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銅、亜鉛やそれらの合金の蒸着スリット糸と布地及び繊維製品
説明

銅、亜鉛やそれらの合金の蒸着スリット糸と布地及び繊維製品

【課題】銅、亜鉛乃至はそれらの合金を金属皮膜として基材である合成樹脂フィルムに設け、その皮膜上に合成樹脂によるコーティングや基材と同様の更なるフィルムの保護を必要としないスリット糸を得て、抗菌・抗カビ・静電気除電といった機能を有し硫黄系雰囲気下で加工されても当該機能を喪失しないスリット糸と、そのスリット糸を構成材料の一部とした布地或いは繊維製品を得る。
【解決手段】6から12ミクロンの合成樹脂フィルムを基材として、少なくともその片側に銅、亜鉛乃至はそれらの合金を50ナノメーターを越える厚みで蒸着した積層フィルムの該金属皮膜層に一切の保護層を設けずに、該積層フィルムをスリットした糸を重量比で1〜2%均等に混入することで課題に記載の機能を有する布地や繊維製品が硫黄系雰囲気下でも得られる。
又、その布地或いは繊維製品は耐洗濯性も有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、静電気除電性、抗菌性、抗カビ性を有する銅乃至は亜鉛或いはそれらの合金からなる金属を皮膜として、合成樹脂フィルムを基材の少なくとも片側に設けた積層フィルムをスリットして得た糸と、その糸を構成原料の一部とする布地及びその布地を構成原料の一部とする繊維製品に関する
【背景技術】
【0002】
従来から。真空蒸着法やイオン蒸着法、スパッタリング法といった周知の技術を用いて合成樹脂フィルムを基材とし、その基材フィルムの少なくとも片側に静電気除電性、抗菌性、抗カビ性をもつ、例えば純銀の金属皮膜を設け、該金属皮膜面を合成樹脂コーティング層や該金属皮膜を持つ持たないを問わず、別の同様のフィルムをラミネートして保護した後にスリットをして、更に天然繊維糸、乃至は合成繊維糸、乃至は化学繊維糸を単数若しくは複数巻き付けて強度を高めた糸は周知である。(特許文献1)
【0003】
又、請求項1に記載のスリット糸を芯として、天然繊維、合成繊維、化学繊維からなる単独或いは複数混合したファイバーを鞘とした構造の所謂コアヤーンやその糸を構成原料の一部とする布地乃至は繊維製品も周知である。(特許文献2)
【0004】
銅、亜鉛、乃至はそれらの合金は該金属イオンを溶出できる糸を構成原料の一部とする布地やその布地を構成原料の一部とする繊維製品も抗菌性や抗カビ性を持つとされている。(特許文献3))
【0005】
又、銅乃至は亜鉛或いはそれらの合金からなる金属皮膜を片側に持つ合成樹脂フィルムを2枚、各々金属面を内側にしてラミネートして得たフィルムをスリットして、前記の補強を施した糸を構成原料の一部とする布地やその布地を構成原料の一部とする繊維製品に、本発明に記載の皮膜を形成する当該金属の特徴である抗菌性、抗カビ性や静電気除電性を発現できるとされる。(特許文献3)
【0006】
しかし、銀も含め銅乃至は亜鉛、或いはそれらの合金の金属皮膜は20nmから100nm程度の膜厚であり、該金属皮膜を保護しなければならないとされる。(特許文献1)
【0007】
特に真空蒸着法を用いて銀、銅、亜鉛或いはそれらの合金を蒸着金属皮膜とすると。金属皮膜が酸化、ハロゲン化、乃至は硫化され金属色を失い、化学変化した該金属皮膜は機能を失うと考えられ、該スリット糸の審美性や本特許に記載の機能性といった価値がなくなるとされるからである。
【0008】
又、本発明に記載の金属を皮膜として有する糸はその構成を、基材フィルム/アンカーコーティング/金属層、乃至は基材フィルム/金属層とする積層フィルムをスリットして得られるが、その糸は織物や編物の一部とされた後に、染色工程やプリント工程を経なければ繊維製品の構成の一部とするには完成度が全く足りず、その染色工程、プリント工程では厳しい温度環境、pH環境、乃至は化学的環境を経なければならないからである。
