で示した表示領域)させるようにしている。それ以外については、適切にけん銃管理が行われているため、ハイライト表示させずに通常の表示としている。
【0230】
このように、けん銃Gの管理が適切に行われていない利用者を一覧表示画面中でハイライト表示させることで、適切な管理を行っていない利用者を管理責任者などが簡単に探すことができる。これにより、けん銃管理の利便性を向上させることができる。
【0231】
以上、複数の実施形態を示して本発明に係る銃火器管理システムを説明した。なお、上記各実施形態では、けん銃保管室1への入退室時にはRFIDタグで利用者を検知して入退室の際の認証を行っているが、他の手段で利用者検知や認証を行ってもよい。そのような手段として、例えば利用者の生体情報を検知する生体認証装置を用いて入退室時の認証を行ってもよい。この場合、生体情報としては、例えば指静脈、指紋、虹彩、声紋などが挙げられる。
【0232】
同様に、上記各実施形態では、個人用保管庫21の開閉の際にICカードを用いて認証を行っているが、例えば無線タグや生体認証等の他の手段により利用者の認証を行ってもよい。
【0233】
また、第1〜第3の実施形態では、けん銃Gの重量情報とけん銃Gを特定するための他の情報(銃火器特定情報)の2種類以上の情報に基づいて、けん銃Gが予め登録されたけん銃か否かを判別している。しかしながら、けん銃Gの判別は、一つの銃火器特定情報のみに基づいて行ってもよい。
【0234】
例えば、第1の実施形態において、接触センサ43によるけん銃Gの表面形状情報を検知せず、電子天秤26で計測される重量情報のみに基づいてけん銃Gの認証を行ってもよい。
【0235】
この場合、けん銃管理プログラム55は、けん銃収納照会管理ルーチン(図9参照)で、接触センサ43での判別ステップ(ステップS51の接触センサ情報取得処理とステップS52)を実行せず、次の重量照会ステップ(ステップS53)を実行するように構成する。また、けん銃持出照会管理ルーチン(図10参照)で、接触センサ43での判別ステップ(ステップS71の接触センサ情報取得処理とステップS72)を実行せず、次の重量照会ステップ(ステップS73)を実行するように構成する。
【0236】
そして、電子天秤26にけん銃Gが載置されると、電子天秤26でけん銃Gの重量が計測され、その重量情報は中央管理コンピュータ32に送信される。けん銃管理プログラム55は、送信された重量情報と利用者認証データベース56に記憶された登録重量56fとを比較し、両者が一致するか否かを判別する。その結果、両者が一致すれば、個人用保管庫21に収納されたけん銃Gが予め登録されたものであると判断する。一致しなければ予め登録されたけん銃Gが収納されていないと判断する。
【0237】
なお、上述した重量情報ではなく、けん銃Gの表面形状情報、画像情報、けん銃Gの無線タグに記憶された固有情報といった他の情報に基づいて、けん銃Gの認証を行ってもよい。
【0238】
例えば、けん銃Gの表面形状情報のみに基づいてけん銃Gの判別を行う場合について説明する。
【0239】
この場合、第1の実施形態における利用者認証データベース56の登録重量56fに換えてけん銃Gの表面形状情報を登録表面形状情報として予め記憶しておく。
【0240】
けん銃管理プログラム55は、けん銃収納照会管理ルーチン(図9参照)で、重量比較処理(図9のステップS53、S54、S59)を実行せず、接触センサ情報のみに基づいて照会(ステップS52)を実行するように構成する。また、けん銃持出照会管理ルーチン(図10参照)で、重量比較処理(図9のステップS73、S74、S79)を実行せず、接触センサ情報のみに基づいて照会(ステップS72)を実行するように構成する。
【0241】
そして、接触センサ43によりけん銃Gの表面形状情報が取得され、中央管理コンピュータ32に送信される。けん銃管理プログラム55は、送信された表面形状情報と利用者認証データベース56に記憶された登録表面形状情報とを比較し、両者が一致するか否かを判別する。その結果、両者が一致すれば、個人用保管庫21に収納されたけん銃Gが予め登録されたものであると判断する。一致しなければ予め登録されたけん銃Gが収納されていないと判断する。
【0242】
また、上述した接触センサ43による表面形状情報に換えて、銃火器特定情報として画像情報を採用してもよい。
【0243】
