説明

鋼殻構造物の内装パネル取付構造及び内装パネル施工方法

【課題】セパレータの端部を利用する内装パネルの取り付けで、隣接する内装パネルの隣接箇所と対応してセパレータの端部が配置されていない場合にも内装パネルを取り付けることができ、効率的且つ容易に施工作業を行うことができる。
【解決手段】所定間隔を開けて配置される鋼殻1b・1bと、鋼殻1b・1b間に設けられ、少なくとも一方の端部2aが鋼殻1bから外側に突出するセパレータ2と、隣接する耐火パネル10に跨って設けられ、耐火パネル10の各々に対して定置して取り付けられるパネル支持具8と、セパレータ2の突出する端部2aに対して固定され、鋼殻1bと逆側に突出片を有する取付補助部とを備え、パネル支持具8の鋼殻1b側に取付基板81と係止片85で構成される挟持部が設けられ、この挟持部で差込まれた取付補助部の突出片を挟持することにより、パネル支持具8と取付補助部とが取り付けられる鋼殻構造物の内装パネル取付構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定間隔を開けて配置される鋼殻間にセパレータが設けられる鋼殻構造物に内装パネルを取り付ける鋼殻構造物の内装パネル取付構造及び内装パネル施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定間隔を開けて配置される鋼殻間にセパレータが設けられる鋼殻構造物として鋼殻沈埋トンネルが知られている。鋼殻沈埋トンネルは、所定間隔を開けて配置される鋼殻をセパレータで連結することにより、内外二重の鋼殻を有する箱状の鋼殻体を構成し、この鋼殻体を成形用型枠として両側の鋼殻間にコンクリートやモルタル等の固結材を充填してトンネル構造体を構成し、このトンネル構造体を海底等に順次沈下させて接続することにより、長尺のトンネル空間を形成するものである。
【0003】
このような鋼殻沈埋トンネルの内面には、耐火パネル等の内装パネルを取り付けることが一般的に行われている。鋼殻沈埋トンネルの内面への内装パネルの取り付けは、例えば特許文献1のようにセパレータの端部を利用して行われる。この取付構造では、トンネル空間側に突出するセパレータの端部に左右対称の断面視Ω字形状の補助金具が固定され、その補助金具の両端部にコ字形基部の両側に差込片を有するパネル支持金具が固定され、支持金具の差込片を内装パネルの背面とその背面に設けた係止金具との間に挿入嵌合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−82052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記鋼殻沈埋トンネルの内面への内装パネルの取り付けは、隣接する内装パネルの隣接箇所と対応してセパレータの端部が配置されることが必要になるが、セパレータは鋼殻体を製造する時点ですでに配置が決まっているため、後から変更することはできない。そのため、セパレータを利用する内装パネルの取り付けで、セパレータが丁度良い位置に配置されていない場合にも、効率的且つ容易に施工作業を行うことができる構成が求められている。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、セパレータの端部を利用する内装パネルの取り付けで、隣接する内装パネルの隣接箇所と対応してセパレータの端部が配置されていない場合にも内装パネルを取り付けることができ、効率的且つ容易に施工作業を行うことができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の鋼殻構造物の内装パネル取付構造は、所定間隔を開けて配置される鋼殻と、前記鋼殻間に設けられ、少なくとも一方の端部が前記鋼殻から外側に突出するセパレータと、隣接する内装パネルに跨って設けられ、前記内装パネルの各々に対して定置して取り付けられるパネル支持具と、前記セパレータの前記突出する端部に対して固定され、前記鋼殻と逆側に突出片を有する取付補助部とを備え、前記パネル支持具の前記鋼殻側に挟持部が設けられ、前記挟持部で差込まれた前記突出片を挟持することにより、前記パネル支持具と前記取付補助部とが取り付けられることを特徴とする。
