説明

銅フタロシアニン微粒子の製造方法

【課題】高い分光特性を有し、かつα型とは異なる結晶型である銅フタロシアニン微粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】α型とは異なる結晶型であり、且つ、380〜780nmにおける吸収スペクトルがα型の吸収スペクトル形状である銅フタロシアニン微粒子の製造方法を提供する。また、α型およびε型の2種の型とは異なる結晶型であり、且つ、380〜780nmにおける透過スペクトルの透過率が最大となる波長(λmax)が478nm未満である銅フタロシアニン微粒子の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な銅フタロシアニン顔料に関する。
【背景技術】
【0002】
銅フタロシアニンは、塗料、インクジェットインク、カラーフィルター、トナーなど広い分野に用いられている青色またはシアン色の有機顔料である。分子構造の中心に位置する銅元素が水素に置き換わった無金属フタロシアニンや他の金属元素に置き換わった多くの種類の金属フタロシアニンも合成されているが、色材としての着色力や発色力などの色特性に優れているだけでなく、耐水性や耐熱性、耐光性や耐候性などの耐久性に優れるため、産業上は銅フタロシアニンの使用量が最も多い。銅フタロシアニンは上記のような有機顔料、色材としての使用以外にも、半導体や触媒、またはセンサーなどにも応用されているため、今後も重要な材料となり得ると考えられている。
【0003】
銅フタロシアニンはα、β、γ、ε、π、χ、σ、ρなど多くの結晶多形を持ち、結晶型によって色特性や耐溶剤性などの物性が異なると言われている。しかし、銅フタロシアニンの色特性は、結晶型だけでなくその一次粒子径の大きさと、使用の際の凝集の度合い、言い換えるとその分散粒子径も大きく影響するため、目的の結晶型についての微粒子の製造方法が必要とされおり、これまで結晶型の制御と微粒子の作製に関する多くの方法が報告されている。
【0004】
例えばβまたはε型の銅フタロシアニンを作製する方法としては特許文献1に記載されるような特定の有機溶媒で処理するソルベント法や、特許文献2に記載されるような特定の溶媒中においてビーズや無機塩類で処理する所謂ソルベントミリング法またはソルベントソルトミリング法が報告されている。
【0005】
しかし、ソルベント法においては、結晶成長による粒子の粗大化の抑制が難しく、ソルベントミリングやソルベントソルトミリング法においては、結晶成長と粉砕とを平行して行うため、多大なエネルギーを必要とするだけでなく、銅フタロシアニン顔料に強い力が作用し、色調、透明性、分光特性、耐久性など、顔料ナノ粒子として期待された特性が発現しないという問題があった。
【0006】
また、特許文献3に示すように、本願出願人によって提案された新規な銅フタロシアニンとして、結晶型がα型且つ、380〜780nmにおける透過スペクトルの透過率が最大となる波長(λmax)が478nm未満である銅フタロシアニンを含有してなる銅フタロシアニン顔料並びにその製造方法がある。特許文献3に示された銅フタロシアニンは透過特性に優れ、特定の波長領域の光だけを透過することができ、またその透過率もこれまで以上に高いものであった。さらに、吸収スペクトル特性においては、一般的な銅フタロシアニンと比較して、同じ顔料濃度の分散液であってもその吸光度が高いため、これまでの銅フタロシアニン顔料よりも着色力に優れると推測される。しかし、一般的に準安定型と言われるα型の結晶が、特定の有機溶媒、特に芳香族系の有機溶媒中での使用を試みた場合に結晶成長し、その色特性を発揮できないという問題があったため、特許文献3に示されるような分光特性を持ち、且つα型とは異なる安定型、又は準安定型の銅フタロシアニンが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−313456号公報
【特許文献2】特開2007‐332317号公報
【特許文献3】国際公開第WO2010/035861号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記に鑑み本発明は、α型とは異なる結晶型であり、且つ、380〜780nmにおける吸収スペクトルがα型の吸収スペクトル形状である銅フタロシアニン微粒子の製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
更には、α型およびε型の2種の型とは異なる結晶型であり、且つ、380〜780nmにおける透過スペクトルの透過率が最大となる波長(λmax)が478nm未満である銅フタロシアニン微粒子の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態は、(I)α型とは異なる結晶型であり、且つ、380〜780nmにおける吸収スペクトルがα型の吸収スペクトル形状である銅フタロシアニン微粒子、(II)α型とは異なる結晶型であり、且つ、380〜780nmにおける吸収スペクトルにおいて、600±15nm及び680±15nmの領域にピークを持つ銅フタロシアニン微粒子、(III)α型およびε型の2種の型とは異なる結晶型であり、且つ、380〜780nmにおける透過スペクトルの透過率が最大となる波長(λmax)が478nm未満である銅フタロシアニン微粒子、の何れかの銅フタロシアニン微粒子を生成させる方法であって、接近・離反可能な相対的に回転する2つの処理用面間に1mm以下の微小間隔を維持し、この微小間隔に維持された2つの処理用面間を被処理流動体の流路とすることによって、被処理流動体の薄膜流体を形成し、この薄膜流体中において上記銅フタロシアニン微粒子の析出を行うことを特徴とする銅フタロシアニン微粒子の製造方法である。
【0011】
本発明の第2の形態は、上記処理用面間に被処理流動体を供給し、当該被処理流動体の供給圧と回転する上記処理用面間にかかる圧力とを含む接近方向への力と離反方向への力とのバランスによって上記処理用面間の距離を微小間隔に維持することを特徴とする請求項1に記載の銅フタロシアニン微粒子の製造方法である。
【0012】
本発明の第3の形態は、少なくとも2種類の被処理流動体を用いるものであり、そのうちで少なくとも1種類の被処理流動体は、銅フタロシアニンを溶媒に溶解した銅フタロシアニン溶液であり、上記以外の被処理流動体で少なくとも1種類の被処理流動体は、銅フタロシアニンに対して貧溶媒となる溶媒であり、少なくとも1種類の有機溶媒が、上記銅フタロシアニン溶液と上記銅フタロシアニンに対して貧溶媒となる溶媒の内の少なくともいずれか一方の被処理流動体、もしくは上記銅フタロシアニン溶液及び上記銅フタロシアニンに対して貧溶媒となる溶媒以外の第3の被処理流動体、の何れかに含まれているものであり、上記有機溶媒は、上記銅フタロシアニンをα型とは異なる結晶型に転移させることができるものであり、上記の2種または3種以上の被処理流動体を上記薄膜流体中で混合することを特徴とする本発明の第1または2の形態に係る銅フタロシアニン微粒子の製造方法である。
【0013】
本発明の第4の形態は、上記有機溶媒が、芳香族化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、ハロゲン化合物溶媒のうちの少なくとも1種類である事を特徴とする本発明の第3の形態に係る銅フタロシアニン微粒子の製造方法である。
