説明

鋼の連続鋳造用発熱型モールドパウダー

【課題】本発明の目的は、鋼の連続鋳造用モールドパウダーを溶鋼上に散布した時に、炎や煙、及びボイリングの発生量やそれに伴う発塵が極めて軽微で、モールド内の観察が容易で、溶融速度を遅延しすぎることがなく、金属を添加したモールドパウダーに発生し易い溶融不良等を起すことがなく、且つ発熱性を付与した鋼の連続鋳造用発熱型モールドパウダーを提供することにある。
【解決手段】本発明に係る鋼の連続鋳造用発熱型モールドパウダーは、モールドパウダー用ベース配合物に対して、外掛けで7質量%以下の量で、弗素原子と炭素原子のモル比(F/C)が1≦F/C≦2の範囲内にあり、かつ水素原子と炭素原子のモル比(H/C)が0≦H/C≦1の範囲内にある弗素原子及び炭素原子含有化合物を配合することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼の連続鋳造用モールドパウダーに発熱性を付与し、溶鋼表面を保持しつつ、溶融速度を遅延しすぎることなく、燃焼ガスの発生に伴う発塵を抑制することができる鋼の連続鋳造用発熱型モールドパウダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼の連続鋳造においては、モールド内においてモールドパウダーが添加される。浸漬ノズルを介してモールド内に注入され、溶鋼表面上に添加されたモールドパウダーは、溶鋼からの受熱により溶鋼表面より溶融スラグ層、焼結層及び未溶融の原パウダー層の層状構造を形成し、種々の役割を果たしながら鋼の凝固シェルとモールド間に流れ込み消費される。
【0003】
モールドパウダーの役割は、主として以下の5項目である:
(a)モールドと凝固シェルとの潤滑作用;
(b)溶鋼中から浮上する介在物の溶解、吸収作用;
(c)凝固シェルとモールド間の抜熱制御媒体;
(d)溶鋼の酸化防止;
(e)溶鋼の保温作用。
中でも、溶鋼の保温作用は重要であり、保温性が不足すると溶鋼表面が冷えやすくなり、ディッケル(溶鋼表面の凝固)が生成し、安全鋳造できなくなる。また、ディッケルの生成とまでいかなくても、保温性が悪いと凝固シェル先端が過剰に成長し、いわゆる爪状凝固シェルを生成し、溶鋼中から浮上してきた介在物や気泡が爪に捕捉され、介在物欠陥や気泡欠陥の原因となる。
【0004】
保温性はモールドパウダーの断熱性と発熱量に左右される。発熱量は炭素質原料の燃焼による酸化発熱、鉱物の変態、分解反応による吸熱を総合した量である。基本的には、炭素質原料によって確保され、炭素質原料の粒度、種類、添加量の調整が重要である。炭素質原料は溶融速度の調整作用の役割も果たすが、過剰な添加はモールドパウダーの溶融速度を遅くし、そのため溶融スラグ層厚みが薄くなり、潤滑不足となって拘束性ブレークアウトの危険性が高くなるだけではなく、未溶融のパウダー層及び焼結層と溶鋼湯面とが接近し湯面変動が生じた場合に、未溶融パウダーが溶鋼に巻き込まれ鋳片欠陥が発生し易くなる問題がある。また、有機質原料を添加すると炎や煙の発生量が多くなり、この燃焼ガスによってモールドパウダーがボイリングしたり、発塵し易くなり、モールド内の様子が観察し難く、作業環境が悪化する問題がある。
【0005】
そこで、モールドパウダーの発熱量を増加させるために様々な提案がなされている。例えば、金属粉を添加することが行われており、その一例として特許文献1には、金属または合金を1〜20質量%、酸化マンガンを1〜40質量%、及びアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩及びアルカリ金属硝酸塩からなる群から選択された発熱開始促進材の1種または2種以上を0.5〜13質量%含有してなることを特徴とする鋼の連続鋳造用発熱型モールドパウダーが開示されている。
【0006】
また、大気中の酸素と反応して燃焼消失することを利用して組成の変化を抑えつつ発熱を付与することも提案されている。例えば、特許文献2には、鋼の連続鋳造用モールドフラックスにおいて、顆粒を構成する主要原料の平均粒子径より大きくした粗粉の有機質物質および/または粗粉の炭素質物質を配合し、噴霧乾燥方式で顆粒状に造粒することにより、粗粉の有機質物質および/または粗粉の炭素質物質を顆粒状モールドフラックスの内部に集積せしめたことを特徴とする保温効果を有する顆粒状モールドフラックスが開示されている。ここで、有機質物質として、使用時の燃焼ガスが作業環境を害さない範囲で燃焼熱量を有する木粉、木屑、木皮、大鋸屑、パルプ、紙、竹、植物の茎、種子や穀物及びその外皮、その他の一般的な有機質物質を1〜8質量%添加することで発熱効果が得られるとしている。
