銅粉およびその製造方法
【課題】目標とする粒径ごとに、粒度分布の幅が狭く且つ微粒子数が非常に少ない銅粉を製造することができる、銅粉の製造方法を提供する。
【解決手段】湿式レーザー回折式の粒度分布測定装置による体積基準の粒度分布における50%径(D50)が0.5μm以上の銅粉と、ヒドラジンまたは含水ヒドラジンからなる還元剤とを含む液に、被還元物として固形の銅の酸化物または水酸化物などの銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液を添加することにより、被還元物を金属銅に還元して銅粉を製造する。
【解決手段】湿式レーザー回折式の粒度分布測定装置による体積基準の粒度分布における50%径(D50)が0.5μm以上の銅粉と、ヒドラジンまたは含水ヒドラジンからなる還元剤とを含む液に、被還元物として固形の銅の酸化物または水酸化物などの銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液を添加することにより、被還元物を金属銅に還元して銅粉を製造する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅粉およびその製造方法に関し、特に、導電性ペーストの導電フィラーとして使用するのに適した銅粉およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の電気電子部品の基板の表面、内部または外部に回路や電極を形成するために、多くの導電性ペーストが使用されている。このような導電性ペーストには、導電フィラー(金属粉)として銅粉や銀粉などが含まれており、平均粒径が0.1〜20μmの金属粉が使用されている。
【0003】
このような導電性ペーストによって電極などを形成するために、基板に塗布した導電性ペーストを焼成している。この焼成による導電性ペーストの焼結性や基板との接着強度を制御したり、それらの変動を少なくするために、粒径の揃った導電フィラー(金属粉)を使用する必要がある。また、導電性ペーストを焼成して緻密で厚い導体膜や電極を得るためには、導電性ペーストのレオロジーの調整の際に、2〜3種類の粒径の揃った金属粉を組み合わせて混合するのが有効であることが知られている。このような金属粉を組み合わせて混合するためには、異なる粒径ごとに粒径の揃った金属粉を製造する必要がある。
【0004】
一般に、金属粉の製造方法として、アトマイズ法、電解法、湿式還元法などの方法が知られている。銅粉を製造する場合、アトマイズ法で得られる銅粉は、その粒度分布の幅が非常に広く、粒径の揃った粒子を得るためには、何度も分級を繰り返さなければならず、歩留まりが非常に悪くなる。また、電解法で得られる銅粉は、その粒度分布の幅が広いだけでなく、粒子の形状が樹枝状であるため、緻密で厚い導体膜や電極を形成するための導電性ペーストに使用するには適さない。これに対して、湿式還元法で得られる銅粉は、比較的粒径の揃った銅粉であり、粒子の形状が略球状であるため、導電性ペーストに使用するのに最も適している。
【0005】
湿式還元法によって銅粉を製造する方法としては、銅塩水溶液とアルカリ剤を反応させて水酸化銅を析出させた懸濁液に、一次還元剤を添加して亜酸化銅まで中間還元し、この亜酸化銅の懸濁液に二次還元剤を添加して金属銅まで最終還元することによって、銅粉を製造する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、銅粉と、銅化合物からなる固形成分と、液媒体とからなる混合物に、還元剤を添加して、銅化合物からなる固形成分を金属銅に還元して銅を製造する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−240904号公報(段落番号0009)
【特許文献2】特開2004−307881号公報(段落番号0009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の方法では、比較的粒径の揃った銅粉を得ることができるが、その粒径の揃う程度は必ずしも十分ではない。また、この方法では、目標とする粒径ごとに、粒度分布の幅が狭く且つ十分に粒径の揃った銅粉を製造することができない。
【0008】
また、特許文献2の方法では、特許文献1の方法と比べて、目標とする粒径ごとに、粒度分布の幅が狭く且つ粒径の揃った銅粉を製造することができる。しかし、この方法では、目標とする粒径よりかなり小さい微粒子が一部に存在し、十分に粒径の揃った銅粉を製造することができない。
【0009】
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、目標とする粒径ごとに、粒度分布の幅が狭く且つ微粒子数が非常に少ない銅粉を製造することができる、銅粉の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、体積基準の粒度分布における50%径(D50)が0.5μm以上の銅粉と還元剤を含む液に、被還元物として銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液を添加して、被還元物を金属銅に還元して銅粉を製造することにより、目標とする粒径ごとに、粒度分布の幅が狭く且つ微粒子数が非常に少ない銅粉を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明による銅粉の製造方法は、体積基準の粒度分布における50%径(D50)が0.5μm以上の銅粉と還元剤を含む液に、被還元物として銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液を添加することにより、被還元物を金属銅に還元して銅粉を製造することを特徴とする。この銅粉の製造方法において、銅化合物が、固形の銅化合物であるのが好ましく、銅の酸化物または水酸化物であるのが好ましい。また、還元剤がヒドラジンまたは含水ヒドラジンであるのが好ましい。また、銅粉と還元剤を含む液と被還元物を含む液中の銅粉以外の銅の総モル数をn0(モル)、銅粉の体積基準の粒度分布における50%径(D50)をx0(μm)、銅粉の重量をw(g)、銅の原子量をAW(g/モル)とすると、金属銅に還元して製造される銅粉の個数基準の粒度分布における50%径(D50)が、下記の数1で表されるx(μm)の±20%以内である。
【0012】
【数1】
【0013】
また、本発明による銅粉は、個数基準の粒度分布における50%径(D50)が0.5〜20μmであり、個数基準の粒度分布における10%径(D10)に対する90%径(D90)の比(D90/D10)が1.5以下であることを特徴とする。この銅粉において、体積基準の粒度分布における50%径(D50)が0.5〜20μmであり、体積基準の粒度分布の10%径(D10)に対する90%径(D90)の比(D90/D10)が1.5以下であるのが好ましい。
【0014】
なお、本明細書中において、「体積基準の粒度分布」とは、湿式レーザー回折式の粒度分布測定装置による体積基準の粒度分布をいい、「体積基準の粒度分布における10%径(D10)、50%径(D50)、90%径(D90)」とは、湿式レーザー回折式の粒度分布測定装置により描かれる体積基準の粒度分布のグラフ、すなわち、横軸に粒径D(μm)、縦軸に粒径D(μm)以下の粒子が存在する容積Q(%)をとった累積粒度曲線において、それぞれQ%が10%、50%、90%のときの粒径D(μm)をいう。
【0015】
また、本明細書中において、「個数基準の粒度分布」とは、走査電子顕微鏡写真(SEM画像)から求めた個数基準の粒度分布をいい、「個数基準の粒度分布における10%径(D10)、50%径(D50)、90%径(D90)」とは、SEM画像に基づいて描いた個数基準の粒度分布のグラフ、すなわち、横軸に粒径D(μm)、縦軸に粒径D(μm)以下の粒子が存在する頻度F(%)をとった累積粒度曲線において、それぞれQ%が10%、50%、90%のときの粒径D(μm)をいう。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、目標とする粒径ごとに、粒度分布の幅が狭く且つ微粒子数が非常に少ない銅粉を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】実施例1で得られた銅粉の体積基準の粒度分布を示す図である。
【図1B】実施例2で得られた銅粉の体積基準の粒度分布を示す図である。
【図1C】実施例3で得られた銅粉の体積基準の粒度分布を示す図である。
【図1D】実施例4で得られた銅粉の体積基準の粒度分布を示す図である。
【図1E】比較例1で得られた銅粉の体積基準の粒度分布を示す図である。
【図1F】比較例2で得られた銅粉の体積基準の粒度分布を示す図である。
【図2A】実施例1で得られた銅粉の走査電子顕微鏡写真(SEM画像)により測定した個数基準の粒度分布を示す図である。
【図2B】実施例2で得られた銅粉のSEM画像により測定した個数基準の粒度分布を示す図である。
【図2C】実施例3で得られた銅粉のSEM画像により測定した個数基準の粒度分布を示す図である。
【図2D】実施例4で得られた銅粉のSEM画像により測定した個数基準の粒度分布を示す図である。
【図2E】比較例1で得られた銅粉のSEM画像により測定した個数基準の粒度分布を示す図である。
【図2F】比較例2で得られた銅粉のSEM画像により測定した個数基準の粒度分布を示す図である。
【図3A】実施例1で得られた銅粉の1000倍のSEM画像である。
【図3B】実施例2で得られた銅粉の1000倍のSEM画像である。
【図3C】実施例3で得られた銅粉の1000倍のSEM画像である。
【図3D】実施例4で得られた銅粉の1000倍のSEM画像である。
【図3E】比較例1で得られた銅粉の1000倍のSEM画像である。
