説明

錠剤製剤

【課題】多数の有効成分の放出を正確に制御して、所定の放出速度及びより効果的な錠剤製剤を確保することのできる放出及び吸収の制御されたせき/かぜ用錠剤製剤を提供する。
【解決手段】放出及び吸収の制御されたせき/かぜ用錠剤製剤は、多数の有効成分、特に抗ヒスタミン剤、充血緩和剤及びせき抑制剤を薬学的に許容し得る賦形剤と共に含有する錠剤コアを有している。特異な透過性膜が、コアを囲みかつ該コア中に存在する有効成分の少なくとも一種を含有し、該膜は、各有効成分に対して不透過性である構成成分の多量と、錠剤が水性環境に置かれた時に、該コア中に存在する各有効成分及び薬学的に許容し得る賦形剤が制御された放出及び吸収を可能にする速度で出ていくことを許す構成成分の少量とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放出の制御された医薬製剤(controlled release pharmaceutical formulations)、特に多数の有効成分(multiple active ingredients)を含有している放出の制御されたせき/かぜ(cough/cold)用錠剤製剤に係る。
【背景技術】
【0002】
多数の有効成分含有製剤、中でも普通のかぜ及びインフルエンザの治療用の製剤は知られている。かかる製剤は、鼻及び洞の充血、はなかぜ、くしゃみ、熱、軽い咽喉炎、痛み(pain)、身体疼痛(body aches)、並びに枯草熱、その他の呼吸器アレルギーのような症状からの軽減を与える証明された有効な方法である。かかる製剤は、従来の即時放出製剤である。上記した範囲の症状を軽減するのに有効な多数の有効成分含有製剤は、今まで、放出及び吸収の制御された製剤においては得られていなかった。
【0003】
かくして、ベルギー特許第900,824号明細書には、錠剤のコアを囲んでいる特異な透過性膜を通して、全錠剤重量の約66重量%を示している塩化カリウムを放出するための、放出の制御された錠剤製剤が開示されている。
【0004】
GB−A(英国特許出願公開)第2218905号明細書には、錠剤コアを囲んでいる特異な透過性膜を通して、錠剤の少なくとも80重量%の量で存在している錠剤の塩化カリウム構成成分を放出するための、放出の制御された錠剤製剤が開示されている。
【0005】
有効成分が、錠剤コアを囲んでいる特異な透過性膜を通して放出される単一有効成分の放出の制御された錠剤製剤が知られている。
本明細書で使用する「せき/かぜ」という用語は、鼻及び洞の充血、はなかぜ、くしゃみ、熱、軽い咽喉炎、痛み、身体疼痛、並びに枯草熱、その他の呼吸器アレルギーのような症状を包含するように意図されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多数の有効成分の放出を正確に制御して、所定の放出速度及びより有効な錠剤製剤を確保することのできる、該多数の有効成分を含有する放出並びに吸収の制御されたせき/かぜ用錠剤製剤の改良を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明は、多数の有効成分を薬学的に許容し得る賦形剤と共に含有している錠剤コアと、該コアを囲みかつ該コア中に存在する有効成分の少なくとも一種を含んでいる特異な透過性膜とを包含し、該膜が、各有効成分に対して不透過性である構成成分(component)の多量と、錠剤が水性環境に置かれた時に、コア中に存在する各有効成分及び薬学的に許容し得る賦形剤がそれらの制御された放出及び吸収を可能にする速度で出ていくことを許す構成成分の少量とを含んでいることを特徴とする放出及び吸収の制御されたせき/かぜ用錠剤製剤を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一つの実施態様において、特異な透過性膜には、各有効成分に対して透過性である水溶性構成成分及び各有効成分に対して不透過性である水不溶性構成成分が包含され、水溶性構成成分は、錠剤が水性環境中に置かれた時に、溶解して、コア中に存在する各有効成分及び薬学的に許容し得る賦形剤がそれらの制御された放出及び吸収を可能にする速度で出ていくことを許す孔の発生をもたらす。
