説明

鍵情報提供システム

【課題】固有情報である鍵情報を、無線通信システムを使用してランダム情報として定期的に更新することでセキュリティ性を向上させる鍵情報提供システムを提供する。
【解決手段】位置検出機能を有する無線通信装置2と、錠の解錠又は施錠処理を行う錠装置に接続された通信装置と、該通信装置を内包する管理エリア4を管理する管理サーバ3とを具備し、該管理サーバは前記無線通信装置から取得した位置情報に基づき、前記無線通信装置を前記管理エリア内に検出すると、前記無線通信装置と前記通信装置のそれぞれに対応する鍵情報を送信し、前記通信装置が前記管理サーバから受信した鍵情報と対応する鍵情報を前記無線通信装置から受信することで前記錠装置が解錠又は施錠処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムを使用して携帯端末に鍵情報を提供する鍵情報提供システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一部の車等では、無線通信機に組込まれた鍵を使用することで、穴に鍵を差込むことなくドアの開閉を行うことができる技術が組込まれている。前記無線通信機は携帯電話等でもよく、該携帯電話に車の鍵情報を登録しておくことで、前記携帯電話を用いて車のドアの開閉を行うことも可能である。
【0003】
又、前記無線通信機を組込んだ鍵は自宅等の建物に於いても適用でき、鍵情報を登録した携帯電話を用いて建物のドアの開閉を行うことも可能である。
【0004】
一方で、前記無線通信機に記録されているのは固定した鍵情報であり、前記無線通信機側から常に同じ鍵情報を送信する片方向通信である為、前記無線通信機自体の紛失、盗難がなかったとしても、前記通信が傍受された場合に鍵情報が盗まれる危険性があり、セキュリティ性に問題があった。
【0005】
又、建物のドア解錠、施錠を行う手段としては、生体認証により予め登録された情報との比較を行う場合や、カードや金属製の鍵を使用する方法等がある。
【0006】
然し乍ら、生体認証や、カード及び金属製の鍵を使用する場合には、直接ドア迄行って認証や解錠、施錠を行う等の動作が必要であり、又カード及び金属製の鍵の紛失、盗難があった場合には、セキュリティ上の都合により、その都度錠を交換する等の処置が必要だった。
【0007】
又、複数の建物に入る場合、それぞれの建物固有の鍵が必要となり、各建物毎の鍵を所持しなくてはならず、かさばる、或はどの鍵がどの建物のものかわかりにくく煩わしいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−253940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は斯かる実情に鑑み、固有情報である鍵情報を、無線通信システムを使用してランダム情報として定期的に更新することでセキュリティ性を向上させる鍵情報提供システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、位置検出機能を有する無線通信装置と、錠の解錠又は施錠処理を行う錠装置に接続された通信装置と、該通信装置を内包する管理エリアを管理する管理サーバとを具備し、該管理サーバは前記無線通信装置から取得した位置情報に基づき、前記無線通信装置を前記管理エリア内に検出すると、前記無線通信装置と前記通信装置のそれぞれに対応する鍵情報を送信し、前記通信装置が前記管理サーバから受信した鍵情報と対応する鍵情報を前記無線通信装置から受信することで前記錠装置が解錠又は施錠処理を行う鍵情報提供システムに係るものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、位置検出機能を有する無線通信装置と、錠の解錠又は施錠処理を行う錠装置に接続された通信装置と、該通信装置を内包する管理エリアを管理する管理サーバとを具備し、該管理サーバは前記無線通信装置から取得した位置情報に基づき、前記無線通信装置を前記管理エリア内に検出すると、前記無線通信装置と前記通信装置のそれぞれに対応する鍵情報を送信し、前記通信装置が前記管理サーバから受信した鍵情報と対応する鍵情報を前記無線通信装置から受信することで前記錠装置が解錠又は施錠処理を行うので、特定の前記無線通信装置に対してのみ解錠又は施錠処理を可能とさせることができ、又鍵情報を更新することで鍵情報の複製を困難にする等、セキュリティ性を向上させることができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の鍵情報提供システムを示す構成図である。
