説明

錠剤及びその製造方法

【課題】崩壊性と溶出性を満足させる水難溶性非ステロイド抗炎症剤を含有する錠剤を提供する。
【解決手段】(A)水難溶性非ステロイド抗炎症剤と、
(B)凝固点30℃以上でHLBが9以上のショ糖脂肪酸エステルと、
(C)軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素及びフマル酸ステアリルナトリウムから選ばれる化合物と、
(D)結晶セルロース、ケイ化結晶セルロース及び粉末セルロースから選ばれる化合物と、
(E)崩壊剤とを含有し、(B)/(A)で表される(A)成分と(B)成分との含有質量比が0.03〜0.4である錠剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶出性及び崩壊性に優れた錠剤及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
イブプロフェン等のプロピオン酸系非ステロイド抗炎症(NSAIDs)や、エトドラク等のピラノ酢酸系非ステロイド抗炎症剤は、優れた消炎、鎮痛及び解熱作用を有し、副作用が比較的少ないことから鎮痛・解熱剤及び感冒薬の成分として広く使用されている。これらの薬物を含有する錠剤が速やかに薬効を発揮するためには、胃内で錠剤が速やかに崩壊し、その後有効成分が速やかに溶出(溶解)されなければならない。しかしながら、水難溶性のプロピオン酸系非ステロイド抗炎症剤やピラノ酢酸系非ステロイド抗炎症剤は、速やかな崩壊及び溶出(溶解)が進行せず、速効性を発揮しにくいという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭56−110612号公報
【特許文献2】特表2003−516341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
難溶性薬物の崩壊性、溶出性に関する課題を解決する目的として、従来から種々の技術が検討されている。例えば、特開昭56−110612号公報には、難溶性薬物を、ポリビニルピロリドンやヒドロキシプロピルセルロース等と(あるいはさらに界面活性剤と)配合し、流動層造粒法により造粒した圧縮成型物が開示され、スプレードライ法やその他湿式造粒法を用いた圧縮成型物に比べて、優れた崩壊・溶出性を示した旨が記載されている。しかしながら、詳細なメカニズムは不明であるが、我々の検討においては、水難溶性非ステロイド抗炎症剤に限っては、ヒドロキシプロピルセルロース等の汎用の結合剤液を用いて流動層造粒や他の湿式造粒を行うと、造粒粒子の溶出性は向上するものの、その前段階である錠剤の崩壊性が著しく低下し、速効性を発揮できないことが分かった。
【0005】
また、特表2003−516341号公報には、イブプロフェンを溶融し、崩壊剤や界面活性剤を配合し、固化することで溶出性を改善する方法が開示されている。しかしながら、イブプロフェンを溶融した状態で界面活性剤を添加した顆粒を用いた場合にも、崩壊性は顕著に遅延することが判明した。
【0006】
以上のように、従来の技術では崩壊性と溶出性を満足させる、水難溶性非ステロイド抗炎症剤を含有する錠剤を調製するのは困難であった。本発明は上記事情に鑑みなされたもので、崩壊性と溶出性を満足させる水難溶性非ステロイド抗炎症剤を含有する錠剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、(A)水難溶性非ステロイド抗炎症剤と、(B)凝固点30℃以上でHLBが9以上のショ糖脂肪酸エステルと、(C)軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素及びフマル酸ステアリルナトリウムから選ばれる化合物と、(D)結晶セルロース、ケイ化結晶セルロース及び粉末セルロースから選ばれる化合物と、(E)崩壊剤とを含有し、(B)/(A)で表される(A)成分と(B)成分との含有質量比が0.03〜0.4とすることで、崩壊性と溶出性とを両立できることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0008】
従って、本発明は下記錠剤及び錠剤の製造方法を提供する。
[1].(A)水難溶性非ステロイド抗炎症剤と、
(B)凝固点30℃以上でHLBが9以上のショ糖脂肪酸エステルと、
(C)軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素及びフマル酸ステアリルナトリウムから選ばれる化合物と、
(D)結晶セルロース、ケイ化結晶セルロース及び粉末セルロースから選ばれる化合物と、
(E)崩壊剤とを含有し、(B)/(A)で表される(A)成分と(B)成分との含有質量比が0.03〜0.4である錠剤。
[2].(A)成分が、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン及びエトドラクから選ばれる抗炎症剤である[1]記載の錠剤。
[3].(B)成分が、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル及びショ糖ミリスチン酸エステルから選ばれるショ糖脂肪酸エステルである[1]又は[2]記載の錠剤。
