説明

鍵ホルダー

【課題】鍵の不正使用を防止し、運用効率を向上させる。
【解決手段】予め設定された1又は複数の鍵を保持するための鍵ホルダーにおいて、先端を通じて鍵に設けられた開口部に挿通されるような貫通部材と、貫通部材を内部に収容して前記鍵を抜け止めする鍵ホルダー本体と、前記鍵ホルダー本体に設けられ、予め設定された鍵情報を無線通信により外部と通信を行うためのICタグと、前記貫通部材が切断された際、前記ICタグによる外部との通信を遮断するための遮断部材を有することにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍵ホルダーに係り、特に鍵の不正使用を防止し、鍵を確実に管理することで業務の運用効率を向上させるための鍵ホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、警備会社やビル管理会社等が監視を依頼されている建物等の出入り口を解錠または施錠するための鍵や、機器の保守や点検のために必要な鍵を管理する場合、鍵が複数になり管理が煩雑であるため、同一フロアや同一のビル毎に鍵を纏め、鍵を束にしてホルダーにまとめ、対象先毎に管理する手法が一般的である。このとき、例えば一度束ねた鍵束から特定の鍵が抜き取られるのを阻止する機構が設けられたものが存在している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
なお、特許文献1では、切断が困難なワイヤー等に鍵を通して保管している。このように、複数の鍵をホルダーにして管理し、その鍵ホルダー等に管理会社名のロゴを表記したり、会社名のプレートを付けたりしておくことで、表記されるロゴマーク等により、その鍵がどの会社で管理されているかを明示し、不正な持ち出しを予め抑制して、合い鍵等を作らせないようにする等の効果もある。
【0004】
また、鍵を鍵束の状態で管理ケースから不正に持ち出したり、鍵をホルダーから取り外したりした場合に、警告音を鳴らして、不正な持ち出しを検知することができるタグを備えた装置が存在している(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】実開平5−7182号公報
【特許文献2】特開2000−251161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来の鍵管理方法では、複数の鍵の中から、重要な鍵が抜き取られていないか、本数の確認を定期的に行う必要がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、鍵の不正使用や、不正な持ち出しを防止し、確実な鍵管理を行うことで、業務の運用効率を向上させるための鍵ホルダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本件発明は、以下の特徴を有する課題を解決するための手段を採用している。
【0008】
請求項1に記載された発明は、予め設定された1又は複数の鍵を保持するための鍵ホルダーにおいて、先端を通じて鍵に設けられた開口部に挿通されるような貫通部材と、貫通部材を内部に収容して前記鍵を抜け止めする鍵ホルダー本体と、前記鍵ホルダー本体に設けられ、予め設定された鍵情報を無線通信により外部と通信を行うためのICタグと、前記貫通部材が切断された際、前記ICタグによる外部との通信を遮断するための遮断部材を有することを特徴とする。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、鍵の不正使用を防止し、運用効率を向上させることができる。
【0010】
請求項2に記載された発明は、前記貫通部材が切断された場合に、前記遮断部材を前記ICタグと前記ICタグに記録された前記鍵情報を読み取る読み取り装置の間に移動させる弾性部材を有することを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、容易且つ確実に遮断部材を移動させ通信を遮断することができる。これにより、早期に不正使用を把握することができる。
【0012】
請求項3に記載された発明は、前記貫通部材は、ワイヤーを含み、前記ワイヤーが切断された場合には、前記遮断部材の保持が開放され、前記弾性部材により前記遮断部材を所定の方向に移動させることで、前記ICタグによる外部との通信を遮断することを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、ワイヤーが切断されることで、保持されている遮断部材が弾性部材の弾性力により移動するため、容易且つ確実に遮断部材を移動させることができる。これにより、早期に不正使用を把握することができる。
【0014】
請求項4に記載された発明は、前記貫通部材は、数珠状に配列された複数の球体形状を含み、前記貫通部材が切断された場合には、前記球体形状により保持された前記遮断部材が開放され、前記弾性部材により前記遮断部材を所定の方向に移動させることで、前記ICタグによる外部との通信を遮断する。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、球体形状により保持されている遮断部材が弾性部材の弾性力により移動するため、容易且つ確実に遮断部材を移動させることができる。これにより、早期に不正使用を把握することができる。
【0016】
請求項5に記載された発明は、前記貫通部材が切断された場合に、前記ICタグの少なくとも一部を切断する切断手段を有することを特徴とする。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、ICタグそのものを破壊して無効にすることができる。したがって、鍵の不正使用を防止することができる。
【0018】
請求項6に記載された発明は、前記貫通部材は、導線を含み、前記導線が切断時に前記ICタグから前記鍵情報を送信するための電源の供給を遮断することを特徴とする。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、導線が切断されることで、電源の供給が遮断されるため、容易且つ確実に通信を遮断することができる。これにより、早期に不正使用を把握することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、鍵の不正使用を防止し、確実な鍵管理を行うことで業務の運用効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
