説明

鋼板パネル、その集積体、これを用いたトンネルの補強構造及び補強工法

【課題】効率的な断面構成で軽量な鋼板パネルを用いて、覆工コンクリートの内面を傷つけることなく、既設トンネルを十分に補強できるようにする。
【解決手段】予め既設トンネルの覆工コンクリート30の内面の形状に合わせて曲げ加工された鋼板パネル10複数個を現場に搬入し、トンネルの外側で、トンネル周方向に鋼板パネル10を接合して一体化させ、既設トンネルの覆工コンクリート30の内面の形状に合わせて略アーチ形状の鋼板パネル集積体22(1ユニット)を構築する。構築した鋼板パネル集積体22(1ユニット)を、トンネル内部の目的とする場所に運んで支点部材24上に設置し、既設の鋼板パネル集積体22とトンネル軸方向に接合する。そして、既設トンネルの覆工コンクリート30と鋼板パネル集積体22との間の空間にモルタルなどの充填材26を充填して、覆工コンクリート30と鋼板パネル集積体22とを一体化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板パネル、その集積体、これを用いたトンネルの補強構造及び補強工法に係り、特に、既設トンネルの補強に用いるのに好適な鋼板パネル、その集積体、これを用いたトンネルの補強構造及び補強工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
既設のトンネルにおいて、覆工コンクリートに、ひび割れや剥落、漏水などの変状が見られる場合には、補修・補強対策が必要となる。
【0003】
この補修・補強対策のための従来技術としては、図13に示す如く、既設トンネルの覆工コンクリート100の内面において変状が生じた部分に、単一な肉厚の鋼板102をアンカーボルト104などで固定し、裏込め材としてモルタルや樹脂等の充填材106を注入する鋼板当て板工法を従来技術1として挙げることができる。
【0004】
更に、この鋼板当て板工法において、本体の長手方向両側に、本体より厚肉の厚肉部を設け、この厚肉部にアンカーボルト貫通孔を設けた板材を用いるという従来技術2(特許文献1参照)がある。この従来技術2では、全体が単一な肉厚の鋼板を用いる場合と比較して、覆工コンクリートの内面に固定するアンカーボルト貫通孔の強度を十分に確保することができ、厚肉部による補強効果により、全体として強靭な補修用板材となることが示されている。
【0005】
又、従来技術3(特許文献2参照)として、略矩形板状のセグメントにおけるトンネル周方向をなす各辺の複数箇所に、トンネル軸方向に隣り合うセグメントリングを相互に接合するための継手材として、周方向に間隔を置いてシアーキーがトンネル軸方向に張り出すように設けられていることを特徴とするトンネル覆工内面保護・補強用のセグメントがある。
【0006】
【特許文献1】特開2001−317298号公報
【特許文献2】特開2004−150072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術1及び従来技術2は、1枚、1枚の板材が独立した構造となっており、複数の板材を並べて適用する場合でも、軸力、曲げモーメント、せん断力の分担・分配効果は期待できない。又、局所的な補修を前提とした構造となっているため、変状箇所が明確でない場合には、十分な補修効果が得られない可能性がある。更に、劣化した覆工コンクリートの内面にアンカーボルト用の孔をあける必要があるため、安全上、あるいは作業環境上の問題を有している。
【0008】
一方、従来技術3は、セグメント本体が単一な板厚の断面形状となっているため、作用する曲げモーメントに対して効率的な断面となっていない。そのため、作用する曲げモーメントに対して、セグメント本体の板厚を比較的大きくする必要がある。同様に、シアーキー近傍においても、所定の剛性を確保するために、セグメント本体の板厚を比較的大きくする必要がある。これらのことから、セグメント本体の厚肉化は避けられず、セグメント本体の重量が大きくなり、コスト高となる。更に、特殊なシアーキーを用いた接合方法を採用しているため、セグメント本体の重量が大きくなることと相まって、現場での作業性が悪くなり、工期が長くなる、あるいは、それをカバーするために、セグメント本体の設置に特殊な機械を必要とするなどの問題点を有している。
【0009】
更に、従来技術3におけるシアーキーを用いた接合方法は、地震などによって作用するトンネル軸方向引張力に対して、シアーキー同士の噛み合わせがずれたり、接合部が抜けてしまう可能性もある。