[4].(A)成分の平均粒子径が、25μm以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の錠剤。
[5].(A)成分が、セルロース賦形剤と共に共粉砕することにより得られた共粉砕物であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の錠剤。
[6].セルロース賦形剤が、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ化結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びメチルセルロースから選ばれる賦形剤であることを特徴とする[5]記載の錠剤。
[7].(E)成分が、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチナトリウム及びカルメロースカルシウムから選ばれる崩壊剤である[1]〜[6]のいずれかに記載の錠剤。
[8].予め(A)成分と(B)成分とを乾式混合し、得られた乾式混合物に(C)〜(E)成分を配合して混合し、この混合物が打錠された錠剤である[1]〜[7]のいずれかに記載の錠剤。
[9].予め(A)成分と(B)成分とを乾式混合し、得られた乾式混合物に(C)〜(E)成分を配合して、乾式造粒した後、この乾式造粒物が打錠された錠剤である[1]〜[7]いずれかに記載の錠剤。
[10].予め(A)成分と(B)成分とを、溶融造粒、湿式造粒又は共粉砕した後、得られたものに、(C)〜(E)成分を配合して、乾式造粒した後、この乾式造粒物が打錠された錠剤である[1]〜[7]のいずれかに記載の錠剤。
[11].予め(A)成分と(B)成分とを乾式混合し、得られた乾式混合物に(C)〜(E)成分を配合して混合し、この混合物を打錠することを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載の錠剤の製造方法。
[12].予め(A)成分と(B)成分とを乾式混合し、得られた乾式混合物に(C)〜(E)成分を配合して、乾式造粒した後、この乾式造粒物を打錠することを特徴とする[1]〜[7]及び[9]のいずれかに記載の錠剤の製造方法。
[13].予め(A)成分と(B)成分とを、溶融造粒、湿式造粒又は共粉砕した後、得られたものに、(C)〜(E)成分を配合して、乾式造粒した後、この乾式造粒物を打錠することを特徴とする[1]〜[7]及び[10]のいずれかに記載の錠剤の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、崩壊性と溶出性を満足させるプロピオン酸系非ステロイド抗炎症剤を含有する錠剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の錠剤は、(A)水難溶性非ステロイド抗炎症剤と、(B)凝固点30℃以上でHLBが9以上のショ糖脂肪酸エステルと、(C)軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素及びフマル酸ステアリルナトリウムから選ばれる化合物と、(D)結晶セルロース、ケイ化結晶セルロース及び粉末セルロースから選ばれる化合物と、(E)崩壊剤とを含有し、(B)/(A)で表される(A)成分と(B)成分との含有質量比が0.03〜0.4である錠剤である。
【0011】
(A)水難溶性非ステロイド抗炎症剤
水難溶性非ステロイド抗炎症剤としては、イブプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン及びピロキシカム等のプロピオン酸系非ステロイド抗炎症剤、エトドラク等のピラノ酢酸系非ステロイド抗炎症剤等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。これらの成分は、優れた消炎、鎮痛、解熱作用を有するものである。中でも、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、エトドラクが好ましく、イブプロフェンがより好ましい。本発明は、水難溶性の薬物の溶出性を向上させることができるため、20℃の水に対する溶解度が0〜30mg/mL、0〜10mg/mLの薬物であっても、高い溶出性を得ることができる。
【0012】
(A)成分の平均粒子径は特に制限はないが、粒子径が小さいほど好ましく、75μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましく、以下、25μm以下、20μm以下、15μm以下の順で特に好ましい。粒子径が細かくなることでより溶出性が改善される。(A)成分の粒子径は、例えば、ピンミルやジェットミル等の一般的な製造機器により調整することができる。粉砕は(A)成分単独でも、他の成分と共粉砕してもよい。なお、平均粒子径の測定方法は、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製 SALD−2200)にて測定し、個数%により割合を算出する。
【0013】