【0014】
本発明の第5の形態は、上記有機溶媒が、エチレンジアミン、m−キシレン、テトラヒドロフランのうちの少なくとも1種類であることを特徴とする本発明の第3の形態に係る銅フタロシアニン微粒子の製造方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、α型とは異なる結晶型であり、且つ、380〜780nmにおける吸収スペクトルがα型の吸収スペクトル形状である銅フタロシアニン微粒子の製造方法を提供することができたものである。結晶型を変化させるための多大なエネルギーを必要せず、上記に挙げた従来の問題を改善できたものである。
【0016】
そして特に、粉末X線回折測定において結晶型がα型およびε型の2種の型とは異なる結晶型である銅フタロシアニン微粒子、特にβ型およびγ型の2種の型のいずれかの結晶型である銅フタロシアニン微粒子であり、且つ、380〜780nmにおける透過スペクトルの透過率が最大となる波長(λmax)が478nm未満である銅フタロシアニン微粒子の製造方法を提供することができたものである。つまり、本願出願人によって特許文献3において提供された分光特性の銅フタロシアニンを、α型よりも耐溶剤性に優れる結晶型として提供するための銅フタロシアニン微粒子の製造方法を提供することができたものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る流体処理装置の略断面図である。
【図2】(A)は図1に示す流体処理装置の第1処理用面の略平面図であり、(B)は同装置の処理用面の要部拡大図である。
【図3】(A)は同装置の第2導入部の断面図であり、(B)は同第2導入部を説明するための処理用面の要部拡大図である。
【図4】本発明の実施例1において作製された銅フタロシアニン微粒子分散液の吸収スペクトル(実線)及び特許文献3において提供された、結晶型がα型で、且つ380〜780nmにおける透過スペクトルの透過率が最大となる波長(λmax)が478nm未満である銅フタロシアニンを含有してなる銅フタロシアニン顔料についての吸収スペクトル(実線に白丸)である。
【図5】本発明の実施例1において作製された銅フタロシアニン微粒子分散液の透過スペクトル(実線)及び特許文献3において提供された、結晶型がα型で、且つ380〜780nmにおける透過スペクトルの透過率が最大となる波長(λmax)が478nm未満である銅フタロシアニンを含有してなる銅フタロシアニン顔料についての透過スペクトル(実線に白丸)である。
【図6】本発明の実施例1において作製された銅フタロシアニン微粒子の粉末X線回折スペクトルである。
【図7】本発明の実施例6において作製された銅フタロシアニン微粒子の粉末X線回折スペクトルである。
【図8】本発明の実施例5において作製された銅フタロシアニン微粒子の粉末X線回折スペクトルである。
【図9】本発明の実施例1において作製された銅フタロシアニン微粒子のTEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、粉末X線回折図で示されるα型とは異なる銅フタロシアニン微粒子、特にβ型(図6)、γ型(図7)、およびε型(図8)の3種の型のいずれかの結晶型の銅フタロシアニン微粒子を含むものであり、且つ、図4にて実線で示す吸収スペクトル、または図5にて実線で示す透過スペクトルで示される銅フタロシアニン微粒子を、少なくとも1種類含有する銅フタロシアニン顔料である。また、本発明における銅フタロシアニン顔料は銅フタロシアニン微粒子のスルホン化物や水酸化物のような銅フタロシアニン誘導体を含む。また銅フタロシアニン微粒子の表面に水酸基やスルホ基などの官能基を導入した銅フタロシアニン顔料を含んでも実施できる。その他、本発明に係る銅フタロシアニン顔料においては、α型とは異なる複数の種類の結晶型の銅フタロシアニン微粒子を含んでいてもよい。
【0019】
図6〜図8に見られるように、粉末X線回折スペクトルにおいて回折強度がピークとなる回折角がそれぞれの結晶型(図6はβ型(安定型)、図7はγ型、図8がε型)の銅フタロシアニンと一致することから、本発明における銅フタロシアニンの結晶型はα型とは異なると判断でき、また、図4にて実線で示す吸収スペクトルに見られるように、380〜780nmにおける吸収スペクトル形状がα型である銅フタロシアニンであることがわかる。本発明に係る銅フタロシアニンにおいて、その吸収スペクトル形状がα型であるとは、波長領域380〜780nmにおける吸収スペクトルにおいて、600±15nm及び680±15nmの領域にピークを持つ吸収スペクトル形状とする。さらに、図5に実線で示す透過スペクトルに見られるように、波長領域380〜780nmにおける透過スペクトルの透過率が最大となる波長(λmax)が478nm未満である銅フタロシアニンであることがわかる。本発明における吸収スペクトルまたは透過スペクトルの測定方法は特に限定されない。例えば銅フタロシアニン顔料の水溶液系、または有機溶媒系の分散液について吸収または透過スペクトルを測定する方法や、ガラスや透明電極、またはフィルムなどに塗布したものについて測定する方法が挙げられる。また、図4、図5共に実線に白丸を施したスペクトルは、本願出願人によって特許文献3において提供された、結晶型がα型で、且つ380〜780nmにおける透過スペクトルの透過率が最大となる波長(λmax)が478nm未満である銅フタロシアニンを含有してなる銅フタロシアニン顔料についての吸収スペクトル並びに透過スペクトルであり、本発明における銅フタロシアニン微粒子の吸収・透過スペクトルと比較して、ほぼ違いの無い形状である事がわかる。
【0020】
本発明で得られる銅フタロシアニン顔料の製造方法としては特に限定されない。粉砕法を代表とする、Break-down法でも実施できるし、Build-up法でも実施できる。また、新規に合成しても実施できる。
【0021】
本発明の銅フタロシアニン顔料の製造方法の一例として、銅フタロシアニンを溶媒に溶解した銅フタロシアニン溶液を含む流体と、銅フタロシアニンに対して貧溶媒となる溶媒を含む流体とを混合して銅フタロシアニンを析出させて銅フタロシアニン微粒子を製造する方法で、上記の各流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面の間にできる薄膜流体中で混合するものであり、当該薄膜流体中において銅フタロシアニン微粒子を析出させることを特徴とする銅フタロシアニン微粒子の製造方法を用いることができる。以下にこの製造方法について説明する。しかし、この製造方法はほんの一例であって、本発明はこの製造方法に限定されない。なお、上記溶媒に溶かす前の銅フタロシアニンの結晶型は限定されず、代表的なα型、β型、ε型はもちろんのこと、種々の結晶型の銅フタロシアニンを用いることができる。その他、顔料化工程前の銅フタロシアニンやアモルファスな銅フタロシアニンを含有して成る銅フタロシアニンを用いる事もできる。粒子径についても特に限定されるものではない。
【0022】
以下、この方法に用いることができる流体処理装置について説明する。
【0023】
