説明

鎮痛部材及びこの鎮痛部材を備える鎮痛貼付材

【課題】カーボンマイクロコイル等の炭素繊維製3次元体の特性を有効に活用して、薬物に依存することなく、人体の痛みを良好に鎮め得るようにした鎮痛部材及びこの鎮痛部材を備える鎮痛貼付材を提供する。
【解決手段】鎮痛貼付材Sは、鎮痛部材10、保護層20、粘着層30及び剥離層40を積層して構成されている。鎮痛部材10は、カーボンマイクロコイル10aと、このカーボンマイクロコイル10aを含有してなる柔軟層10bとによって、コイル鎮痛層として形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体に生ずる色々な痛みを軽減するに適した鎮痛部材及びこの鎮痛部材を備える鎮痛貼付材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の例としては、下記特許文献1に記載した消炎鎮痛貼付剤が提案されている。この消炎鎮痛貼付剤は、サリチル酸グリコール等の薬物とゴム系接着剤とを含有する膏体層を支持体の片面に設けて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−208907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した消炎鎮痛貼付剤は、人体の痛み発生部位への貼付により、膏体層の薬物を上記痛み発生部位の皮膚部分から人体内に浸透させることで、上記痛み発生部位の痛みを鎮めようとするものである。
【0005】
従って、上述した消炎鎮痛貼付剤においては、人体の痛み発生部位の鎮痛を図るにあたり、膏体層が薬物を含有することが必須の要件となっている。
【0006】
しかしながら、上述のように薬物を人体内に浸透させることによっては、良好な鎮痛効果が期待しにくく、また、薬物による副作用の懸念も生ずる。
【0007】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、カーボンマイクロコイル等の炭素繊維製3次元体の特性を有効に活用して、薬物に依存することなく、人体の痛みを良好に鎮痛し得るようにした鎮痛部材及びこの鎮痛部材を備える鎮痛貼付材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題の解決にあたり、本発明者等は、人体における痛みをどのようにすれば取り除くことができるかについて改めて検討を加えてみた。
【0009】
人体は非常に精巧にできているから、当該人体の各部位は、内部疾患や外部疾患等により、わずかな機械的変位、炎症、ストレスや障害などを招いて、痛みを発生し易い。このような痛みは、例えば、関節痛、肩凝り、ねんざ、腰痛、頭痛、腹痛、手術後の痛み、抜歯後の痛み等として日常的に経験される。
【0010】
このような人体における痛みの発生は、人体の内部疾患や外部疾患のシグナルでもある。従って、痛みは、基本的には、その発生原因を取り除けば解消し得る。また、当該痛みには、原因不明のものも多いから、かかる原因不明の痛みも解消されることが望ましい。
【0011】
以上のような人体の痛みを解消するにあたっては、多くの痛み止め薬などが提案されているが、痛み止め薬のうち消炎鎮痛薬は速攻性を有する反面、胃を痛めるなど大きな副作用を人体にもたらす。
【0012】
一方、痛みについて検討してみる。人体は電磁波からなる生体波動を発生するが、この生体波動は、人体が正常であれば、正常波動の状態に維持される。
【0013】
これに対し、人体の内部疾患や外部疾患に起因してその生体構造に歪みやノイズが生ずると、この生体構造の歪みやノイズが、正常波動からのずれとなって、異常波動として人体に現れる。そして、このような異常波動が、人体の脳によって、正常波動からのズレとして認識されて、痛みとして人体に知覚される。このような観点からすると、人体の生体波動の正常波動の歪みやノイズ、換言すれば、異常波動を取り除けば、痛みは知覚されないと考えられる。
【0014】
また、人体の内臓や皮膚は、当該人体に生ずるストレスにより興奮状態になると、この興奮状態が、上述のような人体における正常波動からのずれとなって現れて、上述と同様に、痛みとして知覚される。
【0015】
以上のような検討結果から、本発明者らは、上述した人体の生体波動の正常波動からのずれを除去してやれば、当該人体において痛みが知覚されなくなるということを改めて認識するにいたった。
【0016】
このような認識のもとに、本発明者らは、炭素材料の優れた生体親和性に着目して、生体に優しく、副作用の無い全く新しい鎮痛貼付剤等について種々研究を重ねた。このような研究過程において、炭素繊維製コイル等の炭素繊維製3次元体、例えば、カーボンマイクロコイルも炭素を主成分とすることから、このカーボンマイクロコイルも優れた生体親和性を発揮するであろうとの観点にたち、当該カーボンマイクロコイルの特性について種々検討を加えた。
【0017】
その結果、カーボンマイクロコイル等の炭素繊維製3次元体が、上記生体親和性に加え、電磁波に対する吸収ないし抑制の効果を有する旨、確認し得たことから、本発明に至ったものである。
【0018】
このような前提のもと、本発明に係る鎮痛部材は、請求項1の記載によれば、粉末状の炭素繊維製3次元体(10a、100a、210a)を柔軟体(10b、50a,60a、100c、200b、210b、230b)に内包してなるものである。
【0019】
これによれば、柔軟体が、層状或いは袋状のものであっても、この柔軟体に粉末状の炭素繊維製3次元体を内包してなる鎮痛部材を人体の痛み部位に貼付することで、当該鎮痛部材が、その3次元体鎮痛層の炭素繊維製3次元体から生ずる電磁波の波動により、痛み部位から生ずる波動を吸収ないし抑制する。その結果、上述の人体の痛み部位の痛みが良好に軽減され得る。
【0020】
また、本発明に係る鎮痛部材は、請求項2の記載によれば、粉末状の炭素繊維製3次元体(10a、100a、210a)を柔軟層(10b、50a,60a、100c、200b、210b、230b)内に含有してなるものある。
【0021】
これによれば、柔軟層に粉末状の炭素繊維製3次元体を含有してなる鎮痛部材を人体の痛み部位に貼付することで、当該鎮痛部材が、その3次元体鎮痛層の炭素繊維製3次元体から生ずる電磁波の波動により、痛み部位から生ずる波動を吸収ないし抑制する。その結果、上述の人体の痛み部位の痛みが良好に軽減され得る。
【0022】
なお、鎮痛部材を、人体の痛み部位に直接貼付するのではなく、例えば人体の着用肌着のうち上記痛み部位に対する対応部にその表面側から貼付するというように、人体の痛み部位に間接的に貼付しても、上述した炭素繊維製3次元体から生ずる電磁波が、上記着用肌着を通して上記痛み部位の波動を吸収ないし抑制して、上述と同様に、痛み部位の痛みが良好に軽減され得る。
【0023】
ここで、炭素繊維製3次元体という特殊炭素材を含有する鎮痛部材は、従来の経皮消炎鎮痛剤等と異なり、薬剤を全く含まず、人体の痛み部位に、直接的に或いは間接的に、単に貼付するのみでよいので、低価格で、簡単・簡明な方法で、生体に優しく、副作用の無い、反復使用可能な鎮痛部材として提供され得る。
【0024】
また、本発明は、請求項3の記載によれば、請求項2に記載の鎮痛部材において、磁性粉末を前記粉末状の炭素繊維製3次元体とともに前記柔軟層内に分散して含有してなることを特徴とする。
【0025】
このように、鎮痛部材が、柔軟層内に炭素繊維製3次元体及び磁性粉末の双方を分散して含有することで、当該鎮痛部材を人体の痛み部位に貼付すれば、炭素繊維製3次元体及び磁性粉末の双方の広い範囲の周波数に亘る痛み部位の電磁波を良好に抑制する。その結果、請求項2に記載の発明の作用効果をより一層向上させることができる。
【0026】
また、本発明に係る鎮痛部材は、請求項4の記載によれば、
粉末状の炭素繊維製3次元体(10a)を柔軟層(10b)内に含有してなる3次元体鎮痛層(10、70、90、210)と、磁性粉末(10c)を柔軟層(60a)内に含有してなる磁性粉末鎮痛層(60、80、220)とを、それぞれ、少なくとも1層ずつ積層してなるものである。
【0027】
これによれば、鎮痛部材は、3次元体鎮痛層と磁性粉末鎮痛層との積層構造でもって構成されている。従って、当該鎮痛部材を人体の痛み部位に、直接的に或いは間接的に、貼付すれば、3次元体鎮痛層の炭素繊維製3次元体が、その電磁波吸収特性にて、磁性粉末鎮痛層の磁性粉末の電磁波吸収特性と相俟って、人体の痛み部位の痛みを軽減するように作用する。その結果、請求項2に記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。
【0028】
また、本発明は、請求項5の記載によれば、請求項4に記載の鎮痛部材において、
3次元体鎮痛層を2層とし、磁性粉末鎮痛層を1層として、当該1層の磁性粉末鎮痛層を2層の3次元体鎮痛層の間に介装するように積層してなることを特徴とする。
【0029】
このように構成することで、当該鎮痛部材を人体の痛み部位に、直接的に或いは間接的に、貼付すれば、両3次元体鎮痛層の炭素繊維製3次元体が、その電磁波吸収特性にて、磁性粉末鎮痛層の磁性粉末の電磁波吸収特性と相俟って、人体の痛み部位の痛みをより一層良好に軽減し得る。
【0030】
また、本発明は、請求項6に記載のように、請求項5に記載の鎮痛部材において、
粉末状の炭素繊維製3次元体は粉末状のカーボンマイクロコイルであり、磁性粉末は、パーマロイの粉末及びフェライトの粉末のうち少なくともパーマロイの粉末からなることを特徴とする。
【0031】
このように、粉末状の炭素繊維製3次元体を粉末状のカーボンマイクロコイルとし、磁性粉末をパーマロイの粉末及びフェライトの粉末のうち少なくともパーマロイの粉末とすることで、請求項5に記載の発明の作用効果をより一層具体的に達成することができる。
【0032】
また、本発明は、請求項7の記載によれば、請求項6に記載の鎮痛部材において、
磁性粉末は、パーマロイの粉末及びフェライトの粉末のうち少なくともパーマロイの粉末に加え、イオン化傾向を有する金属の粉末を添加剤として添加してなることを特徴とする。
【0033】
これにより、生体の痛み部位からの生体ノイズをより一層良好に抑制して、当該痛み部位の痛みをより一層良好に軽減することができる。なお、このような作用効果の達成にあたり、磁性粉末は、パーマロイの粉末に上記添加剤を添加したものであってもよく、或いは、パーマロイの粉末及びフェライトの粉末に上記添加剤を添加したものであってもよい。
【0034】
また、本発明は、請求項8の記載のように、請求項1〜5のいずれか1つに記載の鎮痛部材において、炭素繊維製3次元体は、カーボンマイクロコイル、カーボンナノコイル或いはカーボンナノチューブのうちの少なくとも1種であってもよい。
【0035】
また、本発明は、請求項9の記載のように、請求項1〜6のいずれか1つに記載の鎮痛部材において、柔軟層は、天然ゴム、柔軟性シリコンゴム、シリコンゲル、柔軟性シリコン樹脂、柔軟性ウレタン樹脂、柔軟性エポキシ樹脂或いは熱可塑性エラストマー等の柔軟性材料からなっていてもよい。
【0036】
また、本発明は、請求項10の記載のように、請求項3〜5のいずれか1つに記載の鎮痛部材において、磁性粉末は、パーマロイ、フェライト、軟磁性金属、軟磁性合金及び高透磁率合金の各粉末の少なくとも1種からなっていてもよい。
【0037】
なお、当該磁性粉末は、パーマロイ、フェライト、軟磁性金属、軟磁性合金及び高透磁率合金の各粉末の少なくとも1種に加え、イオン化傾向を有する金属の粉末を添加剤として添加してなるものであってもよい。
【0038】
また、本発明に係る鎮痛貼付材は、請求項11の記載によれば、請求項1〜10のいずれか1つに記載の鎮痛部材を備える。これにより、請求項1〜10のいずれか1つに記載の発明の作用効果を達成し得る鎮痛貼付材の提供が可能となる。
【0039】
また、本発明は、請求項12の記載によれば、請求項11に記載の鎮痛貼付材において、
上記鎮痛部材の厚さ方向一側面に沿い設けられる保護層(20、20a)と、
この保護層を介し上記鎮痛部材に対向するように上記保護層に沿い設けられる接着層(30、30a)と、
この接着層を介し上記保護層に対向するように上記接着層に沿い剥離可能に接合される剥離層(40、40a)とを備えることを特徴とする。
【0040】
これによれば、鎮痛貼付材を、その剥離層の剥離のもとに、接着層でもって、人体の痛み部位に直接的に或いは間接的に貼付することで、鎮痛部材により人体の痛み部位の痛みを軽減し得る。ここで、保護層が鎮痛部材の人体の痛み部位との直接の接触を防止するので、鎮痛部材が人体の痛み部位に直接接したときに生ずる弊害がない。
【0041】
また、本発明は、請求項13の記載によれば、請求項11に記載の鎮痛貼付材において、 鎮痛部材と、この鎮痛部材と分離してなるパッチ部材(130)とを備えることを特徴とする。
【0042】
これによれば、パッチ部材を、鎮痛部材を介し、人体の痛み部位に貼付することで、鎮痛部材により人体の痛み部位の痛みを軽減し得る。
【0043】
また、本発明は、請求項14の記載によれば、請求項11に記載の鎮痛貼付材において、
上記鎮痛部材の厚さ方向一側面に沿い設けられる保護層(B)と、
上記鎮痛部材にその厚さ方向他側面側から貼着されて上記保護層の両側へ帯状に延出する絆創膏(C)とを備えることを特徴とする。
【0044】
これによれば、鎮痛貼付材を、保護層にて人体の痛み部位に当てるようにして、絆創膏にて、人体の痛み部位の両側に貼付することで、鎮痛部材により人体の痛み部位の痛みを軽減し得る。ここで、保護層が鎮痛部材の人体の痛み部位との直接の接触を防止するので、鎮痛部材が人体の痛み部位に直接接したときに生ずる弊害がない。また、保護層が、例えば、吸汗性及び通気性を有する布であれば、鎮痛部材を長期に亘り人体の痛み部位に貼付していても、当該痛み部位がかぶれたり荒れたりすることがない。
【0045】
なお、請求項1〜10のいずれか1つに記載の鎮痛部材を、ナイロン布等の布上に沿いシート状に形成して鎮痛シートとしてもよい。これによれば、痛みに悩む患者を当該鎮痛シート上に寝かせることで、当該患者の痛みを軽減することができる。
【0046】
また、例えば、請求項2の記載の発明において、柔軟層をセルロース系短繊維材料で形成し、この柔軟層内にカーボンマイクロコイル等の炭素繊維製3次元体を均一に分散し、かつ当該柔軟層の両面に保護布をそれぞれ接合して、鎮痛シートとすれば、上述と同様に患者の痛み部位の痛みを軽減することができる。
【0047】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】(a)及び(b)は、それぞれ、本発明を適用した鎮痛貼付材の第1実施形態を示す平面図及び断面図である。
【図2】(a)は、口内炎患者の下唇における口内炎による各痛み部位の外皮部分に図1の鎮痛貼付材を貼付した状態を電子写真により示す図であり、(b)は、当該口内炎患者の下唇の上記各痛み部位を電子写真で示す図である。
【図3】(a)及び(b)は、それぞれ、本発明を適用した鎮痛貼付材の第2実施形態を示す平面図及び断面図である。
【図4】(a)及び(b)は、それぞれ、本発明を適用した鎮痛貼付材の第3実施形態を示す平面図及び断面図である。
【図5】(a)及び(b)は、それぞれ、本発明を適用した鎮痛貼付材の第4実施形態を示す平面図及び断面図である。
【図6】(a)及び(b)は、それぞれ、本発明を適用した鎮痛貼付材の第5実施形態を示す平面図及び断面図である。
【図7】(a)は、図6の磁性粉末鎮痛層を電子写真により示す断面図であり、(b)は、図6のコイル鎮痛層を電子写真により示す断面示す図である。
【図8】上記第5実施形態における各被験者の痛み部位及び痛み軽減の程度を示す図表である。
【図9】本発明を適用した鎮痛貼付材の第6実施形態を示す断面図である。
【図10】(a)及び(b)は、それぞれ、本発明を適用した鎮痛貼付材の第7実施形態を示す平面図及び断面図である。
【図11】上記第7実施形態における各実施例の構成、誘電率、透磁率及び鎮痛性試験結果を示す図表である。
【図12】上記第7実施形態における各比較例の構成、誘電率、透磁率及び鎮痛性試験結果を示す図表である。
【図13】(a)及び(b)は、それぞれ、本発明を適用した鎮痛貼付材の第8実施形態を示す平面図及び断面図である。