(A)成分は共粉砕物でもよく、共粉砕に用いる賦形剤は特に限定されないが、セルロース賦形剤が好ましく、セルロース賦形剤としては、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ化結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース等が挙げられる。後述する(D)成分は、(A)を共粉砕する際、一部を(A)成分との共粉砕時に配合してもよい。(A)成分との共粉砕に用いることができる(D)成分は(D)成分全体の50質量%以下が好ましい。
【0014】
(A)成分の含有量は、製造性に問題がない範囲で任意に設定できるが、製造性と崩壊性の観点から、1錠剤中10〜90質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、10〜45質量%がさらに好ましい。1錠中の(A)成分の含有量が10質量%未満だと、錠剤の崩壊性は優れるものの、錠剤が大型化し服用に困難をきたすおそれがある。また、1錠中の(A)成分の比率が高すぎると、(A)成分の種類によっては付着等の打錠障害を生じることがある。
【0015】
(B)凝固点30℃以上でHLBが9以上のショ糖脂肪酸エステル
凝固点30℃以上のショ糖脂肪酸エステルとしては特に限定されないが、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステルが挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。凝固点30℃以上のショ糖脂肪酸エステルを用いることで、製造上扱い易く、溶出性も向上する。中でも、ショ糖ステアリン酸エステルが好ましい。また、HLBは9以上のものを用いる。さらに11以上のものが好ましく、11を超えるものがより好ましく、13以上のものがさらに好ましい。なお、モノエステルの割合等でHLBは変わるが、HLBが高いものは崩壊性及び溶出性が向上する。なお、HLBの測定方法はグリフィン法であり、2種以上の場合はその平均値である。
【0016】
(B)成分の含有量は、特に限定されないが、1錠中0.01〜30質量%が好ましく、0.1〜25質量%がより好ましい。また、上限を20質量%以下とすると混合・造粒時の流動性がより良好となるため好ましく、前記観点から、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
【0017】
優れた崩壊性及び溶出性を両立する点から、(B)/(A)で表される、(A)成分と(B)成分との含有質量比は0.03〜0.4であり、0.03〜0.33が好ましく、0.04〜0.3がより好ましく、0.05〜0.25がさらに好ましく、0.07〜0.25が特に好ましい。(B)/(A)が0.03未満だと、溶出性が不十分となり、0.4を超えると崩壊性が低下し、それに伴い錠剤の溶出性も低下する。なお、(A)成分と(B)成分との合計含有量は、特に限定されないが、1錠中10〜70質量%が好ましく、35〜50質量%がより好ましい。
【0018】
本発明は、まず(A)成分と(B)成分とを併用することによって(A)成分の溶出性を改善するものである。しかし、意外にも、打錠により錠剤とした場合に、(A)成分単独の場合よりも錠剤崩壊性が遅延し、その結果、錠剤での(A)成分溶出性が悪くなることが判明した。このメカニズムは不明であるが、打錠により、(A)成分由来の結合力で錠剤が形成されたためと考えられる。本発明は、上記課題に対し、さらに、下記(C)及び(D)成分を使用して、錠剤での崩壊性遅延を防止し、溶解性と崩壊性が共に優れた錠剤が得られたものである。(C),(D)成分により崩壊性が向上するメカニズムは不明であるが、(C)親水性の滑沢剤が、(A)成分の表面を被覆することで、(A)成分同士の粒子間結合力の形成を抑制し、(D)高成形性の賦形剤を配合することで、上記(A)成分由来の結合力よりも、(D)成分由来の結合力が優先的に発揮されるためと予想される。
【0019】
(C)軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素及びフマル酸ステアリルナトリウムから選ばれる化合物
(C)成分は親水性の滑沢剤である。このような親水性の滑沢剤を用いることで、(A)成分の表面濡れ性が向上し、溶出性が向上する。また、(C)成分を用いることで、崩壊の遅延を抑制することもできる。このメカニズムは明らかではないが、これら(C)成分が(A)成分の表面に付着することにより(A)成分同士の粒子間結合力の形成を抑制するものと考えられる。さらに、これらの親水性の滑沢剤を用いることで(A)成分の物性に起因する付着やバインディング等の打錠障害も抑制できる。(C)成分は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができ、中でも、軽質無水ケイ酸が好ましい。
【0020】
(C)成分の含有量は、特に限定されないが、錠剤崩壊性と、粉体の取り扱い易さの点から、1錠剤中0.01〜20質量%が好ましく、0.02〜10質量%がより好ましく、0.03〜5質量%がさらに好ましい。
