説明

録画装置及び録画方法

【課題】録画チャンネルの数が変更される場合に好適な録画処理を実行できる録画装置及び録画方法を提供する。
【解決手段】実施形態に係る録画装置は、第1の数以下のチャンネルの映像データを受信する受信手段と、記憶媒体の記憶領域を、第1の数に応じた数の分割領域毎に管理する管理手段と、録画チャンネルを決定する決定手段と、決定手段により複数の録画チャンネルが決定された場合、当該複数の録画チャンネルの夫々を、チャンネル毎に異なる分割領域に割り当てる割当手段と、録画チャンネルの映像データを、割り当てられた分割領域に書き込ませる制御手段とを備え、割当手段は、決定手段により録画チャンネルが変更された場合、当該変更前の録画チャンネルの何れかに割り当てていた分割領域に、変更後の録画チャンネルの何れかのチャンネルを割り当てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
録画装置及び録画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のチューナを有する録画装置において、複数チャンネルのループ録画を行う技術がある。ループ録画とは、記憶媒体にループ録画用の記憶領域を割り当て、当該領域内の録画始点から終点まで記憶が進むと、再び始点に戻って上書き記憶する録画方式である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−10118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数チャンネルをループ録画している際に、例えばユーザからの操作入力等により、ループ録画するチャンネルの数が変更される場合がある。そして、ループ録画のチャンネル数が変更された場合であっても、複数チャンネルのループ録画を継続できることが好ましい。
【0005】
そこで本発明の実施形態は、録画チャンネルの数が変更される場合に好適な録画処理を実行できる録画装置及び録画方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、実施形態に係る録画装置は、第1の数以下のチャンネルの映像データを受信する受信手段と、記憶媒体の記憶領域を、第1の数に応じた数の分割領域毎に管理する管理手段と、録画チャンネルを決定する決定手段と、決定手段により複数の録画チャンネルが決定された場合、当該複数の録画チャンネルの夫々を、チャンネル毎に異なる分割領域に割り当てる割当手段と、録画チャンネルの映像データを、割り当てられた分割領域に書き込ませる制御手段とを備え、割当手段は、決定手段により録画チャンネルが変更された場合、当該変更前の録画チャンネルの何れかに割り当てていた分割領域に、変更後の録画チャンネルの何れかのチャンネルを割り当てる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態のテレビ装置の利用形態例を示す図。
【図2】実施形態のテレビ装置のシステム構成例を示す図。
【図3】実施形態のテレビ装置の機能ブロック例を示す図。
【図4】実施形態のテレビ装置によるループ録画の処理例を示す図。
【図5】実施形態のテレビ装置によるループ録画の処理例を示す図。
【図6】実施形態のテレビ装置によるループ録画の処理例を示す図。
【図7】実施形態のテレビ装置によるループ録画の処理例を示す図。
【図8】実施形態のテレビ装置によるループ録画の処理フロー例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
まず、図1を参照して、実施形態に係る録画装置の利用形態例を説明する。ここで実施形態に係る録画装置は、例えばテレビ装置200として実現されている。
アンテナ100は、放送基地局から送信される放送波を受信する。そしてアンテナ100は、受信した放送波の信号をテレビ装置200に出力する。
テレビ装置200は、受信部201、記憶媒体部207等を備え、受信部201が受信したテレビ放送の映像データを記憶媒体部207に記憶する機能を有する。そしてテレビ装置200は、複数チャンネルの映像データを記憶媒体部207内のループ録画用領域2071に同時にループ録画することができる。ここでループ録画とは、通常の録画用の記憶領域とは別にループ録画用の記憶領域を確保し、当該ループ録画用記憶領域内で上書き録画を繰り返す録画方式である。
