説明

銅系触媒およびその前処理方法

【課題】触媒活性が良好で、しかも耐久性がすぐれた銅系触媒およびその前処理方法を提供すること。
【解決手段】酸化銅、酸化亜鉛および酸化アルミニウムを必須成分とし、酸化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化ケイ素を任意成分とする金属酸化物より構成される銅系触媒(I)を、メタノール製造などの反応温度以上、触媒製造時の焼成温度以下で還元して得られることを特徴とする銅系触媒を用いる。還元は好ましくは水素含有ガス流通下、300℃〜550℃の温度で実施される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタノール合成反応またはその逆反応、メタノール改質反応、シフト反応またはその逆反応などの反応において触媒活性が良好で、しかも耐久性が顕著にすぐれた銅系触媒およびその前処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、合成ガス(COとH2 との混合ガス)を主原料(少量のCO2 を含む)とするメタノール合成プロセスは、化学工業において非常に重要な基礎的なプロセスであり、その省エネルギー化や経済性などの観点からその高効率化が絶えず求められている。メタノール合成プロセスにおける最も重要な技術の一つは、高性能な触媒を提供することであり、従来の触媒としては、Cu/ZnO/Al23触媒(現在の工業用触媒、たとえば、「触媒講座、第7巻、触媒学会編、株式会社講談社発行、1989年7月20日発行」(非特許文献1)の21〜39頁参照)や、Cu/ZnO/SiO2触媒(特公昭63−39287号公報(特許文献1))などの3成分系触媒が知られている。
【0003】
一方、CO2 とH2 とを主原料とするメタノール合成は、炭素資源の循環再利用および地球環境問題の観点から、最近特に注目されている。CO2含有量の高い原料ガスからのメタノール合成においては、反応の熱力学的平衡およびメタノールと共に生成する水の反応阻害効果(Applied Catalysis A: General, 38 (1996), p.311-318(非特許文献2))のために、上記の合成ガスからのメタノール合成で採用されているよりも高い活性を有する触媒が要求されている。また、CO2含有量の高い原料ガスからのメタノール合成においては、メタノールと共に生成する水によると思われる触媒活性低下が、合成ガスからのメタノール合成に比べて非常に大きい。そのため、合成ガスからのメタノール合成で採用されている触媒よりもはるかに耐久性の高い触媒が要求されている。これは、上記のメタノール合成で採用されている3成分系触媒では、その触媒性能が不充分であるためである。
【0004】
ところで銅系触媒の触媒活性低下の主原因が銅のシンタリングによる表面積低下であることが知られている。銅は各種金属触媒の中でもシンタリングを起こしやすい金属であることが知られており、反応前の触媒還元温度や反応温度を高くしないようにすることを必要とする。例えば、特開2004−298685号公報(特許文献2)においてはCu/ZnO触媒の還元温度は好ましくは100〜300℃、好ましくは150〜250℃であると記載されており、また特開平6−254414号公報(特許文献3)においてはCu/ZnO/ZrO2触媒の還元温度は好ましくは100〜300℃、好ましくは120〜200℃であると記載されており、また特開2007−83197号公報(特許文献4)においてはCu/ZnO/Al触媒の還元温度は好ましくは100〜300℃、好ましくは110〜280℃、さらに好ましくは130〜240℃であると記載されている。これは還元温度を高くしすぎると、銅のシンタリングにより銅表面積が低下するためである。
【0005】
本発明者らは、上記のような技術的背景に鑑みて銅系触媒について鋭意検討を行ったところ、酸化銅、酸化亜鉛および酸化アルミニウムを必須成分とし、酸化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化ケイ素を任意成分とする金属酸化物より構成される銅系触媒においては、高温で還元を行ってもシンタリングを起こしにくく、むしろ高温で還元する前処理を行うことが、CO2 とH2 とを主原料とするメタノール合成反応において耐久性に優れた銅系触媒を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【特許文献1】特公昭63−39287号公報
