鍵盤装置
【課題】 簡単な構成で、複数の鍵を自動的に動作させて自動演奏ができる鍵盤装置を提供する。
【解決手段】 下部ケース3上に並列に配列された状態で上下方向に回転可能に設けられた複数の鍵5と、この複数の鍵5の下側に鍵5の配列方向に沿った状態で上下方向に回転可能に配置され、且つ外周面に複数の突起部23が各鍵5に対応して設けられた回転ドラム20と、複数の鍵5に設けられ、且つ回転ドラム20の回転動作に応じて複数の突起部23が接離して、各鍵5を上下方向に回転動作させるための鍵操作部24とを備えている。従って、回転ドラムが回転して複数の突起部23が各鍵操作部24に接離することにより、各鍵5を上下方向に回転動作させることができ、これにより複数の鍵5を自動的に動作させることができる。
【解決手段】 下部ケース3上に並列に配列された状態で上下方向に回転可能に設けられた複数の鍵5と、この複数の鍵5の下側に鍵5の配列方向に沿った状態で上下方向に回転可能に配置され、且つ外周面に複数の突起部23が各鍵5に対応して設けられた回転ドラム20と、複数の鍵5に設けられ、且つ回転ドラム20の回転動作に応じて複数の突起部23が接離して、各鍵5を上下方向に回転動作させるための鍵操作部24とを備えている。従って、回転ドラムが回転して複数の突起部23が各鍵操作部24に接離することにより、各鍵5を上下方向に回転動作させることができ、これにより複数の鍵5を自動的に動作させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子ピアノや電子オルガンなどの鍵盤装置に関し、更に詳しくはオルゴール方式による自動演奏機能を備えた鍵盤装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、鍵盤部を備えた鍵盤楽器タイプの玩具においては、特許文献1に記載されているように、ゼンマイによってオルゴールを駆動して楽音を奏でると共に、このオルゴールのゼンマイによって回転体を回転させて人形などの動作体を動作させるように構成されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−149980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような鍵盤部を備えた鍵盤楽器タイプの玩具では、オルゴールが奏でている楽音に応じて人形などの動作体を動作させて楽しむことができても、オルゴールが奏でている楽音に応じて鍵盤部の各鍵を動作させることができないため、鍵盤楽器として十分に楽しむことができないとうい不都合がある。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、簡単な構成で、複数の鍵を自動的に動作させて自動演奏をすることができる鍵盤装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、楽器本体に並列に配列された状態で上下方向に回転可能に設けられた複数の鍵と、この複数の鍵の下側に前記鍵の配列方向に沿った状態で上下方向に回転可能に配置され、且つ外周面に複数の突起部が前記複数の鍵にそれぞれ対応して設けられた回転ドラムと、前記複数の鍵にそれぞれ設けられ、且つ前記回転ドラムの回転動作に応じて前記複数の突起部が接離することにより、前記各鍵をそれぞれ上下方向に回転動作させるための鍵操作部と、を備えていることを特徴とする鍵盤装置である。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、回転ドラムを回転させると、この回転ドラムに設けられた複数の突起部が、複数の鍵にそれぞれ設けられた各鍵操作部に接離し、複数の鍵をそれぞれ上下方向に回転動作させることができる。このため、発生させる楽音に応じて複数の鍵をそれぞれ自動的に動作させることができるので、構成が簡単で、複数の鍵を自動的に動作させて自動演奏をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明を電子鍵盤楽器に適用した実施形態1を示した平面図である。
【図2】図1に示された電子鍵盤楽器のA−A矢視において、一部を省略して示した拡大断面図である。
【図3】図1に示された電子鍵盤楽器のB−B矢視において、鍵の鍵操作部が回転ドラムの突起部によって押し上げられて、鍵スイッチ部をオフ動作させた状態を示した拡大断面図である。
【図4】図3に示された各鍵を示し、(a)は黒鍵を示した拡大断面図、(b)は白鍵を示した拡大断面図である。
【図5】図3に示された電子鍵盤楽器において、回転ドラムが回転して鍵の鍵操作部が回転ドラムの突起部間に位置し、鍵が錘部の重量によって引き下げられて、鍵スイッチ部をオン動作させた状態を示した拡大断面図である。
【図6】図3に示された電子鍵盤楽器において、鍵の鍵操作部が回転ドラムの突起部によって押し上げられた状態で、鍵が押鍵操作されて鍵の鍵操作部が弾性変形し、鍵スイッチ部をオン動作させた状態を示した拡大断面図である。
【図7】図1に示された電子鍵盤楽器の回路構成を示したブロック図である。
【図8】この発明を電子鍵盤楽器に適用した実施形態2において、鍵の鍵操作部の当接部が回転ドラムの突起部間に位置して、鍵が押し上げられた初期状態を示した拡大断面図である。
【図9】図8に示された各鍵を示し、(a)は黒鍵を示した拡大断面図、(b)は白鍵を示した拡大断面図である。
【図10】図8に示された電子鍵盤楽器において、回転ドラムが回転して鍵の鍵操作部が回転ドラムの突起部によって押し下げられ、鍵スイッチ部がオン動作した状態を示した拡大断面図である。
【図11】図8に示された電子鍵盤楽器において、鍵の鍵操作部の当接部が回転ドラムの突起部間に挿入して鍵が押し上げられた初期状態で、鍵が押鍵操作されて鍵の鍵操作部の当接部が回転ドラムの突起部間から下側に離脱し、鍵スイッチ部がオン動作した状態を示した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
以下、図1〜図7を参照して、この発明を電子鍵盤楽器に適用した実施形態1について説明する。
この電子鍵盤楽器は、図1に示すように、楽器本体1を備えている。この楽器本体1は、上部ケース2と下部ケース3とで構成され、その内部に鍵盤部4が設けられた構成になっている。この鍵盤部4は、図1〜図4に示すように、白鍵5aおよび黒鍵5bからなる複数の鍵5を有し、この複数の鍵5が並列に配列された状態で、それぞれ上下方向に回転するように構成されている。
【0010】
この場合、上部ケース2は、図1に示すように、鍵盤部4の後部(図1では上辺部側)の上方に位置する箇所から鍵盤部4の更に後方に位置する箇所に亘る部分、および鍵5の配列方向における鍵盤部4の両側に位置する部分において、下部ケース3上に設けられている。これにより、鍵盤部4は、上部ケース2で覆われることなく、上部ケース2の上方に露出するように構成されている。
【0011】
この上部ケース2には、図1に示すように、スピーカ部6、表示部7、および操作スイッチ部8が設けられている。スピーカ部6は、楽音などの音を発生するためのものであり、図1に示すように、上部ケース2の上面における左上側に位置する箇所に設けられている。表示部7は、上部ケース2の上面におけるスピーカ部6の右側に位置する箇所に設けられている。
【0012】
この表示部7は、液晶表示パネルやEL(エレクトロ・ルミネッセンス)表示パネルなどの平面型の表示パネルからなり、、鍵盤楽器に必要な各種の情報を電気光学的に表示するように構成されている。操作スイッチ部8は、電源スイッチ、音量スイッチ、音色スイッチなどの各種のスイッチを備え、上部ケース2の上面に分散して設けられている。
【0013】
ところで、鍵盤部4の各鍵5は、図3〜図5に示すように、その各後端部に肉厚の薄い屈曲部10がそれぞれ後方(図3では左側)に向けて突出して形成され、この各屈曲部10の後端部に鍵5の配列方向(図3では紙面の表裏面方向)に連続する連結部11が形成され、この連結部11が下部ケース3の鍵支持部12上に取り付けられるように構成されている。
【0014】
これにより、複数の鍵5は、図3および図5に示すように、各屈曲部10の弾性力によって上方に向けて付勢され、この状態で各鍵5が上方から押鍵操作された際に、各屈曲部10が下側に向けて撓み変形することにより、各屈曲部10を中心にそれぞれ上下方向に回転するように構成されている。
【0015】
この場合、複数の鍵5は、図3に示すように、各前端部(図3では右端部)にストッパ部13が設けられ、このストッパ部13が下部ケース3の前部に設けられた位置規制部14に下側から当接することにより、上限位置が規制されるように構成されている。また、この複数の鍵5には、後述する鍵スイッチ部16を押圧するためのスイッチ押圧部15がそれぞれ下側に突出して設けられている。
【0016】
一方、下部ケース3には、図3および図5に示すように、鍵スイッチ部16が複数の鍵5の下側に位置した状態で設けられている。この鍵スイッチ部16は、下部ケース3に設けられた複数の支持ボス17上に取り付けられたスイッチ基板18と、このスイッチ基板18上に設けられたゴムシート19とを備えている。
【0017】
スイッチ基板18は、図1に点線で示しように、鍵5の配列方向(図1では左右方向)に連続する帯板状に形成され、図3に示すように、複数の鍵5における各スイッチ押圧部15の下側に位置した状態で、下部ケース3に設けられた複数の支持ボス17上にビス17aによって取り付けられている。
【0018】
また、ゴムシート19は、図3に示すように、鍵5の配列方向に連続する細長い帯状にで、その前後方向(図3では左右方向)の長さがスイッチ基板18の前後方向の長さよりも短く形成されている。このゴムシート19は、複数の鍵5の各スイッチ押圧部15に対応する箇所に位置するスイッチ基板18上に設けられている。このゴムシート19には、ドーム状の膨出部19aが複数の鍵5の各スイッチ押圧部15にそれぞれ対応して設けられている。
【0019】
この場合、ドーム状の膨出部19aは、図3に示すように、その内部に可動接点19bが、スイッチ基板18上に設けられた固定接点18aの上方に離れた状態で対向して設けられ、この状態で上方から押圧された際に、図5に示すように、潰れるように弾性変形する構成になっている。
【0020】
これにより、鍵スイッチ部16は、図3および図5に示すように、ゴムシート19に形成されたドーム状の膨出部19aが鍵5のスイッチ押圧部15によって押されて弾性変形した際に、膨出部19a内の可動接点19bがスイッチ基板18上の固定接点18aに接触して、スイッチ信号を出力するように構成されている。
【0021】
また、このドーム状の膨出部19aは、図3に示すように、鍵5が上方から押圧されていないときに、ドーム形状に弾性復帰して鍵5のスイッチ押圧部15を鍵5の屈曲部10の弾性復帰力と共に押し上げることにより、鍵5の前端部に設けられたストッパ部13を下部ケース3の位置規制部14に下側から当接させて、鍵5を初期位置である上限位置に位置規制させるように構成されている。
【0022】
ところで、下部ケース3上には、図1〜図3に示すように、回転ドラム20が複数の鍵5における後部(図3では左側部)の下側に位置した状態で、上下方向に回転可能に配置されている。この回転ドラム20は、図1および図2に示すように、鍵5の配列方向に連続する円筒状に形成されている。この場合、回転ドラム20の一端部(図2では左端部)には、支持軸20aが設けられており、この回転ドラム20の他端部(図2では右端部)には、軸受け部20bが設けられている。
