説明

鍵盤装置

【課題】鍵と連動するハンマによって打弦するハンマアセンブリと、ハンマの回動動作を演奏情報として検出可能なセンサとを備える鍵盤装置において、例えば整調作業やハンマアセンブリの交換作業などが実施される際に、ハンマアセンブリ近傍に配設されたセンサを取り外さなくてもよい鍵盤装置を提供する。
【解決手段】シャッタ151はバット31とキャッチャ41との間に配設されており、シャッタ検出部130の回動部材121は、その下端が軸受部を介して、センタレール91に取り付けられた固定部材101に対して回動可能に支持されている。また、回動部材121の上端には、複数組のセンサ135及びセンサ136が取り付けられており、回動部材121が回動されることによって、シャッタ151の回動を検出する位置から整調作業やハンマアセンブリ20の交換作業などの際に退避する位置に複数組のセンサ135及びセンサ136が移動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍵と連動するハンマによって打弦するハンマアセンブリと、ハンマの回動動作を演奏情報として検出可能なセンサとを備える鍵盤装置に関し、特に鍵盤装置の整調作業を容易化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鍵と連動するハンマによって打弦するハンマアセンブリと、ハンマの回動動作を演奏情報として検出可能なセンサとを備える鍵盤装置が知られている。例えば、鍵盤装置のハンマアセンブリの近傍に配設され、ハンマに設けられたシャッタの回動動作の所定角度に対応してオン・オフするセンサを備えた鍵盤装置がある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ところで、上述のハンマアセンブリを備える鍵盤装置においては、打弦されて発せられた音の調子を整えるための整調作業が定期的に実施される。
このような鍵盤装置の整調作業、例えば音の長さを整調する作業は、弦を押さえる制振部が弦を適切に押さえるように、ダンパレバーの上端に立設され、制振部が取り付けられているダンパワイヤを曲げて調整することによって実施される。ダンパワイヤを曲げる作業は、ダンパワイヤを挟持可能な先端部を有する整調作業用の工具やドライバなどによって実施される。また、このような鍵盤装置の整調作業は、ハンマアセンブリが鍵盤装置に実装された状態で実施される。ところが、ダンパワイヤは、ハンマアセンブリ近傍に配設されたセンサよりも鍵盤装置の後方の位置に配設されている。そのため、例えば整調作業用の工具の先端部が鍵盤装置の前方からダンパワイヤの方へ略水平に移動される際に、整調作業用の工具がハンマアセンブリの近傍に配設されたセンサに当たり、整調作業用の工具の先端部がダンパワイヤの位置まで移動できないことがある。そこで、このような鍵盤装置の整調作業が実施される際には、ハンマアセンブリ近傍に配設されたセンサが、一旦ハンマアセンブリ近傍から取り外されることがあった。
【0004】
また、このような鍵盤装置においては、上述したハンマアセンブリに損傷が発生した際には、ハンマアセンブリを交換するための交換作業が実施される。このハンマアセンブリの交換作業は、損傷のあるハンマアセンブリが鍵盤装置から上方へ取り出され、損傷のないハンマアセンブリが鍵盤装置へ上方から元の位置に取り付けられることによって実施される。そのため、ハンマアセンブリが鍵盤装置から上方へ取り出される際に、ハンマアセンブリを構成するキャッチャがハンマアセンブリ近傍に配設されたセンサに当たり、ハンマアセンブリが上方へ移動できないことがある。そこで、このような鍵盤装置のハンマアセンブリの交換作業が実施される際にも、ハンマアセンブリ近傍に配設されたセンサが、一旦ハンマアセンブリ近傍から取り外されることがあった。
【0005】
特許文献1:
【特許文献1】特開平2−1602929号公報(第3頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような鍵盤装置の整調作業及びハンマアセンブリの交換作業が実施される際には、ハンマアセンブリ近傍に配設されたセンサが、一旦ハンマアセンブリから取り外されるので、センサを備えていない鍵盤装置の整調作業と比較すると、センサを備えている鍵盤装置の方が整調作業に要する時間が長かった。
【0007】
また、このような鍵盤装置の整調作業終了後、及びハンマアセンブリの交換作業終了後に、ハンマアセンブリから取り外されたセンサを元の位置に戻す際には、ハンマに設けられたシャッタとの相対位置を調整するためにセンサの取り付け位置を調整する作業が発生するので、さらに作業に要する時間が長くなるという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、鍵と連動するハンマによって打弦するハンマアセンブリと、ハンマの回動動作を演奏情報として検出可能なセンサとを備える鍵盤装置において、例えば整調作業やハンマアセンブリの交換作業などが実施される際に、ハンマアセンブリ近傍に配設されたセンサを取り外さなくてもよい鍵盤装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した問題点を解決するためになされた本発明の鍵盤装置(1:なお、この欄においては、発明に対する理解を容易にするため、必要に応じて「発明を実施するための最良の形態」欄において説明した構成要素を括弧内に示すが、この記載によって特許請求の範囲を限定することを意味するものではない。)は、鍵(95)が揺動する際にその揺動軸と略平行な回動軸(34)を中心として回動可能なバット(31)、バットの上部にその下端が連結され、バットの回動に伴って回動し、弦(11)を打撃可能なハンマ(21)、及びバットの前部にキャッチャシャンク(42)を介して固定されたキャッチャ(41)を有するハンマアセンブリ(20)と、バットの後方に位置し、弦を制振する制振部(75)をダンパワイヤ(73)を介して下方から支持する長尺状のダンパレバー(71)とを備えている。
【0010】
また、鍵盤装置は、バットとキャッチャとの間に配設され、バットまたはキャッチャの少なくともいずれか一方に固定され、バットの回動に伴って回動する被検出体(151)と、被検出体が近接する際にその旨を示す信号を出力可能なセンサ(135,136)と、バットの回動に伴って回動する被検出体と近接可能な位置である検出位置にセンサを支持可能な支持手段(130)とを備える。
【0011】
そして、支持手段は、棒状の物体の先端を鍵盤装置の前方からダンパワイヤに向けて略水平に移動させる際にセンサと干渉せず、且つハンマアセンブリを鍵盤装置から略上方へ取り出す際または鍵盤装置へ略上方から取り付ける際にセンサと干渉しない領域内に設定された位置である退避位置と検出位置との間でセンサを移動可能に構成されている。
【0012】
このように構成された鍵盤装置によれば、次のような作用効果を奏する。すなわち、支持手段は、バットの回動に伴って回動する被検出体が近接する際にその旨を示す信号を出力可能なセンサを、バットの回動に伴って回動する被検出体と近接可能な位置である検出位置に支持する。また、支持手段は、棒状の物体の先端を鍵盤装置の前方からダンパワイヤに向けて略水平に移動させる際に干渉せず、且つハンマアセンブリを鍵盤装置から略上方へ取り出す際または鍵盤装置へ略上方から取り付ける際に干渉しない領域内に設定された位置である退避位置と検出位置との間でセンサを移動可能に構成されている。よって、例えばハンマの回動動作を演奏情報として検出する際には、バットの回動に伴って回動する被検出体が近接する際にその旨を示す信号を出力可能なセンサが、支持手段によってバットの回動に伴って回動する被検出体と近接可能な位置である検出位置に支持されるとよい。そして、鍵盤装置において、例えば整調作業やハンマアセンブリの交換作業などが実施される際には、支持手段によって棒状の物体の先端を鍵盤装置の前方からダンパワイヤに向けて略水平に移動させる際に干渉せず、且つハンマアセンブリを鍵盤装置から略上方へ取り出す際または鍵盤装置へ略上方から取り付ける際に干渉しない領域内に設定された位置である退避位置にセンサが移動されるとよい。以下、具体的に説明する。
【0013】
