説明

錠剤および錠剤製造方法

【課題】従来の錠剤と比較して少ない錠数で、一日当たりの有効量を摂取可能な錠剤およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】ユーグレナに添加する賦形剤を麦芽糖Aとし、麦芽糖Aとユーグレナとを結合するバインダーを4%溶液のα澱粉とすることで、従来の錠剤よりも高い硬度を実現するユーグレナ錠剤が製造できた。よって、ユーグレナ錠剤を従来の錠剤と比較して大型化することができ、ユーグレナ錠剤1粒あたりの分量を250mg(麦芽糖A:53.3%,ユーグレナ46.7%)とすることができた。従って、一日の最低摂取量である700mgを実現する場合、一日当たりの摂取量を6粒で抑えることができ、結果、従来の錠剤と比較して少ない錠数で一日当たりの有効量を摂取することが可能となった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤および錠剤製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
若年あるいは青年の過激なダイエット等により、栄養不足が発生すると、脳内物質の生成に必要な栄養素の不足が発生する。すると、脳内物質のバランスが乱れ易く、結果、心の不調を来たすことが知られている。また、食生活の乱れに起因する偏食により、高カロリーの食品ばかりを摂取すると、総コレステロール値上昇等により体調不良を来たすことが知られている。
【0003】
このような背景がある中、栄養不足を解消する或いは体調不良を改善する素材として、単細胞真核藻類が注目を浴びている。この単細胞真核藻類としては、例えばユーグレナ(Euglena)が知られている。このユーグレナは、動物学と植物学との双方に分類される生物であり、動物学上では鞭毛虫綱に分類され、植物学上ではミドリムシ藻類綱に属するミドリムシ目の微生物に分類される。
【0004】
ユーグレナは、人間が生活するのに必要な栄養素であるビタミン類や脂肪酸等を豊富に含み、またパラミロン(β−1,3−グルカン)等のユーグレナ特有の天然物質を含むことから、食品としての利用が進んでいる。このユーグレナを利用した食品としては、錠剤形態としての販売が一般的となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−62337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、ユーグレナを摂取して栄養不足解消や体調不良改善効果を得るためには、700mg〜1000mg/日の分量でユーグレナを摂取する必要があることが知られている(つまり、一日の有効量700mg〜1000mg)。これを、ユーグレナを利用した錠剤形式の従来食品で摂取するためには、多くの粒数(ある商品の説明によると、10〜15粒/日もの数)を摂取する必要があり、非常に煩わしい。
【0007】
これは、ユーグレナに代表される単細胞真核藻類を含有する従来の錠剤では、硬度を高くすることができず(硬度約1.2kgf程度であるため)、錠剤を小さくしなければならないことがその理由である。このように、従来の錠剤では、錠剤を大型化することができない。結果、従来の錠剤では、有効量700mg〜1000mg/日を実現するためには、大量の錠数を摂取しなければならないといった問題点があった。
【0008】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、従来の錠剤と比較して少ない錠数で、一日当たりの有効量を摂取可能な錠剤およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、湿式打錠法により打錠された請求項1記載の錠剤は、単細胞真核藻類と麦芽糖とを混合含有している。
【0010】
また、請求項2記載の錠剤は、請求項1記載の錠剤において、前記単細胞真核藻類は、ユーグレナである。
【0011】
また、請求項3記載の錠剤は、請求項1または2に記載の錠剤において、前記麦芽糖は、澱粉を糖化して濃縮した後、結晶化したものを粉砕することで生成されたものである。
【0012】
また、請求項4記載の錠剤は、請求項2または3に記載の錠剤において、前記単細胞真核藻類と麦芽糖とを結合する結合剤として、α澱粉を含有する。
【0013】
また、請求項5記載の錠剤は、請求項4記載の錠剤において、前記結合剤は、更に、オリゴ糖を含有する。
【0014】
また、請求項6記載の錠剤は、請求項2から5のいずれかに記載の錠剤において、トリプトファン、ビタミンB6、ナイアシン、鉄酵母、亜鉛酵母または有胞子性乳酸菌の少なくとも一つを更に含む。
【0015】