【特許文献2】特開2004−298685号公報
【特許文献3】特開平6−254414号公報
【特許文献4】特開2007−83197号公報
【非特許文献1】触媒講座、第7巻、触媒学会編、株式会社講談社発行、1989年7月20日発行
【非特許文献2】Applied Catalysis A: General, 38(1996), p.311-318
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記のような状況に鑑みてなされたもので、触媒活性が良好で、しかも耐久性が顕著にすぐれた銅系触媒およびその前処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の温度範囲で還元反応を行うことにより上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
本発明の銅系触媒は、酸化銅、酸化亜鉛および酸化アルミニウムを必須成分とし、酸化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化ケイ素を任意成分とする金属酸化物より構成される銅系触媒(I)水素含有ガス流通下、反応温度より高く、焼成温度より低い温度で還元して得られることを特徴とする銅系触媒である。
【0009】
前記触媒の還元は、300℃〜550℃の温度で行うことが望ましい。
【0010】
また、本発明は、酸化銅、酸化亜鉛および酸化アルミニウムを必須成分とし、酸化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化ケイ素を任意成分とする金属酸化物より構成される銅系触媒を、触媒反応前に、水素含有ガス流通下、300℃〜550℃の温度で還元することを特徴とする銅系触媒の前処理方法である。
【0011】
前記還元での水素濃度は、0.1〜10体積%であることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の銅系触媒は、活性が高く、しかもその高い活性が長期にわたって維持され耐久性のすぐれたものとなっている。このときの触媒の活性維持効果は顕著であり、現在使用されまたは提案されているメタノール合成用の銅系多成分触媒では期待しえないような優れた活性と耐久性が得られる。よって本発明は工業上極めて有用である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〈触媒〉本発明の銅系触媒は、酸化銅、酸化亜鉛、酸化アルミニウムを必須成分とする金属酸化物で構成された触媒であり、さらに任意成分として酸化ジルコニウム、酸化ガリウム、および酸化ケイ素を含んでいてもよい。また本発明の趣旨を損なわない範囲で、他の酸化物を含んでいてもよい。他の成分として通常パラジウムなどの貴金属酸化物がその反応性の高さから用いられる場合があるが、前記の触媒は、貴金属酸化物を用いなくても高い触媒性能を発現させることが出来る傾向がある。
【0014】
本発明の銅系触媒は、特定の条件で還元されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の銅系触媒の還元前の成分を本願では銅系触媒(I)と記載することがある。この銅系触媒(I)は、酸化銅、酸化亜鉛および酸化アルミニウムを必須成分とし、酸化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化ケイ素を任意成分とする金属酸化物より構成されるものであれば、従来公知の物から適宜選択して使用することが出来る。好ましくは、下記の本発明の銅系触媒と同様の組成の範囲のものであることが好ましい。
【0016】
本発明の銅系触媒の組成は、触媒全体を100重量%とするとき、酸化銅が20〜60重量%、好ましくは30〜50重量%であり、酸化亜鉛が10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%であり、酸化アルミニウムが2〜10重量%、好ましくは4〜8重量%であり、酸化ケイ素が0.0〜 0.9重量%、好ましくは0.3〜0.9%であり、酸化ジルコニウムが0〜40重量%、好ましくは10〜20重量%であり、酸化ガリウムが0〜10重量%好ましくは0.1〜5.0重量%である。このような量的範囲において、組成を目的反応に応じて適切に定めることにより、その反応に適した触媒性能を得ることができる。
