説明

録音再生装置、録音再生方法、およびプログラム

【課題】一般的な語学練習番組等を教材として利用することが容易であり、任意の部分で反復練習可能な自由度の高い録音再生技術を提供する。
【解決手段】手本音声情報が記憶されているとともに録音した練習音声情報を記憶する記憶手段と、音声再生手段と、音声入力手段とを備え、録音操作が行われると、手本音声情報の再生の停止と、手本音声情報の停止位置の記憶と、特殊再生操作が行われるまでの間、音声入力手段から入力される練習音声情報の記憶を行う。更に特殊再生操作が行われると、練習音声情報の記憶を停止し、記憶した練習音声情報の再生を行った後に練習音声情報の再生を停止して手本音声情報の停止位置から所定個所までさかのぼった位置から手本音声情報の再生を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生した手本音声に対して、利用者の発音した音声の記憶と再生とを可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、語学会話の練習では、テープレコーダ、CDプレーヤ、ICレコーダ等を用いて手本音声が録音された教材を繰り返し聞くことが一般的な練習方法である。しかし、この場合、聞き取り(ヒアリング)の練習は充分に可能であるが、発音(スピーキング)の練習は充分にできない。特に独学で語学会話の練習をする利用者の場合、発音が充分に練習できず(発音が上達したか否かを確認する手段が乏しく)、聞き取りの練習に偏ってしまう傾向が高い。
【0003】
そこで、独学で語学会話の練習をする利用者等のために、利用者の発音した音声(以降、「練習音声」と記載する)を録音し、手本音声と練習音声とを連続して再生することで、利用者が手本音声と練習音声の比較を容易にして、発音の上達状態の確認を支援する語学練習機が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−28384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の従来の語学練習機では、手本音声として、1フレーズ毎に無音部分が作られた教材が必要であり、手本音声を1フレーズ再生すると、無音(再生)部分を検出して自動的に録音モードに移行し、利用者の練習音声の録音を開始する。そして利用者の練習音声の発音が終了して無音(録音)部分を検出すると、利用者の練習音声の録音を停止して、該当する手本音声を再度再生した後、録音した練習音声を再生することを繰り返している。従って、従来の語学練習機の教材は、1フレーズ毎に無音部分が作られてなければならず、特殊な教材が必須であり、テレビ、ラジオ等で放送される一般的な語学練習番組等を教材として利用することが非常に困難である。語学会話の練習では、同一の手本音声を必要以上に何度も用いるよりも、種々の手本音声を用いてより多くの語彙、文を聞き取り及び発音する方が好ましい。
【0006】
また、従来の語学練習機の教材は、予め設定された1フレーズが終了しなければ利用者の練習音声の録音モードに移行しないため、フレーズの途中からの録音を利用者が所望しても、それは不可能であり、操作性及び自由度が乏しい(反復練習できる部分が予め固定されている)。更に、従来の語学練習機は、1フレーズの手本音声の再生が終了すると必ず利用者の練習音声の録音モードに移行するため、複数フレーズを連続して聞き取りたい場合等に不便であるとともに、語学練習機の制御が複雑化して、高性能な制御部(高性能MPU等)が必要となる場合もある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、一般的な語学練習番組等を教材として利用することが容易であり、任意の部分で反復練習可能な自由度の高い録音再生技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段として、本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりの録音再生装置である。
請求項1に記載の録音再生装置では、手本音声情報が記憶されているとともに録音した練習音声情報を記憶する記憶手段と、音声再生手段と、音声入力手段とを備えている。そして、(a)通常再生操作が行われると、記憶手段に記憶されている手本音声情報を順次読み出して音声再生手段にて再生する。そして、(b)録音操作が行われると、手本音声情報の再生の停止と、手本音声情報の停止位置の記憶と、特殊再生操作が行われるまでの間、音声入力手段から入力される練習音声情報の記憶を行う。更に、(c)特殊再生操作が行われると、練習音声情報の記憶を停止した後、手本音声情報の停止位置から所定個所までさかのぼった位置からの手本音声情報の再生、および記憶手段に記憶した練習音声情報の再生を行う。
