説明

銅微粒子分散体及びその製造方法

【課題】 銅微粒子の平均粒子径が10nm以下であり、焼成工程において、分解、低分子量化可能なポリマーを分散剤兼酸化抑制剤として含有する銅微粒子分散体、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 銅微粒子分散体を、a)ヒドラジン誘導体、ポリヒドラゾン化合物、及び銅微粒子前駆体を混合する工程、b)銅微粒子を還元析出させる工程を含む方法により製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅微粒子分散体及びその製造方法に関する。
【0002】
本発明の銅微粒子分散体は、エレクトロニクス分野で配線基板の回路パターン形成用材料である、導電性インク、導電性ペーストとして好適に用いることができる。
【背景技術】
【0003】
近年、金属微粒子分散体をインクジェット印刷法や、スクリーン印刷法により所望のパターンを形成し、回路基板における配線等を形成する技術が注目を集めている。金属微粒子の平均粒子径が数nm〜数10nm程度であるとき、バルクの金属よりも融点が著しく降下し、低い温度で粒子同士の融着が起こることを利用し、金属微粒子を低温で焼結させて導電性薄膜を得るものである。現状、このような導電性パターン形成用組成物としては銀ナノ粒子を含有するものが中心であるが、銀ではエレクトロマイグレーション(electromigration)が発生するという問題がある。ここで、エレクトロマイグレーションとは、電界の影響で、金属成分(例えば、配線や電極に使用した金属)が非金属媒体(例えば、絶縁物)の上や中を横切って移動する現象である。
【0004】
そのため、低コスト化が可能で且つエレクトロマイグレーションが生じるおそれの少ない銅の微粒子をインク化またはペースト化して用いることが望まれている。しかしながら、銅は酸化されやすく、ナノサイズの銅微粒子ではその傾向がさらに顕著となる。酸化された銅は著しく導電性が低下するため、インク若しくはペーストとして用いるためには、分散性を維持しながら酸化を抑制することが大きな課題となっている。
【0005】
このような課題を解決するため、窒素原子や酸素原子等のヘテロ原子を分子構造に有するポリマーの銅金属への吸着を利用し、このようなポリマーを銅微粒子と共存させることで、銅微粒子と酸素や水との接触を妨げ、銅微粒子の酸化を防ぐと同時に、銅微粒子相互の凝集を抑制し、分散性を保持する方法が検討されている。
【0006】
このようなポリマーとして、例えば、ポリエチレンイミンを利用する方法(例えば、特許文献1参照)、セルロース誘導体を利用する方法(例えば、特許文献2参照)、1,4グルコシド結合を有する有機化合物を利用する方法(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
【0007】
特許文献1には、核生成のためのパラジウムイオンを添加すると共に、分散剤としてポリエチレンイミンを添加し、銅の酸化物等をエチレングリコール等のポリオール中で加熱還元して銅微粒子を得る方法が開示されている。
【0008】
ところで、樹脂基板等の基材上で回路を形成させるためには、樹脂基板の耐熱温度である300℃程度より低い温度で、焼成を行う必要があるが、金属微粒子の融点が300℃以下まで降下するためには、凡そ10nm以下の粒子径が必要であるとされている(例えば、非特許文献1参照)。
【0009】
特許文献1に記載の方法で得られる銅微粒子の平均粒子径は10〜50nmの範囲であり、300℃以下の温度による焼成では十分に粒子同士の融着が進行せず、形成した導電性パターンが良好な導電性を確保できないおそれがある。また、核生成のためにパラジウム等の銅以外の金属の添加が必要であり、銅としての純度が低下するといった問題点もある。
【0010】
特許文献2には、銅イオンと、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)からなる水溶性樹脂とを含む液に、還元剤を添加して、金属微粒子を還元析出させるとともに、加熱により水溶性樹脂をゲル化させることによって銅微粒子を得る方法が開示されている。しかしながら、この方法により得られる銅微粒子の平均粒子径は10〜50nmの範囲であり、上記した問題が発生するおそれがある。
【0011】
特許文献3には、デンプン、デキストリン、アミロース、アミロペクチン及びこれらの誘導体等の1,4−グルコシド結合を有する化合物と銅化合物とを溶媒に溶解し、得られた溶液中の銅イオンを還元することによって銅微粒子を得る方法が開示されている。この方法により得られる銅微粒子の平均粒子径は10nm以下ではあるが、製造時の銅濃度が0.5重量%以下と非常に低いため、1バッチ当たりの銅微粒子の製造量が少なく、生産効率が低いと言った問題点がある。
【0012】
また、このようなポリマーと銅微粒子を含む分散体を用いて導電性パターンを形成する際、良好な導電性を確保するためには、銅微粒子に吸着しているポリマーを分解させ、銅微粒子相互を十分に接触させ、融着を促す必要がある。しかしながら、特許文献1〜特許文献3においては、用いられるポリマーの分解性に関して何らの考慮なされておらず、焼成工程でポリマーの分解が十分に進行しないおそれがあり、形成した配線が良好な導電性を確保できないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005−330552号公報
【特許文献2】特開2001−93414号公報
【特許文献3】特開2003−213311号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Phys.Rev.A13,(1976),2287
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記した背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、平均粒子径が10nm以下の銅微粒子と、焼成工程において分解して低分子量化が可能な、分散剤兼酸化抑制剤として機能するポリマーとを含有する銅微粒子分散体、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者は、銅微粒子分散体及びその製造方法について鋭意検討した結果、平均粒子径が10nm以下の銅微粒子と、特定のポリヒドラゾン化合物とを含有する銅微粒子分散体を、特定の工程により製造することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0017】
すなわち、本発明は、以下に示すとおりの銅微粒子分散体及びその製造方法、銅微粒子及びその製造方法、並びにそれを用いた導電性パターン形成用組成物及び導電性パターンの形成方法に関するものである。
【0018】
[1]下記一般式(1)
【0019】
【化1】

[上記一般式(1)中、X、Y、R、Rは各々独立して、水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、炭素数が1〜4のアルキル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、又は炭素数5〜10の芳香族基で水素原子が1〜3置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
で示される構造単位を含み、数平均分子量(Mn)がポリスチレン換算で100〜1,000,000の範囲であるポリヒドラゾン化合物と、平均粒子径が10nm以下である銅微粒子とを含有する銅微粒子分散体。
【0020】
[2]上記一般式(1)において、X、Y、R、Rが各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、メチル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、フェニル基で水素原子が1〜3置換されたメチル基、又はフェニル基で水素原子が1〜3置換されたエチル基を表すことを特徴とする上記[1]に記載の銅微粒子分散体。
【0021】
[3]上記一般式(1)において、X、Y、Rが各々独立して、水素原子又はメチル基を表し、Rが水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、ベンジル基、又は2−フェニルエチル基を表すことを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の銅微粒子分散体。
【0022】
[4]銅微粒子の平均粒子径が、0.1〜10nmの範囲であることを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の銅微粒子分散体。
【0023】
[5]ポリヒドラゾン化合物を銅微粒子に対して5〜1000重量%含むことを特徴とする上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の銅微粒子分散体。
【0024】
[6]下記一般式(1)
【0025】
【化2】

[上記一般式(1)中、X、Y、R、Rは各々独立して、水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、炭素数が1〜4のアルキル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、又は炭素数5〜10の芳香族基で水素原子が1〜3置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
で示される構造単位を含み、数平均分子量(Mn)がポリスチレン換算で100〜1,000,000の範囲であるポリヒドラゾン化合物、下記一般式(2)
【0026】
【化3】

[上記一般式(2)中、R〜Rは各々独立して、水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、炭素数が1〜4のアルキル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、又は炭素数5〜10の芳香族基で水素原子が1〜3置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、R〜Rが全て水素原子となることはない。]
で示されるヒドラジン誘導体、及び銅微粒子前駆体を混合し、さらに還元剤を添加して、銅微粒子を還元析出させることを特徴とする上記[1]乃至[5]のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【0027】
[7]上記一般式(2)において、R、Rが各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、メチル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、フェニル基で水素原子が1〜3置換されたメチル基、又はフェニル基で水素原子が1〜3置換されたエチル基を表し(ただし、R、Rは同時に水素原子となることはない。)、R、Rが水素原子を表すことを特徴とする上記[6]に記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【0028】
[8]上記一般式(2)において、R、Rが各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、ベンジル基、又は2−フェニルエチル基を表し(ただし、R、Rは同時に水素原子となることはない。)、R、Rが水素原子を表すことを特徴とする上記[6]に記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【0029】
[9]上記銅微粒子前駆体が、銅酸化物、銅水酸化物、銅ハロゲン化物、銅無機酸塩、銅有機酸塩及び銅キレート錯体からなる群より選ばれる一種又は二種以上の化合物であることを特徴とする上記[6]乃至[8]のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【0030】
[10]上記銅微粒子前駆体が、亜酸化銅、酸化銅、水酸化銅、硝酸銅、塩基性炭酸銅、ギ酸銅、酢酸銅、プロピオン酸銅、酪酸銅、イソ酪酸銅、吉草酸銅、イソ吉草酸銅、ピバリン酸銅、シュウ酸銅、マロン酸銅、安息香酸銅、クエン酸銅及びアセチルアセトナト銅からなる群より選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする上記[6]乃至[8]のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【0031】
[11]上記還元剤が、ヒドラジン、ナトリウムハイドロホスフェート、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、リチウムボロハイドライド、ナトリウムボロハイドライド、カリウムボロハイドライド、ボラン、ジボラン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ギ酸、ヒドロキシアセトン、及びヒドロキシルアミンからなる群より選ばれる一種又は二種以上の化合物であることを特徴とする上記[6]乃至[10]のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【0032】
[12]下記一般式(1)
【0033】
【化4】

[上記一般式(1)中、X、Y、R、Rは各々独立して、水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、炭素数が1〜4のアルキル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、又は炭素数5〜10の芳香族基で水素原子が1〜3置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
で示される構造単位を含み、数平均分子量(Mn)がポリスチレン換算で100〜1,000,000の範囲であるポリヒドラゾン化合物が、平均粒子径が10nm以下である銅微粒子の表面に吸着している銅微粒子。
【0034】
[13]銅微粒子の平均粒子径が0.1〜10nmの範囲であることを特徴とする上記[12]に記載の銅微粒子。
【0035】
[14]上記[1]乃至[5]のいずれかに記載の銅微粒子分散体から分離操作により銅微粒子を分離することを特徴とする上記[12]又は[13]に記載の銅微粒子の製造方法。
【0036】
[15]分離操作が、銅微粒子以外の成分の留去、遠心分離、又は濾過であることを特徴とする上記[14]に記載の銅微粒子の製造方法。
【0037】
[16]上記[1]乃至[5]のいずれかに記載の銅微粒子分散体を含む導電性パターン形成用組成物。
【0038】
[17]上記[12]又は[13]に記載の銅微粒子と分散剤とを含む導電性パターン形成用組成物。
【0039】
[18]上記[16]又は[17]に記載の導電性パターン形成用組成物を基板に塗布し、加熱することを特徴とする導電性パターンの形成方法。
【発明の効果】
【0040】
本発明の銅微粒子分散体は、平均粒子径が10nm以下であるという極めて微細な粒子径を有しながら、酸化が抑制された銅微粒子を含むものである。本発明の銅微粒子分散体を導電性パターン形成用組成物として使用すると、樹脂基板等の基材上で回路を形成させる際に、樹脂基板の耐熱温度である300℃程度の低い温度で、焼成を行うことができる。