図1〜図3に示す流体処理装置は、特許文献3に記載の装置と同様であり、接近・離反可能な少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する処理用部における処理用面の間で被処理物を処理するものであって、被処理流動体のうちの第1の被処理流動体である第1流体を処理用面間に導入し、前記第1流体を導入した流路とは独立し、処理用面間に通じる開口部を備えた別の流路から被処理流動体のうちの第2の被処理流動体である第2流体を処理用面間に導入して処理用面間で上記第1流体と第2流体を混合・攪拌して処理を行う装置である。なお、図1においてUは上方を、Sは下方をそれぞれ示しているが、本発明において上下前後左右は相対的な位置関係を示すに止まり、絶対的な位置を特定するものではない。図2(A)、図3(B)においてRは回転方向を示している。図3(B)においてCは遠心力方向(半径方向)を示している。
【0024】
この装置は、被処理流動体として少なくとも2種類の流体を用いるものであり、そのうちで少なくとも1種類の流体については被処理物を少なくとも1種類含むものであり、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面を備え、これらの処理用面の間で上記の各流体を合流させて薄膜流体とするものであり、当該薄膜流体中において上記の被処理物を処理する装置である。この装置は、上述のとおり、複数の被処理流動体を処理することができるが、単一の被処理流動体を処理することもできる。
【0025】
この流体処理装置は、対向する第1及び第2の、2つの処理用部10,20を備え、少なくとも一方の処理用部が回転する。両処理用部10,20の対向する面が、夫々処理用面となる。第1処理用部10は第1処理用面1を備え、第2処理用部20は第2処理用面2を備える。
【0026】
両処理用面1,2は、被処理流動体の流路に接続され、被処理流動体の流路の一部を構成する。この両処理用面1,2間の間隔は、適宜変更して実施することができるが、通常は、1mm以下、例えば0.1μmから50μm程度の微小間隔に調整される。これによって、この両処理用面1,2間を通過する被処理流動体は、両処理用面1,2によって強制された強制薄膜流体となる。
【0027】
この装置を用いて、複数の被処理流動体を処理する場合、この装置は、第1の被処理流動体の流路に接続され、当該第1被処理流動体の流路の一部を形成すると共に、第1被処理流動体とは別の、第2被処理流動体の流路の一部を形成する。そして、この装置は、両流路を合流させて、処理用面1,2間において、両被処理流動体を混合し、反応させるなどの流体の処理を行なう。なお、ここで「処理」とは、被処理物が反応する形態に限らず、反応を伴わずに混合・分散のみがなされる形態も含む。
【0028】
具体的に説明すると、上記の第1処理用部10を保持する第1ホルダ11と、第2処理用部20を保持する第2ホルダ21と、接面圧付与機構と、回転駆動機構と、第1導入部d1と、第2導入部d2と、流体圧付与機構pとを備える。
【0029】
図2(A)へ示す通り、この実施の形態において、第1処理用部10は、環状体であり、より詳しくはリング状のディスクである。また、第2処理用部20もリング状のディスクである。第1、第2処理用部10、20の材質は、金属の他、セラミックや焼結金属、耐磨耗鋼、サファイア、その他金属に硬化処理を施したものや、硬質材をライニングやコーティング、メッキなどを施工したものを採用することができる。この実施の形態において、両処理用部10,20は、互いに対向する第1、第2の処理用面1、2の少なくとも一部が鏡面研磨されている。
この鏡面研磨の面粗度は、特に限定されないが、好ましくはRa0.01〜1.0μm、より好ましくはRa0.03〜0.3μmとする。
【0030】
少なくとも一方のホルダは、電動機などの回転駆動機構(図示せず)にて、他方のホルダに対して相対的に回転することができる。図1の50は、回転駆動機構の回転軸を示しており、この例では、この回転軸50に取り付けられた第1ホルダ11が回転し、この第1ホルダ11に支持された第1処理用部10が第2処理用部20に対して回転する。もちろん、第2処理用部20を回転させるようにしてもよく、双方を回転させるようにしてもよい。また、この例では、第1、第2ホルダ11、21を固定しておき、この第1、第2ホルダ11、21に対して第1、第2処理用部10、20が回転するようにしてもよい。
【0031】
第1処理用部10と第2処理用部20とは、少なくとも何れか一方が、少なくとも何れか他方に、接近・離反可能となっており、両処理用面1,2は、接近・離反できる。
【0032】
この実施の形態では、第1処理用部10に対して、第2処理用部20が接近・離反するもので、第2ホルダ21に設けられた収容部41に、第2処理用部20が出没可能に収容されている。但し、これとは、逆に、第1処理用部10が、第2処理用部20に対して接近・離反するものであってもよく、両処理用部10,20が互いに接近・離反するものであってもよい。
【0033】
この収容部41は、第2処理用部20の、主として処理用面2側と反対側の部位を収容する凹部であり、平面視において、円を呈する、即ち環状に形成された、溝である。この収容部41は、第2処理用部20を回転させ得る十分なクリアランスを持って、第2処理用部20を収容する。なお、第2処理用部20は軸方向に平行移動のみが可能なように配置してもよいが、上記クリアランスを大きくすることにより、第2処理用部20は、収容部41に対して、処理用部20の中心線を、上記収容部41の軸方向と平行の関係を崩すように傾斜して変位できるようにしてもよく、さらに、第2処理用部20の中心線と収容部41の中心線とが半径方向にずれるように変位できるようにしてもよい。
このように、3次元的に変位可能に保持するフローティング機構によって、第2処理用部20を保持することが望ましい。
【0034】
上記の被処理流動体は、各種のポンプや位置エネルギーなどによって構成される流体圧付与機構pによって圧力が付与された状態で、第1導入部d1と、第2導入部d2から両処理用面1、2間に導入される。この実施の形態において、第1導入部d1は、環状の第2ホルダ21の中央に設けられた通路であり、その一端が、環状の両処理用部10、20の内側から、両処理用面1、2間に導入される。第2導入部d2は、第1の被処理流動体と反応させる第2の被処理流動体を処理用面1,2へ供給する。この実施の形態において、第2導入部d2は、第2処理用部20の内部に設けられた通路であり、その一端が、第2処理用面2にて開口する。流体圧付与機構pにより加圧された第1の被処理流動体は、第1導入部d1から、両処理用部10,20の内側の空間に導入され、第1処理用面1と第2処理用面2との間を通り、両処理用部10,20の外側に通り抜けようとする。これらの処理用面1,2間において、第2導入部d2から流体圧付与機構pにより加圧された第2の被処理流動体が供給され、第1の被処理流動体と合流し、混合、攪拌、乳化、分散、反応、晶出、晶析、析出などの種々の流体処理がなされ、両処理用面1,2から、両処理用部10,20の外側に排出される。なお、減圧ポンプにより両処理用部10,20の外側の環境を負圧にすることもできる。
【0035】
上記の接面圧付与機構は、第1処理用面1と第2処理用面2とを接近させる方向に作用させる力を、処理用部に付与する。この実施の形態では、接面圧付与機構は、第2ホルダ21に設けられ、第2処理用部20を第1処理用部10に向けて付勢する。
【0036】