この場合、上述した接触センサ43に換えて第2の実施形態のけん銃撮像カメラ44(図15(a)参照)で画像情報を取得するように構成する。また、利用者認証データベース56の登録表面形状情報に換えて登録画像情報を登録特定情報として記憶する。
【0244】
そして、けん銃撮像カメラ44によりけん銃Gの画像情報が取得され、中央管理コンピュータ32に送信される。けん銃管理プログラム55は、送信された画像情報と利用者認証データベース56に記憶された登録画像情報とを比較し、両者が一致するか否かを判別する。その結果、両者が一致すれば、個人用保管庫21に収納されたけん銃Gが予め登録されたものであると判断する。一致しなければ予め登録されたけん銃Gが収納されていないと判断する。
【0245】
また、上述した接触センサ43による表面形状情報に換えて、銃火器特定情報としてけん銃Gの固有情報を採用してもよい。
【0246】
この場合、上述した接触センサ43に換えて第3の実施形態の無線タグリーダ42c(図15(b)参照)でけん銃Gに取り付けられた無線タグ45に記憶された固有情報を取得するように構成する。また、利用者認証データベース56の登録表面形状情報に換えて登録固有情報を登録特定情報として記憶する。
【0247】
そして、無線タグリーダ42cによりけん銃Gの固有情報が取得され、中央管理コンピュータ32に送信される。けん銃管理プログラム55は、送信された固有情報と利用者認証データベース56に記憶された登録固有情報とを比較し、両者が一致するか否かを判別する。その結果、両者が一致すれば、個人用保管庫21に収納されたけん銃Gが予め登録されたものであると判断する。一致しなければ予め登録されたけん銃Gが収納されていないと判断する。
【0248】
以上説明した実施の形態には、以下のような発明が開示されている。
銃火器(けん銃G)の持出し及び収納を管理するための銃火器管理システムであって、銃火器を保管するための保管庫(個人用保管庫21)と、通信回線を介して前記保管庫と接続された中央管理コンピュータ(32)とを備え、前記保管庫は、内部に収納された銃火器を特定するための銃火器特定情報を検知する銃火器検知手段(電子天秤26、接触センサ43、けん銃撮像カメラ44、無線タグリーダ42c)と、該銃火器検知手段で検知された前記銃火器特定情報を前記中央管理コンピュータに送信する送信手段(ライン5)と、を具備し、前記中央管理コンピュータは、前記保管庫に収納されるべき銃火器を特定するための銃火器特定情報を登録特定情報として予め記憶した特定情報記憶手段(ハードディスク51、利用者認証データベース56)と、前記銃火器検知手段で検知された前記銃火器特定情報と前記特定情報記憶手段に予め記憶されている前記登録特定情報とを比較し、前記保管庫に収納された銃火器が前記保管庫に収納されるべき銃火器として予め登録された銃火器であるか否かを判別する銃火器判別手段(CPU50、けん銃管理プログラム55)と、を具備する。
【0249】
このように、予め登録された銃火器が保管庫に収納されたか否かを中央管理コンピュータが自動的に判別するため、人手による管理を行う必要が無い。また、銃火器を特定するための銃火器特定情報を検知し、これを中央管理コンピュータの情報と比較して銃火器の判別を自動的に行っているため、人手で判別を行う場合と比較して判別精度が向上する。
【0250】
なお、この場合における銃火器とは、実包を装填した状態と、実包を装填していない未装填状態の両方を含むものである。
【0251】
この場合、前記銃火器検知手段(電子天秤26)は、銃火器の重量を前記銃火器特定情報として計測し、前記特定情報記憶手段は、前記保管庫に収納されるべき銃火器の重量情報を前記登録特定情報として予め記憶し、前記銃火器判別手段は、前記銃火器検知手段で検知された銃火器の重量と前記特定情報記憶手段に予め記憶されている前記登録特定情報とを比較し、前記保管庫に収納された銃火器が前記保管庫に収納されるべき銃火器として予め登録された銃火器であるか否かを判別することが好ましい。
【0252】
このように、銃火器を特定するための情報として銃火器の重量を検知するため、重量を計測する天秤などを用いて銃火器特定情報を簡単に取得することができる。
【0253】
なお、この場合における銃火器についても、実包を装填した状態と、実包を装填していない未装填状態の両方を含むものである。
【0254】
