説明

錆び取り剤組成物およびその製造方法

【課題】本発明は、高温熱水や界面活性剤を用いることなく、中温の60℃において、化粧品添加物と食品添加物および天然酵素の混成溶液を応用することにより、金属の錆やFRP、プラスチック等の表面に付着した金属錆のキレート化速度と錆び取り速度を速くする錆び取り剤組成物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、リンゴ酸、クエン酸ソーダ、柿タンニン、カリミョウバン、キレスト、ラビゾールおよびミネラルイオン含有天然酵素液からなる混成溶液を特徴とする錆び取り剤組成物を得ることができた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属の表面に発生した錆や、プラスチック、FRP等の表面付着錆を食品添加物と化粧品添加物およびミネラルイオン含有天然酵素液を用いて除去する錆び取り剤組成物およびその製造方法に関するものである。
【0002】
本発明は、金属の錆をより短時間でキレート化して取り除いた後、再酸化を防止する安全性の優れた、臭気性、刺激性の低い錆び取り剤組成物およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
古来より金属表面の錆び取り剤としては、危険性の高い塩酸や硫酸、硝酸ないし苛性ソーダ溶液等、危険度が高い錆び取り剤が知られている。また、近来は、キレート剤とともに有機酸を溶解度限界まで溶かし込んだ消臭性組成物「特許文献1」や、エチレンジアミン系防錆剤、有機のクエン酸、無機酸のホウ酸等を用いた除錆剤組成物「特許文献2」の提案が開示されている。
【0004】
しかし、従来の錆び取り剤は、錆びをキレート化させる時間が非常に長く、且つ、キレート化した時点で水洗し乾燥工程を経たと同時に表面が酸化されるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特開2008−259804号公報
【特許文献2】 特開2000−199087号公報
【0006】
これらの提案のうち「特許文献1」は、キレート剤の代表ともいうべきEDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)のほか、クエン酸などの有機酸を100℃下の熱水中に溶解度限界まで溶解し、冷却後の上澄み液並びに再結晶化した組成物を取り出した再溶液化であり、難燃剤や防錆剤として用途が挙げられている。
【0007】
また「特許文献2」は、キレート剤としてエチレンジアミンN、Nコハク酸0.01〜50重量%、有機酸としてクエン酸、フタル酸、リンゴ酸など0.01〜60重量%、有機溶媒としてメタノール、アセトン、MIBKなど0.1〜95重量%のほか酸化剤として第二鉄塩、過酸化水素、過硫酸アンモニウムなど0.01〜40重量%から成るエマルジョン形成の界面活性剤を添加した除錆剤組成物の提案である。
【0008】
これらの提案のうち「特許文献1」の提案は、キレート剤と有機酸を同時に100℃の高温熱水中に溶解度限界を超えて溶かし込んだ後、冷却再結晶化した上澄み液の成分含有率に差異が起き成分組成が一定とならないという問題があり、かつ高温作業の危険性が問題として残る。且つ、再酸化が起こる欠点がある。
また「特許文献2」の提案は、キレート剤と有機酸、酸化剤のほか別途界面活性剤を添加することを必要とするなど問題が残る。また、且つ、再酸化が起こる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来法の上記した課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、溶解性の低いキレート剤や、有機酸の混成組成物の高濃度溶解液を得るため、高温熱水や界面活性剤を用いることなく、水温を中温の60℃に保持しつつ、化粧品添加物であるカリミョウバンの所定量を完全に溶解した後、食品添加物であるクエン酸ソーダ、リンゴ酸の所定量を順次完全に溶解し、続いて化粧品添加物であるキレスト、柿タンニン、ラビゾールの所定量とともに微量のミネラルイオン含有天然酵素液を順次混合し完全溶解することにより高濃度の混成溶解液が得られ、該混成溶液中に金属の錆片を浸漬したところ、短時間で金属片の金属錆が引き離され、引き離された錆びが細かく分解して錆をキレート化し、再付着することなく、錆が再発生しないことに気付き、全く新規な臭気性、刺激性のない錆び取り剤としての知見を得た。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前述した知見に基づき、蒸留水または精製水100重量部を温度40〜50℃に加温しつつ、カリミョウバン3〜20重量部を溶解した後、クエン酸ソーダ0.5〜15重量部を完全溶解し、更に温度50〜55℃に加温しつつリンゴ酸0.5〜25重量部を完全溶解し、引き続きキレスト5〜20重量部、柿タンニン1.0〜10重量部、ラビゾール0.5〜5重量部、ミネラルイオン含有天然酵素液0.01〜5重量部を夫々順次混合し、完全溶解することにより高濃度の混成溶解液が得られ、本発明の錆び取り剤組成物およびその製造方法を完成した。
【0011】
本発明に用いているクエン酸ソーダやリンゴ酸は、防錆剤ないし消臭剤として公知である。
本発明のクエン酸ソーダと柿タンニンおよびリンゴ酸の混成溶液のリンゴ酸デヒドロゲナーゼによるオキサロ酢酸の錆びのキレート化の試みは、ガロイル没食子酸のフェノール水酸基を多く含む柿タンニンとともにミネラルイオン含有天酵素液を混合成分とすることにより、金属の酸化部位まで深く浸透し、酸化物である錆を浮き上がらせ、錆のキレート化速度と錆び取り速度が画期的に速まり、遊離した錆を包み込み再付着を防止とともに再酸化防止することを可能にした本発明者による初めての全く新規な手段である。
【0012】
本発明のリンゴ酸デヒドロゲナーゼによるオキサロ酢酸のキレート化は、以下に記述するように推移するものと推測している。
リンゴ酸はヒドロキシコハク酸で2個のカルボン酸(COOH)を有し、リンゴ酸デヒドロゲナーゼにより脱水素されオキサロ酢酸が生成される。「化1」の式(1)および示性式(2)およびオキサロ酢酸のキレート作用を「化2」に示す。
【0013】
【化1】


