説明

鏡視下手術用の臓器間スペーサー

【課題】一時的貯液機能(第1機能)、手術のための物理的スペースと視野の確保機能(第2機能)、臓器の保護機能(第3機能)を有する、鏡視下手術用の手術用具、並びに、その体内への挿入具を提供する。
【解決手段】前記の鏡視下手術用手術用具は、一時貯液性を有する多孔性軟質材料からなる保液手段(1)を含むことを特徴とする臓器間スペーサー(10)であり、前記多孔性軟質材料の吸液性が自重の100〜5000%であり、多孔性軟質材料の保液性が90〜100%であり、多孔性軟質材料の離液性が10〜100%である。前記の体内への挿入具は、前記の鏡視下手術用臓器間スペーサーを収納可能な筒状収納部を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鏡視下手術用の臓器間スペーサー、及びそれを体内に挿入するための挿入具に関する。
【背景技術】
【0002】
鏡視下手術とは、胸部又は腹部手術において、胸腔又は腹腔に挿入した内視鏡(例えば、胸腔鏡、腹腔鏡)によって映し出された映像をモニターで見ながら行う手術である。例えば、腹腔鏡下手術では、従来の開腹手術と違って、腹部を大きく切らずに、手術に必要な5〜15mm程度の細い管(トロッカー)を複数本、挿入して、それらの管から腹腔鏡や鏡視下手術用に開発された細い鉗子類(臓器をはさんだり、持ったりする器具)を出し入れして手術を行う。また、腹腔内をよく観察しながら手術を進めるために、炭酸ガスを腹腔内に入れて膨らましたり(気腹と称する)、腹壁を吊り上げたりすることも行われている。
【0003】
鏡視下手術は、開腹手術に比べ、
・術創が小さく、美容面に優れ、術後の創痛も少ない。
・腹腔鏡による拡大視効果があり、繊細な手技が可能で出血が少ない。
等の利点があり、その低侵襲性から目覚ましい発展をしてきた。しかし、その反面、鏡視下手術の問題点としては、
・一旦出血すると、視野が悪くなり、開腹手術よりも止血が難しい。
・気腹のために二酸化炭素ガスを腹腔内に注入することが一般に行われているが、術中の浸出液や出血を吸引すると、腹腔内ガス(CO)も同時に吸引され、視野の保持が困難になるため、開腹術に比べて、吸引が難しい。
・モニターが2次元であるため、視野の奥側の臓器の把握が困難であり、臓器を傷つける可能性がある。
・直に手指で臓器を触知できず、硬い鉗子を用いて操作するため、臓器を愛護的に扱いにくい。
等の問題点が挙げられる。これらの問題点は、消化器外科のみならず婦人科や泌尿器科領域を含め、全ての腹腔内臓器における鏡視下手術で共通している。
【0004】
鏡視下手術でのこれらの問題点は、通常の開腹手術では特に問題となることはなく、鏡視下手術に特有の問題である。例えば、通常の開腹手術では、出血しても、出血患部にガーゼ等を直接押し当てることにより止血することが可能であり、新しいガーゼと次々に交換することも容易である。また、通常の開腹手術では、気腹の必要がなく、また、モニターを介することなく、直接、臓器を観察することが可能であり、充分な視野が確保されている。更には、直に手指で臓器を扱うことが可能であり、臓器に対する愛護的な圧排や保護が可能である。このように、鏡視下手術での前記問題点は、長い歴史のある開腹手術では特に問題とならないため、開腹手術用の医療用具でこれらの問題点を解決する用途のものは見当たらない。
【0005】
鏡視下手術における臓器の圧排、牽引器具としては、例えば、トライアングルレトラクター(ステマ社;ドイツ)や圧排子(例えば、瑞穂医科工業または平和医療器械)等が挙げられる。しかし、これらの器具を用いると、トロッカーが1本占有されてしまい、且つ、これらは極めて限られた場面でしか用いられていないのが現状である。
【0006】