前記構成では、セパレータの端部に取付補助部を設け、その突出片を挟持部に差し込む取り付けにより、隣接する内装パネルの隣接箇所と対応してセパレータの端部が配置されていない場合にも、パネル支持具を任意の位置に取り付けて内装パネルを取り付けることができ、効率的且つ容易に施工作業を行うことができる。また、パネル支持具の挟持部で取付補助部の突出片を挟持して取り付けることにより、セパレータの端部を利用する内装パネルの取り付けで、固定用の部品を減らし、容易且つスピーディな施工作業を可能にすることができる。また、取付補助部にパネル支持具と固定するためのボルト挿入孔を形成する必要がなく、部材の加工作業の労力を低減することができる。
【0008】
本発明の鋼殻構造物の内装パネル取付構造は、前記パネル支持具の前記挟持部を、前記内装パネルのパネル面に略並行に設けられる取付基板と、前記内装パネルと逆側で前記取付基板に対して略並行に形成される係止片とから構成し、前記突出片を前記内装パネルのパネル面と略並行に配置することを特徴とする。
前記構成では、パネル支持具や内装パネルをより安定して設置することができる。
【0009】
本発明の鋼殻構造物の内装パネル取付構造は、前記取付補助部を、前記セパレータの前記突出する端部に一方の突出片が固定され、前記パネル支持具の前記挟持部に他方の突出片が差込まれる一体型の断面視略Z字形状の補助具とすることを特徴とする。
前記構成では、例えば取付補助部をブラケットと補助具とこれらを固定するボルト、ナット等で構成する場合に必要になるブラケット或いは補助具とボルト、ナット等を不要にすることができ、一層部品点数を減らし、より容易且つスピーディな施工作業が可能となる。
【0010】
本発明の鋼殻構造物の内装パネル施工方法は、所定間隔を開けて配置される鋼殻と、前記鋼殻間に設けられ、少なくとも一方の端部が前記鋼殻から外側に突出するセパレータとから構成される鋼殻構造物に対し、隣接する内装パネルに跨って設けられ、前記内装パネルの各々に対して定置して取り付けられるパネル支持具を定置する際に、前記セパレータの前記突出する端部に対して固定され、前記鋼殻と逆側に突出片を有する取付補助部の前記突出片を、前記パネル支持具の前記鋼殻側に設けられる挟持部に差し込み、前記挟持部の前記突出片に対する挟持により、前記パネル支持具と前記取付補助部を取り付ける工程を備えることを特徴とする。
前記構成では、セパレータの端部に取付補助部を設け、その突出片を挟持部に差し込む取り付けにより、隣接する内装パネルの隣接箇所と対応してセパレータの端部が配置されていない場合にも、パネル支持具を任意の位置に取り付けて内装パネルを取り付けることができ、効率的且つ容易に施工作業を行うことができる。また、パネル支持具の挟持部で取付補助部の突出片を挟持して取り付けることにより、セパレータの端部を利用する内装パネルの取り付けで、固定用の部品を減らし、容易且つスピーディな施工作業を可能にすることができる。また、取付補助部にパネル支持具と固定するためのボルト挿入孔を形成する必要がなく、部材の加工作業の労力を低減することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の鋼殻構造物の内装パネル取付構造或いは、内装パネル施工方法は、隣接する内装パネルの隣接箇所と対応してセパレータの端部が配置されていない場合にも、パネル支持具を任意の位置に取り付けて内装パネルを取り付けることができ、効率的且つ容易に施工作業を行うことができる。また、セパレータの端部を利用する内装パネルの取り付けで、固定用の部品を減らし、容易且つスピーディな施工作業を可能にすることができる。また、取付補助部にパネル支持具と固定するためのボルト挿入孔を形成する必要がなく、部材の加工作業の労力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による第1実施形態の鋼殻構造物の内装パネル取付構造が適用される鋼殻構造物(鋼殻沈埋トンネル)の横断正面図。
【図2】(a)〜(c)は図1のa〜c部の拡大図。
【図3】図2(b)及び図2(c)のd部の拡大図。
