説明

鋼管鉄塔水抜き溝清掃器具

【課題】中空鋼管鉄塔への虫の侵入を防止することができるとともに斜水盤の水抜き溝の清掃作業を容易に行うことができる鋼管鉄塔水抜き溝清掃器具を提供する。
【解決手段】斜水盤5の開口部5bに挿着されたスプリング6を取り外す際に使用するスプリング外し金具11と、水抜き溝5aを清掃する際に使用する清掃用ブラシ12を構成するブラシ部12a、柄部12bおよびステンレスワイヤ12cと、柄取付部材13と、開口部塞ぎ板14と、キャップ15とを具備する。清掃用ブラシ12をブラシ部12aと柄部12bとに分割して、スプリング外し金具11をブラシ部12aに収納しブラシ部12aを柄部12bに収納できるようにすることにより、水抜き溝清掃器具10を水抜き溝5aに収納できるとともに水抜き溝清掃器具10で開口部5bを塞げるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電線鉄塔などの中空鋼管鉄塔に取り付けられている斜水盤の水抜き溝の清掃に使用するのに好適な鋼管鉄塔水抜き溝清掃器具に関する。
【背景技術】
【0002】
送電線鉄塔1の下端部は、図5に示すように、コンクリート製の台座(不図示)に取り付けられた最下端の基礎材3に中空鋼管製の主柱材2を2個のフランジ部4を介して接続したのち、主柱材2を継ぎ足す構成となっている。
また、送電線鉄塔1は、標高の高い山間部に設置されていることが多く、降雨や霧の影響により高湿度環境に置かれており、主柱材2の中空部が上下に貫通していることから、主柱材2内に発生した結露などが内部に溜まらないように、最下部の2個のフランジ部4の間には斜水盤5(水抜きプレート)が挟まれている。
【0003】
このような斜水盤5は、図6(a)に示すように、円盤状の形状を有し、斜水盤5の表面には、互いに対向する斜水盤5の外周面に開口部5b(図5および図6(b)参照)を有する2本の水抜き溝5aが十字状に形成されている。
【0004】
このように斜水盤5の外周面には水抜き溝5aの両端の開口部5bが形成されているので、開口部5bからミツバチやてんとう虫などの虫が送電線鉄塔1の主柱材2内に入り込んで越冬したり棲家として使用したりして虫の排出物によって主柱材2内に錆が発生することを防止するために、図6(b)に示すようにスプリング6を開口部5bに対して横方向に挿着して開口部5bを塞ぐことにより虫が主柱材2内に侵入できないようにしている(下記の特許文献1の図10参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−89500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、送電線鉄塔1の巡視点検時にスプリング6を水抜き溝5aの開口部5bから取り外す際には、作業員は、開口部5bに対して横方向に挿着されているスプリング6を素手で取り外すことができないため、先の細いラジオペンチなどを用いて取り外しているという問題があった。
また、作業員は、スプリング6を取り外したのちに小枝やススキの芯などで水抜き溝5aに溜まったゴミなどを押し出して水抜き溝5aの清掃を行っているが、小枝やススキの芯などはゴミなどを2〜3回押し出すと折れてしまうという問題があるとともに、小枝やススキの芯などは形状が必ずしも水抜き溝5aの開口部5bから挿入するのに合っているとは限らないため、何回も挿入を繰り返さなければならず、作業時間がかかるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、中空鋼管鉄塔への虫の侵入を防止することができるとともに斜水盤の水抜き溝の清掃作業を容易に行うことができる鋼管鉄塔水抜き溝清掃器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の鋼管鉄塔水抜き溝清掃器具は、中空鋼管鉄塔(1)に取り付けられている斜水盤(5)の水抜き溝(5a)を清掃するための鋼管鉄塔水抜き溝清掃器具(10)であって、前記水抜き溝の両端の開口部(5b)に挿着されているスプリング(6)を引掛部(11c)で引っ掛けて該スプリングを該開口部から引き出すためのスプリング外し金具(11)と、前記水抜き溝を清掃するための清掃用ブラシ(12)と、該清掃用ブラシが取付可能な柄取付部材(13)と、該柄取付部材に固定された開口部塞ぎ板(14)と、前記柄取付部材を前記斜水盤に固定するためのキャップ(15)とを具備し、前記清掃用ブラシが、中央部に貫通孔が形成された底板部(12aa)および該底板部の裏面に垂設された円筒形状の外筒部(12ab)を有するブラシ部(12a)と、円柱形状の柄部(12b)と、前記ブラシ部の前記外筒部の前記底板部と反対側である先端部の外周面に取り付けられた多数本のワイヤ(12c)とを備え、前記引掛部を先にして前記スプリング外し金具を前記ブラシ部の前記底板部から該ブラシ部の前記外筒部に挿入して該スプリング外し金具を該ブラシ部に取り付けるためのスプリング外し金具取付手段(11d,12ac)が、該スプリング外し金具および該外筒部に設けられており、前記柄部の先端部を先にして該柄部を前記ブラシ部の前記外筒部の先端部から該外筒部に挿入して該柄部に該ブラシ部を取り付けるとともに、前記柄部の先端部を先にして該柄部を前記ブラシ部の前記底板部から該ブラシ部の前記外筒部に挿入して該柄部に該ブラシ部を取り付けるためのブラシ部取付手段(12ac,12ad,12ba)が、該ブラシ部および該柄部に設けられており、前記スプリング外し金具を前記ブラシ部に取り付け、前記柄部の先端部を先にして該柄部を該ブラシ部の前記外筒部の先端部から該外筒部に挿入して該柄部に該ブラシ部を取り付けるとともに、前記柄部の末端部を前記柄取付部材に取り付けたのち、前記キャップで該柄取付部材を前記斜水盤に固定して前記鋼管鉄塔水抜き溝清掃器具を前記水抜き溝に収納した際に、前記ブラシ部の前記底板部と前記開口部塞ぎ板とで該水抜き溝の両端の前記開口部を塞ぐことができるように、該ブラシ部の該底板部および該開口部塞ぎ板の表面積が該開口部の開口面積よりも大きくされていることを特徴とする。
ここで、前記スプリング外し金具が、底板部(11a)と、該底板部の裏面に垂設された、かつ、前記スプリング外し金具取付手段として機能する第1のネジ(11d)が外周面に形成されたボルト部(11b)と、該ボルト部の前記底板部と反対側の端面に取り付けられた前記引掛部とを備えてもよい。
前記柄部の先端部の外周面に、前記ブラシ部取付手段として機能する第2のネジ(12ba)が形成されており、前記ブラシ部の前記外筒部の前記底板部側である末端部の外周面に、前記スプリング外し金具取付手段および前記ブラシ部取付手段として機能する、かつ、前記スプリング外し金具の前記第1のネジおよび前記柄部の前記第2のネジと螺合する第3のネジ(12ac)が形成されており、前記ブラシ部の前記外筒部の前記第3のネジよりも先端側の外周面に、前記ブラシ部取付手段として機能する、かつ、前記柄部の前記第2のネジと螺合する第4のネジ(12ad)が形成されていてもよい。
前記柄部の末端部の外周面に、第5のネジ(12bb)が形成されており、前記柄取付部材が、前記柄部の末端部の前記第5のネジと螺合する第6のネジ(13a)が内周面に形成された凹部を有する円柱部材と、該円柱部材の凹部の開口面と対向する面に垂設されたボルト部とを備え、前記円柱部材の径が、前記水抜き溝の前記開口部の対角線の長さよりも径が小さくされていてもよい。
前記柄取付部材の前記ボルト部の外周面に、第7のネジ(13b)が形成されており、前記キャップが、前記柄取付部材の前記ボルト部の前記第7のネジと螺合する第8のネジ(15a)が内周面に形成された凹部を有する円柱形状をしていてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の鋼管鉄塔水抜き溝清掃器具は、以下の効果を奏する。
(1)鋼管鉄塔水抜き溝清掃器具を斜水盤の水抜き溝に収納するとブラシ部の底板部および開口部塞ぎ板で水抜き溝の両端の開口部を塞ぐことができるため、中空鋼管鉄塔への虫の侵入を防止することができる。
(2)ブラシ部を柄部に取り付けることにより清掃用ブラシとすることができるため、小枝やススキの芯などに比べて斜水盤の水抜き溝の清掃作業を容易に行うことができる。