【0041】
また、本発明の銅微粒子分散体は、分散剤兼酸化抑制剤として機能するポリヒドラゾン化合物を含むものである。このポリヒドラゾン化合物は分解性に優れるため、本発明の銅微粒子分散体を導電性パターン形成用組成物として使用すると、銅微粒子に吸着しているポリマーを分解させ、銅微粒子相互を十分に接触させ、融着を促進することができる。
【0042】
また、本発明の銅微粒子分散体は、製造時に核としての銅以外の金属種を添加する必要がなく、高純度の銅微粒子を含有する。
【0043】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法は、高温、高圧、高真空等の特別な反応装置の設置が必要ないため、設備投資及び、ユーティリティコスト低減が図れる。
【0044】
また、本発明の銅微粒子分散体から分離された銅微粒子は、分散剤兼酸化抑制剤として機能するポリヒドラゾン化合物が銅微粒子表面に吸着しているため、有機溶媒等で容易に再分散することができ、このようにして得られた分散体も上記した効果を発揮する。
【0045】
さらに、本発明は、低価格で入手、製造可能なポリヒドラゾン化合物、ヒドラジン誘導体、銅前駆体、還元剤を原料として利用しているため、コスト性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
【0047】
まず、本発明の銅微粒子分散体について説明する。
【0048】
本発明の銅微粒子分散体は、上記一般式(1)で示される構造単位を含み、数平均分子量(Mn)がポリスチレン換算で100〜1,000,000の範囲であるポリヒドラゾン化合物と、平均粒子径が10nm以下である銅微粒子とを含有する。
【0049】
本発明の銅微粒子分散体において、ポリヒドラゾン化合物は、上記一般式(1)で示される構造単位からなる群より選ばれる一種又は二種以上の構造単位を含むものである。
【0050】
本発明の銅微粒子分散体において、ポリヒドラゾン化合物は、導電性パターン形成のための焼成時における分解性を考慮すると、上記一般式(1)で示される構造単位において、置換基X、Y、R、Rが各々独立して水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、メチル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、フェニル基で水素原子が1〜3置換されたメチル基、又はフェニル基で水素原子が1〜3置換されたエチル基を表すことが好ましい。さらに、上記一般式(1)で示される構造単位において、置換基X、Y、Rが水素原子又はメチル基を表し、Rが水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、ベンジル基、又は2−フェニルエチル基を表すことがより好ましい。
【0051】
例えば、上記一般式(1)で示される構造単位において、置換基X、Y、Rが全て水素原子であるポリヒドラゾン化合物としては、具体的には、ポリ(プロペンアルデヒドヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドメチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドエチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドn−プロピルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドi−プロピルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドn−ブチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドi−ブチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドsec−ブチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドt−ブチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドn−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドi−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドneo−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドt−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドn−ヘキシルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドi−ヘキシルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドn−ヘプチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドn−オクチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドn−ノニルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドn−デシルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドn−ウンデシルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドn−ドデシルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドシクロヘキシルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドフェニルヒドラゾン)、ポリ[プロペンアルデヒド(4−メチル)フェニルヒドラゾン]、ポリ(プロペンアルデヒドベンジルヒドラゾン)、ポリ[プロペンアルデヒド(2−フェニル)エチルヒドラゾン]等が例示される。
【0052】
また上記一般式(1)で示される構造単位において、置換基Xが水素原子、Yがメチル基、Rが水素原子であるポリヒドラゾン化合物としては、具体的には、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドメチルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドエチルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドn−プロピルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドi−プロピルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドn−ブチルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドi−ブチルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドsec−ブチルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドt−ブチルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドn−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドi−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドneo−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドt−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドn−ヘキシルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドi−ヘキシルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドn−ヘプチルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドn−オクチルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドn−ノニルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドn−デシルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドn−ウンデシルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドn−ドデシルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドシクロヘキシルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドフェニルヒドラゾン)、ポリ[2−メチル−2−プロペンアルデヒド(4−メチル)フェニルヒドラゾン]、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドベンジルヒドラゾン)、ポリ[2−メチル−2−プロペンアルデヒド(2−フェニル)エチルヒドラゾン]等が例示される。
【0053】
また上記一般式(1)で示される構造単位において、例えば、置換基X、Yが水素原子、Rがメチル基であるポリヒドラゾン化合物としては、具体的には、ポリ(プロペンアルデヒド−2,2−ジメチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−エチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−n−プロピルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−i−プロピルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−n−ブチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−i−ブチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−sec−ブチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−t−ブチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−n−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−i−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−neo−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−t−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−n−ヘキシルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−i−ヘキシルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−n−ヘプチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−n−オクチルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−n−ノニルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−n−デシルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−n−ウンデシルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−n−ドデシルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−シクロヘキシルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−フェニルヒドラゾン)、ポリ[プロペンアルデヒド−2−メチル−2−(4−メチル)フェニルヒドラゾン]、ポリ(プロペンアルデヒド−2−メチル−2−ベンジルヒドラゾン)、ポリ[プロペンアルデヒド−2−メチル−2−(2−フェニル)エチルヒドラゾン]等が例示される。
【0054】
また上記一般式(1)で示される構造単位において、置換基Xがメチル基、Y、Rが水素原子であるポリヒドラゾン化合物としては、具体的には、ポリ(メチルビニルケトンヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンメチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンエチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンn−プロピルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンi−プロピルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンn−ブチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンi−ブチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンsec−ブチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンt−ブチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンn−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンi−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンneo−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンt−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンn−ヘキシルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンi−ヘキシルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンn−ヘプチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンn−オクチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンn−ノニルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンn−デシルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンn−ウンデシルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンn−ドデシルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンシクロヘキシルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンフェニルヒドラゾン)、ポリ[メチルビニルケトン(4−メチル)フェニルヒドラゾン]、ポリ(メチルビニルケトンベンジルヒドラゾン)、ポリ[メチルビニルケトン(2−フェニル)エチルヒドラゾン]等が例示される。