【0009】
好ましくは、錠剤コア中の有効成分には、抗ヒスタミン剤、充血緩和剤及び一種のせき抑制剤が包含されている。最も特別には、錠剤コアには、抗ヒスタミン剤、充血緩和剤及び二種のせき抑制剤が包含されている。
【0010】
好ましい実施態様において、錠剤コアには、クロルフェニラミン マレエート、フェニルプロパノラミン塩酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩及びノスカピン塩酸塩が含まれている。
【0011】
また、錠剤コアには、水性環境においてそのコアから液体流を生じさせる一種以上の可溶性の高い成分が含まれ得る。この可溶性の高い成分は、多数の有効成分自体又は各有効成分自体であることができるが、また適当には、塩化カリウム、重炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、コハク酸若しくは酒石酸又はその混合物であることができる。
【0012】
クロルフェニラミン マレエートは、抗ヒスタミン剤であり、くしゃみ、はなかぜ並びに眼、鼻及び咽喉のかゆみを軽減するのに役立つ。クロルフェニラミン マレエートによる方が、多くの他の抗ヒスタミン剤によるよりも、嗜眠状態が生じるのが少ないようであり、そしてこのクロルフェニラミン マレエートは、昼間用のこの種の薬剤のうちで最も適当なものの一つである。
【0013】
フェニルプロパノラミン塩酸塩は、充血緩和剤であり、鼻の通路及び洞の充血を軽減するのを助けることによって自由な呼吸を容易にする。この塩酸塩は、CNS(中枢神経系)の刺激と関連する副作用を、同じクラスの他の薬物ほど生じないようである。
【0014】
二種のせき抑制剤化合物であるデキストロメトルファン臭化水素酸塩及びノスカピン塩酸塩の使用により、追加の有利な効果が与えられるが、いずれかの化合物の投与量の増加と関連する副作用が回避される。これらの化合物は、からせき、持続性の(persistent)せき、湿性でないせきを軽減するために、そして意識的制御下でせき反射を導く意図をもって混和される。デキストロメトルファン臭化水素酸塩及びノスカピン塩酸塩は、両方とも、中枢的機能に従って作用し、多幸感又は嗜眠状態を生じず、又、依存性を生じそうもない。
【0015】
放出及び吸収を制御する単一剤形中で上記四種の有効成分を組合せることによって、せき及びかぜと関連した症状と戦う最も有効な手段が提供される。「せき/かぜ」という用語によって本発明に包含される症状の大多数を目標として設定するように設計された吸収の制御された単一の錠剤製剤によって、従来の即時放出性のせき/かぜ療法以上に又該四種の成分を全ては含んでいない吸収の制御された併用療法以上に利点が与えられる。
【0016】
錠剤コアからの該四種の有効成分の放出速度にわたって効果的にプログラムされた制御を与える膜バリヤ(membrane barrier)を使用することによって、剤形の寸法をまさに許容限界に維持し、錠剤の摂取を容易にすることが確保される。各有効成分の放出速度は、胃粘膜を刺激しない速度であり、この速度は、適当には、米国薬局方XXI記載のパドル法に従って水中で測定された時、次の溶解分布、
(a)各有効成分の15〜40%が、1.5時間後の測定で放出されること、
(b)各有効成分の35〜65%が、3時間後の測定で放出されること、及び
(c)各有効成分の75%以上が、6時間後の測定で放出されること
に実質的に対応する溶解速度として、生体外で測定される。
【0017】
好ましくは、上記製剤は、四種の成分、クロルフェニラミン マレエート、フェニルプロパノラミン塩酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩及びノスカピン塩酸塩を、ほぼ0.1:1:0.7:0.7の重量比で含んでなっている。代表的な錠剤は、次の組成を有している。
【0018】
【表1】