【0007】
更に、特許文献3には、鋼の連続鋳造に使用するモールドフラックスにおいて、1300℃における粘度が8Poise以上であり、1800℃以上の融点を有する高融点原料の使用比率がスラグ状態での酸化物換算値で10質量%以下であることを特徴とする鋼の連続鋳造用のモールドフラックス(請求項1);有機質物質および/または炭素質物質を配合して200cal/g以上の発熱量を付与し、かつ顆粒状にしたことを特徴とする前記モールドフラックス(請求項2)が開示されている。また、有機質物質としては、木粉、木屑、木皮、大鋸屑、パルプ、紙、竹、植物の茎、種子や穀物及びその外皮等の粉末、造粒用のバインダーとして使用されるデキストリン、CMC(カルボキシメチルセルロース)、リグニン、αスターチ等が、炭素質物質としては、固定炭素約70質量%以上の天然または人造黒鉛、コークス、石炭、木炭等が例示されている。
【0008】
また、特許文献4には、少なくとも鋳型添加剤用母材、フラックス、骨材とを含み、実質的に非中空の球状顆粒状を有することを特徴とする球状鋳型添加剤が開示されている。また、球状鋳型添加剤の表面を炭素で被覆できることが開示されており、また、フッ化カーボン(CF)、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム等により炭素被覆表面を被覆して多層コーティングとすることができることも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−105052号公報
【特許文献2】特開2002−113561号公報
【特許文献3】特開2006−43725号公報
【特許文献4】特開平5−131266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示されている発熱型モールドパウダーのように、金属または合金粉の添加により、十分な発熱を得ようとすると、反応性に優れた金属または合金粉を使用するか、反応性の低い金属類を多量に使用する必要がある。また、反応性に優れた金属アルミニウムのような金属は粉塵爆発の危険性が高いため、安全面から使用し難いという問題点があった。一方、反応性の比較的低い金属SiやCa−Siが一般的に使用されるが、金属の酸化によって生成した酸化物がフラックス内に取り込まれることによりフラックスの組成が変化する。更に、未反応のまま溶融したフラックスに取り込まれることがしばしばあり、発熱量が安定せず、また、生成する酸化量が変動するためフラックスの組成が異なり、粘性等の物性も変動する恐れがある。また、溶融不良によって焼結層が異常生成し、溶融スラグがモールド内に流入するのを阻害し鋳片がモールドと直接接触することによるブレークアウトが発生し易くなるといった問題点もある。
【0011】
また、特許文献2及び3に開示されているようなモールドフラックス並びに特許文献4に開示されているような球状鋳型添加剤には、デンプン、セルロース、木炭等の一般的な有機物、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸類、ポリエチレン等の高分子系有機物が含まれており、これらを高周波誘導炉にて溶銑上に散布すると、炎が大きく、煙が多く発生し、有機質物質から発生した炭化水素に伴うボイリングが発生して発塵が多くなるという問題点がある。
【0012】
従って、本発明の目的は、鋼の連続鋳造用モールドパウダーを溶鋼上に散布した時に、炎や煙、及びボイリングの発生量やそれに伴う発塵が極めて軽微で、モールド内の観察が容易で、溶融速度を遅延しすぎることがなく、金属を添加したモールドパウダーに発生し易い溶融不良等を起すことがなく、且つ発熱性を付与した鋼の連続鋳造用発熱型モールドパウダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
即ち、本発明に係る鋼の連続鋳造用発熱型モールドパウダーは、モールドパウダー用ベース配合物に対して、外掛けで7質量%以下の量で、弗素原子と炭素原子のモル比(F/C)が1≦F/C≦2の範囲内にあり、かつ水素原子と炭素原子のモル比(H/C)が0≦H/C≦1の範囲内にある弗素原子及び炭素原子含有化合物を配合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、鋼の連続鋳造用発熱型モールドパウダーに特定の弗素原子及び炭素原子含有化合物を配合することにより、モールドパウダーを溶鋼上に散布した時に、十分な発熱量が得られ、炎や煙、及びボイリングの発生が極めて少なく、モールド内観察が容易で、作業環境性が向上した鋼の連続鋳造用発熱型モールドパウダーを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の鋼の連続鋳造用発熱型モールドパウダー(以下、「モールドパウダー」と記載する)を構成するモールドパウダー用ベース配合物は、CaOとSiOとから主として構成される基材原料、シリカ原料、フラックス原料、カーボン、その他の成分から構成することができる。