【0009】
ここでテレビ装置200は、例えば記憶媒体部207の記憶領域A1乃至A3を夫々ループ録画用の記憶領域として割り当て、当該記憶領域A1乃至A3の夫々に何れか1のチャンネルの映像データを録画し続けることができる。そしてテレビ装置200は、例えば領域A1において位置B1から位置B2まで録画を行うと、録画する位置を位置B1にループさせて当該位置B1から、領域A1に既に記憶されたデータに対して上書き録画を行う。またテレビ装置200は、領域A2においては位置B2から位置B3まで録画すると、再度位置B2から録画を行い、領域A3においては位置B3から位置B4まで録画すると、位置B3に戻って上書き録画を行う。
【0010】
そして本実施形態のテレビ装置200は、同時にループ録画するチャンネルの数を変更する場合に、好適な録画処理を継続できるものあるが、詳細については図2乃至図6を参照して後述する。
【0011】
図2はテレビ装置200のシステム構成例を示す図である。テレビ装置200は、受信部201、TS再多重部202、TS分離部203、CAS制御部204、デスクランブラ部205、録画再生制御部206、記憶媒体部207、デコード部208、表示処理部209、表示部210、操作受付部211等を備えている。
【0012】
受信部201はアンテナ100(図2では不図示)と接続され、テレビ放送波を受信する。ここで、受信部201は、チューナ221乃至224を備える。これらのチューナ221乃至224は、受信すべきテレビ放送のチャンネル周波数と同期することによりテレビ放送波を受信する。そしてこれらチューナは、例えば地上波テジタル放送やBSデジタル放送等の放送波を受信する。またテレビ装置200は複数のチューナを備えているので、同時刻において複数チャンネルの放送波を受信できる。なお受信部201は、ネットワークを介してIPテレビ等の映像データを受信してもよい。
【0013】
TS再多重部202は、受信部201で受信された放送データを再多重する機能を有する。このTS再多重部202は、受信部201で受信された複数チャンネルのストリームを一つのTS(Transport Stream)に再多重し、再多重したTSをTS分離部203へと出力する。
【0014】
TS分離部203は、再多重された一つのTSから、符号化された音声データや映像データであるES(Elementary Stream)や、暗号化情報であるECM(Entitilement Control Message)、放送番組の開始時刻や番組名等の情報が記述されたEIT(Event Information Table)等に分離する。そしてTS分離部203は、ESをデスクランブラ部205へ、ECMをCAS制御部204へ、EITを番組情報処理部211に出力する。
【0015】
CAS制御部204には、TS分離部203で分離された暗号化情報ECMが入力される。ここでCAS制御部204は、TS分離部203において分離されたECMの暗号を、CASカード(不図示)に記憶されているワーク鍵(Kw)を用いて復号する。なお当該ワーク鍵は放送事業者毎に設定されている。
【0016】
そしてCAS制御部204は、ECMに含まれる番組の属性情報とCASカードに記憶されている契約情報とを比較して、視聴可否の判定を行う。CAS制御部204は、視聴可の場合にはスクランブル鍵(Ks)を復号してデスクランブラ部205に出力する。
【0017】
デスクランブラ部205は、TS分離部203から入力した音声データや映像データのスクランブル処理を解除する機能を有している。スクランブル解除の際には、CAS制御部204から入力した前記スクランブル鍵(Ks)を用いる。そしてデスクランブラ部205は、スクランブル解除した音声データや映像データを録画再生制御部206に出力する。
【0018】
録画再生制御部206は、録画処理および再生処理を制御する。録画処理時においては、音声データや映像データをチャンネルごとの1つのストリームに纏めて、記憶媒体部207への保存を行う。ここで録画再生制御部206は、受信部201が受信した複数チャンネルの映像データ及び音声データを、記憶媒体部207に夫々ループ録画する機能を有する。さらに当該ループ録画の際に録画再生制御部206は、ループ録画するチャンネル数を変更した場合に、当該変更後の録画チャンネルの夫々に対して録画領域を割り当て、ループ録画を継続して行うことができる。なお当該ループ録画の詳細については図3乃至図6を参照して後述する。