前記の接面圧付与機構は、第1処理用部10の第1処理用面1と第2処理用部20の第2処理用面2とが接近する方向に押す力(以下、接面圧力という)を発生するための機構である。この接面圧力と、流体圧力などの両処理用面1、2間を離反させる力との均衡によって、nm単位ないしμm単位の微小な膜厚を有する薄膜流体を発生させる。言い換えれば、上記力の均衡によって、両処理用面1、2間の間隔を所定の微小間隔に保つ。
【0037】
図1に示す実施の形態において、接面圧付与機構は、上記の収容部41と第2処理用部20との間に配位される。具体的には、第2処理用部20を第1処理用部10に近づく方向に付勢するスプリング43と、空気や油などの付勢用流体を導入する付勢用流体導入部44とにて構成され、スプリング43と上記付勢用流体の流体圧力とによって、上記の接面圧力を付与する。このスプリング43と上記付勢用流体の流体圧力とは、いずれか一方が付与されるものであればよく、磁力や重力などの他の力であってもよい。この接面圧付与機構の付勢に抗して、流体圧付与機構pにより加圧された被処理流動体の圧力や粘性などによって生じる離反力によって、第2処理用部20は、第1処理用部10から遠ざかり、両処理用面間に微小な間隔を開ける。このように、この接面圧力と離反力とのバランスによって、第1処理用面1と第2処理用面2とは、μm単位の精度で設定され、両処理用面1,2間の微小間隔の設定がなされる。上記離反力としては、被処理流動体の流体圧や粘性と、処理用部の回転による遠心力と、付勢用流体導入部44に負圧を掛けた場合の当該負圧、スプリング43を引っ張りスプリングとした場合のバネの力などを挙げることができる。この接面圧付与機構は、第2処理用部20ではなく、第1処理用部10に設けてもよく、双方に設けてもよい。
【0038】
上記の離反力について、具体的に説明すると、第2処理用部20は、上記の第2処理用面2と共に、第2処理用面2の内側(即ち、第1処理用面1と第2処理用面2との間への被処理流動体の進入口側)に位置して当該第2処理用面2に隣接する離反用調整面23を備える。この例では、離反用調整面23は、傾斜面として実施されているが、水平面であってもよい。被処理流動体の圧力が、離反用調整面23に作用して、第2処理用部20を第1処理用部10から離反させる方向への力を発生させる。従って、離反力を発生させるための受圧面は、第2処理用面2と離反用調整面23とになる。
【0039】
さらに、この図1の例では、第2処理用部20に近接用調整面24が形成されている。この近接用調整面24は、離反用調整面23と軸方向において反対側の面(図1においては上方の面)であり、被処理流動体の圧力が作用して、第2処理用部20を第1処理用部10に接近させる方向への力を発生させる。
【0040】
なお、第2処理用面2及び離反用調整面23に作用する被処理流動体の圧力、即ち流体圧は、メカニカルシールにおけるオープニングフォースを構成する力として理解される。処理用面1,2の接近・離反の方向、即ち第2処理用部20の出没方向(図1においては軸方向)と直交する仮想平面上に投影した近接用調整面24の投影面積A1と、当該仮想平面上に投影した第2処理用部20の第2処理用面2及び離反用調整面23との投影面積の合計面積A2との、面積比A1/A2は、バランス比Kと呼ばれ、上記オープニングフォースの調整に重要である。このオープニングフォースについては、上記バランスライン、即ち近接用調整面24の面積A1を変更することで、被処理流動体の圧力、即ち流体圧により調整できる。
【0041】
摺動面の実面圧P、即ち、接面圧力のうち流体圧によるものは次式で計算される。
P=P1×(K−k)+Ps
【0042】
ここでP1は、被処理流動体の圧力即ち流体圧を示し、Kは上記のバランス比を示し、kはオープニングフォース係数を示し、Psはスプリング及び背圧力を示す。
【0043】
このバランスラインの調整により摺動面の実面圧Pを調整することで処理用面1,2間を所望の微小隙間量にし被処理流動体による流動体膜を形成させ、生成物などの処理された被処理物を微細とし、また、均一な反応処理を行うのである。
なお、図示は省略するが、近接用調整面24を離反用調整面23よりも広い面積を持ったものとして実施することも可能である。
【0044】
被処理流動体は、上記の微小な隙間を保持する両処理用面1,2によって強制された薄膜流体となり、環状の両処理用面1、2の外側に移動しようとする。ところが、第1処理用部10は回転しているので、混合された被処理流動体は、環状の両処理用面1,2の内側から外側へ直線的に移動するのではなく、環状の半径方向への移動ベクトルと周方向への移動ベクトルとの合成ベクトルが被処理流動体に作用して、内側から外側へ略渦巻き状に移動する。
【0045】
尚、回転軸50は、鉛直に配置されたものに限定するものではなく、水平方向に配位されたものであってもよく、傾斜して配位されたものであってよい。被処理流動体は両処理用面1,2間の微細な間隔にて処理がなされるものであり、実質的に重力の影響を排除できるからである。また、この接面圧付与機構は、前述の第2処理用部20を変位可能に保持するフローティング機構と併用することによって、微振動や回転アライメントの緩衝機構としても機能する。
【0046】
第1、第2処理用部10、20は、その少なくともいずれか一方を、冷却或いは加熱して、その温度を調整するようにしてもよく、図1では、第1、第2処理用部10、20に温調機構(温度調整機構)J1,J2を設けた例を図示している。また、導入される被処理流動体を冷却或いは加熱して、その温度を調整するようにしもよい。これらの温度は、処理された被処理物の析出のために用いることもでき、また、第1、第2処理用面1、2間における被処理流動体にベナール対流若しくはマランゴニ対流を発生させるために設定してもよい。
【0047】
図2に示すように、第1処理用部10の第1処理用面1には、第1処理用部10の中心側から外側に向けて、即ち径方向について伸びる溝状の凹部13を形成して実施してもよい。この凹部13の平面形状は、図2(B)へ示すように、第1処理用面1上をカーブして或いは渦巻き状に伸びるものや、図示はしないが、真っ直ぐ外方向に伸びるもの、L字状などに屈曲あるいは湾曲するもの、連続したもの、断続するもの、枝分かれするものであってもよい。また、この凹部13は、第2処理用面2に形成するものとしても実施可能であり、第1及び第2の処理用面1,2の双方に形成するものとしても実施可能である。この様な凹部13を形成することによりマイクロポンプ効果を得ることができ、被処理流動体を第1及び第2の処理用面1,2間に吸引することができる効果がある。
【0048】
この凹部13の基端は第1処理用部10の内周に達することが望ましい。この凹部13の先端は、第1処理用面1の外周面側に向けて伸びるもので、その深さ(横断面積)は、基端から先端に向かうにつれて、漸次減少するものとしている。
この凹部13の先端と第1処理用面1の外周面との間には、凹部13のない平坦面16が設けられている。
【0049】
前述の第2導入部d2の開口部d20を第2処理用面2に設ける場合は、対向する上記第1処理用面1の平坦面16と対向する位置に設けることが好ましい。
【0050】