【0010】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、効率的な断面構成で軽量な鋼板パネルを用いて、覆工コンクリートの内面を傷つけることなく、既設トンネルを十分に補強できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、複数の鋼板パネルを接合して鋼板パネル集積体を構成し、トンネルの損傷した覆工コンクリート内面の補強に用いるための鋼板パネルであって、基材が薄板部材であり、トンネル軸方向に接合させるために、薄板部材のトンネル周方向をなす2辺のうちの1辺に、薄板部材上に形鋼をトンネル軸方向に突出させて配置し、他の1辺に、薄板部材上に形鋼をトンネル軸方向に引き込ませて配置し、薄板部材を突出させた鋼板パネルであり、トンネル軸方向に隣り合う鋼板パネルのそれぞれ薄板部材の突出部と形鋼の突出部とが重ねて接合されることを特徴とする鋼板パネルにより、前記課題を解決したものである。
【0012】
前記形鋼は、山形鋼、溝形鋼、H形鋼、およびI形鋼からなる群から選択された1つ以上とすることができる。
【0013】
又、前記鋼板パネルを、トンネル周方向に接合させるために、薄板部材のトンネル軸方向をなす2辺のうちの1辺に、薄板部材上に継手板兼端部補強部材をトンネル周方向に突出させて配置した鋼板パネルとし、トンネル周方向に隣り合う鋼板パネルのそれぞれ継手板兼端部補強部材の突出部と薄板部材とを重ねて接合することができる。
【0014】
又、前記鋼板パネルを、トンネルの覆工コンクリート内面の形状にあわせて曲げ加工することができる。
【0015】
本発明は、又、トンネル周方向及びトンネル軸方向に隣り合う前記鋼板パネルを順次接合して一体化させたことを特徴とする前記鋼板パネルの集積体を提供するものである。
【0016】
前記鋼板パネルの集積体のトンネル軸方向に隣り合う鋼板パネルを千鳥配置することができる。
【0017】
又、前記鋼板パネルの集積体の前記鋼板パネルをボルト接合により接合することができる。
【0018】
本発明は、又、前記の鋼板パネルの集積体が用いられたことを特徴とするトンネルの補強構造を提供するものである。
【0019】
本発明は、又、トンネルの覆工コンクリート内面に前記の鋼板パネルの集積体からなる新しい覆工を構築し、前記覆工コンクリート内面と前記鋼板パネルの集積体との間の空間に充填材を充填して、前記覆工コンクリートと前記鋼板パネルの集積体とを一体化することを特徴とするトンネルの補強工法を提供するものである。
【0020】
又、トンネルの覆工コンクリート内面に前記の鋼板パネルの集積体からなる新しい覆工を構築し、前記覆工コンクリート内面と前記鋼板パネルの集積体との間の空間のうち、前記形鋼部分に、前記形鋼を型枠代わりにして充填材を部分的に充填して、前記覆工コンクリートと前記鋼板パネルの集積体とを一体化することを特徴とするトンネルの補強工法を提供するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明における鋼板パネルは、外力に対して効果的な断面構成としている。このため、薄板部材、形鋼、継手板兼端部補強部材において機能の分担がなされ、曲げモーメント及びせん断力の分担・分配効果を期待でき、局部的な応力集中を緩和することができ、その結果、パネル1枚の重量を軽量化することができる。これにより現場での作業性が良くなり、コストを削減し、且つ、工期を短縮できる。
【0022】
又、本発明における鋼板パネルでは、既設トンネルの覆工コンクリート内面の形状に合わせて略アーチ形状に鋼板パネル集積体を構成し、既設トンネルの覆工コンクリートと鋼板パネル集積体との間の空間にモルタルなどの充填材を充填することにより、覆工コンクリートの内面全体を覆うような設置が可能なため、変状箇所が明確でない場合でも、十分な補強効果が期待できる。
【0023】
又、本発明では、既設トンネルの覆工コンクリートにアンカーボルト用の孔などをあける必要がないため、劣化した覆工コンクリートの内面を傷つけることがなく、安全に作業できる。
【0024】
更に、本発明では、継手板兼端部補強部材の突出部と薄板部材とを重ねてボルト接合し、又、薄板部材の突出部と形鋼の突出部とを重ねてボルト接合しているため、地震などによって作用する、トンネル軸方向引張力に対しても、接合部がずれたり抜けてしまうことがなく、十分に抵抗できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0026】