【0019】
また録画再生制御部206は再生処理時において、記憶媒体部207に記憶された映像データ及び音声データをデコード部208へ出力する。
記憶媒体部207は、録画再生制御部206から入力される映像データや音声データ等を記憶するHDD等の記憶媒体である。ここで記憶媒体部207は、複数のチャンネルの映像データ及び音声データを、録画再生制御部206による制御に応じてループ録画する機能を有し、ループ録画する夫々のチャンネルの映像データ及び音声データを、チャンネル毎に異なる記憶領域に記憶する。なお記憶媒体部207は、テレビ装置100の筐体内に内蔵されても、あるいは当該筐体の外部にデジタルインタフェースを介して接続されてもよい。
【0020】
デコード部208は、再生処理時において録画再生制御部206から入力される映像データや音声データをデコードする。そして当該デコードした映像データを表示処理部209に、音声データをスピーカ(不図示)に出力する。
【0021】
表示処理部209は、デコード部208から入力された映像データに基づいてディスプレイ表示用の信号を生成し、当該生成した信号を表示部210に出力する。また表示処理部209は、GUI処理部212から入力される画面データに基づいた信号を生成して表示部210に出力する。そして表示部210は、入力された信号に基づいた映像を表示する。
【0022】
操作受付部211は、リモートコントローラ等の操作入力装置からの操作入力を受け付ける。ここで操作受付部211は、例えばループ録画するチャンネルを選択/決定する操作入力や、録画した番組を再生する操作入力等を受け付ける。
【0023】
次に図3を参照して、録画再生制御部206の機能ブロック例を説明する。録画再生制御部206は、録画チャンネル決定部311、録画領域制御部312、チャンネル情報データベース313等を備える。
【0024】
録画チャンネル決定部311はループ録画するチャンネルを決定する。ここで録画チャンネル決定部311は、例えば操作受付部211が受け付けた、ループ録画チャンネルの選択/決定操作入力等に基づいて、ループ録画するチャンネルを決定する。また操作受付部211は、ユーザからの操作入力がない場合であっても所定のチャンネルをデフォルトでループ録画チャンネルとして決定してもよい。そして録画チャンネル決定部311は、決定した録画チャンネルを録画領域設定部312に通知する。
【0025】
録画領域制御部312は、入力された映像データを記憶媒体部207の所定の領域にループ録画させる。ここで録画領域制御部312は、記憶媒体部207内のループ録画用の録画領域2071を、テレビ装置100が同時に録画可能なチャンネル数、例えばループ録画に用いることが可能なループ録画用チューナの数に応じた分割数で分割し、分割した領域毎にチャンネルの割り当てを管理する。つまり録画領域制御部312は、記憶領域2071を、夫々何れかのチャンネルに対応付けられうる複数の領域に分割し、分割した夫々の領域に対して録画チャンネル決定部311が決定したチャンネルの何れかを対応付ける。そして録画領域制御部312は、夫々のチャンネルを対応付けた領域に当該チャンネルの映像データをループ録画する。
【0026】
図4は、録画領域制御部312による録画領域の割り当て処理例を示す図である。ここで録画領域制御部312は、記憶媒体部207のループ録画用の録画領域を、例えばループ録画の可能なチャンネル数の最小公倍数に分割する。つまり、ユーザ操作等により、録画チャンネル数が例えば1、2、3及び4の何れかに変更される可能性がある場合、ループ録画用の録画領域を1、2、3及び4の最小公倍数である12の領域に分割する。
【0027】
これにより、同時にループ録画されるチャンネルの数が1乃至4の何れの場合であっても、録画領域制御部312は録画チャンネルの夫々に対して略同サイズ(記憶容量)の記憶領域を割り当てることができる。つまり、4つのチャンネルがループ録画される場合には12分割された領域のうち3領域をチャンネル毎に割り当て、録画チャンネル数が3の場合には4領域をチャンネル毎に割り当て、録画チャンネル数が2の場合には6領域をチャンネル毎に割り当てる。
【0028】