【0017】
本発明の銅系触媒において、後述する触媒の製法において酸化ケイ素はコロイダルシリカまたは水中溶存シリカが用いられてもよく、コロイダルシリカと水中溶存シリカとを併用してもよい。同じケイ素化合物でも、たとえばケイ酸ナトリウム(水ガラス)やケイ酸カリウムを添加して製造した場合には、所期の効果を有する触媒が得られない。
【0018】
コロイダルシリカを用いる場合は、本発明の目的には、酸化ナトリウム含有量が 0.1重量%未満、殊に0.06重量%以下の実質的にナトリウム分を含まないものを用いることが好ましい。ちなみに、コロイダルシリカの多くのグレードは、酸化ナトリウム含有量が 0.2〜 0.6重量%程度である。
【0019】
水中溶存シリカを用いる場合は、天然淡水、水道水、井戸水、工業用水などを用いることができる。これらの水は、20ppm 前後ないし100ppm 程度の溶存シリカを含んでいる。溶存シリカは、検水について、モリブデン黄法またはモリブデン青法による吸光光度法により測定されるシリカ(比色シリカと通称される)である。
【0020】
〈触媒の製造〉
上記の触媒は、上記金属成分のうちケイ素成分を除く金属成分の水溶性塩を含む水溶液からなるA液と塩基性物質を含む水溶液からなるB液とを混合して沈澱物を形成し、必要なら熟成し、ついで洗浄すること、その沈澱物の形成、熟成または洗浄に際し必要に応じてコロイダルシリカまたは水中溶存シリカを吸着させること、そして洗浄後の沈澱物を乾燥してから、480〜690℃で焼成処理して焼成物となすことにより銅系触媒(I)が製造される。
【0021】
A液とB液とを混合して沈澱物を形成させるに際しては、A液とB液とを一括混合してA液中の成分を沈澱させる方法のほか、A液を2以上に分割し、まず金属化合物のうちの1成分または2以上の成分を含む水溶液からなるA液と塩基性物質を含む水溶液からなるB液とを混合してA液中の成分を沈澱させ、ついでその沈澱物を含む液中に金属化合物のうちの残りの成分を含む水溶液からなるA液を加えて同様に沈澱させる沈澱法も採用される。混合の仕方には、そのほか種々のバリエーションが可能である。
【0022】
上記金属成分のうちケイ素成分を除く金属成分の水溶性塩としては、水溶性の良好な硝酸塩や亜硝酸塩が好適に用いられる。塩基性物質としては、たとえば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが好適に用いられ、場合によってはアンモニア、アルカノールアミン、アミンなどを用いることもできる。
【0023】
沈澱物の形成後は、必要なら熟成を行い、ついで洗浄を行い、さらには適宜スラリー化、乾燥などの後処理を行う。一例をあげると、沈澱物を熟成した後、遠心分離によりろ過、洗浄した後、一旦スラリー化してスプレー乾燥する方法が採用される。
【0024】
そして本発明においては、沈澱物の形成、熟成または洗浄に際し、コロイダルシリカまたは水中溶存シリカを吸着させるようにする。なおコロイダルシリカを沈澱物の形成時に吸着させるときは、A液またはB液の少なくとも一方にコロイダルシリカを添加する方法、コロイダルシリカを含む水中にA液とB液とを混合する方法などが採用される。沈澱物の形成時や熟成時の上澄みにコロイダルシリカが事実上入ってこないこと、コロイダルシリカの吸着後に洗浄を行ってもシリカ成分が事実上流出しないことから、コロイダルシリカは沈澱物中に単に混合しているのではなく、吸着していることがわかる。水中溶存シリカを吸着させるときは、溶存シリカを含む水を用いて金属成分の水溶性塩を含む水溶液や塩基性物質を含む水溶液を調製したり、溶存シリカを含む水を用いて沈澱物の洗浄を行ったりするなどの方法を講じればよい。
【0025】
コロイダルシリカが吸着されている沈澱物は、これを480〜690℃(好ましくは520〜680℃、特に560〜670℃)で焼成処理して焼成物となす。焼成は酸素雰囲気下(通常は空気中)で行い、これにより上述の金属成分は酸化物の形態となる。
【0026】
このようにして得た触媒は、そのままで、あるいは適宜の方法により造粒または打錠成型して用いる。触媒の粒子径や形状は、反応方式、反応器の形状によって任意に選択しうる。