図1に、本発明の第1実施形態に係る鋼板パネル10の(A)平面図および(B)側面図を示す。この実施形態では、形鋼として山形鋼を適用している。鋼板パネル10は、基材が薄板部材12であり、トンネル軸方向に接合させるために、薄板部材12のトンネル周方向をなす図の左右2辺のうちの1辺(図では左辺)に、薄板部材12上に山形鋼14を突出させて配置し、他の1辺(図では右辺)に、薄板部材12上に山形鋼14を引き込ませて配置し、薄板部材12を突出させている。又、トンネル周方向に接合させるために、薄板部材12のトンネル軸方向をなす図1の上下2辺のうちの1辺(図1では上辺)に、薄板部材12上に継手板兼端部補強部材16を突出させて配置している。山形鋼14及び継手板兼端部補強部材16は、薄板部材12の上に、例えば溶接などにより予め工場などで設置しておくことを基本とする。
【0027】
現場での作業においては、特殊な機械を必要とせず、施工誤差の調整が容易なボルト接合とすることが望ましい。現場で迅速なボルト接合が可能となるように、図1に示した如く、予め、山形鋼14の突出部及び継手板兼端部補強部材16の突出部に、ボルト用の孔14a、16aを設け、ボルト固定用のナット18をスポット溶接あるいは隅肉溶接などにより固定し、対応する薄板部材12にボルト用の孔12aを設けておくことが望ましい。なお、要求される性能を満足すれば、溶接や接着などボルト接合以外の方法を用いることも可能である。
【0028】
鋼板パネル10の寸法は、対象となるトンネルの大きさ、現場での施工性、設計外力などの要因により異なるが、例えば、トンネル軸方向長さ1m程度、トンネル周方向長さ2m〜4m程度、薄板部材12の板厚は8mm程度、山形鋼14の断面寸法は高さ×幅が40mm×40mm〜100mm×100mm程度とすることができる。
【0029】
図2に、トンネル軸方向に隣り合う鋼板パネル10の接合方法として、ボルト接合の例を示す。山形鋼14の突出部と薄板部材12の突出部とを重ねて、孔12aと14aを貫通してボルト接合する際に、薄板部材12側からボルト20をナット18にねじ込むだけで、両者の接合が完了する。ここで、ボルト接合においては、適宜、座金19を併用するものとする。又、図3(A)及び(B)に示すように、トンネル周方向の継手板兼端部補強部材16の突出部と薄板部材12の接合も、孔12aと16aを貫通してボルト接合する際に、薄板部材12側からボルト20をナット18にねじ込むだけで、両者の接合が完了する。なお、ボルト接合以外の接合方法を用いることも可能である。
【0030】
図4〜7に、他の実施形態の例を示す。図4は形鋼として溝形鋼14Aを適用した第2実施形態、図5は形鋼として山形鋼14と溝形鋼14Bを併用して適用した第3実施形態、図6は形鋼として溝形鋼14Cを図4と向きを変えて適用した第4実施形態、図7は形鋼としてH形鋼又はI形鋼14Dを適用した第5実施形態のトンネル軸方向の接合方法を示す。図4〜7のいずれの場合も、図2で上述したものと同様にしてトンネル軸方向に隣り合う鋼板パネル10の接合が可能となる。
【0031】
図8に、千鳥配置でボルト接合された鋼板パネル集積体22の一部の平面図およびA−A断面図を示す。形鋼としては山形鋼を用いている。トンネル周方向に隣り合う鋼板パネル10の継手板兼端部補強部材16の突出部と鋼板パネル10の薄板部材12とを重ねてボルト接合し、又、トンネル軸方向に隣り合う鋼板パネルの薄板部材12の突出部と山形鋼14の突出部とを重ねてボルト接合することより、一体化された鋼板パネル集積体22を構成する。これにより、軸力、曲げモーメント、せん断力の分担・分配効果を期待でき、局部的な応力集中を緩和することができる。又、千鳥配置とすることにより、ボルト接合部がトンネル軸方向に連なって弱点となることを防ぐことができる。なお、千鳥配置以外の配置を行うことも可能である。
【0032】
次に、本発明に係る鋼板パネルの第1実施形態を用いて、既設トンネルの覆工コンクリートを補強する工法の手順の一例を図9及び図10を参照して説明する。図9は山形鋼14の部分のみに部分的に充填材を充填する場合を示し、図10は山形鋼14を含んだ空間全体に充填材を充填する場合を示す。
【0033】
(1)予め既設トンネルの覆工コンクリート30の内面の形状に合わせて曲げ加工された鋼板パネル10複数個を現場に搬入し、トンネルの外側で、トンネル周方向に鋼板パネル10を接合して一体化させ、既設トンネルの覆工コンクリート30の内面の形状に合わせて略アーチ形状の鋼板パネル集積体22(1ユニット)を構築する。
【0034】
(2)略アーチ形状に構築した鋼板パネル集積体22(1ユニット)を、移動台車(図示せず)などでトンネル内部に運んで支点部材24上に設置する。
【0035】
(3)前記鋼板パネル集積体22(1ユニット)と既設の鋼板パネル集積体22とをトンネル軸方向に接合する。
【0036】