【0021】
(C)成分の配合比率は特に限定されないが、(C)/(A)で表される、(A)成分と(C)成分との含有質量比は0.001〜0.1が好ましく、0.005〜0.07がより好ましく、0.007〜0.05がさらに好ましく、0.01〜0.05が特に好ましい。(C)/(A)を0.001以上とすることで崩壊性が良好であり、0.1未満とすることで、微粉量が適量範囲内でハンドリング性がよい。
【0022】
(D)結晶セルロース、ケイ化結晶セルロース及び粉末セルロースから選ばれる化合物
(D)成分は高成形性の賦形剤である。このような高成形性の賦形剤を用いることで、意外にも崩壊性が向上する。このメカニズムは明らかではないが、(A)成分由来の粒子間結合力で錠剤が成形されるのを抑制し、崩壊性が向上するものと考えられる。(D)成分は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができ、中でも、結晶セルロース、ケイ化結晶セルロースが好ましい。
【0023】
(D)成分の含有量は、特に限定されないが、製造性の点から、1錠剤中0.5〜95質量%が好ましく、5〜75質量%がより好ましく、10〜50質量%がさらに好ましい。
【0024】
(D)成分の配合比率は特に限定されないが、(D)/(A)で表される、(A)成分と(D)成分との含有質量比は0.02以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましい。(A)、(B)、(C)及び(E)成分の配合比率が適切な範囲内であるならば(D)成分の比率が高くなりすぎても、特に崩壊性と溶出性に悪影響はないが、錠剤の服用性の観点から、(D)/(A)が5.0以下であることが好ましい。
【0025】
(E)崩壊剤
(E)成分を配合することで錠剤の崩壊性が向上するだけでなく、崩壊後の錠剤片が水中で細かく分散し、溶出性が向上する。崩壊剤としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチナトリウム及びカルメロースカルシウム等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースが好ましく、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースがより好ましい。
【0026】
(E)成分の含有量は、特に限定されないが、製造性、服用性の点から、1錠剤中0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜30質量%がより好ましく、0.5〜20質量%がさらに好ましい。
【0027】
(E)成分の配合比率は特に限定されないが、(E)/(A)で表される、(A)成分と(E)成分との含有質量比は0.01〜0.3が好ましく、0.03〜0.2がより好ましく、0.05〜0.1がさらに好ましい。(E)/(A)が0.3を超えると、崩壊剤の種類によっては逆に顕著に崩壊性が遅延する場合がある。
【0028】
本発明の錠剤には、上記(A)〜(E)成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲、錠剤の物性及び保存安定性を損なわない範囲で、その他の生理活性成分や添加剤を配合してもよい。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて、適量用いることができる。
【0029】
生理活性成分としては、例えば、(A)成分以外の解熱鎮痛成分(例えば、ピロキシカム、メロキシカム、アンピロキシカム、セロコキシブ、ロフェコキシブ、チアラミド、アセトアミノフェン、エテンザミド、スルピリン等)、鎮静催眠成分(例えば、アリルイソプロピルアセチル尿素、ブロムワレリル尿素等)、抗ヒスタミン成分(例えば、塩酸イソチペンジル、塩酸ジフェニルピラリン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェテロール、塩酸トリプロリジン、塩酸トリペレナミン、塩酸トンジルアミン、塩酸フェネタジン、塩酸メトジラジン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、ジフェニルジスルホン酸カルビノキサミン、酒石酸アリメマジン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、テオクル酸ジフェニルピラリン、ナパジシル酸メブヒドロリン、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩、マレイン酸カルビノキサミン、dl−マレイン酸クロルフェニラミン、d−マレイン酸クロルフェニラミン、リン酸ジフェテロール等)、中枢興奮成分(例えば、安息香酸ナトリウムカフェイン、カフェイン、無水カフェイン等)、鎮咳去痰成分(コデインリン酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、ジメモルファンリン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩、メトキシフェナミン塩酸塩、トリメトキノール塩酸塩、カルボシステイン、アセチルシステイン、エチルシステイン、dl-メチルエフェドリン、ブロムヘキシン塩酸塩、セラペプターゼ、塩化リゾチーム、アンブロキソール、テオフィリン、アミノフィリン)、制酸剤(乾燥水酸化アルミニウムゲル、アルミニウムグリシネート)、ビタミン成分(例えば、ビタミンB1及びその誘導体並びにそれらの塩類、ビタミンB2及びその誘導体並びにそれらの塩類、ビタミンC及びその誘導体並びにそれらの塩類、ヘスペリジン及びその誘導体並びにそれらの塩類等)等が挙げられる。