なお、同時にループ録画できるチャンネルの数が、予め一定数以上として設定されている場合は、当該一定数と録画可能な最大数との間の数の最小公倍数に分割しても良い。つまり、同時にループ録画可能なチャンネル数が例えば4乃至6チャンネルとして設定されており、ループ録画チャンネル数が4、5及び6の何れかに変更される可能性がある場合、録画領域制御部312は、ループ録画用の録画領域を4、5及び6の最小公倍数である60の領域に分割する。また録画領域制御部312は、例えば放送の受信地域の関係等により受信可能なチャンネル数が、ループ録画に使用できるチューナ数よりも少ない場合、当該受信可能なチャンネル数に基づいた数にループ録画用の録画領域を分割しても良い。
【0029】
そして、図4(A)は、録画領域制御部312がチャンネル1乃至3の映像データを夫々のチャンネル毎の領域に割り当ててループ録画している場合の処理例を示す。なお図4(A)では、テレビ装置100が、録画チャンネル数を1、2、3及び4の何れかに設定する可能性がある場合において、3つのチャンネルをループ録画している場合を示している。
【0030】
まず録画領域制御部312は、ループ録画用の録画領域を、例えばテレビ装置100がループ録画可能なチャンネル数、即ち1、2、3及び4の最小公倍数である12の領域C1乃至C12に分割する。そして録画領域制御部312は、領域C1乃至C4にチャンネル1を、領域C5乃至C8にチャンネル2を、領域C9乃至C12にチャンネル3を割り当てて、夫々のチャンネルの映像データをループ録画している。
【0031】
ここで録画領域制御部312は、録画チャンネル決定部311から録画チャンネルを1チャンネル追加する通知を受けると、図4(B)に示すように、チャンネル1乃至3に夫々割り当てられている複数の領域のうち、チャンネル毎に1つの領域を開放する。そしてこの場合に録画領域制御部312は、連続(隣接)した領域を優先的に開放することができる。なお、ここで開放とは、例えば領域とチャンネルとの割当関係(対応関係)をリセットすることや、領域に書き込まれた映像データを消去すること等を指す。
【0032】
つまり、例えばチャンネル1に割り当てられている領域C1乃至C4のうち領域C4を優先的に開放し、またチャンネル2に割り当てられている領域C5乃至C6のうち領域C5を優先的に開放することにより、連続する領域を優先的に開放できる。また、チャンネル3についても、当該チャンネル3に割り当てられている領域C9乃至C12のうち、領域C9を開放することにより、当該開放して領域によってチャンネル3の録画領域が分断されることを抑制できる。
【0033】
そして録画領域制御部312は、開放した領域C4、C5、C9を、図4(C)に示すように、新たにループ録画を開始するチャンネル4に割り当て、当該チャンネル4の映像データのループ録画を開始する。この場合に録画領域制御部312は、当該映像データを、例えばB5の位置からB6の位置に向かって書き込み、書き込み位置(録画位置)がB6に到達すると、続いてB3からB7に向かって書き込む。ここで録画領域制御部312、チャンネル4の映像データをB7の位置まで書き込むと、再度B5の位置に戻り、既にチャンネル4の映像データが書き込まれた領域に対して上書き書き込みを行う。
【0034】
また録画領域制御部312は、録画領域の割り当てを変更した後において、チャンネル1を領域C1乃至C3に、チャンネル2を領域C6乃至C8に、チャンネル3を領域C10乃至C12にループ録画する。なお図4(C)乃至(C)において録画領域制御部312は、チャンネル1乃至3の映像データのループ録画を停止することなく、夫々のチャンネルに割り当てた録画領域へのループ録画を継続する。
【0035】
図5に、録画領域制御部312による録画領域の制御処理例を示す。図4に示した処理においては、録画領域制御部312は、ループ録画するチャンネルを追加する場合、隣接する領域を優先的に開放していたが、当該図6に示す例では、ループ録画の書き込み中の位置(録画位置)に応じた領域を開放する。なお図6においてテレビ装置100は、図4の場合と同様に、チャンネル1をB1からB2に向かって、チャンネル2をB2からB3に向かって、チャンネル3をB3からB4に向かってループ録画している。
【0036】
