説明

鍵交換システム、鍵交換装置、鍵抽出装置、鍵交換方法、鍵抽出方法、及びプログラム

【課題】鍵を共有する相手を多様な条件で指定することを可能とする。
【解決手段】鍵交換装置110には、属性情報att(uAL)⊂δBについての論理式を表す木構造データγAが対応付けられ、鍵交換装置120には、属性情報att(uBL)⊂δBについての論理式を表す木構造データγBが対応付けられる。鍵交換装置110は、与えられた属性集合δBが木構造データγAに表される論理式を真にする場合にセッション鍵Kを生成する。鍵交換装置120は、与えられた属性集合δAが木構造データγBに表される論理式を真にする場合にセッション鍵Kを生成する。属性集合δBが木構造データγAに表される論理式を真にし、属性集合δAが木構造データγBに表される論理式を真にする場合、同一のセッション鍵Kが共有される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報セキュリティ技術の応用技術に関するものであり、特に、二者間で共通のセッション鍵を共有する鍵交換技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のID認証鍵交換方式の一つにSYL方式があった(例えば、非特許文献1参照)。以下にSYL方式の概要を説明する。
【0003】
[パラメータ]
G, GTをκビットの素数位数pの巡回群、gをGの生成元、gT=e(g,g)をGTの生成元、e:G×G→GTをペアリングとする。H:{0,1}*→{0,1}κとし、H1:{0,1}*→Gをハッシュ関数とする。鍵生成者は、マスタ秘密鍵λ∈Zpをランダムに選び、マスタ公開鍵Λ=gλ∈Gを公開する。
【0004】
[鍵生成]
鍵生成者は、ユーザA,Bの識別子IDA, IDB∈{0,1}*に対して、それぞれQA=H1(IDA)∈G, QB=H1(IDB)∈Gを計算し、マスタ秘密鍵λを用いて秘密鍵DA=QAλ∈G, DB=QBλ∈Gを生成する。
【0005】
[鍵交換]
識別子IDAと秘密鍵DA=QAλ∈GをもつユーザAと、識別子IDBと秘密鍵DB=QBλ∈GをもつユーザBは、以下のようにして認証鍵交換を行い、セッション鍵(共有鍵)Kを共有する。
【0006】
ユーザAは、ランダムに短期秘密鍵χAUZpを選び、短期公開鍵XA=gχAを計算し、(IDA,IDB,XA)をユーザBに送る。
【0007】
ユーザBは、(IDA,IDB,XA)を受信し、ランダムに短期秘密鍵χBUZpを選び、短期公開鍵XB=gχBを計算し、(IDA,IDB,XA,XB)をユーザAに送る。ユーザBは、σ1=e(QA・XA, DB・ΛχB), σ2=XAχBを計算し、セッション鍵K=H(σ12,IDA,IDB,XA,XB)を計算する。
【0008】
ユーザAは、(IDA,IDB,XA,XB)を受信し、σ1=e(DA・ΛχA,QB・XB),σ2=XBχAを計算し、セッション鍵K=H(σ12,IDA,IDB,XA,XB)を計算する。
【0009】
σ1=gTλ(log(QA)+χA)・(log(QB)+χB), σ2=gχA・χBとなるので、両者で計算したセッション鍵Kは一致する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】L. Chen, Z. Cheng, Nigel P. Smart, "Identity-based key agreement protocols from pairings", Int. J. Inf. Sec. 6(4): 213-241 (2007).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、SYL方式は、相手が指定したIDと自分のIDが一致した場合にのみセッション鍵を生成できるという単純な方式であり、セッション鍵を共有する相手を多様な条件で指定することができなかった。
【0012】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、セッション鍵を共有する相手を多様な条件で指定することができる鍵交換技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では、第1鍵交換装置と第2鍵交換装置とでセッション鍵を生成する。巡回群G1, G2, GTの生成元がそれぞれg1, g2, gTであり、直積空間G1×G2の元を巡回群GTに写す双線形写像がe: G1×G2→GTであり、属性情報jの集合がATTであり、マスタ秘密鍵がλ及びt(j)(j∈ATT)であり、マスタ公開鍵がΛ=gTλ∈GT及びT(j)=g2t(j)∈G2である。UA(UA≧2)個のノード情報N(uA)(uA∈{1,...,UA})を含む木構造データγAが第1鍵交換装置に対応し、ノード情報N(uA)の一部が親ノード情報N(uAP)(uAP∈{1,...,UA})であり、親ノード情報N(uAP)にはc(uAP)個の子ノード情報N(uAC)(uAC∈{1,...,UA})が対応し、親ノード情報N(uAP)の何れか1つがルートノード情報N(uAR)(uAR∈{1,...,UA})であり、子ノード情報N(uAC)の少なくとも一部が葉ノード情報N(uAL)(uAL∈{1,...,UA})であり、葉ノード情報N(uAL)に対応するuALの集合がL(γA)であり、親ノード情報N(uAP)のそれぞれには1≦k(uAP)≦c(uAP)を満たすしきい値k(uAP)が対応し、ノード情報N(uA)のそれぞれには情報q(uA, η(uA))が対応し、ルートノード情報N(uAR)に対応する情報q(uAR, η(uAR))がマスタ秘密鍵λであり、親ノード情報N(uAP)に対応する情報q(uAP, η(uAP))をk(uAP)-out-of-c(uAP)しきい値秘密分散して得られる分散情報が当該親ノード情報N(uAP)に対応する子ノード情報N(uAC)に対応する情報q(uAC, η(uAC))であり、葉ノード情報N(uAL)にはそれぞれ属性情報att(uAL)∈ATTと秘密値D(uAL)=g1q(uAL, η(uAL))/t(att(uAL))∈G1とが対応し、秘密値D(uAL)(uAL∈L(γA))の集合が第1鍵交換装置の長期秘密鍵DA={D(uAL)}uAL∈L(γA)である。UB(UB≧2)個のノード情報N(uB)(uB∈{1,...,UB})を含む木構造データγBが第2鍵交換装置に対応し、ノード情報N(uB)の一部が親ノード情報N(uBP)(uBP∈{1,...,UB})であり、親ノード情報N(uBP)にはc(uBP)個の子ノード情報N(uBC)(uBC∈{1,...,UB})が対応し、親ノード情報N(uBP)の何れか1つがルートノード情報N(uBR)(uBR∈{1,...,UB})であり、子ノード情報N(uBC)の少なくとも一部が葉ノード情報N(uBL)(uBL∈{1,...,UB})であり、葉ノード情報N(uBL)に対応するuBLの集合がL(γB)であり、親ノード情報N(uBP)のそれぞれには1≦k(uBP)≦c(uBP)を満たすしきい値k(uBP) が対応し、ノード情報N(uB)のそれぞれには情報q(uB, η(uB))が対応し、ルートノード情報N(uBR)に対応する情報q(uBR, η(uBR))がマスタ秘密鍵λであり、親ノード情報N(uBP)に対応する情報q(uBP, η(uBP))をk(uBP)-out-of-c(uBP)しきい値秘密分散して得られる分散情報が当該親ノード情報N(uBP)に対応する子ノード情報N(uBC)に対応する情報q(uBC, η(uBC))であり、葉ノード情報N(uBL)にはそれぞれ属性情報att(uBL)∈ATTと秘密値D(uBL)=g1q(uBL, η(uBL))/t(att(uBL))∈G1とが対応し、秘密値D(uBL)(uBL∈L(γB))の集合が第2鍵交換装置の長期秘密鍵DB={D(uBL)}uBL∈L(γB)である。
【0014】
第1鍵交換装置は、短期秘密鍵sAを任意に生成し、属性情報の集合ATTの部分集合である属性集合δA⊂ATTと長期秘密鍵DAと短期秘密鍵sAとを用い、長期秘密鍵DAと短期秘密鍵sAとを含む値の像χに対する元T(wA)χ∈G2 (wA∈δA)の集合であるTA={T(wA)χ}wA∈δAを含む第1短期公開鍵を生成し、属性集合δAと第1短期公開鍵とを第2鍵交換装置に対して出力する。
【0015】
第2鍵交換装置は、短期秘密鍵sBを任意に生成し、属性情報の集合ATTの部分集合である属性集合δB⊂ATTと長期秘密鍵DBと短期秘密鍵sBとを用い、長期秘密鍵DBと短期秘密鍵sBとを含む値の像υに対する元T(wB)υ∈G2 (wB∈δB)の集合であるTB={T(wB)υ}wB∈δBを含む第2短期公開鍵を生成し、属性集合δBと第2短期公開鍵とを第1鍵交換装置に対して出力する。
【0016】
第1鍵交換装置は、属性集合δBと第2短期公開鍵との入力を受け付け、属性集合δBに属する属性情報att(uAL)∈δBに対応する葉ノード情報N(uAL)に対応する秘密値D(uAL)=g1q(uAL, η(uAL))/t(att(uAL))∈G1と第2短期公開鍵が含む元T(att(uAL))υ∈G2とに対し、双線形写像eを作用させ、葉ノード情報N(uAL)に対して復元値e(D(uAL), T(att(uAL))υ)=gTυ・q(uAL, η(uAL))∈GTを生成し、自らに対応する子ノード情報N(uAC)のうち復元値gTυ・q(uAC, η(uAC))∈GTが生成されたものの合計数が自らに対応するしきい値k(uAP)以上となる親ノード情報N(uAP)に対し、当該しきい値k(uAP)以上の復元値gTυ・q(uAC, η(uAC))∈GTをk(uAP)-out-of-c(uAP)しきい値秘密分散法の分散情報として用い、当該分散情報に対応する復元値gTυ・q(uAP, η(uAP))∈GTを生成する。ここで、ルートノード情報N(uAR)に対する復元値gTυ・q(uAR, η(uAR))=gTυ・λ∈GTが生成された場合、第1鍵交換装置は、Λχ=gTχ・λ∈GTとgTυ・λ∈GTとを含む値の像を第1セッション鍵として出力する。
【0017】
第2鍵交換装置は、属性集合δAと第1短期公開鍵との入力を受け、属性集合δAに属する属性情報att(uBL)∈δAに対応する葉ノード情報N(uBL)に対応する秘密値D(uBL)=g1q(uBL, η(uBL))/t(att(uBL))∈G1と第1短期公開鍵が含む元T(att(uBL))χ∈G2とに対し、双線形写像eを作用させ、葉ノード情報N(uBL)に対して復元値e(D(uBL), T(att(uBL))χ)=gTχ・q(uBL, η(uBL))∈GTを生成し、自らに対応する子ノード情報N(uBC)のうち復元値gTχ・q(uBC, η(uBC))∈GTが生成されたものの合計数が自らに対応するしきい値k(uBP)以上となる親ノード情報N(uBP)に対し、当該しきい値k(uBP)以上の復元値gTχ・q(uBC, η(uBC))∈GTをk(uBP)-out-of-c(uBP)しきい値秘密分散法の分散情報として用い、当該分散情報に対応する復元値gTχ・q(uBP, η(uBP))∈GTを生成する。ここで、ルートノード情報N(uBR)に対する復元値gTχ・q(uBR, η(uBR))=gTχ・λ∈GTが生成されたた場合、第2鍵交換装置は、gTχ・λ∈GTとΛυ=gTυ・λ∈GTとを含む値の像を第2セッション鍵として出力する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の木構造データγABはそれぞれ特定の論理式に対応し、属性集合δAが木構造データγBに対応する論理式を真にし、属性集合δBが木構造データγAに対応する論理式を真にする場合に、第1鍵交換装置と第2鍵交換装置との間で同一のセッション鍵が生成される。そのため、本発明では、セッション鍵を共有する相手を多様な条件で指定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、実施形態での鍵交換システムの全体構成を説明するための図である。
【図2】図2は、実施形態での鍵交換装置の構成を説明するための図である。
【図3】図3は、実施形態での鍵交換装置の構成を説明するための図である。
【図4】図4は、実施形態での鍵抽出装置の構成を説明するための図である。
【図5】図5A及び図5Bは、実施形態での鍵抽出方法を説明するための図である。
【図6】図6は、実施形態での鍵交換方法を説明するための図である。
【図7】図7は、実施形態での鍵交換方法を説明するための図である。
【図8】図8A及び図8Bは、木構造データを例示するための図である。
【図9】図9A及び図9Bは、木構造データを例示するための図である。
【図10】図10A及び図10Bは、木構造データを例示するための図である。
【図11】図11A及び図11Bは、木構造データを例示するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0021】
<定義>
本形態で使用する用語を定義する。
∧:∧は論理積を表す。