鍵盤装置の整調作業、例えば音の長さを整調する作業が実施される際には、上述の[背景技術]欄で説明したように、例えば整調作業用の工具などの棒状の物体の先端部が鍵盤装置の前方からハンマアセンブリの近傍に配設されたセンサよりも鍵盤装置の後方の位置に配設されているダンパワイヤの方へ略水平に移動されるので、センサがハンマアセンブリの近傍に配設されていると棒状の物体の先端部がセンサに当たり、棒状の物体の先端部がダンパワイヤの位置まで移動できないことがある。そこで、鍵盤装置の整調作業が実施される際には、支持手段によって棒状の物体の先端を鍵盤装置の前方からダンパワイヤに向けて略水平に移動させる際に干渉しない領域内に設定された位置である退避位置にセンサが移動されるとよい。
【0014】
ハンマアセンブリの交換作業が実施される際には、上述の[背景技術]欄で説明したように、損傷のあるハンマアセンブリが鍵盤装置から上方へ取り出されるので、センサがハンマアセンブリの近傍に配設されているとハンマアセンブリがセンサに当たり、ハンマアセンブリが上方へ移動できないことがある。そこで、ハンマアセンブリの交換作業が実施される際には、支持手段によってハンマアセンブリを鍵盤装置から略上方へ取り出す際または鍵盤装置へ略上方から取り付ける際に干渉しない領域内に設定された位置である退避位置にセンサが移動されるとよい。
【0015】
このことにより、鍵盤装置において、例えば整調作業やハンマアセンブリの交換作業などが実施される際には、センサが退避位置に移動されることによって、センサがハンマアセンブリから取り外されることがない。また、このような鍵盤装置の整調作業終了後、及びハンマアセンブリの交換作業終了後に、ハンマアセンブリから取り外されたセンサを元の位置に戻す際には、センサを検出位置へ移動させることによって、ハンマに設けられたシャッタとの相対位置を調整するためにセンサの取り付け位置を調整する作業が発生しない。
【0016】
したがって、このように構成された鍵盤装置によれば、例えば整調作業やハンマアセンブリの交換作業などが実施される際に、センサがハンマアセンブリから取り外されることがないので、センサがハンマアセンブリから取り外されることのある鍵盤装置と比較して、整調作業やハンマアセンブリの交換作業などに要する時間を短くすることができる。
【0017】
退避位置の具体例として、請求項2に記載のように、ダンパレバーの上端を含む略水平面よりも下方、且つキャッチャの前端を含む左右方向と略平行な略垂直面よりも前方の領域内に設定された位置が挙げられる。
【0018】
このように構成された鍵盤装置によれば、例えば整調作業やハンマアセンブリの交換作業などが実施される際には、支持手段によってダンパレバーの上端を含む略水平面よりも下方、且つキャッチャの前端を含む左右方向と略平行な略垂直面よりも前方の領域内に設定された位置である退避位置にセンサが移動されるとよい。鍵盤装置の整調作業が実施される際には、ダンパワイヤが上述の[背景技術]欄で説明したように、ダンパレバーの上端に立設されているので、センサがダンパレバーの上端を含む略水平面よりも下方の領域内に設定された位置である退避位置に移動されると、例えば整調作業用の工具などの棒状の物体の先端部がセンサに当たらないので、棒状の物体の先端部がダンパワイヤの位置まで移動できる。また、ハンマアセンブリの交換作業が実施される際には、ハンマアセンブリを構成するキャッチャが上述の[背景技術]欄で説明したように、センサに当たるが、センサがキャッチャの前端を含む左右方向と略平行な略垂直面よりも前方の領域内に設定された位置である退避位置に移動されると、ハンマアセンブリを構成するキャッチャがセンサに当たらないので、ハンマアセンブリが上方へ移動できる。したがって、このように構成された鍵盤装置によれば、請求項1と同様の効果を奏する。
【0019】
上述の支持手段は、センサが固定された回動部材と、センサが退避位置から検出位置へ移動した際に、センサが固定された回動部材の一方向の回動を停止させる検出時停止部材を有するとよい。
【0020】
具体的には、請求項3に記載のように、支持手段は、センサが固定され、バットの回動軸に略平行な回動軸(121c)を中心として回動可能な回動部材(121)と、回動部材の一方向への回動に伴って、センサが退避位置から検出位置へ移動した際に、回動部材の一方向への回動を停止させる検出時停止部材(101)とを有するとよい。
【0021】
このように構成された鍵盤装置によれば、回動部材の一方向への回動に伴って、バットの回動軸に略平行な回動軸を中心として回動可能な回動部材に固定されたセンサが退避位置から検出位置へ移動した際に、検出時停止部材によって回動部材の一方向への回動が停止される。よって、例えば鍵盤装置の整調作業終了後、及びハンマアセンブリの交換作業終了後に、センサが退避位置から検出位置へ移動した際に、センサが検出位置で停止される。ところで、センサが検出位置で停止されない場合には、センサを検出位置に位置決めするための調整作業が発生する。それに対して、このように構成された鍵盤装置によれば、センサが検出位置で停止されるので、センサを検出位置に位置決めするための調整作業が発生しない。したがって、センサが検出位置で停止されない場合と比較して、例えば整調作業やハンマアセンブリの交換作業などに要する時間を短くすることができる。
【0022】
また、支持手段は、請求項4に記載のように、さらに、回動部材の他方向への回動に伴って、センサが検出位置から退避位置へ移動した際に、回動部材の他方向への回動を停止させる退避時停止部材を有するとよい。
【0023】
このように構成された鍵盤装置によれば、例えば整調作業開始前やハンマアセンブリの交換作業開始前などに、センサが検出位置から退避位置へ移動した際に、センサが退避位置で停止される。ところで、センサが退避位置で停止されない場合には、例えば作業者によってセンサを退避位置に停止させておく作業が発生する。それに対して、このように構成された鍵盤装置によれば、センサが退避位置で停止されるので、センサを退避位置に停止させておく作業が発生しない。したがって、このように構成された鍵盤装置によれば、センサが退避位置で停止されない場合と比較して、例えば整調作業やハンマアセンブリの交換作業などに要する時間を短くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本実施形態は本発明に係る鍵盤装置を、いわゆるアップライトピアノに適用したものであり、以下、本実施形態について図面を用いて説明する。
[アップライトピアノ1の構成の説明]
図1は、本発明に係る鍵盤装置としてのアップライトピアノ1の要部側断面図である。なお、以下の説明において特に断り書きのない場合には、鍵95の演奏者に近い側(図1の右方向)を「前」、演奏者から遠ざかる側(図1の左方向)を「後」、上側(図1の上方向)を「上」、下側(図1の下方向)を「下」、図1の紙面に垂直な方向を「左右方向」として説明する。
【0025】
図1に示すアップライトピアノ1の棚板(図示せず)には、左右方向に並んだ多数の鍵95(白鍵95a及び黒鍵95bを各1つのみ図示)を有する鍵盤96、及び多数の鍵95の数量と同じ数量のアクション2が載置されている。各アクション2は、各鍵95に対応するように設けられている。このアクション2については、後で説明する。
【0026】
また、図1に示すアップライトピアノ1の棚板には、鍵盤96の全幅に亘って左右方向に延在するセンタレール91が固定され、そのセンタレール91の全長に亘って左右方向に延在するハンマレール23が載置されている。以下、センタレール91、ハンマレール23の順に説明する。
【0027】
センタレール91は、鍵盤96の全幅に亘って左右方向に延びている長尺部材である。また、センタレール91は、左右方向の数箇所でブラケット92によって棚板に固定されている。
【0028】
センタレール91の上面には、ダンパフレンジ76が固定されている。そして、ダンパフレンジ76の後端部には、上下方向に延在する長尺状のダンパレバー71がピン77を介して回動可能に取り付けられている。このダンパレバー71の上端には、ダンパワイヤ73が上方に向けて立設されている。ダンパワイヤ73の上端部には、ダンパヘッド74が固定されている。このダンパヘッド74には制振部75が取り付けられている。
【0029】
また、センタレール91の上端部にはバットフレンジ33が固定され、センタレール91の下端部にはウイペンフレンジ53が固定されている。なお、バットフレンジ33、及びウイペンフレンジ53については、後で説明する。
【0030】
