錠剤用緩衝材
【課題】 錠剤用容器の充填量の変化や、口内径や胴内径の変化に対応して、錠剤上面を均一に押さえることができるシンプルな構造の錠剤用緩衝材を提供する。
【解決手段】 適当な弾力性を有する合成樹脂材料による成形品であって、錠剤用容器の口部に着脱自在に内嵌される中栓1下部から、互いに周方向に間隔を有して筒状に配設された複数の螺旋形の縦リブ3を形成し、各縦リブ3の下端部にヒンジ部3aを介して傾斜リブ4を連結し、該複数の傾斜リブ4の下端部にヒンジ部4aを介して底部円盤5を連結する。
【解決手段】 適当な弾力性を有する合成樹脂材料による成形品であって、錠剤用容器の口部に着脱自在に内嵌される中栓1下部から、互いに周方向に間隔を有して筒状に配設された複数の螺旋形の縦リブ3を形成し、各縦リブ3の下端部にヒンジ部3aを介して傾斜リブ4を連結し、該複数の傾斜リブ4の下端部にヒンジ部4aを介して底部円盤5を連結する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品や食料品等の包装容器に収納された錠剤の品質を保証するため錠剤の上面に充填して使用される錠剤用緩衝材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に多数個の錠剤やカプセルを収納した広口容器に於いて、振動や衝撃的な作用によって錠剤相互間又は容器の内壁との衝突現象によって錠剤の割れ、欠け等の破損するのを防止する為、モルトプレン、ポリエチレンフィルム、綿花等の緩衝材を容器上部に収納しているが充填作業中に塵埃物が付着し易く衛生面的な面で問題がある。ユーザーの使用性、メーカーでの作業性、あるいは経済性において何らかの問題点を持ちながら使用されているのが現状である。特に規格硝子瓶に使用されているポリエチレンシートの緩衝材は、エンドユーザーでポリエチレンシートの緩衝材を取り出す時に錠剤がシートに絡んで飛び出すという欠陥については、各製薬会社等に於いても具体的な解決策がなく未だにエンドユーザー側での潜在的クレームとなっている。又、比較的大容量の容器に関しては、モルトプレンや合成樹脂材料で一体的に射出成型した緩衝材も有って実用化されているものもあるが、最近の規格された硝子瓶等に収納されている錠剤は、錠剤の収納量が比較的多くなり容器の上部空間が極めて少ない状態になってきている。
【0003】
現在実用化されている大容量の広口容器用の成型製品の緩衝材に於いては、収納された錠剤面と容器内上部に空間が比較的に広くあって、容器に挿入する時、外部押え片が容器の口部に当たって上部方向に湾曲し、容器内に挿入すると胴部の広くなった部分で弾性的復元力によって反転し、外部押え片は水平面の放射状に復元して錠剤上面を押えることが出来る錠剤用緩衝材が市販されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3116274号公報
【特許文献2】特許第3211082号公報
【0005】
然しながら、これ等の特許文献1記載の立体式錠剤緩衝材と、特許文献2記載の平面式錠剤緩衝材等は、規格化された硝子瓶の包装形態から見て収納される錠剤上面と瓶内上部との空間が少なく、現行の大型容器の成形製品の緩衝材の形態では、規格、瓶に挿入後、外部押え片は、弾性的復元力による反転する空間が無く外部押え片が瓶の口部に当たって上部方向に湾曲し窄んだ状態で瓶の口内頸長部に詰まって、押え片が錠剤上面を押えることが出来ず、錠剤用緩衝材の機能が失われる欠点がある。
【0006】
従って、容器に充填される錠剤の収納量の大小に関係なく、また従来の大容量の広口容器用の緩衝材としても適合し、挿入と取出しが容易なものであって、シンプルに形成され且つ衛生的であり経済的で普遍妥当性の形態を有する緩衝材の開発が必要になっている現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上述べた従来の特許文献1記載の錠剤用立体式緩衝材と特許文献2記載の平面式錠剤用緩衝材は、容器内の錠剤の充填量の大小によって錠剤上面と口内径の頸長部との空間が異なり、広い空間の場合は容器の胴内径において外部押え片は弾性的復元作用によって略水平面に錠剤を押えることが出来るが、狭い空間の場合は容器内で外径押え片が反転する空間が無く瓶の口部に当たって上部方向に湾曲し窄んだ状態で瓶の口内頸長部に詰まって、水平面に錠剤を均一に押圧することが不可能になる。
【0008】
そこで、本発明の緩衝材は、容器の錠剤充填量が多く口内径頸長部と錠剤上面の空間が少ない状態の包装形態であっても容易に挿入が出来て、大容量の錠剤用広口容器や規格化された小型硝子瓶などにもフレキシブルに対応できる汎用性の高い、画期的な特徴を有する錠剤用緩衝材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、次の技術的手段を講じた。
【0010】
すなわち、本発明の錠剤用緩衝材は、容器の充填量の増減変化によって、口上面と錠剤上面の空間の大小に対応する為に、適当な弾力性を有する合成樹脂材料による成形品であって上部リング状中栓上面よりすこし下側の内壁面から斜めに円錐形リング状のリブと取手部が、一体に形成されていて、上部リング状中栓の下部からスリットを隔て等間隔に形成された複数の螺旋形の縦リブの下部縁端と複数の傾斜リブの上部縁端はヒンジ部にて連結し、複数の傾斜リブの下部縁端と底部円盤の周縁部はヒンジ部にて連結して、一体的に形成されているバスケット型の構造とした。
【0011】
