説明

鎮静および鎮痛システムを操作する方法

【課題】認可され適切な訓練を受けた臨床医のみにシステムの操作を許可するコンピュータ支援IV薬剤注入投与デバイスの提供。
【解決手段】鎮静および鎮痛システムと一体化された安全システムを備える。ユーザによるアクセスを制限およびモニタし、デバイスの不適切な使用を防止する安全ユーザインタフェース、または他の安全手段と結合されたコンピュータ支援IV薬剤注入投与デバイスを備える。また、デバイスに対して様々なアクセスレベルを設け、異なるユーザがシステムの操作に対して異なるアクセスレベルを有することができるようにする。様々なアクセスレベルにより薬剤送出システムの偶発的なまたは意図的な誤用を防止する一方で、必要な機能に対するアクセスを許可する。薬剤送出に関連する使用統計および処置事象等のデータは、ユーザの個人識別情報に関連して記録され、訓練の必要性の特定とアクセス情報の誤用の可能性の特定に役立ててもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の背景]
発明の分野
本発明は、包括的には安全システムに関し、特に医療デバイスの操作に関連する安全システムに関する。
【0002】
[関連出願に対する相互参照]
本願は、米国特許法第119条(e)項に基づき、2002年5月16日付で出願された米国仮特許出願第60/378,058号明細書「User Authorization System and Method for a Sedation and Analgesia System」(参照により本明細書中に援用される)の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
痛みを伴う、不快なあるいは怖い(不安をかき立てる)医療または外科的処置を受ける患者に、鎮静、鎮痛、および/または記憶消失(amnestic)薬を安全に、免許を受けた麻酔担当者(anesthesia provider)がいるか否かに関わらず過剰投薬の危険性を減らす方法で受け取る手段を提供するために鎮静および鎮痛システムが開発されてきた。麻酔機器に伴う可能性のある考え得る故障モードの数を減らすことにより、鎮静および鎮痛システムは、病院および外来環境において安全に使用されるようになってきており、例えば有資格の麻酔看護婦、訓練を受けた医師、または他の免許のあるオペレータといった訓練を受けた麻酔科医以外の個人が操作することができる。鎮静および鎮痛システムは、鎮静および鎮痛が有益である全ての処置に麻酔担当医を賄うかまたは麻酔担当医の予定を組むことができないオフィスを拠点とする開業医の麻酔の必要性に応じるところまできた。これらの目的を専用とする鎮静および鎮痛システムの出現が、これらの個人に、麻酔機器に必要とされる場合がある手作業および認知的な負担を減らしながら、尚も「臨床医が最も良く知っている」という理念に従って最終的な意思決定の責任を臨床医に委ねる患者モニタリングシステムと一体化された薬剤送出システムを提供する。麻酔機器に関連する多くの手作業を減らすことで、外来環境に麻酔担当医がいなくても鎮静および鎮痛システムを操作することができるようになり、費用に対し効果の高い、簡単に利用できる鎮静手段を患者に提供する。
【0004】
しかし、鎮静および鎮痛システムの操作が比較的簡単であることは、適切な訓練を受けていない臨床医による不適切な使用につながる可能性がある。鎮静および鎮痛システムは、麻酔医でない開業医による効率的で簡単な使用のために設計されているが、このようなシステムは依然として、患者に対して使用する前に適切な訓練が必要であるほどには十分に複雑である。鎮静および鎮痛システムは、効率的で簡単に操作できるシステムとなるように設計されているため、訓練を受けていない臨床医が、正式な訓練を受けていないにもかかわらず、このようなシステムを患者に対して使用したくなる可能性がある。このように資格のない人物が鎮静および鎮痛システムを使用した場合、患者は大きな危険に晒される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6807965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
