鋼基材ショットを含んでなる高耐摩耗性複合材料および該材料の製造方法
本発明は、100重量部の結合剤、粒度分布が120〜3000μmである250〜800重量部の鋼基材ショット、10〜15重量部の非圧縮ケイ素蒸気および超可塑剤の高減水剤を水と混合することにより作製される、複合材料に関する。水の重量と水硬性結合剤の重量との比率は0.16〜0.25である。本複合材料は、C.N.Rプロトコルで測定すると0.15〜1.0である、高い耐摩耗性指数(I)を示し、ショットのD10粒度値が水硬性結合剤のD90粒度値より少なくとも8倍大きい。
【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は:
‐水硬性結合剤の総重量に対して少なくとも5重量%未満のアルミン酸三カルシウム含有率を有するセメントにより形成されている水硬性結合剤
‐120〜3000μmの粒度分布を有する鋼基材ショット
‐2μm以下の粒度を有する非高密度化シリカフューム
‐高減水超可塑剤
を含んでなる組成物を水と混合し、水の重量と水硬性結合剤の重量との比率が0.16〜0.25であることにより得られる複合材料に関する。
【0002】
本発明は、このような複合材料の製造方法にも関する。
【技術水準】
【0003】
特に工業用途で、ある部分を摩耗から保護するために、通常非常に高い機械的性能を呈することで厚さを抑えられる、高硬度の特殊鋼または鉱石製のエレメントを用いることが知られている。しかしながら、高硬度の特殊鋼または鉱石は成形する上で溶融されねばならないため、それらは適用に際してさほど実用的ではない。このように、それらは冷却された後で、それらが型へ入れられ、保護すべき部分へ機械的に固定されるか、またはそれらは保護すべき部分へ直接的に熱時適用される。
【0004】
土木工学では、コンクリートまたはモルタルが摩耗または不法侵入からの防御分野で用いられる。それらは周囲温度で型に入れられるため、それらは適用しやすいという利点をもつ。しかしながら、コンクリートまたはモルタルの機械的性能は、高硬度の金属エレメントまたは鉱石、例えば電気溶融鉱石の場合よりもかなり低い。そのため、WO‐A‐9,013,524では、異なる粒度クラスを有する3タイプの無機固体粒子、例えば2μm未満の粒度を有するシリカフューム、2〜7μmの粒度を有するセメントと100μm未満の粒度を有する金属粒子および焼成ボーキサイトの混合物から加工品ができている。それらは非常に多量の微細および超微細粒子の使用を要し、焼成ボーキサイトは比較的高価であるため、このような処方は更に一層負担になる。
【0005】
コンクリートおよびモルタルの機械的性能を改善するために、セメントマトリックスに金属または有機繊維を配合し、可能であればラミネーションにより型で成形を完了させることが知られている。例えば、EP‐A‐0,934,915は、比較的良い耐摩耗性を呈し、セメント、異なる粒度の焼成ボーキサイト砂、シリカフューム、減水超可塑剤、消泡剤および繊維を含んでなる、非常に高性能のコンクリートについて記載している。同様に、FR‐A‐2,640,962は、セメント、即ち鋼または鋳鉄、マイクロシリカ、水、流動化剤で形成された混合物、消泡剤および金属繊維から調製しうる高硬度凝集物を含んでなる、発射物の侵入を抑制しうる非常に高性能の複合コンクリートについて記載している。しかしながら、このような繊維コンクリートの適用に際しては、繊維を配合して繊維コンクリートを混合する上で特別な装置の使用を必要とするため、その適用は比較的非実用的でコスト高となる。更に、繊維はセメントマトリックスで局部欠陥を引き起こし、それらが表面に現れると、引裂部位を生じうる。したがって、それらは高性能コーティングから通常除外される。
【0006】
部分を摩耗から保護するために、花崗岩または玄武岩のような硬岩製のエレメント、ブロック、スラブまたはプレートのアセンブリーを作製することも可能である。しかし、コーティングがほぼ直ちに固着するよう保証するには、これらアセンブリーの組立ておよび封止が非常に綿密に行われねばならないため、それらは特に面倒でコスト高となることがわかった。
【0007】
US特許4,482,385では、不規則粒子のステンレス鋼をIII型ポルトランドセメント基材へ加えて、高い熱伝導率および低い真空透磁率を有した複合材料を得ることが提案された。該複合材料は24.28重量%のポルトランドセメント、53.45重量%の鋼粒子、6.66重量%の水、3.31重量%のシリカフューム、11.82重量%の微粉砕結晶シリカ製微細凝集物、0.47重量%の超可塑剤および0.01重量%の消泡剤を含んでなる。添加物は該材料の熱伝導率およびその密度を(約3.5まで)増加させることから、ステンレス鋼粒子がセメント基材で用いられている。鋼粒子は2粒度クラスの形で複合材料に配合されている。そのため、複合材料は10/25メッシュ(即ち、700〜2000μm)の粒度を有する鋼粒子34.77重量%および80/100メッシュ(即ち、150〜180μm)の粒度を有する鋼粒子18.68重量%を含んでなる。
【0008】
特開平7−276340号公報は、異なる粒度クラスで2タイプの凝集物:15〜20mmの粒度を有する鉄およびグリット製の粗凝集物と、サイズが0.08〜5mmである天然凝集物および金属球製の細凝集物からなる、高耐性コンクリートの製造方法について記載している。該方法は、粗凝集物を容器へ入れてそれらをプレスし、次いでセメント、シリカ粉末、天然細凝集物、金属細凝集物および減水剤を混合して得られたモルタルを該容器へ入れて加圧下で射出することからなる。粗凝集物および細凝集物によるこのような高耐性コンクリートの製造も、実施が難しく、比較的コスト高であることがわかった。
【発明の目的】
【0009】
好ましくは特殊鋼および電気溶融鉱石の場合と実質的に同等の、非常に良い耐摩耗性を有し、同時に処方と低温成形が容易で、比較的安価である、複合材料を提供することが、本発明の一目的である。
【0010】
本発明によると、C.N.Rプロトコルによる測定で0.15〜1.0の摩耗指数(I)を有する複合材料を得られるように、100重量部の水硬性結合剤当たり、250〜800重量部のショットおよび10〜15重量部のシリカフュームを組成物が含んでなり、ショットのD10粒度の値が水硬性結合剤のD90粒度の値より少なくとも8倍大きい、という事実により、この目的が達成されている。
【0011】
本発明の開発によると、複合材料の摩耗指数(I)は0.15〜0.45である。
【0012】
好ましい態様によると、ショットは、少なくとも:
‐0.0〜3.5%の炭素
‐0.0〜2%のケイ素
‐0.0〜2%のマンガン
‐0.0〜20%のクロム
‐0.0〜10%のニッケル
も含んでなる鉄基材合金により形成されている。
【0013】
本発明の別な特徴によると、ショットは丸型または角型である。
【0014】
0.15〜1.0の摩耗指数を有する複合材料を製造するための方法を提供することが、本発明の別な目的である。
【0015】
本発明によると、水、高減水超可塑剤、シリカフューム、セメントおよび鋼基材ショットを連続的に混合することでフレッシュな混合物を形成し、次いで得られた混合物が硬化前に成形されることから、該製造方法が構成されている、という事実によりこの目的が達成されている。
【0016】
本発明の開発によると、スラリーを形成するために、高乱流ミキサーに水、高減水超可塑剤、シリカフュームおよびセメントを予め入れて混合し、次いで鋼ショットがミキサー中のスラリーに配合されることで、フレッシュな混合物が形成される。
【0017】
別の特徴によると、硬化後に、耐摩耗性コーティング、シールディングまたは製造保護エレメントを得られるように、フレッシュな混合物が成形される。
【具体的態様の説明】
【0018】
本発明による複合材料は、
‐100重量部の水硬性結合剤