【図14】上記第8実施形態における各実施例の構成、誘電率、透磁率及び鎮痛性試験結果を示す図表である。
【図15】(a)及び(b)は、それぞれ、本発明を適用した鎮痛貼付材の第9実施形態を示す平面図及び断面図である。
【図16】上記第9実施形態における各実施例の構成、誘電率、透磁率及び鎮痛性試験結果を示す図表である。
【図17】本発明を適用した鎮痛シートを第12実施形態として電子写真により示す断面図である。
【図18】本発明を適用した鎮痛下着を第13実施形態として電子写真により示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の各実施形態を図面により説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明を適用した鎮痛貼付材の第1実施形態を示している。当該鎮痛貼付材(以下、鎮痛貼付材Sという)は、鎮痛部材10、保護層20、粘着層30及び剥離層40でもって構成されている。
【0050】
鎮痛部材10は、粉末状のカーボンマイクロコイル10aと、このカーボンマイクロコイル10aを含有してなる柔軟層10bとによって、コイル鎮痛層(以下、コイル鎮痛層10ともいう)として形成されており、このコイル鎮痛層10においては、粉末状のカーボンマイクロコイル10aが、柔軟層10b内にて均一に分散されている。ここで、カーボンマイクロコイル10aの柔軟層10bに対する含有量は、0.05(wt%)〜20(wt%)の範囲以内の量となっている。ここで、より好ましくは、カーボンマイクロコイル10aの柔軟層10bに対する含有量は、0.5(wt%)〜5(wt%)の範囲以内の量であることが望ましい。なお、カーボンマイクロコイル10aは粉末状であるから、カーボンマイクロコイル10aは、個数ではなく、量で扱うこととする。
【0051】
上述したカーボンマイクロコイルは、気相成長炭素繊維の1種からなるもので、このカーボンマイクロコイルは、炭化水素の触媒活性化熱分解法によって製造されている。即ち、当該カーボンマイクロコイルは、上述の触媒活性化熱分解法による製造過程において、気相成長炭素繊維をコイル状に巻きながら成長させることで製造されている。
【0052】
ここで、当該カーボンマイクロコイルは、例えば、0.1(μm)〜90(μm)の範囲内の直径(コイル径)及び数十(nm)〜数十(mm)の範囲内の長さ(コイル長)を有する。但し、柔軟層内への分散の良好性を確保するという観点から、カーボンマイクロコイルのコイル長は、300(μm)以下であることが望ましい。なお、カーボンマイクロコイルという名称は、上記コイル径がμmのオーダーであることに起因する。
【0053】
また、カーボンマイクロコイルの化学成分は、気相合成過程を経て得られるもので、特別な熱処理等が施されていないカーボンマイクロコイルは、98.5(wt%)〜99(wt%)の範囲内の炭素成分及び1(wt%)〜1.5(wt%)の範囲内の水素成分で構成されている。
【0054】
このように構成した当該カーボンマイクロコイルは、次のような種々の特性を有する。
(1)当該カーボンマイクロコイルは上述のような形状寸法及び成分構成を有することから、このカーボンマイクロコイルは非常に小さくかつ弾力性に富む。例えば、カーボンマイクロコイルを10倍〜15倍のコイル長に伸長しても、当該カーボンマイクロコイルは、元のコイル長に戻るという非常に高い弾力性を示す。
(2)当該カーボンマイクロコイルは、一定のコイル径とピッチ(コイルピッチ)でもって規則的に巻かれている。このため、電磁波が外部から当該カーボンマイクロコイルに入射すると、当該電磁波は波動であること及び当該カーボンマイクロコイルはソレノイド形状を有することから、このソレノイド形状のカーボンマイクロコイルを通る磁束が変化する。
【0055】
これに伴い、当該カーボンマイクロコイルには、起電力が、ファラデーの電磁誘導の法則に基づき誘導される。その結果、コイル電流が、上記誘導起電力に基づきソレノイド形状のカーボンマイクロコイルに流れて、当該カーボンマイクロコイルの軸方向に磁界を発生させる。なお、通常の住環境においては、上述の電磁波による電磁界の強度は、携帯電話から出射される電磁波と同様に微弱であるから、上述のようにカーボンマイクロコイルの軸方向に発生する磁界の強度も微弱であると推測される。
(3)カーボンマイクロコイルを正常な表皮細胞(Pam210b)に添加すると、表皮細胞が、元の表皮細胞の約160(%)に増加し、また、皮膚の柔軟性を保つコラーゲン繊維束は、元のコラーゲン繊維束の115(%)に増加する。なお、これらのようなカーボンマイクロコイルの正常細胞に対する増殖効果を利用した化粧品が既に実用化されている。
【0056】
このようなカーボンマイクロコイルの正常な細胞に対する増殖効果が、当該カーボンマイクロコイルのどのような効果に起因するかは、現在のところ十分には解明されていないが、電磁波が生体細胞に大きな影響を及ぼすことは既に知られているところである。
【0057】
自然界や人間の住環境下では、無数の電磁波が飛び交っていることを考慮すれば、カーボンマイクロコイルが、当該無数の電磁波を受けて微弱な電磁界を発生することは十分に予測されるとともに、このような電磁界が生体細胞の増殖に大きな影響を及ぼすことも十分に予測される。
【0058】
また、カーボンマイクロコイルは人体の皮膚等の正常細胞の増殖を上述のように促進させるが、当該カーボンマイクロコイルが、各種の付着性の癌細胞やケロイド細胞の増殖に対して、優れた増殖抑制効果を有することが、本発明者らによって見出されている。
【0059】
この点について言及すれば、癌細胞やケロイド細胞は、正常細胞の正常波動とは異なる異常波動(生体ノイズ)を発生していると考えられる。即ち、カーボンマイクロコイルは、正常波動を出している正常細胞の増殖を促進するものの、異常波動(生体ノイズ)を出している異常細胞である癌細胞などの増殖を抑制するという特徴を有する。
【0060】
従って、カーボンマイクロコイルは、異常細胞のほか、内部疾患や外部疾患、生体構造の歪みなどにより発生する異常波動(生体ノイズ)の発生を抑制し、或いは、吸収することにより、痛みを軽減させるものと推測される。
【0061】
このようなカーボンマイクロコイルの特異な特性は、当該カーボンマイクロコイルの特異な形状(DNAと同じ3次元のヘリカル/らせん構造)、μmオーダーのコイル径、成長メカニズム(生命体の鼓動に近似した周期で回転しながら成長するメカニズム)、ミクロなソレノイド形状に基づく電磁波に対する良好な吸収(例えば、効率の良い吸収)等の諸特性によってもたらされるものと推測される。このようなカーボンマイクロコイルの特性は、まさに自然の理や摂理に適合した特性であるといえる。
【0062】
柔軟層10bは、上述のように、カーボンマイクロコイルを含有するものであるが、このようにカーボンマイクロコイルを含有することとした理由は、以下の通りである。カーボンマイクロコイル10aは、非常に小さいことから、粉末状となって生成される。このような粉末状のカーボンマイクロコイルを皮膚に、直接、貼付して用いることは、不便である。そこで、本実施形態では、カーボンマイクロコイル10aを柔軟層10b内に含有することとした。
【0063】
また、柔軟層10bの形成材料としては、鎮痛貼付材Sが人体の皮膚に密着させて使用するものであることから、皮膚に馴染み易い材料が適している。このため、柔軟層10bの形成材料として、柔軟性材料が採用されている。このことは、鎮痛部材10自体であっても、人体の皮膚に密着させて使用し易くなっていることを意味する。
【0064】
この柔軟性材料としては、柔軟性ゴム質材料、例えば、天然ゴム、柔軟性シリコンゴム、シリコンゲル、柔軟性シリコン樹脂、柔軟性ウレタン樹脂、柔軟性エポキシ樹脂或いは熱可塑性エラストマー等が挙げられる。本第1実施形態では、柔軟層10bの形成材料として、柔軟性ポリシリコンが採用されている。具体的には、信越化学工業株式会社製KE−103型ポリシリコンが、柔軟層10bの形成材料として採用されている。
【0065】
保護層20は、鎮痛部材10にその一側面11側から接着材でもって接着されており、当該保護層20は、鎮痛部材10を直接人体の皮膚に接触させないようにして当該皮膚を保護する役割を果たす。従って、保護層20の形成材料は、人体の皮膚を害さなければ、特に制限されないが、上述のごとく鎮痛貼付材Sは人体の皮膚に密着させて使用するものであることからすれば、保護層20の形成材料としては、人体の皮膚に馴染み易い柔軟性材料が適している。
【0066】
粘着層30は、糊状粘着材料からなるもので、この粘着層30は、保護層20の鎮痛部材10とは反対側の面に層状に塗布されている。これにより、当該粘着層30は、鎮痛部材10を、保護層20を介し、人体の皮膚に着脱可能に密着させる役割を果たす。
【0067】
剥離層40は、剥離紙等の適宜な剥離し易い薄い材料からなるもので、この剥離層40は、粘着層30を介して保護層20に剥離可能に接合されている。なお、この剥離層40は、鎮痛貼付材Sの人体の皮膚に対する貼付に先立ち、粘着層30から剥離される。
【0068】
本第1実施形態において、コイル鎮痛層である鎮痛部材10、保護層20及び粘着層30の各厚さの和、即ち、鎮痛貼付材Sのうち剥離層40を除く部位の厚さは、特に、制限はないが、鎮痛貼付材Sの機械的強度や使用感を考慮して、0.05(mm)〜1.0(mm)の範囲以内に選定されている。また、より好ましくは、鎮痛貼付材Sのうち剥離層40を除く部位の厚さは、0.05(mm)〜0.5(mm)の範囲以内に選定されることが望ましい。
【0069】
以上のように構成した鎮痛貼付材Sは、一般的な粉末添加複合ゴムシート製造方法に準じた製造方法でもって、次のようにして、製造される。
【0070】
所定量、例えば、上述した0.2(wt%)〜1(wt%)の範囲以内の量のカーボンマイクロコイルを、液状となったポリシリコン(信越化学工業株式会社製KE−103型)中に添加する。そして、このようにカーボンマイクロコイルを添加した液状ポリシリコンを、機械撹拌後、株式会社シンキー製自転公転式ミキサーによってさらに均一に撹拌し、ついで、適宜な硬化剤を添加した上で、さらに撹拌して、液状のカーボンマイクロコイル分散ポリシリコンを形成する。
【0071】
然る後、当該液状のカーボンマイクロコイル分散ポリシリコンを、適宜な鋳型に流し込んで脱泡後、1昼夜の間、放置することで、固化させて、カーボンマイクロコイルを均一分散してなる鎮痛部材10として形成する。
【0072】
ついで、保護層20を、上述のように形成した鎮痛部材10の一側面11に接着材により接着した後、この保護層20の鎮痛部材10とは反対側の面に粘着材料を塗布することにより、粘着層30を形成し、さらに、この粘着層30に剥離層40を剥離可能に貼着する。これにより、鎮痛貼付材Sが製造される。
【0073】
以上のように構成した本第1実施形態において、当該鎮痛貼付材Sは、次のようにして用いられる。まず、当該鎮痛貼付材Sの剥離層40を粘着層30から剥離する。これに伴い、粘着層30が露出される。然る後、当該鎮痛貼付材Sを、粘着層30でもって、人体の患部(痛み部位)に貼付する。
【0074】
ここで、この人体の患部においては、当該人体の生体波動が、当該患部において、正常波動からずれて、異常波動(生体ノイズ)として発生されている。
【0075】
一方、各カーボンマイクロコイル10aは、上述のようなコイル径とピッチ(コイルピッチ)でもって規則的に巻回されている。このことは、カーボンマイクロコイル10aがソレノイド形状を有することを意味する。このため、電磁波が外部から当該カーボンマイクロコイル10aに入射すると、当該電磁波は波動であること及び当該カーボンマイクロコイル10aは上述のようにソレノイド形状を有することから、このソレノイド形状のカーボンマイクロコイル10aを通る磁束が変化する。
【0076】
これに伴い、当該カーボンマイクロコイル10aには、起電力が、ファラデーの電磁誘導の法則に基づき誘導される。その結果、コイル電流が、上記誘導起電力に基づきソレノイド形状のカーボンマイクロコイル10aに流れて、当該カーボンマイクロコイル10aの軸方向に交流電磁界を発生させる。
【0077】
これにより、このように発生する交流電磁界が、人体の患部から生ずる異常波動である電磁波を吸収ないしは抑制し、その結果、人体の患部の痛みが良好に軽減され得る。また、当該交流電磁界は、人体の免疫系に作用して人体の自然治癒力を高めることで、人体の患部の痛みの軽減を促進し得る。ここで、カーボンマイクロコイル10aは、柔軟層10b内にて均一に分散しているから、当該鎮痛貼付材Sは、上記患部の全体に亘り均一に鎮痛効果を発揮し得る。このことは、当該鎮痛貼付材Sが、人体の患部の痛みを良好に鎮痛し得ることを意味する。
【0078】
換言すれば、カーボンマイクロコイル10aにより波動的に生体組織を癒して鎮痛効果を発現することにより、痛みを知覚させる原因となる生体ノイズを吸収或いは抑制して、人体に優しく、非侵襲で、副作用を伴うことなく、人体の患部の痛みである腰痛、肩凝り、腱鞘炎痛、筋肉痛、腹痛、頭痛、神経痛等の殆どすべての痛みを良好に軽減することができる。
【0079】
このことは、当該鎮痛貼付材Sが、人体のどのような部位や原因の痛みでも軽減し得る鎮痛貼付材であることを意味する。これは、カーボンマイクロコイル10aには痛みの原点である生体ノイズの発生を抑制し或いは吸収するという従来の鎮痛剤にはない特性を有しているためであると推測される。
【0080】
また、本第1実施形態では、カーボンマイクロコイル10aという特殊炭素材を含有する鎮痛貼付材Sは、従来の経皮消炎鎮痛剤と異なり、薬剤を全く含まず、人体の患部(痛みを発生している部位)に単に貼付するのみでよいので、当該鎮痛貼付材Sの用法は、きわめて簡単で分かり易い。
【0081】
また、当該鎮痛貼付材Sは、上述のように、薬剤を含むことなく、鎮痛効果を有するカーボンマイクロコイル10aを含むのみであるから、低価格にて提供され得る。
【0082】
また、当該鎮痛貼付材Sのカーボンマイクロコイル10aは、μm〜mmの範囲のオーダーのコイル長及びμmオーダーのコイル径を有する。従って、カーボンマイクロコイル10aは人体の細胞よりも非常に大きいことから、当該カーボンマイクロコイル10aが人体内に皮膚を通して吸収されることもない。
【0083】
また、当該鎮痛貼付材Sの鎮痛部材10は、カーボンマイクロコイル10aを柔軟層10bに内包してなるものであるから、機械構造的に堅固である。従って、当該鎮痛貼付材Sによる鎮痛効果はどの様な使用条件下でも長期に持続し、また、当該鎮痛貼付材Sの洗浄や洗濯は繰り返し可能であり、当該鎮痛貼付材Sの反復使用が、何回でも可能であるので、非常に経済的で、国民の健康福祉の向上を確保しつつ医療費の高騰抑制に大きく貢献し得る。
【0084】
ちなみに、本第1実施形態にいう鎮痛貼付材Sの鎮痛効果について調べてみた。具体的には、実施例1−1、実施例1−2及び比較例1を準備して、鎮痛効果を調べてみた。
【0085】
実施例1ー1:
2(μm)〜5(μm)の範囲以内のコイル径及び90(μm)〜300(μm)の範囲以内のコイル長を有するカーボンマイクロコイルを、シリコン樹脂(信越化学株式会社製KE−103型ポリシリコン)内に添加して均一に分散し、0.5(mm)の厚さのコイル鎮痛層を作製した。
【0086】
そして、このように作製したコイル鎮痛層を、鎮痛貼付材Sにおいてそのコイル鎮痛層10に代えて保護層20と接着して、実施例1−1の鎮痛貼付材として準備した。
【0087】
このように準備した実施例1ー1の鎮痛貼付材を、図2(a)にて符号1により示すごとく、口内炎患者の強い疼痛を有する部位(疼痛部位)の外皮部分に貼付した。ここで、口内炎患者の口内炎は、図2(b)にて各符号2a、2bにより示すごとく、口内炎患者の下唇の図示左右方向中央部のうちその内側の2カ所の疼痛部位にて発生している。なお、疼痛部位2aは、2(mm)×4(mm)の広さを有し、疼痛部位2bは、1(mm)×1(mm)の広さを有する。
【0088】
これによれば、両疼痛部位2a、2bの痛みは、上述した鎮痛貼付材の貼付後5分経過したときには、当該貼付前の痛みの1/10に軽減し、さらに20分経過したときには、殆どなくなり、さらに5時間経過した後、実施例1ー1の鎮痛貼付材を除去したが、その後、3日経過後においても、口内炎の治癒は殆どないものの、痛みの再発は全くなかった。