ハンマレール23は、センタレール91の全長に亘って左右方向に延びている長尺部材である。また、ハンマレール23は、ブラケット92に形成されている支持孔92aにその一端が回動可能に支持され、その他端がハンマレール23の左右方向の数箇所で固定されている複数のハンマレールフォーク25を介してぺダル(図示せず)が操作されることにより反時計回り方向(図1の矢印A方向)または時計回り方向へ回動可能に構成されている。
【0031】
次に、アクション2は、図1に示すように、ウイペン51、ジャック81、バット31、キャッチャ41、ハンマ21、及びダンパレバー71を有する。以下、ウイペン51、ジャック81、バット31、キャッチャ41、ハンマ21、ダンパレバー71の順に説明する。
【0032】
ウイペン51は、前後方向に延在した板状の部材である。また、ウイペン51は、センタレール91の下端部に固定されたウイペンフレンジ53にピン54を介して回動可能に取り付けられている。
【0033】
ウイペン51の前端部の上面には、前方側から順番にブライドルワイヤ69とバックチェック61とが固定され、さらにウイペン51の前端部の上面におけるバックチェック61の後方には、ジャックスプリング86の一端が取り付けられている。このジャックスプリング86については、後で説明する。
【0034】
ウイペン51の前後方向の前端部側の下端には、ウイペンヒール52が設けられている。そして、ウイペンヒール52の下面は、キャプスタン55によって支持されている。
ウイペン51の前後方向のほぼ中央部の上面には、上方へ向けて突出するジャックフレンジ82が固定されている。そして、ジャックフレンジ82には、ピン83を介してジャック81が回動可能に取り付けられている。このジャック81については、後で説明する。また、ウイペン51の前後方向の後端部側には、ダンパスプーン78が取り付けられている。
【0035】
ダンパスプーン78は、押鍵によりウイペン51が反時計回り方向へ回動すると、ダンパレバー71をダンパレバースプリング72の付勢力に抗して時計回り方向に回動させダンパの制振部75を弦11から離間させる機能を有する。
【0036】
ジャック81は、略L字状の部材であり、前方側の斜め上方に向けて延在する長尺状のジャック大84とこのジャック大84にほぼ直交しジャック大84より短いジャック小85とから構成されている。そして、ジャック81は、ジャック大84の上端面がバット31の下面を覆うバットスキン37に当接するように構成されている。また、上述のようにジャックスプリング86の一端がウイペン51に取り付けられているが、ジャックスプリング86の他端がジャック小85に取り付けられている。よって、ジャック81はジャックスプリング86によって常に反時計回り方向に回動するように付勢されている。
【0037】
バット31は、センタレール91の上部に固定されたバットフレンジ33に、そのバットフレンジ33の設けられたピン34を介して時計回り方向または反時計回り方向に回動可能に取り付けられている。また、バット31には、前方側の斜め上方に向けて延在するハンマシャンク22とハンマシャンク22にほぼ直交する方向に延在するキャッチャシャンク42とが固定されている。そして、キャッチャシャンク42の先端部にはキャッチャ41が固定されている。また、バット31の後方には、バット31を常に時計回り方向に付勢するバットスプリング32が取り付けられている。このバットスプリング32は、打弦後のハンマ21を再び弦11に接触しないようにするものである。このバット31及びキャッチャ41については、[バット31及びキャッチャ41の構成の説明]欄において詳細に説明する。また、バット31とキャッチャ41との間には、バット31とともに回動するシャッタ151が、バット31とキャッチャ41とに固定されている。そして、シャッタ151の回動を検出するためのセンサ135及びセンサ136を有するシャッタ検出部130が、センタレール91に実装されている。このシャッタ151及びシャッタ検出部については、[シャッタ151及びシャッタ検出部130の構成の説明]欄において詳細に説明する。
【0038】
ハンマ21は、バット31に固定されたハンマシャンク22の先端部に取り付けられている。ハンマシャンク22は、押鍵されない静止状態ではハンマレール23に取り付けられたハンマレールクロス24に当接している。ハンマシャンク22が反時計回り方向に回動するとハンマ21は弦11を打撃し打弦音が発生する。
【0039】
ダンパレバー71は、ダンパフレンジ76に設けられたピン77周りに回動可能にダンパフレンジ76に支持されている。ダンパレバー71は、一端がダンパフレンジ76に取り付けられ、他端がダンパレバー71に取り付けられたダンパレバースプリング72によって反時計回り方向に付勢されている。これにより、押鍵によって弦11から離間されたダンパの制振部75が押鍵状態から解除されるにしたがって弦11を制振することで打弦音の長さが決められるとともに、通常はダンパの制振部75が弦11を押さえて、他の弦が打弦されたときの弦11の共振を防止している。
【0040】
ハンマアセンブリ20は、図1に示すように、ハンマ21、ハンマシャンク22、バット31、キャッチャ41、及びキャッチャシャンク42などから構成される。また、ハンマアセンブリ20は、ジャック81の突き上げに連動してハンマ21の打弦に導く伝達部としての機能を有している。
【0041】
なお、本実施形態においては、シャッタ151が「被検出体」に相当し、センサ135及びセンサ136が「センサ」に相当し、シャッタ検出部130が「支持手段」に相当する。
【0042】
[バット31及びキャッチャ41の構成の説明]
次に、バット31及びキャッチャ41の構成について詳細に説明する。図4(a)はバット31とキャッチャ41とを示す斜視図である。なお、以下の説明においては、バット31に対してハンマシャンク22が取り付けられている側(図4(a)の上方向)を「上」とし、その反対側(図4(a)の下方向)を「下」、バット31に対してキャッチャシャンク42が取り付けられている側(図4(a)の前方向)を「前」とし、その反対側(図4(a)の後方向)を「後」とし、「左右方向」については、図1の「左右方向」と同じ方向として説明する。以下、バット31、キャッチャ41の順に説明する。
【0043】
バット31は、図4(a)に示すように、その断面形状が略五角形をなす柱状体であり、ハンマシャンク22が取り付けられている平面状の水平面31aがその上部に形成され、キャッチャシャンク42が取り付けられている平面状の垂直面31bがその前部に形成され、水平面31aと垂直面31bとに連続する平面状の傾斜面31cが形成され、バット31の垂直面31bに連続し、前側から後側へ緩やかに下降傾斜する斜面31dがその下部に形成されている。この斜面31dには、バットスキン37が取り付けられている。そして、上述のように、この斜面31dに取り付けられたバットスキン37にジャック大84の上端面が当接する。また、バット31は、平板部31eがその後部の下端に形成されている。この平板部31eは、バット31の後部の下端の左右方向の略中央部と、斜面31dの後端の左右方向の略中央部とに連続して下方へ延在し、略矩形の板状をなしている。また、平板部31eは、その板状の両面が左右方向と略垂直な面として形成されている。さらに、平板部31eの略中央部には左右方向に中心を有する貫通孔31fが形成されている。また、この貫通孔31fは、貫通孔31fにセンタレール91の上部に固定されたバットフレンジ33に設けられたピン34が挿通される際に、バット31が回動可能なように形成されている。
【0044】
バット31は、そのバット31に設けられた貫通孔31fに、センタレール91の上部に固定されたバットフレンジ33に設けられたピン34が挿通されることによって、バットフレンジ33に時計回り方向または反時計回り方向にピン34を中心として回動可能に支持される。そして、バット31は、押鍵によりウイペン51が反時計回り方向に回動すると、ウイペン51に支持されたジャック大84により突き上げられ、反時計回り方向に回動されるとバット31に固定されたハンマ21が反時計回り方向に回動し弦11を打撃させる機能を有する。
【0045】