基材原料としては、例えば合成珪酸カルシウム、セメント類、ウォラストナイト、ダイカルシウムシリケート等を使用することができる。ここで、基材原料の配合割合は、40〜80質量%、好ましくは50〜70質量%の範囲内である。なお、基材原料の配合割合が40質量%未満の場合には、CaO成分が少なくなりずきるために好ましくなく、また、80質量%を超えると、CaO成分とSiO成分以外の成分が少なくなりすぎるため好ましくない。
次に、シリカ原料としては、例えば珪石、ガラス、珪藻土等を使用することができる。ここで、シリカ原料の配合割合は、0〜25質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内である。なお、シリカ原料の配合割合が25質量%を超えると、SiO成分が多くなりすぎるため好ましくない。
また、フラックス原料としては、例えばフッ化ナトリウム、蛍石、炭酸リチウムのようなアルカリ金属炭酸塩等を使用することができる。ここで、フラックス原料の配合割合は、5〜45質量%、好ましくは6〜40質量%の範囲内である。なお、フラックス原料の配合割合が5質量%未満の場合には、モールドパウダーの融点、凝固温度が高くなりすぎるために好ましくなく、また、45質量%を超えるフラックスを添加する必要はない。
更に、カーボンとしては、例えばカーボンブラック、コークス、黒鉛、膨張性黒鉛等を使用することができる。ここで、カーボンの配合割合は、0〜20質量%、好ましくは1〜10質量%の範囲内である。なお、カーボンの配合割合が20質量%を超えると、モールドパウダーの溶融が遅くなりすぎるため好ましくない。
また、その他の成分としては、例えばマグネシア、アルミナ等を使用することができる。ここで、その他の成分の配合割合は、0〜20質量%、好ましくは0〜10質量%の範囲内である。なお、その他の成分の配合割合が20質量%を超えて添加する必要はない。
【0016】
本発明のモールドパウダーは、上述のような配合割合を有するモールドパウダー用ベース配合物に、弗素原子と炭素原子のモル比(F/C)が1≦F/C≦2の範囲内にあり、かつ水素原子と炭素原子のモル比(H/C)が0≦H/C≦1の範囲内にある弗素原子及び炭素原子含有化合物を外掛けで7質量%以下の量で配合することを特徴とする。弗素原子及び炭素原子含有化合物を外掛けで7質量%以下の量で配合することにより、炎や煙、ボイリングの発生が極めて少なく、モールドパウダー投入時のモールド内の観察も容易になり、作業環境を向上させることができる。なお、弗素原子及び炭素原子含有化合物の配合量が外掛けで7質量%を超えると、モールドパウダーの使用時に炎や煙に伴う発塵量が増加して作業環境を悪化させるだけでなく、溶鋼への侵炭も懸念され、更に、モールドパウダーの溶融速度が遅くなりすぎるために好ましくない。なお、弗素原子及び炭素原子含有化合物の配合量は1〜7質量%が好ましく、2〜6質量%が更に好ましく、3〜5質量%が最も好ましい。
【0017】
ここで、弗素原子及び炭素原子含有化合物の弗素原子と炭素原子のモル比(F/C)が1未満であると、炎が大きくなり、発塵が多くなるために好ましくない。なお、弗素原子と炭素原子のモル比(F/C)は、長鎖の化合物において、理論上2が最大値となる。
【0018】
更に、水素原子と炭素原子のモル比(H/C)が1を超える化合物では、熱分解により炭化水素が多量に発生し、更に、空気中の酸素と反応することで火炎や煙、ボイリングの発生に伴う発塵が増加してモールド内の観察に支障を来たすことがあるために好ましくない。
【0019】
弗素原子及び炭素原子含有化合物の粒子径は好ましくは500μm未満、更に好ましくは125μm未満である。弗素原子及び炭素原子含有化合物の粒子径が500μm以上であると、比表面積が小さくなりすぎて発熱特性が低下することがあるために好ましくない。
【0020】
弗素原子及び炭素原子含有化合物は、適宜水素原子、酸素原子等を含むもの構成のものであってもよく、例えば次のような化合物を用いることができる:
ポリビニリデンフルオライド(F/C=1、H/C=1;以下、「PVDF」と記載する)
【化1】

