説明

鎮咳剤

式(I)


[式中、Rは、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル等を表し、
−X−Xは、CR=CR−CR=CR(式中、R、R、R及びRは、同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル等を表す)等を表し、
Yは−CHS−等を表し、
は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル等を表す]で表される三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する鎮咳剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する鎮咳剤に関する。
【背景技術】
咳は粘液線毛輸送や喀痰の排出等、生体防御における気道クリアランスに対して重要な役割を演じている。動物における咳の誘発には器械的刺激、クエン酸、カプサイシン及びサブスタンスP刺激等が知られている[日本薬理学雑誌、105巻、41頁(1995年)]。
各種呼吸器疾患における鎮咳剤としては、中枢性鎮咳薬のリン酸コデインが多く用いられている。しかしリン酸コデインには便秘、痰の粘り気の増加、食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、散瞳、頭痛、不眠、不安、せん妄、振戦、呼吸促迫等の退薬症状、呼吸抑制等、多くの副作用が知られている。また非麻薬性鎮咳薬として、デキストロメトルファン、リン酸ベンプロペリン、リン酸ジメモルファン、ヒベンズ酸チペピジン、塩酸エプラジノン等が用いられているが、これらにも眠気、不眠、眩暈、興奮、食欲不振、便秘、腹痛、口渇、発疹、掻痒感等、多くの副作用があることが知られている。さらに気管支ぜんそく、慢性気管支炎、肺気腫症、びまん性汎細気管支炎等における鎮咳には、気管支に直接作用して気管支平滑筋を弛緩させる、テオフィリン、塩酸プロカテロール、塩酸クレンブテロール等の気管支拡張剤が用いられる。しかしテオフィリンでは痙攣、意識障害、急性脳症、横紋筋融解症、吐血、頻呼吸、高血糖症等の副作用が知られており、塩酸プロカテロール及び塩酸クレンブテロールでは重篤な血清カリウム値の低下、発疹、掻痒感等の過敏症、振戦、頭痛、めまい等の精神神経症状、動悸、頻脈、ほてり等の循環器症状、嘔吐、口渇、胃部不快感等の消化器症状、グルタミン酸−オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(GOT)及びグルタミン酸−ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)の上昇等の肝機能障害等の副作用が知られており、過度な使用を継続した場合、不整脈や心停止の恐れがある[呼吸、3巻、924頁(1984年)]。そこで、副作用が無く、多くの疾患に用いることができる鎮咳剤が求められている。
一方、本発明で用いられる化合物と同一の構造を有する化合物は、膀胱充満時に生ずる排尿間隔の延長作用を有し、神経因性膀胱及び不安定膀胱等をはじめとする種々の疾患または状態における頻尿、尿失禁、尿意切迫感及び残尿感等の治療または改善に有用であることが知られている(WO97/14672、WO98/46587)。
【発明の開示】
本発明の目的は、三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する鎮咳剤を提供することにある。
本発明は、以下の(1)〜(27)に関する。
(1)式(I)

{式中、Rは、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたはハロゲンを表し、
−X−Xは、CR=CR−CR=CR[式中、R、R、R及びRは、同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、ニトロ、アミノ、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノまたはハロゲンを表す]、N(O)=CR−CR=CR(式中、R、R及びRはそれぞれ前記と同義であり、mは0または1を表す)、CR=CR−N(O)=CR(式中、R、R、R及びmはそれぞれ前記と同義である)、CR=CR−CR=N(O)(式中、R、R、R及びmはそれぞれ前記と同義である)、CR=CR−O(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)、CR=CR−S(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)、O−CR=CR(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)、S−CR=CR(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)またはO−CR=N(式中、Rは前記と同義である)を表し、
Yは−CHS−、−CHSO−、−CHSO−、−CHO−、−CH=CH−、−(CH−(式中、pは0〜2の整数を表す)、−SCH−、−SOCH−、−SOCH−または−OCH−を表し、
は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、アミノ、モノ(置換もしくは非置換の低級アルキル)置換アミノ、ジ(置換もしくは非置換の低級アルキル)置換アミノ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のアラルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す}で表される三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する鎮咳剤。
(2)式(Ia)