【0023】
これにより、回転ドラム20は、図2に示すように、一端部の支持軸20aが下部ケース3上に設けられたモータ部21の出力軸21aに取り付けられ、他端部の軸受け部20bに、下部ケース3上に設けられた支持部材22の先端部22aが回転可能に挿入することにより、下部ケース3上に回転可能に配置され、モータ部21の回転に応じて上下方向に回転するように構成されている。
【0024】
この回転ドラム20の外周面には、図2および図3に示すように、複数の突起部23が複数の鍵5にそれぞれ対応して設けられている。この複数の突起部23は、演奏曲の楽譜に応じて各鍵5を上下方向に動作させるために、複数の突起部23の各間隔が楽譜の音符に対応した状態で、回転ドラム20の外周面にその円周方向に沿ってそれぞれ設けられている。
【0025】
また、複数の鍵5には、図3〜図5に示すように、それぞれ鍵操作部24が回転ドラム20の上部に位置する各突起部23に対応して設けられている。この鍵操作部24は、回転ドラム20の回転動作に応じて複数の突起部23が上側に回転移動し、この回転ドラム20の上側に回転移動した突起部23が順次接離することにより、各鍵5を上下方向に回転動作させるように構成されている。
【0026】
すなわち、この鍵操作部24は、図3に示すように、回転ドラム20が回転して複数の突起部23が上下方向に回転移動し、この回転移動に伴って回転ドラム20の上部に位置した突起部23が下側から当接した際に、この上部に位置する突起部23によって押し上げられることにより、鍵5を押し上げるように構成されている。
【0027】
また、この鍵操作部23は、図5に示すように、回転ドラム20の上部に位置する突起部23間に対応した際に、鍵5の押し上げを解除して、突起部23間に挿入可能な状態になることにより、鍵5の引き下げ動作を可能にするように構成されている。この場合、複数の鍵5の前部には、図3〜図5に示すように、鍵操作部24が回転ドラム20の上部に位置する突起部23間に対応した際に、鍵5を引き下げて鍵スイッチ部16をオン動作させるための、付勢部材である錘部25がそれぞれ設けられている。
【0028】
これにより、鍵スイッチ部16は、図3に示すように、複数の突起部23のうち、回転ドラム20の上部に位置する突起部23が鍵操作部24に下側から当接して鍵5を押し上げる際に、オフ動作し、回転ドラム20の上部に位置する突起部23間に鍵操作部24が対応して鍵5が錘部25の重量によって引き下げられる際に、オン動作するように構成されている。
【0029】
また、複数の鍵5の各鍵操作部24は、それぞれゴムなどの弾性材料からなり、図3に示すように、回転ドラム20の上部に位置する突起部23によって鍵5を錘部25の重量に抗して押し上げる際に、ほとんど弾性変形せず、回転ドラム20の上部に位置する突起部23による押し上げ力よりも強い力で鍵5が押し下げられた際に、図6に示すように、弾性変形するように構成されている。
【0030】
すなわち、この鍵操作部24は、図6に示すように、回転ドラム20の上部に位置する突起部23が下側から当接して鍵5が押し上げられた状態で、鍵5が押鍵操作された際に、弾性変形することにより、鍵5の押し下げ動作を可能にし、鍵5のスイッチ押圧部15による鍵スイッチ部16のオン動作を可能にするように構成されている。
【0031】
次に、図7に示されたブロック図を参照して、この電子鍵盤楽器の回路構成について説明する。
この電子鍵盤楽器の回路構成は、鍵盤楽器の回路全般を制御するCPU(中央演算処理装置)30と、予め定められたプログラムおよび入力されたデータを格納するメモリ部31と、音量、音色、モード切替などの各種のスイッチを備えた操作スイッチ部8と、複数の鍵5の押鍵動作に基づいてそれぞれスイッチ信号を出力する鍵盤部4の鍵スイッチ部16と、CPU30からの指令に基づいて各種の情報を表示する表示部7と、CPU30からの指令に基づいてモータ部21を駆動するモータ駆動回路32とを備えている。
【0032】
また、この電子鍵盤楽器の回路構成は、CPU30からの指令に基づいて音源データを生成する音源部33と、この音源部33で生成された音源データに基づいて楽音データを生成するサウンドシステム34とを備えている。この場合、サウンドシステム34は、音源部33からの音源データに基づいて生成した楽音データをスピーカ部6に与え、このスピーカ部6から楽音を発生させる。また、これらCPU30、メモリ部31、操作スイッチ部8、鍵スイッチ部16、表示部7、モータ駆動回路32、音源部33、およびサウンドシステム34は、バスライン35によって接続されている。
【0033】
次に、このような電子鍵盤楽器の作用について説明する。
この電子鍵盤楽器で自動演奏をする場合には、モータ部21を駆動すれば良い。すると、モータ部21の回転が出力軸21aおよび回転ドラム20の支持軸20aを介して回転ドラム20に伝達され、これにより回転ドラム20が上下方向に回転する。このように回転ドラム20が回転すると、その外周面に設けられた複数の突起部23が回転ドラム20と共に上下方向に回転移動する。
【0034】
そして、複数の突起部23のうち、いずれかの突起部23が回転ドラム20の上部に到達すると、図3に示すように、その上部に到達した突起部23が鍵5の鍵操作部24に当接して鍵操作部24を押し上げる。このときには、鍵操作部24がほとんど弾性変形することなく押し上げられる。このため、鍵操作部24は錘部25の重量に抗して鍵5を押し上げる。
【0035】
これにより、鍵5は、図3に示すように、屈曲部10を中心に上方(図3では反時計回り)に回転し、鍵5の前端部のストッパ部13が下部ケース3の位置規制部14に下側から当接して、上限位置である初期位置に規制される。このときには、鍵5のスイッチ押圧部15が鍵スイッチ部16の上方に位置し、鍵スイッチ部16の膨出部19がドーム形状に弾性復帰して、鍵スイッチ部16がオフ状態になる。
【0036】
この状態で、回転ドラム20が更に回転すると、図5に示すように、鍵5の鍵操作部24が回転ドラム20の上部に位置する突起部23を乗り越えて次の突起部23との間に対応する。すると、鍵5がその錘部25の重量によって屈曲部10を中心に下側(図5では時計回り)に回転する。これにより、鍵5の鍵操作部24が回転ドラム20の上部に位置する突起部23間に挿入すると共に、鍵5のスイッチ押圧部15が鍵スイッチ部16を押圧してオン動作させる。
【0037】
すなわち、鍵スイッチ部16が鍵5のスイッチ押圧部15によって押圧されると、鍵スイッチ部16のスイッチ基板18上に設けられたゴムシート19の膨出部19aが、鍵5の錘部25の重量によって潰れるように弾性変形し、この膨出部19a内に設けられた可動接点19bがスイッチ基板18上の固定接点18aに接触する。これにより、鍵スイッチ部16がオン動作してスイッチ信号を出力し、この鍵スイッチ部16からのスイッチ信号に基づいてスピーカ部6が楽音を発生する。
【0038】
このような鍵5および鍵スイッチ部16の各動作は、鍵盤部4に配列された複数の鍵5および鍵スイッチ部16のスイッチ基板18上に設けられたゴムシート19の各膨出部19aの全てが、回転ドラム20に設けられた複数の突起部23の回転移動に伴って順次動作する。これにより、演奏曲の楽譜に応じた楽音をスピーカ部6から発生して、自動演奏が行われる。このような自動演奏は、複数の鍵5が演奏曲に応じて上下方向に回転動作するので、初心者が鍵5の動きをイメージとして確認することができ、このため演奏曲を覚え易くすることができる。
【0039】
そして、この自動演奏を停止させる際には、モータ部21の駆動を停止させれば良い。このときには、回転ドラム20の外周面に設けられた複数の突起部23のうち、各鍵5に対応するいずれかの各突起部23を回転ドラム20の上部に位置させ、この上部に位置する各突起部23によって複数の鍵5の各鍵操作部24をそれぞれ押し上げて、各鍵5を初期位置に規制する。
【0040】
一方、この電子鍵盤楽器を演奏者が操作して演奏する場合には、演奏者が複数の鍵5をそれぞれ押鍵操作すれば良い。このときには、回転ドラム20の上部に位置する各突起部23によって複数の鍵5の各鍵操作部24がそれぞれ押し上げられて、各鍵5が初期位置に規制されていることにより、この状態で演奏者が複数の鍵5をそれぞれ押鍵操作することができる。
【0041】
すなわち、回転ドラム20の上部に位置する各突起部23によって、各鍵操作部24がそれぞれ押し上げられて、各鍵5が初期位置に規制されていても、各鍵5を上方から押鍵操作すると、図6に示すように、各鍵操作部24が押鍵操作によってそれぞれ弾性変形する。このため、鍵5が屈曲部10を中心に下側に回転して押し下げられ、この押し下げられた鍵5のスイッチ押圧部15が鍵スイッチ部16をオン動作させる。これにより、鍵スイッチ部16がスイッチ信号を出力し、この鍵スイッチ部16からのスイッチ信号に基づいてスピーカ部6が楽音を発生する。
【0042】
このように、この実施形態1の電子鍵盤楽器によれば、楽器本体1の下部ケース3上に並列に配列された状態で上下方向に回転可能に設けられた複数の鍵5と、この複数の鍵5の下側に鍵5の配列方向に沿った状態で上下方向に回転可能に配置され、且つ外周面に複数の突起部23が複数の鍵5にそれぞれ対応して設けられた回転ドラム20と、複数の鍵5にそれぞれ設けられ且つ回転ドラム20の回転動作に応じて複数の突起部23が接離することにより、各鍵5を上下方向に回転動作させるための鍵操作部24とを備えていることにより、簡単な構成で、複数の鍵5を自動的に動作させて自動演奏をすることができる。
【0043】
すなわち、この電子鍵盤楽器では、回転ドラム20を回転させると、この回転ドラム20に設けられた複数の突起部23が、複数の鍵5にそれぞれ設けられた各鍵操作部24に接離することにより、各鍵5をそれぞれ上下方向に回転動作させることができ、これにより複数の鍵5を自動的に動作させることができる。
【0044】
このため、発生させる楽音に応じて複数の鍵5をそれぞれ動作させることができると共に、複数の突起部23を有する回転ドラム20を、鍵操作部24を有する複数の鍵5の下側に回転可能に配置するだけ良いので、構造が簡単で、複数の鍵5を自動的に動作させて自動演奏をすることができる。これにより、複数の鍵5が演奏曲に応じて上下方向に回転動作するので、初心者が鍵5の動きをイメージとして確認することができ、このため演奏曲を覚え易くすることができる。
【0045】
この場合、鍵5の鍵操作部24は、複数の突起部23のうち、回転ドラム20の上部に位置する突起部23が当接した際に、鍵5を押し上げ、回転ドラム20の上部に位置する突起部23間に対応した際に、鍵5の押し上げを解除して鍵5の引き下げ動作を可能な状態にする構成であることにより、回転ドラム20の上部に位置する突起部23によって各鍵5の鍵操作部24をそれぞれ確実に押し上げることができ、これにより鍵5を確実に押し上げて鍵スイッチ部16をオフ状態にすることができる。
【0046】
また、この鍵操作部24は、回転ドラム20の上部に位置する突起部23間に各鍵5の鍵操作部24が対応すると、複数の鍵5に対する押し上げを確実に解除することができるので、回転ドラム20の上部に位置する突起部23間に各鍵5の鍵操作部24を確実に且つ良好に挿入させることができ、これにより各鍵5の引き下げ動作を可能にし、この引き下げ可能な各鍵5によって鍵スイッチ部16をオン動作可能な状態にすることができる。