【図3F】比較例2で得られた銅粉の1000倍のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
従来の一般的な湿式還元法による銅粉の製造方法は、核発生段階と粒成長段階に分けることができる。核発生段階は、pH調整、(急冷などの)温度調整、還元剤の添加、銅イオンの添加、不純物イオンの添加、反応性ガスの導入または光照射などにより、銅粒子の核となる金属銅の超微粒子を生成させる段階である。この段階で生成する核の数は、目標とする銅粉の粒径に影響する。大きい粒径の銅粉を得る場合は、核発生数を少なくし、小さい粒径の銅粉を得る場合は、核発生数を多くすればよい。しかし、実際には、不可避的に混入する不純物の量や、製造プロセスの僅かな変動によっても、核発生数が影響を受けるので、製造される銅粉の粒径のばらつきが起こり、製造ロットごとに銅粉の粒径の変動を誘発する。次の粒成長段階は、生成した銅粒子の核を徐々に成長(銅イオンや酸化銅などを還元して銅粒子の核の表面に金属銅を析出)させることにより、目標とする粒径の銅粉に調整する段階である。この段階でも、還元力が強過ぎる場合や、生成した核の総表面積が小さい場合に、銅粒子の成長と同時に新たな核(二次核)が生成して、銅粉の粒度分布のブロード化や微粒化を引き起こしてしまう。そのため、粒径の揃った銅粉を製造ロットごとに変動なく得るためには、このような核発生段階の変動と粒成長段階の変動を抑えることが必要になる。
【0019】
一方、本発明による銅粉の製造方法の実施の形態では、体積基準の粒度分布における50%径(D50)が0.5μm以上の(核として作用する)銅粉と還元剤を含む液に、被還元物として固形の銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液を添加することにより、被還元物を金属銅に還元して銅粉を製造する。この方法では、核として作用する銅粉を反応系に導入することによって核発生段階がなくなり、これによって核発生段階の変動をなくすことができる。また、導入する銅粉の粒径は、従来の一般的な湿式還元法による銅粉の製造方法における核発生時の微小な核より大きいので、還元によって生成する金属銅が析出する総表面積が大きくなり、粒成長が促進されて二次核の発生も抑えられることから、粒成長段階の変動を制御することができる。
【0020】
また、本発明による銅粉の製造方法の実施の形態では、銅粉と還元剤を含む液および被還元物を含む液中に存在する銅のほぼ全てを粒成長に充てることができるので、導入する銅粉以外の銅成分の量(銅粉以外の銅の総モル数)、銅粉の粒径、銅粉の添加量を調整することにより、製造される銅粉の粒径を極めて精度良く制御することができる。すなわち、銅粉と還元剤を含む液および被還元物含む液中の銅粉以外の銅の総モル数をn0(モル)、銅粉の体積基準の粒度分布における50%径(D50)をx0(μm)、銅粉の重量をw(g)、銅の原子量をAW(g/モル)とすると、製造される銅粉の体積基準の粒度分布における50%径(D50)x(μm)は、下記の数2で表すことができる。
【0021】
【数2】
【0022】
数2中のαは補正係数である。この式では、粒径の測定方法によって、製造される銅粉の粒径の値が若干異なったり、粒子の形状によって形状係数が変化するので、粒径の測定方法や粒子の形状に適合するように係数αによる補正を加味している。この係数αは、通常0.8〜1.2の範囲に収まる。すなわち、製造される銅粉の体積基準の粒度分布における50%径(D50)は、数1のx(μm)の±20%の範囲内に収まる。
【0023】
また、本発明による銅粉の製造方法の実施の形態では、従来の一般的な湿式還元法による銅粉の製造方法によって製造された銅粉と異なり、上記の数式2において、製造される銅粉の体積基準の粒度分布における50%径(D50)を個数基準の粒度分布における50%径(D50)に置き換えることもできる。本発明による銅粉の製造方法の実施の形態により製造される銅粉の個数基準の粒度分布における50%径(D50)は、0.5〜20μmであるのが好ましく、5〜20μmであるのがさらに好ましく、8〜15μmであるのが最も好ましい。
【0024】
本発明による銅粉の製造方法の実施の形態では、液中に銅粉以外の銅成分(銅の酸化物や水酸化物などの銅化合物)を存在させることにより、導入する銅粉の量は、従来の湿式還元法のように金属イオンの溶解度に制限されることはない。そのため、銅の供給源となる銅原子の総量を増やすことができる。すなわち、粒成長に寄与する銅原子の数の制限がなくなるため、銅粉を所望の粒径に調整し易くなり、生産性の向上につながる。また、固形の銅化合物を使用しないで、銅イオンを含む水溶液を、銅粉と還元剤を含む液中に添加して、還元により銅粉を製造することもできる。
【0025】
また、銅化合物を使用する場合に、その銅の酸化数(価数)は小さい方がよい。酸化数が大きいと、還元反応が数段階になり、複数の還元反応が同時に進行する可能性があり、二次核が発生するおそれがある。また、固形の銅化合物は、共存する銅粉の粒子の表面で還元されて粒成長に寄与する場合もあれば、反応液中に一度溶出した上で溶解析出型の反応により粒成長に寄与する場合もあると考えられる。銅化合物として、銅の硫酸、硝酸、炭酸、りん酸などのオキソ酸塩、銅のハロゲン化物などの塩類、銅の硫化物などのカルコゲナイド、銅のアミノ酸塩やカルボン酸塩などの有機酸塩類などの種々の銅化合物を使用することができるが、銅の酸化物または水酸化物を使用するのが好ましい。
【0026】
反応に使用する液は、水または有機系の液、あるいは水と有機系の液との混合液のいずれでもよい。水を使用する場合や、還元によりガスが発生するような還元剤を使用する場合には、消泡剤や表面張力の低い有機溶媒(例えば、エタノールやイソプロピルアルコールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ヘキサンなどの炭化水素類)を共存させれば、還元によって発生する窒素などのガスによる液面上昇を抑えることができる。
【0027】
銅粉と還元剤を含む液に被還元物として銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液を添加することにより金属銅に還元する際には、急激な反応を抑制するように、すなわち二次核の発生を抑制するように、銅粉と還元剤を含む液に被還元物を含む液を徐々に添加するのが好ましく、数時間かけて連続的に添加するのが好ましい。
【0028】
銅粉と還元剤を含む液中の銅粉の粒径は、小さ過ぎると、凝集が激しくなって粒度分布の幅が広くなったり、二次核が発生する場合がある。また、粒子の成長速度は、銅粉と還元剤を含む液中の銅粉の粒径に依存せず、(反応温度、還元剤や被還元物の量などの)還元条件にもよるが、単位時間当たり数μmと略一定に維持されるので、粒径が大き過ぎると、初期粒径に対する粒成長の比率が小さくなって生産効率が悪くなる。したがって、導入する銅粉の体積基準の粒度分布における50%径(D50)は、0.5〜10μmであるのが好ましい。
【0029】
還元剤としては、被還元物(固形の銅化合物および銅イオンの少なくとも一方)を金属銅まで還元可能な還元剤、例えば、ヒドラジン、含水ヒドラジン、水素化ホウ素化合物、ジメチルアミンボラン、ホルマリンなどを使用することができ、制御性、取扱い性および生産性の観点から、ヒドラジンまたは含水ヒドラジンを使用するのが好ましい。還元剤の添加量は、被還元物(固形の銅化合物および銅イオンの少なくとも一方)を金属銅まで還元できる当量以上であることが必要である。但し、この還元剤の添加量が多過ぎるとコスト的に不利になるので、被還元物(固形の銅化合物および銅イオンの少なくとも一方)に対して1〜10当量であるのが好ましい。
【0030】
本発明による銅粉の製造方法の実施の形態では、体積基準の粒度分布における50%径(D50)が0.5μm以上の銅粉と還元剤を含む液に、被還元物として銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液を添加しているが、逆に添加(被還元物として銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液に銅粉を添加した後に還元剤を添加)するのは好ましくない。被還元物として銅化合物および銅イオンの少なくとも一方が多く存在している液中に還元剤を(連続式または回分式で)添加していくと、被還元物(固形の銅化合物および銅イオンの少なくとも一方)が還元されて金属銅を生成する。還元剤の添加の初期段階(還元反応の初期段階)では、還元された被還元物(銅化合物および銅イオンの少なくとも一方)が、添加した銅粉の表面に析出していく。しかし、反応の中盤から後半にかけては、添加した還元剤の量が被還元物(銅化合物および銅イオンの少なくとも一方)に対して多くなる。その結果、還元反応が促進され、添加した銅粉の表面に析出するだけでなく、新たに銅粒子が析出(二次核が発生)する。還元剤は、被還元物(銅化合物および銅イオンの少なくとも一方)の還元とともに消費されるが、その消費速度と還元速度を還元剤の添加量、添加方法および(温度、pHなどの)還元条件によって制御するのは非常に難しい。その結果、新たに銅粒子が析出(二次核が発生)していく。この二次核は、反応の中盤から終盤にかけて生成するため、還元反応の初期に添加した銅粉と異なり、その成長機会が相対的に少なくなり、また、新たに発生した核であることから、添加した銅粉に対して著しく微粒のため、新たに生成した銅は微粒子になる。その結果、製造された銅粉は、微粒子を一部含んだ銅粉になる。
【0031】
