説明

鏡像異性的に富化した環式β−アリール又はヘテロアリールカルボン酸の調製方法

本発明は、下記スキーム(式I,II)[式中、Xは、−C(R)(R’)−、−N(R”)−、−O−、−S(O)−、C(O)N(R”)、−N(R”)C(O)−又は−C(O)−であり;R及びR’は、互いに独立して、水素、C1−7−アルキル、C1−7−アルキル(ハロゲン、C1−7−アルコキシ、ヒドロキシ又は−(CH−Arで置換されている)であり;R”は、水素、C1−7−アルキル、ハロゲンで置換されているC1−7−アルキル、−S(O)−C1−7−アルキル、−S(O)−Ar、−S(O)−NRR’、−(CH−Ar、−C(O)−C1−7−アルキル、−C(O)−Ar、−C(O)−NRR’又は−C(O)O−C1−7−アルキルであり;Arは、アリール又はヘテロアリールであり;nは、0、1、2又は3であり;mは、0、1、2又は3であり;oは、0、1又は2であり;pは、0、1又は2である]に従うエナンチオ選択的水素化による高いジアステレオ選択性及び高いエナンチオ選択性のシス置換環式β−アリール又はヘテロアリールカルボン酸誘導体ならびにそれらの対応する塩を調製する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下記スキーム:
【0002】
【化7】


[式中、
Xは、−C(R)(R’)−、−N(R”)−、−O−、−S(O)−、C(O)N(R”)、−N(R”)C(O)−又は−C(O)−であり;
R及びR’は、互いに独立して、水素、C1−7−アルキル、C1−7−アルキル(ハロゲン、C1−7−アルコキシ、ヒドロキシ又は−(CH−Arで置換されている)であり;
R”は、水素、C1−7−アルキル、ハロゲンで置換されているC1−7−アルキル、−S(O)−C1−7−アルキル、−S(O)−Ar、−S(O)−NRR’、−(CH−Ar、−C(O)−C1−7−アルキル、−C(O)−Ar、−C(O)−NRR’又は−C(O)O−C1−7−アルキルであり;
Arは、アリール又はヘテロアリールであり;
nは、0、1、2又は3であり;
mは、0、1、2又は3であり;
oは、0、1又は2であり;
pは、0、1又は2である]
に従うエナンチオ選択的水素化による高いジアステレオ選択性及び高いエナンチオ選択性のシス置換環式β−アリール又はヘテロアリールカルボン酸誘導体ならびにそれらの対応する塩を調製する方法に関する。
【0003】
本発明のさらなる目的は、上記の方法で調製した式Iの新規化合物である:
(+)−(3R,4R)−4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル及び
(−)−(3S,4S)−4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル、
(−)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル及び
(+)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル、
(−)−4−o−トリル−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル及び
(+)−4−o−トリル−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル、
(+)−4−(3−メトキシ−フェニル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル、
(+)−4−フェニル−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル及び
(−)−4−フェニル−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル
(+)−3−フェニル−ピペリジン−1,4−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル及び
(−)−3−フェニル−ピペリジン−1,4−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル、
(−)−2−フェニル−シクロペンテンカルボン酸及び
(+)−2−フェニル−シクロペンテンカルボン酸、
(+)−(3R,4R)−4−(フェニル)−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル及び
(−)−(3S,4S)−4−(フェニル)−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル、
(−)−4−(4−クロロ−フェニル)−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル及び
(+)−4−(4−クロロ−フェニル)−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル、
(+)−4−(3−フルオロ−フェニル)−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル及び
(−)−4−(3−フルオロ−フェニル)−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル、
(3R,4R)−1−ベンジル−4−フェニル−ピロリジン−3−カルボン酸及び
(3RS,4RS)−1−ベンジル−4−フェニル−ピロリジン−3−カルボン酸、
(−)−2−フェニル−シクロオクタンカルボン酸、
(+)−4−フェニル−テトラヒドロ−チオフェン−3−カルボン酸及び
(−)−4−フェニル−テトラヒドロ−チオフェン−3−カルボン酸。
【0004】
式Iの化合物は、薬学的に活性な化合物、特に中枢神経系疾患の処置のために使用し得る化合物の調製のための出発物質又は中間体として使用することができる。
【0005】
用語「アリール」は、芳香族一価の単−又は多−炭素環基、例えば、フェニル又はナフチル、好ましくはフェニルなどを指し、これらは、場合により独立して、C1−7−アルキル、ヒドロキシ、C1−7−アルコキシ、ハロゲンで置換されている−O−C1−7−アルキル、−O−ベンジル、−OC(O)−C1−7−アルキル、−OC(O)−フェニル、ハロゲン、ハロゲンで置換されているC1−7−アルキル、シアノ、アミノ、モノ−又はジ−C1−7−アルキルアミノ、−NHC(O)−C1−7−アルキル、−NHC(O)−フェニル、−S(O)−アミノ、−S(O)−モノ−もしくはジ−C1−7−アルキルアミノ、−S(O)−C1−7−アルキル、ハロゲンで置換されている−S(O)−C1−7−アルキル、ニトロ、−C(O)OH、−C(O)−O−C1−7−アルキル、ハロゲンで置換されている−C(O)−O−C1−7−アルキル、−C(O)−O−フェニル、−C(O)−C1−7−アルキル、ハロゲンで置換されている−C(O)−C1−7−アルキル、−C(O)−アミノ、−C(O)−モノ−もしくはジ−C1−7−アルキルアミノ、又は−C(O)−NH−フェニル等による1つ以上の置換基で置換されていてよい。
【0006】
用語「ヘテロアリール」は、一価の複素環5員又は6員の芳香族基(ここで、ヘテロ原子はN、O又はSから選択される)、例えば、基:チオフェニル、インドリル、ピリジニル、ピリミジニル、イミダゾリル、ピペリジニル、フラニル、ピロリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、ベンゾ[1.3]ジオキソリル、ベンゾ{b}チオフェニル又はベンゾトリアゾリルなどを意味し、これらは、場合により独立して、C1−7−アルキル、ヒドロキシ、C1−7−アルコキシ、ハロゲンで置換されている−O−C1−7−アルキル、−O−ベンジル、−OC(O)−C1−7−アルキル、−OC(O)−フェニル、ハロゲン、ハロゲンで置換されているC1−7−アルキル、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−7−アルキルアミノ、−NHC(O)−C1−7−アルキル、−NHC(O)−フェニル、−S(O)−アミノ、−S(O)−モノ−もしくはジ−C1−7−アルキルアミノ、−S(O)−C1−7−アルキル、ハロゲンで置換されている−S(O)−C1−7−アルキル、ニトロ、−C(O)OH、−C(O)−O−C1−7−アルキル、ハロゲンで置換されている−C(O)−O−C1−7−アルキル、−C(O)−O−フェニル、−C(O)−C1−7−アルキル、ハロゲンで置換されている−C(O)−C1−7−アルキル、−C(O)−アミノ、−C(O)−モノ−もしくはジ−C1−7−アルキルアミノ、又は−C(O)−NH−フェニル等による1つ以上の置換基で置換されていてよい。
【0007】
一般式(I)のシス置換環式β−アリール又はヘテロアリールカルボン酸誘導体の合成は、ほとんど文献に記述していない。その理由は、式(II)の化合物の四置換二重結合を触媒的水素化に付することに躊躇があるためと思われる。
【0008】
本発明に記述した均一なエナンチオ選択的水素化の方法は、式(II)の化合物を式(I)の化合物に還元するための実行可能な方法を提供する。その還元は、かなり経済的に、より少ない工程で、穏和な条件下で高収率で行うことができる。さらに、後続の反応工程において、いかなる追加の精製工程も必要とせずに、粗中間生成物を大抵は使用することができる。
【0009】
この種の変換に関する文献には例が報告していない(J. M. Brown in E. N. Jacobsen, A. Pfaltz, H. Yamamoto, Comprehensive Asymmetric Catalysis, Vol I, p. 163 ff., Springer 1999)。この変換の均一触媒は、高いジアステレオ−(すなわちシス/トランス比)及びエナンチオ−(すなわちR,R/S,S比)選択性を達成するために比較的穏和な条件下で活性であるべきである。鏡像異性的に高度に富化されたシス配置された式(I)の酸から、トランス構造を有する対応する酸もまた、中心αをカルボン酸官能基へエピマー化することで容易に入手できる。
【0010】
環式β−アリール又はヘテロアリール置換α、β−不飽和カルボン酸IIを、シス置換環式β−アリール又はヘテロアリールカルボン酸誘導体Iへと、エナンチオ選択的に直接還元することは、以前には文献で全く記述されていなかった。I型の鏡像異性的に純粋な酸の合成は、Bioorg. Med. Chem. Lett. 1998, 8, 2495に記述されている。記述した合成経路は、本発明と比較して3つの大きな欠点を抱えている:
1)II型の酸のエステル誘導体を、IのRACEMICエステルへと水素化し、これを注意深く制御した条件下でRACEMCI酸Iへと連続的にけん化した。キラルアミンで塩を形成した後、ジアステレオ異性の塩は結晶化により分離することができた。純粋な鏡像異性体を酸による処理で生成した。本発明者らの直接的なエナンチオ選択的水素化と比較して、この手法は単調で、少なくとも3段階の工程を加える必要があり、そのジアステレオ異性塩の形態で鏡像異性体を分離する際に少なくとも50%の材料が喪失することからアトムエコノミカルであるとはいえない。
2)RACEMICシス−エステルのけん化には問題があり、材料の喪失をもたらすトランス−エステル又は酸への部分的エピマー化を引き起こす可能性がある。
3)Bioorg. Med. Chem. Lett. 1998, 8, 2495に記述した方法は一般的ではない:水素化条件下で、還元の影響を受け易いインドールなどのPd/C芳香族基、又は例えばニトロ、塩素、臭素もしくはヨウ素置換基などの芳香環上の官能基を使用することは通常、許容外である。塩素、臭素又はヨウ素は通常、該条件下で水素により置き換えられる。均一なパラジウム錯体を使用する、本発明に記載の反応条件は当該還元可能基に適合する。
【0011】
以下のスキームにはBioorg. Med. Chem. Lett. 1998, 8, 2495に記載されている通常の公知の手法を示している:
【0012】
【化8】

【0013】
環式β−アリール又はヘテロアリール置換α、β−不飽和カルボン酸IIのエナンチオ選択的水素化は、鏡像異性的に富化したシス置換環式β−アリールカルボン酸誘導体Iを直接得る唯一の方法である。
【0014】
シス置換型はトランス型より熱力学的に不安定であることから、当該化合物Iに対する合成手段は概して特に困難である。したがって平衡化条件下での合成手法は通常、シス/トランス混合体又は主にトランス型のいずれかを生じる。実際には、鏡像異性的に富化したシス置換環式β−アリール又はヘテロアリールカルボン酸誘導体Iのカルボキシル基に対するキラル中心αのトランス異性体IVへの選択的エピマー化は、下記のように効果的に行う:
【0015】
【化9】

【0016】
上記式中、Rは、C1−7アルキル又はベンジルであり、Arは、アリール又はヘテロアリールである。
【0017】
有利には、アリール又はヘテロアリール基を有するカルボン酸官能基に対する立体中心βの立体化学的統合性は、エピマー化の際に保存されている。したがって、本明細書記載の酸IIのエナンチオ選択的水素化は、鏡像異性的に富化したまたは純粋な形態での環式β−アリール又はヘテロアリールカルボン酸及びそれらの誘導体のすべての可能な立体異性体、すなわちシス置換酸I及びそれらの誘導体、ならびにトランス置換エステルIV及び酸Vならびにそれらの誘導体が得られるという点で独自性がある。
【0018】
式I又はVのキラル鏡像異性的に富化した又は純粋な化合物及びそれらの誘導体は、例えばさまざまな薬学的活性化合物の調製のための中間体又は出発物質として大変興味深い。
【0019】
フィデュキソシン(ABT−980)、α1a−アドレナリン受容体拮抗薬、良性前立腺肥大の処置のためのAbbotでの開発化合物、Organic Process Research & Development 2004, 8, 897-902及び本明細書に引用した参考文献。
合成経路:
【0020】
【化10】

【0021】
メラノコルチン−4受容体アゴニスト、肥満処置用。Bioorg. Med. Chem. Lett. 2003, 13, 4431 & 2005, 15, 4023 (Merck Sharp & Dohme):
【0022】
【化11】

【0023】
メラノコルチン−4受容体アゴニスト、肥満処置用。国際公開第02068388号;J. Org. Chem. 2005, 70, 3592 (Merck Sharp & Dohme):
【0024】
【化12】

【0025】
ケモカイン受容体CCR5アンタゴニスト、ウイルス感染症処置用。Bioorg. Med. Chem. Lett. 2004, 14, 941 (Merck Sharp & Dohme):
【0026】
【化13】

【0027】
ケモカイン受容体CCR5アンタゴニスト、ウイルス感染症処置用。Bioorg. Med. Chem. Lett. 2001, 11, 1437 (Merck Sharp & Dohme):
【0028】
【化14】