【0055】
また上記一般式(1)で示される構造単位において、置換基X、Yがメチル基、Rが水素原子であるポリヒドラゾン化合物としては、具体的には、ポリ(メチルイソプロペニルケトンヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンメチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンエチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンn−プロピルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンi−プロピルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンn−ブチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンi−ブチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンsec−ブチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンt−ブチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンn−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンi−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンneo−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンt−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンn−ヘキシルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンi−ヘキシルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンn−ヘプチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンn−オクチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンn−ノニルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンn−デシルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンn−ウンデシルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンn−ドデシルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンシクロヘキシルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンフェニルヒドラゾン)、ポリ[メチルイソプロペニルケトン(4−メチル)フェニルヒドラゾン]、ポリ(メチルイソプロペニルケトンベンジルヒドラゾン)、ポリ[メチルイソプロペニルケトン(2−フェニル)エチルヒドラゾン]等が例示される。
【0056】
また上記一般式(1)で示される構造単位において、置換基X、Y、Rが全てメチル基であるポリヒドラゾン化合物としては、具体的には、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2,2−ジメチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−エチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−n−プロピルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−i−プロピルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−n−ブチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−i−ブチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−sec−ブチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−t−ブチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−n−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−i−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−neo−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−t−ペンチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−n−ヘキシルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−i−ヘキシルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−n−ヘプチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−n−オクチルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−n−ノニルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−n−デシルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−n−ウンデシルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−n−ドデシルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−シクロヘキシルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−フェニルヒドラゾン)、ポリ[メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−(4−メチル)フェニルヒドラゾン]、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−ベンジルヒドラゾン)、ポリ[メチルイソプロペニルケトン−2−メチル−2−(2−フェニル)エチルヒドラゾン]等が例示される。
【0057】
これらのうち、酸化抑制効果、分解性及びコスト面を考慮すると、ポリ(プロペンアルデヒドヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドフェニルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドフェニルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2,2−ジメチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンフェニルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンフェニルヒドラゾン)、及びポリ(メチルイソプロペニルケトン−2,2−ジメチルヒドラゾン)からなる群より選ばれる一種、又は二種以上を組み合わせて用いることがさらに好ましい。
【0058】
本発明の銅微粒子分散体において、上記したポリヒドラゾン化合物は、数平均分子量がポリスチレン換算で100〜1,000,000の範囲のものであるが、好ましくは数平均分子量が1000〜50,000の範囲のものである。数平均分子量が100未満であると、銅微粒子への吸着力が低下し、分散剤、酸化抑制剤としての効果を発現しない場合があり、数平均分子量が1,000,000を超えると、焼成処理時において、ポリマーの分解がスムーズに進まず、分解に要する時間が工業的でないほど長くなる場合や、ポリマーが炭化し銅薄膜中に残存する場合がある。
【0059】
本発明の銅微粒子分散体において、上記したポリヒドラゾン化合物は、上記一般式(1)で表される構造を繰り返し単位として1種のみを有するものでもよいし、2種以上を有するものでもよく、また上記一般式(1)で表される構造を繰り返し単位とする以外に他の構造を繰り返し単位として含んでいてもよい。他の構造単位としては、特に限定するものではないが、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、スチレン、α−メチルスチレン、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、マレイミド類、アクリロニトリル、ビニルエーテル類、ビニルアルコール類、酢酸ビニル等のモノマーに由来する構造単位が挙げられる。
【0060】
本発明の銅微粒子分散体において、上記したポリヒドラゾン化合物は、市販のものでもよいし、公知の方法により合成したものでもよい。ポリヒドラゾン化合物の公知の合成方法としては、例えば、ポリカルボニル化合物を、ヒドラジン類と脱水縮合することで合成することができる。
【0061】
本発明の銅微粒子分散体において、上記したポリヒドラゾン化合物の純度については特に限定するものではないが、電子材料分野での使用を前提とするため、95%以上が好ましく、99%以上がさらに好ましい。
【0062】
上記したポリヒドラゾン化合物を合成する場合、脱水縮合は従来公知の方法で行うことができ、特に限定するものではないが、例えば、原料である下記一般式(3)
【0063】
【化5】

[上記一般式(3)中、X、Yは各々独立して、水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、炭素数が1〜4のアルキル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、又は炭素数5〜10の芳香族基で水素原子が1〜3置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
で示される構造単位を一種又は二種以上含有するポリカルボニル化合物からなる群より選ばれる一種又は二種以上と、下記一般式(4)
【0064】
【化6】

[上記一般式(4)中、R、Rは各々独立して、水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、炭素数が1〜4のアルキル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、又は炭素数5〜10の芳香族基で水素原子が1〜3置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
で示される構造単位を一種又は二種以上含有するヒドラジン類からなる群より選ばれる一種又は二種以上とを同時に溶剤に溶解させた後、加熱する方法により行うことができる。この際、反応を短時間で完結させるために、副生物として生成する水を留去しながら行うことが好ましい。
【0065】
また上記した合成時には、脱水縮合を促進するための触媒を添加してもよい。触媒としては、使用されるポリカルボニル化合物及びヒドラジン類の種類及び量等の各種条件に応じて適宜選択すればよく、特に限定するものではないが、例えば、塩酸、塩化水素ガス、臭化水素酸、硫酸、燐酸、オキシ塩化燐、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、クロロスルホン酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸等が挙げられる。
【0066】
上記した合成において、原料である上記一般式(3)で示される構造単位を一種又は二種以上含有するポリカルボニル化合物は、市販のものでもよいし、公知の方法により合成したものでもよい。公知の合成方法としては、例えば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等のいずれの方法を使用してもよく、特に限定するものではないが、ラジカル重合、アニオン重合が好適に用いられる(例えば、A.R.Lyons,J.Polym. Sci.Part D,6,251(1972)、岡本佳男,「高分子実験学4 付加重合・開環重合」,共立出版(1983),p.150、特開平10−45837号公報等参照)。
【0067】
また、原料である上記一般式(4)で示される構造単位を一種又は二種以上含有するヒドラジン類は、市販のものでもよいし、公知の方法により合成したものでもよい。公知の合成方法としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩を亜硫酸塩や塩化スズ(II)等の還元剤で還元する方法、ヒドラゾンやアジンを白金触媒を用いて接触還元する方法、アシルヒドラジンの還元、N−ニトロソアミンの還元、芳香族ニトロ化合物の還元的カップリング、ヒドラジンやアジンのアルキル化及びアリール化、アミンとクロラミンの反応(Reasching反応)等の方法が挙げられる。
【0068】
本発明の銅微粒子分散体に含まれる、上記したポリヒドラゾン化合物は、焼成処理により分解し、低分子量化する。ポリヒドラゾン化合物の分解が起こる温度としては、通常100〜400℃の範囲であり、樹脂基板の耐熱温度である300℃以下といった、比較的低い温度でも、十分に分解し低分子量化が可能である。
【0069】
本発明の銅微粒子分散体に含れる銅微粒子は、その平均粒子径が10nm以下のものであるが、平均粒子径が0.1〜10nmの範囲のものが好ましい。銅微粒子の平均粒子径が0.1nm未満になると、銅表面の活性が非常に高くなり、酸化を抑制できなくなる場合がある。また、銅微粒子の平均粒子径が10nmを超えると、上記したとおり、融点降下の度合いが減少し、粒子同士の融着が起こりにくくなる場合がある。
【0070】