【0009】
尚、手本音声情報の停止位置から所定個所までさかのぼった位置からの手本音声情報の再生、および記憶手段に記憶した練習音声情報の再生を行うに際しては、手本音声情報と練習音声情報とを、どのようなタイミングで再生しても良い。たとえば、手本音声情報の再生を開始してから(あるいは再生が終了してから)練習音声情報を再生しても良いし、逆に、練習音声情報の再生を開始してから(あるいは精細が終了してから)手本音声情報を再生しても良い。更には、手本音声情報の再生と練習音声情報の再生とを同時に開始するようにしても良い。手本音声情報と練習音声情報とを同時に再生してやれば、両者の違いを顕著に認識することが可能となる。
【0010】
また、本実施の形態に記載した録音再生装置は、録音操作が行われて、音声入力手段から入力される練習音声情報を記憶手段に記憶する際、当該練習音声情報の記憶の継続時間を計測する。そして、特殊再生操作が行われて、手本音声情報の再生を行う際、手本音声情報の停止位置から前記継続時間に基づいた時間分さかのぼった位置から手本音声情報の再生を開始する。
【0011】
尚、この第1発明の録音再生装置は、次のような態様で把握することも可能である。すなわち、
手本音声情報が記憶されているとともに録音した練習音声情報を記憶する記憶手段と、音声再生手段と、音声入力手段とを備え、
(a)通常再生操作が行われると、記憶手段に記憶されている手本音声情報を順次読み出して音声再生手段にて再生し、
(b)録音操作が行われると、手本音声情報の再生の停止と、手本音声情報の停止位置の記憶と、特殊再生操作が行われるまでの間、音声入力手段から入力される練習音声情報の記憶を行い、
(c)特殊再生操作が行われると、練習音声情報の記憶を停止した後、手本音声情報の停止位置から所定個所までさかのぼった位置からの手本音声情報の再生、および記憶手段に記憶した練習音声情報の再生を行う、
ことを特徴とする録音再生装置として把握することも可能である。
【0012】
また、本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりの録音再生装置である。
請求項2に記載の録音再生装置は、請求項1に記載の録音再生装置であって、特殊再生操作が行われて、手本音声情報の再生を行う際、手本音声情報の停止位置から予め設定された所定時間分さかのぼった位置から手本音声情報の再生を開始する。
【0013】
尚、この第2発明の録音再生装置は、次のような態様で把握することも可能である。すなわち、
請求項1に記載の録音再生装置であって、
特殊再生操作が行われて、手本音声情報の再生を行う際、手本音声情報の停止位置から予め設定された所定時間分さかのぼった位置から手本音声情報の再生を開始する
ことを特徴とする録音再生装置として把握することも可能である。
【0014】
また、本発明の第3発明は、請求項3に記載されたとおりの録音再生装置である。
請求項3に記載の録音再生装置は、請求項1に記載の録音再生装置であって、記憶手段に記憶されている手本音声情報には、所定個所に所定の識別情報が予め含ませてあり、特殊再生操作が行われて、手本音声情報の再生を行う際、手本音声情報の停止位置から前記識別情報が検出されるまでさかのぼった位置から手本音声情報の再生を開始する。
【0015】
また、本実施の形態に記載した録音再生装置は、記憶手段に記憶されている手本音声情報には、所定個所に所定の識別情報が予め含ませてあり、録音操作が行われて、音声入力手段から入力される練習音声情報を記憶手段に記憶する際、当該練習音声情報の記憶の継続時間を計測し、特殊再生操作が行われて、手本音声情報の再生を行う際、手本音声情報の停止位置から前記継続時間に基づいた時間分さかのぼった位置に近い識別情報の位置から手本音声情報の再生を開始する。
【0016】
尚、この第3発明の録音再生装置は、次のような態様で把握することも可能である。すなわち、
請求項1に記載の録音再生装置であって、
記憶手段に記憶されている手本音声情報には、所定個所に所定の識別情報が予め含ませてあり、
特殊再生操作が行われて、手本音声情報の再生を行う際、手本音声情報の停止位置から前記識別情報が検出されるまでさかのぼった位置から手本音声情報の再生を開始する
ことを特徴とする録音再生装置として把握することも可能である。