この開口部d20は、第1処理用面1の凹部13からよりも下流側(この例では外側)に設けることが望ましい。特に、マイクロポンプ効果によって導入される際の流れ方向が処理用面間で形成されるスパイラル状で層流の流れ方向に変換される点よりも外径側の平坦面16に対向する位置に設置することが望ましい。具体的には、図2(B)において、第1処理用面1に設けられた凹部13の最も外側の位置から、径方向への距離nを、約0.5mm以上とするのが好ましい。特に、流体中からナノサイズの微粒子(ナノ微粒子)を析出させる場合には、層流条件下にて複数の被処理流動体の混合と、ナノ微粒子の析出が行なわれることが望ましい。
【0051】
この第2導入部d2は方向性を持たせることができる。例えば、図3(A)に示すように、上記の第2処理用面2の開口部d20からの導入方向が、第2処理用面2に対して所定の仰角(θ1)で傾斜している。この仰角(θ1)は、0度を超えて90度未満に設定されており、さらに反応速度が速い反応の場合には1度以上45度以下で設置されるのが好ましい。
【0052】
また、図3(B)に示すように、上記の第2処理用面2の開口部d20からの導入方向が、上記の第2処理用面2に沿う平面において、方向性を有するものである。この第2流体の導入方向は、処理用面の半径方向の成分にあっては中心から遠ざかる外方向であって、且つ、回転する処理用面間における流体の回転方向に対しての成分にあっては順方向である。言い換えると、開口部d20を通る半径方向であって外方向の線分を基準線gとして、この基準線gから回転方向Rへの所定の角度(θ2)を有するものである。この角度(θ2)についても、0度を超えて90度未満に設定されることが好ましい。
【0053】
この角度(θ2)は、流体の種類、反応速度、粘度、処理用面の回転速度などの種々の条件に応じて、変更して実施することができる。また、第2導入部d2に方向性を全く持たせないこともできる。
【0054】
上記の被処理流動体の種類とその流路の数は、図1の例では、2つとしたが、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。図1の例では、第2導入部d2から処理用面1,2間に第2流体を導入したが、この導入部は、第1処理用部10に設けてもよく、双方に設けてもよい。また、一種類の被処理流動体に対して、複数の導入部を用意してもよい。また、各処理用部に設けられる導入用の開口部は、その形状や大きさや数は特に制限はなく適宜変更して実施し得る。また、上記第1及び第2の処理用面間1、2の直前或いはさらに上流側に導入用の開口部を設けてもよい。
【0055】
上記装置においては、析出・沈殿または結晶化のような反応が、図1に示すように、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1、2の間で強制的に均一混合しながら起こる。銅フタロシアニン微粒子の粒子径や単分散度は処理用部10、20の回転数や流速及び処理用面間の距離や、原料濃度、分散媒体等を適宜調整することにより、制御することができる。
【0056】
以下に、本発明の銅フタロシアニン微粒子を生成する反応をより詳細に説明する。
【0057】
まず、一つの流路である第1導入部d1より、第1流体として銅フタロシアニンに対して貧溶媒となる溶媒を含む流体を、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1、2間に導入して、この処理用面間に第1流体から構成された薄膜流体を作る。
【0058】
次いで別流路である第2導入部d2より、第2流体として、反応物である銅フタロシアニンを溶媒に溶解した銅フタロシアニン溶液を含む流体を、上記、第1流体から構成された薄膜流体に直接導入する。なお、上記の第1流体と第2流体のうち、少なくとも何れか一方に、後述する一般的に銅フタロシアニンをα型とは異なる結晶型に転移させることのできる有機溶媒を含むものとする。
【0059】
上記のように、流体の供給圧と回転する処理用面の間にかかる圧力との圧力バランスによって距離を固定された処理用面1、2間にて、第1流体と第2流体とが薄膜状態を維持したまま、瞬間的に混合され、銅フタロシアニン微粒子が生成する反応を行う事が出来る。
【0060】
なお、処理用面1、2間にて上記反応を行う事が出来れば良いので、上記とは逆に、第1導入部d1より第2流体を導入し、第2導入部d2より第1流体を導入するものであっても良い。つまり、各流体における第1、第2という表現は、複数存在する流体の第n番目であるという、識別のための意味合いを持つに過ぎないものであり、第3以上の流体も存在し得る。
【0061】
第1流体と第2流体の組み合わせとしては、特に限定されないが、銅フタロシアニンを溶媒に溶解した銅フタロシアニン溶液を含む流体と、銅フタロシアニンに対して貧溶媒となる溶媒を含む流体であれば実施できる。銅フタロシアニンに対して貧溶媒となる溶媒とは、銅フタロシアニンを溶解した溶媒よりも銅フタロシアニンに対する溶解度の低い、貧溶媒と成り得る溶媒とする。
【0062】
前述のように、第1導入部d1、第2導入部d2以外に第3導入部d3を処理装置に設けることもできるが、この場合にあっては、例えば各導入部から、第1流体、第2流体、第3流体として上記有機溶媒を含む流体をそれぞれ別々に処理装置に導入することが可能である。そうすると、各溶液の濃度や圧力を個々に管理することができ、析出反応及びナノ微粒子の粒子径の安定化をより精密に制御することができる。なお、各導入部へ導入する被処理流動体(第1流体〜第3流体)の組み合わせは、任意に設定できる。第4以上の導入部を設けた場合も同様であって、このように処理装置へ導入する流体を細分化できる。この場合、上記の有機溶媒は、少なくとも上記の第3流体に含まれていればよく、上記の第1流体、上記の第2流体の少なくともいずれか一方に含まれていてもよく、上記第1流体及び第2流体の双方に含まれていなくてもよい。さらに、上記第1、第2流体等の被処理流動体の温度を制御したり、上記第1流体と第2流体等との温度差(即ち、供給する各被処理流動体の温度差)を制御することもできる。供給する各被処理流動体の温度や温度差を制御するために、各被処理流動体の温度(処理装置、より詳しくは、処理用面1,2間に導入される直前の温度)を測定し、処理用面1,2間に導入される各被処理流動体の加熱又は冷却を行う機構を付加して実施することも可能である。
【0063】
例えば、銅フタロシアニンを溶解するための溶媒としては、特に限定されないが、例えば酸性水溶液の場合は硫酸、塩酸、硝酸、トリフルオロ酢酸、燐酸などを用いる事ができる。特に表面処理された銅フタロシアニン微粒子を作製する場合には、発煙硫酸や発煙硝酸などを用いる事が好ましい。その他、1−メチル−2−ピロリジノン、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N、N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドのようなアミド系溶媒やジメチルスルホキシド、ピリジン、又はこれらの混合物等を用いる事ができる。またその他、種々の有機溶媒にアルカリ又は酸の物質を加えた溶液に銅フタロシアニンを溶解したものを銅フタロシアニン溶液としても実施できる。前記有機溶媒に加えられるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどが挙げられる。酸としては、上記と同様に硫酸、塩酸、硝酸、トリフルオロ酢酸、燐酸などを挙げる事ができる。
【0064】
