説明

錯体、オレフィン重合用触媒及びオレフィン重合体の製造方法

【課題】オレフィンを重合して得られる重合体を、優れた重合活性で製造し得るオレフィン重合用触媒、前記オレフィン重合用触媒を構成する触媒成分としての錯体、および前記オレフィン重合用触媒を用いるオレフィン重合体の製造方法を提供すること。
【解決手段】オレフィンを重合して得られる重合体を、優れた重合活性で製造し得るオレフィン重合用触媒、前記オレフィン重合用触媒を構成する触媒成分としての錯体、および前記オレフィン重合用触媒を用いるオレフィン重合体の製造方法を提供すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錯体、オレフィン重合用触媒及びオレフィン重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チーグラ・ナッタ型触媒により大いに発展したオレフィン重合の化学において、近年、メタロセン触媒の開発がトピックスの一つである。最近ではさらなる精密な重合プロセスを構築するための触媒として、所謂ポストメタロセン系触媒の開発が注目されている。
【0003】
非特許文献1では、架橋ジフェノキシチタン錯体を用いた、ヘキセン重合、プロピレン重合が報告されているが、重合活性の観点から改善の余地がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Angewandte Chemie International Edition, 2011, Volume 50, 3529-3532
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、オレフィンを重合して得られる重合体を、優れた重合活性で製造し得るオレフィン重合用触媒、前記オレフィン重合用触媒を構成する触媒成分としての錯体、および前記オレフィン重合用触媒を用いるオレフィン重合体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意検討することにより本発明により上記課題を解決できることを見出した。
【0007】
本発明は、下記一般式(1)で表される錯体を含むオレフィン重合用触媒に関するものである。


(式中、矢印は配位結合を表し、Mは、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、
は、
水素原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、
炭素原子数2〜20のアルケニル基、
炭素原子数7〜20のアラルキル基、
炭素原子数6〜20のアリール基、または
炭素原子数1〜20のハイドロカルビルシリル基を表す。
、R、およびR12は、同一または相異なり、
水素原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、
炭素原子数2〜20のアルケニル基、
炭素原子数7〜20のアラルキル基、または
炭素原子数6〜20のアリール基を表す。
〜R11は、同一または相異なり、
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、
炭素原子数2〜20のアルケニル基、
炭素原子数2〜20のアルキニル基、
炭素原子数7〜20のアラルキル基、
炭素原子数6〜20のアリール基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビルシリル基、または
炭素原子数3〜20のヘテロ環式化合物残基を表し、
およびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR10、R10およびR11は、連結して環を形成してもよく、該環は置換基を有していてもよい。
Zは、炭素原子数1〜50の架橋基である。ZおよびRは、連結して環を形成してもよい。
Xは、同一または相異なり、
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、
炭素原子数2〜20のアルケニル基、
炭素原子数7〜20のアラルキル基、
炭素原子数6〜20のアリール基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビルシリル基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビルアミノ基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビルチオラート基、または
炭素原子数1〜20のハイドロカルビルカルボニルオキシ基を表す。
隣接するX同士は、連結して環を形成してもよい。
Lは中性のルイス塩基を表す。Lが複数ある場合は、複数のLは同一でも異なっていてもよい。nは、0、1、または2である。)
【0008】
また、本発明は上記重合用触媒を用いてオレフィンを重合する、オレフィン単独重合体またはオレフィン共重合体の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、オレフィンを重合して得られる重合体を、優れた重合活性で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例11および12で得られた重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定された分子量分布曲線を示す。Aは、ポリスチレン換算の分子量を表し、dwt/d(log A)は強度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
式(1)で表される錯体について説明する。