<本発明の概要>
本発明は、警備会社やビル管理会社等が取り扱う複数の重要な鍵の持ち出しや返却について、鍵の不正使用事案等の抑制及び鍵管理における負担軽減を実現し、業務の運用効率を向上させる鍵収納用の鍵ホルダーに関する。以下に、本発明における鍵ホルダーついて、図面を用いて説明する。
【0022】
<鍵ホルダーについて>
まず、鍵を所定数の束で収納する鍵ホルダーの実施形態について説明する。なお、本実施形態における鍵ホルダーは、1又は複数の鍵を束ねる部分(例えば、鍵に設けられた開口部に挿通されるような貫通部材(フック部))が鍵を盗難するために切断等により破壊された時に、鍵ホルダー内部に収納された鍵ホルダーや、束ねたそれぞれの鍵の情報、鍵数等の鍵ホルダーを識別するための情報を記録したICタグ(ICチップ)の使用が無効となる機能を設ける。
【0023】
なお、上述した貫通部材は、例えば鍵を所定数(例えば、1〜10本程度の複数本等)が収納できるような形状(例えば、円型、楕円型等)に形成されている。
【0024】
<鍵ホルダー:第1の実施例>
図1は、本実施形態における鍵ホルダーの第1の実施例を説明するための図である。図1に示す鍵ホルダー10は、鍵に設けられた穴を通して束状に管理するためのフック状の貫通部材としてのキーリング11と、キーリング11が挿入されることで、所定方向に移動されるロッド12と、シャッター部材との位置を保持する保持部材としてのストッパ13と、少なくとも鍵ホルダー10を識別する情報が記録されたICタグ14と、ICタグ14に対して外部との通信を遮断するためのシャッター部材15と、シャッター部材15を所定方向に移動させるバネ力を有する弾性部材からなるバネ部材16とを有するよう構成されている。
【0025】
なお、図1(a)は使用前(鍵装着前)の状態を示し、図1(b)はロック時(鍵装着時)の状態を示し、図1(c)は破壊時(切断時)の状態を示している。また、10aは、鍵ホルダー10の横断面図を示し、10bは、鍵ホルダー10の上部断面図を示している。
【0026】
図1(a)に示すように使用前の状態では、キーリング11は、一方の端部が鍵ホルダー本体に挿入されておらず、またシャッター部材15は、バネ部材16によるバネ力により軸18を中心に回転移動せずにストッパ13により保持されている。なお、ストッパ13は、外部からの力が働くことにより破壊され、取り除かれる構成となっており、例えば外部からの力により折れ易い非可撓性の樹脂等により形成される。
【0027】
また、バネ部材16は、軸17を中心にシャッター部材15を所定方向に移動させるための弾性部材であり、シャッター部材15は、ICタグ14が外部の読み取り装置等によるデータの送受信(通信)を不可能にするような素材(例えば、金属、セラミックス等)により形成されている。
【0028】
上述した構成において、まずキーリング11に管理される所定数の鍵を挿入し、挿入されたキーリング11を鍵ホルダー本体(ロッド12側)に挿入する。これにより、図1(b)に示すように、キーリング11を鍵ホルダー本体内に差し込み収容することで、キーリング11から鍵が抜け止めされると共に、ロッド12が所定方向に押され、ストッパ13は折れることで取り除かれる。また、シャッター部材15は、ロッド12によりある一定の位置まで押された状態で保持される。このとき、バネ部材16は、所定の方向に移動されているため、バネ力(弾性力)により所定の方向に復元しようとする力が働いている。
【0029】
なお、鍵ホルダー本体は、例えば樹脂等からなる箱状に形成されており、キーリング11の端部が挿入されるとある程度の力では抜けることがないような構成(例えば、係止部や螺合部、ネジ止め等)を有している。そのため、ロッド12も所定位置で固定されることになり、その結果、ロッド12がシャッター部材15を保持することができる。
【0030】
ここで、鍵ホルダー10から鍵を抜き取ろうとして、キーリング11を引っ張ったり、切断したりして破壊した場合、図1(c)に示すように、ロッド12を押していたキーリング11が無くなるため、ロッド12がバネ部材16のバネ力によりシャッター部材15を介して鍵ホルダー本体の外部付近まで押し出され、更にバネ部材16によりシャッター部材15が軸18を中心に回転し、ICタグ12を覆うような位置に移動する。具体的には、ICタグ14と外部の読み取り装置との間にシャッター部材15を移動させて、ICタグ14と読み取り装置との通信を不可能にする。
【0031】
これにより、鍵の盗難時にICタグ14による通信を無効にして、キーリング11の破壊後のICタグ14を使用不可にすることができる。そのため、例えば鍵ホルダーのICタグの情報を読み取り装置等で読み取ることで鍵の有無を管理する鍵管理装置等において、ICタグを認識することができないため、その鍵ホルダーが不正に持ち出され使用されたものであることを容易且つ迅速に把握することができる。
【0032】
<鍵ホルダー:第2の実施例>
図2は、本実施形態における鍵ホルダーの第2の実施例を説明するための図である。なお、これらの本発明の異なる実施形態の説明にあたり、上述した本発明の第1の実施例と同一構成部分には同一符号を付すこととし重複する説明を省略する。なお、図2(a)は使用前の状態を示し、図2(b)はロック時の状態を示し、図2(c)は破壊時の状態を示している。
【0033】
図2に示す第2の実施例では、キーリング11は、鍵ホルダー10の本体と離れることができるように構成されている。また、図2に示すキーリング11は、円形状に形成されているが本発明においては、これに限定されるものではない。また、鍵ホルダー20にストッパピン21が設けられている。ストッパピン21は、シャッター部材15を所定の位置で保持するための部材であり、非可撓性の樹脂等により形成されている。更に、シャッター部材15とバネ部材16が同一の軸22を中心に回転するように設けられており、バネ部材16のバネ力によりシャッター部材15が所定の方向に移動(軸回転)するように構成されている。
【0034】
ここで、図2(b)に示すように、キーリング11を鍵ホルダー本体内に差し込み収容することで、キーリング11から鍵が抜け止めされると共に、ロッド12によりシャッター部材15が押される。これにより、押すストッパピン21が折れ、シャッター部材15は、ロッド12により保持されることになる。