【0030】
添加剤の例としては結合剤、(D)成分以外の賦形剤、香料、色素、甘味剤、酸味料等が挙げられる。具体的には、結合剤としては、澱粉、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム末、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリン等を用いることができる。賦形剤としては、乳糖、コーンスターチ、粉糖、マンニトール、L−システイン等を用いることができる。香料としては、メントール、リモネン、植物精油(ハッカ油、ミント油、ライチ油、オレンジ油、レモン油等)等が挙げられる。甘味料としては、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビア、グリチルリチン酸二カリウム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、スクラロース等が挙げられる。酸味料としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、乳酸又はそれらの塩等を用いることができる。これらの生理活性成分や添加剤は、乾式造粒顆粒中にも錠剤中の乾式造粒顆粒外にも配合できる。これらの生理活性成分や添加剤の中でも、アルミニウム塩、マグネシウム塩、ケイ酸塩等の金属塩を乾式顆粒外に配合することが好ましい。これら金属塩としてはアルミニウムを配合する金属塩が好ましく、乾燥水酸化アルミニウムゲル、アルミニウムグリシネート、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイトが好ましく、乾燥水酸化アルミニウムゲルが特に好ましい。これらの無機塩を配合することで、錠剤の崩壊性がさらに向上する上、打錠時の付着等の不具合も抑制される。
【0031】
本発明の錠剤の製造方法は、例えば以下の方法が挙げられる。
(I)(A)〜(E)成分を乾式混合し、この乾式混合物を打錠する方法。
(II)予め(A)成分と(B)成分とを乾式混合し、得られた乾式混合物に(C)〜(E)成分を配合して混合し、この混合物を打錠する方法。
(III)予め(A)成分と(B)成分とを乾式混合し、得られた乾式混合物に(C)〜(E)成分を配合して、乾式造粒した後、この乾式造粒物を打錠する方法。
(IV)予め(A)成分と(B)成分とを、溶融造粒、湿式造粒又は共粉砕した後、得られたものに、(C)〜(E)成分を配合して、乾式造粒した後、この乾式造粒物を打錠する方法。なお、単なる混合の場合は、乾式混合、乾式造粒、溶融造粒、湿式造粒又は共粉砕等が含まれ、上記(II)の(C)〜(E)成分の「混合」は、「乾式混合」が好ましい。
【0032】
なお、本発明において「乾式混合」とは水等の液体を添加せず、被混合物を混合することである。「乾式造粒」とは、水等の液体を用いずに造粒する方法であり圧縮造粒等が挙げられる。「溶融造粒」とは、薬物を加熱等の方法で液体状に溶融し、その後冷却固化して造粒する方法である。「湿式造粒」とは、水等の液体を添加して造粒する方法であり、流動層造粒や撹拌造粒、転動造粒等が挙げられる。「共粉砕」とは、2種以上の被粉砕物(例えば、薬物と賦形剤、異なる2種以上の薬物、あるいは異なる2種以上の賦形剤)を共にピンミル等の粉砕機により粉砕する方法である。
【0033】
(A)〜(E)成分を乾式混合し、得られた乾式混合物を直打により打錠してもよいが、打錠の前に、予め(A)成分と(B)成分とを乾式混合し、この混合物に(C)〜(E)成分を配合することが好ましい。これにより溶出性がさらに向上する。このメカニズムは明らかではないが、(B)成分が(A)成分の表面にコーティングされ、(A)成分の濡れ性が向上し、さらに溶出性が向上するものと予想される。また、予め(A)成分と(B)成分とを乾式混合する場合には、(C)成分も同時に配合することができる。(C)成分をともに配合することで、(A)成分の表面付着力を低減し、崩壊性がさらに向上する。予め(A)成分と(B)成分とを乾式混合した場合には、この混合物に(C)〜(E)成分を配合して、予め(A)成分と(B)成分と(C)成分とを乾式混合した場合には、(D)及び(E)成分を配合・混合して、直接打錠工程に供してもよく、乾式造粒した後に打錠工程に供してもよい。乾式造粒としては、ローラーコンパクターを用いた圧縮造粒等が挙げられる。
【0034】