【図4】(a)は第1実施形態におけるパネル支持具の斜視図、(b)は第1実施形態における補助具とパネル支持具の取付を説明する斜視説明図。
【図5】本発明による第2実施形態の鋼殻構造物の内装パネル取付構造における図3に相当する部位の拡大図。
【図6】(a)、(b)は本発明による変形例のパネル支持具の斜視図。
【図7】第1実施形態の変形例の図2(b)及び図2(c)のd部に相当する部位の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔第1実施形態の鋼殻構造物の内装パネル取付構造及び内装パネル施工方法〕
本発明による第1実施形態の鋼殻構造物の内装パネル取付構造及び内装パネル施工方法について説明する。図1は第1実施形態の鋼殻構造物の内装パネル取付構造が適用される鋼殻構造物(鋼殻沈埋トンネル)の横断正面図、図2(a)〜(c)は図1のa〜c部の拡大図。図3は図2(b)及び図2(c)のd部の拡大図である。
【0014】
第1実施形態の鋼殻構造物の内装パネル取付構造が設けられる鋼殻構造物は、図1及び図2に示す鋼殻沈埋トンネル1であり、鋼殻沈埋トンネル1では、鋼板等で形成した断面長方形状の外側の鋼殻1a内に、鋼板等で形成した複数個の鋼殻1bを、それぞれ所定の間隔をおいて配置し、その内外方向及び横方向で隣り合う鋼殻1b・1a、鋼殻1b・1b間にコンクリートやモルタル等の固結材1cを充填し、内部にトンネル空間S1〜S5を有するトンネル構造体Tを構成している。そして、トンネル構造体Tを海底等に順次沈下させ、これを連結ボルト等で順次接続してトンネル空間S1〜S5をそれぞれ連続させ、鋼殻沈埋トンネル1が形成される。
【0015】
内外方向及び横方向で隣り合う鋼殻1b・1a、鋼殻1b・1b間には、図2及び図3に示すように、棒状のセパレータ2が設けられており、セパレータ2は、鋼殻1b或いは鋼殻1aの面方向の縦横に所定間隔をおいて多数設けられている。各セパレータ2には、両側の端部2a・2aにそれぞれ雄ねじとなる所定長さの螺子溝2bが形成されている。鋼殻1b・1a間に設けられるセパレータ2では、一方の端部2aが一方側の鋼殻1bを貫通して外側であるトンネル空間側に突出し、その螺子溝2bにワッシャー41を介してナット4が螺合され、ナット4で鋼殻1bを外側から押さえていると共に、他方の端部2aが他方側の鋼殻1aに溶接等で固着されたナット3にねじ込まれている。また、鋼殻1b・1b間に設けられるセパレータ2では、一方の端部2aが一方側の鋼殻1bを貫通して外側であるトンネル空間側に突出していると共に、他方の端部2aが他方側の鋼殻1bを貫通して外側であるトンネル空間側に突出しており、各端部2aの螺子溝2bにワッシャー41を介してそれぞれナット4が螺合され、ナット4で鋼殻1bを外側から押さえている。このセパレータ2による間隔保持により、固結材1cを充填する際の圧力で鋼殻1b、1aがトンネル空間S1〜S5側又はトンネル構造体Tの外側に孕み出すことを防止している。
【0016】
更に、所定位置における鋼殻1b・1b間に設けられるセパレータ2の端部2aには、断面視略L字形状で短尺のブラケット5とブラケット5に固定される断面視略L字形状で長尺棒状の補助具6とが設けられる。尚、ブラケット5と補助具6は、セパレータ2の突出する端部2aに対して固定され、鋼殻1bと逆側に突出片に相当する後述の他片62を有する取付補助部を構成する。ブラケット5は、一片51と他片52を有する所要強度を有する金属製等であり、その一片51には図示省略する貫通孔にセパレータ2の端部2aが貫通して設けられ、鋼殻1bとナット4及びワッシャー41とで一片51が挟持固定されていると共に、その他片52には図示省略する貫通孔が形成されている。
【0017】
補助具6は、図3に示すように、一片61と他片62を有する所要強度を有する金属製等で、その一片61には図示省略する貫通孔が形成されており、一片61はブラケット5の他片52に重ねて配置され、図示例では他片52の上面側に重ねて配置されて、取付補助部の突出片に相当する補助具6の他片62が耐火パネル10のパネル面に略並行に配置される。そして、対応配置される一片61と他片52の貫通孔にボルト71が貫通され、ボルト71及びこれにワッシャー73を介して螺合されるナット72とで一片61と他片52を挟持し、ブラケット5と補助具6とが固定され、ブラケット5と補助具6は全体として断面視略Z字形状に構成される。また、補助具6の一片61は、セパレータ2と並列配置で鋼殻1b・1b間に設けられる別のセパレータ2の端部2aに設けられているブラケット5にも同様に固定され、換言すれば補助具6はセパレータ2・2の端部2a・2a或いは3個以上のセパレータ2の端部2aに架橋するようにして設けられる。