【0014】
【化2】

【0015】
つまり、金属酸化物の錆のキレート化は、複雑で単純なものではないが、オキサロ酢酸の二重結合部に錆の酸化部位で酸化物との一種の電子授受現象が起きキレート化合物が生成されることによることが推測される。キレート化の促進強化にはミネラルイオン含有天然酵素液の働きと柿タンニンのガロイル没食子酸の相乗効果ないし三乗効果が推測される。
【0016】
本発明の混成溶液の要素成分について説明する。
化粧品添加物であるカリミョウバンは、強力な収斂剤で、金属酸化物の錆が剥離した面に吸着し、再酸化防止、防腐作用を有する。また柿タンニンは、フェノール水酸基を多数持ち、加水分解するとガロイル没食子酸(C1410)やエピカテキン(C1514)となり、自らもキレート剤であり、リンゴ酸デヒドロゲナーゼによるオキサロ酢酸のキレート化を促進強化するという相乗効果がある。
【0017】
また食品添加物であるクエン酸ソーダC(OH)(COONa)は、クエン酸C(OH)(COOH)に代表される3個のカルボン酸(COOH)を有し、リンゴ酸デヒドロゲナーゼによるオキサロ酢酸のキレート化を強化するため柿タンニンとともに錯化作用を高める働きがある。
【0018】
化粧品添加物であるラビゾール(日油株式会社製)は、金属表面を浄化、洗浄する働きを有し、金属酸化物の錆が剥離した表面に付着し再酸化を防止する。またキレスト=グルタミン酸4酢酸ソーダ(キレスト株式会社製)は、防錆効果を高める働きを有する。
【0019】
ミネラルイオン含有天然酵素液は、リンゴ酸、クエン酸ソーダおよび柿タンニンによる金属のキレート化に触媒として寄与する働きがある。ミネラルイオン含有天然酵素液として、パイナップル酵素果汁液による岩石成分抽出のイオン化ミネラルと加水分解酵素および転移酵素の他、脱硫黄、脱塩素、脱炭素、脱酸素などの酵素反応を発揮する多くの抽出成分を含んでいる。
【0020】
本発明のミネラルイオン含有天然酵素液について詳しく説明する。
【0021】
先ず、パイナップル酵素果汁液について説明する。
パイナップル酵素は、有機酸のイソ吉草酸、リンゴ酸、クエン酸、酪酸などとともにパイナップル果汁液中に含有することは公知である。パイナップル酵素は脱硫黄、脱塩素、脱炭素と多くの酸素成分を含んでおり、ミネラル成分を併含することにより、長期間安定状態の保持が可能である。パイナップル酵素の主要成分を「表1」に示す。
【0022】
【表1】


*パイナップル酵素は腐敗しやすいため、HSO、HPOを少量添加し酸性溶液となっている。
【0023】
次に、天然鉱石であるヒル石、医王石、麦飯石成分を「表2」に示す。
【表2】