【0035】
また、ホルダーから鍵を抜き取ろうとしてキーリング11を切断する等のいわゆる破壊時には、キーリング11の破片等が押し出されると共に、ロッド12も鍵ホルダー本体の外部付近まで押し出される。これにより、ロッド12が保持していたシャッター部材15がバネ部材16のバネ力により軸22を中心に回転し、回転したシャッター部材15が、ICタグ14上に移動することにより、上述した実施例と同様にICタグ14による通信を遮断させることができる。
【0036】
<鍵ホルダー:第3の実施例>
図3は、本実施形態における鍵ホルダーの第3の実施例を説明するための図である。なお、これらの本発明の異なる実施形態の説明にあたり、上述した本発明の第1及び第2の実施例と同一構成部分には同一符号を付すこととし、重複する説明を省略する。
【0037】
ここで、図3(a)は使用前(鍵装着前)の状態を示し、図3(b)はロック時(鍵装着時)の状態を示し、図3(c)は破壊時(切断時)の状態を示している。また、30aは、鍵ホルダー30の横断面図を示し、30bは、鍵ホルダー30の上部断面図を示している。
【0038】
また、第3の実施例では、上述したキーリングではなく、可撓性のあるフレキシブルチューブ31を有する貫通部材を有しており、フレキシブルチューブ31内には、例えばステンレス等の素材からなるテンションワイヤー32を有している。更に、テンションワイヤー32の両端には、ワイヤーかしめ33−1,33−2を有しており、一方のワイヤーかしめ33−1は、鍵ホルダー30本体に設けられたかしめ固定部34に挿入される。
【0039】
また、他方のワイヤーかしめ33−2は、スライド部材35に固定されており、バネ部材16によるスライド部材35の移動(軸36による軸回転)を阻止する状態で保持されている。
【0040】
また、第3の実施例では、鍵ホルダー30本体にシールド部37が設けられている。シールド部37は、ICタグ14が外部の読み取り装置等によるデータの送受信(通信)を不可能にするような素材(例えば、金属、セラミックス等)により形成されている。
【0041】
また、ICタグ14は、スライド部材35上に取り付けられており、バネ部材16によるバネ力によりスライド部材35とバネ部材16が同一の軸36を中心に回転するように設けられており、バネ部材16のバネ力によりスライド部材35が所定の方向に移動(軸回転)するように構成されている。
【0042】
図3(a)に示すように、使用前の状態では、フレキシブルチューブ31の一方の端部が鍵ホルダー30本体に挿入されておらず、その部分から保持する鍵が挿入され、ワイヤーかしめ33−1をかしめ固定部34に挿入することで、かしめ固定部34内の返しが戻り図3(b)に示すように係止されてワイヤーかしめ33−1を抜けなくする。
【0043】
ここで、鍵ホルダー30から鍵を抜き取ろうとする等の破壊行為により、フレキシブルチューブ31とテンションワイヤー32が切断されると、図3(c)に示すように、バネ部材16によりスライド部材35が所定位置から軸36を中心に回転しシールド部37の下に移動する。これにより、ICタグ14の通信がシールド部37によりICタグ14をカバーすることで読み取り装置との通信を不可能にすることができる。
【0044】
なお、フレキシブルチューブ31とテンションワイヤー32が切断されることで、ワイヤーかしめ33−1がテンションワイヤー32の端部になくなるため、テンションワイヤー32がバネ部材16による引き戻しにより、フレキシブルチューブ31内部に入り込んでしまうために、テンションワイヤー32の引き戻しも困難になる。これにより、ICタグ14による通信を遮断させることができ、鍵ホルダー30の復元もできない状態にすることができる。
【0045】
<鍵ホルダー:第4の実施例>
図4は、本実施形態における鍵ホルダーの第4の実施例を説明するための図である。なお、これらの本発明の異なる実施形態の説明にあたり、上述した本発明の第1〜第3の実施例と同一構成部分には同一符号を付すこととし、重複する説明を省略する。
【0046】
ここで、図4(a)は使用前(鍵装着前)の状態を示し、図4(b)はロック時(鍵装着時)の状態を示し、図4(c)は破壊時(切断時)の状態を示している。また、40aは、鍵ホルダー40の横断面図を示し、40bは、鍵ホルダー30の上部断面図を示している。
【0047】
図4の示す第4の実施例では、上述した第3の実施例と比較して、図4(a)に示す使用前ではバネ部材16に負荷がかかっていない状態となっている。また、フレキシブルチューブ31の一方にチューブかしめ41が設けられており、かしめ固定部42により固定される。つまり、図4(b)に示すようなロック時には、チューブかしめ41がホルダー本体の外側に引っ張られることで、テンションワイヤー32によりICタグ14が設置されたスライド部材35が引っ張られてシールド部37の外側に移動する。
【0048】
ここで、鍵ホルダー40から鍵を抜き取ろうとする等の破壊行為により、フレキシブルチューブ31とテンションワイヤー32が切断されると、図4(c)に示すように、バネ部材16によりスライド部材35が所定位置から軸36を中心に回転しシールド部37の下に移動する。これにより、ICタグ14の通信がシールド部37によりICタグ14をカバーすることで読み取り装置との通信を不可能にすることができる。
【0049】
なお、第4の実施例も第3の実施例と同様に、フレキシブルチューブ31とテンションワイヤー32が切断されると、テンションワイヤー32の引き戻しが困難になるため、鍵ホルダー40を復元できない状態にすることができる。
【0050】
<鍵ホルダー:第5の実施例>
図5は、本実施形態における鍵ホルダーの第5の実施例を説明するための図である。なお、これらの本発明の異なる実施形態の説明にあたり、上述した本発明の第1〜第4の実施例と同一構成部分には同一符号を付すこととし、重複する説明を省略する。
【0051】
ここで、図5(a)は使用前(鍵装着前)の状態を示し、図5(b)はロック時(鍵装着時)の状態を示し、図5(c)は、ロックするまでの様子を説明するための一例を示し、図5(d)は破壊時(切断時)の状態を示している。
【0052】
図5に示す第5の実施例では、テンションワイヤー32の両端(ワイヤーかしめ33−1,33−2の先端)にリング部51−1,51−2が形成されている。また、第5の実施例では、所定方向に水平移動するシャッター部材52を有しており、リング部51−2は、シャッター部材52に設けられたフック部53に引っ掛けられている。