【0018】
補助具6の他片62には、隣接する内装パネルである耐火パネル10・10に跨って設けられ、耐火パネル10の各々に対して定置して取り付けられるパネル支持具8が取り付けられる。パネル支持具8は、所要強度を有する金属製等で、図3及び図4に示すように、断面視で概略Ω字形状の部材であり、耐火パネル10のパネル面と略並行に設けられる取付基板81と、取付基板81の両側端縁からそれぞれ略直角に屈曲して耐火パネル10側に延びる内側突出部82a、82bと、内側突出部82a、82bの各端縁から略直角に屈曲して外側に延びる差込片83a、83bとを有し、一方の内側突出部82a、差込片83aは中央部分に形成されず、両側に一対で形成されている。更に、前記中央部分においては、取付基板81の端縁から略直角に屈曲して内側突出部82aと逆側に延びる外側突出部84と、外側突出部84の端縁から略直角に屈曲して取付基板71側に延びる係止片85とが形成され、耐火パネル10と逆側で取付基板81に対して略並行に形成される係止片85と、これに対向する取付基板81とで、鋼殻1b側に設けられる挟持部が構成される。尚、外側突出部84及び係止片85と、内側突出部82a及び差込片83aとは、例えば板材のこれらの境目になる箇所に切込を形成し、折り曲げて形成する。
【0019】
パネル支持具8の取付基板81と係止片85との間には、補助具6の他片62が差し込まれ、取付基板81と係止片85とで他片62を挟持することにより、パネル支持具8と補助具8とが取り付けられ、換言すればパネル支持具8と取付補助部とが取り付けられる。尚、パネル支持具8では、取付基板81とこれに対向する板状の係止片85により、挟持する他片62に対する接触面積を増加させ、他片62を安定して保持することができる。また、取付基板81と係止片85とで他片62を挟んでいる領域の長さ(図3の上下方向の長さ)は、例えば耐火パネル10の厚さが27mm程度の場合、30〜35mm程度とすると、他片62を安定して保持することができて良好である。
【0020】
そして、本実施形態では、図1の左右両側の非常用通路として用いられるトンネル空間S1、S5を除くトンネル空間S1〜S4の内面に、内装パネルである耐火パネル10を取り付ける。尚、トンネル空間の内面の底部に、道路等を形成するためにコンクリートを打設する場合には、コンクリートがトンネル構造体Tの耐火被覆を兼ねるので、底部には耐火パネル10を取り付ける必要はない。
【0021】
耐火パネル10には、パネル支持具8の取付位置に対応して背面側の四隅に係止具11が1つずつ設けられている。係止具11は、全体として略帯板状に形成され、その両端部に厚さ方向に段差状に屈曲形成された取付部が設けられている。取付部の取付穴にボルト12を挿通し、耐火パネル10内に埋設したインサートナット13にねじ込むことにより、係止具11が耐火パネル10に取り付けられている。係止具11の中央部と耐火パネル10との間にはスリット状の隙間が形成され、その隙間内にパネル支持具8の差込片83a、83bを差し込んで、耐火パネル10が係合保持される。
【0022】
この内装パネル取付構造を構成する或いは内装パネルである耐火パネル10を施工する際には、例えばブラケット5及び補助具6をセパレータ2の端部2aに予め固定或いは必要に応じて固定し、補助具6の他片62をパネル支持具8の取付基板81と係止片85の間に差し込み、取付基板81と係止片85とで他片62を挟持させるようにして、パネル支持具8と補助具6とを取り付ける。そして、パネル支持具8の差込片83a・83bを隣接配置される耐火パネル10・10の隙間に差し込むことにより、耐火パネル10を取り付ける。
【0023】