【0017】
また、本発明の第4発明は、請求項4に記載されたとおりのプログラムである。
請求項4に記載のプログラムは、予め記憶されている手本音声情報を再生する機能に加えて、練習音声情報を記憶するとともに、該記憶した練習音声情報を再生する機能を、コンピュータを用いて実現するプログラムであって、特に、(a)通常再生操作が行われたことを検出すると、予め記憶されている前記手本音声情報を順次読み出して再生する機能と、(b)前記手本音声情報の再生中に前記練習音声情報の記憶操作が行われたことを検出すると、該手本音声情報の再生を停止して、該手本音声情報の停止位置を記憶するとともに、前記練習音声情報の記憶を開始する機能と、(c)前記練習音声情報の記憶中に所定の特殊再生操作が行われたことを検出すると、該練習音声情報の記憶を停止した後、前記手本音声情報の停止位置から所定個所までさかのぼった位置からの手本音声情報の再生、および記憶手段に記憶した練習音声情報の再生を行う機能とをコンピュータを用いて実現する。
【0018】
尚、この第4発明のプログラムは、次のような態様で把握することも可能である。すなわち、
予め記憶されている手本音声情報を再生する機能に加えて、練習音声情報を記憶するとともに、該記憶した練習音声情報を再生する機能を、コンピュータを用いて実現するプログラムにおいて、
(a)通常再生操作が行われたことを検出すると、予め記憶されている前記手本音声情報を順次読み出して再生する機能と、
(b)前記手本音声情報の再生中に前記練習音声情報の記憶操作が行われたことを検出すると、該手本音声情報の再生を停止して、該手本音声情報の停止位置を記憶するとともに、前記練習音声情報の記憶を開始する機能と、
(c)前記練習音声情報の記憶中に所定の特殊再生操作が行われたことを検出すると、該練習音声情報の記憶を停止した後、前記手本音声情報の停止位置から所定個所までさかのぼった位置からの手本音声情報の再生、および記憶手段に記憶した練習音声情報の再生を行う機能と
をコンピュータを用いて実現することを特徴とするプログラムとして把握することも可能である。
【0019】
また、本発明の第5発明は、請求項5に記載されたとおりのWebシステムである。
請求項5に記載のWebシステムは、通信回線を介して接続されたコンピュータに対して、予め記憶しているプログラムを利用させることで、該プログラムがコンピュータを用いて実現する機能を提供するWebシステムであって、前記請求項4に記載のプログラムを予め記憶している。そして、前記通信回線を介して接続されたコンピュータに対して、前記請求項4に記載のプログラムを利用させる。
【0020】
尚、この第5発明のWebシステムは、次のような態様で把握することも可能である。すなわち、
通信回線を介して接続されたコンピュータに対して、予め記憶しているプログラムを利用させることで、該プログラムがコンピュータを用いて実現する機能を提供するWebシステムにおいて、
前記請求項4に記載のプログラムを予め記憶しており、
前記通信回線を介して接続されたコンピュータに対して、前記請求項4に記載のプログラムを利用させることを特徴とするWebシステムとして把握することも可能である。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の録音再生装置を用いれば、手本音声情報を特殊な形式(例えば1フレーズ毎に無音部分を作る等)で記憶させておく必要がないので、一般的な語学練習番組等を教材として利用することが容易であり、便利である。
また、録音操作及び特殊再生操作を行った場合のみ、練習音声情報の記憶及び再生を行い、任意の位置で反復練習が可能である。また、録音操作及び特殊再生操作を行わなければ手本音声情報の聞き取りのみを行うことも可能であり、利用者にとって聞き取りの練習、及び発音の練習に対する自由度が非常に高い。
【0022】
また、本実施の形態に記載の録音再生装置によれば、練習音声情報の再生と比較するための手本音声情報の再生の先頭部分の決定には、練習音声情報の録音時間(継続時間)を利用する。このため、容易かつ適切に手本音声情報の再生の先頭部分を決めることができる。
なお、実際の録音時間(継続時間)に基づいた時間(例えば実際の録音時間+α)分さかのぼった位置から手本再生情報の再生を開始するので、手本音声情報の先頭部分が切れることを抑制することができ、より適切に手本音声情報の再生の先頭部分を決めることができる。
【0023】
また、請求項2に記載の録音再生装置によれば、練習音声情報の再生と比較するための手本音声情報の再生の先頭部分の決定には、予め設定した所定時間を利用する。このため、非常に容易に手本音声情報の再生の先頭部分を決めることができる。
