説明

鋼殻構造物の内装パネル取付構造及び内装パネル施工方法

【課題】セパレータの端部を利用する内装パネルの取り付けで、隣接する内装パネルの隣接箇所と対応してセパレータの端部が配置されていない場合にも内装パネルを取り付けることができ、効率的且つ容易に施工作業を行うことができる。
【解決手段】所定間隔を開けて配置される鋼殻1b・1bと、鋼殻1b・1b間に設けられ、少なくとも一方の端部2aが鋼殻1bから外側に突出するセパレータ2と、隣接する耐火パネル10・10に跨って設けられ、耐火パネル10の各々に対して定置して取り付けられるパネル支持具7と、セパレータ2の突出する端部2aに一方の突出片52が固定され、パネル支持具7に他方の突出片53が固定される断面視略Z字形状の補助具5とを備える内装パネル取付構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定間隔を開けて配置される鋼殻間にセパレータが設けられる鋼殻構造物に内装パネルを取り付ける鋼殻構造物の内装パネル取付構造及び内装パネル施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定間隔を開けて配置される鋼殻間にセパレータが設けられる鋼殻構造物として鋼殻沈埋トンネルが知られている。鋼殻沈埋トンネルは、所定間隔を開けて配置される鋼殻をセパレータで連結することにより、内外二重の鋼殻を有する箱状の鋼殻体を構成し、この鋼殻体を成形用型枠として両側の鋼殻間にコンクリートやモルタル等の固結材を充填してトンネル構造体を構成し、このトンネル構造体を海底等に順次沈下させて接続することにより、長尺のトンネル空間を形成するものである。
【0003】
このような鋼殻沈埋トンネルの内面には、耐火パネル等の内装パネルを取り付けることが一般的に行われている。鋼殻沈埋トンネルの内面への内装パネルの取り付けは、例えば特許文献1のようにセパレータの端部を利用して行われることがある。この取付構造では、トンネル空間側に突出するセパレータの端部に左右対称の断面視Ω字形状の補助金具が固定され、その補助金具の両端部にコ字形基部の両側に差込片を有するパネル支持金具が固定され、支持金具の差込片を内装パネルの背面とその背面に設けた係止金具との間に挿入嵌合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−82052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記鋼殻沈埋トンネルの内面への内装パネルの取り付けは、隣接する内装パネルの隣接箇所と対応してセパレータの端部が配置されることが必要になるが、セパレータは鋼殻体を製造する時点ですでに配置が決まっているため、後から変更することはできない。そのため、セパレータを利用する内装パネルの取り付けで、セパレータが丁度良い位置に配置されていない場合にも、効率的且つ容易に施工作業を行うことができる構成が求められている。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、セパレータの端部を利用する内装パネルの取り付けで、隣接する内装パネルの隣接箇所と対応してセパレータの端部が配置されていない場合にも内装パネルを取り付けることができ、効率的且つ容易に施工作業を行うことができる鋼殻構造物の内装パネル取付構造及び内装パネル施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の鋼殻構造物の内装パネル取付構造は、所定間隔を開けて配置される鋼殻と、前記鋼殻間に設けられ、少なくとも一方の端部が前記鋼殻から外側に突出するセパレータと、隣接する内装パネルに跨って設けられ、前記内装パネルの各々に対して定置して取り付けられるパネル支持具と、前記セパレータの前記突出する端部に一方の突出片が固定され、前記パネル支持具に他方の突出片が固定される断面視略Z字形状の補助具とを備えることを特徴とする。
前記構成では、断面視略Z字形状の補助具を用いることにより、セパレータの端部を利用する内装パネルの取り付けで、隣接する内装パネルの隣接箇所と対応してセパレータの端部が配置されていない場合にも内装パネルを取り付けることができ、効率的且つ容易に施工作業を行うことができる。特に、一体型の断面視略Z字形状の補助具を用いる場合には、ブラケットやブラケットと補助具を固定するボルト、ナット等を不要とすることができ、部品点数を減らし、より一層効率的且つ容易な施工作業が可能となる。
【0008】
本発明の鋼殻構造物の内装パネル取付構造は、前記セパレータの前記突出する端部に形成されている螺子溝と、前記螺子溝に螺合される一対のナットを備え、前記突出する端部が貫通する前記一方の突出片を前記一対のナットで挟持することを特徴とする。