また、請求項7記載の錠剤は、請求項2から5のいずれかに記載の錠剤において、イチョウ葉抽出物、鹿角霊芝、黒胡椒抽出物または有胞子性乳酸菌の少なくとも一つを更に含む。
【0016】
加えて、請求項8記載の錠剤製造方法は、単細胞真核藻類と麦芽糖とを混合すると共に、その混合物へ、溶液を噴霧して前記混合物を造粒する造粒工程と、その造粒工程により造粒された混合物を打錠する打錠工程とを含む。
【0017】
また、請求項9記載の錠剤製造方法は、請求項8記載の錠剤製造方法において、前記単細胞真核藻類は、ユーグレナであり、前記麦芽糖は、澱粉を糖化して濃縮した後、結晶化したものを粉砕することで生成されたものであり、前記造粒工程で噴霧する前記溶液は、α澱粉溶液である。
【0018】
また、請求項10記載の錠剤製造方法は、請求項9記載の錠剤製造方法において、前記造粒工程で噴霧する溶液は、更に、オリゴ糖を含有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の錠剤によれば、単細胞真核藻類と麦芽糖とを含有しているので、湿式打錠法による打錠によって製造される錠剤の硬度を、従来の錠剤と比較して高くすることができる。よって、錠剤を大型化することができ、結果、一日当たりの有効量を従来の錠剤と比較して少ない錠数で摂取することができるという効果がある。
【0020】
また、本発明の錠剤によれば、単細胞真核藻類と麦芽糖とを結合する結合剤として、α澱粉を含有しているので、結合剤を用いない場合と比較して、錠剤の硬度を更に高めることができる。よって、錠剤を更に大型化することができ、結果、一日当たりの有効量を更に少ない錠数で摂取することができるという効果がある。
【0021】
加えて、本発明の錠剤によれば、α澱粉に加えてオリゴ糖を結合剤に含有しているので、錠剤をより更に大型化することができ、結果、一日当たりの有効量をより更に少ない錠数で摂取することができるという効果がある。
【0022】
また、本発明の錠剤製造方法によれば、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、後述する実施形態の記載によって限定して解釈されるものではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0024】
本発明の「単細胞真核藻類」とは、単細胞の真核生物であって酸素発生型の光合成を行う植物を示しており、例えば、ユーグレナ属、クロレラ属、ボツリオコッカス属、クラミドモナス属、ヘマトコッカス属、クロロコッカス属などが含まれる。
【0025】
本発明の「ユーグレナ」とは、動物学や植物学の分類でユーグレナ属(Euglena)に分類される植物、その変種およびその変異種のすべてを示している。ここで、ユーグレナ属(Euglena)の微生物は、動物学では、原生動物門(Protozoa)の鞭毛虫綱(Mastigophorea)、植物鞭毛虫亜綱(Phytomastigophorea)のミドリムシ目(Euglenida)のユーグレノイディナ亜目(Euglenoidina)に属する。一方、ユーグレナ属の微生物は、植物学では、ミドリムシ植物門(Euglenophyta)のミドリムシ藻類綱(Euglenophyceae)のミドリムシ目(Euglenales)に属する。
【0026】
ユーグレナ属の微生物としては、具体的には、Euglena acus、Euglena caudata、Euglena chadefaudii、Euglena deses、Euglena gracilis、Euglena granulata、Euglena intermedia、Euglena mutabilis、Euglena oxyuris、Euglena proxima、Euglena spirogyra、Euglena viridis、Euglena vermiformisなどを例示することができる。このうち特に、ユーグレナ グラシリス(Euglena gracilis)が好適である。
【0027】
ユーグレナは、Cramer−Myers培地、Hutner培地、Koren−Hutner培地を用いて培養することができる。培養容器には、三角フラスコ、試薬ビンなどを用いることができる。ユーグレナはCOを資化するため、1〜5%COを含む空気を培地中に通過させることが好ましい。また、葉緑体を十分に発達させるために、培地1リットルあたり1〜5g程度のリン酸アンモニウムを加えると良い。培養温度は、通常20〜34℃で、特に28〜30℃が好適である。
【0028】