【0029】
因子Xa阻害剤、抗血栓剤として。Bioorg. Med. Chem. Lett. 1999, 9, 1195 (DuPont):
【0030】
【化15】

【0031】
市販の選択的セロトニン再取り込み阻害剤パロキセチン、うつ状態及び不安処置用。パロキセチンの調製用方法:国際公開第0129031号:
【0032】
【化16】

【0033】
ドーパミン及びノルエピネフリン取り込み阻害剤(+)−CPCA、コカイン依存症及び渇望治療に有用な可能性がある。The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 2003, 305, 143:
【0034】
【化17】

【0035】
タキキニン受容体アンタゴニスト、下部尿路機能障害、消化器疾患又は中枢神経系疾患のための有用な予防薬又は治療薬となる可能性がある。国際公開第2005068427:
【0036】
【化18】

【0037】
デュアルニューロキニン−1受容体アンタゴニスト及び選択的セロトニン再取り込み阻害剤、例えばうつ状態及び/又は不安処置に有用。米国特許第20060020011号:
【0038】
【化19】

【0039】
エナンチオ選択的水素化のための出発物質IIの合成手段は、容易に入手可能なβ−ケトエステルVIIから簡単に行える。当該化合物VIIは多数市販されている。化合物VIIはまた、テトラヒドロフランなどの好適な溶媒中、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、リチウムアルコキシド、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、又は水素化ナトリウムなどの添加剤と一緒に又はなしに、好適な塩基、例えばリチウムジイソプロピルアミド、ヘキサメチルジシラザンリチウム、アルキルリチウムを使用し、その後カルボキシレート部分の供給源、例えばクロロギ酸アルキルもしくはクロロギ酸ベンジル、又は炭酸アルキルもしくは炭酸ベンジルを使用して、ケトンVIの連続処理により、ケトンVIから簡単な手法で調製することも可能である。β−ケトエステルVIIは、水素化ナトリウムなどの塩基及びN−フェニルトリフルオロメタンスルホンイミドなどのトリフラート化剤での処理によりトリフラートVIIIに変換することが可能である。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどの好適なパラジウム触媒を使用して、例えばハロゲン化アリール亜鉛又はアリールボロン酸もしくはエステルなどのアリール化剤をトリフラートVIIIとカップリングさせると、通常の手法で酸IIへとけん化されるエステルIXが得られる。
【0040】
出発物質の合成
【0041】
【化20】

【0042】
上記式中、Rは、C1−7−アルキル又はベンジルであり、Arは、アリール又はヘテロアリールであり、Xは、−C(R)(R’)−、−N(R”)−、−O−、−S(O)−、C(O)N(R”)、−N(R”)C(O)−又は−C(O)−であり;R及びR’は、互いに独立して、水素、C1−7−アルキル、ハロゲンで置換したC1−7−アルキル、C1−7−アルコキシ、ヒドロキシ又は−(CH−Arであり;R”は、水素、C1−7−アルキル、ハロゲンで置換したC1−7−アルキル、S(O)−C1−7−アルキル、S(O)−Ar、S(O)−NRR’、−(CH−Ar、−C(O)−C1−7−アルキル,−C(O)−Ar、−C(O)−NRR’又は−C(O)O−C1−7−アルキルであり;n及びmは、互いに独立して、0、1、2又は3であり;oは、0、1又は2であり;pは、0、1又は2である。
【0043】
上記の例で説明したとおり、X=NR”である酸I及びVは、例えば薬学的活性成分の合成用の先駆体として特に興味深い。1−ベンジル−3−オキソ−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステルならびに1−ベンジル−4−オキソ−ピペリジン−3−カルボン酸メチルエステル及びエチルエステルは市販されており、かくして酸II[式中、X=NR”及びn=1及びm=2又はn=2及びm=1である]の合成のための最も好都合な出発物質VII−1である。実用的な理由から、例えばスキーム2に記載したように、N−保護基をベンジルからtertブトキシカルボニル(BOC)に変更することは有利である可能性がある。
【0044】
【化21】

【0045】
上記式中、Rは、C1−7−アルキル又はベンジルであり、Arは、アリール又はヘテロアリールであり、m、nは、互いに独立して、1、2又は3である。
【0046】
酸II−2又は酸II−3[式中、n及びm=1である]は、代替的にスキーム3に記述した経路を介して調製してよい:アリール−プロピン酸エステルXIを、反応条件下でインサイツにて形成したアゾメチンイリドで双極性2+3環化付加するとXからIX−2が導かれ、これを通常の手法で直接に酸II−2にけん化するか、又は保護基の変化及びけん化の後、II−3に変換するかのいずれか可能である。
【0047】
【化22】

【0048】
上記式中、Rは、C1−7−アルキル又はベンジルであり、Arは、上記で定義したとおりである。
【0049】
酸II−4は、スキーム4に記述した経路を介して調製する:チオールXIVをホスホン酸エステルXVIで双極性3+2環化付加すると、チオフェンXVIIができ、これを通常の手法で直接、酸II−4にけん化する。
【0050】
【化23】

【0051】
本発明は詳細に以下のように記述することができる:
【0052】
出発物質
【0053】
【化24】

【0054】
四置換酸IIは、例えば以下であり得る:
2−アリール/ヘテロアリール−シクロペンタ−1−エンカルボン酸、
4−アリール/ヘテロアリール−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−カルボン酸、
4−アリール/ヘテロアリール−2,5−ジヒドロ−フラン−3−カルボン酸、
4−アリール/ヘテロアリール−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−カルボン酸、
1,1−ジオキソ−4−アリール−2,5−ジヒドロ−1H−1λ−チオフェン−3−カルボン酸、
2−アリール/ヘテロアリール−シクロヘキシル−1−エンカルボン酸、
4−アリール/ヘテロアリール−1,2,5,6−テトラヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸、
5−アリール/ヘテロアリール−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−カルボン酸、
4−アリール/ヘテロアリール−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−3−カルボン酸、
5−アリール/ヘテロアリール−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−4−カルボン酸、
4−アリール/ヘテロアリール−5,6−ジヒドロ−2H−チオピラン−3−カルボン酸、
5−アリール/ヘテロアリール−3,6−ジヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボン酸、
1,1−ジオキソ−4−アリール/ヘテロアリール−1,2,5,6−テトラヒドロ−1λ−チオピラン−3−カルボン酸、
1,1−ジオキソ−5−アリール/ヘテロアリール−1,2,3,6−テトラヒドロ−1λ−チオピラン−4−カルボン酸、
1−オキソ−4−アリール/ヘテロアリール−1,2,5,6−テトラヒドロ−1λ−チオピラン−3−カルボン酸、
1−オキソ−4−アリール/ヘテロアリール−2,5−ジヒドロ−1H−1λ−チオフェン−3−カルボン酸、
2−フェニル−シクロヘプタ−1−エンカルボン酸
2−フェニル−シクロオクタ−1−エンカルボン酸、及びそれらの対応する塩。
【0055】
生成物
【0056】
【化25】

【0057】
酸Iは、以下であり得る:
2−アリール/ヘテロアリール−シクロペンタンカルボン酸、
4−アリール/ヘテロアリール−2,5−ジヒドロ−1H−ピロリジン−3−カルボン酸、
4−アリール/ヘテロアリール−テトラヒドロフラン−3−カルボン酸、
4−アリール/ヘテロアリール−テトラヒドロ−チオフェン−3−カルボン酸、
1,1−ジオキソ−4−アリール/ヘテロアリール−テトラヒドロ−1λ−チオフェン−3−カルボン酸、
1−オキソ−4−アリール/ヘテロアリール−テトラヒドロ−1λ−チオフェン−3−カルボン酸、
2−アリール/ヘテロアリール−シクロヘキサンカルボン酸、
4−アリール/ヘテロアリール−ピペリジン−3−カルボン酸、
5−アリール/ヘテロアリール−ピペリジン−4−カルボン酸、
4−アリール/ヘテロアリール−テトラヒドロ−ピラン−3−カルボン酸、
5−アリール/ヘテロアリール−テトラヒドロ−ピラン−4−カルボン酸、
4−アリール/ヘテロアリール−テトラヒドロ−チオピラン−3−カルボン酸、
5−アリール/ヘテロアリール−テトラヒドロ−チオピラン−4−カルボン酸、
1,1−ジオキソ−4−アリール/ヘテロアリール−ヘキサヒドロ−1λ−チオピラン−3−カルボン酸、
1,1−ジオキソ−5−アリール/ヘテロアリール−ヘキサヒドロ−1λ−チオピラン−4−カルボン酸、
1−オキソ−4−アリール/ヘテロアリール−ヘキサヒドロ−1λ−チオピラン−3−カルボン酸、
2−フェニル−シクロヘプタンカルボン酸、
2−フェニル−シクロオクタンカルボン酸、及びそれらの対応する塩。
【0058】
触媒
ルテニウム錯体触媒:
ルテニウム錯体触媒では、ルテニウムは酸化数IIが特徴的である。当該ルテニウム錯体はさらに場合により、中性又はアニオン性のいずれかのリガンドを含むことが可能である。当該中性リガンドの例として、例えばオレフィン、例えばエチレン、プロピレン、シクロオクテン、1,3−ヘキサジエン、ノルボルナジエン、1,5−シクロオクタジエン、ベンゼン、ヘキサメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、p−シメン、又は例えばテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル、アセトン、トルエン及びメタノールなどの溶媒も挙げられる。当該アニオン性リガンドの例として、CHCOO、CFCOO又はハロゲン化物が挙げられる。ルテニウム錯体が荷電している場合、ハロゲン化物、BF、ClO、SbF、PF、B(フェニル)、B(3,5−ジ−トリフルオロメチル−フェニル)、CFSO、CSOなどの非配位アニオンが存在する。
【0059】
当該好適なルテニウム錯体は、例えば以下の式で表すことが可能である:
【0060】
【化26】


[式中、
Zは、ハロゲン又は基A−COOを表し、Aは、低級アルキル、アリール、ハロゲン化低級アルキル又はハロゲン化アリールを表し、Dは、キラルジホスフィンリガンドを表し、Bは、上記で定義した非配位アニオンを表し、Lは、上記で定義した中性リガンドを表し、pは、数1及び2を表し、リガンドは同一でも異なっていてもよく、mは、数1、2又は3を表す]。
【0061】
これらの錯体は、例えばB. Heiserら、Tetrahedron: Asymmetry 1991, 2, 51又はN. Feikenら、Organometallics 1997, 16, 537又はJ.-P. Genet, Acc. Chem. Res. 2003, 36, 908又はK. Mashimaら、J. Org. Chem. 1994, 53, 3064ならびに本明細書に引用した参考文献にしたがって、自体公知の手法で原則的に製造可能である。
【0062】
好都合でかつ好ましくは、ルテニウム錯体は、例えば式:
【0063】
【化27】

【0064】
[式中、
は、ハロゲン又は基A−COOを表し、Aは、低級アルキル又はハロゲン化低級アルキルを表し、Lは、上記で定義した中性リガンドを表し、mは、数1、2又は3を表し、pは、数1又は2を表し、qは、数0又は1を表す]で示される錯体をキラルジホスフィンリガンドと反応させることにより、製造する。mが、数2又は3を表す場合、リガンドは同一でも異なっていてもよい。
【0065】
典型的には、本発明の中で例示したルテニウム触媒は、キラルルテニウムジカルボン酸ジホスフィンの調製に関するM. P. Flemingらが、米国特許第6,545,165(B1)号に記述した方法にしたがって調製可能である。
【0066】
ロジウム錯体触媒:
ロジウム錯体触媒では、ロジウムは酸化数Iが特徴的であり、キラルホスフィンリガンドを含む。当該ロジウム錯体はさらに場合により、中性又はアニオン性のいずれかのリガンドを含むことができる。
【0067】
当該中性リガンドの例として、例えばオレフィン、例えばエチレン、プロピレン、シクロオクテン、1,3−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、ノルボルナジエン(nbd=ビシクロ−[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン)、(Z,Z)−1,5−シクロオクタジエン(cod)、又はロジウムもしくはルテニウムと可溶錯体を容易に形成する他のジエン;ベンゼン、ヘキサメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、p−シメン、あるいは例えばテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル、アセトン、メタノール及びピリジンなどの溶媒も挙げられる。
【0068】
当該アニオン性リガンドの例として、ハロゲン化物又は基A−COOが挙げられ、ここで、Aは、低級アルキル、アリール、ハロゲン化低級アルキル又はハロゲン化アリールを表す。好ましくは、A−COOは、CHCOO又はCFCOOである。ロジウム錯体が荷電しているのであれば、ハロゲン化物、BF、ClO、SbF、PF、B(フェニル)、B(3,5−ジ−トリフルオロメチル−フェニル)、CFSO、CSOなどの非配位アニオンが存在する。
【0069】
ロジウム及びキラルジホスフィンを含む好ましい触媒は、式:
[Rh(キラルジホスフィン)LX]又は[Rh(キラルジホスフィン)L]
[式中、
Xは、Cl、Br又はIなどのハロゲン化物であり、Lは、上記で定義した中性リガンドであり、Aは、オキソ酸のアニオン、又はClO、PF、BRなどの錯酸のアニオンであり;Rは、ハロゲン又はアリール、SbF又はAsFである]で示される。Lが、二重結合を2つ含むリガンド、例えば1,5−シクロオクタジエンであれば、当該Lは、1つだけ存在する。Lが二重結合を1つのみ含むリガンド、例えばエチレンであれば、当該Lは2つ存在する。
【0070】
ロジウム錯体触媒は、例えば、好適な不活性有機溶媒又は水性溶媒中で、例えばジ−η−クロロ−ビス[η−(Z,Z)−1,5−シクロ−オクタジエン]ジロジウム(I)([Rh(cod)Cl])、ジ−μ−クロロ−ビス[η−ノルボルナジエン]−ジロジウム(I)([Rh(nbd)Cl])、ビス[η−(Z,Z)−1,5−シクロオクタジエン]ロジウムテトラ−フルオロボレート([Rh(cod)]BF)又はビス[η−(Z,Z)−シクロオクタジエン]ロジウムペルクロラート([Rh(cod)]ClO)などのロジウム前駆体を、キラルジホスフィンリガンドと反応させることにより(例えばExperimental Chemistry, 4th edition, Vol. 18, Organometallic complexes, pp. 339-344, Ed. Chemical Society of Japan, 1991, Maruzen又はJ. Am. Chem. Soc. 1971, 93, 2397又はE. Jacobsen, A. Pfaltz, H. Yamamoto (Eds.), Comprehensive Aymmetric Catalysis I-III, Springer Verlag Berlin (1999)、及びこれらに引用した参考文献に記載している方法にしたがって)調製することができる。
【0071】
上述したロジウム又はルテニウム錯体触媒は、インサイツで、すなわち使用の直前に単離せずに、調製することも可能である。当該触媒を調製した溶液は、すでにエナンチオ選択的水素化用の基質をすでに含むことが可能であるか、又は水素化反応を開始する直前にその溶液を基質と混合することも可能である。
【0072】
キラルジホスフィンリガンドは、式:(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)又は(16)
【0073】
【化28】