一方、本発明による銅粉の製造方法の実施の形態では、銅粉と還元剤を含む液に、被還元物(銅化合物および銅イオンの少なくとも一方)を添加しているので、還元剤は、添加される被還元物に対して相対的に多くなり、その結果、導入した被還元物(銅化合物および銅イオンの少なくとも一方)は、金属銅まで素早く還元され、導入した銅粉の表面に析出していく。この状態(還元剤と被還元物の物量の関係)は、反応終了まで大きく変わらないことから、新たな二次核が発生することがなく、製造された銅粉は、微粒子を含まず、粒径が非常に揃った銅粉になる。
【0032】
本発明による銅粉の製造方法の実施の形態によって製造された銅粉は、湿式レーザー回折式の粒度分布測定装置による体積基準の粒度分布における10%径(D10)に対する90%径(D90)の比(D90/D10)が1.5以下の粒度分布が狭い銅粉である。D90/D10が1.5を超える銅粉では、粒径が十分に揃っていないため、異なった粒径の銅粉を組み合わせて導電性ペーストの導電フィラーとして使用する際に、目的とする粒度分布の銅粉を得るのが困難になる。
【0033】
また、本発明による銅粉の製造方法の実施の形態によって製造された銅粉を走査電子顕微鏡(SEM)によって観察すると、粒径が非常に揃った銅粉であることを確認することができる。一般に、湿式レーザー回折式の粒度分布測定装置では、粒子の体積を基準とした粒度分布であり、ある粒径の銅粉に存在する微粒子を検出し難い場合がある。例えば、最小粒径/最大粒径の比が1/10とすると、体積比は1/1000になってしまう。そのため、ある粒径よりも小さい粒子については、体積基準の粒度分布では微量過ぎて検出されないか、無視される場合がある。そのため、湿式レーザー回折式の粒度分布測定装置による粒度分布がシャープになる場合でも、実際には検出されていない微粒子が無数に存在する場合もある。一方、SEMによる直接的な粒子の観察や、その観察から求めた個数基準の粒度分布では、真の粒度分布を求めることができる。本発明による銅粉の製造方法の実施の形態によって製造された銅粉は、SEMによる観察でも微粒子が存在せず、粒径が非常に揃った銅粉であることを確認することができる。この銅粉は、SEM画像による個数基準の粒度分布のグラフにおいて、10%径(D10)に対する90%径(D90)の比(D90/D10)が1.5以下の粒度分布が狭い銅粉である。D90/D10が1.5を超える銅粉では、粒径が十分に揃っていないため、異なった粒径の銅粉を組み合わせて導電性ペーストの導電フィラーとして使用する際に、目的とする粒度分布の銅粉を得るのが困難になる。
【0034】
還元反応は、雰囲気制御および温調制御が可能で攪拌機能を備えた反応槽において行うのが好ましい。反応中の雰囲気としては、空気中の酸素による酸化などの副反応の進行を抑えるために、基本的には全体を通じて不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。しかし、必要に応じて、アンモニアなどの反応性ガスや酸素などを導入することによって、液性を制御したり、銅や錯化剤の酸化、還元電位の調整を行ってもよい。不活性ガスとしては、コスト面から窒素を使用するのが最適であるが、アルゴンなどの希ガスを使用してもよい。
【0035】
被還元物として銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液は、銅の塩類、銅の水酸化物、銅の酸化物などを、純水または純水と有機溶媒の混合液に、溶解または懸濁することにより調整する。銅の塩類としては、安価な硫酸銅または塩化銅を使用するのが好ましいが、銅の硝酸、炭酸、りん酸などのオキソ酸塩類、銅のハロゲン化物塩類、硫化銅などの銅カルコゲナイド類、銅のカルボン酸塩または銅のアミノ酸塩などの有機酸塩類などを使用してもよい。また、固形の銅化合物として、銅の水酸化物および酸化物の少なくとも一方を使用する場合は、溶解した銅塩類を中和などにより析出させたものを使用してもよいし、電解法などで製造した亜酸化銅粉末を使用してもよい。なお、使用する固形の銅化合物の粒径や粒度分布の制限はない。
【0036】
このようにして、被還元物として固形の銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液を用意し、この液に対して、必要に応じて、錯化剤、pH調整剤、還元剤などを添加することによって、液性、固形成分の量、粒径、銅の酸化数などの調整を行うことができる。また、銅塩としてカルボン酸塩類を使用する場合は、その塩類に含まれるカルボン酸を錯化剤として利用することもできる。
【0037】
なお、銅イオンと錯体を形成し得る物質(錯化剤)を添加すると、急激な反応を抑制して二次核の発生を抑えたり、イオンの溶解度を向上させたり、表面性の良い(表面が滑らかな)粒子を得ることができる。錯化剤としては、酒石酸、蓚酸、クエン酸、コハク酸、エチレンジアミン四酢酸などの有機酸や、アンモニアやエチレンジアミンなどのアミン類、グリセロールやマンニトールなどのアルコール類、アミノ酸類、シアン(青酸)またはこれらの塩を使用することができる。また、錯化剤を添加しなくても、原料となる固形の金属塩類(例えば、カルボン酸塩)や、反応中の副生成物を錯化剤として利用してもよい。
【0038】
導入する銅粉としては、ある程度粒径が揃っており、球状に近い銅粉であれば、アトマイズ法や湿式還元法などによって製造された銅粉を使用できる。なお、数2のxを算出する式における補正係数αは、反応系および測定装置が定まると一義的に定めることができ、再現性よく、目的とする粒径を有し且つ粒径分布の幅が狭い銅粉を製造することができる。
【0039】
銅粉と還元剤を含む液は、不活性ガス中において適度な時間リパルプした後、被還元物として銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液を徐々に添加して、攪拌しながら還元反応を進行させる。なお、銅粉と還元剤を含む液の溶媒となる液は、還元を著しく阻害する成分(例えば、酸化剤など)でなければよく、被還元物として銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液の溶媒となる液と同じ液でもよいが、被還元物(銅化合物および銅イオンの少なくとも一方)を含まない液であることを要する。
【0040】
反応の終了は、銅イオン、銅錯体または銅化合物の固形成分の存在が反応液中に検出できなくなる時点とする。反応終了後は、ろ過により固液分離し、ろ別分を純水または水溶性の有機溶媒で洗浄する。なお、ろ過の代わりに、遠心分離やスプレードライなどの他の固液分離を行ってもよい。固液分離して得られたケーキを、不活性ガスまたは還元雰囲気下において50〜300℃の温度で数時間〜数十時間かけて乾燥することにより、粒径の揃った銅粉を得ることができる。不活性ガスとしては、窒素または希ガスを使用することができるが、水素または一酸化炭素などの還元性ガスを混合して使用してもよい。
【0041】
本発明による銅粉の製造方法の実施の形態では、銅粉の粒径を大きくしながら粒径の揃った銅粉を製造することができる。すなわち、本発明による銅粉の製造方法の実施の形態では、銅粉と還元剤を含む液中に、銅被還元物として化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液を添加して、被還元物を金属銅に還元することによって、粒度分布の幅が狭く、微粒子が非常に少ない銅粉を製造することができる。
【実施例】
【0042】
以下、本発明による銅粉およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
【0043】
[実施例1]
まず、室温で窒素雰囲気下において純水6.1kgに硫酸銅5水和物2.5kg(銅のモル数=10モル)を溶解して硫酸銅溶液を得た。この硫酸銅溶液を10質量%の水酸化ナトリウム溶液9.6kgに添加し、攪拌して中和し、水酸化銅を生成させた。
【0044】
次に、生成した水酸化銅を亜酸化銅まで還元可能な還元剤として、42質量%のブドウ糖水溶液6.5kg添加し、亜酸化銅の生成を促進させるために70℃まで昇温させ、70℃で30分間反応させた。その後、液温を70℃に保持したまま、空気を4L/分で150分間導入して液性を安定させた後、窒素雰囲気に戻して室温まで冷却した。なお、還元剤の添加から冷却の終了までの間、溶液を攪拌し続けた。室温まで冷却した後、攪拌を止めて、生成した亜酸化銅をデカンテーションにより沈降させた。亜酸化銅が十分に沈降したことを確認した後、上澄み液を除去して、ウェットな状態の亜酸化銅(除去しきれなかった上澄み液が残存する亜酸化銅)2.5kgを得た。得られる銅の収率が100%であるとすると、ウェットな状態の亜酸化銅中に、銅10モルに相当する亜酸化銅(715g)が得られることになる。
【0045】
次に、ウェットな状態の亜酸化銅からさらに上澄み700gを取り、この上澄み液と純水2400gを5Lビーカーに入れた。一方、上澄み液700gを除去した(亜酸化銅715gを含む)ウェットな状態の亜酸化銅スラリー1800gを2Lビーカーに移し、亜酸化銅が沈降しないように攪拌を開始した。
【0046】
次に、上澄み液700gと純水2400gを入れた5Lビーカーに、(最終目標粒径10.0μmの銅粉を得るために)体積基準の粒度分布における50%径(D50)=5.30μmの(核として作用する)銅粉111gを添加した後、還元剤として80%含水ヒドラジン373gを添加し、630rpmで攪拌しながら十分に分散させて、窒素雰囲気中において60℃に昇温させた。この溶液に、2Lビーカーにおいて攪拌されている亜酸化銅スラリーをチューブポンプによって360分間で連続的に添加した。この添加の終了から60分後、亜酸化銅が確認されなかったため、反応を終了させた。
【0047】
反応終了後、室温まで冷却し、その後、吸引ろ過により固液分離して得られたケーキを純水8Lで洗浄した。洗浄後のケーキを雰囲気制御可能な乾燥機に入れ、窒素雰囲気中において120℃で11時間乾燥して、目的とする銅粉を得た。
