説明

鋼製セグメント、シールドトンネルの構築方法

【課題】土水圧等によるスキンプレートの変形を抑えることができ、スキンプレートに変形が生じた場合であっても、補強部材を取り外し可能な鋼製セグメントを提供する。
【解決手段】鋼製セグメント100は、スキンプレート10と、スキンプレート10のトンネルの長さ方向の両側端部に沿ってトンネルの内側に向けて立設された一対の主桁11と、一対の主桁11に取付可能な一対の固定用金具20と、所定の回転軸を中心に回転させることにより一対の固定用金具20の間に取り付け及び取り外し可能な補強部材30と、を備え、補強部材30は、回転軸を中心として、一対の固定用金具20の間に取り付けた状態においてスキンプレート10側に向く所定の角度範囲の部分が、半径が回転軸とスキンプレート10との距離に等しい円弧状に形成され、所定の角度範囲以外の部分の径が回転軸とスキンプレート10との距離以下になるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドトンネルの構築に用いられる鋼製セグメント及びこの鋼製セグメントを用いたシールドトンネルの構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シールド掘削装置により地盤にトンネルを掘削し、トンネル内周面に鋼製セグメントを周方向に接続するとともに、掘削の進行方向に連結していくことで覆工体を設置するシールド工法が知られている。シールド掘削装置は掘削孔の内周面近傍に位置する複数のジャッキを備えており、設置した鋼製セグメントに反力を取りながらジャッキを伸長させることにより推進する。その際、鋼製セグメントには非常に大きな荷重が作用するため、掘進方向に延びるように縦リブが取り付けられている。この縦リブは、シールド掘削装置が推進する際に鋼製セグメントに作用する反力に対して抵抗するとともに、地盤の土水圧や裏込めモルタルの圧力によりスキンプレートが変形しないように鋼製セグメントを補強している。
【0003】
しかしながら、上記の反力による荷重は各セグメントから地盤に流れるため、シールド掘削装置から充分に離れた位置の鋼製セグメントには荷重が作用しない。このため、シールド掘削装置から充分に離れた位置の鋼製セグメントとして、縦リブを備えた鋼製セグメントを用いることは非常に不経済である。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1及び2には、縦リブを着脱可能とした鋼製セグメントが記載されている。特許文献1記載の鋼製セグメントでは、縦リブを、ねじ節異形棒鋼と、内周面に螺条を備えた円筒体とが螺合することにより、これらねじ節異形棒鋼及び円筒体を回転させることにより伸縮可能な補強部材により構成している。かかる構成により補強部材を一対の主桁間に亘るように伸長させることにより、一対の主桁に挟持されるため、鋼製セグメントに取り付けることができ、また、補強部材を収縮させることにより取り外すことができる。
【0005】
また、特許文献2の鋼製セグメントでは、主桁の互いに対向する位置に固定部材を取り付けておき、この固定部材に嵌合させて取り付け可能な板状の補強部材を、トンネルの周方向にスライドさせて固定部材に取り付けている。また、補強部材は、逆方向にスライドさせることにより取り外すことができる。
【特許文献1】特開2001―73697号公報
【特許文献2】特開2006−83657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の鋼製セグメントでは、補強部材はスキンプレートと隙間をあけて設置されており、外部の地盤から土水圧や、裏込めモルタルの外圧がスキンプレートに作用すると、スキンプレートが大きく変形してしまう虞があった。
【0007】
また、特許文献2記載の方法では、外部から作用する土水圧などによりスキンプレートがトンネル中心に向かって変形した場合に、補強部材をスライドさせることができなくなり、取り外しができなくなる虞があった。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、土水圧等によるスキンプレートの変形を抑えることができ、スキンプレートに変形が生じた場合であっても、取り外し可能な補強部材を備えた鋼製セグメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の鋼製セグメントは、トンネルの内周面に取り付けられて覆工体を構成する鋼製セグメントであって、スキンプレートと、当該スキンプレートの前記トンネルの長さ方向の両側縁部に沿って前記トンネルの内側に向かって立設された一対の主桁と、前記一対の主桁に取付可能な一対の固定部材と、所定の回転軸を中心に回転させることにより前記一対の固定部材の間に取り付け及び取り外しが可能な補強部材と、を備え、前記補強部材は、前記回転軸を中心として、前記一対の固定部材の間に取り付けた状態において前記スキンプレート側に向く所定の角度範囲の部分が、半径が前記回転軸と前記スキンプレートとの距離に等しい円弧状に形成され、前記所定の角度範囲以外の部分の径が前記回転軸と前記スキンプレートとの距離以下になるように形成されていることを特徴とする。