この場合、前記銃火器検知手段は、実包が装填されていない状態の銃火器の重量と該銃火器に装填される実包(M)との合計重量を前記銃火器特定情報として計測し、前記特定情報記憶手段は、前記銃火器と該銃火器に装填されるべき数の前記実包との合計重量を前記登録特定情報として予め記憶し、前記銃火器判別手段は、前記銃火器検知手段で検知された前記合計重量と前記特定情報記憶手段に予め記憶されている前記登録特定情報とを比較し、前記保管庫に収納された銃火器及び実包が、前記保管庫に収納されるべき銃火器及び実包として予め登録された銃火器であるか否かを判別することが好ましい。
【0255】
このように、実包が装填されていない状態の銃火器と実包の合計重量に基づいて、予め登録された銃火器であるか否かを判断するため、銃火器と実包の重量を別々の手段を用いて個別に計測する必要が無く、銃火器検知手段の構成を簡略化することができる。
【0256】
また、前記銃火器検知手段は、実包が装填されていない状態の未装填銃火器を特定するための未装填銃火器特定情報を検知する未装填銃火器検知手段(けん銃用電子天秤66)と、実包の数を特定するための実包特定情報を検知する実包検知手段(実包用電子天秤76)とを具備し、前記送信手段は、前記未装填銃火器検知手段で検知された前記未装填銃火器特定情報と、前記実包検知手段で検知された実包特定情報を前記中央管理コンピュータに送信し、前記特定情報記憶手段は、前記保管庫に収納されるべき未装填銃火器を特定するための登録未装填銃火器特定情報と、前記未装填銃火器に装填されるべき実包の数を特定するための登録実包特定情報とを前記登録特定情報として予め個別に記憶し、前記銃火器判別手段は、前記未装填銃火器検知手段で検知された前記未装填銃火器特定情報と前記特定情報記憶手段に予め記憶されている前記登録未装填銃火器特定情報とを比較するとともに、前記実包検知手段で検知された前記実包特定情報と前記特定情報記憶手段に予め記憶されている前記登録実包特定情報とを比較し、前記保管庫に収納された未装填銃火器が収納されるべき未装填銃火器として予め登録された未装填銃火器か否か、及び前記保管庫に収納されるべき数の実包が収納されたか否かをそれぞれ判別することが好ましい。
【0257】
このように、実包未装填の銃火器を特定するための情報と実包を特定するための情報を個別に検知し、それぞれについて特定情報記憶手段に予め記憶された登録特定情報と比較するため、未装填の銃火器と実包の両方について特定情報記憶手段に登録されているか否かの個別に判別することができる。このため、例えば実包の紛失や詐取などを確実に見つけ出すことができる。
【0258】
この場合、前記保管庫は、前記実包が装填されていない状態の未装填銃火器を保管するための未装填銃火器用保管庫(けん銃用保管庫61)と、前記実包を保管するための実包用保管庫(71)と、を個別に備え、前記未装填銃火器検知手段は、前記未装填銃火器用保管庫内に設置されるとともに、前記実包検知手段は、前記実包用保管庫内に設置されていることが好適である。
【0259】
このように、実包未装填の銃火器と実包を個別の保管庫で保管することができるため、両者を一つの保管庫で保管する場合と比較して、銃火器と実包を同時に盗難される可能性が低くなり、銃火器管理における安全性がより高くなる。
【0260】
また、前記銃火器検知手段(接触センサ43)は、銃火器の表面形状情報を前記銃火器特定情報として検知し、前記特定情報記憶手段は、前記保管庫に収納されるべき銃火器を特定するための表面形状情報を前記登録特定情報として予め記憶し、前記銃火器判別手段は、前記銃火器検知手段で検知された前記表面形状情報と前記特定情報記憶手段に予め記憶された前記登録特定情報とを比較し、前記保管庫に収納された銃火器が前記保管庫に収納されるべき銃火器として予め登録された銃火器であるか否かを判別してもよい。
【0261】
このように、銃火器の表面形状を検知し、これを銃火器特定情報として登録特定情報と比較することでも、銃火器が予め登録されているかどうかを判別することができる。
【0262】
また、前記銃火器検知手段(けん銃撮像カメラ44)は、銃火器の画像情報を前記銃火器特定情報として取得し、前記特定情報記憶手段は、前記保管庫に収納されるべき銃火器を特定するための画像情報を前記登録特定情報として予め記憶し、前記銃火器判別手段は、前記銃火器検知手段で取得された前記画像情報と前記銃火器特定情報記憶手段に予め記憶された前記登録特定情報とを比較し、前記保管庫に収納された銃火器が前記保管庫に収納されるべき銃火器として予め登録された銃火器であるか否かを判別してもよい。
【0263】