【0047】
また、この実施形態1の電子鍵盤楽器では、複数の鍵をそれぞれ引き下げる方向に付勢するための付勢部材である錘部25が各鍵5の前部にそれぞれ設けられているので、回転ドラム20の上部に位置する突起部23間に各鍵5の鍵操作部24が対応した際に、錘部25の重量によって確実に各鍵5の鍵操作部24を各突起部23間に挿入させることができ、これにより鍵5を確実に引き下げて鍵スイッチ部16を良好にオン動作させることができる。
【0048】
また、この実施形態1の電子鍵盤楽器では、複数の鍵5がそれぞれ上下方向に回転動作した際にそれぞれスイッチ動作するスイッチ部16を更に備えており、この鍵スイッチ部16は、複数の突起部23のうち、回転ドラム20の上部に位置する突起部23が鍵操作部24に下側から当接して鍵5を押し上げる際に、オフ動作し、回転ドラム20の上部に位置する突起部23間に鍵操作部24が対応して鍵5が錘部25の重量によって引き下げられる際に、オン動作する構成であることにより、回転ドラム20の回転動作に伴う鍵5の上下方向の回転動作によって、鍵スイッチ部16を確実にスイッチ動作させてスイッチ信号を出力することができ、このスイッチ信号によって楽音をスピーカ部6から良好に発生させることができる。
【0049】
さらに、この実施形態1の電子鍵盤楽器では、鍵5の鍵操作部24が、弾性部材からなり、複数の突起部23のうち、回転ドラム20の上部に位置する突起部23が下側から当接して鍵5を押し上げる際に、ほとんど弾性変形せず、回転ドラム20の上部に位置する突起部23が下側から当接して鍵5を押し上げた状態で、鍵5が押鍵操作された際に、弾性変形して鍵5の押し下げ動作を可能にすることにより、自動演奏のほかに、演奏者の押鍵操作による通常の演奏をすることができる。
【0050】
すなわち、この電子鍵盤楽器では、回転ドラム20の上部に位置する突起部23に当接して鍵5を押し上げた状態で鍵5を押鍵操作した際に、鍵操作部24が弾性変形することにより、鍵5を押し下げることができ、これにより鍵5が鍵スイッチ部16をオン動作させることができるので、演奏者の押鍵操作による通常の演奏をすることができる。
【0051】
なお、上述した実施形態1では、複数の鍵5をそれぞれ引き下げる方向に付勢するための付勢部材として、各鍵5の前部にそれぞれ錘部25を設けた場合について述べたが、必ずしも錘部25の重量によって鍵5をそれぞれ引き下げる方向に付勢する必要はなく、例えば付勢部材として、ばね部材を用い、このばね部材のばね力によって各鍵5をそれぞれ引き下げる方向に付勢するように構成しても良い。
【0052】
(実施形態2)
次に、図8〜図11を参照して、この発明を電子鍵盤楽器に適用した実施形態2について説明する。なお、図1〜図7に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この電子鍵盤楽器は、図8および図9に示すように、複数の鍵5にそれぞれ設けられた各鍵操作部40が、実施形態1と異なる構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0053】
すなわち、複数の鍵5にそれぞれ設けられた各鍵操作部40は、図8および図9に示すように、各鍵5から回転ドラム20の前側(図8では右側)を通って回転ドラム20の下側に延び、この延び各先端部にそれぞれ当接部40aが回転ドラム20の下部に向けて突出して設けられた構成になっている。
【0054】
この場合、回転ドラム20の外周面には、実施形態1と同様、複数の突起部41が複数の鍵5にそれぞれ対応して設けられている。この複数の突起部41は、演奏曲の楽譜に応じて各鍵5を動作させるために、複数の突起部41が楽譜の音符に対応した状態で、回転ドラム20の外周面にその円周方向に沿ってそれぞれ設けられている。
【0055】
また、複数の鍵5は、図8に示すように、その各後端部に位置する各屈曲部10の弾性復帰力、および鍵スイッチ部16のゴムシート19に設けられた各膨出部19aの弾性復帰力によって、それぞれ押し上げられるように構成されている。これにより、複数の鍵5の各鍵操作部40は、図10に示すように、複数の突起部41のうち、回転ドラム20の下部に位置する突起部41が鍵操作部40の当接部40aに上側から当接した際に、この突起部41によって鍵操作部40の当接部40aが押し下げられることにより、鍵5を引き下げるように構成されている。
【0056】
また、複数の鍵5の各鍵操作部40は、図8に示すように、複数の突起部41のうち、回転ドラム20の下部に位置する突起部41間に各鍵操作部40の当接部40aが対応した際に、各鍵5が各屈曲部10およびゴムシート19の各膨出部19aの各弾性復帰力によって押し上げられていることにより、各鍵操作部40の当接部40aが突起部41間に下側から挿入して、各鍵5を初期位置に復帰させるように構成されている。
【0057】
さらに、複数の鍵5の各鍵操作部40は、図8に示すように、回転ドラム20に設けられた複数の突起部41のうち、回転ドラム20の下部に位置する突起部41間に挿入した状態で、鍵5が押鍵操作された際に、図11に示すように、鍵操作部40の当接部40aが突起部41間から下側に離脱して、鍵5が押し下げられるように構成されている。
【0058】
この場合、複数の鍵5は、これらを押し下げるように付勢力して、鍵スイッチ部16をオン動作させるための付勢部材である錘部25を不要とする構成になっている。このため、鍵スイッチ部16は、複数の突起部41のうち、回転ドラム20の下部に位置する突起部41が鍵操作部40の当接部40aに上側から当接して鍵5を引き下げる際に、オン動作し、回転ドラム20の下部に位置する突起部41間に鍵操作部40の当接部40aが対応して鍵5が初期位置に復帰する際に、オフ動作するように構成されている。
【0059】
次に、このような電子鍵盤楽器の作用について説明する。
この電子鍵盤楽器で自動演奏をする場合には、実施形態1と同様、モータ部21を駆動して、回転ドラム20を上下方向に回転させれば良い。このように回転ドラム20が回転すると、その外周面に設けられた複数の突起部41が回転ドラム20と共に上下方向に回転移動する。
【0060】
そして、複数の突起部41のうち、いずれかの突起部41が回転ドラム20の下部に到達すると、図10に示すように、その下部に到達した突起部41が鍵5の鍵操作部40の当接部40aに上側から当接して鍵操作部40を押し下げる。これにより、鍵5が屈曲部10を中心に下側(図10では時計回り)に回転し、鍵5のスイッチ押圧部15が鍵スイッチ部16を押圧してオン動作させる。これにより、鍵スイッチ部16がスイッチ信号を出力し、このスイッチ信号に基づいてスピーカ部6が楽音を発生する。
【0061】
この後、回転ドラム20が更に回転すると、鍵5の鍵操作部40の当接部40aが回転ドラム20の下部に位置する突起部41を乗り越えて次の突起部41間に対応する。このときには、鍵5の後端部に位置する屈曲部10の弾性復帰力、および鍵スイッチ部16のゴムシート19に設けられた膨出部19aの弾性復帰力によって、鍵5が押し上げられていることにより、図8に示すように、鍵5の鍵操作部40の当接部40aが回転ドラム20の下部に位置する突起部41間に下側から挿入する。
【0062】
すると、鍵5は、図8に示すように、その前端部のストッパ部13が下部ケース3の位置規制部14に下側から当接して、上限位置である初期位置に規制される。このときには、鍵5のスイッチ押圧部15が鍵スイッチ部16の上方に位置し、鍵スイッチ部16の膨出部19がドーム形状に弾性復帰して、鍵スイッチ部16がオフ状態になる。これにより、スピーカ部6が楽音の発生を停止する。
【0063】
このような鍵5および鍵スイッチ部16の各動作は、実施形態1と同様、鍵盤部4に配列された複数の鍵5および鍵スイッチ部16のスイッチ基板18上に設けられたゴムシート19の各膨出部19aの全てが、回転ドラム20に設けられた複数の突起部41の回転移動に伴って順次動作する。
【0064】
これにより、演奏曲の楽譜に応じた楽音をスピーカ部6から発生して、自動演奏が行われる。このような自動演奏は、実施形態1と同様、複数の鍵5が演奏曲に応じて上下方向に回転動作するので、初心者が鍵5の動きをイメージとして確認することができ、このため演奏曲を覚え易くすることができる。
【0065】
そして、この自動演奏を停止させる際には、モータ部21の駆動を停止させれば良い。このときには、回転ドラム20の外周面に設けられた複数の突起部41のうち、各鍵5に対応するいずれかの各突起部41を回転ドラム20の下部に位置させ、この下部に位置する各突起部41間に複数の鍵5の各鍵操作部40の当接部40aをそれぞれ挿入させて、各鍵5を初期位置に規制する。
【0066】
一方、この電子鍵盤楽器を演奏者が操作して演奏する場合には、演奏者が複数の鍵5をそれぞれ押鍵操作すれば良い。このときには、回転ドラム20の下部に位置する各突起部41間に複数の鍵5における各鍵操作部40の当接部40aがそれぞれ挿入して、各鍵5が初期位置に規制されていることにより、この状態で演奏者が複数の鍵5をそれぞれ押鍵操作することができる。
【0067】
すなわち、演奏者が複数の鍵5をそれぞれ押鍵操作すると、図11に示すように、回転ドラム20の各突起部41間に挿入している鍵5の鍵操作部40の当接部40aが下側に押し下げられて、各突起部41間から下側に離脱する。これにより、鍵5が屈曲部10を中心に下側(図11では時計回り)に回転して押し下げられ、この押し下げられた鍵5のスイッチ押圧部15が鍵スイッチ部16をオン動作させる。これにより、鍵スイッチ部16がスイッチ信号を出力し、この鍵スイッチ部16からのスイッチ信号に基づいてスピーカ部6が楽音を発生する。
【0068】
このように、この実施形態2の電子鍵盤楽器によれば、回転ドラム20を回転させると、この回転ドラム20に設けられた複数の突起部41が、複数の鍵5にそれぞれ設けられた各鍵操作部40の当接部40aに接離することにより、各鍵5をそれぞれ上下方向に回転動作させることができるので、実施形態1と同様、複数の鍵5を自動的に動作させることができる。
【0069】
このため、発生させる楽音に応じて複数の鍵5をそれぞれ動作させることができると共に、複数の突起部41を有する回転ドラム20を、鍵操作部40を有する各鍵5の下側に回転可能に配置するだけ良いので、実施形態1と同様、構造が簡単で、複数の鍵5を自動的に動作させて自動演奏をすることができる。これにより、複数の鍵5が演奏曲に応じて上下方向に回転動作するので、初心者が鍵5の動きをイメージとして確認することができ、このため演奏曲を覚え易くすることができる。
【0070】
この場合、鍵5の鍵操作部40は、回転ドラム20の下部に位置する突起部41が当接した際に、鍵5を引き下げ、回転ドラム20の下部に位置する突起部41間に対応した際に、鍵5の引き下げ動作を解除して鍵5を初期位置に復帰可能にする構成であるから、回転ドラム20の下部に位置する突起部41によって鍵5の鍵操作部40を確実に押し下げることができる。
【0071】
また、この鍵5の鍵操作部40は、回転ドラム20の下部に位置する突起部41間に鍵5の鍵操作部40の当接部40aが対応した際に、鍵5に対する押し下げ動作を確実に解除して、回転ドラム20の下部に位置する突起部41間に鍵5の鍵操作部40の当接部40aを良好に挿入させることができ、これにより鍵5を確実に且つ良好に初期位置に復帰させることができると共に、鍵スイッチ部16をオフ動作させることができる。