【0089】
実施例1−2:
2(μm)〜5(μm)の範囲以内のコイル径及び90(μm)〜300(μm)の範囲以内のコイル長を有するカーボンマイクロコイルを、シリコン樹脂(信越化学株式会社製KE−103型ポリシリコン)内に添加して均一に分散し、0.5(mm)の厚さのコイル鎮痛層を作製した。そして、このコイル鎮痛層を、鎮痛貼付材Sにおいて、鎮痛部材10に代えて設けて、実施例1−2の鎮痛貼付材として準備した。
【0090】
このように準備した実施例1−2の鎮痛貼付材を、その剥離層40の剥離のもとに、患者の肩凝り部位に貼付してもらったところ、当該鎮痛点部材の貼付開始後5分経過したときの肩凝りの程度(痛みの程度)は、当該鎮痛貼付材の貼付前の2/10程度であった。なお、「2/10」は、鎮痛貼付材の貼付前の痛みの程度を10としたときの定性的な値である。
【0091】
比較例1:
75パーマロイ粉末、マンガンフェライト粉末及びシリコン樹脂(信越化学株式会社製KE−103型ポリシリコン)を準備する。ここで、75パーマロイ粉末は、79(%)のNi成分、16.7(%)のFe成分、4(%)のMo成分及び0.3(%)のMn成分でもって構成されており、当該75パーマロイ粉末平均粒径は、5(μm)である。マンガンフェライトの平均粒径は、5(μm)である。
【0092】
上述のよう準備した75パーマロイ粉末及びマンガンフェライト粉末を、それぞれ、5(wt%)ずつ、上述のように準備したKE−103型ポリシリコン内に添加して均一に分散し、1(mm)の厚さの磁性粉末鎮痛層を作製した。
【0093】
そして、この磁性粉末鎮痛層を、鎮痛貼付材Sにおいて、鎮痛部材10に代えて設けて、比較例1の鎮痛貼付材として準備した。
【0094】
このように準備した比較例1の鎮痛貼付材を用いて、別の肩凝り患者にテストしてもらったところ、当該テストの開始後5分経過したときの肩凝り状態は、テスト前の5/10であった。
【0095】
従って、実施例1−2及び比較例1を対比すれば、実施例1−2の鎮痛貼付材が、比較例1の鎮痛貼付材よりも優れた鎮痛効果を発揮することが分かる。このことから、本第1実施形態の鎮痛貼付材Sも、比較例1よりも良好な鎮痛効果を発揮し得ることが分かる。
(第2実施形態)
図3は、本発明を適用した鎮痛貼付材の第2実施形態を示している。この第2実施形態において、鎮痛貼付材(以下、鎮痛貼付材Saという)は、鎮痛貼付材Sにおいて、鎮痛部材10、即ちコイル鎮痛層10に代えて、図3にて示すごとく、鎮痛部材50、即ちコイル磁性粉末鎮痛層50を採用した構成となっている。
【0096】
当該コイル磁性粉末鎮痛層50は、上記第1実施形態にて述べたカーボンマイクロコイル10aに加えて、磁性粉末10cを柔軟層50a内に添加して、構成されており、磁性粉末10cは、カーボンマイクロコイル10aとともに、柔軟層50a内にて均一に分散されている。
【0097】
本第2実施形態において、カーボンマイクロコイル10aの他に、磁性粉末10cをも加えたのは、以下の根拠に基づく。
【0098】
カーボンマイクロコイルの電磁波吸収特性について調べたところ、当該カーボンマイクロコイルが良好に吸収し得る電磁波の周波数範囲は、比較的高く、1(GHz)以上の高周波数の範囲であることが分かった。
【0099】
従って、鎮痛貼付材の鎮痛効果をより一層改善するにあたり、鎮痛貼付材としては、1(GHz)以上の高周波数の範囲だけでなく1(GHz)未満の低周波数の範囲をも含め、広い周波数範囲に亘る電磁波を吸収し得る鎮痛貼付材であることが望ましい。
【0100】
そこで、本第2実施形態では、低周波数範囲の電磁波を良好に吸収し得る磁性材料の粉末が、磁性粉末10cとして、カーボンマイクロコイル10aに加えて、採用されている。但し、本第2実施形態において、柔軟層50aに対する磁性粉末10cの添加量は、1(wt%)〜30(wt%)の範囲以内である。ここで、より好ましくは、柔軟層50aに対する磁性粉末10cの添加量は、5(wt%)〜20(wt%)の範囲以内であることが望ましい。
【0101】
また、磁性粉末10cとしては、低周波数の電磁波の吸収に用いられるスピネル型ソフトフェライト(例えば、マンガン系フェライト或いはマグネシウム系フェライト)、六方晶系ハードフェライト(例えば、BaFe12−x(Ti0.5Mn0.5)O19)、軟磁性金属、軟磁性合金(例えば、Fe/Ti 系合金)、或いは高透磁率合金(例えば、パーマロイ)の粉末が挙げられる。また、磁性粉末10cの粒度(粒径)は、1(μm)〜10(μm)の範囲以内とすることが好ましい。本第2実施形態では、磁性粉末10cとして、パーマロイ粉末が採用されている。
【0102】
柔軟層50aは、上記第1実施形態にて述べた柔軟層10bと同様の形成材料でもって形成されており、この柔軟層50aには、上記第1実施形態にて述べた保護層20が接着材により接着されている。なお、その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0103】
以上のように構成した本第2実施形態において、上記第1実施形態と同様に、鎮痛貼付材Saを、剥離層40の剥離状態にて、粘着層30でもって、人体の患部(痛み部位)に貼付する。ここで、鎮痛部材50の柔軟層50a内には、上述のごとく、カーボンマイクロコイル10aだけでなく、磁性粉末10cが含有されている。
【0104】
従って、カーボンマイクロコイル10aが、上記人体の患部に対し、電磁波の高周波数範囲の周波数成分を上記第1実施形態と同様に吸収ないし抑制するように作用するとともに、磁性粉末10cが、上記人体の患部に対し、電磁波の低周波数範囲の周波数成分を吸収するように作用する。
【0105】
これにより、鎮痛貼付材Saは、高周波数範囲及び低周波数範囲の双方に亘る広い周波数範囲の電磁波を吸収ないし抑制する。このことは、鎮痛貼付材Saが、電磁波の広い周波数範囲に亘り、鎮痛効果を良好に発揮し得ることを意味する。その他の作用効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0106】
ちなみに、本第2実施形態にいう鎮痛貼付材Saの鎮痛効果について調べてみた。具体的には、実施例2−1、実施例2−2及び実施例2−3を準備して、鎮痛効果を調べてみた。
【0107】
実施例2−1:
7(wt%)のカーボンマイクロコイル、5(wt%)のマンガンフェライト粉末及び5(wt%)のパーマロイ粉末を準備するとともに、シリコンゴム製品(東レ・ダウコーニング株式会社製SH841U型シリコンゴムコンパウンド)を準備する。但し、上述したマンガンフェライト粉末及びパーマロイ粉末の各平均粒径は、いずれも、約5(μm)である。
【0108】
上述のように準備されたカーボンマイクロコイル、マンガンフェライト粉末及びパーマロイ粉末を、共に、上述のように準備したシリコンゴムコンパウンド内にその液状態にて添加して、二本ロールにより、均一分散させ、架橋材(東レ・ダウコーニング株式会社製RC−4型架橋材)を添加した上で、所定の金型上で加熱成形し、1(mm)の厚さを有する単一のシリコンゴム層を作製した。然る後、当該シリコンゴム層を、20×20(mm2)の矩形層に切り出して、コイル磁性粉末鎮痛層を作製した。そして、このコイル磁性粉末鎮痛層を、鎮痛貼付材Saにおいて、鎮痛部材50に代えて、保護層20と接着して、実施例2−1の鎮痛貼付材を準備した。
【0109】
このように準備した実施例2−1の鎮痛貼付材を用いて患者の患部(頚痛部位)に貼付した。これによれば、当該患者の頚痛部位の痛みは、当該鎮痛貼付材の貼付後5分経過したときには、当該鎮痛貼付材の貼付前の痛みの1/10以下まで減少していた。
【0110】
実施例2−2:
実施例2−1の鎮痛貼付材において、カーボンマイクロコイルの添加量を0.5(wt%)に変更したのみの構成を有する鎮痛貼付材を、実施例2−2の鎮痛貼付材として準備した。
【0111】
このように準備した実施例2−2の鎮痛貼付材を、患者の患部(右中指関節痛部位)に貼付した。これによれば、当該患者の右中指関節痛部位の痛みは、当該鎮痛貼付材の貼付後5分経過したときには、当該鎮痛貼付材の貼付前の痛みの2/10に減少していた。
【0112】
従って、各実施例によれば、患者の痛み部位から生ずる波動の周波数が、低周波数から高周波数の範囲に亘っていても、カーボンマイクロコイル及び磁性粉末の相乗的な鎮痛作用のもとに、患者の痛み部位の痛みが良好に軽減され得ることが分かる。このことは、本第2実施形態の鎮痛貼付材Saにおいても実質的に同様である。
(第3実施形態)
図4は、本発明を適用した鎮痛貼付材の第3実施形態を示している。この第3実施形態において、鎮痛貼付材(鎮痛貼付材Sbという)は、上述した第1実施形態の鎮痛貼付材Sにおいて、磁性粉末鎮痛層60を付加した構成を有する。
【0113】
磁性粉末鎮痛層60は、柔軟層60a内に上記第2実施形態にて述べた磁性粉末10cを含有して構成されており、磁性粉末10cは、柔軟層60a内にて均一に分散されている。なお、柔軟層60aの形成材料は、上記第1実施形態にて述べた柔軟層10bと同一の形成材料(ポリシリコン樹脂)である。
【0114】
当該磁性粉末鎮痛層60は、柔軟層60aにて、上記第1実施形態にて述べた鎮痛貼付材Sのコイル鎮痛層10の柔軟層10b上に接着材による接着のもとに積層されている。これにより、当該鎮痛貼付材Sbは、上記第1実施形態にて述べた鎮痛貼付材Sにおいて、コイル鎮痛層10上に磁性粉末鎮痛層60を積層した構成となっている。なお、本第3実施形態では、コイル鎮痛層10及び磁性粉末鎮痛層60が、鎮痛貼付材Sbにおける鎮痛部材を構成する。
【0115】
本第3実施形態では、上記接着材として、両柔軟層10b、60aを、相互に剥離を伴うことなく、十分に接着することができるものが採用される。例えば、両柔軟層10b、60aの形成材料が、共に、柔軟性ポリシリコン樹脂であることから、一液常温速硬化型接着剤(例えば、セメダイン株式会社製セメダインスーパーX)が上記接着材として好ましい。なお、鎮痛貼付材Sbのうち剥離層40を除く部位の厚さは、上記第1実施形態と同様の厚さとなるように調整してある。その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0116】
以上のように構成した本第3実施形態においては、鎮痛貼付材Sbが、上記第2実施形態とは異なり、互いに積層した2層のコイル鎮痛層10及び磁性粉末鎮痛層60を有するように構成されている。
【0117】
換言すれば、互いに積層した2層のコイル鎮痛層10及び磁性粉末鎮痛層60は、別体である点で、上記第2実施形態にて述べた単一のコイル磁性粉末鎮痛層である鎮痛部材50と相違する。
【0118】
このため、本第3実施形態では、当該鎮痛貼付材Sbを、剥離層40の剥離のもとに、粘着層30でもって、人体の患部(痛み部位)に貼付すると、コイル鎮痛層10及び磁性粉末鎮痛層60が、それぞれ、別体にて、人体の患部に対し鎮痛効果を発揮することとなる。
【0119】
これによっても、上記第2実施形態と同様に、高周波数範囲及び低周波数範囲の双方に亘る広い周波数範囲の電磁波が吸収ないし抑制される。その結果、上記第2実施形態と同様の鎮痛効果を確保することができる。
【0120】
なお、上記第3実施形態とは異なり、両柔軟層10a、60aの各形成材料を未架橋ゴムとし、柔軟層10aに対応する未架橋ゴム層内にカーボンマイクロコイルを均一に分散させるとともに、柔軟層60aに対応する未架橋ゴム層内に磁性粉末を均一に分散させ、然る後、両未架橋ゴム層を、予め積層した状態にて加熱金型内に仕込み、所定の加熱条件にて加熱して、一体架橋により、両柔軟層10a、60aとして積層するようにしてもよい。これによれば、接着材に依存することなく、両柔軟層10a、60a間の接着が可能となる。
【0121】
また、上記第3実施形態とは異なり、両柔軟層10a、60aの各形成材料の少なくとも一方が、接着性を有する場合には、接着材に依存することなく、両柔軟層10a、60aをその接合により一体化することができる。
(第4実施形態)
図5は、本発明を適用した鎮痛貼付材の第4実施形態を示している。この第4実施形態において、当該鎮痛貼付材(以下、鎮痛貼付材Scという)は、上記3実施形態にて述べた鎮痛貼付材Sbの磁性粉末鎮痛層60、コイル鎮痛層10、保護層20、粘着層30及び剥離層40にそれぞれ対応する磁性粉末鎮痛層80、コイル鎮痛層70、保護層20a、粘着層30a及び剥離層40aでもって、鎮痛貼付材Sbと同様に形成されている。なお、鎮痛貼付材Sc、コイル鎮痛層70及び磁性粉末鎮痛層80は、所定の外径の範囲、例えば、10(mm)〜15(mm)の範囲以内の外径を有する。
【0122】
ここで、磁性粉末鎮痛層80、コイル鎮痛層70、保護層20a、粘着層30a及び剥離層40aは、磁性粉末鎮痛層60、コイル鎮痛層10、保護層20、粘着層30及び剥離層40とは異なり、円板状に形成されている。また、磁性粉末鎮痛層80は、コイル鎮痛層70よりも小さな外径を有する円板状にて、コイル鎮痛層70上に同軸的に接着材により接着されている。なお、コイル鎮痛層70は、その外形形状を除き、コイル鎮痛層10と同様に形成されており、また、磁性粉末鎮痛層80は、その外形形状を除き、磁性粉末鎮痛層60と同様に形成されている。その他の構成は、上記第3実施形態と同様である。
【0123】
以上のように構成した本第4実施形態では、鎮痛貼付材Scが、上記第3実施形態にて述べた鎮痛貼付材Sbとは異なり、同心円板状に構成されている。このように、当該鎮痛貼付材Scは、鎮痛貼付材Sbとは外形形状を異にするものの、磁性粉末鎮痛層80、コイル鎮痛層70、保護層20a、粘着層30a及び剥離層40aは、それぞれ、磁性粉末鎮痛層60、鎮痛部材10、保護層20、粘着層30及び剥離層40と同様の形成材料でもって形成されている。
【0124】
従って、鎮痛貼付材Scは、上記第3実施形態にて述べた鎮痛貼付材Sbと実質的に同様の鎮痛効果を発揮し得る。なお、磁性粉末鎮痛層80が、コイル鎮痛層70よりも小さな外径を有するが、鎮痛効果には特に支障はない。
(第5実施形態)
図6は、本発明を適用した鎮痛貼付材の第5実施形態を示している。この第5実施形態において、当該鎮痛貼付材(以下、鎮痛貼付材Sdという)は、上記第3実施形態にて述べた鎮痛貼付材Sbにおいて、コイル鎮痛層90を、さらに付加した構成を有する。
【0125】
即ち、当該鎮痛貼付材Sdは、上記第3実施形態にて述べた鎮痛貼付材Sb(図4参照)の磁性粉末鎮痛層60上にコイル鎮痛層90を接着材による接着のもとに積層して構成されている。ここで、コイル鎮痛層90は、上記第3実施形態にて述べた鎮痛貼付材Sbのコイル鎮痛層10と同一である。なお、本第5実施形態では、コイル鎮痛層10、磁性粉末鎮痛層60及びコイル鎮痛層90が、鎮痛貼付材Sdにおける鎮痛部材を構成する。その他の構成は、上記第3実施形態と同様である。
【0126】
このように構成した本第5実施形態では、鎮痛貼付材Sdにおける鎮痛部材の構成が、上記第3実施形態とは異なり、磁性粉末鎮痛層60を両コイル鎮痛層10、90の間に介装した3層積層構造となっている。
【0127】
これにより、鎮痛貼付材Sdの鎮痛効果が、上記第3実施形態にて述べた鎮痛貼付材Sbの鎮痛効果に比べて、より一層向上され得る。
【0128】
ちなみに、本第5実施形態にいう鎮痛貼付材Sdの鎮痛効果を調べてみた。具体的には、実施例5−1、実施例5−2、実施例5−3、実施例5−4及び実施例5−5を準備して鎮痛効果を調べてみた。
【0129】
実施例5−1:
36パーマロイ粉末、マンガンフェライト粉末及びKE−103型ポリシリコンを準備し、それぞれ、5(wt%)ずつ、KE−103型ポリシリコン内に添加して均一に分散し、1(mm)の厚さのシート状の磁性粉末鎮痛体(図7(a)参照)を作製した。なお、図7(a)にて、各符号3a、3bは、それぞれ、36パーマロイ粉末及びマンガンフェライト粉末を示す。
【0130】
一方、2(μm)〜5(μm)の範囲以内のコイル径及び90(μm)〜300(μm)の範囲以内のコイル長を有するカーボンマイクロコイルを、別のシリコン樹脂(信越化学株式会社製KE−103型ポリシリコン)内に添加して均一に分散し、0.5(mm)の厚さのシート状のコイル鎮痛体(図7(b)参照)を2枚作製した。なお、図7(b)にて、符号4は、カーボンマイクロコイルを示す。
【0131】