および麦飯石の成分組成は、概して「表2」に示す混合粉末(1:1:1)を用いた。
【0024】
次に、本発明に用いたミネラルイオン含有天然酵素液のミネラル組成値は、概して「表3」に示すものを用いた。
【表3】

*:PH値0.5〜0.7は有機酸と少量の無機酸を含有するため、低い酸性表示値である。
【0025】
本発明のミネラルイオン含有天然酵素液の還元作用について説明する。
本発明は、前記した天然ミネラル鉱石の金属酸化物が、パイナップル酵素果汁に含有する有機酸に浸漬してイオン状態で抽出する際、生成する励起状態の新生(HO)が励起水素(H・)となり、周辺の水(HO)と結合し、プロトニウイオン(H

液に酵素成分とともに長時間安定状態を維持し続け含有される。
【0026】
本発明のミネラルイオン含有天然酵素液の復元作用は、抗酸化と同様この励起状活性水素(H・)の還元力の働きがあると考えられる。
一般的に励起状の活性水素とは、化学辞典編集委員会「化学大辞典」(共立出版株式会社)によれば、発生期状態の水素は原子状またはそれに近い状態にあり、化学反応を起こしやすくなっている水素を云うと記述されている。
本発明の励起状活性水素についても、原子状または原子状に近い状態であるが、水素ガス(H)化することなく、プロトニウムイオン(H)となっていると考えている。
【0027】
ミネラルイオン含有天然酵素液の還元性である励起水素もしくはプロトニウムイオン(H)の存在について金属銅(Cu)を用いた銅の溶解試験を実施して還元物質の存在を確認した。
銅の溶解は酸化反応を伴いつつイオン化し、青色の銅イオン液となることが知られている。試験は、希硫酸溶液単独では金属銅は溶解しないので、希硫酸溶液に少量の硝酸を添加した硝酸性硫酸溶液中に銅片を入れると、銅片が溶解して青色液になった。
次に、硝酸を添加した硝酸性硫酸溶液中に本発明のミネラルイオン含有天然酵素液を少量添加すると、銅片は溶解することなく、銅片を入れた溶液は無色のままであった。更にこの溶液に鉄片(クギ)を入れたところ、鉄片は錆が発生することなく金属光沢を持ち続けた。
このことは、ミネラルイオン含有天然酵素液組成中に、酸化を阻止する還元性能を有する励起状水素の存在を示す証拠であると考えている。
【0028】
本発明のミネラルイオン含有天然酵素液は、前記した励起状活性水素(H・)が還元反応に有効に働くものとの知見を基に錆び取り剤に応用した。
「表1」の天然鉱石の金属酸化物のミネラルイオン化について詳しく説明する。
一例として、MgOが浸出の際、酸性溶液により、ミネラルイオン化すると共に生成する励起状新生水と励起活性水素(H・)についての説明を式(1)、式(2)に示す。
酸性溶液として、パイナップル有機酸のイソ吉草酸〔(CH3)CHCHCOにより、MgOのイオン化とヒドロニウムイオン(H)生成。

周辺の水と結合してヒドロニウムイオンとなる。
式(1)で生成した励起水素(H・)は、文献〔国体物理VOI24(12)P1058(1989)〕で述べているように水素イオン(H)となり、周辺の水と結合してヒドロニウムイオン(H)となる。

【0029】
発明者らは、前記した基礎試験を基に、ミネラルイオン含有天然酵素液の還元性物質の励起水素(H・)について、捕捉剤DPPH(1,1Diphengl−2−piorylhydrazyl,max=517mn)ラジカルスペクトルのピーク減少を利用するESR(電子スピン共鳴)法をESR測定装置(JOEL製のJES−FE3XG Speotrometer)〔(株)ウォーターデザイン研究所(城西大学薬学部)〕により、更に詳しい測定を実施して、還元性物質が原子状の活性水素(H・)であることを確認した。
本発明の励起水素(ラジカル水素H・)の検出方法は、次の反応に基づきDPPHラジカルが還元性能を有するH・を捉えると、定量的に反応しDPPHラジカルピーク(517nm)が消失する原理を利用した検出方法である。
反応式を式「化1」およびSignal intensity(I)h2/h1図を「図1」に示す。
【0030】
【化3】