【0072】
すなわち、回転ドラム20の下部に位置する突起部41間に鍵5の鍵操作部40の当接部40aが対応した際には、鍵5の後端部に位置する屈曲部10の弾性復帰力、および鍵スイッチ部16のゴムシート19に設けられた膨出部19aの弾性復帰力によって、鍵5が押し上げられていることにより、回転ドラム20の下部に位置するいずれかの突起部41間に鍵操作部40の当接部40aを下側から確実に且つ良好に挿入させることができ、これにより鍵5を確実に押し上げることができるので、鍵スイッチ部16を確実に且つ良好にオフ動作させることができる。
【0073】
また、この実施形態2の電子鍵盤楽器においても、鍵5の鍵操作部40の当接部40aが回転ドラム20の下部に位置する突起部41間に挿入して、鍵5が押し上げられている状態で鍵5を押鍵操作した際に、鍵操作部41の当接部40aが突起部41間から下側に離脱して、鍵5の押し下げ動作を可能にする構成であることにより、回転ドラム20に設けられた複数の突起部41間に鍵操作部40の当接部40aが挿入して、鍵5が初期位置に規制されている状態で、演奏者が鍵5を押鍵操作することにより、鍵5を押し下げることができ、これにより鍵5が鍵スイッチ部16をオン動作させることができるので、演奏者によって通常の演奏をすることができる。
【0074】
また、この実施形態2の電子鍵盤楽器においても、複数の鍵5がそれぞれ上下方向に回転動作した際にそれぞれスイッチ動作するスイッチ部16を更に備えており、この鍵スイッチ部16は、複数の突起部41のうち、回転ドラム20の下部に位置する突起部41が鍵操作部40の当接部40aに上側から当接して鍵5を引き下げる際に、オン動作し、回転ドラム20の下部に位置する突起部41間に鍵操作部40の当接部40aが対応して鍵5が初期位置に復帰する際に、オフ動作する構成であることにより、実施形態1と同様、回転ドラム20の回転動作に伴う鍵5の上下方向の回転動作によって、鍵スイッチ部16を確実にスイッチ動作させてスイッチ信号を出力することができ、このスイッチ信号によって楽音をスピーカ部6から良好に発生させることができる。
【0075】
なお、上述した実施形態1、2では、モータ部21の出力軸21aを回転ドラム20の支持軸20aに直接連結した構成である場合について述べたが、これに限らず、例えばモータ部21の出力軸21aに減速装置を取り付け、この減速装置でモータ部21の回転を減速させて回転ドラム20に伝達するように構成しても良い。
【0076】
また、上述した実施形態1、2では、回転ドラム20の一端部に設けられた支持軸20aがモータ部21の出力軸21aに連結され、回転ドラム20の他端部に設けられた軸受け部20bに支持部材22の先端部22aが回転可能に挿入されていることにより、回転ドラム20が下部ケース3上に回転可能に配置された構成である場合について述べたが、これに限らず、回転ドラム20を下部ケース3上に回転可能な状態で着脱可能に取り付けるように構成しても良い。
【0077】
このように構成すれば、回転ドラム20を交換することができるので、演奏曲の楽譜ごとに異なる突起部を複数の回転ドラム20にそれぞれ設け、この複数の回転ドラム20を演奏曲に応じて交換することにより、様々な楽譜に応じた演奏曲を自動演奏により楽しむことができる。
【0078】
さらに、上述した実施形態1、2およびその変形例では、回転ドラム20をモータ部21で回転させるように構成した場合について述べたが、必ずしもモータ部21によって回転ドラム20を回転させる必要はなく、例えばゼンマイなどの螺旋状のばね部材によって回転ドラム20を回転させるように構成しても良い。
【0079】
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0080】
(付記)
請求項1に記載の発明は、楽器本体に並列に配列された状態で上下方向に回転可能に設けられた複数の鍵と、この複数の鍵の下側に前記鍵の配列方向に沿った状態で上下方向に回転可能に配置され、且つ外周面に複数の突起部が前記複数の鍵にそれぞれ対応して設けられた回転ドラムと、前記複数の鍵にそれぞれ設けられ、且つ前記回転ドラムの回転動作に応じて前記複数の突起部が接離することにより、前記各鍵をそれぞれ上下方向に回転動作させるための鍵操作部と、を備えていることを特徴とする鍵盤装置である。
【0081】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鍵盤装置において、前記鍵の前記鍵操作部は、前記複数の突起部のうち、前記回転ドラムの上部に位置する前記突起部が下側から当接した際に前記鍵を押し上げ、前記回転ドラムの上部に位置する前記突起部間に対応した際に前記鍵の押し上げを解除して前記鍵の引き下げ動作を可能な状態にすることを特徴とする鍵盤装置である。
【0082】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の鍵盤装置において、前記複数の鍵をそれぞれ引き下げる方向に付勢する付勢部材を備えていることを特徴とする鍵盤装置である。
【0083】
請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の鍵盤装置において、前記複数の鍵がそれぞれ上下方向に回転動作した際にそれぞれスイッチ動作するスイッチ部を更に備え、このスイッチ部は、前記複数の突起部のうち、前記回転ドラムの上部に位置する前記突起部が前記鍵操作部に下側から当接して前記鍵を押し上げる際に、オフ動作し、前記回転ドラムの上部に位置する前記突起部間に前記鍵操作部が対応して前記鍵が前記付勢部材によって引き下げられる際に、オン動作することを特徴とする鍵盤装置である。
【0084】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜請求項4に記載の鍵盤装置において、前記鍵の前記鍵操作部は、弾性部材からなり、前記複数の突起部のうち、前記回転ドラムの上部に位置する前記突起部が下側から当接して前記鍵を押し上げる際に、ほとんど弾性変形せず、前記回転ドラムの上部に位置する前記突起部が下側から当接して前記鍵が押し上げられた状態で、前記鍵が押鍵操作された際に、弾性変形して前記鍵の押し下げ動作を可能にすることを特徴とする鍵盤装置である。
【0085】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の鍵盤装置において、前記鍵の前記鍵操作部は、前記複数の突起部のうち、前記回転ドラムの下部に位置する前記突起部が上側から当接した際に、前記鍵を引き下げ、前記回転ドラムの下部に位置する前記突起部間に対応した際に、前記鍵の引き下げ動作を解除して、前記鍵を初期位置に復帰可能な状態にすることを特徴とする鍵盤装置である。
【0086】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の鍵盤装置において、前記鍵の前記鍵操作部は、前記複数の突起部のうち、前記回転ドラムの下部に位置する前記突起部間に挿入した状態で、前記鍵が押鍵操作された際に、前記突起部間から下側に離脱して、前記鍵の押し下げ動作を可能にすることを特徴とする鍵盤装置である。
【0087】
請求項8に記載の発明は、請求項6または請求項7に記載の鍵盤装置において、前記複数の鍵がそれぞれ上下方向に回転動作した際にそれぞれスイッチ動作するスイッチ部を更に備え、このスイッチ部は、前記複数の突起部のうち、前記回転ドラムの下部に位置する前記突起部が前記鍵操作部に上側から当接して前記鍵を引き下げる際に、オン動作し、前記回転ドラムの下部に位置する前記突起部間に前記鍵操作部が対応して前記鍵が初期位置に復帰する際に、オフ動作することを特徴とする鍵盤装置である。
【符号の説明】
【0088】
1 楽器本体
2 上部ケース
3 下部ケース
4 鍵盤部
5 鍵
6 スピーカ部
10 鍵の屈曲部
11 鍵の連結部
15 スイッチ押圧部
16 鍵スイッチ部
18 スイッチ基板
19 ゴムシート
19a ドーム状の膨出部
20 回転ドラム
21 モータ部
23、41 複数の突起部
24、40 鍵操作部
40a 当接部
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子ピアノや電子オルガンなどの鍵盤装置に関し、更に詳しくはオルゴール方式による自動演奏機能を備えた鍵盤装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、鍵盤部を備えた鍵盤楽器タイプの玩具においては、特許文献1に記載されているように、ゼンマイによってオルゴールを駆動して楽音を奏でると共に、このオルゴールのゼンマイによって回転体を回転させて人形などの動作体を動作させるように構成されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−149980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような鍵盤部を備えた鍵盤楽器タイプの玩具では、オルゴールが奏でている楽音に応じて人形などの動作体を動作させて楽しむことができても、オルゴールが奏でている楽音に応じて鍵盤部の各鍵を動作させることができないため、鍵盤楽器として十分に楽しむことができないとうい不都合がある。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、簡単な構成で、複数の鍵を自動的に動作させて自動演奏をすることができる鍵盤装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、楽器本体に並列に配列された状態で上下方向に回転可能に設けられた複数の鍵と、この複数の鍵の下側に前記鍵の配列方向に沿った状態で上下方向に回転可能に配置され、且つ外周面に複数の突起部が前記複数の鍵にそれぞれ対応して設けられた回転ドラムと、前記複数の鍵にそれぞれ設けられ、且つ前記回転ドラムの回転動作に応じて前記複数の突起部が接離することにより、前記各鍵をそれぞれ上下方向に回転動作させるための鍵操作部と、を備えていることを特徴とする鍵盤装置である。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、回転ドラムを回転させると、この回転ドラムに設けられた複数の突起部が、複数の鍵にそれぞれ設けられた各鍵操作部に接離し、複数の鍵をそれぞれ上下方向に回転動作させることができる。このため、発生させる楽音に応じて複数の鍵をそれぞれ自動的に動作させることができるので、構成が簡単で、複数の鍵を自動的に動作させて自動演奏をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明を電子鍵盤楽器に適用した実施形態1を示した平面図である。
【図2】図1に示された電子鍵盤楽器のA−A矢視において、一部を省略して示した拡大断面図である。
【図3】図1に示された電子鍵盤楽器のB−B矢視において、鍵の鍵操作部が回転ドラムの突起部によって押し上げられて、鍵スイッチ部をオフ動作させた状態を示した拡大断面図である。
【図4】図3に示された各鍵を示し、(a)は黒鍵を示した拡大断面図、(b)は白鍵を示した拡大断面図である。
【図5】図3に示された電子鍵盤楽器において、回転ドラムが回転して鍵の鍵操作部が回転ドラムの突起部間に位置し、鍵が錘部の重量によって引き下げられて、鍵スイッチ部をオン動作させた状態を示した拡大断面図である。
