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鋼材の溶接継手構造
説明

鋼材の溶接継手構造

【課題】現場施工に適用可能で、初層割れの抑止、脆性破断の防止に効果の高い部分軟質継手を適用しながら、母材より高い継手強度を有する溶接継手部の構造を提供する。
【解決手段】この溶接継手の構造は、母材1の強度が780N/mm以上の強度を有する。母材1を接続する溶接金属3のルート5側の軟質溶接部6の強度が、490N/mm以上で、かつ、母材1の強度より低い。溶接金属3の軟質溶接部6を除く残りの層からなる等質溶接部7が、母材1と同等以上の強度を有する。母材1の板厚to、軟質溶接部6の厚さtw、開先2の開先幅W、および開先角度θで表される形状と、母材強度σoおよび軟質溶接部6の強度σsから(1)式により表されるパラメータβが0.15以下である。
【数1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超高強度の鋼材の溶接に適した鋼材の溶接継手構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建築構造物の高層化・大規模化の進展により、柱材に鋼材として800N/mm級〜1000N/mm級の超高強度材の適用例が出現している。超高強度材の適用は柱断面のスリム化に適するが、溶接継手の性能確保については技術上の課題がある。
建築構造物に適用される溶接継手は、溶接部の材料強度を母材の材料強度より高くする、いわゆるオーバーマッチング継手が一般的である。
【0003】
しかしながら、800N/mm級〜1000N/mm級の超高強度材である母材の強度を上回るオーバーマッチング継手を実現するための溶接材料は、より低強度の溶接材料に比して溶接割れ(初層割れ)が生じやすく、これを防止するためには厳密な予後熱管理と、溶接入熱およびパス間温度の制限とが必要とされるため、特に現場溶接が必要とされる建築構造物の継手への適用には、非常に厳格な施工条件を課され、溶接継手の生産性が著しく低下する。
【0004】
一方、溶接部の材料強度を母材の材料強度より低くした、いわゆるアンダーマッチングである軟質継手は、高強度の溶接材料の適用に比較して、溶接割れが生じ難く、低コストかつ予後熱管理や溶接入熱およびパス間温度の条件が緩和されるメリットがあり、ペンストック等への適用例がある。軟質継手については、溶接部の形状条件によって母材の引張強度を上回る溶接継手を得る事が可能である事は従来から知られている。
【0005】
例えば、軟質継手の強度は、軟質溶接部の相対厚さ(板厚に対する軟質溶接部の厚さの比率)に依存し、相対厚さが小さいほど継手強度は上昇し、母材の引張強度を上回る事も可能である(例えば、非特許文献1参照)。
【0006】
しかし、軟質溶接部の相対厚さを小さくするためには、溶接部の開先寸法を小さくした、いわゆる狭開先溶接とする必要があるが、実際の構造物の現場施工においては、部材の寸法や建方の誤差により厳密な狭開先の確保は難しく、また狭開先を確保できたとしても、その溶接の実施により欠陥の少ない健全な継手を得るためには、特別な溶接技能・技術を必要とする。
【0007】
また、溶接金属全てではなく、ルート側の一部の溶接層のみに、母材強度より低い強度の溶接材料を適用した、いわゆる部分軟質継手の適用は、ルート側の初層割れを防止するとともに、引張力を受けた場合の脆性破断の防止に効果が高いことが知られている。
【0008】
また、レ形開先の溶接継手におけるルート側の初層を、母材より低強度で高延性の溶接材料で溶接し、その余の層を、母材と同等またはそれ以上の強度を有する溶接材料で溶接する部分軟質継手の溶接工法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。