∨:∨は論理和を表す。
:・は・の否定を表す。
Z:Zは整数集合を表す。
κ:κはセキュリティパラメータ(κ∈Z, κ>0)を表す。
Zp:Zpは位数p(p≧1)の環を表す。Zpの例はpを法とする剰余環である。また、pの例はκビットの素数である。ただし、これらの例は本発明を限定するものではない。
ξ∈UZp:ξ∈UZpは、Zpの任意の元ξを選択することを表す。
【0022】
{0,1}*:{0,1}*は任意ビット長のバイナリ系列を表す。その一例は、整数0及び1からなる系列である。ただし、{0,1}*は整数0及び1からなる系列に限定されない。{0,1}*は位数2の有限体又はその拡大体と同義である。
【0023】
{0,1}ζ:{0,1}ζはビット長ζ(ζ∈Z, ζ>0)のバイナリ系列を表す。その一例は、整数0及び1からなる系列である。しかし、{0,1}ζは整数0及び1からなる系列に限定されない。{0,1}ζは位数2の有限体(ζ=1の場合)又はそれをζ次拡大した拡大体(ζ>1の場合)と同義である。
【0024】
G1, G2, GT:G1, G2, GTのそれぞれは予め定められた巡回群を表し、g1, g2, gTのそれぞれは巡回群G1, G2, GTの生成元を表す。本形態の例では、G1, G2, GTがκビットの素数位数pの巡回群であるものとして説明する。なお、G1=G2であってもよいしG1≠G2であってもよい。巡回群G1, G2の具体例は、楕円曲線の等分点からなる有限集合やその部分群である。巡回群GTの具体例は、拡大体を構成する有限集合からなる群である。なお、本形態では、巡回群G1, G2, GT上で定義された演算が乗法的に表現される。すなわち、β∈Zp及びψ∈G1に対するψβ∈G1は、ψ∈G1に対して巡回群G1で定義された演算をβ回施すことを意味し、ψ1, ψ2∈G1に対するψ1・ψ2∈G1は、ψ1∈G1とψ2∈G1とを被演算子として巡回群G1で定義された演算を行うことを意味する。巡回群G2, GTについても同様である。
【0025】
e:eは、直積空間G1×G2の元を巡回群GTに写す双線形写像G1×G2→GTを表し、e(g1, g2)=gTを満たす。双線形写像eは以下の性質を満たす。
【0026】
[双線形性]すべてのψ1∈G1,ψ2∈G2及びε,ζ∈Zpについて以下の関係を満たす。
e(ψ1ε2ζ)=e(ψ1, ψ2)ε・ζ …(1)
[非退化性]すべての
ψ1∈G1,ψ2∈G2 …(2)
を巡回群GTの単位元に写す写像ではない。
[計算可能性]あらゆるψ1∈G1,ψ2∈G2についてe(ψ1, ψ2)を効率的に計算するアルゴリズムが存在する。
【0027】
双線形写像eの具体例は、WeilペアリングやTateペアリングなどのペアリング演算を行うための関数である(例えば、参考文献1「Alfred. J. Menezes,ELLIPTIC CURVE PUBLIC KEY CRYPTOSYSTEMS, KLUWER ACADEMIC PUBLISHERS, ISBN0-7923-9368-6,pp. 61-81」等参照)。また、楕円曲線の種類に応じ、Tateペアリングなどのペアリング演算を行うための関数と所定の関数phiを組み合わせた変更ペアリング関数e(ψ1,phi(ψ2))(ψ1∈G1,ψ2∈G2)を双線形写像eとして用いてもよい(例えば、参考文献2「RFC 5091: Identity-Based Cryptography Standard (IBCS) #1: Supersingular Curve Implementations of the BF and BB1 Cryptosystems」等参照)。また、ペアリング演算をコンピュータ上で行うためのアルゴリズムとしては、周知のMiller のアルゴリズムなどが存在し、ペアリング演算を効率的に行うための楕円曲線や巡回群G1, G2, GTの構成方法はよく知られている。
【0028】
属性情報:属性情報とは何らかの属性を表す値を意味する。属性情報j:{0,1}Φの集合をATTと表す。本形態の例では、属性情報jが1以上J以下の整数であり(Jは正整数)、ATT={1,...,J}であるものとする。ただし、これは本発明を限定するものではない。
【0029】
Ω:Ωはプロトコル使用に対応した固有の識別子であるプロトコルIDを表す。
【0030】
k-out-of-c しきい値秘密分散法:k-out-of-c しきい値秘密分散法は、任意の相違なるk個の分散情報SH(φ1),...,SH(φk)(1≦k≦c)が与えられれば秘密情報SKを復元できるが、任意のk-1個の分散情報SH(φ1),...,SH(φk-1)が与えられても秘密情報SKの情報はまったく得られない方式である(例えば、参考文献3「Adi Shamir, "How to share a secret", Communications of the ACM, Volume 22, No. 11, pp.612-613 (November 1979)」等参照)。以下にその一例を示す。
【0031】
(1) q(η)=SK(ηは定数)を満たす不定元αについてのk-1次の多項式q(α)=ξ01・α+ξ2・α2+...+ξK-1・αk-1をランダムに選ぶ。すなわち、q(η)=SKとし、ξ1,..., ξK-1をランダムに選ぶ。なお、定数ηの例はη=0である。そして、分散情報をSH(ρ)=q(index(ρ))(ρ∈{1,...,c})とする。なお、index(ρ)は各ρに対応する互いに異なるインデックスであり、その例はindex(ρ)=ρである。
【0032】
(2) 任意の相違なるk個の分散情報q(φ1),...,q(φk)(S={φ1,...,φk}⊂{index(1),...,index(c)})が得られた場合、例えば、ラグランジェ(Lagrange)の補間公式を用い、以下のような復元処理によって秘密情報SKを復元できる。
【0033】
SK=q(η)=Δ(φ1, q(η))・q(φ1)+...+Δ(φk, q(η))・q(φk) …(3)
ただし、Δ(ι, q(η))(ι∈S)は、以下に表すラグランジュ係数である。
【0034】
【数1】

は先頭からι番目の被演算子〔分母の要素(φιι)、分子の要素(η-φι)〕が存在しないことを意味する。すなわち、式(4)の分母は、
ι1)・...・(φιι-1)・(φιι+1)・...・(φιk)
であり、式(4)の分子は
(η-φ1)・...・(η-φι-1)・(η-φι+1)・...・(η-φk)
である。
【0035】
H:Hは{0,1}*を{0,1}kに移すハッシュ関数H:{0,1}* →{0,1}κを表す。
H':H'は{0,1}*をZpに移すハッシュ関数H:{0,1}* →Zpを表す。
【0036】
<原理>
次に、本形態の原理を説明する。本形態では、第1鍵交換装置と第2鍵交換装置との間でセッション鍵を生成する。第1,2鍵交換装置には、それぞれ、属性情報についての論理式を表す木構造データγABが対応付けられている。第1鍵交換装置は、属性情報の集合ATTの部分集合である属性集合δA⊂ATTを設定して第2鍵交換装置に対して出力し、第2鍵交換装置は、属性情報jの集合ATTの部分集合である属性集合δB⊂ATTを設定して第1鍵交換装置に対して出力する。ここで、属性集合δAが木構造データγBに対応する論理式を真にし、属性集合δBが木構造データγAに対応する論理式を真にする場合に、第1鍵交換装置と第2鍵交換装置との間で同一のセッション鍵が生成される。まず、木構造データの基本構成を説明する。
【0037】
[木構造データγA
第1鍵交換装置に対応する木構造データγAは、根付き木構造のデータであり、UA(UA≧2)個のノード情報N(uA)(uA∈{1,...,UA})を含む。ノード情報N(uA)の一部が親ノード情報N(uAP)(uAP∈{1,...,UA})であり、親ノード情報N(uAP)にはc(uAP)(c(uAP)≧1)個の子ノード情報N(uAC)(uAC∈{1,...,UA})が対応する。親ノード情報N(uAP)の何れか1つがルートノード情報N(uAR)(uAR∈{1,...,UA})であり、子ノード情報N(uAC)の少なくとも一部が葉ノード情報N(uAL)(uAL∈{1,...,UA})であり、葉ノード情報N(uAL)に対応するuALの集合がL(γA)である。親ノード情報N(uAP)のそれぞれには1≦k(uAP)≦c(uAP)を満たすしきい値k(uAP)が対応する。ノード情報N(uA)のそれぞれには情報q(uA, η(uA))が対応する。ルートノード情報N(uAR)に対応する情報q(uAR, 0)はマスタ秘密鍵λである。また、親ノード情報N(uAP)に対応する情報q(uAP, η(uAP))をk(uAP)-out-of-c(uAP)しきい値秘密分散して得られる分散情報が当該親ノード情報N(uAP)に対応する子ノード情報N(uAC)に対応する情報q(uAC, η(uAC))である。葉ノード情報N(uAL)にはそれぞれ1つの属性情報att(uAL)∈ATTと秘密値D(uAL)=g1q(uAL, η(uAL))/t(att(uAL))∈G1とが対応し、秘密値D(uAL)(uAL∈L(γA))の集合が第1鍵交換装置の長期秘密鍵DA={D(uAL)}uAL∈L(γA)である。なお、t(j)(j∈ATT)はマスタ秘密鍵である。なお、添字のuAはuAを表す。
【0038】
なお、例えば、しきい値秘密分散法として参考文献3に記載された方法が用いられる場合には、子ノード情報N(uAC)のそれぞれには識別子index(uAC)が対応し、葉ノード情報N(uAL)にはしきい値k(uAL)=1が対応し、ノード情報N(uA)のそれぞれには不定元αについての次数d(uA)=k(uA)-1の多項式q(uA, α)が対応する。ここで、η(uA)はノード情報N(uA)に対応する定数である。また、情報q(uA, η(uA))が多項式q(uA, α)に定数η(uA)を代入して得られる値であり、子ノード情報N(uAC)に対応する情報q(uAC, η(uAC))が当該子ノード情報N(uAC)に対応する親ノード情報N(uAP)に対応する多項式q(uAP, α)に当該子ノード情報N(uAC)に対応する識別子index(uAC)を代入して得られるq(uAP, index(uAC))である。
【0039】
[木構造データγB
第2鍵交換装置に対応する木構造データγBも木構造データγAと同様に構成される。すなわち、木構造データγBは、根付き木構造のデータであり、UB(UB≧2)個のノード情報N(uB)(uB∈{1,...,UB})を含む。ノード情報N(uB)の一部が親ノード情報N(uBP)(uBP∈{1,...,UB})であり、親ノード情報N(uBP)にはc(uBP)(c(uBP)≧1)個の子ノード情報N(uBC)(uBC∈{1,...,UB})が対応する。親ノード情報N(uBP)の何れか1つがルートノード情報N(uBR)(uBR∈{1,...,UB})であり、子ノード情報N(uBC)の少なくとも一部が葉ノード情報N(uBL)(uBL∈{1,...,UB})であり、葉ノード情報N(uBL)に対応するuBLの集合がL(γB)である。親ノード情報N(uBP)のそれぞれには1≦k(uBP)≦c(uBP)を満たすしきい値k(uBP) が対応する。ノード情報N(uB)のそれぞれには情報q(uB, η(uB))が対応する。ルートノード情報N(uBR)に対応する情報q(uBR, η(uBR))はマスタ秘密鍵λである。また、親ノード情報N(uBP)に対応する情報q(uBP, η(uBP))をk(uBP)-out-of-c(uBP)しきい値秘密分散して得られる分散情報が当該親ノード情報N(uBP)に対応する子ノード情報N(uBC)に対応する情報q(uBC, η(uBC))である。葉ノード情報N(uBL)にはそれぞれ1つの属性情報att(uBL)∈ATTと秘密値D(uBL)=g1q(uBL, η(uBL))/t(att(uBL))∈G1とが対応し、秘密値D(uBL)(uBL∈L(γB))の集合が第2鍵交換装置の長期秘密鍵DB={D(uBL)}uBL∈L(γB)である。なお、添字のuBはuBを表す。
【0040】
なお、例えば、しきい値秘密分散法として参考文献3に記載された方法が用いられる場合には、子ノード情報N(uBC)のそれぞれには識別子index(uBC)が対応し、葉ノード情報N(uBL)にはしきい値k(uBL)=1が対応し、ノード情報N(uB)のそれぞれには不定元αについての次数d(uB)=k(uB)-1の多項式q(uB, α)が対応する。ここで、η(uB)はノード情報N(uB)に対応する定数である。また、情報q(uB, η(uB))が多項式q(uB, α)に定数η(uB)を代入して得られる値であり、子ノード情報N(uBC)に対応する情報q(uBC, η(uBC))が当該子ノード情報N(uBC)に対応する親ノード情報N(uBP)に対応する多項式q(uBP, α)に当該子ノード情報N(uBC)に対応する識別子index(uBC)を代入して得られるq(uBP, index(uBC))である。
【0041】
[鍵交換]