【0074】
[式中、
は、低級アルキルであり;
は、低級アルキルであり;
は、独立して、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又は低級アルキルであり;
は、N(低級アルキル)又はピペリジニルであり;
は、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ又は低級アルキル−C(O)O−であり;
及びR10は、独立して、水素、低級アルキル、低級アルコキシ又はジ(低級アルキル)アミノであるか;あるいは、
同じフェニル基に結合しているR及びR、又は同じフェニル基に結合しているR及びR10、又は両方のRは、一緒になって、−X−(CH−Y−(ここで、Xは、−O−又は−C(O)O−であり、Yは、−O−又は−N(低級アルキル)−であり、nは、1〜6の整数である)又はCF基であるか;あるいは、
及びR、又はR及びR10は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ナフチル、テトラヒドロナフチル又はジベンゾフラン環を形成し;
11及びR12は、独立して、低級アルキル、シクロアルキル、フェニル、ナフチル又はヘテロアリール(低級アルキル、低級アルコキシ、ジ(低級アルキル)アミノ、モルホリノ、フェニル及びトリ(低級アルキル)シリルからなる群より独立して選択される0〜7個の置換基で置換されている)である]で特徴づけられている。
【0075】
11がフェニルであれば、それは上述したように0〜5、好ましくは0〜3個の置換基で置換される。
【0076】
特記のない限り、本明細書の発明を記述するために使用した様々な用語の意味及び範囲を明確にし、定義するために以下の定義を説明する。
【0077】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味し、フッ素、臭素及び塩素が好ましい。
【0078】
用語「低級アルキル」は、独立して又は他の基と組み合わせて、1〜7個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子の分岐又は直鎖一価アルキル基を意味する。この用語はさらに、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、3−メチルブチル、n−ヘキシル、2−エチルブチル等の基が例として挙げられる。好ましい低級アルキル残基は、メチル及びエチルであり、メチルが特に好ましい。
【0079】
用語「ハロゲン化低級アルキル」は、低級アルキル基の少なくとも1つの水素がハロゲン原子、好ましくはフルオロ又はクロロに置き換えられている、上記で定義した低級アルキル基を意味する。好ましいハロゲン化低級アルキル基の中にトリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル及びクロロメチルがある。
【0080】
用語「アルコキシ」は、R’がアルキルである、基R’−O−を意味する。用語「低級アルコキシ」は、R’が上記で定義した低級アルキル基である、基R’−O−を意味する。低級アルコキシ基の例として、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ及びヘキシルオキシが挙げられ、メトキシが特に好ましい。
【0081】
用語「アリール」は、例えばフェニル又はナフチル、好ましくはフェニルなどの芳香族一価の単−又は多−炭素環基を意味し、これらは、場合により独立して、C1−7−アルキル、C1−7−アルコキシ、ハロゲン、ハロゲンで置換されているC1−7−アルキル、シアノ、アジド、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−7−アルキルアミノ、SOH、SO−低級アルキル、ニトロ、C(O)O−C1−7−アルキル、C(O)−モノ−もしくはジ−C1−7−アルキルアミノ、又はヒドロキシ等による1つ以上の置換基によって置換されていてよい。
【0082】
用語「ヘテロアリール」は、一価の複素環5員又は6員の芳香族基(ここで、ヘテロ原子はN、O又はSから選択される)、例えば、基:チオフェニル、インドリル、ピリジニル、ピリミジニル、イミダゾリル、ピペリジニル、フラニル、ピロリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、ベンゾ[1.3]ジオキソリル、ベンゾ{b}チオフェニル又はベンゾトリアゾリルなどを意味し、これらは、場合により独立して、C1−7−アルキル、C1−7−アルコキシ、ハロゲン、ハロゲンで置換されているC1−7−アルキル、シアノ、アジド、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−7−アルキルアミノ、SOH、SO−低級アルキル、ニトロ、C(O)O−C1−7−アルキル、C(O)−モノ−もしくはジ−C1−7−アルキルアミノ、又はヒドロキシ等による1つ以上の置換基によって置換されていてよい。
【0083】
用語「シクロアルキル」は、3〜8個、好ましくは4〜6個の炭素原子の一価炭素環基を意味する。この用語はさらに、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルなどの基が例として挙げられ、シクロペンチル及びシクロヘキシルが好ましい。当該シクロアルキル残基は、場合により独立して、低級アルキルによってか又はハロゲンによってモノ−、ジ−又はトリ−置換されていてよい。
【0084】
より好ましい実施態様では、触媒は、式:Ru(Z)D[式中、キラルジホスフィンは、式:(7)、(9)、(10)又は(12)で特徴づけられており、Zは、CHCOO、CFCOO又は、ハロゲン化物である]で示される。
【0085】
好ましくは、キラルジスホスフィンは(R)及び(S)−鏡像異性体:MeOBIPHEP、BIPHEMP、TMBTP、(2−ナフチル)−MeOBIPHEP、(6−MeO−2−ナフチル)−MeOBIPHEP、2−(チエニル)−MeOBIPHEP、3,5−tBu−MeOBIPHEP、PHANEPHOS、BICP、トリMeOBIPHEP、(R,R,S,S)−マンディホス、BnOBIPHEP、ベンゾイルBIPHEP、pTol−BIPHEMP、tブチルCOOBIPHEP、iPrOBIPHEP、p−フェニル−MeOBIPHEP、pAn−MeOBIPHEP、pTol−MeOBIPHEP、3,5−Xyl−MeOBIPHEP、3,5−Xyl−BIPHEMP、BINAP及び2−フリル−MeOBIPHEP、3,5−Xyl−4−MeO−MeOBIPHEP、2−フリル−MeOBIPHEP、BITIANP、DuanPHos、C2−Tunaphos、f−BINAPHANE、Stylacat 4/1、TOLFER Stylacat 4/2又はStylacat 3/1/1からなる群より選択される。より好ましくは、キラルジホスフィンは、((S)−(6−MeO−2−ナフチル)−MeOBIPHEP、3,5−Xyl−4−MeO−MeOBIPHEP、(S)−2−フリル−MeOBIPHEP又はBITIANPである。これらのキラルジスホスフィンの各々は本発明の好ましい実施態様をそれぞれ構成している。
【0086】
ルテニウム錯体用の溶媒
アルコール、炭化水素、塩素化炭化水素、超臨界二酸化炭素又は液体二酸化炭素、THF又は水。好ましい溶媒はアルコールである。
【0087】
ロジウム錯体用の溶媒
アルカノール、もしくはベンゼン、トルエン、トリフルオロトルエンなどの芳香族炭化水素、もしくはジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、もしくはエチレングリコールなどのポリアルコール、もしくはDMF、DMA、N−メチルピロリジノンなどのアミド、又は超臨界二酸化炭素もしくは液体二酸化炭素、アセトニトリルもしくはDMSO。
【0088】
溶媒は独立して、又は上述した溶媒の混合物として使用してよい。
【0089】
溶媒の濃度は1〜50W%、優先的に5〜20%である。
【0090】
添加剤
塩基:NEt、i−PrNEtなどの第三級アミン、
iPrNHなどの第二級アミン、
CHNH、1−フェニル−ベンジルアミン、(R)又は(S))などの第一級アミン、
エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミンなどのジアミン、
NaOAcなどのカルボン酸の塩、NaOEtなどのアルコラートの塩、又はNaOHの塩。
BuNX(X=F、Cl、Br、I)などの四置換アンモニウム塩。
好ましい添加剤は上述の第三級アミンである。
塩基の量は0.1〜100当量、優先的に0.1〜1.2モル当量の範囲である。最も好ましい範囲は0.15〜1モル当量である。
【0091】
反応条件
気圧:1〜150bar、優先的に10〜100bar
温度:10〜100℃、優先的に20〜80℃
基質/触媒比(s/c):5〜30000、優先的に100〜10000
【0092】
概要
本発明に関して、式(I):
【0093】
【化29】


で示される鏡像異性的に富化した環式β−アリールカルボン酸誘導体及びそれらの対応する塩の調製方法は、式(II):
【0094】
【化30】


[式中、
Xは、−C(R)(R’)−、−N(R”)−、−O−、−S(O)−、C(O)N(R”)、−N(R”)C(O)−又は−C(O)−であり;
R及びR’は、互いに独立して、水素、C1−7−アルキル、C1−7−アルキル(ハロゲン、C1−7−アルコキシ、ヒドロキシ又は−(CH−Arで置換されている)であり;
R”は、水素、C1−7−アルキル、ハロゲンで置換されているC1−7−アルキル、−S(O)−C1−7−アルキル、−S(O)−Ar、−S(O)−NRR’、−(CH−Ar、−C(O)−C1−7−アルキル、−C(O)−Ar、−C(O)−NRR’又は−C(O)O−C1−7−アルキルであり;
Arは、アリール又はヘテロアリールであり;
nは、0、1、2又は3であり;
mは、0、1、2又は3であり;
oは、0、1又は2であり;
pは、0、1又は2である]
で示される化合物及びそれらの対応する塩を、下記:
【0095】
【化31】

【0096】
[式中、
Zは、ハロゲン又は基A−COOであり、Aは、低級アルキル、アリール、ハロゲン化低級アルキル又はハロゲン化アリールであり、Dは、キラルジホスフィンリガンドであり]を含む触媒の存在下において、あるいは下記:
[Rh(キラルジホスフィン)LX]又は[Rh(キラルジホスフィン)L]
[式中、
Xは、Cl、Br又はIであり、Lは、エチレン、プロピレン、シクロオクテン、1,3−ヘキサジエン、ノルボルナジエン、1,5−シクロオクタジエン、ベンゼン、ヘキサメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、p−シメン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル、アセトン又はメタノールからなる群より選択される中性リガンドであり、
Aは、オキソ酸のアニオン、又はClO、PF、BR(ここで、Rは、ハロゲン又はアリールである)、SbFもしくはAsFからなる群より選択される錯酸のアニオンである]を含む触媒の存在下において、触媒均一系でエナンチオ選択的に水素化して該式(I)の化合物を得ることを含む。
【0097】
【化32】

【0098】
グローブボックス内のガラスインサート及び磁気攪拌子を備えたオートクレーブに、式IIの化合物、例えば2−フェニル−シクロヘキサ−1−エン−カルボン酸を、[Ru(OAc)((R)−2−フリル)−MeOBIPHEP]などのルテニウム触媒と共に、添加剤、例えばトリメチルアミン、及びメタノールなどの溶媒と共に入れる。不斉水素化を、40barの水素圧下、20〜80℃で約42時間行う。室温まで冷却した後、オートクレーブの圧を開放し、溶媒を第三ブチルメチルエーテルで希釈し、抽出し、乾燥し、真空濃縮し、式Iの化合物、例えば(−)−2−フェニル−シクロヘキサンカルボン酸を得る。
【0099】
鏡像体過剰(ee)値はキラルGC又はHPLCにより測定した。
【0100】
実験
使用したリガンドの略称の一覧:
【0101】
【表1】