【0010】
上記の鋼製セグメントにおいて、前記一対の固定部材は、夫々、前記回転軸を中心軸とする円柱状の、他方の固定部材側へ突出する突出部を備え、前記補強部材には、前記突出部を嵌合可能な溝が形成されており、前記補強部材は前記突出部に前記溝を嵌合させることにより、前記一対の固定部材の間に亘って、前記円柱状の突出部の中心軸を中心として回転可能に取り付けられていてもよい。
【0011】
また、前記一対の固定部材は、前記補強部材の端面と対向する領域の少なくとも一部に、前記所定の回転軸を中心として所定の回転方向に向かうほど前記補強部材に近づくような傾斜部が設けられ、前記補強部材の端面には、前記所定の回転方向とは逆の回転方向に向かうほど前記固定部材に近づくような傾斜部が設けられ、前記補強部材は、前記突出部に前記溝を嵌合させた状態で前記所定の回転方向に回転させ、前記固定部材及び前記補強部材の傾斜部が係合することにより、前記一対の固定部材に挟持されて取付られ、前記所定の回転方向とは逆に回転させることにより取り外し可能であってもよい。
【0012】
また、本発明の鋼製セグメントは、トンネルの内周面に取り付けられて覆工面を構成する鋼製セグメントであって、スキンプレートと、当該スキンプレートの前記トンネルの長さ方向の両側縁部に沿って取り付けられた一対の主桁と、両端に一対の固定部材が取り付けられ、所定の回転軸を中心に前記固定部材に対して所定の回転方向に回転させることにより伸長可能であるとともに、前記所定の回転方向と逆に回転させることにより収縮可能な補強部材と、を備え、前記補強部材は、当該補強部材を伸長させて、前記一対の固定部材を夫々前記一対の主桁に押し付けることにより前記一対の主桁の間に取り付けられており、この状態で、前記回転軸を中心として、前記スキンプレート側に向く所定の角度範囲の部分が、半径が前記回転軸と前記スキンプレートとの距離に等しい円弧状に形成され、前記所定の角度範囲以外の部分の径が前記回転軸と前記スキンプレートとの距離以下になるように形成されていることを特徴とする。
【0013】
上記の鋼製セグメントにおいて、前記一対の固定部材は夫々内周面に互いに逆向きの螺条が形成された雌螺子部又は外周面に互いに逆向きの螺条が形成された雄螺子部のいずれか一方を備え、前記補強部材は、両端部に前記一対の固定部材の雄螺子部又は雌螺子部に螺合する前記雌螺子部又は前記雄螺子部の他方を備え、前記固定部材は、前記雌螺子部と前記雄螺子部とが螺合することにより前記補強部材に取り付けられていてもよい。
【0014】
また、前記トンネルの長さ方向に隣接する鋼製セグメント同士は前記主桁をボルト及びナットにより固定することにより連結されており、前記ボルト及びナットは前記主桁の表面より突出しており、前記固定部材は、前記ボルト又はナットの前記主桁表面に突出した部分を収容可能な孔を有し、この孔を前記ボルト又はナットの前記主桁表面に突出した部分を収容した状態で前記主桁に取り付けられていてもよい。
【0015】
また、本発明のトンネルの構築方法は、シールド掘削装置により地盤を掘削して掘削孔を形成し、新たな鋼製セグメントを、既に取り付けられている鋼製セグメントの掘削進行方向の端部に連結するとともに、内周方向に隣接する当該新たな鋼製セグメント同士を環状に連結することにより、前記掘削孔の表面に当接するように取り付け、前記取り付けた新たな鋼製セグメントに反力を取って、シールド掘削装置を推進させる作業を繰り返すことにより、シールドトンネルを構築する方法であって、前記鋼製セグメントは、スキンプレートと、当該スキンプレートの前記トンネルの長さ方向の両側縁部に沿って前記トンネルの内側に向かって立設された一対の主桁と、前記一対の主桁に取付可能な一対の固定部材と、所定の回転軸を中心に回転させることにより前記一対の固定部材の間に取り付け及び取り外しが可能な補強部材と、を備え、前記補強部材は、前記回転軸を中心として、前記一対の固定部材の間に取り付けた状態において前記スキンプレート側に向く所定の角度範囲の部分が、半径が前記回転軸と前記スキンプレートとの距離に等しい円弧状に形成され、前記所定の角度範囲以外の部分の径が前記回転軸と前記スキンプレートとの距離以下になるように形成されており、前記シールド掘削装置が進行し、前記シールド掘削装置から所定距離、離れた位置における前記鋼製セグメントより前記補強部材を取り外すことを特徴とする。
【0016】
また、本発明のトンネルの構築方法は、シールド掘削装置により地盤を掘削して掘削孔を形成し、新たな鋼製セグメントを、既に取り付けられている鋼製セグメントの掘削進行方向の端部に連結するとともに、内周方向に隣接する当該新たな鋼製セグメント同士を環状に連結することにより、前記掘削孔の表面に当接するように取り付け、前記取り付けた新たな鋼製セグメントに反力を取って、シールド掘削装置を推進させる作業を繰り返すことにより、シールドトンネルを構築する方法であって、前記鋼製セグメントは、スキンプレートと、当該スキンプレートの前記トンネルの長さ方向の両側縁部に沿って取り付けられた一対の主桁と、両端に一対の固定部材が取り付けられ、所定の回転軸を中心に前記固定部材に対して所定の回転方向に回転させることにより伸長可能であるとともに、前記所定の回転方向と逆に