‐250〜800重量部の鋼基材ショット、好ましくは350〜550重量部の鋼基材ショット
‐10〜15重量部の非高密度化シリカフューム
‐好ましくは水の割合を大きく減少させるために特別に開発されたアクリル系コポリマーにより形成されている、高減水超可塑剤
‐および可能であれば消泡剤
を含んでなる組成物を水と混合することにより得られる。
【0019】
水硬性結合剤は、結合剤の総重量に対して5%未満、好ましくは3%未満のアルミン酸三カルシウム含有率を有するセメントにより形成されている。該セメントは、好ましくは、欧州標準EN197‐1によると、ポルトランドセメントクラスCEM I 52.5PM.ESのような純粋ポルトランドセメントである。
【0020】
鋼基材ショットは、粒度分布が120〜3000μm、好ましくは500〜1200μmである、多数の鋼基材粒により形成されている。それは好ましくは角型または丸型であり、摩耗性である。角型または丸型鋼基材ショットとは、ショットを構成する粒のほとんどが図1および2で示されているように角型または丸型であることを、我々は意味している。該ショットは、好ましくは、少なくとも:
‐0.0〜3.5%の炭素
‐0.0〜2%のケイ素
‐0.0〜2%のマンガン
‐0.0〜20%のクロム
‐0.0〜10%のニッケル
も含んでなる鉄基材合金により形成されている。
【0021】
好ましくは、該鉄基材合金は、少なくとも0.0〜1.2%の炭素、0.0〜1.2%のケイ素、0.0〜1.2%のマンガン、0.0〜1.2%のクロムおよび0.0〜0.3%のニッケルを含んでなる。
【0022】
複合材料を得られる組成物は、1タイプのショット、または粒度分布が互いに異なる少なくとも2タイプのショットの混合物を含んでなる。
【0023】
シリカフュームは非高密度化されており、2μm以下の粒度を有している。例えば、シリカフュームはPechiney Anglefortプラント製のもののようなシリカフュームである。
【0024】
消泡剤は、硬化後に複合材料の気孔率を減少させるためにある。例えば、用いられる消泡剤はAXIM社販売のCimparementRである。高減水超可塑剤は、好ましくは、AXIM社販売のCIMFLUIDR製品のシリーズ、好ましくはALLEGRORのシリーズから選択される。
【0025】
水/セメントまたはW/C比とも称される、水の重量とセメントで構成される水硬性結合剤の重量との比率は、0.16〜0.25、好ましくは0.20〜0.25である。このようなW/C比であれば、良い流動性を有した、ペーストとも称される、スラリーを得られるため、好ましくは最終段階で、成形用のフレッシュな混合物に作業性を付与する上で、最大量のショットの添加を容易にする。
【0026】
ショットのD10粒度の値は、水硬性結合剤のD90粒度の値より少なくとも8倍大きい。ショットのD10粒度およびセメントのD90粒度とは、篩通過量がショットおよびセメント粒の総容積の各々10%および90%を占める篩サイズを各々意味する。ショットのD10値とセメントのD90値とでこのような比率であれば最大緻密度のペーストを特に得られるため、複合材料で非常に高い機械的性能を獲得しうる。そのため、例えば、50μmのD90粒度を有するセメントの場合であれば、ショットは400μmより大きなD10粒度を有することになる。
【0027】
複合材料は、いかなるタイプの公知方法で得てもよい。水、高減水超可塑剤、適用可能であれば消泡剤、シリカフューム、セメントおよびショットの連続混合物から、フレッシュな混合物を形成することで、それは得られる。好ましくは、スラリーを形成するために、高乱流ミキサーに水、高減水超可塑剤、シリカフュームおよびセメントを予め入れて混合し、次いで鋼ショットがミキサー中のスラリーに配合されることで、フレッシュな混合物が形成される。例えばセメントの量と比較して約2%の、少量の水も、スラリーが形成された際に、該スラリーの作業性を調整するために、ミキサーに加えてよい。
【0028】
次いで、硬化される前に、フレッシュな混合物が成形される。例えば、硬化後に、例えば機械にかけうる耐摩耗性コーティング、シールディングまたは製造保護エレメントを得られるように、フレッシュな混合物が成形される。例えば複合材料の最終形態を得られるように型へ入れることで、フレッシュな混合物が成形され、次いでそれが硬化すると、それが型から取り出される。射出、チキソフォーミング、押出またはその場の投出でもそれは成形しうる。加えて、それは次いで成形後に熱処理をうけられる。
【0029】
このような複合材料の密度は4000〜6000kg/m3、好ましくは4500〜5200kg/m3である。このような密度であれば、複合材料が良い衝撃強度を有して、非脆性であることを請け合える。
【0030】
このような複合材料の耐摩耗性が、水圧構造物で出会う摩耗条件を実験室で再現する目的から、Compagnie Nationale du Rhone(C.N.R.)により開発された摩耗試験台で測定された。試験すべき材料の試料がタンクに浸され、15〜75mnの時間にわたり45°の角度で含砂水の噴射により攻撃される。含砂水の噴射は、図3で示されているように、各試料で圧痕を生じている。各圧痕の容積は、水銀を用いて秤量することにより測定される。並行して、厚いガラスで試験が行われる。これら秤量の結果が、該材料で生じた圧痕の容積対ガラスで生じた圧痕の平均容積の比率に相当する、摩耗指数Iである。摩耗指数Iが低いほど、耐摩耗および摩擦性が高くなり、最高耐性材料で数十分の一、最低耐性材料で5または10の値の範囲内で、それは変わる。例示目的で、下記表は様々な材料の摩耗指数を掲載している:
【表1】
【0031】
本発明による複合材料の摩耗指数(I)は、C.N.R.で開発されたプロトコルに従い摩耗試験台で測定すると、0.15〜1.0、好ましくは0.15〜0.45である。したがって、本発明の複合材料中で大きな割合でのショットの存在と、ショットのD10とセメントのD90との比率で、高い耐摩耗性のみならず、高い機械的性能および良い対金属接着性も呈する複合材料を得られる。そのため、本発明による複合材料は15〜30MPa、好ましくは25〜30MPaの28日間曲げ強度、および150〜300MPaの28日間圧縮強度を有しうる。
【0032】
例えば、様々な処方の複合材料が作製され、5タイプのショット1〜5で試験された。走査型電子顕微鏡下の観察は、エネルギー分散型スペクトル測定(EDS)による元素分析と合わせて、図6、9、12において、ショット1および2が実質的に丸い粒子で形成され、ショット3がいくつかの丸い粒子と角型ビーズ形成粒子とで形成されている(図12)ことを示している。ショット4は丸型ショットであり、ショット5は角型で、非常に鋭い端部を有する嵩高粒で形成されている。図7、10、13および15で示されたエネルギー分散型スペクトル測定により得られた画像で表されているように、ショット1、2、3、4および5は主に鉄、炭素、ケイ素およびマンガンから構成されており、それに個別の化学元素が痕跡の形で共存している。
【0033】
ショット1、2および3の粒度分布が、図8、11および14で各々表されている。様々なクラスのショットの粒度分布が、フランス標準NF P 18‐560に従い、コンクリート粒子の粒度分布を調べるために常用されている篩で求められた。こうして、図7、10および13で示されているように、ショット1の粒度は200〜400μmであり、ショット2および3の粒度分布は各々250〜800μmおよび100〜1250μmである。ショット1および2のグレード範囲は非常に狭く、一方ショット3の場合はそれより広い。ショット4の粒度は700〜1400μmであり、ショット5の場合は1000〜2000μmである。
【0034】