さらに、特許文献1においては、490N/mmの母材のレ形開先の溶接継手の母材板厚の1/3未満のルート側初層または複数層を母材より低強度で高延性の溶接材料を適用した試験体で母材破断が確認できる事が例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3820493号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「軟層を含む溶接継手の静的強度に関する寸法効果」、溶接学会誌、第37巻、第11号、1968年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、特許文献1において開示された技術は、600N/mm級より高い強度の母材について、ルート側初層または複数層を母材より低強度で高延性の溶接材料を適用した事例は明示されていない。オーバーマッチング溶接の適用条件がより厳しい800N/mm級〜1000N/mm級の超高強度鋼材の溶接継手にこそ、部分軟質継手を適用するメリットが大きいのであるが、その適用条件については、特許文献1で開示された従来技術においては明らかでない。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、主として780N/mm以上の超高強度の鋼材の溶接継手部について、現場施工に適用可能で、初層割れの抑止および脆性破断の防止に効果の高い部分軟質継手を適用しながら、母材強度より高い継手強度を有する溶接継手部の構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の部分軟質溶接継手が軸方向に漸増する引張力を受けた場合、ルート側の軟質溶接部が最初に塑性化する。この際、ポアソン比分の圧縮ひずみが軟質溶接部(溶接金属の母材より低強度の部分)に生じようとするが、高強度の母材およびその余の等質溶接部(溶接金属の母材と同等以上の強度の部分)により拘束されているため、軟質溶接部内部においては3軸引張応力状態となり、溶接金属のみかけの軸方向の強度は上昇する。
このため、低強度の軟質溶接部およびより高強度の等質溶接部の各面積と各強度の単純0和から求められる継手強度より高い強度の継手を製造することが可能である。
【0014】
本発明者らは、特に780N/mm(800N/mm級)以上の超高強度鋼材を母材とし、継手の一部に母材強度よりも強度が低い溶接金属を使用した溶接継手についてFEM(Finite Element Method)により数値解析を行い、高い継手強度を有する溶接継手の要件を思案した。
FEMによる数値解析では、図1に示す各パラメータを表1に示すように変化させて解析を行った。
【0015】
【表1】

【0016】
なお、図1における鋼材の継手構造は、符号1が溶接される母材(鋼材)、符号2が母材1に設けられた開先、符号3が開先2内に設けられた溶接金属、符号5が溶接部分のルート、符号6が前記溶接金属3のうちのルート5側に形成されて母材1より強度が低い軟質溶接部、符号7が軟質溶接部6上に形成されて母材1と同等以上の強度を有する等質溶接部、符号9が裏当金である。なお、裏当金9の溶接継手の強度への影響は、今回の数値解析では、裏当て金は存在しないものとして無視し、等質溶接部6は、母材1と同じ強度特性を有するものとした。
【0017】
また、母材1の板厚をtoとし、軟質溶接部6の厚さをtwとし、ルートギャップをgとし、開先2の開先幅をWとし、開先2の開先角度をθとする。
解析結果は、継手強度σwを母材強度σoで無次元化した継手の無次元化強度σw/σoと、(2)式で表される継手パラメータαによりまとめた。
【0018】
【数1】

【0019】
ここで、σw/σo≧1を満足すれば、継手強度が母材強度以上の強度を有することを意味する。
また、軟質溶接部厚さtwが薄く、開先幅Wが小さい方が継手強度が大きくなる傾向にあり、開先角度θが大きい方が継手強度が小さくなる傾向にあることから、(2)式に示すように、母材板厚toにて無次元化するとともに、これらの積をαとしてパラメータとした。
【0020】
数値解析結果について、縦軸をσw/σo(継手の無次元化強度)の値とし、横軸を(2)式のαの値としたσw/σo―α関係を、グラフとして図2〜図5に示す。なお、各グラフは、表1に示す条件の内、各母材強度と各軟質溶接部強度の各々の組合せ毎における数値解析結果として示しており、継手の無次元化強度σw/σoと、表1に示す上記強度条件以外の形状条件の各組合せの場合の(2)式におけるαの値との関係を示したものである。
