説明

銅めっき溶液およびこれを用いた銅めっき方法

【課題】高縦横比のビアホールを埋め込むのに好適な銅めっき溶液および銅めっき方法を提供する。
【解決手段】シード層を有する基板を浸漬し、水、銅供給源、電解物質、塩素イオン、第1添加剤、第2添加剤、および第3添加剤を含み、前記第1添加剤は、化学式1に示す化合物である銅めっき溶液を用いて銅めっきを行う。


(式中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、mは、平均重合度であり6〜14の実数である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅めっき溶液および該銅めっき溶液を用いて銅をめっきする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、POP(package on package)などのように半導体チップまたは半導体パッケージを積層して互いに電気的に接続する技術として、銅めっき技術を用いてTSV(through silicon via)プラグを形成することで半導体チップを互いに電気的に接続する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0045832号明細書
【特許文献2】韓国公開特許第2001−0040084号公報
【特許文献3】韓国公開特許第2001−0078217号公報
【特許文献4】米国特許第7575666号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、銅めっき溶液を提供することにある。
【0005】
本発明が解決しようとする他の課題は、前記銅めっき溶液を製造する方法を提供することにある。
【0006】
本発明が解決しようとするさらに他の課題は前記銅めっき溶液を用いて銅をめっきする方法を提供することにある。
【0007】
本発明が解決しようとするさらに他の課題は前記銅めっきを行う銅めっき装置を提供することにある。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は上記課題に限定されない。ここで、上記課題のほかは下記の記載によって当業者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の技術的思想による銅めっき溶液は、水、銅供給源、電解物質、塩素イオン、第1添加剤、第2添加剤、および第3添加剤を含む。
【0010】
前記第1添加剤は、化学式1に示す化合物を含み、
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、mは平均重合度であり6〜14の整数である。)
前記第2添加剤は、化学式2に示す化合物を含み、
【0013】
【化2】

【0014】
(式中、Dは、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基または金属である。)
および、
前記第3添加剤は、化学式3に示す化合物を含む。
【0015】
【化3】

【0016】
(式中、nは、平均重合度であり5〜100の実数である。)
本発明の技術的思想による銅めっき溶液は、前記第1添加剤を0.5〜200mg/Lに含むことができ、前記第2添加剤を10−400mg/Lに含むことができ、前記第3添加剤を0.5〜200mg/Lに含むことができる。
【0017】
前記第2添加剤のDは、水素原子、リチウム原子、ナトリウム原子、またはカリウム原子のうちの1つとすることができる。
【0018】
本発明の技術的思想による銅めっき溶液は、銅供給源としてメタンスルホン酸銅(II)((CHSOCu)または硫酸銅(CuSO、CuSO)を含むことができる。
【0019】
本発明の技術的思想による銅めっき溶液は、銅供給源としてメタンスルホン酸銅(II)を約200〜約500g/L含むことができる。
【0020】
本発明の技術的思想による銅めっき溶液は、水溶液または分散液状で提供されることができる。
【0021】
本発明の技術的思想による銅めっき溶液は、無水和物で提供されるメタンスルホン酸銅(II)を配合して製造されることができる。
【0022】
本発明の技術的思想による銅めっき溶液は、水和物、特に五水和物で提供される硫酸銅を配合して提供されることができる。
【0023】
本発明の技術的思想による銅めっき溶液は、メタンスルホン酸(CHSOH)および/または硫酸(HSO)を含むことができる。
【0024】
本発明の技術的思想による銅めっき溶液は、前記メタンスルホン酸を5〜20g/L含むことができる。
【0025】
本発明の技術的思想による銅めっき溶液は、塩素イオン源をさらに含むことができる。
【0026】
前記塩素イオン源は塩化水素または塩化ナトリウムを含むことができる。
【0027】
本発明の技術的思想による銅めっき溶液は、塩化水素を2.5〜250mg/L含むことができる。
【0028】
本発明の技術的思想による銅めっき溶液は、ポリエチレングリコールをさらに含むことができる。
【0029】
本発明の技術的思想による銅めっき溶液は、水、銅供給源、電解物質、塩素イオン、第1添加剤、第2添加剤、および第3添加剤を含み、前記第1添加剤は、化学式1に示す化合物とすることができる。
【0030】
【化4】

【0031】
(式中、Rは、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基であり、mは平均重合度であり6〜14の整数である。)
前記第2添加剤は、化学式2に示す化合物とすることができる。
【0032】
【化5】

【0033】
(式中、Dは、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基または金属である。)
前記第3添加剤は、化学式3に示す化合物とすることができる。
【0034】
【化6】

【0035】
(式中、nは、平均重合度であり5〜100の実数である。)
本発明の技術的思想による銅めっき溶液は、水、銅供給源、電解物質、および平滑剤を含み、前記平滑剤は、化学式3に示す化合物とすることができる。
【0036】
【化7】

【0037】
(式中、nは、平均重合度であり5〜100の実数である。)
本発明の技術的思想による銅めっき方法は、銅めっき装置で用いるめっき容器内に銅めっき溶液を注入する工程、および前記銅めっき溶液内にシード層を有する基板を浸漬させ、前記シード層上に銅めっき層を形成する工程を含み、前記銅めっき溶液は、水、銅供給源、電解物質、および第1添加剤を含む。
【0038】
前記第1添加剤は、化学式1に示す化合物であり、
【0039】
【化8】

【0040】
(式中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、mは平均重合度であり6〜14の整数である。)
前記第2添加剤は、化学式2に示す化合物であり、
【0041】
【化9】

【0042】
(式中、Dは、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基または金属である。)
および、
前記第3添加剤は、化学式3に示す化合物である。
【0043】
【化10】