また、本発明の錠剤用緩衝材は、錠剤用容器の口部に着脱自在に内嵌される中栓と、該中栓の下部から形成され且つ互いに周方向に間隔を有して筒状に配設された複数の螺旋形の縦リブと、各縦リブの下端部にヒンジ部を介して連結された傾斜リブと、底部円盤とを備えて合成樹脂材により一体成形されており、底部円盤の周縁部は、前記複数の縦リブに連結された複数の傾斜リブの下端部にヒンジ部を介して連結されている構造とした。かかる錠剤用緩衝材において、中栓はリング状に形成され、該中栓の上面よりすこし下側の内壁面から斜めに円錐形リング状のリブと取手部が一体に形成されているものとするのが好ましい。
【0012】
上記した本発明の錠剤用緩衝材において、縦リブ及び傾斜リブを帯板状に形成するとともに、縦リブの上下方向所定部位の周方向幅を傾斜リブの幅よりも細く形成することができる。
【0013】
また、縦リブの下端部に、螺旋形を呈しておらず傾斜リブに対して真っ直ぐに延びるストレート部を設けることができる。
【0014】
さらに、本発明の錠剤用緩衝材によれば、底部円盤が容器内の錠剤上面に当接することにより中栓に対して相対的に上方に押し上げられると複数の傾斜リブが展開して底部円盤と略平坦となり、これら底部円盤と複数の傾斜リブとによって容器内の錠剤上面を押圧保持し、前記複数の螺旋形の縦リブは、そのねじれ作用によって、展開された複数の傾斜リブと中栓との弾力的な上下方向距離調整を可能にすることができる。
【0015】
さらに、縦リブの下端部は径方向外方に向けて湾曲させることができる。これによれば、緩衝材を錠剤上面に押圧させたときの縦リブのツイスト状のねじれ変形と、縦リブの水平状への展開変形とが、より円滑に行われるようになる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明の錠剤用緩衝材は、容器の充填量の増減変化によって、口上面と錠剤上面の空間の大小に対応する為、又容器の口内径に容易に通過して挿入できるようにし、容器の内径に嵌合する上部リング状中栓の外径より複数の螺旋形の縦リブの外径が小さく形成されていて、容器の口内径に干渉することなく容易に挿入できる。
【0017】
本発明の緩衝材が挿入されると、底部円盤が錠剤上面に接触した時点で、複数の螺旋形の縦リブの下部縁端と複数の傾斜リブの上部縁端を連結しているヒンジ部と傾斜リブの下部縁端と底部円盤の周縁部はヒンジ部にて連結している形体において、複数の傾斜リブは、複数の螺旋形の縦リブが錠剤上面の下方向に押圧されると、複数の傾斜リブは底部円盤の周縁部と連結しているヒンジ部を支点にして、複数の螺旋形の縦リブの下部縁端と複数の傾斜リブの上部縁端と連結しているヒンジ部が錠剤上面の胴内径方向に押圧移動すると、複数の傾斜リブは、底部円盤とともに水平状に展開して錠剤上面を隈なく押圧する押え片に変化した形体となる。
【0018】
更に上部リング状中栓の外径部が容器の口内径に嵌合される時点に、複数の螺旋形の縦リブはヒンジ部を支点にして時計回りにツイストした螺旋形の縦リブが傾斜リブの上面に覆い重なって、弾力性のある補強リブに変形し、複数の螺旋形の縦リブはツイスト状の弾性的リブに変化した形体の錠剤用緩衝材となる。
【0019】
本発明は、このような立体的でシンプルなバケット型の形体でありながら構成している複数の各リブと底部円盤を連結さしている各ヒンジ部の機能によって、複数の螺旋形の縦リブ、複数の傾斜リブ、並びに、底部円盤が容器に挿入後の押圧作用により錠剤上面の押え片に変化する機能を備えている革新的な特徴を有する緩衝材である。
【0020】
バケット型緩衝材の取り出しについては、容器の口内径に嵌合されている上部リング状中栓の上面より少し下側の内壁面から斜めに円錐形リング状のリブと一体に形成されている取手部の円周部の裏側を任意の位置から、人差し指等で引っ掛けて引き上げると容易に取り出すことができる。
【0021】
バケット型緩衝材の形態は、シンプルな複数の螺旋形の縦リブや複数の傾斜リブと底部円盤の形状で、籠のような形態であるので容器に挿入された場合は、錠剤は、複数の螺旋形の縦リブと連結している複数の傾斜リブと底部円盤の内側には、錠剤が飛込まない形体になっている。
【0022】
縦リブが湾曲して錠剤を押圧する平面式や筒状でリブ付きの従来の緩衝材は、容器の振動や衝撃によって、縦リブと縦リブの隙間から錠剤がハイブレーション運動作用で内側に入り込むという致命的欠陥を有していた。然しながら、本発明の緩衝材はシンプルな複数の螺旋形の縦リブや複数の傾斜リブと底部円盤の形状で、籠のような形態であるので容器に挿入された場合は、錠剤は、複数の螺旋形の縦リブと連結している複数の傾斜リブと底部円盤は各ヒンジ機能によって容器の胴部、内径壁まで水平状に展開した錠剤押え片になって錠剤上面を隈無く押圧する形体になっている。故に錠剤が内側に漏れて飛込まない構造と機能を備えている錠剤用緩衝材である。
【0023】
従来の立体的又は平面的な緩衝材は、弾力性を有する合成樹脂材料の低密度ポリエチレン等で成型されているので複雑な形状では、運送時や移動される時に変形の心配があるが、本発明のバケット式緩衝材はリング状中栓付きの籠状の形体であるため変形する要素が極めて少ない為に、外観の品質が安定する特徴と備えた錠剤用緩衝材である。
【0024】
本発明の緩衝材は、複数の螺旋形の縦リブ、複数の傾斜リブ等がシンプルな形体でありながら、錠剤の大きさや形状の変化、容器の口内径や胴内径の変化、錠剤の充填量による容器の上部空間量の変化に効果的にフレキシビリティーに対応でき、汎用性が高く経済的にも顕著な効果が発揮できる画期的特徴を有する錠剤用緩衝材である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施例に係る錠剤用緩衝材を示す一部断面正面図である。