ショット1、2、3は各々、7.01、7.35および6.65の絶対密度と、0.68、0.72、0.69の固有緻密度を有している。各ショットの緻密度が、非収縮金属型にショット7.5kgを入れ、ピストンで閉じ、10kPaの圧力を加えることにより測定された。次いで、型が振動台に固定され、150Hzの振動に4分間付される。次いで、緻密度が次の式C=M/(d*V)で得られる:Mはサンプルの重量kg、dは密度g/cm3およびVは最終容積m3である。
【0035】
これら様々なショットで作られた処方が下記表1で示されている。
【表2】
【0036】
処方F1〜F16はすべて同一方法で作製された。諸成分は下記手法で高乱流ミキサーを用いて混合された:
‐水、添加物およびシリカフュームを入れ、混合物を1分間攪拌し、
‐セメントを配合し、非常に流動性のあるペーストを得られるように、混合物を1分間攪拌し、
‐ショットを配合し、均質化が遂げられるまで混合物を混合し、
‐セメントの重量の最大2%まで、適用への作業性を調整するために水を加える。
【0037】
処方Ref‐1およびRef‐2は珪砂を含んでなる従来の処方に相当し、一方処方F‐1〜F‐16は本発明による複合材料の処方に相当する。
【0038】
処方F‐1、F‐3、F‐4、F‐9およびF‐11はタイプ2ショットのみを含み、一方処方F‐2、F‐5、F‐6、F‐7、F‐8およびF‐11は実質的に25重量%のタイプ1ショットおよび75重量%のタイプ2ショットを含んでなる。処方F‐10、F‐13およびF‐16はタイプ3ショットのみを含み、処方F‐14はタイプ4ショットのみを含み、処方F‐15はタイプ5ショットのみを含んでなる。
【0039】
下記表2は、表1で示された処方の理論密度、理論容積、真密度および見掛密度値と、吸水性気孔率を示している。
【表3】
【0040】
こうして得られた複合材料は4〜9%の気孔率を有し、したがってそれらは非常に緻密であり、処方Ref‐1およびRef‐2と比較して、硬化後に内因性収縮の程度の大きな減少をもたらす。この減少は、工業用途において該材料の亀裂発生リスクの可能性を抑制させうる。
【0041】
4*4*16cmプリズムが作製され、四点曲げおよび圧縮で試験された。表1で示された様々な処方に関して、結果が下記表3で示されている。
【表4】
【0042】
7日間の曲げ強度は処方F‐1〜F‐16で9.4〜23.0MPaであり、28日間の圧縮強度は処方F‐11〜F‐13で225〜250MPaである。このような処方の曲げ強度は、対照処方Ref‐1およびRef‐2の場合よりかなり高いことが観察しうる。加えて、Atisらによる最近の研究によると、論文”Relation between abrasion resistance and flexural strength of high volume fly ash concrete”(Materials and structures,vol 35,May 2002,pages 257-260)において、曲げ強度は耐摩耗性と関連し、高い耐摩耗性を意味している。
【0043】
処方F‐11〜F‐15の耐摩耗性がCompagnie Nationale du Rhoneで開発された試験台で試験され、それらの摩耗指数が下記表4で示されている。
【表5】
【0044】
したがって、本発明による複合材料は、CNR試験の対照花崗岩の場合より大きな、優れた耐摩耗性のみならず、優れた曲げおよび圧縮強度と優れた対金属接着性も呈する。
【0045】
一連の試料20個が、処方F‐13から得られる複合材料の対金属接着性について特徴付けるために作製された。これを行うために、巻き解いた金属グリッドが100*100*4mm標準鋼板に溶接され、ラテックスの層が各グリッドに塗布された。処方F‐13から得られた約8mmのペーストの層が鋼板の表面に塗布された。
【0046】
こうして作製された試料が約20℃の温度で28日間保たれ、5試料ずつ3組が各々70℃、120℃および170℃の熱処理に付され、四組目の5試料が20℃に保たれた後で試験された。
【0047】
接着試験が、フランス標準NF P 18‐852に従い、キャパシティ16kNのベローズ検力計を用いて行われた。これらの試験は下記ステップからなる:
‐水中で、巻き解いた金属レベルに達するまで、プレートのコアを抜いて空間を設ける:該空間は20mmの直径を有している;
‐20℃で乾燥時間の経過後、Sika社から販売されてSikapurRの名称で知られているもののような接着樹脂により、直径20mmのパッドがプレートに貼り付けられた;
‐接着剤が完全に乾いた後、試験を行う。
【0048】
図4は、引裂試験後における、巻き解いた鋼グリッドが置かれた標準鋼板を示しており、コアを抜いたプレートはパッドおよびプレートを含んでなる。
【0049】
引裂試験の結果が下記表5で示されている。
【表6】
【0050】
これら試験の結果は、試料が曝されたいかなる温度でも、処方F‐13と鋼板とで非常に良い接着性を示している。実際に、2試料以外は、用いられた装置の最大キャパシティより破断荷重が大きい。20℃および70℃の温度に各々付された試験5の2試料は、12.5kNの荷重のとき、巻き解いた金属グリッドの基部で(図5)、内部破断を生じていた。16kNの最大荷重に相当する引張応力は50MPaに該当する。そのため、5例中4例で、引張接着力は50MPaを超えている。
【0051】
したがって、このような処方であれば、鋼に対する良い接着性と、少なくとも150℃まで機械的および物理的性質の優れた保存性を有した複合材料を得られる。70℃、120℃および150℃の熱サイクルに付しても、曲げ強度の喪失または吸水性気孔率の増加を生じないことが、実際に観察された。
【0052】
図16〜18において、処方F‐13で得られ20℃に保たれた複合材料が走査型電子顕微鏡下で観察された。図16では、7日前に調製された複合材料で鋼ショット1とセメントマトリックス2とで生じている接触が観察される。図17および18では、28日前に調製された複合材料が、セメントマトリックス2で数個の気泡3と、それが調製された時点で形成された亀裂とを生じている。そのため、低熟成度のとき、本材料は良い一般付着性を呈し、セメントマトリックスとショットとの接触が密であることが観察される。通常0.2〜0.8mmの直径の気泡数個の存在にもかかわらず、ショット粒子の分布は均一である。
【0053】
複合材料を構成する各種成分の割合の決定と、鋼ショットの具体的粒度の選択とで、特殊鋼および電気溶融鉱石の場合に近い、非常に良い耐摩耗性を有した複合材料を得られる。水硬性結合剤の量と比較して、複合材料に多量の鋼ショットを配合しうること、および鋼ショットで最小D10/D90比を選択することから、実際に、高耐摩耗性を呈する複合材料を得られるのみならず、良い機械的性能および良い対金属接着性も獲得しうる。更に、このような複合材料は処方および低温成形しやすいという特徴を呈し、しかもそれは比較的安価である。
【0054】
複合材料で多量の鋼ショットの配合は、0.16〜0.25、好ましくは0.20〜0.25のW/C比を得ることで、特に達成される。加えて、他の不活性添加物、例えばグリット、または他の天然凝集物を複合材料へ加えることは不要である。
【0055】
それに関して8に相当する最小D10/D90比を選択すると、複合材料が製造されたときに、ペーストの最大緻密度を得られ、したがって4以上の密度を有した非常に密な複合材料を獲得しうる。該複合材料の緻密度および高密度のおかげで、非常に良い機械的性能および良い衝撃強度を特に得られ、それらは複合材料に非脆性をもたらしている。
【0056】