【0009】
本発明に記載のスリット糸や所謂金属蒸着スリット糸が編物や織物といった布地になって後に染色乃至はプリント工程を経るのとは別に、撚糸などを施して補強されたスリット糸として染色を受ける場合も上記のような厳しい環境をくぐることを余儀なくされる場合もあれば、布地の該スリット糸を除く主原料である天然繊維、合成繊維、化学繊維から選別される単数乃至は複数の繊維原料であるファイバー乃至は糸の段階で染色されることもあり、この場合は染色工程を該スリット糸が通されることは免れ得る。
【0010】
しかし、所謂先染糸或いはファイバーやフィラメントになる前の原料に着色を施された糸と該スリット糸が組み合わされて布地が製造される場合に、上記染色工程やプリント工程の厳しい環境条件を潜ることは免れても、染色工程やプリント工程の最終段階である洗浄工程と整理工程は余儀なくされるし、繊維製品となった後も、洗濯再利用は繊維製品の宿命として避けて通れない。
【0011】
一方、請求項1に記載の金属層を有する糸は、その金属層に樹脂コーティングや別のフィルムによる保護を一切しないことを特徴としている。
この特徴から、該スリット糸が上記した厳しい条件下を潜ると、温度の高い水による水酸化を起こしたり、pH条件による酸化、加工工程中の物理刺激、染料や染色助剤との化学反応による劣化や審美性や本出願に記載の該金属の特質である機能性の喪失という問題を起こす。
【0012】
又、所謂先染糸や繊維原料段階で着色を施された糸との組合せによる布地の生産により、染色やプリント工程を免れたにしても、当該工程の最終段階にあたる洗浄による汚れや様々な助剤を取り去られなければ布地としての完成度は得られないし、その布地からなる繊維製品は繰り返し洗濯をされ、汚れを落とされて再利用されるのが一部の不織布を除き繊維製品の宿命である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第4175486号
【特許文献2】特許第3464462号
【特許文献3】特許公開2004−115954
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
請求項1に記載のスリット糸の金属層の厚みが50ナノメータ以下である場合、厳しい染色工程に晒される場合はもとより、その工程を避けて生産された布地であっても加工の最終段階で洗浄水の物理的刺激によって、或いは繊維製品となってから後の洗濯によっても金属層を形成している金属は、殆ど洗い流され期待するその金属由来の機能は発現しない。
【0015】
真空蒸着法はその経済的合理性から、請求項1に記載のスリット糸を得る方法とすれば最適であるが、真空蒸着法によると、使用される蒸着釜の気圧を落として坩堝に入れた金属を常態より低温で沸騰させ蒸気化して基材フィルムに金属層を形成するが、蒸気化した金属は金属分子としてフィルム上に分子レベルで再び固体として金属層を形成する。しかしその分子間の結合は非常に弱く、通常認識されている固体金属としての状態を持てないので、染色工程やプリント工程の最終段階である洗浄で洗い流され、或いは繊維製品となった後の洗濯にも耐え切れないのである。
【0016】
金属層の厚みが50ナノメーター以下であると、静置した水道水の中では当該スリット糸の金属層は常温常圧条件で凡そ2日或いは3日後にはその金属は溶け出し、目視によれば基材フィルムしか残っていないとう状況を示す。
【0017】