【0053】
また、鍵ホルダー50本体には、2つの同一のバネ部材54−1,54−2を有しており、各バネ部材54−1,54−2の一端はシャッター部材52に固定され、もう一端は鍵ホルダー50本体の所定位置に固定されている。
【0054】
また、バネ部材54−1,54−2は、シャッター部材52により所定の方向に引っ張られており、バネ力によりシャッター部材52を図面右方向へ移動させようとしているが、フック部53にフックされたリング部51−2により、シャッター部材52がICタグ14を覆い被さらない位置で固定されている。
【0055】
ここで、第5の実施例では、図5(a)に示すように使用前(鍵装着前)の状態からフレキシブルチューブ31に鍵を通し、図5(b),(c)に示すように先端のリング部51−1のリング形状を鍵ホルダー50本体に挿入し、鍵ホルダー50本体に設けられたフック部55にフックさせて抜けなくさせる。
【0056】
ここで、鍵ホルダー50から鍵を抜き取ろうとする等の破壊行為により、フレキシブルチューブ31とテンションワイヤー32が切断されると、図5(d)に示すように、バネ部材54−1,54−2によりシャッター部材52が所定位置から水平移動し、ICタグ14上に移動する。これにより、ICタグ14の通信がシャッター部材52によりICタグ14をカバーすることで読み取り装置との通信を不可能にすることができる。
【0057】
なお、第5の実施例も上述した実施例と同様に、フレキシブルチューブ31とテンションワイヤー32が切断されると、テンションワイヤー32の引き戻しが困難になるため、鍵ホルダー50を復元できない状態にすることができる。
【0058】
<鍵ホルダー:第6の実施例>
図6は、本実施形態における鍵ホルダーの第6の実施例を説明するための図である。なお、これらの本発明の異なる実施形態の説明にあたり、上述した本発明の第1〜第5の実施例と同一構成部分には同一符号を付すこととし、重複する説明を省略する。
【0059】
ここで、図6(a)は使用前(鍵装着前)の状態を示し、図6(b)はロック時(鍵装着時)の状態を示し、図6(c)は破壊時(切断時)の状態を示している。
【0060】
図6に示す第6の実施例では、上述した第5の実施例と比較すると、バネ部材54−1,54−2により水平移動するシャッター部材61にICタグ14が設けられている。また、鍵ホルダー本体60には、ICタグ14と読み取り装置との通信を遮断する遮断部62が設けられている。なお、遮断部62は、例えばICタグ14が外部の読取装置等とのデータの送受信が不可能になるような材質(例えば、金属やセラミック等)により形成されている。
【0061】
第6の実施例では、図6(a)に示すように使用前(鍵装着前)の状態からフレキシブルチューブ31に鍵を通し、図6(b)に示すように先端のリング部51−1のリング形状を鍵ホルダー50本体に挿入し、鍵ホルダー50本体に設けられたフック部55にフックさせて抜けなくさせる。
【0062】
ここで、鍵ホルダー60から鍵を抜き取ろうとする等の破壊行為により、フレキシブルチューブ31とテンションワイヤー32が切断されると、図6(c)に示すように、バネ部材54−1,54−2によりICタグ14が設けられたシャッター部材61が所定位置から水平移動し、遮断部62の下に移動する。これにより、ICタグ14の通信が遮断部62によりICタグ14をカバーすることで読み取り装置との通信を不可能にすることができる。
【0063】
なお、第6の実施例も上述した実施例と同様に、フレキシブルチューブ31とテンションワイヤー32が切断されると、テンションワイヤー32の引き戻しが困難になるため、鍵ホルダー60を復元できない状態にすることができる。
【0064】
<鍵ホルダー:第7の実施例>
図7は、本実施形態における鍵ホルダーの第7の実施例を説明するための図である。なお、これらの本発明の異なる実施形態の説明にあたり、上述した本発明の第1乃至第6の実施例と同一構成部分には同一符号を付すこととし重複する説明を省略する。
【0065】
ここで、図7(a)は使用前の状態を示し、図7(b)はロック時の状態を示し、図7(c)は破壊時の状態を示している。
【0066】
図7に示す第7の実施例では、ワイヤーかしめ33−1,33−2を有しており、一方のワイヤーかしめ33−1は、鍵ホルダー70本体に設けられたかしめ固定部34に挿入され、もう一方のワイヤーかしめ33−2は、シャッター部材71に固定されている。また、図7(a)に示すように、初期の状態では、バネ部材16によりシャッター部材71の移動(軸72による軸回転)を阻止する状態で保持されている。
【0067】
ここで、第7の実施例において鍵ホルダー70は、図7(a)に示すように使用前(鍵装着前)の状態からフレキシブルチューブ31に鍵を通して先端のワイヤーかしめ33−1をかしめ固定部34に挿入する。このとき、図7(b)に示すように、ワイヤーかしめ33−1がかしめ固定部34に挿入されると、ホルダー本体(樹脂等からなるケース部)から抜けない状態となり、鍵が抜け止めされると共に、ワイヤーかしめ33−1がかしめ固定部34に挿入された状態で保持される。また、テンションワイヤー32の作用方向は、図7(b)に示す方向となる。
【0068】
ここで、鍵ホルダー70から鍵を抜き取ろうとする等の破壊行為により、フレキシブルチューブ31とテンションワイヤー32が切断されると、図7(c)に示すように、バネ部材16によりシャッター部材71が所定位置から軸72を中心に回転し、ICタグ14上に移動される。なお、この場合には、シャッター部材71がICタグ14上を覆うように移動のみを行ってもよく、シャッター部材71の一部、又は先端にカッター等の切断手段を設けておき、軸72を中心にシャッター部材71が回転する際、その切断手段によりICタグ14そのものが使用不可となるように少なくとも一部を切断してもよい。
【0069】
これにより、ICタグ14の通信が遮断されることになる。また、フレキシブルチューブ31とテンションワイヤー32が切断されることで、ワイヤーかしめ33−1がテンションワイヤー32の端部になくなるため、テンションワイヤー32がバネ部材16による引き戻しにより、フレキシブルチューブ31内部に入り込んでしまうために、テンションワイヤー32の引き戻しも困難になる。これにより、ICタグ14による通信を遮断させることができ、鍵ホルダー70の復元もできない状態にすることができる。