鎮静および鎮痛システムの不正使用の可能性は、このようなシステムにアクセスできる娯楽目的の薬剤使用者にもある。公認された医療処置中に患者に薬物を過剰投与することを防ぐように設計されているため、娯楽目的の薬剤使用者は、鎮静および鎮痛システムを用いれば麻薬および/または他の違法薬剤を安全に自己投与することが可能であると思ってしまう可能性がある。システムをこのような目的で用いた場合、違法薬剤の中毒、または鎮静および鎮痛システムの薬物動態モデルによって作用および濃度が解明されていない薬剤の使用に起因する過剰投与による大変有害な結果が生じる可能性がある。したがって、認可され適切な訓練を受けた臨床医のみにシステムの操作を許可する鎮静および鎮痛システムに対する必要性が生じている。
【0007】
鎮静および鎮痛システムの長期に渡る誤用は、訓練を受けた者によるものであっても、重篤な合併症を患者に生じる可能性がある。このようなユーザは、鎮静および鎮痛システムにアクセスできるかもしれないが、鎮静および鎮痛を伴う処置中に患者の安全を保証するだけの訓練や経験が不足している。したがって、ユーザの個人情報ならびに重要なシステム(critical system)または患者の症状の発現の有無を記録して、鎮静および鎮痛システムに対するアクセスを許可する上でさらなる訓練がユーザに必要かどうかを確かめる鎮静および鎮痛システムに対する必要性が生じている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[発明の概要]
本発明は、鎮静および鎮痛システム用の安全デバイスとその方法を提供することによって、上記の自動薬剤注入デバイスの欠点を解決する。本発明は、ユーザによるアクセスを制限およびモニタして、デバイスの不正または不適切な使用を防止することができる安全ユーザインタフェース、または他の安全手段と結合されたコンピュータ支援IV薬剤注入投与デバイスを含む。
【0009】
本発明の目的は、認可され適切な訓練を受けた臨床医のみにシステムの操作を許可するコンピュータ支援IV薬剤注入投与デバイスを提供することである。デバイスに対して様々なアクセスレベルを設け、異なるユーザがシステムの操作に対して様々なアクセスレベルを有することができるようにすることによって、さらにアクセスを制御することができる。
【0010】
本発明のさらなる目的は、ユーザの個人情報ならびに重要なシステムまたは患者の症状の発現あるいは重要な事象(critical incident)の有無を記録して、鎮静および鎮痛システムに対するアクセスを許可するか、または保留する上でさらなる訓練がユーザに必要かどうかを確かめる鎮静および鎮痛システムを提供することである。
【0011】
1実施形態において、本発明は、システムを操作する前に個人識別番号(PIN)、指紋、音声コマンド、データカード、またはバイオメトリック(biometric)データ等の他の識別手段を提供するようユーザに要求する、送出デバイスのユーザインタフェースに組み込まれた安全プロンプトを用いる。認可された(authorized)識別エントリに関連するデータは、送出デバイスに内蔵されたメモリデバイスに格納される。認識されていない人員のアクセス情報がシステムに供給された場合、システムの薬剤送出機能は無効のままにすることができる。
【0012】
本発明はまた、異なるタイプのユーザに関連付けられる複数の安全レベルを組み込んでもよい。例えば、保守のみに必要な範囲に対して1つのアクセスレベルを付与することができ、臨床医による使用にはより高いアクセスレベルを付与することができる。管理目的のアクセスも実行可能である。様々なアクセスレベルにより、薬剤送出システムの偶発的なまたは意図的な誤用を防止する一方で、必要な機能に対するアクセスを個別設定する(tailor)ことができる。
【0013】
薬剤送出に関連する使用統計および処置事象等のデータは、ユーザの個人識別情報に関連付けられて記録されてもよい。このような記録データは、訓練の必要性の特定、品質保証目的およびアクセス情報の誤用の可能性の特定に役立てるために用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による鎮静および鎮痛システムの1実施形態の概略ブロック図である。
【図2】本発明による安全プロンプトの1実施形態を示す図である。
【図3】本発明による、鎮静および鎮痛システムと一体化された安全システムの使用方法の1実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[本発明の詳細な説明]