【0024】
また、請求項3に記載の録音再生装置によれば、練習音声情報の再生と比較するための手本音声情報の再生の先頭部分の決定には、予め手本音声情報に設定した識別情報を利用する。例えば第2の実施の形態にて説明するように、利用者が容易に識別情報を手本音声情報の任意の位置に設定することができれば、容易かつ適切に手本音声情報の再生の先頭部分を決めることができる。
【0025】
また、本実施の形態に記載の録音再生装置によれば、練習音声情報の再生と比較するための手本音声情報の再生の先頭部分の決定には、予め設定した識別情報と、練習音声情報の録音時間(継続時間)とを利用し、実際の録音時間(継続時間)に基づいた時間に近い位置の識別情報の位置から手本音声情報を再生する。これにより、例えば1フレーズ毎に識別情報を設定しても、2フレーズ分、3フレーズ分等、複数の連続したフレーズの反復練習を適切に行うことが可能であり、自由度がより高くなる。
【0026】
また、請求項4に記載のプログラムを用いれば、コンピュータを用いて、請求項1または2の録音再生装置を実現することができる。このため、手本音声情報を特殊な形式(例えば1フレーズ毎に無音部分を作る等)で記憶させておく必要がないので、一般的な語学練習番組等を教材として利用することが容易であり、便利である。
また、録音操作及び特殊再生操作を行った場合のみ、練習音声情報の記憶及び再生を行い、任意の位置で反復練習が可能である。また、録音操作及び特殊再生操作を行わなければ手本音声情報の聞き取りのみを行うことも可能であり、利用者にとって聞き取りの練習、及び発音の練習に対する自由度が非常に高い。
【0027】
また、請求項5のWebシステムを用いれば、通信回線を介して接続されたコンピュータに、請求項4に記載のプログラムをダウンロードさせ、あるいはWeb上で利用させることで、コンピュータを用いて、請求項1の録音再生装置を実現することができる。その結果、請求項1の録音再生装置と同様の効果を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の録音再生装置1の一実施の形態の概略外観図である。
【図2】本発明の録音再生装置1のブロック構成を説明する図である。
【図3】第1の実施の形態における、練習音声の録音と再生等を説明する図である。
【図4】第2の実施の形態における、練習音声の録音と再生等を説明する図である。
【図5】第3の実施の形態における、練習音声の録音と再生等を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の録音再生装置1の概略外観図である。
●[外観(図1)]
録音再生装置1は、掌に収まる程度の携帯可能なサイズであり、表示手段10(LCD等)、操作手段20、反復操作手段22、音声入力手段30(マイク等)、音声出力手段40(スピーカ等)及び42(イヤホン用端子等)を備えている。
利用者は、操作手段20を操作し、表示手段10を見ながら手本音声の選択及び再生指示を行い、予め録音されている手本音声(手本音声情報)を聞き取ることができる。また、反復操作手段22を操作することで、自己が発音した練習音声(練習音声情報)を録音して手本音声と自己の練習音声とを比較可能に聞き取ることができる。
更に利用者は、操作手段20を操作することで、テレビ、ラジオ等で放送される一般的な語学練習番組の音声を録音することができる。そして利用者は、録音した語学練習番組の音声を手本音声として利用することができる。
なお、テレビ、ラジオ等で放送される一般的な語学練習番組の音声を録音することは既存の技術で可能であるので、説明を省略する。
【0030】
●[ブロック構成(図2)]
次に図2を用いて録音再生装置1のブロック構成について説明する。録音再生装置1は、MPU50を中心に構成されている。
操作手段20または反復操作手段22は、インターフェース20a(以降、インターフェースを「I/F」と記載する)を介してバス80に接続され、操作手段20の操作に基づく操作信号がMPU50に出力される。
音声入力手段30は、I/F30aを介してバス80に接続され、音声入力手段30から入力された音声信号がMPU50に出力される。
不揮発性記憶手段52(Flashメモリ等)には、手本音声が記憶されており、揮発性記憶手段54(RAM等)は利用者の練習音声等が一時的に記憶され、共にバス80を介してMPU50に接続されている。
【0031】