録画領域制御部312は、チャンネル1乃至3をループ録画している場合に、録画チャンネル決定部311からループ録画するチャンネルを追加する通知を受けると、チャンネル1乃至3の夫々の映像データを何れの領域に書き込み中であるかを判別する。そして録画領域制御部312は、チャンネル1乃至3に対して夫々割り当てられている複数の録画領域のうち現在書き込み中の領域を除く領域の中から、書き込みデータが古い領域を開放する。
【0037】
つまり、例えばチャンネル1について、録画チャンネルの追加通知を受けた際の書き込み位置がR1であるとする。ここで録画領域制御部312は、チャンネル1に割り当てられた領域C1乃至C4のうち、書き込み位置R1に対応する領域C3を除く領域の中から、録画データが最も古い領域C4を選択して開放する。チャンネル2及び3についても同様に、夫々のチャンネルに対して割り当てられた領域のうち、録画位置R2及びR3に対応する領域C6及びC12を除いた領域の中から、録画データが最も古い領域C7及びC9を選択して開放する。そして録画領域制御部312は、開放した領域C4、C7及びC9に対してチャンネル4の映像データをループ録画する。
【0038】
なおテレビ装置100は、録画チャンネルを追加する場合に、ループ録画中の夫々のチャンネルから不均等な数の録画領域を開放してもよく、また、ループ録画中のチャンネルのうちの少なくとも1のチャンネルに割り当てられた領域を開放してもよい。またテレビ装置100は、録画領域2071を、必ずしもテレビ装置100が同時にループ録画しうるチャンネル数の最小公倍数に分割しなくとも良く、少なくとも同時にループ録画可能なチャンネル数の最大数以上の数の録画領域に分割すればよい。つまり、4のチャンネルを同時にループ録画できる場合、録画領域2071を4又はそれ以上の数に分割すればよい。
【0039】
図6は、録画領域制御部312による、ループ録画可能なチャンネル数と録画するチャンネルのビットレートとに応じた割り当て処理例を示す。図4及び5においては、ループ録画するチャンネルの夫々に対して同じ数の領域を割り当てていた。しかし、例えばビットレートが異なるチャンネルの夫々に対して同じ数の領域を割り当てると、夫々のチャンネルの録画データが録画のループにより上書きされるまでの時間が異なることとなる。このため、図6における処理では、映像のビットレートに応じて異なる数の領域を夫々のチャンネルに対して割り当てる。なお夫々のチャンネルの映像データのビットレートについての情報は、例えばテレビ装置100に予め格納されていても良い。あるいは当該テレビ装置100が映像データを解析してビットレート情報を取得しても良い。
【0040】
ここで、例えばループ録画できるチャンネル数の最大数が3であり、ループ録画するチャンネルの映像データのビットレートが例えば16Mbps及び32Mbpsのうち何れかである場合を考える。このとき、夫々のチャンネルについてループ録画の1ループ当たりの録画時間を同じ長さにするためには、ループ録画するチャンネル数及びビットレートの変化に対して、以下で説明する数の領域が必要となる。
【0041】
例えば、16Mbpsのビットレートのチャンネルを2チャンネル分録画する場合、これら2チャンネルの夫々の1ループ当たりの録画時間長を同じ長さとするためには、少なくとも2つの領域が必要となる。同様に、16Mbpsのビットレートのチャンネルと32Mbpsのビットレートのチャンネルとを1チャンネルずつ録画する場合、これら2つのチャンネルの1ループ当たりの録画時間長を同じ長さとするためには、少なくとも3つの領域が必要となる。
【0042】
また、16Mbpsのビットレートのチャンネルを3チャンネル分録画する場合、これら3チャンネルの夫々の1ループ当たりの録画時間長を同じ長さとするためには、少なくとも3つの領域が必要となる。また、16Mbpsのビットレートのチャンネルを2チャンネル分、32Mbpsのビットレートのチャンネルを1チャンネル分録画する場合、これら3チャンネルを夫々同じ時間長分上書きせずループ録画するためには、少なくとも4つの領域が必要となる。また、16Mbpsのビットレートのチャンネルを1チャンネル分、32Mbpsのビットレートのチャンネルを2チャンネル分録画する場合、これら3チャンネルを夫々同じ時間長分上書きせずループ録画するためには、少なくとも5つの領域が必要となる。
【0043】