[式中、R及びX−X−Xはそれぞれ前記と同義であり、Yは−CHSO−、−SCH−、−SOCH−、−SOCH−または−OCH−を表し、Yが−CHSO−、−SCH−、−SOCH−または−SOCH−であるときに、R2aは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、アミノ、モノ(置換もしくは非置換の低級アルキル)置換アミノ、ジ(置換もしくは非置換の低級アルキル)置換アミノ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のアラルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノ、置換もしくは非置換の脂環式複素環基、または置換もしくは非置換の含窒素複素環基を表し、Yが−OCH−であるときに、R2aは水素原子、トリフルオロメチル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、アミノ、モノ(置換もしくは非置換の低級アルキル)置換アミノ、ジ(置換もしくは非置換の低級アルキル)置換アミノ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のアラルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノ、置換もしくは非置換の脂環式複素環基、置換もしくは非置換の含窒素複素環基または式(II)

(式中、nは0または1であり、R及びRは、同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の環状アルキル、置換もしくは非置換のアリール、または置換もしくは非置換のアラルキルを表すか、R及びRが隣接する炭素原子と一緒になって環状アルキルを形成してもよく、Qはヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、アミノまたはハロゲンを表す)を表す]である三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する鎮咳剤。
(3)Yが−CHSO−、−SCH−、−SOCH−または−SOCH−である前記(2)記載の鎮咳剤。
(4)Yが−OCH−である前記(2)記載の鎮咳剤。
(5)Rが水素原子、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたはハロゲンである前記(2)〜(4)のいずれかに記載の鎮咳剤。
(6)Rが水素原子である前記(2)〜(4)のいずれかに記載の鎮咳剤。
(7)Yが−CHSO−、−SOCH−または−OCH−である前記(2)、(5)及び(6)のいずれかに記載の鎮咳剤。
(8)Yが−CHSO−または−SOCH−である前記(2)、(5)及び(6)のいずれかに記載の鎮咳剤。
(9)Yが−CHSO−である前記(2)、(5)及び(6)のいずれかに記載の鎮咳剤。
(10)X−X−XがS−CR=CR(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)である前記(2)〜(9)のいずれかに記載の鎮咳剤。
(11)X−X−XがCR=CR−CR=CR(式中、R、R、R及びRはそれぞれ前記と同義である)である前記(2)〜(9)のいずれかに記載の鎮咳剤。
(12)R2aが式(II)

(式中、n、R、R及びQはそれぞれ前記と同義である)である前記(2)〜(11)のいずれかに記載の鎮咳剤。
(13)nが0である前記(12)記載の鎮咳剤。
(14)Rがメチルであり、Rがトリフルオロメチルであり、Qがヒドロキシである前記(13)記載の鎮咳剤。
(15)Rが水素原子であり、Yが−CHSO−であり、X−X−XがS−CR=CR(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)であり、Rが式(III)

である前記(2)記載の鎮咳剤。
(16)式(Ib)

[式中、R及びX−X−Xはそれぞれ前記と同義であり、Yは−CHO−、−CHS−、−CUSO−、−CH=CH−または−(CH−(式中、pは前記と同義である)を表し、R2bは式(III)