また、図2が表1における母材強度が980N/mm(1000N/mm級)で軟質溶接部強度が590N/mm(600N/mm級)の場合の結果を示し、図3が表1における母材強度が780N/mm(800N/mm級)で軟質溶接部強度が590N/mm(600N/mm級)の場合の結果を示し、図4が表1における母材強度が980N/mm(1000N/mm級)で軟質溶接部強度が490N/mm(500N/mm級)の場合の結果を示し、図5が表1における母材強度が780N/mm(800N/mm級)で軟質溶接部強度が490N/mm(500N/mm級)の場合の結果を示している。
また、グラフの各マークは、開先形状がレ型で開先角度θが30度の場合と、同じくレ型で45度の場合と、開先形状がV型で開先角度θが30度の場合と、同じくV型で45度の場合に対応している。また、同じ5つのマークは、それぞれ軟質溶接層の厚さが、3,6,9,12,18mmの場合に対応している。
【0021】
図2〜図5より、σw/σoとパラメータαには相関関係があり、σw/σoが1以上、すなわち部分軟質継手が母材強度以上の強度を発揮できる形状条件は、母材強度が980N/mmの母材と軟質溶接部強度が590N/mmの組合せではα≦0.50、以下同様に、780N/mmの母材×590N/mmの軟質溶接部でα≦0.80、980N/mmの母材×490N/mmの軟質溶接部でα≦0.40、780N/mmの母材×490N/mmの軟質溶接部でα≦0.47とすればよい。
【0022】
しかしながら、(2)式のパラメータαは、図2〜図5の各グラフに示すように、同じ母材、溶接材料(軟質溶材)の組み合わせで、αの値を変えた場合に、成立するものであり、母材、溶接材料(軟質溶材)が異なれば成立しない。例えば、1000N/mm級母材と600N/mm級溶接材の組合せと、800N/mm級母材と600N/mm級溶接材の組合せとでは、σw/σoが1以上になるαの値が異なり、また、今回解析したケース以外の母材と溶接材料(軟質溶材)の各強度の組合せ条件におけるパラメータαの値は、明確でない。
そこで、母材強度および軟質溶接部強度の影響をパラメータに加味して整理したところ、(1)式で表されるパラメータβにより整理すれば、母材強度と軟質溶接部強度との影響を含めて一元的に表現できることが分かった。
【0023】
【数2】

【0024】
数値解析結果を、縦軸をσw/σo(継手の無次元化強度)の値とし、横軸を(1)式のβの値としたσw/σo―β関係のグラフとして図6に示す。なお、図6においては、図2〜図5の場合と同様に表1に示される条件に対応した値のβとσw/σoの値との関係が、母材および軟質溶接部の強度に係わらず、一つのグラフにプロットされている。図6のグラフに示すように、母材強度が1000N/mm級または800N/mm級で、軟質溶接部強度が600N/mm級または500N/mm級での、いずれの強度レベルの母材と軟質溶接部の組合せの場合も、βとの相関関係が確認できる。
この場合、σw/σoが1以上となる形状条件は、β≦0.15となる。
【0025】
本発明は以上のような知見を得て完成したものである。
すなわち、本発明の鋼材の溶接継手構造は、鋼材同士を接続する鋼材の溶接継手の構造であって、開先の形状がレ型またはV型で、前記開先内の溶接金属が複数層からなる溶接工法により施工され、接続される母材の強度が780N/mm以上の強度を有し、前記母材を接続するルート側の前記溶接金属の初層を含む複数層からなる軟質溶接部の強度が、490N/mm以上とされるとともに、前記母材の強度より低くされ、前記溶接金属の前記軟質溶接部を除く残りの層が前記母材と同等以上の強度を有する等質溶接部とされ、前記母材の板厚to、前記軟質溶接部の厚さtw、前記開先の開先幅W、および前記開先の開先角度θで表される形状と、母材強度σoおよびルート側の前記軟質溶接部の強度σsとから(1)式により表されるパラメータβが0.15以下であることを特徴とする。
【0026】
【数3】

【0027】