このように、銃火器の画像情報を取得し、これを銃火器特定情報として登録特定情報と比較することでも、銃火器が予め登録されているかどうかを判別することができる。
【0264】
また、前記銃火器は、該銃火器を特定するための固有情報が記憶された情報記憶媒体(無線タグ45)を備え、前記銃火器検知手段(無線タグリーダ42c)は、前記情報記憶媒体から前記固有情報を前記銃火器特定情報として読み取り、前記特定情報記憶手段は、前記保管庫に収納されるべき銃火器を特定するための固有情報を前記登録特定情報として予め記憶し、前記銃火器判別手段は、前記銃火器検知手段で読み取られた前記固有情報と前記特定情報記憶手段に予め記憶された前記登録特定情報とを比較し、前記保管庫に収納された銃火器が前記保管庫に収納されるべき銃火器として予め登録された銃火器であるか否かを判別してもよい。
【0265】
このように、銃火器に情報記録媒体を設けておき、この情報記録媒体に記憶されている固有情報を読み取ることで固有情報を取得し、これを銃火器特定情報として登録特定情報と比較することでも、銃火器が予め登録されているかどうかを判別することができる。
【0266】
また、前記銃火器検知手段(電子天秤26、接触センサ43、けん銃撮像カメラ44、無線タグリーダ42c)は、内部に収納された銃火器の重量情報、画像情報、表面形状情報及び銃火器に設けられた情報記憶媒体に記憶された固有情報から選択される2種類以上の情報を前記銃火器特定情報として検知し、前記特定情報記憶手段は、前記保管庫に収納されるべき銃火器のうち前記銃火器検知手段で検知される前記銃火器特定情報に対応する銃火器特定情報を、前記登録特定情報として予め記憶し、前記銃火器判別手段は、前記銃火器検知手段で検知された2種類以上の前記銃火器特定情報と、該銃火器特定情報のそれぞれに対応する前記登録特定情報とを各々比較し、前記銃火器特定情報と各々に対応する前記登録特定情報とがすべて一致した場合に、前記保管庫に収納された銃火器が前記保管庫に収納されるべき銃火器として予め登録された銃火器であると判別することが好ましい。
【0267】
このように、銃火器を特定する情報のうち2種類以上の情報に基づいて銃火器が予め登録されているか否かを判別することで、1種類に基づいて判別する場合と比較して、判別精度を向上させることが可能となる。
【0268】
また、前記保管庫は、該保管庫を利用しようとする利用者を特定するための利用者特定情報を取得する利用者特定手段(カードリーダ24)と、該利用者特定手段で取得された前記利用者特定情報を前記中央管理コンピュータに送信する利用者特定情報送信手段とを備え、前記特定情報記憶手段には、前記保管庫の利用を予め許可された登録利用者に関する登録利用者情報が、前記登録特定情報と関連付けられて登録されており、前記銃火器判別手段は、前記銃火器検知手段で検知された前記銃火器特定情報と前記特定情報記憶手段に予め記憶されている前記登録特定情報とを比較するとともに、前記利用者特定手段で取得された前記利用者特定情報と該登録特定情報に関連付けられて登録されている前記登録利用者情報とを比較し、前記保管庫に収納された銃火器が収納されるべき銃火器として予め登録された銃火器か否か、及び前記保管庫を利用しようとしている利用者が登録利用者であるか否かを判別することが好ましい。
【0269】
このように、保管庫には利用者を特定するための情報を読み取るための利用者特定手段が設けられ、特定情報記憶手段には保管庫の利用を予め許可された利用者に関する登録利用者情報が登録特定情報と関連付けられて登録されている。そして、銃火器判別手段は、銃火器検知手段で検知された銃火器に判別に加えて、利用者特定手段で読み取られた利用者特定情報と特定情報記憶手段に記憶された登録利用者情報を比較することで、保管庫を利用しようとしている利用者が保管庫の利用を予め許可されているかどうかの判別を行うことができる。このため、保管庫の利用を許可されていない利用者が不正に銃火器を持ち出すことを確実に防止することができる。
【0270】
また、前記保管庫は、入退室口を備えた銃火器保管室(けん銃保管室1)に設置され、該銃火器保管室は、前記入退室口を通過しようとする利用者を検知する利用者検知手段(RFIDタグリーダ14)を備え、前記利用者検知手段で検知された利用者が予め登録された利用者か否かを判別する入退室管理手段(中央管理コンピュータ32)を具備することが好ましい。
【0271】