【0070】
<鍵ホルダー:第8の実施例>
図8は、本実施形態における鍵ホルダーの第8の実施例を説明するための図である。なお、これらの本発明の異なる実施形態の説明にあたり、上述した本発明の第1〜第7の実施例と同一構成部分には同一符号を付すこととし、重複する説明を省略する。
【0071】
ここで、図8(a)は使用前(鍵装着前)の状態を示し、図8(b)はロック時(鍵装着時)の状態を示し、図8(c)は破壊時(切断時)の状態を示している。
【0072】
図8に示す第8の実施例では、テンションワイヤー32がゼンマイバネ81により巻き取られている。なお、ゼンマイバネ81には、反時計回りのバネ力が働いている。また、シールド部82は、一端がテンションワイヤー32に取り付けられており、ゼンマイバネ81によるテンションワイヤー32の移動により軸83を基準に回転移動を行う。
【0073】
また、第8の実施例では、鍵ホルダー80本体に取り付けられるストッパ84と、テンションワイヤー32に取り付けられるストッパ85を有している。この2つのストッパ84,85により、テンションワイヤー32の移動範囲を制限する。
【0074】
ここで、第8の実施例において鍵ホルダー80は、図8(a)に示すように使用前(鍵装着前)の状態からフレキシブルチューブ31に鍵を通して先端のワイヤーかしめ33−1をかしめ固定部34に挿入する。このとき、図8(b)に示すように、ワイヤーかしめ33−1がかしめ固定部34に挿入されると、ホルダー本体から抜けない状態となり、鍵が抜け止めされると共に、ワイヤーかしめ33−1がかしめ固定部34に挿入された状態で保持される。また、テンションワイヤー32の作用方向は、図8(b)に示す方向となる。
【0075】
ここで、鍵ホルダー80から鍵を抜き取ろうとする等の破壊行為により、フレキシブルチューブ31とテンションワイヤー32が切断されると、図8(c)に示すように、ゼンマイバネ81のバネ力によりテンションワイヤー32が巻き取られ、この動きに連動したシールド部82が軸83を中心に反時計回りに回転する。この結果、ICタグ14上にシールド部82が移動することで、ICタグ14を覆うことによりICタグ14の通信が遮断されることになる。
【0076】
更に、シールド部82にICタグ14を破壊するためのカッター等の切断手段86を設け、図8(c)に示すようにテンションワイヤー32の切断による移動と共にシールド部82が移動する際、切断手段86によりICタグ14の少なくとも一部を切断することで、ICタグ14を破壊し、通信できない状態にすることができ、鍵の不正使用を防止することができる。
【0077】
なお、第8の実施例も上述した実施例と同様に、フレキシブルチューブ31とテンションワイヤー32が切断されると、テンションワイヤー32の引き戻しが困難になるため、鍵ホルダー80を復元できない状態にすることができる。
【0078】
<鍵ホルダー:第9の実施例>
図9は、本実施形態における鍵ホルダーの第9の実施例を説明するための図である。なお、これらの本発明の異なる実施形態の説明にあたり、上述した本発明の第1〜第8の実施例と同一構成部分には同一符号を付すこととし、重複する説明を省略する。
【0079】
ここで、図9(a)は使用前(鍵装着前)の状態を示し、図9(b)はロック時(鍵装着時)の状態を示し、図9(c)は破壊時(切断時)の状態を示している。また、90aは、鍵ホルダー90の横断面図を示し、90bは、鍵ホルダー90の上部断面図を示している。
【0080】
図9に示す第9の実施例では、軸92を中心に回転するカッター等の切断手段91を有する回転式のシールド93と滑車部96が、ゼンマイバネ81とワイヤーで結び付けられている。また、シールド部93には、テンションワイヤー32が取り付けられていると共に、回転範囲を制限するためにシールド部93の回転を制止させる制止部材94が設けられている。また、鍵ホルダー90本体には、制止部材94を受け止めるストッパ95が設けられている。更に、シールド部93は、所定の角度分(例えば、約1/4程度)が切り欠かれている。つまり、シールド部93の切り欠いた部分により鍵装着時におけるICタグ14の通信を遮断しないようにしている。
【0081】
ここで、第9の実施例において鍵ホルダー90は、図9(a)に示すように使用前(鍵装着前)の状態からフレキシブルチューブ31に鍵を通して先端のワイヤーかしめ33−1をかしめ固定部34に挿入する。このとき、図9(b)に示すように、ワイヤーかしめ33−1がかしめ固定部34に挿入されると、ホルダー本体から抜けない状態となり、鍵が抜け止めされると共に、ワイヤーかしめ33−1がかしめ固定部34に挿入された状態で保持される。
【0082】
ここで、鍵ホルダー90から鍵を抜き取ろうとする等の破壊行為により、フレキシブルチューブ31とテンションワイヤー32が切断されると、図9(c)に示すように、ゼンマイバネ81のバネ力によりシールド部93が軸92を中心に反時計回りに回転する。この結果、ICタグ14上にシールド部93が移動することで、ICタグ14の通信が遮断されることになる。
【0083】
更に、シールド部93に設けられた切断手段91を用いて、シールド部93の回転力によりICタグ14の少なくとも一部を切断等により破壊し、通信できない状態にすることができ、鍵の不正使用を防止することができる。
【0084】
なお、第9の実施例も上述した実施例と同様に、フレキシブルチューブ31とテンションワイヤー32が切断されると、テンションワイヤー32の引き戻しが困難になるため、鍵ホルダー90を復元できない状態にすることができる。
【0085】
<鍵ホルダー:第10の実施例>
図10は、本実施形態における鍵ホルダーの第10の実施例を説明するための図である。なお、これらの本発明の異なる実施形態の説明にあたり、上述した本発明の第1〜第9の実施例と同一構成部分には同一符号を付すこととし、重複する説明を省略する。
【0086】
ここで、図10(a)は使用前(鍵装着前)の状態を示し、図10(b)はロック時(鍵装着時)の状態を示し、図10(c)は破壊時(切断時)の状態を示している。
【0087】
図10に示す第10の実施例では、鍵ホルダー100本体に取り付けられる弾性部材からなるバネ部材101と、バネ部材101により水平移動するシールド部102とを有し、シールド部102には、カッター等からなる切断手段103−1,103−2が設けられている。