【0012】
Mは、ジルコニウム原子またはハフニウム原子である。
〜R11は、同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数2〜20のアルキニル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、炭素原子数1〜20のハイドロカルビルシリル基、または炭素原子数3〜20のヘテロ環式化合物残基を表す。
【0013】
およびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR10、R10およびR11は、連結して環を形成してもよく、該環は置換基を有していてもよい。
〜R11はハロゲン原子、またはハイドロカルビルシリル基を置換基として有していてもよい。
【0014】
〜R11として好ましくは、同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数1〜20のハイドロカルビルシリル基、または炭素原子数3〜20のヘテロ環式化合物残基であり、より好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、または炭素原子数3〜20のヘテロ環式化合物残基であり、さらに好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、または炭素原子数3〜20のヘテロ環式化合物残基である。
【0015】
一般式(1)において、RおよびR11の組み合わせ、RおよびR10の組み合わせ、RおよびRの組み合わせ、RおよびRの組み合わせのうち、少なくとも一つの組み合わせが相異なる錯体が好ましい。すなわち、少なくともRとR11が互いに異なるか、RとR10が互いに異なるか、RとRが互いに異なるか、RとRが互いに異なる。
【0016】
、R、RおよびR11は、好ましくは水素原子である。RおよびRは同一または相異なり、好ましくはハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数1〜20のハイドロカルビルシリル基、または炭素原子数3〜20のヘテロ環式化合物残基である。
【0017】
〜R11におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは臭素原子およびヨウ素原子である。
〜R11における炭素原子数1〜20のアルキル基としては、アルキル基上の水素原子がヒドロカルビルシリル基に置換されていてもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−エイコシル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、トリメチルシリルメチル基、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロ−n−プロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パーフルオロ−sec−ブチル基、パーフルオロイソブチル基、パーフルオロ−tert−ブチル基、パーフルオロ−n−ペンチル基、パーフルオロイソペンチル基、パーフルオロ−tert−ペンチル基、パーフルオロネオペンチル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、パーフルオロ−n−ヘプチル基、パーフルオロ−n−オクチル基、パーフルオロ−n−デシル基、パーフルオロ−n−ドデシル基、パーフルオロ−n−ペンタデシル基、パーフルオロ−n−エイコシル基、などが挙げられ、好ましくは、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、1−エチル−1−メチルプロピル基などの炭素原子数4〜10のアルキル基であり、より好ましくは、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基などの炭素原子数4〜8の分枝状アルキル基であり、さらに好ましくは、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基などの炭素原子数4〜8の第3級アルキル基である。
【0018】
〜R11における炭素原子数3〜10のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−インダニル基、2−インダニル基、ノルボルニル基、ボルニル基、メンチル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基などが挙げられ、好ましくはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−インダニル基、2−インダニル基、ノルボルニル基、ボルニル基、メンチル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基などの炭素原子数5〜10のシクロアルキル基であり、より好ましくは、ノルボルニル基、ボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基などの炭素原子数6〜10の多環式シクロアルキル基である。
【0019】
〜R11における炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2,3−ジブロモフェニル基、2,4−ジブロモフェニル基、あるいは2,5−ジブロモフェニル基などが挙げられ、好ましくはフェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基などのアルキル基で置換されていてもよい炭素原子数1〜10のフェニル基;2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基などのフッ素化フェニル基;2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基などのフッ素化アルキルフェニル基であり、より好ましくはフェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,6−キシリル基、3,5−キシリル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基などのアルキル基で置換されていてもよい炭素原子数1〜6のフェニル基;2−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基などの、2位にフッ素原子を置換基として有するフッ素化フェニル基である。
【0020】
〜R11における炭素原子数1〜20のハイドロカルビルシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリイソブチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、メチルビス(トリメチルシリル)シリル基、ジメチル(トリメチルシリル)シリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基などが挙げられ、好ましくはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基などの炭素原子数3〜20のトリアルキルシリル基;メチルビス(トリメチルシリル)シリル基、ジメチル(トリメチルシリル)シリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基などの炭素原子数5〜20のシリル基を置換基として有するシリル基が挙げられる。
【0021】
〜R11における炭素原子数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、パーフルオロメトキシ基、パーフルオロエトキシ基、パーフルオロ−n−プロポキシ基、パーフルオロイソプロポキシ基、パーフルオロ−n−ブトキシ基、パーフルオロ−sec−ブトキシ基、パーフルオロイソブトキシ基、パーフルオロ−n−ペンチルオキシ基、パーフルオロネオペンチルオキシ基、パーフルオロ−n−ヘキシルオキシ基、パーフルオロ−n−ヘプチルオキシ基、パーフルオロ−n−オクチルオキシ基、パーフルオロ−n−デシルオキシ基、パーフルオロ−n−ドデシルオキシ基、パーフルオロ−n−ペンタデシルオキシ基、パーフルオロ−n−エイコシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、イソブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−エイコシルオキシ基などが挙げられ、好ましくは炭素原子数1〜4のアルコキシ基であり、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基である。
【0022】
〜R11における炭素原子数6〜20のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2−フルオロフェノキシ基、3−フルオロフェノキシ基、4−フルオロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2−トリフルオロメチルフェノキシ基、3−トリフルオロメチルフェノキシ基、4−トリフルオロメチルフェノキシ基、2,3−ジフルオロフェノキシ基、2,4−フルオロフェノキシ基、2,5−ジフルオロフェノキシ基、2−クロロフェノキシ基、2,3−ジクロロフェノキシ基、2,4−ジクロロフェノキシ基、2,5−ジクロロフェノキシ基、2−ブロモフェノキシ基、3−ブロモフェノキシ基、4−ブロモフェノキシ基、2,3−ジブロモフェノキシ基、2,4−ジブロモフェノキシ基、あるいは2,5−ジブロモフェノキシ基などが挙げられ、好ましくは炭素原子数6〜14のアリールオキシ基であり、より好ましくは2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基である。
【0023】
〜R11における炭素原子数3〜20のヘテロ環式化合物残基としては、例えば、チエニル基、フリル基、1−ピロリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、2−イソインドリル基、1−インドリル基、キノリル基、ジベンゾ−1H−ピロール−1−イル基などが挙げられ、好ましくはチエニル基、フリル基、1−ピロリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、2−イソインドリル基、1−インドリル基、キノリル基、ジベンゾ−1H−ピロール−1−イル基
である。
【0024】
〜R11における炭素原子数2〜20のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、ホモアリル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基などが挙げられ、好ましくは炭素原子数3〜6のアルケニル基であり、より好ましくはアリル基、ホモアリル基である。
【0025】
〜R11における炭素原子数2〜20のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、フェニルアセチル基、メチルアセチル基、エチルアセチル基、n−プロピルアセチル基、sec−プロピルアセチル基、tert−ブチルアセチル基、n−ブチルアセチル基またはイソブチルアセチル基などが挙げられ、好ましくは炭素原子数3〜8のアルキニル基であり、より好ましくはフェニルアセチル基またはtert−ブチルアセチル基である。
【0026】
〜R11における炭素原子数7〜20のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(3,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(イソブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基、ジメチル(フェニル)メチル基、ジメチル(4−メチルフェニル)メチル基、ジメチル(1−ナフチル)メチル基、ジメチル(2−ナフチル)メチル基、メチル(ジフェニル)メチル基、メチルビス(4−メチルフェニル)メチル基などが挙げられ、好ましくは、ベンジル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基、ジメチル(フェニル)メチル基、ジメチル(4−メチルフェニル)メチル基、ジメチル(1−ナフチル)メチル基、ジメチル(2−ナフチル)メチル基、メチル(ジフェニル)メチル基、メチルビス(4−メチルフェニル)メチル基であり、より好ましくは、ジメチル(フェニル)メチル基、ジメチル(4−メチルフェニル)メチル基、ジメチル(1−ナフチル)メチル基、ジメチル(2−ナフチル)メチル基、メチル(ジフェニル)メチル基、メチルビス(4−メチルフェニル)メチル基などの炭素原子数9〜20の第3級アラルキル基である。
【0027】
〜R11における炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、(n−テトラデシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基などが挙げられ、好ましくは炭素原子数7〜12のアラルキルオキシ基であり、より好ましくはベンジルオキシ基である。
【0028】
およびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR10、R10およびR11は、連結して環を形成してもよく、該環は置換基を有していてもよく、該環として好ましくは、4〜10員環のハイドロカルビル環または複素環であり、該環は置換基を有していてもよい。
【0029】
該環として具体的には、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、ベンゼン環またはナフタレン環、フラン環、2,5−ジメチルフラン環、チオフェン環、2,5−ジメチルチオフェン環、ピリジン環などが挙げられ、好ましくは、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、ベンゼン環またはナフタレン環であり、より好ましくは、RおよびR(RおよびR)が連結したシクロペンタン環、RおよびR(RおよびR)が連結したシクロヘキサン環、RおよびR(RおよびR)が連結したベンゼン環、またはRおよびR(RおよびR)が連結したナフタレン環である。
【0030】
は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、または炭素原子数1〜20のハイドロカルビルシリル基である。
の、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数1〜20のハイドロカルビルシリル基、としては、R〜R11の説明において例示した置換基と同じ置換基を挙げることができる。
として好ましくは、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、であり、より好ましくは、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基であり、さらに好ましくは、炭素原子数1〜20のアルキル基である。
最も好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基である。
【0031】
およびRは、同一または相異なり、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、または炭素原子数6〜20のアリール基である。
およびRの、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基としては、R〜R11の説明において例示した置換基と同じ置換基を挙げることができる。
およびRとして好ましくは、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基であり、より好ましくは、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基であり、さらに好ましくは、水素原子である。
【0032】
12は、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、または炭素原子数6〜20のアリール基である。R12の、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基としては、R〜R11の説明において例示した置換基と同じ置換基を挙げることができる。
【0033】
12として、錯体安定性の観点から好ましくは、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、または炭素原子数6〜20のアリール基であり、特に好ましくは、メチル基、エチル基、i−プロピル基、トリフルオロメチル基、フェニル基である。式(1)の錯体として錯体安定性に優れる錯体をオレフィン重合に用いると、単峰性で分子量分布の狭い重合体を得ることができる。
【0034】
Zは、炭素原子数1〜50の架橋基である。ZおよびRは、連結して環を形成してもよい。
Zとして好ましくは、炭素原子数1〜20のアルキレン基、または炭素原子数3〜20のシクロアルキレン基、炭素原子数6〜20のアリーレン基であり、より好ましくは、炭素原子数1〜20のアルキレン基、炭素原子数3〜20のシクロアルキレン基である。
【0035】
炭素原子数1〜20のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,2−プロピレン基、トランス−1,2−ジメチルエチレン基、トランス−1,2−ジフェニルエチレン基、トランス−1,3−ジメチル−1,3−プロピレン基、トランス−1,3−ジフェニル−1,3−プロピレン基などが挙げられ、好ましくは、エチレン基、1,3−プロピレン基、トランス−1,2−ジメチルエチレン基、トランス−1,2−ジフェニルエチレン基であり、より好ましくは、エチレン基、トランス−1,2−ジメチルエチレン基、トランス−1,2−ジフェニルエチレン基である。
【0036】
炭素原子数3〜20のシクロアルキレン基としては、例えば、トランス−1,2−シクロヘキシレン基である。
【0037】
ZおよびRが連結して環を形成する場合としては、例えば、以下の部分構造が挙げられる。



【0038】
ZおよびRが連結して環を形成する場合として
好ましくは、以下の部分構造であり、


さらに好ましくは、以下の部分構造である。


【0039】
Xは、同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、炭素原子数1〜20のハイドロカルビルシリル基、炭素原子数1〜20のハイドロカルビルアミノ基、炭素原子数1〜20のハイドロカルビルチオラート基、または
炭素原子数1〜20のハイドロカルビルカルボニルオキシ基を表す。隣接するX同士は、連結して環を形成してもよい。
【0040】
Xにおけるハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、炭素原子数1〜20のハイドロカルビルシリル基は、R〜R11における前記の基と同様である。
【0041】
Xにおける炭素原子数1〜20のハイドロカルビルアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジベンジルアミノ基またはジフェニルアミノ基などが挙げられ、好ましくは炭素原子数2〜14のハイドロカルビルアミノ基であり、より好ましくは、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基またはジベンジルアミノ基である。
【0042】
Xにおける炭素原子数1〜20のハイドロカルビルチオラート基としては、例えば、チオフェノキシ基、2,3,4−トリメチルチオフェノキシ基、2,3,5−トリメチルチオフェノキシ基、2,3,6−トリメチルチオフェノキシ基、2,4,6−トリメチルチオフェノキシ基、3,4,5−トリメチルチオフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルチオフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルチオフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、2−フルオロチオフェノキシ基、3−フルオロチオフェノキシ基、4−フルオロフェノキシ基、ペンタフルオロチオフェノキシ基、2−トリフルオロメチルチオフェノキシ基、3−トリフルオロメチルチオフェノキシ基、4−トリフルオロメチルチオフェノキシ基、2,3−ジフルオロチオフェノキシ基、2,4−フルオロチオフェノキシ基、2,5−ジフルオロチオフェノキシ基、2−クロロチオフェノキシ基、2,3−ジクロロチオフェノキシ基、2,4−ジクロロチオフェノキシ基、2,5−ジクロロチオフェノキシ基、2−ブロモチオフェノキシ基、3−ブロモチオフェノキシ基、4−ブロモチオフェノキシ基、2,3−ジブロモチオフェノキシ基、2,4−ジブロモチオフェノキシ基、あるいは2,5−ジブロモチオフェノキシ基などが挙げられ、好ましくは炭素原子数6〜12のハイドロカルビルチオラート基であり、より好ましくはチオフェノキシ基、2,4,6−トリメチルチオフェノキシ基、3,4,5−トリメチルチオフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルチオフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルチオフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルチオフェノキシ基、ペンタメチルチオフェノキシ基、ペンタフルオロチオフェノキシ基である。
【0043】
Xにおける炭素原子数1〜20のハイドロカルビルカルボニルオキシ基としては、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、ペンチルカルボニルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシ基、3−ヘプチルカルボニルオキシ基またはトリフルオロメチルカルボニルオキシ基などが挙げられ、好ましくは炭素原子数2〜10のハイドロカルビルカルボニルオキシ基であり、より好ましくは、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基である。
【0044】
Xは、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基であり、より好ましくは、塩素原子、臭素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数7〜10のアラルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基であり、さらに好ましくは、塩素原子、メチル基、エチル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、ベンジル基、トリメチルシリルメチル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基であり、特に好ましくは、塩素原子、メチル基、ベンジル基、メトキシ基、フェノキシ基であり、最も好ましくは、塩素原子、メチル基、ベンジル基である。
【0045】
Lは中性のルイス塩基を表す。Lが複数ある場合は、複数のLは同一でも異なっていてもよい。nは、0、1、または2である。
Lとしては、エーテル類、アミン類またはチオエーテル類などが挙げられ具体的には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサンまたはピリジンなどが挙げられる。Lとして好ましくは、テトラヒドロフランである。
nは好ましくは1または0であり、さらに好ましくは、0である。
【0046】
式(1)で表される錯体の具体例としては下記の錯体が挙げられる。