【図2】同緩衝材の底面図である。
【図3】同緩衝材の容器に挿入する状態を示す一部断面外観図である。
【図4】同緩衝材を容器の錠剤上面に傾斜リブと底部円盤が展開し接触した一部断面の外観図である。
【図5】同緩衝材の複数の傾斜リブと底部円盤の展開された上面に、複数の螺旋形の縦リブがツイスト状の形体を形成して錠剤上面を押圧しながら容器の口内径に上部リンク状中栓の外径が軽嵌合した状態を示す外観図である。
【図6】同緩衝材の複数の傾斜リブと底部円盤が展開された状態を示す底面図である。
【図7】同緩衝材を容器から取り出す状態を示す一部断面の外観図である。
【図8】同緩衝材を容器内に装着した状態を示す一部断面の外観図である。
【図9】本発明の第2実施例に係る錠剤用緩衝材を示す一部断面正面図である。
【図10】同緩衝材の平面図である。
【図11】同緩衝材の底面図である。
【図12】同緩衝材の容器に挿入する状態を示す一部断面外観図である。
【図13】同緩衝材を容器の錠剤上面に傾斜リブと底部円盤が展開し接触した一部断面の外観図である。
【図14】同緩衝材の複数の傾斜リブと底部円盤の展開された上面に、複数の螺旋形の縦リブがツイスト状の形体を形成して錠剤上面を押圧しながら容器の口内径に上部リンク状中栓の外径が軽嵌合した状態を示す外観図である。
【図15】同緩衝材の複数の傾斜リブと底部円盤が展開された状態を示す底面図である。
【図16】同緩衝材を容器から取り出す状態を示す一部断面の外観図である。
【図17】同緩衝材を容器内に装着した状態を示す一部断面の外観図である。
【図18】本発明の第3実施例に係る錠剤用緩衝材を示す全体斜視図である。
【図19】同緩衝材の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図示実施例に基づいて説明する。
【0027】
図1〜図8は本発明の第1実施例に係る錠剤用緩衝材Aを示し、図1は一部断面で示す正面図であり、図2は図1の緩衝材の底面図で上部リング状中栓1と底部円盤5と傾斜リブ4がスリット6を隔てて複数等間隔で螺旋形の縦リブ3に連結している図である。
【0028】
先ずは、本発明の錠剤用緩衝材の容器内へ挿入から錠剤上面を押圧する形体に順次変化していく図3から図8に示す実施の形態を説明する。
【0029】
図3は、緩衝材Aが容器Bに挿入し底部円盤5が錠剤C上面に接触した状態を示す一部断面された外観図である。
【0030】
図4は、緩衝材Aを容器Bの錠剤C上面に接触した底部円盤5とヒンジ部4aで連結された複数の傾斜リブ4が、ヒンジ部3aと連結している複数の螺旋形の縦リブ3が錠剤C上面の下方向に押圧により湾曲していくと複数の傾斜リブ4の下部縁端と底部円盤5の周縁部に連結しているヒンジ部4aを支点にして、複数の螺旋形の縦リブ3の下部縁端と複数の傾斜リブ4の上部縁端と連結しているヒンジ部3aが錠剤C上面の容器Bの胴内径方向に押圧移動の作用により複数の傾斜リブ4は底部円盤5と水平状に一体化して錠剤上面を隈なく押圧する錠剤の押え片リブに変化した形体となる。
【0031】
図5は、本発明の緩衝材を容器内に挿入し、上部リング状中栓1の外径部が容器の口内径に嵌合される時点に、複数の螺旋形の縦リブ3のヒンジ部3aを支点にして下部から時計回りにツイストした複数の螺旋形の縦リブ3が傾斜リブ4の上面に覆い重なりツイスト状の弾力性のリブに変化した形体に形成された錠剤用緩衝材である。
【0032】
図6は、緩衝材の傾斜リブ4と底部円盤5が錠剤の押さえ片に展開された形体の上面をヒンジ部3aを支点として複数の螺旋形の縦リブ3が時計回りにツイスト状に押圧された状態で、スリット巾が極めて小さく形成された形体を示す底面図である。
【0033】
図7に示す一部断面の外観図は、バケット式緩衝材の取手部2を指にて引き上げて取り出す状態を示す図である。この取出し用取手部2は上部リング状中栓1の内壁円周上にフランジ状に形成されているから、任意の位置から指先部で取り出せる形体であるから、従来のアンダーカットや舌片状の取出し形体より、取出しが容易である。
【0034】
図8は、バケット式緩衝材Aを挿入してキャップDを装着した一部断面の外観図である。容器Bの内径に軽嵌合された、上部リング状中栓1は容器の口上面より浮き上がらない形体であって、キャップDを閉じた時、上部リング状中栓1の上縁部がキャップのパッキング面に接触しない状態であるから、緩衝材に対する、共周りや捩れの損傷等のトラブルが発生しないので、工程管理や品質管理が効果的に実施できる画期的な特徴のある緩衝材を示している。
【0035】
図9〜図17は本発明の第2実施例に係る錠剤用緩衝材Aを示し、上記第1実施例と異なるところは、縦リブ3の下端部3bが、下方に至るにしたがって径方向外方に向けて湾曲されている点であり、その他の構成については第1実施例と同様であるので同符号を付して詳細説明を省略する。
【0036】
図18及び図19は本発明の第3実施例に係る錠剤用緩衝材を示し、上記第1実施例と同様の構成については同符号を付して詳細説明を省略し、異なる構成、作用効果について説明する。
【0037】