を表す]で表される三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する鎮咳剤。
(17)X−X−XがCR=CR−CR=CR(式中、R、R、R及びRはそれぞれ前記と同義である)またはCR=CR−CR=N(式中、R、R及びRはそれぞれ前記と同義である)である前記(16)記載の鎮咳剤。
(18)X−X−XがCR=CR−O(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)またはCR=CR−S(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)である前記(16)記載の鎮咳剤。
(19)X−X−XがO−CR=CR(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)またはS−CR=CR(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)である前記(16)記載の鎮咳剤。
(20)Yが−CHO−である前記(16)〜(19)のいずれかに記載の鎮咳剤。
(21)Yが−(CH−(式中、pは前記と同義である)である前記(16)〜(19)のいずれかに記載の鎮咳剤。
(22)pが0である前記(21)記載の鎮咳剤。
(23)pが2である前記(21)記載の鎮咳剤。
(24)Yが−CH=CH−である前記(16)〜(19)のいずれかに記載の鎮咳剤。
(25)Yが−CHS−または−CHSO−である前記(16)〜(19)のいずれかに記載の鎮咳剤。
(26)前記(1)〜(25)のいずれかに記載の三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与する工程を含む、鎮咳方法。
(27)鎮咳剤の製造のための、前記(1)〜(25)のいずれかに記載の三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。
以下、式(I)で表される化合物を、化合物(I)という。他の式番号で表される化合物についても同様である。
式(I)の各基の定義において、低級アルキルとしては、例えば直鎖または分岐している炭素数1〜8のアルキル、より具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、1,2,2−トリメチルプロピル、ヘプチル、オクチル等が挙げられる。
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を意味する。
低級アルコキシ、モノ(低級アルキル)置換アミノ及びジ(低級アルキル)置換アミノにおける低級アルキル部分は、前記低級アルキルと同義である。
低級アルカノイルアミノにおける低級アルカノイルとしては、例えば炭素数1〜6のアルカノイル、より具体的にはホルミル、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、2,2−ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル等が挙げられる。
低級アルケニルとしては、例えば直鎖または分岐している炭素数2〜6のアルケニル、より具体的にはビニル、アリル、1−プロペニル、メタクリル、1−ブテニル、クロチル、ペンテニル、ヘキセニル等が挙げられる。
アリール及びアリールアミノのアリール部分としては例えばフェニル、ナフチル等が包含され、ヘテロアリールとしては例えばピリジル、フリル、チエニル、キノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、チアゾリル等が挙げられる。
アラルキルアミノのアラルキル部分としては、例えば炭素数7〜12のアラルキル、より具体的にはベンジル、フェネチル、ナフチルメチル等が挙げられる。
複素環基としては、例えば脂環式複素環基、含窒素複素環基等が挙げられる。脂環式複素環基としては、例えばテトラヒドロフリル、テトラヒドロチエニル、クロマニル等が挙げられる。含窒素複素環基は、例えば1〜2の窒素原子をその環内に含む複素環であり、さらに酸素、硫黄等のヘテロ原子を含んでいてもよく、例えばピロリジニル、ピペコリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、オキサゾリル等が挙げられる。
置換低級アルキル、置換低級アルコキシ、モノ(置換低級アルキル)置換アミノ、ジ(置換低級アルキル)置換アミノ、置換低級アルカノイルアミノ及び置換低級アルケニルにおける置換基としては、同一または異なって、置換数1〜置換可能な数の(好ましくは1〜6の、より好ましくは1〜4の)、例えばヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、環状アルキル、置換環状アルキル[該置換環状アルキルにおける置換基としては同一または異なって例えば置換数1〜3のヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、低級アルコキシ等が挙げられる]、アリール、置換アリール(該置換アリールにおける置換基は、後記の置換アリールにおける置換基と同義である)、アラルキル、置換アラルキル(該置換アラルキルにおける置換基は、後記の置換アラルキルにおける置換基と同義である)、低級アルコキシ、置換低級アルコキシ[該置換低級アルコキシにおける置換基としては同一または異なって例えば置換数1〜3のヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、低級アルコキシ等が挙げられる]等が挙げられる。また、上記において置換低級アルキル上の同一炭素原子上の2つの低級アルキルが該炭素原子と一緒になって脂肪族環を形成してもよい。さらに置換低級アルキルが置換メチルまたは置換エチルである場合は、その置換基は同一または異なって、例えば置換数1〜3の、低級アルキルまたは置換低級アルキル[該置換低級アルキルにおける置換基としては、同一または異なって、例えば置換数1〜3の、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、低級アルコキシ等が挙げられる]であってもよい。
置換低級アルキル、置換低級アルコキシ、モノ(置換低級アルキル)置換アミノ、ジ(置換低級アルキル)置換アミノ、置換低級アルカノイルアミノ及び置換低級アルケニルにおける置換基の定義において、ハロゲンは前記と同義であり、低級アルキル、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、低級アルコキシにおける低級アルキル部分は、前記低級アルキルと同義であり、アリールは前記と同義である。環状アルキル及び脂肪族環の環状アルキル部分としては、例えば炭素数3〜8の環状アルキル、より具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。アラルキルとしては、例えば炭素数7〜12のアラルキル、より具体的にはベンジル、フェネチル、ナフチルメチル等が挙げられる。
置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アラルキルアミノ及び置換アリールアミノにおける置換基としては、同一または異なって、例えば置換数1〜3の低級アルキル、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン等が挙げられる。
置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アラルキルアミノ及び置換アリールアミノにおける置換基の定義において、低級アルキル、ハロゲンはそれぞれ前記と同義である。
置換複素環基における置換基としては、同一または異なって、例えば置換数1〜3の低級アルキル、ヒドロキシ、ハロゲン等が挙げられる。
置換複素環基における置換基の定義において、低級アルキル、ハロゲンはそれぞれ前記と同義である。
式(Ia)及び式(Ib)の各基の定義において、低級アルキルとしては、例えば直鎖または分岐している炭素数1〜6のアルキル、より具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、1,2,2−トリメチルプロピル等が挙げられる。
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を意味する。
低級アルコキシ、モノ(低級アルキル)置換アミノ及びジ(低級アルキル)置換アミノにおける低級アルキル部分は、前記低級アルキルと同義である。
低級アルケニルとしては、例えば直鎖または分岐している炭素数2〜6のアルケニル、より具体的にはビニル、アリル、1−プロペニル、メタクリル、1−ブテニル、クロチル、ペンテニル、ヘキセニル等が挙げられる。