キャッチャ41は、図4(a)に示すように、略直方体のブロック体であり、キャッチャシャンク42の先端部に固定されている平面状の垂直面41aがその後部に形成され、垂直面41aに連続する平面状の水平面41bがその上部に形成され、水平面41bに連続する平面状の前面41cがその前部に形成され、キャッチャ41の前面41cに連続し、前側から後側へ緩やかに下降傾斜する斜面41dがその下部に形成されている。この斜面41dには、キャッチャスキン47が取り付けられている。このキャッチャスキン47は、打弦後のキャッチャ41が時計方向回りに回動しながらバックチェック61に弾性的に受け止められる際に、キャッチャ41がバックチェック61に滑らかに当接するように形成されている。そして、キャッチャ41は、打弦後のハンマ21が回動復帰する際に、キャッチャ41が時計方向回りに回動しながらバックチェック61に弾性的に受け止められることによって、ハンマ21の回動復帰の衝撃を吸収させる機能を有する。
【0046】
[シャッタ151及びシャッタ検出部130の構成の説明]
次に、シャッタ151及びシャッタ151の回動を検出するためのシャッタ検出部130の構成について説明する。図2(a)はセンサ135及びセンサ136が検出位置に存在する状態を示す要部側断面図であり、図2(b)はセンサ135及びセンサ136が退避位置に存在する状態を示す要部側断面図である。また、図3(a)はセンサ135及びセンサ136が検出位置に存在する状態を示す要部斜視図であり、図3(b)はセンサ135及びセンサ136が退避位置に存在する状態を示す要部斜視図である。さらに、図4(a)はバット31とキャッチャ41とを示す斜視図であり、図4(b)はバット31とキャッチャ41とに固定されているシャッタ151を示す斜視図であり、図4(c)はセンサ135及びセンサ136を示す斜視図であり、図4(d)は図2(a)におけるC矢視図である。なお、図4(a)、及び図4(b)の説明においては、バット31に対してハンマシャンク22が取り付けられている側(図4(a)の上方向)を「上」とし、その反対側(図4(a)の下方向)を「下」、バット31に対してキャッチャシャンク42が取り付けられている側(図4(a)の前方向)を「前」とし、その反対側(図4(a)の後方向)を「後」とし、「左右方向」については、図1の「左右方向」と同じ方向として説明する。以下、シャッタ151、シャッタ検出部130の順に説明する。
【0047】
シャッタ151は、例えばポリアセタール、ナイロンなどの合成樹脂からなり、図4(b)に示すように、略三角形の板状に形成されているシャッタ本体151aを有する。シャッタ151は、シャッタ本体151aの板状の平面151bが左右方向と略垂直な面となり、且つシャッタ本体151aの三つの側面中、一つの側面151cが前方側の斜め上方を向く姿勢に配置されている。そして、シャッタ151は、シャッタ本体151aの側面151cにおける後端部分から前方側の斜め上方に向けて延出された略扇形の板状の被検出部151d、シャッタ本体151aの下部の後端部分に略半筒状に形成されたバット固定部151e、及びシャッタ本体151aの下部の前端部分に略半筒状に形成されたキャッチャ固定部151fを有している。シャッタ本体151aは、その被検出部151dからバット固定部151e、及びキャッチャ固定部151fの両方向へ位置が変化するにしたがってその板状の厚さが連続的に増大するように形成されている。
【0048】
バット固定部151eは、その内腔がバット31の傾斜面31cの一部、バット31の垂直面31bの一部、及び傾斜面31cと垂直面31bとに連続するバット31の両端面の一部の外形(図4(a)参照)に沿って形成されている。
【0049】
キャッチャ固定部151fは、その内腔がキャッチャ41の垂直面41aの一部、キャッチャ41の水平面41bの一部、及び垂直面41aと水平面41bとに連続するキャッチャ41の両端部の一部の外形(図4(a)参照)に沿って形成されている。
【0050】
次に、バット31とキャッチャ41とにシャッタ151を取り付ける方法について説明する。
まず、バット固定部151eの内腔とキャッチャ固定部151fの内腔とに例えば樹脂系などの接着剤が塗布される。シャッタ151は、図4(b)に示すように、そのバット固定部151eの内腔がバット31の傾斜面31cの一部、バット31の垂直面31bの一部、及び傾斜面31cと垂直面31bとに連続するバット31の両端面の一部に当接するように押し付けられる。そして、シャッタ151は、そのキャッチャ固定部151fの内腔がキャッチャ41の垂直面41aの一部、キャッチャ41の水平面41bの一部、及び垂直面41aと水平面41bとに連続するキャッチャ41の両端部の一部に当接するように押し付けられることによってバット31とキャッチャ41との間に配設され、バット31とキャッチャ41とに固定される。
【0051】
シャッタ151は、バット31とともに時計回り方向または反時計回り方向に回動する。シャッタ151は、その回動中心である貫通孔31fの中心から被検出部151dまでの距離が、図4(b)に示すように、貫通孔31fの中心からシャッタ本体151a、バット固定部151e、及びキャッチャ固定部151fまでの距離よりも大きくなるように構成されている。
【0052】
シャッタ検出部130は、図2(a)に示すように、センタレール91の前端部に固定されている左側の固定部材101、右側の固定部材(図示せず)、左側の固定部材101に回動可能に支持された左側の回動部材121、右側の固定部材に回動可能に支持された右側の回動部材(図示せず)、左側の回動部材121と右側の回転部材とによって固定されたセンサ基板131、及びこのセンサ基板131に実装されシャッタ151の回動を検出するためのセンサ135及びセンサ136を有する。以下、左側の固定部材101、右側の固定部材、左側の回動部材121、右側の回動部材、センサ基板131、センサ135及びセンサ136の順に説明する。
【0053】
左側の固定部材101は、例えば金属製の板材などの剛性の高い材料からなり、図3(a)及び図3(b)に示すように、上下方向に延在する略矩形状の平板部101dと、その平板部101dの一辺の縁から略垂直に立ち上がった略矩形状の2つの固定部101e及び固定部101fと、前記一辺の縁と略平行な他辺の縁から固定部101eの立ち上げ方向と逆方向へ略垂直に立ち上がった略矩形状の軸受固定部101g及び停止部101aとを有する。また、軸受固定部101gには左右方向に2つの雌ネジ部(図示せず)が形成され、停止部101aには雌ネジ部101bが形成され、固定部101e及び固定部101fにはそれぞれ雄ネジ部を挿入する貫通穴(図示せず)が形成されている。さらに、センタレール91の前端部の左側には、左側の固定部材101の固定部101e及び固定部101fにそれぞれ設けられた貫通穴に連通する雌ネジ部(図示せず)が、左側の固定部材101をセンタレール91に取り付ける際に、ボルト(図示せず)の雄ネジ部が螺合されるように形成されている。そして、左側の固定部材101は、その固定部101e及び固定部101fそれぞれの面が垂直になるとともにセンタレール91の前端部の左側に対向するような姿勢で保持され、ボルトの雄ネジ部を、固定部101e及び固定部101fそれぞれに形成されている貫通孔に挿通して、センタレール91の雌ネジ部と螺合されることによって、センタレール91の前端部の左側に取り付けられる。なお、左側の固定部材101は、左右方向に隣接するアクション2の左右方向の隙間寸法が左側の固定部材101の左右方向の幅寸法より大きい位置において、センタレール91の前端部の左側に取り付けられている。
【0054】
軸受部106は、例えば金属製の材料または樹脂成形品などの剛性の高い材料からなり、図3(a)及び図3(b)に示すように、左右方向に中心を有する円筒部106aと、この円筒部106aの外面から接線方向へ突出するとともに円筒部106aの全長に亘って左右方向に延びている略矩形状の平板部106bとを有する。この平板部106bには、左側の固定部材101の軸受固定部101gに形成された2つの雌ネジ部に連通するネジ孔(図示せず)が、軸受部106を左側の固定部材101の軸受固定部101gに取り付ける際に、ボルト(図示せず)の雄ネジ部が挿通されるように形成されている。そして、軸受部106は、その平板部106bの面が垂直になるとともに左側の固定部材101の軸受固定部101gに対向するような姿勢で保持され、2つのボルト108の雄ネジ部を、平板部106bに形成されているネジ孔に挿通して、左側の固定部材101の軸受固定部101gに形成された2つの雌ネジ部と螺合されることによって、左側の固定部材101の軸受固定部101gに取り付けられる。
【0055】