前記構成では、一対のナットの螺合で補助具の一方の突出片を挟持することにより、セパレータ端部における一対のナットの螺合位置を調整して補助具の取付位置を調整し、内装パネルの設置位置を調整することが可能となる。
【0009】
本発明の鋼殻構造物の内装パネル取付構造は、前記補助具を長尺の棒状とし、前記鋼殻間に設けられる別のセパレータの前記鋼殻から外側に突出する端部に前記補助具の前記一方の突出片が固定されることを特徴とする。
前記構成では、長尺の棒状の補助具とすることにより、パネル支持具による内装パネルの広い範囲の支持位置に対応することができる。また、補助具を一のセパレータの端部と別のセパレータの端部とに架橋するように設けることが可能であるから、補助具を高強度で安定して取り付けることができる。
【0010】
また、本発明の鋼殻構造物の内装パネル施工方法は、所定間隔を開けて配置される鋼殻と、前記鋼殻間に設けられ、少なくとも一方の端部が前記鋼殻から外側に突出するセパレータから構成される鋼殻構造物に対し、隣接する内装パネルに跨って設けられ、前記内装パネルの各々に対して定置して取り付けられるパネル支持具を定置する際に、断面視略Z字形状の補助具の一方の突出片を前記セパレータの前記突出する端部に固定すると共に、前記補助具の他方の突出片を前記パネル支持具に固定する工程を備えることを特徴とする。
前記構成では、断面視略Z字形状の補助具を用いて施工することにより、セパレータの端部を利用する内装パネルの取り付けで、隣接する内装パネルの隣接箇所と対応してセパレータの端部が配置されていない場合にも内装パネルを取り付けることができ、効率的且つ容易に施工作業を行うことができる。特に、一体型の断面視略Z字形状の補助具を用いる場合には、ブラケットやブラケットと補助具を固定するボルト、ナット等を不要とすることができ、部品点数を減らし、より一層効率的且つ容易な施工作業が可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の鋼殻構造物の内装パネル取付構造或いは、内装パネル施工方法は、断面視略Z字形状の補助具を用いることにより、セパレータの端部を利用する内装パネルの取り付けで、隣接する内装パネルの隣接箇所と対応してセパレータの端部が配置されていない場合にも内装パネルを取り付けることができ、効率的且つ容易に施工作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による第1実施形態の鋼殻構造物の内装パネル取付構造が適用される鋼殻構造物(鋼殻沈埋トンネル)の横断正面図。
【図2】(a)〜(c)は図1のa〜c部の拡大図。
【図3】図2(b)及び図2(c)のd部の拡大図。
【図4】図3のA−A線矢視断面図。
【図5】第1変形例の鋼殻構造物の内装パネル取付構造における図3に相当する部位の拡大図。
【図6】図5のB−B線矢視断面図。
【図7】第2変形例の鋼殻構造物の内装パネル取付構造における図3に相当する部位の拡大図。
【図8】図7のC−C線矢視断面図。
【図9】第1実施形態の変形例の図2(b)及び図2(c)のd部に相当する部位の拡大図。
【図10】第3変形例の鋼殻構造物の内装パネル取付構造における図3に相当する部位の拡大図。
【図11】図10のD−D線矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔第1実施形態の鋼殻構造物の内装パネル取付構造及び内装パネル施工方法〕
本発明による第1実施形態の鋼殻構造物の内装パネル取付構造及び内装パネル施工方法について説明する。図1は第1実施形態の鋼殻構造物の内装パネル取付構造が適用される鋼殻構造物(鋼殻沈埋トンネル)の横断正面図、図2(a)〜(c)は図1のa〜c部の拡大図。図3は図2(b)及び図2(c)のd部の拡大図、図4は図3のA−A線矢視断面図である。
【0014】
第1実施形態の鋼殻構造物の内装パネル取付構造が設けられる鋼殻構造物は、図1及び図2に示す鋼殻沈埋トンネル1であり、鋼殻沈埋トンネル1では、鋼板等で形成した断面長方形状の外側の鋼殻1a内に、鋼板等で形成した複数個の鋼殻1bを、それぞれ所定の間隔をおいて配置し、その内外方向及び横方向で隣り合う鋼殻1b・1a、鋼殻1b・1b間にコンクリートやモルタル等の固結材1cを充填し、内部にトンネル空間S1〜S5を有するトンネル構造体Tを構成している。そして、トンネル構造体Tを海底等に順次沈下させ、これを連結ボルト等で順次接続してトンネル空間S1〜S5をそれぞれ連続させ、鋼殻沈埋トンネル1が形成される。
【0015】