木構造データγAに対応する第1鍵交換装置と木構造データγBに対応する第2鍵交換装置とは、以下の処理によってセッション鍵の生成を行う。
【0042】
第1鍵交換装置は、短期秘密鍵sAを任意に生成し、属性情報の集合ATTの部分集合である属性集合δA⊂ATTと長期秘密鍵DAと短期秘密鍵sAとを用い、長期秘密鍵DAと短期秘密鍵sAとを含む値の像χに対する元T(wA)χ∈G2 (wA∈δA)の集合であるTA={T(wA)χ}wA∈δAを含む第1短期公開鍵を生成し、属性集合δAと第1短期公開鍵とを第2鍵交換装置に対して出力する。なお、T(j)=g2t(j)∈G2はマスタ公開鍵である。また、添字のwA,δAは、それぞれwAAを表す。
【0043】
第2鍵交換装置は、短期秘密鍵sBを任意に生成し、属性情報の集合ATTの部分集合である属性集合δB⊂ATTと長期秘密鍵DBと短期秘密鍵sBとを用い、長期秘密鍵DBと短期秘密鍵sBとを含む値の像υに対する元T(wB)υ∈G2 (wB∈δB)の集合であるTB={T(wB)υ}wB∈δBを含む第2短期公開鍵を生成し、属性集合δBと第2短期公開鍵とを第1鍵交換装置に対して出力する。なお、添字のwB,δBは、それぞれwBBを表す。
【0044】
第1鍵交換装置は、属性集合δBと第2短期公開鍵との入力を受け付け、属性集合δBに属する属性情報att(uAL)∈δBに対応する葉ノード情報N(uAL)に対応する秘密値D(uAL)=g1q(uAL, η(uAL))/t(att(uAL))∈G1と第2短期公開鍵が含む元T(att(uAL))υ∈G2とに対し、双線形写像eを作用させ、葉ノード情報N(uAL)に対して復元値e(D(uAL), T(att(uAL))υ)=gTυ・q(uAL, η(uAL))∈GTを生成する。また、第1鍵交換装置は、自らに対応する子ノード情報N(uAC)のうち復元値gTυ・q(uAC, η(uAC))∈GTが生成されたものの合計数が自らに対応するしきい値k(uAP)以上となる親ノード情報N(uAP)に対し、当該しきい値k(uAP)以上の復元値gTυ・q(uAC, η(uAC))∈GTをk(uAP)-out-of-c(uAP)しきい値秘密分散法の分散情報として用い、当該分散情報に対応する復元値gTυ・q(uAP, η(uAP))∈GTを生成する。ここで、ルートノード情報N(uAR)に対する復元値gTυ・q(uAR, η(uAR))=gTυ・λ∈GTが生成された場合、第2鍵交換装置は、Λχ=gTχ・λ∈GTとgTυ・λ∈GTとを含む値の像を第1セッション鍵として出力する。なお、Λ=gTλ∈GTはマスタ公開鍵を表す。
【0045】
第2鍵交換装置は、属性集合δAと第1短期公開鍵との入力を受け付け、属性集合δAに属する属性情報att(uBL)∈δAに対応する葉ノード情報N(uBL)に対応する秘密値D(uBL)=g1q(uBL, η(uBL))/t(att(uBL))∈G1と第1短期公開鍵が含む元T(att(uBL))χ∈G2とに対し、双線形写像eを作用させ、葉ノード情報N(uBL)に対して復元値e(D(uBL), T(att(uBL))χ)=gTχ・q(uBL, η(uBL))∈GTを生成する。また、第2鍵交換装置は、自らに対応する子ノード情報N(uBC)のうち復元値gTχ・q(uBC, η(uBC))∈GTが生成されたものの合計数が自らに対応するしきい値k(uBP)以上となる親ノード情報N(uBP)に対し、当該しきい値k(uBP)以上の復元値gTχ・q(uBC, η(uBC))∈GTをk(uBP)-out-of-c(uBP)しきい値秘密分散法の分散情報として用い、当該分散情報に対応する復元値gTχ・q(uBP, η(uBP))∈GTを生成する。ここで、ルートノード情報N(uBR)に対する復元値gTχ・q(uBR, η(uBR))=gTχ・λ∈GTが生成された場合、第2鍵交換装置は、gTχ・λ∈GTとΛυ=gTυ・λ∈GTとを含む値の像を第2セッション鍵として出力する。
【0046】
[特徴]
本形態の木構造データγAは各葉ノード情報N(uAL)に対応する属性情報att(uAL)⊂δBについての論理式を表し、第1鍵交換装置は、与えられた属性集合δBが木構造データγAに表される論理式を真にする場合に第1セッション鍵を生成する。言い換えると、与えられた属性集合δBに葉ノード情報N(uAL)に対応する属性情報att(uAL)が含まれた場合(「uALが満たされる」と呼ぶ)、当該属性情報att(uAL)⊂δBに対応する葉ノード情報N(uAL)に対応する情報q(uAL, η(uAL))に対応する復元値gTυ・q(uAL, η(uAL))が復元される。また、子ノード情報N(uAC)に対応する情報q(uAC, η(uAC))に対応する情報が、それらの親ノード情報N(uAP)に対応するしきい値k(uAP)以上得られた場合(「uAPが満たされる」と呼ぶ)、親ノード情報N(uAP)に対応する復元値gTυ・q(uAP, η(uAP))が得られる。そして、ルートノード情報N(uAR)の子ノード情報N(uAC)に対応する復元値gTυ・q(uAC, η(uAC))が、ルートノード情報N(uAR)に対応するしきい値k(uAR)以上得られ(「木構造データγAが満たされる」と呼ぶ)、ルートノード情報N(uAR)に対応する復元値gTυ・q(uAR, η(uAR))=gTυ・λが得られた場合、得られたgTυ・λ2とマスタ公開鍵Λから生成されるΛχ=gTχ・λ1とに対応する第1セッション鍵が生成される。
【0047】
同様に、本形態の木構造データγBは各葉ノード情報N(uBL)に対応する属性情報att(uBL)⊂δBについての論理式を表し、第2鍵交換装置は、与えられた属性集合δAが木構造データγBに表される論理式を真にする場合に第2セッション鍵を生成する。言い換えると、与えられた属性集合δAに葉ノード情報N(uBL)に対応する属性情報att(uBL)が含まれた場合(「uBLが満たされる」と呼ぶ)、当該属性情報att(uBL)⊂δAに対応する葉ノード情報N(uBL)に対応する復元値gTχ・q(uBL, η(uBL))が復元される。また、子ノード情報N(uBC)に対応する情報q(uBC, η(uBC))に対応する復元値gTχ・q(uBC, η(uBC))が、それらの親ノード情報N(uBP)に対応するしきい値k(uBP)以上得られた場合(「uBPが満たされる」と呼ぶ)、親ノード情報N(uBP)に対応する復元値gTχ・q(uBP, η(uBP))が得られる。そして、ルートノード情報N(uBR)の子ノード情報N(uBC)に対応する復元値gTχ・q(uBC, η(uBC))が、ルートノード情報N(uBR)に対応するしきい値k(uBR)以上得られ(「γBが満たされる」と呼ぶ)、ルートノード情報N(uBR)に対応する復元値gTχ・q(uBR, η(uBR))=gTχ・λが得られた場合、得られたgTχ・λ1∈GTとマスタ公開鍵Λから生成されるΛυ=gTυ・λ2∈GTとに対応する第2セッション鍵が生成される。
【0048】
ここで、第1鍵交換装置が生成するΛχ=gTχ・λ1は第2鍵交換装置が生成するgTχ・λ1と等しく、第1鍵交換装置が生成するgTυ・λ2は第2鍵交換装置が生成するΛυ=gTυ・λ2と等しい。よって、第1、2鍵交換装置は同一のセッション鍵を共有できる。すなわち、本形態では、属性集合δBに対してγAが満たされ、属性集合δAに対してγBが満たされた場合に、第1、2鍵交換装置で同一のセッション鍵を共有できる。このことを「属性集合が木構造データを満たす」という命題を表す述語
P:{0,1}Φ×{0,1}Φ→{0,1} …(5)
を用いて表現すると、「P(δB, γA)=1かつP(δA, γB)=1の場合に第1、2鍵交換装置が同一のセッション鍵を共有できる」となる。なお、P(δ, γ)=1とは「属性集合δが木構造データγを満たす」という命題を表す述語が真であることを表し、P(δ, γ)=0とは「属性集合δが木構造データγを満たす」という命題を表す述語が偽であることを表す。
【0049】
また、第1鍵交換装置がさらに元X=g1χ∈G1を生成し、第1短期公開鍵がさらに元X=g1χ∈G1を含み、第2鍵交換装置がさらに元Y=g1υ∈G1を生成し、第2短期公開鍵がさらに元Y=g1υ∈G1を含み、P(δB, γA)=1の場合に第1鍵交換装置がσ1χ=gTχ・λ∈GTとσ2=gTυ・λ∈GTとσ3=Yχ∈G1とを含む値の像を第1セッション鍵として出力し、P(δA, γB)=1の場合に第2鍵生成装置がσ1=gTχ・λ∈GTとσ2υ=gTυ・λ∈GTとσ3=Xυ∈G1とを含む値の像を第2セッション鍵として出力してもよい。この場合(「限定形態」と呼ぶ)、短期秘密鍵が第三者に漏洩したことを考慮したeCKと呼ばれるモデルでの安全性が確保される。
【0050】
例えば、従来のSYL方式では、短期秘密鍵が攻撃者に漏洩した場合、攻撃者は次のような攻撃を行うことで正規のユーザBに成り済ますことができる。
【0051】
(1) 攻撃者は、ユーザAの短期秘密鍵χAを得る。
(2) 攻撃者は、ユーザAから(IDA,IDB,XA)を受信したら、IDBからQB=H1(IDB)を計算し、χB=QB(-1)とし、(IDA,IDB,XA,XB)をユーザAに送る。このとき、ユーザAが計算するσ1はσ1=e(DA・ΛχA,QB・QB(-1))=e(DA・ΛχA,QB)0=1∈GTとなるので、攻撃者は他の値を知らなくてもσ1の値を知ることができる。また、攻撃者は短期秘密鍵χAを用いてσ2=XBχAも計算することができる。よって、攻撃者はセッション鍵Kを計算し、ユーザBに成り済ますことができる。
【0052】
一方、上記の限定形態の場合、短期秘密鍵が攻撃者に漏洩しても、攻撃者はセッション鍵の情報を入手することはできない。なぜなら、υやχは短期秘密鍵と長期秘密鍵とを用いて計算されるため、短期秘密鍵のみが攻撃者に漏洩しても、攻撃者はυやχを知ることができず、σ3=Xυやσ3=Yχを計算することができないからである。
【0053】
〔実施形態〕
次に、本発明の実施形態を説明する。なお、以下では、しきい値秘密分散法として参考文献3に記載された方法が用いられ、ノード情報N(uA)に対応する定数η(uA)が0であり、ノード情報N(uB)に対応する定数η(uB)が0である場合を例にとって説明する。ただし、これは本発明を限定するものではない。
【0054】
<構成>
図1に例示するように、実施形態の鍵交換システム1は、鍵交換装置110、120と鍵生成装置130と鍵抽出装置140とを有し、ネットワークや可搬型記録媒体(以下「ネットワーク等」)を経由して装置間の情報伝達を行う。鍵交換装置110、120、鍵生成装置130、及び鍵抽出装置140は、それぞれ、CPU(central processing unit)やRAM(random-access memory)などを備えた公知又は専用のコンピュータと特別なプログラムとによって構成され、特別なプログラムが読み込まれたCPUが当該特別なプログラムに従った処理を実行することで各機能が実現される。なお、特別なプログラムは、単一のプログラム列によって構成されてもよいし、他のプログラムやライブラリを読み出して目的の機能を達成するプログラムであってもよい。また、処理部の少なくとも一部が集積回路によって構成されていてもよい。
【0055】
[鍵交換装置110]
図2に例示するように、実施形態の鍵交換装置110は、入力部111aと、出力部111bと、記憶部112と、制御部113と、判定部114と、短期秘密鍵生成部115aと、ハッシュ演算部115bと、短期公開鍵生成部115c,115dと、葉ノード復元値生成部116と、親ノード復元値生成部117と、演算部118と、鍵生成部119とを有する。入力部111aや出力部111bは、例えば、通信装置、入出力インタフェース、入出力ポートなどである。記憶部112は、例えば、RAM、レジスタ、キャッシュメモリ、ハードディスクなどから構成される記憶領域である。制御部113、判定部114、短期秘密鍵生成部115a、ハッシュ演算部115b、短期公開鍵生成部115c,115d、葉ノード復元値生成部116、親ノード復元値生成部117、演算部118、及び鍵生成部119は、特別なプログラムが読み込まれたCPUや集積回路である。なお、鍵交換装置110は、記憶部112の制御のもとで各処理を実行する。
【0056】
[鍵交換装置120]
図3に例示するように、実施形態の鍵交換装置120は、入力部121aと、出力部121bと、記憶部122と、制御部123と、判定部124と、短期秘密鍵生成部125aと、ハッシュ演算部125bと、短期公開鍵生成部125c,125dと、葉ノード復元値生成部126と、親ノード復元値生成部127と、演算部128と、鍵生成部129とを有する。入力部121aや出力部121bは、例えば、通信装置、入出力インタフェース、入出力ポートなどである。記憶部122は、例えば、RAM、レジスタ、キャッシュメモリ、ハードディスクなどから構成される記憶領域である。制御部123、判定部124、短期秘密鍵生成部125a、ハッシュ演算部125b、短期公開鍵生成部125c,125d、葉ノード復元値生成部126、親ノード復元値生成部127、演算部128、及び鍵生成部129は、特別なプログラムが読み込まれたCPUや集積回路である。なお、鍵交換装置120は、記憶部122の制御のもとで各処理を実行する。
