鋳造金型装置


【課題】 スリーブの落下防止とともに、スリーブ内周面とボアピン外周面との間の間隔を一定に維持することができる鋳造金型装置を提供する。
【解決手段】 ボアピン3の軸方向を基準として先端近傍の外周部と基部寄りの外周部には、それぞれ周方向に等間隔でボールプランジャ5、6が設けられている。先端近傍の外周部に設けた3個のボールプランジャ5と基部寄りの外周部に設けた3個のボールプランジャ6は軸方向から見て60°位相がずれている。また、ボールプランジャ6については、ピストン上死点近傍のピストンリングが位置する箇所にしている。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンブロックやシリンダバレルなどを鋳造する金型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンブロックやシリンダバレルなどは鋳造時にシリンダ内周部にスリーブを鋳込む。このスリーブを鋳込むために鋳造金型装置は特許文献1に開示されるようなボアピンを備え、このボアピンの外周にスリーブを装着して鋳造を行うようにしている。
【0003】
ボアピンが下方或いは斜め下方を向いている場合には、スリーブが落下してしまうため、特許文献2ではボアピンの他に支持ピンを金型に設け、この支持ピンを型締めの際に突出せしめてスリーブの下端を支持ピンで支持するようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−71405号公報
【特許文献2】特開2004−74252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図4は従来のボアピンにスリーブが保持されている状態の軸方向断面図、図5は従来のボアピンにスリーブが保持されている状態の径方向断面図であり、ボアピンにスリーブを装着するには、ボアピンの外径よりもスリーブの内径を若干大きくする必要がある。
【0006】
その結果、スリーブの中心がボアピンの中心からずれ、鋳造後に行う内面加工の際に、スリーブの厚みに偏肉が生じ、エンジン駆動時の歪や応力に悪影響がもたらされる。
【0007】
また、特許文献2のようにスリーブ落下防止用の支持ピンを備えるものにあっては、支持ピンの挿通穴への溶湯の差込みによる作動不良が発生しやすいという問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明に係る鋳造金型装置は、スリーブを保持するボアピンの外周に、スリーブ内周面に弾接するボールプランジャが周方向に等間隔で少なくとも3箇所設けられた構成とした。
周方向に等間隔で少なくとも3箇所設けることで、確実にスリーブ内周面とボアピン外周面との間の間隔を一定に維持することができる。
【0009】
また、ボールプランジャを設ける位置としては、ピストン上死点近傍のピストンリングが位置する箇所とすることが好ましい。この位置がピストンの摺動に最も影響を及ぼすためである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る鋳造金型装置によれば、スリーブの落下防止とともに、スリーブ内周面とボアピン外周面との間の間隔を一定に維持することができ、スリーブの内面加工の際に、偏肉が発生しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る鋳造金型装置の要部断面図で(a)は型締め前、(b)は型締め後の状態を示し、図2はボアピンにスリーブが保持されている状態の軸方向断面図、図3はボアピンにスリーブが保持されている状態の径方向断面図である。
【0012】
鋳造金型装置は固定型1、可動型2及びボアピン3を備え、固定型1と可動型2間に形成されるキャビティ4内にボアピン3が挿抜される。
【0013】
ボアピン3の軸方向を基準として先端近傍の外周部と基部寄りの外周部には、それぞれ周方向に等間隔でボールプランジャ5、6が設けられている。先端近傍の外周部に設けた3個のボールプランジャ5と基部寄りの外周部に設けた3個のボールプランジャ6は軸方向から見て60°位相がずれている。また、ボールプランジャ6については、ピストン上死点近傍のピストンリングが位置する箇所にしている。
【0014】
このように位相をボールプランジャを各段で3個設けるとともに位相をずらすことで、スリーブ7を安定して保持することができる。尚、スリーブ7の形態は任意であり、例えば鋳造によって得られるスリーブでもよい。
【0015】
また、ボアピン3には背面側から穴8が形成され、この穴8内に冷媒を送り込むパイプ9が挿入されている。また熱交換を効率よく行うため、穴8の内周面にはスパイラル状の溝10が形成されている。
【0016】
以上において、図1(a)の型締め前の状態でボアピン3にスリーブ7を外嵌し、ボールプランジャ5、6の弾接力によってスリーブ7を保持する。次いで、(b)に示すように型締めし、キャビティ内に溶湯を供給する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る鋳造金型装置の(a)は型締め前、(b)は型締め後を示す要部断面図