然る後、このように作製した2枚のコイル鎮痛体を、それぞれ、上記磁性粉末鎮痛体の両面の各々に接着材により接着して、2(mm)の厚さを有する三層構造積層体とした。然る後、このように作製した三層構造積層体を、20×20(mm2)の矩形状に切り出して、コイル鎮痛層、磁性粉末鎮痛層及びコイル鎮痛層からなる三層積層構造の鎮痛部材として作製した。そして、この三層積層構造の鎮痛部材を、鎮痛貼付材Sdにおいて、鎮痛部材(コイル鎮痛層10、磁性粉末鎮痛層60及びコイル鎮痛層90)に代えて、保護層20と接着して、実施例5−1の鎮痛貼付材を準備した。
【0132】
しかして、このように準備した実施例5−1の鎮痛貼付材を、剥離層40の剥離のもとに、患者の右肘痛み部位に貼付して、当該部位の痛みの軽減の程度を観察した。これによれば、当該右肘痛み部位の痛みは、実施例5−1の鎮痛貼付材の貼付直後から軽減し始め、5分の経過後には、当該鎮痛貼付材の貼付前の2/10程度まで減少し、さらに、1日経過後には、殆どなくなった。
【0133】
実施例5−2:
上述のように準備した実施例5−1の鎮痛貼付材を、他の患者の肩凝り部位に同様に貼付して観察してもらった。なお、当該他の患者は、ひどい肩凝りによる痛みに悩まされ、これまで、経皮消炎鎮痛剤、整体や鍼灸等によっても全く治らなかった患者である。
【0134】
しかして、当該他の患者に対する観察によれば、この患者は、その肩凝り部位にて、実施例5−1の鎮痛貼付材の貼付直後から次第に暖かくなるように感じるのにあわせて凝り状態も緩和していった。そして、当該患者の肩凝り部位の凝りによる痛みは、実施例5−1の鎮痛貼付材の貼付後5分経過時には、貼付前の1/10程度まで軽減し、さらに、24時間経過したときには、ほぼ完全に解消した。このため、上述の他の患者は安眠することができた。
【0135】
実施例5ー3:
実施例5−1の鎮痛貼付材において、カーボンマイクロコイルの添加量を0.5(wt%)に変更した構成の鎮痛貼付材を実施例5ー3の鎮痛貼付材として準備した。
【0136】
そして、このように準備した実施例5ー3の鎮痛貼付材を、剥離層40の剥離のもとに、右膝痛に悩む患者の右膝痛部位に貼付して観察した。これによれば、当該患者の右膝痛部位の痛みは、実施例5ー3の鎮痛貼付材の貼付後5分経過したときには、貼付前の痛みの1/10以下に軽減した。
【0137】
実施例5−4:
実施例5−1の鎮痛貼付材において、カーボンマイクロコイルの添加量を0.1(wt%)に変更した構成の鎮痛貼付材を実施例5−4の鎮痛貼付材として準備した。
【0138】
そして、このように準備した実施例5−4の鎮痛貼付材を、剥離層40の剥離のもとに、肩凝りに悩む別の患者の肩凝り部位に貼付して観察した。これによれば、当該患者の肩凝り部位の痛みは、実施例5−4の鎮痛貼付材の貼付後5分経過したときには、貼付前の痛みの2/10程度に軽減した。
【0139】
実施例5−5:
実施例5−1の鎮痛貼付材を、19個準備するとともに、種々の痛みに悩む19名の各患者を被験者1〜被験者19として選定した。そして、19個の鎮痛貼付材を、それぞれ、上述と同様にして、各被験者の痛み部位に貼付して観察した。ここで、当該各被験者の痛み部位は、図8の図表にて示す通りである。
【0140】
当該各被験者の痛み部位の痛みの観察の結果によれば、各被験者の痛み部位の痛みの軽減の程度は、図8の図表にて示す通りであった。これによれば、各被験者の痛み部位の痛みは、実施例5−1の鎮痛貼付材の貼付によって、著しく軽減されていることが分かる。但し、図8において、鎮痛貼付材の貼付前の痛み部位の痛みを10とし、また、痛み軽減の程度は、鎮痛貼付材の貼付後5分経過したときの軽減の程度とする。ここで、図8において、痛み軽減の程度を例示すると、被験者1では、右肘痛部位の痛みが、「10→2」、即ち「10」から「2」に軽減していることが示されている。
【0141】
なお、上記第5実施形態においては、両コイル鎮痛層の間に磁性粉末鎮痛層を介装した例について説明したが、これに限ることなく、互いに直接積層した両コイル鎮痛層からなる積層体の両面の一方に磁性粉末鎮痛層を積層するようにしてもよい。
【0142】
また、上記第5実施形態とは異なり、コイル鎮痛層の数や磁性粉末鎮痛層の数を、適宜変更して実施してもよく、この場合において、コイル鎮痛層及び磁性粉末鎮痛層との間の積層順序は、どのような順序であってもよい。
(第6実施形態)
図9は、本発明を適用した鎮痛貼付材の第6実施形態を示している。この第6実施形態において、当該鎮痛貼付材(以下、鎮痛貼付材Seという)が採用されており、当該鎮痛貼付材Seは、鎮痛部材Aと、吸汗布Bと、絆創膏Cとによって構成されている。
【0143】
本第6実施形態において、鎮痛部材Aは、上記第1実施形態にて述べた鎮痛部材10、即ちコイル鎮痛層10により構成されている。吸汗布Bは、人体の皮膚の汗を吸収して当該皮膚のかぶれ、汚れや荒れを予防する役割を果たすもので、この吸汗布Bは、図9にて示すごとく、鎮痛部材10の皮膚側の面に当てられている。また、絆創膏Cは、図9にて示すごとく、その中間部位にて鎮痛部材10の吸汗布Bとは反対側の面に接着材或いは粘着材により貼着されている。当該絆創膏Cは、その中間部位にて鎮痛部材10を覆うようにして当該中間部位からその両側へ帯状に延出している。
【0144】
このように構成した本第6実施形態において、当該鎮痛貼付材Seを、人体の痛み部位に貼付するにあたっては、次のようにして行う。即ち、当該鎮痛貼付材Seを、吸汗布Bにて、人体の痛み部位に当たるようにして、絆創膏Cの両端部にて、人体の皮膚にその痛み部位の両側にて貼付する。
【0145】
これにより、上記第1実施形態と同様に人体の痛み部位の痛みが鎮痛貼付材Seの鎮痛部材Aによって良好に軽減され得る。但し、本第6実施形態では、吸汗布Bが人体の痛み部位に当たっているので、当該痛み部位の汗が吸汗布Bにより良好に吸収される。従って、人体の痛み部位のかぶれ、汚れや荒れを未然に防止し得る。その他の作用効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0146】
なお、上記第6実施形態とは異なり、鎮痛部材Aは、上記第2〜第5のいずれかにおける鎮痛部材であってもよい。これによれば、上記第2〜第5のいずれかの作用効果が、吸汗布Bによる人体の皮膚のかぶれ、汚れや荒れを予防しつつ達成され得る。
【0147】
また、上記第6実施形態では、吸汗布Bに限ることなく、吸汗性だけでなく通気性をも有する布を用いれば、鎮痛貼付材Seの長期間に亘る痛み部位への貼付も、上述したかぶれ、汚れや荒れを伴うことなく、良好に維持され得る。
(第7実施形態)
図10は、本発明を適用した鎮痛貼付材の第7実施形態を示している。当該第7実施形態において、当該鎮痛貼付材(以下、鎮痛貼付材Sfともいう)は、鎮痛部材100と、粘着層110と、剥離層120と、パッチ部材130とにより構成されている。
【0148】
鎮痛部材100は、粉末状のカーボンマイクロコイル100aと、磁性粉末100bと、当該カーボンマイクロコイル100a及び磁性粉末100bを含有してなる円板状の柔軟層100cとにより、円板状のコイル磁性粉末鎮痛層(以下、コイル磁性粉末鎮痛層100ともいう)として、形成されている。このコイル磁性粉末鎮痛層100においては、粉末状のカーボンマイクロコイル100a及び磁性粉末100bが、柔軟層100c内において均一に分散されている。
【0149】
磁性粉末100bは、パーマロイ粉末及びフェライト粉末からなるもので、これらパーマロイ粉末及びフェライト粉末は、カーボンマイクロコイル100aとともに、上述のごとく、柔軟層100c内において均一に分散されている。なお、柔軟層100cは、柔軟性シリコンゴムにより、0.5(mm)〜1(mm)の範囲以内の厚さ、例えば、0.5(mm)の厚さにて形成されている。また、鎮痛部材100の外径は、10(mm)〜15(mm)の範囲以内の値、例えば、10(mm)となっている。
【0150】
粘着層110は、円形状の両面テープからなるもので、当該粘着層110は、その一側面にて、柔軟層100cの一側面に粘着されている。剥離層120は、上記第1実施形態にて述べた剥離層40と同様の材料により円形状に形成されており、この剥離層120は、粘着層110を介して剥離可能に柔軟層100cに接合されている。
【0151】
パッチ部材130は、鎮痛貼付材Sfにおいて、コイル磁性粉末鎮痛層100とは別体の部材を構成してなるもので、このパッチ部材130は、不織布からなる円形状のパッチ層131と、このパッチ層131の一側面に円形状の両面テープ132を介し剥離可能に粘着した円形状の剥離紙133とを有している。
【0152】
このように構成した本第7実施形態において、当該鎮痛貼付材Sfは、次のようにして用いられる。まず、剥離層120を粘着層110から剥離する。このとき、粘着層110は、コイル磁性粉末鎮痛層100(鎮痛部材100)との粘着状態に維持されている。
【0153】
また、パッチ部材130において、剥離紙133を、両面テープ132から剥離する。このとき、この両面テープ132は、パッチ層131との粘着状態に維持されている。
【0154】
然る後、コイル磁性粉末鎮痛層100である鎮痛部材100を、粘着層110を介し、人体の患部(痛み部位)に貼付する。
【0155】
鎮痛貼付材Sfのコイル磁性粉末鎮痛層100では、上述のごとく、カーボンマイクロコイル100aが、パーマロイ粉末及びフェライト粉末からなる磁性粉末100bとともに、柔軟層100c内にて均一に分散している。従って、人体の患部から生ずる異常波動である電磁波に対するカーボンマイクロコイル100aによる吸収作用ないしは抑制作用と、パーマロイ粉末及びフェライト粉末からなる磁性粉末100bによる電磁波吸収作用のもとに、コイル磁性粉末鎮痛層100である鎮痛部材100は、上記患部の全体に亘り均一に鎮痛効果を発揮し得る。このことは、当該鎮痛貼付材Sfが、人体の患部の痛みを良好に鎮痛し得ることを意味する。
【0156】
ここで、カーボンマイクロコイル100aが、上述した高周波数の範囲の電磁波を吸収ないし抑制する作用を発揮し、一方、パーマロイ粉末及びフェライト粉末からなる磁性粉末100bが上述した低周波数の範囲の電磁波を吸収することから、鎮痛貼付材Sfは、広い周波数範囲の電磁波を吸収し得る。
【0157】
また、本第7実施形態では、パッチ部材130が、鎮痛貼付材Sfにおいて、鎮痛部材100、粘着層110及び剥離層120とは別体となっている。従って、パッチ部材130を新品に交換するのみで、使用済みの鎮痛部材100及び粘着層110とともに、鎮痛貼付材Sfとして再度活用することができる。
【0158】
ちなみに、本第7実施形態にいう鎮痛貼付材Sfの鎮痛効果について調べてみた。具体的には、実施例7−1及び実施例7−2及び各比較例H1〜H7を準備して、実施例7−1及び実施例7−2の鎮痛効果を各比較例H1〜H7との比較において調べてみた。
【0159】
実施例7−1:
この実施例7−1は、鎮痛貼付材Sfと同様の構成を有するが、当該実施例7−1の鎮痛部材において、磁性粉末のうち、パーマロイ粉末としては、40(wt%)のパーマロイ−81(以下、P81ともいう)に各微量のCu、Zn及びMnを添加剤αとして添加したもの(以下、パーマロイP81αともいう)が、採用される(図11参照)。また、当該実施例7−1の鎮痛部材において、カーボンマイクロコイルとしては、53(μm)のコイル長及び7(wt%)を有する粉末状のカーボンマイクロコイルが、採用される(図11参照)。
【0160】
また、実施例7−1の鎮痛部材の誘電率及び透磁率を電磁波の周波数(GHz)との関係において調べたところ、図11にて示すような誘電率及び透磁率が得られた。
【0161】
即ち、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各誘電率は、それぞれ、0.93、0.43及び0.64であった(図11参照)。また、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各透磁率は、それぞれ、1.30、0.95及び0.18であった(図11参照)。
【0162】
このような実施例7−1にいう鎮痛貼付材を5個準備して、5名の被験者A〜Eの各痛み部位に貼付して観察した。
【0163】
ここで、各被験者A、B、C、D及びEとしては、それぞれ、肩凝りのある30代女性、肩凝りのある40代女性、肩凝りのある30代男性、腰痛のある60代男性及び肩凝りのある60代女性が選定された。従って、被験者Aの30代女性、被験者Bの40代女性、被験者Cの30代男性及び被験者Eの60代女性の痛み部位は、ともに、肩であり、被験者Dである60代男性の痛み部位は、腰である。
【0164】
そして、5名の被験者A〜Eについて観察した結果は、次の通りである。即ち、被験者Aは、実施例7−1にいう鎮痛貼付材の貼付後、多少効果を感じたものの金属アレルギー反応(図11にて、符号AR参照)のため、貼付を中止した。被験者Bは、実施例7−1にいう鎮痛貼付材の貼付後、多少、痛み緩和の効果を感じた(図11にて△参照)。被験者Cは、実施例7−1にいう鎮痛貼付材の貼付後、一応、痛み緩和の効果を感じた(図11にて△印参照)。被験者Dは、実施例7−1にいう鎮痛貼付材を貼付しても、痛み緩和の効果を感じなかった(図11にて×印参照)。また、被験者Eは、実施例7−1にいう鎮痛貼付材を貼りっぱなしにした結果、痛み緩和の効果を感じた図11にて△印参照)。
【0165】
実施例7−2:
この実施例7−2は、実施例7−1と同様に、鎮痛貼付材Sfと同様の構成を有するが、当該実施例7−2の鎮痛部材において、磁性粉末のうち、パーマロイ粉末としては、40(wt%)のP81に各微量のZn及び酸化したCuを添加剤βとして添加したもの(以下、パーマロイP81βともいう)が、採用される(図11参照)。また、当該実施例7−2の鎮痛部材において、カーボンマイクロコイルとしては、90〜53(μm)の範囲以内のコイル長及び7(wt%)を有する粉末状のカーボンマイクロコイルが、採用される(図11参照)。
【0166】
実施例7−2の鎮痛部材の誘電率及び透磁率を電磁波の周波数(GHz)との関係において調べたところ、図11にて示すような誘電率及び透磁率が得られた。
【0167】
即ち、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各誘電率は、それぞれ、14.6、8.62及び14.3であった。また、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各透磁率は、それぞれ、1.31、0.94及び0.21であった(図11参照)。
【0168】
ここで、各被験者A、B、C、D、E及びFとして、それぞれ、 実施例7−1の場合と同様である。
【0169】
そして、5名の被験者A〜Eについて観察した結果は、次の通りである。即ち、被験者Aは、実施例7−2にいう鎮痛貼付材の貼付後、余り効果を感じなかった(図9にて、△印参照)。各被験者B、C及びDは、実施例7−2にいう鎮痛貼付材の貼付後、多少、痛み緩和の効果を感じるか、普通程度の効果を感じた(図11にて○参照)。被験者Eは、実施例7−2にいう鎮痛貼付材を貼付した直後から、肩の痛みの緩和を感じ、非常に効果ありと感じた(図11にて◎印参照)。
【0170】
比較例H1:
この比較例H1は、残りの比較例H2〜H11とともに、鎮痛貼付材Sfにおいて、コイル磁性粉末鎮痛層100に代えて、パーマロイ粉末及びフェライト粉末からなる磁性粉末を柔軟層100cに一様に分散して含有してなる磁性粉末鎮痛層(鎮痛部材に相当)を採用した構成を有する。
【0171】
この磁性粉末鎮痛層における磁性粉末のうち、パーマロイ粉末は、所定量のパーマロイ−36(P36ともいう)の粉末からなるものである。
【0172】
また、比較例H1の磁性粉末鎮痛層の誘電率及び透磁率を電磁波の周波数(GHz)との関係において調べたところ、図12にて示すような誘電率及び透磁率が得られた。
【0173】
即ち、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各誘電率は、それぞれ、1.03、0.64及び1.03であった(図12参照)。また、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各透磁率は、それぞれ、0.46、0.61及び0.50であった(図12参照)。