(3)鋼管鉄塔水抜き溝清掃器具を斜水盤の水抜き溝に収納しておくことができるため、作業員は巡視点検時には限らずいつでも中空鋼管鉄塔に行ったときに斜水盤の水抜き溝を清掃することができる。
(4)特殊な工具を必要としないため、誰でも斜水盤の水抜き溝を清掃することができる。
(5)清掃用ブラシで斜水盤の水抜き溝を清掃できるため、清掃時間の短縮化が図れる。
(6)刃物を使用しないため、作業員の安全が図れる。
(7)ブラシ部にワイヤが取り付けられているため、たとえ小さな虫などが水抜き溝の開口部から侵入しても、小さな虫はワイヤを棲家にするため、鋼管鉄塔水抜き溝清掃器具を斜水盤の水抜き溝から引き出すだけで小さな虫を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例による鋼管鉄塔水抜き溝清掃器具10を斜水盤5の水抜き溝5aに収納する際の状態を示す断面図である。
【図2】図1に示した鋼管鉄塔水抜き溝清掃器具10を斜水盤5の水抜き溝5aに収納した状態を示す図である。
【図3】図1に示したスプリング外し金具11の構成および機能について説明するための図である。
【図4】図1に示したブラシ部12aを柄部12bに取り付けて斜水盤5の水抜き溝5aを清掃する際の清掃用ブラシ12の状態を示す図である。
【図5】送電線鉄塔1の下端部の構成を説明するための図である。
【図6】図5に示した斜水盤5の構成および水抜き溝5aの開口部5bに挿着されたスプリング6について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記の目的を、清掃用ブラシをブラシ部と柄部とに分割し、スプリング外し金具をブラシ部に収納するとともにブラシ部を柄部に収納すると、鋼管鉄塔水抜き溝清掃器具を斜水盤の水抜き溝に収納できるとともに鋼管鉄塔水抜き溝清掃器具で水抜き溝の両側の開口部を塞げるようにすることにより実現した。
【実施例1】
【0012】
以下、本発明の鋼管鉄塔水抜き溝清掃器具の実施例について図面を参照して説明する。
本発明の一実施例による鋼管鉄塔水抜き溝清掃器具10(以下、「水抜き溝清掃器具10」と称する。)は、図1に示すように、斜水盤5の両端の開口部5bに挿着されたスプリング6を取り外す際に使用するスプリング外し金具11と、斜水盤5の水抜き溝5aを清掃する際に使用する清掃用ブラシ12を構成するブラシ部12a、柄部12bおよび多数本のステンレスワイヤ12cと、柄取付部材13と、開口部塞ぎ板14と、キャップ15とを具備する。
【0013】
ここで、スプリング外し金具11は、図3に示すように、底板部11aと、底板部11aの裏面に垂設されたボルト部11bと、ボルト部11bの先端面(底板部11aと反対側の端面)に取り付けられた引掛部11cとを備える。
底板部11aは、図2(b)に示すように、表面積が水抜き溝5の開口部5bの開口面積よりも若干大きい直方体形状を有する。
ボルト部11bの外周面には、右雄ネジ11dが形成されている。
【0014】
清掃用ブラシ12のブラシ部12aは、図4に示すように、中央部に貫通孔が形成された底板部12aaと、底板部12aaの裏面に垂設された円筒形状の外筒部12abとを備える。
底板部12aaは、図2(b)に示すように、表面積がスプリング外し金具11の底板部11aの表面積よりも大きい直方体形状を有する。
外筒部12abには、ブラシ部12aの貫通孔と同じ径の貫通孔がブラシ部12aの貫通孔と繋がるように形成されている。
外筒部12abの末端側(底板部12aa側)の外周面には、スプリング外し金具11のボルト部11bの右雄ネジ11dと螺合する右雌ネジ12acが形成されている。これにより、スプリング外し金具11を回してボルト部11bの右雄ネジ11dをブラシ部12aの外筒部12abの右雌ネジ12acと螺合させていくことにより、図1に示すようにスプリング外し金具11のボルト部11bを清掃用ブラシ12の外筒部12abに収納することができる。
また、外筒部12abの右雌ネジ12acよりも先端側(底板部12aaと反対側)の外周面には、左雌ネジ12adが形成されている。