【0047】




















【0048】

【0049】



【0050】

【0051】

【0052】








【0053】






【0054】

【0055】


【0056】

【0057】


【0058】






【0059】


【0060】















【0061】











【0062】



【0063】
















【0064】













【0065】


【0066】








【0067】














【0068】




















【0069】


















【0070】










【0071】









【0072】

【0073】
Bnは、CHPh基を表す。
【0074】
また、これらの化合物のジルコニウム原子に直接結合しているベンジル基を塩素原子、メチル基、メトキシ基、フェノキシ基に変更した錯体も挙げられ、さらに、これらの錯体のジルコニウム原子をハフニウム原子に変更した錯体も挙げられる。
また、これらの錯体のR、Rに相当する臭素原子をフッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子に置換した錯体も挙げることができる。
さらに、これらの錯体のR10に相当するメチル基を水素原子、tert−ブチル基に置換した錯体も挙げることができる。
さらに、R12に相当する水素原子をトリフルオロメチル基、フェニル基に置換した錯体も挙げることができる。
また、これらの錯体のエナンチオマー、ラセミ体も挙げることができる。
【0075】
一般式(1)で表される錯体は、例えば、下記の工程により製造することができる。

【0076】
以下各工程について詳しく説明する。
【0077】
化合物(2)〜(7)中のR〜R12、Z、X、L、nは、一般式(1)と同様である。
【0078】
X’はアニオン性脱離基を表し、例えばハロゲン原子、アセテート基、トリフルオロアセテート基、ベンゾエート基、CF3SO3基、CH3SO3基、4−MeC64SO3基またはPhSO3基などであり、好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CF3SO3基、CH3SO3基、4−MeC64SO3基またはPhSO3基である。
【0079】
[工程1]
化合物(2)に0.8〜4.0当量、好ましくは1.0〜3.0当量、さらに好ましくは1.0〜2.0当量の化合物(3)を塩基存在下で反応させ、対応する式(4)で表される化合物を合成することができる。
溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族ハイドロカルビル、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの飽和ハイドロカルビル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル化合物、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどのアルコール化合物などを用いることができる。好ましくは、芳香族ハイドロカルビルであり、さらに好ましくはトルエン、キシレン、メシチレンであり、もっとも好ましくは、トルエン、キシレンである。
反応温度は、0〜200℃の範囲をとることができる。好ましくは、90〜170℃であり、より好ましくは、90〜150℃であり、もっとも好ましくは、90〜130℃である。
反応時間は、5分間〜180時間の範囲をとることができる。好ましくは、10分間〜80時間であり、より好ましくは、20分間〜50時間であり、さらに好ましくは、30分間〜20時間であり、最も好ましくは、1時間〜10時間である。
塩基としては、特に限定されるべきものではないが、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム等の無機塩基やトリエチルアミン、トリイソブチルアミン等のアミンが挙げられ、好ましくはアミンである。
【0080】
本反応は、空気、ヘリウム、アルゴンまたは窒素雰囲気下で行うことができる。好ましくは、ヘリウム、アルゴンまたは窒素雰囲気下、より好ましくは、窒素またはアルゴン雰囲気下である。
【0081】
反応終了後、式(4)で表される化合物を精製することが可能である。精製方法としては、例えば、反応溶媒を留去し、蒸留、再結晶またはシリカゲルクロマトグラフィー等の精製操作を採用することができる。
【0082】
[工程2]
化合物(4)に0.8〜4.0当量、好ましくは1.0〜3.0当量、さらに好ましくは1.0〜2.0当量の化合物(5)を塩基存在下で反応させ、対応する式(6)で表される化合物を合成することができる。
【0083】
塩基としては、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム等の無機塩基やトリエチルアミン、トリイソブチルアミン等のアミン塩基が挙げられ、好ましくはアミン塩基である。
【0084】
本反応は、空気、ヘリウム、アルゴンまたは窒素雰囲気下で行うことができる。好ましくは、ヘリウム、アルゴンまたは窒素雰囲気下、より好ましくは、窒素またはアルゴン雰囲気下である。
溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族ハイドロカルビル、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの飽和ハイドロカルビル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル化合物、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどのアルコール化合物などを用いることができる。好ましくは、エーテル化合物であり、さらに好ましくは、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサンであり、もっとも好ましくは、テトラヒドロフラン、ジオキサンである。
反応温度は、−10〜200℃の範囲をとることができる。好ましくは、0〜150℃であり、より好ましくは、10〜120℃であり、もっとも好ましくは、20〜80℃である。
反応時間は、5分間〜180時間の範囲をとることができる。好ましくは、10分間〜80時間であり、より好ましくは、20分間〜50時間であり、さらに好ましくは、30分間〜20時間であり、最も好ましくは、1時間〜10時間である。
反応終了後、式(6)で表される化合物を精製することが可能である。精製方法としては、例えば、反応溶媒を留去し、蒸留、再結晶またはシリカゲルクロマトグラフィー等の精製操作を採用することができる。
【0085】
[工程3]
化合物(7)中のMおよびXは、一般式(1)と同様である。
【0086】
MXとしては、例えば、ZrCl、ZrMe、ZrEt、Zr(nBu)、Zr(tBu)、Zr(CHPh)、Zr(CHSiMe、Zr(OMe)、Zr(OEt)、Zr(OiPr)、Zr(OtBu)、Zr(OPh)、HfCl、HfMe、HfEt、Hf(nBu)、Hf(tBu)、Hf(CHPh)、Hf(CHSiMe、Hf(OMe)、Hf(OEt)、Hf(OiPr)、Hf(OtBu)、Hf(OPh)、などが挙げられる。
好ましくは、ZrCl、ZrMe、Zr(CHPh)、Zr(OMe)、Zr(OPh)、HfCl、HfMe、Hf(CHPh)、Hf(OMe)、Hf(OPh)、であり、より好ましくは、ZrCl、ZrMe、Zr(CHPh)、HfCl、HfMe、Hf(CHPh)である。
【0087】
[工程3]の化合物(6)と化合物(7)との反応において、化合物(7)のXが、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、またはハイドロカルビルシリル基である場合、式(6)で表される化合物を化合物(7)と反応させ、化合物(8)を合成することができる。
【0088】
[工程3]の化合物(6)と化合物(7)との反応において、化合物(7)のXが、ハロゲン原子、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハイドロカルビルシリル基、ハイドロカルビルチオラート基、ハイドロカルビルアミノ基、またはハイドロカルボニルオキシ基である場合、式(6)で表される化合物を、次に挙げる塩基と反応させた後、化合物(7)と反応させることができる。
用いる塩基としては、例えばn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラザン、カリウムヘキサメチルジシラザン、水素化ナトリウムまたは水素化カリウムを挙げることができ、好ましくは、n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、カリウムヘキサメチルジシラザン、水素化ナトリウムまたは水素化カリウムである。
【0089】
[工程3]において、式(6)で表される化合物と塩基とを反応させる温度は、−100℃〜100℃の温度範囲であり、好ましくは−80℃〜50℃の温度範囲ある。
【0090】
[工程3]において、式(6)で表される化合物と塩基とを反応させる時間は、5分間〜24時間であり、好ましくは10分間〜12時間、より好ましくは30分間〜3時間である。
【0091】
[工程3]において、式(6)で表される化合物と塩基とを反応させて生じた化合物と、式(7)で表される化合物とを反応させる温度は、−100℃〜150℃の温度範囲であり、好ましくは−80℃〜50℃の温度範囲ある。
【0092】
[工程3]において、式(6)で表される化合物と塩基とを反応させて生じた化合物と、式(7)で表される化合物とを反応させる時間は、5分間〜48時間であり、好ましくは10分間〜24時間である。
【0093】
また、[工程3]において塩基を用いることなく、式(6)で表される化合物と式(7)で表される化合物とを反応させることもできる。
【0094】
[工程3]において、式(6)で表される化合物と式(7)で表される化合物とを反応させる温度は、−100℃〜150℃の温度範囲であり、好ましくは−80℃〜50℃の温度範囲ある。
【0095】
[工程3]において、式(6)で表される化合物と式(7)で表される化合物とを反応させる時間は、5分間〜48時間であり、好ましくは10分間〜24時間である。
【0096】
[工程3]で用いる溶媒は、類似の反応で一般的に用いられる溶媒であれば特に制限されるものではなく、ハイドロカルビル溶媒またはエーテル系溶媒が挙げられ、好ましくは、トルエン、ベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフランであり、より好ましくは、ジエチルエーテル、トルエン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、またはシクロヘキサンである。
【0097】
[工程3]は、空気、ヘリウム、アルゴンまたは窒素雰囲気下で行うことができる。好ましくは、ヘリウム、アルゴンまたは窒素雰囲気下、より好ましくは、窒素またはアルゴン雰囲気下である。
【0098】
上記で説明した本発明の一般式(1)で表される錯体は、オレフィンの単独重合または二種以上の重合可能なオレフィンの共重合により重合体を製造するに際して、重合用触媒成分として使用され、好ましくは、単独重合用触媒成分である。
【0099】
[工程3]の反応溶液は、そのまま重合用触媒成分として使用できる。
【0100】
[工程3]において、式(6)で表される化合物と式(7)で表される化合物との反応は、重合槽内で行ってもよく、あらかじめこれらを混合して重合槽に供給してもよいし、これらを別々に重合槽に供給してもよい。