図1は、ユーザインタフェース12、ソフトウェア制御のコントローラ14、周辺機器15、電源16、外部通信10、患者インタフェース17、および薬剤送出部(drug delivery)19を有する鎮静および鎮痛システム22を含む本発明の1実施形態を示すブロック図を示し、鎮静および鎮痛システム22はユーザ13によって、患者18に鎮静および/または鎮痛をもたらすように操作される。鎮静および鎮痛システム22は、1999年6月3日付で出願された同一出願人に譲渡された(commonly assigned)同時係属中の米国特許出願第09/324,759号明細書(その全体が参照により本明細書中に援用される)において開示され実施可能にされている。ユーザインタフェース12の実施形態は、2002年11月1日付で出願された同一出願人に譲渡された同時係属中の米国特許出願第10/285,689号明細書(その全体が参照により本明細書中に援用される)において開示され実現可能にされている。
【0016】
米国特許出願第09/324,759号明細書の鎮静および鎮痛システムは、患者に結合されて、患者の少なくとも1つの生理的状態を反映する信号を生成するようになっている患者健康モニタデバイスと、1つまたは複数の薬剤を患者に供給する薬剤送出コントローラと、少なくとも1つのモニタされる患者の生理的状態の安全なおよび望ましくないパラメータを反映する安全データセットを格納するメモリデバイスと、患者健康モニタ、薬剤送出コントローラ、および安全データセットを格納するメモリデバイスの間で相互接続される電子コントローラとを備え、上記電子コントローラは上記信号を受信し、それに応答して、安全データセットに従って薬剤の投与を管理する。
【0017】
図2は安全プロンプト30の1実施形態を示し、この安全プロンプト30はユーザインタフェース12に組み込まれてもよい。ユーザインタフェース12は、ユーザ13が鎮静および鎮痛システム22とインタフェースすることを可能にする任意の適切な手段、例えばタッチセンシティブスクリーン、ソフトボタン、ハードボタン、および/または部分的あるいは完全な音声起動システム等とすることができる。安全プロンプト30はテキストボックス31を備えてもよく、テキストボックス31は、ユーザ13に、鎮静および鎮痛システム22に対するアクセスを許可するには適切な認可された識別情報を入力しなければならないことを示すことができる任意のテキストおよび/またはアイコン情報を含む。例えば、個人識別番号(PIN)安全システムを鎮静および鎮痛システム22に実装した場合、テキストボックス31には「PINを入力してください」と書かれていてもよい。安全プロンプト30はさらにデータディスプレイ32を備えてもよく、データディスプレイ32は、ユーザ13が入力した認可された識別情報を示す任意のテキストおよび/またはアイコン情報とすることができる。例えば、PIN安全システムの場合、データディスプレイ32は、ユーザ13が入力した全ての数字に対してアスタリスク(*)を示して、文字が入力されたことをユーザ13に示すと同時に、プロンプト30が見える所にいる他の個人に対してユーザ13の識別情報のプライバシーを維持してもよい。データディスプレイ32はさらに、「入力データ(data entered)」という語句のようなテキストディスプレイか、または、例えば入力された実際のデータのディスプレイ、入力されたデータの記号表現、および/または安全プロンプト30にデータが入力された場合に入力完了したデータ入力に関連する表示のような、任意の他の適切なテキストおよび/またはアイコンを含んでもよい。データディスプレイ32はさらにオーディオコンポーネントを含んでもよく、オーディオ信号は、入力ボタン33の押下、認可されたユーザ情報の正確な入力、または任意の他の適切な理由により開始されてもよい。ボタン33はまた、押下されるとユーザに触覚フィードバックを与えて、ボタンが押下されたことをユーザに分かるようにしてもよい。
【0018】
安全プロンプト30の入力ボタン33は、タッチボタン、ソフトボタン、ハードボタン、または安全データを入力する任意の他の適切な手段であってもよい。本発明の1実施形態において、安全プロンプト30は、10個の入力ボタン33に0〜9の数字が順番に並べられた複数の入力ボタン33を備え、ユーザ13は、任意数の入力ボタン33の任意の適切な組み合わせである個人識別番号を入力するように要求される。入力ボタン33はさらに、テキスト、大文字・小文字を区別する(case specific)テキスト、アイコン、および/または任意の適切な数字の組み合わせを含んでもよい。安全プロンプト30はさらにエンター(enter)ボタン35を備え、エンターボタン35はユーザ13によって押されるかまたは他の方法で始動されてPINの入力を確認することができる。安全プロンプト30はさらにキャンセルボタン34を備え、キャンセルボタン34は、ユーザ13が自分のPIN番号の入力を誤った場合に、ユーザ13によって押されるかまたは他の方法で始動されることができる。個人識別番号等の認可されたユーザ識別情報(identification)を入力するようユーザ13に要求することによって、訓練を受けていない臨床医、娯楽目的の薬剤使用者、または他の認可されていない個人がアクセスを得てシステムを誤用することのできる可能性を減らす。本発明のシステムの他の実施形態は英数字ボタン33を含んで、ユーザ13によって入力される安全情報をPINよりも複雑であるか、あるいはユーザに覚え易いものとすることができるようにしてもよい。