アリール及びアリールアミノのアリール部分としては例えばフェニル、ナフチル等が包含され、ヘテロアリールとしては例えばピリジル、フリル、チエニル、キノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、チアゾリル等が挙げられる。
アラルキル及びアラルキルアミノのアラルキル部分としては、例えば炭素数7〜12のアラルキル、より具体的にはベンジル、フェネチル、ナフチルメチル等が挙げられる。
脂環式複素環基としては、例えばテトラヒドロフリル、テトラヒドロチエニル、クロマニル等が挙げられる。含窒素複素環基は、例えば1〜2の窒素原子をその環内に含む複素環であり、さらに酸素、硫黄等のヘテロ原子を含んでいてもよく、且つその環内の窒素原子が隣接するカルボニル基と結合している複素環を表し、例えばピロリジニル、ピペコリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、オキサゾリル等が挙げられる。
環状アルキルとしては、例えば炭素数3〜8の環状アルキル、より具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。
置換低級アルキル、置換低級アルコキシ、モノ(置換低級アルキル)置換アミノ、ジ(置換低級アルキル)置換アミノ、置換低級アルケニル、及び置換環状アルキルにおける置換基としては、同一または異なって、例えば置換数1〜3の、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、低級アルコキシ等が挙げられる。また置換低級アルキルが、置換メチルまたは置換エチルである場合は、その置換基は同一または異なって、例えば置換数1〜3の、低級アルキル、置換低級アルキル[該置換低級アルキルにおける置換基としては、同一または異なって、例えば置換数1〜3の、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、低級アルコキシ等が挙げられる]、環状アルキル、置換環状アルキル[該置換環状アルキルにおける置換基としては、同一または異なって、例えば置換数1〜3の、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、低級アルコキシ等が挙げられる]、アリール、置換アリール[該置換アリールにおける置換基としては、同一または異なって、例えば置換数1〜3の、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、低級アルコキシ等が挙げられる]、アラルキル、置換アラルキル[該置換アラルキルにおける置換基としては、同一または異なって、例えば置換数1〜3の、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、低級アルコキシ等が挙げられる]、置換低級アルコキシ[該置換低級アルコキシにおける置換基としては、同一または異なって、例えば置換数1〜3の、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、低級アルコキシ等が挙げられる]であってもよい。さらに置換メチルまたは置換エチルの同一炭素原子上の2つの低級アルキルが該炭素原子と一緒になって脂肪族環を形成してもよい。
置換低級アルキル、置換低級アルコキシ、モノ(置換低級アルキル)置換アミノ、ジ(置換低級アルキル)置換アミノ、置換低級アルケニル、及び置換環状アルキルにおける置換基の定義において、ハロゲン、環状アルキル及び脂肪族環の環状アルキル部分、アリール、ならびにアラルキルはそれぞれ前記と同義であり、低級アルキル、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、及び低級アルコキシにおける低級アルキル部分は、前記低級アルキルと同義である。
置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アラルキル、置換アラルキルアミノ及び置換アリールアミノにおける置換基としては、同一または異なって、例えば置換数1〜3の低級アルキル、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン等が挙げられる。
置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アラルキル、置換アラルキルアミノ及び置換アリールアミノにおける置換基の定義において、低級アルキル、ハロゲンはそれぞれ前記と同義である。
置換脂環式複素環基及び置換含窒素複素環基における置換基としては、同一または異なって、例えば置換数1〜3の低級アルキル、ヒドロキシ、ハロゲン等が挙げられる。
置換脂環式複素環基及び置換含窒素複素環基における置換基の定義において、低級アルキル、ハロゲンはそれぞれ前記と同義である。
化合物(I)、化合物(Ia)及び化合物(Ib)の薬理学的に許容される塩としては、薬理学的に許容される酸付加塩が挙げられ、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、グリオキシル酸塩、アスバラギン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。
本発明で用いられる化合物は、前記刊行物に開示された方法、またはそれらに準じて製造することができ、有機合成化学で常用される精製法、例えば中和、濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して単離・精製することができる。
本発明で用いられる化合物の塩を取得したいとき、当該化合物が塩の形で得られる場合には、そのまま精製すればよく、また、遊離塩基の形で得られる場合には、当該遊離塩基を適当な溶媒に溶解または懸濁し、酸を加え塩を形成させれば良い。
なお、本発明で用いられる化合物の中には光学異性体が存在し得るものもあるが、全ての可能な立体異性体及びそれらの混合物も、本発明の鎮咳剤の有効成分として用いることができる。また、上記の全ての可能な立体異性体及びそれらの混合物は、本発明のくしゃみ抑制剤の有効成分としても用いることができる。
さらに、本発明で用いられる化合物またはその薬理学的に許容される塩は、水、または各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これら付加物も本発明の鎮咳剤の有効成分として用いることができる。また、上記の付加物は、本発明のくしゃみ抑制剤の有効成分としても用いることができる。
鎮咳活性は、クエン酸やカプサイシン等の物質の吸入によって誘発される咳を抑制することで評価できる。また、クエン酸やカプサイシン等の気管内への直接注入により誘発された咳を抑制することで評価できる[日本薬理学雑誌、120巻、237頁(2002年)]。物理的な刺激、例えば喉頭や気管を接触刺激することによる咳を抑制することでも評価できる[ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Eur.J.Pharmacol.)、329巻、93頁(1997年)]。
次に、代表的な化合物(I)の薬理作用について試験例により具体的に説明する。試験化合物としては、(S)−(+)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミド[(S)−(+)−3,3,3−trifluoro−2−hydroxy−2−methyl−N−(5,5,10−trioxo−4,10−dihydrothieno[3,2−c][1]benzothiepin−9−yl)propanamide]及び2−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5,5,10−トリオキソ−4,10−ジヒドロチエノ[3,2−c][1]ベンゾチエピン−9−イル)プロパンアミド[2−hydroxy−2−methyl−N−(5,5,10−trioxo−4,10−dihydro−thieno[3,2−c][1]benzothiepin−9−yl)propanamide]を用いた。以下、上記の2化合物を本明細書において、それぞれ化合物1及び2という。なお、化合物1及び2は、それぞれWO98/46587中の化合物(1−25)及び(3−12)と同一である。
試験例1:モルモットのクエン酸誘発咳嗽モデルによる評価