【0044】
(式中、nは、平均重合度であり5〜100の実数である。)
本発明の技術的思想による銅めっき方法は、前記銅めっき溶液を用いて銅をめっきする銅めっき工程における前記銅めっき溶液の温度を15〜60℃に維持することを含むことができる。
【0045】
本発明の技術的思想による銅めっき方法は、銅めっき工程においてアノード電極およびカソード電極を含む銅めっき装置を用いるものであり、前記アノード電極と前記カソード電極との間の電流密度は1.0〜100mA/cmを維持することを含むことができる。
【0046】
本発明の技術的思想による銅めっき方法は、銅めっき工程において相対的に低い電流密度を印加する初期段階および相対的に高い電流密度を印加する後期段階を含むことができる。
【0047】
本発明の技術的思想による銅めっき方法は、前記銅めっき装置が前記基板を前記銅めっき溶液内で水平回転させるための回転モータおよび前記銅めっき溶液を前記めっき容器と補助保存容器を循環させるための溶液循環路をさらに含み、前記銅めっき工程における前記回転モータは前記基板を前記銅めっき溶液内で1〜60RPMに回転させることを含み、および前記銅めっき工程における前記銅めっき溶液は前記溶液循環路を介して前記銅めっき溶液を1〜30LPMで循環させることを含むことができる。
【0048】
本発明の技術的思想は、銅めっき装置で用いるめっき容器内に銅めっき溶液を注入する工程、および前記銅めっき溶液内に基板を浸漬して前記基板上に銅めっき層を形成する工程を含むが、前記銅めっき溶液は、水、銅供給源、電解物質、および平滑剤を含み、前記平滑剤は、化学式3に示す化合物である銅めっき方法を提案する。
【0049】
【化11】

【0050】
(式中、nは、平均重合度であり5〜100の実数である。)
【発明の効果】
【0051】
本発明の技術的思想による銅めっき溶液は、高縦横比のビアホール内部に銅めっき層を高速にめっきさせるのに有利である。本発明の技術的思想による銅めっき方法により形成されたTSVプラグはシームまたはボイドが形成されないので、信頼性が高い。本発明の技術的思想による銅めっき溶液の製造方法および銅めっき方法が適用できる銅めっき装置が具体的に説明されているので、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は本発明の技術的思想を多様な産業の発展に応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の技術的思想による銅めっき装置を概略的に示す図である。
【図2a】本発明の技術的思想を適用したTSVプラグが形成される前のウエハWの概略的な平面図である。
【図2b】図2aのCA領域の概略的な拡大図である。
【図3a】銅めっき工程を説明する図2bのI−I’の縦断面図である。
【図3b】銅めっき工程を説明する図2bのI−I’の縦断面図である。
【図3c】銅めっき工程を説明する図2bのI−I’の縦断面図である。
【図3d】銅めっき工程を説明する図2bのI−I’の縦断面図である。
【図3e】銅めっき工程を説明する図2bのI−I’の縦断面図である。
【図3f】銅めっき工程を説明する図2bのI−I’の縦断面図である。
【図3g】銅めっき工程を説明する図2bのI−I’の縦断面図である。
【図3h】銅めっき工程を説明する図2bのI−I’の縦断面図である。
【図4】図3fに示す表面銅めっき層160bおよびTSVプラグ160cを撮影したSEM写真である。
【図5】本発明の技術的思想が適用されない従来の銅めっき溶液を用いてTSVプラグが形成されたものを撮影したSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明の上記目的と技術的構成およびこれによる作用効果に関する詳細な事項は、本発明の実施形態を示す図面を参照した以下の詳細な説明によってさらに明確に理解できるだろう。ここで、本発明の実施形態は当業者に本発明の技術的思想を十分に伝達するために提供されるものなので、本発明は以下に説明される実施形態に限定されず、他の形態に具体化されることができる。
【0054】
ここで、前記第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明するためのものであって、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で用いられる。ただ、本発明の技術的思想を脱しない範囲では、第1構成要素と第2構成要素を当業者の便宜上、任意に命名することができる。
【0055】
本発明の明細書に用いる用語は、特定の実施形態を説明するためにのみ用いられるものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。例えば、単数で示される構成要素は文脈上に明確に単数を意味するものでなければ複数の構成要素を含む。また、本発明の明細書において、「含有する」、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載した特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品またはそれらを組み合わせたものが存在することを意図するものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品またはそれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性をあらかじめ排除しないものとして理解されなければならない。
【0056】
本明細書において、炭素原子数1〜6のアルキル基は、特に制限されないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ブチル基、i−ペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基(イソアミル基)、2,2−ジメチルプロピル基(ネオペンチル基)、1,1−プロピル基(t−ペンチル基)、i−ヘキシル基、t−ヘキシル基などである。
【0057】
さらに、そのほかに定義しない限り、本明細書に用いる技術的または科学的な用語を含むすべての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと等しい意味を有する。事前に定義される、一般的に用いられる用語は関連技術の文脈上に有する意味と同一の意味を有するものとして解釈しなければならなく、本願で明確に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味に解釈されない。
【0058】
本発明の技術的思想による銅めっき溶液は、銅供給源、電解物質、および多様な添加剤を含むことができる。前記多様な添加剤は、抑制剤(suppressor)、促進剤(accelerator)、平滑剤(leveler)、界面活性剤、消泡剤(anti−foamer)および軟性化剤(ductilizer)を選択的に含むことができる。また、前記銅めっき溶液は、塩化物イオンまたは塩素イオン源を含むことができる。
【0059】
前記銅供給源は、メタンスルホン酸銅(II)((CHSOCu)および/または硫酸銅(CuSOおよび/またはCuSO)を含むことができる。
【0060】
前記電解物質は溶液にとけて前記銅めっき溶液の導電性を増加させることができる。前記電解物質はメタンスルホン酸(CHSOH)および/または硫酸(HSO)を含むことができる。
【0061】
前記銅めっき溶液は、前記添加剤として抑制剤、促進剤、または平滑剤の一つ以上を含むことができる。
【0062】
前記塩素イオンまたは塩素イオン源は、前記抑制剤を補助することができる。前記塩素イオン源は、前記銅めっき溶液内にとけて塩素イオン(Cl)を排出することができる。前記塩素イオンは、銅めっき工程で銅めっき速度を抑制する機能を有することができる。すなわち、前記塩素イオンまたは塩素イオン源は補助抑制剤とすることができる。または、前記補助抑制剤は、前記塩素イオンまたは塩素イオン源を含まないで、ポリエチレングリコール(HO(CHCHO)H、nは正の整数)を含むことができる。もちろん塩素イオンまたは塩素イオン源と前記ポリエチレングリコールをすべて含むこともできる。
【0063】
以下、本発明の技術的思想による多様な銅めっき溶液をより詳細に説明する。
【0064】
第1実施形態
本発明の技術的思想の第1実施形態による銅めっき溶液は、銅供給源としてメタンスルホン酸銅(II)((CHSOCu)、電解物質としてメタンスルホン酸(CHSOH)、塩素イオン源、第1添加剤、第2添加剤、第3添加剤および水を含むことができる。
【0065】
前記第1実施形態による銅めっき溶液は、前記メタンスルホン酸銅(II)を約200〜500g/L含むことができ、好ましくは約250〜450g/L含むことができる。
【0066】
前記第1実施形態による銅めっき溶液は、前記メタンスルホン酸を約5〜20g/L含むことができ、好ましくは約10〜20g/L含むことができる。
【0067】
前記第1実施形態による銅めっき溶液は、塩素イオン源を約2.5〜250mg/L含むことができ、好ましくは約20〜200mg/L含むことができ、特に好ましくは約20〜150mg/L含むことができる。例えば、前記第1実施形態による銅めっき溶液は、塩化水素を約2.5〜250mg/L含むことができる。前記銅めっき溶液は前記塩化水素の代わりに塩化ナトリウムを含有することができる。
【0068】
前記第1実施形態による銅めっき溶液は、前記第1添加剤を約0.5〜200mg/L含むことができ、好ましくは約1.0〜50mg/L含むことができる。前記第1添加剤は下記の化学式1に示された化合物を含むことができる。
【0069】
【化12】