【0019】
本発明はさらに、安全プロンプト30に無効なPINが入力された場合にエラープロンプト(図示せず)を提供してもよく、この場合、ユーザ13は、PINまたは他の適切な個人識別情報を再入力するよう要求される可能性がある。各ユーザの認可されたPINエントリは、システムに事前にプログラムされてもよく、各ユーザは、システムへのアクセスを許可されると、自分のPINを変更することができる。認可されたPINエントリに関連するデータはコントローラ14において、ハードドライブ、フラッシュディスク、スーパーディスク、または他の適切なデータ記憶デバイスに格納されてよい。認可されたPINエントリは無線通信を介して、例えば鎮静および鎮痛システム22に組み込まれた無線イーサネット(登録商標)等によって鎮静および鎮痛システム22に送信されることができる。認可されたPINエントリはまた、例えばRS−232またはイーサネット(登録商標)接続等の有線ラインを介して鎮静および鎮痛システム22に送信されることができる。
【0020】
本発明の1実施形態において、鎮静および鎮痛システム22は複数の安全レベルを含み、個人は、保守アクセス、臨床医アクセス、管理アクセス、または鎮静および鎮痛システム22に対する他の適切なアクセスレベルの認可を受けることができる。例えば、保守アクセスに対応するPINエントリは、ユーザ13が基本的なシステムの特徴にアクセスして、鎮静および鎮痛システム22の機能を確認することを許可しながらも、薬剤送出部19への薬剤バイアル(drug vial)の挿入または他の機能は許可しないことができる。保守要員や他のグループに限定的なアクセスのみを与えることによって、認可されていない個人がシステムを誤用する可能性をさらに減らす。臨床医は例えば、鎮静および鎮痛システム22の薬剤送出機能へのアクセスは許可されるものの、PIN認証または他の管理特徴といった機能へのアクセスは与えられなくてもよい。臨床医が認証コード(authorization code)にアクセスすること、および認証コードを入力および/または変更可能であることを拒否することにより、鎮静および鎮痛システム22の偶発的なまたは意図的な誤用を防止することができる。管理者は、認証コードへのアクセスを与えられるものの、鎮静および鎮痛システム22の、薬剤送出および/または患者18のケアに関連する特徴へのアクセスは与えられなくてもよい。
【0021】
本発明はさらに、鎮静および鎮痛システム22の使用に関連する一般データを格納することを含み、このデータは、ユーザ13の個人識別番号と関連して格納されてもよい。データは、フラッシュディスク、スーパーディスク、ハードドライブに格納されてもよく、格納のためにサーバに送信されてもよく、あるいは任意の他の適切な方法で格納されてもよい。格納されたデータは、ユーザ13による継続使用時間、ユーザ13が鎮静および鎮痛システム22にアクセスした回数、ユーザ13が鎮静および鎮痛システム22にアクセスした時刻、薬剤投与に関連する情報、否定的な処置事象(negative procedural event)に関連する情報、または鎮静および鎮痛システム22の誤用が起きたかどうかを確認するための任意の他の適切なデータに関連するものであってもよい。鎮静および鎮痛システム22の使用に関連する記録データは、何回かのシステムの機能不全(system failure)または重要な事象が一人のユーザに起因する場合に、さらなる訓練が必要なそのユーザを特定することにも役立つ可能性がある。
【0022】
本発明はさらに、例えば網膜スキャナ、指紋スキャナ、バイオメトリックスキャナ、音声認識システム、または磁気帯識別カードシステムといった任意の適切な安全デバイスを鎮静および鎮痛システム22に組み込むことを含んで、システム22の機能を実施するためのユーザ権限を確認してもよい。さらに、複数の安全デバイスの任意の適切な組み合わせが本発明に合致する。
【0023】