回転させることにより収縮可能な補強部材と、を備え、前記補強部材は、当該補強部材を伸長させて前記一対の固定部材を夫々前記一対の主桁に押し付けることにより前記一対の主桁の間に取り付けられており、この状態で、前記回転軸を中心として、前記スキンプレート側に向く所定の角度範囲の部分が、半径が前記回転軸と前記スキンプレートとの距離に等しい円弧状に形成され、前記所定の角度範囲以外の部分の径が前記回転軸と前記スキンプレートとの距離以下になるように形成されており、前記シールド掘削装置が進行し、前記シールド掘削装置から所定距離、離れた位置における前記鋼製セグメントより前記補強部材を取り外すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、補強部材が回転可能であるとともに、所定の角度範囲の部分が回転軸とスキンプレートとの間の距離に等しい円弧状に形成されているため、この部分をスキンプレートに当接させることにより、スキンプレートの変形を抑えることができ、また、この部分以外は径が回転軸とスキンプレートの間の距離より短くなるように形成されているため、補強部材を回転させることにより取り外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
<第1実施形態>
以下、本発明の鋼製セグメントの第1実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、第1実施形態の鋼製セグメントを100示す図であって、(A)は斜視図であり、(B)は鋼製セグメント100をトンネル中心側から見た図であり、(C)は(B)におけるC−C´断面図であり、(D)は(C)における部分Dの拡大図であり、(D)は(B)におけるE−E´断面図である。
【0019】
図1に示すように、鋼製セグメント100は、トンネルの周方向及び長さ方向に隣接する鋼製セグメント100とボルト50及びナット51により連結されてトンネル表面に覆工体を構成するものである。本実施形態の鋼製セグメント100は、掘削されたトンネルの内周に沿うように湾曲したスキンプレート10と、このスキンプレート10のトンネルの長さ方向両側の縁に沿って立設された一対の主桁11と、トンネルの周方向両側の縁に沿って立設された一対の継ぎ板12と、主桁11に対向するように取り付けられた一対の固定用金具20と、固定用金具20の間に取り付けられた補強部材30と、断面L字型に形成され主桁11の間を結ぶように、スキンプレート11の内面にトンネルの長さ方向に沿って溶接された縦リブ40と、により構成される。
【0020】
図2は、固定用金具20を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は正面図である。同図に示すように、固定用金具20は、円弧状に形成され、主桁11表面に突出し、隣接する鋼製セグメント100同士を接続するナット51を収容可能な一対のボルト挿通孔21Aが形成された板状部材21と、板状部材21の補強部材30の取り付けられる位置に設けられた突出部22と、補強部材30の取り付けられる位置のトンネル中心側の部分に設けられた半円状の傾斜部23とを備える。
【0021】
突出部22は、補強部材30の嵌合溝と嵌合可能な径を有する円柱状に形成されている。傾斜部23は半円状の部材からなり、後に詳述するように補強部材30を回転させて取り付ける際に、補強部材30の回転方向(図2(B)における矢印の方向)に向かうほど、鋼製セグメント100の内側に向かって近づくような傾斜が形成されている。
【0022】
図3は、補強部材30を示す図であり、(A)は端部を示す斜視図、(B)は端部を示す平面図である。同図に示すように、補強部材30は、その外周面に軸方向に伸びるように形成された溝(以下、嵌合溝という)32が形成された棒状の部材からなり、後述するように、主桁11に取付られた固定用金具20の突出部22をこの嵌合溝32に嵌合させることにより、突出部22の中心軸を中心として回転させて取り付け、取り外し可能である。
【0023】
また、補強部材30の断面は、その嵌合溝32に突出部22を嵌合した状態において、突出部22の中心軸を中心とした所定の角度範囲(図3(B)における角度範囲α)の外周が、スキンプレート10と突出部22の中心軸との間の距離を半径とする円弧状に形成されている(図3(B)において斜線を付した部分、以下、この部分を当接部34という)。また、当接部34の反対側の部分(図3(B)において灰色で示した部分、以下、非当接部という)35は、スキンプレート10と突出部22の中心軸との間の距離よりも短い径になるように形成されている。このような断面形状により、補強部材30の嵌合溝32を突出部22に嵌合させて回転する際に、当接部34がスキンプレート10側に位置する場合にはスキンプレート10と補強部材30が当接し、それ以外の場合にはスキンプレート10と補強部材30との間に隙間が生じることとなる。
【0024】
また、補強部材30の非当接部35には、補強部材30を回転させて取り付ける際に、補強部材30の回転方向(図3(B)における矢印の方向)に向かうほど主桁11に向かって近づくような傾斜部33が形成されている。なお、この傾斜部33は、固定用金具20の傾斜部23と略等しい勾配に形成されている。