本発明において、銅微粒子の粒子径の測定方法としては、一般的な粒子の測定方法を用いることができる。例えば、透過型電子顕微鏡(TEM),電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM),電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)等を適宜使用することができる。平均粒子径の値は、上記装置を用いて測定し、観測された視野の中から、粒子径が比較的そろっている箇所を3箇所選択し、粒径測定に最も適した倍率で撮影する。おのおのの写真から、一番多数存在すると思われる粒子を100個選択し、その直径をものさしで測り、測定倍率を除して粒子径を算出する。これらの値を算術平均することにより求めることができる。また、標準偏差については、上記観察時に個々の銅微粒子の粒子径と数により求めることができる。そして、変動係数は、上記した平均粒子径及びその標準偏差に基づいて、下式により算出することができる。
【0071】
変動係数=標準偏差/体積平均粒子径×100(%)。
【0072】
本発明の銅微粒子分散体において、ポリヒドラゾン化合物と銅微粒子の組成比は特に制限はないが、金属銅量に対し、ポリヒドラゾン化合物が5〜1000重量%であることが好ましく、10〜200重量%であることがさらに好ましい。ポリヒドラゾン化合物の量が金属銅量に対し、5重量%未満では酸化を抑制できないおそれがあり、1000重量%を超えて使用しても、入れただけの効果は得られないだけでなく、銅微粒子分散体中の単位重量当たりの金属銅の含有量が低下するため好ましくない。
【0073】
本発明の銅微粒子分散体は、上記した銅微粒子とポリヒドラゾン化合物とを含有するものであるが、それら以外に、ポリヒドラゾン化合物が溶解し、ポリヒドラゾン化合物と反応しない有機溶媒を含んでいても一向に差し支えない。このような有機溶媒としては、例えば、アルコール類、グリコール類、エーテル類、エステル類、炭化水素類及び芳香族炭化水素類からなる群より選ばれる一種、又は相溶性のある二種以上の混合物が挙げられる。
【0074】
具体的には、アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ターピネオール等が挙げられ、グリコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられ、エーテル類としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等が挙げられ、エステル類としては、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン等が挙げられ、炭化水素類としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、シクロヘキサン、デカリン等が挙げられ、芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。
【0075】
これらのうち、コスト、安全性及び水の溶解度の面から、エタノール、i−プロピルアルコール、ターピネオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、及びγ−ブチロラクトンからなる群より選ばれる一種、又は相溶性のある二種以上を組み合わせて用いることがさらに好ましい。
【0076】
本発明の銅微粒子分散体において、その組成に有機溶媒を含む場合、ポリヒドラゾン化合物と銅微粒子の合計重量は、銅微粒子分散体全体の重量に対して、0.1〜100重量%の範囲(残部は有機溶媒)であることが好ましく、10〜80重量%の範囲(残部は有機溶媒)であることがさらに好ましい。ポリヒドラゾン化合物と銅微粒子の合計重量が銅微粒子分散体全体の重量に対して、10重量%未満では導電性パターン形成用組成物として利用する際に、濃縮等の操作が必要となり作業工数の増加を招き、80重量%を超えると、流動性がほとんどなくなり作業性が著しく低下するおそれがある。
【0077】
本発明の銅微粒子分散体は、必要に応じ、その形態を自由に選択することができる。例えば、銅微粒子分散体中のポリヒドラゾン化合物及び/又は有機溶媒の一部を除去することにより所望の濃度の濃縮液として用いたり、ペースト状に加工して用いることもできる。さらには、濃縮物、若しくはペースト状加工物は所望の有機溶媒の共存下で再分散できることから、有機溶媒の置換を自由に行うことができる。
【0078】
次に、本発明の銅微粒子分散体の製造方法について説明する。
【0079】
本発明の銅微粒子分散体は、ポリヒドラゾン化合物と銅微粒子とを接触させることで製造することができる。例えば、液相に分散した銅微粒子に対して、ポリヒドラゾン化合物を加え混合する方法等が挙げられる。しかし、銅微粒子は酸素や水が存在する条件下ですぐに酸化を受けるため、上記方法では複雑で高価な製造装置が必要となり、莫大なコストがかかる為、工業的に有利ではない。よって、銅微粒子を合成する際に同時にポリヒドラゾン化合物と接触させる方法が好ましい。
【0080】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、銅微粒子の合成には特に制限はなく、公知のいずれの方法も使用できるが、ポリヒドラゾン化合物、及び銅微粒子前駆体を混合した後に、銅微粒子を還元析出させる方法が好ましい。本法によれば、銅微粒子の生成と銅微粒子とポリヒドラゾン化合物との接触を、同時且つ、同一の反応容器で行うことができ、工業的に有利である。
【0081】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、銅微粒子の合成は特に限定するものではないが、ヒドラジン誘導体の存在下で行うことが好ましい。ヒドラジン誘導体の存在下において、ポリヒドラゾン化合物と銅微粒子前駆体は均一、且つ高濃度に溶解することができる。
【0082】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法は、以下の2工程を含む。
【0083】
a)上記一般式(1)で示されるポリヒドラゾン化合物、ヒドラジン誘導体、及び銅微粒子前駆体を混合する工程(以下、a工程と称する。)。
【0084】
b)a工程で得られた混合物に還元剤を添加し、銅微粒子を還元析出させる工程(以下、b工程と称する。)。
【0085】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法においては、上記a工程及びb工程を実施していればよく、それら以外の工程を追加して実施しても一向に差し支えない。例えば、ポリヒドラゾン化合物及び/又は銅微粒子前駆体を希釈する工程、ポリヒドラゾン化合物と銅微粒子前駆体の混合物を希釈又は濃縮する工程、ポリヒドラゾン化合物と銅微粒子前駆体の混合物を冷却又は加熱する工程、銅微粒子分散体を洗浄する工程、銅微粒子分散体を希釈又は濃縮する工程、銅微粒子分散体中の銅微粒子を凝集及び/又は沈降させる工程等を適宜実施することができる。
【0086】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、a工程で使用するヒドラジン誘導体とは、下記一般式(2)
【0087】
【化7】

[上記一般式(2)中、R〜Rは各々独立して、水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、炭素数が1〜4のアルキル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、又は炭素数5〜10の芳香族基で水素原子が1〜3置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、R〜Rが全て水素原子となることはない。]
で示される化合物である。
【0088】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、a工程で使用するヒドラジン誘導体としては、特に限定するものではないが、ポリヒドラゾン化合物と銅微粒子前駆体の溶解度、及び分解生成物の除去性を考慮すると、上記一般式(2)において、置換基R、Rが各々独立して水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、メチル基で芳香環上の水素が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、フェニル基で水素が1〜3置換されたメチル基、又はフェニル基で水素原子が1〜3置換されたエチル基を表し(ただし、R、Rは同時に水素原子となることはない)、置換基R、Rが水素原子である化合物からなる群より選ばれる一種又は二種以上の化合物であることが好ましい。さらに、上記一般式(2)において、置換基R1、R2が各々独立して水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、ベンジル基、又は2−フェニルエチル基を表し(ただし、R、Rは同時に水素原子となることはない。)、置換基R、Rが水素原子である化合物からなる群より選ばれる一種又は二種以上の化合物であることがより好ましい。
【0089】
上記一般式(2)において、置換基R、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、n−プロピルヒドラジン、i−プロピルヒドラジン、n−ブチルヒドラジン、i−ブチルヒドラジン、sec−ブチルヒドラジン、t−ブチルヒドラジン、n−ペンチルヒドラジン、i−ペンチルヒドラジン、neo−ペンチルヒドラジン、t−ペンチルヒドラジン、n−ヘキシルヒドラジン、i−ヘキシルヒドラジン、n−ヘプチルヒドラジン、n−オクチルヒドラジン、n−ノニルヒドラジン、n−デシルヒドラジン、n−ウンデシルヒドラジン、n−ドデシルヒドラジン、シクロヘキシルヒドラジン、フェニルヒドラジン、4−メチルフェニルヒドラジン、ベンジルヒドラジン、2−フェニルエチルヒドラジン等が例示される。
【0090】
また上記一般式(2)において、置換基Rがメチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジメチルヒドラジン、1−メチル−1−エチルヒドラジン、1−メチル−1−n−プロピルヒドラジン、1−メチル−1−i−プロピルヒドラジン、1−メチル−1−n−ブチルヒドラジン、1−メチル−1−i−ブチルヒドラジン、1−メチル−1−sec−ブチルヒドラジン、1−メチル−1−t−ブチルヒドラジン、1−メチル−1−n−ペンチルヒドラジン、1−メチル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−メチル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−メチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−メチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−メチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−メチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−メチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−メチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−メチル−1−n−デシルヒドラジン、1−メチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−メチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−メチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−メチル−1−フェニルヒドラジン、1−メチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−メチル−1−ベンジルヒドラジン、1−メチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0091】
また上記一般式(2)において、置換基Rがエチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジエチルヒドラジン、1−エチル−1−n−プロピルヒドラジン、1−エチル−1−i−プロピルヒドラジン、1−エチル−1−n−ブチルヒドラジン、1−エチル−1−i−ブチルヒドラジン、1−エチル−1−sec−ブチルヒドラジン、1−エチル−1−t−ブチルヒドラジン、1−エチル−1−n−ペンチルヒドラジン、1−エチル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−エチル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−エチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−エチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−エチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−エチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−エチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−エチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−エチル−1−n−デシルヒドラジン、1−エチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−エチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−エチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−エチル−1−フェニルヒドラジン、1−エチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−エチル−1−ベンジルヒドラジン、1−エチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0092】
また上記一般式(2)において、置換基Rがn−プロピル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−n−プロピルヒドラジン、1−n−プロピル−1−i−プロピルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−ブチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−i−ブチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−sec−ブチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−t−ブチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−ペンチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−n−プロピル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−オクチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−ノニルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−デシルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−プロピル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−プロピル−1−フェニルヒドラジン、1−n−プロピル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−プロピル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−プロピル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0093】