【図6】図3に示された電子鍵盤楽器において、鍵の鍵操作部が回転ドラムの突起部によって押し上げられた状態で、鍵が押鍵操作されて鍵の鍵操作部が弾性変形し、鍵スイッチ部をオン動作させた状態を示した拡大断面図である。
【図7】図1に示された電子鍵盤楽器の回路構成を示したブロック図である。
【図8】この発明を電子鍵盤楽器に適用した実施形態2において、鍵の鍵操作部の当接部が回転ドラムの突起部間に位置して、鍵が押し上げられた初期状態を示した拡大断面図である。
【図9】図8に示された各鍵を示し、(a)は黒鍵を示した拡大断面図、(b)は白鍵を示した拡大断面図である。
【図10】図8に示された電子鍵盤楽器において、回転ドラムが回転して鍵の鍵操作部が回転ドラムの突起部によって押し下げられ、鍵スイッチ部がオン動作した状態を示した拡大断面図である。
【図11】図8に示された電子鍵盤楽器において、鍵の鍵操作部の当接部が回転ドラムの突起部間に挿入して鍵が押し上げられた初期状態で、鍵が押鍵操作されて鍵の鍵操作部の当接部が回転ドラムの突起部間から下側に離脱し、鍵スイッチ部がオン動作した状態を示した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
以下、図1〜図7を参照して、この発明を電子鍵盤楽器に適用した実施形態1について説明する。
この電子鍵盤楽器は、図1に示すように、楽器本体1を備えている。この楽器本体1は、上部ケース2と下部ケース3とで構成され、その内部に鍵盤部4が設けられた構成になっている。この鍵盤部4は、図1〜図4に示すように、白鍵5aおよび黒鍵5bからなる複数の鍵5を有し、この複数の鍵5が並列に配列された状態で、それぞれ上下方向に回転するように構成されている。
【0010】
この場合、上部ケース2は、図1に示すように、鍵盤部4の後部(図1では上辺部側)の上方に位置する箇所から鍵盤部4の更に後方に位置する箇所に亘る部分、および鍵5の配列方向における鍵盤部4の両側に位置する部分において、下部ケース3上に設けられている。これにより、鍵盤部4は、上部ケース2で覆われることなく、上部ケース2の上方に露出するように構成されている。
【0011】
この上部ケース2には、図1に示すように、スピーカ部6、表示部7、および操作スイッチ部8が設けられている。スピーカ部6は、楽音などの音を発生するためのものであり、図1に示すように、上部ケース2の上面における左上側に位置する箇所に設けられている。表示部7は、上部ケース2の上面におけるスピーカ部6の右側に位置する箇所に設けられている。
【0012】
この表示部7は、液晶表示パネルやEL(エレクトロ・ルミネッセンス)表示パネルなどの平面型の表示パネルからなり、、鍵盤楽器に必要な各種の情報を電気光学的に表示するように構成されている。操作スイッチ部8は、電源スイッチ、音量スイッチ、音色スイッチなどの各種のスイッチを備え、上部ケース2の上面に分散して設けられている。
【0013】
ところで、鍵盤部4の各鍵5は、図3〜図5に示すように、その各後端部に肉厚の薄い屈曲部10がそれぞれ後方(図3では左側)に向けて突出して形成され、この各屈曲部10の後端部に鍵5の配列方向(図3では紙面の表裏面方向)に連続する連結部11が形成され、この連結部11が下部ケース3の鍵支持部12上に取り付けられるように構成されている。
【0014】
これにより、複数の鍵5は、図3および図5に示すように、各屈曲部10の弾性力によって上方に向けて付勢され、この状態で各鍵5が上方から押鍵操作された際に、各屈曲部10が下側に向けて撓み変形することにより、各屈曲部10を中心にそれぞれ上下方向に回転するように構成されている。
【0015】
この場合、複数の鍵5は、図3に示すように、各前端部(図3では右端部)にストッパ部13が設けられ、このストッパ部13が下部ケース3の前部に設けられた位置規制部14に下側から当接することにより、上限位置が規制されるように構成されている。また、この複数の鍵5には、後述する鍵スイッチ部16を押圧するためのスイッチ押圧部15がそれぞれ下側に突出して設けられている。
【0016】
一方、下部ケース3には、図3および図5に示すように、鍵スイッチ部16が複数の鍵5の下側に位置した状態で設けられている。この鍵スイッチ部16は、下部ケース3に設けられた複数の支持ボス17上に取り付けられたスイッチ基板18と、このスイッチ基板18上に設けられたゴムシート19とを備えている。
【0017】
スイッチ基板18は、図1に点線で示しように、鍵5の配列方向(図1では左右方向)に連続する帯板状に形成され、図3に示すように、複数の鍵5における各スイッチ押圧部15の下側に位置した状態で、下部ケース3に設けられた複数の支持ボス17上にビス17aによって取り付けられている。
【0018】
また、ゴムシート19は、図3に示すように、鍵5の配列方向に連続する細長い帯状にで、その前後方向(図3では左右方向)の長さがスイッチ基板18の前後方向の長さよりも短く形成されている。このゴムシート19は、複数の鍵5の各スイッチ押圧部15に対応する箇所に位置するスイッチ基板18上に設けられている。このゴムシート19には、ドーム状の膨出部19aが複数の鍵5の各スイッチ押圧部15にそれぞれ対応して設けられている。
【0019】
この場合、ドーム状の膨出部19aは、図3に示すように、その内部に可動接点19bが、スイッチ基板18上に設けられた固定接点18aの上方に離れた状態で対向して設けられ、この状態で上方から押圧された際に、図5に示すように、潰れるように弾性変形する構成になっている。
【0020】
これにより、鍵スイッチ部16は、図3および図5に示すように、ゴムシート19に形成されたドーム状の膨出部19aが鍵5のスイッチ押圧部15によって押されて弾性変形した際に、膨出部19a内の可動接点19bがスイッチ基板18上の固定接点18aに接触して、スイッチ信号を出力するように構成されている。
【0021】
また、このドーム状の膨出部19aは、図3に示すように、鍵5が上方から押圧されていないときに、ドーム形状に弾性復帰して鍵5のスイッチ押圧部15を鍵5の屈曲部10の弾性復帰力と共に押し上げることにより、鍵5の前端部に設けられたストッパ部13を下部ケース3の位置規制部14に下側から当接させて、鍵5を初期位置である上限位置に位置規制させるように構成されている。
【0022】
ところで、下部ケース3上には、図1〜図3に示すように、回転ドラム20が複数の鍵5における後部(図3では左側部)の下側に位置した状態で、上下方向に回転可能に配置されている。この回転ドラム20は、図1および図2に示すように、鍵5の配列方向に連続する円筒状に形成されている。この場合、回転ドラム20の一端部(図2では左端部)には、支持軸20aが設けられており、この回転ドラム20の他端部(図2では右端部)には、軸受け部20bが設けられている。
【0023】
これにより、回転ドラム20は、図2に示すように、一端部の支持軸20aが下部ケース3上に設けられたモータ部21の出力軸21aに取り付けられ、他端部の軸受け部20bに、下部ケース3上に設けられた支持部材22の先端部22aが回転可能に挿入することにより、下部ケース3上に回転可能に配置され、モータ部21の回転に応じて上下方向に回転するように構成されている。
【0024】
この回転ドラム20の外周面には、図2および図3に示すように、複数の突起部23が複数の鍵5にそれぞれ対応して設けられている。この複数の突起部23は、演奏曲の楽譜に応じて各鍵5を上下方向に動作させるために、複数の突起部23の各間隔が楽譜の音符に対応した状態で、回転ドラム20の外周面にその円周方向に沿ってそれぞれ設けられている。
【0025】
また、複数の鍵5には、図3〜図5に示すように、それぞれ鍵操作部24が回転ドラム20の上部に位置する各突起部23に対応して設けられている。この鍵操作部24は、回転ドラム20の回転動作に応じて複数の突起部23が上側に回転移動し、この回転ドラム20の上側に回転移動した突起部23が順次接離することにより、各鍵5を上下方向に回転動作させるように構成されている。
【0026】
すなわち、この鍵操作部24は、図3に示すように、回転ドラム20が回転して複数の突起部23が上下方向に回転移動し、この回転移動に伴って回転ドラム20の上部に位置した突起部23が下側から当接した際に、この上部に位置する突起部23によって押し上げられることにより、鍵5を押し上げるように構成されている。
【0027】
また、この鍵操作部23は、図5に示すように、回転ドラム20の上部に位置する突起部23間に対応した際に、鍵5の押し上げを解除して、突起部23間に挿入可能な状態になることにより、鍵5の引き下げ動作を可能にするように構成されている。この場合、複数の鍵5の前部には、図3〜図5に示すように、鍵操作部24が回転ドラム20の上部に位置する突起部23間に対応した際に、鍵5を引き下げて鍵スイッチ部16をオン動作させるための、付勢部材である錘部25がそれぞれ設けられている。
【0028】
これにより、鍵スイッチ部16は、図3に示すように、複数の突起部23のうち、回転ドラム20の上部に位置する突起部23が鍵操作部24に下側から当接して鍵5を押し上げる際に、オフ動作し、回転ドラム20の上部に位置する突起部23間に鍵操作部24が対応して鍵5が錘部25の重量によって引き下げられる際に、オン動作するように構成されている。
【0029】
また、複数の鍵5の各鍵操作部24は、それぞれゴムなどの弾性材料からなり、図3に示すように、回転ドラム20の上部に位置する突起部23によって鍵5を錘部25の重量に抗して押し上げる際に、ほとんど弾性変形せず、回転ドラム20の上部に位置する突起部23による押し上げ力よりも強い力で鍵5が押し下げられた際に、図6に示すように、弾性変形するように構成されている。
【0030】
すなわち、この鍵操作部24は、図6に示すように、回転ドラム20の上部に位置する突起部23が下側から当接して鍵5が押し上げられた状態で、鍵5が押鍵操作された際に、弾性変形することにより、鍵5の押し下げ動作を可能にし、鍵5のスイッチ押圧部15による鍵スイッチ部16のオン動作を可能にするように構成されている。
【0031】
次に、図7に示されたブロック図を参照して、この電子鍵盤楽器の回路構成について説明する。
この電子鍵盤楽器の回路構成は、鍵盤楽器の回路全般を制御するCPU(中央演算処理装置)30と、予め定められたプログラムおよび入力されたデータを格納するメモリ部31と、音量、音色、モード切替などの各種のスイッチを備えた操作スイッチ部8と、複数の鍵5の押鍵動作に基づいてそれぞれスイッチ信号を出力する鍵盤部4の鍵スイッチ部16と、CPU30からの指令に基づいて各種の情報を表示する表示部7と、CPU30からの指令に基づいてモータ部21を駆動するモータ駆動回路32とを備えている。
【0032】
また、この電子鍵盤楽器の回路構成は、CPU30からの指令に基づいて音源データを生成する音源部33と、この音源部33で生成された音源データに基づいて楽音データを生成するサウンドシステム34とを備えている。この場合、サウンドシステム34は、音源部33からの音源データに基づいて生成した楽音データをスピーカ部6に与え、このスピーカ部6から楽音を発生させる。また、これらCPU30、メモリ部31、操作スイッチ部8、鍵スイッチ部16、表示部7、モータ駆動回路32、音源部33、およびサウンドシステム34は、バスライン35によって接続されている。