【0025】
図4(A)〜(C)は、補強部材30の取付方法を説明するための図である。図4(A)に示すように、まず、固定用金具20を、ボルト挿通孔20Aに主桁11表面に突出するナット51を挿通させて取り付ける。そして、補強部材30を横方向に移動させて、固定用金具20の突出部22を嵌合溝32に嵌合させる。なお、本実施形態では、ボルト挿通孔21Aにナット51を収容しているが、例えば、図1(B)の上下の破線で示す鋼製セグメント100では、ボルト50の頭部が主桁11から突出することになるので、このボルト50の頭部を挿通孔21Aに収容すればよい。
【0026】
次に、図4(B)に示すように、固定用金具20の突出部22に嵌合溝32を嵌合させたまま、補強部材30を突出部22を中心として回転させる。
そして、図4(C)に示すように、補強部材30の当接部34がスキンプレート10に当接する状態まで回転させると、補強部材30の傾斜部33と固定用金物20の傾斜部23とが係合する。このように補強部材30の傾斜部33と、固定用金物20の傾斜部23とが係合することにより、補強部材30が一対の主桁11間に挟持される。すなわち、固定用金具20の傾斜部23の傾斜角と、補強部材30の傾斜部33は、当接部34がスキンプレート10に当接した状態で互いに密着し得るように設けられている。なお、補強部材30は、上記の所定の角度範囲αに含まれる部位がスキンプレート10側に向いていれば、スキンプレート10と当接する。このため、補強部材30や固定用金物20の製作精度が低く、補強部材30を設計通りに回転させることができず、補強部材30のスキンプレート側に向く部位が当接部34の中央から多少ずれるような場合であっても、補強部材30をスキンプレート10に当接させることができる。
【0027】
図5は、補強部材30の取り外し方法を説明するための図である。同図に示すように、補強部材30を取り外す際には、上記の取付方法とは逆方向に補強部材30を回転させればよい。この際、地盤から作用する土水圧や裏込めモルタルの圧力によりスキンプレート10に変形が生じていても、補強部材30の当接部33は回転軸を中心とした円弧状断面に形成されているため、容易に回転させることができ、また、他の部分は当接部33に比べて小さな径に形成されているため、スキンプレート10と補強部材30との間に隙間が生じ、容易に取り外し作業を行うことができる。
【0028】
シールドトンネルの構築は、シールド掘削装置により地盤を掘削し、掘削した掘削孔表面に鋼製セグメント100を内周方向に接続するとともに掘削の進行方向(トンネルの長さ方向)に連結していくことで覆工体を設置していくことにより行われる。
【0029】
図6は、シールド掘削装置により掘削した直後の掘削孔の表面に取り付けられた鋼製セグメント100を示す図であり、また、図7は、シールド掘削装置から離れた位置における鋼製セグメント100を示す図である。各図において、(A)は断面図であり、(B)は鋼製セグメント100をトンネル中心方向から見た図である。図6及び図7に示すように、鋼製セグメント100は、これら鋼製セグメント100同士を周方向にボルト50及びナット51により環状に連結するとともに、掘削進行方向にもボルト50及びナット51により連結することにより取り付けられる。
【0030】
シールド掘削装置は、推進力を得るためにジャッキを伸長させる際に鋼製セグメント100に反力を取りながら推進する。シールド掘削装置のジャッキ200の位置を図中破線で示す。本実施形態では、ジャッキ200に当たる箇所において、少なくとも縦リブ40及び補強部材30が含まれるようにこれらの位置を決定している。
【0031】
図6に示すように、シールド掘削装置により掘削した直後のトンネルの内周面には補強部材30が取り付けられた鋼製セグメント100を設置する。シールド掘削装置のジャッキ200が伸長すると、鋼製セグメント100にはジャッキ200からの反力が作用するが、補強部材30及び縦リブ40がジャッキ200の反力に抵抗するため、鋼製セグメント100が座屈するのを防止できる。また、周囲の地盤よりスキンプレート10に土水圧が作用するが、補強部材30がトンネル内側よりスキンプレート10を支持するため、スキンプレート10の変形を防止できる。
【0032】
一方、シールド掘削装置から充分に離れた位置の鋼製セグメント100では、ジャッキ200の伸長に伴う反力によりトンネルの長さ方向に作用する荷重がなくなる。そこで、図7に示すように、補強部材30を回転させて固定用金物20より取り外し、さらに、固定用金物20を主桁11より取り外す。なお、上記のようにスキンプレート10に変形が生じていても、補強部材30を容易に取り外すことができる。
上記のようにシールド掘削装置から充分に離れた位置では鋼製セグメント100に作用する反力がなるため、補強部材30を取り外しても、鋼製セグメント100は変形することはない。このようにして取り外した補強部材30及び固定用金物20は、新たにシールド掘削装置により掘削した掘削孔の内周面に取り付けられる鋼製セグメント100に利用することができる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態の鋼製セグメント100によれば、補強部材30の当接部34がスキンプレート10に当接するため、スキンプレート10の変形を抑えることができる。