1)これらのリガンドは公知であり、及び/又は特許出願文書、欧州特許第0398132号、国際公開第92/16535号、欧州特許第0104375号又は欧州特許第0580331号に記載の実施例又は方法にしたがって調製可能である。
Benincori, T.; Brenna, E.; Sannicolo, F.; Trimarco, L.; Antognazza, P.; Cearotti, E.; Demartin, F.; Pilati, T. J. Org. Chem. 1996, 61, 6244:に記載の合成及び特徴づけ。
Chiral Quest Inc., Princeton Corporate Plaza, Monmouth Jct., NJ08852, USAから購入可能。
Strem Chemicals Inc. D-77672 Kehlから購入可能。
Chemi S. p. A., Via dei Lavoratori, Cinasello Balsamo, Milano 20092, Italyから購入可能。
Bulliard, Michel; Laboue, Blandine; Roussiasse, Sonia:にしたがった合成。触媒不斉水素化又は異性化用のリガンドとして、光学活性アシルオキシ置換ジホスフィノビフェニルを使用、国際公開第2002012253号 A1。
Phoenix Chemicals, 34 Thursby Road, Croft Business Park, Bromborough, Wirral, Merseyside CH62 3PW, UKから購入可能。
【0102】
エナンチオ選択的水素化:
Iの実施例1
(+)−(3R,4R)−4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル及び
(−)−(3S,4S)−4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル
【0103】
【化33】

【0104】
グローブボックス(O含有量≦2ppm)中で、15mlガラスインサート及び磁気撹拌子を装備した35mlオートクレーブに、4−(4−フルオロ−フェニル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル0.300g(0.934mmol)、[Ru(OAc)((S)−3,5−Xyl−4−MeO)−MeOBIPHEP] 9.67mg(0.00936mmol)、トリエチルアミン15mg(0.16mmol、0.16当量)及びメタノール5mlを仕込んだ。不斉水素化を、水素40bar下、80℃で42時間行なった。室温に冷ました後、圧力をオートクレーブから開放し、メタノール溶液をtert−ブチルメチルエーテル50mlで希釈し、2つの50ml部分の1M 水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。水層を氷に注ぎ、氷−冷2M 塩酸水溶液でpH1に酸性化して、2つの100ml部分の酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、(+)−(3R,4R)−4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステルを収率89%(0.27g)で、及び96.6% eeで得た。
MS m/e(%):322(M−H、100)。
【0105】
ee測定のためのGC方法
ジエチルエーテル中の約0.5M 溶液のジアゾメタン0.5mlを用いて室温で処理することにより、標記化合物のサンプル2mgをメチルエステルに変換した。過剰量のジアゾメタン及びジエチルエーテルを穏やかなアルゴン流下で蒸発した後、残留物を酢酸エチル1mlに溶解した。BGB−175カラム、10m*0.1mm*df 0.1μm、水素 230kPa、分割比 1:300;温度勾配100〜200℃、2℃/分でプログラム;注入器温度200℃、検出器温度210℃。保持時間:46.59分((+)−酸のメチルエステル)、46.76分((−)−酸のメチルエステル)。
【0106】
標記化合物を、そのtrans異性体(−)−(3S,4R)−4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル(IIIの実施例1及びVのIに記載の反応シーケンス)に変換後、以下に記載のように絶対配置を割当てた。
【0107】
同様の方法であるが、6ml、35ml又は185mlのオートクレーブで、表1の反応を実施した。
【0108】
【表2】



【0109】
Iの実施例2
(−)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル及び
(+)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル
【0110】
【化34】

【0111】
グローブボックス(O含有量≦2ppm)中で、機械的撹拌機を装備した185mlオートクレーブに、4−(1H−インドール−3−イル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル1.00g(2.92mmol)、[Ru(OAc)((R)−2−フリル)−MeOBIPHEP] 8.88mg(0.0117mmol)、トリエチルアミン295mg(2.92mmol、1.0当量)及びメタノール20mlを仕込んだ。不斉水素化を、水素40bar下、80℃で42時間行なった。室温に冷ました後、圧力をオートクレーブから開放し、メタノール溶液をtert−ブチルメチルエーテル200mlで希釈し、2つの100ml部分の1M 水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。水層を氷に注ぎ、氷−冷2M塩酸水溶液でpH1に酸性化し、3つの200ml部分の酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、(−)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステルを収率89%で、及び98.8% eeで得た。
MS m/e(%):245(M+H、19)。
【0112】
ee測定のためのHPLC方法
Chiralpak−OD−Hカラム、25cm*4.6mm、1%トリフルオロ酢酸を用いる90%n−ヘプタン及び10%エタノール、流量0.8ml/分、25℃、注入容量0.002ml、222nm。保持時間:(−)−酸 13.4分、(+)−酸 21.6分。
【0113】
同様の方法であるが、6ml又は185mlのオートクレーブで、表2の反応を実施した。
【0114】
【表3】

【0115】
Iの実施例3
(−)−4−o−トリル−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル及び
(+)−4−o−トリル−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル
【0116】
【化35】

【0117】
グローブボックス(O含有量≦2ppm)中で、15mlガラスインサート及び磁気撹拌子を装備した35mlオートクレーブに、4−o−トリル−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル300mg(0.945mmol)、[Ru(OAc)((R)−(2−フリル)−MeOBIPHEP] 7.2mg(0.0094mmol)、トリエチルアミン95.9mg(0.945mmol、1.0当量)及びメタノール6mlを仕込んだ。不斉水素化を、水素40bar下、80℃で42時間行なった。室温に冷ました後、圧力をオートクレーブから開放し、メタノール溶液をtert−ブチルメチルエーテル100mlで希釈し、2つの100ml部分の1M 水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。水層を氷に注ぎ、氷−冷2M 塩酸水溶液でpH1に酸性化して、3つの100ml部分の酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、(−)−4−o−トリル−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステルを収率75%で、及び99.1% eeで得た。酢酸エチル/n−ヘプタンから結晶化して、(−)−4−o−トリル−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステルを>99.9% eeで得た。
MS m/e(%):318(M−H、100)。
[α]=−79.03(c=0.612、CHCl
【0118】
ee測定のためのHPLC方法
Chiralpak−ADHカラム、25cm*4.6mm、1% トリフルオロ酢酸を用いる85% n−ヘプタン+15% エタノール、流量0.7ml/分、20℃、注入容量0.005ml、215nm。保持時間:(−)−酸 8.1分、(+)−酸 8.8分。
【0119】
同様の方法であるが、6ml又は35mlのオートクレーブで、表3の反応を実施した。
【0120】
【表4】



【0121】
Iの実施例4
(+)−4−(3−メトキシ−フェニル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル
【0122】
【化36】

【0123】
グローブボックス(O含有量≦2ppm)中で、ガラスインサート及び磁気撹拌子を装備した6mlオートクレーブに、4−(3−メトキシ−フェニル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル50mg(0.15mmol)、[Ru(OAc)((S)−6−MeO−2−ナフチル)−MeOBIPHEP] 7.7mg(0.0069mmol)、トリエチルアミン17.2mg(0.172mmol、1.15当量)及びメタノール1mlを仕込み、橙色の懸濁液を得た。不斉水素化を、水素40bar下、80℃で66時間行なった。室温に冷ました後、圧力をオートクレーブから開放し、メタノール溶液をtert−ブチルメチルエーテル30mlで希釈して、2つの30ml部分の1M 水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。水層を氷に注ぎ、pH1に氷−冷2M 塩酸水溶液で酸性化し、2つの50ml部分の酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、(+)−4−(3−メトキシ−フェニル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステルを収率80%で、及び96.6% eeで得た。
MS m/e(%):334(M−H、100)。
[α]=+54.27(c=0.387、CHCl
【0124】
ee測定のためのHPLC方法
Chiralcel−OD−Hカラム、25cm*4.6mm、1% トリフルオロ酢酸を用いる90% n−ヘプタン+10% エタノール、流量1ml/分、30℃、0.002ml注入容量、215nm、266nm。保持時間:(−)−酸 8.0分、(+)−酸 11.0分。
【0125】
Iの実施例5
(+)−3−フェニル−ピペリジン−1,4−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル及び
(−)−3−フェニル−ピペリジン−1,4−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル
【0126】
【化37】

【0127】
グローブボックス(O含有量≦2ppm)中で、15mlガラスインサート及び磁気撹拌子を装備した35mlオートクレーブに、5−フェニル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,4−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル400mg(1.32mmol)、[Ru(OAc)((S)−6−MeO−2−ナフチル)−MeOBIPHEP] 14.7mg(0.0131mmol)、トリエチルアミン133.1mg(1.319mmol、1.0当量)及びメタノール8mlを仕込んだ。不斉水素化を、水素40bar下、80℃で66時間行なった。室温に冷ました後、圧力をオートクレーブから開放し、メタノール溶液をtert−ブチルメチルエーテル100mlで希釈して、2つの100ml部分の1M 水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。水層を氷に注ぎ、氷−冷2M 塩酸水溶液でpH1に酸性化し、3つの150ml部分の酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、(+)−3−フェニル−ピペリジン−1,4−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステルを収率100%で、及び98.0% eeで得た。
MS m/e(%):304(M−H、100)。
[α]=+67.17(c=0.636、CHCl
【0128】
ee測定のためのHPLC方法
Chiralpak−IAカラム、25cm*4.6mm、50% n−ヘプタン+50%(90% n−ヘプタン+10% エタノール+0.1% トリフルオロ酢酸)、流量0.8ml/分、25℃、0.002ml注入容量、215nm。保持時間:(+)−酸 11.8分、(−)−酸 12.8分。
【0129】
同様の方法であるが、6ml又は35mlオートクレーブで、表5の反応を実施した。
【0130】
【表5】

【0131】
Iの実施例6
(+)−4−フェニル−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert ブチルエステル及び
(−)−4−フェニル−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert ブチルエステル
【0132】
【化38】

【0133】
グローブボックス(O含有量≦2ppm)中で、15mlガラスインサート及び磁気撹拌子を装備した35mlオートクレーブに、4−フェニル−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル0.300g(0.989mmol)、[Ru(OAc)((R)−2−フリル)−MeOBIPHEP] 3.01mg(0.00396mmol)、トリエチルアミン99mg(0.989mmol、1当量)及びメタノール6mlを仕込んだ。不斉水素化を、水素40bar下、80℃で68時間行なった。室温に冷ました後、圧力をオートクレーブから開放し、メタノール溶液をtert−ブチルメチルエーテル50mlで希釈して、2つの50ml部分の1M 水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。水層を氷に注ぎ、氷−冷2M 塩酸水溶液でpH1に酸性化して、2つの100ml部分の酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、(−)−(4−フェニル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステルを収率(0.28g)93%で、及び97.3% eeで得た。
MS m/e(%):306(M+H、100%)。
[α]=−59.80(c=0.351、CHCl
【0134】
ee測定のためのGC方法
標記化合物のサンプル2mgを、ジエチルエーテル中の約0.5M 溶液のジアゾメタン0.5mlを用いて室温で処理することにより、メチルエステルに変換した。過剰量のジアゾメタン及びジエチルエーテルを穏やかなアルゴン流下で蒸発した後、残留物を酢酸エチル1mlに溶解した。BGB−172カラム、30m*0.25mmdf 0.25μm、水素 150kPa、分割比 1:20;温度勾配 180〜230℃、2℃/分でプログラム;注入器温度 210℃、検出器温度 240℃。保持時間:19.90分((+)−酸のメチルエステル)、20.23分((−)−酸のメチルエステル)。
【0135】
同様の方法であるが、異なるキラル錯体、塩基又は溶媒で、表6の反応を実施した(全て35mlオートクレーブで)。
【0136】
【表6】



【0137】
同様の方法であるが、異なる温度で、異なる反応時間及び水素の様々な圧力の下で、表6.1の反応を実施した。スケール:50mg、S/C=25
【0138】
【表7】

【0139】
Iの実施例7
(+)−4−フェニル−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert ブチルエステル及び
(−)−4−フェニル−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert ブチルエステル
【0140】
【化39】

【0141】
グローブボックス(O含有量≦2ppm)中で、ガラスインサート及び磁気撹拌子を装備した6mlオートクレーブに、[Ru(OAc)(COD)] 2.16mg(0.0066mmol)、(R,Spl,S)−TOLFER Stylacat 4/2(0.00725mmol)6.71mg及びメタノール(1ml)を仕込んだ。対応する触媒溶液を60℃で一晩(合計18時間)加熱し、周囲温度に冷却して、4−フェニル−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル0.05g(0.165mmol)及びトリエチルアミン16.7mg(0.165mmol、1当量)を仕込んだ。不斉水素化を、水素40bar下、80℃で66時間行なった。室温に冷ました後、圧力をオートクレーブから開放し、メタノール溶液をtert−ブチルメチルエーテル30mlで希釈して、2つの30ml部分の1M 水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。水層を氷に注ぎ、氷−冷2M 塩酸水溶液でpH1に酸性化して、2つの50ml部分の酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、(+)−(4−フェニル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステルを収率(0.046g)91%で、及び97.3% eeで得た。
MS m/e(%):306(M+H、100%)。
【0142】
ee測定のためのGC方法
ジエチルエーテル中の約0.5M 溶液のジアゾメタン0.5mlを用いて室温で処理することにより、標記化合物のサンプル2−mgをメチルエステルに変換した。過剰量のジアゾメタン及びジエチルエーテルを穏やかなアルゴン流下で蒸発した後、残留物を酢酸エチル1mlに溶解した。BGB−172カラム、30m*0.25mm*df 0.25μm、水素 150kPa、分割比 1:20;温度勾配 180〜230℃、2℃/分でプログラム;注入器温度 210℃、検出器温度 240℃。保持時間:19.90分((+)−酸のメチルエステル)、20.23分((−)−酸のメチルエステル)。
【0143】
上述の実験と同様であるが、異なるキラル配位子を用いて、表7の反応を実施した。
【0144】
【表8】