【図2】本発明に於ける携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に於ける管理サーバの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明に於ける施設の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明に於ける携帯端末の位置情報送信処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明に於ける管理サーバの処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明に於ける施設が管理サーバから鍵情報を受信した際の処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明に於ける施設が携帯端末から鍵情報を受信した際の処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明に於ける管理サーバの携帯端末からの位置情報取得周期を変更可能とした際の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0014】
図1は、本発明に於ける鍵情報提供システム1の構成図である。先ず、図1に於いて、該鍵情報提供システム1の概要について説明する。
【0015】
無線通信装置である携帯端末2はGPS機能を有し、人工衛星より信号を受信し、現在地を算出している。又、管理サーバ3は、管理エリア4を管理しており、該管理エリア4内に存在する複数の施設5a,5b,・・・,5nの位置情報が登録されると共に、無線ネットワーク6を介して予め登録されている前記携帯端末2の位置情報を取得し、該携帯端末2と前記施設5に対して鍵情報を送信する機能を有している。
【0016】
尚、前記管理サーバ3は複数の前記管理エリア4、及び複数の前記携帯端末2を管理する様にしてもよく、前記管理サーバ3と前記施設5の通信装置とは、前記無線ネットワーク6を介さず、有線にて接続してもよい。
【0017】
以下、例として1つの前記管理サーバ3に対して、前記携帯端末2と前記管理エリア4が1つずつ存在し、該管理エリア4内に前記施設5が複数存在する場合について説明する。
【0018】
前記管理サーバ3は、定期的に取得する前記携帯端末2の位置情報によって該携帯端末2の所在地を把握し、該携帯端末2が前記管理エリア4内に入ると、前記携帯端末2と目的地である前記施設5に対して互いに対応する鍵情報(前記携帯端末2に対して第1鍵情報、前記施設5に対して第2鍵情報)を送信する。
【0019】
前記携帯端末2の所有者は、前記施設5に到着した際に、該施設5の通信装置に対して前記管理サーバ3より受信した第1鍵情報を送信することで、前記施設5の扉等の駆動対象物の解錠や施錠、或は開閉が行われる。
【0020】
次に、図2に於いて、前記携帯端末2の構成について説明する。
【0021】
該携帯端末2は、衛星より信号を受信し、該信号から現在地を算出するGPS装置7と、前記管理サーバ3及び前記施設5の通信装置との通信を行う無線部8と、演算処理を行うCPU9と、ディスプレイ等の表示部11と、所定数配置されたボタンキー等の操作部12と記憶部13とを有し、該記憶部13は前記管理サーバ3から受信した第1鍵情報を記録するメモリやHDD等の記憶装置14と、前記GPS装置7によって算出された現在地の情報を無線データに変換するデータ処理プログラム15を有している。