【0034】
また、当接部34が固定用金物20の突出部22の中心軸を中心とした円弧状に形成されており、他の部位はこれよりも径が小さく形成されているため、スキンプレート10に変形が生じた場合であっても、補強部材30を回転させることができ、容易に取り外すことができる。
【0035】
また、シールド掘削装置が充分に進行し、シールド掘削装置がジャッキ200を伸長させても、応力を殆ど受けないような箇所の鋼製セグメント100の補強部材30及び固定用金具20を取り外し、新たに設置される鋼製セグメント100に再利用することができるため、コストを削減することができる。
なお、本実施形態では、突出部22を嵌合させる溝32を、補強部材30の外周面に軸方向に伸びるように形成するものとしたが、これに限らず、溝32は少なくとも両端に形成されていればよい。
【0036】
<第2実施形態>
以下、本発明の鋼製セグメントの第2実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態において第1実施形態に対応する部分には同一の符号を付している。
図8は、第2実施形態の鋼製セグメント300を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は鋼製セグメント300をトンネル中心側から見た図であり、(C)は、(B)におけるC−C´断面図であり、(D)は(C)におけるD−D´断面図である。
本実施形態の鋼製セグメント300は、掘削されたトンネルの内周に沿うように湾曲したスキンプレート10と、このスキンプレート10のトンネルの長さ方向両側の縁に沿って立設された一対の主桁11と、トンネルの周方向両側の縁に沿って立設された一対の継ぎ板12と、互いに対向するように主桁11に取り付けられた一対の固定用金具120と、固定用金具120の間に取り付けられた補強部材130と、断面L字型に形成され、主桁11の間を結ぶようにスキンプレート10の内面にトンネルの長さ方向に沿って溶接された縦リブ40と、から構成される。
【0037】
同図に示すように、補強部材130は、内周面に夫々逆向きの螺条が形成された雌螺子部132を両端に備えた、棒状の部材である。また、固定用金具120は、円弧状に形成され、主桁11表面に突出する隣接する鋼製セグメント300同士を接続するナット51を収納可能な一対のボルト挿通孔121Aが形成された板状部材121と、板状部材121の補強部材130の取り付けられる位置に設けられた外周面に螺条が形成された雄螺子部122とを備える。なお、各固定用金具120の雄螺子部122には、補強部材130の雌螺子部132に対応して互いに逆向きの螺条が形成されている。
【0038】
固定用金具120は、その雄螺子部122が補強部材130の両端の雌螺子部132に螺合されることにより、補強部材130に取り付けられている。上記のように補強部材130の両端の雌螺子部132には夫々逆向きの螺条が形成されているため、両端の固定用金具120を回転しないように拘束した状態で補強部材130を所定の方向に回転させると、両端の固定用金具120が外側に向かって進出し、また、所定の方向とは逆の方向に回転させると、両端の固定用金具120が中心に向かって退行する。
【0039】
また、図8(D)に示すように、補強部材30の断面は、補強部材30の回転の中心である中心軸を中心とした所定の角度範囲(図8(D)における角度範囲α)の外周が、スキンプレート10と当該中心軸との間の距離を半径とする円弧状に形成されている(図8(D)において斜線を付した部分、以下、この部分を当接部134という)。また、その他の部分は回転軸を中心として当接部134に比べて径が小さくなるように形成されている。このような断面形状により、後述するように、固定用金物120を主桁11に取り付けて補強部材130を回転させる際に、当接部134がスキンプレート10側に位置する場合にはスキンプレート10と補強部材130とが当接し、それ以外の場合にはスキンプレート10と補強部材130との間に隙間が生じることとなる。なお、後述するように、補強部材130の当接部134は、補強部材130を回転させ、固定用金物120を進出させて板状部材121を主桁11に当接させた状態において、当接部134がスキンプレート10に当接するような角度に設けられている。なお、本実施形態においても、補強部材130は、上記の所定の角度範囲αに含まれる部位がスキンプレート10側に向いていれば、スキンプレート10と当接する。
【0040】
補強部材130及び固定用金物120は以下のようにして取り付けることができる。まず、固定用金物120が回転しないように固定した状態で補強部材130を回転させて、固定用金物120を補強部材130に向かって退行させ、補強部材130を主桁11の間に配置する。
【0041】