試験にはモルモット(ハートレー系、雄性、6週齢、日本エスエルシー社)を使用した。クエン酸による咳反射の誘発は細江らの方法[薬理と臨床、5巻、2147頁(1995年)]に準じて実施した。すなわち、モルモットをモルモット用ダブル・チャンバー・プレチスモグラフ・ボックス(double chamber plethysmograph box,バクスコ エレクトロニクス社製)内に固定し、およそ1.6L/分で換気した。0.5mol/Lクエン酸[和光純薬工業(株)製]を含む生理食塩水を超音波式ネブライザーNE−U12(オムロン社製)を用いて頭部側ボックスの上部から2分間噴霧し、側面より排出させた。咳反射は、発生する咳嗽音及び呼吸波形から測定した。クエン酸の吸入開始から15分間に発生した咳の回数を測定した。化合物1、化合物2及びリン酸コデイン[塩野義製薬(株)製]は、0.5w/v%メチルセルロース400cP[和光純薬工業(株)製]に懸濁し、クエン酸の吸入開始の1時間前に経口投与した。なお化合物1、化合物2は0.5w/v%メチルセルロース400cP 1mLに2mg懸濁させ、リン酸コデインは0.5w/v%メチルセルロース400cP 1mLに4mg懸濁させ、体重1kg当たり5mLを投与した。溶媒投与群のクエン酸吸入による咳反射回数は7.9±1.8回、化合物1の10mg/kg投与群は2.0±1.0回であった。なお試験には溶媒投与群及び化合物1投与群ともにモルモット7匹を使用し、咳反射回数は平均値±標準誤差で表した。溶媒投与群の咳反射回数と比較して化合物1投与群で有意な抑制作用(P=0.0132)を示した(図1)。化合物2の10mg/kg投与群は4.3±1.0回、溶媒投与群のクエン酸吸入による咳反射回数は10.3±1.8回であった。試験には溶媒投与群及び化合物2投与群ともにモルモット12匹を使用した。咳反射回数は平均値±標準誤差で表した。溶媒投与群の咳反射回数と比較して化合物2投与群で有意な抑制作用(P=0.0090)を示した(図2)。中枢性鎮咳薬のリン酸コデイン20mg/kg投与群の咳反射回数は1.8±0.5回、溶媒投与群は6.8±1.4回であった。試験には溶媒投与群及びリン酸コデイン投与群ともにモルモット6匹を使用した。咳反射回数は平均値±標準誤差で表した。リン酸コデイン投与群は溶媒投与群と比較して有意な咳反射回数抑制(P=0.0123)が見られた(図3)。
本発明の化合物を含有する医薬製剤は、活性成分として該化合物単独で、あるいは任意の他の治療のための有効成分との混合物として含有することができる。また、それら医薬製剤は、活性成分を薬理学的に許容される一種もしくはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤の技術分野においてよく知られている任意の方法により製造される。
投与経路としては、治療に際し最も効果的なものを使用するのが望ましく、経口または、例えば気管内、静脈内等の非経口をあげることができる。
投与形態としては、錠剤、シロップ剤、吸入剤、注射剤等がある。
経口投与に適当な、例えばシロップ剤のような液体調製物は、水、蔗糖、ソルビット、果糖等の糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、ごま油、オリーブ油、大豆油等の油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類等の防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミント等のフレーバー類等を使用して製造できる。また、錠剤、散剤及び顆粒剤等は、乳糖、ブドウ糖、蔗糖、マンニット等の賦形剤、澱粉、アルギン酸ソーダ等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ポリビニールアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン等の結合剤、脂肪酸エステル等の界面活性剤、グリセリン等の可塑剤等を用いて製造できる。
吸入剤に適当な製剤は、ドライパウダー、量噴霧式吸入剤(metered dose inhaler;MDI)に用いることができる溶媒に溶解したもの、スプレーに用いることができる溶媒に溶解したもの、ネブライザーに用いる溶媒に溶解したもの等を調製する。
注射剤に適当な製剤は、好ましくは受容者の血液と等張である活性化合物を含む滅菌水性剤からなる。例えば、注射剤の場合は、塩溶液、ブドウ糖溶液または塩水とブドウ糖溶液の混合物からなる担体等を用いて注射用の溶液を調製する。
また、これら非経口剤においても、経口剤で例示した希釈剤、防腐剤、フレーバー類、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤等から選択される1種もしくはそれ以上の補助成分を添加することもできる。
本発明で用いられる化合物の投与量及び投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、治療すべき症状の性質もしくは重篤度により異なるが、通常経口の場合、成人一人当り0.01mg〜1g、好ましくは1〜150mgを一日一回ないし数回投与する。吸入や静脈内投与等の非経口投与の場合、成人一人当り0.01〜1g、好ましくは0.1〜100mgを一日一回ないし数回投与する。しかしながら、これら投与量及び投与回数に関しては、前述の種々の条件により変動する。
【図面の簡単な説明】
第1図
モルモットのクエン酸誘発咳嗽に対する化合物1(10mg/kg経口投与)の作用を示す。縦軸はクエン酸吸入により15分間に誘発する咳反射回数を示す。
*:P<0.05(溶媒投与群対比のStudent t−検定)
第2図
モルモットのクエン酸誘発咳嗽に対する化合物2(10mg/kg経口投与)の作用を示す。縦軸はクエン酸吸入により15分間に誘発する咳反射回数を示す。
**:P<0.01(溶媒投与群対比のStudent t−検定)
第3図
モルモットのクエン酸誘発咳嗽に対するリン酸コデイン(20mg/kg経口投与)の作用を示す。縦軸はクエン酸吸入により15分間に誘発する咳反射回数を示す。
**:P<0.05(溶媒投与群対比のAspin−Welch検定)
【発明を実施するための最良の形態】
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により限定されることはない。
実施例1:錠剤
常法により、次の組成からなる錠剤を調製した。化合物1の250g、マンニトール1598.5g、でん粉グリコール酸ナトリウム100g、軽質無水ケイ酸10g、ステアリン酸マグネシウム40g及び黄色三二酸化鉄1.5gを常法により混合した。この混合物を用い、径8mmの杵を有する打錠機(菊水社製Purepress Correct−12型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分25mgを含有する)を得た。
処方 化合物1 25 mg
マンニトール 159.85mg
でん粉グリコール酸ナトリウム 10 mg
軽質無水ケイ酸 1 mg
ステアリン酸マグネシウム 4 mg
黄色三二酸化鉄 0.15mg
200 mg
実施例2:錠剤
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。化合物2の250g、マンニトール1598.5g、でん粉グリコール酸ナトリウム100g、軽質無水ケイ酸10g、ステアリン酸マグネシウム40g及び黄色三二酸化鉄1.5gを常法により混合する。この混合物を用い、径8mmの杵を有する打錠機(菊水社製Purepress Correct−12型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分25mgを含有する)を得る。
処方 化合物2 25 mg
マンニトール 159.85mg
でん粉グリコール酸ナトリウム 10 mg
軽質無水ケイ酸 1 mg
ステアリン酸マグネシウム 4 mg
黄色三二酸化鉄 0.15mg
200 mg
実施例3:カプセル剤
常法により、次の組成からなるカプセル剤を調製した。化合物1の500g、ラクトース300g、軽質無水ケイ酸100g及びラウリル硫酸ナトリウム100gを常法により混合した。この混合物をカプセル充填機(Zanasi社製、LZ−64型)により、ハードカプセル1号(1カプセルあたり100mg容量)に充填し、カプセル剤(1カプセルあたり活性成分50mgを含有する)を得た。
処方 化合物1 50 mg
ラクトース 30 mg
軽質無水ケイ酸 10 mg
ラウリル硫酸ナトリウム 10 mg
100 mg
実施例4:注射剤
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。化合物1の1gを精製ダイズ油100gに溶解させ、精製卵黄レシチン12g及び注射用グリセリン25gを加える。この混合物を常法により注射用蒸留水で1000mLとして練合・乳化する。得られた分散液を0.2μmのディスポーザブル型メンブランフィルターを用いて無菌濾過後、ガラスバイアルに2mLずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分2mgを含有する)を得る。
処方 化合物1 2 mg
精製ダイズ油 200 mg
精製卵黄レシチン 24 mg
注射用グリセリン 50 mg
注射用蒸留水 1.72mL
2.00mL
【産業上の利用可能性】
本発明により、三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する鎮咳剤が提供される。
【図1】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)