【0033】
次に、このような電子鍵盤楽器の作用について説明する。
この電子鍵盤楽器で自動演奏をする場合には、モータ部21を駆動すれば良い。すると、モータ部21の回転が出力軸21aおよび回転ドラム20の支持軸20aを介して回転ドラム20に伝達され、これにより回転ドラム20が上下方向に回転する。このように回転ドラム20が回転すると、その外周面に設けられた複数の突起部23が回転ドラム20と共に上下方向に回転移動する。
【0034】
そして、複数の突起部23のうち、いずれかの突起部23が回転ドラム20の上部に到達すると、図3に示すように、その上部に到達した突起部23が鍵5の鍵操作部24に当接して鍵操作部24を押し上げる。このときには、鍵操作部24がほとんど弾性変形することなく押し上げられる。このため、鍵操作部24は錘部25の重量に抗して鍵5を押し上げる。
【0035】
これにより、鍵5は、図3に示すように、屈曲部10を中心に上方(図3では反時計回り)に回転し、鍵5の前端部のストッパ部13が下部ケース3の位置規制部14に下側から当接して、上限位置である初期位置に規制される。このときには、鍵5のスイッチ押圧部15が鍵スイッチ部16の上方に位置し、鍵スイッチ部16の膨出部19がドーム形状に弾性復帰して、鍵スイッチ部16がオフ状態になる。
【0036】
この状態で、回転ドラム20が更に回転すると、図5に示すように、鍵5の鍵操作部24が回転ドラム20の上部に位置する突起部23を乗り越えて次の突起部23との間に対応する。すると、鍵5がその錘部25の重量によって屈曲部10を中心に下側(図5では時計回り)に回転する。これにより、鍵5の鍵操作部24が回転ドラム20の上部に位置する突起部23間に挿入すると共に、鍵5のスイッチ押圧部15が鍵スイッチ部16を押圧してオン動作させる。
【0037】
すなわち、鍵スイッチ部16が鍵5のスイッチ押圧部15によって押圧されると、鍵スイッチ部16のスイッチ基板18上に設けられたゴムシート19の膨出部19aが、鍵5の錘部25の重量によって潰れるように弾性変形し、この膨出部19a内に設けられた可動接点19bがスイッチ基板18上の固定接点18aに接触する。これにより、鍵スイッチ部16がオン動作してスイッチ信号を出力し、この鍵スイッチ部16からのスイッチ信号に基づいてスピーカ部6が楽音を発生する。
【0038】
このような鍵5および鍵スイッチ部16の各動作は、鍵盤部4に配列された複数の鍵5および鍵スイッチ部16のスイッチ基板18上に設けられたゴムシート19の各膨出部19aの全てが、回転ドラム20に設けられた複数の突起部23の回転移動に伴って順次動作する。これにより、演奏曲の楽譜に応じた楽音をスピーカ部6から発生して、自動演奏が行われる。このような自動演奏は、複数の鍵5が演奏曲に応じて上下方向に回転動作するので、初心者が鍵5の動きをイメージとして確認することができ、このため演奏曲を覚え易くすることができる。
【0039】
そして、この自動演奏を停止させる際には、モータ部21の駆動を停止させれば良い。このときには、回転ドラム20の外周面に設けられた複数の突起部23のうち、各鍵5に対応するいずれかの各突起部23を回転ドラム20の上部に位置させ、この上部に位置する各突起部23によって複数の鍵5の各鍵操作部24をそれぞれ押し上げて、各鍵5を初期位置に規制する。
【0040】
一方、この電子鍵盤楽器を演奏者が操作して演奏する場合には、演奏者が複数の鍵5をそれぞれ押鍵操作すれば良い。このときには、回転ドラム20の上部に位置する各突起部23によって複数の鍵5の各鍵操作部24がそれぞれ押し上げられて、各鍵5が初期位置に規制されていることにより、この状態で演奏者が複数の鍵5をそれぞれ押鍵操作することができる。
【0041】
すなわち、回転ドラム20の上部に位置する各突起部23によって、各鍵操作部24がそれぞれ押し上げられて、各鍵5が初期位置に規制されていても、各鍵5を上方から押鍵操作すると、図6に示すように、各鍵操作部24が押鍵操作によってそれぞれ弾性変形する。このため、鍵5が屈曲部10を中心に下側に回転して押し下げられ、この押し下げられた鍵5のスイッチ押圧部15が鍵スイッチ部16をオン動作させる。これにより、鍵スイッチ部16がスイッチ信号を出力し、この鍵スイッチ部16からのスイッチ信号に基づいてスピーカ部6が楽音を発生する。
【0042】
このように、この実施形態1の電子鍵盤楽器によれば、楽器本体1の下部ケース3上に並列に配列された状態で上下方向に回転可能に設けられた複数の鍵5と、この複数の鍵5の下側に鍵5の配列方向に沿った状態で上下方向に回転可能に配置され、且つ外周面に複数の突起部23が複数の鍵5にそれぞれ対応して設けられた回転ドラム20と、複数の鍵5にそれぞれ設けられ且つ回転ドラム20の回転動作に応じて複数の突起部23が接離することにより、各鍵5を上下方向に回転動作させるための鍵操作部24とを備えていることにより、簡単な構成で、複数の鍵5を自動的に動作させて自動演奏をすることができる。
【0043】
すなわち、この電子鍵盤楽器では、回転ドラム20を回転させると、この回転ドラム20に設けられた複数の突起部23が、複数の鍵5にそれぞれ設けられた各鍵操作部24に接離することにより、各鍵5をそれぞれ上下方向に回転動作させることができ、これにより複数の鍵5を自動的に動作させることができる。
【0044】
このため、発生させる楽音に応じて複数の鍵5をそれぞれ動作させることができると共に、複数の突起部23を有する回転ドラム20を、鍵操作部24を有する複数の鍵5の下側に回転可能に配置するだけ良いので、構造が簡単で、複数の鍵5を自動的に動作させて自動演奏をすることができる。これにより、複数の鍵5が演奏曲に応じて上下方向に回転動作するので、初心者が鍵5の動きをイメージとして確認することができ、このため演奏曲を覚え易くすることができる。
【0045】
この場合、鍵5の鍵操作部24は、複数の突起部23のうち、回転ドラム20の上部に位置する突起部23が当接した際に、鍵5を押し上げ、回転ドラム20の上部に位置する突起部23間に対応した際に、鍵5の押し上げを解除して鍵5の引き下げ動作を可能な状態にする構成であることにより、回転ドラム20の上部に位置する突起部23によって各鍵5の鍵操作部24をそれぞれ確実に押し上げることができ、これにより鍵5を確実に押し上げて鍵スイッチ部16をオフ状態にすることができる。
【0046】
また、この鍵操作部24は、回転ドラム20の上部に位置する突起部23間に各鍵5の鍵操作部24が対応すると、複数の鍵5に対する押し上げを確実に解除することができるので、回転ドラム20の上部に位置する突起部23間に各鍵5の鍵操作部24を確実に且つ良好に挿入させることができ、これにより各鍵5の引き下げ動作を可能にし、この引き下げ可能な各鍵5によって鍵スイッチ部16をオン動作可能な状態にすることができる。
【0047】
また、この実施形態1の電子鍵盤楽器では、複数の鍵をそれぞれ引き下げる方向に付勢するための付勢部材である錘部25が各鍵5の前部にそれぞれ設けられているので、回転ドラム20の上部に位置する突起部23間に各鍵5の鍵操作部24が対応した際に、錘部25の重量によって確実に各鍵5の鍵操作部24を各突起部23間に挿入させることができ、これにより鍵5を確実に引き下げて鍵スイッチ部16を良好にオン動作させることができる。
【0048】
また、この実施形態1の電子鍵盤楽器では、複数の鍵5がそれぞれ上下方向に回転動作した際にそれぞれスイッチ動作するスイッチ部16を更に備えており、この鍵スイッチ部16は、複数の突起部23のうち、回転ドラム20の上部に位置する突起部23が鍵操作部24に下側から当接して鍵5を押し上げる際に、オフ動作し、回転ドラム20の上部に位置する突起部23間に鍵操作部24が対応して鍵5が錘部25の重量によって引き下げられる際に、オン動作する構成であることにより、回転ドラム20の回転動作に伴う鍵5の上下方向の回転動作によって、鍵スイッチ部16を確実にスイッチ動作させてスイッチ信号を出力することができ、このスイッチ信号によって楽音をスピーカ部6から良好に発生させることができる。
【0049】
さらに、この実施形態1の電子鍵盤楽器では、鍵5の鍵操作部24が、弾性部材からなり、複数の突起部23のうち、回転ドラム20の上部に位置する突起部23が下側から当接して鍵5を押し上げる際に、ほとんど弾性変形せず、回転ドラム20の上部に位置する突起部23が下側から当接して鍵5を押し上げた状態で、鍵5が押鍵操作された際に、弾性変形して鍵5の押し下げ動作を可能にすることにより、自動演奏のほかに、演奏者の押鍵操作による通常の演奏をすることができる。
【0050】
すなわち、この電子鍵盤楽器では、回転ドラム20の上部に位置する突起部23に当接して鍵5を押し上げた状態で鍵5を押鍵操作した際に、鍵操作部24が弾性変形することにより、鍵5を押し下げることができ、これにより鍵5が鍵スイッチ部16をオン動作させることができるので、演奏者の押鍵操作による通常の演奏をすることができる。
【0051】
なお、上述した実施形態1では、複数の鍵5をそれぞれ引き下げる方向に付勢するための付勢部材として、各鍵5の前部にそれぞれ錘部25を設けた場合について述べたが、必ずしも錘部25の重量によって鍵5をそれぞれ引き下げる方向に付勢する必要はなく、例えば付勢部材として、ばね部材を用い、このばね部材のばね力によって各鍵5をそれぞれ引き下げる方向に付勢するように構成しても良い。
【0052】
(実施形態2)
次に、図8〜図11を参照して、この発明を電子鍵盤楽器に適用した実施形態2について説明する。なお、図1〜図7に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この電子鍵盤楽器は、図8および図9に示すように、複数の鍵5にそれぞれ設けられた各鍵操作部40が、実施形態1と異なる構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0053】
すなわち、複数の鍵5にそれぞれ設けられた各鍵操作部40は、図8および図9に示すように、各鍵5から回転ドラム20の前側(図8では右側)を通って回転ドラム20の下側に延び、この延び各先端部にそれぞれ当接部40aが回転ドラム20の下部に向けて突出して設けられた構成になっている。
【0054】
この場合、回転ドラム20の外周面には、実施形態1と同様、複数の突起部41が複数の鍵5にそれぞれ対応して設けられている。この複数の突起部41は、演奏曲の楽譜に応じて各鍵5を動作させるために、複数の突起部41が楽譜の音符に対応した状態で、回転ドラム20の外周面にその円周方向に沿ってそれぞれ設けられている。
【0055】
また、複数の鍵5は、図8に示すように、その各後端部に位置する各屈曲部10の弾性復帰力、および鍵スイッチ部16のゴムシート19に設けられた各膨出部19aの弾性復帰力によって、それぞれ押し上げられるように構成されている。これにより、複数の鍵5の各鍵操作部40は、図10に示すように、複数の突起部41のうち、回転ドラム20の下部に位置する突起部41が鍵操作部40の当接部40aに上側から当接した際に、この突起部41によって鍵操作部40の当接部40aが押し下げられることにより、鍵5を引き下げるように構成されている。
【0056】
また、複数の鍵5の各鍵操作部40は、図8に示すように、複数の突起部41のうち、回転ドラム20の下部に位置する突起部41間に各鍵操作部40の当接部40aが対応した際に、各鍵5が各屈曲部10およびゴムシート19の各膨出部19aの各弾性復帰力によって押し上げられていることにより、各鍵操作部40の当接部40aが突起部41間に下側から挿入して、各鍵5を初期位置に復帰させるように構成されている。