【0070】
(式中、Rは、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基である。また、mは平均重合度であり6〜14の整数である。)
前記化学式1の化合物は、ポリエーテル化合物として理解されることができる。より好ましくは、前記第1添加剤は、ベンゼン環を有するポリエーテル化合物として理解されることができる。
【0071】
前記第1実施形態による銅めっき溶液は、前記第2添加剤を10〜400mg/L含むことができ、好ましくは約15〜200mg/L含むことができる。前記第2添加剤は下記の化学式2に示された化合物を含むことができる。
【0072】
【化13】

【0073】
(式中、Dは、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基または金属である。)
前記Dは、好ましくは、水素原子、リチウム原子、ナトリウム原子またはカリウム原子とすることができる。前記化学式2の化合物は二硫化物であることがわかる。
【0074】
前記第1実施形態による銅めっき溶液は、前記第3添加剤を0.5〜200mg/L含むことができ、好ましくは約1〜50mg/L含むことができる。前記第3添加剤は下記の化学式3に示された化合物を含むことができる。
【0075】
【化14】

【0076】
(式中、nは、平均重合度であり5〜100の実数である。)
前記化学式3の化合物は、ベンジル基で修飾されたポリエチレンイミン化合物として理解されることができる。前記塩素イオンは、前記化合物を電気的中性状態として維持させることができる。
【0077】
第2実施形態
本発明の技術的思想の第2実施形態による銅めっき溶液は、銅供給源としてメタンスルホン酸銅(II)、電解物質としてメタンスルホン酸、塩素イオン源、前記第2添加剤、前記第3添加剤、第4添加剤および水を含むことができる。前記第1実施形態による銅めっき溶液の前記第1添加剤が前記第4添加剤に交換されたものであることがわかる。前記第4添加剤は、ポリプロピレングリコール(polypropylene glycol、(CHCH(OH)CHOH)、nは正の整数)とポリエチレンオキシド(polyethylene oxide、(CO)、nは正の整数)との共重合体であることがわかる。好ましくは約90質量%のポリプロピレングリコールと約10質量%のポリエチレンオキシドとの共重合体であることがわかる。または、前記共重合体は平均分子量3800のジオールまたはポリエーテル化合物であることがわかる。その他に、含有量などは前記第1実施形態による銅めっき溶液を参照して理解することができる。
【0078】
第3実施形態
本発明の技術的思想の第3実施形態による銅めっき溶液は、銅供給源としてメタンスルホン酸銅(II)、電解物質としてメタンスルホン酸、塩素イオン源、前記第2添加剤、前記第3添加剤、第5添加剤および水を含むことができる。前記第1実施形態による銅めっき溶液の前記第1添加剤または前記第2実施形態による前記第4添加剤が前記第5添加剤に交換されたものであることがわかる。好ましくは前記第5添加剤は、約60質量%のポリプロピレングリコールと約40質量%のポリエチレンオキシドとの共重合体であることがわかる。または、前記共重合体は平均分子量4200のポリエーテル化合物であることがわかる。その他に、含有量などは前記第1実施形態による銅めっき溶液を参照して理解することができる。
【0079】
第4実施形態
本発明の技術的思想の第4実施形態による銅めっき溶液は、銅供給源としてメタンスルホン酸銅(II)、電解物質としてメタンスルホン酸、塩素イオン源、前記第2添加剤、前記第3添加剤、第6添加剤および水を含むことができる。前記第1実施形態による銅めっき溶液の前記第1添加剤、前記第2実施形態による銅めっき溶液の前記第4添加剤、または前記第3実施形態による銅めっき溶液の前記第5添加剤が前記第6添加剤に交換されたものであることがわかる。
【0080】
前記第6添加剤は下記の化学式4に示された化合物を含むことができる。
【0081】
【化15】

【0082】
(式中、pは、平均重合度であり、好ましくは9である。)
前記化学式4中、Rは、例えば、次のような化学式5または化学式6のいずれか1つであり、前記第6添加剤は前記Rが化学式5または化学式6である化学式4に示された化合物の2つの組み合わせとすることができる。
【0083】
【化16】