このように、銃火器保管室への入退室時を検知し、検知された利用者が予め登録された利用者か否かを判別するため、利用者の銃火器保管室への入室や退室を自動的に管理することができる。これにより、銃火器保管室への入退室を人手で管理する必要が無く、管理負担を低減することができる。
【0272】
銃火器を保管するための保管庫と、通信回線を介して前記保管庫と接続された中央管理コンピュータとを備え、該保管庫を利用した銃火器の持出し及び収納を管理するための銃火器管理プログラムであって、前記中央管理コンピュータに、前記保管庫に収納されるべき銃火器を特定するための銃火器特定情報を登録特定情報として予め記憶する登録特定情報記憶処理と、前記保管庫の内部に収納された銃火器を特定するための銃火器特定情報を、前記通信回線を介して前記保管庫から受信する銃火器受信処理と、前記登録特定情報記憶処理で記憶された前記登録特定情報を読み出す登録特定情報読出処理と、前記銃火器受信処理で受信した前記銃火器特定情報と前記登録特定情報読出処理で読み出した前記登録特定情報とを比較し、前記保管庫に収納された銃火器が前記保管庫に収納されるべき銃火器として予め登録された銃火器であるか否かを判別する銃火器判別処理と、を実行させる。
【0273】
このように、予め登録された銃火器が保管庫に収納されたか否かを中央管理コンピュータが自動的に判別するため、人手による管理を行う必要が無い。また、銃火器を特定するための銃火器特定情報を検知し、これを中央管理コンピュータの情報と比較して銃火器の判別を自動的に行っているため、人手で判別を行う場合と比較して判別精度が向上する。
【符号の説明】
【0274】
1 けん銃保管室(銃火器保管室)、3 管理室、5 ライン(送信手段)、11 入退室ドア、12 開閉制御装置、13 保管室電子錠、14 RFIDタグリーダ(利用者検知手段)、15 入退室ドア制御盤、16 外部スピーカ、17 外部監視カメラ、21 個人用保管庫、22 保管庫扉、22a 保管庫窓、23 保管庫電子錠、24 カードリーダ(利用者特定手段)、25 保管庫制御盤、26 電子天秤(銃火器検知手段)、27 内部スピーカ、28 内部監視カメラ、31 中央制御装置、32 中央管理コンピュータ(入退室管理手段)、33 表示装置、34 入力装置、41 台座、41a デジタル表示部、42 載置台、42a けん銃用刻設部、42b 弾倉用刻設部、42c 無線タグリーダ(銃火器検知手段)、43 接触センサ(銃火器検知手段)、44 けん銃撮像カメラ(銃火器検知手段)、45 無線タグ(情報記憶媒体)、50 CPU(銃火器判別手段)、51 ハードディスク(特定情報記憶手段)、52 メモリ、53 現在時刻発生部、54 入出力ポート、55 けん銃管理プログラム(銃火器判別手段)、56 利用者認証データベース(特定情報記憶手段)、56a 利用者ID、56b 氏名、56c RFIDタグ情報、56d 保管庫番号、56e ICカード情報(登録利用者情報)、56f 登録重量(登録特定情報)、57 利用状況データベース、57a 入室時刻、57b 退室時刻、57c 持出時刻、57d 収納時刻、57e 入退室状況、57f 持出状況、58 勤務シフトデータベース、58a 出勤予定時刻、58b 退勤予定時刻、61 けん銃用保管庫(銃火器用保管庫)、63 けん銃用保管庫電子錠、64 けん銃用カードリーダ、65 けん銃保管庫制御盤、66 けん銃用電子天秤(未装填銃火器検知手段)、71 実包用保管庫、73 実包用保管庫電子錠、74 実包用カードリーダ、75 実包保管庫制御盤、76 実包用電子天秤(実包検知手段)、80 けん銃用電子天秤、81 けん銃用台座、82 けん銃用載置台、82a けん銃用刻設部、83 接触センサ、90 実包用電子天秤、91 実包用台座、92 実包用載置台、92a 実包用刻設部、101 個人用保管庫、102 電子天秤、111 台座、111a デジタル表示部、112 載置台、112a 収容部、112b 収容溝、113a 固定バー、113b 固定バー、B 実包、G けん銃(銃火器)、M 弾倉。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銃火器の持出し及び収納を管理するための銃火器管理システムであって、
銃火器を保管するための保管庫と、通信回線を介して前記保管庫と接続された中央管理コンピュータとを備え、
前記保管庫は、
内部に収納された銃火器を特定するための銃火器特定情報を検知する銃火器検知手段と、
該銃火器検知手段で検知された前記銃火器特定情報を前記中央管理コンピュータに送信する送信手段と、を具備し、