【0145】
Iの実施例8
(−)−2−フェニル−シクロヘキサンカルボン酸及び
(+)−2−フェニル−シクロヘキサンカルボン酸
【0146】
【化40】

【0147】
グローブボックス(O含有量≦2ppm)中で、ガラスインサート及び磁気撹拌子を装備した6mlオートクレーブに、2−フェニル−シクロヘキサ−1−エン−カルボン酸50mg(0.25mmol)、[Ru(OAc)((R)−2−フリル)−MeOBIPHEP] 11.1mg(0.00989mmol)、トリエチルアミン24.9mg(0.247mmol、1.0当量)及びメタノール1mlを仕込んだ。不斉水素化を、水素40bar下、80℃で42時間行なった。室温に冷ました後、圧力をオートクレーブから開放し、メタノール溶液をtert−ブチルメチルエーテル30mlで希釈し、2つの30ml部分の1M 水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。水層を氷に注ぎ、氷−冷2M 塩酸水溶液でpH1に酸性化して、2つの50ml部分の酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、(−)−2−フェニル−シクロヘキサンカルボン酸を収率100%で、及び95.1% eeで得た。
MS m/e(%):203(M−H、100)。
[α]=−76.42(c=0.254、CHCl
【0148】
ee測定のためのHPLC方法
Chiralpak−IAカラム、25cm*4.6mm、1% トリフルオロ酢酸を用いる95% n−ヘプタン+5% イソプロパノール、流量0.8ml/分、20℃、0.002ml 注入容量、215nm。保持時間:(+)−酸 7.6分、(−)−酸 8.2分。
【0149】
表8の反応を、上記の手順に従って実施した。
【0150】
【表9】

【0151】
Iの実施例9
(−)−2−フェニル−シクロペンテンカルボン酸及び
(+)−2−フェニル−シクロペンテンカルボン酸
【0152】
【化41】

【0153】
グローブボックス(O含有量≦2ppm)中で、ガラスインサート及び磁気撹拌子を装備した6mlオートクレーブに、2−フェニル−シクロペンタ−1−エンカルボン酸50mg(0.27mmol)、[Ru(OAc)((R)−(2−フリル)−MeOBIPHEP] 8.1mg(0.011mmol)、トリエチルアミン26.8mg(0.266mmol、1.0当量)及びメタノール1mlを仕込んだ。不斉水素化を、水素40bar下、80℃で68時間行なった。室温に冷ました後、圧力をオートクレーブから開放し、メタノール溶液をtert−ブチルメチルエーテル30mlで希釈して、2つの30ml部分の1M 水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。水層を氷に注ぎ、氷−冷2M 塩酸水溶液でpH1に酸性化して、2つの50ml部分の酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、(−)−2−フェニル−シクロペンテンカルボン酸を収率98%で、及び97.1% eeで得た。
MS m/e(%):189(M−H、100)。
[α]=−85.22(c=0.277、CHCl
【0154】
ee測定のためのHPLC方法
Chiralpak−IAカラム、25cm*4.6mm、1% トリフルオロ酢酸を用いる93% n−ヘプタン+7% イソプロパノール、流量 0.8ml/分、20℃、0.002ml 注入容量、215nm。保持時間:(+)−酸 7.2分、(−)−酸 7.8分。
【0155】
表9の反応を上記の手順に従って実施した。
【0156】
【表10】

【0157】
Iの実施例10
(+)−(3R,4R)−4−(フェニル)−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル及び
(−)−(3S,4S)−4−(フェニル)−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル
【0158】
【化42】

【0159】
グローブボックス(O含有量≦2ppm)中で、機械的撹拌機を装備した185mlオートクレーブに、4−(フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロール−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル4.46g(15.4mmol)、[Ru(OAc)((S)−6−MeO−2−ナフチル)−MeOBIPHEP] 173mg(0.154mmol)、トリエチルアミン771mg(7.62mmol、0.5当量)及びメタノール50mlを仕込んだ。不斉水素化を、水素40bar下、80℃で48時間行なった。室温に冷ました後、圧力をオートクレーブから開放し、メタノール溶液をtert−ブチルメチルエーテル200mlで希釈して、2つの200ml部分の1M 水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。水層を氷に注ぎ、氷−冷2M 塩酸水溶液でpH1に酸性化して、3つの300ml部分の酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、(+)−(3R,4R)−4−(フェニル)−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル3.95g(88%)を90.5% eeで得た。シクロヘキサン/酢酸エチル 9:1から結晶化して、(+)−(3R,4R)−4−(フェニル)−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル2.80gを98.4% eeで得た。
MS m/e(%):290(M−H、100)。
[α]=+51.71(c=0.700、CHCl
【0160】
ee測定のためのHPLC方法
ジエチルエーテル中の約0.5M 溶液のジアゾメタン0.5mlを用いて室温で処理することにより、標記化合物のサンプル1-mgをメチルエステルに変換した。過剰量のジアゾメタン及びジエチルエーテルを穏やかなアルゴン流下で蒸発した後、残留物をエタノール1mlに溶解した。Chiralpak−ADHカラム、25cm*4.6mm、93% n−ヘプタン+7% エタノール、流量0.7ml/分、25℃、0.005ml 注入容量、210nm。保持時間:11.3分((−)−酸のメチルエステル)、14.6分((+)−酸のメチルエステル)。
【0161】
絶対配置の割当て
テトラヒドロフラン10ml中の(+)−(3R,4R)−4−(フェニル)−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル(300mg、1.03mmol、98.4% ee)及びトリエチルアミン(167mg、1.65mmol)の溶液に、イソブチルクロロホルマート(211mg、1.54mmol)を−10℃で加えた。30分間後、テトラヒドロフラン6ml中の2−メルカプトピリジン N−オキシド(275mg、2.16mmol)及びトリエチルアミン(223mg、2.20mmol)の溶液を加えた。添加が完了した後、反応混合物を室温に温め、暗闇で3時間撹拌した。濾過してテトラヒドロフラン 2−メチル−1−プロパンチオール(1.02g、11.3mmol)15mlで洗浄した後、混合物を照射下、高圧水銀ランプで20時間撹拌した。2M 水酸化ナトリウム水溶液でクエンチした後、混合物を3つの部分のtert−ブチルメチルエーテルで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、減圧下で濃縮した。残留物を高真空中でKugelrohr蒸留により精製して、(R)−3−フェニル−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル206mg(81%)を得た。
MS m/e(%):248(M+H、10)。
[α]=+13.52(c=0.192、ジクロロメタン)
Lit.: A. I. Meyers, L. Snyder, J. Org. Chem. 1993, 58, 36。[α]=+10.3(c=1.03、ジクロロメタン)
【0162】
メタノール中の塩酸の1.25M 溶液4.5ml中の(R)−3−フェニル−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(140mg、0.566mmol)の溶液を、40℃で2時間撹拌した。溶媒を蒸発した後、残留物をtert−ブチルメチルエーテルと2M 水酸化ナトリウム水溶液の混合物に溶解した。混合物を3つの部分のtert−ブチルメチルエーテルで抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させて、減圧下で濃縮した。残留物を高真空中でKugelrohr蒸留により精製して、(R)−3−フェニル−ピロリジン51mg(61%)を得た。
MS m/e(%):148(M+H、100)。
[α]=−22.32(c=0.408、EtOH)
Lit.: C.C. Tseng et al. Chem. Pharm. Bull. 1977, 25, 166。(S)鏡像異性体
[α]=+22.7(c=2.36、EtOH)
【0163】
同様の方法であるが、6ml又は35mlのオートクレーブで、表10の反応を実施した。
【0164】
【表11】

【0165】
Iの実施例11
(−)−4−(4−クロロ−フェニル)−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル及び
(+)−4−(4−クロロ−フェニル)−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル
【0166】
【化43】

【0167】
グローブボックス(O含有量≦2ppm)中で、ガラスインサート及び磁気撹拌子を装備した6mlオートクレーブに、4−(4−クロロ−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロール−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル50mg(0.154mmol)、[Ru(OAc)((R)−2−フリル)−MeOBIPHEP] 4.7mg(0.0062mmol)、トリエチルアミン15.4mg(0.154mmol、1.0当量)及びメタノール1mlを仕込んだ。不斉水素化を、水素40bar下、80℃で42時間行なった。室温に冷ました後、圧力をオートクレーブから開放し、メタノール溶液をtert−ブチルメチルエーテル30mlで希釈して、2つの30ml部分の1M 水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。水層を氷に注ぎ、氷−冷2M 塩酸水溶液でpH1に酸性化して、2つの50ml部分の酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、(−)−4−(4−クロロ−フェニル)−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステルを収率80%で、及び98.3% eeで得た。
MS m/e(%):324(M−H、100)。
[α]=−50.37(c=0.326、CHCl
【0168】
ee測定のためのHPLC方法
Chiralpak−ADHカラム、25cm*4.6mm、0.5% トリフルオロ酢酸を用いる85% n−ヘプタン+15% エタノール、流量 0.7ml/分、20℃、0.002ml 注入容量、215nm。保持時間:(+)−酸 10.6分、(−)−酸 11.8分。
【0169】
表11の反応を、上記の手順に従って実施した。
【0170】
【表12】

【0171】
Iの実施例12
(+)−4−(3−フルオロ−フェニル)−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル及び
(−)−4−(3−フルオロ−フェニル)−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル
【0172】
【化44】

【0173】
グローブボックス(O含有量≦2ppm)中で、ガラスインサート及び磁気撹拌子を装備した6mlオートクレーブに、4−(3−フルオロ−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロール−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル50mg(0.16mmol)、[Ru(Oac)((S)−6−MeO−2−ナフチル)−MeOBIPHEP] 7.4mg(0.0065mmol)、トリエチルアミン16.4mg(0.163mmol、1.0当量)及びメタノール1mlを仕込んだ。不斉水素化を、水素40bar下、80℃で42時間行なった。室温に冷ました後、圧力をオートクレーブから開放し、メタノール溶液をtert−ブチルメチルエーテル30mlで希釈して、2つの30ml部分の1M 水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。水層を氷に注ぎ、氷−冷2M 塩酸水溶液でpH1に酸性化して、2つの50ml部分の酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、(+)−4−(3−フルオロ−フェニル)−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステルを収率77%で、及び87.1% eeで得た。
MS m/e(%):308(M−H、100)。
【0174】
ee測定のためのHPLC方法
Chiralpak−ADHカラム、25cm*4.6mm、0.5% トリフルオロ酢酸を用いる85% n−ヘプタン+15% エタノール、流量0.7ml/分、20℃、0.002ml 注入容量、215nm。保持時間:(−)−酸9.3分、(+)−酸11.2分。
【0175】
表12の反応を、上記の手順に従って実施した。
【0176】
【表13】

【0177】
Iの実施例13
(3R,4R)−1−ベンジル−4−フェニル−ピロリジン−3−カルボン酸及び
(3RS,4RS)−1−ベンジル−4−フェニル−ピロリジン−3−カルボン酸
【0178】
【化45】