【0019】
錠剤の投与に続く作用の迅速な開始(on−set)のための該有効成分の即時放出のために、膜中に有効成分の少なくとも一種、好ましくは二種以上を、錠剤当たりの全有効成分濃度の約10%の濃度で有していることが好ましい。
【0020】
従って、本発明の好ましい実施態様によれば、有効成分、クロルフェニラミン マレエート、フェニルプロパノラミン塩酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩及びノスカピン塩酸塩を、薬学的に許容し得る賦形剤と共に含有している錠剤コアを包含し、該コアを囲んでいる特異な透過性膜が有効成分、クロルフェニラミン マレエート、デキストロメトルファン臭化水素酸塩及びノスカピン塩酸塩を含有しているような放出及び吸収の制御された錠剤製剤が提供される。
【0021】
錠剤コアは、好ましくは、脆くない(nonfriable)、特異な透過性膜の適用に耐えるのに充分硬い錠剤コアを与えるドライブレンド(dry blend)直接圧縮技術を用いて製造される。
【0022】
好ましくは、硬度は、最少40ニュートン(newton)及び脆砕性(friability)1.0重量%以下である。
特異な透過性膜の厚さは、好ましくは、200〜1500μmである。
【0023】
膜の有効成分不透過性構成成分は、水不溶性であるが、随時水透過性である。
有効成分が出ていくことを可能にする膜の少量構成成分は、水中で溶解して、水性環境中でコアから有効成分及び賦形剤が出ていくことを可能にする孔の発生をもたらす水溶性材料であってもよい。
【0024】
あるいはまた、有効成分が出ていくことを可能にする膜の少量構成成分は、水、有効成分及び関連賦形剤のそれぞれに対して透過性であってもよい。膜の該少量構成成分はまた多孔であってもよい。
【0025】
さらに、有効成分透過性構成成分は、それが存在する場合、有効成分に対する膜の透過性が水性環境中でpHとともに変動するように、pH依存の溶解性又は多孔性を示してもよい。
【0026】
有効成分透過性構成成分は、それが存在する場合、pHに依存しない溶解性又は多孔性を示してもよい。
膜の有効成分不透過性構成成分のための好ましい材料は、エチルセルロース、ポリ塩化ビニル、メチルセルロース、ポリウレタン、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ユードラギット(EUDRAGIT)RS(EUDRAGIT RSは商標である)及びシェラックである。
【0027】
pH依存性である膜の有効成分透過性構成成分のための好ましい材料は、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセテート フタレート、ユードラギット(EUDRAGIT)L(EUDRAGIT Lは、商標である)、ユードラギット(EUDRAGIT)S(EUDRAGIT Sは、商標である)、メチルセルロースフタレート、ヒドロキシエチルセルロース フタレート及びヒドロキシプロピルメチルセルロース フタレートである。
【0028】
pH依存性でない膜の有効成分透過性構成成分のための好ましい材料は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ユードラギット(EUDRAGIT)RL(EUDRAGIT RLは、商標である)、フマル酸、クエン酸、酒石酸、クエン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、単糖類及び二糖類、ヒドロキシプロピルメチル セルロース、ポリエチレングリコール並びにプロピレングリコールである。
【0029】
特に適当な単糖類はグルコースである。
ユードラギット ポリマーは、透過性を変えるアクリレート及び/又はメタクリレートに基づいた重合体ラッカー物質である。
【0030】