内外方向及び横方向で隣り合う鋼殻1b・1a、鋼殻1b・1b間には、図2〜図4に示すように、棒状のセパレータ2が設けられており、セパレータ2は、鋼殻1b或いは鋼殻1aの面方向の縦横に所定間隔をおいて多数設けられている。各セパレータ2には、両側の端部2a・2aにそれぞれ雄ねじとなる所定長さの螺子溝2bが形成されている。鋼殻1b・1a間に設けられるセパレータ2では、一方の端部2aが一方側の鋼殻1bを貫通して外側であるトンネル空間側に突出し、その螺子溝2bにナット4が螺合され、ナット4で鋼殻1bを外側から押さえていると共に、他方の端部2aが他方側の鋼殻1aに溶接等で固着されたナット3にねじ込まれている。また、鋼殻1b・1b間に設けられるセパレータ2では、一方の端部2aが一方側の鋼殻1bを貫通して外側であるトンネル空間側に突出していると共に、他方の端部2aが他方側の鋼殻1bを貫通して外側であるトンネル空間側に突出しており、後述する補助具5が設けられる端部2a以外では、各端部2aの螺子溝2bにそれぞれナット4が螺合され、ナット4で鋼殻1bを外側から押さえている。
【0016】
尚、隣り合う鋼殻1b・1a間、鋼殻1b・1b間に設けられるセパレータ2では、固結材1cの充填及び固結が完了する前においては、前記補助具が設けられる端部2aも含め、全ての前記突出している端部2aでナット4が鋼殻1bを外側から押さえ、鋼殻1b・1a、鋼殻1b・1bを互いに連結固定して所定の間隔に保持するようになっている。このセパレータ2による間隔保持により、固結材1cを充填する際の圧力で鋼殻1b、1aがトンネル空間S1〜S5側又はトンネル構造体Tの外側に孕み出すことを防止している。固結材1cの充填及び固結の完了後には、前記補助具5が設けられる端部2aのナット4を弛めることが可能となる。
【0017】
更に、所定位置の鋼殻1b・1b間に設けられるセパレータ2の端部2aには補助具5が設けられる。補助具5は、所要強度を有する金属製等で、断面視略Z字形状の長尺の棒状部材であり、基板51と、基板5の幅方向の一方の端縁から略直角に屈曲して突出する一方の突出片52と、基板5の幅方向の前記一方の端縁と逆側の端縁から略直角に屈曲して突出する他方の突出片53とから構成される。補助具5の一方の突出片52、他方の突出片53には図示省略する貫通穴が所定間隔でそれぞれ形成されており、一方の突出片52はセパレータ2の端部2aを前記貫通穴に貫通させて、ナット4及びこれと当接するワッシャー41の外側で端部2aにはめられ、又、他方の突出片53は後述するパネル支持具7に沿って配設される。
【0018】
セパレータ2の端部2aにおける補助具5の一方の突出片52の外側には、ワッシャー61を介してナット6が螺子溝2bに螺合して設けられ、一方の突出片52は一対のナット4、6で挟持されて端部2aに固定される。また、この補助具5の一方の突出片52は、セパレータ2と並列配置されている鋼殻1b・1b間に設けられる別のセパレータ2の端部2aにもはめられ、一対のナット4、6で挟持する同様の構成で固定されるようになっており、換言すれば補助具5はセパレータ2・2の端部2a・2a或いは3個以上のセパレータ2の端部2aに架橋するようにして設けられる。
【0019】
補助具5の他方の突出片53にはパネル支持具7が取り付けられ、又、このパネル支持具7は、隣接する耐火パネル10に跨って設けられ、耐火パネル10の各々に対して定置して取り付けられる。パネル支持具7は、所要強度を有する金属製等で、断面視略Ω字形状の部材であり、取付基板71と、取付基板71の両側端縁からそれぞれ略直角に屈曲して延びる突出部72、72と、突出部72、72の各端縁から略直角に屈曲して外側に延びる差込片73、73とから構成される。取付基板71には、補助具5の他方の突出片53の貫通穴に対応する貫通穴(図示省略)が設けられており、取付基板71を補助具5の他方の突出片53に沿うように配置し、前記貫通穴にボルト8を挿入してナット9を螺合することにより、補助具5の他方の突出片53とパネル支持具7とが固定される。
【0020】
そして、本実施形態では、図1の左右両側の非常用通路として用いられるトンネル空間S1、S5を除くトンネル空間S1〜S4の内面に、内装パネルである耐火パネル10を取り付ける。尚、トンネル空間の内面の底部に、道路等を形成するためにコンクリートを打設する場合には、コンクリートがトンネル構造体Tの耐火被覆を兼ねるので、底部には耐火パネル10を取り付ける必要はない。
【0021】
耐火パネル10には、パネル支持具7の取付位置に対応して背面側の四隅に係止具11が1つずつ設けられている。係止具11は、全体として略帯板状に形成され、その長手方向の両端部に厚さ方向に段差状に屈曲形成された取付部11aが設けられている。取付部11aには図示省略する取付穴が形成されており、この取付穴にボルト12を挿通し、耐火パネル10内に埋設したインサートナット13にねじ込むことにより、係止具11が耐火パネル10に取り付けられている。係止具10の長手方向の中央部と耐火パネル10との間にはスリット状の隙間が形成され、その隙間内にパネル支持具7の差込片73、73を差し込んで、耐火パネル10を係合保持させるようになっている。