片や、金属層を保護するため合成樹脂コーティングや別の基材と同様なフィルムをラミネートして得られた積層フォルムをスリットして得られた糸は、上記したような膳弱な金属層は洗い流されることなく残るし、染色工程の条件下でも、最終工程の洗浄でも繊維製品になった後でも洗濯に耐えうるが、蒸着された金属の露出はスリット断面だけになり、金属イオンの溶出は非常に限られたものになってしまうという課題が残る。
【0018】
蒸着される金属が銀或いはその合金である場合、抗菌性を布地や繊維製品に発現させるためにjは5乃至は10ppbという銀イオンが溶出すれば十分である。しかし、銅、亜鉛乃至はそれらの合金の金属イオンが抗菌性を発現するためには銀イオンに比べ400倍から500倍のイオン濃度が必要になる。
【0019】
抗菌性や静電気除電性を発現されることが出来る蒸着金属を銀乃至その合金とした場合、特に金属面にコーティングや別のフィルムのラミネートによる保護を受けると、厳しい温度条件下で過酸化水素材による晒しや塩素晒しを受けても、染料や助剤と化学反応をし易い環境を潜っても当該金属がダメージを受けることはないが、ゴム長靴やカジュアルシューズのようにゴム系の樹脂が使用される商品向けの布地では、銀と硫黄成分乃至は硫黄ガスが反応して抗菌性、静電気除電性という機能を失い、それらの製品に用いられる生地には不適切である。本発明はその課題を解決するものである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
イオン化した銅や亜鉛、乃至はそれらの合金は、カビに対して銀イオンの増殖抑制力の倍の能力を有し、逆に抗菌性を実現するには銀イオンの400から500倍のイオン濃度が必要になるため、当該金属がスリット巾一杯に露出しているという請求項1に記載の糸には十分な抗菌・抗カビ機能発現能力を担保される。
【0021】
蒸着された金属層を樹脂コーティング或いは別の基材フォルムと同様のフィルムにより保護された積層フィルムをスリットして得られた糸の金属層が銅或いは亜鉛、乃至はそれらの合金である場合、銀乃至はその合金よりも金属イオン化するスピードは速くそのイオン溶出量は多いものの、機能を発現するために布地を生産するにたりる混率は銀を保護した積層フォルムをスリットした糸の何倍も何十倍も必要になり、断面が長方形になるというスリット糸である特性を考えれば、当該金属蒸着糸の混率が高くなる布地やその布地を用いた繊維製品は非常に手触りが悪く、風合も地合も悪くなり、それらの完成度評価は非常に低いものにならざるを得ない。
【0022】
請求項1に記載のスリット糸は蒸着する金属が露出されていることを特徴として、露出されているからこそ十分な金属特性を活かして該金属イオンの溶出とその速度を上げることができて、更に露出されているからこそ起こってしまう欠点、即ち洗浄工程における物理刺激による皮膜を形成する金属の量的減少を防ぎ、常温常圧下では酸化、ハロゲン化されにくく、硫化をしても機能を残すことができるというものである。
【0023】
請求項1に記載のスリット糸は、合成樹脂フィルムを基材とする。合成樹脂フィルムにはポリエチレンテレフタレート、ポロエチレンナフタレート、ポリエチレン乃至はポリプリピレン、ポロアミド、ポリカーボネートなど周知のものから選別されうるが、ポリエチレンテレフタレートが最適であり、その厚みは4から12ミクロンがスリット糸として布地になり、更に繊維製品とするためには柔らかさ強さを兼ね備えるためには適している。勿論用途によっては別のフィルムの選択を否定するものではないし、更にフィルムの厚みも限定するものではない。
【0024】
請求項1に記載の基材フィルムに蒸着する金属は、銅乃至は亜鉛乃至はそれらの合金から選択され、金属蒸着膜の厚みは50ナノメーターを越え100ナノメーター程度が適当であり、工程のスピードアップや原料コストなど経済的側面や機能発現の安定化のためにも80ナノメーターが妥当である。又、スリット巾は0.12mmから0.25mmが好ましい。