図3は、本発明による方法100の1実施形態を示し、本方法100は開始ステップ101を含む。本発明の1実施形態において、開始ステップ101は、ユーザ認証安全システムと一体化された鎮静および鎮痛システムを提供すること、および一体型鎮静および鎮痛システム22に電力を供給することを含む。ユーザ認証安全システムは、PIN認証システム、網膜スキャナ、指紋スキャナ、磁気帯識別カードシステム、および/または任意の他の適切なユーザ認証システムであってもよい。開始ステップ101に続いて、方法100はステップ103に進むことができる。
【0024】
本発明の1実施形態において、ステップ103は安全プロンプト30を開始することを含み、安全プロンプト30はユーザインタフェース12に表示されてもよい。安全プロンプト30のさらなる実施形態は、網膜スキャンもしくは指紋スキャンを行うようユーザ13に要求する、PINを入力するようユーザ13に要求する、および/または識別カードスキャナで識別カードをスキャンするようユーザ13に要求してもよい。安全プロンプト30はさらに、ユーザ13がアクセスを得たかどうか、およびユーザが鎮静および鎮痛システム22に対してどのアクセスレベルを得たかを示してもよい。ステップ103の後、方法100はステップ104に進むことができる。
【0025】
本発明の1実施形態において、ステップ104は、ユーザ13が鎮静および鎮痛システム22に自身のユーザ識別情報を入力することを含む。ユーザ13の入力は、ユーザ13が網膜スキャンを行うこと、指紋スキャンを行うこと、PINを入力すること、識別カードを通すこと、および/または認証のための個人識別情報を入力する任意の他の適切な手段を含む。ユーザ13が個人識別情報を入力すると、方法100はクエリ105に進むことができる。
【0026】
クエリ105は、ユーザ13が入力した個人識別情報が鎮静および鎮痛システム22に対するアクセスを許可された人の個人情報と一致するかどうかをコントローラ14が判定することを含む。コントローラ14はさらに、ユーザ13に付与されたアクセスレベル(例えば保守アクセス、臨床医アクセス、または管理アクセス等)を判定してもよい。認可された個人識別情報はコントローラ14において、フラッシュディスク、スーパーディスク、ハードドライブ、または任意の他の適切な記憶手段の形態で格納されてもよい。本発明の1実施形態において、鎮静および鎮痛システム22はイントラネットおよび/またはエクストラネットに接続され、ユーザ識別情報は遠隔地から認証されてもよい。ユーザ13の入力はまた課金目的に用いられてもよく、ユーザ13は鎮静および鎮痛システム22を使用する毎に課金されてもよい。例えば、ユーザ13は鎮静および鎮痛システム22を操作する資格のある認可された臨床医であるが、保守、使用、ソフトウェア、または他の料金が支払われていない場合、ユーザ13は、鎮静および鎮痛システム22に対するアクセスを拒否されるか、あるいはアクセスが拒否された理由についての説明を提示されてもよい。
【0027】
ユーザ13の個人識別情報が鎮静および鎮痛システム22に格納されたデータと一致しない場合、方法100は終了ステップ107に進むことができる。本発明の1実施形態において、終了ステップ107は、鎮静および鎮痛システム22を電源オン状態にするかまたは維持しつつ、患者モニタリングおよび薬剤送出部19の機能を無効にすることを含む。終了ステップ107は、鎮静および鎮痛システム22の機能を無効にして、ユーザ13が患者18をモニタするかまたは患者18に薬剤を供給することを防いでもよい。終了ステップ107はさらに、鎮静および鎮痛システム22の電源を完全に停止することを含む。
【0028】
ユーザ13の個人識別情報が鎮痛および鎮静システム22に格納されたデータと一致する場合、方法100はステップ106に進むことができる。ステップ106は、本発明の1実施形態において、ユーザ13の個人識別情報によって示されるユーザ13の認証レベルと一致する鎮静および鎮痛システム22の機能に対するアクセスをユーザ13に提供することを含む。例えば、ユーザ13がPINを入力すると、コントローラ14は、ユーザ13に保守アクセスの権限のみがあることを判定する。その場合、鎮静および鎮痛システム22はその機能を、保守人員に関係する機能のみに制限する。ユーザ13が鎮静および鎮痛システム22にアクセスして作業を終えると、方法100は終了ステップ107に進むことができる。
【0029】
本発明の例示的な実施形態を本明細書に示し説明してきたが、かかる実施形態は例としてのみ提供されることは当業者には明らかであろう。本出願人により本明細書中に開示された本発明の範囲から逸脱しない多数の産業上の変形形態、変更、および置換は、当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、許可される特許請求項の精神および範囲によってのみ限定されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鎮静および鎮痛システムを操作する方法であって、