【0057】
さらに、複数の鍵5の各鍵操作部40は、図8に示すように、回転ドラム20に設けられた複数の突起部41のうち、回転ドラム20の下部に位置する突起部41間に挿入した状態で、鍵5が押鍵操作された際に、図11に示すように、鍵操作部40の当接部40aが突起部41間から下側に離脱して、鍵5が押し下げられるように構成されている。
【0058】
この場合、複数の鍵5は、これらを押し下げるように付勢力して、鍵スイッチ部16をオン動作させるための付勢部材である錘部25を不要とする構成になっている。このため、鍵スイッチ部16は、複数の突起部41のうち、回転ドラム20の下部に位置する突起部41が鍵操作部40の当接部40aに上側から当接して鍵5を引き下げる際に、オン動作し、回転ドラム20の下部に位置する突起部41間に鍵操作部40の当接部40aが対応して鍵5が初期位置に復帰する際に、オフ動作するように構成されている。
【0059】
次に、このような電子鍵盤楽器の作用について説明する。
この電子鍵盤楽器で自動演奏をする場合には、実施形態1と同様、モータ部21を駆動して、回転ドラム20を上下方向に回転させれば良い。このように回転ドラム20が回転すると、その外周面に設けられた複数の突起部41が回転ドラム20と共に上下方向に回転移動する。
【0060】
そして、複数の突起部41のうち、いずれかの突起部41が回転ドラム20の下部に到達すると、図10に示すように、その下部に到達した突起部41が鍵5の鍵操作部40の当接部40aに上側から当接して鍵操作部40を押し下げる。これにより、鍵5が屈曲部10を中心に下側(図10では時計回り)に回転し、鍵5のスイッチ押圧部15が鍵スイッチ部16を押圧してオン動作させる。これにより、鍵スイッチ部16がスイッチ信号を出力し、このスイッチ信号に基づいてスピーカ部6が楽音を発生する。
【0061】
この後、回転ドラム20が更に回転すると、鍵5の鍵操作部40の当接部40aが回転ドラム20の下部に位置する突起部41を乗り越えて次の突起部41間に対応する。このときには、鍵5の後端部に位置する屈曲部10の弾性復帰力、および鍵スイッチ部16のゴムシート19に設けられた膨出部19aの弾性復帰力によって、鍵5が押し上げられていることにより、図8に示すように、鍵5の鍵操作部40の当接部40aが回転ドラム20の下部に位置する突起部41間に下側から挿入する。
【0062】
すると、鍵5は、図8に示すように、その前端部のストッパ部13が下部ケース3の位置規制部14に下側から当接して、上限位置である初期位置に規制される。このときには、鍵5のスイッチ押圧部15が鍵スイッチ部16の上方に位置し、鍵スイッチ部16の膨出部19がドーム形状に弾性復帰して、鍵スイッチ部16がオフ状態になる。これにより、スピーカ部6が楽音の発生を停止する。
【0063】
このような鍵5および鍵スイッチ部16の各動作は、実施形態1と同様、鍵盤部4に配列された複数の鍵5および鍵スイッチ部16のスイッチ基板18上に設けられたゴムシート19の各膨出部19aの全てが、回転ドラム20に設けられた複数の突起部41の回転移動に伴って順次動作する。
【0064】
これにより、演奏曲の楽譜に応じた楽音をスピーカ部6から発生して、自動演奏が行われる。このような自動演奏は、実施形態1と同様、複数の鍵5が演奏曲に応じて上下方向に回転動作するので、初心者が鍵5の動きをイメージとして確認することができ、このため演奏曲を覚え易くすることができる。
【0065】
そして、この自動演奏を停止させる際には、モータ部21の駆動を停止させれば良い。このときには、回転ドラム20の外周面に設けられた複数の突起部41のうち、各鍵5に対応するいずれかの各突起部41を回転ドラム20の下部に位置させ、この下部に位置する各突起部41間に複数の鍵5の各鍵操作部40の当接部40aをそれぞれ挿入させて、各鍵5を初期位置に規制する。
【0066】
一方、この電子鍵盤楽器を演奏者が操作して演奏する場合には、演奏者が複数の鍵5をそれぞれ押鍵操作すれば良い。このときには、回転ドラム20の下部に位置する各突起部41間に複数の鍵5における各鍵操作部40の当接部40aがそれぞれ挿入して、各鍵5が初期位置に規制されていることにより、この状態で演奏者が複数の鍵5をそれぞれ押鍵操作することができる。
【0067】
すなわち、演奏者が複数の鍵5をそれぞれ押鍵操作すると、図11に示すように、回転ドラム20の各突起部41間に挿入している鍵5の鍵操作部40の当接部40aが下側に押し下げられて、各突起部41間から下側に離脱する。これにより、鍵5が屈曲部10を中心に下側(図11では時計回り)に回転して押し下げられ、この押し下げられた鍵5のスイッチ押圧部15が鍵スイッチ部16をオン動作させる。これにより、鍵スイッチ部16がスイッチ信号を出力し、この鍵スイッチ部16からのスイッチ信号に基づいてスピーカ部6が楽音を発生する。
【0068】
このように、この実施形態2の電子鍵盤楽器によれば、回転ドラム20を回転させると、この回転ドラム20に設けられた複数の突起部41が、複数の鍵5にそれぞれ設けられた各鍵操作部40の当接部40aに接離することにより、各鍵5をそれぞれ上下方向に回転動作させることができるので、実施形態1と同様、複数の鍵5を自動的に動作させることができる。
【0069】
このため、発生させる楽音に応じて複数の鍵5をそれぞれ動作させることができると共に、複数の突起部41を有する回転ドラム20を、鍵操作部40を有する各鍵5の下側に回転可能に配置するだけ良いので、実施形態1と同様、構造が簡単で、複数の鍵5を自動的に動作させて自動演奏をすることができる。これにより、複数の鍵5が演奏曲に応じて上下方向に回転動作するので、初心者が鍵5の動きをイメージとして確認することができ、このため演奏曲を覚え易くすることができる。
【0070】
この場合、鍵5の鍵操作部40は、回転ドラム20の下部に位置する突起部41が当接した際に、鍵5を引き下げ、回転ドラム20の下部に位置する突起部41間に対応した際に、鍵5の引き下げ動作を解除して鍵5を初期位置に復帰可能にする構成であるから、回転ドラム20の下部に位置する突起部41によって鍵5の鍵操作部40を確実に押し下げることができる。
【0071】
また、この鍵5の鍵操作部40は、回転ドラム20の下部に位置する突起部41間に鍵5の鍵操作部40の当接部40aが対応した際に、鍵5に対する押し下げ動作を確実に解除して、回転ドラム20の下部に位置する突起部41間に鍵5の鍵操作部40の当接部40aを良好に挿入させることができ、これにより鍵5を確実に且つ良好に初期位置に復帰させることができると共に、鍵スイッチ部16をオフ動作させることができる。
【0072】
すなわち、回転ドラム20の下部に位置する突起部41間に鍵5の鍵操作部40の当接部40aが対応した際には、鍵5の後端部に位置する屈曲部10の弾性復帰力、および鍵スイッチ部16のゴムシート19に設けられた膨出部19aの弾性復帰力によって、鍵5が押し上げられていることにより、回転ドラム20の下部に位置するいずれかの突起部41間に鍵操作部40の当接部40aを下側から確実に且つ良好に挿入させることができ、これにより鍵5を確実に押し上げることができるので、鍵スイッチ部16を確実に且つ良好にオフ動作させることができる。
【0073】
また、この実施形態2の電子鍵盤楽器においても、鍵5の鍵操作部40の当接部40aが回転ドラム20の下部に位置する突起部41間に挿入して、鍵5が押し上げられている状態で鍵5を押鍵操作した際に、鍵操作部41の当接部40aが突起部41間から下側に離脱して、鍵5の押し下げ動作を可能にする構成であることにより、回転ドラム20に設けられた複数の突起部41間に鍵操作部40の当接部40aが挿入して、鍵5が初期位置に規制されている状態で、演奏者が鍵5を押鍵操作することにより、鍵5を押し下げることができ、これにより鍵5が鍵スイッチ部16をオン動作させることができるので、演奏者によって通常の演奏をすることができる。
【0074】
また、この実施形態2の電子鍵盤楽器においても、複数の鍵5がそれぞれ上下方向に回転動作した際にそれぞれスイッチ動作するスイッチ部16を更に備えており、この鍵スイッチ部16は、複数の突起部41のうち、回転ドラム20の下部に位置する突起部41が鍵操作部40の当接部40aに上側から当接して鍵5を引き下げる際に、オン動作し、回転ドラム20の下部に位置する突起部41間に鍵操作部40の当接部40aが対応して鍵5が初期位置に復帰する際に、オフ動作する構成であることにより、実施形態1と同様、回転ドラム20の回転動作に伴う鍵5の上下方向の回転動作によって、鍵スイッチ部16を確実にスイッチ動作させてスイッチ信号を出力することができ、このスイッチ信号によって楽音をスピーカ部6から良好に発生させることができる。
【0075】
なお、上述した実施形態1、2では、モータ部21の出力軸21aを回転ドラム20の支持軸20aに直接連結した構成である場合について述べたが、これに限らず、例えばモータ部21の出力軸21aに減速装置を取り付け、この減速装置でモータ部21の回転を減速させて回転ドラム20に伝達するように構成しても良い。
【0076】
また、上述した実施形態1、2では、回転ドラム20の一端部に設けられた支持軸20aがモータ部21の出力軸21aに連結され、回転ドラム20の他端部に設けられた軸受け部20bに支持部材22の先端部22aが回転可能に挿入されていることにより、回転ドラム20が下部ケース3上に回転可能に配置された構成である場合について述べたが、これに限らず、回転ドラム20を下部ケース3上に回転可能な状態で着脱可能に取り付けるように構成しても良い。
【0077】
このように構成すれば、回転ドラム20を交換することができるので、演奏曲の楽譜ごとに異なる突起部を複数の回転ドラム20にそれぞれ設け、この複数の回転ドラム20を演奏曲に応じて交換することにより、様々な楽譜に応じた演奏曲を自動演奏により楽しむことができる。
【0078】
さらに、上述した実施形態1、2およびその変形例では、回転ドラム20をモータ部21で回転させるように構成した場合について述べたが、必ずしもモータ部21によって回転ドラム20を回転させる必要はなく、例えばゼンマイなどの螺旋状のばね部材によって回転ドラム20を回転させるように構成しても良い。
【0079】
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0080】
(付記)
請求項1に記載の発明は、楽器本体に並列に配列された状態で上下方向に回転可能に設けられた複数の鍵と、この複数の鍵の下側に前記鍵の配列方向に沿った状態で上下方向に回転可能に配置され、且つ外周面に複数の突起部が前記複数の鍵にそれぞれ対応して設けられた回転ドラムと、前記複数の鍵にそれぞれ設けられ、且つ前記回転ドラムの回転動作に応じて前記複数の突起部が接離することにより、前記各鍵をそれぞれ上下方向に回転動作させるための鍵操作部と、を備えていることを特徴とする鍵盤装置である。
【0081】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鍵盤装置において、前記鍵の前記鍵操作部は、前記複数の突起部のうち、前記回転ドラムの上部に位置する前記突起部が下側から当接した際に前記鍵を押し上げ、前記回転ドラムの上部に位置する前記突起部間に対応した際に前記鍵の押し上げを解除して前記鍵の引き下げ動作を可能な状態にすることを特徴とする鍵盤装置である。