テトラフルオロエチレン・パーフルオロジオキソールコポリマー(F/C=1.67、H/C=0;以下、「TFE/PDD」と記載する)
【化2】

ポリテトラフルオロエチレン(F/C=2、H/C=0;以下、「PTFE」と記載する)
【化3】

テトラアルオロアルキルビニルエーテル共重合体(F/C=2、H/C=0;以下、「PFA」と記載する)
【化4】

テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(F/C=2、H/C=0;以下、「FEP」と記載する)
【化5】

【0021】
本発明のモールドパウダーの形態は特に限定されるものではなく、粉末状、柱状、中空状顆粒、非中空状顆粒等の形態とすることができる。
【0022】
また、本発明のモールドパウダーには、金属原料を配合することもできる。金属原料の配合量は、ベース配合物に対して外掛けで10質量%未満、好ましくは5質量%未満である。ここで、金属原料の配合量が10質量%を超えると、金属原料の酸化が完了しない恐れがあり、溶融不良を起し、発熱量が低下することがあるために好ましくない。なお、金属原料としてはSi、Ca−Si合金等を使用することができる。
【実施例】
【0023】
以下に実施例を挙げて本発明のモールドパウダーを更に説明する。
本発明品及び比較品のモールドパウダーのベース配合物の配合割合を以下の表1に示す。
【0024】
【表1】

【0025】
次に、表2に示す配合割合にて、ベース配合物に、弗素原子及び炭素原子含有化合物並びに他の有機質物質を配合することにより本発明品及び比較品のモールドパウダーを得た。なお、比較品1はベース配合物単味のブランクである。
【0026】
【表2】