このような複合材料は、特に、加工耐摩耗性コーティングの分野、研磨材の空中輸送用のダクト、ダム放水路、原子力プラント二次冷却システム、高固体流速の工業水または雨水または家庭廃水パイプ、汚泥汲出プラント、水圧構造物のコンクリート…で用いうる。同様に、それは、ホッパー、例えばショット噴射機で用いられるもの、200℃未満の温度で微紛末を取り扱う金属ダクト、研磨粉を撒いた工業フローリング、または工業機械のソールプレートを被覆するために用いうる。不法侵入または発射物から防御するシールディング、例えば金庫装甲板を得るか、または危険な放射線を発する部位を防御するように、それは成形してもよい。本複合材料は、成形、ラミネーション、ローリング、射出、チキソフォーミングにより低温で得られる、操作で応力に付される部分およびフレームの低温製造用に用いうる、擬金属エレメントも形成しうる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
他の利点および特徴は、単なる非制限例として挙げられ、添付図面で示された、本発明の具体的態様に関する以下の記載から、より明確にわかるようになるであろう:
【図1】各々角型および丸型ショット粒子の走査型電子顕微鏡検査により得られた画像を表している。
【図2】各々角型および丸型ショット粒子の走査型電子顕微鏡検査により得られた画像を表している。
【図3】摩耗試験をうけた複合材料からなる試験片のスナップ写真を表している。
【図4】対金属接着試験をうけた複合材料について示している。
【図5】対金属接着試験をうけた複合材料について示している。
【図6】第一鋼基材ショットの走査型電子顕微鏡検査により得られた画像について表している。
【図7】第一鋼基材ショットのエネルギー分散型X線スペクトル測定により得られた画像について表している。
【図8】第一鋼基材ショットの粒度分析について表している。
【図9】第二鋼基材ショットの走査型電子顕微鏡検査により得られた画像について表している。
【図10】第二鋼基材ショットのエネルギー分散型X線スペクトル測定により得られた画像について表している。
【図11】第二鋼基材ショットの粒度分析について表している。
【図12】第三鋼基材ショットの走査型電子顕微鏡検査により得られた画像について表している。
【図13】第三鋼基材ショットのエネルギー分散型X線スペクトル測定により得られた画像について表している。
【図14】第三鋼基材ショットの粒度分析について各々表している。
【図15】第四鋼基材ショットのエネルギー分散型X線スペクトル測定により得られた画像を表している。
【図16】本発明による複合材料の走査型電子顕微鏡検査により得られた画像を表している。
【図17】本発明による複合材料の走査型電子顕微鏡検査により得られた画像を表している。
【図18】本発明による複合材料の走査型電子顕微鏡検査により得られた画像を表している。
【発明の背景】
【0001】
本発明は:
‐水硬性結合剤の総重量に対して少なくとも5重量%未満のアルミン酸三カルシウム含有率を有するセメントにより形成されている水硬性結合剤
‐120〜3000μmの粒度分布を有する鋼基材ショット
‐2μm以下の粒度を有する非高密度化シリカフューム
‐高減水超可塑剤
を含んでなる組成物を水と混合し、水の重量と水硬性結合剤の重量との比率が0.16〜0.25であることにより得られる複合材料に関する。
【0002】
本発明は、このような複合材料の製造方法にも関する。
【技術水準】
【0003】
特に工業用途で、ある部分を摩耗から保護するために、通常非常に高い機械的性能を呈することで厚さを抑えられる、高硬度の特殊鋼または鉱石製のエレメントを用いることが知られている。しかしながら、高硬度の特殊鋼または鉱石は成形する上で溶融されねばならないため、それらは適用に際してさほど実用的ではない。このように、それらは冷却された後で、それらが型へ入れられ、保護すべき部分へ機械的に固定されるか、またはそれらは保護すべき部分へ直接的に熱時適用される。
【0004】
土木工学では、コンクリートまたはモルタルが摩耗または不法侵入からの防御分野で用いられる。それらは周囲温度で型に入れられるため、それらは適用しやすいという利点をもつ。しかしながら、コンクリートまたはモルタルの機械的性能は、高硬度の金属エレメントまたは鉱石、例えば電気溶融鉱石の場合よりもかなり低い。そのため、WO‐A‐9,013,524では、異なる粒度クラスを有する3タイプの無機固体粒子、例えば2μm未満の粒度を有するシリカフューム、2〜7μmの粒度を有するセメントと100μm未満の粒度を有する金属粒子および焼成ボーキサイトの混合物から加工品ができている。それらは非常に多量の微細および超微細粒子の使用を要し、焼成ボーキサイトは比較的高価であるため、このような処方は更に一層負担になる。
【0005】
コンクリートおよびモルタルの機械的性能を改善するために、セメントマトリックスに金属または有機繊維を配合し、可能であればラミネーションにより型で成形を完了させることが知られている。例えば、EP‐A‐0,934,915は、比較的良い耐摩耗性を呈し、セメント、異なる粒度の焼成ボーキサイト砂、シリカフューム、減水超可塑剤、消泡剤および繊維を含んでなる、非常に高性能のコンクリートについて記載している。同様に、FR‐A‐2,640,962は、セメント、即ち鋼または鋳鉄、マイクロシリカ、水、流動化剤で形成された混合物、消泡剤および金属繊維から調製しうる高硬度凝集物を含んでなる、発射物の侵入を抑制しうる非常に高性能の複合コンクリートについて記載している。しかしながら、このような繊維コンクリートの適用に際しては、繊維を配合して繊維コンクリートを混合する上で特別な装置の使用を必要とするため、その適用は比較的非実用的でコスト高となる。更に、繊維はセメントマトリックスで局部欠陥を引き起こし、それらが表面に現れると、引裂部位を生じうる。したがって、それらは高性能コーティングから通常除外される。
【0006】
部分を摩耗から保護するために、花崗岩または玄武岩のような硬岩製のエレメント、ブロック、スラブまたはプレートのアセンブリーを作製することも可能である。しかし、コーティングがほぼ直ちに固着するよう保証するには、これらアセンブリーの組立ておよび封止が非常に綿密に行われねばならないため、それらは特に面倒でコスト高となることがわかった。
【0007】
US特許4,482,385では、不規則粒子のステンレス鋼をIII型ポルトランドセメント基材へ加えて、高い熱伝導率および低い真空透磁率を有した複合材料を得ることが提案された。該複合材料は24.28重量%のポルトランドセメント、53.45重量%の鋼粒子、6.66重量%の水、3.31重量%のシリカフューム、11.82重量%の微粉砕結晶シリカ製微細凝集物、0.47重量%の超可塑剤および0.01重量%の消泡剤を含んでなる。添加物は該材料の熱伝導率およびその密度を(約3.5まで)増加させることから、ステンレス鋼粒子がセメント基材で用いられている。鋼粒子は2粒度クラスの形で複合材料に配合されている。そのため、複合材料は10/25メッシュ(即ち、700〜2000μm)の粒度を有する鋼粒子34.77重量%および80/100メッシュ(即ち、150〜180μm)の粒度を有する鋼粒子18.68重量%を含んでなる。
【0008】
特開平7−276340号公報は、異なる粒度クラスで2タイプの凝集物:15〜20mmの粒度を有する鉄およびグリット製の粗凝集物と、サイズが0.08〜5mmである天然凝集物および金属球製の細凝集物からなる、高耐性コンクリートの製造方法について記載している。該方法は、粗凝集物を容器へ入れてそれらをプレスし、次いでセメント、シリカ粉末、天然細凝集物、金属細凝集物および減水剤を混合して得られたモルタルを該容器へ入れて加圧下で射出することからなる。粗凝集物および細凝集物によるこのような高耐性コンクリートの製造も、実施が難しく、比較的コスト高であることがわかった。
【発明の目的】
【0009】
好ましくは特殊鋼および電気溶融鉱石の場合と実質的に同等の、非常に良い耐摩耗性を有し、同時に処方と低温成形が容易で、比較的安価である、複合材料を提供することが、本発明の一目的である。
【0010】