本実施例の緩衝材Aは、適当な弾力性を有する合成樹脂材料による成形品であって上部リング状中栓1上面よりすこし下側の内壁面から斜めに円錐形リング状のリブ2aと取手部2が、一体に形成されていて、上部リング状中栓1の下部からスリット6を隔て等間隔に形成された複数の螺旋形の縦リブ3の下部縁端と複数の傾斜リブ4の上部縁端はヒンジ部3aにて連結し、複数の傾斜リブ4の下部縁端と底部円盤5の周縁部はヒンジ部4aにて連結して、一体的に形成されている。すなわち、緩衝材Aは、錠剤用容器の口部に着脱自在に内嵌される中栓1と、該中栓1の下部から形成され且つ互いに周方向に間隔を有して筒状に配設された複数の螺旋形の縦リブ3と、各縦リブ3の下端部にヒンジ部3aを介して連結された傾斜リブ4と、底部円盤5とを備えて一体成形されており、底部円盤5の周縁部は、前記複数の縦リブ3に連結された複数の傾斜リブ4の下端部にヒンジ部4aを介して連結されている。
【0038】
各縦リブ3及び傾斜リブ4は帯板状に形成されるとともに、図19に仮想線で示すように、縦リブ3の上下方向所定部位、本実施例では縦リブ3の上端部からヒンジ部3aよりも少し上側までの領域の周方向幅が、傾斜リブ4の幅よりも細く形成されている。かかる構成により、縦リブ3がツイスト状に変形し易くなり、より軽い力で円滑にツイスト状の変形動作が行われるようになる。なお、かかる幅狭領域は、縦リブ3の上下方向中間部にのみ設けることもでき、また、上部側にのみ設けてもよい。
【0039】
縦リブ3の下端部には、図19に仮想線で示すように、螺旋形を呈しておらず傾斜リブ4に対して真っ直ぐに延びるストレート部31が設けられている。このストレート部31を設けたことによって、ツイスト状に変形した場合にヒンジ部3aに無理な剪断応力が作用してヒンジ部3aが破断してしまうことを防止できる。
【0040】
本実施例に係る緩衝材Aによれば、底部円盤5が容器内の錠剤上面に当接することにより中栓1に対して相対的に上方に押し上げられると複数の傾斜リブ4が展開して底部円盤5と略平坦となり、これら底部円盤5と複数の傾斜リブ4とによって容器内の錠剤上面を押圧保持し、一方、複数の螺旋形の縦リブ3は、そのねじれ作用によって、展開された複数の傾斜リブ4と中栓1との弾力的な上下方向距離調整を可能にする。
【0041】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、状況に応じて且つ効果を有する範囲内で適宜変更して実施できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、医薬品の錠剤用容器や健康保険剤の錠剤用容器等に、又、一般錠剤用容器に利用できる。
【符号の説明】
【0043】
1 上部リング状中栓
2 取手部
2a 円錐形リング状のリブ
3 複数の螺旋形の縦リブ
3a ヒンジ部
3b 縦リブの下端部
4 複数の傾斜リブ
4a ヒンジ部
5 底部円盤
6 スリット
A 緩衝材
B 容器
C 錠剤
D キャップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品や食料品等の包装容器に収納された錠剤の品質を保証するため錠剤の上面に充填して使用される錠剤用緩衝材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に多数個の錠剤やカプセルを収納した広口容器に於いて、振動や衝撃的な作用によって錠剤相互間又は容器の内壁との衝突現象によって錠剤の割れ、欠け等の破損するのを防止する為、モルトプレン、ポリエチレンフィルム、綿花等の緩衝材を容器上部に収納しているが充填作業中に塵埃物が付着し易く衛生面的な面で問題がある。ユーザーの使用性、メーカーでの作業性、あるいは経済性において何らかの問題点を持ちながら使用されているのが現状である。特に規格硝子瓶に使用されているポリエチレンシートの緩衝材は、エンドユーザーでポリエチレンシートの緩衝材を取り出す時に錠剤がシートに絡んで飛び出すという欠陥については、各製薬会社等に於いても具体的な解決策がなく未だにエンドユーザー側での潜在的クレームとなっている。又、比較的大容量の容器に関しては、モルトプレンや合成樹脂材料で一体的に射出成型した緩衝材も有って実用化されているものもあるが、最近の規格された硝子瓶等に収納されている錠剤は、錠剤の収納量が比較的多くなり容器の上部空間が極めて少ない状態になってきている。
【0003】
現在実用化されている大容量の広口容器用の成型製品の緩衝材に於いては、収納された錠剤面と容器内上部に空間が比較的に広くあって、容器に挿入する時、外部押え片が容器の口部に当たって上部方向に湾曲し、容器内に挿入すると胴部の広くなった部分で弾性的復元力によって反転し、外部押え片は水平面の放射状に復元して錠剤上面を押えることが出来る錠剤用緩衝材が市販されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3116274号公報
【特許文献2】特許第3211082号公報
【0005】
然しながら、これ等の特許文献1記載の立体式錠剤緩衝材と、特許文献2記載の平面式錠剤緩衝材等は、規格化された硝子瓶の包装形態から見て収納される錠剤上面と瓶内上部との空間が少なく、現行の大型容器の成形製品の緩衝材の形態では、規格、瓶に挿入後、外部押え片は、弾性的復元力による反転する空間が無く外部押え片が瓶の口部に当たって上部方向に湾曲し窄んだ状態で瓶の口内頸長部に詰まって、押え片が錠剤上面を押えることが出来ず、錠剤用緩衝材の機能が失われる欠点がある。
【0006】