【図2】ボアピンにスリーブが保持されている状態の軸方向断面図
【図3】ボアピンにスリーブが保持されている状態の径方向断面図
【図4】従来のボアピンにスリーブが保持されている状態の軸方向断面図
【図5】従来のボアピンにスリーブが保持されている状態の径方向断面図
【符号の説明】
【0018】
1…固定型、2…可動型、3…ボアピン、4…キャビティ、5,6…ボールプランジャ、7…スリーブ、8…穴、9…パイプ、10…スパイラル状の溝。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリーブを保持するボアピンを備えた鋳造金型装置において、前記ボアピンの外周にはスリーブ内周面に弾接するボールプランジャが周方向に等間隔で少なくとも3箇所設けられていることを特徴とする鋳造金型装置。
【請求項2】
請求項1に記載の鋳造金型装置において、前記ボールプランジャは、ピストン上死点近傍のピストンリングが位置する箇所に設けることを特徴とする鋳造金型装置。


【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【公開番号】特開2009−72817(P2009−72817A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
処理操作;運輸 | 鋳造;粉末冶金 | 金属の鋳造;同じ方法または装置による他の物質の鋳造 | 製品の一部を形成する物体の中,上またはまわりへの鋳造 | ライニングまたは被覆を形成するためのもの,例.耐摩耗性金属の
処理操作;運輸 | 鋳造;粉末冶金 | 金属の鋳造;同じ方法または装置による他の物質の鋳造 | 製品の一部を形成する物体の中,上またはまわりへの鋳造
処理操作;運輸 | 鋳造;粉末冶金 | 金属の鋳造;同じ方法または装置による他の物質の鋳造 | 加圧または噴射ダイキャスト,すなわち,高圧により鋳型に金属を注入する鋳造 | 付属具;細部 | ダイス;ダイプレート;ダイ保持具;ダイスの冷却装置;ダイスから鋳物を解放し取出すための補助具 | 中子またはインサートを位置決めし保持するための補助具
処理操作;運輸 | 鋳造;粉末冶金 | 金属の鋳造;同じ方法または装置による他の物質の鋳造 | 加圧または噴射ダイキャスト,すなわち,高圧により鋳型に金属を注入する鋳造
処理操作;運輸 | 鋳造;粉末冶金 | 鋳造用鋳型造型 | 鋳型または中子 | 特殊形状体鋳物用鋳型 | 中空物品用のもの
処理操作;運輸 | 鋳造;粉末冶金 | 鋳造用鋳型造型 | 鋳型または中子 | 中子;中子の製作または取付け
機械工学;照明;加熱;武器;爆破 | 燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備 | 燃焼機関のシリンダ,ピストンまたはケーシング;燃焼機関の密封装置の構成 | シリンダ;シリンダヘッド
機械工学;照明;加熱;武器;爆破 | 燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備 | 燃焼機関のシリンダ,ピストンまたはケーシング;燃焼機関の密封装置の構成 | シリンダ;シリンダヘッド | 冷却手段があるもの | 空気冷却 | 冷却フィンの形または構成;フィン付きシリンダ | ライナおよびシリンダ冷却部が別体となったものまたは異種の材料から成るもの
【出願番号】特願2007−244996(P2007−244996)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【特許番号】特許第4243303号(P4243303)
【特許公報発行日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社
【Fターム(参考)】
内燃機関のシリンダブロック、ケーシング | エンジン内の場所 | シリンダブロック | シリンダスリーブ
内燃機関のシリンダブロック、ケーシング | エンジン内の場所 | シリンダブロック | 上死点付近
内燃機関のシリンダブロック、ケーシング | エンジン内の場所 | シリンダブロック | オープンデッキ型シリンダブロック
内燃機関のシリンダブロック、ケーシング | 冷却のための構成 | 空冷 | 冷却フィン | シリンダ軸方向のフィン
内燃機関のシリンダブロック、ケーシング | 製造方法 | 鋳造 | 鋳込み部品
内燃機関のシリンダブロック、ケーシング | 製造方法 | 位置決め | 位置決めピンを用いたもの
鋳型又は中子及びその造型方法 | 中子取りの材料 | 金属
鋳型又は中子及びその造型方法 | 自動車のエンジン部材 | シリンダ | ブロック
鋳型又は中子及びその造型方法 | 自動車のエンジン部材 | その他
鋳型又は中子及びその造型方法 | 中空物品の鋳型 | その他