【0101】
重合用触媒としては、上記の本発明の一般式(1)で表される錯体および助触媒成分(A)を接触させて得られる重合用触媒が用いられる。かかる助触媒成分は、上記の本発明の一般式(1)で表される錯体を活性化させ、重合可能とするものであれば特に制限はないが、例えば、
(A−1)有機アルミニウム化合物
(A−2)ホウ素化合物
よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を挙げることができる。
【0102】
〔有機アルミニウム化合物(A−1)〕
本発明において用いる化合物(A−1)としては、公知の有機アルミニウム化合物が使用できる。好ましくは、(A−1−1)一般式 E1a AlY13-a で表される有機アルミニウム化合物、(A−1−2)一般式 {−Al(E2 )−O−}b で表される構造を有する環状のアルミノキサン、及び(A−1−3)一般式 E3 {−Al(E3)−O−}c AlE32 で表される構造を有する線状のアルミノキサン(但し、E1 、E2 、E3 は、炭素数1〜8のハイドロカルビル基であり、全てのE1 、全てのE2 及び全てのE3 は同じであっても異なっていても良い。Y1は水素原子又はハロゲン原子を表し、全てのY1は同じであっても異なっていても良い。aは0<a≦3の整数で、bは2以上の整数を、cは1以上の整数を表す。)のうちのいずれか、あるいはそれらの2〜3種の混合物を例示することができる。
【0103】
一般式 E1a AlY13-a で表される有機アルミニウム化合物(A−1−1)の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムハクロライド、ジヘキシルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、ヘキシルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムジクロライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジヘキシルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド等を例示することができる。好ましくは、トリアルキルアルミニウムであり、より好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムである。
【0104】
一般式 {−Al(E2 )−O−}b で表される構造を有する環状のアルミノキサン(A−1−2)、一般式 E3 {−Al(E3 )−O−}c AlE32 で表される構造を有する線状のアルミノキサン(A−1−3)における、E2 、E3 の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基等のアルキル基を例示することができる。bは2以上の整数であり、cは1以上の整数である。好ましくは、E2 及びE3 はメチル基、イソブチル基であり、bは2〜40、cは1〜40である。
【0105】
上記のアルミノキサンは各種の方法で作られる。その方法については特に制限はなく、公知の方法に準じて作ればよい。例えば、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を適当な有機溶剤(ベンゼン、トルエン、脂肪族ハイドロカルビルなど)に溶かした溶液を水と接触させてアルミノキサンを作る。また、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を結晶水を含んでいる金属塩(例えば、硫酸銅水和物など)に接触させてアルミノキサンを作る方法が例示できる。
【0106】
また、上記の方法で得られる(A−1−2)一般式 {−Al(E2 )−O−}b で表される構造を有する環状のアルミノキサン、及び(A−1−3)一般式 E3 {−Al(E3)−O−}c AlE32 で表される構造を有する線状のアルミノキサンは、必要に応じて、揮発成分を留去して乾燥して用いてもよい。さらに、揮発成分を留去して乾燥してえられた化合物を適当な有機溶剤(ベンゼン、トルエン、脂肪族ハイドロカルビルなど)で洗浄して、再度乾燥し用いてもよい。
【0107】
〔ホウ素化合物(A−2)〕
本発明において化合物(A−2)としては、(A−2−1)一般式BR131415で表されるホウ素化合物、(A−2−2)一般式W+ (BR13141516- で表されるホウ素化合物、(A−2−3)一般式(V−H)+ (BR13141516-で表されるホウ素化合物のいずれかを用いる。
【0108】
一般式 BR131415で表されるホウ素化合物(A−2−1)において、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、R13〜R15 はハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含むハイドロカルビル基、1〜20個の 炭素原子を含むハロゲン化ハイドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を含む置換シリル基、1〜20個の炭素原子を含むアルコキシ基または2〜20個の炭素原子を含む2置換アミノ基であり、それらは同じであっても異なっていても良い。好ましいR13〜R15 はハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含むハイドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を含むハロゲン化ハイドロカルビル基である。
【0109】
(A−2−1)の具体例としては、トリフェニルボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等が挙げられるが、最も好ましくは、トリフェニルボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。
【0110】
一般式W+ (BR13141516-で表されるホウ素化合物(A−2−2)において、W+ は無機または有機のカチオンであり、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、R13〜R16は上記の(A−2−1)におけるR13〜R15と同様である。即ち、R13〜R16はハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含むハイドロカルビル基、1〜20個の 炭素原子を含むハロゲン化ハイドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を含む置換シリル基、1〜20個の炭素原子を含むアルコキシ基または2〜20個の炭素原子を含む2置換アミノ基であり、それらは同じであっても異なっていても良い。好ましいR11 〜R14 はハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含むハイドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を含むハロゲン化ハイドロカルビル基である。
【0111】
無機のカチオンであるW+ としては、フェロセニウムカチオン、アルキル置換フェロセニウムカチオン、銀陽イオンなどが、有機のカチオンであるW+ としては、トリフェニルカルベニウムカチオンなどが挙げられる。(BR13141516-には、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,2,4ートリフルオロフェニル)ボレート、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどが挙げられる。
【0112】
一般式W+ (BR13141516-で表される化合物の具体例としては、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどを挙げることができるが、最も好ましくは、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0113】
また、一般式(V−H)+ (BR13141516-で表されるホウ素化合物(A−2−3)おいては、Vは中性ルイス塩基であり、(V−H)+ はブレンステッド酸であり、Bは3価の原子価状態のホウ素原子であり、R13〜R16は上記の(A−2−3)におけるR13〜R15と同様である。即ち、R13〜R16はハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含むハイドロカルビル基、1〜20個の 炭素原子を含むハロゲン化ハイドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を含む置換シリル基、1〜20個の炭素原子を含むアルコキシ基または2〜20個の炭素原子を含む2置換アミノ基であり、それらは同じであっても異なっていても良い。好ましいR13〜R16はハロゲン原子、1〜20個の炭素原子を含むハイドロカルビル基、1〜20個の炭素原子を含むハロゲン化ハイドロカルビル基である。
【0114】
ブレンステッド酸である(V−H)+としては、トリアルキル置換アンモニウム、N,N−ジアルキルアニリニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアリールホスホニウムなどが挙げられ、(BR13141516-としては、前述と同様のものが挙げられる。
【0115】
一般式(V−H)+ (BR13141516-で表される化合物の具体例としては、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることができるが、最も好ましくは、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、もしくは、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0116】
本発明の、上記の一般式(1)で表される錯体と助触媒成分とを接触させて得られるオレフィン重合用触媒を製造する際の接触は、一般式(1)で表される錯体と助触媒成分とが接触し、触媒が形成されるならどのような手段によってもよく、あらかじめ溶媒で希釈して、もしくは希釈せずに一般式(1)で表される錯体と助触媒成分とを混合して接触させる方法や、一般式(1)で表される錯体と助触媒成分とを別々に重合槽に供給して重合槽の中でこれらを接触させる方法を取ることができる。ここで、助触媒成分としては複数種類の化合物を組み合わせて使用する場合があるが、それらのうちの一部をあらかじめ混合して使用してもよいし、別々に重合槽に供給して使用してもよい。
【0117】
各成分の使用量は通常、一般式(1)で表される錯体に対する(A−1)のモル比が0.01〜10000、好ましくは1〜5000、一般式(1)で表される錯体に対する(A−2)のモル比が0.01〜100、好ましくは1.0〜50である。
【0118】
重合反応器において重合反応前に触媒を製造する場合、各成分を溶液状態または溶媒に懸濁もしくはスラリー化した状態で供給する場合の濃度は、重合反応器に各成分を供給する装置の性能などの条件により、適宜選択されるが、一般に、一般式(1)で表される錯体が、通常0.0001〜10000ミリモル/リットルで、より好ましくは、0.001〜1000ミリモル/リットル、さらに好ましくは、0.01〜100ミリモル/リットル、(A−1)が、Al原子換算で、通常0.01〜10000ミリモル/リットルで、より好ましくは、0.05〜5000ミリモル/リットル、さらに好ましくは、0.1〜2000ミリモル/リットル、(A−2)は、通常0.001〜500ミリモル/リットルで、より好ましくは、0.01〜250ミリモル/リットル、さらに好ましくは、0.05〜100ミリモル/リットルである。