【0179】
ラセミ体の調製:
グローブボックス(O含有量≦2ppm)中で、ガラスインサート及び磁気撹拌子を装備した6mlオートクレーブに、1−ベンジル−4−フェニル−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−カルボン酸50mg(0.18mmol)、Ru(OAc)2((rac)−BIPHEMP)5.5mg(0.0072mmol)、トリエチルアミン17.9mg(0.179mmol、1.0当量)及びメタノール1mlを仕込んだ。ラセミ水素化を水素40bar下、80℃で42時間行なった。室温に冷ました後、圧力をオートクレーブから開放した。反応混合物をtert−ブチルメチルエーテル30mlで希釈して、2つの部分の1M 水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。層を分離し、水相を氷に注いだ。pHを2M 塩酸水溶液を使用してpH6に調整した。3つの部分のジクロロメタン(3x50ml)で抽出した後、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、(3RS,4RS)−1−ベンジル−4−フェニル−ピロリジン−3−カルボン酸を収率(20mg)40%で得た。
MS m/e(%):280(M−H、100)。
【0180】
エナンチオ選択的水素化:
グローブボックス(O含有量≦2ppm)中で、ガラスインサート及び磁気撹拌子を装備した6mlオートクレーブに、1−ベンジル−4−フェニル−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−カルボン酸50mg(0.18mmol)、[Ru(OAc)((S)−6−MeO−2−ナフチル)−MeOBIPHEP] 8.0mg(0.0072mmol)、トリエチルアミン17.9mg(0.179mmol、1.0当量)及びメタノール1mlを仕込んだ。不斉水素化を、水素40bar下、80℃で68時間行なった。室温に冷ました後、圧力をオートクレーブから開放して、溶媒を減圧下で蒸発した。残留物をエタノール2mlに再溶解し、トリエチルアミン(0.355mmol)0.050ml及びジ−tert−ブチルジカルボナート43mg(0.20mmol)を加えた。反応混合物をアルゴンでパージした後、Pd/C(10%)を加え、次に水素を充填した。反応混合物を水素雰囲気下、室温で16時間撹拌して、次にDecaliteで濾過した。濾液をtert−ブチルメチルエーテル30mlで希釈し、2つの部分の1M 水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。層を分離して、水相を氷に注いだ。pHを、2M 塩酸水溶液を使用してpH1に調整した。3つの部分のジクロロメタン(3x50ml)で抽出した後、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、(+)−(3R,4R)−4−(フェニル)−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステルを収率6%で、及び97.4% eeで得た。
MS m/e(%):290(M−H、100)。
【0181】
ee測定のためのHPLC方法
Chiralpak−ADHカラム、25cm*4.6mm、93% n−ヘプタン+7% エタノール、流量0.7ml/分、25℃、0.003ml 注入容量、210nm。保持時間:11.3分((−)−酸のメチルエステル)、14.6分((+)−酸のメチルエステル)。
【0182】
表13の反応を、上記の手順に従って実施した。
【0183】
【表14】


a)第一級水素化生成物(3R,4R)−又は(3S,4S)−1−ベンジル−4−フェニル−ピロリジン−3−カルボン酸の脱ベンジル化及びN−tert−ブトキシカルボニル保護化の後に得られた、(+)−(3R,4R)−又は(−)−(3S,4S)−4−(フェニル)−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステルの施光度及びee。
【0184】
1の実施例14
(+)−4−フェニル−テトラヒドロ−チオフェン−3−カルボン酸及び
(−)−4−フェニル−テトラヒドロ−チオフェン−3−カルボン酸
【0185】
【化46】

【0186】
グローブボックス(O含有量≦2ppm)中で、ガラスインサート及び磁気撹拌子を装備した6mlオートクレーブに、4−フェニル−2,5−ジヒドロチオフェン−3−カルボン酸0.050g(0.242mmol)、[Ru(OAc)((R)−2−フリル)−MeOBIPHEP] 36.92mg(0.0485mmol)、トリエチルアミン24.5mg(0.242mmol、1当量)及びメタノール1mlを仕込んだ。不斉水素化を、水素40bar下、80℃で70時間行なった。室温に冷ました後、圧力をオートクレーブから開放し、メタノール溶液をtert−ブチルメチルエーテル30mlで希釈し、2つの30ml部分の1M 水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。水層を氷に注ぎ、氷−冷2M 塩酸水溶液でpH1に酸性化して、2つの50ml部分の酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、(+)−4−フェニル−テトラヒドロ−チオフェン−3−カルボン酸 を収率(0.03g)60%で、及び98.1% eeで得た。
MS m/e(%):207(M−H、100)。
[α]=+33.93(c=0.342、CHCl
【0187】
ee測定のためのGC方法
ジエチルエーテル中の約0.5M 溶液のジアゾメタン0.5mlを用いて室温で処理することにより、標記化合物のサンプル2-mgをメチルエステルに変換した。過剰量のジアゾメタン及びジエチルエーテルを穏やかなアルゴン流下で蒸発した後、残留物を酢酸エチル1mlに溶解した。BGB−172カラム、60m*0.25mm*df 0.25μm、水素 150kPa、分割比 1:50;温度勾配 160〜230℃、2℃/分でプログラム;注入器温度 210℃、検出器温度 230℃。保持時間:33.11分((+)−酸のメチルエステル)、33.57分((−)−酸のメチルエステル)。
【0188】
表14の反応を、上記の手順に従って実施した。
【0189】
【表15】

【0190】
Iの実施例15
(−)−2−フェニル−シクロオクタンカルボン酸
【0191】
【化47】

【0192】
グローブボックス(O含有量≦2ppm)中で、15mlガラスインサート及び磁気撹拌子を装備した35mlオートクレーブに、2−フェニル−シクロオクタ−1−エン−カルボン酸0.050g(0.217mmol)、[Ru((S)−MeOBIPHEP)(pCym)I]I 9.31mg(0.00868mmol)、トリエチルアミン2.2mg(0.0217mmol、0.1当量)及びメタノール1mlを仕込んだ。不斉水素化を、水素40bar下、80℃で42時間行なった。室温に冷ました後、圧力をオートクレーブから開放し、メタノール溶液をtert−ブチルメチルエーテル30mlで希釈して、2つの30ml部分の1M 水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。水層を氷に注ぎ、氷−冷2M 塩酸水溶液でpH1に酸性化して、2つの50ml部分の酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、(−)−(2−フェニル)−シクロオクタンカルボン酸を収率(0.036g)76%で、及び45.9% eeで得た。
MS m/e(%):231(M−H、100)。
[α]=−3.97(c=0.504、CHCl
【0193】
ee測定のためのGC方法
ジエチルエーテル中の約0.5M 溶液のジアゾメタン0.5mlを用いて室温で処理することにより、標記化合物のサンプル2-mgをメチルエステルに変換した。過剰量のジアゾメタン及びジエチルエーテルを穏やかなアルゴン流下で蒸発した後、残留物を酢酸エチル1mlに溶解した。BGB−172カラム、60m*0.25mm*df 0.25μm、水素 150kPa、分割比 1:50;温度勾配 160〜230℃、2℃/分でプログラム;注入器温度 210℃、検出器温度 230℃。保持時間:32.66分((+)−酸のメチルエステル)、32.85分((−)−酸のメチルエステル)。
【0194】
同様の方法で、表15の反応を実施した。
【0195】
【表16】

【0196】
エナンチオ選択的水素化のための出発物質として、環式β−アリール置換α,β−不飽和カルボン酸IIの合成:
【0197】
IIの実施例1
4−(4−フルオロ−フェニル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル
a) 4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル3−メチルエステル
【0198】
【化48】

【0199】
THF 230ml中の4−オキソ−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル3−メチルエステル(8.64g、33.5mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(油中の懸濁液、55%、3.26g、74.6mmol)を0℃で加えた。30分間撹拌した後、N−フェニルトリフルオロメタンスルホンイミド(20.4g、56.0mmol)を0℃で加えた。氷−水浴を取り外し、反応混合物を2日間撹拌した。氷でクエンチし、減圧下で濃縮を続けて、THFを除去した。残留物をtert−ブチルメチルエーテルで希釈して、3つの部分の1M 水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層をブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下で濃縮して、粗標記化合物を純度90%(11.4g、26.4mmol、71%)で得た。
MS m/e(%):334(M+H−C、100)。
【0200】
b) 4−(4−フルオロ−フェニル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル3−メチル エステル
【0201】
【化49】

【0202】
4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル3−メチルエステル(10.1g、25.9mmol)、4−フルオロフェニル臭化亜鉛溶液(THF中0.5M、86.3ml、43.1mmol)及びTHF 290mlとの混合物に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.83g、0.72mmol)を室温で加えた。6時間撹拌した後、反応物を氷でクエンチした。混合物をtert−ブチルメチルエーテルで希釈して、2M 炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。水層を2つの部分のtert−ブチルメチルエーテルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/エチル)により残留物を精製して、標記化合物を明黄色で無定形の残留物(6.8g、71%)として得た。
MS m/e(%):336(M+H、10)。
【0203】
c) 4−(4−フルオロ−フェニル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル
【0204】
【化50】

【0205】
4−(4−フルオロ−フェニル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル3−メチルエステル(6.8g、20mmol)、1,4−ジオキサン100ml及び2M NaOH 100mlとの混合物を、室温で20時間撹拌した。反応混合物を2つの部分のtert−ブチルメチルエーテルで抽出した後、合わせた有機層を1M 水酸化ナトリウム水溶液(100ml)で抽出した。氷(150g)を加えることにより、合わせた水層を0℃に冷却し、氷−冷4M 塩酸水溶液(70ml)でpH1に酸性化した。水層を3つの150ml部分の酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブライン(50ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、減圧下で濃縮した。n−ヘプタンと酢酸エチル(19:1、120ml)の混合物から粗酸(6.4g)を結晶化して、標記化合物を白色の結晶(5.1g、78%)として得た。
MS m/e(%):320(M−H、100)。
【0206】
IIの実施例2
4−(1H−インドール−3−イル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル
a) 4−[1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニル)−1H−インドール−3−イル]−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル3−メチルエステル
【0207】
【化51】

【0208】
乾燥THF(280ml)中の3−ブロモ−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニル)−1H−インドール(23.0g、74.1mmol)の溶液に、ペンタン(1.7M、87.2ml、148mmol)中のtert−ブチルリチウムの溶液を−78℃で滴下した。得られた橙色の溶液に、乾燥THF(110ml)中の乾燥した塩化亜鉛(11.1g、81.5mmol)の新たに調製した溶液を−78℃で滴下した。添加が完了した後、反応混合物を1.5時間かけて室温に温めるにまかせた。この混合物に、THF(130ml)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.75g、1.51mmol)中の4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル3−メチルエステル(19.6g、50.3mmol)の溶液を加えた。64時間室温で撹拌した後、反応物を氷でクエンチした。混合物をtert−ブチルメチルエーテルで希釈し、2M 炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。水層を2つの部分のtert−ブチルメチルエーテルで抽出した。合わせた有機層を水及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/エチル)により残留物を精製して、標記化合物を無定形の残留物(18.0g、76%)として得た。
MS m/e(%):471(M+H、85)。
【0209】
b) 4−(1H−インドール−3−イル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル
【0210】
【化52】

【0211】
4−(4−フルオロ−フェニル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステルの調製に関する上記の手順に従って、工程c)の4−(4−フルオロ−フェニル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル3−メチルエステルの代わりに4−[1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニル)−1H−インドール−3−イル]−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル3−メチルエステルを使用して、THFから粉砕した後、標記化合物を明褐色の固体として同等の収率で得た。
MS m/e(%):341(M−H、100)
【0212】
IIの実施例3
4−o−トリル−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル
【0213】
【化53】

【0214】
4−(1H−インドール−3−イル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステルの調製に関する上記の手順に従って、工程a)の3−ブロモ−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニル)−1H−インドール及びtert−ブチルリチウムから新たに調製した3−リチオ−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニル)−1H−インドールの代わりに、o−トリル塩化マグネシウムを使用して、標記化合物を白色の結晶として同等の収率で得た。
MS m/e(%):316(M−H、100)
【0215】
IIの実施例4
4−(3−メトキシ−フェニル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル
【0216】
【化54】

【0217】
4−(4−フルオロ−フェニル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステルの調製に関する上記の手順に従って、工程b)の4−フルオロフェニル臭化亜鉛の代わりに3−メトキシフェニルヨウ化亜鉛を使用して、標記化合物をオフホワイトの結晶として同等の収率で得た。
MS m/e(%):332(M−H、100)
【0218】
IIの実施例5
4−フェニル−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル
【化55】

【0219】
4−(4−フルオロ−フェニル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステルの調製に関する上記の手順に従って、工程b)の4−フルオロフェニル臭化亜鉛の代わりにフェニルヨウ化亜鉛を使用して、標記化合物をオフホワイトの結晶として同等の収率で得た。
MS m/e(%):302(M−H、100)
【0220】
IIの実施例6
5−フェニル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,4−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル
【0221】
【化56】


4−(4−フルオロ−フェニル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステルの調製に関する上記の手順に従って、工程a)の4−オキソ−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル3−メチルエステルの代わりに3−オキソ−ピペリジン−1,4−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル4−エチルエステルを使用し、かつ工程b)の4−フルオロフェニル臭化亜鉛の代わりにフェニルヨウ化亜鉛を使用して、フラッシュカラムクロマトグラフィーに付した後、標記化合物を無色で粘性の油状物として同等の収率で得た。
MS m/e(%):302(M−H、100)
【0222】
IIの実施例7
2−フェニル−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸
【0223】
【化57】

【0224】
4−(4−フルオロ−フェニル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステルの調製に関する上記の手順に従って、工程a)の4−オキソ−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル3−メチルエステルの代わりにシクロヘキサノン−2−カルボン酸エチルエステルを使用し、かつ工程b)の4−フルオロフェニル臭化亜鉛の代わりにフェニルヨウ化亜鉛を使用して、標記化合物を白色の結晶として同等の収率で得た。
MS m/e(%):201(M−H、100)
【0225】
IIの実施例8
2−フェニル−シクロペンタ−1−エンカルボン酸
【0226】
【化58】

【0227】
4−(4−フルオロ−フェニル)−5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステルの調製に関する上記の手順に従って、工程a)の4−オキソ−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル3−メチルエステルの代わりにシクロペンタノン−2−カルボン酸 メチルエステルを使用し、かつ工程b)の4−フルオロフェニル臭化亜鉛の代わりにフェニルヨウ化亜鉛を使用して、標記化合物をオフホワイトの結晶として同等の収率で得た。
MS m/e(%):187(M−H、100)
【0228】
IIの実施例9
4−フェニル−2,5−ジヒドロ−ピロール−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル
a) 1−ベンジル−4−フェニル−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−カルボン酸エチルエステル
【0229】
【化59】