本発明によると、C.N.Rプロトコルによる測定で0.15〜1.0の摩耗指数(I)を有する複合材料を得られるように、100重量部の水硬性結合剤当たり、250〜800重量部のショットおよび10〜15重量部のシリカフュームを組成物が含んでなり、ショットのD10粒度の値が水硬性結合剤のD90粒度の値より少なくとも8倍大きい、という事実により、この目的が達成されている。
【0011】
本発明の開発によると、複合材料の摩耗指数(I)は0.15〜0.45である。
【0012】
好ましい態様によると、ショットは、少なくとも:
‐0.0〜3.5%の炭素
‐0.0〜2%のケイ素
‐0.0〜2%のマンガン
‐0.0〜20%のクロム
‐0.0〜10%のニッケル
も含んでなる鉄基材合金により形成されている。
【0013】
本発明の別な特徴によると、ショットは丸型または角型である。
【0014】
0.15〜1.0の摩耗指数を有する複合材料を製造するための方法を提供することが、本発明の別な目的である。
【0015】
本発明によると、水、高減水超可塑剤、シリカフューム、セメントおよび鋼基材ショットを連続的に混合することでフレッシュな混合物を形成し、次いで得られた混合物が硬化前に成形されることから、該製造方法が構成されている、という事実によりこの目的が達成されている。
【0016】
本発明の開発によると、スラリーを形成するために、高乱流ミキサーに水、高減水超可塑剤、シリカフュームおよびセメントを予め入れて混合し、次いで鋼ショットがミキサー中のスラリーに配合されることで、フレッシュな混合物が形成される。
【0017】
別の特徴によると、硬化後に、耐摩耗性コーティング、シールディングまたは製造保護エレメントを得られるように、フレッシュな混合物が成形される。
【具体的態様の説明】
【0018】
本発明による複合材料は、
‐100重量部の水硬性結合剤
‐250〜800重量部の鋼基材ショット、好ましくは350〜550重量部の鋼基材ショット
‐10〜15重量部の非高密度化シリカフューム
‐好ましくは水の割合を大きく減少させるために特別に開発されたアクリル系コポリマーにより形成されている、高減水超可塑剤
‐および可能であれば消泡剤
を含んでなる組成物を水と混合することにより得られる。
【0019】
水硬性結合剤は、結合剤の総重量に対して5%未満、好ましくは3%未満のアルミン酸三カルシウム含有率を有するセメントにより形成されている。該セメントは、好ましくは、欧州標準EN197‐1によると、ポルトランドセメントクラスCEM I 52.5PM.ESのような純粋ポルトランドセメントである。
【0020】
鋼基材ショットは、粒度分布が120〜3000μm、好ましくは500〜1200μmである、多数の鋼基材粒により形成されている。それは好ましくは角型または丸型であり、摩耗性である。角型または丸型鋼基材ショットとは、ショットを構成する粒のほとんどが図1および2で示されているように角型または丸型であることを、我々は意味している。該ショットは、好ましくは、少なくとも:
‐0.0〜3.5%の炭素
‐0.0〜2%のケイ素
‐0.0〜2%のマンガン
‐0.0〜20%のクロム
‐0.0〜10%のニッケル
も含んでなる鉄基材合金により形成されている。
【0021】
好ましくは、該鉄基材合金は、少なくとも0.0〜1.2%の炭素、0.0〜1.2%のケイ素、0.0〜1.2%のマンガン、0.0〜1.2%のクロムおよび0.0〜0.3%のニッケルを含んでなる。
【0022】
複合材料を得られる組成物は、1タイプのショット、または粒度分布が互いに異なる少なくとも2タイプのショットの混合物を含んでなる。
【0023】
シリカフュームは非高密度化されており、2μm以下の粒度を有している。例えば、シリカフュームはPechiney Anglefortプラント製のもののようなシリカフュームである。
【0024】
消泡剤は、硬化後に複合材料の気孔率を減少させるためにある。例えば、用いられる消泡剤はAXIM社販売のCimparementRである。高減水超可塑剤は、好ましくは、AXIM社販売のCIMFLUIDR製品のシリーズ、好ましくはALLEGRORのシリーズから選択される。
【0025】
水/セメントまたはW/C比とも称される、水の重量とセメントで構成される水硬性結合剤の重量との比率は、0.16〜0.25、好ましくは0.20〜0.25である。このようなW/C比であれば、良い流動性を有した、ペーストとも称される、スラリーを得られるため、好ましくは最終段階で、成形用のフレッシュな混合物に作業性を付与する上で、最大量のショットの添加を容易にする。
【0026】
ショットのD10粒度の値は、水硬性結合剤のD90粒度の値より少なくとも8倍大きい。ショットのD10粒度およびセメントのD90粒度とは、篩通過量がショットおよびセメント粒の総容積の各々10%および90%を占める篩サイズを各々意味する。ショットのD10値とセメントのD90値とでこのような比率であれば最大緻密度のペーストを特に得られるため、複合材料で非常に高い機械的性能を獲得しうる。そのため、例えば、50μmのD90粒度を有するセメントの場合であれば、ショットは400μmより大きなD10粒度を有することになる。
【0027】
複合材料は、いかなるタイプの公知方法で得てもよい。水、高減水超可塑剤、適用可能であれば消泡剤、シリカフューム、セメントおよびショットの連続混合物から、フレッシュな混合物を形成することで、それは得られる。好ましくは、スラリーを形成するために、高乱流ミキサーに水、高減水超可塑剤、シリカフュームおよびセメントを予め入れて混合し、次いで鋼ショットがミキサー中のスラリーに配合されることで、フレッシュな混合物が形成される。例えばセメントの量と比較して約2%の、少量の水も、スラリーが形成された際に、該スラリーの作業性を調整するために、ミキサーに加えてよい。
【0028】
次いで、硬化される前に、フレッシュな混合物が成形される。例えば、硬化後に、例えば機械にかけうる耐摩耗性コーティング、シールディングまたは製造保護エレメントを得られるように、フレッシュな混合物が成形される。例えば複合材料の最終形態を得られるように型へ入れることで、フレッシュな混合物が成形され、次いでそれが硬化すると、それが型から取り出される。射出、チキソフォーミング、押出またはその場の投出でもそれは成形しうる。加えて、それは次いで成形後に熱処理をうけられる。
【0029】
このような複合材料の密度は4000〜6000kg/m3、好ましくは4500〜5200kg/m3である。このような密度であれば、複合材料が良い衝撃強度を有して、非脆性であることを請け合える。
【0030】
このような複合材料の耐摩耗性が、水圧構造物で出会う摩耗条件を実験室で再現する目的から、Compagnie Nationale du Rhone(C.N.R.)により開発された摩耗試験台で測定された。試験すべき材料の試料がタンクに浸され、15〜75mnの時間にわたり45°の角度で含砂水の噴射により攻撃される。含砂水の噴射は、図3で示されているように、各試料で圧痕を生じている。各圧痕の容積は、水銀を用いて秤量することにより測定される。並行して、厚いガラスで試験が行われる。これら秤量の結果が、該材料で生じた圧痕の容積対ガラスで生じた圧痕の平均容積の比率に相当する、摩耗指数Iである。摩耗指数Iが低いほど、耐摩耗および摩擦性が高くなり、最高耐性材料で数十分の一、最低耐性材料で5または10の値の範囲内で、それは変わる。例示目的で、下記表は様々な材料の摩耗指数を掲載している:
【表1】
【0031】
本発明による複合材料の摩耗指数(I)は、C.N.R.で開発されたプロトコルに従い摩耗試験台で測定すると、0.15〜1.0、好ましくは0.15〜0.45である。したがって、本発明の複合材料中で大きな割合でのショットの存在と、ショットのD10とセメントのD90との比率で、高い耐摩耗性のみならず、高い機械的性能および良い対金属接着性も呈する複合材料を得られる。そのため、本発明による複合材料は15〜30MPa、好ましくは25〜30MPaの28日間曲げ強度、および150〜300MPaの28日間圧縮強度を有しうる。