【0119】
前記オレフィン重合用触媒は、上記の一般式(1)で表される錯体と、上記(A−1)および/または上記(A−2)とを接触させて得られるオレフィン重合用触媒であるが、一般式(1)で表される錯体と(A−1)とを接触させて得られるオレフィン重合用触媒を用いる際は、(A−1)としては、前記の環状のアルミノキサン(A−1−2)および/または線状のアルミノキサン(A−1−3)が好ましい。また他に好ましいオレフィン重合用触媒の態様としては、一般式(1)で表される錯体、(A−1)および(A−2)を接触させて得られるオレフィン重合用触媒が挙げられ、その際の該(A−1)としては前記の(A−1−1)が使用しやすく、(A−2)としては、(A−2−1)または(A−2−2)が好ましい。
【0120】
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、上記オレフィン重合用触媒を用いてオレフィンを重合する方法である。本発明のオレフィン重合体の製造方法は、上記本発明の触媒の存在下に炭素原子数2〜10、好ましくは炭素原子数2〜8、より好ましくは炭素原子数2〜6のオレフィンを単独重合または共重合させることを含む方法である。
さらに好ましくは、エチレン単独重合、エチレンと炭素原子数3〜8のオレフィンとの共重合、プロピレン単独重合、プロピレンと炭素原子数4〜8のオレフィンとの共重合である。
重合するオレフィンの種類は単独でも複数でもよい。単独のオレフィンを重合すれば、単独重合体が得られ、複数のオレフィンを重合すれば、共重合体が得られる。
【0121】
オレフィンは、例えば、モノオレフィンまたはジオレフィンであることができる。
【0122】
モノオレフィンの例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数3〜10の1−アルケン(枝分かれしていてもよい)、または、シクロペンテン、シクロヘキセン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−ブチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン、テトラシクロドデセン、トリシクロデセン、トリシクロウンデセン、ペンタシクロペンタデセン、ペンタシクロヘキサデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセン、5−アセチルノルボルネン、5−アセチルオキシノルボルネン、5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−エトキシカルボニルノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−シアノノルボルネン、8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−メチル−8−テトラシクロドデセン、8−シアノテトラシクロドデセン等などの環状アルケン等を挙げることができる。
【0123】
ジオレフィンとしては、例えば、ブタジエン、1,4−ペンタジエン、ジシクロペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,3−オクタジエン、1,7−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5,8−エンドメチレンヘキサヒドロナフタレン、等を挙げることができる。
【0124】
モノオレフィンとして、好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテンであり、より好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテンであり、さらに好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンである。
【0125】
ジオレフィンとして、好ましくは、ブタジエン、ジシクロペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,5−シクロオクタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、であり、より好ましくは、ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、である。
【0126】
重合に用いるオレフィン、もしくは複数のオレフィンの組み合わせとして好ましくは、エチレン、エチレンとプロピレン、エチレンと1−ブテン、エチレンと1−ヘキセン、エチレンと1−オクテン、などのエチレンと炭素原子数3〜8のオレフィン、プロピレン、プロピレンと1−ブテン、プロピレンと1−ヘキセン、プロピレンとオクテン、などのプロピレンと炭素原子数4〜8のオレフィンであり、さらに好ましくは、エチレン、エチレンとプロピレン、エチレンと1−ブテン、エチレンと1−ヘキセン、などのエチレンと炭素原子数3〜6の1−アルケン、プロピレン、プロピレンと1−ブテン、プロピレンと1−ヘキセン、などのプロピレンと炭素原子数4〜6の1−アルケンである。
【0127】
重合方法も、特に限定されるべきものではないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族ハイドロカルビル、ベンゼン、トルエン等の芳香族ハイドロカルビル、またはメチレンジクロライド等のハロゲン化ハイドロカルビルを溶媒として用いる溶媒重合、またはスラリー重合等が可能であり、また、連続重合、回分式重合のどちらでも可能である。
重合反応の温度および時間は、所望の重合平均分子量と触媒の活性度および使用量を考慮して決定することができる。重合温度は通常、−50℃〜200℃の範囲を取り得るが、特に、−20℃〜100℃の範囲が好ましく、重合圧力は通常、常圧〜50MPaが好ましい。重合時間は、一般的に、目的とするポリマーの種類、反応装置により適宜決定されるが通常、1分間〜20時間の範囲、好ましくは5分間〜18時間の範囲を取ることができる。但し、これらの範囲に制限される意図ではない。また、共重合体の分子量を調節するために水素等の連鎖移動剤を添加することもできる。
【0128】
重合反応に溶媒を使用する場合、溶媒中の各化合物の濃度は、特に制限はない。溶媒中のジルコニウム錯体、またはハフニウム錯体の濃度は、例えば、1×10-8mmol/L〜10mol/Lの範囲を選択でき、助触媒成分の濃度は、例えば、1×10-8mmol/L 〜10mol/Lの範囲を選択することができる。また、オレフィン:溶媒は体積比で100:0〜1:1000の範囲を選択することができる。但し、これらの範囲は例示であって、それらに限定される意図ではない。また、溶媒を使用しない場合も、上記の範囲を参考に適宜濃度の設定をすることができる。
【実施例】
【0129】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。実施例中の各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
【0130】
(1)H−NMR
核磁気共鳴装置(日本電子社製、JNM−AL400)を用いて下記の条件により測定した。CDClを用いた場合はテトラメチルシランのメチル水素の化学シフト値を基準にし、toluene−d8を用いた場合は溶媒の残留水素の化学シフト値を基準にした。
測定溶媒:CDCl、toluene−d8
測定温度:室温
【0131】
(2)融点
実施例6および比較例2の融点は、熱分析装置 示差走査熱量計(Diamond DSC Perkin Elmer社製)を用いて下記の方法で測定した。
1)サンプル約10mgを窒素雰囲気下、220℃ 5分間保持
2)冷却 150℃〜50℃(5℃/分)1分間保持
3)測定 50℃〜180℃(5℃/分)
【0132】
(3)融点
実施例7および9の融点は、熱分析装置 示差走査熱量計(Diamond DSC Perkin Elmer社製)を用いて下記の方法で測定した。
1)サンプル約10mgを窒素雰囲気下、150℃ 5分間保持
2)冷却 150℃〜20℃(5℃/分)2分間保持
3)測定 20℃〜150℃(5℃/分)
【0133】
(4)分子量および分子量分布
実施例3〜6、比較例1および2の分子量および分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、下記の条件で測定した。
検量線は標準ポリスチレンを用いて作成した。分子量分布は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で評価した。
機種: ミリポアウオーターズ社製 150C型
カラム: TSK−GEL GMH−HT 7.5×600×2本
測定温度:152℃
溶媒: オルトジクロロベンゼン、
測定濃度:5mg/5mL
(5)数平均分子鎖長及び分子量分布
実施例7〜15の数平均分子鎖長及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、下記の条件で測定した。検量線は標準ポリスチレンを用いて作成した。分子量分布は重量平均分子鎖長(Aw)と数平均分子鎖長(An)との比(Aw/An)で評価した。重量平均分子鎖長(Aw)は、ポリスチレン換算の重量平均分子量をポリスチレンの分子量104で除し、2.52オングストローム(炭素−炭素の連鎖軸における炭素1つおきの連鎖軸の長さ)を掛けた値であり、数平均分子鎖長(An)は、ポリスチレン換算の数平均分子量をポリスチレンの分子量104で除し、2.52オングストローム(炭素−炭素の連鎖軸における炭素1つおきの連鎖軸の長さ)を掛けた値である。
機種: ミリポアウオーターズ社製 150C型
カラム: TSK−GEL GMH−HT 7.5×600×2本
測定温度:152℃
溶媒: オルトジクロロベンゼン
測定濃度:5mg/5ml
分子量標準物質:ポリスチレン
【0134】
(6)アイソタクチック・ペンタッド分率([mmmm])
アイソタクチック・ペンタッド分率とは、A.Zambelliらによって「Macromolecules」、Vol.6、925(1973)に発表されている方法、すなわち13C−NMRを使用して測定される結晶性ポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。5mmΦの試験管中で約100mgの重合体を0.5mLのオルトジクロロベンゼンに均一に溶解させて試料を調製し、その試料を13C−NMRスペクトルで測定した。核磁気共鳴装置(JEOL AL400)を使用し、以下の条件で測定された値である。NMR吸収ピークの帰属に関しては、F.A.Boveyらの「Macromolecules」、Vol.8、687(1975)に従った。
測定温度:135℃;
パルス繰り返し時間:4秒;
パルス幅:45°;
積算回数:4000回;
【0135】
(7)極限粘度([η]:単位:dl/g)
オレフィン重合体の極限粘度(以下[η]と略す)は、ウベローデ型粘度計を用い、測定温度135℃にて溶媒にテトラリンを用いて測定した。
【0136】
(参考例1)
d−MAOの調製方法
3方コックを取り付けた攪拌子入りの200mL2つ口フラスコを窒素置換し、東ソー・ファインケム社製PMAO−Sトルエン溶液(アルミニウム含量6.1wt%)を100mLシリンジで測り取り、フラスコに投入した。この溶液を減圧し揮発成分を除去した。得られた白色固体を脱水トルエン100mLに再溶解した後、揮発成分を減圧除去した。この操作を更に2回繰り返し、白色粉末14.1gを得た。
【0137】
(参考例2)
錯体Aの合成
非特許文献1に記載のとおり合成を行った。