右側の固定部材は、左側の固定部材101と左右対称の形状を有し、その形状を除いた構成が左側の固定部材101と同じ構成を有している。また、センタレール91の前端部の右側には、右側の固定部材をセンタレール91の前端部に取り付けるための雌ネジ部が、左側の固定部材101をセンタレール91の前端部に取り付けるための雌ネジ部と同じ構成で形成されている。そして、右側の固定部材は、上述の左側の固定部材101と同様にボルト(図示せず)によってセンタレール91の前端部の右側に取り付けられる。また、右側の固定部材には、軸受部106が、上述の左側の固定部材101と同様にボルト(図示せず)によって取り付けられる。
【0056】
左側の回動部材121は、例えば金属製の板材などの剛性の高い材料からなり、図3(a)に示すように、センサ135及びセンサ136が検出位置に存在する状態では上下方向に延在する下平板部121eと、この下平板部121eから斜め上方に向けて延在する上平板部121fと、下平板部121eの一辺の縁の上方から略垂直に立ち上がった略矩形状の当接部121a(図3(b)参照)と、上平板部121fの上辺の縁から略垂直に立ち上がった略矩形状の基板固定部121g(図3(a)参照)とを有している。そして、当接部121aの略中央の上部には、左側の固定部材101の停止部101aに形成された雌ネジ部101bに連通するネジ孔121b(図3(b)参照)が、左側の回動部材121の当接部121aを左側の固定部材101の停止部101aに取り付ける際に、ボルト109の雄ネジ部が挿通されるように形成されている。また、基板固定部121gには、上平板部121fの上辺の縁に略平行に二つの雌ネジ部(図示せず)が形成されている。さらに、左側の回動部材121の下平板部121eの下方端近傍には、当接部121aの立ち上げ方向と逆反対へピン121cが立設されている。このピン121cは、その外径寸法が軸受部106の円筒部106aの内径寸法より小さく、その軸方向の長さ寸法が軸受部106の円筒部106aの全長寸法より小さく形成されている。そして、左側の回動部材121は、その下平板部121eが鉛直になるような姿勢で保持され、そのピン121cの先端を軸受部106の円筒部106aの内部に右方向から左方向へ挿入し、且つボルト109の雄ネジ部を、その当接部121aに形成されているネジ孔121bに挿通して、左側の固定部材101の停止部101aに形成された雌ネジ部と螺合されることによって、左側の固定部材101に取り付けられる。
【0057】
右側の回動部材は、左側の固定部材101と左右対称の形状を有し、その形状を除いた構成が左側の回動部材121と同じ構成を有している。そして、右側の回動部材は、そのピンの先端を軸受部106の円筒部106aの内部に左方向から右方向へ挿入し、上述の左側の回動部材121と同様にボルト(図示せず)によって、右側の固定部材に取り付けられる。
【0058】
センサ基板131は、例えばエポキシ樹脂などで形成された略長方形状の平板からなるプリント基板である。センサ基板131には、抵抗器、コンデンサ、トランジスタ、ICなどの電子部品(図示せず)が有する端子それぞれを挿通可能な複数の孔(図示せず。以下、スルーホールとも称する)が形成されており、その実装面131aには、上述の電子部品がはんだ付けによって実装されている。また、センサ基板131の実装面131aには、一つのセンサ135と一つのセンサ136とが一組となって一つのシャッタ151の回動を検出するように、その長手方向に複数組のセンサ135及びセンサ136が並んで実装されている。さらに、センサ基板131の長手方向の両端近傍には、その短手方向にそれぞれ二つの貫通孔(図示せず)が、センサ基板131を左側の回動部材121の基板固定部121g及び右側の回動部材の基板固定部(図示せず)に取り付ける際に、ボルト133の雄ネジ部が挿通されるように形成されている。
【0059】
センサ135は、図4(c)に示すように、略コの字形状をなし、発光部135a、接続部135b、及び受光部135cを有する。発光部135aは、略四角柱状に形成され、その一面をなしている側面(以下、発光面135dとも称する)から例えば赤外線などの光を発する発光ダイオードなどの発光素子135eを収容する。接続部135bは、略四角柱状に形成され、発光部135aの端部からその軸心に略垂直方向であるとともに発光素子135eが発する光の方向に沿って延在する。受光部135cは、略四角柱状に形成され、接続部135bの端部から発光部135aと略平行に延在する。また、受光部135cは、発光部135aの発光面135dに対向する面(以下、受光面135fと称する)を有するように形成され、その受光面135fより発光素子135eから発せられた光(以下、光軸とも称する)を受けると電気的な出力値を発生する例えばフォトトランジスタなどの受光素子135gを収容する。そして、センサ135は、図4(d)に示すように、その発光面135dと受光面135fとの距離寸法L(図中に「L」で示す)がシャッタ151の被検出部151dの板厚寸法T(図中に「T」で示す)より大きく形成されている。具体的には、シャッタ151が回動する際に、その被検出部151dがセンサ135に当接しないように十分な距離を想定してセンサ135の発光面135dと受光面135fとの距離寸法Lが設定されている。また、センサ135は、発光部135aの発光素子135eに接続されるとともに発光部135aの軸心方向へ接続部135bの外面から突出する2本の端子と、受光部135cの受光素子135gに接続されるとともに受光部135cの軸心方向へ接続部135bの外面から突出する2本の端子とを有している。そして、センサ136は、センサ135と同様の構成を有している。
【0060】
次に、シャッタ151とシャッタ151の回動を検出するための複数組のセンサ135及びセンサ136との位置関係について説明する。
まず、センサ基板131には、図4(d)に示すように、センサ135がシャッタ151の回動を検出する際に、センサ135の発光面135dと受光面135fとが左右方向に略垂直な面となり回動するシャッタ151の被検出部151dが発光面135dと受光面135fとのほぼ中間部を回動する位置にセンサ135が実装されるように、センサ135が有する端子を挿通可能な4つのスルーホールが形成されている。また、センサ基板131には、センサ135が有する端子を挿通可能な4つのスルーホールと同様に複数組のセンサ135及びセンサ136が有する端子それぞれを挿通可能な複数のスルーホールが形成されている。そして、複数組のセンサ135及びセンサ136は、端子それぞれがセンサ基板131のスルーホールに挿入されてはんだ付けされることによって、センサ基板131の実装面131aにそれぞれ実装される。
【0061】
また、左側の回動部材121、及び右側の回動部材は、図4(d)に示すように、センサ135がシャッタ151の回動を検出する際に、シャッタ151の被検出部151dが発光面135dと受光面135fとのほぼ中間部を回動するとともに、被検出部151dがセンサ135の光軸を遮蔽できるように構成されている。さらに、左側の回動部材121、及び右側の回動部材は、図2(a)に示すように、センサ135がシャッタ151の回動を検出する際に、シャッタ151が所定角度回動すると被検出部151dがセンサ135の光軸を遮蔽できるように構成されている。
【0062】
また、複数組のセンサ135及びセンサ136は、端子それぞれがセンサ基板131のスルーホールに挿入されてはんだ付けされることによってセンサ基板131に電気的に接合されており、センサ基板131を介して演奏情報処理部(図示せず)に電気的に接続されている。そして、センサ基板131は、その実装面131aが下方へ向き水平になるとともに左側の回動部材121の基板固定部121g及び右側の回動部材の基板固定部(図示せず)に対向するような姿勢で保持され、ボルト133の雄ネジ部を、その長手方向の両端近傍に形成されている貫通孔を挿通して、左側の回動部材121の基板固定部121gに形成された雌ネジ部及び右側の回動部材の基板固定部に形成された雌ネジ部に形成された雌ネジ部と螺合されることによって、左側の回動部材121及び右側の回動部材に取り付けられる。
【0063】