【0230】
ジクロロメタン180ml中のフェニルプロピオル酸エチル(12.0g、68.9mmol)及びN−(メトキシメチル)−N−(トリメチルシリルメチル)ベンジルアミン(26.2g、110mmol)の溶液を、氷−水浴で0℃に冷却した。反応混合物の温度を20℃未満に保持しながら、トリフルオロ酢酸(0.53ml、6.9mmol)をゆっくり加えた。添加が完了した後、混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。残留物を2M 塩酸水溶液(150ml)に溶解し、3つの部分のn−ヘプタン(3x100ml)で抽出した。水層を32%水酸化ナトリウム水溶液(30ml)で塩基性化し、3つの部分の酢酸エチル(3x150ml)で抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(n−ヘプタン/酢酸エチル)に付して、標記化合物(17.0g、80%)を僅かに黄色の油状物として得た。
MS m/e(%):308.5(M+H、100)。
【0231】
b) 4−フェニル−2,5−ジヒドロ−ピロール−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル
【0232】
【化60】

【0233】
1,2−ジクロロエタン450ml中の1−ベンジル−4−フェニル−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−カルボン酸エチルエステル(25.0g、81.3mmol)とクロロギ酸1−クロロエチル(10.7ml、97.6mmol)の混合物を、50℃で24時間加熱した。溶媒を蒸発した後、残留物をメタノールに溶解して、1時間加熱還流した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残留塩酸塩を、THF 450mlとトリエチルアミン(34.0ml、244mmol)の混合物に再溶解した。ジ−tert−ブチルジカルボナート(26.6g、122mmol)を0℃で加えて、反応混合物を1時間撹拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液で希釈して、3つの部分のtert−ブチルメチルエーテル(3x200ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗4−フェニル−2,5−ジヒドロ−ピロール−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル3−エチルエステル40gを黄色の油状物として得たが、それは、主にジ−tert−ブチルジカルボナート及び塩化ベンジルで汚染されていた。この物質の混合物である、1,4−ジオキサン400ml及び2M 水酸化ナトリウム水溶液400mlを、室温で一晩撹拌した。反応混合物を2つの部分のヘプタンで洗浄した。水層を氷−冷4M 塩酸水溶液(270ml)で酸性化した。濾過し、冷水で洗浄して、標記化合物を白色の結晶(19.7g、83%)として得た。
MS m/e(%):288(M−H、100)。
【0234】
IIの実施例10
4−(4−クロロ−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロール−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル
【0235】
【化61】

【0236】
4−フェニル−2,5−ジヒドロ−ピロール−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステルの調製に関する上記の手順に従って、工程a)のフェニルプロピオル酸エチルの代わりに(4−クロロフェニル)プロピオル酸メチル(T. Eckert, J. Ipaktschi, Synthetic Communications 1998, 28, 327による記載のように調製した。)を使用して、、標記化合物を白色の結晶として得た。
MS m/e(%):268(M+H−C、100)。
【0237】
IIの実施例11
4−(3−フルオロ−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロール−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル
【0238】
【化62】

【0239】
4−フェニル−2,5−ジヒドロ−ピロール−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステルの調製に関する上記の手順に従って、工程a)のフェニルプロピオル酸エチルの代わりに(3−フルオロフェニル)プロピオル酸メチル(T. Eckert, J. Ipaktschi, Synthetic Communications 1998, 28, 327による記載のように調製した。)を使用して、標記化合物をオフホワイトの結晶として得た。
MS m/e(%):306(M−H、69)。
【0240】
IIの実施例12
1−ベンジル−4−フェニル−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−カルボン酸
【0241】
【化63】

【0242】
1−ベンジル−4−フェニル−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−カルボン酸エチルエステル(1.88g、6.12mmol)、1,4−ジオキサン33ml及び2M 水酸化ナトリウム水溶液33mlとの混合物を、室温で一晩撹拌した。混合物を氷−冷4M 塩酸水溶液でpH4に酸性化し、3つの部分のジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、白色の固体1.2gとして得た。温エタノールから粉砕し、濾過して、標記化合物(0.54g、32%)を白色の固体として得た。
MS m/e(%):278(M−H、100)。
【0243】
IIの実施例13
4−フェニル−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−カルボン酸
【0244】
【化64】

【0245】
下記の文献の手順に従って、チオ安息香酸の形成のためにベンゼンの代わりにトルエンを使用して、標記化合物を同等の収率で合成した:
a) T. Aoyama, T. Takido, M. Kodomari, Synth.Comm. 2003, 33(21), 3817;
b) D. H. Martyres , J. E. Baldwin, R. M. Adlington, V. Lee, M. R. Probert, D. J. Watkin, Tetrahedron 2001, 57, 4999;
c) G:M. Coppola, R. E. Damon, H. Xu, Synlett 1995, 11, 1143.
MS m/e(%):205(M-H+, 100).
【0246】
IIの実施例14
2−フェニル−シクロオクタ−1−エンカルボン酸
a) 2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,2−ジヒドロ−1−カルボン酸エチルエステル
【0247】
【化65】

【0248】
THF 33ml中の2−オキソ−シクロオクタンカルボン酸エチルエステル(9.65g、47.2mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(油状物中の懸濁液、55%、4.57 g、104.8mmol)を0℃で加えた。0℃で30分間撹拌した後、N−フェニルトリフルオロメタンスルホンイミド(28.17g、78.8mmol)を加えた。氷−水浴を取り外し、反応混合物を2日間撹拌した。氷でクエンチし、続いて減圧下で濃縮して、THFを除去した。残留物をtert−ブチルメチルエーテルで希釈して、3つの部分の1M 水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層をブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下で濃縮して、粗標記化合物を純度94%(15.41g、93%)で得た。
MS m/e(%):285([M−OCHCH、100)。
【0249】
b)2−フェニル−シクロオクタ−1−エンカルボン酸エチルエステル
【0250】
【化66】

【0251】
2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−1,2−ジヒドロ−1−カルボン酸エチルエステル(10.35g、29.8mmol)、フェニルヨウ化亜鉛溶液(THF中0.5M、98.8ml、49.4mmol)及びTHF 330mlとの混合物に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(2.08g、1.78mmol)及び塩化リチウム(1.27g、29.8mmol)を室温で加えた。27時間撹拌した後、反応物を氷でクエンチした。混合物をtert−ブチルメチルエーテルで希釈し、2M炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。水層を2つの部分のtert−ブチルメチルエーテルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 50:1)により精製して、標記化合物を無色の油状物として純度90%(4.57g、54%)で得た。
MS m/e(%):259(M+H、100%)。
【0252】
c) 2−フェニル−シクロオクタ−1−エンカルボン酸
【0253】
【化67】

【0254】
2−フェニル−シクロオクタ−1−エンカルボン酸エチルエステル(3.44g、9.02mmol)、1,4−ジオキサン172ml及び1M LiOH 172mlとの混合物を、20時間還流した。周囲温度に冷却した後、反応混合物を2つの部分のtert−ブチルメチルエーテル(全体で440ml)で抽出し、合わせた有機層を1M 水酸化ナトリウム水溶液(220ml)で抽出した。合わせた水層を、氷(150g)を加えることにより0℃に冷却して、氷−冷4M 塩酸水溶液(100ml)でpH1に酸性化した。水層を2つの250ml部分の酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブライン(50ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、減圧下で濃縮した。n−ヘプタンと酢酸エチル(13:1、210ml)の混合物から粗酸を結晶化して、標記化合物をオフホワイトの結晶(2.3g、75%)として得た。
MS m/e(%):229(M−H、100)。
【0255】
鏡像異性的に富化したcis−置換環式β−アリールカルボン酸誘導体のエピマー化のための代表的な手順
【0256】
IIIの実施例1
(+)−(3R,4R)−4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル3−メチルエステル
【0257】
【化68】

【0258】
テトラヒドロフラン70ml中のトリフェニルホスフィン(3.82g、14.6mmol)の溶液に、ジエチルアゾジカルボキシラート(2.53g、14.6mmol)を0℃で加えた。30分後、メタノール(4.55ml、112.0mmol)及びテトラヒドロフラン30ml中の(3R,4R)−4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル(3.62g、11.2mmol、93.6% ee)の溶液を0〜5℃で連続して加えた。反応混合物を室温で20時間撹拌した。水でクエンチし、続いてtert−ブチルメチルエーテル(3x100ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(n−ヘプタン/酢酸エチル)により精製して、標記化合物(3.55g、94%)を無色の油状物として得た。
MS m/e(%):338(M+H、28)。
[α]=+68.69(c=0.310、CHCl
[α]578=+71.27(c=0.310、CHCl
[α]365=+221.60(c=0.310、CHCl
【0259】
Vの実施例1
(−)−(3S,4R)−4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル
【0260】
【化69】

【0261】
無水トルエン100ml中の(+)−(3R,4R)−4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル3−メチルエステル(3.55g、10.5mmol)とナトリウムメトキシド(1.14g、21.1mmol)の混合物を一晩加熱還流した。室温に冷ました後、反応混合物を水でクエンチし、減圧下で濃縮した。残留物を、1,4−ジオキサン100mlと2M 水酸化ナトリウム水溶液50mlの混合物に溶解した。室温で5時間撹拌した後、混合物を水で希釈して、2つの部分のtert−ブチルメチルエーテルで洗浄した。水層を0℃に冷却し、氷−冷1M 塩酸水溶液でpH1〜2に酸性化して、3つの部分のtert−ブチルメチルエーテルで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させて、減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーに付し、ヘプタン/酢酸エチル 9:1(30ml)から結晶化して、標記化合物を白色の結晶(1.76g、52%、97.5% ee)として得た。
MS m/e(%):322(M−H、100)。
[α]=−0.650(c=0.154、CHCl
【0262】
ee測定のためのHPLC方法
Chiralpak−OD−Hカラム、25cm*4.6mm、0.1% トリフルオロ酢酸を用いる95% n−ヘプタン+5% 2−プロパノール、流量0.7ml/分、30℃、0.001ml 注入容量、210nm。保持時間:(−)−酸 9.5分、(+)−酸 11.5分。
【0263】
絶対配置の割当て
施光度及びChiralpak−OD−HカラムのHPLC分析による保持時間を、下記のように(−)−(3S,4R)−4−(4−フルオロ−フェニル)−1−メチル−ピペリジン−3−カルボン酸メチルエステル(WO0129031に記載のように調製した)から導き出した(−)−(3S,4R)−4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステルのサンプルの値と比較することによって、標記化合物の絶対配置を(3S,4R)として割当た:
【0264】
1,2−ジクロロエタン5ml中の(−)−(3S,4R)−4−(4−フルオロ−フェニル)−1−メチル−ピペリジン−3−カルボン酸メチルエステル(575mg、2.29mmol)及びクロロギ酸1−クロロエチル(393mg、2.75mmol)の溶液を、4時間加熱還流した。室温に冷ました後、溶媒を減圧下で蒸発した後、残留物をメタノール5mlに溶解した。溶液を1時間加熱還流し、続いて室温に冷まして、減圧下で濃縮した。残留物を2M 水溶液の塩酸11.5mlに溶解し、一晩加熱還流した。反応混合物を氷−水浴で0℃に冷却した後、続いて1,4−ジオキサン15ml中の32%水溶液の水酸化ナトリウム2.8ml及びジ−tert−ブチルジカルボナート(1.00g、4.58mmol)の溶液を加えた。添加が完了した後、氷−水浴を取り外し、撹拌を室温で4時間続けた。反応混合物のpHを、1M 水酸化ナトリウム水溶液を加えることにより8に調整した。2つの部分のtert−ブチルメチルエーテルで洗浄し、続いて1M 水酸化ナトリウム水溶液で合わせた有機層を逆抽出した。合わせた水層を0℃に冷却し、氷−冷4M 塩酸水溶液でpH1に酸性化して、3つの部分の酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(−)−(3S,4R)−4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル(590mg、80%)を93.8% eeで得た。
MS m/e(%):322(M−H、100)、
[α]=−0.867(c=0.462、CHCl

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


[式中、
Xは、−C(R)(R’)−、−N(R”)−、−O−、−S(O)−、C(O)N(R”)、−N(R”)C(O)−又は−C(O)−であり;
R及びR’は、互いに独立して、水素、C1−7−アルキル、C1−7−アルキル(ハロゲン、C1−7−アルコキシ、ヒドロキシ又は−(CH−Arで置換されている)であり;
R”は、水素、C1−7−アルキル、ハロゲンで置換されているC1−7−アルキル、−S(O)−C1−7−アルキル、−S(O)−Ar、−S(O)−NRR’、−(CH−Ar、−C(O)−C1−7−アルキル、−C(O)−Ar、−C(O)−NRR’又は−C(O)O−C1−7−アルキルであり;
Arは、アリール又はヘテロアリールであり;
nは0、1、2又は3であり;
mは0、1、2又は3であり;
oは0、1又は2であり;
pは0、1又は2である]
で示される鏡像異性的に富化した環式β−アリールカルボン酸誘導体及びそれらの対応する塩の調製方法であって、式(II):
【化2】