【0082】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の鍵盤装置において、前記複数の鍵をそれぞれ引き下げる方向に付勢する付勢部材を備えていることを特徴とする鍵盤装置である。
【0083】
請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の鍵盤装置において、前記複数の鍵がそれぞれ上下方向に回転動作した際にそれぞれスイッチ動作するスイッチ部を更に備え、このスイッチ部は、前記複数の突起部のうち、前記回転ドラムの上部に位置する前記突起部が前記鍵操作部に下側から当接して前記鍵を押し上げる際に、オフ動作し、前記回転ドラムの上部に位置する前記突起部間に前記鍵操作部が対応して前記鍵が前記付勢部材によって引き下げられる際に、オン動作することを特徴とする鍵盤装置である。
【0084】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜請求項4に記載の鍵盤装置において、前記鍵の前記鍵操作部は、弾性部材からなり、前記複数の突起部のうち、前記回転ドラムの上部に位置する前記突起部が下側から当接して前記鍵を押し上げる際に、ほとんど弾性変形せず、前記回転ドラムの上部に位置する前記突起部が下側から当接して前記鍵が押し上げられた状態で、前記鍵が押鍵操作された際に、弾性変形して前記鍵の押し下げ動作を可能にすることを特徴とする鍵盤装置である。
【0085】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の鍵盤装置において、前記鍵の前記鍵操作部は、前記複数の突起部のうち、前記回転ドラムの下部に位置する前記突起部が上側から当接した際に、前記鍵を引き下げ、前記回転ドラムの下部に位置する前記突起部間に対応した際に、前記鍵の引き下げ動作を解除して、前記鍵を初期位置に復帰可能な状態にすることを特徴とする鍵盤装置である。
【0086】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の鍵盤装置において、前記鍵の前記鍵操作部は、前記複数の突起部のうち、前記回転ドラムの下部に位置する前記突起部間に挿入した状態で、前記鍵が押鍵操作された際に、前記突起部間から下側に離脱して、前記鍵の押し下げ動作を可能にすることを特徴とする鍵盤装置である。
【0087】
請求項8に記載の発明は、請求項6または請求項7に記載の鍵盤装置において、前記複数の鍵がそれぞれ上下方向に回転動作した際にそれぞれスイッチ動作するスイッチ部を更に備え、このスイッチ部は、前記複数の突起部のうち、前記回転ドラムの下部に位置する前記突起部が前記鍵操作部に上側から当接して前記鍵を引き下げる際に、オン動作し、前記回転ドラムの下部に位置する前記突起部間に前記鍵操作部が対応して前記鍵が初期位置に復帰する際に、オフ動作することを特徴とする鍵盤装置である。
【符号の説明】
【0088】
1 楽器本体
2 上部ケース
3 下部ケース
4 鍵盤部
5 鍵
6 スピーカ部
10 鍵の屈曲部
11 鍵の連結部
15 スイッチ押圧部
16 鍵スイッチ部
18 スイッチ基板
19 ゴムシート
19a ドーム状の膨出部
20 回転ドラム
21 モータ部
23、41 複数の突起部
24、40 鍵操作部
40a 当接部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽器本体に並列に配列された状態で上下方向に回転可能に設けられた複数の鍵と、
この複数の鍵の下側に前記鍵の配列方向に沿った状態で上下方向に回転可能に配置され、且つ外周面に複数の突起部が前記複数の鍵にそれぞれ対応して設けられた回転ドラムと、
前記複数の鍵にそれぞれ設けられ、且つ前記回転ドラムの回転動作に応じて前記複数の突起部が接離することにより、前記各鍵をそれぞれ上下方向に回転動作させるための鍵操作部と、
を備えていることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項2】
請求項1に記載の鍵盤装置において、前記鍵の前記鍵操作部は、前記複数の突起部のうち、前記回転ドラムの上部に位置する前記突起部が下側から当接した際に前記鍵を押し上げ、前記回転ドラムの上部に位置する前記突起部間に対応した際に前記鍵の押し上げを解除して前記鍵の引き下げ動作を可能な状態にすることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項3】
請求項2に記載の鍵盤装置において、前記複数の鍵をそれぞれ引き下げる方向に付勢する付勢部材を備えていることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の鍵盤装置において、前記複数の鍵がそれぞれ上下方向に回転動作した際にそれぞれスイッチ動作するスイッチ部を更に備え、
このスイッチ部は、前記複数の突起部のうち、前記回転ドラムの上部に位置する前記突起部が前記鍵操作部に下側から当接して前記鍵を押し上げる際に、オフ動作し、前記回転ドラムの上部に位置する前記突起部間に前記鍵操作部が対応して前記鍵が前記付勢部材によって引き下げられる際に、オン動作することを特徴とする鍵盤装置。
【請求項5】
請求項2〜請求項4に記載の鍵盤装置において、前記鍵の前記鍵操作部は、弾性部材からなり、前記複数の突起部のうち、前記回転ドラムの上部に位置する前記突起部が下側から当接して前記鍵を押し上げる際に、ほとんど弾性変形せず、前記回転ドラムの上部に位置する前記突起部が下側から当接して前記鍵が押し上げられた状態で、前記鍵が押鍵操作された際に、弾性変形して前記鍵の押し下げ動作を可能にすることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項6】
請求項1に記載の鍵盤装置において、前記鍵の前記鍵操作部は、前記複数の突起部のうち、前記回転ドラムの下部に位置する前記突起部が上側から当接した際に、前記鍵を引き下げ、前記回転ドラムの下部に位置する前記突起部間に対応した際に、前記鍵の引き下げ動作を解除して、前記鍵を初期位置に復帰可能な状態にすることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項7】
請求項6に記載の鍵盤装置において、前記鍵の前記鍵操作部は、前記複数の突起部のうち、前記回転ドラムの下部に位置する前記突起部間に挿入した状態で、前記鍵が押鍵操作された際に、前記突起部間から下側に離脱して、前記鍵の押し下げ動作を可能にすることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の鍵盤装置において、前記複数の鍵がそれぞれ上下方向に回転動作した際にそれぞれスイッチ動作するスイッチ部を更に備え、
このスイッチ部は、前記複数の突起部のうち、前記回転ドラムの下部に位置する前記突起部が前記鍵操作部に上側から当接して前記鍵を引き下げる際に、オン動作し、前記回転ドラムの下部に位置する前記突起部間に前記鍵操作部が対応して前記鍵が初期位置に復帰する際に、オフ動作することを特徴とする鍵盤装置。
【請求項1】
楽器本体に並列に配列された状態で上下方向に回転可能に設けられた複数の鍵と、
この複数の鍵の下側に前記鍵の配列方向に沿った状態で上下方向に回転可能に配置され、且つ外周面に複数の突起部が前記複数の鍵にそれぞれ対応して設けられた回転ドラムと、
前記複数の鍵にそれぞれ設けられ、且つ前記回転ドラムの回転動作に応じて前記複数の突起部が接離することにより、前記各鍵をそれぞれ上下方向に回転動作させるための鍵操作部と、
を備えていることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項2】
請求項1に記載の鍵盤装置において、前記鍵の前記鍵操作部は、前記複数の突起部のうち、前記回転ドラムの上部に位置する前記突起部が下側から当接した際に前記鍵を押し上げ、前記回転ドラムの上部に位置する前記突起部間に対応した際に前記鍵の押し上げを解除して前記鍵の引き下げ動作を可能な状態にすることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項3】
請求項2に記載の鍵盤装置において、前記複数の鍵をそれぞれ引き下げる方向に付勢する付勢部材を備えていることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の鍵盤装置において、前記複数の鍵がそれぞれ上下方向に回転動作した際にそれぞれスイッチ動作するスイッチ部を更に備え、
このスイッチ部は、前記複数の突起部のうち、前記回転ドラムの上部に位置する前記突起部が前記鍵操作部に下側から当接して前記鍵を押し上げる際に、オフ動作し、前記回転ドラムの上部に位置する前記突起部間に前記鍵操作部が対応して前記鍵が前記付勢部材によって引き下げられる際に、オン動作することを特徴とする鍵盤装置。
【請求項5】
請求項2〜請求項4に記載の鍵盤装置において、前記鍵の前記鍵操作部は、弾性部材からなり、前記複数の突起部のうち、前記回転ドラムの上部に位置する前記突起部が下側から当接して前記鍵を押し上げる際に、ほとんど弾性変形せず、前記回転ドラムの上部に位置する前記突起部が下側から当接して前記鍵が押し上げられた状態で、前記鍵が押鍵操作された際に、弾性変形して前記鍵の押し下げ動作を可能にすることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項6】
請求項1に記載の鍵盤装置において、前記鍵の前記鍵操作部は、前記複数の突起部のうち、前記回転ドラムの下部に位置する前記突起部が上側から当接した際に、前記鍵を引き下げ、前記回転ドラムの下部に位置する前記突起部間に対応した際に、前記鍵の引き下げ動作を解除して、前記鍵を初期位置に復帰可能な状態にすることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項7】
請求項6に記載の鍵盤装置において、前記鍵の前記鍵操作部は、前記複数の突起部のうち、前記回転ドラムの下部に位置する前記突起部間に挿入した状態で、前記鍵が押鍵操作された際に、前記突起部間から下側に離脱して、前記鍵の押し下げ動作を可能にすることを特徴とする鍵盤装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の鍵盤装置において、前記複数の鍵がそれぞれ上下方向に回転動作した際にそれぞれスイッチ動作するスイッチ部を更に備え、
このスイッチ部は、前記複数の突起部のうち、前記回転ドラムの下部に位置する前記突起部が前記鍵操作部に上側から当接して前記鍵を引き下げる際に、オン動作し、前記回転ドラムの下部に位置する前記突起部間に前記鍵操作部が対応して前記鍵が初期位置に復帰する際に、オフ動作することを特徴とする鍵盤装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−15627(P2013−15627A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147367(P2011−147367)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]