【0022】
前記携帯端末2は、前記GPS装置7によって衛星から信号を受信し、該信号により現在地の算出を行う。算出した現在地情報を、前記データ処理プログラム15に従って処理し、無線データに変換した後、前記無線部8より前記管理サーバ3に対して前記携帯端末2の位置情報を送信する。又、前記管理サーバ3より前記施設5の第1鍵情報を受信した際には、該第1鍵情報を前記記憶装置14に格納し、格納した前記第1鍵情報を前記施設5にて使用することで、該施設5の駆動対象物である錠の解錠又は施錠がなされる。
【0023】
次に、図3に於いて、前記管理サーバ3について説明する。
【0024】
該管理サーバ3は、前記携帯端末2及び前記施設5との通信を行う無線部16と、演算処理を行うCPU17と、モニタ等の表示部18と、マウスやキーボード等の操作部19と記憶部21から構成されており、該記憶部21は周期設定プログラム22と、位置照合プログラム23と、距離算出プログラム24と、目的地判別プログラム25と、鍵情報生成プログラム26と、鍵情報暗号化プログラム27と、メモリやHDD等の記憶装置28とを具備している。
【0025】
前記周期設定プログラム22は、前記携帯端末2から常時送られてくる現在地の位置情報を、どの様な周期で取得するかを決める機能を有している。
【0026】
前記位置照合プログラム23は、前記携帯端末2から送られてきた現在地の位置情報が、該携帯端末2の解錠、施錠、開閉対象である前記施設5が存在する前記管理エリア4内であるかどうかを判別する機能を有している。
【0027】
又、前記距離算出プログラム24は、前記位置照合プログラム23にて対象の前記施設5が存在する前記管理エリア4内であると判別された前記携帯端末2からの位置情報に基づき、前記管理エリア4内に存在する前記施設5a,5b,・・・,5nとの距離をそれぞれ算出する。
【0028】
尚、記憶装置28には、制御対象の携帯端末2の登録番号と、各携帯端末2に鍵情報を送信する施設5の登録番号とが対応づけられて予め記憶されている。前記距離算出プログラム24は、その対応情報に基づいて、距離を算出する施設を特定している。
【0029】
又、前記目的地判別プログラム25は、前記距離算出プログラム24によって算出された距離を基に、現在地から最も距離の短かった前記施設5を目的地として選択する機能を有している。
【0030】
前記鍵情報生成プログラム26は、前記距離算出プログラム24による前記携帯端末2と前記施設5との距離検出と並行して1対の鍵情報を生成する。
【0031】
前記鍵情報暗号化プログラム27は、前記記憶装置28に格納されている鍵情報を暗号化する為のキーを使用して鍵情報を暗号化する機能を有している。
【0032】
前記記憶装置28は、上記の暗号化キーが格納されると共に、前記管理サーバ3の制御対象である前記携帯端末2の登録番号及び前記施設5の位置情報が格納されている。又、前記携帯端末2から直接又は施設5の通信装置から送られてきた解錠/施錠信号、或は開閉信号を使用記録として格納する。
【0033】
前記管理サーバ3は、定期的に前記携帯端末2の位置情報を取得し、その都度該携帯端末2が制御対象である前記施設5の存在する前記管理エリア4内にあるかどうかを判別している。前記携帯端末2が前記管理エリア4内にあった場合には、前記携帯端末2の位置情報と前記管理エリア4内に存在する前記施設5a,5b,・・・,5nの位置情報を比較し、最も近い前記施設5を目的地として選択する。又、位置情報の比較と並行して鍵情報を生成、暗号化し、前記目的地判別プログラム25により目的地決定後に前記CPU17は前記無線部16により、前記携帯端末2と目的地である前記施設5に対応する鍵情報をそれぞれ送信する。該鍵情報送信後は、予め設定された周期に従って再び前記携帯端末2の位置情報を取得し、前記管理エリア4内に前記携帯端末2が存在していれば、鍵情報を生成、暗号化し、前記携帯端末2と前記施設5に送信する処理を繰返し行う。
【0034】