【0138】
(実施例1)
錯体Bの合成


【0139】
[工程1]
窒素雰囲気下200mL二口フラスコに3−トリシクロ[3.3.1.13.7]デセ−1−イル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンズアルデヒド1.38g(5.0mmol)、トルエン80mLを入れた。続いて、S−(2)−アミノメチルピロリジン0.50g、トリエチルアミン11.5mLを加え、60℃で3時間攪拌した。揮発成分を減圧溜去し、2−((S)−(アミノメチル)ピロリジン)−4−メチル−6−トリシクロ[3.3.1.13.7]デセ−1−イルフェノール1.7g(4.8mmol)得た。
H−NMR(CDCl)δ:8.33(s,1H),7.06(s,1H),6.89(s,1H),3.8−3.7(m,1H),3.5−3.4(m,2H),2.99(m、1H),2.89(m、1H),2.27(s,3H),2.16(brs,6H),2.07(brs,3H),1.95(m,2H),1.78(brs,6H),1.63(m,2H)
【0140】
[工程2]
窒素雰囲気下200mL二口フラスコに工程1で得られた2−((S)−(アミノメチル)ピロリジン)−4−メチル−6−トリシクロ[3.3.1.13.7]デセ−1−イルフェノール1.7g(4.8mmol)、テトラヒドロフラン80mL、トリエチルアミン11.5mLを入れた。α,3,5−トリブロモ−2−ヒドロキシトルエン1.7g(4.9mmol)をテトラヒドロフラン80mLに溶解し、先ほどの混合溶液に滴下した。室温で2時間攪拌した後、沈殿をろ過した。揮発成分を減圧溜去した後、メタノールから再結晶し、2,4−ジブロモ−6−[(S)−[2−[[[(2−ヒドロキシ−5−メチル−3−トリシクロ[3.3.1.13.7]デセ−1−イルフェニル)メチレン]アミノ]メチル]−1−ピロリジニル]メチル]フェノール2.9g(4.7mmol)得た。
H−NMR(CDCl)δ:8.31(s,1H),7.52(s,1H),7.06(s,1H),7.03(s,1H),6.90(s,1H),4.28(d,J=14.2Hz,1H),3.9−3.8(m,1H),3.7−3.6(m,1H),3.55(d,J=14.3Hz,1H),3.49(S,1H),3.12(m,1H),3.03(m,1H),2.40(m,1H),2.27(s,3H),2.15(brs,6H),2.07(brs,3H),1.84(m,3H),1.78(brs,6H)
【0141】
[工程3]
窒素雰囲気下50mLシュレンクにテトラベンジルジルコニウム148mg(0.32mmol)、2,4−ジブロモ−6−[(S)−[2−[[[(2−ヒドロキシ−5−メチル−3−トリシクロ[3.3.1.13.7]デセ−1−イルフェニル)メチレン]アミノ]メチル]−1−ピロリジニル]メチル]フェノール200mg(0.32mmol)、トルエン13mLを入れ、室温で1時間攪拌した。揮発成分を溜去した後、ペンタン5mLで2回洗浄し、錯体Bを150mg(収率51%)得た。
H−NMR(toluene−d8)δ:7.60(s,1H),7.28(s,1H)、7.2−6.95(m,8H),6.79(m,2H),6.70(s,1H),6.59(s,1H),3.60(m,1H),3.37(m,1H),2.90(m,1H),2.64(m,1H),2.50(m,1H),2.55−2.1(m,17H),2.05−1.9(m,4H),1.9−1.8(m,3H),1.15(m,1H),1.05(m,1H),0.91(m,1H),0.45(m,1H)
【0142】
(実施例2)
錯体Cの合成