【0048】
得られた銅粉の体積基準の粒度分布を湿式レーザー回折式の粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製のLS230)によって測定した。その結果、得られた銅粉の体積基準の粒度分布は、D10=8.62μm、D25=9.31μm、D50=10.18μm、D75=11.07μm、D90=11.76μm、D90/D10=1.36であり、変動係数は11.4%であった。
【0049】
また、この銅粉の個数基準の粒度分布を電解放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)(日立製作所社製のS−4700)により評価した。なお、SEMによって観測した銅粉の個数基準の粒度分布は、SEM画像中に存在する粒子500個のHeywood径から算出した。また、本実施例および後述する実施例と比較例では、1000倍の撮影視野を用いて粒径を算出したが、500個の粒子数が測定できない場合は、複数の1000倍の撮影視野を用いて算出した。その結果、この銅粉の個数基準の粒度分布は、D10=8.51μm、D25=8.85μm、D50=9.45μm、D75=10.37μm、D90=11.28μm、D90/D10=1.33であった。なお、得られた銅粉の個数基準の粒度分布における50%径(D50)の最終目標粒径からのずれを、(個数基準の粒度分布における50%径(D50)−最終目標粒径)×100/最終目標粒径から算出すると、−5.5%であった。
【0050】
[実施例2]
D50=5.30μmの銅粉111gの代わりにD50=0.52μmの銅粉0.09gを使用し、2Lビーカーにおいて攪拌されている亜酸化銅スラリーの添加時間を480分間にした以外は、実施例1と同様の方法により、銅粉を得た。この銅粉の体積基準の粒度分布を実施例1と同様の方法によって測定したところ、D10=8.08μm、D25=8.96μm、D50=10.12μm、D75=11.44μm、D90=12.06μm、D90/D10=1.49であり、変動係数は19.4%であった。また、この銅粉の個数基準の粒度分布を実施例1と同様の方法によって測定したところ、D10=8.76μm、D25=9.43μm、D50=10.61μm、D75=11.88μm、D90=13.16μm、D90/D10=1.50であった。なお、得られた銅粉の個数基準の粒度分布における50%径(D50)の最終目標粒径からのずれは、6.1%であった。
【0051】
[実施例3]
D50=5.30μmの銅粉111gの代わりに(最終目標粒径5.8μmの銅粉を得るために)D50=2.82μmの銅粉82.5gを使用した以外は、実施例1と同様の方法により、銅粉を得た。この銅粉の体積基準の粒度分布を実施例1と同様の方法によって測定したところ、D10=4.60μm、D25=4.99μm、D50=5.50μm、D75=6.05μm、D90=6.56μm、D90/D10=1.43であり、変動係数は13.0%であった。また、この銅粉の個数基準の粒度分布を実施例1と同様の方法によって測定したところ、D10=4.20μm、D25=4.53μm、D50=5.07μm、D75=5.55μm、D90=5.86μm、D90/D10=1.39であった。なお、得られた銅粉の個数基準の粒度分布における50%径(D50)の最終目標粒径からのずれは、−12.6%であった。
【0052】
[実施例4]
D50=5.30μmの銅粉111gの代わりに(最終目標粒径15.0μmの銅粉を得るために)D50=5.30μmの銅粉29.33gを使用した以外は、実施例1と同様の方法により、銅粉を得た。この銅粉の体積基準の粒度分布を実施例1と同様の方法によって測定したところ、D10=12.87μm、D25=13.75μm、D50=15.55μm、D75=17.45μm、D90=19.04μm、D90/D10=1.48であり、変動係数は18.5%であった。また、この銅粉の個数基準の粒度分布を実施例1と同様の方法によって測定したところ、D10=11.63μm、D25=13.21μm、D50=14.99μm、D75=16.42μm、D90=17.36μm、D90/D10=1.49であった。なお、得られた銅粉の個数基準の粒度分布における50%径(D50)の最終目標粒径からのずれは、−0.1%であった。
【0053】
[比較例1]
まず、実施例1と同様の方法によってウェットな状態の亜酸化銅(除去しきれなかった上澄み液が残存する亜酸化銅)2.5kgを得た。次に、ウェットな状態の亜酸化銅2.5kgを5Lビーカーに移した後、純水2400gを添加とともに、(最終目標粒径10.0μmの銅粉を得るために)D50=5.30μmの銅粉111gを添加し、630rpmで攪拌しながら十分に分散させて、窒素雰囲気中において60℃に昇温させた。この溶液に、還元剤として80%含水ヒドラジン373gをチューブポンプによって360分間で連続的に添加した。この添加の終了から60分後、亜酸化銅が確認されなかったため、反応を終了させた。反応終了後、実施例1と同様の方法により、目的とする銅粉を得た。
【0054】
得られた銅粉の体積基準の粒度分布を実施例1と同様の方法によって測定したところ、D10=5.55μm、D25=7.62μm、D50=8.66μm、D75=9.63μm、D90=10.46μm、D90/D10=1.89であり、変動係数は21.1%であった。また、この銅粉の個数基準の粒度分布を実施例1と同様の方法によって測定したところ、D10=1.36μm、D25=1.92μm、D50=4.01μm、D75=7.72μm、D90=9.14μm、D90/D10=6.70であった。なお、得られた銅粉の個数基準の粒度分布における50%径(D50)の最終目標粒径からのずれは、−59.9%であった。
【0055】
[比較例2]
D50=5.30μmの銅粉111gの代わりに(最終目標粒径8.0μmの銅粉を得るために)D50=5.30μmの銅粉260.5gを使用した以外は、比較例1と同様の方法により、銅粉を得た。この銅粉の体積基準の粒度分布を実施例1と同様の方法によって測定したところ、D10=5.57μm、D25=6.43μm、D50=7.29μm、D75=8.12μm、D90=8.85μm、D90/D10=1.59であり、変動係数は21.1%であった。また、この銅粉の個数基準の粒度分布を実施例1と同様の方法によって測定したところ、D10=2.13μm、D25=2.59μm、D50=3.44μm、D75=6.61μm、D90=7.69μm、D90/D10=3.61であった。なお、得られた銅粉の個数基準の粒度分布における50%径(D50)の最終目標粒径からのずれは、−57%であった。
【0056】
実施例1〜4および比較例1〜2で得られた銅粉の体積基準の粒度分布を表1に示し、個数基準の粒度分布を表2に示す。また、実施例1〜4および比較例1〜2で得られた銅粉の体積基準の粒度分布をそれぞれ図1A〜図1Fに示し、個数基準の粒度分布をそれぞれ図2A〜図2Fに示す。さらに、実施例1〜4および比較例1〜2で得られた銅粉のSEM画像をそれぞれ図3A〜図3Fに示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
表1、表2、図1A〜図1F、図2A〜図2Fおよび図3A〜図3Fの結果から、実施例1〜4にように、体積基準の粒度分布における50%径(D50)が0.5μm以上の銅粉と還元剤を含む液に、被還元物として銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液を添加して、被還元物を金属銅に還元して銅粉を製造することにより、目標とする粒径ごとに、粒度分布の幅が狭く且つ微粒子数が非常に少ない銅粉を製造することができることがわかる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅粉およびその製造方法に関し、特に、導電性ペーストの導電フィラーとして使用するのに適した銅粉およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の電気電子部品の基板の表面、内部または外部に回路や電極を形成するために、多くの導電性ペーストが使用されている。このような導電性ペーストには、導電フィラー(金属粉)として銅粉や銀粉などが含まれており、平均粒径が0.1〜20μmの金属粉が使用されている。
【0003】
このような導電性ペーストによって電極などを形成するために、基板に塗布した導電性ペーストを焼成している。この焼成による導電性ペーストの焼結性や基板との接着強度を制御したり、それらの変動を少なくするために、粒径の揃った導電フィラー(金属粉)を使用する必要がある。また、導電性ペーストを焼成して緻密で厚い導体膜や電極を得るためには、導電性ペーストのレオロジーの調整の際に、2〜3種類の粒径の揃った金属粉を組み合わせて混合するのが有効であることが知られている。このような金属粉を組み合わせて混合するためには、異なる粒径ごとに粒径の揃った金属粉を製造する必要がある。
【0004】
一般に、金属粉の製造方法として、アトマイズ法、電解法、湿式還元法などの方法が知られている。銅粉を製造する場合、アトマイズ法で得られる銅粉は、その粒度分布の幅が非常に広く、粒径の揃った粒子を得るためには、何度も分級を繰り返さなければならず、歩留まりが非常に悪くなる。また、電解法で得られる銅粉は、その粒度分布の幅が広いだけでなく、粒子の形状が樹枝状であるため、緻密で厚い導体膜や電極を形成するための導電性ペーストに使用するには適さない。これに対して、湿式還元法で得られる銅粉は、比較的粒径の揃った銅粉であり、粒子の形状が略球状であるため、導電性ペーストに使用するのに最も適している。
【0005】