【0057】
[鍵抽出装置140]
図4に例示するように、鍵抽出装置140は、入力部141と、出力部142と、記憶部143と、制御部144と、設定部145、146と、秘密値生成部147とを有する。設定部145は、情報設定部145aと多項式設定部145bとを含む。また、設定部146は、情報設定部146aと多項式設定部146bとを含む。入力部141や出力部142は、例えば、通信装置、入出力インタフェース、入出力ポートなどである。記憶部143は、例えば、RAM、レジスタ、キャッシュメモリ、ハードディスクなどから構成される記憶領域である。制御部144、設定部145、146、及び秘密値生成部147は、特別なプログラムが読み込まれたCPUや集積回路である。なお、鍵抽出装置140は、記憶部143の制御のもとで各処理を実行する。
【0058】
<公開パラメータ設定処理>
事前処理として、プロトコルIDであるΩ、セキュリティパラメータκ、巡回群G1, G2, GT、生成元g1, g2, gT、ハッシュ関数H, H'、Zp、「属性集合が木構造データを満たす」という命題を表す述語P、属性情報の集合ATT={1,...,J}などの公開パラメータが鍵交換装置110、120、鍵生成装置130、鍵抽出装置140に共有され、各装置で利用可能な状態とされる。
【0059】
<鍵生成処理>
鍵生成装置130(図1)は、ランダムにマスタ秘密鍵λ∈UZpを選択し、さらに、ランダムにt(j)∈UZpをすべての属性情報j∈ATTについて選択し、すべての属性情報j∈ATTについてのt(j)の集合をマスタ秘密鍵{t(j)}j∈ATTとする。また、鍵生成装置130は、マスタ公開鍵Λ=gTλ∈GTを生成し、さらに、すべての属性情報j∈ATTについてT(j)=g2t(j)∈G2を生成し、すべての属性情報j∈ATTについてのT(j)の集合をマスタ公開鍵{T(j)}j∈ATTとする。マスタ秘密鍵λ, {t(j)}j∈ATTは、鍵抽出装置140(図4)に安全に送られ、入力部141に入力され、記憶部143に格納される。一方、マスタ公開鍵Λ, {T(j)}j∈ATTは、鍵交換装置110,120(図2,3)に送られ、それぞれ、入力部111a,121aに入力されて記憶部112,122に格納される。
【0060】
<鍵抽出処理>
事前処理として、選択された属性情報att(uAL)∈ATTについての論理式を表す木構造データγAが鍵交換装置110の記憶部112に格納され、選択された属性情報att(uBL)∈ATTについての論理式を表す木構造データγBが鍵交換装置120の記憶部122に格納される。これらの論理式は事前に定められる。また、木構造データγABにはそれぞれに対応する論理式を特定する情報が付される。
【0061】
本形態の木構造データγAは、UA(UA≧2)個のノード情報N(uA)(uA∈{1,...,UA})を含み、ノード情報N(uA)の一部が親ノード情報N(uAP)(uAP∈{1,...,UA})であり、親ノード情報N(uAP)にはc(uAP)個の子ノード情報N(uAC)(uAC∈{1,...,UA})が対応し、子ノード情報N(uAC)のそれぞれには識別子index(uAC)が対応する。親ノード情報N(uAP)の何れか1つがルートノード情報N(uAR)(uAR∈{1,...,UA})であり、子ノード情報N(uAC)の少なくとも一部が葉ノード情報N(uAL)(uAL∈{1,...,UA})であり、葉ノード情報N(uAL)に対応するuALの集合がL(γA)である。親ノード情報N(uAP)のそれぞれには1≦k(uAP)≦c(uAP)を満たすしきい値k(uAP)が対応し、葉ノード情報N(uAL)にはしきい値k(uAL)=1が対応する。また、葉ノード情報N(uAL)にはそれぞれ1つの属性情報att(uAL)∈ATTが対応する。本形態の木構造データγAは、このようにノード情報N(uA)としきい値k(uA)と識別子index(uAC)と属性情報att(uAL)とが対応付けられたデータである。
【0062】
本形態の木構造データγBは、UB(UB≧2)個のノード情報N(uB)(uB∈{1,...,UB})を含み、ノード情報N(uB)の一部が親ノード情報N(uBP)(uBP∈{1,...,UB})であり、親ノード情報N(uBP)にはc(uBP)個の子ノード情報N(uBC)(uBC∈{1,...,UB})が対応し、子ノード情報N(uBC)のそれぞれには識別子index(uBC)が対応する。親ノード情報N(uBP)の何れか1つがルートノード情報N(uBR)(uBR∈{1,...,UB})であり、子ノード情報N(uBC)の少なくとも一部が葉ノード情報N(uBL)(uBL∈{1,...,UB})であり、葉ノード情報N(uBL)に対応するuBLの集合がL(γB)である。親ノード情報N(uBP)のそれぞれには1≦k(uBP)≦c(uBP)を満たすしきい値k(uBP)が対応し、葉ノード情報N(uBL)にはしきい値k(uBL)=1が対応する。また、葉ノード情報N(uBL)にはそれぞれ1つの属性情報att(uBL)∈ATTが対応する。本形態の木構造データγBは、このようにノード情報N(uB)としきい値k(uB)と識別子index(uBC)と属性情報att(uBL)とが対応付けられたデータである。
【0063】
[木構造データの具体例]
以下に、木構造データγAを例にとって木構造データの具体例を示す。ここでは木構造データγAの具体例を示すが、木構造データγBも同様に構成できる。
【0064】
《論理式(1∧2)∨4の例》
図8A及び図8Bに例示する木構造データγAは、属性情報1, 2, 4についての論理式(1∧2)∨4に対応する。この例の木構造データγAは、5個のノード情報N(uA)(uA∈{1,...,5})を含む。ノード情報N(uA)の一部が親ノード情報N(1),N(2)であり、親ノード情報N(1)にはc(1)=2個の子ノード情報N(2), N(5)が対応し、親ノード情報N(2)にはc(2)=2個の子ノード情報N(3), N(4)が対応する。子ノード情報N(2), N(5)のそれぞれには識別子index(2)=1, index(5)=2が対応し、子ノード情報N(3), N(4)のそれぞれには識別子index(3)=1, index(4)=2が対応する。親ノード情報N(1), N(2)の1つがルートノード情報N(1)であり、子ノード情報N(2), N(3), N(4), N(5)の一部が葉ノード情報N(3), N(4), N(5)である。葉ノード情報N(3), N(4), N(5)に対応するuAL=3, 4, 5の集合がL(γA)={3, 4, 5}である。親ノード情報N(1)には1≦k(1)≦2を満たすしきい値k(1)=1が対応し、親ノード情報N(2)には1≦k(2)≦2を満たすしきい値k(2)=2が対応し、葉ノード情報N(3), N(4), N(5)にはしきい値k(3)=k(4)=k(5)=1が対応する。葉ノード情報N(3), N(4), N(5)にはそれぞれ属性情報att(3)=1, att(4)=2, att(5)=4∈ATTが対応する。
【0065】
《論理式(1∧2)∨(2∧3)∨(1∧3)∨4の例》
図10A及び図10Bに例示する木構造データγAは、属性情報1, 2, 3, 4についての論理式(1∧2)∨(2∧3)∨(1∧3)∨4を表している。ここで、属性情報4は属性情報4の否定を表し、属性情報4は属性情報5として表現される。このように特定の属性情報の否定を表す属性情報をATTに追加することにより、否定を含む論理式を表現する木構造データも設定可能となる。
【0066】
図10及び図10Bの木構造データγAは、6個のノード情報N(uA)(uA∈{1,...,6})を含む。ノード情報N(uA)の一部が親ノード情報N(1),N(2)であり、親ノード情報N(1)にはc(1)=2個の子ノード情報N(2),N(6)が対応し、親ノード情報N(2)にはc(2)=3個の子ノード情報N(3), N(4), N(5)が対応する。子ノード情報N(2), N(6)のそれぞれには識別子index(2)=1, index(6)=2が対応し、子ノード情報N(3), N(4), N(5)のそれぞれには識別子index(3)=1, index(4)=2, index(5)=3が対応する。親ノード情報N(1),N(2)の1つがルートノード情報N(1)であり、子ノード情報N(2), N(3), N(4), N(5), N(6)の一部が葉ノード情報N(3), N(4), N(5), N(6)である。葉ノード情報N(3), N(4), N(5), N(6)に対応するuAL=3, 4, 5, 6の集合がL(γA)={3, 4, 5, 6}である。親ノード情報N(1)には1≦k(1)≦2を満たすしきい値k(1)=1が対応し、親ノード情報N(2)には1≦k(2)≦2を満たすしきい値k(2)=2が対応し、葉ノード情報N(3), N(4), N(5), N(6)にはしきい値k(3)=k(4)=k(5)=k(6)=1が対応する([木構造データの具体例]の説明終わり)。
【0067】
次に、木構造データγAに対応する鍵抽出処理を説明する。なお、以下では構造データγAに対応する鍵抽出処理のみを説明するが、木構造データγBに対応する鍵抽出処理も同様である。本形態の鍵抽出処理では、まず、マスタ秘密鍵λをルートノード情報N(uAR)に対応する情報q(uAR, η(uAR))として設定する。その後、親ノード情報N(uAP)に対応する情報q(uAP, η(uAP))をk(uAP)-out-of-c(uAP)しきい値秘密分散して得られる分散情報を当該親ノード情報N(uAP)に対応する子ノード情報N(uAC)に対応する情報q(uAC, η(uAC))として設定する処理を再帰的に繰り返す。その後、葉ノード情報N(uAL)に対応する属性情報att(uAL)∈ATTに対し、秘密値D(uAL)=g1q(uAL, η(uAL))/t(att(uAL))∈G1を生成し、秘密値D(uAL)(uAL∈L(γA))の集合である長期秘密鍵DA={D(uAL)}uAL∈L(γA)を出力する。これらの具体的な処理手順に限定はない。以下に図5A及び図5Bを用い、木構造データγAに対応する鍵抽出処理の一例を示す。
【0068】
まず、鍵交換装置110(図2)の記憶部112から読み出された木構造データγAが出力部111bから出力される。木構造データγAは、ネットワーク等を経由して鍵抽出装置140(図4)の入力部141に入力され、記憶部143に格納される(ステップS1411)。
【0069】
次に、設定部145がマスタ秘密鍵λを木構造データγAのルートノード情報N(uAR)に対応する情報q(uAR, 0)として設定する。本形態では、まず、設定部145の情報設定部145aが、記憶部143から読み出したマスタ秘密鍵λをルートノード情報N(uAR)に対する情報q(uAR, 0)として設定し、当該情報q(uAR, 0)を記憶部143に格納する(ステップS1412)。次に、設定部145の多項式設定部145bが、記憶部143から情報q(uAR, 0)=λとルートノード情報N(uAR)に対応するしきい値k(uAR)とを読み込み、定数項(α=0であるときの関数値)がq(uAR, 0)=λである不定元αについての次数d(uAR)=k(uAR)-1の多項式q(uAR, α)をルートノード情報N(uAR)に対して設定する。例えば、多項式設定部145bは、d(uAR)個の互いに異なる任意点(α1, β)(α1, βUZp,α1≠0)をそれぞれランダムに選択し、それらを通る定数項q(uAR, 0)=λの多項式q(uAR, α)を特定する。これによってルートノード情報N(uAR)に対応する多項式q(uAR, α)が一意に定まる。定められた多項式q(uAR, α)は記憶部143に格納される(ステップS1413)。
【0070】
次に、設定部146が、親ノード情報N(uAP)に対応する情報q(uAP, 0)をk(uAP)-out-of-c(uAP)しきい値秘密分散して得られる分散情報を、当該親ノード情報N(uAP)に対応する子ノード情報N(uAC)に対応する情報q(uAC, 0)として設定する。本形態の場合、設定部146がuAPをuAR(uAP←uAR)とおき、その場合の親ノード情報N(uAP)を処理対象として図5Bのループ処理を実行する(ステップS1414)。
【0071】
[図5Bのループ処理]
図5Bのループ処理では、処理対象の親ノード情報N(uAP)に対応するすべての子ノード情報N(uAC)に対して以下のステップS1421とS1422の処理を実行する。
【0072】
ステップS1421では、設定部146の情報設定部146aが、記憶部143から多項式q(uAP, α)と、処理対象の親ノード情報N(uAP)の各子ノード情報N(uAC)に対応する識別子index(uAC)とを読み出す。情報設定部146aは、処理対象の親ノード情報N(uAP)に対応する多項式q(uAP, α)に、当該親ノード情報N(uAP)に対応する子ノード情報N(uAC)に対応する識別子index(uAC)を代入して得られるq(uAP, index(uAC))を、当該子ノード情報N(uAC)に対応する情報q(uAC, 0)として設定する。各子ノード情報N(uAC)に対応する情報q(uAC, 0)は、記憶部143に格納される(ステップS1421)。