【0025】
当該金属層の厚みが50ナノメーター以下になると、蒸気となって分子単位で基材フィルムに層を形成する金属の分子結合は非常に弱く、蒸着金属層は簡単に水に溶け出してしまい、抗菌性や静電気除電性が布地に発現しても、その布地や繊維製品が洗浄、洗濯を経ると直ぐに機能をなくす。又、請求項1に記載の糸は、製造されてから2週間から1ヶ月程度のエージングを経た後に使用されることで金属層を形成する金属分子間の結合が強まるので、そのような使用がより好ましいし、或いは布地になった後にエージングされることが好ましい。
その方が耐洗濯性を向上できる。
【0026】
更に、請求項1に記載のスリット糸はその原料となる金属上着層に、一液タイプ、2液タイプを問わず、合成樹脂による保護コーティング、或いは別の基材フィルムと同様のフィルムによる保護を一切施さないことを特徴としている。これは銅或いは亜鉛なしはそれらの合金の金属イオン溶出のスピードとイオン量を増すことに貢献する。
又、銅はイオン化傾向の低い金属であり、酸化やハロゲン化を常温常圧では起こさないし、空気中の硫黄イオンと反応して硫化銅となっても機能を無くさない。亜鉛は酸化、ハロゲン化、硫化をしてもイオン溶出ができる。それらの合金も又然りである。
【0027】
請求項1に記載のスリット糸には、天然繊維、合成繊維、化学繊維の単数或いは複数を問わず、又それぞれの繊維の単数或いは複数の組み合わせによる紡績糸、或いは長繊維を問わずに撚糸され強度を上げていることを特徴としている。スリット糸を中心に22dtxのポリエステル長繊維を2本左右逆に巻き付けて400回/メーター辺り撚糸したもの、30番手の綿糸を1本、スリット糸に400回/メーター辺り撚糸したものが例として上げられるし、綿のファイバーを鞘とし当該スリット糸を芯として精紡交撚した所謂コアヤーンとしても構わない。
様々な加工糸は、織や編の生地企画や主素材となる繊維の種類や糸の太さとの兼ね合いで最適なものが選別されることが可能となる。
【0028】
請求項2に記載の布地には請求項1に記載のスリット糸が重量比で0.5から5%、出来るだけ均一に織り込まれ或いは編み込まれていることを特徴とし、重量比1%から2%の混率で布地を製造することが好ましい。
【0029】
請求項3に記載の繊維製品は、当該製品の一部又は全部に請求項2に記載の布地が使用されていることを特徴とし、当該布地が使用された当該繊維製品のその部分或いはその部分が接触している部分に抗菌性や静電気除電性を活かすことが出来ることを特徴としている。
【0030】
請求項1に記載のスリット糸は金属層が50ナノメーターを超える厚みを持ち、当該金属層が何らの保護コーティングや保護フィルムを持たないことを特徴とするが、布地の大部分を構成する糸が先染された糸や、繊維原料段階で着色された糸を原料素材とした編物や織物といった布地になると、温度、pH、よる影響もなく染料や助剤などとの化学反応を避けて、最終工程である洗浄の際の水との接触の刺激にも耐え、繊維製品となっても消費者やエンドユーザーによる洗濯再使用にも耐えることが出来る。
【0031】
請求項1に記載の糸は、布地になって後に染色工程を経ると流動する水の刺激によって皮膜を形成する金属が溶け出し、当該金属が果たすべき機能を減殺するので、先染糸乃至は繊維原料段階に着色された繊維素材を布地の主素材とすることが肝要である。
【0032】
請求項1に記載のスリット糸は金属層を保護されてないことを特徴とするが、このことにより金属の露出がスリット断面だけではなく、少なくともスリットされた巾だけ露出されることになり、当該金属イオンが素早く大量に溶出されることになる。又、静電気のコロナ放電もスリット巾一杯に露出された金属により促進される。硫化銅はイオン溶出力を持つしコロナ放電促進力も兼ね備えている。又、亜鉛も化学反応して塩になってもイオン出をするしコロナ放電促進力があるし、それらの合金も又然りである。