{式中、Rは、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたはハロゲンを表し、
−X−Xは、CR=CR−CR=CR[式中、R、R、R及びRは、同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、ニトロ、アミノ、モノ(低級アルキル)置換アミノ、ジ(低級アルキル)置換アミノ、置換もしくは非置換の低級アルカノイルアミノまたはハロゲンを表す]、N(O)=CR−CR=CR(式中、R、R及びRはそれぞれ前記と同義であり、mは0または1を表す)、CR=CR−N(O)=CR(式中、R、R、R及びmはそれぞれ前記と同義である)、CR=CR−CR=N(O)(式中、R、R、R及びはそれぞれ前記と同義である)、CR=CR−O(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)、CR=CR−S(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)、O−CR=CR(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)、S−CR=CR(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)またはO−CR=N(式中、Rは前記と同義である)を表し、
Yは−CHS−、−CHSO−、−CHSO−、−CHO−、−CH=CH−、−(CH)p(式中、pは0〜2の整数を表す)、−SCH−、−SOCH−、−SOCH−または−OCH−を表し、
は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、アミノ、モノ(置換もしくは非置換の低級アルキル)置換アミノ、ジ(置換もしくは非置換の低級アルキル)置換アミノ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のアラルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す}で表される三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する鎮咳剤。
【請求項2】
式(Ia)