【0174】
このような比較例H1にいう鎮痛貼付材を5名の被験者A〜Eの各痛み部位に貼付して観察した。
【0175】
ここで、各被験者A、B、C、D、E及びFとしては、それぞれ、肩凝りのある30代女性、肩凝りのある40代女性、肩凝りのある30代男性、肩凝りのある60代女性、及び腰痛のある30代女性が選定された。従って、被験者Aの30代女性、被験者Bの40代女性、被験者Cの30代男性及び被験者Dである60代女性の各痛み部位は、ともに、肩であり、被験者Eである30代女性の痛み部位は、腰である。
【0176】
そして、5名の被験者A〜Eについて観察した結果は、次の通りである。即ち、被験者Aは、比較例H1にいう鎮痛貼付材の貼付後、肩凝りの解消を感じた(図12にて符号◎参照)。被験者Bは、比較例H1にいう鎮痛貼付材の貼付後、多少の痛みの緩和を感じた(図12にて△印参照)。被験者Cは、比較例H1にいう鎮痛貼付材の貼付によっては、痛みの緩和を感じなかった(図12にて×印参照)。被験者Dは、比較例H1にいう鎮痛貼付材の貼付によって、多少の痛みの緩和を感じた(図12にて△印参照)。また、被験者Eは、比較例H1にいう鎮痛貼付材の貼付によっては、痛みの緩和を感じなかった(図12にて×印参照)。
【0177】
比較例H2:
この比較例H2は、鎮痛貼付材Sfにおいて、コイル磁性粉末鎮痛層100に代えて、比較例H1と同様に、パーマロイ粉末及びフェライト粉末からなる磁性粉末を柔軟層100cに一様に分散して含有してなる磁性粉末鎮痛層(鎮痛部材に相当)を採用した構成を有する。但し、この比較例H2の磁性粉末鎮痛層における磁性粉末のうち、パーマロイ粉末は、10(wt%)のパーマロイ−47(P47ともいう)の粉末からなるものである。
【0178】
また、比較例H2の磁性粉末鎮痛層の誘電率及び透磁率を電磁波の周波数(GHz)との関係において調べたところ、図12にて示すような誘電率及び透磁率が得られた。
【0179】
即ち、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各誘電率は、それぞれ、0.07、0.05及び1.13であった(図12参照)。また、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各透磁率は、それぞれ、0.04、0.05及び0.02であった(図12参照)。
【0180】
このような比較例H2にいう鎮痛貼付材を3名の被験者A〜Cの各痛み部位に貼付して観察した。ここで、各被験者A、B及びCとしては、それぞれ、肩凝りのある30代女性、肩凝りのある40代女性及び肩凝りのある30代男性が選定された。従って、被験者Aの30代女性、被験者Bの40代女性及び被験者Cの30代男性の各痛み部位は、ともに、肩である。
【0181】
そして、3名の被験者A〜Cについて観察した結果によれば、各被験者A〜Cは、ともに、痛みの緩和を感じなかった(図12にて×印参照)。
【0182】
比較例H3:
この比較例H3は、鎮痛貼付材Sfにおいて、コイル磁性粉末鎮痛層100に代えて、比較例H1と同様に、パーマロイ粉末及びフェライト粉末からなる磁性粉末を柔軟層100cに一様に分散して含有してなる磁性粉末鎮痛層(鎮痛部材に相当)を採用した構成を有する。但し、この比較例H2の磁性粉末鎮痛層における磁性粉末のうち、パーマロイ粉末は、10(wt%)のP81の粉末からなるものである。
【0183】
また、比較例H3の磁性粉末鎮痛層の誘電率及び透磁率を電磁波の周波数(GHz)との関係において調べたところ、図12にて示すような誘電率及び透磁率が得られた。
【0184】
即ち、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各誘電率は、それぞれ、0.09、0.10及び0.23であった(図12参照)。また、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各透磁率は、それぞれ、0.26、0.19及び0.02であった(図12参照)。
【0185】
比較例H4:
この比較例H4は、鎮痛貼付材Sfにおいて、コイル磁性粉末鎮痛層100に代えて、比較例H1と同様に、パーマロイ粉末及びフェライト粉末からなる磁性粉末を柔軟層100cに一様に分散して含有してなる磁性粉末鎮痛層(鎮痛部材に相当)を採用した構成を有する。但し、この比較例H4の磁性粉末鎮痛層における磁性粉末のうち、パーマロイ粉末は、30(wt%)のP81の粉末からなるものである。
【0186】
また、比較例H4の磁性粉末鎮痛層の誘電率及び透磁率を電磁波の周波数(GHz)との関係において調べたところ、図12にて示すような誘電率及び透磁率が得られた。
【0187】
即ち、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各誘電率は、それぞれ、0.43、0.31及び1.64であった(図12参照)。また、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各透磁率は、それぞれ、1.04、0.66及び0.11であった(図12参照)。
【0188】
比較例H5:
この比較例H5は、鎮痛貼付材Sfにおいて、コイル磁性粉末鎮痛層100に代えて、比較例H1と同様に、パーマロイ粉末及びフェライト粉末からなる磁性粉末を柔軟層100cに一様に分散して含有してなる磁性粉末鎮痛層(鎮痛部材に相当)を採用した構成を有する。但し、この比較例H5の磁性粉末鎮痛層における磁性粉末のうち、パーマロイ粉末は、40(wt%)のP81の粉末からなるものである。
【0189】
また、比較例H5の磁性粉末鎮痛層の誘電率及び透磁率を電磁波の周波数(GHz)との関係において調べたところ、図12にて示すような誘電率及び透磁率が得られた。
【0190】
即ち、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各誘電率は、それぞれ、0.92、0.65及び2.41であった(図12参照)。また、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各透磁率は、それぞれ、1.70、1.14及び0.18であった(図12参照)。
【0191】
このような比較例H5にいう鎮痛貼付材を5名の被験者A〜Eの各痛み部位に貼付して観察した。
【0192】
ここで、各被験者A、B、C、D及びEとしては、それぞれ、肩凝りのある30代女性、肩凝りのある40代女性、肩凝りのある30代男性、腰痛のある60代男性、及び肩凝りのある50代女性が選定された。従って、被験者Aの30代女性、被験者Bの40代女性、被験者Cの30代男性及び被験者Eである50代女性の各痛み部位は、ともに、肩であり、被験者Dである60代男性の痛み部位は、腰である。
【0193】
そして、5名の被験者A〜Eについて観察した結果は、次の通りである。即ち、被験者Aは、比較例H5にいう鎮痛貼付材の貼付によっては、痛みの緩和を感じなかった(図10にて×印参照)。被験者Bは、比較例H5にいう鎮痛貼付材の貼付後、4時間程度の経過時に肩の痛みを感じなくなった(図12にて◎印参照)。被験者Cは、比較例H5にいう鎮痛貼付材の貼付により、多少痛みの緩和効果を感じた(図12にて△印参照)。被験者Dは、比較例H5にいう鎮痛貼付材の貼付中において、痛みの緩和を感じた(図12にて○印参照)。また、被験者Eは、比較例H5にいう鎮痛貼付材の貼付後、多少痛みの緩和を感じた(図12にて△印参照)。
【0194】
比較例H6:
この比較例H6は、鎮痛貼付材Sfにおいて、コイル磁性粉末鎮痛層100に代えて、比較例H1と同様に、パーマロイ粉末及びフェライト粉末からなる磁性粉末を柔軟層100cに一様に分散して含有してなる磁性粉末鎮痛層(鎮痛部材に相当)を採用した構成を有する。但し、この比較例H6の磁性粉末鎮痛層における磁性粉末のうち、パーマロイ粉末は、40(wt%)のP81αの粉末からなるものである。
【0195】
また、比較例H6の磁性粉末鎮痛層の誘電率及び透磁率を電磁波の周波数(GHz)との関係において調べたところ、図12にて示すような誘電率及び透磁率が得られた。
【0196】
即ち、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各誘電率は、それぞれ、1.67、1.23及び2.41であった(図12参照)。また、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各透磁率は、それぞれ、1.21、0.93及び0.24であった(図12参照)。
【0197】
比較例H7:
この比較例H7は、鎮痛貼付材Sfにおいて、コイル磁性粉末鎮痛層100に代えて、比較例H1と同様に、パーマロイ粉末及びフェライト粉末からなる磁性粉末を柔軟層100cに一様に分散して含有してなる磁性粉末鎮痛層(鎮痛部材に相当)を採用した構成を有する。但し、この比較例H7の磁性粉末鎮痛層における磁性粉末のうち、パーマロイ粉末は、40(wt%)のP81γの粉末からなるものである。
【0198】
また、比較例H7の磁性粉末鎮痛層の誘電率及び透磁率を電磁波の周波数(GHz)との関係において調べたところ、図12にて示すような誘電率及び透磁率が得られた。
【0199】
即ち、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各誘電率は、それぞれ、1.49、1.05及び1.78であった(図12参照)。また、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各透磁率は、それぞれ、1.57、1.05及び0.22であった(図12参照)。
【0200】
このような比較例H7にいう鎮痛貼付材を5名の被験者A〜Eの各痛み部位に貼付して観察した。
【0201】
ここで、各被験者A、B、C、D及びEとしては、それぞれ、肩凝りのある30代女性、肩凝りのある40代女性、肩凝りのある30代男性、腰痛のある60代男性、及び肩凝りのある60代女性が選定された。従って、被験者Aの30代女性、被験者Bの40代女性、被験者Cの30代男性及び被験者Eである60代女性の各痛み部位は、ともに、肩であり、被験者Dである60代男性の痛み部位は、腰である。
【0202】
そして、5名の被験者A〜Eについて観察した結果は、次の通りである。即ち、被験者Aは、比較例H7にいう鎮痛貼付材の貼付後、10分経過時に患部に暖かさを感じて痛みの緩和を感じた(図12にて◎印参照)。被験者Bは、比較例H7にいう鎮痛貼付材の貼付後、30分経過時に患部に暖かさを感じて痛みの消失を感じた(図12にて◎印参照)。被験者Cは、比較例H7にいう鎮痛貼付材の貼付によっては、余り、痛みの緩和を感じなかった(図12にて△印参照)。被験者Dは、比較例H7にいう鎮痛貼付材の貼付によっては、痛みの緩和を全く感じなかった(図12にて×印参照)。被験者Eは、比較例H7にいう鎮痛貼付材の貼付により、肩凝りの緩和を感じた(図12にて○印参照)。
【0203】
以上のような試験結果によれば、各実施例においては、図11にて示すごとく、鎮痛効果は、実施例7−2のように、少なくとも誘電率のより高い方がより一層良好であることが分かる。これに対し、各比較例においては、図12にて示すごとく、鎮痛効果は、比較例H7のように、少なくとも誘電率のより高い方がより一層良好であることが分かる。
【0204】
ここで、誘電率に関し、実施例7−2の方が、比較例H7よりもかなり高いことから、本第7実施形態のように、鎮痛部材が1層であっても、粉末状のカーボンマイクロコイル及び磁性粉末(ここでは、パーマロイ粉末)の双方を柔軟層に含有させた方が、比較例のようにパーマロイ粉末を柔軟層に含有させる場合に比べて、鎮痛効果を改善し得るものと認められる。
【0205】
そこで、本第7実施形態における鎮痛貼付材の鎮痛作用を、磁性粉末及びカーボンマイクロコイルとの関係において検討してみる。
【0206】
一般的に、生体、特に人体における神経伝達や筋肉収縮の際に、微小電流が人体に流れることで、極めて弱い電磁界が発生する。このような電磁界による電磁波は、人体の痛みを伴う患部では、上述した異常波動となる。従って、このような異常波動を抑制ないし除去すれば、患部の痛みは軽減ないし消滅する。
【0207】
また、カーボンマイクロコイルは、その炭素成分に起因して、磁性粉末の1種であるパーマロイやフェライトに比べて、高い誘電率を有する。ちなみに、この誘電率を調べてみたところ、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各誘電率は、それぞれ、2.69、1.79及び1.50であった。
【0208】
このため、生体からの電磁波に起因する電圧がカーボンマイクロコイルに印加されると、当該カーボンマイクロコイル内において、誘電分極が発生する。従って、カーボンマイクロコイルは、その誘電分極に起因して、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する。換言すれば、カーボンマイクロコイルは、そ の誘電分極に起因して、生体からの電磁波に起因するエネルギーを消費して、上述した生体ノイズを少なくとも抑制する役割を果たす。
【0209】
一方、磁性粉末の1種であるパーマロイは、カーボンマイクロコイルに比べて、高い透磁率を有する。このため、パーマロイは、生体からの電磁波に起因する磁気エネルギーを吸収することで、生体からの電磁波に起因するエネルギーを消費して、上述した生体ノイズを少なくとも抑制する役割を果たす。なお、パーマロイ自体としては、初期透磁率の高いものが、生体ノイズに起因する電流が微少であることから、好ましい。
【0210】
また、比較例H7のように、パーマロイが、P81に添加剤γ(微量のZn及び微量の酸化しているCuからなる)を添加したものとすることで、添加剤γを構成するCuやZnが、イオン化により、生体ノイズに起因する微小電流の抑制を促進すると、推測される。このようなことは、P81α、P81βやP81δにおいても同様と推測される。つまり、イオン化傾向の良好な金属粉末をパーマロイに添加することで、生体ノイズに起因する微小電流の抑制が促進されると推測される。
【0211】
また、パーマロイに対し、フェライト或いはその近似材料を付加することで、透磁率をより一層高くすることができる。従って、本第7実施形態では、磁性粉末としては、パーマロイとフェライトとの各粉末が採用されている。
【0212】
但し、図12にて示す比較例のように、単なるパーマロイ及びフェライトのみとか、このパーマロイ及びフェライトに上記添加剤を添加するだけでは、実施例7−2のような鎮痛効果は得られないと認められる。
(第8実施形態)
図13は、本発明を適用した鎮痛貼付材の第8実施形態を示している。当該第8実施形態において、当該鎮痛貼付材(以下、鎮痛貼付材Sgともいう)は、鎮痛部材200と、上記第7実施形態にて述べた粘着層110、剥離層120及びパッチ部材130とにより構成されている。
【0213】
鎮痛部材200は、円板状コイル鎮痛層210と、円板状磁性粉末鎮痛層220とにより構成されており、コイル鎮痛層210は、磁性粉末鎮痛層220上に接着剤により接着されることで、当該磁性粉末鎮痛層220に積層されている。コイル鎮痛層210は、粉末状のカーボンマイクロコイル210aを、円板状柔軟層210b内に一様に分散するように含有して構成されている。ここで、柔軟層210bは、柔軟性シリコンゴムでもって、厚さ0.5(mm)にて形成されている。また、鎮痛部材200の外径(コイル鎮痛層210及び磁性粉末鎮痛層220の各外径)は、10(mm)〜15(mm)の範囲以内の値、例えば、10(mm)となっている。
【0214】
磁性粉末鎮痛層220は磁性粉末であるパーマロイ粉末220aを、円板状柔軟層220b内に一様に分散するように含有して構成されている。ここで、柔軟層220bは、シリコンゴムでもって、厚さ0.5(mm)にて形成されている。なお、上記第7実施形態にて述べた粘着層110は、その一側面にて、柔軟層220bの一側面に粘着されている。その他の構成は、上記第7実施形態と同様である。
【0215】
このように構成した本第8実施形態において、当該鎮痛貼付Sgは、次のようにして用いられる。即ち、上記第7実施形態と同様に、剥離層120を粘着層110から剥離するとともに、パッチ部材130の剥離紙133を、両面テープ132から剥離した上で、磁性粉末鎮痛層220を、粘着層110を介し、人体の患部(痛み部位)に貼付する。