湿式還元法によって銅粉を製造する方法としては、銅塩水溶液とアルカリ剤を反応させて水酸化銅を析出させた懸濁液に、一次還元剤を添加して亜酸化銅まで中間還元し、この亜酸化銅の懸濁液に二次還元剤を添加して金属銅まで最終還元することによって、銅粉を製造する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、銅粉と、銅化合物からなる固形成分と、液媒体とからなる混合物に、還元剤を添加して、銅化合物からなる固形成分を金属銅に還元して銅を製造する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−240904号公報(段落番号0009)
【特許文献2】特開2004−307881号公報(段落番号0009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の方法では、比較的粒径の揃った銅粉を得ることができるが、その粒径の揃う程度は必ずしも十分ではない。また、この方法では、目標とする粒径ごとに、粒度分布の幅が狭く且つ十分に粒径の揃った銅粉を製造することができない。
【0008】
また、特許文献2の方法では、特許文献1の方法と比べて、目標とする粒径ごとに、粒度分布の幅が狭く且つ粒径の揃った銅粉を製造することができる。しかし、この方法では、目標とする粒径よりかなり小さい微粒子が一部に存在し、十分に粒径の揃った銅粉を製造することができない。
【0009】
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、目標とする粒径ごとに、粒度分布の幅が狭く且つ微粒子数が非常に少ない銅粉を製造することができる、銅粉の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、体積基準の粒度分布における50%径(D50)が0.5μm以上の銅粉と還元剤を含む液に、被還元物として銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液を添加して、被還元物を金属銅に還元して銅粉を製造することにより、目標とする粒径ごとに、粒度分布の幅が狭く且つ微粒子数が非常に少ない銅粉を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明による銅粉の製造方法は、体積基準の粒度分布における50%径(D50)が0.5μm以上の銅粉と還元剤を含む液に、被還元物として銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液を添加することにより、被還元物を金属銅に還元して銅粉を製造することを特徴とする。この銅粉の製造方法において、銅化合物が、固形の銅化合物であるのが好ましく、銅の酸化物または水酸化物であるのが好ましい。また、還元剤がヒドラジンまたは含水ヒドラジンであるのが好ましい。また、銅粉と還元剤を含む液と被還元物を含む液中の銅粉以外の銅の総モル数をn0(モル)、銅粉の体積基準の粒度分布における50%径(D50)をx0(μm)、銅粉の重量をw(g)、銅の原子量をAW(g/モル)とすると、金属銅に還元して製造される銅粉の個数基準の粒度分布における50%径(D50)が、下記の数1で表されるx(μm)の±20%以内である。
【0012】
【数1】
【0013】
また、本発明による銅粉は、個数基準の粒度分布における50%径(D50)が0.5〜20μmであり、個数基準の粒度分布における10%径(D10)に対する90%径(D90)の比(D90/D10)が1.5以下であることを特徴とする。この銅粉において、体積基準の粒度分布における50%径(D50)が0.5〜20μmであり、体積基準の粒度分布の10%径(D10)に対する90%径(D90)の比(D90/D10)が1.5以下であるのが好ましい。
【0014】
なお、本明細書中において、「体積基準の粒度分布」とは、湿式レーザー回折式の粒度分布測定装置による体積基準の粒度分布をいい、「体積基準の粒度分布における10%径(D10)、50%径(D50)、90%径(D90)」とは、湿式レーザー回折式の粒度分布測定装置により描かれる体積基準の粒度分布のグラフ、すなわち、横軸に粒径D(μm)、縦軸に粒径D(μm)以下の粒子が存在する容積Q(%)をとった累積粒度曲線において、それぞれQ%が10%、50%、90%のときの粒径D(μm)をいう。
【0015】
また、本明細書中において、「個数基準の粒度分布」とは、走査電子顕微鏡写真(SEM画像)から求めた個数基準の粒度分布をいい、「個数基準の粒度分布における10%径(D10)、50%径(D50)、90%径(D90)」とは、SEM画像に基づいて描いた個数基準の粒度分布のグラフ、すなわち、横軸に粒径D(μm)、縦軸に粒径D(μm)以下の粒子が存在する頻度F(%)をとった累積粒度曲線において、それぞれQ%が10%、50%、90%のときの粒径D(μm)をいう。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、目標とする粒径ごとに、粒度分布の幅が狭く且つ微粒子数が非常に少ない銅粉を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】実施例1で得られた銅粉の体積基準の粒度分布を示す図である。
【図1B】実施例2で得られた銅粉の体積基準の粒度分布を示す図である。
【図1C】実施例3で得られた銅粉の体積基準の粒度分布を示す図である。
【図1D】実施例4で得られた銅粉の体積基準の粒度分布を示す図である。
【図1E】比較例1で得られた銅粉の体積基準の粒度分布を示す図である。
【図1F】比較例2で得られた銅粉の体積基準の粒度分布を示す図である。
【図2A】実施例1で得られた銅粉の走査電子顕微鏡写真(SEM画像)により測定した個数基準の粒度分布を示す図である。
【図2B】実施例2で得られた銅粉のSEM画像により測定した個数基準の粒度分布を示す図である。
【図2C】実施例3で得られた銅粉のSEM画像により測定した個数基準の粒度分布を示す図である。
【図2D】実施例4で得られた銅粉のSEM画像により測定した個数基準の粒度分布を示す図である。
【図2E】比較例1で得られた銅粉のSEM画像により測定した個数基準の粒度分布を示す図である。
【図2F】比較例2で得られた銅粉のSEM画像により測定した個数基準の粒度分布を示す図である。
【図3A】実施例1で得られた銅粉の1000倍のSEM画像である。
【図3B】実施例2で得られた銅粉の1000倍のSEM画像である。
【図3C】実施例3で得られた銅粉の1000倍のSEM画像である。
【図3D】実施例4で得られた銅粉の1000倍のSEM画像である。
【図3E】比較例1で得られた銅粉の1000倍のSEM画像である。
【図3F】比較例2で得られた銅粉の1000倍のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
従来の一般的な湿式還元法による銅粉の製造方法は、核発生段階と粒成長段階に分けることができる。核発生段階は、pH調整、(急冷などの)温度調整、還元剤の添加、銅イオンの添加、不純物イオンの添加、反応性ガスの導入または光照射などにより、銅粒子の核となる金属銅の超微粒子を生成させる段階である。この段階で生成する核の数は、目標とする銅粉の粒径に影響する。大きい粒径の銅粉を得る場合は、核発生数を少なくし、小さい粒径の銅粉を得る場合は、核発生数を多くすればよい。しかし、実際には、不可避的に混入する不純物の量や、製造プロセスの僅かな変動によっても、核発生数が影響を受けるので、製造される銅粉の粒径のばらつきが起こり、製造ロットごとに銅粉の粒径の変動を誘発する。次の粒成長段階は、生成した銅粒子の核を徐々に成長(銅イオンや酸化銅などを還元して銅粒子の核の表面に金属銅を析出)させることにより、目標とする粒径の銅粉に調整する段階である。この段階でも、還元力が強過ぎる場合や、生成した核の総表面積が小さい場合に、銅粒子の成長と同時に新たな核(二次核)が生成して、銅粉の粒度分布のブロード化や微粒化を引き起こしてしまう。そのため、粒径の揃った銅粉を製造ロットごとに変動なく得るためには、このような核発生段階の変動と粒成長段階の変動を抑えることが必要になる。
【0019】
一方、本発明による銅粉の製造方法の実施の形態では、体積基準の粒度分布における50%径(D50)が0.5μm以上の(核として作用する)銅粉と還元剤を含む液に、被還元物として固形の銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液を添加することにより、被還元物を金属銅に還元して銅粉を製造する。この方法では、核として作用する銅粉を反応系に導入することによって核発生段階がなくなり、これによって核発生段階の変動をなくすことができる。また、導入する銅粉の粒径は、従来の一般的な湿式還元法による銅粉の製造方法における核発生時の微小な核より大きいので、還元によって生成する金属銅が析出する総表面積が大きくなり、粒成長が促進されて二次核の発生も抑えられることから、粒成長段階の変動を制御することができる。
【0020】
また、本発明による銅粉の製造方法の実施の形態では、銅粉と還元剤を含む液および被還元物を含む液中に存在する銅のほぼ全てを粒成長に充てることができるので、導入する銅粉以外の銅成分の量(銅粉以外の銅の総モル数)、銅粉の粒径、銅粉の添加量を調整することにより、製造される銅粉の粒径を極めて精度良く制御することができる。すなわち、銅粉と還元剤を含む液および被還元物含む液中の銅粉以外の銅の総モル数をn0(モル)、銅粉の体積基準の粒度分布における50%径(D50)をx0(μm)、銅粉の重量をw(g)、銅の原子量をAW(g/モル)とすると、製造される銅粉の体積基準の粒度分布における50%径(D50)x(μm)は、下記の数2で表すことができる。
【0021】
【数2】
【0022】