MPU50は、バス80及びI/F10aを介して表示手段10に種々の表示を出力することが可能であり、バス80及びI/F40aを介して音声出力手段40及び42から音声を出力することが可能である。
なお、本実施の形態に示す録音再生装置1は、テレビ、ラジオ等の音声を受信してMPU50に出力する受信部(図示せず)も備えている。
なお、MPU50の他にも、音声情報の圧縮及び伸張を高速に行うDSP等を追加してもよい。
【0032】
●[第1の実施の形態(図3)]
次に、図3を用いて再生及び録音動作における第1の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、利用者の練習音声と手本音声との発音を比較するために、一旦再生した手本音声を再度再生する場合のさかのぼり位置を、利用者の練習音声の録音時間(録音継続時間)に基づいて決定する。
以下、利用者が、予め録音した「語学練習番組β」に録音されている「手本音声A」〜「手本音声C」を再生し、「手本音声B」に対して「練習音声」を録音し、当該「練習音声」と「手本音声B」とを比較する場合における、録音再生装置1の動作について説明する。
【0033】
図3(A)に示す例では、利用者の操作により、不揮発性記憶手段52には「語学練習番組α」、「語学練習番組β」、「語学練習番組γ」が記憶(録音)されている。なお、記憶されている「語学練習番組α」〜「語学練習番組γ」は、特殊な形態で記憶されることなく、番組の音声をそのまま録音した状態で記憶されている。なお、「そのまま録音した状態」とは、種々の圧縮を施した後の状態も含む。
そして、利用者は、表示手段10に表示される内容を確認しながら操作手段20等を操作し、「語学練習講座β」を選択して通常再生操作を行う(例えば、操作手段20内の再生ボタンを押す)。すると、録音再生装置1は、不揮発性記憶手段52に記憶されている「語学練習番組β」から「手本音声A」、「手本音声B」・・と順次読み出して再生する(図3(B)参照)。
【0034】
ここで、利用者が手本音声Bに対して発音を練習し、且つ手本音声Bと自己の発音(練習音声)との比較を所望する場合(反復練習する場合)、手本音声Bの再生が終了したところで録音操作を行う(例えば、反復操作手段22を押す(押し続ける))。すると、録音再生装置1は、手本音声Bの再生の停止と、手本音声Bの停止位置(例えば、不揮発性記憶手段52の該当するアドレス位置等。図3(A)参照)の記憶と、音声入力手段30から入力される練習音声の記憶を行う(例えば揮発性記憶手段54に記憶する)。
続いて、利用者は練習音声の記憶(録音)を終了したら、特殊再生操作を行う(例えば、反復操作手段22を離す(押している状態を解除する))。すると、録音再生装置1は、記憶した練習音声の再生を行った後に(録音再生装置1は、記憶している練習音声の録音開始位置と録音終了位置に基づいて再生する)、練習音声の再生を停止して、手本音声Bの再生の停止位置から所定個所までさかのぼった位置から手本音声Bの再生を開始する。
なお、手本音声Bを再度再生した後に練習音声を再生するようにしてもよい。この場合、手本音声Bの再生の停止位置から所定個所までさかのぼった位置から手本音声Bの再生を開始して停止位置まで手本音声Bの再生を行った後に手本音声Bの再生を停止して、録音した練習音声の再生を行う。
【0035】
ここで、録音再生装置1による「手本音声Bの再生の停止位置から所定個所までさかのぼった位置」の決定方法について説明する。第1の実施の形態では「さかのぼった位置」を、利用者の練習音声の録音時間(録音継続時間)に基づいて決定する。
録音再生装置1は、録音継続時間を、図3(C)の録音継続時間T02に示すように、録音操作を行ってから特殊再生操作を行うまでの時間として計測することができる。通常、この録音継続時間T02は、手本音声Bの再生時間T01とほぼ同等であると考えられる。
そこで、録音再生装置1は、特殊再生操作が行われて、手本音声Bを所定個所までさかのぼった位置から再生する際、停止位置から録音継続時間T02分さかのぼった位置から手本音声Bの再生を開始する。なお、手本音声Bの先頭部分が切れないようにするために、録音継続時間T02に所定時間追加した時間分(録音継続時間に基づいた時間であり、時間T02+α等)さかのぼった位置から手本音声Bの再生を開始することが、より好ましい。
【0036】
また、録音再生装置1は、特殊再生操作が行われて、手本音声Bを所定個所までさかのぼった位置から再生する際、停止位置から予め設定した所定時間分さかのぼった位置から手本音声Bの再生を開始するようにしてもよい。この場合、利用者が任意の時間を設定できることが好ましい(例えば、0.1[sec]〜5.0[sec]の範囲にて0.1[sec]単位で利用者が設定できること等が好ましい)。