【0031】
本発明の錆び取り剤組成物の製造方法について説明する。
蒸留水または精製水を温度40〜50℃に保持しつつ、まずカリミョウバンを完全溶解した後、クエン酸ソーダを完全溶解し、温度50〜55℃に加温しつつ、リンゴ酸を完全溶解し、55〜65℃に保持しつつキレストおよび柿タンニンとラビゾールの夫々を順次完全溶解せしめ徐々に冷却する。冷却の後、ミネラルイオン含有天然酵素液と混合し溶解する。
夫々の添加溶解順序に変化があると、冷却後、結晶析出が起き、混成溶液の錆び取り剤組成物の成分含有量のバランスが乱れ錆び取り効果が低下する。
【0032】
本発明は、前述の如くリンゴ酸、クエン酸ソーダおよび柿タンニンの錯化作用の相乗効果ないし三乗効果を天然ミネラル酵素を添加することにより強化した混成溶液を特徴とした錆び取り剤組成物およびその製造方法を提供するものである。
ミネラルイオン含有天然酵素液の励起状活性水素(H・)による還元反応は複雑で単純なものではないが以下に示す錆び取り反応が推移するものと考えている。「化4」に示す。
【0033】
【化4】

即ち、3分子の鉄の錆び(Fe)は、活性水素の還元作用により、2分子のマグネタイト(Fe)に変化する際、鉄の錆び(Fe)の結晶が、結晶崩壊して剥離するため、ミネラルイオン含有天然酵素液の酵素反応との相乗効果により、錆びが除去されるものと推察している。
【0034】
本発明の混成溶液の錆び取り剤組成物の成分濃度について説明する。
蒸留水または精製水100重量部に対し、カリミョウバン3〜20重量部好ましくは10重量部、リンゴ酸0.5〜30重量部好ましくは20重量部、クエン酸ソーダ0.5〜20重量部好ましくは10重量部、タンニン酸1.0から10重量部好ましくは5重量部、キレスト5〜20重量部好ましくは15重量部、ラビゾール0.5〜5重量部好ましくは1.0重量部、ミネラルイオン含有天然酵素液0.01〜5重量部好ましくは0.2重量部からなる混成溶液濃度が好適である。混成溶液の錆び取り剤組成物の成分濃度が適正濃度範囲より低濃度の場合は、錆び取り効果が劣る。適正濃度範囲より高濃度となると混成溶液中に結晶析出が起き、錆び取り剤組成物の成分バランスが乱れ、錆び取り効果が低下する。
【0035】
本発明は、食品添加物の一例として有機酸のリンゴ酸、クエン酸ソーダおよび化粧品添加物の一例としてカリミョウバン、柿タンニン、キレスト、ラビゾールおよびミネラルイオン含有天然酵素液を用いたが、金属酸化物の錯化剤であれば混成溶液の組成分としては特に限定するものではない。
【0036】
本発明の錆び取り剤組成物の製造方法について説明する。
蒸留水または精製水を温度40〜50℃に保持しつつ、まずカリミョウバンを完全溶解した後、クエン酸ソーダを完全溶解し、温度50〜55℃に加温しつつ、リンゴ酸を完全溶解し、55〜65℃に保持しつつキレストおよび柿タンニンとラビゾールの夫々を順次完全溶解せしめ徐々に冷却する。冷却の後、ミネラルイオン含有天然酵素液と混合し溶解する。
夫々の添加溶解順序に変化があると、冷却後、結晶析出が起き、混成溶液の錆び取り剤組成物の成分含有量のバランスが乱れ錆び取り効果が低下する。
【発明の効果】
【0037】
本発明の化粧品添加物であるカリミョウバンや柿タンニンとともに食品添加物であるリンゴ酸、クエン酸ソーダおよびミネラルイオン含有天然酵素液等より成る混合溶液の錆び取り剤組成物は、長期間、組成分のバランスが乱れることなく、常温にて金属類の錆発生箇所に塗りつけるか錆片を錆び取り剤組成物の中に浸漬するか、錆が発生した槽の中に錆び取り剤組成物を投入するか、またはプラスチックやFRP等の錆の付着、汚れ箇所に塗り付けるか浸漬することにより、夫々総ての錆や汚れを短期間で安全かつ効率よく取り除くことを可能にし、さらに錆びを取り除いた金属面の再酸化防止が可能となり、併せて錆び取り剤組成物の後液の生分解性が高いので流水汚染の起きることがない等、産業に与える効果は多大である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】 本発明を実施するための最良の第1の形態のESR(電子スピン共鳴)Signal intensity(1)=h1/h2図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。なお、本実施例は本発明の一実施形態に過ぎず、なんら限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内で設計変更可能である。