【0073】
ステップS1422では、設定部146の多項式設定部146bが、記憶部143からステップS1421で設定された情報q(uAC, 0)を読み出し、当該情報q(uAC, 0)が設定された子ノード情報N(uAC)に対し、定数項(α=0であるときの関数値)をq(uAC, 0)=q(uAP, index(uAC))とする不定元αについての次数d(uAC)=k(uAC)-1の多項式q(uAC, α)を設定する。例えば、多項式設定部146bは、d(uAC)個の互いに異なる任意点(α2, β2)(α2, β2UZp,α2≠0)をそれぞれランダムに選択し、それらを通る定数項q(uAC, 0)の多項式q(uAC, α)を特定する。定められた多項式q(uAC, α)は記憶部143に格納される(ステップS1422)([図5Bのループ処理]の説明終わり)。
【0074】
ステップS1414の処理が終了すると、次に、設定部146は、多項式q(uAC, α)が設定された子ノード情報N(uAC)に対応するさらなる子ノード情報が存在するか否かを判定する(ステップS1415)。ここで、さらなる子ノード情報が存在すると判定された場合、設定部146は、さらなる子ノード情報が存在すると判定されたすべての子ノード情報N(uAC)について、それぞれ、uAPをuAC(uAP←uAC)とおき、その場合のすべての親ノード情報N(uAP)を処理対象として図5Bのループ処理をそれぞれ実行し、その後、ステップS1415に戻る(ステップS1416)。
【0075】
一方、ステップS1415で、さらなる子ノード情報が存在しないと判定された場合、秘密値生成部147が、記憶部143からすべての葉ノード情報N(uAL)に対応する属性情報att(uAL)∈ATT及び情報q(uAL, 0)をそれぞれ読み出し、各秘密値
D(uAL)=g1q(uAL, 0)/t(att(uAL))∈G1 …(6)
を生成する。生成された秘密値D(uAL)(uAL∈L(γA))の集合である長期秘密鍵DA={D(uAL)}uAL∈L(γA)が記憶部143に格納される(ステップS1417)。長期秘密鍵DA={D(uAL)}uAL∈L(γA)は出力部142に送られ、そこから鍵交換装置110(図2)に安全に送られ、鍵交換装置110の入力部111aに入力され、記憶部112に格納される(ステップS1418)。
【0076】
これにより、木構造データγAのノード情報N(uA)のそれぞれに不定元αについての次数d(uA)=k(uA)-1の多項式q(uA, α)が対応し、その結果、ノード情報N(uA)のそれぞれには情報(定数項)q(uA, 0)が対応する。ルートノード情報N(uAR)に対応する情報q(uAR, 0)はマスタ秘密鍵λであり、親ノード情報N(uAP)に対応する情報q(uAP, 0)をk(uAP)-out-of-c(uAP)しきい値秘密分散して得られる分散情報が当該親ノード情報N(uAP)に対応する子ノード情報N(uAC)に対応する情報q(uAC, 0)であり、葉ノード情報N(uAL)にはそれぞれ秘密値D(uAL)=g1q(uAL, 0)/t(att(uAL))∈G1が対応し、秘密値D(uAL)(uAL∈L(γA))の集合が長期秘密鍵DA={D(uAL)}uAL∈L(γA)となる。
【0077】
例えば、前述した図8A及び図8Bに例示する木構造データγA(論理式(1∧2)∨4の例)の場合、図9A及び図9Bに例示するように、木構造データγAのノード情報N(uA)(uA=1,...,5)のそれぞれに不定元αについての次数d(uA)=k(uA)-1の多項式q(uA, α)が対応し、その結果、ノード情報N(uA)のそれぞれには情報q(uA, 0)が対応する。ルートノード情報N(1)に対応する情報q(1, 0)はマスタ秘密鍵λである。親ノード情報(ルートノード情報)N(1)に対応する情報q(1, 0)をk(1)-out-of-c(1)(1-out-of-2)しきい値秘密分散して得られる分散情報である情報q(1,1), q(1,2)が、それぞれ子ノード情報N(2),N(5)に対応する情報q(2,0), q(5,0)である。また、親ノード情報N(2)に対応する情報q(2, 0)をk(2)-out-of-c(2)(2-out-of-2)しきい値秘密分散して得られる分散情報である情報q(2,1), q(2,2)が、それぞれ子ノード情報N(3), N(4)に対応する情報q(3,0), q(4,0)である。また、葉ノード情報N(3), N(4), N(5)にはそれぞれ秘密値D(3)=g1q(3, 0)/t(1), D(4)=g1q(4, 0)/t(2), D(5)=g1q(5, 0)/t(4) ∈G1が対応し、D(3), D(4), D(5)の集合が長期秘密鍵DAとなる。
【0078】
また、例えば、前述した図10A及び図10Bに例示する木構造データγA(論理式(1∧2)∨(2∧3)∨(1∧3)∨4の例)の場合、図11A及び図11Bに例示するように、木構造データγAのノード情報N(uA)(uA=1,...,6)のそれぞれに不定元αについての次数d(uA)=k(uA)-1の多項式q(uA, α)が対応し、その結果、ノード情報N(uA)のそれぞれには情報q(uA, 0)が対応する。ルートノード情報N(1)に対応する情報q(1, 0)はマスタ秘密鍵λである。親ノード情報(ルートノード情報)N(1)に対応する情報q(1, 0)をk(1)-out-of-c(1)(1-out-of-2)しきい値秘密分散して得られる分散情報である情報q(1,1), q(1,2)が、それぞれ子ノード情報N(2),N(6)に対応する情報q(2,0), q(6,0)である。また、親ノード情報N(2)に対応する情報q(2, 0)をk(2)-out-of-c(2)(2-out-of-3)しきい値秘密分散して得られる分散情報である情報q(2,1), q(2,2), q(2,3)が、それぞれ子ノード情報N(3), N(4) , N(5)に対応する情報q(3,0), q(4,0), q(5,0)である。また、葉ノード情報N(3), N(4), N(5) ,N(6)にはそれぞれ秘密値D(3)=g1q(3, 0)/t(1), D(4)=g1q(4, 0)/t(2), D(5)=g1q(5, 0)/t(3), D(6)=g1q(6, 0)/t(5) ∈G1が対応し、D(3), D(4), D(5), D(6)の集合が長期秘密鍵DAとなる。
【0079】
<鍵交換処理>
次に、鍵交換装置110の処理を表す図6と鍵交換装置120の処理を表す図7とを用い、本形態の鍵交換処理を説明する。なお、本形態では、鍵交換装置110がイニシエータとして機能し、鍵交換装置120がレスポンダとして機能する例を示す。
【0080】
まず、鍵交換装置110(図2)の入力部111aに属性情報の集合ATTの部分集合である属性集合δA⊂ATTが入力される。属性集合δAは任意に選択されたものである。例えば、属性集合δAが鍵交換装置120の木構造データを満たすならば認証成功となって鍵交換装置120とセッション鍵を共有できることを期待して任意に選択された属性集合δAが入力部111aに入力される。属性集合δAは記憶部112に格納される(図6/ステップS1111)。
【0081】
次に、短期秘密鍵生成部115aが短期秘密鍵sAUZpを任意に生成し、ハッシュ演算部115bに送る(ステップS1112)。ハッシュ演算部115bは、記憶部112から長期秘密鍵DAを読み出し、ハッシュ値(長期秘密鍵DAと短期秘密鍵sAとを含む値の像)
χ=H'(DA, sA)∈Zp …(7)
を生成して、ハッシュ値χを記憶部112に格納する(ステップS1113)。なお、H'(DA, sA)は、長期秘密鍵DAと短期秘密鍵sAとに対応するバイナリ系列のハッシュ値を表す。長期秘密鍵DAと短期秘密鍵sAとの組をバイナリ系列に写す関数に限定はないが、鍵生成装置110,120で同一の関数を用いる必要がある。長期秘密鍵DAと短期秘密鍵sAとに対応するバイナリ系列の例は、長期秘密鍵DAと短期秘密鍵sAとのビット結合である。
【0082】
次に、短期公開鍵生成部115dが、記憶部112から読み出したハッシュ値χを用い、元
X=g1χ∈G1 …(8)
を生成して記憶部112に格納する(ステップS1114)。また、短期公開鍵生成部115cは、記憶部112に格納されたマスタ公開鍵{T(j)}j∈ATTから属性集合δAに対応するT(wA)(wA∈δA)の集合とハッシュ値χとを読み出す。短期公開鍵生成部115cは、ハッシュ値χに対する元
T(wA)χ∈G2(wA∈δA) …(9)
の集合である
TA={T(wA)χ}wA∈δA …(10)
を生成して記憶部112に格納する(ステップS1115)。本形態では、元Xと集合TAとが短期公開鍵となる。
【0083】
記憶部112に格納された属性集合δAと短期公開鍵X, TAとは出力部111bに入力され、出力部111bは、属性集合δAと短期公開鍵X, TAとを鍵交換装置120に対して出力する(ステップS1116)。
【0084】
属性集合δAと短期公開鍵X, TAとは、鍵交換装置120(図3)の入力部121aに入力され、記憶部122に格納される(図7/ステップS1211)。すると、判定部124が、記憶部122に格納された属性集合δAと木構造データγBに対応する論理式を特定する情報とを読み出し、属性集合δAが木構造データγBを満たすか否かを判定する(ステップS1212)。ここで、属性集合δAが木構造データγBを満たさないと判定された場合、処理がエラー終了する。一方、属性集合δAが木構造データγBを満たすと判定された場合、判定部124が、記憶部122に格納されたマスタ公開鍵{T(j)}j∈ATTと短期公開鍵X, TA={T(wA)χ}wA∈δAと属性集合δAとを読み出し、属性集合δAに属するすべての属性情報wA∈δAについて、
e(X, T(wA))=e(g1,T(wA)χ) …(11)
が成り立つか否かを判定する(ステップS1213)。ここで、少なくとも一部の属性情報wA∈δAについて式(11)が成り立たないと判定された場合、処理がエラー終了する。一方、すべての属性情報wA∈δAについて式(11)が成り立つと判定された場合、入力部121aが属性情報の集合ATTの部分集合である属性集合δB⊂ATTの入力を受け付ける。属性集合δAと同様、属性集合δBは任意に選択されたものである。入力された属性集合δBは記憶部122に格納される(ステップS1214)。
【0085】
次に、短期秘密鍵生成部125aが短期秘密鍵sBUZpを任意に生成し、ハッシュ演算部125bに送る(ステップS1215)。ハッシュ演算部125bは、記憶部122から長期秘密鍵DBを読み出し、ハッシュ値(長期秘密鍵DBと短期秘密鍵sBとを含む値の像)
υ=H'(DB, sB)∈Zp …(12)
を生成して、ハッシュ値υを記憶部122に格納する(ステップS1216)。なお、H'(DB, sB)は、長期秘密鍵DBと短期秘密鍵sBとに対応するバイナリ系列のハッシュ値を表す。長期秘密鍵DBと短期秘密鍵sBとの組をバイナリ系列に写す関数に限定はないが、鍵生成装置110,120で同一の関数を用いる必要がある。長期秘密鍵DBと短期秘密鍵sBとに対応するバイナリ系列の例は、長期秘密鍵DBと短期秘密鍵sBとのビット結合である。
【0086】
次に、短期公開鍵生成部125dが、記憶部122から読み出したハッシュ値υを用い、元
Y=g1υ∈G1 …(13)
を生成して記憶部122に格納する(ステップS1217)。また、短期公開鍵生成部125cは、記憶部122に格納されたマスタ公開鍵{T(j)}j∈ATTから属性集合δBに対応するT(wB)(wB∈δB)の集合とハッシュ値υとを読み出す。短期公開鍵生成部125cは、ハッシュ値υに対する元
T(wB)υ∈G2 (wB∈δB) …(14)
の集合である
TB={T(wB)υ}wB∈δB …(15)
を生成して記憶部122に格納する(ステップS1218)。本形態では、元Yと集合TBとが短期公開鍵となる。
【0087】
記憶部122に格納された属性集合δBと短期公開鍵Y, TBとは出力部121bに入力され、出力部121bは、属性集合δBと短期公開鍵Y, TBとを鍵交換装置110に対して出力する(ステップS1219)。
【0088】
また、葉ノード復元値生成部126が、記憶部122に格納された属性集合δAと木構造データγBとを参照し、属性集合δAに属する属性情報att(uBL)∈δAに対応する木構造データγBの葉ノード情報N(uBL)に対応する秘密値D(uBL)=g1q(uBL, η(uBL))/t(att(uBL))∈G1を記憶部122に格納された長期秘密鍵DBから抽出する。さらに、葉ノード復元値生成部126は、当該葉ノード情報N(uBL)に対応する属性情報att(uBL)∈ATTに対応する元T(att(uBL))χを短期公開鍵TAから抽出する。葉ノード復元値生成部126は、当該葉ノード情報N(uBL)ごとに、秘密値D(uBL)と元T(att(uBL))χとを作用させ、各葉ノード情報N(uBL)に対する各復元値