そして、シャッタ検出部130は、ハンマ21の回動動作を演奏情報として検出する際には、バット31の回動に伴って回動するシャッタ151を検出する位置である検出位置(図2(a)参照)にセンサ135及びセンサ136を支持する機能を有する。また、シャッタ検出部130は、アップライトピアノ1の整調作業やハンマアセンブリ20の交換作業などが実施される際には、例えば整調作業用の工具などの棒状の物体の先端部をアップライトピアノ1の前方からダンパワイヤ73に向けて略水平に移動させる際に干渉せず、且つハンマアセンブリ20をアップライトピアノ1から略上方へ取り出す際またはアップライトピアノ1へ略上方から取り出す際に干渉しない領域内に設定された位置である退避位置にセンサ135及びセンサ136を移動する機能を有する。具体的には、この退避位置は、図2(b)に示すように、ダンパレバー71の上端を含む略水平面よりも下方(図2(b)の矢印D方向)であり、且つキャッチャ41の前端を含む左右方向と略平行な略垂直面よりも前方(図2(b)の矢印E方向)の領域内に設定された位置である。
【0064】
なお、本実施形態においては、ピン34が「回転軸」に相当し、固定部材101が「検出時停止部材」に相当する。
[アクション2の作動について]
次に、図1を参照してアクション2の作動について説明する。なお、鍵95については、アクション2に対応する一つの白鍵95aを取り上げて説明する。
【0065】
白鍵95aを下方へ押し下げる(以下、押鍵とも称する)と、白鍵95aの後端部(図1の後方端部)が上昇し、白鍵95aの後端部に固定されたキャプスタン55がウイペン51を押し上げ反時計回り方向に回動させる。ウイペン51が反時計回り方向に回動を始めると、ウイペン51に支持されたジャック大84はバット31に連結した状態でバット31を突き上げる。バット31は、反時計回り方向に回動するように駆動される。このように、押鍵によりバット31が回動を始めると、バット31に固定されたハンマ21が反時計回り方向に回動し弦11を打弦する。また、バット31に固定されたキャッチャ41も回動を始める。そして、バット31とキャッチャ41とに固定されたシャッタ151も回動を始める。
【0066】
ハンマ21が弦11を打撃した後は、ハンマ21は回動復帰し、キャッチャ41はバックチェック61に弾性的に受け止められる。押鍵持続中は、キャッチャ41はバックチェック61に保持される。
【0067】
白鍵95aが押鍵状態から解除されると、バックチェック61によるキャッチャ41の保持が緩み、図1に示すように、バックチェック61とキャッチャ41との間に隙間が生じる。そして、復鍵の間にジャック大84がバット31を突き上げ可能な位置まで戻り、次の押鍵に備える。
【0068】
押鍵されない静止状態では、センサ135は、発光部135aの発光素子135eから発せられた光を受光部135cの受光素子135gが受けて電気的な出力値を発生している(以下、「オフ状態」と称する)。上述のように押鍵され、シャッタ151が反時計回り方向に回動を始め、所定角度回動し、その被検出部151dがセンサ135の光軸を遮蔽すると、センサ135は、その受光部135cの受光素子135gが光を受けなくなり、電気的な出力値を発生しなくなる(以下、「オン状態」と称する)。センサ136も、センサ135と同様の機能を有する。このようなセンサ135及びセンサ136の「オン状態」及び「オフ状態」を、センサ135及びセンサ136に接続されている演奏情報処理部が検出する。そして、演奏情報処理部は、押鍵された際に、センサ135が「オン状態」となる時刻からセンサ136が「オン状態」となる時刻までの時間を計測し、この計測された時間と、センサ135が「オン状態」となるシャッタ151の回動角度とセンサ136が「オン状態」となるシャッタ151の回動角度との角度差と、によってハンマの回動速度を検出する。そして、演奏情報処理部は、演奏情報として検出されたハンマの回動速度に応じた発音のベロシティ(音量)を得る。
【0069】
[シャッタ検出部130の作動について]
次に、本実施形態のシャッタ検出部130の作動について、図2及び図3を参照して説明する。
【0070】
図2(a)に示すように、センサ135及びセンサ136が検出位置に存在する場合には、図3(a)に示すように、左側の回動部材121は、ボルト109の雄ネジ部が、その当接部121aに形成されているネジ孔121bに挿通して、左側の固定部材101の停止部101aに形成された雌ネジ部と螺合されることによって、左側の固定部材101に取り付けられている。また、右側の回動部材は、上述の左側の回動部材121と同様にボルト(図示せず)によって、右側の固定部材に取り付けられている。
【0071】
以下、検出位置(図2(a)参照)から退避位置(図2(b)参照)にセンサ135及びセンサ136を移動させるための作動について説明する。
まず、左側の回動部材121が、図3(a)に示すように、その下平板部121eが鉛直になるような姿勢で保持され、左側の回動部材121を左側の固定部材101に取り付けているボルト109の螺合が緩められ、ボルト109が取り外される。また、上述の左側の回動部材121と同様に右側の回動部材が保持され、右側の回動部材を右側の固定部材に取り付けているボルト(図示せず)の螺合が緩められ、ボルトが取り外される。
【0072】
そして、ハンマレール23が、ハンマレールフォーク25(図1参照)を介して反時計回り方向(図2(a)及び図2(b)の矢印A方向)へ回動され、左側の回動部材121及び右側の回動部材が時計回り方向(図2(a)及び図2(b)の矢印B方向)へ回動される際に、センサ基板131がハンマレール23に当接しないような姿勢で保持される。その保持された状態で、左側の回動部材121及び右側の回動部材が時計回り方向(図3(a)及び図3(b)の矢印B方向)へ回動されることによって、センサ基板131の実装面131aに実装されている複数組のセンサ135及びセンサ136が、退避位置(図2(b)参照)に移動される。複数組のセンサ135及びセンサ136が退避位置に移動された後に、ハンマレール23が元の位置に戻される。
【0073】
この複数組のセンサ135及びセンサ136が退避位置に存在する場合には、図2(b)に示すように、センサ135及びセンサ136がダンパレバー71の上端より下方(図2(b)の矢印D方向)の位置に存在し、ハンマアセンブリ20を構成するキャッチャ41の前端より前方(図2(b)の矢印E方向)の位置に存在している。
【0074】
以下、この退避位置(図2(b)参照)から検出位置(図2(a)参照)にセンサ135及びセンサ136を移動させるための作動について説明する。
まず、ハンマレール23が、ハンマレールフォーク25(図1参照)を介して反時計回り方向(図2(a)及び図2(b)の矢印A方向)へ回動され、左側の回動部材121及び右側の回動部材が反時計回り方向(図2(a)及び図2(b)の矢印Bと逆方向)へ回動される際に、センサ基板131がハンマレール23に当接しないような姿勢で保持される。その保持された状態で、左側の回動部材121及び右側の回動部材が反時計回り方向(図2(a)及び図2(b)の矢印B方向と逆方向)へ回動されることによって、センサ基板131の実装面131aに実装されている複数組のセンサ135及びセンサ136が、検出位置(図2(a)参照)に移動される。複数組のセンサ135及びセンサ136が検出位置に移動された後に、ハンマレール23が元の位置に戻される。
【0075】
そして、左側の回動部材121は、その下平板部121eが鉛直になるような姿勢で保持され、ボルト109の雄ネジ部を、その当接部121aに形成されているネジ孔121bに挿通して、左側の固定部材101の停止部101aに形成された雌ネジ部と螺合されることによって、左側の固定部材101に取り付けられる。また、右側の回動部材は、上述の左側の回動部材121と同様にボルト(図示せず)によって、右側の固定部材に取り付けられる。
【0076】
[効果の説明]
本実施形態のアップライトピアノ1によれば、次のような作用効果を奏する。すなわち、従来の鍵と連動するハンマによって打弦するハンマアセンブリと、ハンマの回動動作を演奏情報として検出可能なセンサとを備える鍵盤装置において、例えば整調作業やハンマアセンブリの交換作業などが実施される際に、ハンマアセンブリ近傍に配設されたセンサが、一旦ハンマアセンブリから取り外されることがあるので、センサを備えていない鍵盤装置の整調作業と比較すると、センサを備えている鍵盤装置の方が整調作業に要する時間が長かった。
【0077】
それに対して、本実施形態のアップライトピアノ1によれば、シャッタ151は、バット31とキャッチャ41との間に配設されるとともに、バット31とキャッチャ41とに固定されており、シャッタ151の回動を検出するためのシャッタ検出部130を構成する回動部材121は、その下端に設けられたピン121cが、センタレール91に取り付けられた固定部材101に固定された軸受部106の円筒部106aに挿入されることにより、固定部材101に対してピン121cを中心として回動可能に支持されている。また、回動部材121の上端には、複数組のセンサ135及びセンサ136が実装されているセンサ基板131が取り付けられており、回動部材121が回動されることによって、検出位置から退避位置に複数組のセンサ135及びセンサ136が移動される。