又、前記携帯端末2によって前記施設5が解錠又は施錠された際には、前記携帯端末2又は前記施設5より使用信号が発せられ、前記記憶装置28に使用記録として格納される。
【0035】
尚、前記管理サーバ3は、鍵情報を暗号化しなくても動作可能であるが、セキュリティ性の向上の為、鍵情報は暗号化することが望ましい。又、更にセキュリティ性を向上させる手段として、前記鍵情報を使用する際にパスワードが要求される様にしてもよい。該パスワードは、紙媒体等オフラインで前記携帯端末2の所有者に通知することで、盗難や紛失にあった際に悪用される確率を著しく低下させることができる。
【0036】
尚、前記管理サーバ3からの第1鍵情報と第2鍵情報の生成、送信は、前記携帯端末2からの要求によって行うことも可能である。この時、前記管理サーバ3は新たに鍵情報を生成、送信してもよいし、前回送信した鍵情報を再度送信してもよい。
【0037】
次に、図4に於いて、目的地である施設5について説明する。
【0038】
該施設5は、前記携帯端末2や前記管理サーバ3との通信を行う通信装置29と、解錠/施錠、或は開閉が行われる駆動対象物を具備する錠装置31とで構成されている。
【0039】
前記通信装置29は前記携帯端末2と前記管理サーバ3から第1鍵情報と第2鍵情報を受信し、前記携帯端末2の第1鍵情報が使用された際に使用信号を前記管理サーバ3に対して送信する無線部32と、演算処理を行うCPU33と、該CPU33に接続されたタイマ34と、ディスプレイ等の表示部35と、所定数配置されたボタンキーやタッチパネル等の操作部36と、前記錠装置31に対して命令を出す出力部37と、記憶部38とから構成されている。
【0040】
該記憶部38はHDDやメモリ等の記憶装置39、鍵情報更新プログラム41、暗号化解除プログラム42、鍵情報照合プログラム43を有している。前記記憶装置39には前記管理サーバ3より送られてきた第2鍵情報が順次格納され、前記鍵情報更新プログラム41は前記タイマ34に起動信号と設定時間を送信し、該タイマ34からの終了信号により前記管理サーバ3からの第2鍵情報を前記記憶装置39の中から順次削除していく機能を有している。
【0041】
又、前記暗号化解除プログラム42は暗号化された第1鍵情報と第2鍵情報を解除する機能を有しており、前記鍵情報照合プログラム43は、前記通信装置29が前記携帯端末2からの第1鍵情報を受信した際に、前記記憶装置39の中に対応する第2鍵情報があるかどうかを検索し、あった場合には、前記出力部37に対して解錠又は施錠の命令を出す機能を有している。
【0042】
前記通信装置29は、前記管理サーバ3から第2鍵情報を受信すると、該第2鍵情報は前記暗号化解除プログラム42によって、暗号化を解除され、解除された前記第2鍵情報を前記記憶装置39に格納すると共に、前記タイマ34に対して予め設定された時間の設定値と共に開始信号が発せられる。設定された時間が経過すると、前記タイマ34より終了信号が発せられ、前記鍵情報更新プログラム41が前記終了信号に従って前記記憶装置39の中から該当する第2鍵情報を削除する。この処理は前記管理サーバ3からの第2鍵情報の受信の頻度に拘らず行われ、受信した第2鍵情報は前記暗号化解除プログラム42によって暗号化を解除された後に前記記憶装置39に順次格納され、一定時間経過後に前記鍵情報更新プログラム41によって順次削除されていく。尚、記憶装置39をFIFO(First In First Out)メモリとしてもよい。
【0043】
上記処理中に、前記携帯端末2からの第1鍵情報を受信すると、前記暗号化解除プログラム42によって暗号化を解除された後、前記鍵情報照合プログラム43が受信した第1鍵情報に対応する第2鍵情報を前記記憶装置39の中から検索し、対応する第2鍵情報が存在した場合には、前記出力部37に対して解錠又は施錠の命令を出すと共に、前記無線部32を介して前記管理サーバ3に前記携帯端末2の使用信号が送信される。
【0044】
次に、図5に於いて、フローチャートを用いて前記携帯端末2の処理について説明する。
【0045】
先ず、該携帯端末2の電源を投入することで、該携帯端末2が起動する。