前記中央管理コンピュータは、
前記保管庫に収納されるべき銃火器を特定するための銃火器特定情報を登録特定情報として予め記憶した特定情報記憶手段と、
前記銃火器検知手段で検知された前記銃火器特定情報と前記特定情報記憶手段に予め記憶されている前記登録特定情報とを比較し、前記保管庫に収納された銃火器が前記保管庫に収納されるべき銃火器として予め登録された銃火器であるか否かを判別する銃火器判別手段と、を具備し、
前記銃火器検知手段は、実包が装填されていない状態の未装填銃火器を特定するための未装填銃火器特定情報を検知する未装填銃火器検知手段と、実包の数を特定するための実包特定情報を検知する実包検知手段とを具備し、
前記送信手段は、前記未装填銃火器検知手段で検知された前記未装填銃火器特定情報と、前記実包検知手段で検知された実包特定情報を前記中央管理コンピュータに送信し、
前記特定情報記憶手段は、前記保管庫に収納されるべき未装填銃火器を特定するための登録未装填銃火器特定情報と、前記未装填銃火器に装填されるべき実包の数を特定するための登録実包特定情報とを前記登録特定情報として予め個別に記憶し、
前記銃火器判別手段は、前記未装填銃火器検知手段で検知された前記未装填銃火器特定情報と前記特定情報記憶手段に予め記憶されている前記登録未装填銃火器特定情報とを比較するとともに、前記実包検知手段で検知された前記実包特定情報と前記特定情報記憶手段に予め記憶されている前記登録実包特定情報とを比較し、前記保管庫に収納された未装填銃火器が収納されるべき未装填銃火器として予め登録された未装填銃火器か否か、及び前記保管庫に収納されるべき数の実包が収納されたか否かをそれぞれ判別することを特徴とする銃火器管理システム。
【請求項2】
銃火器を保管するための保管庫と、通信回線を介して前記保管庫と接続された中央管理コンピュータとを備え、該保管庫を利用した銃火器の持出し及び収納を管理するための銃火器管理プログラムであって、
前記中央管理コンピュータに、
前記保管庫に収納されるべき銃火器を特定するための銃火器特定情報を登録特定情報として予め記憶する登録特定情報記憶処理と、
前記保管庫の内部に収納された銃火器を特定するための銃火器特定情報を、前記通信回線を介して前記保管庫から受信する銃火器受信処理と、
前記登録特定情報記憶処理で記憶された前記登録特定情報を読み出す登録特定情報読出処理と、
前記銃火器受信処理で受信した前記銃火器特定情報と前記登録特定情報読出処理で読み出した前記登録特定情報とを比較し、前記保管庫に収納された銃火器が前記保管庫に収納されるべき銃火器として予め登録された銃火器であるか否かを判別する銃火器判別処理と、を実行させ、
前記銃火器受信処理は、実包が装填されていない状態の未装填銃火器を特定するための未装填銃火器特定情報を受信する未装填銃火器受信処理と、実包の数を特定するための実包特定情報を受信する実包受信処理とを具備し、
前記登録特定情報記憶処理は、前記保管庫に収納されるべき未装填銃火器を特定するための登録未装填銃火器特定情報と、前記未装填銃火器に装填されるべき実包の数を特定するための登録実包特定情報とを前記登録特定情報として予め個別に記憶し、
前記銃火器判別処理は、前記未装填銃火器検知手段で検知された前記未装填銃火器特定情報と前記登録特定情報記憶処理において予め記憶された前記登録未装填銃火器特定情報とを比較するとともに、前記実包受信処理で受信された前記実包特定情報と前記登録特定情報記憶処理において予め記憶された前記登録実包特定情報とを比較し、前記保管庫に収納された未装填銃火器が収納されるべき未装填銃火器として予め登録された未装填銃火器か否か、及び前記保管庫に収納されるべき数の実包が収納されたか否かをそれぞれ判別することを特徴とする銃火器管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−211503(P2012−211503A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−122182(P2012−122182)
【出願日】平成24年5月29日(2012.5.29)
【分割の表示】特願2007−110168(P2007−110168)の分割
【原出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(000144153)株式会社三共 (5,148)