第1実施形態では、パネル支持具8の挟持部を構成する取付基板71と係止片75で取付補助部の突出片を構成する補助具6の他片62を挟持して取り付けることにより、セパレータ2の端部2aを利用する耐火パネル10の取り付けで、固定用の部品を減らし、容易且つスピーディな施工作業を可能にすることができる。また、補助具6にパネル支持具8と固定するためのボルト挿入孔を形成する必要がなくなり、部材の加工作業の労力を低減することができる。また、パネル支持具8を補助具6に対する任意の位置で取り付けることができる。また、上記構成の取付基板71と係止片75と補助具6の他片62により、パネル支持具8や耐火パネル10をより安定して設置することができる。
【0024】
〔第2実施形態の鋼殻構造物の内装パネル取付構造及び内装パネル施工方法〕
次に、本発明による第2実施形態の鋼殻構造物の内装パネル取付構造及び内装パネル施工方法について説明する。図5は第2実施形態の鋼殻構造物の内装パネル取付構造における図3に相当する部位の拡大図である。
【0025】
第2実施形態では、第1実施形態のブラケット5と補助具6とで構成される取付補助部に代え、図5に示すように、所定位置のセパレータ2に端部2aに一体型の断面視略Z字形状の補助具9が取付補助部として設けられている。補助具9は、所要強度を有する金属製等で、断面視略Z字形状の長尺の棒状部材であり、基板91と、基板91の幅方向の一方の端縁から略直角に屈曲して突出する一方の突出片92と、基板91の幅方向の前記一方の端縁と逆側の端縁から略直角に屈曲して突出する他方の突出片93とから構成される。
【0026】
補助具9の一方の突出片92には図示省略する貫通穴が所定間隔で形成されており、一方の突出片92はセパレータ2の端部2aを前記貫通穴に貫通させて、例えば鋼殻1bから離間して或いは当接して設けられるナット14及びこれと当接するワッシャー141の外側で端部2aにはめられる。そして、セパレータ2の端部2aにおける補助具9の一方の突出片92の外側には、ワッシャー151を介してナット15が螺子溝2bに螺合して設けられ、一方の突出片92は一対のナット14、15で挟持されて端部2aに固定される。また、取付補助部の突出片を構成する補助具9の他方の突出片93は、パネル支持具8の取付基板81と係止片85との間に差し込まれ、挟持部を構成する取付基板81と係止片85とで挟持されて、パネル支持具8と補助具9とが取り付けられる。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0027】
この内装パネル取付構造を構成する或いは内装パネルである耐火パネル10を施工する際には、例えば補助具9をセパレータ2の端部2aに予め固定或いは必要に応じて固定し、補助具9の他方の突出片93をパネル支持具8の取付基板81と係止片85の間に差し込み、取付基板81と係止片85とで他方の突出片93を挟持させるようにして、パネル支持具8と補助具9とを取り付ける。そして、パネル支持具8の差込片83a・83bを隣接配置される耐火パネル10・10の隙間に差し込むことにより、耐火パネル10を取り付ける。
【0028】
第2実施形態は、第1実施形態と同様の効果を有することに加え、取付補助部をブラケット5と補助具6とこれらを固定するボルト71、ナット72等で構成する場合に必要になるこれらの部品を不要にすることができ、一層部品点数を減らし、より容易且つスピーディな施工作業が可能となる。また、一対のナット14・15の螺合で補助具9の一方の突出片92を挟持することにより、セパレータ端部2aにおける一対のナット14、15の螺合位置を調整して補助具9の取付位置を調整し、耐火パネル10の設置位置を調整することが可能となる。尚、断面視略Z字形状の補助具は、複数の部材で構成される別体型とすることも可能である。
【0029】
〔実施形態の変形例等〕
本明細書開示の発明には、各発明や実施形態等の構成の他に、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものも含まれ、例えば下記のような変形例も包含される。
【0030】