また上記一般式(2)において、置換基Rがi−プロピル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−i−プロピルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−ブチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−i−ブチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−sec−ブチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−t−ブチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−ペンチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−i−プロピル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−オクチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−ノニルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−デシルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−i−プロピル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−i−プロピル−1−フェニルヒドラジン、1−i−プロピル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−i−プロピル−1−ベンジルヒドラジン、1−i−プロピル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0094】
また上記一般式(2)において、置換基Rがn−ブチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−n−ブチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−i−ブチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−sec−ブチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−t−ブチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−n−ペンチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−n−ブチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−n−ブチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−n−ブチル−1−n−デシルヒドラジン、1−n−ブチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−ブチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−ブチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−ブチル−1−フェニルヒドラジン、1−n−ブチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−ブチル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−ブチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0095】
また上記一般式(2)において、置換基Rがi−ブチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−i−ブチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−sec−ブチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−t−ブチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−n−ペンチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−i−ブチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−i−ブチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−i−ブチル−1−n−デシルヒドラジン、1−i−ブチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−i−ブチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−i−ブチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−i−ブチル−1−フェニルヒドラジン、1−i−ブチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−i−ブチル−1−ベンジルヒドラジン、1−i−ブチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0096】
また上記一般式(2)において、置換基Rがsec−ブチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−sec−ブチルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−t−ブチルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−n−ペンチルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−n−デシルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−フェニルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−ベンジルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0097】
また上記一般式(2)において、置換基Rがt−ブチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−t−ブチルヒドラジン、1−t−ブチル−1−n−ペンチルヒドラジン、1−t−ブチル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−t−ブチル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−t−ブチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−t−ブチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−t−ブチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−t−ブチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−t−ブチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−t−ブチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−t−ブチル−1−n−デシルヒドラジン、1−t−ブチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−t−ブチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−t−ブチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−t−ブチル−1−フェニルヒドラジン、1−t−ブチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−t−ブチル−1−ベンジルヒドラジン、1−t−ブチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0098】
また上記一般式(2)において、置換基Rがn−ペンチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−n−ペンチルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−n−デシルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−フェニルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0099】
また上記一般式(2)において、置換基Rがi−ペンチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−i−ペンチルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−n−デシルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−フェニルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−ベンジルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0100】
また上記一般式(2)において、置換基Rがneo−ペンチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−neo−ペンチルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−n−デシルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−フェニルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−ベンジルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0101】
また上記一般式(2)において、置換基Rがt−ペンチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−t−ペンチルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−n−デシルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−フェニルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−ベンジルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0102】
また上記一般式(2)において、置換基Rがn−ヘキシル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−n−ヘキシルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−n−オクチルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−n−ノニルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−n−デシルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−フェニルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0103】
また上記一般式(2)において、置換基Rがi−ヘキシル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−i−ヘキシルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−n−オクチルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−n−ノニルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−n−デシルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−フェニルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−ベンジルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0104】
また上記一般式(2)において、置換基Rがn−ヘプチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−n−ヘプチルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−n−デシルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−フェニルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0105】
また上記一般式(2)において、置換基Rがn−オクチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−n−オクチルヒドラジン、1−n−オクチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−n−オクチル−1−n−デシルヒドラジン、1−n−オクチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−オクチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−オクチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−オクチル−1−フェニルヒドラジン、1−n−オクチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−オクチル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−オクチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0106】