[式中、R及びX−X−Xはそれぞれ前記と同義であり、Yは−CHSO−、−SCH−、−SOCH−、−SOCH−または−OCH−を表し、Yが−CHSO−、−SCH−、−SOCH−または−SOCH−であるときに、R2aは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、アミノ、モノ(置換もしくは非置換の低級アルキル)置換アミノ、ジ(置換もしくは非置換の低級アルキル)置換アミノ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のアラルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノ、置換もしくは非置換の脂環式複素環基、または置換もしくは非置換の含窒素複素環基を表し、Yが−OCH−であるときに、R2aは水素原子、トリフルオロメチル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、アミノ、モノ(置換もしくは非置換の低級アルキル)置換アミノ、ジ(置換もしくは非置換の低級アルキル)置換アミノ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のアラルキルアミノ、置換もしくは非置換のアリールアミノ、置換もしくは非置換の脂環式複素環基、置換もしくは非置換の含窒素複素環基または式(II)

(式中、nは0または1であり、R及びRは、同一または異なって水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の環状アルキル、置換もしくは非置換のアリール、または置換もしくは非置換のアラルキルを表すか、R及びRが隣接する炭素原子と一緒になって環状アルキルを形成してもよく、Qはヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、アミノまたはハロゲンを表す)を表す]である三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する鎮咳剤。
【請求項3】
が−CHSO−、−SCH−、−SOCH−または−SOCH−である請求の範囲2記載の鎮咳剤。
【請求項4】
が−OCH−である請求の範囲2記載の鎮咳剤。
【請求項5】
が水素原子、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたはハロゲンである請求の範囲2〜4のいずれかに記載の鎮咳剤。
【請求項6】
が水素原子である請求の範囲2〜4のいずれかに記載の鎮咳剤。
【請求項7】
が−CHSO−、−SOCH−または−OCH−である請求の範囲2、5及び6のいずれかに記載の鎮咳剤。
【請求項8】
が−CHSO−または−SOCH−である請求の範囲2、5及び6のいずれかに記載の鎮咳剤。
【請求項9】
が−CHSO−である請求の範囲2、5及び6のいずれかに記載の鎮咳剤。
【請求項10】
−X−XがS−CR=CR(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)である請求の範囲2〜9のいずれかに記載の鎮咳剤。
【請求項11】
−X−XがCR=CR−CR=CR(式中、R、R、R及びRはそれぞれ前記と同義である)である請求の範囲2〜9のいずれかに記載の鎮咳剤。
【請求項12】
2aが式(II)