【実施例1】
【0040】
まず、蒸留水ないし精製水100重量部を加熱装置で徐々に55℃ないし65℃まで加熱した後、カリミョウバン3〜20重量部の割合で添加、攪拌した後、食品添加物であるクエン酸ソーダ0.5〜20重量部ないしリンゴ酸0.5〜20重量部の割合で添加、攪拌し、次に加温装置を停止し所定温度である40℃ないし50℃に降下するまで放置して指定温度であることを確認後、攪拌と同時に化粧品添加物であるキレスト5〜20重量部、柿タンニン1.0〜10重量部ないしラビゾール0.5〜5重量部を添加し、所定温度55℃ないし65℃まで加温して所定時間放置後5℃ないし30℃まで冷却する。冷却後ミネラルイオン含有天然酵素液を0.01〜5重量部添加し混合溶解する。
【実施例2】
【0041】
好ましい混合比率は、蒸留水ないし精製水を加熱装置で徐々に60℃まで加熱した後、カリミョウバン10重量部の割合で添加して拡販した後、食品添加物であるクエン酸ソーダ10重量部ないしリンゴ酸20重量部の割合で添加、攪拌した後、攪拌させた状態で加温装置を停止し所定温度45℃になるまで放置後、化粧品添加物であるキレスト15重量部ないし柿タンニン5重量部およびラビゾール2重量部を添加後、徐々に60℃まで加熱装置で加熱し、10分間攪拌した後、加熱装置を停止し5℃ないし30℃まで冷却した上でミネラルイオン含有天然酵素液0.2重量部を添加、混合し完全溶解して混合溶液の錆び取り剤組成物を得る。
【実施例3】
【0042】
本発明では、本発明が対象とする錆発生の金属の一例として、鉄、アルミニウム、ステンレス、銅、炭素鋼等の金属類を想定している。
また、プラスチックないしFRP製品の金属接触部の金属から発生する錆の汚れおよびプラスチックないしFRPの汚れを想定している。
以下、鉄、アルミニウム、ステンレス、銅、炭素鋼等の金属類から発生している錆を最良に取り去る方法の一例を説明し、「実施例3」として錆びの除去評価の一例を説明する。
「実施例2」で得た混成溶液の錆び取り剤組成物3.0lの中に、錆びの発生した鉄片(50mm×50mm×2mm厚)、鉄錆が付着したプラスチック片(50mm×50mm×2mm厚)およびFRP片(50mm×50mm×2mm厚)等を夫々浸漬し、錆び取り試験を実施した。結果を「表4」に示した。
【実施例4】
【0043】
「実施例2」に準じ、ミネラルイオン含有天然酵素液の添加を省略した混合溶液の錆び取り剤組成物を得た。該混合溶液の錆び取り剤組成物3.0lの中に、「実施例3」と同様の鉄錆付着片を浸漬し、錆び取り試験を実施した。結果を「表4」に示す。
【0044】
比較例として、単独溶液としてカリミョウバン10重量部、クエン酸ソーダ10重量部、リンゴ酸20重量部および柿タンニン5重量部を夫々溶解して得た比較試験液1.0lの中に錆付着片として「実施例3」で用いた鉄片とFRP片を浸漬し、錆び取り比較試験を実施した結果を「表4」に併記する。
【0045】
「実施例3」による本発明の錆び取り試験の結果、鉄片に発生した錆は浸漬時間8分以内で完全に除去された。また炭素鋼板やFRPに付着した錆の汚れは、浸漬時間5分以内の短時間で完全に除去されることを確認した。
しかし、ミネラルイオン含有天然酵素液無添加の場合、錆び取りの浸漬時間は、30分以上を要した。
比較例としたカリミョウバン、クエン酸ソーダ、リンゴ酸、柿タンニンの夫々の単独溶液による錆び取り時間は、いずれも30分以上を必要とする長時間を要した。
【0046】
【表4】