【0088】
また、フレキシブルチューブ31の一方にチューブかしめ41が設けられており、かしめ固定部42により固定される。また、テンションワイヤー32の一方は、ワイヤーかしめ33−1に取り付けられ、もう一方は、シールド部102に取り付けられる。
【0089】
ここで、第10の実施例において鍵ホルダー100は、図10(a)に示すように使用前(鍵装着前)の状態からフレキシブルチューブ31に鍵を通して先端のワイヤーかしめ33−1をかしめ固定部34に挿入する。なお、図10(b)に示すようなロック時には、チューブかしめ41がホルダー本体の外側に引っ張られることで、テンションワイヤー32によりシールド部102が引っ張られてバネ部材101が縮んだ状態となる。
【0090】
ここで、鍵ホルダー100から鍵を抜き取ろうとする等の破壊行為により、フレキシブルチューブ31とテンションワイヤー32が切断されると、図10(c)に示すように、テンションワイヤー32が緩み、バネ部材101がバネ力により伸びることで、シールド部102が水平移動する。この結果、ICタグ14上にシールド部102が通過することで、切断手段103−1,103−2によりICタグ14の少なくとも一部を切断等により破壊し、読み取り装置等と通信できない状態にすることができ、鍵の不正使用を防止することができる。
【0091】
なお、第10の実施例も上述した実施例と同様に、フレキシブルチューブ31とテンションワイヤー32が切断されると、テンションワイヤー32の引き戻しが困難になるため、鍵ホルダー100を復元できない状態にすることができる。
【0092】
<鍵ホルダー:第11の実施例>
図11は、本実施形態における鍵ホルダーの第11の実施例を説明するための図である。なお、これらの本発明の異なる実施形態の説明にあたり、上述した本発明の第1〜第10の実施例と同一構成部分には同一符号を付すこととし、重複する説明を省略する。
【0093】
ここで、図11(a)はロック時(鍵装着時)の状態を示し、図11(b)は破壊時(切断時)の状態を示し、図11(c)は破壊後(切断後)の状態を示している。また、110aは、鍵ホルダー110の横断面図を示し、110bは、鍵ホルダー110の上部断面図を示している。
【0094】
図11に示す第11の実施例では、鍵ホルダー110本体にシールド付カッター部111と、バネ部材112と、ロッド113と、球体形状又はそれに類似する多角形形状等からなる数珠114と、遊び調節用バネ部材115と、バネ縮み防止部116と、シールド付カッター部111の移動を制止させるカッター制止部117と、バネ部材16に取り付けされたストッパ118とを有するよう構成されている。つまり、フレキシブルチューブ31内には、複数の球体形状が数珠状に配列されている。
【0095】
また、第11の実施例では、シールド付カッター部111にバネ部材112の一端が取り付けられており、バネ部材112のバネ力により所定の方向に水平移動を行う。また、ストッパ118は、バネ部材112のバネ力によるシールド付カッター部111を移動させないように保持するためのものであり、バネ部材16のバネ力により所定方向に軸回転移動を行う。
【0096】
なお、第11の実施例では、遊び調節用バネ部材115の伸縮によって、チューブ内の数珠間の遊びを調節している。つまり、フレキシブルチューブ31内の遊び調節用バネ部材115の伸びる力により、数珠114の遊びがない状態が保持される。更に、バネ部材112が縮み過ぎることがないように、バネ縮み防止部116によりシールド付カッター部111を所定位置で保持する。
【0097】
ここで、第11の実施例において鍵ホルダー110は、最初は図11(a)に示すようにフレキシブルチューブ31に鍵を通して鍵ホルダー110本体に挿入された状態になっている。ここで、図11(b)に示すように、鍵ホルダー110から鍵を抜き取ろうとする等の破壊行為により、フレキシブルチューブ31が切断されると、図11(c)に示すようにバネ部材16のバネ力により、ストッパ118が所定方向に軸回転移動し、切断部からロッド113及び数珠114を鍵ホルダー110の外部へ移動させる。また、遊び調節用バネ部材115によりによるバネ力により切断部から数珠114を鍵ホルダー110の外部へ移動させる。
【0098】
また、上述したストッパ118が外れたシールド付カッター部111は、バネ部材112によるバネ力により所定方向に水平移動を行いICタグ14上に移動することにより、ICタグ14上にシールド付カッター部111が移動することで、ICタグ14を覆うことによりICタグ14の通信が遮断される。また、シールド付カッター部111によるカッター等の切断手段によりICタグ14の少なくとも一部を切断することで、ICタグ14を破壊し、通信できない状態にすることができ、鍵の不正使用を防止することができる。
【0099】
なお、第11の実施例では、フレキシブルチューブ31が切断されると、ロッド113及び数珠114が外部に出てしまうため、鍵ホルダー110を復元できない状態にすることができる。
【0100】
<鍵ホルダー:第12の実施例>
図12は、本実施形態における鍵ホルダーの第12の実施例を説明するための図である。なお、これらの本発明の異なる実施形態の説明にあたり、上述した本発明の第1〜第11の実施例と同一構成部分には同一符号を付すこととし、重複する説明を省略する。
【0101】
ここで、図12(a)は接触方式のロック時の状態を示し、図12(b)は破壊時の状態を示している。また、図12(a)において、120aは鍵ホルダー120の横断面図を示し、120bは鍵ホルダー120の上部断面図を示している。
【0102】
図12に示す第12の実施例において、鍵ホルダー120は、中空状のキーリング121と、その中空内に挿入される導線122と、導線122と接触し、鍵ホルダー120内で電気的に導通可能な接触端子123により構成されている。なお、接触端子123は、鍵収納ケースの接触子124と接触可能な構成となっている。これにより、ケース側からの接触子124によりタグの接触端子123に通電され、ケース側の読み取り部がICタグ内に記録された情報の通信が可能となり、これにより鍵ホルダー120の認証を行うことができる。なお、この状態のときには、キーリング121により所定数の鍵が収容されている。
【0103】