【0084】
Rが前記化学式5である化学式4に示された化合物は、炭素原子数11の2級脂肪族アルコールに由来するものであることがわかる。
【0085】
【化17】

【0086】
Rが前記化学式6である化学式4に示された化合物は、炭素原子数11の1級脂肪族アルコールに由来するものであることがわかる。
【0087】
したがって、前記第6添加剤は、炭素原子数11の2級脂肪族アルコールに酸化エチレンを付加した化合物または炭素原子数11の1級脂肪族アルコールに酸化エチレンを付加したポリエーテル化合物から選択されることがわかる。好ましくは前記第6添加剤は炭素原子数11の2級脂肪族アルコールと炭素原子数11の1級脂肪族アルコールとの質量比1:1混合物に約10質量%酸化エチレンから形成されるポリエーテル化合物であることがわかる。その他に、含有量などは前記第1実施形態による銅めっき溶液を参照して理解することができる。
【0088】
第5実施形態
本発明の技術的思想の第5実施形態による銅めっき溶液は、銅供給源としてメタンスルホン酸銅(II)、電解物質としてメタンスルホン酸、塩素イオン源、前記第1添加剤、前記第2添加剤、第7添加剤および水を含むことができる。前記第1実施形態による銅めっき溶液の前記第3添加剤が前記第7添加剤に交換されたものであることがわかる。
【0089】
前記第7添加剤は下記の化学式7に示す化合物を含むことができる。
【0090】
【化18】

【0091】
(式中、aは、化学式7に示す化合物の数平均分子量は好ましくは30000となる数であり、Mはアルカリ金属原子であり、好ましくは、ナトリウム原子、カリウム原子、セシウム原子であり、特に好ましくはカリウム原子である。)
前記第7添加剤は、スルホン酸塩を有するポリエチレンイミン化合物であることがわかる。その他に、含有量などは前記第1実施形態による銅めっき溶液を参照して理解することができる。
【0092】
第6実施形態
本発明の技術的思想の第6実施形態による銅めっき溶液は、銅供給源としてメタンスルホン酸銅(II)、電解物質としてメタンスルホン酸、塩素イオン源、前記第1添加剤、前記第2添加剤、第8添加剤および水を含むことができる。前記第1実施形態による銅めっき溶液の前記第3添加剤または前記第5実施形態による銅めっき溶液の前記第7添加剤が前記第8添加剤に交換されたものであることがわかる。
【0093】
前記第8添加剤は下記のような化学式8に示す化合物を含むことができる。
【0094】
【化19】

【0095】
(式中、bは、化学式8に示す化合物の数平均分子量は好ましくは70000となる数であり、Xは、取消分子(対イオン)であり、例えばCl、Brである。)
前記第8添加剤は、poly(pyridinium)誘導体化合物であることがわかる。その他に、含有量などは前記第1実施形態による銅めっき溶液を参照して理解することができる。前記取消分子は前記単量体を電気的中性状態に維持することができる。
【0096】
第7実施形態
本発明の技術的思想の第7実施形態による銅めっき溶液は、銅供給源としてメタンスルホン酸銅(II)、電解物質としてメタンスルホン酸、塩素イオン源、前記第1添加剤、前記第2添加剤、第9添加剤および水を含むことができる。前記第1実施形態による銅めっき溶液の前記第3添加剤、前記第5実施形態による銅めっき溶液の前記第7添加剤、または前記第6実施形態による前記第8添加剤が前記第9添加剤に交換されたものであることがわかる。
【0097】
前記第9添加剤は下記のような化学式9に示す化合物を含むことができる。
【0098】
【化20】

【0099】
(式中、cは、化学式9に示す化合物の数平均分子量は好ましくは60000となる数である。)
前記第9添加剤はpoly(pyridine)誘導体化合物であることがわかる。その他に、含有量などは前記第1実施形態による銅めっき溶液を参照して理解することができる。
【0100】
第8実施形態
本発明の技術的思想の第8実施形態による銅めっき溶液は、銅供給源としてメタンスルホン酸銅(II)、電解物質としてメタンスルホン酸、塩素イオン源、前記第1添加剤、前記第2添加剤、第10添加剤および水を含むことができる。前記第1実施形態による銅めっき溶液の前記第3添加剤、前記第5実施形態による銅めっき溶液の前記第7添加剤、前記第6実施形態による前記第8添加剤、または前記第7実施形態による銅めっき溶液の前記第9添加剤が前記第10添加剤に交換されたものであることがわかる。
【0101】
前記第10添加剤は下記のような化学式10に示すユニットからなる化合物を含むことができる。
【0102】
【化21】