【実施例5】
【0047】
「実施例2」に従い、精製水100重量部、カリミョウバン5重量部、クエン酸ソーダ5重量部、リンゴ酸10重量部、キレスト7重量部、柿タンニン2.5重量部、ラビゾール1.0重量部、ミネラルイオン含有天然酵素液0.2重量部を混合して完全に溶解し、混合溶液を得た。かくして得た錆び取り剤の低濃度混合溶解液3.0lの中に「実施例3」と同様の錆の発生した金属片、FRP片、プラスチック片を夫々浸漬した。結果を「表5」に示す。
【0048】
【表5】

「表5」の結果、錆び取り剤の混成溶解濃度が低濃度の場合、完全な錆び取りには30分ないし60分以上の長時間の浸漬が必要となることを確認した。
【実施例6】
【0049】
錆の再発生の状況は、([実施例2])で得た混成溶液の錆び取り剤組成物3.0lをポリタンク槽に入れ、錆の発生した鉄片、アルミ板、炭素鋼板、FRP板、プラスチック板(夫々50mm×50mm×2mm)を8分間浸漬させて、引き上げて布で拭き取り、雨の当たらない一般保管場所に保管したところ、1ケ月以上錆の発生がないことを「表6」において確認された。
【0050】
【表6】

【実施例7】
【0051】
本実施例は、化粧品添加物ないし食品添加物を添加した水溶性錆び取り剤の一例として、刺激臭ないし手あれ及び肌あれについての状況を説明する。
本発明で使用する化粧品添加物は、化粧水ないし体臭消臭剤等の直接皮膚に使用されても問題のない化粧品業界では広く使用されている添加物であり、また本発明で使用する食品添加物も全て各種食品及び健康食品等に広く使用されている物質であることから、刺激臭、臭気、手あれ肌あれ、不快感、塩素ガス発生等の害は発生しないことを確認している。
【0052】
なお、「実施例2」で得た混合溶液の錆び取り剤組成物を用いた「実施例3」の使用中の刺激臭、臭気、不快感、手あれ肌あれ、塩素ガス発生、金属変色等の状況を「表7」により確認された。
【表7】

【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、刺激臭、手あれ、臭気、塩素ガス発生、不快感、金属変色のない安全性の高い錆び取り剤であり、また、錆びがキレート化後、防錆効果があり再酸化が著しく遅い為、各種金型、鉄鋼板、アルミ板、炭素鋼板の錆び発生箇所及び建築物や橋の塗装塗り替え時の錆び取り、船舶の塗装前の錆び取り乃至車両の錆び取り等、幅広い用途に利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
「図1」に基づく符号
(1)DPPH(1−1−Dipheyl−2−picryLhydeazyl,λmax=517nm)フリーラジカル
(2)H・(励起状活性水素)
(3)DPPH−H DPPHフリーラジカルのN部に、H・が捕捉されDPPH−Hが生成された分子構造式。
(A)ESRDPPH Signal(h1)
(B)ESRDPPH−H Signal(h2)
(h2/h1<1):ESR Signal intensity(I)
(H・捕捉によりSignal intensity(I)は1以下となる。)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンゴ酸、クエン酸ソーダ、柿タンニン、カリミョウバン、キレスト、ラビゾールおよびミネラルイオン含有天然酵素液から成る混成溶液を特徴とする錆び取り剤組成物およびその製造方法。
【請求項2】
蒸留水または精製水100重量部、リンゴ酸0.5〜30重量部、クエン酸ソーダ0.5〜20重量部、柿タンニン1.0〜10重量部、カリミョウバン3〜20重量部、キレスト5〜20重量部、ラビゾール0.5〜5重量%部、ミネラルイオン含有天然酵素液0.01〜5重量部から成る混成液を特徴とする錆び取り剤組成物。
【請求項3】
ミネラルイオン含有天然酵素液が、パイナップル酵素果汁液に天然鉱石のヒル石、麦飯石、医王石、ゼオライトを単独ないし複数浸漬して得るカルシウム、珪素、亜鉛、アルミニウム、カリウム等のミネラルイオンを含有して成る混成液を特徴とする「請求項1」および「請求項2」に記載する錆び取り剤。
【請求項4】
蒸留水または精製水を温度55〜65℃に保持しつつ、カリミョウバン、クエン酸ソーダ、リンゴ酸、キレスト、柿タンニン、ラビゾールの夫々を順次加え、完全溶解させた後、冷却してミネラルイオン含有天然酵素液と混成することを特徴とする「請求項1」および「請求項2」に記載する錆び取り剤の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−126875(P2012−126875A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294730(P2010−294730)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(508323562)
【Fターム(参考)】