【0046】
STEP:01 該携帯端末2が起動すると、前記GPS装置7が具備するGPS受信機が、衛星からのGPS信号を受信する。
【0047】
STEP:02 衛星より受信された該GPS信号は、前記GPS装置7が具備する演算処理部により演算処理され、前記携帯端末2の現在地が算出される。
【0048】
STEP:03 該携帯端末2の現在地が算出されると、次に前記データ処理プログラム15により、無線にて送信可能なデータへと変換される。
【0049】
STEP:04 該データ処理プログラム15によって変換された前記携帯端末2の現在地の位置情報が、前記無線部8より前記管理サーバ3へと送信される。
【0050】
尚、上記STEP:01〜STEP:04は、前記携帯端末2の電源を投入することで自動的に行われ、電源を切る迄前記携帯端末2の現在地の位置情報を前記管理サーバ3に対して定期的に送信している。又、前記携帯端末2は、前記管理サーバ3からの要求に応じて、位置情報を送信してもよい。
【0051】
又、図示はしていないが、前記携帯端末2は前記管理サーバ3から暗号化された第1鍵情報を受信し、前記記憶装置14に格納する。尚、前記管理サーバ3から第1鍵情報を受信した際に、既に記憶装置14に別の第1鍵情報が格納されていた場合には、既に格納されていた第1鍵情報を新たに受信した第1鍵情報で上書きする。
【0052】
次に、図6に於いて、フローチャートを用いて前記管理サーバ3の処理について説明する。
【0053】
該管理サーバ3は、電源が投入されることで起動し、起動と同時に処理が開始される。
【0054】
STEP:11、STEP:12 該管理サーバ3は、予め設定された前記周期設定プログラム22に従って、前記携帯端末2より常時送られてくる位置情報を定期的に取得する。尚、該管理サーバ3は、前記周期設定プログラム22に従って、前記携帯端末2に位置情報の要求信号を定期的に送信して、前記携帯端末2から位置情報を得てもよい。
【0055】
STEP:13 前記携帯端末2から取得した位置情報を基に、前記位置照合プログラム23は、前記携帯端末2が制御対象である前記施設5の存在する前記管理エリア4内にあるかどうかを判別している。前記携帯端末2が前記管理エリア4内にないと判別された場合には、STEP:11に戻り、前記周期設定プログラム22に従って前記携帯端末2の位置情報を取得し、再度前記位置照合プログラム23によって前記管理エリア4内にあるかどうかが判別される。
【0056】
STEP:14 前記位置照合プログラム23によって前記携帯端末2が前記管理エリア4内にあると判別された場合には、前記距離算出プログラム24によって、前記携帯端末2と、予め前記記憶装置28に記録された前記携帯端末2の制御対象である前記施設5a,5b,・・・,5nとの距離をそれぞれ算出する。又、該施設5a,5b,・・・,5nとの距離算出と並行して、前記管理サーバ3は前記鍵情報生成プログラム26が1対の鍵情報、即ち第1鍵情報と第2鍵情報を生成し、該生成された第1鍵情報と第2鍵情報は、前記鍵情報暗号化プログラム27により、前記記憶装置28に格納されている暗号化キーを基にそれぞれ暗号化される。
【0057】
STEP:15 前記距離算出プログラム24により、前記各施設5a,5b,・・・,5nのそれぞれとの距離が算出されると、前記目的地判別プログラム25により、前記各施設5a,5b,・・・,5nの中で最も距離の近かった前記施設5が目的地に決定される。
【0058】
STEP:16 目的地が決定すると、前記管理サーバ3は前記携帯端末2と前記施設5に対して、前記鍵情報生成プログラム26と前記鍵情報暗号化プログラム27によって生成、暗号化された第1鍵情報と第2鍵情報をそれぞれ送信する。鍵情報送信後、再びSTEP:11に戻り、以後前記管理サーバ3の電源が落される迄STEP:11〜STEP:16の処理が繰返される。
【0059】
次に、図7、図8に於いて、フローチャートを用いて目的地である前記施設5の処理について説明する。図7は前記管理サーバ3から第2鍵情報を受信した際のフローチャートを示しており、図8は前記携帯端末2から第1鍵情報を受信した際のフローチャートを示している。