e(D(uBL), T(att(uBL))χ)=gTχ・q(uBL, 0)∈GT …(16)
を生成して記憶部122に格納する(ステップS1220)。
【0089】
次に、判定部124は、記憶部122に格納された復元値と木構造データγBとを参照し、自らに対応する子ノード情報N(uBC)のうち復元値gTχ・q(uBC, 0)∈GTが生成されたものの合計数が自らに対応するしきい値k(uBP)以上となる親ノード情報N(uBP)が存在されたか否かを判定する。すなわち、判定部124は、親ノード情報N(uBP)に対応する子ノード情報N(uBC)のうち復元値gTχ・q(uBC, 0)∈GTが生成されたもののuBCの集合をS(uBP)'とした場合に、
|S(uBP)'|≧k(uBP) …(17)
を満たす親ノード情報N(uBP)が存在するか否かを判定する(ステップS1221)。ただし、|S(uBP)'|は集合S(uBP)'の要素数を表す。ここで、式(17)を満たす親ノード情報N(uBP)が存在しないと判定された場合、処理がエラー終了する。一方、式(17)を満たす親ノード情報N(uBP)が存在すると判定された場合、親ノード復元値生成部127は、式(17)を満たす親ノード情報N(uBP)に対応するしきい値k(uBP)以上の子ノード情報N(uBC)の復元値gTχ・q(uBC, 0)∈GTを、k(uBP)-out-of-c(uBP)しきい値秘密分散法の分散情報として用い、当該分散情報に対応する復元値
gTχ・q(uBP, 0)∈GT …(18)
を生成して記憶部122に格納する。例えば、親ノード復元値生成部127は、集合S(uBP)'の部分集合であるk(uBP)個のuBCからなる集合S(uBP)⊂S(uBP)'を選択し、集合S(uBP)の要素であるk(uBP)個のuBC∈S(uBP)にそれぞれ対応する復元値gTχ・q(uBC, 0)を用い、ラグランジェの補間公式(式(3),(4))に従って、
【0090】
【数2】

を計算する。ただし、q(uBC,0)=q(uBP,index(uBC))を満たす。この処理は、式(17)を満たすすべての親ノード情報N(uBP)に対して実行される。これにより、式(17)を満たすすべての親ノード情報N(uBP)に対応する復元値gTχ・q(uBP, 0)がそれぞれ得られる(ステップS1222)。
【0091】
次に、判定部124は、ステップS1222においてルートノード情報N(uAR)に対応する復元値gTχ・q(uAR, 0)が得られたか否かを判定する(ステップS1223)。ここで、ルートノード情報N(uAR)に対応する復元値gTχ・q(uAR, 0)が得られていないと判定された場合、ステップS1221の処理に戻る。一方、ルートノード情報N(uAR)に対応する復元値gTχ・q(uAR, 0)が得られたと判定された場合、演算部128が記憶部122からgTχ・q(uAR, 0)=gTχ・λ∈GTとマスタ公開鍵Λと短期公開鍵Xとハッシュ値υとを読み込み、
σ1=gTχ・λ∈GT …(20)
σ2υ=gTυ・λ∈GT …(21)
σ3=Xυ∈G1 …(22)
を生成する(ステップS1224)。生成されたσ1, σ2, σ3は鍵生成部129に送られる。鍵生成部129は記憶部122から短期公開鍵X, Y, TA, TBと属性集合δAとδBとを読み込み、さらに述語P及びプロトコルIDであるΩを用い、セッション鍵
K=H(σ1, σ2, σ3, Ω, P, (δA, X, TA), (δB, Y, TB)) …(23)
を生成して出力する。なお、H(σ1, σ2, σ3, Ω, P, (δA, X, TA), (δB, Y, TB))は、σ1, σ2, σ3, Ω, P, (δA, X, TA), (δB, Y, TB)に対応するバイナリ系列のハッシュ値を表す。これらの情報の組をバイナリ系列に写す関数に限定はないが、鍵生成装置110,120で同一の関数を用いる必要がある(ステップS1225)。
【0092】
一方、ステップS1219で鍵交換装置120から出力された属性集合δBと短期公開鍵Y, TBとは、鍵交換装置110(図2)の入力部111aに入力され、記憶部112に格納される(図6/ステップS1117)。すると、判定部114が、記憶部112に格納された属性集合δBと木構造データγAに対応する論理式を特定する情報とを読み出し、属性集合δBが木構造データγAを満たすか否かを判定する(ステップS1118)。ここで、属性集合δBが木構造データγAを満たさないと判定された場合、処理がエラー終了する。一方、属性集合δBが木構造データγAを満たすと判定された場合、判定部114が、記憶部112に格納されたマスタ公開鍵{T(j)}j∈ATTと短期公開鍵Y, TB={T(wB)υ}wB∈δBと属性集合δBとを読み出し、属性集合δBに属するすべての属性情報wB∈δBについて、
e(Y, T(wB))=e(g1,T(wB)υ) …(24)
が成り立つか否かを判定する(ステップS1119)。ここで、少なくとも一部の属性情報wB∈δBについて式(24)が成り立たないと判定された場合、処理がエラー終了する。一方、すべての属性情報wB∈δBについて式(24)が成り立つと判定された場合、葉ノード復元値生成部116が、記憶部112に格納された属性集合δBと木構造データγAとを参照し、属性集合δBに属する属性情報att(uAL)∈δBに対応する木構造データγAの葉ノード情報N(uAL)に対応する秘密値D(uAL)=g1q(uAL, η(uAL))/t(att(uAL))∈G1を記憶部112に格納された長期秘密鍵DAから抽出する。さらに、葉ノード復元値生成部116は、当該葉ノード情報N(uAL)に対応する属性情報att(uAL)∈ATTに対応する元T(att(uAL))υを短期公開鍵TBから抽出する。葉ノード復元値生成部116は、当該葉ノード情報N(uAL)ごとに、秘密値D(uAL)と元T(att(uAL))υとを作用させ、各葉ノード情報N(uAL)に対する各復元値
e(D(uAL), T(att(uAL))υ)=gTυ・q(uAL, 0)∈GT …(25)
を生成して記憶部112に格納する(ステップS1120)。
【0093】
次に、判定部114は、記憶部112に格納された復元値と木構造データγAとを参照し、自らに対応する子ノード情報N(uAC)のうち復元値gTυ・q(uAC, 0)∈GTが生成されたものの合計数が自らに対応するしきい値k(uAP)以上となる親ノード情報N(uAP)が存在されたか否かを判定する。すなわち、判定部114は、親ノード情報N(uAP)に対応する子ノード情報N(uAC)のうち復元値gTυ・q(uAC, 0)∈GTが生成されたもののuACの集合をS(uAP)'とした場合に、
|S(uAP)'|≧k(uAP) …(26)
を満たす親ノード情報N(uAP)が存在するか否かを判定する(ステップS1121)。ただし、|S(uAP)'|は集合S(uAP)'の要素数を表す。ここで、式(26)を満たす親ノード情報N(uAP)が存在しないと判定された場合、処理がエラー終了する。一方、式(26)を満たす親ノード情報N(uAP)が存在すると判定された場合、親ノード復元値生成部117は、式(26)を満たす親ノード情報N(uAP)に対応するしきい値k(uAP)以上の子ノード情報N(uAC)の復元値gTυ・q(uAC, 0)∈GTをk(uAP)-out-of-c(uAP)しきい値秘密分散法の分散情報として用い、当該分散情報に対応する復元値
gTυ・q(uAP, 0)∈GT …(27)
を生成して記憶部112に格納する。例えば、親ノード復元値生成部117は、集合S(uAP)'の部分集合であるk(uAP)個のuACからなる集合S(uAP)⊂S(uAP)'を選択し、集合S(uAP)の要素であるk(uAP)個のuAC∈S(uAP)にそれぞれ対応する復元値gTυ・q(uAC, 0)を用い、ラグランジェの補間公式(式(3),(4))に従って、
【0094】
【数3】

を計算する。ただし、q(uAC,0)=q(uAP,index(uAC))を満たす。この処理は、式(26)を満たすすべての親ノード情報N(uAP)に対して実行される。これにより、式(26)を満たすすべての親ノード情報N(uAP)に対応する復元値gTυ・q(uAP, 0)がそれぞれ得られる(ステップS1122)。
【0095】
次に、判定部114は、ステップS1122においてルートノード情報N(uBR)に対応する復元値gTυ・q(uBR, 0)が得られたか否かを判定する(ステップS1123)。ここで、ルートノード情報N(uBR)に対応する復元値gTυ・q(uBR, 0)が得られていないと判定された場合、ステップS1121の処理に戻る。一方、ルートノード情報N(uBR)に対応する復元値gTυ・q(uBR, 0)が得られたと判定された場合、演算部118が記憶部112からgTυ・q(uBR, 0)=gTυ・λ∈GTとマスタ公開鍵Λと短期公開鍵Xとハッシュ値υとを読み込み、
σ1χ=gTχ・λ∈GT …(29)
σ2=gTυ・λ∈GT …(30)
σ3=Yχ∈G1 …(31)
を生成する(ステップS1124)。生成されたσ1, σ2, σ3は鍵生成部119に送られる。鍵生成部119は記憶部112から短期公開鍵X, Y, TA, TBと属性集合δAとδBとを読み込み、さらに述語P及びプロトコルIDであるΩを用い、セッション鍵
K=H(σ1, σ2, σ3, Ω, P, (δA, X, TA), (δB, Y, TB)) …(32)
を生成して出力する。なお、H(σ1, σ2, σ3, Ω, P, (δA, X, TA), (δB, Y, TB))は、σ1, σ2, σ3, Ω, P, (δA, X, TA), (δB, Y, TB)に対応するバイナリ系列のハッシュ値を表す。これらの情報の組をバイナリ系列に写す関数に限定はないが、鍵生成装置110,120で同一の関数を用いる必要がある(ステップS1125)。
【0096】
ここで、鍵交換装置110,120でそれぞれ生成されたσ1, σ2, σ3は、
σ1=gTχ・λ∈GT …(33)
σ2=gTυ・λ∈GT …(34)
σ3=g1χ・υ∈G1 …(35)
となる。よって、P(δB, γA)=1かつP(δA, γB)=1の場合に鍵交換装置110,120は同一のセッション鍵Kを共有できる。また、前述のように本形態ではeCKモデルでの安全性が確保される。
【0097】
〔変形例等〕
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態では、σ1, σ2, σ3に対応するセッション鍵Kが生成される例を示したが、鍵交換装置110,120がσ3を生成することなく、σ1, σ2に対応するセッション鍵Kを生成する形態でもよい。この場合、元X, Yの生成は不要となり、鍵交換装置110が生成する短期公開鍵は集合TAであり、鍵交換装置120が生成する短期公開鍵は集合TBとなる。
【0098】
また、上記の実施形態では
K=H(σ1, σ2, σ3, Ω, P, (δA, X, TA), (δB, Y, TB))
をセッション鍵としたが、σ1, σ2, σ3, Ω, P, (δA, X, TA), (δB, Y, TB)と所定の付加情報とに依存するバイナリ系列のハッシュ値をセッション鍵としてもよい。また、σ1, σ2と所定の付加情報とに依存するバイナリ系列のハッシュ値をセッション鍵としてもよく、σ1, σ2, σ3と所定の付加情報とに依存するバイナリ系列のハッシュ値をセッション鍵としてもよい。付加情報の例は巡回群G1, G2, GTを特定する情報、生成元g1, g2, gTを特定する情報、位数pを特定する情報などである。ただし、鍵交換装置110,120でセッション鍵を生成する際の付加情報は互いに同一である必要がある。
【0099】
また、上記の実施形態で用いたハッシュ関数Hの代わりに、ハッシュ関数Hと定義域と地域とが同一のその他の関数(共通鍵暗号関数など)を用いてもよい。同様に、ハッシュ関数H'の代わりに、ハッシュ関数H'と定義域と地域とが同一のその他の関数を用いてもよい。
【0100】
また、実施形態では、ステップS1118,S1119の判定でyesとなった場合にのみステップS1120以降の処理が実行され、ステップS1212,S1213の判定でyesとなった場合にのみステップS1214以降の処理が実行されることとした。しかし、ステップS1118,S1119やステップS1212,S1213の判定を行うことなく、ステップS1120以降の処理やステップS1214以降の処理が実行されてもよい。
【0101】
また、木構造データγAやγBが鍵交換装置110,120内に格納されるのではなく、木構造データγAやγBが含むしきい値などの情報が必要となるたびに、それらの情報が鍵交換装置110,120に与えられる構成であってもよい。さらに、しきい値秘密分散法に限定はなく、公知のどのような方法を用いてもよい。また、環Zpでの演算の代わりに整数での演算が行われてもよい。
