説明

鋏および螺子装置

【課題】 装飾性に富み、かつ、コストが低廉な螺子装置を提供することである。
【解決手段】 第1の螺子部と、
前記第1の螺子部が設けられた軸体と、
前記軸体の上端部に設けられた第2の螺子部と、
前記軸体の上端部に設けられた割溝部と、
前記第2の螺子部に螺合する第3の螺子部を有する頭部
とを具備してなり、
前記頭部には装飾が施されてなる
ことを特徴とする螺子装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば美・理容用の鋏に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種の鋏が提案されている。例えば、図3に示される構造の鋏が提案されている。図3中、21は鋏、22は第1の鋏半体、23は第2の鋏半体、24は第1の鋏半体22と第2の鋏半体23とを螺着する螺子(雄螺子と雌螺子(ナット):螺子装置)である。
【特許文献1】特開2000−279654号公報
【特許文献2】特開2003−320180号公報
【特許文献3】特開2004−49349号公報
【特許文献4】特開2004−154303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さて、これまでの鋏は装飾性が乏しい。それは、例えば美・理容用の鋏自体は髪のカットが第1の目的であり、装飾を施す余地が少ないからである。
【0004】
そこで、本発明者は、鋏半体同士を結合する螺子に着目した。特に、螺子の頭に着目した。例えば、螺子の頭部に模造宝石を取り付けたならば、この鋏はワンポイント装飾が施されたものとなって、そのファッション性が高いものになると考えた。
【0005】
しかしながら、単に、径の大きな頭部に模造宝石を取り付けた雄螺子と雌螺子(ナット)とを用いて鋏半体同士を結合しようとすると、それは、非常にやり難いものであった。それは、鋏半体同士の結合に際しては、螺子が、強固に取り付けられなければならないからである。通常、螺子は、雌螺子(ナット)に雄螺子を捩じ込み、雄螺子の頭に形成された割溝にドライバを差し込み、ドライバを回すことによって雄螺子を回動し、以って、強く締め付けている。
【0006】
ところが、雄螺子の頭に模造宝石などによる装飾を施していると、上記割溝が非常に邪魔なものとなる。場合によっては、割溝を形成すら出来ない。
【0007】
従って、単に、頭部に模造宝石などによる装飾を施した雄螺子は机上のものに過ぎないことが判って来た。
【0008】
よって、本発明が解決しようとする課題は、装飾性に富み、かつ、コストが低廉な螺子装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題は、
第1の螺子部と、
前記第1の螺子部が設けられた軸体と、
前記軸体の上端部に設けられた第2の螺子部と、
前記軸体の上端部に設けられた割溝部と、
前記第2の螺子部に螺合する第3の螺子部を有する頭部
とを具備してなり、
前記頭部には装飾が施されてなる
ことを特徴とする螺子装置によって解決される。
【0010】
特に、第1の螺子部と、
前記第1の螺子部が設けられた軸体と、
前記軸体の上端部に設けられた第2の螺子部と、
前記軸体の上端部に設けられた割溝部と、
前記第2の螺子部に螺合する第3の螺子部を有する頭部
とを具備してなり、
第1の螺子部は、軸体の外周囲に形成された雄螺子型および軸体に設けられた中心穴の内周囲に形成された雌螺子型の中から選ばれるものであり、
前記頭部には装飾が施されてなる
ことを特徴とする螺子装置によって解決される。
【0011】
又、上記の螺子装置であって、
軸体の上端部に設けられた第2の螺子部は、軸体の上端面から穿たれた穴の内周囲に形成された雌螺子型のものであり、
第3の螺子部は、軸体の外周囲に形成された雄螺子型のものである
ことを特徴とする螺子装置によって解決される。
【0012】