【0060】
STEP:21 前記施設5が具備する前記通信装置29及び前記錠装置31は既に電源が入った状態であり、前記管理サーバ3から第2鍵情報を受信した段階で処理が開始される。
【0061】
STEP:22 前記通信装置29が前記無線部32から第2鍵情報を受信すると、前記鍵情報更新プログラム41が立上がり、前記タイマ34に対して起動信号と共に、予め設定されていた設定時間、例えば5分が送信されることで前記タイマ34が起動する。
【0062】
STEP:23 前記無線部32が受信した第2鍵情報は、前記暗号化解除プログラム42によって暗号化が解除される。
【0063】
STEP:24 暗号化が解除された第2鍵情報は、前記記憶装置39に格納される。
【0064】
STEP:25 前記タイマ34に対して起動信号を送信してから所定時間、例えば5分が経過すると、該タイマ34は前記鍵情報更新プログラム41に終了信号を送信し、終了する。
【0065】
STEP:26 前記鍵情報更新プログラム41は、前記タイマ34からの信号に従って、前記記憶装置39に格納されている第2鍵情報を削除する。
【0066】
尚、上記処理は第2鍵情報を受信する度に実行され、処理速度や更新速度は第2鍵情報の受信頻度に影響されることはない。
【0067】
次に、前記通信装置29が前記携帯端末2から第1鍵情報を受信した場合について説明する。
【0068】
STEP:31 図7の場合と同様、前記施設5が具備する前記通信装置29及び前記錠装置31は既に電源が入った状態であり、前記携帯端末2から第1鍵情報を受信した段階で処理が開始される。
【0069】
STEP:32 第1鍵情報が前記無線部32より受信されると、先ず前記暗号化解除プログラム42が立上がり、第1鍵情報の暗号化が解除される。
【0070】
STEP:33 第1鍵情報の暗号化を解除した後、前記鍵情報照合プログラム43が前記記憶装置39に格納された第2鍵情報を検索する。
【0071】
STEP:34 第2鍵情報の検索後、前記鍵情報照合プログラム43は検索された第2鍵情報の中に受信した第1鍵情報と対応する第2鍵情報があるかどうかを判別する。
【0072】
STEP:35 対応する第2鍵情報が存在しなかった場合には、その段階で処理が終了し、存在した場合には、前記出力部37を介して前記錠装置31に前記携帯端末2からの要求通り、解錠又は施錠等の命令を出し、前記錠装置31は前記通信装置29からの命令に従って処理を行う。
【0073】
STEP:36 前記錠装置31への命令通知後、前記無線部32より前記管理サーバ3に対して解錠又は施錠等の処理信号が送信され、処理が完了する。
【0074】
上述の様に、前記携帯端末2は、前記管理サーバ3に登録さえしていれば該管理サーバ3の管理する複数の前記施設5に対して使用することができるので、該各施設5毎の鍵を持歩く必要がなくなり、複数の鍵を所持する煩雑さを解消できる。
【0075】
又、前記施設5に於いて、新たな第2鍵情報を取得するとすぐに古い第2鍵情報を削除するのではなく、一定時間例えば5分程度保持し、有効鍵とすることで、前記携帯端末2又は前記施設5が鍵情報を受信できなかった為に前記携帯端末2と前記施設5に於ける鍵情報の受信状況がずれ、前記携帯端末2の持つ第1鍵情報と前記施設5の持つ第2鍵情報とにずれが生じた場合でも認証可能とすることができる。
【0076】
又、第1鍵情報を受信する前記携帯端末2を紛失、盗難、或は複製した場合でも、前記管理サーバ3から前記携帯端末2の登録を削除することで該携帯端末2を無効にでき、更に第1鍵情報はランダムな鍵情報として定期的に更新されるので、大幅にセキュリティ性を向上させることができる。
【0077】
又、前記管理サーバ3から前記携帯端末2の登録を削除すれば、対象の前記施設5に対して前記携帯端末2を使用することができなくなるので、該携帯端末2の使用者が変った場合でも前記錠装置31を錠ごと変える必要がなくなり、コストの削減を図ることができる。
【0078】