【0103】
(式中、xおよびyは化学式10に示すユニットからなる化合物の数平均分子量は好ましくは40000となる数であり、例えばx:yは約5:9.5の相対比である。前記化学式10に示すユニットからなる化合物は、前記ユニットが交互共重合、ランダム共重合、またはブロック共重合などで重合した化合物である。)
前記第10添加剤はビニルピロリドンと塩化メチルビニルイミダゾリウムの共重合体であることがわかる。その他に、含有量などは前記第1実施形態による銅めっき溶液を参照して理解することができる。
【0104】
さらに、前記本発明の第1〜第8実施形態による銅めっき溶液は、界面活性剤、消泡剤、および/または軟性化剤をさらに含むことができる。前記本発明の第1〜第8実施形態による銅めっき溶液は前記界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(R−O(CHCHO)H、Rはアルキル基であり、mは正の整数である。)、多様な脂肪酸ソルビタンエステル、脂肪酸ジエタノールアミド(R−CON(CHCHOH)、Rはアルキル基である。)、またはアルキルモノグリセリルエーテル(R−OCHCH(OH)CHOH、Rはアルキル基である。)などのアルキルグリコール、ポリエチレングリコールポリマー、またはポリビニルアルコールポリマーなどを約0.05〜10mg/L含むことができる。この他に、知られた多様な消泡剤および/または軟性化剤を含むことができる。
【0105】
前記銅めっき溶液は水溶液または分散液の形態で提供することができる。
【0106】
前記銅めっき溶液は、ベース溶液に前記第1〜第10添加剤を添加して製造することができる。前記第1〜第10添加剤は、それ自体またはそれぞれの水溶液を、選択的に添加するか、またはすべてが配合された水溶液の形態で添加することができる。
【0107】
前記ベース溶液は、水、前記メタンスルホン酸銅(II)、前記メタンスルホン酸、および前記塩素イオン源を含むことができる。
【0108】
前記メタンスルホン酸銅(II)は、無水和物で提供されて前記ベース溶液に配合される。前記メタンスルホン酸銅(II)が硫酸銅に交換された場合、硫酸銅は水和物、例えば五水化物(CuSO:5HO)で提供されて前記ベース溶液に配合されることができる。
【0109】
前記メタンスルホン酸または硫酸および/または前記塩素イオン源は、それぞれ独立的に提供されて前記ベース溶液に配合されることができる。
【0110】
続いて、前記第1〜第8実施形態による銅めっき溶液を用いて銅めっき工程を実行することおよび本発明の技術的思想による銅めっき装置が説明される。本明細書では、銅めっき工程は、特に半導体製造工程におけるTSVプラグを形成する工程が例示的に説明される。
【0111】
図1は、本発明の技術的思想による銅めっき装置を概略的に示す図である。
【0112】
図1に示すように、本発明の技術的思想による銅めっき装置10は、めっきパート12Aおよび供給パート12Bを含むことができる。前記めっきパート12Aは、めっき容器14、供給口16A、循環口16B、カソード電極18、アノード電極20、回転モータ22およびバイアス電源24を含むことができる。前記供給口16Aを介して銅めっき溶液50が供給される。前記循環口16Bは前記めっき容器14内に入っている前記銅めっき溶液50を前記供給パート12Bに輸送、循環させるために用いられる。前記カソード電極18下にウエハWが固定されることができる。前記カソード電極18は前記回転モータ22により駆動、回転されることができる。前記カソード電極18とアノード電極20との間にはメンブレン23が設けられている。前記メンブレン23は前記供給口16Aに供給される前記銅めっき溶液50を前記ウエハW上に分散させて供給する機能を有する。すなわち、前記銅めっき溶液50内に含まれた多くの構成要素の濃度を均一化させることができる。
【0113】
前記供給パート12Bは、補助保存容器28、溶液循環路26、および複数の単位供給容器38を含むことができる。
【0114】
前記溶液循環路26は、前記循環口16Bを介して前記銅めっき溶液50を前記補助保存容器28に輸送することができる。前記溶液循環路26は、前記銅めっき溶液50を循環させるための循環ポンプ30および前記銅めっき溶液50を濾過するためのフィルタ32を含むことができる。
【0115】
前記溶液循環路26は、前記補助保存容器28から再配合(re−blend)された銅めっき溶液50a(図示せず)を前記めっき容器14に伝達するための供給ポンプ34および液体流量調節部(liquid flow meter)36を含むことができる。
【0116】
前記単位供給容器38は、前記補助保存容器28に前記再配合された銅めっき溶液50aの構成要素をそれぞれ独立的に、または配合物を供給することができる。例えば、1つの構成要素を水溶液で提供することができ、2つ以上の構成要素が配合された水溶液を提供することもできる。前記単位供給容器38から前記補助保存容器28に提供される構成要素の流量は単位液体流量調節部(unit liquid flow meters)42によって調節され、各単位液体流量調節部42は制御部40で制御することができる。
【0117】
前記補助保存容器28には、モニタリング部44が設けられる。前記モニタリング部44は、前記補助保存容器内の再配合された銅めっき溶液50aの一部をサンプリングして銅めっき工程を行うのに適切な状態であるか否かをモニターすることができる。これにより作成されたモニタリング情報は前記制御部40に伝達することができ、前記制御部40は前記モニタリング情報によって各単位液体流量調節部42を制御することができる。
【0118】
前記補助保存容器28には、排出バルブ45を有する排出口46がさらに設けられることができる。
【0119】
前記供給パート12Bは銅めっき工程を行う間、前記めっき容器14内の銅めっき溶液50を循環させて前記銅めっき溶液50を交換、浄化、補充、再生またはその他に多様な目的を達成するのに用いられることができる。
【0120】
続いて、本発明の技術的思想による銅めっき溶液および前記銅めっき装置10を用いて銅めっき工程を行うことについて説明する。
【0121】
図2aは、本発明の技術的思想が適用されるTSVプラグを形成する前のウエハWの概略的な平面図であり、図2bは図2aのCA領域の概略的な拡大図である。
【0122】
図2aに示すように、前記ウエハW上に、数十〜数百個の半導体チップCが島状に配列される。前記各半導体チップCとの間には、スクライブレーン(scribe lane)SLが配列される。前記ウエハWは、フラットゾーン(flat zone)タイプとノッチ(notch)タイプがあって、本図面では、例示的にフラットゾーンタイプのウエハWが図示される。前記半導体チップCも多様な形態で形成することができるが、本図面では例示的に正方形に形成されたものと仮定して示す。
【0123】
図2bに示すように、前記半導体チップCは、複数個の入出力パッド(I/O pads)Pを含む。本発明の実施形態では、例示的に前記入出力パッドPが前記半導体チップCの中央に2列に配列された場合が例示される。本発明の実施形態では、本発明の技術的思想が容易に理解できるように説明するために、特にTSVプラグが前記入出力パッドPと垂直に整列されるように形成された場合が例示される。例示とは異なって、前記入出力パッドPは前記半導体チップCの外郭に沿って配列されることができ、多様な配列に組み合わされることができる。
【0124】
図3a〜3hは、銅めっき工程を説明する図2bのI−I’の縦断面図である。図1と比較した場合、前記ウエハWの上下が反転されたものであることがわかる。
【0125】
図3aに示すように、ウエハ状の基板110の上面に保護層120が形成され、ビアホール、例えばTSVホールを形成するための第1開口部H1を有するマスクパターン130が形成される。前記保護層120は、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜を含むことができる。前記マスクパターン130は、ポリイミド、フォトレジストのような有機高分子樹脂、または無機樹脂を含むことができる。
【0126】
図3bに示すように、前記マスクパターン130をエッチングマスクとして用いるエッチング工程を行って前記基板110の所定深さまでTSVホールH2が形成される。前記TSVホールH2は、前記基板110を貫通せず所定深さまで形成することができる。
【0127】
図3cに示すように、前記マスクパターン130が除去される。この工程により、前記保護層120の表面が露出される。
【0128】
図3dに示すように、前記保護層120および前記TSVホールH2の表面上にバリア層140およびシード層150が形成される。前記バリア層140はタンタル(Ta)またはチタン/チタン窒化膜(Ti/TiN)を含むことができる。本発明の実施形態では、例示的にタンタルが用いられる。前記シード層150は銅を含むことができる。前記バリア層140および前記シード層150は物理気相蒸着PVD工程を介して形成することができる。
【0129】
図1および図3eに示すように、本発明の実施形態による銅めっき溶液50を用いる銅めっき工程を実行し、前記基板110の表面部位および前記TSVホールH2内部を埋め込む第1銅めっき層160aを形成することができる。この工程は図1をさらに参照することで理解することができる。この工程は、前記第1実施形態による銅めっき溶液50を用いて行われる。図1のウエハWは図3eの基板110であることがわかる。
【0130】
本発明の実施形態による銅めっき工程の工程条件は、例えば、次のような範囲内において行うことができる。
【0131】
前記基板110が前記カソード電極18上に装着され、前記銅めっき溶液50内に浸漬される。このとき、浸漬する直前に、前記回転モータ22によって前記基板110が、例えば、約400〜3000RPMで高速に回転され、表面の異物などを除去することができる。
【0132】
前記基板110が前記銅めっき溶液50内に浸漬された後、前記基板の温度および/または銅めっき溶液50の温度は約15〜60℃範囲に維持することができ、好ましくは約20〜40℃範囲に維持することができる。
【0133】
前記カソード18とアノード20との間に印加される電流密度は、約0.1〜300mA/cm範囲に維持することができる。特に、前記TSVホールH3の内部を埋め込む銅めっき工程は、例えば、約0.1〜100mA/cmの相対的に低い電流密度範囲で行うことが好ましく、前記基板110の表面に銅めっき層を形成するための銅めっき工程は、例えば、1〜300mA/cmの相対的に高い電流密度範囲で行うことができる。すなわち、ビアホールを埋め込むめっき工程では電流密度を相対的に低くすることができる。
【0134】
前記基板110は、銅めっき工程が行われる間、前記銅めっき溶液50内において6〜60RPMで回転されることができる。
【0135】
前記銅めっき溶液50は、前記供給口16Aおよび前記循環口16Bを介して0.1〜300LPMの循環量を維持されることができ、好ましくは5〜30LPMの流れを維持されることができる。
【0136】
本発明の実施例による銅めっき工程は、次のような工程条件に基づいて実験的に行われた。まず、前記TSVホールH2内に水を埋め込んだ後、前記銅めっき溶液50内に約2分間浸漬させた。その後、前記銅めっき溶液50の温度を約25℃に維持し、下記の表1に提示された電流密度および工程時間で総38分間前記銅めっき工程が行われた。
【0137】
【表1】