【0032】
例えば、様々な処方の複合材料が作製され、5タイプのショット1〜5で試験された。走査型電子顕微鏡下の観察は、エネルギー分散型スペクトル測定(EDS)による元素分析と合わせて、図6、9、12において、ショット1および2が実質的に丸い粒子で形成され、ショット3がいくつかの丸い粒子と角型ビーズ形成粒子とで形成されている(図12)ことを示している。ショット4は丸型ショットであり、ショット5は角型で、非常に鋭い端部を有する嵩高粒で形成されている。図7、10、13および15で示されたエネルギー分散型スペクトル測定により得られた画像で表されているように、ショット1、2、3、4および5は主に鉄、炭素、ケイ素およびマンガンから構成されており、それに個別の化学元素が痕跡の形で共存している。
【0033】
ショット1、2および3の粒度分布が、図8、11および14で各々表されている。様々なクラスのショットの粒度分布が、フランス標準NF P 18‐560に従い、コンクリート粒子の粒度分布を調べるために常用されている篩で求められた。こうして、図7、10および13で示されているように、ショット1の粒度は200〜400μmであり、ショット2および3の粒度分布は各々250〜800μmおよび100〜1250μmである。ショット1および2のグレード範囲は非常に狭く、一方ショット3の場合はそれより広い。ショット4の粒度は700〜1400μmであり、ショット5の場合は1000〜2000μmである。
【0034】
ショット1、2、3は各々、7.01、7.35および6.65の絶対密度と、0.68、0.72、0.69の固有緻密度を有している。各ショットの緻密度が、非収縮金属型にショット7.5kgを入れ、ピストンで閉じ、10kPaの圧力を加えることにより測定された。次いで、型が振動台に固定され、150Hzの振動に4分間付される。次いで、緻密度が次の式C=M/(d*V)で得られる:Mはサンプルの重量kg、dは密度g/cm3およびVは最終容積m3である。
【0035】
これら様々なショットで作られた処方が下記表1で示されている。
【表2】
【0036】
処方F1〜F16はすべて同一方法で作製された。諸成分は下記手法で高乱流ミキサーを用いて混合された:
‐水、添加物およびシリカフュームを入れ、混合物を1分間攪拌し、
‐セメントを配合し、非常に流動性のあるペーストを得られるように、混合物を1分間攪拌し、
‐ショットを配合し、均質化が遂げられるまで混合物を混合し、
‐セメントの重量の最大2%まで、適用への作業性を調整するために水を加える。
【0037】
処方Ref‐1およびRef‐2は珪砂を含んでなる従来の処方に相当し、一方処方F‐1〜F‐16は本発明による複合材料の処方に相当する。
【0038】
処方F‐1、F‐3、F‐4、F‐9およびF‐11はタイプ2ショットのみを含み、一方処方F‐2、F‐5、F‐6、F‐7、F‐8およびF‐11は実質的に25重量%のタイプ1ショットおよび75重量%のタイプ2ショットを含んでなる。処方F‐10、F‐13およびF‐16はタイプ3ショットのみを含み、処方F‐14はタイプ4ショットのみを含み、処方F‐15はタイプ5ショットのみを含んでなる。
【0039】
下記表2は、表1で示された処方の理論密度、理論容積、真密度および見掛密度値と、吸水性気孔率を示している。
【表3】
【0040】
こうして得られた複合材料は4〜9%の気孔率を有し、したがってそれらは非常に緻密であり、処方Ref‐1およびRef‐2と比較して、硬化後に内因性収縮の程度の大きな減少をもたらす。この減少は、工業用途において該材料の亀裂発生リスクの可能性を抑制させうる。
【0041】
4*4*16cmプリズムが作製され、四点曲げおよび圧縮で試験された。表1で示された様々な処方に関して、結果が下記表3で示されている。
【表4】
【0042】
7日間の曲げ強度は処方F‐1〜F‐16で9.4〜23.0MPaであり、28日間の圧縮強度は処方F‐11〜F‐13で225〜250MPaである。このような処方の曲げ強度は、対照処方Ref‐1およびRef‐2の場合よりかなり高いことが観察しうる。加えて、Atisらによる最近の研究によると、論文”Relation between abrasion resistance and flexural strength of high volume fly ash concrete”(Materials and structures,vol 35,May 2002,pages 257-260)において、曲げ強度は耐摩耗性と関連し、高い耐摩耗性を意味している。
【0043】
処方F‐11〜F‐15の耐摩耗性がCompagnie Nationale du Rhoneで開発された試験台で試験され、それらの摩耗指数が下記表4で示されている。
【表5】
【0044】
したがって、本発明による複合材料は、CNR試験の対照花崗岩の場合より大きな、優れた耐摩耗性のみならず、優れた曲げおよび圧縮強度と優れた対金属接着性も呈する。
【0045】
一連の試料20個が、処方F‐13から得られる複合材料の対金属接着性について特徴付けるために作製された。これを行うために、巻き解いた金属グリッドが100*100*4mm標準鋼板に溶接され、ラテックスの層が各グリッドに塗布された。処方F‐13から得られた約8mmのペーストの層が鋼板の表面に塗布された。
【0046】
こうして作製された試料が約20℃の温度で28日間保たれ、5試料ずつ3組が各々70℃、120℃および170℃の熱処理に付され、四組目の5試料が20℃に保たれた後で試験された。
【0047】
接着試験が、フランス標準NF P 18‐852に従い、キャパシティ16kNのベローズ検力計を用いて行われた。これらの試験は下記ステップからなる:
‐水中で、巻き解いた金属レベルに達するまで、プレートのコアを抜いて空間を設ける:該空間は20mmの直径を有している;
‐20℃で乾燥時間の経過後、Sika社から販売されてSikapurRの名称で知られているもののような接着樹脂により、直径20mmのパッドがプレートに貼り付けられた;
‐接着剤が完全に乾いた後、試験を行う。
【0048】
図4は、引裂試験後における、巻き解いた鋼グリッドが置かれた標準鋼板を示しており、コアを抜いたプレートはパッドおよびプレートを含んでなる。
【0049】
引裂試験の結果が下記表5で示されている。
【表6】
【0050】
これら試験の結果は、試料が曝されたいかなる温度でも、処方F‐13と鋼板とで非常に良い接着性を示している。実際に、2試料以外は、用いられた装置の最大キャパシティより破断荷重が大きい。20℃および70℃の温度に各々付された試験5の2試料は、12.5kNの荷重のとき、巻き解いた金属グリッドの基部で(図5)、内部破断を生じていた。16kNの最大荷重に相当する引張応力は50MPaに該当する。そのため、5例中4例で、引張接着力は50MPaを超えている。
【0051】
したがって、このような処方であれば、鋼に対する良い接着性と、少なくとも150℃まで機械的および物理的性質の優れた保存性を有した複合材料を得られる。70℃、120℃および150℃の熱サイクルに付しても、曲げ強度の喪失または吸水性気孔率の増加を生じないことが、実際に観察された。
【0052】
図16〜18において、処方F‐13で得られ20℃に保たれた複合材料が走査型電子顕微鏡下で観察された。図16では、7日前に調製された複合材料で鋼ショット1とセメントマトリックス2とで生じている接触が観察される。図17および18では、28日前に調製された複合材料が、セメントマトリックス2で数個の気泡3と、それが調製された時点で形成された亀裂とを生じている。そのため、低熟成度のとき、本材料は良い一般付着性を呈し、セメントマトリックスとショットとの接触が密であることが観察される。通常0.2〜0.8mmの直径の気泡数個の存在にもかかわらず、ショット粒子の分布は均一である。