(4)既設トンネルの覆工コンクリート30と鋼板パネル集積体22との間の空間にモルタルなどの充填材26を充填して、覆工コンクリート30と鋼板パネル集積体22とを一体化する。ここで、充填材26の充填に関しては、図11に示すように、山形鋼14を型枠代わりにすることができ、予め工場などで、あるいは現場で、山形鋼14の上端と既設トンネルの覆工コンクリート30の内面との隙間にシール材32を適宜設置しておき、山形鋼14の部分のみに、部分的に充填する方法がある。もしくは、図12(A)に示すように、既設トンネルの覆工コンクリート30と鋼板パネル集積体22との間の、山形鋼14を含む空間全体に充填材26を充填してもよい。さらにこの際、図12(B)に示すように、鉄筋34を前記空間内で周方向に、あるいは山形鋼14を貫通させて前記空間内で軸方向に配置した後に、充填材26を充填してもよい。
【0037】
(5)前記(1)〜(4)の作業を繰り返すことにより、トンネル周方向及びトンネル軸方向への増築が可能となる。
【0038】
以上のように施工することにより、本発明は、ひび割れや剥落、漏水などの変状を生じた既設トンネルの覆工コンクリートを、有効に補強できる。
【0039】
次に、本発明に係る鋼板パネルの第1実施形態(形鋼として山形鋼を使用)を用いて、既設トンネルの覆工コンクリートを補強した場合の作用及び効果について説明する。
【0040】
本発明の第1実施形態に係る鋼板パネル10を用いた鋼板パネル集積体22は、トンネル周方向に隣り合う鋼板パネル10の継手板兼端部補強部材16の突出部と鋼板パネル10の薄板部材12とを重ねてボルト20により接合し、又、トンネル軸方向に隣り合う鋼板パネル10の山形鋼14の突出部と薄板部材12の突出部とを重ねてボルト20により接合することより、一体化されて構成されている。これにより、従来技術1及び従来技術2と異なり、軸力、曲げモーメント、せん断力の分担・分配効果を期待でき、局部的な応力集中を緩和することができる。
【0041】
又、従来技術1及び従来技術2と異なり、既設トンネルの覆工コンクリート内面の形状に合わせて略アーチ形状に鋼板パネル集積体を構成してトンネル内面全体を覆うように設置し、既設トンネルの覆工コンクリートと鋼板パネル集積体との間の空間にモルタルなどの充填材を充填して一体化することができる。このため、変状箇所が明確でない場合でも、十分な補強効果が期待できる。
【0042】
又、本実施形態では、既設トンネルの覆工コンクリートにアンカーボルト用の孔などをあける必要がないため、劣化した覆工コンクリートの内面を傷つけることがなく、安全に作業できる。
【0043】
更に、本発明の第1実施形態に係る鋼板パネル10は、薄板部材12、山形鋼14、継手板兼端部補強部材16より構成されるが、1)薄板部材12は、作用力を面で受け、トンネル内面全体を覆う、2)山形鋼14は、補強部材として機能し、曲げモーメントなどの外力に効率よく抵抗する、3)継手板兼端部補強部材16は、薄板部材12の端部を補強しつつ薄板部材12同士を接合する役目をそれぞれ持っている。これにより、本体が単一な板厚の断面形状である従来技術3と比較して、本実施形態における鋼板パネルは、曲げモーメントなどの外力に対して効率的な断面構成となっており、結果として、パネル1枚の重量を軽量化することができる。これにより現場での作業性が良くなる。又、現場での接合方法はボルト接合を基本としているため、施工誤差に対する許容度が大きく、特殊なシアーキーを用いた接合方法である従来技術3と比較して、特殊な機械を必要とせず、コストを削減し、且つ、工期を短縮できる。
【0044】
更に、本発明の第1実施形態に係る鋼板パネル10は、継手板兼端部補強部材16の突出部と薄板部材12とを重ねてボルト接合し、又、薄板部材12の突出部と山形鋼14の突出部とを重ねてボルト接合しているため、地震などによって作用する、トンネル軸方向引張力に対しても、従来技術3と異なり、接合部がずれたり抜けてしまうことがなく、十分に抵抗できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る鋼板パネルの第1実施形態を示す(A)平面図および(B)側面図
【図2】トンネル軸方向に隣り合う鋼板パネルのボルト接合方法の例を示す断面図
【図3】トンネル周方向に隣り合う鋼板パネルのボルト接合方法の例を示す(A)立体図及び(B)I−I断面図
【図4】形鋼として溝形鋼を適用した第2実施形態のトンネル軸方向の接合方法の例を示す断面図
【図5】形鋼として山形鋼と溝形鋼を併用して適用した第3実施形態のトンネル軸方向の接合方法の例を示す断面図