銅フタロシアニン微粒子を析出させるための貧溶媒となりうる溶媒としては、上記銅フタロシアニンを溶解した溶媒よりも、銅フタロシアニンに対する溶解度の低い溶媒を用いて実施できる。例えば、水、アルコール化合物溶媒、アミド化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、二硫化炭素、脂肪族化合物溶媒、ニトリル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒、ハロゲン化合物溶媒、エステル化合物溶媒、ピリジン化合物溶媒、イオン性液体溶媒、カルボン酸化合物溶媒、スルホン酸化合物溶媒、スルホラン系化合物溶媒などが挙げられる。これらの溶媒は単独で使用しても良く、これら2種以上の混合溶媒を用いても実施できる。
【0065】
上記の溶媒の内、一般的に銅フタロシアニンをα型とは異なる結晶型に転移させることのできる有機溶媒を、上記貧溶媒となりうる溶媒を含む流体もしくは上記銅フタロシアニン溶液を含む流体の何れか、またはその両方に少なくとも1種類含む事が好ましく、また、上記貧溶媒となりうる溶媒を含む流体とも上記銅フタロシアニン溶液を含む流体とも異なる第3の流体に含んでいてもよい。銅フタロシアニンをα型とは異なる結晶型に転移させることのできる有機溶媒としては、特に限定されないが、芳香族化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、ハロゲン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、エステル化合物溶媒、脂肪族化合物溶媒やアルコール化合物溶媒などが挙げられる。その中でも、転移速度の速い、芳香族化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、ハロゲン化合物溶媒が好ましく、芳香族化合物溶媒、エーテル化合物溶媒が特に好ましい。
【0066】
芳香族化合物溶媒としては、特に限定されないが、一例を挙げると、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、スチレン、クレゾール、クメン、ニトロベンゼン、安息香酸、サリチル酸、ナフタレンなどが挙げられる。
【0067】
エーテル化合物溶媒としては、特に限定されないが、一例を挙げると、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオフェン、アニソール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジオキサン、炭酸プロピレンなどが挙げられる。
【0068】
ハロゲン化合物溶媒としては、特に限定されないが、一例を挙げると、ジクロロメタン、トリクロロメタン、パークロロエチレン、ブロモプロパン、クロロホルム、トリクロロエチレン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどが挙げられる。
【0069】
ケトン化合物溶媒としては、特に限定されないが、一例を挙げると、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、DIBK(ジイソブチルケトン)、シクロヘキサノン、DAA(ジアセトンアルコール)などが挙げられる。
【0070】
エステル化合物溶媒としては、特に限定されないが、一例を挙げると、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸セロソルブ、酢酸アミル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどが挙げられる。
【0071】
アルコール化合物溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノールなどが挙げられ、さらにn−ブタノールなどの直鎖アルコール、2−ブタノール、tert−ブタノール等の分枝状アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の多価アルコールや、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
【0072】
脂肪族化合物溶媒としては、例えば、ヘキサン、ペンタン、オクタン、シクロへキサンなどが挙げられる。
【0073】
さらに、銅フタロシアニン溶液を含む流体もしくは銅フタロシアニンに対して貧溶媒となる溶媒を含む流体、またはその両方に、ブロック共重合体や高分子ポリマー、界面活性剤などの分散剤を含んでもよい。また、上記の分散剤は上記銅フタロシアニン溶液を含む流体とも銅フタロシアニンに対して貧溶媒となる溶媒を含む流体とも異なる第3の流体に含まれていてもよい。
【0074】
界面活性剤及び分散剤としては顔料の分散用途に用いられる様々な市販品を使用できる。特に限定されないが、例えばドデシル硫酸ナトリウムやまたはネオゲンR−K(第一工業製薬製)のようなドデシルベンゼンスルホン酸系や、ソルスパース20000 、ソルスパース24000 、ソルスパース26000 、ソルスパース27000 、ソルスパース28000 、ソルスパース41090 (以上、アビシア社製)、ディスパービック160 、ディスパービック161 、ディスパービック162 、ディスパービック163、ディスパービック166 、ディスパービック170 、ディスパービック180 、ディスパービック181 、ディスパービック182 、ディスパービック183 、ディスパービック184 、ディスパービック190 、ディスパービック191 、ディスパービック192 、ディスパービック2000 、ディスパービック2001 (以上、ビックケミー社製)、ポリマー100 、ポリマー120 、ポリマー150 、ポリマー400 、ポリマー401 、ポリマー402 、ポリマー403 、ポリマー450 、ポリマー451 、ポリマー452 、ポリマー4 53 、EFKA −46 、EFKA −47、EFKA −48 、EFKA −49 、EFKA−1501 、EFKA −1502、EFKA −4540 、EFKA −4550 (以上、EF KA ケミカル社製)、フローレンDOPA −158 、フローレンDOPA −22 、フローレンDOPA −17 、フローレンG −700 、フローレンTG −720W 、フローレン−730W 、フローレン−740W 、フローレン−745W 、(以上、共栄社化学社製)、アジスパーPA111 、アジスパーPB711 、アジスパーPB811 、アジスパーPB821 、アジスパーPW911 (以上、味の素社製)、ジョンクリル678 、ジョンクリル679 、ジョンクリル62 (以上、ジョンソンポリマー社製)、アクアロンKH-10、ハイテノールNF-13(以上、第一工業製薬製)等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0075】
また、銅フタロシアニン微粒子に表面処理を行う場合について、以下に説明する。
【0076】
銅フタロシアニン微粒子の少なくとも表面に修飾基を導入することによる表面処理は、処理用面1、2間に導入される流体に表面修飾剤を含める事によって実施できる。上記表面修飾剤は、銅フタロシアニン溶液を含む流体(第1流体)か銅フタロシアニンに対して貧溶媒と成る溶媒を含む流体(第2流体)のいずれか、またはその両方に含まれていても良いし、上記銅フタロシアニン溶液を含む流体とも銅フタロシアニンに対して貧溶媒と成る溶媒を含む流体とも異なる第3の流体に含まれていても良い。また、第1流体及び第2流体の組み合わせとしては特に上記のものに限定されない。