ユーグレナは、光照射下で培養(明培養)されても良く、無照射で培養(暗培養)されても良い。明培養を行う場合の光の照度としては、Cramer−Myers培地などを用いた光独立栄養培養の場合は5000〜8000Lux程度が好ましく、Hutner培地やKoren−Hutner培地などを用いた光従属栄養培養では2000〜8000Lux程度が好ましい。また、光照射は、培養容器の全体に光が照射される条件であれば培養容器のいずれの方向から行っても良く、例えば上面と側面の両方から行うと良い。なお、暗培養を行う場合には、厚手の黒布で培養容器を覆うことで、培養容器内に光が入らないようにすると良い。
【0029】
本発明の「湿式打錠法」とは、混合対象を流動層造粒機へ投入し、この混合物へ、バインダー(液体)を噴霧して造粒し、その後、この造粒物を打錠機で打錠することで、錠剤を製造する方法を示している。
【0030】
本発明の「麦芽糖」とは、澱粉を糖化して濃縮した後、結晶化したものを粉砕することで生成されたものを示している。
【0031】
本発明の「錠剤」は、機能性食品として提供することができる。機能性食品とは、栄養(エネルギー)以外の何らかの生理作用を有する成分を利用した加工食品を示し、サプリメントなどとして提供される。本錠剤を機能性食品とする場合には、単細胞真核藻類および麦芽糖の他に、本錠剤内に、次の成分を更に含有してもよい。例えば、トリプトファン、ビタミンB6、ナイアシン、鉄酵母、亜鉛酵母または有胞子性乳酸菌の少なくとも一つを含有しても良いし、イチョウ葉抽出物、鹿角霊芝、黒胡椒抽出物または有胞子性乳酸菌の少なくとも一つを含有しても良い。また、これらの成分に加え、ビタミンA、ビタミンB1,B2,B12、ビタミンC、ビタミンE等のビタミン類、鉄、銅、亜鉛、クロム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、ヨウ素等のミネラル類、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、リジン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、チロシン、フェニルアラニン等のアミノ酸類、ブルーベリー、クランベリー、エキナセア、ローズヒップ、キャッツクロー、マカ、バレリアン、ビルベリー、ターメリック、ルテイン、マリアアザミ等のハーブ類を含有しても良いし、その他にも、松樹皮抽出物、ジャガイモ抽出物、葛の花抽出物、チャ抽出物、チャの花抽出物、大豆抽出物、キャベツ粉末、タマネギ粉末、青汁素材(大麦若葉、甘藷若葉、アシタバ、ヨモギ、ケール等の緑葉)等の健康食品用素材を含有しても良い。
【0032】
なお、イチョウ葉抽出物および黒胡椒抽出物の抽出処理に用いる抽出溶媒としては、特に制限がないが、食品工業用に使用可能なものが好ましく、常温あるいは加温された水、エタノール等のアルコール類など比較的極性の高い溶媒を例示することができる。また、これら抽出物に、必要に応じて、脱臭、脱色等の処理、クロマトグラフィー等による分離・分画処理などの精製処理、濃縮化処理、ペースト化処理、乾燥化処理、希釈化処理等の後処理を施すこともできる。
【実施例】
【0033】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、後述の実施例に限定して解釈すべきではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0034】
本実施例では、まず、ユーグレナ(株式会社ユーグレナ製)に添加する賦形剤を選定し、次に、ユーグレナと賦形剤とを結合するバインダー(結合剤)を選定した。そして、選定した賦形剤(粉末)とユーグレナ(粉末)とを流動層造粒機へ投入し、これらの混合物へ、選定したバインダー(液体)を噴霧して造粒を行った。その後、この造粒物を打錠機で打錠することで、従来の錠剤よりも高い硬度を実現するユーグレナ錠剤を製造した。また、打錠機の本圧杵幅は1.9mm,2.2mm,2.5mmの3種類を用いた。
【0035】
最初に、賦形剤の選定について説明する。賦形剤の選定方法は次の通りである。まず、表1に示す各賦形剤(粉末)とユーグレナ(粉末)とを、70%エタノール溶液を用いて混合し、次に、それらの混合物、即ち、造粒物を、打錠機で打錠して中間錠剤を製造する。そして、中間錠剤の硬度をそれぞれ測定することで、最も高い硬度を実現した賦形剤を見つけ、これをユーグレナ錠剤の製造に使用する賦形剤として選定した。なお、ユーグレナと賦形剤との混合割合は、ユーグレナを46.7%とし、賦形剤を53.3%とした。
【0036】
(表1)

【0037】
上述の賦形剤選定方法により製造された中間錠剤の硬度測定結果を、表2に示す。表2から分かるように、打錠に使用した本圧杵幅がいずれであっても、試料番号1の麦芽糖Aを賦形剤に用いた場合が、他の賦形剤を用いた場合と比較して、中間錠剤の硬度が最も高くなる結果となった。この結果から、ユーグレナ錠剤の製造に使用する賦形剤を、麦芽糖Aに選定した。
【0038】