ここで、ホルダーから鍵を抜き取ろうとして中空状のキーリング121が破壊された場合には、図12(b)に示すように、キーリング121内部の導線122も切断される。このため、鍵ホルダー120内で電気的な導通が取れなくなり鍵収納ケース側の読み取り部が機能しなくなる。その結果、ICタグ14を認識することはできなくなる。これにより、ICタグ14における通信を遮断することができる。
【0104】
なお、上述した本発明における鍵ホルダーの第1〜第12の実施例で示した各構成部の位置や大きさ、形状、材質等については特に限定されるものではなく、本発明を実施可能な範囲内で任意に設定することができる。
【0105】
<鍵管理装置>
ここで、上述した鍵ホルダーをまとめて管理する鍵管理装置について図を用いて説明する。なお、以下の説明では、上述した鍵ホルダーを、警備会社における警備対象物件の鍵管理に使用した場合の内容とする。
【0106】
上述した鍵ホルダーは、鍵管理装置で管理されている。鍵管理装置は、例えば鍵ホルダーが1〜50束程度の複数束収納できるようにし、鍵ホルダーの所在確認、持ち出し・返却表示として、例えばLED(Light Emitting Diode)等による表示部を設ける。また、鍵管理装置は、鍵ホルダーのICタグの読み取りを行い、鍵の持ち出しや返却の状態を管理することができる。
【0107】
また、鍵管理装置は、鍵管理制御装置と、鍵収納ケースとを有すよう構成されている。鍵管理制御装置は、複数の鍵収納ケースと接続することができる。また、鍵収納ケースは、上述した鍵ホルダーを所定の位置に収納し、必要に応じて持ち出し、返却が可能となる機能を有する。このとき、不正に鍵が抜き取られた否か、鍵ホルダーの収納位置が正しいか否かを鍵ホルダー内部のICタグ等により認証することができる。
【0108】
<鍵収納ケース内部の概要構成例>
次に、鍵収納ケース内部の概要構成例について図を用いて説明する。図13は、鍵収納ケース内部の概要構成例を示す図である。鍵収納ケース130の内部は、図13(a)に示すように複数の鍵ホルダー個別収納ユニット131−1,131−2,・・・が配設されている。また、鍵ホルダー個別収納ユニット131は、予め設定された警備場所への扉等を開錠又は施錠するための鍵が、あるユニット部分を必要時に点灯させる表示部132と鍵ホルダー収納部133とを有している。
【0109】
また、図13(b)は、鍵ホルダー個別収納ユニット131の拡大図を示している。図13(b)の拡大図に示すように、鍵束として管理される各鍵134は、鍵134に設けられた開口部135に上述したキーリング等の貫通部材136を貫通させている。このようにして複数の鍵を鍵束として管理する鍵ホルダーを鍵ホルダー収納部133に挿入して保管(収納)する。
【0110】
また、図14は、鍵ホルダーの収納手順を説明するための一例を示す図である。図14(a)〜図14(c)は、上述した鍵ホルダーを鍵束個別収納ユニット131に収納するための動作を示している。なお、図14に示す鍵ホルダー140には、鍵ホルダー本体(鍵タグ)141に開口部142を有している。また、鍵ホルダー本体141には、鍵束個別収納ユニット131の鍵ホルダー収納部133への挿入方向に対して切欠き部143を有している。
【0111】
この切欠き部143は、鍵束個別収納ユニット131を鍵ホルダー収納部133に挿入する時にロッド144を押し下げるものであり、鍵ホルダー140が所定の方向まで挿入されると鍵ホルダー本体141の開口部142にロッド144がプランジャ145により挿入され、固定される。また、鍵束個別収納ユニット131には、上述した本体内部に設けられたICタグの情報を読み取るための読み取りセンサー(タグ読み取り部)146を有している。更に、マイクロスイッチ147と、鍵ホルダー本体141が収納されたことを感知するための端子148を有している。
【0112】
ここで、まず図14(a)の状態から図14(b)に示すように鍵ホルダー本体141を鍵ホルダー収納部133に挿入させると、プランジャ145のロッド144が切欠き部143により下に押し下げられ、鍵ホルダー本体141が更に奥へと移動することができる。
【0113】
鍵ホルダー本体141の移動が進むと、図14(c)に示すように、プランジャ145のロッド144がロックピンの溝(開口部)142に挿入され、ロックされる。ここで、マイクロスイッチ147により収納を感知し、上述した鍵ホルダー本体141内のICタグを読み取ることにより、正しい位置へ収納されたか、鍵が不正使用されているか否か等を判断することができる。
【0114】
<鍵収納ケースの機能構成>
次に、鍵収納ケースの機能構成例について説明する。本実施形態における鍵収納ケース130は、使用時に警備対象物件の鍵ホルダーの所在位置をLED等により表示(点灯)する表示手段や、鍵束に付いた収納用ICタグの情報を読み取り、所定の場所に保管されたか否かを確認する鍵情報読取手段、使用者に対してこれから使用する鍵の位置を音声やランプ等により通知したり、所定の鍵位置にセットされていない鍵ホルダーの位置を通知する通知手段等の機能を有する。
【0115】
<鍵の持ち出し例>
次に、鍵の持ち出し例について説明する。鍵を持ち出す場合には、例えば鍵管理制御装置のテンキー操作部等を操作し、持ち出す鍵ホルダーの番号を入力する。その後、鍵収納ケース130は、鍵ホルダー持ち出し前には、状態表示灯を点滅させ、扉の解錠を行い、鍵ホルダー個別収納ユニットの対象部分のLEDを点滅させ、ロックを開放する。また、鍵収納ケース130は、鍵束を持ち出し後、鍵束を取り出し、扉を閉める。また、状態表示灯を消灯し、扉を施錠する。更に、鍵ホルダー個別収納ユニットの対象部分のLEDを消灯させ、ロック(施錠)する。
【0116】
<鍵の返却例>
また、使用後に鍵を返却する際には、鍵管理制御装置を操作し、返却操作状態にする。また、鍵管理制御装置は、返却操作状態、収納用ICタグ待受け状態へ移行するため、収納用ICタグをかざす。その後、鍵収納ケース130は、鍵束返却前には、状態表示灯を点滅させ、扉の解錠を行い、鍵束個別収納ユニットの対象部分のLEDを点滅させ、ロックを開放する。また、鍵収納ケース130は、鍵束を返却した後、鍵束を取り出し、扉を閉める。また、状態表示灯を消灯し、扉を施錠する。更に、鍵束個別収納ユニットの対象部分のLEDを消灯させ、ロック(施錠)する。
【0117】
なお、鍵の持ち出し・返却時の操作はテンキー操作のみならず、ICカード等の非接触媒体を用いても良い。その場合、カードにより操作する個人を識別し、鍵を持ち出す権限がある人にのみ鍵管理制御装置の操作を許可することができるので、更に確実な鍵管理を実現し、不正使用等の抑制を図ることができる。