【0033】
一方、溶出される金属イオンは限度なくその溶出を続けるわけではなく、温度条件、pH条件にものよるが一定の飽和点を迎えるとその溶出を止める。即ち本特許に記載の金属はイオン溶出をとめどなくする訳ではないので、機能の持続的発現が可能になる。
【0034】
又、銅は銀と同じ第11属金属であり、イオン化傾向も低く、常温常圧下では酸化やハロゲン化をしにくいという特徴があり、亜鉛は典型金属ながら酸化やハロゲン化をしても機能を無くさないし、それらの合金も又同じである。
【0035】
請求項1に記載のスリット糸に蒸着される金属としては、亜硫酸ガスや硫黄ガスと反応しても抗菌性や静電気除電性を維持できる銅乃至はその合金が最も適している。
【発明の効果】
【0036】
本発明による請求項1に記載のスリット糸はそのスリット巾一杯に当該金属を露出しており、当該金属のイオン溶出やその速度を高めることができ、抗菌性、抗カビ性、静電気除電性を生地に発現させることができ、その生地を構成原料の少なくとも一部とした繊維製品も同様の機能を持つことになる。
【0037】
更に、合成樹脂フィルを基材として少なくともその片側に銀を金属皮膜として有するスリット糸を構成原料の一部とした生地をゴム長靴やカジュアルシューズの底部分や裏地として使った場合にゴムから発生する硫黄ガスと反応し、抗菌性や静電気除電性を喪失するが、本発明による生地はその心配が全くない。
【0038】
更に、銅、亜鉛乃至はそれらの合金は、銀イオンが抗カビ機能を発揮する濃度に比べ半分の濃度のイオン溶出があれば抗カビ機能も発現できるし、金属層に何らの保護も加えていないことから、スリット糸のスリット巾一杯に露出した金属は、速い速度で多くの金属イオンを溶出することが出来る。しかも、その機能は洗濯耐性を併せ持つことが出来る。
【0039】
結果として、従来無機系の抗菌剤の内、産業界で主流になっている銀系の抗菌剤が使用できなかった、ゴム長靴に代表される硫黄系雰囲気下で使用される布地や繊維製品に、無機系の糸で複数の機能を有する布地や繊維製品を提供できる。又、基材フィルム1枚に金属皮膜を設けるだけで樹脂コーティングや別のフィルムの保護が必要ないので、スリット糸をより合理的に得ることが出来る。
【実施例】
【0040】
更に詳しく本発明を説明するため、以下に実施例を示す。なお、各表に表したデータは何れも一般財団法人ボーケン品質評価機構の試験によるものである。
先ず、銀の抗菌性、静電気除電性を発現できるという特許文献1.に記載の銀を蒸着皮膜として、その銀層をポリエステルフィルム2枚がサンドイッチ構造に保護してしたスリット糸で経編生地(ポリエステルメッシュ生地。以下メッシュ生地という)の、生地段階の抗菌機能は、JIS−L−1902による黄色ぶどう状球菌を対象とした抗菌試験では下の表1のような優秀なデータを得ている。
【表1】

【0041】
しかし、その生地をカジュアルシューズの内側底部分と裏の側地部分に使用するため、僅か1ppmの硫黄成分を含む合成ゴム系の接着剤で靴の主要部分と接着をし、70度程度の熱を掛けて接着剤を乾燥させると、硫黄成分からでた硫黄ガスと銀が反応して、前記と同様の抗菌試験を行った場合、下の表2にあるように抗菌機能が喪失される。
【表2】

【0042】
主要な素材に天然ゴムや僅かでも硫黄成分を含む合成ゴムが使用される靴や長靴は、靴の裏側に布地を使うケースが多く、ゴム系の接着剤が主に使われる。
この場合には必ず加硫というゴム成分の強度を増したり、しなやかさを出すための工程を通される。ここで熱を掛けて加硫を促進し、接着剤の強度アップや乾燥が行われる。