【0022】
この内装パネル取付構造を構成する或いは内装パネルである耐火パネル10を施工する際には、連結されたトンネル構造体Tに対し、断面視略Z字形状の補助具5が設けられる端部2aにおいて、端部2aに螺合されているナット4を弛め、端部2aに一方の突出片52をはめ、その端部2aに一方の突出片52の外側からワッシャー61を介してナット6を螺合し、補助具5の一方の突出片52をセパレータ2の突出する端部2aに固定し、同様に並列配置の別のセパレータ2の端部2aにも同様に固定すると共に、上述の如く、補助具5の他方の突出片53にパネル支持具7に固定する。そして、パネル支持具7の差込片73・73を隣接配置される耐火パネル10・10の隙間に差し込むことにより、耐火パネル10を取り付ける。
【0023】
本実施形態では、一体型の断面視略Z字形状の補助具5を用いることにより、セパレータ2の端部2aを利用する内装パネルである耐火パネル10の取り付けで、隣接する耐火パネル10・10の隣接箇所と対応してセパレータ2の端部2aが配置されていない場合にも耐火パネル10を取り付けることができると共に、ブラケットやブラケットと補助具を固定するボルト、ナット等を不要とすることができ、部品点数を減らし、効率的且つ容易な施工作業を可能にする。また、一対のナット4・6の螺合で補助具5の一方の突出片52を挟持することにより、セパレータ端部2aにおける一対のナット4、6の螺合位置を調整して補助具5の取付位置を調整し、耐火パネル10の設置位置を調整することが可能となる。また、長尺の棒状の補助具5とすることにより、パネル支持具7による耐火パネル10の広い範囲の支持位置に対応することができる。また、補助具5を一のセパレータ2の端部2aと別のセパレータ2の端部2aとに架橋するように設けることが可能であるから、補助具5を高強度で安定して取り付けることができる。
【0024】
〔実施形態の変形例等〕
本明細書開示の発明には、各発明や実施形態等の構成の他に、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものも含まれ、例えば下記のような変形例も包含される。
【0025】
例えば補助具5の他方の突出片53とパネル支持具7の取付基板71を固定する際に、上記実施形態の通常のボルト8及びナット9を用いる構成に代え、図5及び図6の第1変形例に示すように、ねじ部の長さ方向中間部に段落とし非ねじ部を有するセーフティーボルト8aと、弛み止め機能を有するクリップナット9aとを用いる構成としてもよい。また、図7及び図8に示す第2変形例のように、第1変形例における一方の耐火パネル10に係止具11を設けて、パネル支持具7の差込片73を挿入する構成に代え、差込片73或いはこれに相当する部位に、耐火パネル10のインサートナット13にねじ込まれたセーフティーボルト12aを貫通させ、セーフティーボルト12aとナット14で挟持固定する構成としてもよい。
【0026】
また、上記実施形態では、補助具5を設けるセパレータ2の端部2aにおいて、ナット4を弛めて補助具5の固定に用いる構成としたが、例えば別のナットをナット4の外側に螺合し、この別のナットとナット6を螺合して補助具5の一方の突出片52を挟持する構成等とし、セパレータ2による鋼殻1b・1b、鋼殻1b・1aの間隔保持状態を維持するようにすることも可能である。また、棒状のセパレータ2は全周に亘って螺子溝を有する全ねじボルトとしてもよい。また、係止具11は補助具5及びパネル支持具7を介して取り付け可能な位置であれば耐火パネル10の適宜の位置に設けることが可能である。また、内装パネルは耐火パネル10以外の各種の内装パネルとすることが可能である。
【0027】
また、図9に示す第1実施形態の変形例として、セパレータ2の一方の端部2aが一方側の鋼殻1bを貫通して外側であるトンネル空間側に突出し、その突出部分に角座金200と補助具5の一方の突出片52がはめられ、更に、より端部側の螺子溝2bにワッシャー61を介してナット6が螺合され、ナット6で鋼殻1bが外側から押さえられる構成としてもよい。この例では、セパレータ2に角座金200を有する鋼殻1bにおいて防錆剤が塗布されている場合に、セパレータ2の角座金200がついた状態を維持し、防錆剤のない箇所が生ずることを防止できると共に、角座金200の取り外しの手間をなくすことができる。
【0028】