次に、補強部材130を回転させ、固定用金物120を主桁11に向かって進出させる。この際、固定用金物120のボルト挿通孔121Aにトンネルの長さ方向に隣接する鋼製セグメント300同士を連結するナット51を収納させる。そして、固定用金物120の板状部材121が主桁11に当接するまで、補強部材130を回転させる。この際、固定用金具120が板状部材121に当接するとともに補強部材130の当接部134がスキンプレート10に当接する。なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、ボルト挿通孔121Aにナット51を収容しているが、例えば、図8(B)の上下の破線で示す鋼製セグメント300では、ボルト50の頭部が主桁11から突出することになるので、このボルト50の頭部を挿通孔121Aに収容すればよい。
【0042】
また、図9は、補強部材130の取り外し方法を説明するための図である。同図に示すように、上記の取付方法における回転方向とは逆方向に補強部材130を回転させることにより、固定用金具120が補強部材130に向かって退行するため、補強部材130を取り外すことができる。この際、地盤から作用する土水圧や裏込めモルタルの圧力によりスキンプレート10に変形が生じていても、補強部材130の当接部134は回転軸を中心とした円弧状断面に形成され、また、他の部分は当接部に比べて小さな径に形成されているため、容易に補強部材130を回転させることができる。
【0043】
図10は、シールド掘削装置により掘削した直後の掘削孔の表面に取り付けられた鋼製セグメント300を示す図であり、また、図11は、シールド掘削装置から離れた位置における鋼製セグメント300を示す図である。各図において、(A)は断面図であり、(B)は鋼製セグメント300をトンネル中心方向から見た図である。図10及び図11に示すように、鋼製セグメント300も、第1実施形態と同様に、これら鋼製セグメント300同士を周方向にボルト50及びナット51により環状に連結するとともに、掘削進行方向にもボルト50及びナット51により連結することで取り付けられている。また、本実施形態においても、ジャッキ200に当たる箇所において、少なくとも縦リブ40及び補強部材130が含まれるようにこれらの位置を決定している。
【0044】
図10に示すように、シールド掘削装置により掘削した直後のトンネルの内周面には補強部材130が取り付けられた鋼製セグメント300を設置する。これにより、ジャッキ200が伸長し、鋼製セグメント300にジャッキ200からの反力が作用しても、補強部材130及び縦リブ40がジャッキ200の反力に抵抗するため、鋼製セグメント300が座屈するのを防止できる。また、周囲の地盤よりスキンプレート10に土水圧が作用するが、補強部材130の当接部134がトンネル内側よりスキンプレート10を支持するため、スキンプレート10の変形を防止できる。
【0045】
一方、シールド掘削装置から充分に離れた位置の鋼製セグメント300では、ジャッキ200の伸長に伴う反力により、トンネルの長さ方向に作用する荷重はなくなる。このため、図11に示すように、補強部材130を回転させて固定用金物120を退行させて、鋼製セグメント300より補強部材130を取り外す。なお、上記のようにスキンプレート10に変形が生じていても、補強部材130を容易に取り外すことができる。
【0046】
これは、上記のようにシールド掘削装置のジャッキ200の伸長による荷重がなるため、補強部材130を取り外しても、継ぎ板12の剛性によりこの荷重に抵抗することができ、鋼製セグメント300は変形することはないからである。このようにして取り外した補強部材130は、新たにシールド掘削装置により掘削した掘削孔面に取り付けられる鋼製セグメント300に利用することができる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の鋼製セグメント300によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0048】
なお、第2実施形態において、補強部材130を回転させることにより固定用金物120を進退させる構成としたが、これに限らず、補強部材が回転可能であるとともに、伸長可能であればよい。
【0049】
また、第2実施形態において、固定用金物120に雄螺子部122が形成され、補強部材130に雌螺子部132が形成されるものとしたが、これに限らず、固定用金物120に雌螺子部が形成され、補強部材130に雄螺子部132が形成されていてもよい。
【0050】
また、上記の各実施形態では、補強部材30、130として全長に亘って同一の断面形状を有する部材を用いるものとしたが、これに限らず、例えば、図12に示すように、所定の径の棒状部材230Bに適宜間隔を空けて、所定の角度範囲の外周がスキンプレート10と回転の中心軸との間の距離を半径とする円弧状に形成され、その他の角度範囲の外周がスキンプレート10と補強部材230を回転させる際の中心軸との間の距離よりも短い径になるように形成された部材230Aが取り付けられた部材を用いても良く、要するに、少なくとも一部に上記のような形状の部位を備え、その他の部位がこの部位に比べて径が小さくなるように形成されているような部材であれば、補強部材30、130として用いることができる。
【0051】