実施例1[工程3]のテトラベンジルジルコニウム148mg(0.32mmol)をテトラベンジルハフニウム180mg(0.32mmol)に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、錯体Cを170mg(収率54%)得た。
H−NMR(toluene−d8)δ:7.29(s,1H),7.05(s,1H)、6.9−6.5(m,9H),6.50−6.38(m,2H),6.36(s,1H),6.29(s,1H),3.07(m,1H),2.86(m,1H),2.5−2.3(m,3H),2.25−2.1(m,6H),2.0−1.9(m,9H),1.88(s,4H),1.9−1.5(m,6H),0.79(m,2H),0.19(m,1H)
【0143】
(実施例3)
錯体Bの重合評価
内容積400mlの撹拌機付きオートクレーブを真空乾燥してアルゴンで置換後、溶媒としてトルエン40mL、モノマーとしてプロピレン80gを仕込み、反応器を40℃まで昇温した。助触媒成分(A)としてd−MAO2000μmolを投入し、続いて錯体B(0.5μmol/mL、トルエン溶液)0.4mL(0.2μmol)を投入して重合を開始した。30分間重合を行った。
重合の結果0.15gのプロピレン重合体が得られた。重合活性1.5×10 g/mol/h、Mw=1729000、Mw/Mn=3.3であった。
【0144】
(実施例4)
錯体Cの重合評価
錯体B(0.5μmol/mL、トルエン溶液)0.4mL(0.2μmol)を、錯体C(1.0μmol/mL、トルエン溶液)0.4mL(0.4μmol)に変更した以外は実施例3と同様に行った。
重合の結果0.30gのプロピレン重合体が得られた。重合活性1.5×10 g/mol/h、Mw=739000、Mw/Mn=2.2であった。
【0145】
(比較例1)
錯体Aの重合評価
錯体B(0.5μmol/mL、トルエン溶液)0.4mL(0.2μmol)を、錯体A(1.0μmol/mL、トルエン溶液)2.0mL(2.0μmol)に変更した以外は実施例3と同様に行った。
重合の結果0.35gのプロピレン重合体が得られた。重合活性3.5×10 g/mol/h、Mw=3142000、Mw/Mn=2.8であった。
【0146】
(実施例5)
錯体Bの重合評価
内容積400mlの撹拌機付きオートクレーブを真空乾燥してアルゴンで置換後、溶媒としてトルエン40mL、モノマーとしてプロピレン80gを仕込み、反応器を40℃まで昇温した。助触媒成分(A)としてd−MAO2000μmolを投入し、続いて2,4−ジブロモ−6−[(S)−[2−[[[(2−ヒドロキシ−5−メチル−3−トリシクロ[3.3.1.13.7]デセ−1−イルフェニル)メチレン]アミノ]メチル]−1−ピロリジニル]メチル]フェノールとテトラベンジルジルコニウムの混合溶液(混合比1/1 [mol/mol]、0.5μmol/mL、トルエン溶液)0.4mL(0.2μmol)を投入して重合を開始した。30分間重合を行った。
重合の結果0.98gのプロピレン重合体が得られた。重合活性4.9×10 g/mol/h、[mmmm]=0.57、Mw=1816000、Mw/Mn=2.3であった。なお融点は検出できなかった。
【0147】
(実施例6)
錯体Cの重合評価
2,4−ジブロモ−6−[(S)−[2−[[[(2−ヒドロキシ−5−メチル−3−トリシクロ[3.3.1.13.7]デセ−1−イルフェニル)メチレン]アミノ]メチル]−1−ピロリジニル]メチル]フェノールとテトラベンジルジルコニウムの混合溶液(混合比1/1 [mol/mol]、0.5μmol/mL、トルエン溶液)0.4mL(0.2μmol)を2,4−ジブロモ−6−[[2−[[[(2−ヒドロキシ−5−メチル−3−トリシクロ[3.3.1.13.7]デセ−1−イルフェニル)メチレン]アミノ]メチル]−1−ピロリジニル]メチル]フェノールとテトラベンジルハフニウムの混合溶液(混合比1/1 [mol/mol]、1μmol/mL、トルエン溶液)2mL(2μmol)に変更した以外は実施例5と同様に行った。
重合の結果1.89gのプロピレン重合体が得られた。重合活性1.9×10 g/mol/h、融点=132.7℃、[mmmm]=0.77、Mw=385000、Mw/Mn=2.1であった。
【0148】
(比較例2)
錯体Aの重合評価
2,4−ジブロモ−6−[(S)−[2−[[[(2−ヒドロキシ−5−メチル−3−トリシクロ[3.3.1.13.7]デセ−1−イルフェニル)メチレン]アミノ]メチル]−1−ピロリジニル]メチル]フェノールとテトラベンジルジルコニウムの混合溶液(混合比1/1 [mol/mol]、0.5μmol/mL、トルエン溶液)0.4mL(0.2μmol)を2,4−ジブロモ−6−[[2−[[[(2−ヒドロキシ−5−メチル−3−トリシクロ[3.3.1.13.7]デセ−1−イルフェニル)メチレン]アミノ]メチル]−1−ピロリジニル]メチル]フェノールとテトラベンジルチタンの混合溶液(混合比1/1 [mol/mol]、1μmol/mL、トルエン溶液)2mL(2μmol)に変更した以外は実施例5と同様に行った。
重合の結果0.95gのプロピレン重合体が得られた。重合活性9.5×10 g/mol/h、融点=167.6℃、[mmmm]>0.9、Mw=2851000、Mw/Mn=2.9であった。
【0149】
(参考例3)
化合物Aの合成
窒素雰囲気下200mLナス型フラスコにN−メチルエチレンジアミン0.47g(6.4mmol)、THF20mLを入れた。続いて、3,5-ジ-tert-ブチルサリチルアルデヒド1.50g(6.4mmol)を加え、25℃で3時間攪拌した。この溶液に、トリエチルアミン4.4mL(32.0mmol)を加え、α,3,5−トリブロモ−2−ヒドロキシトルエン2.2g(6.4mmol)を先ほどの混合溶液に加えた。その溶液を25℃で3時間攪拌した後、沈殿をろ過除去し、その濾液の揮発成分を減圧溜去し、黄色固体を3.41g得た。
H−NMR(CDCl)δ:8.39(s,1H),7.55(d,J=2.0Hz,1H),7.39(d,J=2.4Hz,1H),7.09(d,J=2.4Hz,1H),7.05(d,J=2.0Hz,1H),3.79(t,J=6.4Hz,2H),3.77(s,2H),2.90(t,J=6.4Hz,2H),2.41(s,3H),1.44(s,9H),1.31(s,9H).

化合物A
【0150】
(参考例4)
化合物Bの合成
窒素雰囲気下200mLナス型フラスコにN-メチルエチレンジアミン1.07g(14.5mmol)、THF20mLを入れた。続いて、1−アセチル−3,5−ビス(tert‐ブチル)−2−ヒドロキシベンゼン<Sundia社製>1.20g(4.8mmol)を加え、加熱還流下で6時間攪拌した。この溶液を室温まで冷却し、揮発成分を減圧溜去した。得られた成分をTHF20mLに溶解させ、この溶液に、トリエチルアミン3.4mL(24.1mmol)を加え、α,3,5−トリブロモ−2−ヒドロキシトルエン1.7g(4.8mmol)を先ほどの混合溶液に加えた。その溶液を25℃で3時間攪拌した後、沈殿をろ過除去し、その濾液の揮発成分を減圧溜去し、黄色固体を2.62g得た。
H−NMR(CDCl)δ:7.55(d,J=2.4Hz,1H),7.39(s,2H),7.06(d,J=2.4Hz,1H),3.80(s,2H),3.75(t,J=7.2Hz,2H),2.99(t,J=7.2Hz,2H),2.43(s,3H),2.35(s,3H),1.44(s,9H),1.31(s,9H).
13C−NMR(CDCl)δ:173.4,159.6,154.2,138.4,137.5,134.2,130.2,127.3,124.1,122.2,118.3,111.0,110.6,61.1,57.2,47.7,42.0,35.2,31.6,29.5,15.3.