従って、容器に充填される錠剤の収納量の大小に関係なく、また従来の大容量の広口容器用の緩衝材としても適合し、挿入と取出しが容易なものであって、シンプルに形成され且つ衛生的であり経済的で普遍妥当性の形態を有する緩衝材の開発が必要になっている現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上述べた従来の特許文献1記載の錠剤用立体式緩衝材と特許文献2記載の平面式錠剤用緩衝材は、容器内の錠剤の充填量の大小によって錠剤上面と口内径の頸長部との空間が異なり、広い空間の場合は容器の胴内径において外部押え片は弾性的復元作用によって略水平面に錠剤を押えることが出来るが、狭い空間の場合は容器内で外径押え片が反転する空間が無く瓶の口部に当たって上部方向に湾曲し窄んだ状態で瓶の口内頸長部に詰まって、水平面に錠剤を均一に押圧することが不可能になる。
【0008】
そこで、本発明の緩衝材は、容器の錠剤充填量が多く口内径頸長部と錠剤上面の空間が少ない状態の包装形態であっても容易に挿入が出来て、大容量の錠剤用広口容器や規格化された小型硝子瓶などにもフレキシブルに対応できる汎用性の高い、画期的な特徴を有する錠剤用緩衝材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、次の技術的手段を講じた。
【0010】
すなわち、本発明の錠剤用緩衝材は、容器の充填量の増減変化によって、口上面と錠剤上面の空間の大小に対応する為に、適当な弾力性を有する合成樹脂材料による成形品であって上部リング状中栓上面よりすこし下側の内壁面から斜めに円錐形リング状のリブと取手部が、一体に形成されていて、上部リング状中栓の下部からスリットを隔て等間隔に形成された複数の螺旋形の縦リブの下部縁端と複数の傾斜リブの上部縁端はヒンジ部にて連結し、複数の傾斜リブの下部縁端と底部円盤の周縁部はヒンジ部にて連結して、一体的に形成されているバスケット型の構造とした。
【0011】
また、本発明の錠剤用緩衝材は、錠剤用容器の口部に着脱自在に内嵌される中栓と、該中栓の下部から形成され且つ互いに周方向に間隔を有して筒状に配設された複数の螺旋形の縦リブと、各縦リブの下端部にヒンジ部を介して連結された傾斜リブと、底部円盤とを備えて合成樹脂材により一体成形されており、底部円盤の周縁部は、前記複数の縦リブに連結された複数の傾斜リブの下端部にヒンジ部を介して連結されている構造とした。かかる錠剤用緩衝材において、中栓はリング状に形成され、該中栓の上面よりすこし下側の内壁面から斜めに円錐形リング状のリブと取手部が一体に形成されているものとするのが好ましい。
【0012】
上記した本発明の錠剤用緩衝材において、縦リブ及び傾斜リブを帯板状に形成するとともに、縦リブの上下方向所定部位の周方向幅を傾斜リブの幅よりも細く形成することができる。
【0013】
また、縦リブの下端部に、螺旋形を呈しておらず傾斜リブに対して真っ直ぐに延びるストレート部を設けることができる。
【0014】
さらに、本発明の錠剤用緩衝材によれば、底部円盤が容器内の錠剤上面に当接することにより中栓に対して相対的に上方に押し上げられると複数の傾斜リブが展開して底部円盤と略平坦となり、これら底部円盤と複数の傾斜リブとによって容器内の錠剤上面を押圧保持し、前記複数の螺旋形の縦リブは、そのねじれ作用によって、展開された複数の傾斜リブと中栓との弾力的な上下方向距離調整を可能にすることができる。
【0015】
さらに、縦リブの下端部は径方向外方に向けて湾曲させることができる。これによれば、緩衝材を錠剤上面に押圧させたときの縦リブのツイスト状のねじれ変形と、縦リブの水平状への展開変形とが、より円滑に行われるようになる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明の錠剤用緩衝材は、容器の充填量の増減変化によって、口上面と錠剤上面の空間の大小に対応する為、又容器の口内径に容易に通過して挿入できるようにし、容器の内径に嵌合する上部リング状中栓の外径より複数の螺旋形の縦リブの外径が小さく形成されていて、容器の口内径に干渉することなく容易に挿入できる。
【0017】
本発明の緩衝材が挿入されると、底部円盤が錠剤上面に接触した時点で、複数の螺旋形の縦リブの下部縁端と複数の傾斜リブの上部縁端を連結しているヒンジ部と傾斜リブの下部縁端と底部円盤の周縁部はヒンジ部にて連結している形体において、複数の傾斜リブは、複数の螺旋形の縦リブが錠剤上面の下方向に押圧されると、複数の傾斜リブは底部円盤の周縁部と連結しているヒンジ部を支点にして、複数の螺旋形の縦リブの下部縁端と複数の傾斜リブの上部縁端と連結しているヒンジ部が錠剤上面の胴内径方向に押圧移動すると、複数の傾斜リブは、底部円盤とともに水平状に展開して錠剤上面を隈なく押圧する押え片に変化した形体となる。
【0018】
更に上部リング状中栓の外径部が容器の口内径に嵌合される時点に、複数の螺旋形の縦リブはヒンジ部を支点にして時計回りにツイストした螺旋形の縦リブが傾斜リブの上面に覆い重なって、弾力性のある補強リブに変形し、複数の螺旋形の縦リブはツイスト状の弾性的リブに変化した形体の錠剤用緩衝材となる。
【0019】
本発明は、このような立体的でシンプルなバケット型の形体でありながら構成している複数の各リブと底部円盤を連結さしている各ヒンジ部の機能によって、複数の螺旋形の縦リブ、複数の傾斜リブ、並びに、底部円盤が容器に挿入後の押圧作用により錠剤上面の押え片に変化する機能を備えている革新的な特徴を有する緩衝材である。
【0020】
バケット型緩衝材の取り出しについては、容器の口内径に嵌合されている上部リング状中栓の上面より少し下側の内壁面から斜めに円錐形リング状のリブと一体に形成されている取手部の円周部の裏側を任意の位置から、人差し指等で引っ掛けて引き上げると容易に取り出すことができる。
【0021】