なお、中間錠剤を製造する際の打錠方法は、湿式打錠法の他に、直接打錠法(造粒物を製造することなく、賦形剤(粉末)とユーグレナ(粉末)とを単に混ぜた後に打錠する方法)があるが、直接打錠法では中間錠剤の硬度が低く、成形が困難となる結果となった。
【0039】
(表2)

【0040】
次に、バインダーの選定について説明する。バインダーの選定方法は、次の通りである。まず、表3に示す試料番号1〜10の各溶液について、粘度(MPa・S)およびべたつき感とを測定する。そして、粘度およびべたつき感が最も高い試料を見つけ、これをユーグレナ錠剤の製造に使用するバインダーとして選定した。なお、表3に示す試料番号1〜9(表1に示す試料番号1〜9と同一試料)の各溶液については30%溶液とし、表3に示す試料番号10の各溶液については4%溶液とした。
【0041】
(表3)

【0042】
試料番号1〜10の各溶液の粘度(MPa・S)とべたつき感との結果を、表4に示す。なお、べたつき感については、試験者の手触りによる感覚を1〜3の3段階で表しており、最もべたつきがないもの(さらさらなもの)を1と表し、最もべたつきのあるものを3と表し、中程度のべたつきのものを2と表した。
【0043】
表4から分かるように、試料番号10のα澱粉溶液が、他の溶液を用いた場合と比較して、粘度およびべたつき感が最も高くなる結果となった。ここで、溶液の粘度およびべたつき感が高くなれば、湿式打錠後の錠剤硬度が高くなることが既知となっている。よって、ユーグレナ錠剤の製造に使用するバインダーを、α澱粉に選定した。
【0044】
(表4)

【0045】
最後に、選定した賦形剤(試験試料1の麦芽糖A)およびバインダー(試験試料10のα澱粉)を用いたユーグレナ錠剤の製造方法と、そのユーグレナ錠剤の硬度について説明する。ユーグレナ錠剤の製造方法は次の通りである。まず、麦芽糖A(粉末)とユーグレナ(粉末)とを、麦芽糖Aを46.7%、ユーグレナを53.3%の割合で、流動層造粒機へ投入する。次に、4%溶液のα澱粉と20%溶液のオリゴ糖(試料番号8)とを混合した混合溶液(分量は、麦芽糖Aおよびユーグレナの合計質量の30%)を、麦芽糖Aとユーグレナとの混合粉末へ噴霧して、造粒を行う。その後、この造粒物を打錠機で打錠することで、ユーグレナ錠剤を製造した。なお、混合溶液には、バインダーに選定したα澱粉に加え、オリゴ糖を用いている。これは、表4に示す通り、オリゴ糖溶液のべたつき感が高かったため、麦芽糖Aの粘度およびべたつき感を更に増すために入れたものである。
【0046】
このようにして製造されたユーグレナ錠剤の硬度を、表5に示す。表5に示す通り、打錠に使用した本圧杵幅がいずれであっても、ユーグレナ錠剤の硬度は、6.9kgf以上となり、その平均値は、7.4kgfとなった。この平均値は、従来商品の錠剤の硬度(約1.2kgf)と比較すると、約6.2倍の硬度となっている。このように、ユーグレナに添加する賦形剤を麦芽糖Aとし、麦芽糖Aとユーグレナとを結合するバインダーを4%溶液のα澱粉とすることで、従来の錠剤よりも高い硬度を実現するユーグレナ錠剤が製造可能となった。よって、ユーグレナ錠剤を従来の錠剤と比較して大型化することができ、ユーグレナ錠剤1粒あたりの分量を250mg(麦芽糖A:53.3%,ユーグレナ46.7%)とすることができた。従って、一日の最低摂取量である700mgを実現する場合、一日当たりの摂取量を6粒で抑えることができ、結果、従来の錠剤と比較して少ない錠数で一日当たりの有効量を摂取することが可能となった。
【0047】
(表5)

【0048】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0049】
例えば、上述の実施例では、バインダーとして4%溶液のα澱粉を用いたが、これに限られず、α澱粉の代わりにエタノールや水を、麦芽糖A(粉末)とユーグレナ(粉末)との混合物に噴霧することで、ユーグレナ錠剤を製造しても良い。この場合には、エタノールの分量を、麦芽糖Aおよびユーグレナの合計質量の70%とすれば良い。これによっても、ユーグレナ錠剤を製造することができる。
【0050】
また、上述の実施例では、麦芽糖A(粉末)とユーグレナ(粉末)とを流動層造粒機へ投入し、次に、α澱粉とオリゴ糖とを混合した混合溶液を、麦芽糖Aとユーグレナとの混合粉末へ噴霧して造粒を行ったが、これに限られるものではない。即ち、麦芽糖A(粉末)およびユーグレナ(粉末)に加え、α澱粉(粉末)を流動層造粒機へ投入し、その後、それらの混合物へエタノールや水等を噴霧して造粒を行っても良い。
【0051】
更に、上述の実施例では、流動層造粒機へ投入する麦芽糖Aおよびユーグレナは粉末であったが、これに限られるものではなく、投入する麦芽糖Aおよびユーグレナに水やエタノール等を予め含有させておいても良い。