なお、上記の各実施形態では、縦リブ40及び補強部材30、130を設ける構成としたが、これに限らず、主桁11、継ぎ板12、及びスキンプレート10により充分な強度が得られる場合には、補強部材30、130のみを設ける構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】第1実施形態の鋼製セグメントを示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は鋼製セグメントをトンネル中心側から見た図であり、(C)は(B)におけるC−C´断面図であり、(D)は(C)における部分Dの拡大図であり、(D)は(B)におけるE−E´断面図である。
【図2】固定用金具を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は正面図である。
【図3】補強部材を示す図であり、(A)は端部を示す斜視図、(B)は端部を示す平面図である。
【図4】補強部材の取付方法を説明するための図である。
【図5】補強部材の取り外し方法を説明するための図である。
【図6】シールド掘削装置により新たに掘削した掘削孔の表面に取り付けられた第1実施形態の鋼製セグメントを示す図であり、(A)は断面図であり、(B)は鋼製セグメントをトンネル中心方向から見た図である。
【図7】シールド掘削装置が充分に進行した位置における第1実施形態の鋼製セグメントを示す図であり(A)は断面図であり、(B)は鋼製セグメントをトンネル中心方向から見た図である。
【図8】第2実施形態の鋼製セグメントを示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)はトンネル中心側から見た鋼製セグメントを示す図であり、(C)は、(B)におけるC−C´断面図であり、(D)は(C)におけるD−D´断面図である。
【図9】補強部材の取り外し方法を説明するための図である。
【図10】シールド掘削装置により新たに掘削した掘削孔の表面に取り付けられた第2実施形態の鋼製セグメントを示す図であり、(A)は断面図であり、(B)は鋼製セグメントをトンネル中心方向から見た図である。
【図11】シールド掘削装置が充分に進行した位置における第2実施形態の鋼製セグメントを示す図であり(A)は断面図であり、(B)は鋼製セグメントをトンネル中心方向から見た図である。
【図12】補強部材として持ちいれる別の形状の部材を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
10 スキンプレート
11 主桁
12 継ぎ板
20 固定用金具
21 板状部材
21A ボルト挿通孔
22 突出部
23 傾斜部
30 補強部材
32 嵌合溝
33 傾斜部
34 当接部
40 縦リブ
50 ボルト
51 ナット
100、300 鋼製セグメント
120 固定用金具
121 板状部材
122 雄螺子部
130 補強部材
132 雌螺子部
200 ジャッキ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの内周面に取り付けられて覆工体を構成する鋼製セグメントであって、
スキンプレートと、
当該スキンプレートの前記トンネルの長さ方向の両側縁部に沿って前記トンネルの内側に向かって立設された一対の主桁と、
前記一対の主桁に取付可能な一対の固定部材と、
所定の回転軸を中心に回転させることにより前記一対の固定部材の間に取り付け及び取り外しが可能な補強部材と、を備え、
前記補強部材は、前記回転軸を中心として、前記一対の固定部材の間に取り付けた状態において前記スキンプレート側に向く所定の角度範囲の部分が、半径が前記回転軸と前記スキンプレートとの距離に等しい円弧状に形成され、前記所定の角度範囲以外の部分の径が前記回転軸と前記スキンプレートとの距離以下になるように形成されていることを特徴とする鋼製セグメント。
【請求項2】
請求項1記載の鋼製セグメントであって、
前記一対の固定部材は、夫々、前記回転軸を中心軸とする円柱状の、他方の固定部材側へ突出する突出部を備え、
前記補強部材には、前記突出部を嵌合可能な溝が形成されており、
前記補強部材は前記突出部に前記溝を嵌合させることにより、前記一対の固定部材の間に亘って、前記円柱状の突出部の中心軸を中心として回転可能に取り付けられていることを特徴とする鋼製セグメント。
【請求項3】
請求項2記載の鋼製セグメントであって、
前記一対の固定部材は、前記補強部材の端面と対向する領域の少なくとも一部に、前記所定の回転軸を中心として所定の回転方向に向かうほど前記補強部材に近づくような傾斜部が設けられ、
前記補強部材の端面には、前記所定の回転方向とは逆の回転方向に向かうほど前記固定部材に近づくような傾斜部が設けられ、
前記補強部材は、前記突出部に前記溝を嵌合させた状態で前記所定の回転方向に回転させ、前記固定部材及び前記補強部材の傾斜部が係合することにより、前記一対の固定部材に挟持されて取付られ、前記所定の回転方向とは逆に回転させることにより取り外し可能であることを特徴とする鋼製セグメント。
【請求項4】
トンネルの内周面に取り付けられて覆工面を構成する鋼製セグメントであって、
スキンプレートと、
当該スキンプレートの前記トンネルの長さ方向の両側縁部に沿って取り付けられた一対の主桁と、