また、予め(A)成分と(B)成分とを、溶融造粒、湿式造粒又は共粉砕してもよいが、その場合は、(C)〜(E)成分を配合して混合し、この混合物を打錠するのではなく、(C)〜(E)成分を配合して乾式造粒した後、この乾式造粒物を打錠するとよい。打錠の前に、(C)〜(E)成分を配合して乾式造粒することで、崩壊性及び溶出性がより向上する。この場合、(C)成分は、共粉砕時に一部または全てを同時に添加してもよい。打錠前に乾式造粒する場合、(A)成分と(B)成分は、乾式混合、溶融造粒、湿式造粒又は共粉砕等を選択できるが、乾式混合、溶融造粒、共粉砕が好ましく、乾式混合、共粉砕がより好ましい。乾式造粒に先立ち、(A)、(B)成分を乾式混合、あるいは共粉砕した場合は、湿式造粒や溶融造粒した場合よりも、(A)成分の表面付着力が上昇しにくい。これにより錠剤の崩壊が遅延しにくくなる。
【0035】
なお、乾式造粒物の平均粒子径は、製造性に問題がない範囲で任意に設定できる。乾式造粒物の平均粒子径の範囲は50〜850μmが好ましく、75〜700μmがより好ましく、100〜550μmがさらに好ましい。乾式造粒物の粒子径が50μm未満だと、(A)成分の種類によっては、打錠時に充填不良や付着等の障害を生じることがある。
【0036】
混合の方法は特に限定されず、ボーレミキサー、ダブルコーンミキサー、V型ミキサー、コンテナーブレンダー等の公知の混合機を用いて行うことができる。また、乾式造粒も公知の方法で製造できる。例えば、ローラーコンパクター等の圧縮造粒機等で製造することがきる。ローラー圧縮により得られたフレークの粉砕はフィオーレ、ロールグラニュレーター等の公知の粉砕機を用いて行うことができる。
【0037】
本発明の錠剤は、単一の層からなる単層錠であってもよく、複数の層が積層された多層錠であってもよい。単層錠の錠剤である場合、混合物を打錠することにより調製できる。打錠は公知の打錠成型機、例えば、LIBRA(製品名、(株)菊水製作所製)、HP−AP−MS型(製品名、(株)畑鐵工所製)等のロータリー式の打錠成型機等を用いることができる。多層錠の錠剤の場合、(A)〜(E)成分を含む混合物、その他添加物のいずれか一方を第1層に配合し、他方を第2層に配合することができ、第1層と第2層とを積層した後、上杵と下杵の間で圧縮成形することが好ましい。
【0038】
得られた錠剤は、必要に応じてコーティング剤によりコーティング処理を施してもよい。かかるコーティング剤としては、本発明が目的とする崩壊性を著しく損なわないものを選択することが好ましく、中でも、水溶性高分子化合物、可塑剤が好ましい。具体的には、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース類;アラビアゴム、カルボキシビニルポリマー、ポビドン、クロスポビドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、単糖類、二糖類以上の多糖類(砂糖(グラニュー糖等)、乳糖、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖等)、糖アルコール(パラチニット、ソルビトール、ラクチトール、エリスリトール、キシリトール、還元澱粉糖化物、マルチトール、マンニトール等)、水飴、異性化糖類、オリゴ糖、スクロース、トレハロース、還元澱粉糖化物(還元澱粉分解物)等が挙げられる。可塑剤としては、クエン酸トリエチル、トリアセチン等の日本薬局方(広川書店)及び医薬品添加物規格((株)薬事日報社)等の公定書に記載されているものが挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。コーティング剤の使用量は、錠剤全体に対して0.5〜1.5質量%程度とするとよい。
【0039】
錠剤の大きさは特に限定されず、(A)成分の配合量及び用量等を考慮して適宜決定することができるが、錠剤の取り扱いやすさと嚥下性の観点から、錠剤の径として5〜14mmφが好ましく、7〜12mmφがより好ましい。また1錠あたりの錠剤質量としては150〜700mg程度が適切である。
【0040】
本発明の錠剤は、解熱鎮痛薬や風邪薬として用いることができ、飲みやすさ、有効性発揮の点から、胃の中で崩壊する胃内崩壊性錠剤であることが好ましい。
【実施例】
【0041】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、比率は質量比を示す。なお、表中は質量比であり、1錠あたりは300mgである。
【0042】
[実施例1〜19、比較例1〜7]
(A)水難溶性非ステロイド抗炎症剤(平均粒子径25μm以下の粒子)を(B)ショ糖脂肪酸エステルと乾式混合し、その後さらに(C)、(D)、(E)成分を配合して乾式混合し、混合物を打錠して錠剤を得た。得られた錠剤について、下記方法で崩壊性と溶出性を評価した。結果を表中に併記する。
【0043】
[崩壊性]
日本薬局方に収載される錠剤の崩壊試験法に準じ(崩壊試験液は水)、6錠の崩壊時間を測定しその平均値を求めた。得られた平均値から下記評価基準に基づき、崩壊性を示す。
<評価基準>
◎:45秒未満で崩壊
○:45秒以上〜1分未満で崩壊
△:1分以上2分未満で崩壊
×:2分以上で崩壊
【0044】
[溶出性]
日本薬局方に収載される溶出試験パドル法に準じて行った。溶出試験液のpHは4.5、パドル回転数は50rpmとし、経時で試験液を採取して溶出率が90%になる時間を評価した。評価は3回行いその平均値に基づき、溶出性を示す。