[式中、
Xは、−C(R)(R’)−、−N(R”)−、−O−、−S(O)−、C(O)N(R”),−N(R”)C(O)−又は−C(O)−であり;
R及びR’は、互いに独立して、水素、C1−7−アルキル、C1−7−アルキル(ハロゲン、C1−7−アルコキシ、ヒドロキシ又は−(CH−Arで置換されている)であり;
R”は、水素、C1−7−アルキル、ハロゲンで置換されているC1−7−アルキル、−S(O)−C1−7−アルキル、−S(O)−Ar、−S(O)−NRR’、−(CH−Ar、−C(O)−C1−7−アルキル、−C(O)−Ar、−C(O)−NRR’又は−C(O)O−C1−7−アルキルであり;
Arは、アリール又はヘテロアリールであり;
nは、0、1、2又は3であり;
mは、0、1、2又は3であり;
oは、0、1又は2であり;
pは、0、1又は2である]
で示される化合物及びそれらの対応する塩を、下記:
【化3】


[式中、
Zは、ハロゲン又は基A−COOを表し、Aは、低級アルキル、アリール、ハロゲン化低級アルキル又はハロゲン化アリールを表し、Dは、キラルジホスフィンリガンドを表し、Bは、上記で定義した非配位アニオンを表し、Lは、上記で定義した中性リガンドを表し、pは、数1及び2を表し、リガンドは、同一でも異なっていてもよく、mは、数1、2又は3を表す]
を含む触媒の存在下において、あるいは下記:
[Rh(キラルジホスフィン)LX]又は[Rh(キラルジホスフィン)L]
[式中、
Xは、Cl、Br又はIであり、Lは、エチレン、プロピレン、シクロオクテン、1,3−ヘキサジエン、ノルボルナジエン、1,5−シクロオクタジエン、ベンゼン、ヘキサメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、p−シメン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル、アセトン又はメタノールからなる群より選択される中性リガンドであり、
Aは、オキソ酸のアニオン、又はClO、PF、BR(ここで、Rは、ハロゲン又はアリールである)、SbFもしくはAsFからなる群より選択される錯酸のアニオンである]を含む触媒の存在下において、
触媒均一系でエナンチオ選択的に水素化して該式(I)の化合物を得ることを含む方法。
【請求項2】
キラルジスホスフィンリガンドが、式:(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)又は(16)
【化4】


[式中、
は、低級アルキルであり;
は、低級アルキルであり;
は、独立して、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又は低級アルキルであり;
は、N(低級アルキル)又はピペリジニルであり;
は、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ又は低級アルキル−C(O)O−であり;
及びR10は、独立して、水素、低級アルキル、低級アルコキシ又はジ(低級アルキル)アミノであるか;あるいは、
同じフェニル基に結合しているR及びR、又は同じフェニル基に結合しているR及びR10、又は両方のRは、一緒になって、−X−(CH−Y−(ここで、Xは、−O−又は−C(O)O−であり、Yは、−O−又は−N(低級アルキル)−であり、nは、1〜6の整数である)又はCF基であるか;あるいは
とR、又はRとR10は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ナフチル、テトラヒドロナフチル又はジベンゾフラン環を形成し;
11及びR12は、独立して、低級アルキル、シクロアルキル、フェニル、ナフチル又はヘテロアリール(低級アルキル、低級アルコキシ、ジ(低級アルキル)アミノ、モルホリノ、フェニル及びトリ(低級アルキル)シリルからなる群より独立して選択される0〜7個の置換基で置換されている)である]で特徴づけられている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
触媒が、式:
【化5】


[式中、
Zは、ハロゲン又は基A−COOを表し、Aは、低級アルキル、アリール、ハロゲン化低級アルキル又はハロゲン化アリールを表し、Bは、上記で定義した非配位アニオンを表し、Lは、上記で定義した中性リガンドを表し、pは、数1及び2を表し、mは、数1、2又は3を表し、リガンドは、同一でも異なっていてもよく、Dは、キラルジホスフィンリガンド(ここで、該キラルジホスフィンは請求項2で定義した式(7)、(9)、(10)又は(12)で特徴づけられている)を表す]である、請求項1又は2のいずれか一項記載の方法。
【請求項4】
Zが、CHCOO、CFCOO又はハロゲン化物である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
キラルジスホスフィンが、MeOBIPHEP、BIPHEMP、TMBTP、(2−ナフチル)−MeOBIPHEP、(6−MeO−2−ナフチル)−MeOBIPHEP、2−(チエニル)−MeOBIPHEP、3,5−tBu−MeOBIPHEP、PHANEPHOS、BICP、トリMeOBIPHEP、(R,R,S,S)−マンディホス、BnOBIPHEP、ベンゾイルBIPHEP、pTol−BIPHEMP、tブチルCOOBIPHEP、iPrOBIPHEP、p−フェニル−MeOBIPHEP、pAn−MeOBIPHEP、pTol−MeOBIPHEP、3,5−Xyl−MeOBIPHEP、3,5−Xyl−BIPHEMP、BINAP及び2−フリル−MeOBIPHEP、3,5−Xyl−4−MeO−MeOBIPHEP、2−フリル−MeOBIPHEP、又はBITIANPの(R)及び(S)−鏡像異性体からなる群より選択される、請求項3記載の方法。
【請求項6】
キラルジホスフィンが、(S)−(6−MeO−2−ナフチル)−MeOBIPHEP、3,5−Xyl−4−MeO−MeOBIPHEP、(S)−2−フリル−MeOBIPHEP又はBITIANPである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
触媒が、[Ru(CHCOO(TMBTP)]、[Ru(CFCOO(TMBTP)]、[Ru(CHCOO(2−ナフチル)−MeOBIPHEP)]、[Ru(CFCOO(2−ナフチル)−MeOBIPHEP)]、[Ru(CHCOO(6−MeO−2−ナフチル)−MeOBIPHEP)]及び[Ru(CFCOO(6−MeO−2−ナフチル)−MeOBIPHEP)]の(R)及び(S)鏡像異性体からなる群より選択される、請求項1〜6のいずれか記載の方法。
【請求項8】
触媒的水素化が圧力1〜150barで実行される、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
触媒的水素化が圧力10〜100barで実行される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
触媒的水素化が温度10〜100℃で実行される、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
触媒的水素化が温度20〜80℃で実行される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
触媒的水素化が塩基の存在下で実行される、請求項1〜11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
塩基が、NEt、i−PrNEt、i−PrNH、CCHNH、1−フェニル−ベンジルアミン、(R)又は(S))、エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、NaOAc、NaOEt、NaOH、又はBuNX(ここで、Xは、F、Cl、Br又はIである)からなる群より選択される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
触媒的水素化がNEt又はi−PrNetの存在下で実行される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
触媒的水素化が溶媒中で実行される、請求項1〜14のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
Ru触媒を用いる触媒的水素化が、アルコール、炭化水素、塩素化炭化水素、THFもしくは水で、又はこれらの混合物で実行される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
Rh触媒を用いる触媒的水素化が、アルカノール、ベンゼン、トルエン、トリフルオロトルエン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、エチレングリコール、DMF、DMA、N−メチルピロリジノン、アセトニトリルもしくはDMSO、又はこれらの混合物で実行される、請求項15記載の方法。
【請求項18】
Ru触媒を用いる触媒的水素化が、メタノール又はエタノールである溶媒中で実行される、請求項16記載の方法。
【請求項19】
溶媒濃度が1〜50W%である、請求項15記載の方法。
【請求項20】
基質/触媒比(s/C)が5:30000である、請求項1〜19のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
式(I)の化合物が:
2−アリール/ヘテロアリール−シクロペンタンカルボン酸、
4−アリール/ヘテロアリール−2,5−ジヒドロ−1H−ピロリジン−3−カルボン酸、
4−アリール/ヘテロアリール−テトラヒドロフラン−3−カルボン酸、
4−アリール/ヘテロアリール−テトラヒドロ−チオフェン−3−カルボン酸、
1,1−ジオキソ−4−アリール/ヘテロアリール−テトラヒドロ−1λ−チオフェン−3−カルボン酸、
1−オキソ−4−アリール/ヘテロアリール−テトラヒドロ−1λ−チオフェン−3−カルボン酸、
2−アリール/ヘテロアリール−シクロヘキサンカルボン酸、
4−アリール/ヘテロアリール−ピペリジン−3−カルボン酸、
5−アリール/ヘテロアリール−ピペリジン−4−カルボン酸、
4−アリール/ヘテロアリール−テトラヒドロ−ピラン−3−カルボン酸、
5−アリール/ヘテロアリール−テトラヒドロ−ピラン−4−カルボン酸、
4−アリール/ヘテロアリール−テトラヒドロ−チオピラン−3−カルボン酸、
5−アリール/ヘテロアリール−テトラヒドロ−チオピラン−4−カルボン酸、
1,1−ジオキソ−4−アリール/ヘテロアリール−ヘキサヒドロ−1λ−チオピラン−3−カルボン酸、
1,1−ジオキソ−5−アリール/ヘテロアリール−ヘキサヒドロ−1λ−チオピラン−4−カルボン酸、
1−オキソ−4−アリール/ヘテロアリール−ヘキサヒドロ−1λ−チオピラン−3−カルボン酸、
2−フェニル−シクロヘプタンカルボン酸、
2−フェニル−シクロオクタンカルボン酸、及びそれらの対応する塩である、
請求項1〜20のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
化合物が:
(+)−(3R,4R)−4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル及び
(−)−(3S,4S)−4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル、
(−)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル及び
(+)−4−(1H−インドール−3−イル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル、
(−)−4−o−トリル−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル及び
(+)−4−o−トリル−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル、
(+)−4−(3−メトキシ−フェニル)−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル、
(+)−4−フェニル−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル及び
(−)−4−フェニル−ピペリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル
(+)−3−フェニル−ピペリジン−1,4−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル及び
(−)−3−フェニル−ピペリジン−1,4−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル、
(−)−2−フェニル−シクロペンテンカルボン酸及び
(+)−2−フェニル−シクロペンテンカルボン酸、
(+)−(3R,4R)−4−(フェニル)−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル及び
(−)−(3S,4S)−4−(フェニル)−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル、
(−)−4−(4−クロロ−フェニル)−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル及び
(+)−4−(4−クロロ−フェニル)−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル、
(+)−4−(3−フルオロ−フェニル)−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル及び
(−)−4−(3−フルオロ−フェニル)−ピロリジン−1,3−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル、
(3R,4R)−1−ベンジル−4−フェニル−ピロリジン−3−カルボン酸及び
(3RS,4RS)−1−ベンジル−4−フェニル−ピロリジン−3−カルボン酸、
(−)−2−フェニル−シクロオクタンカルボン酸、
(+)−4−フェニル−テトラヒドロ−チオフェン−3−カルボン酸及び
(−)−4−フェニル−テトラヒドロ−チオフェン−3−カルボン酸である、
請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項23】
式(II):
【化6】


で示される出発化合物が、
2−アリール/ヘテロアリール−シクロペンタ−1−エンカルボン酸、
4−アリール/ヘテロアリール−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−カルボン酸、
4−アリール/ヘテロアリール−2,5−ジヒドロ−フラン−3−カルボン酸、
4−アリール/ヘテロアリール−2,5−ジヒドロ−チオフェン−3−カルボン酸、
1,1−ジオキソ−4−アリール−2,5−ジヒドロ−1H−1λ−チオフェン−3−カルボン酸、
2−アリール/ヘテロアリール−シクロヘキシル−1−エンカルボン酸、
4−アリール/ヘテロアリール−1,2,5,6−テトラヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸、
5−アリール/ヘテロアリール−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−カルボン酸、
4−アリール/ヘテロアリール−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−3−カルボン酸、
5−アリール/ヘテロアリール−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−4−カルボン酸、
4−アリール/ヘテロアリール−5,6−ジヒドロ−2H−チオピラン−3−カルボン酸、
5−アリール/ヘテロアリール−3,6−ジヒドロ−2H−チオピラン−4−カルボン酸、
1,1−ジオキソ−4−アリール/ヘテロアリール−1,2,5,6−テトラヒドロ−1λ−チオピラン−3−カルボン酸、
1,1−ジオキソ−5−アリール/ヘテロアリール−1,2,3,6−テトラヒドロ−1λ−チオピラン−4−カルボン酸、
1−オキソ−4−アリール/ヘテロアリール−1,2,5,6−テトラヒドロ−1λ−チオピラン−3−カルボン酸、
1−オキソ−4−アリール/ヘテロアリール−2,5−ジヒドロ−1H−1λ−チオフェン−3−カルボン酸、
2−フェニル−シクロヘプタ−1−エンカルボン酸
2−フェニル−シクロオクタ−1−エンカルボン酸、及びそれらの対応する塩である、
請求項1〜20のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
上記で定義された発明。

【公表番号】特表2009−532410(P2009−532410A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503527(P2009−503527)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052855
【国際公開番号】WO2007/113155
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】