また上記一般式(2)において、置換基Rがn−ノニル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−n−ノニルヒドラジン、1−n−ノニル−1−n−デシルヒドラジン、1−n−ノニル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−ノニル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−ノニル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−ノニル−1−フェニルヒドラジン、1−n−ノニル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−ノニル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−ノニル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0107】
また上記一般式(2)において、置換基Rがn−デシル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−n−デシルヒドラジン、1−n−デシル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−デシル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−デシル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−デシル−1−フェニルヒドラジン、1−n−デシル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−デシル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−デシル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0108】
また上記一般式(2)において、置換基Rがn−ウンデシル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−ウンデシル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−ウンデシル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−ウンデシル−1−フェニルヒドラジン、1−n−ウンデシル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−ウンデシル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−ウンデシル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0109】
また上記一般式(2)において、置換基Rがn−ドデシル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジ−n−ドデシルヒドラジン、1−n−ドデシル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−ドデシル−1−フェニルヒドラジン、1−n−ドデシル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−ドデシル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−ドデシル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0110】
また上記一般式(2)において、置換基Rがシクロヘキシル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジシクロヘキシルヒドラジン、1−シクロヘキシル−1−フェニルヒドラジン、1−シクロヘキシル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−シクロヘキシル−1−ベンジルヒドラジン、1−シクロヘキシル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0111】
また上記一般式(2)において、置換基Rがフェニル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジフェニルヒドラジン、1−フェニル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−フェニル−1−ベンジルヒドラジン、1−フェニル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0112】
また上記一般式(2)において、置換基Rが4−メチルフェニル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ビス(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−1−ベンジルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0113】
また上記一般式(2)において、置換基Rがベンジル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ジベンジルヒドラジン、1−ベンジル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0114】
そして、上記一般式(2)において、置換基Rが2−フェニルエチル基、R、Rが水素原子であるヒドラジン誘導体としては、具体的には、1,1−ビス(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0115】
これらのヒドラジン誘導体のうち、上記一般式(2)において、置換基R〜Rの炭素数が各々12を超えないものが好ましい。置換基R〜Rの炭素数が各々12を超えると、銅微粒子分散体の調製時における分解生成物である炭化水素類の沸点が高くなり、蒸発、気散することができずに銅微粒子分散体中に残存するおそれがあり、導電性パターン形成用組成物として使用した場合に、金属銅としての純度や、形成した銅薄膜の導電性に悪影響を与える場合がある。
【0116】
分解生成物の除去性、コスト及び安全性を考慮すると、本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、a工程で使用するヒドラジン誘導体としては、n−プロピルヒドラジン、i−プロピルヒドラジン、n−ブチルヒドラジン、t−ブチルヒドラジン、n−ペンチルヒドラジン、n−ヘキシルヒドラジン、n−ヘプチルヒドラジン、n−オクチルヒドラジン、n−ノニルヒドラジン、n−デシルヒドラジン、n−ウンデシルヒドラジン、n−ドデシルヒドラジン、シクロヘキシルヒドラジン、フェニルヒドラジン、ベンジルヒドラジン、1,1−ジメチルヒドラジン及び1,1−ジエチルヒドラジンからなる群の中より選ばれる一種、又は二種以上を組み合わせて用いることがさらに好ましい。
【0117】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法におけるa工程において、本発明の趣旨に反しない程度であれば、上記した以外のヒドラジン誘導体を含んでいても差し支えない。
【0118】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、上記一般式(2)で示されるヒドラジン誘導体は市販のものでもよいし、公知の方法により合成したものでも良く、特に限定されない。合成方法としては上記した方法を適応することができる。また、一般式(2)で示されるヒドラジン誘導体の純度については、特に限定するものではないが、電子材料分野での使用を考慮すると、95%以上が好ましく、99%以上がさらに好ましい。
【0119】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、a工程で使用する銅微粒子前駆体とは、銅イオンを含む化合物であれば特に制限はないが、例えば、亜酸化銅、酸化銅等の酸化物、水酸化銅(I)、水酸化銅(II)等の水酸化物、フッ化銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅等のハロゲン化物、塩基性炭酸銅、亜硝酸銅、硝酸銅、亜硫酸銅、硫酸銅、リン酸銅、ピロリン酸銅等の無機酸塩、ギ酸銅、酢酸銅、プロピオン酸銅、酪酸銅、イソ酪酸銅、吉草酸銅、イソ吉草酸銅、ピバリン酸銅、シュウ酸銅、マロン酸銅、コハク酸銅、マレイン酸銅、安息香酸銅、クエン酸銅、酒石酸銅等の有機酸塩及びアセチルアセトナト銅、エチレンジアミン銅等の錯体からなる群より選ばれる一種又は二種以上を好適に用いることができる。これらの中でもコストの面から、酢酸銅が特に好ましい。これら以外の銅微粒子前駆体を使用しても差し支えないが、入手が困難であったり、高価であったりするため、工業的に不利な場合がある。また銅微粒子前駆体としては、電子材料用に市販されている高純度のものを使用することができるが、工業的に流通しているものを使用してもよい。
【0120】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、a工程でのポリヒドラゾン化合物と銅微粒子の混合比は特に限定するものではないが、金属銅量に対し、ポリヒドラゾン化合物が5〜1000重量%であることが好ましく、10〜200重量%であることがさらに好ましい。ポリヒドラゾン化合物の量が金属銅量に対し、5重量%未満では銅微粒子分散体とした際に、酸化を抑制できないおそれがあり、1000重量%を超えて使用しても、入れただけの効果は得られないだけでなく、銅微粒子分散体中の単位重量当たりの金属銅の含有量が低下するため好ましくない。
【0121】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、a工程でのヒドラジン誘導体と銅微粒子前駆体の混合比は特に限定するものではないが、銅微粒子前駆体の1モル当量に対し、ヒドラジン誘導体が0.25〜1000モル当量であることが好ましく、1〜100モル当量であることがさらに好ましい。ヒドラジン誘導体の量が銅微粒子前駆体の1モル当量に対し、0.25モル当量未満ではポリヒドラゾン化合物と銅微粒子前駆体が完全に溶解しないおそれがあり、1000モル当量を超えて使用しても、入れただけの効果は得られない。
【0122】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、b工程で使用する還元剤としては銅イオンを金属銅まで還元できる還元力を有するものであれば特に制限はないが、例えば、ヒドラジン、ナトリウムハイドロホスフェート、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、リチウムボロハイドライド、ナトリウムボロハイドライド、カリウムボロハイドライド、ボラン、ジボラン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ギ酸、ヒドロキシアセトン、及びヒドロキシルアミンからなる群より選ばれる一種又は二種以上を好適に用いることができる。これらの中でも安全性及びコストの面から、ナトリウムボロハイドライドが特に好ましい。また、還元剤としては電子材料用に市販されている高純度のものを使用することができるが、工業的に流通しているものを使用してもよい。
【0123】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、b工程で使用する還元剤の量は、銅イオンを完全に金属銅まで還元できる量であれば特に制限はないが、銅微粒子前駆体の1モル当量に対し、還元剤の量が1〜10モル当量であることが好ましく、1〜2モル当量であることがさらに好ましい。銅微粒子前駆体の1モル当量に対し、還元剤の量が1モル当量未満では金属銅への還元が完全に進行しないおそれがあり、10モル当量を超えて使用しても、入れただけの効果は得られない。
【0124】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、b工程の温度は還元剤が銅イオンを金属銅まで還元できる温度であればよく、特に限定するものではないが、通常−50〜100℃の範囲であり、0〜60℃の範囲が好ましい。−50℃未満では、還元反応は極めて遅くなるおそれがあり、100℃を超える温度では、還元剤が分解する場合があるため、現実的ではない。
【0125】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、b工程では還元反応を制御するために、pH調整を行ってもよい。pH調整を行うため塩基としてはアンモニア水の他、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物及び水酸化テトラメチルアンモニウム等の四級アンモニウム塩が挙げられる。これらは電子材料用に市販されている高純度のものを使用することができるが、工業的に流通しているものを使用してもよい。
【0126】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法においては、b工程を行わず、a工程で使用したヒドラジン誘導体を還元剤として利用し、銅微粒子を析出させる方法も用いることができる。この際、ヒドラジン誘導体の還元力を高めるため、水を添加し、加熱することが好ましい。
【0127】
添加する水は、銅微粒子分散体が電子材料として使用されることを考慮すると、例えば、イオン交換水、純水や超純水等のイオン性物質やパーティクル等を極力低減させたものが好ましい。また、加熱する温度はヒドラジン誘導体の沸点以下であり、ヒドラジン誘導体が銅イオンを金属銅まで還元できる温度であればよく、特に限定するものではないが、通常0〜300℃の範囲であり、50〜200℃の範囲が好ましい。0℃未満では、還元反応は極めて遅くなるおそれがあり、300℃を超える温度では、ヒドラジン誘導体が分解する場合があるため、現実的ではない。
【0128】
添加する水の量は銅微粒子前駆体の水和状態に由来する水の持込み量に依存するため、規定することは困難ではあるが、銅微粒子前駆体の1モル当量に対し、銅微粒子前駆体の水和状態に由来する水の持込み量と加える水の量の和が2〜100モル当量の範囲になるように加えればよく、4〜10モル当量の範囲になるように加えることがさらに好ましい。銅微粒子前駆体の1モル当量に対し、銅微粒子前駆体の水和状態に由来する水の持込み量と加える水の量の和が2モル当量未満であると、金属銅への還元が完全に進行しないおそれがあり、100モル当量を超えて加えても、加えただけの効果は得られない。