<評価基準>
◎:溶出率90%に達するのが5分未満
○:溶出率90%に達するのが5分以上10分未満
△:溶出率90%に達するのが10分以上30分未満
×:溶出率90%に達するのが30分以上
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
【表3】

【0048】
【表4】

【0049】
【表5】

【0050】
予め(A)成分と(B)成分とを乾式混合し、得られた乾式混合物に(C)〜(E)成分を配合して混合し、この混合物を打錠する方法で得られた錠剤では、崩壊性及び溶出性が共に優れていた。特に、ショ糖ステアリン酸エステルのHLBグレードが11以上のものでは崩壊性と溶出性が共に優れていた。また、(A)成分(B)成分の配合比率が(B)/(A)=0.03〜0.4の範囲で、崩壊性と溶出性が共に優れていた。一方、比較例に示したとおり、(B)、(C)、(D)、(E)成分のいずれかが含まれない場合は崩壊性と溶出性を両立することができなかった。また、(A)/(B)=0.03〜0.4の範囲から外れた場合も、崩壊性と溶出性を両立することができなかった。
【0051】
[実施例20〜33]
(A)成分としてイブプロフェン(平均粒子径25μm以下の粒子)を用い、(B)ショ糖脂肪酸エステルとともに乾式混合した(乾式混合)、イブプロフェンをショ糖脂肪酸エステルと共に溶融造粒した(溶融造粒)、プロピオン酸系非ステロイド抗炎症剤をショ糖脂肪酸エステルと共粉砕した(共粉砕)、イブプロフェンをショ糖脂肪酸エステルと撹拌造粒した(湿式造粒)。得られたものに、(C)、(D)及び(E)成分を配合して、ローラーコンパクターにて圧縮造粒(乾式造粒)した。圧縮造粒物を整粒後、圧縮造粒物と乳糖とを混合して、混合物を打錠した。得られた錠剤について、上記方法で崩壊性と溶出性を評価した。いずれの錠剤でも優れた崩壊性及び溶出性を示した。
【0052】
【表6】

【0053】
【表7】

【0054】
【表8】

【0055】
[実施例34〜39]
(A)成分として様々な平均粒子径のイブプロフェンを用い、(B)成分としてショ糖ステアリン酸エステルを選択し、これらを乾式混合した後、(C)、(D)及び(E)成分を配合して、ローラーコンパクターにて圧縮造粒(乾式造粒)した。圧縮造粒物を整粒後、圧縮造粒物と乳糖とを混合して、混合物を打錠した。得られた錠剤について、上記方法で崩壊性と溶出性を評価した。いずれの錠剤でも優れた崩壊性及び溶出性を示した。用いたイブプロフェンの平均粒子径は表に示す通りである。
【0056】
[実施例40]
(A)成分のイブプロフェン(平均粒子径10μm以下の粒子)、(B)成分のショ糖ステアリン酸エステル及び粉砕助剤である(E)低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとを、ピンミルを用いて共粉砕した。得られた共粉砕物に、(C)、(D)及び(E)成分を配合し、ローラーコンパクターにて圧縮造粒(乾式造粒)した。圧縮造粒物を整粒後、圧縮造粒物と乳糖とを混合して、混合物を打錠した。得られた錠剤について、上記方法で崩壊性と溶出性を評価した。いずれの錠剤でも優れた崩壊性及び溶出性を示した。
【0057】
【表9】

【0058】
[実施例41,42]
(A)〜(E)成分を同時に乾式混合し、この混合物を打錠して錠剤を得た。得られた錠剤について、上記方法で崩壊性と溶出性を評価した。いずれの錠剤でも優れた崩壊性及び溶出性を示したが、予め(A)成分と(B)成分を別に乾式混合した実施例1のほうが、溶出性がやや優れていた。
【0059】
【表10】

【0060】
[実施例43〜46]
下記表に示すように、(A)成分に対する(C)成分の割合を変更して錠剤を調製した。具体的には、(A)、(B)及び(C)成分を乾式混合後、得られた乾式混合物に(D)及び(E)成分を配合して、ローラーコンパクターにて圧縮造粒(乾式造粒)した。圧縮造粒物を整粒後、圧縮造粒物と乳糖とを混合して、混合物を打錠した。得られた錠剤について、上記方法で崩壊性と溶出性を評価した。いずれの錠剤でも優れた崩壊性と溶出性を発揮したが、特に(C)/(A)が0.01以上のときに崩壊性と溶出性が優れていた。しかしながら実施例46においては崩壊性と溶出性は優れていたものの、微粉が多くハンドリング性にやや難があった。
【0061】
【表11】

【0062】
[実施例47〜50]
下記表に示すように、(A)成分に対する(D)成分の割合を変更して錠剤を調製した。具体的には、(A)、(B)及び(C)成分を乾式混合後、(D)及び(E)成分を配合して、ローラーコンパクターにて圧縮造粒(乾式造粒)した。圧縮造粒物を整粒後、圧縮造粒物と乳糖とを混合して、混合物を打錠した。得られた錠剤について、上記方法で崩壊性と溶出性を評価した。いずれの錠剤でも優れた崩壊性と溶出性を発揮したが、特に(D)/(A)が0.5以上のときに崩壊性と溶出性が優れていた。
【0063】
【表12】

【0064】
[実施例51〜55]