更には、螺子挿通孔が形成された第1の鋏半体と、螺子挿通孔が形成された第2の鋏半体と、前記第1の鋏半体の螺子挿通孔および前記第2の鋏半体の螺子挿通孔に挿通された螺子装置とを具備してなる鋏であって、
前記螺子装置が上記の螺子装置である
ことを特徴とする鋏によって解決される。
【0013】
尚、上記装飾構造は、例えば頭部頂面に凹部を形成し、該凹部に装飾材を嵌め込むことによって簡単に実施できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、装飾性に富んだものが得られる。しかも、単に、装飾性に富むばかりでは無く、螺子本来の目的、締着性をも十分に発揮できる。例えば、鋏半体同士の締着(結合)に用いた場合、鋏半体同士の締着の調整が簡単であり、そして強固な締着(結合)も出来、更には鋏の装飾性に優れたものになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の螺子装置は、第1の螺子部(螺子溝)を具備する。又、第1の螺子部が設けられた軸体を具備する。又、軸体の上端部に設けられた第2の螺子部(螺子穴)を具備する。又、軸体の上端部に設けられた割溝部を具備する。又、第2の螺子部に螺合する第3の螺子部(螺子溝)を有する頭部を具備する。そして、頭部には装飾が施されている。第1の螺子部は、例えば軸体の外周囲に形成された雄螺子型のものである。或いは、軸体に設けられた中心穴の内周囲に形成された雌螺子型(螺子穴)のものである。そして、第2の螺子溝部は、軸体の上端面から穿たれた穴の内周囲に形成された雌螺子型(螺子穴)のものであり、第3の螺子溝部は、軸体の外側周囲に形成された雄螺子型のものである。
【0016】
本発明の鋏は、螺子挿通孔が形成された第1の鋏半体と、螺子挿通孔が形成された第2の鋏半体と、前記第1の鋏半体の螺子挿通孔および前記第2の鋏半体の螺子挿通孔に挿通された螺子装置とを具備してなる鋏である。そして、螺子装置が上記の螺子装置である。
【0017】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
図1(a),(b),(c),(d),(e)は本発明になる螺子装置の要部(雄螺子)を示すもので、図1(a)は雄螺子体部の平面図、図1(b)は雄螺子体部の側面図、図1(c)は雄螺子体部の底面図、図1(d)は図1(a),(b),(c)に示される雄螺子体部に螺合(螺着)される装飾体部の平面図、図1(e)は図1(a),(b),(c)に示される雄螺子体部に螺合(螺着)される装飾体部の側面図であり、図2は雄螺子体部に装飾体部が螺合(螺着)された螺子装置の側面図である。
【0018】
本発明の螺子装置(雄螺子)は、鋏の半体(動刃体:リングに親指が入れられる側の鋏半体)と鋏の半体(静刃体:リングに親指以外の指が入れられる側の鋏半体)とを締着(結合)する為に用いられる。すなわち、図3に示される従来の鋏における螺子と同様にして用いられる。
【0019】
各図中、Aは雄螺子体部である。この雄螺子体部Aは、下方側に円柱状の軸部1を有する。この軸部1の外周囲には螺子溝2が切られている。従って、この螺子部は雄螺子型のものである。そして、軸部1の軸芯方向において、例えば+(×)状の割溝3が形成されている。
【0020】
4は、軸部1の端部(上部)に設けられた大径の頭部である。この頭部4には、その上端面から下側に向かって、その中心位置に穴5が穿たれている。そして、穴5の内周壁面には螺子溝6が切られている。従って、この螺子部は雌螺子型のものであって、螺子穴が形成されているのである。
【0021】
7は、大径の頭部4の上端面(頂面)に形成された割溝である。この割溝7は、例えば−状のものであるが、+状のものであっても良い。
【0022】
Bは、雄螺子体部Aの螺子穴(螺子溝6)に螺合させることで一体的なものとなる装飾体部である。この装飾体部Bは、円柱状の軸部11と、軸部11の端部(上部)に設けられた大径の頭部12とを有する。
【0023】