本発明においては、上述の前記母材の板厚to、前記軟質溶接部の厚さtw、前記開先の開先幅W、および前記開先の開先角度θで表される形状と、母材強度σoおよびルート側の前記軟質溶接部の強度σsとから(1)式により表されるパラメータβを0.15以下とすることにより、溶接継手の強度を母材と同等以上とすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の鋼材の溶接継手構造によれば、780N/mm以上の超高強度の鋼材を溶接する際に、現場施工に適用可能で、初層割れの抑止および脆性破断の防止に効果の高い部分軟質継手を適用しながら、母材強度より高い継手強度を有するものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係る鋼材の溶接継手構造を示す概略図である。
【図2】FEMによる数値解析の結果として、継手の無次元化強度σw/σoと、(2)式で示されるαとの関係を示すグラフである。
【図3】FEMによる数値解析の結果として、継手の無次元化強度σw/σoと、(2)式で示されるαとの関係を示すグラフである。
【図4】FEMによる数値解析の結果として、継手の無次元化強度σw/σoと、(2)式で示されるαとの関係を示すグラフである。
【図5】FEMによる数値解析の結果として、継手の無次元化強度σw/σoと、(2)式で示されるαとの関係を示すグラフである。
【図6】FEMによる数値解析の結果として、継手の無次元化強度σw/σoと、(1)式で示されるβとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
この実施形態の鋼材の溶接継手構造は、例えば、図1に示すように、互いに溶接すべき二つの母材1と、母材1に形成された開先2内に形成された溶接金属(溶材)3とを備える。この実施形態の溶接継手においては、開先2内の溶接金属3は、複数層に形成されている。すなわち、この溶接継手においては、溶接金属3が複数層からなる溶接工法(例えば、アーク溶接でビードを二層以上重ねる多層溶接)により施工されている。
【0031】
また、開先2内の溶接金属3は、ルート5側で最初に形成された初層を含む複数層からなり、母材1より強度が低い溶接金属3である軟質溶材からなる軟質溶接部6が形成され、この軟質溶接部6にさらにビードが複数層重ねられ、母材1と同等以上の強度を有する溶接金属3である等質溶材からなる等質溶接部(等質溶材)7が形成されている。
二つの母材1のルート5側の間隔がルートギャップgである。
【0032】
また、ルート5側には、例えば、裏当金9が設けられている。
なお、図1に示される鋼材(母材1)の溶接継手構造は、一例であり、例えば、図1では、開先形状が一方の母材1に形成されるレ型となっているが、両方の母材1に形成されるV型であってもよい。
【0033】
ここで、図1に示すように、母材1の板厚をtoとし、軟質溶接部6の厚さをtwとし、ルートギャップをgとし、開先2の開先幅をWとし、開先2の開先角度をθとする。
母材1は、780N/mm以上(例えば、1000N/mm級も含まれる)の高強度の材料を前提とし、上述のように母材1の開先2の開先形状がレ型またはV型の溶接継手である。
【0034】
開先2内のルートギャップg近傍(ルート5側)は、母材1より強度の低い溶接材料(軟質溶材)により溶接され、上述の軟質溶接部6が形成される。
なお、低強度の溶接材料を使用することで、初層割れの抑制ができるとともに脆性破断を防止することが可能となる。
【0035】
低強度の溶接金属3すなわち軟質溶接部6上に母材と同等以上の強度を有する溶接金属3(等質溶接部7)により溶接を施す。以上の構成により、母材1に軸方向の引張力が与えられた場合、高強度の溶接金属3(等質溶接部7)は母材1同様に低強度の溶接金属3(軟質溶接部6)が塑性化した場合に拘束力を与える。低強度の溶接金属3(軟質溶接部6)は、二つの母材1と高強度溶接金属3(等質溶接部7)に拘束される事で、軟質溶接部6に3軸引張状態が与えられることになる。この結果、高い強度の溶接継手の製造が可能となる。なお、3軸方向に十分な拘束を得るためには、溶接線の長さが十分に長い事が必要であるが、溶接線方向に十分な拘束が得られる平面ひずみ状態となるために、溶接線の長さは母材板厚の5倍以上の長さであることが好ましい。
【0036】