下記表に示すように、(A)成分に対する(E)成分の割合を変更して錠剤を調製した。具体的には、(A)、(B)及び(C)成分を乾式混合後、(D)及び(E)成分を配合して、ローラーコンパクターにて圧縮造粒(乾式造粒)した。圧縮造粒物を整粒後、圧縮造粒物と乳糖とを混合して、混合物を打錠した。得られた錠剤について、上記方法で崩壊性と溶出性を評価した。いずれの錠剤でも優れた崩壊性と溶出性を発揮したが、特に(E)/(A)が0.05〜0.1のときに崩壊性と溶出性が優れていた。
【0065】
【表13】

【0066】
[実施例56〜58]
下記表に示すように、(A)〜(E)を選択し、さらにその他成分としてブロムヘキシン塩酸塩、フマル酸クレマスチン、アセトアミノフェンを選択し、乾式造粒した。得られた乾式造粒顆粒を下記表の割合で乾燥水酸化アルミニウムゲル、無水カフェイン、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウムとともに混合し、混合物を打錠した。得られた錠剤について、上記方法で崩壊性と溶出性を評価した。いずれの錠剤でも優れた崩壊性と溶出性を発揮した。
【0067】
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)水難溶性非ステロイド抗炎症剤と、
(B)凝固点30℃以上でHLBが9以上のショ糖脂肪酸エステルと、
(C)軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素及びフマル酸ステアリルナトリウムから選ばれる化合物と、
(D)結晶セルロース、ケイ化結晶セルロース及び粉末セルロースから選ばれる化合物と、
(E)崩壊剤とを含有し、(B)/(A)で表される(A)成分と(B)成分との含有質量比が0.03〜0.4である錠剤。
【請求項2】
(A)成分が、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン及びエトドラクから選ばれる抗炎症剤である請求項1記載の錠剤。
【請求項3】
(B)成分が、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル及びショ糖ミリスチン酸エステルから選ばれるショ糖脂肪酸エステルである請求項1又は2記載の錠剤。
【請求項4】
(A)成分の平均粒子径が、25μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の錠剤。
【請求項5】
(A)成分が、セルロース賦形剤と共に共粉砕することにより得られた共粉砕物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の錠剤。
【請求項6】
セルロース賦形剤が、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ化結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びメチルセルロースから選ばれる賦形剤であることを特徴とする請求項5記載の錠剤。
【請求項7】
(E)成分が、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチナトリウム及びカルメロースカルシウムから選ばれる崩壊剤である請求項1〜6のいずれか1項記載の錠剤。
【請求項8】
予め(A)成分と(B)成分とを乾式混合し、得られた乾式混合物に(C)〜(E)成分を配合して混合し、この混合物が打錠された錠剤である請求項1〜7のいずれか1項記載の錠剤。
【請求項9】
予め(A)成分と(B)成分とを乾式混合し、得られた乾式混合物に(C)〜(E)成分を配合して、乾式造粒した後、この乾式造粒物が打錠された錠剤である請求項1〜7いずれか1項記載の錠剤。
【請求項10】
予め(A)成分と(B)成分とを、溶融造粒、湿式造粒又は共粉砕した後、得られたものに、(C)〜(E)成分を配合して、乾式造粒した後、この乾式造粒物が打錠された錠剤である請求項1〜7のいずれか1項記載の錠剤。
【請求項11】
予め(A)成分と(B)成分とを乾式混合し、得られた乾式混合物に(C)〜(E)成分を配合して混合し、この混合物を打錠することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の錠剤の製造方法。
【請求項12】
予め(A)成分と(B)成分とを乾式混合し、得られた乾式混合物に(C)〜(E)成分を配合して、乾式造粒した後、この乾式造粒物を打錠することを特徴とする請求項1〜7及び9のいずれか1項記載の錠剤の製造方法。
【請求項13】
予め(A)成分と(B)成分とを、溶融造粒、湿式造粒又は共粉砕した後、得られたものに、(C)〜(E)成分を配合して、乾式造粒した後、この乾式造粒物を打錠することを特徴とする請求項1〜7及び10のいずれか1項記載の錠剤の製造方法。

【公開番号】特開2012−250974(P2012−250974A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−52531(P2012−52531)
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】