両端に一対の固定部材が取り付けられ、所定の回転軸を中心に前記固定部材に対して所定の回転方向に回転させることにより伸長可能であるとともに、前記所定の回転方向と逆に回転させることにより収縮可能な補強部材と、を備え、
前記補強部材は、当該補強部材を伸長させて、前記一対の固定部材を夫々前記一対の主桁に押し付けることにより前記一対の主桁の間に取り付けられており、この状態で、前記回転軸を中心として、前記スキンプレート側に向く所定の角度範囲の部分が、半径が前記回転軸と前記スキンプレートとの距離に等しい円弧状に形成され、前記所定の角度範囲以外の部分の径が前記回転軸と前記スキンプレートとの距離以下になるように形成されていることを特徴とする鋼製セグメント。
【請求項5】
請求項4記載の鋼製セグメントであって、
前記一対の固定部材は夫々内周面に互いに逆向きの螺条が形成された雌螺子部又は外周面に互いに逆向きの螺条が形成された雄螺子部のいずれか一方を備え、前記補強部材は、両端部に前記一対の固定部材の雄螺子部又は雌螺子部に螺合する前記雌螺子部又は前記雄螺子部の他方を備え、
前記固定部材は、前記雌螺子部と前記雄螺子部とが螺合することにより前記補強部材に取り付けられていることを特徴とする鋼製セグメント。
【請求項6】
請求項1から5何れかに記載の鋼製セグメントであって、
前記トンネルの長さ方向に隣接する鋼製セグメント同士は前記主桁をボルト及びナットにより固定することにより連結されており、
前記ボルト及びナットは前記主桁の表面より突出しており、
前記固定部材は、前記ボルト又はナットの前記主桁表面に突出した部分を収容可能な孔を有し、この孔を前記ボルト又はナットの前記主桁表面に突出した部分を収容した状態で前記主桁に取り付けられていることを特徴とする鋼製セグメント。
【請求項7】
シールド掘削装置により地盤を掘削して掘削孔を形成し、新たな鋼製セグメントを、既に取り付けられている鋼製セグメントの掘削進行方向の端部に連結するとともに、内周方向に隣接する当該新たな鋼製セグメント同士を環状に連結することにより、前記掘削孔の表面に当接するように取り付け、前記取り付けた新たな鋼製セグメントに反力を取って、シールド掘削装置を推進させる作業を繰り返すことにより、シールドトンネルを構築する方法であって、
前記鋼製セグメントは、スキンプレートと、当該スキンプレートの前記トンネルの長さ方向の両側縁部に沿って前記トンネルの内側に向かって立設された一対の主桁と、前記一対の主桁に取付可能な一対の固定部材と、所定の回転軸を中心に回転させることにより前記一対の固定部材の間に取り付け及び取り外しが可能な補強部材と、を備え、前記補強部材は、前記回転軸を中心として、前記一対の固定部材の間に取り付けた状態において前記スキンプレート側に向く所定の角度範囲の部分が、半径が前記回転軸と前記スキンプレートとの距離に等しい円弧状に形成され、前記所定の角度範囲以外の部分の径が前記回転軸と前記スキンプレートとの距離以下になるように形成されており、
前記シールド掘削装置が進行し、前記シールド掘削装置から所定距離、離れた位置における前記鋼製セグメントより前記補強部材を取り外すことを特徴とするシールドトンネルの構築方法。
【請求項8】
シールド掘削装置により地盤を掘削して掘削孔を形成し、新たな鋼製セグメントを、既に取り付けられている鋼製セグメントの掘削進行方向の端部に連結するとともに、内周方向に隣接する当該新たな鋼製セグメント同士を環状に連結することにより、前記掘削孔の表面に当接するように取り付け、前記取り付けた新たな鋼製セグメントに反力を取って、シールド掘削装置を推進させる作業を繰り返すことにより、シールドトンネルを構築する方法であって、
前記鋼製セグメントは、スキンプレートと、当該スキンプレートの前記トンネルの長さ方向の両側縁部に沿って取り付けられた一対の主桁と、両端に一対の固定部材が取り付けられ、所定の回転軸を中心に前記固定部材に対して所定の回転方向に回転させることにより伸長可能であるとともに、前記所定の回転方向と逆に回転させることにより収縮可能な補強部材と、を備え、前記補強部材は、当該補強部材を伸長させて前記一対の固定部材を夫々前記一対の主桁に押し付けることにより前記一対の主桁の間に取り付けられており、この状態で、前記回転軸を中心として、前記スキンプレート側に向く所定の角度範囲の部分が、半径が前記回転軸と前記スキンプレートとの距離に等しい円弧状に形成され、前記所定の角度範囲以外の部分の径が前記回転軸と前記スキンプレートとの距離以下になるように形成されており、
前記シールド掘削装置が進行し、前記シールド掘削装置から所定距離、離れた位置における前記鋼製セグメントより前記補強部材を取り外すことを特徴とするシールドトンネルの構築方法。

【図1】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−161988(P2009−161988A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−692(P2008−692)
【出願日】平成20年1月7日(2008.1.7)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】