【0138】
本発明のめっき工程は、前記TSVホールH2を銅めっきするための工程であるので、工程進行により電流密度を上昇させながら実験した。例えば、前記TSVホールH2の深い部分に銅めっき層を形成するための段階においては、相対的に低い電流密度を維持し、前記TSVホールH2が漸進的に浅くなるにつれて電流密度が高くなるということを意味する。
【0139】
図3eに示すように、前記銅めっき溶液50は、銅イオン(Cu2+)、水素イオン(H)、塩素イオン(Cl)、抑制剤(図中、S)、促進剤(図中、A)、および平滑剤(図中、L)を含む。図面では、メタンスルホン酸と塩素イオンが省略されている。前記抑制剤(S)は、上述に例示した第1添加剤または第4〜第6添加剤のうちの1つとすることができる。前記促進剤(A)は上述に例示した第2添加剤とすることができる。前記平滑剤(L)は上述に例示した第3添加剤、または第7〜第10添加剤のうちの1つとすることができる。上述したように、前記抑制剤(S)が前記第1添加剤であり、前記促進剤(A)が前記第2添加剤であり、前記平滑剤(L)が前記第3添加剤である場合が説明される。前記抑制剤(S)、促進剤(A)、および平滑剤(L)の作用が、本発明の実施形態によるめっき溶液の性能をさらに優秀にさせることができる例示的な銅めっき工程を、前記抑制剤(S)が前記第1添加剤であり、前記促進剤(A)が前記第2添加剤であり、前記平滑剤(L)が前記第3添加剤である場合を介して説明される。
【0140】
前記抑制剤(S)は、前記シード層150または前記第1銅めっき層160aの湿潤特性を改善させることができる。前記銅めっき溶液50に含有された前記抑制剤の含有量が少なすぎるとめっき速度を制御することができず、シーム(seam)またはボイド(void)の発生を抑制することが困難であって、多すぎるとめっき速度が低下して生産性が悪くなる。すなわち、前記抑制剤(S)は湿潤剤および抑制剤の機能をとして作用することができる。実験的に、前記銅めっき溶液50が前記抑制剤(S)を約0.5〜200mg/Lに含有すると、本発明の目的を達成することができ、特に1〜50mg/L含有していればより適切な実験結果が得られる。本実験に用いられた前記銅めっき溶液50は、前記抑制剤(S)を2.86mg/L含む。また、前記抑制剤(S)の分子量が前記範囲内にある場合、めっき速度が過度に抑制されて平滑効果が低下されない。よって、前記抑制剤(S)の分子量を適切に調節するために、平均重合度を6〜14の範囲内で重合した化合物を用いられ、本実験では例示的に平均重合度をその中間値の10に重合した化合物が用いられた。
【0141】
前記促進剤(A)は、硫化物(mono sulfide compound)に分離した後、反応期Dが銅イオン(Cu2+)と結合して2価イオンを1価イオン化することで、低いエネルギーでも銅めっき工程がよく行われるように銅めっき反応を促進させることができる。すなわち、前記銅めっき溶液50の前記促進剤(A)はめっき促進剤として作用することができる。よって、前記銅めっき溶液50に含有された前記促進剤(A)の含有量が少なくなるとめっき速度が低くなって生産性が低下され、あまり多すぎるとめっき速度を制御することが困難となる。図3eで、前記保護層120の上側には相対的に前記促進剤(A)が前記抑制剤(S)よりも少なく存在し、前記TSVホールH2内には相対的に前記促進剤(A)が前記抑制剤(S)よりも多く存在することができる。よって、前記TSVホールH2内部の銅めっき速度が前記保護層120の上側よりも早い。これにより、前記保護層120の上側に形成される銅めっき層の厚さt1よりも前記TSVホールH2の底面に形成される銅めっき層の厚さt2がより早く厚く形成される。実験的に、前記銅めっき溶液50が前記促進剤(A)を約10〜400mg/L含有すると本発明の目的を達成することができ、特に約15〜200mg/L含有していればより適切な実験結果が得られた。前記銅めっき溶液50を使用して銅めっき工程を実験した結果、前記促進剤(A)が約10mg/L〜約400mg/Lの範囲内の場合、めっき速度は著しく低下することがなく、速度上昇効果が飽和される様相を見せず、また前記銅めっき溶液50の寿命を短縮する恐れがない。本実験に用いられた前記銅めっき溶液50は促進剤(A)を40.8mg/Lに含むことができる。
【0142】
前記平滑剤(L)は、水にとけて窒素陽イオン(N)を排出または提供することができる。図面で、前記平滑剤(L)は、Nイオンを意味することができる。前記平滑剤(L)は、(−)電界方向、すなわち、図1のウエハW方へ移動して前記基板110の表面部位、突出部位、パターンの密度が低い部位および/またはTSVホールH2の入口部位に集中することができる。この部位は、銅めっき層が形成されながら電界が集中される部位である。前記平滑剤(L)が集中した部位は銅めっき速度がそうでない部分よりも遅くなる。よって、前記平滑剤(L)によって銅めっき層が全体的に同じ高さに成長することができる。よって、前記銅めっき溶液50に含有した前記平滑剤(L)の含有量が少ないか、または重合度が低ければめっきされた銅めっき層の平坦性が非常に悪くなるはずであって、多すぎるか重合度が高ければめっき速度を深刻に低下させるであろう。実験的に、前記銅めっき溶液50が前記平滑剤(L)を約0.5〜200mg/L含有すると本発明の目的は達成することができ、特に約1〜50mg/Lを含有するとより適切な実験結果を得ることができる。前記平滑剤(L)の含有量が0.5mg/L〜200mg/Lの範囲内の場合、十分な平滑効果を得ることはでき、めっき後の銅めっき層表面の平坦性が良く、改善効果が得られた。本実験に使用された前記銅めっき溶液50は、前記平滑剤(L)を2.45mg/Lに含むことができる。また、前記化学式3で、平均重合度nは5〜100の場合に平滑効果が良好であって、本実験では例示的に前記平均重合度nが18である第3添加剤が用いられた。前記平均重合度が5〜10の範囲内である場合、平滑能力が十分であり、全体のモル数が減少せず、やっぱり適切な効果を得ることができた。
【0143】
本発明の実施例の技術的思想は、前記TSVホールH2の深さが約50μm以上、直径約5μm以上であり、縦横比(aspect ratioが10以上)が大きい多様な場合に実験を行った。本実験で、前記第1実施例による銅めっき溶液50の組成比率を多様に調節しながら実験し、その実験結果および傾向について以下に説明する。
【0144】