【0078】
そこで、アップライトピアノ1の整調作業やハンマアセンブリ20の交換作業などが実施される際には、複数組のセンサ135及びセンサ136を、退避位置に移動させる。退避位置とは、上述のように、例えば整調作業用の工具などの棒状の物体の先端部をアップライトピアノ1の前方からダンパワイヤ73に向けて略水平に移動させる際に干渉せず、且つハンマアセンブリ20をアップライトピアノ1から略上方へ取り出す際またはアップライトピアノ1へ略上方から取り出す際に干渉しない領域内に設定された位置である。なお、本実施形態では、この退避位置は、ダンパレバー71の上端を含む略水平面よりも下方であり、且つキャッチャ41の前端を含む左右方向と略平行な略垂直面よりも前方の領域内に設定された位置である。
【0079】
したがって、本実施形態のアップライトピアノ1によれば、例えば整調作業やハンマアセンブリ20の交換作業などが実施される際に、複数組のセンサ135及びセンサ136が退避位置に移動されることによって、複数組のセンサ135及びセンサ136がハンマアセンブリ20から取り外されることがないので、センサがハンマアセンブリから取り外されることのある鍵盤装置と比較して、整調作業及やハンマアセンブリ20の交換作業などに要する時間を短くすることができる。
【0080】
また、本実施形態のアップライトピアノ1によれば、複数組のセンサ135及びセンサ136が退避位置から検出位置へ移動した際に、固定部材101の停止部101aに回動部材121の当接部121aが当接することによって回動部材121の回動が停止される。よって、整調作業終了後、及びハンマアセンブリの交換作業終了後に、複数組のセンサ135及びセンサ136が検出位置に移動される際には、複数組のセンサ135及びセンサ136を検出位置に位置決めするための調整作業が発生しない。したがって、複数組のセンサ135及びセンサ136が検出位置で停止されない場合と比較して、例えば整調作業やハンマアセンブリの交換作業などに要する時間を短くすることができる。
【0081】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
【0082】
(イ)上記実施形態の鍵盤装置において、複数組のセンサ135及びセンサ136が退避位置に移動される際に、センサ135及びセンサ136が退避位置に停止される構成を有してもよい。
【0083】
なお、上記実施形態と本実施形態との構成の相違点は、左側の回動部材と固定部材、及び右側の回動部材と固定部材であるので、この相違点についてのみ詳述し、上記実施形態と同じ構成については、詳細な説明を省略する。また、上記実施形態と機能的に同等とみなされる構成については、上記実施形態で用いた符号と同じ符号を付して説明する。
【0084】
なお、図5(a)は本実施形態におけるセンサ135及びセンサ136が検出位置に存在する状態を示す要部側断面図であり、図5(b)は本実施形態におけるセンサ135及びセンサ136が退避位置に存在する状態を示す要部側断面図である。
【0085】
上記実施形態の左側の回動部材121と本実施形態の左側の回動部材123との構成の相違点は、本実施形態の左側の回動部材123がその下端部に開放当接部123dを有している点である。具体的には、開放当接部123dは、下平板部123eの一辺の縁の上方から略垂直に立ち上がった略矩形状の当接部123a(図5(b)参照)と略平行であるとともに、その下平板部123eの他辺の縁の下方から当接部123aの立ち上げ方向と同方向へ略垂直に立ち上がった略矩形状を有している。なお、右側の回動部材は、左側の回動部材123と左右対称の形状を有し、その形状を除いた構成が左側の回動部材123と同じ構成を有している。
【0086】
また、上記実施形態の左側の固定部材101と本実施形態の左側の固定部材103との構成の相違点は、本実施形態の左側の固定部材103がその下端部に開放停止部103cを有している点である。具体的には、開放停止部103cは、平板部101dから下方へ向けて延在する略矩形状を有している。なお、右側の固定部材は、左側の固定部材103と左右対称の形状を有し、その形状を除いた構成が左側の固定部材103と同じ構成を有している。
【0087】
このように構成された本実施形態によれば、複数組のセンサ135及びセンサ136が検出位置(図5(a)参照)から退避位置(図5(a)参照)に移動(図5(a)及び図5(b)の矢印F方向)した際に、固定部材103の開放停止部103cに回動部材123の開放当接部123dが当接することによって回動部材123に回動が停止される。よって、例えば整調作業開始前やハンマアセンブリ20の交換作業開始前などに、複数組のセンサ135及びセンサ136が検出位置から退避位置へ移動した際に、複数組のセンサ135及びセンサ136が退避位置で停止されるので、作業者によって複数組のセンサ135及びセンサ136を退避位置に停止させておく作業が発生しない。したがって、複数組のセンサ135及びセンサ136が退避位置で停止されない場合と比較して、さらに整調作業やハンマアセンブリ20の交換作業などに要する時間を短くすることができる。なお、上記実施形態と本実施形態との構成の相違点は、左側の回動部材123と固定部材103、及び右側の回動部材と固定部材であったが、左側の回動部材123と固定部材103、または右側の回動部材と固定部材のいずれか一方であってもよい。
【0088】
なお、本実施形態においては、固定部材103が「退避時停止部材」に相当する。
(ロ)上記実施形態の鍵盤装置において、センサ135及びセンサ136がシャッタ151の回動を検出位置として適切に設定できるような構成を有してもよい。
【0089】
なお、上記実施形態と本実施形態との構成の相違点は、左側の回動部材とボルト、及び右側の回動部材とボルトであるので、この相違点についてのみ詳述し、上記実施形態と同じ構成については、詳細な説明を省略する。また、上記実施形態と機能的に同等とみなされる構成については、上記実施形態で用いた符号と同じ符号を付して説明する。なお、図6(a)は本実施形態におけるセンサ135及びセンサ136が検出位置に存在する状態を示す要部側断面図であり、図6(b)は図6(a)におけるG矢視図である。
【0090】
上記実施形態の左側の回動部材121と本実施形態の左側の回動部材124との構成の相違点は、本実施形態の左側の回動部材124がその当接部124aに雌ネジ部124eが形成されている点である。具体的には、雌ネジ部124eは、当接部124aの略中央の上部に形成されたネジ孔124bの下方に形成されている。そして、左側の回動部材124の当接部124aの雌ネジ部124eには、前方から調整用のボルト110が螺合され、その先端が左側の固定部材101の停止部101aに当接している。なお、右側の固定部材は、左側の固定部材103と左右対称の形状を有し、その形状を除いた構成が左側の固定部材103と同じ構成を有している。そして、右側の回動部材の当接部の雌ネジ部(図示せず)には、前方から調整用のボルトが螺合され、その先端が右側の固定部材の停止部に当接している。
【0091】
このように構成された本実施形態によれば、左側の回動部材124の当接部124aの雌ネジ部124eに螺合されたボルト110が左右方向へ回動されることによって、その先端が左側の回動部材124の当接部124aより左側の固定部材101の停止部101aの方向への突出す寸法が調整される。よって、ボルト110が左右方向へ回動されることによって、左側の回動部材124の当接部124aと左側の固定部材101の停止部101aとの距離が調整されるので、センサ135及びセンサ136がシャッタ151の回動を検出するための位置として適切に設定できる。その理由を次に説明する。例えば左側の回動部材121や固定部材101の加工精度のばらつきによって、左側の回動部材121の当接部121aを固定部材101の停止部101aに当接する位置より前方で、センサ135及びセンサ136がシャッタ151の回動を検出するための位置として適切になる場合がある。このような場合に、ボルト110が左右方向へ回動されることによって、ボルト110の先端が当接部124aより停止部101aの方向への適切に突出されるので、センサ135及びセンサ136がシャッタ151の回動を検出するための位置を適切に設定できるのである。したがって、このように構成された本実施形態によれば、センサ135及びセンサ136がシャッタ151の回動を検出するための位置を適切に設定できる。なお、上記実施形態と本実施形態との構成の相違点は、左側の回動部材とボルト、及び右側の回動部材とボルトであっが、左側の回動部材とボルト、または右側の回動部材とボルトのいずれか一方であってもよい。