【0102】
また、上述の各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【0103】
また、上述の構成をコンピュータによって実現する場合、各装置が有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0104】
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。
【0105】
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
【0106】
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記録装置に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
【0107】
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、本装置を構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 鍵交換システム
110,120 鍵交換装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1鍵交換装置と第2鍵交換装置とを有し、
巡回群G1, G2, GTの生成元がそれぞれg1, g2, gTであり、直積空間G1×G2の元を巡回群GTに写す双線形写像がe: G1×G2→GTであり、属性情報jの集合がATTであり、マスタ秘密鍵がλ及びt(j)(j∈ATT)であり、マスタ公開鍵がΛ=gTλ∈GT及びT(j)=g2t(j)∈G2であり、
UA(UA≧2)個のノード情報N(uA)(uA∈{1,...,UA})を含む木構造データγAが前記第1鍵交換装置に対応し、前記ノード情報N(uA)の一部が親ノード情報N(uAP)(uAP∈{1,...,UA})であり、前記親ノード情報N(uAP)にはc(uAP)個の子ノード情報N(uAC)(uAC∈{1,...,UA})が対応し、前記親ノード情報N(uAP)の何れか1つがルートノード情報N(uAR)(uAR∈{1,...,UA})であり、前記子ノード情報N(uAC)の少なくとも一部が葉ノード情報N(uAL)(uAL∈{1,...,UA})であり、前記葉ノード情報N(uAL)に対応するuALの集合がL(γA)であり、前記親ノード情報N(uAP)のそれぞれには1≦k(uAP)≦c(uAP)を満たすしきい値k(uAP)が対応し、前記ノード情報N(uA)のそれぞれには情報q(uA, η(uA))が対応し、前記ルートノード情報N(uAR)に対応する情報q(uAR, η(uAR))が前記マスタ秘密鍵λであり、前記親ノード情報N(uAP)に対応する情報q(uAP, η(uAP))をk(uAP)-out-of-c(uAP)しきい値秘密分散して得られる分散情報が当該親ノード情報N(uAP)に対応する前記子ノード情報N(uAC)に対応する情報q(uAC, η(uAC))であり、前記葉ノード情報N(uAL)にはそれぞれ属性情報att(uAL)∈ATTと秘密値D(uAL)=g1q(uAL, η(uAL))/t(att(uAL))∈G1とが対応し、前記秘密値D(uAL)(uAL∈L(γA))の集合が前記第1鍵交換装置の長期秘密鍵DA={D(uAL)}uAL∈L(γA)であり、
UB(UB≧2)個のノード情報N(uB)(uB∈{1,...,UB})を含む木構造データγBが前記第2鍵交換装置に対応し、前記ノード情報N(uB)の一部が親ノード情報N(uBP)(uBP∈{1,...,UB})であり、前記親ノード情報N(uBP)にはc(uBP)個の子ノード情報N(uBC)(uBC∈{1,...,UB})が対応し、前記親ノード情報N(uBP)の何れか1つがルートノード情報N(uBR)(uBR∈{1,...,UB})であり、前記子ノード情報N(uBC)の少なくとも一部が葉ノード情報N(uBL)(uBL∈{1,...,UB})であり、前記葉ノード情報N(uBL)に対応するuBLの集合がL(γB)であり、前記親ノード情報N(uBP)のそれぞれには1≦k(uBP)≦c(uBP)を満たすしきい値k(uBP) が対応し、前記ノード情報N(uB)のそれぞれには情報q(uB, η(uB))が対応し、前記ルートノード情報N(uBR)に対応する情報q(uBR, η(uBR))が前記マスタ秘密鍵λであり、前記親ノード情報N(uBP)に対応する情報q(uBP, η(uBP))をk(uBP)-out-of-c(uBP)しきい値秘密分散して得られる分散情報が当該親ノード情報N(uBP)に対応する前記子ノード情報N(uBC)に対応する情報q(uBC, η(uBC))であり、前記葉ノード情報N(uBL)にはそれぞれ属性情報att(uBL)∈ATTと秘密値D(uBL)=g1q(uBL, η(uBL))/t(att(uBL))∈G1とが対応し、前記秘密値D(uBL)(uBL∈L(γB))の集合が前記第2鍵交換装置の長期秘密鍵DB={D(uBL)}uBL∈L(γB)であり、
短期秘密鍵sAを任意に生成する第1短期秘密鍵生成部と、
前記属性情報の集合ATTの部分集合である属性集合δA⊂ATTと前記長期秘密鍵DAと前記短期秘密鍵sAとを用い、前記長期秘密鍵DAと前記短期秘密鍵sAとを含む値の像χに対する元T(wA)χ∈G2(wA∈δA)の集合であるTA={T(wA)χ}wA∈δAを含む第1短期公開鍵を生成する第1短期公開鍵生成部と、
前記属性集合δAと前記第1短期公開鍵とを前記第2鍵交換装置に対して出力する第1出力部と、を有し、
前記第2鍵交換装置は、
短期秘密鍵sBを任意に生成する第2短期秘密鍵生成部と、
前記属性情報の集合ATTの部分集合である属性集合δB⊂ATTと前記長期秘密鍵DBと前記短期秘密鍵sBとを用い、前記長期秘密鍵DBと前記短期秘密鍵sBとを含む値の像υに対する元T(wB)υ∈G2(wB∈δB)の集合であるTB={T(wB)υ}wB∈δBを含む第2短期公開鍵を生成する第2短期公開鍵生成部と、
前記属性集合δBと前記第2短期公開鍵とを前記第1鍵交換装置に対して出力する第2出力部と、を有し、
前記第1鍵交換装置は、
前記属性集合δBと前記第2短期公開鍵との入力を受け付ける第1入力部と、
前記属性集合δBに属する前記属性情報att(uAL)∈δBに対応する前記葉ノード情報N(uAL)に対応する秘密値D(uAL)=g1q(uAL, η(uAL))/t(att(uAL))∈G1と前記第2短期公開鍵が含む元T(att(uAL))υ∈G2とに対し、前記双線形写像eを作用させ、前記葉ノード情報N(uAL)に対して復元値e(D(uAL), T(att(uAL))υ)=gTυ・q(uAL, η(uAL))∈GTを生成する第1葉ノード復元値生成部と、
自らに対応する前記子ノード情報N(uAC)のうち復元値gTυ・q(uAC, η(uAC))∈GTが生成されたものの合計数が自らに対応する前記しきい値k(uAP)以上となる前記親ノード情報N(uAP)に対し、当該しきい値k(uAP)以上の前記復元値gTυ・q(uAC, η(uAC))∈GTをk(uAP)-out-of-c(uAP)しきい値秘密分散法の分散情報として用い、当該分散情報に対応する復元値gTυ・q(uAP, η(uAP))∈GTを生成する第1親ノード復元値生成部と、
前記第1親ノード復元値生成部が、前記ルートノード情報N(uAR)に対する復元値gTυ・q(uAR, η(uAR))=gTυ・λ∈GTを生成した場合、Λχ=gTχ・λ∈GTとgTυ・λ∈GTとを含む値の像を第1セッション鍵として出力する第1鍵生成部と、を有し、
前記第2鍵交換装置は、
前記属性集合δAと前記第1短期公開鍵との入力を受け付ける第2入力部と、
前記属性集合δAに属する前記属性情報att(uBL)∈δAに対応する前記葉ノード情報N(uBL)に対応する秘密値D(uBL)=g1q(uBL, η(uBL))/t(att(uBL))∈G1と前記第1短期公開鍵が含む元T(att(uBL))χ∈G2とに対し、前記双線形写像eを作用させ、前記葉ノード情報N(uBL)に対して復元値e(D(uBL), T(att(uBL))χ)=gTχ・q(uBL, η(uBL))∈GTを生成する第2葉ノード復元値生成部と、
自らに対応する前記子ノード情報N(uBC)のうち復元値gTχ・q(uBC, η(uBC))∈GTが生成されたものの合計数が自らに対応する前記しきい値k(uBP)以上となる前記親ノード情報N(uBP)に対し、当該しきい値k(uBP)以上の前記復元値gTχ・q(uBC, η(uBC))∈GTをk(uBP)-out-of-c(uBP)しきい値秘密分散法の分散情報として用い、当該分散情報に対応する復元値gTχ・q(uBP, η(uBP))∈GTを生成する第2親ノード復元値生成部と、
前記第2親ノード復元値生成部が、前記ルートノード情報N(uBR)に対する復元値gTχ・q(uBR, η(uBR))=gTχ・λ∈GTを生成した場合、gTχ・λ∈GTとΛυ=gTυ・λ∈GTとを含む値の像を第2セッション鍵として出力する第2鍵生成部と、を有する、
ことを特徴とする鍵交換システム。
【請求項2】
請求項1の鍵交換システムであって、
前記第1短期公開鍵生成部は、さらに元X=g1χ∈G1を生成し、前記第1短期公開鍵は、さらに前記元X=g1χ∈G1を含み、
前記第2短期公開鍵生成部は、さらに元Y=g1υ∈G1を生成し、前記第2短期公開鍵は、さらに前記元Y=g1υ∈G1を含み、
前記第1鍵生成部は、Λχ=gTχ・λ∈GTとgTυ・λ∈GTとYχ∈G1とを含む値の像を前記第1セッション鍵として出力し、
前記第2鍵生成部は、gTχ・λ∈GTとΛυ=gTυ・λ∈GTとXυ∈G1とを含む値の像を前記第2セッション鍵として出力する、
ことを特徴とする鍵交換システム。
【請求項3】
請求項1又は2の鍵交換システムであって、
前記子ノード情報N(uAC)のそれぞれには識別子index(uAC)が対応し、前記葉ノード情報N(uAL)にはしきい値k(uAL)=1が対応し、前記ノード情報N(uA)のそれぞれには不定元αについての次数d(uA)=k(uA)-1の多項式q(uA, α)が対応し、η(uA)が前記ノード情報N(uA)に対応する定数であり、前記情報q(uA, η(uA))が前記多項式q(uA, α)に定数η(uA)を代入して得られる値であり、前記子ノード情報N(uAC)に対応する前記情報q(uAC, η(uAC))が当該子ノード情報N(uAC)に対応する前記親ノード情報N(uAP)に対応する多項式q(uAP, α)に当該子ノード情報N(uAC)に対応する前記識別子index(uAC)を代入して得られるq(uAP, index(uAC))であり、
前記子ノード情報N(uBC)のそれぞれには識別子index(uBC)が対応し、前記葉ノード情報N(uBL)にはしきい値k(uBL)=1が対応し、前記ノード情報N(uB)のそれぞれには不定元αについての次数d(uB)=k(uB)-1の多項式q(uB, α)が対応し、η(uB)が前記ノード情報N(uB)に対応する定数であり、前記情報q(uB, η(uB))が前記多項式q(uB, α)に定数η(uB)を代入して得られる値であり、前記子ノード情報N(uBC)に対応する前記情報q(uBC, η(uBC))が当該子ノード情報N(uBC)に対応する前記親ノード情報N(uBP)に対応する多項式q(uBP, α)に当該子ノード情報N(uBC)に対応する前記識別子index(uBC)を代入して得られるq(uBP, index(uBC))である、
ことを特徴とする鍵交換システム。
【請求項4】
巡回群G1, G2, GTの生成元がそれぞれg1, g2, gTであり、直積空間G1×G2の元を巡回群GTに写す双線形写像がe: G1×G2→GTであり、属性情報jの集合がATTであり、マスタ秘密鍵がλ及びt(j)(j∈ATT)であり、マスタ公開鍵がΛ=gTλ∈GT及びT(j)=g2t(j)∈G2であり、UA(UA≧2)個のノード情報N(uA)(uA∈{1,...,UA})を含む木構造データがγAであり、前記ノード情報N(uA)の一部が親ノード情報N(uAP)(uAP∈{1,...,UA})であり、前記親ノード情報N(uAP)にはc(uAP)個の子ノード情報N(uAC)(uAC∈{1,...,UA})が対応し、前記親ノード情報N(uAP)の何れか1つがルートノード情報N(uAR)(uAR∈{1,...,UA})であり、前記子ノード情報N(uAC)の少なくとも一部が葉ノード情報N(uAL)(uAL∈{1,...,UA})であり、前記葉ノード情報N(uAL)に対応するuALの集合がL(γA)であり、前記親ノード情報N(uAP)のそれぞれには1≦k(uAP)≦c(uAP)を満たすしきい値k(uAP)が対応し、前記ノード情報N(uA)のそれぞれには情報q(uA, η(uA))が対応し、前記ルートノード情報N(uAR)に対応する情報q(uAR, η(uAR))が前記マスタ秘密鍵λであり、前記親ノード情報N(uAP)に対応する情報q(uAP, η(uAP))をk(uAP)-out-of-c(uAP)しきい値秘密分散して得られる分散情報が当該親ノード情報N(uAP)に対応する前記子ノード情報N(uAC)に対応する情報q(uAC, η(uAC))であり、前記葉ノード情報N(uAL)にはそれぞれ属性情報att(uAL)∈ATTと秘密値D(uAL)=g1q(uAL, η(uAL))/t(att(uAL))∈G1とが対応し、前記秘密値D(uAL)(uAL∈L(γA))の集合が長期秘密鍵DA={D(uAL)}uAL∈L(γA)であり、