【0216】
鎮痛貼付材Sgにおいては、鎮痛部材200が、コイル鎮痛層210及び磁性粉末鎮痛層220の2層積層構造となっている。このため、コイル鎮痛層210及び磁性粉末鎮痛層220が、それぞれ、別体にて、人体の患部に対し鎮痛効果を発揮することとなる。
【0217】
ここで、コイル鎮痛層210においては、カーボンマイクロコイル210aが柔軟層210b内にて一様に分散されており、一方、磁性粉末鎮痛層220においては、パーマロイ粉末220aが、柔軟層220b内にて一様に分散されている。
【0218】
従って、上記第3実施形態と同様に、人体の患部に生ずる電磁波のうち、高周波成分がコイル鎮痛層210により良好に吸収ないし抑制され、低周波成分が磁性粉末鎮痛層220により良好に吸収される。このことは、人体の患部に生ずる電磁波が広い周波数範囲に亘り鎮痛部材200により吸収ないし抑制されることを意味する。その結果、人体の患部の痛みが良好に緩和され得る。
【0219】
ちなみに、本第8実施形態にいう鎮痛貼付材Sgの鎮痛効果について調べてみた。具体的には、実施例8−1及び実施例8−2を準備して、当該実施例8−1及び実施例8−2の鎮痛効果を調べてみた。
【0220】
実施例8−1:
この実施例8−1は、鎮痛貼付材Sgと同様の構成を有するが、当該実施例8−1の鎮痛部材の磁性粉末鎮痛層において、磁性粉末であるパーマロイ粉末としては、40(wt%)のP81が採用される(図14参照)。また、当該実施例8−1の鎮痛部材のコイル鎮痛層において、カーボンマイクロコイルとしては、53(μm)のコイル長及び7(wt%)を有する粉末状のカーボンマイクロコイルが、採用される(図14参照)。
【0221】
また、実施例8−1の鎮痛部材の誘電率及び透磁率を電磁波の周波数(GHz)との関係において調べたところ、図14にて示すような誘電率及び透磁率が得られた。
【0222】
即ち、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各誘電率は、それぞれ、1.49、1.20及び5.39であった。また、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各透磁率は、それぞれ、0.98、0.61及び0.1であった。なお、誘電率及び透磁率は、それぞれ、磁性粉末鎮痛層及びコイル鎮痛層の各々の誘電率及び透磁率の平均値をとったものである。
【0223】
このような実施例8−1にいう鎮痛貼付材を6個準備して、6名の被験者A〜Fの各痛み部位に貼付して観察した。
【0224】
ここで、各被験者A、B、C、D、E及びFとしては、それぞれ、肩凝りのある30代女性、肩凝りのある40代女性、肩凝りのある30代男性、腰痛のある60代男性、肩凝りのある60代女性及び肩凝りのある50代男性が選定された。従って、被験者Aの30代女性、被験者Bの40代女性、被験者Cの30代男性、被験者Eの60代女性及び被験者Fの50代男性の各痛み部位は、ともに、肩であり、被験者Dである60代男性の痛み部位は、腰である。
【0225】
そして、6名の被験者A〜Fについて観察した結果は、次の通りである。即ち、被験者Aは、実施例8−1の鎮痛貼付材の貼付により、一応の患部の痛みの緩和を感じた(図14にて○印参照)。被験者Bは、実施例8−1の鎮痛貼付材を貼付したところ、当該鎮痛貼付材が体にフィットしたのは勿論のこと、患部の鎮痛効果も良好であった(図14にて◎印参照)。各被験者C〜Fは、実施例8−1の鎮痛貼付材の貼付により、一応の患部の痛みの緩和を感じた(図14にて各○印参照)。なお、被験者Fは、鎮痛貼付材の薄さに良好な感じをいだいた。
【0226】
実施例8−2:
この実施例8−2は、鎮痛貼付材Sgと同様の構成を有するが、当該実施例8−1の鎮痛部材の磁性粉末鎮痛層において、磁性粉末であるパーマロイ粉末としては、40(wt%)のP81ηが採用される(図14参照)。ここで、P81ηは、40(wt%)のP81に各微量のZn及び酸化していないCuを添加剤ηとして添加したものをいう。
【0227】
また、当該実施例8−2の鎮痛部材のコイル鎮痛層において、カーボンマイクロコイルとしては、53(μm)〜90(μm)の範囲内のコイル長及び7(wt%)を有する粉末状のカーボンマイクロコイルが、採用される(図14参照)。
【0228】
また、実施例8−2の鎮痛部材の誘電率及び透磁率を電磁波の周波数(GHz)との関係において調べたところ、図14にて示すような誘電率及び透磁率が得られた。
【0229】
即ち、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各誘電率は、それぞれ、1.93、1.22及び7.96であった(図14参照)。また、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各透磁率は、それぞれ、0.63、0.61及び0.10であった(図14参照)。
【0230】
このような実施例8−2にいう鎮痛貼付材を5個準備して、5名の被験者A〜Eの各痛み部位に貼付して観察した。ここで、当該5名の被験者A〜Eは、実施例8−1の場合の6名の被験者のうち、被験者A〜Eと同様である。
【0231】
そして、5名の被験者A〜Eについて観察した結果は、次の通りである。即ち、被験者Aは、実施例8−2にいう鎮痛貼付材の貼付後、金属アレルギー反応(図14にて、符号AR参照)のため、貼付を中止した。被験者Bは、実施例8−2にいう鎮痛貼付材の貼付後、10分程度の経過時に肩の痛みの緩和を良好に感じた(図14にて、◎印参照)。被験者Cは、実施例8−2にいう鎮痛貼付材の貼付により、良好な鎮痛効果を感じた(図14にて、◎印参照)。被験者Dは、実施例8−2にいう鎮痛貼付材の貼付により、腰に良好な鎮痛効果を感じた(図14にて、◎印参照)。また、被験者Eは、実施例8−2にいう鎮痛貼付材の貼付により、肩こりの良好な緩和を感じた(図14にて、◎印参照)。
【0232】
以上のような試験結果によれば、鎮痛効果は、実施例8−2の方が、実施例8−1よりも平均的に良好であり、また、図12の比較例に比べても良好であることが分かる。但し、パーマロイが、金属アレルギーの原因になっていること、皮膚の汚れの原因になること等から、鎮痛貼付材Sgにおいては、磁性粉末鎮痛層220をコイル鎮痛層210の上側に積層するように構成して、磁性粉末鎮痛層220を皮膚から離すことが好ましい。
(第9実施形態)
図15は、本発明を適用した鎮痛貼付材の第9実施形態を示している。当該第9実施形態において、当該鎮痛貼付材(以下、鎮痛貼付材Shともいう)は、鎮痛部材200aと、上記第8実施形態にて述べた粘着層110、剥離層120及びパッチ部材130とにより構成されている。
【0233】
鎮痛部材200aは、上記第8実施形態にて述べたコイル鎮痛層210(以下、上側コイル鎮痛層210ともいう)と、この上側コイル鎮痛層と同様に構成した下側コイル鎮痛層(以下、下側コイル鎮痛層210という)と、磁性粉末鎮痛層230とにより構成されている。
【0234】
しかして、当該鎮痛部材200aにおいては、上側コイル鎮痛層210、磁性粉末鎮痛層230及び下側コイル鎮痛層210は、上下両側コイル鎮痛層210の間に磁性粉末鎮痛層230を介装するようにして、積層されて、3層積層構造となっている。なお、上側コイル鎮痛層210及び磁性粉末鎮痛層230は、接着剤による接着のもとに積層され、磁性粉末鎮痛層230及び下側コイル鎮痛層210は、接着剤による接着のもとに積層されている。
【0235】
磁性粉末鎮痛層230は、磁性粉末230aを柔軟層230b内に一様に分散して含有するように構成されている。この磁性粉末鎮痛層230において、磁性粉末230aは、パーマロイ粉末及びフェライト粉末からなるもので、これらパーマロイ粉末及びフェライト粉末は、柔軟層230b内に一様に分散されている。なお、磁性粉末鎮痛層230の厚さは、各コイル鎮痛層210の厚さとともに、0.5(mm)となっており、磁性粉末鎮痛層230の外径は、各コイル鎮痛層210の外径とともに、例えば、10(mm)となっている。
【0236】
柔軟層230bは、シリコンゴムにより円板状に形成されている。なお、上記第8実施形態にて述べた粘着層110は、その一側面にて、下側コイル鎮痛層210の柔軟層210bの一側面に接着されている。その他の構成は、上記第8実施形態と同様である。
【0237】
このように構成した本第9実施形態において、当該鎮痛貼付Shは、次のようにして用いられる。即ち、上記第8実施形態と同様に、剥離層120を粘着層110から剥離するとともに、パッチ部材130の剥離紙133を、両面テープ132から剥離した上で、下側コイル鎮痛層210を、粘着層110を介し、人体の患部(痛み部位)に貼付する。
【0238】
鎮痛貼付材Shにおいては、鎮痛部材200aが、上側コイル鎮痛層210、磁性粉末鎮痛層230及び下側コイル鎮痛層210の3層積層構造となっている。このため、上側コイル鎮痛層210、磁性粉末鎮痛層220及び下側コイル鎮痛層210が、それぞれ、別体にて、人体の患部に対し鎮痛効果を発揮することとなる。
【0239】
ここで、上側及び下側の各コイル鎮痛層210においては、カーボンマイクロコイル210aが柔軟層210b内にて一様に分散されており、一方、磁性粉末鎮痛層230においては、パーマロイ粉末及びフェライト粉末からなる磁性粉末230aが、柔軟層230b内にて一様に分散されている。
【0240】
従って、人体の患部に生ずる電磁波のうち、高周波成分が上側及び下側の各コイル鎮痛層210によりより一層良好に吸収ないし抑制され、低周波成分が磁性粉末鎮痛層230により良好に吸収される。このことは、人体の患部に生ずる電磁波が広い周波数範囲に亘り鎮痛部材200aによりより一層良好に吸収ないし抑制されることを意味する。その結果、人体の患部の痛みがより一層良好に緩和され得る。
【0241】
ちなみに、本第9実施形態にいう鎮痛貼付材Shの鎮痛効果について調べてみた。具体的には、各実施例9−1〜9−8を準備して、当該各実施例9−1〜9−8の鎮痛効果を調べてみた。
【0242】
実施例9−1:
この実施例9−1は、鎮痛貼付材Shと同様の構成を有するが、当該実施例9−1の鎮痛部材の磁性粉末鎮痛層における磁性粉末のうち、パーマロイ粉末としては、所定量のP36が採用される(図16参照)。また、当該実施例9−1の鎮痛部材のコイル鎮痛層において、カーボンマイクロコイルとしては、所定のコイル長及び7(wt%)を有する粉末状のカーボンマイクロコイルが、採用される(図16参照)。
また、実施例9−1の鎮痛部材の誘電率及び透磁率を電磁波の周波数(GHz)との関係において調べたところ、図16にて示すような誘電率及び透磁率が得られた。
【0243】
即ち、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各誘電率は、それぞれ、0.68、0.69及び1.36であった(図16参照)。また、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各透磁率は、それぞれ、0.21、0.31及び0.14であった(図16参照)。
【0244】
このような実施例9−1にいう鎮痛貼付材を6個準備して、6名の被験者A〜Fの各痛み部位に貼付して観察した。
【0245】
ここで、各被験者A、B、C、D、E及びFとしては、それぞれ、肩凝り常習者である30代女性、肩凝りのある40代女性、肩凝りのある30代男性、腰痛のある60代男性、肩凝りのある60代女性及び太ももに痛みのある30代女性が選定された。従って、被験者Aの30代女性、被験者Bの40代女性、被験者Cの30代男性及び被験者Eの60代女性の各痛み部位は、ともに、肩であり、被験者Dの痛み部位は腰であり、また、被験者Fの30代女性の痛み部位は、太ももである。
【0246】
そして、6名の被験者A〜Fについて観察した結果は、次の通りである。即ち、被験者Aは、実施例9−1の鎮痛貼付材の貼付後、1時間程度の経過時に痛み部位の暖かみを感じ、1日の経過時に痛み部位の痛みの消失を感じた(図16にて◎参照)。被験者Bは、実施例9−1の鎮痛貼付材の貼付後、半日の経過程度で、肩の柔らかさを感じ、いわゆる気持ちの悪さの緩和を感じた(図16にて○印参照)。被験者Cは、実施例9−1の鎮痛貼付材を2日間貼付したところ、多少、痛みの緩和を感じた(図16にて○印参照)。被験者Dは、実施例9−1の鎮痛貼付材を1週間程度貼付したところ、多少、痛みの緩和を感じた(図16にて△印参照)。被験者Eは、実施例9−1の鎮痛貼付材の貼付後、3時間程度の経過でもって、痛み部位の痛みの緩和を多少感じた(図16にて△印参照)。また、被験者Fは、実施例9−1の鎮痛貼付材を貼付したところ、多少、良い感じであった(図16にて△印参照)。
【0247】
実施例9−2:
この実施例9−2も、鎮痛貼付材Shと同様の構成を有するが、当該実施例9−2の鎮痛部材の磁性粉末鎮痛層において、磁性粉末のうちのパーマロイとしては、10(wt%)のP47が採用される(図16参照)。また、当該実施例9−2の鎮痛部材のコイル鎮痛層において、カーボンマイクロコイルとしては、53(μm)〜90(μm)の範囲内のコイル長及び7(wt%)を有するカーボンマイクロコイルが採用される(図16参照)。
【0248】
また、実施例9−2の鎮痛部材の誘電率及び透磁率を電磁波の周波数(GHz)との関係において調べたところ、図16にて示すような誘電率及び透磁率が得られた。
【0249】
即ち、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各誘電率は、それぞれ、0.30、0.33及び0.51であった(図16参照)。また、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各透磁率は、それぞれ、0.09、0.04及び0.01であった(図16参照)。
【0250】
このような実施例9−2にいう鎮痛貼付材を、5個準備して5名の被験者A〜Eの各痛み部位に貼付して観察した。
【0251】
ここで、各被験者A、B、C、D及びEとしては、それぞれ、肩凝りのある30代女性、肩凝りのある40代女性、肩凝りのある30代男性、肩凝りのある60代女性及び肩凝りのある50代男性が選定された。従って、被験者Aの30代女性、被験者Bの40代女性、被験者Cの30代男性、被験者Dの60代女性及び被験者Eの50代男性の各痛み部位は、ともに、肩である。
【0252】
そして、5名の被験者A〜Eについて観察した結果は、次の通りである。即ち、被験者Aは、実施例9−2の鎮痛貼付材の貼付によっては、肩の痛みに何ら変化を感じなかった(図16にて×印参照)。被験者Bは、実施例9−2の鎮痛貼付材の貼付により、多少、良好に感じた(図16にて△印参照)。また、残りの各被験者C、D及びEは、実施例9−2の鎮痛貼付材の貼付によっては、鎮痛効果を感じなかった(図16にて各×印参照)。
【0253】
実施例9−3:
この実施例9−3も、鎮痛貼付材Shと同様の構成を有するが、当該実施例9−3の鎮痛部材の磁性粉末鎮痛層において、磁性粉末のうちのパーマロイとしては、10(wt%)のP81が採用される(図16参照)。また、当該実施例9−3の鎮痛部材のコイル鎮痛層において、カーボンマイクロコイルとしては、53(μm)のコイル長及び7(wt%)を有するカーボンマイクロコイルが採用される(図16参照)。
【0254】
また、実施例9−3の鎮痛部材の誘電率及び透磁率を電磁波の周波数(GHz)との関係において調べたところ、図16にて示すような誘電率及び透磁率が得られた。
【0255】
即ち、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各誘電率は、それぞれ、1.22、1.02及び1.35であった(図16参照)。また、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各透磁率は、それぞれ、0.18、0.11及び0.01であった(図16参照)。
【0256】
このような実施例9−3にいう鎮痛貼付材を、6個準備して6名の被験者A〜Fの各痛み部位に貼付して観察した。
【0257】