数2中のαは補正係数である。この式では、粒径の測定方法によって、製造される銅粉の粒径の値が若干異なったり、粒子の形状によって形状係数が変化するので、粒径の測定方法や粒子の形状に適合するように係数αによる補正を加味している。この係数αは、通常0.8〜1.2の範囲に収まる。すなわち、製造される銅粉の体積基準の粒度分布における50%径(D50)は、数1のx(μm)の±20%の範囲内に収まる。
【0023】
また、本発明による銅粉の製造方法の実施の形態では、従来の一般的な湿式還元法による銅粉の製造方法によって製造された銅粉と異なり、上記の数式2において、製造される銅粉の体積基準の粒度分布における50%径(D50)を個数基準の粒度分布における50%径(D50)に置き換えることもできる。本発明による銅粉の製造方法の実施の形態により製造される銅粉の個数基準の粒度分布における50%径(D50)は、0.5〜20μmであるのが好ましく、5〜20μmであるのがさらに好ましく、8〜15μmであるのが最も好ましい。
【0024】
本発明による銅粉の製造方法の実施の形態では、液中に銅粉以外の銅成分(銅の酸化物や水酸化物などの銅化合物)を存在させることにより、導入する銅粉の量は、従来の湿式還元法のように金属イオンの溶解度に制限されることはない。そのため、銅の供給源となる銅原子の総量を増やすことができる。すなわち、粒成長に寄与する銅原子の数の制限がなくなるため、銅粉を所望の粒径に調整し易くなり、生産性の向上につながる。また、固形の銅化合物を使用しないで、銅イオンを含む水溶液を、銅粉と還元剤を含む液中に添加して、還元により銅粉を製造することもできる。
【0025】
また、銅化合物を使用する場合に、その銅の酸化数(価数)は小さい方がよい。酸化数が大きいと、還元反応が数段階になり、複数の還元反応が同時に進行する可能性があり、二次核が発生するおそれがある。また、固形の銅化合物は、共存する銅粉の粒子の表面で還元されて粒成長に寄与する場合もあれば、反応液中に一度溶出した上で溶解析出型の反応により粒成長に寄与する場合もあると考えられる。銅化合物として、銅の硫酸、硝酸、炭酸、りん酸などのオキソ酸塩、銅のハロゲン化物などの塩類、銅の硫化物などのカルコゲナイド、銅のアミノ酸塩やカルボン酸塩などの有機酸塩類などの種々の銅化合物を使用することができるが、銅の酸化物または水酸化物を使用するのが好ましい。
【0026】
反応に使用する液は、水または有機系の液、あるいは水と有機系の液との混合液のいずれでもよい。水を使用する場合や、還元によりガスが発生するような還元剤を使用する場合には、消泡剤や表面張力の低い有機溶媒(例えば、エタノールやイソプロピルアルコールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ヘキサンなどの炭化水素類)を共存させれば、還元によって発生する窒素などのガスによる液面上昇を抑えることができる。
【0027】
銅粉と還元剤を含む液に被還元物として銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液を添加することにより金属銅に還元する際には、急激な反応を抑制するように、すなわち二次核の発生を抑制するように、銅粉と還元剤を含む液に被還元物を含む液を徐々に添加するのが好ましく、数時間かけて連続的に添加するのが好ましい。
【0028】
銅粉と還元剤を含む液中の銅粉の粒径は、小さ過ぎると、凝集が激しくなって粒度分布の幅が広くなったり、二次核が発生する場合がある。また、粒子の成長速度は、銅粉と還元剤を含む液中の銅粉の粒径に依存せず、(反応温度、還元剤や被還元物の量などの)還元条件にもよるが、単位時間当たり数μmと略一定に維持されるので、粒径が大き過ぎると、初期粒径に対する粒成長の比率が小さくなって生産効率が悪くなる。したがって、導入する銅粉の体積基準の粒度分布における50%径(D50)は、0.5〜10μmであるのが好ましい。
【0029】
還元剤としては、被還元物(固形の銅化合物および銅イオンの少なくとも一方)を金属銅まで還元可能な還元剤、例えば、ヒドラジン、含水ヒドラジン、水素化ホウ素化合物、ジメチルアミンボラン、ホルマリンなどを使用することができ、制御性、取扱い性および生産性の観点から、ヒドラジンまたは含水ヒドラジンを使用するのが好ましい。還元剤の添加量は、被還元物(固形の銅化合物および銅イオンの少なくとも一方)を金属銅まで還元できる当量以上であることが必要である。但し、この還元剤の添加量が多過ぎるとコスト的に不利になるので、被還元物(固形の銅化合物および銅イオンの少なくとも一方)に対して1〜10当量であるのが好ましい。
【0030】
本発明による銅粉の製造方法の実施の形態では、体積基準の粒度分布における50%径(D50)が0.5μm以上の銅粉と還元剤を含む液に、被還元物として銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液を添加しているが、逆に添加(被還元物として銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液に銅粉を添加した後に還元剤を添加)するのは好ましくない。被還元物として銅化合物および銅イオンの少なくとも一方が多く存在している液中に還元剤を(連続式または回分式で)添加していくと、被還元物(固形の銅化合物および銅イオンの少なくとも一方)が還元されて金属銅を生成する。還元剤の添加の初期段階(還元反応の初期段階)では、還元された被還元物(銅化合物および銅イオンの少なくとも一方)が、添加した銅粉の表面に析出していく。しかし、反応の中盤から後半にかけては、添加した還元剤の量が被還元物(銅化合物および銅イオンの少なくとも一方)に対して多くなる。その結果、還元反応が促進され、添加した銅粉の表面に析出するだけでなく、新たに銅粒子が析出(二次核が発生)する。還元剤は、被還元物(銅化合物および銅イオンの少なくとも一方)の還元とともに消費されるが、その消費速度と還元速度を還元剤の添加量、添加方法および(温度、pHなどの)還元条件によって制御するのは非常に難しい。その結果、新たに銅粒子が析出(二次核が発生)していく。この二次核は、反応の中盤から終盤にかけて生成するため、還元反応の初期に添加した銅粉と異なり、その成長機会が相対的に少なくなり、また、新たに発生した核であることから、添加した銅粉に対して著しく微粒のため、新たに生成した銅は微粒子になる。その結果、製造された銅粉は、微粒子を一部含んだ銅粉になる。
【0031】
一方、本発明による銅粉の製造方法の実施の形態では、銅粉と還元剤を含む液に、被還元物(銅化合物および銅イオンの少なくとも一方)を添加しているので、還元剤は、添加される被還元物に対して相対的に多くなり、その結果、導入した被還元物(銅化合物および銅イオンの少なくとも一方)は、金属銅まで素早く還元され、導入した銅粉の表面に析出していく。この状態(還元剤と被還元物の物量の関係)は、反応終了まで大きく変わらないことから、新たな二次核が発生することがなく、製造された銅粉は、微粒子を含まず、粒径が非常に揃った銅粉になる。
【0032】
本発明による銅粉の製造方法の実施の形態によって製造された銅粉は、湿式レーザー回折式の粒度分布測定装置による体積基準の粒度分布における10%径(D10)に対する90%径(D90)の比(D90/D10)が1.5以下の粒度分布が狭い銅粉である。D90/D10が1.5を超える銅粉では、粒径が十分に揃っていないため、異なった粒径の銅粉を組み合わせて導電性ペーストの導電フィラーとして使用する際に、目的とする粒度分布の銅粉を得るのが困難になる。
【0033】
また、本発明による銅粉の製造方法の実施の形態によって製造された銅粉を走査電子顕微鏡(SEM)によって観察すると、粒径が非常に揃った銅粉であることを確認することができる。一般に、湿式レーザー回折式の粒度分布測定装置では、粒子の体積を基準とした粒度分布であり、ある粒径の銅粉に存在する微粒子を検出し難い場合がある。例えば、最小粒径/最大粒径の比が1/10とすると、体積比は1/1000になってしまう。そのため、ある粒径よりも小さい粒子については、体積基準の粒度分布では微量過ぎて検出されないか、無視される場合がある。そのため、湿式レーザー回折式の粒度分布測定装置による粒度分布がシャープになる場合でも、実際には検出されていない微粒子が無数に存在する場合もある。一方、SEMによる直接的な粒子の観察や、その観察から求めた個数基準の粒度分布では、真の粒度分布を求めることができる。本発明による銅粉の製造方法の実施の形態によって製造された銅粉は、SEMによる観察でも微粒子が存在せず、粒径が非常に揃った銅粉であることを確認することができる。この銅粉は、SEM画像による個数基準の粒度分布のグラフにおいて、10%径(D10)に対する90%径(D90)の比(D90/D10)が1.5以下の粒度分布が狭い銅粉である。D90/D10が1.5を超える銅粉では、粒径が十分に揃っていないため、異なった粒径の銅粉を組み合わせて導電性ペーストの導電フィラーとして使用する際に、目的とする粒度分布の銅粉を得るのが困難になる。
【0034】
還元反応は、雰囲気制御および温調制御が可能で攪拌機能を備えた反応槽において行うのが好ましい。反応中の雰囲気としては、空気中の酸素による酸化などの副反応の進行を抑えるために、基本的には全体を通じて不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。しかし、必要に応じて、アンモニアなどの反応性ガスや酸素などを導入することによって、液性を制御したり、銅や錯化剤の酸化、還元電位の調整を行ってもよい。不活性ガスとしては、コスト面から窒素を使用するのが最適であるが、アルゴンなどの希ガスを使用してもよい。
【0035】