前記鎮静および鎮痛システムは、1つまたは複数の薬剤を供給する薬剤送出コントローラを有する薬剤送出デバイスを備え、前記薬剤送出コントローラは、前記薬剤の送出を制御する電子コントローラに結合され、
前記鎮静および鎮痛システムは、少なくとも1つの患者健康モニタデバイスを備え、前記患者健康モニタデバイスは、患者の少なくとも1つの生理的状態を反映する値を生成するとともに、前記電子コントローラに結合される
鎮静および鎮痛システムを操作する方法において、
前記方法は、安全システムに認可されたユーザの個人識別情報を入力して、それにより前記鎮静および鎮痛システムの操作を可能にするとともに前記鎮痛および鎮静システムの不正な使用を制限するステップを含み、当該ステップにおいて、前記鎮痛および鎮静システムに対する管理アクセスは、薬剤送出および/または患者ケアに関連する前記鎮痛および鎮静システムの機能に対するアクセスから分離可能である
鎮静および鎮痛システムを操作する方法。
【請求項2】
特定の個人識別情報を受け入れるように前記安全システムを事前にプログラミングするステップをさらに含む請求項1に記載の鎮静および鎮痛システムを操作する方法。
【請求項3】
前記個人識別情報に関連するデータは、前記鎮静および鎮痛システムに関連付けられる、請求項2に記載の鎮静および鎮痛システムを操作する方法。
【請求項4】
前記個人識別情報は、個人識別番号、網膜スキャン、指紋、バイオメトリックスキャン、音声認識コマンド、および磁気帯識別カードのうちの少なくとも1つである請求項3に記載の鎮静および鎮痛システムを操作する方法。
【請求項5】
前記個人識別情報は、無線通信を介して前記鎮静および鎮痛システムへ送信される請求項3に記載の鎮静および鎮痛システムを操作する方法。
【請求項6】
前記安全システムは、前記鎮静および鎮痛システムの様々な機能に対するアクセスを許可する複数の安全レベルを含む請求項3に記載の鎮静および鎮痛システムを操作する方法。
【請求項7】
前記複数の安全レベルは、保守アクセスレベル、管理アクセスレベル、および臨床医アクセスレベルを含む請求項6に記載の鎮静および鎮痛システムを操作する方法。
【請求項8】
前記鎮静および鎮痛システムの使用に関連する一般データが、前記ユーザの前記認可された識別情報に関連して記録される請求項3に記載の鎮静および鎮痛システムを操作する方法。
【請求項9】
前記一般データは、前記ユーザによる継続使用時間、前記ユーザが前記鎮静および鎮痛システムにアクセスした回数、前記ユーザが前記鎮静および鎮痛システムにアクセスした時刻、薬剤投与に関連する情報、否定的な処置事象に関連する情報のうちの少なくとも1つを含む請求項8に記載の鎮静および鎮痛システムを操作する方法。
【請求項10】
前記一般データはシステムの機能不全を含み、前記データに関連する前記ユーザの訓練の必要性を特定できるようになっている請求項8に記載の鎮静および鎮痛システムを操作する方法。
【請求項11】
前記薬剤送出デバイスを患者に接続するステップと、
前記少なくとも1つの患者健康モニタデバイスを患者に取り付けるステップと、
前記薬剤を送出するステップと
をさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の鎮静および鎮痛システムを操作する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−176679(P2010−176679A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25799(P2010−25799)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【分割の表示】特願2004−505118(P2004−505118)の分割
【原出願日】平成15年5月16日(2003.5.16)
【出願人】(502451904)スコット・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (16)
【氏名又は名称原語表記】SCOTT LABORATORIES, INC.
【住所又は居所原語表記】2804 N. Loop 289, Lubbock, Texas 79415, United States of America
【Fターム(参考)】