短期秘密鍵sAを任意に生成する短期秘密鍵生成部と、
前記属性情報の集合ATTの部分集合である属性集合δA⊂ATTと前記長期秘密鍵DAと前記短期秘密鍵sAとを用い、前記長期秘密鍵DAと前記短期秘密鍵sAとを含む値の像χに対する元T(wA)χ∈G2(wA∈δA)の集合であるTA={T(wA)χ}wA∈δAを含む第1短期公開鍵を生成する短期公開鍵生成部と、
前記属性集合δAと前記第1短期公開鍵とを他の鍵交換装置に対して出力する出力部と、
属性集合δBと第2短期公開鍵との入力を受け付ける入力部と、
前記属性集合δBに属する前記属性情報att(uAL)∈δBに対応する前記葉ノード情報N(uAL)に対応する秘密値D(uAL)=g1q(uAL, η(uAL))/t(att(uAL))∈G1と前記第2短期公開鍵が含む元T(att(uAL))υ∈G2とに対し、前記双線形写像eを作用させ、前記葉ノード情報N(uAL)に対して復元値e(D(uAL), T(att(uAL))υ)=gTυ・q(uAL, η(uAL))∈GTを生成する葉ノード復元値生成部と、
自らに対応する前記子ノード情報N(uAC)のうち復元値gTυ・q(uAC, η(uAC))∈GTが生成されたものの合計数が自らに対応する前記しきい値k(uAP)以上となる前記親ノード情報N(uAP)に対し、当該しきい値k(uAP)以上の前記復元値gTυ・q(uAC, η(uAC))∈GTをk(uAP)-out-of-c(uAP)しきい値秘密分散法の分散情報として用い、当該分散情報に対応する復元値gTυ・q(uAP, η(uAP))∈GTを生成する親ノード復元値生成部と、
前記親ノード復元値生成部が、前記ルートノード情報N(uAR)に対する復元値gTυ・q(uAR, η(uAR))=gTυ・λ∈GTを生成した場合、Λχ=gTχ・λ∈GTとgTυ・λ∈GTとを含む値の像をセッション鍵として出力する鍵生成部と、
を有する鍵交換装置。
【請求項5】
巡回群G1, G2, GTの生成元がそれぞれg1, g2, gTであり、直積空間G1×G2の元を巡回群GTに写す双線形写像がe: G1×G2→GTであり、属性情報jの集合がATTであり、マスタ秘密鍵がλ及びt(j)(j∈ATT)であり、T(j)=g2t(j)∈G2であり、UA(UA≧2)個のノード情報N(uA)(uA∈{1,...,UA})を含む木構造データがγAであり、前記ノード情報N(uA)の一部が親ノード情報N(uAP)(uAP∈{1,...,UA})であり、前記親ノード情報N(uAP)にはc(uAP)個の子ノード情報N(uAC)(uAC∈{1,...,UA})が対応し、前記親ノード情報N(uAP)の何れか1つがルートノード情報N(uAR)(uAR∈{1,...,UA})であり、前記子ノード情報N(uAC)の少なくとも一部が葉ノード情報N(uAL)(uAL∈{1,...,UA})であり、前記葉ノード情報N(uAL)に対応するuALの集合がL(γA)であり、前記親ノード情報N(uAP)のそれぞれには1≦k(uAP)≦c(uAP)を満たすしきい値k(uAP)が対応し、
前記マスタ秘密鍵λを前記ルートノード情報N(uAR)に対応する情報q(uAR, η(uAR))として設定する第1設定部と、
前記親ノード情報N(uAP)に対応する情報q(uAP, η(uAP))をk(uAP)-out-of-c(uAP)しきい値秘密分散して得られる分散情報を当該親ノード情報N(uAP)に対応する前記子ノード情報N(uAC)に対応する情報q(uAC, η(uAC))として設定する第2設定部と、
前記葉ノード情報N(uAL)に対応する属性情報att(uAL)∈ATTに対し、秘密値D(uAL)=g1q(uAL, η(uAL))/t(att(uAL))∈G1を生成する秘密値生成部と、
前記秘密値D(uAL)(uAL∈L(γA))の集合である長期秘密鍵DA={D(uAL)}uAL∈L(γA)を出力する出力部と、
を有する鍵抽出装置。
【請求項6】
請求項5の鍵抽出装置であって、
前記子ノード情報N(uAC)のそれぞれには識別子index(uAC)が対応し、前記葉ノード情報N(uAL)にはしきい値k(uAL)=1が対応し、前記ノード情報N(uA)のそれぞれには不定元αについての次数d(uA)=k(uA)-1の多項式q(uA, α)が対応し、η(uA)が前記ノード情報N(uA)に対応する定数であり、前記情報q(uA, η(uA))が前記多項式q(uA, α)に定数η(uA)を代入して得られる値であり、
前記第1設定部は、
前記マスタ秘密鍵λを前記ルートノード情報N(uAR)に対する情報q(uAR, η(uAR))として設定する第1設定部と、
α=η(uAR)であるときの関数値q(uAR, η(uAR))が前記マスタ秘密鍵λである不定元αについての次数d(uAR)=k(uAR)-1の多項式q(uAR, α)を前記ルートノード情報N(uAR)に対して設定する第1多項式設定部と、を含み、
前記第2設定部は、
前記親ノード情報N(uAP)に対応する多項式q(uAP, α)に、当該親ノード情報N(uAP)に対応する前記子ノード情報N(uAC)に対応する前記識別子index(uAC)を代入して得られるq(uAP, index(uAC))を、当該子ノード情報N(uAC)に対応する情報q(uAC, η(uAC))として設定する第2設定部と、
α=η(uAC)であるときの関数値q(uAC, η(uAC))がq(uAP, index(uAC))である不定元αについての次数d(uAC)=k(uAC)-1の多項式q(uAC, α)を前記子ノード情報N(uAC)に対して設定する第2多項式設定部と、を含む、
ことを特徴とする鍵抽出装置。
【請求項7】
巡回群G1, G2, GTの生成元がそれぞれg1, g2, gTであり、直積空間G1×G2の元を巡回群GTに写す双線形写像がe: G1×G2→GTであり、属性情報jの集合がATTであり、マスタ秘密鍵がλ及びt(j)(j∈ATT)であり、マスタ公開鍵がΛ=gTλ∈GT及びT(j)=g2t(j)∈G2であり、UA(UA≧2)個のノード情報N(uA)(uA∈{1,...,UA})を含む木構造データがγAであり、前記ノード情報N(uA)の一部が親ノード情報N(uAP)(uAP∈{1,...,UA})であり、前記親ノード情報N(uAP)にはc(uAP)個の子ノード情報N(uAC)(uAC∈{1,...,UA})が対応し、前記親ノード情報N(uAP)の何れか1つがルートノード情報N(uAR)(uAR∈{1,...,UA})であり、前記子ノード情報N(uAC)の少なくとも一部が葉ノード情報N(uAL)(uAL∈{1,...,UA})であり、前記葉ノード情報N(uAL)に対応するuALの集合がL(γA)であり、前記親ノード情報N(uAP)のそれぞれには1≦k(uAP)≦c(uAP)を満たすしきい値k(uAP)が対応し、前記ノード情報N(uA)のそれぞれには情報q(uA, η(uA))が対応し、前記ルートノード情報N(uAR)に対応する情報q(uAR, η(uAR))が前記マスタ秘密鍵λであり、前記親ノード情報N(uAP)に対応する情報q(uAP, η(uAP))をk(uAP)-out-of-c(uAP)しきい値秘密分散して得られる分散情報が当該親ノード情報N(uAP)に対応する前記子ノード情報N(uAC)に対応する情報q(uAC, η(uAC))であり、前記葉ノード情報N(uAL)にはそれぞれ属性情報att(uAL)∈ATTと秘密値D(uAL)=g1q(uAL, η(uAL))/t(att(uAL))∈G1とが対応し、前記秘密値D(uAL)(uAL∈L(γA))の集合が長期秘密鍵DA={D(uAL)}uAL∈L(γA)であり、
短期秘密鍵生成部において、短期秘密鍵sAを任意に生成するステップと、
短期公開鍵生成部において、前記属性情報の集合ATTの部分集合である属性集合δA⊂ATTと前記長期秘密鍵DAと前記短期秘密鍵sAとを用い、前記長期秘密鍵DAと前記短期秘密鍵sAとを含む値の像χに対する元T(wA)χ∈G2(wA∈δA)の集合であるTA={T(wA)χ}wA∈δAを含む第1短期公開鍵を生成するステップと、
出力部において、前記属性集合δAと前記第1短期公開鍵とを他の鍵交換装置に対して出力するステップと、
入力部において、属性集合δBと第2短期公開鍵との入力を受け付けるステップと、
葉ノード復元値生成部において、前記属性集合δBに属する前記属性情報att(uAL)∈δBに対応する前記葉ノード情報N(uAL)に対応する秘密値D(uAL)=g1q(uAL, η(uAL))/t(att(uAL))∈G1と前記第2短期公開鍵が含む元T(att(uAL))υ∈G2とに対し、前記双線形写像eを作用させ、前記葉ノード情報N(uAL)に対して復元値e(D(uAL), T(att(uAL))υ)=gTυ・q(uAL, η(uAL))∈GTを生成するステップと、
親ノード復元値生成部において、自らに対応する前記子ノード情報N(uAC)のうち復元値gTυ・q(uAC, η(uAC))∈GTが生成されたものの合計数が自らに対応する前記しきい値k(uAP)以上となる前記親ノード情報N(uAP)に対し、当該しきい値k(uAP)以上の前記復元値gTυ・q(uAC, η(uAC))∈GTをk(uAP)-out-of-c(uAP)しきい値秘密分散法の分散情報として用い、当該分散情報に対応する復元値gTυ・q(uAP, η(uAP))∈GTを生成するステップと、
前記親ノード復元値生成部で前記ルートノード情報N(uAR)に対する復元値gTυ・q(uAR, η(uAR))=gTυ・λ∈GTが生成された場合、鍵生成部において、Λχ=gTχ・λ∈GTとgTυ・λ∈GTとを含む値の像をセッション鍵として出力するステップと、
を有する鍵交換方法。
【請求項8】
巡回群G1, G2, GTの生成元がそれぞれg1, g2, gTであり、直積空間G1×G2の元を巡回群GTに写す双線形写像がe: G1×G2→GTであり、属性情報jの集合がATTであり、マスタ秘密鍵がλ及びt(j)(j∈ATT)であり、T(j)=g2t(j)∈G2であり、UA(UA≧2)個のノード情報N(uA)(uA∈{1,...,UA})を含む木構造データがγAであり、前記ノード情報N(uA)の一部が親ノード情報N(uAP)(uAP∈{1,...,UA})であり、前記親ノード情報N(uAP)にはc(uAP)個の子ノード情報N(uAC)(uAC∈{1,...,UA})が対応し、前記親ノード情報N(uAP)の何れか1つがルートノード情報N(uAR)(uAR∈{1,...,UA})であり、前記子ノード情報N(uAC)の少なくとも一部が葉ノード情報N(uAL)(uAL∈{1,...,UA})であり、前記葉ノード情報N(uAL)に対応するuALの集合がL(γA)であり、前記親ノード情報N(uAP)のそれぞれには1≦k(uAP)≦c(uAP)を満たすしきい値k(uAP)が対応し、
第1設定部において、前記マスタ秘密鍵λを前記ルートノード情報N(uAR)に対応する情報q(uAR, η(uAR))として設定するステップと、
第2設定部において、前記親ノード情報N(uAP)に対応する情報q(uAP, η(uAP))をk(uAP)-out-of-c(uAP)しきい値秘密分散して得られる分散情報を当該親ノード情報N(uAP)に対応する前記子ノード情報N(uAC)に対応する情報q(uAC, η(uAC))として設定するステップと、
秘密値生成部において、前記葉ノード情報N(uAL)に対応する属性情報att(uAL)∈ATTに対し、秘密値D(uAL)=g1q(uAL, η(uAL))/t(att(uAL))∈G1を生成するステップと、
出力部において、前記秘密値D(uAL)(uAL∈L(γA))の集合である長期秘密鍵DA={D(uAL)}uAL∈L(γA)を出力するステップと、
を有する鍵抽出方法。
【請求項9】
請求項7の鍵交換方法の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項8の鍵抽出方法の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−259149(P2011−259149A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131130(P2010−131130)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】