次に、図9に於いて、本実施例の変形例として、前記管理サーバ3が前記携帯端末2の位置情報を取得する周期を変更する方法について、フローチャートを用いて説明する。
【0079】
STEP:41、STEP:42 前記管理サーバ3は、予め取得周期が設定された前記周期設定プログラム22に従って、前記携帯端末2より常時送られてくる初期情報である位置情報Aを定期的に取得する。
【0080】
STEP:43 前記携帯端末2から取得した位置情報Aを基に、前記位置照合プログラム23は、前記携帯端末2が制御対象である前記施設5の存在する前記管理エリア4内にあるかどうかを判別する。前記携帯端末2が前記管理エリア4内にないと判別された場合には、位置情報Aを破棄した後にSTEP:41に戻り、前記周期設定プログラム22に従って一定時間経過後に前記携帯端末2の位置情報Aを取得し、再度前記位置照合プログラム23によって前記管理エリア4内にあるかどうかが判別される。
【0081】
STEP:44 前記位置照合プログラム23によって前記携帯端末2が前記管理エリア4内にあると判別された場合には、位置情報Aを前記記憶装置28に保持し、保持した位置情報Aを基に前記距離算出プログラム24によって、前記携帯端末2と、予め前記記憶装置28に記録された前記携帯端末2の制御対象である前記施設5a,5b,・・・,5nとの距離をそれぞれ算出する。
【0082】
STEP:45 前記距離算出プログラム24により、前記各施設5a,5b,・・・,5nのそれぞれとの距離が算出されると、前記目的地判別プログラム25により、前記各施設5a,5b,・・・,5nの中で最も距離の近かった前記施設5が目的地に決定される。
【0083】
STEP:46、STEP:47 目的地決定後、前記管理サーバ3は前記周期設定プログラム22に従って一定時間経過後に前記携帯端末2の位置情報Bを取得する。
【0084】
STEP:48 前記携帯端末2から取得した位置情報Bを基に、前記位置照合プログラム23は、前記携帯端末2が前記管理エリア4内にあるかどうかを判別する。前記携帯端末2が前記管理エリア4内にないと判別された場合には、前記記憶装置28に格納された位置情報Aと取得した位置情報Bを破棄した後にSTEP:41に戻り、前記周期設定プログラム22に従って一定時間経過後に前記携帯端末2の位置情報Aを取得し、再度前記位置照合プログラム23によって前記管理エリア4内にあるかどうかが判別される。
【0085】
STEP:49 前記位置照合プログラム23によって位置情報Bが前記管理エリア4内であると判別された場合には、位置情報Aと同様、位置情報Bも前記記憶装置28に格納され、図示しない比較プログラムによって位置情報Aと位置情報Bが比較される。
【0086】
STEP:50 前記比較プログラムにより、前記携帯端末2の移動速度が予め設定していた所定値よりも速いか、或は前記携帯端末2の所在地が予め設定していた所定値よりも目的地に近いかどうかが判別される。比較の結果、速度と所在地が共に所定値の範囲内であった場合には、前記記憶装置28に格納されている位置情報Aを破棄し、前記周期設定プログラム22に従って一定時間経過後に前記携帯端末2の位置情報Cを取得し、位置情報Cが前記管理エリア4内であるかどうかの判別、及び位置情報Bと位置情報Cとの比較が行われる。
【0087】
STEP:51 位置情報Aと位置情報Bの比較結果が前記携帯端末2の移動速度が予め設定していた所定値よりも速い、或は前記携帯端末2の所在地が予め設定していた所定値よりも目的地に近いの何れか、又は両方を満たした場合には、前記周期設定プログラム22が比較結果に基づいて前記携帯端末2の位置情報取得周期、即ち位置情報を取得する周期が短くなる様に変更する。
【0088】
尚、上記STEP:41〜STEP:51の処理は、図6のSTEP:11〜STEP:16と並行して行われる。
【0089】
上述の様に、前記携帯端末2の移動速度や目的地迄の距離に応じて、該携帯端末2の位置情報の取得周期を変更可能としたので、目的地付近では第1鍵情報、第2鍵情報の送信周期を早めることでセキュリティ性を向上させ、目的地から離れていれば第1鍵情報と第2鍵情報の送信周期を遅くし、前記管理サーバ3への負担を軽減させる等、該管理サーバ3の運用効率の向上を図ることができる。