また、血液や浸出液の吸収に際しては、鏡視下手術においても、開腹手術で用いるX線造影糸入りガーゼが使われている。しかし、トロッカー経由での頻繁な出し入れは困難であるため、開腹手術のように新しいガーゼと容易に交換することは難しく、従って、ガーゼに一度吸収させた血液等を、トロッカーから別途挿入した吸引管により吸い取り、再度、血液等の吸収に再利用することが一般的である。しかしながら、ガーゼは厚みや強度に劣るため、吸引管による吸い取りの際に、吸引管の先端で臓器を損傷させる可能性がある。また、ガーゼは乾燥すると臓器に固着し、固着したガーゼを剥がす際に、臓器損傷が危惧され、更には、腹腔内で適切に折りたたむのが困難なため、開腹手術のように、愛護的に臓器を包んだり圧迫したりすることは困難であるといった欠点が挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような状況下、本発明者は、長い歴史のある開腹手術ではこれまで問題とならなかった、鏡視下手術に特有の問題点を解決するために、全く新しい手術用具を提供することを目的として鋭意探求し、本発明を完成させるに至った。
この手術用具に求められる機能は、以下に限定されるものではないが、第1の機能は、鏡視下手術中の血液や浸出液を吸引除去するための一時的貯液機能である。第2の機能は、手術のための物理的スペースと充分な視野の確保機能である。第3の機能は、臓器の保護機能である。本発明の課題は、これらの機能を有する、鏡視下手術用の全く新しい手術用具を提供することにある。
【0008】
なお、本発明の前記課題から明らかなとおり、本発明は、鏡視下手術の間だけ、体内で使用することを念頭においた手術用具であり、手術目的が完了したところで体外に取り出すことを前提としている。従って、手術後に体内に残しておくことを前提とした、例えば、創傷被覆材、組織癒着防止材等(例えば、特表2006−519633号公報)とは全く異なる技術分野に属する発明である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、本発明による、一時貯液性を有する多孔性軟質材料からなる保液手段を含む、鏡視下手術用の臓器間スペーサーであって、前記多孔性軟質材料の吸液性が、吸液前の乾燥重量(自重)に対する液体吸収能力として、自重の100〜5000%であり、前記多孔性軟質材料の保液性が90〜100%であり、前記多孔性軟質材料の離液性が10〜100%であることを特徴とする、前記の鏡視下手術用臓器間スペーサーにより解決することができる。前記多孔質性軟質材料としては、軟質ポリウレタンフォームが好ましい。
また、本明細書では、一時貯液性と保形性とを有する多孔性軟質材料からなる保液手段を含むことを特徴とする、鏡視下手術用の臓器間スペーサーを開示する。
【0010】
また、本発明は、前記鏡視下手術用臓器間スペーサーを収納可能な筒状収納部を含むことを特徴とする、前記臓器間スペーサーの体内への挿入具に関する。
本発明の挿入具の好ましい態様によれば、前記筒状収納部の一方の端部側から挿入可能であり、筒状収納部に収納されている前記臓器間スペーサーを筒状収納部のもう一方の端部から押し出すことのできる押出手段を更に含むことができる。
本発明の挿入具の別の好ましい態様によれば、臓器間スペーサーを筒状収納部内に引込むことのできる引込手段を更に含むことができる。
本発明の挿入具の更に別の好ましい態様によれば、筒状収納部の一方の端部に設けることのできる漏斗部を更に含むことができる。
更に、本発明は、前記鏡視下手術用臓器間スペーサーと、前記挿入具とを含む、鏡視下手術用キットに関する。
【0011】
本明細書において、鏡視下手術とは、胸部又は腹部手術において、胸腔又は腹腔に挿入した内視鏡(例えば、胸腔鏡、腹腔鏡)によって映し出された映像をモニターで見ながら行う手術を意味する。例えば、腹腔鏡下手術では、従来の開腹手術と違って、腹部を大きく切らずに、手術に必要な5〜15mm程度の細い管(トロッカー)を何本か挿入して、それらの管から腹腔鏡や鏡視下手術用に開発された細い鉗子類(臓器をはさんだり、持ったりする器具)を出し入れして手術を行う。なお、胃や腸の手術では、臓器の切除や取り出し、吻合(つなぎ合わせ)の際に、5cm程度の小切開を置くことが多く、腹腔鏡補助下手術と呼ばれるが、本明細書における鏡視下手術に含まれる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の臓器間スペーサーによれば、鏡視下手術に特有の各種の問題点を一度に解決することができ、例えば、