バケット型緩衝材の形態は、シンプルな複数の螺旋形の縦リブや複数の傾斜リブと底部円盤の形状で、籠のような形態であるので容器に挿入された場合は、錠剤は、複数の螺旋形の縦リブと連結している複数の傾斜リブと底部円盤の内側には、錠剤が飛込まない形体になっている。
【0022】
縦リブが湾曲して錠剤を押圧する平面式や筒状でリブ付きの従来の緩衝材は、容器の振動や衝撃によって、縦リブと縦リブの隙間から錠剤がハイブレーション運動作用で内側に入り込むという致命的欠陥を有していた。然しながら、本発明の緩衝材はシンプルな複数の螺旋形の縦リブや複数の傾斜リブと底部円盤の形状で、籠のような形態であるので容器に挿入された場合は、錠剤は、複数の螺旋形の縦リブと連結している複数の傾斜リブと底部円盤は各ヒンジ機能によって容器の胴部、内径壁まで水平状に展開した錠剤押え片になって錠剤上面を隈無く押圧する形体になっている。故に錠剤が内側に漏れて飛込まない構造と機能を備えている錠剤用緩衝材である。
【0023】
従来の立体的又は平面的な緩衝材は、弾力性を有する合成樹脂材料の低密度ポリエチレン等で成型されているので複雑な形状では、運送時や移動される時に変形の心配があるが、本発明のバケット式緩衝材はリング状中栓付きの籠状の形体であるため変形する要素が極めて少ない為に、外観の品質が安定する特徴と備えた錠剤用緩衝材である。
【0024】
本発明の緩衝材は、複数の螺旋形の縦リブ、複数の傾斜リブ等がシンプルな形体でありながら、錠剤の大きさや形状の変化、容器の口内径や胴内径の変化、錠剤の充填量による容器の上部空間量の変化に効果的にフレキシビリティーに対応でき、汎用性が高く経済的にも顕著な効果が発揮できる画期的特徴を有する錠剤用緩衝材である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施例に係る錠剤用緩衝材を示す一部断面正面図である。
【図2】同緩衝材の底面図である。
【図3】同緩衝材の容器に挿入する状態を示す一部断面外観図である。
【図4】同緩衝材を容器の錠剤上面に傾斜リブと底部円盤が展開し接触した一部断面の外観図である。
【図5】同緩衝材の複数の傾斜リブと底部円盤の展開された上面に、複数の螺旋形の縦リブがツイスト状の形体を形成して錠剤上面を押圧しながら容器の口内径に上部リンク状中栓の外径が軽嵌合した状態を示す外観図である。
【図6】同緩衝材の複数の傾斜リブと底部円盤が展開された状態を示す底面図である。
【図7】同緩衝材を容器から取り出す状態を示す一部断面の外観図である。
【図8】同緩衝材を容器内に装着した状態を示す一部断面の外観図である。
【図9】本発明の第2実施例に係る錠剤用緩衝材を示す一部断面正面図である。
【図10】同緩衝材の平面図である。
【図11】同緩衝材の底面図である。
【図12】同緩衝材の容器に挿入する状態を示す一部断面外観図である。
【図13】同緩衝材を容器の錠剤上面に傾斜リブと底部円盤が展開し接触した一部断面の外観図である。
【図14】同緩衝材の複数の傾斜リブと底部円盤の展開された上面に、複数の螺旋形の縦リブがツイスト状の形体を形成して錠剤上面を押圧しながら容器の口内径に上部リンク状中栓の外径が軽嵌合した状態を示す外観図である。
【図15】同緩衝材の複数の傾斜リブと底部円盤が展開された状態を示す底面図である。
【図16】同緩衝材を容器から取り出す状態を示す一部断面の外観図である。
【図17】同緩衝材を容器内に装着した状態を示す一部断面の外観図である。
【図18】本発明の第3実施例に係る錠剤用緩衝材を示す全体斜視図である。
【図19】同緩衝材の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図示実施例に基づいて説明する。
【0027】
図1〜図8は本発明の第1実施例に係る錠剤用緩衝材Aを示し、図1は一部断面で示す正面図であり、図2は図1の緩衝材の底面図で上部リング状中栓1と底部円盤5と傾斜リブ4がスリット6を隔てて複数等間隔で螺旋形の縦リブ3に連結している図である。
【0028】
先ずは、本発明の錠剤用緩衝材の容器内へ挿入から錠剤上面を押圧する形体に順次変化していく図3から図8に示す実施の形態を説明する。
【0029】
図3は、緩衝材Aが容器Bに挿入し底部円盤5が錠剤C上面に接触した状態を示す一部断面された外観図である。
【0030】
図4は、緩衝材Aを容器Bの錠剤C上面に接触した底部円盤5とヒンジ部4aで連結された複数の傾斜リブ4が、ヒンジ部3aと連結している複数の螺旋形の縦リブ3が錠剤C上面の下方向に押圧により湾曲していくと複数の傾斜リブ4の下部縁端と底部円盤5の周縁部に連結しているヒンジ部4aを支点にして、複数の螺旋形の縦リブ3の下部縁端と複数の傾斜リブ4の上部縁端と連結しているヒンジ部3aが錠剤C上面の容器Bの胴内径方向に押圧移動の作用により複数の傾斜リブ4は底部円盤5と水平状に一体化して錠剤上面を隈なく押圧する錠剤の押え片リブに変化した形体となる。
【0031】
図5は、本発明の緩衝材を容器内に挿入し、上部リング状中栓1の外径部が容器の口内径に嵌合される時点に、複数の螺旋形の縦リブ3のヒンジ部3aを支点にして下部から時計回りにツイストした複数の螺旋形の縦リブ3が傾斜リブ4の上面に覆い重なりツイスト状の弾力性のリブに変化した形体に形成された錠剤用緩衝材である。
【0032】
図6は、緩衝材の傾斜リブ4と底部円盤5が錠剤の押さえ片に展開された形体の上面をヒンジ部3aを支点として複数の螺旋形の縦リブ3が時計回りにツイスト状に押圧された状態で、スリット巾が極めて小さく形成された形体を示す底面図である。
【0033】