ここで、各被験者A、B、C、D、E及びFとしては、それぞれ、肩凝りのある30代女性、肩凝りのある40代女性、肩凝りのある30代男性、腰痛のある60代男性、肩凝りのある60代女性及び腰痛のある50代男性が選定された。従って、被験者Aの30代女性、被験者Bの40代女性、被験者Cの30代男性及び被験者Eの60代女性の各痛み部位は、ともに、肩である。また、被験者Dの60代男性及び被験者Fの50代男性の各痛み部位は、ともに、腰である。
【0258】
そして、6名の被験者A〜Fについて観察した結果は、次の通りである。即ち、被験者Aは、実施例9−3の鎮痛貼付材の貼付後、1日程度の経過でもって、肩の痛みの緩和を感じるとともに痛みの軽減を感じた(図16にて○印参照)。被験者Bは、実施例9−3の鎮痛貼付材の貼付によって、多少良好に感じた(図16にて△印参照)。被験者Cは、実施例9−3の鎮痛貼付材の貼付によって、痛み部位に鎮痛効果を感じた(図16にて○印参照)。被験者Dは、実施例9−3の鎮痛貼付材を3日間貼付し続けた結果、多少、腰の痛みに緩和を感じた(図16にて△印参照)。被験者Eは、実施例9−3の鎮痛貼付材の貼付によって、多少、肩凝りの緩和を感じた(図16にて△印参照)。また、被験者Fは、実施例9−3の鎮痛貼付材を2日間貼付した結果、腰の痛みに緩和を感じ、立ち上がり易くなった(図16にて○印参照)。
【0259】
実施例9−4:
この実施例9−4も、鎮痛貼付材Shと同様の構成を有するが、当該実施例9−4の鎮痛部材の磁性粉末鎮痛層において、磁性粉末のうちのパーマロイとしては、40(wt%)のP81αが採用される(図16参照)。また、当該実施例9−4の鎮痛部材のコイル鎮痛層において、カーボンマイクロコイルとしては、53(μm)〜90(μm)の範囲内のコイル長及び7(wt%)を有するカーボンマイクロコイルが採用される(図16参照)。
【0260】
また、実施例9−4の鎮痛部材の誘電率及び透磁率を電磁波の周波数(GHz)との関係において調べたところ、図16にて示すような誘電率及び透磁率が得られた。
【0261】
即ち、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各誘電率は、それぞれ、2.01、1.63及び3.34であった(図16参照)。また、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各透磁率は、それぞれ、0.55、0.38及び0.04であった(図16参照)。
【0262】
このような実施例9−4にいう鎮痛貼付材を、5個準備して5名の被験者A〜Eの各痛み部位に貼付して観察した。
【0263】
ここで、各被験者A、B、C、D及びEとしては、それぞれ、肩凝りのある30代女性、肩凝りのある40代女性、肩凝りのある30代男性、腰痛のある60代男性及び肩凝りのある60代女性が選定された。従って、被験者Aの30代女性、被験者Bの40代女性、被験者Cの30代男性及び被験者Eの60代女性の各痛み部位は、ともに、肩である。また、被験者Dの60代男性の痛み部位は、腰である。
【0264】
そして、5名の被験者A〜Eについて観察した結果は、次の通りである。即ち、被験者Aは、実施例9−4の鎮痛貼付材の貼付後、金属アレルギー反応を生じ、貼付を中止した(図16にて符号AR参照)。被験者Bは、実施例9−4の鎮痛貼付材の貼付によっては、痛み部位の鎮痛効果を多少感じた(図16にて△印参照)。被験者Cは、実施例9−4の鎮痛貼付材の貼付により、肩凝りの良好な緩和を感じた(図16にて◎印参照)。被験者Dは、実施例9−4の鎮痛貼付材の貼付により、一応、腰の痛みの緩和を感じた(図16にて○印参照)。また、被験者Eは、実施例9−4の鎮痛貼付材を貼付しても、殆ど肩凝りの緩和を感じなかった(図16にて×印参照)。
【0265】
実施例9−5:
この実施例9−5も、鎮痛貼付材Shと同様の構成を有するが、当該実施例9−5の鎮痛部材の磁性粉末鎮痛層において、磁性粉末のうちのパーマロイとしては、40(wt%)のP81βが採用される(図16参照)。また、当該実施例9−5の鎮痛部材のコイル鎮痛層において、カーボンマイクロコイルとしては、53(μm)〜90(μm)の範囲内のコイル長及び7(wt%)を有するカーボンマイクロコイルが採用される(図16参照)。
【0266】
また、実施例9−5の鎮痛部材の誘電率及び透磁率を電磁波の周波数(GHz)との関係において調べたところ、図16にて示すような誘電率及び透磁率が得られた。
【0267】
即ち、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各誘電率は、それぞれ、2.31、1.81及び2.87であった(図16参照)。また、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各透磁率は、それぞれ、0.60、0.40及び0.04であった(図16参照)。
【0268】
このような実施例9−5にいう鎮痛貼付材を、6個準備して6名の被験者A〜Fの各痛み部位に貼付して観察した。
【0269】
ここで、各被験者A、B、C、D、E及びFとしては、それぞれ、肩凝りのある30代女性、肩凝りのある40代女性、肩凝りのある30代男性、腰痛のある60代男性、肩凝りのある60代女性及び肩張りのある50代男性が選定された。従って、被験者Aの30代女性、被験者Bの40代女性、被験者Cの30代男性、被験者Eの60代女性及び被験者Fの50代男性の各痛み部位は、ともに、肩である。また、被験者Dの60代男性の痛み部位は、腰である。
【0270】
そして、6名の被験者A〜Fについて観察した結果は、次の通りである。即ち、被験者Aは、実施例9−5の鎮痛貼付材の貼付によって、気持ちの良い程、肩の痛みの鎮痛効果を感じた(図16にて◎印参照)。被験者Bは、実施例9−5の鎮痛貼付材の貼付後、短時間で患部に暖かみを感じ、肩凝りの消失を快く感じた(図16にて◎印参照)。被験者Cは、実施例9−5の鎮痛貼付材の貼付によって、非常に良好な鎮痛効果を患部に感じた(図16にて◎印参照)。被験者Dは、実施例9−5の鎮痛貼付材の貼付によっては、一応の鎮痛効果を感じた程度である(図16にて○印参照)。被験者Eは、実施例9−5の鎮痛貼付材の貼付によって、患部に暖かさを感じ、肩凝りの消失を良好に感じた(図16にて◎印参照)。また、被験者Fは、実施例9−5の鎮痛貼付材の貼付後、肩の張りの消失を感じた(図16にて◎印参照)。
【0271】
実施例9−6:
この実施例9−6も、鎮痛貼付材Shと同様の構成を有するが、当該実施例9−6の鎮痛部材の磁性粉末鎮痛層において、磁性粉末のうちのパーマロイとしては、40(wt%)のP81γが採用される(図16参照)。また、当該実施例9−6の鎮痛部材のコイル鎮痛層において、カーボンマイクロコイルとしては、53(μm)のコイル長及び7(wt%)を有するカーボンマイクロコイルが採用される(図16参照)。
【0272】
また、実施例9−6の鎮痛部材の誘電率及び透磁率を電磁波の周波数(GHz)との関係において調べたところ、図16にて示すような誘電率及び透磁率が得られた。
【0273】
即ち、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各誘電率は、それぞれ、0.96、0.83及び2.76であった(図16参照)。また、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各透磁率は、それぞれ、0.86、0.50及び0.03であった(図16参照)。
【0274】
このような実施例9−6にいう鎮痛貼付材を、5個準備して5名の被験者A〜Eの各痛み部位に貼付して観察した。
【0275】
ここで、各被験者A、B、C、D及びEとしては、それぞれ、肩凝りのある30代女性、肩凝りのある40代女性、肩凝りのある30代男性、腰痛のある60代男性及び肩凝りのある60代女性が選定された。従って、被験者Aの30代女性、被験者Bの40代女性、被験者Cの30代男性及び被験者Eの60代女性の各痛み部位は、ともに、肩である。また、被験者Dの60代男性の痛み部位は、腰である。
【0276】
そして、5名の被験者A〜Eについて観察した結果は、次の通りである。即ち、被験者Aは、実施例9−6の鎮痛貼付材の貼付によって、肩の痛みの鎮痛効果を良好に感じた(図16にて◎印参照)。被験者Bは、実施例9−6の鎮痛貼付材の貼付後、患部に暖かみを感じ、肩凝りの緩和を感じた(図16にて○印参照)。被験者Cは、実施例9−6の鎮痛貼付材の貼付によって、鎮痛効果を患部に感じた(図16にて○印参照)。被験者Dは、実施例9−6の鎮痛貼付材の貼付によって、鎮痛効果を良好に感じ、普通に歩けるようになった(図16にて◎印参照)。また、被験者Eは、実施例9−6の鎮痛貼付材の貼付によって、肩凝りの緩和を感じた(図16にて○印参照)。
【0277】
実施例9−7:
この実施例9−7も、鎮痛貼付材Shと同様の構成を有するが、当該実施例9−7の鎮痛部材の磁性粉末鎮痛層において、磁性粉末のうちのパーマロイとしては、40(wt%)のP81δが採用される(図16参照)。ここで、P81δは、40(wt%)のパーマロイP81に各微量のMn及びZnを添加剤δとして添加したものである。また、当該実施例9−7の鎮痛部材のコイル鎮痛層において、カーボンマイクロコイルとしては、53(μm)〜90(μm)の範囲内のコイル長及び7(wt%)を有するカーボンマイクロコイルが採用される(図16参照)。
【0278】
また、実施例9−7の鎮痛部材の誘電率及び透磁率を電磁波の周波数(GHz)との関係において調べたところ、図16にて示すような誘電率及び透磁率が得られた。
【0279】
即ち、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各誘電率は、それぞれ、3.56、2.31及び3.36であった(図16参照)。また、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各透磁率は、それぞれ、0.62、0.42及び0.04であった(図16参照)。
【0280】
このような実施例9−7にいう鎮痛貼付材を、5個準備して5名の被験者A〜Eの各痛み部位に貼付して観察した。ここで、各被験者A、B、C、D及びEは、実施例9−6の場合の各被験者と同様である。
【0281】
そして、5名の被験者A〜Eについて観察した結果は、次の通りである。即ち、被験者Aは、実施例9−7の鎮痛貼付材の貼付後、患部に金属アレルギー反応を発生したため、貼付を中止した。(図16にて符号AR参照)。被験者Bは、実施例9−7の鎮痛貼付材の貼付によっては、肩こりの緩和を感じなかった(図16にて×印参照)。被験者Cは、実施例9−7の鎮痛貼付材の貼付によって、肩凝りの緩和を良好に感じた(図16にて◎印参照)。被験者Dは、実施例9−7の鎮痛貼付材の貼付によって、一応の鎮痛効果を感じる程度であった(図16にて○印参照)。また、被験者Eは、実施例9−7の鎮痛貼付材の貼付によって、肩凝りの緩和を感じた(図16にて○印参照)。
【0282】
実施例9−8:
この実施例9−8も、鎮痛貼付材Shと同様の構成を有するが、当該実施例9−8の鎮痛部材の磁性粉末鎮痛層において、磁性粉末のうちのパーマロイとしては、40(wt%)のP81ηが採用される(図16参照)。ここで、P81ηは、40(wt%)のパーマロイP81に微量のZn及び酸化していない微量のCuを添加剤ηとして添加したものである。また、当該実施例9−8の鎮痛部材のコイル鎮痛層において、カーボンマイクロコイルとしては、53(μm)〜90(μm)の範囲内のコイル長及び7(wt%)を有するカーボンマイクロコイルが採用される(図16参照)。
【0283】
また、実施例9−8の鎮痛部材の誘電率及び透磁率を電磁波の周波数(GHz)との関係において調べたところ、図16にて示すような誘電率及び透磁率が得られた。
【0284】
即ち、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各誘電率は、それぞれ、2.27、1.82及び2.82であった(図16参照)。また、0.1(GHz)、1(GHz)及び10(GHz)の各電磁波に対して、各透磁率は、それぞれ、0.62、0.40及び0.05であった(図16参照)。
【0285】
このような実施例9−8にいう鎮痛貼付材を、6個準備して6名の被験者A〜Fの各痛み部位に貼付して観察した。ここで、各被験者A、B、C、D及びEは、実施例9−6の場合の各被験者と同様である。また、被験者Fは、膝に筋肉痛を有する60代女性である。従って、被験者Fの痛み部位は膝である。
【0286】
そして、6名の被験者A〜Fについて観察した結果は、次の通りである。即ち、被験者Aは、実施例9−7の鎮痛貼付材の貼付によっても、金属アレルギーもなく、患部の鎮痛効果も最高に感じた(図16にて◎印参照)。被験者Bは、実施形態9−7の鎮痛貼付材の貼付直後から、患部の痛みの緩和を良好に感じた(図16にて◎印参照)。被験者Cは、実施例9−7の鎮痛貼付材の貼付によって、肩凝りの大きな緩和を感じた(図16にて◎印参照)。被験者Dは、実施例9−7の鎮痛貼付材の貼付によって、腰の痛みの大きな軽減を感じ、かつ楽に立てるようになった(図16にて◎印参照)。被験者Eは、実施例9−7の鎮痛貼付材の貼付後、すぐに、肩凝りの消滅を感じた(図16にて◎印参照)。また、被験者Fは、登山で歩けない程膝に痛みを感じていたが、実施例9−7の鎮痛貼付材の貼付後、半日で回復し、膝の痛みの消滅を感じた(図16にて◎印参照)。
【0287】
以上のような試験結果によれば、鎮痛効果は、実施例9−8の方が、金属アレルギーもなく、他の実施例9−1〜9−7よりも平均的に良好であることが分かる。これは、透磁率が比較的高く、かつ誘電率も高いことに起因すると推測される。
(第10実施形態)
次に、本発明を適用した鎮痛貼付材の第10実施形態について説明する。この第7実施形態において、当該鎮痛貼付材は、コイル鎮痛層を、5層、積層して構成されている。
【0288】
ここで、上記コイル鎮痛層は、2(μm)〜5(μm)の範囲以内のコイル径及び90(μm)〜300(μm)の範囲以内のコイル長を有するカーボンマイクロコイルを、シリコン樹脂(信越化学株式会社製KE−103型ポリシリコン)内に添加して、0.5(mm)の厚さ及び20×20(mm2)の矩形状の広さにて形成されている。
【0289】
このように構成した本第10実施形態において、当該鎮痛貼付材は、人体の抜歯後痛み部位に対する頬の対応皮膚部位に絆創膏を用いて貼付されると、当該抜歯後痛み部位の痛みは良好に軽減され得る。
【0290】
ちなみに、本第10実施形態の鎮痛貼付材による痛みの軽減の効果について調べてみた。具体的には、実施例10−1、実施例10−2及び実施例10−3の各鎮痛貼付材を準備して、鎮痛効果について調べてみた。
実施例10−1:
上記第5実施形態における実施例5−1のシート状コイル鎮痛体から、20×20(mm2)の矩形状のコイル鎮痛層を、5枚切り出して、接着材を介して順次積層して、実施例10−1の鎮痛貼付材として作製する。
【0291】
このように作製した鎮痛貼付材を、患者の抜歯後痛み部位に対する頬の対応皮膚部位に絆創膏を用いて貼付した。これにより、上記抜歯後痛み部位の痛みは、当該抜歯後痛み部位内へ貼付後から次第に減少し、30分後には痛みはほとんどなくなった。その後、2日間貼付したままとしたが痛みの再発はなく、また、2日後にこれを取り除いた後も痛みの再発は見られなかった。
実施例10−2:
実施例10−1の鎮痛貼付材を、抜歯治療を行った直後の他の患者の抜歯後痛み部位に対する頬の対応皮膚部位に絆創膏を用いて貼付して観察した。これによれば、当該他の患者の抜歯後痛み部位の痛みは、鎮痛貼付材の貼付後5分経過したときには、貼付前の痛みの1/10程度に軽減した。
実施例10−3:
実施例10−1の鎮痛貼付材を、抜歯治療を行った直後のその他の患者の抜歯後痛み部位に対する頬の対応皮膚部位に絆創膏を用いて貼付して観察した。これによれば、当該その他の患者の抜歯後痛み部位の痛みは、鎮痛貼付材の貼付後5分経過したときには、なくなっていた。
【0292】
なお、上記第10実施形態において、コイル鎮痛層の外形寸法は、20×20(mm2)に限ることなく、例えば、10×10(mm2)であってもよく、上述の抜歯後痛み部位の面積にあわせて設定すればよい。また、コイル鎮痛層の積層数も、5層に限ることなく、適宜変更してもよい。
【0293】