【0037】
以上に説明した第1の実施の形態の録音再生装置1では、語学練習番組等をそのまま録音して、手本音声として利用することができ、利用者にとって非常に便利である。また、利用者が自分の発音の確認を所望する場合(反復練習を所望する部分)のみ、録音操作及び特殊再生操作をすればよく、任意の部分で反復練習することができるので、自由度が高く、より効果的、且つより効率的に語学練習等を行うことができる。
【0038】
●[第2の実施の形態(図4)]
次に、図4を用いて再生及び録音動作における第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、利用者の練習音声と手本音声との発音を比較するために、一旦再生した手本音声を再度再生する場合のさかのぼり位置を、任意の位置に設定した識別情報を検出することで決定する。なお、識別情報は、予め利用者等が設定する。以下、第1の実施の形態との相違点について説明する。
以下の説明では、利用者が、予め録音した「語学練習番組β」に識別情報を設定し、録音されている「手本音声A」〜「手本音声C」を再生し、「手本音声C」に対して「練習音声」を録音し、当該「練習音声」と「手本音声C」とを比較する場合における、録音再生装置1の動作について説明する。
図4に示すように、録音再生装置1の不揮発性記憶手段52には予め手本音声情報(この場合「語学練習番組α」〜「語学練習番組γ」)が記憶されている。
【0039】
[識別情報の設定]
まず、利用者が任意の位置に識別情報を設定する手順について説明する。
利用者は、表示手段10に表示される内容を確認しながら操作手段20等を操作し、「語学練習講座β」を選択して通常再生操作を行う(例えば、操作手段20内の再生ボタンを押す)。すると、録音再生装置1は、不揮発性記憶手段52に記憶されている「語学練習番組β」から「手本音声A」、「手本音声B」・・と順次読み出して再生する。そこで利用者は、識別情報の設定を所望する位置を再生中に(再生させながら)、識別情報設定操作を行う(例えば操作手段20の所定のボタンを押す)。すると、録音再生装置1は、識別情報設定操作が行われた時点の再生中のアドレスを、不揮発性記憶手段52の「識別情報記憶領域」に記憶していく。図4に示す例では、「識別情報記憶領域」に、「手本音声Aの先頭に相当するアドレス:addressA−0」、「手本音声Bの先頭に相当するアドレス:addressB−0」、「手本音声Cの先頭に相当するアドレス:addressC−0」、「手本音声Dの先頭に相当するアドレス:addressD−0」を記憶した様子を示している。このように、利用者は容易に識別情報を設定できる。また、識別情報の設定を変更することも容易である(「識別情報記憶領域」内の情報を変更するだけでよいため)。
【0040】
[練習音声情報の録音と再生の動作]
次に、上記で説明した識別情報を用いた本実施の形態における、練習音声の録音と再生の動作について説明する。
利用者が手本音声Cに対して発音を練習し、且つ手本音声Cと自己の発音(練習音声)との比較を所望する場合、手本音声Cの再生が終了したところで(手本音声Dの再生が始まる前に)録音操作を行う(例えば、反復操作手段22を押す(押し続ける))。すると、録音再生装置1は、手本音声Cの再生の停止と、手本音声Cの停止位置(例えば、不揮発性記憶手段52の該当するアドレス位置等)の記憶と、音声入力手段30から入力される練習音声の記憶を行う(例えば揮発性記憶手段54に記憶する)。
続いて、利用者は練習音声の記憶(録音)を終了したら、特殊再生操作を行う(例えば、反復操作手段22を離す(押している状態を解除する))。すると、録音再生装置1は、記憶した練習音声の再生を行った後に(録音再生装置1は、記憶している練習音声の録音開始位置と録音終了位置に基づいて再生する)、練習音声の再生を停止して、手本音声Cの再生の停止位置から所定個所までさかのぼった位置から手本音声Cの再生を開始する。
【0041】
ここで、録音再生装置1による「手本音声Cの再生の停止位置から所定個所までさかのぼった位置」の決定方法について説明する。第2の実施の形態では「さかのぼった位置」を、予め設定した識別情報に基づいて決定する。