より詳細には、ユードラギット ポリマーは、アクリレート及び/又はメタクリレートに基づいた重合体ラッカー物質である。ユードラギット(EUDRAGIT)RS及びRLは、低含量の第四級アンモニウム基を有するアクリル酸及びメタクリル酸のエステルのコポリマーを包含しているアクリル樹脂であり、ローム ファルマ社(Messrs.Rohm Pharma GmbH)のパンフレット“ユードラギット(EUDRAGIT)”(1986)中に記載されている。ユードラギット RL及びRSは、それぞれpHに依存せずに、自由に透過性(RL)又はわずかに透過性(RS)である。ユードラギット(EUDRAGIT)L及びSは、同じパンフレット中に記載されており、pH依存性の透過性を有している。
【0031】
特異な透過性膜は、好ましくは、選ばれた有効成分を、少なくとも一種の有効成分透過性構成成分及び少なくとも一種の有効成分不透過性構成成分とともに、それぞれの適当な溶剤中に、通常の態様でエアスプレー(air spray)又はエアレススプレー(airless spray)システムを用いて噴霧することを可能にする濃度で、溶解することによって形成される。好ましくは、有効成分は、錠剤当たりの有効成分の全濃度の約10%の濃度の、クロルフェニラミン マレエート、デキストロメトルファン臭化水素酸塩及びノスカピン塩酸塩である。好ましくは、各膜構成成分の使用濃度は、含まれる材料及び得られる溶液の粘度に依って、0.5%と7.5%との間で変動する。
【0032】
膜構成成分の各溶液には、可塑剤のような噴霧を容易にする添加剤又は着色剤及び不透明剤(opacifiers)のような他の添加剤が一種以上含まれていてもよい。しかしながら、これらの添加剤は、形成される膜の特質に実質的に影響を与えない。錠剤コアを被覆する際に使用される最終溶液は、可溶性/透過性構成成分の溶液と不溶性/不透過性構成成分の溶液とを、可溶性構成成分対不溶性構成成分の割合が好ましくは1:8と8:1との間にあるように混合することによって製造される。顔料、可塑剤、着色剤その他の通常の添加剤もまた、最終溶液に添加されてもよい。
【0033】
好ましくは、膜は、エアスプレーシステム又はエアレススプレーシステム及び標準錠剤被覆装置を使用して噴霧することによって、錠剤コアの周りに形成される。上記したように、特異な透過性膜は、好ましくは、錠剤当たりの重量増加2〜15%に対応する200〜1500μmの厚さを有している。噴霧後、被覆された錠剤は、104〜122°F(40〜50℃)で約8時間オーブン乾燥される。
【0034】
膜で被覆された錠剤は、コア錠剤中の有効成分及び賦形剤の溶解性並びに膜組成によって決められる溶解速度を持っている。すでに示されたように、有効成分の作用の迅速な開始を達成するためには、少なくとも一種の有効成分の即時放出のために役立つ量を有することが好ましい。
【実施例】
【0035】
本発明を次の実施例によってさらに説明する。
実施例1
エアロシル(Aerosil)200(Aerosilは、商標である)及びステアリン酸マグネシウムを除いて、錠剤成分の全てを、20メッシュ篩の取付けられたハンマーミルを通過させた。
【0036】
圧縮できる砂糖(3.616kg)、塩化カリウム(1.607kg)及びクロルフェニラミン マレエート(0.58kg)を、クロスフローブレンダー(crossflow blender)中に入れ、10分間一緒にブレンドした。この配合物に、フェニルプロパノラミン塩酸塩(0.36kg)、デキストロメトルファン臭化水素酸塩(0.434kg)、ノスカピン塩酸塩(0.434kg)及びエアロシル200(Aerosil 200)(0.018kg)を添加し、全混合物をさらに20分間ブレンドした。次いで、ステアリン酸マグネシウム(0.037kg)及びステアリン酸(0.074kg)を添加し、他の成分とともに5分間ブレンドした。
【0037】
配合物を、13mm×7mmの寸法を有する普通の標準凹面卵形パンチ(plain standard concave oval punches)の取付けられた回転式錠剤プレス上で圧縮した。錠剤は、436mg/錠の重量で圧縮された。
【0038】
被覆されなかった錠剤コアを、四種の有効成分のうちの次の三種を次の量で含有している溶液で被覆した。
【0039】
【表2】