【0027】
表2中、
PVDFは、F/C=1、H/C=1、分子量10万〜100万で、30メッシュ(590μm)アンダーのものである;
TFE/PDDは、F/C=1.67、H/C=0、分子量10万〜100万で、30メッシュ(590μm)アンダーのものである;
PTFEは、F/C=2、H/C=0、分子量700〜4000で、30メッシュ(590μm)アンダーのものである;
PFAは、F/C=2、H/C=0、分子量10万〜100万で、30メッシュ(590μm)アンダーのものである;
FEPは、F/C=2、H/C=0、分子量10万〜100万で、30メッシュ(590μm)アンダーのものである;
CMCは、カルボキシメチルセルロースを表し、F/C=0、H/C=1.63で、100メッシュ(149μm)アンダーのものである;
PEはポリエチレンを表し、F/C=0、H/C=2、分子量2万〜30万で、30メッシュ(590μm)アンダーのものである。
PPはポリプロピレンを表し、F/C=0、H/C=2.33、分子量2万〜50万で、30メッシュ(590μm)アンダーのものである。
【0028】
次に、本発明品及び比較品のモールドパウダーについて、諸特性を評価した。
評価項目(1)は、高周波誘導炉にて1500℃に保持した溶銑上にモールドパウダーを散布し、発熱性、炎、煙、ボイリング並びに溶融性状の差異を目視により比較したものである。
評価項目(2)は、モールドパウダーを鋳造速度が1.3m/分で220×1300mmの低炭素鋼に投入して侵炭、モールド内観察性並びに発熱性、炎、煙、ボイリング、溶融性状を合わせて評価した総合評価を目視により比較したものである。得られた結果を表3に記載する。
なお、発熱性において、◎は大きいを、○は良好を、×は不良をそれぞれ示す。また、炎、煙及びボイリングにおいて、◎は全くないを、×は著しく多いをそれぞれ示す。更に、溶融性状において、◎は良好を、×は不良をそれぞれ示す。また、侵炭において、◎は少ないを、×は多いをそれぞれ示す。また、モールド内観察性において、◎は良好を示し、×は不良をそれぞれ示す。更に、総合評価において、◎は最良を、○は良好を、×は不良を示す。
【0029】
【表3】

【0030】
本発明品1〜7では、弗素原子及び炭素原子含有化合物を表2に記載する量で添加することにより、十分な発熱量を有しつつ、炎や煙、及びボイリングの発生が抑制され、発塵も極めて軽微であり、高周波誘導炉内観察も容易であり、溶融性状も良好で、溶融速度もベース配合物と大差なかった。また、実機鋳造時においても炎や煙が抑制され、発塵も軽微であり、モールド内の観察は容易であった。
比較品1では、炎や煙、ボイリングの発生は軽微であり、溶融性状も良好で高周波誘導炉内観察が容易であったが発熱量が少なかった。実機鋳造時においても発熱量が不足し、溶鋼の保温性が低下し、溶鋼の皮張り(ディッケル)が生成した。
比較品2〜4では、発熱量は増加したが、配合した有機質物質の燃焼に伴う炎や煙、及びボイリングの発生量が多く、発塵が多くなり、高周波誘導炉内観察が困難で、溶融不良を起し、溶融速度もベース配合物より遅くなった。また、実機鋳造時においても、炎や煙の発生によってモールド内観察が困難であった。
比較品5では、PTFEの配合量が多すぎるため、炎や煙、及びボイリングが大きく、発塵が多く、高周波誘導炉内が観察し難くなり、溶融不良を起し、溶融速度はベース配合物よりも大幅に遅くなった。また、実機鋳造時においても、炎や煙、及びボイリングの発生量は多く、モールド内が観察し難く作業環境が悪化し、更には侵炭が発生した。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明のモールドパウダーは、各種鋼の連続鋳造に好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼の連続鋳造用発熱型モールドパウダーにおいて、モールドパウダー用ベース配合物に対して、外掛けで7質量%以下の量で、弗素原子と炭素原子のモル比(F/C)が1≦F/C≦2の範囲内にあり、かつ水素原子と炭素原子のモル比(H/C)が0≦H/C≦1の範囲内にある弗素原子及び炭素原子含有化合物を配合することを特徴とする鋼の連続鋳造用発熱型モールドパウダー。
【請求項2】
前記弗素原子及び炭素原子含有化合物は、ポリビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン・パーフルオロジオキソールコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、テトラアルオロアルキルビニルエーテル共重合体及びテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体からなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1記載の鋼の連続鋳造用発熱型モールドパウダー。

【公開番号】特開2012−250262(P2012−250262A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124763(P2011−124763)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000001971)品川リフラクトリーズ株式会社 (112)
【Fターム(参考)】