【0053】
複合材料を構成する各種成分の割合の決定と、鋼ショットの具体的粒度の選択とで、特殊鋼および電気溶融鉱石の場合に近い、非常に良い耐摩耗性を有した複合材料を得られる。水硬性結合剤の量と比較して、複合材料に多量の鋼ショットを配合しうること、および鋼ショットで最小D10/D90比を選択することから、実際に、高耐摩耗性を呈する複合材料を得られるのみならず、良い機械的性能および良い対金属接着性も獲得しうる。更に、このような複合材料は処方および低温成形しやすいという特徴を呈し、しかもそれは比較的安価である。
【0054】
複合材料で多量の鋼ショットの配合は、0.16〜0.25、好ましくは0.20〜0.25のW/C比を得ることで、特に達成される。加えて、他の不活性添加物、例えばグリット、または他の天然凝集物を複合材料へ加えることは不要である。
【0055】
それに関して8に相当する最小D10/D90比を選択すると、複合材料が製造されたときに、ペーストの最大緻密度を得られ、したがって4以上の密度を有した非常に密な複合材料を獲得しうる。該複合材料の緻密度および高密度のおかげで、非常に良い機械的性能および良い衝撃強度を特に得られ、それらは複合材料に非脆性をもたらしている。
【0056】
このような複合材料は、特に、加工耐摩耗性コーティングの分野、研磨材の空中輸送用のダクト、ダム放水路、原子力プラント二次冷却システム、高固体流速の工業水または雨水または家庭廃水パイプ、汚泥汲出プラント、水圧構造物のコンクリート…で用いうる。同様に、それは、ホッパー、例えばショット噴射機で用いられるもの、200℃未満の温度で微紛末を取り扱う金属ダクト、研磨粉を撒いた工業フローリング、または工業機械のソールプレートを被覆するために用いうる。不法侵入または発射物から防御するシールディング、例えば金庫装甲板を得るか、または危険な放射線を発する部位を防御するように、それは成形してもよい。本複合材料は、成形、ラミネーション、ローリング、射出、チキソフォーミングにより低温で得られる、操作で応力に付される部分およびフレームの低温製造用に用いうる、擬金属エレメントも形成しうる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
他の利点および特徴は、単なる非制限例として挙げられ、添付図面で示された、本発明の具体的態様に関する以下の記載から、より明確にわかるようになるであろう:
【図1】各々角型および丸型ショット粒子の走査型電子顕微鏡検査により得られた画像を表している。
【図2】各々角型および丸型ショット粒子の走査型電子顕微鏡検査により得られた画像を表している。
【図3】摩耗試験をうけた複合材料からなる試験片のスナップ写真を表している。
【図4】対金属接着試験をうけた複合材料について示している。
【図5】対金属接着試験をうけた複合材料について示している。
【図6】第一鋼基材ショットの走査型電子顕微鏡検査により得られた画像について表している。
【図7】第一鋼基材ショットのエネルギー分散型X線スペクトル測定により得られた画像について表している。
【図8】第一鋼基材ショットの粒度分析について表している。
【図9】第二鋼基材ショットの走査型電子顕微鏡検査により得られた画像について表している。
【図10】第二鋼基材ショットのエネルギー分散型X線スペクトル測定により得られた画像について表している。
【図11】第二鋼基材ショットの粒度分析について表している。
【図12】第三鋼基材ショットの走査型電子顕微鏡検査により得られた画像について表している。
【図13】第三鋼基材ショットのエネルギー分散型X線スペクトル測定により得られた画像について表している。
【図14】第三鋼基材ショットの粒度分析について各々表している。
【図15】第四鋼基材ショットのエネルギー分散型X線スペクトル測定により得られた画像を表している。
【図16】本発明による複合材料の走査型電子顕微鏡検査により得られた画像を表している。
【図17】本発明による複合材料の走査型電子顕微鏡検査により得られた画像を表している。
【図18】本発明による複合材料の走査型電子顕微鏡検査により得られた画像を表している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
‐水硬性結合剤の総重量に対して少なくとも5重量%未満のアルミン酸三カルシウム含有率を有するセメントにより形成されている水硬性結合剤、
‐120〜3000μmの粒度分布を有する鋼基材ショット、
‐2μm以下の粒度を有する非高密度化シリカフューム、および
‐高減水超可塑剤
を含んでなる組成物を水と混合し、水の重量と水硬性結合剤の重量との比率が0.16〜0.25であることにより得られる複合材料であって、
C.N.Rプロトコルによる測定で0.15〜1.0の摩耗指数(I)を有する複合材料を得られるように、100重量部の水硬性結合剤当たり、250〜800重量部のショットおよび10〜15重量部のシリカフュームを該組成物が含んでなり、ショットのD10粒度の値が水硬性結合剤のD90粒度の値より少なくとも8倍大きいことで特徴付けられる複合材料。
【請求項2】
複合材料の摩耗指数(I)が0.15〜0.45である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
水の重量と水硬性結合剤の重量との比率が0.20〜0.25である、請求項1または2に記載の複合材料。
【請求項4】
組成物が、100重量部の水硬性結合剤当たり、350〜550重量部のショットを含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項5】
ショットが、少なくとも:
‐0.0〜3.5%の炭素
‐0.0〜2%のケイ素
‐0.0〜2%のマンガン
‐0.0〜20%のクロム
‐0.0〜10%のニッケル
も含んでなる鉄基材合金により形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項6】
ショットが、少なくとも:
‐0.0〜1.2%の炭素
‐0.0〜1.2%のケイ素
‐0.0〜1.2%のマンガン
‐0.0〜1.2%のクロム
‐0.0〜0.3%のニッケル
も含んでなる鉄基材合金により形成されている、請求項5に記載の複合材料。
【請求項7】
鋼基材ショットが500〜1200μmの粒度分布を有している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項8】
ショットが丸型である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項9】
ショットが角型である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項10】
組成物が、粒度分布で異なる、少なくとも2タイプのショットの混合物を含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項11】
組成物が、硬化後に複合材料の気孔率を減少させるための消泡剤を含んでなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項12】
複合材料の密度が、4000〜6000kg/cm3、好ましくは4500〜5200kg/cm3である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項13】
水、高減水超可塑剤、シリカフューム、セメントおよび鋼基材ショットを連続的に混合することでフレッシュな混合物を形成し、次いで該混合物が硬化前に成形される、請求項1〜12のいずれか一項に記載された複合材料の製造方法。
【請求項14】