多数本のステンレスワイヤ12cは、外筒部12abの先端面側(底板部12aaと反対側の端面側)の外周面の全面を覆うように取り付けられている。
【0015】
清掃用ブラシ12の柄部12bは、図4に示すように、ブラシ部12aの外筒部12abに形成された貫通孔の径と径がほぼ同じである円柱形状を有する。
柄部12bの先端部の外周面には、ブラシ部12aの外筒部12abの末端部の外周面に形成された右雌ネジ12acと螺合する右雄ネジ12baが形成されている。これにより、柄部12bの先端部を先にして柄部12bをブラシ部12aの底板部12aaおよび外筒部12abの貫通孔に挿入したのちに柄部12bを回して柄部12bの右雄ネジ12baをブラシ部12aの外筒部12abの右雌ネジ12acと螺合させていくことにより、斜水盤5の水抜き溝5aを清掃するための清掃用ブラシ12の状態にすることができる。
また、柄部12bの先端部の外周面に形成された右雄ネジ12baは、図1に示すように柄部12bの先端部を先にして柄部12bをブラシ部12aの外筒部12abの先端部から外筒部12abの貫通孔に挿入したのちに柄部12bを回すと柄部12bにブラシ部12aを取り付けることができるように、ブラシ部12aの外筒部12abの左雌ネジ12ad(図4参照)と螺合するようにされている。これにより、図1に示すように柄部12bの先端部をブラシ部12aの外筒部12abの貫通孔に挿入したのちに柄部12bを回して柄部12bの右雄ネジ12baをブラシ部12aの外筒部12abの左雌ネジ12adと螺合させていくことにより、柄部12bの先端部をブラシ部12aの外筒部12aに収納することができる。
また、柄部12bの末端部の外周面には、右雄ネジ12bbが形成されている。
【0016】
柄取付部材13は、図2(a)に示すように、柄部12bの末端部の右雄ネジ12bb(図4参照)と螺合する右雌ネジ13aが内周面に形成された凹部を有する円柱部材と、円柱部材の凹部の開口面と対向する面(以下、「対向面」と称する。)に垂設されたボルト部とを備える。
柄取付部材13の円柱部材の径は、水抜き溝5の開口部5bの対角線の長さよりも径が小さくされている。
柄取付部材13のボルト部の外周面には、右雄ネジ13bが形成されている。
これにより、柄部12bの末端部を柄取付部材13の円柱部材の凹部に挿入したのちに柄部12bを回して柄部12bの右雄ネジ12bbを柄取付部材13の右雌ネジ13aと螺合させていくことにより、柄部12bを柄取付部材13に取り付けることができる。
【0017】
開口部塞ぎ板14は、図2(c)に示すように、水抜き溝5の開口部5bの開口面積よりも大きい表面積を有する直方体形状を有し、裏面が柄取付部材13の円柱部材の対向面に固定されている。
また、開口部塞ぎ板14の中央部には、柄取付部材13のボルト部の右雄ネジ13bと螺合する右雌ネジが内周面に形成された貫通孔が形成されている。
【0018】
キャップ15は、柄取付部材13のボルト部の右雄ネジ13bと螺合する右雌ネジ15aが内周面に形成された凹部を有する円柱形状をしている。
【0019】
水抜き溝清掃器具10は、図1に示したような収納時の状態では、図2(a)に示すように、斜水盤5の1本の水抜き溝5aに収納することができるとともに、スプリング外し金具11の底板部12aaと開口部塞ぎ板14とでこの1本の水抜き溝5aの両端の開口部5bに蓋をすることができる寸法とされている。
【0020】
次に、水抜き溝清掃器具10の使用方法の一例について説明する。
まず、作業員が、斜水盤5の水抜き溝5aに収納されている水抜き溝清掃器具10を取り出して斜水盤5の水抜き溝5aを清掃するときの作業手順について説明する。
【0021】
作業員は、キャップ15を回して柄取付部材13からキャップ15を取り外したのち、開口部塞ぎ板14を回して柄取付部材13および開口部塞ぎ板14を柄部12bから外していきながら水抜き溝5aから引き出す。その後、作業員は、スプリング外し金具11の底板部11aを持ってスプリング外し金具11、ブラシ部12aおよび柄部12bを水抜き溝5aから引き出す。
【0022】