さらに、断面視略Z字形状の補助具5として、図10及び図11に示すように、別体型の補助金具を組み合わせる構成とすることも可能である。図10及び図11に示す変形例では、補助具5として断面視L字形状で短尺のブラケット102と断面視L字形の長尺の補助金具105を組み合わせて用い、パネル支持金具107を所要位置に配置するようにしている。具体的な構造では、鋼殻101及びブラケット102の一片102a(一方の突出片に相当)を貫通して設けられる棒状のセパレータ103の端部103aにワッシャー104aを介してナット104bが螺合され、鋼殻101とナット104bで付勢されているワッシャー104aとでブラケット102の一片102aが挟持されている。ブラケット102の他片102bには補助金具105の一片105aが重ねて配置され、これらを貫通するボルト106a及びワッシャー106bを介するナット106cで螺着されている。補助金具105の他片105b(他方の突出片に相当)にはパネル支持金具107の基部107aが重ねて配置され、これらを貫通するボルト108a及びワッシャー108bを介するナット108cで螺着されている。パネル支持金具107の両側の差込片107b、107bは、それぞれ隣接する内装パネル109の背面とその背面にボルト110で固定されている係止金具111との間に挿入嵌合される。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、鋼殻沈埋トンネル等の鋼殻構造物に内装パネルを取り付ける場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1…鋼殻沈埋トンネル 1a、1b、101…鋼殻 1c…固結材 2…棒状のセパレータ 2a、103a…端部 2b…螺子溝 3、4、6、9、14、104b、106c、108c…ナット 41、61、104a、106b、108b…ワッシャー 5…補助具 51…基板 52…一方の突出片 53…他方の突出片 7…パネル支持具 71…取付基板 72…突出部 73…差込片 8、12、110、106a、108a…ボルト 10…耐火パネル 11、111…係止具 11a…取付部 13…インサートナット 8a、12a…セーフティーボルト 9a…クリップKナット 102…ブラケット 102a、105a…一片 102b、105b…他片 103…セパレータ 105…補助金具 107…パネル支持金具 107a…基部 107b…差込片 109…内装パネル 200…角座金 T…トンネル構造体 S1〜S5…トンネル空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔を開けて配置される鋼殻と、
前記鋼殻間に設けられ、少なくとも一方の端部が前記鋼殻から外側に突出するセパレータと、
隣接する内装パネルに跨って設けられ、前記内装パネルの各々に対して定置して取り付けられるパネル支持具と、
前記セパレータの前記突出する端部に一方の突出片が固定され、前記パネル支持具に他方の突出片が固定される断面視略Z字形状の補助具と、
を備えることを特徴とする鋼殻構造物の内装パネル取付構造。
【請求項2】
前記セパレータの前記突出する端部に形成されている螺子溝と、
前記螺子溝に螺合される一対のナットを備え、
前記突出する端部が貫通する前記一方の突出片を前記一対のナットで挟持することを特徴とする請求項1記載の鋼殻構造物の内装パネル取付構造。
【請求項3】
前記補助具を長尺の棒状とし、
前記鋼殻間に設けられる別のセパレータの前記鋼殻から外側に突出する端部に前記補助具の前記一方の突出片が固定されることを特徴とする請求項1又は2記載の鋼殻構造物の内装パネル取付構造。
【請求項4】
所定間隔を開けて配置される鋼殻と、前記鋼殻間に設けられ、少なくとも一方の端部が前記鋼殻から外側に突出するセパレータから構成される鋼殻構造物に対し、隣接する内装パネルに跨って設けられ、前記内装パネルの各々に対して定置して取り付けられるパネル支持具を定置する際に、
断面視略Z字形状の補助具の一方の突出片を前記セパレータの前記突出する端部に固定すると共に、前記補助具の他方の突出片を前記パネル支持具に固定する工程を備えることを特徴とする鋼殻構造物の内装パネル施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−157745(P2011−157745A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21023(P2010−21023)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(500072862)
【出願人】(000129758)株式会社ケー・エフ・シー (120)
【出願人】(000126609)株式会社エーアンドエーマテリアル (99)
【Fターム(参考)】