被還元物として銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液は、銅の塩類、銅の水酸化物、銅の酸化物などを、純水または純水と有機溶媒の混合液に、溶解または懸濁することにより調整する。銅の塩類としては、安価な硫酸銅または塩化銅を使用するのが好ましいが、銅の硝酸、炭酸、りん酸などのオキソ酸塩類、銅のハロゲン化物塩類、硫化銅などの銅カルコゲナイド類、銅のカルボン酸塩または銅のアミノ酸塩などの有機酸塩類などを使用してもよい。また、固形の銅化合物として、銅の水酸化物および酸化物の少なくとも一方を使用する場合は、溶解した銅塩類を中和などにより析出させたものを使用してもよいし、電解法などで製造した亜酸化銅粉末を使用してもよい。なお、使用する固形の銅化合物の粒径や粒度分布の制限はない。
【0036】
このようにして、被還元物として固形の銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液を用意し、この液に対して、必要に応じて、錯化剤、pH調整剤、還元剤などを添加することによって、液性、固形成分の量、粒径、銅の酸化数などの調整を行うことができる。また、銅塩としてカルボン酸塩類を使用する場合は、その塩類に含まれるカルボン酸を錯化剤として利用することもできる。
【0037】
なお、銅イオンと錯体を形成し得る物質(錯化剤)を添加すると、急激な反応を抑制して二次核の発生を抑えたり、イオンの溶解度を向上させたり、表面性の良い(表面が滑らかな)粒子を得ることができる。錯化剤としては、酒石酸、蓚酸、クエン酸、コハク酸、エチレンジアミン四酢酸などの有機酸や、アンモニアやエチレンジアミンなどのアミン類、グリセロールやマンニトールなどのアルコール類、アミノ酸類、シアン(青酸)またはこれらの塩を使用することができる。また、錯化剤を添加しなくても、原料となる固形の金属塩類(例えば、カルボン酸塩)や、反応中の副生成物を錯化剤として利用してもよい。
【0038】
導入する銅粉としては、ある程度粒径が揃っており、球状に近い銅粉であれば、アトマイズ法や湿式還元法などによって製造された銅粉を使用できる。なお、数2のxを算出する式における補正係数αは、反応系および測定装置が定まると一義的に定めることができ、再現性よく、目的とする粒径を有し且つ粒径分布の幅が狭い銅粉を製造することができる。
【0039】
銅粉と還元剤を含む液は、不活性ガス中において適度な時間リパルプした後、被還元物として銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液を徐々に添加して、攪拌しながら還元反応を進行させる。なお、銅粉と還元剤を含む液の溶媒となる液は、還元を著しく阻害する成分(例えば、酸化剤など)でなければよく、被還元物として銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液の溶媒となる液と同じ液でもよいが、被還元物(銅化合物および銅イオンの少なくとも一方)を含まない液であることを要する。
【0040】
反応の終了は、銅イオン、銅錯体または銅化合物の固形成分の存在が反応液中に検出できなくなる時点とする。反応終了後は、ろ過により固液分離し、ろ別分を純水または水溶性の有機溶媒で洗浄する。なお、ろ過の代わりに、遠心分離やスプレードライなどの他の固液分離を行ってもよい。固液分離して得られたケーキを、不活性ガスまたは還元雰囲気下において50〜300℃の温度で数時間〜数十時間かけて乾燥することにより、粒径の揃った銅粉を得ることができる。不活性ガスとしては、窒素または希ガスを使用することができるが、水素または一酸化炭素などの還元性ガスを混合して使用してもよい。
【0041】
本発明による銅粉の製造方法の実施の形態では、銅粉の粒径を大きくしながら粒径の揃った銅粉を製造することができる。すなわち、本発明による銅粉の製造方法の実施の形態では、銅粉と還元剤を含む液中に、銅被還元物として化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液を添加して、被還元物を金属銅に還元することによって、粒度分布の幅が狭く、微粒子が非常に少ない銅粉を製造することができる。
【実施例】
【0042】
以下、本発明による銅粉およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
【0043】
[実施例1]
まず、室温で窒素雰囲気下において純水6.1kgに硫酸銅5水和物2.5kg(銅のモル数=10モル)を溶解して硫酸銅溶液を得た。この硫酸銅溶液を10質量%の水酸化ナトリウム溶液9.6kgに添加し、攪拌して中和し、水酸化銅を生成させた。
【0044】
次に、生成した水酸化銅を亜酸化銅まで還元可能な還元剤として、42質量%のブドウ糖水溶液6.5kg添加し、亜酸化銅の生成を促進させるために70℃まで昇温させ、70℃で30分間反応させた。その後、液温を70℃に保持したまま、空気を4L/分で150分間導入して液性を安定させた後、窒素雰囲気に戻して室温まで冷却した。なお、還元剤の添加から冷却の終了までの間、溶液を攪拌し続けた。室温まで冷却した後、攪拌を止めて、生成した亜酸化銅をデカンテーションにより沈降させた。亜酸化銅が十分に沈降したことを確認した後、上澄み液を除去して、ウェットな状態の亜酸化銅(除去しきれなかった上澄み液が残存する亜酸化銅)2.5kgを得た。得られる銅の収率が100%であるとすると、ウェットな状態の亜酸化銅中に、銅10モルに相当する亜酸化銅(715g)が得られることになる。
【0045】
次に、ウェットな状態の亜酸化銅からさらに上澄み700gを取り、この上澄み液と純水2400gを5Lビーカーに入れた。一方、上澄み液700gを除去した(亜酸化銅715gを含む)ウェットな状態の亜酸化銅スラリー1800gを2Lビーカーに移し、亜酸化銅が沈降しないように攪拌を開始した。
【0046】
次に、上澄み液700gと純水2400gを入れた5Lビーカーに、(最終目標粒径10.0μmの銅粉を得るために)体積基準の粒度分布における50%径(D50)=5.30μmの(核として作用する)銅粉111gを添加した後、還元剤として80%含水ヒドラジン373gを添加し、630rpmで攪拌しながら十分に分散させて、窒素雰囲気中において60℃に昇温させた。この溶液に、2Lビーカーにおいて攪拌されている亜酸化銅スラリーをチューブポンプによって360分間で連続的に添加した。この添加の終了から60分後、亜酸化銅が確認されなかったため、反応を終了させた。
【0047】
反応終了後、室温まで冷却し、その後、吸引ろ過により固液分離して得られたケーキを純水8Lで洗浄した。洗浄後のケーキを雰囲気制御可能な乾燥機に入れ、窒素雰囲気中において120℃で11時間乾燥して、目的とする銅粉を得た。
【0048】
得られた銅粉の体積基準の粒度分布を湿式レーザー回折式の粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製のLS230)によって測定した。その結果、得られた銅粉の体積基準の粒度分布は、D10=8.62μm、D25=9.31μm、D50=10.18μm、D75=11.07μm、D90=11.76μm、D90/D10=1.36であり、変動係数は11.4%であった。
【0049】
また、この銅粉の個数基準の粒度分布を電解放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)(日立製作所社製のS−4700)により評価した。なお、SEMによって観測した銅粉の個数基準の粒度分布は、SEM画像中に存在する粒子500個のHeywood径から算出した。また、本実施例および後述する実施例と比較例では、1000倍の撮影視野を用いて粒径を算出したが、500個の粒子数が測定できない場合は、複数の1000倍の撮影視野を用いて算出した。その結果、この銅粉の個数基準の粒度分布は、D10=8.51μm、D25=8.85μm、D50=9.45μm、D75=10.37μm、D90=11.28μm、D90/D10=1.33であった。なお、得られた銅粉の個数基準の粒度分布における50%径(D50)の最終目標粒径からのずれを、(個数基準の粒度分布における50%径(D50)−最終目標粒径)×100/最終目標粒径から算出すると、−5.5%であった。
【0050】
[実施例2]
D50=5.30μmの銅粉111gの代わりにD50=0.52μmの銅粉0.09gを使用し、2Lビーカーにおいて攪拌されている亜酸化銅スラリーの添加時間を480分間にした以外は、実施例1と同様の方法により、銅粉を得た。この銅粉の体積基準の粒度分布を実施例1と同様の方法によって測定したところ、D10=8.08μm、D25=8.96μm、D50=10.12μm、D75=11.44μm、D90=12.06μm、D90/D10=1.49であり、変動係数は19.4%であった。また、この銅粉の個数基準の粒度分布を実施例1と同様の方法によって測定したところ、D10=8.76μm、D25=9.43μm、D50=10.61μm、D75=11.88μm、D90=13.16μm、D90/D10=1.50であった。なお、得られた銅粉の個数基準の粒度分布における50%径(D50)の最終目標粒径からのずれは、6.1%であった。
【0051】
[実施例3]
D50=5.30μmの銅粉111gの代わりに(最終目標粒径5.8μmの銅粉を得るために)D50=2.82μmの銅粉82.5gを使用した以外は、実施例1と同様の方法により、銅粉を得た。この銅粉の体積基準の粒度分布を実施例1と同様の方法によって測定したところ、D10=4.60μm、D25=4.99μm、D50=5.50μm、D75=6.05μm、D90=6.56μm、D90/D10=1.43であり、変動係数は13.0%であった。また、この銅粉の個数基準の粒度分布を実施例1と同様の方法によって測定したところ、D10=4.20μm、D25=4.53μm、D50=5.07μm、D75=5.55μm、D90=5.86μm、D90/D10=1.39であった。なお、得られた銅粉の個数基準の粒度分布における50%径(D50)の最終目標粒径からのずれは、−12.6%であった。