そして上記の場合においては、夫々の場合について少なくとも必要となる領域数の最小公倍数である60の領域に分割することが好ましい。つまり、録画するチャンネルのビットレートの比が例えばx:y:zで表せる場合(x、y、zは互いに素)、夫々のチャンネルに対して同じの時間長録画可能な領域を割り当てるためには、これらの比の数値の和(x+y+z)の領域に分割することが好ましい。そして、同時にループ録画しうるチャンネルのビットレート比の数値の和(x+y+z)の最小公倍数に分割すれば、ビットレートが異なる場合であっても、夫々のチャンネルの1ループあたりの録画時間を同じ長さにできる。
【0044】
ここで、図6(A)において録画領域制御部312は、例えば互いに同じビットレートのチャンネル1及び2に対し、それぞれ30の領域を割り当ててループ録画を実行している。ここで、チャンネル1及び2の2倍のビットレートのチャンネル3を追加してループ録画する場合、図6(B)に示すように、チャンネル1及び2に割り当てている領域のうちチャンネル毎に15の領域を開放して、チャンネル3に割り当てる。また、チャンネル1のループ録画を停止して、チャンネル3と同じビットレートのチャンネル4を追加してループ録画する場合、録画領域制御部312は、チャンネル2及び3に割り当てられた複数の領域のうち、これらチャンネルのビットレートに応じた数の領域を開放してチャンネル4に割り当てる。
【0045】
図7は、録画チャンネル数が例えば1、2、3及び4の何れかに変更される可能性がある場合における録画領域制御部312の割り当て処理例を示す図である。ここで録画領域制御部312は、ループ録画用の録画領域2071をC1乃至C12の12の領域に分割している。そして図7(A)に示すように、領域C1乃至C3にチャンネル1を、領域C4乃至C6にチャンネル2を、領域C7乃至C9にチャンネル3を、領域C10乃至C12にチャンネル4を割り当ててループ録画している。
【0046】
ここで録画領域制御部312は、チャンネル2のループ録画を停止する指示を受けると、図7(B)に示すようにチャンネル2に割り当てられていた領域C4乃至C6を開放する。続いて録画領域制御部312は、領域C4乃至C6のうち、チャンネル1に割り当てられた領域と連続(隣接)する領域C4を、チャンネル1に割り当てる。また同様に領域C4乃至C6のうち、チャンネル3の映像データをループ録画している領域と連続する領域C6を当該チャンネル3に割り当てる。そして録画領域制御部312は、残る領域C5をチャンネル4に割り当てる。
【0047】
なお図7においては、夫々のチャンネルに対して均等の数の領域を割り当てる場合を示しているが、録画領域制御部312は、例えばチャンネル毎にビットレートが違う場合等において、当該ビットレートに応じた数の領域を夫々のチャンネルに割り当てても良い。また録画領域制御部312は、録画領域2071を、必ずしもテレビ装置100が同時にループ録画しうるチャンネル数の最小公倍数に分割しなくとも良く、少なくとも同時にループ録画可能なチャンネル数の最大数以上の数の録画領域に分割してもよい。
【0048】
図8に、テレビ装置100による録画チャンネルの割り当て処理フロー例を示す。まず録画チャンネル決定部311は、何れのチャンネルをループ録画するか決定する(S801)。なおここで録画チャンネル決定部311は、ループ録画するチャンネルを例えばユーザからの操作入力に応じて決定する。また、ループ録画するチャンネルは予めテレビ装置100に設定されていてもよい。
【0049】
そして録画領域制御部312は、ループ録画用の録画領域2071を、ループ録画するチャンネルの数に応じた数に分割する(S802)。つまり録画領域制御部312は、録画領域2071を、例えばテレビ装置100が同時にループ録画する可能性のあるチャンネルの数の最小公倍数に分割する。あるいは録画領域制御部312は、録画領域2071を、同時にループ録画する可能性のあるチャンネルの数と、ループ録画する可能性のあるチャンネルのビットレートに応じた数に分割しても良い。
【0050】
次に録画再生制御部206は、S801で設定したチャンネルの映像データの受信を受信部201に指示し、受信部201は指定されたチャンネルの映像データを受信する(S803)。そして録画領域制御部312は、受信した夫々のチャンネルの映像データを、S802で割り当てた領域にループ録画する(S804)。ここで録画領域制御部312は、録画チャンネル決定部311から録画チャンネルの変更の通知を受けると(S805)、再度S802の処理を実行して、各チャンネルに録画領域を割り当てる。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0052】