前記銅めっき溶液50がメタンスルホン酸を含有する場合、前記銅めっき溶液50の導電性を増加させて銅めっき速度を高めることができる。よって、前記メタンスルホン酸が前記銅めっき溶液50内に極めて少なく含有されている場合、銅めっき速度が遅くなって生産性が低下されることになり、過多に含有されている場合は、銅めっき速度を制御することができなくなる。実験的に、前記銅めっき溶液50が前記メタンスルホン酸を約5〜20g/L含有すると本発明の目的を達成することができ、特に約10〜20g/L含有するとより適切な実験結果が得られた。前記銅めっき溶液50を用いて銅めっき工程を実験したところ、前記メタンスルホン酸が約5g/L未満の場合はめっき速度が著しく低下したことがわかった。また前記メタンスルホン酸が約20g/Lを超えるとめっき速度を制御することができなくなる恐れがある。本実験に使用した前記銅めっき溶液50は前記メタンスルホン酸を20g/Lで含むことができる。前記電解物質は全体的な銅めっき速度を向上させる傾向があり、前記促進剤(A)は局所的な銅めっき速度を向上させる傾向がある。
【0145】
前記銅めっき溶液50が塩素イオンを含有する場合、銅めっき速度が抑制されることができる。すなわち、塩素イオンは前記抑制剤(S)による抑制効果を補助することができる。前記銅めっき溶液50は前記塩素イオンを排出するための塩素イオン源(chlorine ion source)として塩化ナトリウム(NaCl)または塩化水素(HCl)を含むことができ、例えば、塩化水素を約20〜150mg/Lを含むことができる。本実験に用いられる前記銅めっき溶液50は前記塩素イオン源を50mg/Lに含むことができる。前記塩素イオン源は全体的な銅めっき速度を抑制する傾向があって、前記抑制剤(S)は局所的な銅めっき速度を抑制する傾向がある。
【0146】
本発明の実験に用いられた前記銅めっき溶液50は、銅イオン(Cu)を供給するための銅供給源として前記メタンスルホン酸銅(II)を約319g/Lに含むことができる。前記銅供給源が小さすぎると、供給される銅量が少なくてめっき生産性が低下し、多すぎると良質の銅めっき層が得ることができない。
【0147】
図3fに示すように、図3eの銅めっき工程が行われて前記保護層120上に表面銅めっき層160bおよび前記TSVホールH2の内部を埋め込むTSVプラグ160cが形成される。前記TSVプラグ160cはシーム(seam)またはボイド(void)なしに形成される。前記表面銅めっき層160bおよび前記TSVプラグ160cは表面レベルが同様に形成されることができる。これは図4に提示された写真によって証明される。
【0148】
図3gに示すように、CMPなどの平坦化工程を用いて前記保護層120上に形成された銅めっき層160bを除去してTSVプラグ160cだけを残す。前記保護層120と前記TSVプラグ160cの表面レベルは同一とすることができる。
【0149】
図3hに示すように、前記ウエハ状態の基板110の裏面をCMPまたはグラインディングなどを用いて薄く加工することで、前記TSVプラグ160cの裏面を露出させる。前記ウエハ状態の基板110の厚さは、数百ミクロメータ(例えば、700ミクロメータ)であり、薄くなった基板110aの厚さは数十〜百数十ミクロメータ(例えば、120ミクロメータ)とすることができる。本工程を行うことで、前記基板110aを垂直に貫通するTSVプラグ160cを完成することができる。
【0150】
その後、前記TSVプラグ160cの上部および下部に、それぞれ入出力パッド(I/O pads)、UBM(under bump metals)、再配線構造(redistribution structures)、またはソルドバンプ(solder bumps)が形成されることができる。
【0151】
図4は、図3fに示す表面銅めっき層160bおよびTSVプラグ160cを撮影したSEM写真である。図4に示すように、TSVプラグがシームやボイドなしに形成されたことがわかる。すなわち、本発明の技術的思想による銅めっき溶液を用いた銅めっき方法を介して形成された銅めっき層および/またはTSVプラグは早い速度で銅めっきをしてもTSVプラグ内部にシームまたはボイドが発生しないので、信頼性の高い電子素子を製造することができ、生産性も高くなる。
【0152】
図5は、本発明の技術的思想が適用されない従来の銅めっき溶液を用いてTSVプラグを形成したものを撮影したSEM写真である。3つの写真すべてがシームまたはボイドが深刻な水準で発生したことをわかる。すなわち、本発明の技術的思想による銅めっき溶液および銅めっき方法の優れた効果を視覚的に比較および証明することができる。
【0153】
以上、本発明の多様な実施例を挙げて説明した。本明細書において本発明の技術的思想が例示的に説明されたが、本発明が属する技術分野の通常的の知識を有する者であれば、本明細書の説明から本発明の技術的思想の核心および応用可能性を十分に理解することができるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明の銅めっき液は、半導体素子の製造方法、銅めっき方法など、電子製品を生産する産業分野に多様に適用可能である。
【符号の説明】
【0155】
10 銅めっき装置、
12A めっきパート、
12B 供給パート、
14 めっき容器、
16A 供給口、
16B 循環口、
18 カソード電極、
20 アノード電極、
22 回転モータ、
23 メンブレン、
24 バイアス電源、
26 溶液循環路、
28 補助保存容器、
30 循環ポンプ、
32 循環フィルタ、
34 供給ポンプ、
36 液体流量調節部、
38 単位供給容器、
40 制御部、
42 単位液体流量調節部、
44 モニタリング部、
45 排出バルブ、
46 排出口、
50 銅めっき溶液、
50a 再配合された銅めっき溶液、
110、110a 基板、
120 保護層、
130 マスクパターン、
140、140a バリア層、
150 シード層、
160a 第1銅めっき層、
160b 表面銅めっき層、
160c TSVプラグ、
C 半導体チップ、
H1 第1開口部、
H2 TSVホール、
P 入出力パッド、
SL スクライブレーン、
W ウエハ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅めっき装置の銅めっき溶液内にシード層を有する基板を浸漬させ、前記シード層上に銅めっき層を形成する工程を含み、
前記銅めっき溶液が、
水、銅供給源、電解物質、および第1添加剤を含み、
前記第1添加剤が、化学式1に示す化合物であることを特徴とする銅めっき方法。
【化1】