【0052】
なお、ユーグレナ錠剤の硬度が、7.4kgf未満(平均値)で良ければ、賦形剤である麦芽糖Aおよびバインダーであるα澱粉を使用することなく、更には、オリゴ糖も使用することなく、ユーグレナ錠剤を製造することができる。この場合には、ユーグレナの他に、トリプトファン、ビタミンB6、ナイアシン、鉄酵母、亜鉛酵母または有胞子性乳酸菌の少なくとも一つを含有しても良いし、イチョウ葉抽出物、鹿角霊芝、黒胡椒抽出物または有胞子性乳酸菌の少なくとも一つを含有しても良い。
【0053】
ここで、ユーグレナ、トリプトファン、ビタミンB6、ナイアシン、鉄酵母、亜鉛酵母および有胞子性乳酸菌の7成分を配合した錠剤の場合には、鬱病に代表される心の不調を改善する機能を発揮することができる。これは、トリプトファンが、神経伝達物質であるセロトニンの原料となる物質であり、ビタミンB6およびナイアシンが、神経伝達物質の生成に必要な補酵素となる物質であることに加え、鉄酵母および亜鉛酵母が、心の不調と関係する鉄欠乏症および亜鉛欠乏症を予防する物質となるからである。なお、7成分を配合した錠剤の場合には、ユーグレナ、トリプトファン、ビタミンB6、ナイアシン、鉄酵母、亜鉛酵母、有胞子性乳酸菌およびその他(例えば、セルロース)の各割合を、46.7%,3.4%,0.07%,0.74%,3.0%,1.4%,2.0%,42.69%とすれば良い。
【0054】
また、ユーグレナ、イチョウ葉抽出物、鹿角霊芝、黒胡椒抽出物および有胞子性乳酸菌の5成分を配合した錠剤の場合には、栄養不足を効果的に解消する機能を発揮する。これは、イチョウ葉抽出物が、血流を改善する物質であり、鹿角霊芝が、細胞の免疫力を高める物質であることに加え、黒胡椒抽出物が、種々の栄養素の吸収を高める物質であり、有胞子性乳酸菌が、腸内環境を整えると共に栄養素の消化・吸収を高める物質となるからである。なお、5成分を配合した錠剤の場合には、ユーグレナ、イチョウ葉抽出物、鹿角霊芝、黒胡椒抽出物および有胞子性乳酸菌およびその他(例えば、パラチノース)の各割合を、46.7%,2.0%,1.0%,0.34%,2.0%,47.96%とすれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、従来の錠剤と比較して少ない錠数で、一日当たりの有効量を摂取可能な錠剤およびその製造方法として利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単細胞真核藻類と麦芽糖とを混合含有する湿式打錠法により打錠された錠剤。
【請求項2】
前記単細胞真核藻類は、ユーグレナであることを特徴とする請求項1記載の錠剤。
【請求項3】
前記麦芽糖は、澱粉を糖化して濃縮した後、結晶化したものを粉砕することで生成されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の錠剤。
【請求項4】
前記単細胞真核藻類と麦芽糖とを結合する結合剤として、α澱粉を含有することを特徴とする請求項2または3に記載の錠剤。
【請求項5】
前記結合剤は、更に、オリゴ糖を含有することを特徴とする請求項4記載の錠剤。
【請求項6】
トリプトファン、ビタミンB6、ナイアシン、鉄酵母、亜鉛酵母または有胞子性乳酸菌の少なくとも一つを更に含むことを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の錠剤。
【請求項7】
イチョウ葉抽出物、鹿角霊芝、黒胡椒抽出物または有胞子性乳酸菌の少なくとも一つを更に含むことを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の錠剤。
【請求項8】
単細胞真核藻類と麦芽糖とを混合すると共に、その混合物へ、溶液を噴霧して前記混合物を造粒する造粒工程と、
その造粒工程により造粒された混合物を打錠する打錠工程とを含むことを特徴とする錠剤製造方法。
【請求項9】
前記単細胞真核藻類は、ユーグレナであり、
前記麦芽糖は、澱粉を糖化して濃縮した後、結晶化したものを粉砕することで生成されたものであり、
前記造粒工程で噴霧する溶液は、α澱粉溶液であることを特徴とする請求項8記載の錠剤製造方法。
【請求項10】
前記造粒工程で噴霧する溶液は、更に、オリゴ糖を含有することを特徴とする請求項9記載の錠剤製造方法。


【公開番号】特開2011−178700(P2011−178700A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43224(P2010−43224)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(398028503)株式会社東洋新薬 (182)
【Fターム(参考)】