図7に示す一部断面の外観図は、バケット式緩衝材の取手部2を指にて引き上げて取り出す状態を示す図である。この取出し用取手部2は上部リング状中栓1の内壁円周上にフランジ状に形成されているから、任意の位置から指先部で取り出せる形体であるから、従来のアンダーカットや舌片状の取出し形体より、取出しが容易である。
【0034】
図8は、バケット式緩衝材Aを挿入してキャップDを装着した一部断面の外観図である。容器Bの内径に軽嵌合された、上部リング状中栓1は容器の口上面より浮き上がらない形体であって、キャップDを閉じた時、上部リング状中栓1の上縁部がキャップのパッキング面に接触しない状態であるから、緩衝材に対する、共周りや捩れの損傷等のトラブルが発生しないので、工程管理や品質管理が効果的に実施できる画期的な特徴のある緩衝材を示している。
【0035】
図9〜図17は本発明の第2実施例に係る錠剤用緩衝材Aを示し、上記第1実施例と異なるところは、縦リブ3の下端部3bが、下方に至るにしたがって径方向外方に向けて湾曲されている点であり、その他の構成については第1実施例と同様であるので同符号を付して詳細説明を省略する。
【0036】
図18及び図19は本発明の第3実施例に係る錠剤用緩衝材を示し、上記第1実施例と同様の構成については同符号を付して詳細説明を省略し、異なる構成、作用効果について説明する。
【0037】
本実施例の緩衝材Aは、適当な弾力性を有する合成樹脂材料による成形品であって上部リング状中栓1上面よりすこし下側の内壁面から斜めに円錐形リング状のリブ2aと取手部2が、一体に形成されていて、上部リング状中栓1の下部からスリット6を隔て等間隔に形成された複数の螺旋形の縦リブ3の下部縁端と複数の傾斜リブ4の上部縁端はヒンジ部3aにて連結し、複数の傾斜リブ4の下部縁端と底部円盤5の周縁部はヒンジ部4aにて連結して、一体的に形成されている。すなわち、緩衝材Aは、錠剤用容器の口部に着脱自在に内嵌される中栓1と、該中栓1の下部から形成され且つ互いに周方向に間隔を有して筒状に配設された複数の螺旋形の縦リブ3と、各縦リブ3の下端部にヒンジ部3aを介して連結された傾斜リブ4と、底部円盤5とを備えて一体成形されており、底部円盤5の周縁部は、前記複数の縦リブ3に連結された複数の傾斜リブ4の下端部にヒンジ部4aを介して連結されている。
【0038】
各縦リブ3及び傾斜リブ4は帯板状に形成されるとともに、図19に仮想線で示すように、縦リブ3の上下方向所定部位、本実施例では縦リブ3の上端部からヒンジ部3aよりも少し上側までの領域の周方向幅が、傾斜リブ4の幅よりも細く形成されている。かかる構成により、縦リブ3がツイスト状に変形し易くなり、より軽い力で円滑にツイスト状の変形動作が行われるようになる。なお、かかる幅狭領域は、縦リブ3の上下方向中間部にのみ設けることもでき、また、上部側にのみ設けてもよい。
【0039】
縦リブ3の下端部には、図19に仮想線で示すように、螺旋形を呈しておらず傾斜リブ4に対して真っ直ぐに延びるストレート部31が設けられている。このストレート部31を設けたことによって、ツイスト状に変形した場合にヒンジ部3aに無理な剪断応力が作用してヒンジ部3aが破断してしまうことを防止できる。
【0040】
本実施例に係る緩衝材Aによれば、底部円盤5が容器内の錠剤上面に当接することにより中栓1に対して相対的に上方に押し上げられると複数の傾斜リブ4が展開して底部円盤5と略平坦となり、これら底部円盤5と複数の傾斜リブ4とによって容器内の錠剤上面を押圧保持し、一方、複数の螺旋形の縦リブ3は、そのねじれ作用によって、展開された複数の傾斜リブ4と中栓1との弾力的な上下方向距離調整を可能にする。
【0041】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、状況に応じて且つ効果を有する範囲内で適宜変更して実施できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、医薬品の錠剤用容器や健康保険剤の錠剤用容器等に、又、一般錠剤用容器に利用できる。
【符号の説明】
【0043】
1 上部リング状中栓
2 取手部
2a 円錐形リング状のリブ
3 複数の螺旋形の縦リブ
3a ヒンジ部
3b 縦リブの下端部
4 複数の傾斜リブ
4a ヒンジ部
5 底部円盤
6 スリット
A 緩衝材
B 容器
C 錠剤
D キャップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
適当な弾力性を有する合成樹脂材料による成形品であって上部リング状中栓(1)上面よりすこし下側の内壁面から斜めに円錐形リング状のリブ(2a)と取手部(2)が、一体に形成されていて、上部リング状中栓(1)の下部からスリット(6)を隔て等間隔に形成された複数の螺旋形の縦リブ(3)の下部縁端と複数の傾斜リブ(4)の上部縁端はヒンジ部(3a)にて連結し、複数の傾斜リブ(4)の下部縁端と底部円盤(5)の周縁部はヒンジ部(4a)にて連結して、一体的に形成されている錠剤用緩衝材。
【請求項2】
適当な弾力性を有する合成樹脂材料による成形品であって、錠剤用容器の口部に着脱自在に内嵌される中栓(1)と、該中栓(1)の下部から形成され且つ互いに周方向に間隔を有して筒状に配設された複数の螺旋形の縦リブ(3)と、各縦リブ(3)の下端部にヒンジ部(3a)を介して連結された傾斜リブ(4)と、底部円盤(5)とを備えて一体成形されており、底部円盤(5)の周縁部は、前記複数の縦リブ(3)に連結された複数の傾斜リブ(4)の下端部にヒンジ部(4a)を介して連結されていることを特徴とする錠剤用緩衝材。
【請求項3】