続いて、作業員は、スプリング外し金具11の底板部11aを回してスプリング外し金具11をブラシ部12aから取り外したのち、ブラシ部12aの底板部12aaを回してブラシ部12aを柄部12bから取り外す。
【0023】
続いて、作業員は、ブラシ部12aを180°回転し、柄部12bの先端部を先にして柄部12bをブラシ部12aの底板部12aaから挿入したのち、柄部12bを回してブラシ部12aを柄部12bに取り付けることにより、清掃用ブラシ12として使用できるようにする。
【0024】
続いて、作業員は、スプリング外し金具11を用いて斜水盤5の開口部5bに挿着されているスプリング6を取り外す。その後、作業員は、清掃用ブラシ12をステンレスワイヤ12cから斜水盤5の開口部5bに挿入して水抜き溝5aに溜まっているゴミなどをこの水抜き溝5aの他方の開口部5bから押し出す作業を数回繰り返して水抜き溝5aを清掃する。その後、作業員は、清掃用ブラシ12を用いてもう1本の水抜き溝5aを同様にして清掃する。
【0025】
次に、作業員が、斜水盤5の水抜き溝5aを清掃したのちに水抜き溝清掃器具10を水抜き溝5aに収納するときの作業手順について説明する。
【0026】
作業員は、柄部12bを回して柄部12bをブラシ部12aから取り外したのち、ブラシ部12aを180°回転し、柄部12bの先端部を先にして柄部12bをブラシ部12aの先端部側(ステンレスワイヤ12c側)から挿入したのち、柄部12bを回してブラシ部12aを柄部12bに取り付ける。
【0027】
続いて、作業員は、スプリング外し金具11の引掛部11cを先にしてスプリング外し金具11をブラシ部12aに挿入したのち、スプリング外し金具11の底板部11aを回してスプリング外し金具11をブラシ部12aに取り付ける。
【0028】
続いて、作業員は、スプリング外し金具11の底板部11aを持ってスプリング外し金具11、ブラシ部12aおよび柄部12bを水抜き溝5aの開口部5bに挿入する。
【0029】
続いて、作業員は、柄取付部材13を水抜き溝5aの対向する開口部5bから挿入したのち、開口部塞ぎ板14を回して柄取付部材13および開口部塞ぎ板14を柄部12bに取り付けたのち、キャップ15を回して柄取付部材13にキャップ15を取り付ける。
【0030】
以上の説明では、スプリング外し金具11に右雄ネジ11dを形成し、ブラシ部12aに右雌ネジ12acおよび左雌ネジ12adを形成し、柄部12bに右雄ネジ12baを形成したが、スプリング外し金具11に右雌ネジを形成し、ブラシ部12aに右雄ネジおよび左雄ネジを形成し、柄部12bに右雌ネジを形成してもよい。
同様に、柄部12bに右雄ネジ12bbを形成し、柄取付部材13に右雌ネジ13aを形成したが、柄部12bに右雌ネジを形成し、柄取付部材13に右雄ネジを形成してもよい。
また、右ネジと左ネジとを逆にしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 送電線鉄塔
2 主柱材
3 基礎材
4 フランジ部
5 斜水盤
5a 水抜き溝
5b 開口部
6 スプリング
10 水抜き溝清掃器具
11 スプリング外し金具
11a 底板部
11b ボルト部
11c 引掛部
11d 右雄ネジ
12 清掃用ブラシ
12a ブラシ部
12aa 底板部
12ab 外筒部
12ac 右雌ネジ
12ad 左雌ネジ
12b 柄部
12ba,12bb 右雄ネジ
12c ステンレスワイヤ
13 柄取付部材
13a 右雌ネジ
13b 右雄ネジ
14 開口部塞ぎ板
15 キャップ
15a 右雌ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空鋼管鉄塔(1)に取り付けられている斜水盤(5)の水抜き溝(5a)を清掃するための鋼管鉄塔水抜き溝清掃器具(10)であって、
前記水抜き溝の両端の開口部(5b)に挿着されているスプリング(6)を引掛部(11c)で引っ掛けて該スプリングを該開口部から引き出すためのスプリング外し金具(11)と、
前記水抜き溝を清掃するための清掃用ブラシ(12)と、
該清掃用ブラシが取付可能な柄取付部材(13)と、
該柄取付部材に固定された開口部塞ぎ板(14)と、