録音再生装置1は、特殊再生操作が行われて、手本音声Cを所定個所までさかのぼった位置から再生する際、停止位置から識別情報が検出されるまでさかのぼった位置から手本音声Cの再生を開始する。この場合、図4に示すように、「(識別情報記憶領域に記憶されている識別情報の)addressC−0の値」<「(停止位置に相当するアドレスの)addressB−mの値」<「(識別情報記憶領域に記憶されている識別情報の)addressD−0の値」であるため、停止位置からさかのぼって(最初に)検出される識別情報は「addressC−0」である。従って、この場合、所定個所までさかのぼった位置から再生する際、「addressC−0」から手本音声Cの再生が開始される。
なお、利用者が手本音声を再生しながら識別情報を設定する場合、識別情報が設定される位置がやや遅れた位置となる場合もある。この場合、手本音声Cの先頭部分が切れないようにするために、識別情報「addressC−0」から更に所定時間分さかのぼった位置から手本音声Cの再生を開始することが、より好ましい。
【0042】
以上に説明した第2の実施の形態の録音再生装置1では、第1の実施の形態に対して、更に、識別情報を任意の位置に設定することが容易であり、所定個所までさかのぼった位置から手本音声情報の再生する際、より適切な位置から再生することができ、より高い自由度を持たせることができる。
【0043】
●[第3の実施の形態(図5)]
次に、図5を用いて再生及び録音動作における第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、利用者の練習音声と手本音声との発音を比較するために、一旦再生した手本音声を再度再生する場合のさかのぼり位置を、練習音声の録音継続時間と、任意の位置に設定した識別情報の検出とで決定する。
なお、練習音声の録音継続時間の計測方法は第1の実施の形態と同様であり、識別情報の設定方法は第2の実施の形態と同様であるため説明を省略する。以下、第1及び第2の実施の形態との相違点について説明する。
以下の説明では、利用者が、予め録音した「語学練習番組β」に識別情報を設定し、録音されている「手本音声A」〜「手本音声C」を再生し、「連続する手本音声BとC」に対して「練習音声」を録音し、当該「練習音声」と「手本音声BとC」とを比較する場合における、録音再生装置1の動作について説明する。
図5に示すように、録音再生装置1の不揮発性記憶手段52には予め手本音声(この場合「語学練習番組α」〜「語学練習番組γ」)が記憶されている。
【0044】
利用者が、連続する手本音声B及びCに対して発音を練習し、且つ「手本音声B及びC」と「自己の発音(練習音声)」との比較を所望する場合、手本音声Cの再生が終了したところで(手本音声Dの再生が始まる前に)録音操作を行う(例えば、反復操作手段22を押す(押し続ける))。すると、録音再生装置1は、手本音声Cの再生の停止と、手本音声Cの停止位置(例えば、不揮発性記憶手段52の該当するアドレス位置等)の記憶と、音声入力手段30から入力される練習音声の記憶を行う(例えば揮発性記憶手段54に記憶する)。
続いて、利用者は練習音声の記憶(録音)を終了したら、特殊再生操作を行う(例えば、反復操作手段22を離す(押している状態を解除する))。すると、録音再生装置1は、記憶した練習音声の再生を行った後に(録音再生装置1は、記憶している練習音声の録音開始位置と録音終了位置に基づいて再生する)、練習音声の再生を停止して、手本音声Cの再生の停止位置から所定個所までさかのぼった位置から手本音声B及びCの再生を開始する。
【0045】
ここで、録音再生装置1による「手本音声Cの再生の停止位置から所定個所までさかのぼった位置」の決定方法について説明する。第3の実施の形態では「さかのぼった位置」を、予め設定した識別情報と、録音継続時間とに基づいて決定する。第3の実施の形態では、例えば1フレーズ毎に識別情報を設定しても、2フレーズ分、3フレーズ分等、複数の連続したフレーズの反復練習を適切に行うことが可能である。
録音再生装置1は、特殊再生操作が行われて、手本音声Cを所定個所までさかのぼった位置から再生する際、停止位置から録音継続時間に基づいた時間分さかのぼった位置から、さらにその位置に近い識別情報の位置(継続時間+α分さかのぼった位置の前後で、最も近い位置にある識別情報の位置)から手本音声Bの再生を開始する(図5参照)。
なお、利用者が手本音声を再生しながら識別情報を設定する場合、識別情報が設定される位置がやや遅れた位置となる場合もある。この場合、手本音声情報の先頭部分が切れないようにするために、識別情報の位置から更に所定時間分さかのぼった位置から手本音声情報の再生を開始することが、より好ましい点は第2の実施の形態と同様である。