【0040】
上記量の有効成分を次の成分からなる溶液中に混合し、上記被覆溶液とした。
【0041】
【表3】

【0042】
SD3Aは、工業用変性アルコール(メチル化アルコール)の商品名である。
膜被覆用溶液を、アクセラ コータ(Accela Cota)(Accela Cotaは、商標である)(10″パン)被覆装置を用いて、錠剤コアに適用した。コアに、10%の重量増加が達成されるまで、被覆溶液を噴霧した。引き続いて、膜被覆錠剤を、104°〜122°F(40°〜50℃)で、8時間以上の間、オーブン乾燥した。最終段階として、精製水(0.90kg)中のドリクレアー(Driklear)(Driklearは、商標である)(0.10kg)化粧品コーティング(coating)及びクロマトーン(Chromatone)(Chromatoneは、商標である)(0.10kg)顔料コーティングの混合物からなるコーティングを適用した。ドリクレアー及びクロマトーンは、両方とも、クロンプトン アンド ノウルス(Crompton and Knowles)社によって製造されている。媒体として水を使用して米国薬局方XXI記載のパドル法によって試験した時、各有効成分の溶解速度が、表1に示されたように測定された。
【0043】
【表4】

【0044】
実施例2
エアロシル200及びステアリン酸マグネシウムを除いて、錠剤成分の全てを、20メッシュ篩の取付けられたハンマーミルを通過させた。
【0045】
圧縮できる砂糖(7.332kg)、塩化カリウム(3.214kg)及びクロルフェニラミン マレエート(0.116kg)を、クロスフローブレンダー中に入れ、10分間一緒にブレンドした。この配合物に、フェニルプロパノラミン塩酸塩(1.46kg)、デキストロメトルファン臭化水素酸塩(0.868kg)、ノスカピン塩酸塩(0.868kg)及びエアロシル200(0.036kg)を添加し、全混合物をさらに20分間ブレンドした。次いで、ステアリン酸マグネシウム(0.074kg)及びステアリン酸(0.148kg)を添加し、他の成分とともに5分間ブレンドした。
【0046】
配合物を、13mm×7mmの寸法を有する普通の標準凹面卵形パンチの取付けられた回転式錠剤プレス上で圧縮した。錠剤は、436mg/錠の重量で圧縮された。
次の成分、
【0047】
【表5】

【0048】
からなる溶液中に混合された該四種の有効成分のうちの以下の量の三種、
【0049】
【表6】

【0050】
を含有する溶液を用いて、被覆されなかった錠剤コアを被覆した。
膜被覆用溶液を、アクセラ コータ(10″パン)被覆装置を用いて、錠剤コアに適用した。コアに、10.5%の重量増加が達成されるまで、被覆溶液を噴霧した。引き続いて、膜被覆錠剤を、104°〜122°F(40°〜50℃)で、8時間以上オーブン乾燥した。最終段階として、精製水(1.80kg)中のドリクレアー(0.20kg)及びクロマトーン(0.20kg)の混合物からなる化粧品コーティングを適用した。媒体として水を使用する米国薬局方XXI記載のパドル法によって試験した時、各有効成分の溶解速度が表2に示されたように測定された。
【0051】
【表7】

【0052】
実施例3
エアロシル200及びステアリン酸マグネシウムを除いて、錠剤成分の全てを、20メッシュ篩の取付けられたハンマーミルを通過させた。
【0053】
圧縮できる砂糖(67.5kg)、塩化カリウム(30.0kg)及びクロルフェニラミン マレエート(1.08kg)を、クロスフローブレンダー中に入れ、10分間一緒にブレンドした。この配合物に、フェニルプロパノラミン塩酸塩(13.5kg)、デキストロメトルファン臭化水素酸塩(8.1kg)、ノスカピン塩酸塩(8.1kg)及びエアロシル200(0.33kg)を添加し、全混合物をさらに20分間ブレンドした。次いで、ステアリン酸マグネシウム(0.69kg)及びステアリン酸(1.38kg)を添加し、他の成分とともに5分間ブレンドした。
【0054】
配合物を、13mm×7mmの寸法を有する普通の標準凹面卵形パンチの取付けられた回転式錠剤プレス上で圧縮した。錠剤は、436mg/錠の重量で圧縮された。
次の成分、
【0055】
【表8】