(式中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、mは平均重合度であり6〜14の整数である。)
【請求項2】
前記銅めっき溶液が、第2添加剤をさらに含み、
前記第2添加剤が、化学式2に示す化合物であることを特徴とする請求項1に記載の銅めっき方法。
【化2】

(式中、Dは、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基または金属原子である。)
【請求項3】
前記Dが、水素原子、リチウム原子、ナトリウム原子、またはカリウム原子のうちのいずれか1つであることを特徴とする請求項2に記載の銅めっき方法。
【請求項4】
前記銅めっき溶液が、第3添加剤をさらに含み、
前記第3添加剤が、化学式3に示す化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の銅めっき方法。
【化3】

(式中、nは、平均重合度であり、5〜100の実数である。)
【請求項5】
前記銅めっき溶液が、メタンスルホン酸銅(II)を200〜500g/L含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の銅めっき方法。
【請求項6】
前記電解物質が、メタンスルホン酸を5〜20g/L含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の銅めっき方法。
【請求項7】
前記銅めっき溶液が、塩素イオン源をさらに含み、
前記塩素イオン源が、塩化水素または塩化ナトリウムであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の銅めっき方法。
【請求項8】
前記銅めっき装置が、アノード電極およびカソード電極を含み、
前記アノード電極と前記カソード電極との間の電流密度が1.0〜100mA/cmであり、
前記電流密度が、相対的に低い電流密度を印加する初期段階および相対的に高い電流密度を印加する後期段階を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の銅めっき方法。
【請求項9】
銅めっき装置のめっき容器内に銅めっき溶液を注入する工程、および
前記銅めっき溶液内に基板を浸漬させ、前記基板上に銅めっき層を形成する工程を含み、
前記銅めっき溶液が、
水、銅供給源、電解物質、および平滑剤を含み、
前記平滑剤が、化学式3に示す化合物であることを特徴とする銅めっき方法。
【化4】

(式中、nは、平均重合度であり、5〜100の実数である。)
【請求項10】
水、銅供給源、電解物質、塩素イオン、第1添加剤、第2添加剤、および第3添加剤を含み、
前記第1添加剤が、化学式1に示す化合物であり、
【化5】

(式中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、mは、平均重合度であり6〜14の実数である。)
前記第2添加剤が、化学式2に示す化合物であり、
【化6】

(式中、Dは、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基または金属原子である。)
および、
前記第3添加剤が、化学式3に示す化合物であることを特徴とする銅めっき溶液。
【化7】

(式中、nは、平均重合度であり5〜100の実数である。)

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図3f】
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【図3g】
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【図3h】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−172264(P2012−172264A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−283768(P2011−283768)
【出願日】平成23年12月26日(2011.12.26)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】