【0129】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、a工程及び/又はb工程では有機溶媒を添加してもよい。このような有機溶媒としては、本発明の銅微粒子分散体に含有することができる上記した有機溶媒と同じものを使用することができる。
【0130】
本発明の銅微粒子分散体は、そのままで又は必要に応じて添加剤を混合する等して、インク状若しくはペースト状の導電性パターン形成用組成物として好適に用いることができる。
【0131】
また、本発明の銅微粒子分散体のそれ以外の用途としては、電極材料、触媒、着色剤、化粧品、近赤外線吸収剤、光記録材料、偏光材料、偽造防止用インク、電磁波シールド材等の材料等が挙げられる。
【0132】
次に本発明の銅微粒子及びその製造方法について説明する。
【0133】
本発明の銅微粒子は、上記一般式(1)で示されるポリヒドラゾン化合物が当該粒子表面に吸着していることをその特徴とする。
【0134】
本発明の銅微粒子としては、特に限定するものではないが、本発明の趣旨より、その平均粒子径が0.1〜10nmの範囲であることが好ましい。銅微粒子の粒子径が0.1nm未満になると、銅表面の活性が非常に高くなり、酸化を抑制できなくなる場合がある。また、前述の通り10nmを超えると、融点降下の度合いが減少し、粒子同士の融着が起こりにくくなる場合がある。
【0135】
本発明の銅微粒子は、上記した本発明の銅微粒子分散体から分離操作により銅微粒子を分離することにより、粉末の形状で得ることができる。
【0136】
本発明の銅微粒子の製造方法において、銅微粒子の分離操作としては、特に限定するものではないが、例えば、濾過、遠心分離、銅微粒子以外の成分の留去等が挙げられる。
【0137】
本発明の銅微粒子の製造方法において、分離操作が濾過である場合、その濾過効率を向上させるため、貧溶媒を添加し銅微粒子の凝集を促すことができる。貧溶媒としては、例えば、メタノール、アセトニトリル及び水等の極性溶媒から選ばれる1種若しくは相溶性のある2種以上の混合物を好適に用いることができる。
【0138】
本発明の銅微粒子の製造方法において、分離操作が遠心分離である場合、公知の方法を用いることができる。
【0139】
本発明の銅微粒子の製造方法において、分離操作が銅微粒子以外の成分の留去である場合、公知の方法を用いることができ、その方法は特に限定するものではないが、留去に必要な加熱温度が、ポリヒドラゾン化合物の分解温度以上である場合、減圧条件下で行うことが好ましい。
【0140】
本発明の銅微粒子は、有機溶媒に再分散させ、必要に応じて添加剤を混合する等して、インク状若しくはペースト状の導電性パターン形成用組成物として好適に用いることができる。
【0141】
次に本発明の導電性パターン形成用組成物について説明する。
【0142】
本発明の導電性パターン形成用組成物は、上記した本発明の銅微粒子分散体を含有するか、又は上記した本発明の銅微粒子と当該銅微粒子を分散させる分散剤とを含有する。
【0143】
本発明の導電性パターン形成用組成物において、本発明の銅微粒子を分散させる分散剤としては、特に限定するものではないが、本発明の銅微粒子の表面には、上記一般式(1)で示されるポリヒドラゾン化合物が吸着しているため、有機溶媒を分散剤として使用することにより、その濃度、粘度等を自由にコントロールすることができる。
【0144】
有機溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、アルコール類、グリコール類、エーテル類、エステル類、炭化水素類、及び芳香族炭化水素類からなる群より選ばれる一種、又は相溶性のある二種以上の混合物が挙げられる。
【0145】
具体的には、アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ターピネオール等が挙げられ、グリコール類としては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられ、エーテル類としては、具体的には、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等が挙げられ、エステル類としては、具体的には、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン等が挙げられ、炭化水素類としては、具体的には、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、シクロヘキサン、デカリン等が挙げられ、芳香族炭化水素類としては、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。
【0146】
これらの中でもコスト及び安全性の面から、エタノール、i−プロピルアルコール、ターピネオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、γ−ブチロラクトン、n−デカン、トルエン及びn−ブチルベンゼンからなる群より選ばれる一種、又は相溶性のある二種以上を組み合わせて用いることがさらに好ましい。
【0147】
上記した本発明の銅微粒子と当該銅微粒子を分散させる分散剤とを含有する導電性パターン形成用組成物において、銅微粒子量は、銅微粒子と分散剤全体の重量に対して0.1〜100重量%の範囲で残部が有機溶媒であることが好ましく、5〜80重量%の範囲で残部が有機溶媒であることがさらに好ましい。銅微粒子と分散剤全体の重量に対し、銅微粒子の合計量が5重量%未満では、その使用の際に濃縮等の操作が必要となり作業工数の増加を招くおそれがあり、80重量%を超えると、流動性が低下して作業性が著しく低下するおそれがある。
【0148】
本発明の導電性パターン形成用組成物は、必要に応じて、粘度調整剤、表面張力調整剤等の添加剤を含有することができる。
【0149】
次に本発明の導電性パターンの形成方法について説明する。
【0150】
本発明の導電性パターン形成用組成物を、基板上に塗布し加熱することによりプリント配線に利用することができ、また基板上に塗布し乾燥することにより高密度記録材料や遮光用フィルター等として利用することができる。
【0151】
本発明の導電性パターンの形成方法において、本発明の導電性パターン形成用組成物を塗布する基板としては、公知のものを用いることができ、特に限定するものではないが、例えば、金属板、ガラス板、ITO(インジウム錫オキサイド)、セラミック基板等の無機基板や、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アラミド樹脂、エポキシ樹脂等の有機基板が挙げられる。
【0152】
本発明の導電性パターンの形成方法において、本発明の導電性パターン形成用組成物を塗布する方法としては、公知の方法によって行うことができ、特に限定するものではないが、例えば、スクリーン印刷法、ディップコーティング法、スプレー塗布法、スピンコーティング法、インクジェット法等が挙げられる。
【0153】
本発明の導電性パターンの形成方法において、加熱する場合は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素等が挙げられる。これらの中でも安価なことから、窒素を用いることが好ましい。また、不活性ガス中には、金属微粒子の酸化に大きな影響を与えない程度ならば酸素を含んでいても良く、その濃度は、通常2000ppm以下であり、500ppm以下がさらに好ましい。
【0154】
本発明の導電性パターンの形成方法において、加熱温度は、銅前駆体が還元剤により還元され、有機物が分解、揮発する温度であれば、特に制限はないが、通常50〜350℃の範囲であり、50〜200℃の範囲がさらに好ましい。加熱温度が50℃未満であると、銅前駆体の還元が完全に進行せず、また有機物の残存が顕著になる場合があり、350℃を超えると有機基板を利用できなくなるおそれがある。
【0155】
本発明の導電性パターンの形成方法において、加熱時間は、銅前駆体及び還元剤の種類や、所望する導電性により適宜選択すればよいが、250℃程度の加熱温度を設定した場合には、通常10〜60分程度である。
【実施例】
【0156】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定解釈されるものではない。
【0157】
なお、以下の実施例において、銅微粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)で、観測した視野の中から、ランダムに3箇所選択し、1,000,000倍の倍率で撮影を行い、それぞれの写真から、粒子を計100個選択し、その直径をものさしで測り、測定倍率を除して粒子径を算出し、これらの値を算術平均することにより求めた。TEMは日本電子製、商品名「JEM−2000FX」を使用した。また、平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー製高速GPCシステム)によりポリスチレン換算で算出した。また、元素分析はパーキンエルマー全自動元素分析装置 「2400II」により測定し、H−NMRはVarian製「Gemini−200」により測定した。
【0158】
[参考例1] ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒド)の調製.
マグネット攪拌子を入れた50mlのナス型フラスコ中、蒸留生成した2−メチル−2−プロペンアルデヒド(メタクロレイン)7.0g(100mmol)をトルエン20gに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル64mg(0.2mmol)を加え、50℃まで加熱し、2時間攪拌した。反応終了後、反応液を200mlのメタノールに投入し、次いで析出物をろ取した。得られた白色固体を水洗、次いでメタノール洗浄した後、室温度で減圧下、乾燥することによりポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒド)5.09gを得た(収率72.7%)。
【0159】
数平均分子量(Mn)=27.2×10,Mw/Mn=6.8。
【0160】
[参考例2] ポリ(メチルビニルケトン)の調製.
マグネット攪拌子を入れた50mlのナス型フラスコ中、蒸留生成したメチルビニルケトン3.5g(50mmol)をトルエン10gに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル32mg(0.2mmol)を加え、60℃まで加熱し、2時間攪拌した。反応終了後、反応液を200mlのメタノールに投入し、次いで析出物をろ取した。得られた白色固体を水洗、次いでメタノール洗浄した後、室温度で減圧下、乾燥することによりポリ(メチルビニルケトン)3.03gを得た(収率86.7%)。
【0161】
数平均分子量(Mn)=62.8×10,Mw/Mn=4.03。
【0162】
[参考例3] ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドフェニルヒドラゾン)の調製.
マグネット攪拌子を入れた50mlのナス型フラスコ中、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒド)1.4g(ケトン量20mmol)をテトラヒドロフラン40gに溶解させ、フェニルヒドラジン2.38g(22mmol)、p−トルエンスルホン酸5mgを添加し、60℃まで加熱し2時間攪拌した。反応終了後、反応液を200mlのメタノールに投入し、次いで析出物をろ取した。得られた白色固体を水洗、次いで少量のメタノール洗浄した後、室温度で減圧下、乾燥することによりポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドフェニルヒドラゾン)2.48gを得た(収率70.5%)。
【0163】
数平均分子量(Mn)=38.1×10,Mw/Mn=3.05。
【0164】
[参考例4] ポリ(メチルビニルケトンフェニルヒドラゾン)の調製.
マグネット攪拌子を入れた50mlのナス型フラスコ中、ポリ(メチルビニルケトン)1.4g(ケトン量20mmol)をテトラヒドロフラン40gに溶解させ、ジメチルヒドラゾン1.44g(22mmol)、p−トルエンスルホン酸5mgを添加し、60℃まで加熱し2時間攪拌した。反応終了後、反応液を200mlのメタノールに投入し、次いで析出物をろ取した。得られた白色固体を水洗、次いで少量のメタノール洗浄した後、室温度で減圧下、乾燥することによりポリ(メチルビニルケトンフェニルヒドラゾン)2.12gを得た(収率82.8%)。
【0165】
数平均分子量(Mn)=58.2×10,Mw/Mn=4.32。
【0166】
[実施例1] ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドフェニルヒドラゾン)を含有した銅微粒子分散体の調製.
n−ヘキシルヒドラジン10gに酢酸銅(II)一水和物2g、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドフェニルヒドラゾン)0.48gを加え完全に溶解させた後、水素化ホウ素ナトリウム0.37gを水1.63gに溶解させた溶液を、室温で30分間かけて滴下した。さらに室温で30分間攪拌することで、黒色の銅微粒子分散体を得た。この銅微粒子分散体をTEMで観測し平均粒子径を求めたところ、5.2nm(標準偏差1.7、変動係数33%)であった。得られた銅微粒子分散体は大気中で1時間放置しても、酸化による変色は見られず、均一な分散状態を維持していた。銅微粒子分散体にアセトニトリル:水=1:1(v/v)溶液100mlを加え静置し、生じた沈殿を濾過することにより、銅微粒子粉体を得た。元素分析の結果、得られた銅微粒子は61重量%の銅と、39重量%の有機成分から構成され、H−NMRによる解析結果より有機物の主成分はポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドフェニルヒドラゾン)であった。得られた銅微粒子粉体はターピネオールに再分散可能であった。
【0167】
[実施例2] ポリ(メチルビニルケトンフェニルヒドラゾン)を含有した銅微粒子分散体の調製.
フェニルヒドラジン10gに酢酸銅(II)一水和物2g、ポリ(メチルビニルケトンフェニルヒドラゾン)0.48gを加え完全に溶解させた後、水素化ホウ素ナトリウム0.37gを水1.63gに溶解させた溶液を、室温で30分間かけて滴下した。さらに室温で30分間攪拌することで、黒色の銅微粒子分散体を得た。この銅微粒子分散体をTEMで観測し平均粒子径を求めたところ、2.9nm(標準偏差1.2、変動係数41%)であった。得られた銅微粒子分散体は大気中で1時間放置しても、酸化による変色は見られず、均一な分散状態を維持していた。銅微粒子分散体にアセトニトリル:水=1:1(v/v)溶液100mlを加え静置し、生じた沈殿を濾過することにより、銅微粒子粉体を得た。元素分析の結果、得られた銅微粒子は60重量%の銅と、40重量%の有機成分から構成され、H−NMRによる解析結果より有機物の主成分はポリ(メチルビニルケトンフェニルヒドラゾン)であった。得られた銅微粒子粉体はターピネオールに再分散可能であった。得られた銅微粒子粉体はトルエンに再分散可能であった。
【0168】
[比較例1] ポリビニルピロリドンを含有した銅微粒子分散体の調製.