【0118】
上述したように本発明によれば、上述した鍵ホルダーを用いることで、鍵の不正使用を防止し、確実な鍵管理を実現することができるため、業務の運用効率を向上させることができる。具体的には、不正使用の防止については、正当な者以外による警備鍵の不正な持ち出しや、特定の鍵の取り出しを抑止したり、鍵収納用ICタグの複製自体を不可能にしたりすることができる。
【0119】
したがって、例えば鍵ホルダーのICタグの情報を読み取り装置等で読み取ることで鍵の有無を管理する鍵管理装置等において、不正に持ち出された鍵ホルダーではICタグを認識することができないため、正当な手順を経ず不正に持ち出され使用されたものであることを容易且つ迅速に把握することができる。
【0120】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0121】
更に、本発明を警備業の分野に適用することで、警備対象先の鍵管理をシステム化することができ、重要な鍵を確実に管理できるだけではなく、警備対象先からの警報受信から警報の対応・処置までの時間を短縮でき、運用の効率化につなげることができる。
【0122】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本実施形態における鍵ホルダーの第1の実施例を説明するための図である。
【図2】本実施形態における鍵ホルダーの第2の実施例を説明するための図である。
【図3】本実施形態における鍵ホルダーの第3の実施例を説明するための図である。
【図4】本実施形態における鍵ホルダーの第4の実施例を説明するための図である。
【図5】本実施形態における鍵ホルダーの第5の実施例を説明するための図である。
【図6】本実施形態における鍵ホルダーの第6の実施例を説明するための図である。
【図7】本実施形態における鍵ホルダーの第7の実施例を説明するための図である。
【図8】本実施形態における鍵ホルダーの第8の実施例を説明するための図である。
【図9】本実施形態における鍵ホルダーの第9の実施例を説明するための図である。
【図10】本実施形態における鍵ホルダーの第10の実施例を説明するための図である。
【図11】本実施形態における鍵ホルダーの第11の実施例を説明するための図である。
【図12】本実施形態における鍵ホルダーの第12の実施例を説明するための図である。
【図13】鍵収納ケース内部の概要構成例を示す図である。
【図14】鍵ホルダーの収納手順を説明するための一例を示す図である。
【符号の説明】
【0124】
10,20,30,40,50、60,70,80,90,100,110,120 鍵ホルダー
11,121 キーリング
12,113 ロッド
13 ストッパ
14 ICタグ
15,52,61,71 シャッター部材
16,54,101,112 バネ部材
17,18,22,36,72,83,92 軸
21 ストッパピン
31 フレキシブルチューブ
32 テンションワイヤー
33 ワイヤーかしめ
34,42 かしめ固定部
35 スライド部材
37,82,93,102 シールド部
41 チューブかしめ
51 リング部
53,55 フック部
62 遮断部
81 ゼンマイバネ
84,85,95,118 ストッパ
86,91,103 切断手段
94 制止部材
96 滑車部
111 シールド付カッター部
114 数珠
115 遊び調節用バネ部材
116 バネ縮み防止部
117 カッター制止部
122 導線
123 接触端子
124 接触子
130 鍵収納ケース
131 鍵束個別収納ユニット
132 表示部
133 鍵ホルダー収納部
134 鍵
135,142 開口部
136 貫通部材
141 鍵ホルダー本体(鍵タグ)
143 切欠き部
145 プランジャ
146 読み取りセンサー(タグ読み取り部)
147 マイクロスイッチ
148 端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された1又は複数の鍵を保持するための鍵ホルダーにおいて、
先端を通じて鍵に設けられた開口部に挿通されるような貫通部材と、
貫通部材を内部に収容して前記鍵を抜け止めする鍵ホルダー本体と、
前記鍵ホルダー本体に設けられ、予め設定された鍵情報を無線通信により外部と通信を行うためのICタグと、
前記貫通部材が切断された際、前記ICタグによる外部との通信を遮断するための遮断部材を有することを特徴とする鍵ホルダー。
【請求項2】
前記貫通部材が切断された場合に、前記遮断部材を前記ICタグと前記ICタグに記録された前記鍵情報を読み取る読み取り装置の間に移動させる弾性部材を有することを特徴とする請求項1に記載の鍵ホルダー。
【請求項3】
前記貫通部材は、ワイヤーを含み、前記ワイヤーが切断された場合には、前記遮断部材の保持が開放され、前記弾性部材により前記遮断部材を所定の方向に移動させることで、前記ICタグによる外部との通信を遮断することを特徴とする請求項2に記載の鍵ホルダー。
【請求項4】
前記貫通部材は、数珠状に配列された複数の球体形状を含み、前記貫通部材が切断された場合には、前記球体形状により保持された前記遮断部材が開放され、前記弾性部材により前記遮断部材を所定の方向に移動させることで、前記ICタグによる外部との通信を遮断することを特徴とする請求項2に記載の鍵ホルダー。
【請求項5】
前記貫通部材が切断された場合に、前記ICタグの少なくとも一部を切断する切断手段を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の鍵ホルダー。
【請求項6】
前記貫通部材は、導線を含み、前記導線が切断時に前記ICタグから前記鍵情報を送信するための電源の供給を遮断することを特徴とする請求項1に記載の鍵ホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−179969(P2009−179969A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17979(P2008−17979)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000202361)綜合警備保障株式会社 (266)
【出願人】(392032270)株式会社三矢研究所 (4)
【Fターム(参考)】