【0092】
(ハ)上記実施形態の鍵盤装置において、センサ135及びセンサ136と、センサ基板131とを外部からの異物の落下や接触などによる損傷を受けないようにするための例えばカバーなどの保護部材を有してもよい。このように構成された実施形態においても、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0093】
(ニ)上記実施形態では、シャッタ検出部130が、左側の固定部材101、左側の固定部材、左側の回動部材121、右側の回動部材、センサ基板131、センサ135及びセンサ136などから構成されていたが、これには限らない。固定部材、及び回動部材が左右の1組に限らず、複数組でもよい。また、左右の固定部材の形状、及び左右の回動部材の形状が左右対称とは限らず、非対称でもよい。さらに、センサ基板131は1枚に限らず、例えば低音部用のセンサ基板と中・高音部用のセンサ基板などのよう複数枚のセンサ基板であってもよい。また、一つのシャッタ151の回動を検出するのに一つのセンサ135と一つのセンサ136とが一組とは限らない。一つのシャッタ151の回動を検出するのに一つのセンサでもよいし、三つ以上のセンサが一組となってもよい。このように構成された実施形態においても、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】アップライトピアノ1の要部側面図である。
【図2】(a)はセンサ135及びセンサ136が検出位置に存在する状態を示す要部側面図であり、(b)はセンサ135及びセンサ136が退避位置に存在する状態を示す要部側面図である。
【図3】(a)はセンサ135及びセンサ136が検出位置に存在する状態を示す要部斜視図であり、(b)はセンサ135及びセンサ136が退避位置に存在する状態を示す要部斜視図である。
【図4】(a)はバット31とキャッチャ41とを示す斜視図であり、(b)はバット31とキャッチャ41とに固定されているシャッタ151を示す斜視図であり、(c)はセンサ135及びセンサ136を示す斜視図であり、(d)は図2(a)におけるC矢視図である。
【図5】(a)は他の実施形態(イ)におけるセンサ135及びセンサ136が検出位置に存在する状態を示す要部斜視図であり、(b)は他の実施形態(イ)におけるセンサ135及びセンサ136が退避位置に存在する状態を示す要部斜視図である。
【図6】(a)は他の実施形態(ロ)におけるセンサ135及びセンサ136が検出位置に存在する状態を示す要部斜視図であり、(b)は(a)におけるG矢視図である。
【符号の説明】
【0095】
1…アップライトピアノ、2…アクション、11…弦、20…ハンマアセンブリ、21…ハンマ、22…ハンマシャンク、23…ハンマレール、24…ハンマレールクロス、25…ハンマレールフォーク、31…バット、31a…水平面、31b…垂直面、31c…傾斜面、31d…斜面、31e…平板部、31f…貫通孔、31g…空洞、32…バットスプリング、33…バットフレンジ、34…ピン、37…バットスキン、41…キャッチャ、41a…垂直面、41b…水平面、41c…前面、41d…斜面、42…キャッチャシャンク、47…キャッチャスキン、51…ウイペン、52…ウイペンヒール、53…ウイペンフレンジ、54…ピン、55…キャプスタン、61…バックチェック、69…ブライドルワイヤ、71…ダンパレバー、72…ダンパレバースプリング、73…ダンパワイヤ、74…ダンパヘッド、75…制振部、76…ダンパフレンジ、77…ピン、78…ダンパスプーン、81…ジャック、82…ジャックフレンジ、83…ピン、84…ジャック大、85…ジャック小、86…ジャックスプリング、91…センタレール、92…ブラケット、92a…支持孔、95…鍵、95a…白鍵、95b…黒鍵、96…鍵盤、101,103…固定部材、101a,103a…停止部、101b,103b…雌ネジ部、101d…平板部、101e,101f…固定部、101g…軸受固定部、103c…開放停止部、106…軸受部、106a…円筒部、106b…平板部、108,109,110…ボルト、121,123,124…回動部材、121a,123a,124a…当接部、121b,123b,124b…ネジ孔、121c,123c,124c…ピン、121e,123e…下平板部、121f…上平板部、121g…基板固定部、123d…開放当接部、124e…雌ネジ部、130…シャッタ検出部、131…センサ基板、131a…実装面、133…ボルト、135,136…センサ、135a,136a…発光部、135b,136b…接続部、135c,136c…受光部、135d,136d…発光面、135e,136e…発光素子、135f,136f…受光面、135g,136g…受光素子、151…シャッタ、151a…シャッタ本体、151b…平面、151c…側面、151d…被検出部、151e…バット固定部、151f…キャッチャ固定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵が揺動する際にその揺動軸と略平行な回動軸を中心として回動可能なバット、前記バットの上部にその下端が連結され、前記バットの回動に伴って回動し、弦を打撃可能なハンマ、及び前記バットの前部にキャッチャシャンクを介して固定されたキャッチャを有するハンマアセンブリと、前記バットの後方に位置し、前記弦を制振する制振部をダンパワイヤを介して下方から支持する長尺状のダンパレバーと、を備えた鍵盤装置において、
前記バットと前記キャッチャとの間に配設され、前記バットまたは前記キャッチャの少なくともいずれか一方に固定され、前記バットの回動に伴って回動する被検出体と、
前記被検出体が近接する際にその旨を示す信号を出力可能なセンサと、
前記バットの回動に伴って回動する被検出体と近接可能な位置である検出位置に前記センサを支持可能な支持手段と、
を備え、
前記支持手段は、棒状の物体の先端を当該鍵盤装置の前方から前記ダンパワイヤに向けて略水平に移動させる際に前記センサと干渉せず、且つ前記ハンマアセンブリを当該鍵盤装置から略上方へ取り出す際または当該鍵盤装置へ略上方から取り付ける際に前記センサと干渉しない領域内に設定された位置である退避位置と前記検出位置との間で前記センサを移動可能に構成されていることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項2】
請求項1に記載の鍵盤装置において、
前記退避位置が、前記ダンパレバーの上端を含む略水平面よりも下方、且つ前記キャッチャの前端を含む左右方向と略平行な略垂直面よりも前方の領域内に設定された位置であることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の鍵盤装置において、
前記支持手段は、
前記センサが固定され、前記バットの回動軸に略平行な回動軸を中心として回動可能な回動部材と、
前記回動部材の一方向への回動に伴って、前記センサが前記退避位置から前記検出位置へ移動した際に、前記回動部材の一方向への回動を停止させる検出時停止部材と、を有することを特徴とする鍵盤装置。
【請求項4】
請求項3に記載の鍵盤装置において、
前記支持手段は、さらに、前記回動部材の他方向への回動に伴って、前記センサが前記検出位置から前記退避位置へ移動した際に、前記回動部材の他方向への回動を停止させる退避時停止部材を有することを特徴とする鍵盤装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−158009(P2008−158009A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343499(P2006−343499)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000001410)株式会社河合楽器製作所 (563)