【0077】
表面修飾基として少なくとも顔料表面に導入する修飾基の種類としては特に限定されず、表面処理の目的を分散性の向上を目的とする場合にあっては、例えば分散を目的とする溶媒や、分散剤種に応じて使い分ければ良い。例えば酸性基や塩基性基などの極性基、前記極性基の塩構造、酸素、硫黄等の極性の大きな原子および/または芳香環等が導入された分極率の大きな構造、水素結合性基、ヘテロ環、芳香環等を有する修飾基等が挙げられる。酸性基としては、水酸基(ヒドロキシ基)やスルホン酸基(スルホ基)、カルボン酸基、燐酸基、硼酸基等が挙げられる。塩基性基としてはアミノ基等が挙げられる。水素結合性基としては、ウレタン部位、チオウレタン部位、尿素部位、チオ尿素部位等が挙げられる。
【0078】
表面処理の目的を分散性の向上以外とする場合、例えば、銅フタロシアニン微粒子の表面を撥水性、親油性、または親有機溶媒性とする場合には、上記第1流体若しくは第2流体、またはその両方に親油性官能基を含む表面修飾剤を含む事によって処理用面1、2間より吐出される銅フタロシアニン微粒子の表面に修飾基として親油性官能基を導入し、親油性処理する事ができる。また、上記表面修飾剤は上記第1流体とも上記第2流体とも異なる第3の流体に含まれていてもよい。
【0079】
銅フタロシアニン微粒子の表面に表面修飾剤として樹脂を付加する処理を施す場合には、上記第1流体若しくは第2流体、またはその両方に樹脂を含む物質を含む事によって処理用面1、2間より吐出される銅フタロシアニン微粒子の表面の少なくとも一部を樹脂で覆い、例えば親水性処理する事ができる。また、上記樹脂は上記第1流体とも上記第2流体とも異なる第3の流体に含まれていてもよい。
【0080】
上記の表面処理は、上記のように、銅フタロシアニン微粒子の表面修飾を処理用面1、2間で行う場合に限らず、銅フタロシアニン微粒子が処理用面1、2間より吐出された後でも実施できる。その場合には、上記の銅フタロシアニン微粒子の表面処理を目的として使用される物質を、銅フタロシアニン微粒子を含む流体が処理用面1、2間から吐出された後、その吐出液に加え、攪拌などの操作により銅フタロシアニン微粒子の表面処理を行う事ができる。また、銅フタロシアニン微粒子を含む流体が吐出された後、透析チューブなどにより、その銅フタロシアニン微粒子を含む流体から不純物を除去してから表面処理を目的とする物質を加えても実施できる。また、処理用面1、2間から吐出された銅フタロシアニン微粒子を含む流体の液体成分を乾燥して銅フタロシアニン微粒子粉体としてから上記表面処理を行う事ができる。具体的には得られた銅フタロシアニン微粒子粉体を目的の溶媒に分散し、上記の表面処理を目的とする物質を加えて攪拌などの処理を施して実施できる。
【0081】
本発明における銅フタロシアニン微粒子の製造方法(強制超薄膜回転式反応法)は、その微小流路のレイノルズ数を自由に変化させる事が可能であるため、粒子径、粒子形状、結晶型など、目的に応じて単分散で再分散性の良い銅フタロシアニン微粒子が作成出来る。しかもその自己排出性により、析出を伴う反応の場合であっても生成物の詰まりも無く、大きな圧力を必要としない。ゆえに、安定的に銅フタロシアニン微粒子を作製でき、また安全性に優れ、不純物の混入もほとんど無く、洗浄性も良い。さらに目的の生産量に応じてスケールアップ可能であるため、その生産性も高い銅フタロシアニン微粒子の製造方法を提供可能である。
【0082】
本発明に係る銅フタロシアニン顔料は青色のものであり、用途として、塗料、インクジェット用インク、熱転写用インク、トナー、着色樹脂、カラーフィルターなど様々な用途に利用可能である。
【実施例】
【0083】
以下本発明について、本願出願人による、特許文献3に記載されたものと同原理である装置を用いて、結晶型がα型とは異なる銅フタロシアニン微粒子であり、且つ380〜780nmにおける吸収スペクトル形状がα型のスペクトル形状である銅フタロシアニン微粒子並びに380〜780nmにおける透過スペクトルの透過率が最大となる波長(λmax)が478nm未満である銅フタロシアニン微粒子を製造した実施例を示す。しかし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0084】
図1に示す、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1、2の間にできる、薄膜流体中で均一に攪拌・混合する装置を用いて、銅フタロシアニンを溶媒に溶解した銅フタロシアニン溶液と銅フタロシアニンに対して貧溶媒となる溶媒とを混合し、薄膜流体中で銅フタロシアニン微粒子を析出させる。その際、上記の銅フタロシアニン溶液と銅フタロシアニンに対して貧溶媒となる溶媒のうち、少なくとも何れか一方に一般的に銅フタロシアニンをα型とは異なる結晶型に転移させることのできる有機溶媒を含むものとする。
【0085】
尚、以下の実施例において、「中央から」というのは、前述した、図1に示す処理装置の「第1導入部d1から」という意味であり、第1流体は、前述の第1被処理流動体を指し、第2流体は、上述した、図1に示す処理装置の第2導入部d2から導入される前述の第2被処理流動体を指す。また、ここでの「部」は「重量部」のことである。
【0086】
(体積平均粒子径)
粒度分布は、ナノトラック粒度分布測定装置 UPA-UT151(日機装株式会社製)を用いて測定し、体積平均粒子径を採用した。
【0087】
(粉末X線回折:XRD)
X線回折測定にはPANalytical社製の全自動多目的X線回折装置(X‘Pert PRO MPD)を用いた。回折角2θ=5〜60°の範囲での回折強度を測定した。
【0088】
(吸収・透過スペクトル)
吸収または透過スペクトルは島津製作所製の紫外可視分光光度計(UV−2450)を用いて380nm〜780nmの波長領域を測定した。本発明における、銅フタロシアニンの吸収スペクトルがα型であるという特性は、一般的なα型の銅フタロシアニンの吸収スペクトル形状と同様であることを評価基準とした。上述の通り、本発明に係る銅フタロシアニンにおいて、その吸収スペクトル形状がα型であるとは、380nm〜780nmの波長領域において、600±15nm及び680±15nmの領域にピークを持つ吸収スペクトル形状とする。
【0089】
(実施例1〜6)
実施例1として、中央から第1流体として25℃のm−キシレンとエチレンジアミンの混合溶媒を、供給圧力=0.30MPaG、回転数1700rpmで送液しながら、第2流体として、結晶型がβ型(結晶型は粉末X線回折で確認)である銅フタロシアニンをトリフルオロ酢酸とジクロロメタンの混合溶媒に溶解した銅フタロシアニン溶液を処理用面1、2間に導入した。銅フタロシアニン微粒子分散液が処理用面1,2間より吐出された。吐出された銅フタロシアニン微粒子を緩く凝集させ、遠心分離(×26000G)にて沈降させた。遠心分離処理後の上澄み液を除去し、純水及びイソプロピルアルコールの混合溶媒を加えて銅フタロシアニン微粒子を再度浮上させた後、再度遠心分離を繰り返して、銅フタロシアニン微粒子の洗浄を行った。最終的に得られた銅フタロシアニン微粒子のペーストを30℃、−0.1MPaGにて真空乾燥した。乾燥後の銅フタロシアニン微粒子粉末のXRD測定を行った。さらにm−キシレンに分散剤としてディスパービックBYK―2146(ビックケミー社製)を溶解した溶液に分散処理した。分散処理した銅フタロシアニン微粒子の分散液について、溶媒にm−キシレンを用いて粒度分布測定を行った。また、銅フタロシアニン微粒子のm−キシレン分散液の一部をm−キシレンを用いて希釈し、銅フタロシアニン濃度0.005wt%の分散液の透過スペクトル、並びに0.001wt%の分散液の吸収スペクトルを測定した。