【0090】
尚、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することができる。
【0091】
例えば、上述した実施例では、前記施設5の前記通信装置29が前記携帯端末2から第1鍵情報を受信し、自身が保持する第2鍵情報と照合する場合を例に挙げて説明した。然し、前記施設5の前記錠装置31が前記携帯端末2から第1鍵情報を受信する受信部を備え、前記錠装置31が、前記通信装置29が前記管理サーバ3から受信した第2鍵情報と、前記携帯端末2から受信した第1鍵情報とを照合する様に構成してもよい。
【0092】
又、上述した実施例では、前記管理サーバ3の前記目的地判別プログラム25が、複数の前記施設5から一つの前記施設5を目的地として特定する場合を例に挙げて説明した。然し、前記目的地判別プログラム25は前記距離算出プログラム24によって算出された距離が所定値以内の前記施設5をすべて目的地として判別し、前記管理サーバ3はそれら複数の前記施設5に対してそれぞれ第2鍵情報を送信する様に構成してもよい。尚、その場合、前記施設5毎に異なる第2鍵情報を送信し、前記携帯端末2にはそれぞれの第2鍵情報に対応した複数の第1鍵情報を送信してもよい。
【0093】
更に、上述した実施例では、一つの前記管理エリア4内に複数の前記施設5が存在する場合を例に挙げて説明した。然し、本発明はこれに限定されるものではなく、一つの前記施設5を中心に一つの前記管理エリア4が設定されていてもよい。この場合、前記管理サーバ3の目的地判別プログラム25は複数の前記管理エリア4の前記施設5の中から最も近い一つの前記施設5を目的地として判別してもよいし、上述した様に複数の前記施設5を目的地として判別してもよい。
【0094】
尚、前記管理サーバ3の前記位置照合プログラム23の判別は、位置情報(座標情報)に基づいて前記管理エリア4内であるか否かを判別してもよいし、前記距離算出プログラム24によって予め算出された距離に応じて前記管理エリア4内であるか否かを判別してもよい。
【0095】
又、上述した図9のSTEP:43に於ける前記管理エリア4内か否かの判別結果に応じて、前記携帯端末2から位置情報を取得する周期を変更してもよい。例えば、前記管理エリア4外である場合の第1周期と、前記管理エリア4内である場合の第1周期よりも短い第2周期とを予め記憶し、STEP:43の判別結果に応じて、その後の周期を変更してもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 鍵情報提供システム
2 携帯端末
3 管理サーバ
4 管理エリア
5 施設
7 GPS装置
8 無線部
13 記憶部
16 無線部
21 記憶部
29 通信装置
31 錠装置
32 無線部
38 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置検出機能を有する無線通信装置と、錠の解錠又は施錠処理を行う錠装置に接続された通信装置と、該通信装置を内包する管理エリアを管理する管理サーバとを具備し、該管理サーバは前記無線通信装置から取得した位置情報に基づき、前記無線通信装置を前記管理エリア内に検出すると、前記無線通信装置と前記通信装置のそれぞれに対応する鍵情報を送信し、前記通信装置が前記管理サーバから受信した鍵情報と対応する鍵情報を前記無線通信装置から受信することで前記錠装置が解錠又は施錠処理を行うことを特徴とする鍵情報提供システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−226435(P2010−226435A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71538(P2009−71538)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】