【0027】
〈還元処理〉
上記の銅系触媒(I)は、この段階でも触媒作用を有することが多いが、本発明の銅系触媒はメタノールの方性などの使用に先立ちH2ガスまたはH2 −N2 混合ガスなどの還元性ガスで還元を行って得られる。還元性ガスの濃度は0.1〜10体積%であることが好ましい。0.1体積%より低い濃度の還元性ガスの場合には、還元に時間がかかり経済的に問題となることが多い。また、還元性ガス濃度が10体積%を超えると、急激な還元が起こり、触媒にダメージを与える恐れがある。
【0028】
本発明においては、銅系触媒(I)を還元性ガスで還元するにあたっては、メタノールなどの製造に用いる温度よりも高く、前記の焼成工程の温度よりは低い条件で行う。好ましい還元温度の下限は300℃、好ましくは300度を超える温度であり、より好ましくは350℃である、一方上限は550℃、より好ましくは500℃である。一般的には、銅系触媒は300℃以上の高温で処理すると、シンタリングなどによって、還元された銅の表面積が小さくなり、活性が低下するとされているが、本発明においては、驚くべきことに、300℃以上、好ましくは300℃を超える温度で還元するほうが、銅の表面積を高くすることがわかった。ただし、550℃を超えるとシンタリングが起こり、表面積は低下してくる可能性がある。
【0029】
これはすなわち、本発明の触媒が通常知られている銅系触媒と比較して(1)銅が低温では還元されにくい形態である(2)銅が高温でもシンタリングしにくい形態である、ことを示している。このような性質が、触媒活性が長期にわたって維持され耐久性のすぐれたものとなることにつながっていると考えられる。また、このように、あらかじめ300℃を超える高温で還元する前処理を行うと、反応初期の誘導期の短縮や触媒活性の向上が実現できる。
【0030】
本発明の銅系触媒にあっては、必須成分である酸化銅、酸化亜鉛および酸化アルミニウム(および任意成分である酸化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化パラジウム)が骨格となり、必要に応じて吸着させたコロイダルシリカまたは水中溶存シリカが酸化ケイ素として骨格間に 0.0〜 0.9重量%、好ましくは0.3〜 0.9重量%という特定量存在した場合に特に上記の驚くべき傾向が発現することが多い。480〜690℃という特定の高温領域で焼成処理を行うとよりその傾向が高い。
【0031】
ケイ素化合物が含まれる形態で本願発明の効果が発現しやすい理由は不明であるが、以下のような仮説が考えられる。触媒中においてケイ素成分が金属成分の移動を阻止する作用を発揮しているため、触媒は高活性となり、しかもその活性が長期にわたって維持され耐久性のすぐれたものとなっているが、この効果は、還元処理においても同様に、金属成分の移動を阻止するため、シンタリングが抑制できるものと考えている。触媒の前処理としては、高温ほど、その効果は大きいと考えられ、結果として、本発明の前処理条件によって、触媒はより高活性となっている。
【0032】
(反応〉
上記の還元された触媒は、水素と炭素酸化物からメタノールを合成する反応またはその逆反応のための触媒として有用である。
【0033】
メタノ−ル合成反応では、水素と炭素酸化物(CO2 単独あるいはCO2 とCOとの混合ガス)からなる原料ガスを触媒上で反応させてメタノ−ルが合成される。このときの反応は、典型的には、反応温度150〜300℃、反応圧力1〜10MPaにて行われる。その逆反応の場合には、メタノールを水素と炭素酸化物とに分解することができる。このときの反応は、典型的には、反応温度200〜400℃、反応圧力大気圧〜1MPaにて行われる。これらの反応は、気相、液相のいずれでも行うことができる。液相で反応を行うときの溶媒としては、炭化水素系溶媒をはじめ、水不溶性ないし水難溶性の溶媒が用いられる。
【0034】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0035】
(実施例1)
〈触媒の製造〉