【0056】
からなる溶液中に混合された該四種の有効成分のうちの以下の量の三種、
【0057】
【表9】

【0058】
を含有する溶液を用いて、被覆されなかった錠剤コアを被覆した。
膜被覆用溶液を、アクセラ コータ(48″パン)被覆装置を用いて、錠剤コアに適用した。コアに、9%の重量増加が達成されるまで、被覆溶液を噴霧した。引き続いて、膜被覆された錠剤を、104°〜122°F(40°〜50℃)で、8時間以上の間、オーブン乾燥した。最終段階として、精製水(16.65kg)中のドリクレアー(1.85kg)及びクロマトーン(1.85kg)の混合物からなる化粧品コーティングを適用した。媒体として水を使用する米国薬局方XXI記載のパドル法によって試験した時、各有効成分の溶解速度が表2に示されたように測定された。
【0059】
【表10】

【0060】
実施例4
被覆されなかった錠剤を、実施例3で要点を述べたように製造した。
錠剤コアを、11.25%の重量増加が得られるまで、48″パンの取付けられたアクセラ コータ内で被覆した。使用した被覆溶液組成は、実施例3で要点を述べたものと同等であった。
【0061】
オーブン乾燥し、化粧品コーティングを適用した後、錠剤は、媒体として水を用いる米国薬局方XXI記載のパドル法によって試験した時に、次の溶解速度を生じた。各有効成分の溶解速度は、表4に示されたように測定された。
【0062】
【表11】