【図6】形鋼として溝形鋼を図4とは向きを変えて適用した第4実施形態のトンネル軸方向の接合方法の例を示す断面図
【図7】形鋼としてH形鋼またはI形鋼を適用した第5実施形態のトンネル軸方向の接合方法の例を示す断面図
【図8】千鳥配置でボルト接合された鋼板パネル集積体の一部を示す(A)平面図および(B)A−A断面図
【図9】本発明によるトンネルの補強工法の実施例として山形鋼の部分に部分的に充填材を充填する場合を示す立体図
【図10】本発明によるトンネルの補強工法の実施例として山形鋼を含む空間全体に充填材を充填する場合を示す立体図
【図11】山形鋼の部分に部分的に充填材を充填する方法を示す断面図
【図12】山形鋼を含む空間全体に充填材を充填する方法であって、(A)鉄筋を設置しない場合を示す断面図及び(B)鉄筋を設置する場合を示す断面図
【図13】従来技術1の鋼板当て板工法を示す断面図
【符号の説明】
【0046】
10…鋼板パネル
12…薄板部材
12a、14a、16a…ボルト用の孔
14…山形鋼
14A、14B、14C…溝形鋼
14D…H形鋼又はI形鋼
16…継手板兼端部補強部材
18…ナット
19…座金
20…ボルト
22…鋼板パネル集積体
24…支点部材
26…充填材
30…覆工コンクリート
32…シール材
34…鉄筋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鋼板パネルを接合して鋼板パネル集積体を構成し、トンネルの損傷した覆工コンクリート内面の補強に用いるための鋼板パネルであって、
基材が薄板部材であり、
トンネル軸方向に接合させるために、薄板部材のトンネル周方向をなす2辺のうちの1辺に、薄板部材上に形鋼をトンネル軸方向に突出させて配置し、他の1辺に、薄板部材上に形鋼をトンネル軸方向に引き込ませて配置し、薄板部材を突出させた鋼板パネルであり、
トンネル軸方向に隣り合う鋼板パネルのそれぞれ薄板部材の突出部と形鋼の突出部とが重ねて接合されることを特徴とする鋼板パネル。
【請求項2】
前記形鋼が、山形鋼、溝形鋼、H形鋼、およびI形鋼からなる群から選択された1つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の鋼板パネル。
【請求項3】
前記鋼板パネルにおいて、トンネル周方向に接合させるために、薄板部材のトンネル軸方向をなす2辺のうちの1辺に、薄板部材上に継手板兼端部補強部材をトンネル周方向に突出させて配置した鋼板パネルであり、
トンネル周方向に隣り合う鋼板パネルのそれぞれ継手板兼端部補強部材の突出部と薄板部材とが重ねて接合されることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼板パネル。
【請求項4】
前記鋼板パネルがトンネルの覆工コンクリート内面の形状にあわせて曲げ加工されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の鋼板パネル。
【請求項5】
トンネル周方向及びトンネル軸方向に隣り合う前記鋼板パネルを順次接合して一体化させたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の鋼板パネルの集積体。
【請求項6】
トンネル軸方向に隣り合う鋼板パネルが千鳥配置されたことを特徴とする請求項5に記載の鋼板パネルの集積体。
【請求項7】
前記鋼板パネルをボルト接合により接合することを特徴とする請求項5又は6に記載の鋼板パネルの集積体。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれかに記載の鋼板パネルの集積体が用いられたことを特徴とするトンネルの補強構造。
【請求項9】
トンネルの覆工コンクリート内面に請求項5乃至7のいずれかに記載の鋼板パネルの集積体からなる新しい覆工を構築し、
前記覆工コンクリート内面と前記鋼板パネルの集積体との間の空間に充填材を充填して、前記覆工コンクリートと前記鋼板パネルの集積体とを一体化することを特徴とするトンネルの補強工法。
【請求項10】
トンネルの覆工コンクリート内面に請求項5乃至7のいずれかに記載の鋼板パネルの集積体からなる新しい覆工を構築し、
前記覆工コンクリート内面と前記鋼板パネルの集積体との間の空間のうち、前記形鋼部分に、前記形鋼を型枠代わりにして充填材を部分的に充填して、前記覆工コンクリートと前記鋼板パネルの集積体とを一体化することを特徴とするトンネルの補強工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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