【0046】
以上に説明した第3の実施の形態の録音再生装置1では、第2の実施の形態に対して、1フレーズ毎に識別情報を設定しても、2フレーズ分、3フレーズ分等、複数の連続したフレーズの練習を適切に行うことが可能であり、更に高い自由度を持たせることができる。
なお、第2及び第3の実施の形態において、識別情報の設定操作と、録音及び特殊再生操作とを、異なる操作方法とすれば、利用者は識別情報を設定しながら反復練習を行うことも可能であり、便利である。
【0047】
本発明の録音再生装置1は、本実施の形態で説明した形状、構成、動作等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。
なお、手本音声と練習音声は、別々の記憶手段(不揮発性記憶手段52と揮発性記憶手段54等)に記憶するようにしてもよいし、同一の記憶手段に記憶するようにしてもよい。
また、以上(≧)、以下(≦)、より大きい(>)、未満(<)等は、等号を含んでも含まなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の録音再生技術は、語学練習のみならず、歌の練習等にも適用できる。
【符号の説明】
【0049】
1 録音再生装置
10 表示手段
20 操作手段
22 反復操作手段
30 音声入力手段
40、42 音声出力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手本音声情報が記憶されているとともに録音した練習音声情報を記憶する記憶手段と、音声再生手段と、音声入力手段とを備え、
(a)通常再生操作が行われると、記憶手段に記憶されている手本音声情報を順次読み出して音声再生手段にて再生し、
(b)録音操作が行われると、手本音声情報の再生の停止と、手本音声情報の停止位置の記憶と、特殊再生操作が行われるまでの間、音声入力手段から入力される練習音声情報の記憶を行い、
(c)特殊再生操作が行われると、練習音声情報の記憶を停止し、手本音声情報の停止位置から所定個所までさかのぼった位置から手本音声情報の再生を開始して停止位置まで手本音声情報の再生を行った後に手本音声情報の再生を停止して記憶手段に記憶した練習音声情報の再生を行う、
ことを特徴とする録音再生装置。
【請求項2】
手本音声情報が記憶されているとともに録音した練習音声情報を記憶する記憶手段と、音声再生手段と、音声入力手段とを備え、
(a)通常再生操作が行われると、記憶手段に記憶されている手本音声情報を順次読み出して音声再生手段にて再生し、
(b)録音操作が行われると、手本音声情報の再生の停止と、手本音声情報の停止位置の記憶と、特殊再生操作が行われるまでの間、音声入力手段から入力される練習音声情報の記憶を行い、
(c)特殊再生操作が行われると、練習音声情報の記憶を停止し、記憶手段に記憶した練習音声情報の再生を行った後に練習音声情報の再生を停止して手本音声情報の停止位置から所定個所までさかのぼった位置から手本音声情報の再生を開始する、
ことを特徴とする録音再生装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の録音再生装置であって、
特殊再生操作が行われて、手本音声情報の再生を行う際、手本音声情報の停止位置から予め設定された所定時間分さかのぼった位置から手本音声情報の再生を開始する、
ことを特徴とする録音再生装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の録音再生装置であって、
記憶手段に記憶されている手本音声情報には、所定個所に所定の識別情報が予め含ませてあり、
特殊再生操作が行われて、手本音声情報の再生を行う際、手本音声情報の停止位置から前記識別情報が検出されるまでさかのぼった位置から手本音声情報の再生を開始する、
ことを特徴とする録音再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−282528(P2009−282528A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141064(P2009−141064)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【分割の表示】特願2006−337040(P2006−337040)の分割
【原出願日】平成15年12月4日(2003.12.4)
【出願人】(000106690)サン電子株式会社 (161)
【Fターム(参考)】