また、上記第10実施形態では、鎮痛貼付材がコイル鎮痛層のみを積層して構成されているが、これに代えて、当該鎮痛貼付層は、上述したコイル磁性粉末鎮痛層とコイル鎮痛層との混合積層でもって構成してもよい。これにより、上記第7実施形態にて述べた作用効果がより一層向上され得る。
(第11実施形態)
次に、本発明を適用した鎮痛シートを、鎮痛貼付材に代えて、第11実施形態として説明する。この第11実施形態では、鎮痛シートが、カーボンマイクロコイル、マンガンフェライト粉末及びパーマロイ粉末を柔軟層に含有してなる鎮痛部材を、ナイロン布上に形成することで構成されている。
【0294】
このように構成した鎮痛シートは、次のようにして製造されている。上記第2実施形態にて述べた7(wt%)のカーボンマイクロコイル、5(wt%)のマンガンフェライト粉末及び5(wt%)のパーマロイ粉末を、上記第2実施形態にて述べたシリコンゴムコンパウンド内に均一に分散してなる混合液を、ロール法により、0.5(mm)のメッシュ間隔を有するナイロン布上に塗布して固化させることで、鎮痛シートとして製造されている。なお、この鎮痛シートは、300×600(mm2)の広さ及び0.5の厚さ有する。
【0295】
このように構成した本第11実施形態によれば、人体を上記鎮痛シート上に寝かせることで、当該人体の痛みが、上記鎮痛シートの鎮痛部材により良好に軽減され得る。
【0296】
ちなみに、上記鎮痛シートの鎮痛効果を調べるために、脊椎の両サイドが非常に凝っており、これまで経皮消炎鎮痛剤、整体、鍼灸などでも全く治らず安眠ができなかった患者に、上記鎮痛シート上にて、仰向けになって休んでもらった。
【0297】
これによれば、当該患者は、その患部にて、上記鎮痛シート上に仰向けになった直後から患部を中心に背中全体が次第に暖かくなるように感じるとともに、凝り状態も和らぎ、10分経過後には、仰向けになる前の痛みの1/10程度まで軽減し、さらに一晩経過したときには、ほぼ完全に凝り状態を解消した。その結果、当該患者は良好に安眠することができた。
(第12実施形態)
次に、本発明を適用した他の鎮痛シートを、鎮痛貼付材に代えて、第12実施形態として説明する。この第12実施形態において、当該他の鎮痛シートは、コイル含有紙と、このコイル含有紙の両面の各々に沿いそれぞれ接合した各保護布とによって構成されている。
【0298】
ここで、上記コイル含有紙は、セルロース系短繊維材料、例えば、パルプからなる柔軟層内に水系においてカーボンマイクロコイルを均一に分散して形成されている(図9参照)。これにより、上記他の鎮痛シートは、通気性に優れた鎮痛シートとして提供される。なお、図17にて、符号5は、カーボンマイクロコイルを示す。
【0299】
このように形成した鎮痛シートは、上記第11実施形態にて述べた鎮痛シートとは異なり、カーボンマイクロコイルをパルプ内に含有しているが、上記第8実施形態と同様の作用効果を達成することができる。なお、上述のセルロース系短繊維材料は、パルプに限ることなく、綿或いはミクロフィブリル等であってもよい。
【0300】
また、カーボンマイクロコイルに加えて、上述した磁性粉末をもパルプ内に分散して、鎮痛シートとして形成してもよい。
(第13実施形態)
次に、本発明を適用した鎮痛下着を、鎮痛貼付材に代えて、第13実施形態として説明する。
【0301】
当該鎮痛下着は、カーボンマイクロコイルをポリエチレンテレフタレート樹脂の溶液中に添加して均一に分散して、紡糸を形成し、この紡糸を紡織して縫製することで、通気性に優れたものとして形成されている(図18参照)。ここで、当該鎮痛下着において、各カーボンマイクロコイルは繊維軸方向に均一に配向している。なお、図18にて符号6は、カーボンマイクロコイルを示す。
【0302】
これによれば、当該鎮痛下着を着用しているだけで、人体の痛みが、カーボンマイクロコイルの電磁波の吸収ないし抑制作用に基づき、良好に軽減され得る。
【0303】
なお、ポリエチレンテレフタレート樹脂に限ることなく、カーボンマイクロコイルを、アクリル、ウレタン或いはケラチン等の樹脂の溶液中に添加して均一に分散して、紡糸としてもよい。
【0304】
また、鎮痛下着に限ることなく、ブラジャーその他の肌着類、手袋、靴下或いは帽子等を鎮痛肌着類、鎮痛手袋、鎮痛靴下或いは鎮痛帽子等として形成するようにしてもよい。また、膝用サポーター、肘用サポーター、腰用サポーター等の各種のサポーターを、同様に、鎮痛サポーターとしてもよい。
【0305】
なお、本発明の実施にあたり、上記各実施形態に限ることなく、次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)本発明の実施にあたり、カーボンマイクロコイルは、あらゆる種類とあらゆる大きさのカーボンマイクロコイルであってもよいが、基本的には、カーボンマイクロコイルの形状が、3次元の螺旋構造(ソレノイド状コイル構造)であれば、以下に述べるようなどのようなカーボンマイクロコイルであってもよい。
【0306】
まず、カーボンマイクロコイルの寸法において、カーボンマイクロコイルを構成する炭素繊維の直径は、数十nm〜数μmの範囲内にあり、カーボンマイクロコイルのコイル径は、数十nm〜数百μmの範囲内にあり、また、カーボンマイクロコイルのコイル長は、数十nm〜数十mmの範囲内にあればよい。但し、カーボンマイクロコイルとしては、数百nm〜数十μmの範囲内のコイル径を有し、かつ、数十μm〜数mmのコイル長を有する寸法のカーボンマイクロコイルが好ましい。
【0307】
また、カーボンマイクロコイルの種類としては、次のようなカーボンマイクロコイルが挙げられる。
【0308】
・as−grown型のカーボンマイクロコイル(合成して得られたままのカーボンマイクロコイルで特別な処理が施されていないもの)
・高温熱処理を施してグラファイト化されたカーボンマイクロコイル
・汎用のPAN系或いはピッチ系の炭素繊維から形成される3次元状のヘリカル/螺旋構造のカーボンマイクロコイル
・高温拡散処理法或いは化学気相成長法(CVD法)により、種々の金属やセラミックスを表面にコーティングしたカーボンマイクロコイル
・特に、フェライト或いはパーマロイ等の磁性材料を、高温拡散処理法或いは化学気相成長法(CVD法)により、表面にコーティングしたカーボンマイクロコイル
但し、以上のカーボンマイクロコイルのうち、as−grown型のカーボンマイクロコイル、或いは磁性材料を表面にコーティングしたカーボンマイクロコイルが好ましい。
【0309】
また、カーボンマイクロコイルの形状としては、以下の形状が挙げられる。
【0310】
・デオキシリボ核酸(DNA)と同様の二重へリックス構造を有する二重巻きカーボンマイクロコイル
・タンパク質と同様のα−へリックス(シングルへリックス)構造を有する一重巻きカーボンマイクロコイル
・炭素繊維が捻れた形状のツイスト型カーボンマイクロコイル
但し、以上のカーボンマイクロコイルの形状のうち、二重巻きカーボンマイクロコイルの形状が好ましい。
(2)また、本発明の実施にあたり、カーボンマイクロコイルに代えて、カーボンナノコイル、カーボンナノチューブ或いはフラーレンを採用してもよく、一般的には、炭素繊維製3次元体を採用してもよい。なお、カーボンマイクロコイルのコイル径がμmの単位のオーダーであるのに対し、カーボンナノコイルは、nmの単位のオーダーのコイル径を有する点を除き、カーボンマイクロコイルと実質的に同じである。
(3)本発明の実施にあたり、カーボンマイクロコイル10aの柔軟層10bに対する添加量は、上記第1実施形態にて述べた添加量に限ることなく、人体の痛みの原因や強度或いは部位等に応じて、適宜変更してもよい。
(4)本発明の実施にあたり、上記第1実施形態にて述べた鎮痛部材10の形成に際しては、上記第1実施形態にいう製造方法においてカーボンマイクロコイルを均一に分散させた液状ポリシリコンを、布、不織布或いは和紙等の上にドクターブレード法等により塗布して、鎮痛部材10として形成するようにしてもよい。
(5)本発明の実施にあたり、上記各実施形態にて述べた鎮痛貼付材は、直方体形状に限ることなく、円板形状、楕円板形状や三角板形状等の種々の形状に形成してもよい。
(6)本発明の実施にあたり、コイル鎮痛層や磁性粉末鎮痛層を積層するに際しては、上層側ほど、外径を小さくするようにしてもよい。
(7)本発明の実施にあたり、鎮痛貼付材の横断面方向寸法は、貼付部位や貼付面積は、必要に応じて、適宜変更してもよく、痛み部位が複数近接する場合には、個々の痛み部位に合わせて、小さくしてもよく、或いは、複数の痛み部位の全体に貼付し得るように大きくしてもよい。
(8)本発明の実施にあたり、コイル鎮痛層及び磁性粉末鎮痛層を交互に積層するに際しては、最外層をコイル鎮痛層とし、他の層の組み合わせを、コイル鎮痛層と磁性粉末鎮痛層との組み合わせ、コイル鎮痛層同士の組み合わせ、或いは磁性粉末鎮痛層同士の組み合わせにしてもよい。
(9)本発明の実施にあたり、コイル鎮痛層及び磁性粉末鎮痛層のいずれが皮膚側に位置するように鎮痛貼付材を構成してもよいが、コイル鎮痛層が最外層側に位置するように、鎮痛貼付材を構成する方が、鎮痛効果が高い。
(10)本発明の実施にあたり、鎮痛部材内のカーボンマイクロコイルや磁性粉末の分散状態は、上記実施形態にて述べたように均一でなくてもよい。カーボンマイクロコイルや磁性粉末は、鎮痛部材の周辺部内には多く(或いは少なく)分散し、中央部内には少なく(或いは多く)分散するようにしてもよい。なお、痛み部位が一カ所に集中している場合には、当該一カ所において、カーボンマイクロコイルや磁性粉末がより多く分散していることが、鎮痛効果を高く感じ得る点で望ましい。
(11)本発明の実施にあたり、多層構造の各鎮痛部材内におけるカーボンマイクロコイルや磁性粉末の添加量は、鎮痛部材毎に異なっていてもよく、同一であってもよい。例えば、鎮痛部材のうち皮膚に近いコイル鎮痛層或いは磁性粉末鎮痛層ほど、カーボンマイクロコイルや磁性粉末の添加量を多く(或いは少なく)し、皮膚に遠い程コイル鎮痛層或いは磁性粉末鎮痛層ほど、少なく(或いは多く)してもよい。
(12)本発明の実施にあたり、鎮痛貼付材の粘着層30を廃止して、鎮痛部材の柔軟層に剥離層40を直接剥離可能に接合し、鎮痛貼付材の剥離層40とは反対側の面に接着材により絆創膏を接着するようにしてもよい。これによれば、痛み部位に絆創膏を接着することで、当該鎮痛貼付材を貼付するようにしてもよい。
(13)本発明の実施にあたり、鎮痛貼付材は、上記各実施形態とは異なり、鎮痛部材と、この鎮痛部材の人体の皮膚側の面に保護層を接着し、鎮痛部材の皮膚側とは反対側の面に接着材或いは接着材により絆創膏を貼着して構成してもよい。この場合、当該鎮痛貼付材は、保護層にて人体の痛み部位に接触するように、鎮痛部材を介して当該人体の痛み部位を覆うように絆創膏を当該人体の皮膚の痛み部位の周りに貼付すればよい。これによっても、剥離層を廃止しつつ、上記各実施形態と同様の作用効果を達成することができる。なお、この場合、保護層も不要であれば廃止してもよい。
(14)本発明の実施にあたり、鎮痛貼付材は、剥離層の剥離のもとに、人体の痛み部位に直接貼付するのではなく、人体の着用肌着のうち上記痛み部位に対する対応部位にその表面側から貼付するというように、上記痛み部位に対し間接的に貼付するようにしてもよい。これによっても、上述したカーボンマイクロコイルから生ずる電磁波が、上記着用肌着を通して上記痛み部位の波動を吸収ないし抑制して、上述と同様に、痛み部位の痛みが良好に軽減され得る。
(15)本発明の実施にあたり、カーボンマイクロコイルは、柔軟層に含有するのではなく、柔軟性材料からなる薄膜状袋体や例えば薄紙状の袋体等の柔軟体内或いは例えば2枚の薄紙等の柔軟体に挟持するようにして内包するようにしてもよい。
(16)また、本発明の実施にあたり、上述した添加剤は、上記実施形態にて述べたものに限ることなく、一般的には、イオン化傾向を有する金属(Cr、Sn及びPbを除く)であればよい。
【符号の説明】
【0311】
A…吸汗布、B…鎮痛部材、C…絆創膏、10、70、90、210…コイル鎮痛層、
10a、100a、210a…カーボンマイクロコイル、
10b、50a,60a、100c、200b、210b、230b…柔軟層、
10c、100b、220a…磁性粉末、
20、20a…保護層、30、30a…接着層、40、40a…剥離層、
50、100…コイル磁性粉末鎮痛層、60、80、220…磁性粉末鎮痛層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末状の炭素繊維製3次元体を柔軟体に内包してなる鎮痛部材。
【請求項2】
粉末状の炭素繊維製3次元体を柔軟層内に含有してなる鎮痛部材。
【請求項3】
磁性粉末を前記粉末状の炭素繊維製3次元体とともに前記柔軟層内に分散して含有してなることを特徴とする請求項2に記載の鎮痛部材。
【請求項4】
粉末状の炭素繊維製3次元体を柔軟層内に含有してなる3次元体鎮痛層と、磁性粉末を柔軟層内に含有してなる磁性粉末鎮痛層とを、それぞれ、少なくとも1層ずつ積層してなる鎮痛部材。
【請求項5】
前記3次元体鎮痛層を2層とし、前記磁性粉末鎮痛層を1層として、当該1層の磁性粉末鎮痛層を前記2層の3次元体鎮痛層の間に介装するように積層してなることを特徴とする請求項4に記載の鎮痛部材。
【請求項6】
前記粉末状の炭素繊維製3次元体は粉末状のカーボンマイクロコイルであり、前記磁性粉末は、パーマロイの粉末及びフェライトの粉末のうち少なくともパーマロイの粉末からなることを特徴とする請求項5に記載の鎮痛部材。
【請求項7】
前記磁性粉末は、前記パーマロイの粉末及びフェライトの粉末のうち少なくともパーマロイの粉末に加え、イオン化傾向を有する金属の粉末を添加剤として添加してなることを特徴とする請求項6に記載の鎮痛部材。
【請求項8】
前記炭素繊維製3次元体は、カーボンマイクロコイル、カーボンナノコイル或いはカーボンナノチューブのうちの少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の鎮痛部材。
【請求項9】
前記柔軟層は、天然ゴム、柔軟性シリコンゴム、シリコンゲル、柔軟性シリコン樹脂、柔軟性ウレタン樹脂、柔軟性エポキシ樹脂或いは熱可塑性エラストマー等の柔軟性材料からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の鎮痛部材。
【請求項10】
前記磁性粉末は、パーマロイ、フェライト、軟磁性金属、軟磁性合金及び高透磁率合金の各粉末の少なくとも1種からなることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つに記載の鎮痛部材。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1つに記載の鎮痛部材を備える鎮痛貼付材。
【請求項12】
前記鎮痛部材の厚さ方向一側面に沿い設けられる保護層と、
この保護層を介し前記鎮痛部材に対向するように前記保護層に沿い設けられる接着層と、
この接着層を介し前記保護層に対向するように前記接着層に沿い剥離可能に接合される剥離層とを備えることを特徴とする請求項11に記載の鎮痛貼付材。
【請求項13】
前記鎮痛部材と、この鎮痛部材と分離してなるパッチ部材とを備えることを特徴とする請求項11に記載の鎮痛貼付材。
【請求項14】
前記鎮痛部材の厚さ方向一側面に沿い設けられる保護層と、
前記鎮痛部材にその厚さ方向他側面側から貼着されて前記保護層の両側へ帯状に延出する絆創膏とを備えることを特徴とする請求項11に記載の鎮痛貼付材。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図2】
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【図7】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−46702(P2011−46702A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171841(P2010−171841)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(592104025)
【出願人】(509218146)株式会社CMC総合研究所 (2)
【出願人】(392014748)宮坂ゴム株式会社 (5)
【Fターム(参考)】