その熱が製品原料のゴムや接着剤から硫黄ガスを蒸発させることは避けられない。
【0043】
一方、厚み12ミクロンのポリエステルフィルムの片側に、銅を膜厚80ナノメーターで真空蒸着し、そのフィルムを200ミクロン巾にスリットした後、ポリエステル30d/5フィラメントの長繊維糸を2本左右逆に巻きつけ、主素材がポリエステル樹脂の段階で黒く着色された150dの糸に対し重量比2,3%で丸編生地<A>と、重量比混率は<A>半分である<A‘>の製造し、巾1mの布地2通りを得た。
【0044】
この生地を液流洗浄機を避け、タンブラー洗浄を施し乾燥させて地合・風合のいい生地を得て、JIS−L−1902の抗菌試験により、洗濯0回・3回後・10回後の抗菌テストを黄色ぶどう状球菌を対象に行ったところ、下の表3のように非常に優秀な有効データを得られた。
【表3】

【0045】
布地<A>を厚さ5mmの板状の天然ゴムと合成ゴム系の接着剤で接着し、加硫工程を通した。生地とゴムが一体となったもの<B>を検体として、JIS−Z−2801により抗菌試験を行ったところ、黄色ぶどう状球菌(表4)にも大腸菌(表5)にも下のように有効な抗菌データを得られた。ブランクの増殖値から何れも試験は成立している。
【表4】

【表5】

【0046】
厚み12ミクロンのポリエステルフィルムに膜厚50ナノメーターで銅を蒸着し、上記と同じ方法でポリエステル30dの長繊維を左右逆に巻きつけ、その糸の混率も主原料も上記と同じように製造した丸編生地を得たが、JIS−L−1092にいう洗濯方法で10回洗濯したところ、銅の独特な色が失われてしまっていた。銅皮膜の厚みが50ナノメーター以下であると、基材フィルム上に再び固体化した銅は、分子間の結合が非常に弱く、状態では強酸性の塩酸、硝酸、硫酸などでしか溶けない銅が、水道水にも容易く溶け出すが、銅皮膜の厚みが80ナノメーター以上になると公的試験機関が行う厳しい洗濯にも耐えることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明による銅、亜鉛ないしはそれらの合金を蒸着皮膜として有する合成樹脂フィルムをスリットして得られた糸を構成原料の一部とする布地或いはその布地を構成原料の一部とする繊維製品は、金属面を合成樹脂コーティングや別のフィルムによる保護を施すことなく、経済的合理性をもって生産でき、銀系の抗菌糸が抗菌、抗カビ、静電気除電という機能をなくしてしまう硫黄系環境を避けて通れない工程を潜る布地やその布地を構成原料のすくなくとも一部とする繊維製品に持続的な該機能を付与することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂フィルムを基材として、少なくともその片側に銅或いは亜鉛、乃至はそれらの合金からなる金属皮膜を少なくとも50ナノメーターを越える厚みで設け、当該金属皮膜面に樹脂層或いは別の合成樹脂フィルムによる保護を一切しないことを特徴とする当該フィルムをスリットして、天然繊維からなる糸、合成繊維からなる糸、乃至は化学繊維からなる糸を単数或いは複数巻き付けて、或いはコアヤーンとして強度を高めた静電気除電性、抗菌性、抗カビ性を硫黄系雰囲気を通しても実現できる糸。
【請求項2】
請求項1に記載の糸を、少なくとも原料構成素材の一部とする布地。
【請求項3】
請求項2に記載の布地を少なくとも構成原料の一部とする繊維製品。

【公開番号】特開2013−87405(P2013−87405A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237921(P2011−237921)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(509170796)
【Fターム(参考)】