そして、軸部11の外周囲には、雄螺子体部Aの螺子溝6に螺合する螺子溝13が切られている。そして、頭部12の側面には軸部11の軸芯方向に沿ったローレット14が設けられている。更に、頭部12の上端面(頂面)には凹部15が形成されており、この凹部15に、例えば模造宝石16が嵌め込まれている。
【0024】
さて、上記のように構成させた雄螺子体部Aと、図示しない雌螺子(ナット)とを用いることによって、図3に示される如く、先ずは、鋏半体と鋏半体とが締着(結合)される。この段階では、装飾体部Bが雄螺子体部Aに螺合されていないから、これまでと同様にして行なえる。
【0025】
そして、半体同士の締着(結合)・調整が終わった後、装飾体部Bの軸部11の螺子溝13を雄螺子体部Aの螺子穴(螺子溝6)に合わせる(螺合する)ことによって、装飾体部Bが雄螺子体部Aに取り付けられるものとなる。尚、この取付作業に際しては、装飾体部Bは雄螺子体部Aに極めて強固に締め付ける必要が無いから、頭部12に形成されたローレット14を利用することで簡単に取り付けられる。
【0026】
尚、模造宝石16が異なる装飾体部Bを幾つも用意しておけば、気分に応じて交換することが出来、その結果、幾つもの鋏を持っているかの如くになり、かつ、ファッション性に富むことから、例えば女性が対象の美容室向けの鋏として非常に好都合である。
【0027】
又、上記実施形態では、Aが雄螺子体部のもので説明したが、これは雌螺子型のものでも適用できる。例えば、軸部1の先端(下端)面に螺子穴を形成したものであっても良い。この場合には前記螺子穴(ナット)に螺合する螺子(雄螺子)が用いられることになる。
【0028】
又、上記実施形態では、軸部1の端部(上部)に設けられた大径の頭部4に螺子穴(螺子溝6)が設けられたもので説明された。基本的には、上記実施形態の如く、螺子穴であろうが、頭部に軸を立設し、この軸の外周囲に螺子溝を設けると共に、軸に割溝を設けるようにしても良い。そして、このような場合にあっては、装飾体部Bは、軸部11には螺子穴が形成されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明になる螺子装置の要部説明図
【図2】本発明になる螺子装置の要部説明図
【図3】鋏の説明図
【符号の説明】
【0030】
A 雄螺子体部
1 円柱状軸部(軸体)
2 螺子溝(第1の螺子部)
4 大径頭部
5 穴
6 螺子溝(第2の螺子部)
7 割溝
B 装飾体部
11 円柱状軸部
12 大径頭部(頭部)
14 ローレット
15 凹部
16 模造宝石(装飾部)

代 理 人 宇 高 克 己

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の螺子部と、
前記第1の螺子部が設けられた軸体と、
前記軸体の上端部に設けられた第2の螺子部と、
前記軸体の上端部に設けられた割溝部と、
前記第2の螺子部に螺合する第3の螺子部を有する頭部
とを具備してなり、
前記頭部には装飾が施されてなる
ことを特徴とする螺子装置。
【請求項2】
第1の螺子部は、軸体の外周囲に形成された雄螺子型および軸体に設けられた中心穴の内周囲に形成された雌螺子型の中から選ばれるものである
ことを特徴とする請求項1の螺子装置。
【請求項3】
軸体の上端部に設けられた第2の螺子部は、軸体の上端面から穿たれた穴の内周囲に形成された雌螺子型のものであり、
第3の螺子部は、軸体の外周囲に形成された雄螺子型のものである
ことを特徴とする請求項1又は請求項2の螺子装置。
【請求項4】
螺子挿通孔が形成された第1の鋏半体と、螺子挿通孔が形成された第2の鋏半体と、前記第1の鋏半体の螺子挿通孔および前記第2の鋏半体の螺子挿通孔に挿通された螺子装置とを具備してなる鋏であって、
前記螺子装置が請求項1〜請求項3いずれかの螺子装置である
ことを特徴とする鋏。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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