【0090】
実施例2〜6において、表1に示すように、第1流体と第2流体の種類、回転数、送液温度(それぞれの流体が処理装置に導入される直前の温度)並びに導入速度(流量)(単位:ml/min.)を変更して実施した。本実施例(実施例1〜6)においては、銅フタロシアニンに対して貧溶媒となる溶媒として、一般的に銅フタロシアニンをα型とは異なる結晶型に転移させることのできる有機溶媒を用いている。図4に、実施例1において作製された銅フタロシアニン微粒子分散液の吸収スペクトル(実線)を、図5に、実施例1において作製された銅フタロシアニン微粒子分散液の透過スペクトル(実線)を示し、図6〜図8に、実施例1(図6)、実施例6(図7)、実施例5(図8)においてそれぞれ作製された銅フタロシアニン微粒子の粉末X線回折スペクトルを示す。各実施例において作製された銅フタロシアニン微粒子分散液のスペクトル形状を比較するために、本願出願人によって特許文献3において提供された、結晶型がα型で、且つ380〜780nmにおける透過スペクトルの透過率が最大となる波長(λmax)が478nm未満である銅フタロシアニンを含有してなる銅フタロシアニン顔料についての吸収スペクトル(実線に白丸)並びに透過スペクトル(実線に白丸)を、図4〜図5に示す。また、実施例1〜6において作製された銅フタロシアニン微粒子またはその銅フタロシアニン微粒子の分散液の、XRD測定結果、体積平均粒子径、380〜780nmにおける透過スペクトルの透過率が最大となる波長(λmax)、380〜780nmにおける吸収スペクトル形状並びに380〜780nmにおける吸収スペクトルのピーク位置を示す波長を表1に示す。また、実施例1において作製された銅フタロシアニン微粒子のTEM写真を図9に示す。得られた銅フタロシアニン微粒子の形状が、略球形状である事がわかる。表1、図4〜図8に見られるように、本発明において、結晶型がα型と異なる結晶型で、且つ380〜780nmにおける吸収スペクトルがα型の吸収スペクトル形状である銅フタロシアニン微粒子を含有してなる銅フタロシアニン顔料、また、α型およびε型の2種の型とは異なる結晶型で、且つ380〜780nmにおける透過スペクトルの透過率が最大となる波長(λmax)が478nm未満である銅フタロシアニン微粒子を含有してなる銅フタロシアニン顔料並びに上記銅フタロシアニン微粒子の製造方法が提供された。つまり、α型とは異なる結晶型であるが、特許文献3によって提案されたα型と同等の分光特性を有し、かつα型よりも耐溶剤性に優れる銅フタロシアニン微粒子を少なくとも1種類含有してなる銅フタロシアニン顔料及び上記銅フタロシアニン微粒子の製造方法を提供することができた。また、上記銅フタロシアニン顔料を構成する銅フタロシアニン微粒子の体積平均粒子径が1〜600nmであり、α型とは異なる結晶型を有し、かつ粒子径を制御した銅フタロシアニン微粒子を作製することができたことから、目的とする色調や着色力等の色特性の発現が期待できる。
【0091】
【表1】

【符号の説明】
【0092】
1 第1処理用面
2 第2処理用面
10 第1処理用部
11 第1ホルダ
20 第2処理用部
21 第2ホルダ
23 離反用調整面
d1 第1導入部
d2 第2導入部
d20 開口部
p 流体圧付与機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)α型とは異なる結晶型であり、且つ、380〜780nmにおける吸収スペクトルがα型の吸収スペクトル形状である銅フタロシアニン微粒子、
(II)α型とは異なる結晶型であり、且つ、380〜780nmにおける吸収スペクトルにおいて、600±15nm及び680±15nmの領域にピークを持つ銅フタロシアニン微粒子、
(III)α型およびε型の2種の型とは異なる結晶型であり、且つ、380〜780nmにおける透過スペクトルの透過率が最大となる波長(λmax)が478nm未満である銅フタロシアニン微粒子、
の何れかの銅フタロシアニン微粒子を生成させる方法であって、
接近・離反可能な相対的に回転する2つの処理用面間に1mm以下の微小間隔を維持し、この微小間隔に維持された2つの処理用面間を被処理流動体の流路とすることによって、被処理流動体の薄膜流体を形成し、この薄膜流体中において上記銅フタロシアニン微粒子の析出を行うことを特徴とする銅フタロシアニン微粒子の製造方法。
【請求項2】
上記処理用面間に被処理流動体を供給し、
当該被処理流動体の供給圧と回転する上記処理用面間にかかる圧力とを含む接近方向への力と離反方向への力とのバランスによって上記処理用面間の距離を微小間隔に維持することを特徴とする請求項1に記載の銅フタロシアニン微粒子の製造方法。
【請求項3】
少なくとも2種類の被処理流動体を用いるものであり、
そのうちで少なくとも1種類の被処理流動体は、銅フタロシアニンを溶媒に溶解した銅フタロシアニン溶液であり、
上記以外の被処理流動体で少なくとも1種類の被処理流動体は、銅フタロシアニンに対して貧溶媒となる溶媒であり、
少なくとも1種類の有機溶媒が、
上記銅フタロシアニン溶液と上記銅フタロシアニンに対して貧溶媒となる溶媒との内の少なくともいずれか一方の被処理流動体、
もしくは上記銅フタロシアニン溶液及び上記銅フタロシアニンに対して貧溶媒となる溶媒以外の第3の被処理流動体、
の何れかに含まれているものであり、
上記有機溶媒は、上記銅フタロシアニンをα型とは異なる結晶型に転移させることができるものであり、上記の2種または3種以上の被処理流動体を上記薄膜流体中で混合することを特徴とする請求項1または2に記載の銅フタロシアニン微粒子の製造方法。
【請求項4】
上記有機溶媒が、芳香族化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、ハロゲン化合物溶媒のうちの少なくとも1種類である事を特徴とする請求項3に記載の銅フタロシアニン微粒子の製造方法。
【請求項5】
上記有機溶媒が、エチレンジアミン、m−キシレン、テトラヒドロフランのうちの少なくとも1種類であることを特徴とする請求項3に記載の銅フタロシアニン微粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−12614(P2012−12614A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221335(P2011−221335)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【分割の表示】特願2011−520103(P2011−520103)の分割
【原出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(595111804)エム・テクニック株式会社 (38)
【Fターム(参考)】