硝酸銅三水和物54.3g、硝酸亜鉛六水和物39.1g、硝酸アルミニウム九水和物6.6g、亜硝酸ジルコニウム二水和物15.4gおよびコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製「スノーテックスST−O」)1.26gを蒸留水に溶解して、500mlの水溶液を調製し、A液とした。ここで「スノーテックスST−O」は、無水ケイ酸(SiO2)含有量が20〜21重量%、酸化ナトリウム(Na2O)含有量が0.04重量%以下、pHが2〜4、粒子径が10〜20 μm、粘度が3cps/25℃以下、比重が1.12〜1.14/25℃、氷結点が0℃の透明乳白色の膠質液である。
【0036】
これとは別に、炭酸ナトリウム十水和物 139.0gを蒸留水に溶解して500mlの水溶液を調製し、B液とした。
【0037】
400mlの蒸留水中に、A液とB液を同時に滴下した(この方法を共沈法と称する)。これを一昼夜放置した後、得られた沈澱物を蒸留水で洗浄した後、110℃、常圧で2時間乾燥し、ついで600℃にて空気中で2時間焼成した。これにより目的とする銅系触媒(I)に相当する固体(I)が得られた。
【0038】
得られた固体(I)の組成は、CuO:45.2wt% 、ZnO: 27.1wt% 、Al23 : 4.5wt%、ZrO2: 22.6wt% 、SiO2 : 0.6wt%であった。
〈還元温度の影響〉反応管に上記で得た固体(I)の0.2gを充填し、H2 5vol%とAr 95vol%とからなるの還元性ガスを各温度で2時間通して還元した後、40℃でN2O 2.5vol%とHe 97.5vol%とからなるガスを流通させ、N2Oの吸着量から銅の表面積を算出した。結果を表1に示す。この触媒においては、S300=15.4m2/g−cat、S500/S300=1.4と算出される。
【0039】
【表1】

【0040】
〈メタノール合成における触媒の活性試験〉反応管に上記で得た触媒2mlを充填し、H2 5vol%とN2 95vol%とからなる還元性ガスを還元温度400℃で2時間通して還元した。表1の結果によれば、この還元処理した触媒はCu表面積が19.9m2/g-catである。この還元処理後、CO225vol%、H2 75vol%の混合ガスを20リットル/hrの速度で触媒層に通し、圧力5MPa 、温度250℃の条件にて反応を行った。反応生成ガスをガスクロマトグラフで分析し、反応時間とメタノール生成量との関係を求めた。
メタノール生成量は、600g-MeOH/L-Cat/hであった。
【0041】
(比較例1)
実施例1の触媒において、還元温度250℃で処理した触媒を用いた以外は、実施例1と同様の活性試験を行なった。
【0042】
メタノール生産量は、初期において、430 g-MeOH/L-Cat/hであり、徐々に活性はあがるが、2ヶ月たっても、安定性能には至らなかった。
【0043】
(比較例2)
実施例1の触媒において、還元温度600℃で処理した触媒を用いた以外は、実施例1と同様の活性試験を行なった。
【0044】
メタノール生産量は、510g-MeOH/L-Cat/hであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化銅、酸化亜鉛および酸化アルミニウムを必須成分とし、酸化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化ケイ素を任意成分とする金属酸化物より構成される銅系触媒(I)を水素含有ガス流通下、反応温度より高く、焼成温度より低い温度で還元して得られることを特徴とする銅系触媒。
【請求項2】
前記還元を、300℃〜550℃の温度で行うことを特徴とする請求項1に記載の銅系触媒。
【請求項3】
酸化銅、酸化亜鉛および酸化アルミニウムを必須成分とし、酸化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化ケイ素を任意成分とする金属酸化物より構成される銅系触媒を、触媒反応前に、水素含有ガス流通下、300℃〜550℃の温度で還元することを特徴とする銅系触媒の前処理方法。
【請求項4】
請求項3に記載の水素含有ガスの水素濃度が0.1〜10体積%であることを特徴とする銅系触媒の前処理方法。

【公開番号】特開2010−194420(P2010−194420A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40056(P2009−40056)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】