例えば本発明におけるパネル支持具は、上記実施形態のパネル支持具8の形状に限定されず、例えば図6(a)、(b)に示す形状としてもよい。図6(a)のパネル支持具16は、所要強度を有する金属製等で、断面視で概略Ω字形状の部材であり、耐火パネル10のパネル面と略並行に設けられる取付基板161と、取付基板161の両側端縁からそれぞれ略直角に屈曲して耐火パネル10側に延びる内側突出部162a、162bと、内側突出部162a、162bの各端縁から略直角に屈曲して外側に延びる差込片163・163と、一方の内側突出部162aの中央部分から内側突出部82aと逆側に延びる外側突出部164と、外側突出部164の端縁から略直角に屈曲して取付基板161側に延びる係止片165とを有し、取付基板161に対して略並行に形成される係止片165と取付基板161とで補助具6の他片62或いは補助具9の他方の突出片93を挟持する挟持部を構成する。取付基板161の外側突出部164と係止片165に対応する位置には開口166が形成されており、外側突出部164と係止片165は、例えば取付基板161にコ字形の切込を形成し、この切込で囲まれる部分を屈曲して形成される。
【0031】
図6(a)のパネル支持具16では、取付基板161と係止片165とが対向せずに交互に設けられ、係止片165に対向する開口166内に他片62或いは他方の突出片93を付勢するようにして挟持することができるので、他片62或いは他方の突出片93を安定して保持することができる。尚、係止片165の延びる方向の長さに対応する挟持領域に長さは上記実施形態と同様に設定することができる。
【0032】
また、図6(b)のパネル支持具17は、所要強度を有する金属製等で、断面視で概略Ω字形状の部材であり、耐火パネル10のパネル面と略並行に設けられる取付基板171と、取付基板171の両側端縁からそれぞれ略直角に屈曲して耐火パネル10側に延びる内側突出部172a、172bと、内側突出部172a、172bの各端縁から略直角に屈曲して外側に延びる差込片173・173と、一方の内側突出部172aの両側部分から内側突出部172aと逆側に延びる幅広の外側突出部174a及び幅狭の外側突出部174bと、外側突出部174a、174bの各端縁から略直角に屈曲して取付基板171側に延びる幅広の係止片175a及び幅狭の係止片175bとを有し、取付基板171に対して略並行に形成される係止片175a、175bと取付基板171とで、補助具6の他片62或いは補助具9の他方の突出片93を挟持する挟持部を構成する。取付基板171の外側突出部174a、174b及び係止片175a、175bに対応する位置には切欠き176が形成されており、外側突出部174a、174b及び係止片175a、175bは、例えば取付基板171に切欠き176の部分の一部或いは全部を屈曲して形成される。尚、外側突出部174a、174bの幅、係止片175a、175bの幅は、それぞれ同一の幅としてもよい。
【0033】
図6(b)のパネル支持具17では、取付基板171と係止片175a、175bとが対向せずに交互に設けられ、係止片175a、175bに対向する切欠き176内に他片62或いは他方の突出片93を付勢するようにして挟持することができるので、他片62或いは他方の突出片93を安定して保持することができる。尚、係止片175a、175bの延びる方向の長さに対応する挟持領域に長さは上記実施形態と同様に設定することができる。
【0034】
また、棒状のセパレータ2は全周に亘って螺子溝を有する全ねじボルトとしてもよい。また、係止具11は取付補助部及びパネル支持具8等を介して取り付け可能な位置であれば耐火パネル10の適宜の位置に設けることが可能である。また、内装パネルは耐火パネル10以外の各種の内装パネルとすることが可能である。
【0035】