しかし、溶接金属3の軟質溶接部6自体の強度が小さすぎるとみかけ強度分の上昇があったとしても相対的に溶接継手の強度は低いままとなる。このため、溶接材料としての軟質溶材の強度を490N/mm以上とする。すなわち、軟質溶接部6の下限強度が490N/mmに規定される。また、軟質溶接部6の強度は、母材1の強度より低いものとなっている。なお、強度が490N/mmよりも低い溶接材料として、低強度の工業用純鉄を用いるものとした場合に、低強度の工業用純鉄が低炭素鋼であることから、製造に際し、脱炭の工程を必要とすることにより製造コストが高くなる点からも軟質溶材の強度を490N/mm以上とすることが好ましい。
【0037】
ただし、溶接継手の強度は、母材1の板厚to、ルート5側の初層を含む複数層からなる軟質溶接部6の厚さtw、開先幅W、および開先角度θで表される形状と、母材強度σoおよびルート5近傍の低強度の溶接金属3(軟質溶接部6)の強度σsに依存する。軟質溶接部6に十分な拘束状態を与え、継手強度の高い溶接継手とするためには、(1)式により表されるパラメータβが0.15以下であることが必要である。
【0038】
【数4】

【0039】
上述の数値解析結果から明らかなように、(1)式で表されるパラメータβを0.15以下とすることにより、例えば、780N/mm以上、例えば、1000N/mm級の鋼材の溶接においても、溶接継手部分の強度を母材としての鋼材以上の強度とすることが可能である。
【0040】
また、溶接金属のルート側の初層を含む軟質溶接部6は、母材1より低強度となっており、溶接部全体に母材1と同程度以上(例えば、780N/mm以上)の高強度の溶接材料を用いた場合に比較して、溶接割れが生じ難いことから、予後熱管理や溶接入熱およびパス間温度の条件が緩和され、現場溶接の生産性向上を可能にできる。
また、(1)式で示されるβを0.15以下とするものとしても、開先幅Wや開先角度θを有る程度確保することが可能であり、必ずしも狭開先とせずとも施工が可能である。これによって現場施工が容易になり、必ずしも特別な溶接技能・技術を必要としない。
【0041】
なお、図1では鋼板の端面同士を溶接する、いわゆる平継手の例を用いて本発明を説明しているが、建築構造物の柱スキンと梁フランジ等を溶接する、いわゆるT字継手や、鋼管同士を接合する継手等、レ形又はV形の開先を有する溶接継手全てに本発明の溶接継手構造が、適用可能な事は明らかである。
【0042】
なお、上述のFEMの数値解析においては、裏当金9を無視して解析を行っているが、ルート5側の軟質溶接部6の溶接時に、裏当金9が溶融して溶接金属3内に混入して溶接金属3を希釈するので、裏当金9が軟質溶接部6の強度と同等以上の強度の材料からなることが好ましい。
また、この実施の形態の軟質溶接材および等質溶接材は、母材(鋼材)に対応するとともに強度に対応した周知のものを用いることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 母材(鋼材)
2 開先
3 溶接金属
5 ルート
6 軟質溶接部
7 等質溶接部
θ 開先角度
W 開先幅
to 母材板厚
tw 軟質溶接部の厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼材同士を接続する鋼材の溶接継手の構造であって
開先の形状がレ型またはV型で、前記開先内の溶接金属が複数層からなる溶接工法により施工され、
接続される母材の強度が780N/mm以上の強度を有し、
前記母材を接続するルート側の前記溶接金属の初層を含む複数層からなる軟質溶接部の強度が、490N/mm以上で、かつ、前記母材の強度より低く、
前記溶接金属の前記軟質溶接部を除く残りの層が前記母材と同等以上の強度を有する等質溶接部とされ、
前記母材の板厚to、前記軟質溶接部の厚さtw、前記開先の開先幅W、および前記開先の開先角度θで表される形状と、母材強度σoおよびルート側の前記軟質溶接部の強度σsから(1)式により表されるパラメータβが0.15以下であることを特徴とする鋼材の溶接継手構造。
【数1】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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