【0052】
[実施例4]
D50=5.30μmの銅粉111gの代わりに(最終目標粒径15.0μmの銅粉を得るために)D50=5.30μmの銅粉29.33gを使用した以外は、実施例1と同様の方法により、銅粉を得た。この銅粉の体積基準の粒度分布を実施例1と同様の方法によって測定したところ、D10=12.87μm、D25=13.75μm、D50=15.55μm、D75=17.45μm、D90=19.04μm、D90/D10=1.48であり、変動係数は18.5%であった。また、この銅粉の個数基準の粒度分布を実施例1と同様の方法によって測定したところ、D10=11.63μm、D25=13.21μm、D50=14.99μm、D75=16.42μm、D90=17.36μm、D90/D10=1.49であった。なお、得られた銅粉の個数基準の粒度分布における50%径(D50)の最終目標粒径からのずれは、−0.1%であった。
【0053】
[比較例1]
まず、実施例1と同様の方法によってウェットな状態の亜酸化銅(除去しきれなかった上澄み液が残存する亜酸化銅)2.5kgを得た。次に、ウェットな状態の亜酸化銅2.5kgを5Lビーカーに移した後、純水2400gを添加とともに、(最終目標粒径10.0μmの銅粉を得るために)D50=5.30μmの銅粉111gを添加し、630rpmで攪拌しながら十分に分散させて、窒素雰囲気中において60℃に昇温させた。この溶液に、還元剤として80%含水ヒドラジン373gをチューブポンプによって360分間で連続的に添加した。この添加の終了から60分後、亜酸化銅が確認されなかったため、反応を終了させた。反応終了後、実施例1と同様の方法により、目的とする銅粉を得た。
【0054】
得られた銅粉の体積基準の粒度分布を実施例1と同様の方法によって測定したところ、D10=5.55μm、D25=7.62μm、D50=8.66μm、D75=9.63μm、D90=10.46μm、D90/D10=1.89であり、変動係数は21.1%であった。また、この銅粉の個数基準の粒度分布を実施例1と同様の方法によって測定したところ、D10=1.36μm、D25=1.92μm、D50=4.01μm、D75=7.72μm、D90=9.14μm、D90/D10=6.70であった。なお、得られた銅粉の個数基準の粒度分布における50%径(D50)の最終目標粒径からのずれは、−59.9%であった。
【0055】
[比較例2]
D50=5.30μmの銅粉111gの代わりに(最終目標粒径8.0μmの銅粉を得るために)D50=5.30μmの銅粉260.5gを使用した以外は、比較例1と同様の方法により、銅粉を得た。この銅粉の体積基準の粒度分布を実施例1と同様の方法によって測定したところ、D10=5.57μm、D25=6.43μm、D50=7.29μm、D75=8.12μm、D90=8.85μm、D90/D10=1.59であり、変動係数は21.1%であった。また、この銅粉の個数基準の粒度分布を実施例1と同様の方法によって測定したところ、D10=2.13μm、D25=2.59μm、D50=3.44μm、D75=6.61μm、D90=7.69μm、D90/D10=3.61であった。なお、得られた銅粉の個数基準の粒度分布における50%径(D50)の最終目標粒径からのずれは、−57%であった。
【0056】
実施例1〜4および比較例1〜2で得られた銅粉の体積基準の粒度分布を表1に示し、個数基準の粒度分布を表2に示す。また、実施例1〜4および比較例1〜2で得られた銅粉の体積基準の粒度分布をそれぞれ図1A〜図1Fに示し、個数基準の粒度分布をそれぞれ図2A〜図2Fに示す。さらに、実施例1〜4および比較例1〜2で得られた銅粉のSEM画像をそれぞれ図3A〜図3Fに示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
表1、表2、図1A〜図1F、図2A〜図2Fおよび図3A〜図3Fの結果から、実施例1〜4にように、体積基準の粒度分布における50%径(D50)が0.5μm以上の銅粉と還元剤を含む液に、被還元物として銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液を添加して、被還元物を金属銅に還元して銅粉を製造することにより、目標とする粒径ごとに、粒度分布の幅が狭く且つ微粒子数が非常に少ない銅粉を製造することができることがわかる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿式レーザー回折式の粒度分布測定装置による体積基準の粒度分布における50%径(D50)が0.5μm以上の銅粉と還元剤を含む液に、被還元物として銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液を添加することにより、前記被還元物を金属銅に還元して銅粉を製造することを特徴とする、銅粉の製造方法。
【請求項2】
前記銅化合物が固形の銅化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の銅粉の製造方法。
【請求項3】
前記銅化合物が銅の酸化物または水酸化物であることを特徴とする、請求項1または2に記載の銅粉の製造方法。
【請求項4】
前記還元剤がヒドラジンまたは含水ヒドラジンであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の銅粉の製造方法。
【請求項5】
前記銅粉と還元剤を含む液と前記被還元物を含む液中の前記銅粉以外の銅の総モル数をn0(モル)、前記銅粉の体積基準の粒度分布における50%径(D50)をx0(μm)、前記銅粉の重量をw(g)、銅の原子量をAW(g/モル)とすると、前記金属銅に還元して製造される銅粉の走査電子顕微鏡写真から求めた個数基準の粒度分布における50%径(D50)が、下記の数1で表されるx(μm)の±20%以内であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の銅粉の製造方法。
【数1】
【請求項6】
走査電子顕微鏡写真から求めた個数基準の粒度分布における50%径(D50)が0.5〜20μmであり、その個数基準の粒度分布における10%径(D10)に対する90%径(D90)の比(D90/D10)が1.5以下であることを特徴とする、銅粉。
【請求項7】
湿式レーザー回折式の粒度分布測定装置による体積基準の粒度分布における50%径(D50)が0.5〜20μmであり、その体積基準の粒度分布における10%径(D10)に対する90%径(D90)の比(D90/D10)が1.5以下であることを特徴とする、請求項6に記載の銅粉。
【請求項1】
湿式レーザー回折式の粒度分布測定装置による体積基準の粒度分布における50%径(D50)が0.5μm以上の銅粉と還元剤を含む液に、被還元物として銅化合物および銅イオンの少なくとも一方を含む液を添加することにより、前記被還元物を金属銅に還元して銅粉を製造することを特徴とする、銅粉の製造方法。
【請求項2】
前記銅化合物が固形の銅化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の銅粉の製造方法。
【請求項3】
前記銅化合物が銅の酸化物または水酸化物であることを特徴とする、請求項1または2に記載の銅粉の製造方法。
【請求項4】
前記還元剤がヒドラジンまたは含水ヒドラジンであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の銅粉の製造方法。
【請求項5】
前記銅粉と還元剤を含む液と前記被還元物を含む液中の前記銅粉以外の銅の総モル数をn0(モル)、前記銅粉の体積基準の粒度分布における50%径(D50)をx0(μm)、前記銅粉の重量をw(g)、銅の原子量をAW(g/モル)とすると、前記金属銅に還元して製造される銅粉の走査電子顕微鏡写真から求めた個数基準の粒度分布における50%径(D50)が、下記の数1で表されるx(μm)の±20%以内であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の銅粉の製造方法。
【数1】
【請求項6】
走査電子顕微鏡写真から求めた個数基準の粒度分布における50%径(D50)が0.5〜20μmであり、その個数基準の粒度分布における10%径(D10)に対する90%径(D90)の比(D90/D10)が1.5以下であることを特徴とする、銅粉。
【請求項7】
湿式レーザー回折式の粒度分布測定装置による体積基準の粒度分布における50%径(D50)が0.5〜20μmであり、その体積基準の粒度分布における10%径(D10)に対する90%径(D90)の比(D90/D10)が1.5以下であることを特徴とする、請求項6に記載の銅粉。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【公開番号】特開2010−174348(P2010−174348A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19607(P2009−19607)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(506334182)DOWAエレクトロニクス株式会社 (336)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(506334182)DOWAエレクトロニクス株式会社 (336)
【Fターム(参考)】
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