100…アンテナ、200…テレビ装置、201…受信部、202…TS再多重部、203…TS分離部、204…CAS制御部、205…デスクランブラ部、206…録画再生制御部、207…記憶媒体部、208…デコード部、209…表示処理部、210…表示部、211…操作受付部、311…録画チャンネル決定部、312…録画領域制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の数以下のチャンネルの映像データを受信する受信手段と、
記憶媒体の記憶領域を、前記第1の数に応じた数の分割領域毎に管理する管理手段と、
録画チャンネルを決定する決定手段と、
前記決定手段により複数の録画チャンネルが決定された場合、当該複数の録画チャンネルの夫々を、チャンネル毎に異なる前記分割領域に割り当てる割当手段と、
前記録画チャンネルの映像データを、割り当てられた前記分割領域に書き込ませる制御手段と
を備え、
前記割当手段は、前記決定手段が前記録画チャンネルの変更を決定した場合、当該変更前の録画チャンネルの何れかに割り当てていた前記分割領域に、変更後の録画チャンネルの何れかのチャンネルを割り当てる、録画装置。
【請求項2】
前記割当手段は、前記複数の録画チャンネルの夫々に同じ数の前記分割領域を割り当てる、請求項1記載の録画装置。
【請求項3】
前記割当手段は、前記複数の録画チャンネルの夫々に、当該複数の録画チャンネルの映像データのビットレートに応じた数の前記分割領域を割り当てる、請求項1記載の録画装置。
【請求項4】
前記割当手段は、前記決定手段が前記録画チャンネルの追加を決定した場合、当該追加前の夫々の録画チャンネルに割り当てていた複数の分割領域の中から録画チャンネル毎に少なくとも1つの分割領域を開放して、前記追加された録画チャンネルを当該開放した分割領域に割り当てる、請求項1記載の録画装置。
【請求項5】
前記割当手段は、前記決定手段が録画チャンネルの追加を決定した場合、当該追加前の録画チャンネルの映像データが書き込み中であった分割領域とは異なる分割領域のうち、最も古い映像データが記憶されている分割領域を開放する、請求項4記載の録画装置。
【請求項6】
前記割当手段は、前記決定手段が第1の録画チャンネルの録画の停止を決定した場合、前記第1の録画チャンネルを割り当てていた分割領域に隣接する分割領域に割り当てていたチャンネルを当該分割領域に割り当てる、請求項1記載の録画装置。
【請求項7】
前記管理手段は、前記記憶媒体の記憶領域を、前記決定手段が決定しうる録画チャンネルのチャンネル数の最小公倍数の前記分割領域毎に管理する、請求項1記載の録画装置。
【請求項8】
前記管理手段は、前記記憶媒体の記憶領域を、前記受信手段が受信する複数の映像データのビットレート比に応じた数の前記分割領域毎に管理する、請求項7記載の録画装置。
【請求項9】
第1の数以下のチャンネルの映像データを受信することと、
記憶媒体の記憶領域を、前記第1の数に応じた数の分割領域毎に管理することと、
録画チャンネルを決定することと、
複数の録画チャンネルが決定された場合、当該複数の録画チャンネルの夫々を、チャンネル毎に異なる前記分割領域に割り当てることと、
前記録画チャンネルの映像データを、割り当てられた前記分割領域に書き込ませることと、
録画チャンネルの変更が決定された場合、当該変更前の録画チャンネルの何れかに割り当てられていた前記分割領域に、変更後の録画チャンネルの何れかのチャンネルを割り当てることと
を備える録画方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−165074(P2012−165074A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22070(P2011−22070)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【特許番号】特許第4988047号(P4988047)
【特許公報発行日】平成24年8月1日(2012.8.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】