また、図7に示す第1実施形態の変形例として、セパレータ2の一方の端部2aが一方側の鋼殻1bを貫通して外側であるトンネル空間側に突出し、その突出部分に角座金200とブラケット5の一片51がはめられ、更に、より端部側の螺子溝2bにワッシャー41を介してナット4が螺合され、ナット4で鋼殻1bが外側から押さえられる構成としてもよい。この例では、セパレータ2に角座金200を有する鋼殻1bにおいて防錆剤が塗布されている場合に、セパレータ2の角座金200がついた状態を維持し、防錆剤のない箇所が生ずることを防止できると共に、角座金200の取り外しの手間をなくすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、鋼殻沈埋トンネル等の鋼殻構造物に内装パネルを取り付ける場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1…鋼殻沈埋トンネル 1a、1b、101…鋼殻 1c…固結材 2…棒状のセパレータ 2a、103a…端部 2b…螺子溝 3、4、72、14、15、104b、106c、108c…ナット 41、73、141、151、104a、106b、108b…ワッシャー 5、102…ブラケット 51、102a、61、105a…一片 52、102b、62、105b…他片 6…補助具 71、12、110、106a、108a…ボルト 8、16、17…パネル支持具 81、161、171…取付基板 82a、82b、162a、162b、172a、172b…内側突出部 83a、83b、163、173…差込片 84、164、174a、174b…外側突出部 85、165、175a、175b…係止片 166…開口 176…切欠き 9…補助具 91…基板 92…一方の突出片 93…他方の突出片 10…耐火パネル 11…係止具 13…インサートナット 103…セパレータ 105…補助金具 107…パネル支持金具 107a…基部 107b…差込片 109…内装パネル 111…係止金具 200…角座金 T…トンネル構造体 S1〜S5…トンネル空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔を開けて配置される鋼殻と、
前記鋼殻間に設けられ、少なくとも一方の端部が前記鋼殻から外側に突出するセパレータと、
隣接する内装パネルに跨って設けられ、前記内装パネルの各々に対して定置して取り付けられるパネル支持具と、
前記セパレータの前記突出する端部に対して固定され、前記鋼殻と逆側に突出片を有する取付補助部とを備え、
前記パネル支持具の前記鋼殻側に挟持部が設けられ、前記挟持部で差込まれた前記突出片を挟持することにより、前記パネル支持具と前記取付補助部とが取り付けられることを特徴とする鋼殻構造物の内装パネル取付構造。
【請求項2】
前記パネル支持具の前記挟持部を、前記内装パネルのパネル面に略並行に設けられる取付基板と、前記内装パネルと逆側で前記取付基板に対して略並行に形成される係止片とから構成し、
前記突出片を前記内装パネルのパネル面と略並行に配置することを特徴とする請求項1記載の鋼殻構造物の内装パネル取付構造。
【請求項3】
前記取付補助部を、前記セパレータの前記突出する端部に一方の突出片が固定され、前記パネル支持具の前記挟持部に他方の突出片が差込まれる一体型の断面視略Z字形状の補助具とすることを特徴とする請求項1又は2記載の鋼殻構造物の内装パネル取付構造。
【請求項4】
所定間隔を開けて配置される鋼殻と、
前記鋼殻間に設けられ、少なくとも一方の端部が前記鋼殻から外側に突出するセパレータとから構成される鋼殻構造物に対し、
隣接する内装パネルに跨って設けられ、前記内装パネルの各々に対して定置して取り付けられるパネル支持具を定置する際に、
前記セパレータの前記突出する端部に対して固定され、前記鋼殻と逆側に突出片を有する取付補助部の前記突出片を、前記パネル支持具の前記鋼殻側に設けられる挟持部に差し込み、前記挟持部の前記突出片に対する挟持により、前記パネル支持具と前記取付補助部を取り付ける工程を備えることを特徴とする鋼殻構造物の内装パネル施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−157746(P2011−157746A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21024(P2010−21024)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(500072862)
【出願人】(000129758)株式会社ケー・エフ・シー (120)
【出願人】(000126609)株式会社エーアンドエーマテリアル (99)
【Fターム(参考)】