スラリーを形成するために、高乱流ミキサーに水、高減水超可塑剤、シリカフュームおよびセメントを入れて予め混合し、次いで鋼ショットがミキサー中のスラリーに配合されることで、フレッシュな混合物が形成される、請求項13に記載の複合材料の製造方法。
【請求項15】
スラリーの作業性を調整するために、スラリーが形成された際に、少量の水がミキサーに加えられる、請求項14に記載の複合材料の製造方法。
【請求項16】
硬化後に、耐摩耗性コーティング、シールディングまたは製造保護エレメントを得られるように、フレッシュな混合物が成形される、請求項13〜15のいずれか一項に記載の複合材料の製造方法。
【請求項17】
成形が、フレッシュな混合物の成型により行われる、請求項16に記載の複合材料の製造方法。
【請求項18】
成形が、フレッシュな混合物の射出により行われる、請求項16に記載の複合材料の製造方法。
【請求項19】
成形が、フレッシュな混合物のチキソフォーミングにより行われる、請求項16に記載の複合材料の製造方法。
【請求項20】
成形が、フレッシュな混合物の押出により行われる、請求項16に記載の複合材料の製造方法。
【請求項21】
成形が、フレッシュな混合物のその場の投出により行われる、請求項16に記載の複合材料の製造方法。
【請求項22】
フレッシュな混合物が成形された後で、それが熱処理をうける、請求項16〜21のいずれか一項に記載の複合材料の製造方法。
【請求項23】
得られた耐摩耗性コーティング、シールディングまたは製造保護エレメントが機械にかけられる、請求項16〜22のいずれか一項に記載の複合材料の製造方法。
【請求項1】
‐水硬性結合剤の総重量に対して少なくとも5重量%未満のアルミン酸三カルシウム含有率を有するセメントにより形成されている水硬性結合剤、
‐120〜3000μmの粒度分布を有する鋼基材ショット、
‐2μm以下の粒度を有する非高密度化シリカフューム、および
‐高減水超可塑剤
を含んでなる組成物を水と混合し、水の重量と水硬性結合剤の重量との比率が0.16〜0.25であることにより得られる複合材料であって、
C.N.Rプロトコルによる測定で0.15〜1.0の摩耗指数(I)を有する複合材料を得られるように、100重量部の水硬性結合剤当たり、250〜800重量部のショットおよび10〜15重量部のシリカフュームを該組成物が含んでなり、ショットのD10粒度の値が水硬性結合剤のD90粒度の値より少なくとも8倍大きいことで特徴付けられる複合材料。
【請求項2】
複合材料の摩耗指数(I)が0.15〜0.45である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
水の重量と水硬性結合剤の重量との比率が0.20〜0.25である、請求項1または2に記載の複合材料。
【請求項4】
組成物が、100重量部の水硬性結合剤当たり、350〜550重量部のショットを含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項5】
ショットが、少なくとも:
‐0.0〜3.5%の炭素
‐0.0〜2%のケイ素
‐0.0〜2%のマンガン
‐0.0〜20%のクロム
‐0.0〜10%のニッケル
も含んでなる鉄基材合金により形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項6】
ショットが、少なくとも:
‐0.0〜1.2%の炭素
‐0.0〜1.2%のケイ素
‐0.0〜1.2%のマンガン
‐0.0〜1.2%のクロム
‐0.0〜0.3%のニッケル
も含んでなる鉄基材合金により形成されている、請求項5に記載の複合材料。
【請求項7】
鋼基材ショットが500〜1200μmの粒度分布を有している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項8】
ショットが丸型である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項9】
ショットが角型である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項10】
組成物が、粒度分布で異なる、少なくとも2タイプのショットの混合物を含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項11】
組成物が、硬化後に複合材料の気孔率を減少させるための消泡剤を含んでなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項12】
複合材料の密度が、4000〜6000kg/cm3、好ましくは4500〜5200kg/cm3である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項13】
水、高減水超可塑剤、シリカフューム、セメントおよび鋼基材ショットを連続的に混合することでフレッシュな混合物を形成し、次いで該混合物が硬化前に成形される、請求項1〜12のいずれか一項に記載された複合材料の製造方法。
【請求項14】
スラリーを形成するために、高乱流ミキサーに水、高減水超可塑剤、シリカフュームおよびセメントを入れて予め混合し、次いで鋼ショットがミキサー中のスラリーに配合されることで、フレッシュな混合物が形成される、請求項13に記載の複合材料の製造方法。
【請求項15】
スラリーの作業性を調整するために、スラリーが形成された際に、少量の水がミキサーに加えられる、請求項14に記載の複合材料の製造方法。
【請求項16】
硬化後に、耐摩耗性コーティング、シールディングまたは製造保護エレメントを得られるように、フレッシュな混合物が成形される、請求項13〜15のいずれか一項に記載の複合材料の製造方法。
【請求項17】
成形が、フレッシュな混合物の成型により行われる、請求項16に記載の複合材料の製造方法。
【請求項18】
成形が、フレッシュな混合物の射出により行われる、請求項16に記載の複合材料の製造方法。
【請求項19】
成形が、フレッシュな混合物のチキソフォーミングにより行われる、請求項16に記載の複合材料の製造方法。
【請求項20】
成形が、フレッシュな混合物の押出により行われる、請求項16に記載の複合材料の製造方法。
【請求項21】
成形が、フレッシュな混合物のその場の投出により行われる、請求項16に記載の複合材料の製造方法。
【請求項22】
フレッシュな混合物が成形された後で、それが熱処理をうける、請求項16〜21のいずれか一項に記載の複合材料の製造方法。
【請求項23】
得られた耐摩耗性コーティング、シールディングまたは製造保護エレメントが機械にかけられる、請求項16〜22のいずれか一項に記載の複合材料の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2007−505805(P2007−505805A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525866(P2006−525866)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002326
【国際公開番号】WO2005/040061
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(504000580)
【氏名又は名称原語表記】WHEELABRATOR−ALLEVARD
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002326
【国際公開番号】WO2005/040061
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(504000580)
【氏名又は名称原語表記】WHEELABRATOR−ALLEVARD
【Fターム(参考)】
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