(式中、n、R、R及びQはそれぞれ前記と同義である)である請求の範囲2〜11のいずれかに記載の鎮咳剤。
【請求項13】
nが0である請求の範囲12記載の鎮咳剤。
【請求項14】
がメチルであり、Rがトリフルオロメチルであり、Qがヒドロキシである請求の範囲13記載の鎮咳剤。
【請求項15】
が水素原子であり、Yが−CHSO−であり、X−X−XがS−CR=CR(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)であり、R2aが式(III)

である請求の範囲2記載の鎮咳剤。
【請求項16】
式(Ib)

[式中、R及びX−X−Xはそれぞれ前記と同義であり、Yは−CHO−、−CHS−、−CHSO−、−CH=CH−または−(CH−(式中、pは前記と同義である)を表し、R2bは式(III)

を表す]で表される三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する鎮咳剤。
【請求項17】
−X−XがCR=CR−CR=CR(式中、R、R、R及びRはそれぞれ前記と同義である)またはCR=CR−CR=N(式中、R、R及びRはそれぞれ前記と同義である)である請求の範囲16記載の鎮咳剤。
【請求項18】
−X−XがCR=CR−O(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)またはCR=CR−S(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)である請求の範囲16記載の鎮咳剤。
【請求項19】
−X−XがO−CR=CR(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)またはS−CR=CR(式中、R及びRはそれぞれ前記と同義である)である請求の範囲16記載の鎮咳剤。
【請求項20】
が−CHO−である請求の範囲16〜19のいずれかに記載の鎮咳剤。
【請求項21】
が−(CH−(式中、pは前記と同義である)である請求の範囲16〜19のいずれかに記載の鎮咳剤。
【請求項22】
pが0である請求の範囲21記載の鎮咳剤。
【請求項23】
pが2である請求の範囲21記載の鎮咳剤。
【請求項24】
が−CH=CH−である請求の範囲16〜19のいずれかに記載の鎮咳剤。
【請求項25】
が−CHS−または−CHSO−である請求の範囲16〜19のいずれかに記載の鎮咳剤。
【請求項26】
請求の範囲1〜25のいずれかに記載の三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与する工程を含む、鎮咳方法。
【請求項27】
鎮咳剤の製造のための、請求の範囲1〜25のいずれかに記載の三環式化合物またはその薬理学的に許容される塩の使用。

【国際公開番号】WO2004/087131
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【発行日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504252(P2005−504252)
【国際出願番号】PCT/JP2004/004578
【国際出願日】平成16年3月31日(2004.3.31)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【Fターム(参考)】