中栓(1)はリング状に形成され、該中栓(1)の上面よりすこし下側の内壁面から斜めに円錐形リング状のリブ(2a)と取手部(2)とが一体に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の錠剤用緩衝材。
【請求項4】
縦リブ(3)及び傾斜リブ(4)は帯板状に形成されるとともに、縦リブ(3)の上下方向所定部位の周方向幅が傾斜リブ(4)の幅よりも細く形成されていることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の錠剤用緩衝材。
【請求項5】
縦リブ(3)の下端部には、螺旋形を呈しておらず傾斜リブ(4)に対して真っ直ぐに延びるストレート部(31)が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の錠剤用緩衝材。
【請求項6】
底部円盤(5)が容器内の錠剤上面に当接することにより中栓(1)に対して相対的に上方に押し上げられると複数の傾斜リブ(4)が展開して底部円盤(5)と略平坦となり、これら底部円盤(5)と複数の傾斜リブ(4)とによって容器内の錠剤上面を押圧保持し、前記複数の螺旋形の縦リブ(3)は、そのねじれ作用によって、展開された複数の傾斜リブ(4)と中栓(1)との弾力的な上下方向距離調整を可能にすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の錠剤用緩衝材。
【請求項7】
縦リブ(3)の下端部は径方向外方に向けて湾曲していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の錠剤用緩衝材。
【請求項1】
適当な弾力性を有する合成樹脂材料による成形品であって上部リング状中栓(1)上面よりすこし下側の内壁面から斜めに円錐形リング状のリブ(2a)と取手部(2)が、一体に形成されていて、上部リング状中栓(1)の下部からスリット(6)を隔て等間隔に形成された複数の螺旋形の縦リブ(3)の下部縁端と複数の傾斜リブ(4)の上部縁端はヒンジ部(3a)にて連結し、複数の傾斜リブ(4)の下部縁端と底部円盤(5)の周縁部はヒンジ部(4a)にて連結して、一体的に形成されている錠剤用緩衝材。
【請求項2】
適当な弾力性を有する合成樹脂材料による成形品であって、錠剤用容器の口部に着脱自在に内嵌される中栓(1)と、該中栓(1)の下部から形成され且つ互いに周方向に間隔を有して筒状に配設された複数の螺旋形の縦リブ(3)と、各縦リブ(3)の下端部にヒンジ部(3a)を介して連結された傾斜リブ(4)と、底部円盤(5)とを備えて一体成形されており、底部円盤(5)の周縁部は、前記複数の縦リブ(3)に連結された複数の傾斜リブ(4)の下端部にヒンジ部(4a)を介して連結されていることを特徴とする錠剤用緩衝材。
【請求項3】
中栓(1)はリング状に形成され、該中栓(1)の上面よりすこし下側の内壁面から斜めに円錐形リング状のリブ(2a)と取手部(2)とが一体に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の錠剤用緩衝材。
【請求項4】
縦リブ(3)及び傾斜リブ(4)は帯板状に形成されるとともに、縦リブ(3)の上下方向所定部位の周方向幅が傾斜リブ(4)の幅よりも細く形成されていることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の錠剤用緩衝材。
【請求項5】
縦リブ(3)の下端部には、螺旋形を呈しておらず傾斜リブ(4)に対して真っ直ぐに延びるストレート部(31)が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の錠剤用緩衝材。
【請求項6】
底部円盤(5)が容器内の錠剤上面に当接することにより中栓(1)に対して相対的に上方に押し上げられると複数の傾斜リブ(4)が展開して底部円盤(5)と略平坦となり、これら底部円盤(5)と複数の傾斜リブ(4)とによって容器内の錠剤上面を押圧保持し、前記複数の螺旋形の縦リブ(3)は、そのねじれ作用によって、展開された複数の傾斜リブ(4)と中栓(1)との弾力的な上下方向距離調整を可能にすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の錠剤用緩衝材。
【請求項7】
縦リブ(3)の下端部は径方向外方に向けて湾曲していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の錠剤用緩衝材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図19】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図19】
【図18】
【公開番号】特開2009−280281(P2009−280281A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33861(P2009−33861)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000206185)大成化工株式会社 (83)
【出願人】(592066583)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000206185)大成化工株式会社 (83)
【出願人】(592066583)
【Fターム(参考)】
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