フェニルヒドラジン10gに酢酸銅(II)一水和物2g、ポリビニルピロリドン(商品名 ポリビニルピロリドン K−30、粘度平均分子量40,000、東京化成工業株式会社製)0.48gを加え、これに水素化ホウ素ナトリウム0.37gを水1.63gに溶解させた溶液を、室温で30分間かけて滴下した。さらに室温で30分間攪拌することで、黒色の銅微粒子分散体を得た。この銅微粒子分散体をTEMで観測し平均粒子径を求めたところ、8.9nm(標準偏差4.2、変動係数47%)であった。銅微粒子分散体にアセトニトリル:水=1:1(v/v)溶液100mlを加え静置し、生じた沈殿を濾過することにより、銅微粒子粉体を得た。
【0169】
[実施例3] ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドフェニルヒドラゾン)及び銅微粒子を含有した導電性パターン形成用組成物の調製.
実施例1で得られた銅微粒子粉体1.0gに、ターピネオールを5.6g、トルエンを20g添加し、60℃で1時間加熱攪拌し、銅微粒子を再分散させた。この均一な分散液を、0.5μmメンブランフィルターで濾過した後、得られた濾液中のトルエンを、減圧濃縮により脱溶剤して、導電性パターン形成用組成物を調製した(以下、表記を簡潔にするため、導電性インクAと称する)。
【0170】
[実施例4] ポリ(メチルビニルケトンフェニルヒドラゾン)及び銅微粒子を含有した導電性パターン形成用組成物の調製.
実施例2で得られた銅微粒子粉体1.0gに、ターピネオールを5.6g、トルエンを20g添加し、60℃で1時間加熱攪拌し、銅微粒子を再分散させた。この均一な分散液を、0.5μmメンブランフィルターで濾過した後、得られた濾液中のトルエンを、減圧濃縮により脱溶剤して、導電性パターン形成用組成物を調製した(以下、表記を簡潔にするため、導電性インクBと称する)。
【0171】
[比較例2] ポリビニルピロリドン及び銅微粒子を含有した導電性パターン形成用組成物の調製.
比較例1で得られた銅微粒子粉体1.0gに、ターピネオールを5.6g、トルエンを20g添加し、60℃で1時間加熱攪拌し、銅微粒子を再分散させた。この均一な分散液を、0.5μmメンブランフィルターで濾過した後、得られた濾液中のトルエンを、減圧濃縮により脱溶剤して、導電性パターン形成用組成物を調製した(以下、表記を簡潔にするため、導電性インクCと称する)。
【0172】
[実施例5、実施例6、比較例3] 焼成処理後の導電性、有機残渣量、及びポリマー分解度評価.
ガラス基板上に、各導電性インクを、バーコーターを用いて塗布し、10mm×50mm、膜厚90μmの均一な塗布膜とした。次に、水素含有量が5容量%の水素−窒素混合雰囲気下、300℃で1時間加熱処理を行い、膜厚みが約5μmの銅薄膜を得た。該銅薄膜について、比抵抗を四探針抵抗測定機(商品名:ロレスタGP、三菱化学社製)にて測定した。
【0173】
また、該銅薄膜を削り取り粉末化したものについて元素分析を行い、炭素量を測定した。さらに、各銅粉末をジメチルホルムアミド20mlに加え160℃まで加熱し、30分攪拌した後、GPCにより、溶解した残留ポリマーの分子量測定を行った。これら評価の結果を合わせて表1に示す。
【0174】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

[上記一般式(1)中、X、Y、R、Rは各々独立して、水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、炭素数が1〜4のアルキル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、又は炭素数5〜10の芳香族基で水素原子が1〜3置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
で示される構造単位を含み、数平均分子量(Mn)がポリスチレン換算で100〜1,000,000の範囲であるポリヒドラゾン化合物と、平均粒子径が10nm以下である銅微粒子とを含有する銅微粒子分散体。
【請求項2】
一般式(1)において、X、Y、R、Rが各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、メチル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、フェニル基で水素原子が1〜3置換されたメチル基、又はフェニル基で水素原子が1〜3置換されたエチル基を表すことを特徴とする請求項1に記載の銅微粒子分散体。
【請求項3】
一般式(1)において、X、Y、Rが各々独立して、水素原子又はメチル基を表し、Rが水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、ベンジル基、又は2−フェニルエチル基を表すことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の銅微粒子分散体。
【請求項4】
銅微粒子の平均粒子径が、0.1〜10nmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の銅微粒子分散体。
【請求項5】
ポリヒドラゾン化合物を銅微粒子に対して5〜1000重量%含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の銅微粒子分散体。
【請求項6】
下記一般式(1)
【化2】

[上記一般式(1)中、X、Y、R、Rは各々独立して、水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、炭素数が1〜4のアルキル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、又は炭素数5〜10の芳香族基で水素原子が1〜3置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
で示される構造単位を含み、数平均分子量(Mn)がポリスチレン換算で100〜1,000,000の範囲であるポリヒドラゾン化合物、下記一般式(2)
【化3】

[上記一般式(2)中、R〜Rは各々独立して、水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、炭素数が1〜4のアルキル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、又は炭素数5〜10の芳香族基で水素原子が1〜3置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、R〜Rが全て水素原子となることはない。]
で示されるヒドラジン誘導体、及び銅微粒子前駆体を混合し、さらに還元剤を添加して、銅微粒子を還元析出させることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【請求項7】
一般式(2)において、R、Rが各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、メチル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、フェニル基で水素原子が1〜3置換されたメチル基、又はフェニル基で水素原子が1〜3置換されたエチル基を表し(ただし、R、Rは同時に水素原子となることはない。)、R、Rが水素原子を表すことを特徴とする請求項6に記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【請求項8】
一般式(2)において、R、Rが各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、ベンジル基、又は2−フェニルエチル基を表し(ただし、R、Rは同時に水素原子となることはない。)、R、Rが水素原子を表すことを特徴とする請求項6に記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【請求項9】
銅微粒子前駆体が、銅酸化物、銅水酸化物、銅ハロゲン化物、銅無機酸塩、銅有機酸塩及び銅キレート錯体からなる群より選ばれる一種又は二種以上の化合物であることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【請求項10】
銅微粒子前駆体が、亜酸化銅、酸化銅、水酸化銅、硝酸銅、塩基性炭酸銅、ギ酸銅、酢酸銅、プロピオン酸銅、酪酸銅、イソ酪酸銅、吉草酸銅、イソ吉草酸銅、ピバリン酸銅、シュウ酸銅、マロン酸銅、安息香酸銅、クエン酸銅及びアセチルアセトナト銅からなる群より選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【請求項11】
還元剤が、ヒドラジン、ナトリウムハイドロホスフェート、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、リチウムボロハイドライド、ナトリウムボロハイドライド、カリウムボロハイドライド、ボラン、ジボラン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ギ酸、ヒドロキシアセトン、及びヒドロキシルアミンからなる群より選ばれる一種又は二種以上の化合物であることを特徴とする請求項6乃至請求項10のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【請求項12】
下記一般式(1)
【化4】

[上記一般式(1)中、X、Y、R、Rは各々独立して、水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、炭素数が1〜4のアルキル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、又は炭素数5〜10の芳香族基で水素原子が1〜3置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
で示される構造単位を含み、数平均分子量(Mn)がポリスチレン換算で100〜1,000,000の範囲であるポリヒドラゾン化合物が、平均粒子径が10nm以下である銅微粒子の表面に吸着している銅微粒子。
【請求項13】
銅微粒子の平均粒子径が0.1〜10nmの範囲であることを特徴とする請求項12に記載の銅微粒子。
【請求項14】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の銅微粒子分散体から分離操作により銅微粒子を分離することを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の銅微粒子の製造方法。
【請求項15】
分離操作が、銅微粒子以外の成分の留去、遠心分離、又は濾過であることを特徴とする請求項14に記載の銅微粒子の製造方法。
【請求項16】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の銅微粒子分散体を含む導電性パターン形成用組成物。
【請求項17】
請求項12又は請求項13に記載の銅微粒子と分散剤とを含む導電性パターン形成用組成物。
【請求項18】
請求項16又は請求項17に記載の導電性パターン形成用組成物を基板に塗布し、加熱することを特徴とする導電性パターンの形成方法。

【公開番号】特開2010−174313(P2010−174313A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17063(P2009−17063)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】