前記柄取付部材を前記斜水盤に固定するためのキャップ(15)とを具備し、
前記清掃用ブラシが、
中央部に貫通孔が形成された底板部(12aa)および該底板部の裏面に垂設された円筒形状の外筒部(12ab)を有するブラシ部(12a)と、
円柱形状の柄部(12b)と、
前記ブラシ部の前記外筒部の前記底板部と反対側である先端部の外周面に取り付けられた多数本のワイヤ(12c)とを備え、
前記引掛部を先にして前記スプリング外し金具を前記ブラシ部の前記底板部から該ブラシ部の前記外筒部に挿入して該スプリング外し金具を該ブラシ部に取り付けるためのスプリング外し金具取付手段(11d,12ac)が、該スプリング外し金具および該外筒部に設けられており、
前記柄部の先端部を先にして該柄部を前記ブラシ部の前記外筒部の先端部から該外筒部に挿入して該柄部に該ブラシ部を取り付けるとともに、前記柄部の先端部を先にして該柄部を前記ブラシ部の前記底板部から該ブラシ部の前記外筒部に挿入して該柄部に該ブラシ部を取り付けるためのブラシ部取付手段(12ac,12ad,12ba)が、該ブラシ部および該柄部に設けられており、
前記スプリング外し金具を前記ブラシ部に取り付け、前記柄部の先端部を先にして該柄部を該ブラシ部の前記外筒部の先端部から該外筒部に挿入して該柄部に該ブラシ部を取り付けるとともに、前記柄部の末端部を前記柄取付部材に取り付けたのち、前記キャップで該柄取付部材を前記斜水盤に固定して前記鋼管鉄塔水抜き溝清掃器具を前記水抜き溝に収納した際に、前記ブラシ部の前記底板部と前記開口部塞ぎ板とで該水抜き溝の両端の前記開口部を塞ぐことができるように、該ブラシ部の該底板部および該開口部塞ぎ板の表面積が該開口部の開口面積よりも大きくされている、
ことを特徴とする、鋼管鉄塔水抜き溝清掃器具。
【請求項2】
前記スプリング外し金具が、
底板部(11a)と、
該底板部の裏面に垂設された、かつ、前記スプリング外し金具取付手段として機能する第1のネジ(11d)が外周面に形成されたボルト部(11b)と、
該ボルト部の前記底板部と反対側の端面に取り付けられた前記引掛部と、
を備えることを特徴とする、請求項1記載の鋼管鉄塔水抜き溝清掃器具。
【請求項3】
前記柄部の先端部の外周面に、前記ブラシ部取付手段として機能する第2のネジ(12ba)が形成されており、
前記ブラシ部の前記外筒部の前記底板部側である末端部の外周面に、前記スプリング外し金具取付手段および前記ブラシ部取付手段として機能する、かつ、前記スプリング外し金具の前記第1のネジおよび前記柄部の前記第2のネジと螺合する第3のネジ(12ac)が形成されており、
前記ブラシ部の前記外筒部の前記第3のネジよりも先端側の外周面に、前記ブラシ部取付手段として機能する、かつ、前記柄部の前記第2のネジと螺合する第4のネジ(12ad)が形成されている、
ことを特徴とする、請求項2記載の鋼管鉄塔水抜き溝清掃器具。
【請求項4】
前記柄部の末端部の外周面に、第5のネジ(12bb)が形成されており、
前記柄取付部材が、
前記柄部の末端部の前記第5のネジと螺合する第6のネジ(13a)が内周面に形成された凹部を有する円柱部材と、
該円柱部材の凹部の開口面と対向する面に垂設されたボルト部とを備え、
前記円柱部材の径が、前記水抜き溝の前記開口部の対角線の長さよりも径が小さくされている、
ことを特徴とする、請求項3記載の鋼管鉄塔水抜き溝清掃器具。
【請求項5】
前記柄取付部材の前記ボルト部の外周面に、第7のネジ(13b)が形成されており、
前記キャップが、前記柄取付部材の前記ボルト部の前記第7のネジと螺合する第8のネジ(15a)が内周面に形成された凹部を有する円柱形状をしている、
ことを特徴とする、請求項4記載の鋼管鉄塔水抜き溝清掃器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−170887(P2012−170887A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35439(P2011−35439)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】