【0063】
例示した錠剤の場合に、速度制御膜被覆は、所望の速度で、錠剤から溶液中に水が入っていくこと及び薬物が出ていくことを可能にする。指示された薬物の少量が即時作用のために迅速に放出され、一方、錠剤の全表面にわたるより遅い均一な放出により、普通のかぜの症状からの効果的軽減が12時間までの間与えられる。一日に二度服用される本発明による錠剤の一錠は、普通のかぜの症状からの一日を通して変わらぬ軽減を与えまた安らかな夜の睡眠を容易にし、それによって普通のかぜの不快及び症状を軽減する。
【0064】
本発明は、上記した実施態様に限定されず、本発明の範囲から離れることなく、改良され及び/又は変動され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の有効成分を薬学的に許容し得る賦形剤と共に含有している錠剤コアと、該コアを囲みかつ該コア中に存在する有効成分の少なくとも一種を含んでいる特異な透過性膜とを包含し、該膜が、各有効成分に対して不透過性である構成成分の多量と、錠剤が水性環境に置かれた時に、コア中に存在する各有効成分及び薬学的に許容し得る賦形剤がそれらの制御された放出並びに吸収を可能にする速度で出ていくことを許す構成成分の少量とを含んでいることを特徴とする放出及び吸収の制御されたせき/かぜ用錠剤製剤。
【請求項2】
特異な透過性膜が、各有効成分に対して透過性である水溶性構成成分と、各有効成分に対して不透過性である水不溶性構成成分とを含み、該水溶性構成成分は、錠剤が水性環境中に置かれた時に、溶解して、該コア中に存在する各有効成分及び薬学的に許容し得る賦形剤が制御された放出並びに吸収を可能にする速度で出ていくことを許す孔の発生をもたらすことを特徴とする請求項1に記載の放出及び吸収の制御されたせき/かぜ用錠剤製剤。
【請求項3】
錠剤コアの成分が、抗ヒスタミン剤、充血緩和剤及びせき抑制剤を含んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載の放出及び吸収の制御されたせき/かぜ用錠剤製剤。
【請求項4】
錠剤コアが、抗ヒスタミン剤、充血緩和剤及び二種のせき抑制剤を含んでいることを特徴とする請求項3に記載の放出及び吸収の制御されたせき/かぜ用錠剤製剤。
【請求項5】
錠剤コアが、クロルフェニラミン マレエート、フェニルプロパノラミン塩酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩及びノスカピン塩酸塩を含有していることを特徴とする請求項4に記載の放出及び吸収の制御されたせき/かぜ用錠剤製剤。
【請求項6】
クロルフェニラミン マレエート、フェニルプロパノラミン塩酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩及びノスカピン塩酸塩が、約0.1:1:0.7:0.7の重量比で存在していることを特徴とする請求項5に記載の放出及び吸収の制御されたせき/かぜ用錠剤製剤。
【請求項7】
錠剤コアが、水性環境において該コアからの液体流を生じさせる一種以上の可溶性の高い成分を含有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の放出及び吸収の制御されたせき/かぜ用錠剤製剤。
【請求項8】
可溶性の高い成分が、多数の有効成分自体若しくは各有効成分自体、塩化カリウム、重炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸又はそれらの混合物によって表わされることを特徴とする請求項7に記載の放出及び吸収の制御されたせき/かぜ用錠剤製剤。
【請求項9】
各有効成分の放出速度が、胃粘膜を刺激しない速度であり、該速度が、水中で米国薬局方XXI記載のパドル法に従って測定された時に、次の溶解分布、
(a)各有効成分の15〜40%が、1.5時間後の測定で放出されていること、
(b)各有効成分の35〜65%が、3時間後の測定で放出されていること、及び
(c)各有効成分の75%以上が、6時間後の測定で放出されていること
に実質的に対応する溶解速度として、生体外で測定されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の放出及び吸収の制御されたせき/かぜ用錠剤製剤。
【請求項10】
特異な透過性膜が、錠剤の投与に続く作用の迅速な開始のための有効成分の即時放出のために、有効成分の少なくとも一種を含有していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の放出及び吸収の制御されたせき/かぜ用錠剤製剤。
【請求項11】
特異な透過性膜中の多数の有効成分又は各有効成分の濃度が、錠剤中の該各有効成分の全量の約10%の濃度であることを特徴とする請求項10に記載の放出及び吸収の制御されたせき/かぜ用錠剤製剤。
【請求項12】
膜の有効成分不透過性構成成分が、多数の有効成分又は各有効成分及び水に対してわずかに透過性であるエチルセルロース、ポリ塩化ビニル、メチルセルロース、ポリウレタン、酢酸セルロース、ポリカーボネート、シェラック又はアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルのコポリマーから選ばれることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の放出及び吸収の制御されたせき/かぜ用錠剤製剤。
【請求項13】
有効成分透過性構成成分が、pH依存の溶解性又は多孔性を示し、又、多数の有効成分又は各有効成分及び水に対して自由に透過性である酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセテート フタレート、メチルセルロースフタレート、ヒドロキシエチルセルロース フタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース フタレート、又はアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルのコポリマーから選ばれることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の放出及び吸収の制御されたせき/かぜ用錠剤製剤。
【請求項14】
有効成分透過性構成成分が、pHに依存しない溶解性又は多孔性を示し、又、多数の有効成分又は各有効成分及び水に対して自由に透過性であるポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、フマル酸、クエン酸、酒石酸、クエン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、単糖類、二糖類、ヒドロキシプロピルメチル セルロース、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール又はアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルのコポリマーから選ばれることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の放出及び吸収の制御されたせき/かぜ用錠剤製剤。

【公開番号】特開2010−209108(P2010−209108A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117145(P2010−117145)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【分割の表示】特願2005−225315(P2005−225315)の分割
【原出願日】平成5年5月27日(1993.5.27)
【出願人】(507250508)エラン・ファルマ・インターナショナル・リミテッド (23)
【Fターム(参考)】