化合物B

【0151】
(実施例7)
化合物A(10.8mg,0.0195mmol)の19.5mlのトルエン溶液19.5mlに、テトラベンジルジルコニウム(8.9mg,0.0195mmol)を加え、1時間攪拌し、ジルコニウム原子濃度1.0mmol/Lのトルエン溶液(1)を調製した。
内容積400mLの撹拌機付きオートクレーブを真空乾燥してアルゴンで置換後、溶媒としてトルエン200mLを仕込み、反応器を50℃まで昇温した。モノマーとしてエチレンを、その分圧が0.6MPaになるように加え系内を安定させた。これに、助触媒成分(A)として濃度を1.00mol/Lに調整したトリイソブチルアルミニウム(東ソー・ファインケム社製)のトルエン溶液 0.50mLを投入した。次に、上記で調製したトルエン溶液(1)を1.0ml投入し、助触媒成分(A)としてトリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.004mol/L、トルエン溶液)1.25mL(5.0μmol)を加え、重合を開始した。温度を50℃に保ちながら、60分間重合を行った。エチレン重合体3.7gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は3.7×10g/molZrであり、融点=133.3℃、Aw=68900、Aw/An=2.9、[η]=12.0dl/gであった。
【0152】
(実施例8)
化合物A(26.7mg,0.0482mmol)のトルエン溶液12.0mlに、テトラベンジルジルコニウム(22.0mg,0.0482mmol)を加え、1時間攪拌し、ジルコニウム原子濃度4.0mmol/Lのトルエン溶液(2)を調製した。
内容積400mLの撹拌機付きオートクレーブを真空乾燥してアルゴンで置換後、溶媒としてトルエン40mLを仕込み、さらにプロピレン80gを仕込んだ後、反応器を50℃まで昇温し系内を安定させた。これに、助触媒成分(A)として濃度を1.00mol/Lに調整したトリイソブチルアルミニウム(東ソー・ファインケム社製)のトルエン溶液 0.50mLを投入した。次に、上記で調製したトルエン溶液(2)を0.25mlを投入し、助触媒成分(A)としてトリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.004mol/L、トルエン溶液)1.25mL(5.0μmol)を加え、重合を開始した。温度を50℃に保ちながら、60分間重合を行った。プロピレン重合体1.2gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は1.2×10g/molZrであり、Aw=52200、Aw/An=3.6、[η]=7.2dl/gであった。
【0153】
(実施例9)
化合物B(10.4mg,0.0183mmol)のトルエン溶液9.1mlに、テトラベンジルジルコニウム(8.3mg,0.0183mmol)を加え、1時間攪拌し、ジルコニウム原子濃度2.0mmol/Lのトルエン溶液(3)を調製した。
内容積400mLの撹拌機付きオートクレーブを真空乾燥してアルゴンで置換後、溶媒としてトルエン200mLを仕込み、反応器を50℃まで昇温した。モノマーとしてエチレンを、その分圧が0.6MPaになるように加え系内を安定させた。これに、助触媒成分(A)として濃度を2.08mol/Lに調整したMMAO−3A(東ソー・ファインケム社製)のトルエン溶液 0.48mLを投入した。次に、上記で調製したトルエン溶液(3)を0.5mlを投入して重合を開始した。温度を50℃に保ちながら、60分間重合を行った。エチレン重合体0.19gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は1.9×10g/molZrであり、融点=134.0℃、AwおよびAw/Anは、ポリマーが不溶であったために、測定不可能であった。[η]は溶媒として用いた測定温度135℃のテトラリンに不溶であったために、測定不可能であった。
【0154】
(実施例10)
化合物B(12.7mg,0.0223mmol)のトルエン溶液11.2mlに、テトラベンジルジルコニウム(10.2mg,0.0223mmol)を加え、1時間攪拌し、ジルコニウム原子濃度2.0mmol/Lのトルエン溶液(5)を調製した。
内容積400mLの撹拌機付きオートクレーブを真空乾燥してアルゴンで置換後、溶媒としてトルエン40mLを仕込み、さらにプロピレン80gを仕込んだ後、反応器を50℃まで昇温し系内を安定させた。これに、助触媒成分(A)として濃度を1.00mol/Lに調整したトリイソブチルアルミニウム(東ソー・ファインケム社製)のトルエン溶液 0.50mLを投入した。次に、上記で調製したトルエン溶液(5)を0.50ml投入し、助触媒成分(A)としてトリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.004mol/L、トルエン溶液)1.25mL(5.0μmol)を加え、重合を開始した。温度を50℃に保ちながら、60分間重合を行った。プロピレン重合体1.5gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は1.5×10g/molZrであり、Aw=26500、Aw/An=2.5、[η]=5.0dl/gであった。
【0155】
(実施例11)
化合物A(12.2mg,0.0215mmol)のトルエン溶液10.7mlに、テトラベンジルジルコニウム(9.8mg,0.0215mmol)を加え、24時間攪拌し、ジルコニウム原子濃度2.0mmol/Lのトルエン溶液(6)を調製した。
内容積400mLの撹拌機付きオートクレーブを真空乾燥してアルゴンで置換後、溶媒としてトルエン200mLを仕込み、反応器を50℃まで昇温した。モノマーとしてエチレンを、その分圧が0.6MPaになるように加え系内を安定させた。これに、助触媒成分(A)として濃度を1.00mol/Lに調整したトリイソブチルアルミニウム(東ソー・ファインケム社製)のトルエン溶液 0.25mLを投入した。次に、上記で調製したトルエン溶液(6)を0.5ml投入し、助触媒成分(A)としてトリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.004mol/L、トルエン溶液)1.25mL(5.0μmol)を加え、重合を開始した。温度を50℃に保ちながら、60分間重合を行った。エチレン重合体0.19gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は1.9×10g/molZrであり、Aw=83500、Aw/An=27.0、[η]=11.9dl/gであった。
【0156】
(実施例12)
化合物B(9.5mg,0.0167mmol)のトルエン溶液8.4mlに、テトラベンジルジルコニウム(7.6mg,0.0167mmol)を加え、24時間攪拌し、ジルコニウム原子濃度2.0mmol/Lのトルエン溶液(7)を調製した。
内容積400mLの撹拌機付きオートクレーブを真空乾燥してアルゴンで置換後、溶媒としてトルエン200mLを仕込み、反応器を50℃まで昇温した。モノマーとしてエチレンを、その分圧が0.6MPaになるように加え系内を安定させた。これに、助触媒成分(A)として濃度を1.00mol/Lに調整したトリイソブチルアルミニウム(東ソー・ファインケム社製)のトルエン溶液 0.25mLを投入した。次に、上記で調製したトルエン溶液(7)を0.5ml投入し、助触媒成分(A)としてトリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.004mol/L、トルエン溶液)1.25mL(5.0μmol)を加え、重合を開始した。温度を50℃に保ちながら、60分間重合を行った。エチレン重合体0.46gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は4.6×10g/molZrであり、Aw=173000、Aw/An=4.5、[η]=18.1dl/gであった。
【0157】
(実施例13)
化合物B(9.5mg,0.0167mmol)の8.4mlのトルエン溶液8.4mlに、テトラベンジルジルコニウム(7.6mg,0.0167mmol)を加え、24時間攪拌し、ジルコニウム原子濃度2.0mmol/Lのトルエン溶液(7)を調製した。
内容積400mLの撹拌機付きオートクレーブを真空乾燥してアルゴンで置換後、溶媒としてトルエン40mLを仕込み、さらにプロピレン80gを仕込んだ後、反応器を50℃まで昇温し系内を安定させた。これに、助触媒成分(A)として濃度を1.00mol/Lに調整したトリイソブチルアルミニウム(東ソー・ファインケム社製)のトルエン溶液 0.50mLを投入した。次に、上記で調製したトルエン溶液(7)を0.5ml投入し、助触媒成分(A)としてトリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.004mol/L、トルエン溶液)1.25mL(5.0μmol)を加え、重合を開始した。温度を50℃に保ちながら、60分間重合を行った。プロピレン重合体0.25gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は2.5×10g/molZrであり、Aw=47100、Aw/An=3.1、[η]=5.1dl/gであった。
【0158】
(実施例14)
錯体Dの合成
窒素雰囲気下100mLシュレンク管に化合物B(0.40g,0.70mmol)、トルエン20mLを入れた。続いて、テトラベンジルジルコニウム(0.32g,0.70mmol)を加え、室温下で1時間攪拌した。この溶液の揮発成分を減圧溜去した。得られた成分にペンタンを加え、固体成分を濾取し、褐色固体を0.33g得た。
H−NMR(CDCl)δ:7.64(d,J=2.0Hz,1H),7.60(d,J=2.0Hz,1H),7.46(d,J=2.0Hz,1H),7.03(d,J=2.0Hz,1H),6.92−6.95(m,2H),6.84−6.88(m,4H),6.59−6.66(m,4H),3.43−3.47(m,1H),3.19(m,1H),3.01(m,1H),2.85(m,1H),2.35−2.51(m,6H),2.31(s,3H),2.04(s,3H),1.63(s,9H),1.35(s,9H).


錯体D

【0159】
(実施例15)
錯体D(26.1mg,0.0311mmol)の3.1mlのトルエン溶液(9)を調製した。
内容積400mLの撹拌機付きオートクレーブを真空乾燥してアルゴンで置換後、溶媒としてトルエン40mLを仕込み、さらにプロピレン80gを仕込んだ後、反応器を50℃まで昇温し系内を安定させた。これに、助触媒成分(A)として濃度を1.00mol/Lに調整したトリイソブチルアルミニウム(東ソー・ファインケム社製)のトルエン溶液 0.50mLを投入した。次に、上記で調製したトルエン溶液(9)を1.00ml投入し、助触媒成分(A)としてトリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(0.004mol/L、トルエン溶液)1.25mL(5.0μmol)を加え、重合を開始した。温度を50℃に保ちながら、60分間重合を行った。プロピレン重合体9.5gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は9.5×10g/molZrであり、Aw=38300、Aw/An=2.6、[η]=5.4dl/gであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される錯体。



(式中、Mは、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、
は、
水素原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、
炭素原子数2〜20のアルケニル基、
炭素原子数7〜20のアラルキル基、
炭素原子数6〜20のアリール基、または
炭素原子数1〜20のハイドロカルビルシリル基を表す。
、R、およびR12は、同一または相異なり、
水素原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、
炭素原子数2〜20のアルケニル基、
炭素原子数7〜20のアラルキル基、または
炭素原子数6〜20のアリール基を表す。
〜R11は、同一または相異なり、
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、
炭素原子数2〜20のアルケニル基、
炭素原子数2〜20のアルキニル基、
炭素原子数7〜20のアラルキル基、
炭素原子数6〜20のアリール基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビルシリル基、または
炭素原子数3〜20のヘテロ環式化合物残基を表し、
およびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR10、R10およびR11は、連結して環を形成してもよく、該環は置換基を有していてもよい。
Zは、炭素原子数1〜50の架橋基である。ZおよびRは、連結して環を形成してもよい。
Xは、同一または相異なり、
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、
炭素原子数2〜20のアルケニル基、
炭素原子数7〜20のアラルキル基、
炭素原子数6〜20のアリール基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビルシリル基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビルアミノ基、
炭素原子数1〜20のハイドロカルビルチオラート基、または
炭素原子数1〜20のハイドロカルビルカルボニルオキシ基を表す。
隣接するX同士は、連結して環を形成してもよい。
Lは中性のルイス塩基を表す。Lが複数ある場合は、複数のLは同一でも異なっていてもよい。nは、0、1、または2である。)
【請求項2】
12は、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、
炭素原子数2〜20のアルケニル基、
炭素原子数7〜20のアラルキル基、または
炭素原子数6〜20のアリール基である請求項1に記載の錯体。
【請求項3】
12は水素原子である請求項1に記載の錯体。
【請求項4】
Xが、ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20のアルキル基、
炭素原子数7〜20のアラルキル基、
炭素原子数1〜20のアルコキシ基、または
炭素原子数6〜20のアリールオキシ基
である請求項1〜3のいずれかに記載の錯体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の錯体と助触媒成分とを接触させて得られるオレフィン重合用触媒。
【請求項6】
助触媒成分がホウ素化合物または有機アルミニウム化合物である請求項5に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項7】
請求項5または6に記載のオレフィン重合用触媒を用いてオレフィンを重合する、オレフィン重合体の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−14576(P2013−14576A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−124115(P2012−124115)
【出願日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】