(1)出血による視野障害の回避
(2)臓器や組織を押さえつける力の緩衝
(3)熱や振動波の伝達による臓器損傷の回避と自動縫合器使用時の副損傷の回避
(4)予期せぬ出血に対する圧迫止血
(5)浸出液(主に血液)吸引
などの有利な効果を得ることができる。
【0013】
前記効果(1)について、鏡視下手術では、少量の出血でも視野が妨げられ、手術を施行しづらくなる。その際、本発明の臓器間スペーサーを入れておくことによって、即座に保液手段に吸収され、血液あるいは胆汁、腸液などの浸出液が周囲に拡散されるのを防ぐことができる。
【0014】
前記効果(2)について、鏡視下手術では、対象となる臓器・組織を手や指を使って愛護的に押さえたり(圧排したり)することができないため、遠隔操作で鉗子などの道具を使って圧排することになる。その際、一点に力が集中することになる場合が多く、臓器や組織の損傷をきたしかねない。そこで、本発明の臓器間スペーサーを鉗子と臓器や組織の間に置くことにより、集中する力を分散し、損傷の危険性を減らすことが可能となる。
【0015】
前記効果(3)について、鏡視下手術用では、主に電気メスや超音波凝固切開装置を用いて臓器や組織を剥離、切離していくが、重要な臓器・組織に不要な熱や振動波が伝わり、思わぬ損傷を招く危険性がある。そこで、剥離する臓器・組織と電気メスや超音波凝固切開装置の間に、本発明の臓器間スペーサーを介在させておくことや、重要臓器の手前に本発明の臓器間スペーサーを置いておくことによって、不要な熱や振動波の伝達を回避し、副損傷を防ぐことができる。
また、鏡視下手術では、臓器や組織の切離に際し、自動縫合器を用いて行うことが多い。その際、隣接した臓器・組織を巻き込んで損傷してしまう可能性があるが、本発明の臓器間スペーサーを間に介在させておくことによって、副損傷を避けることができる。
【0016】
前記効果(4)について、止血の基本は圧迫止血である。本発明の臓器間スペーサーを入れておくことによって、予期せぬ出血に対し、即座に圧迫止血が可能となる。
【0017】
前記効果(5)について、鏡視下手術では、溜まった浸出液は、通常吸引管を用いて吸引する。しかし、周囲の組織が一緒に吸引管内に引き込まれてしまい、うまく浸出液を吸引できない場合がある。そのため、出血の多い時には、急激な視野不良に陥り、鏡視下操作を断念することにもなりかねない。本発明の臓器間スペーサーを用いれば、即座に吸収された浸出液を保液手段越しに吸引し、効率よく浸出液を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の臓器間スペーサーの一態様を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1に示す臓器間スペーサーの模式的平面図である。
【図3】図1に示す臓器間スペーサーの模式的底面図である。
【図4】図1に示す臓器間スペーサーの模式的側面図である。
【図5】本発明の臓器間スペーサーの別の一態様を模式的に示す斜視図である。
【図6】本発明の挿入具の一態様を模式的に示す斜視図である。
【図7】本発明の挿入具の別の一態様を模式的に示す斜視図である。
【図8】本発明の挿入具の更に別の一態様を模式的に示す斜視図である。
【図9】図8に示す挿入具において、漏斗本体を収納した状態を模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0019】
10・・・臓器間スペーサー;
1・・・スポンジ本体;2・・・把持用紐;3・・・貫通孔;
20・・・イントロデューサー型挿入具;21・・・筒状収納部;22・・・押出手段;30・・・エキストラクター型挿入具;31・・・筒状収納部;32・・・引込手段;
40・・・エキストラクター型挿入具;41・・・筒状収納部;42・・・漏斗部。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の鏡視下手術用の臓器間スペーサーは、一時貯液性と保形性とを有する多孔性軟質材料からなる保液手段を少なくとも含み、所望により、例えば、保液手段の表面に設けることのできる把持用紐(好ましくは、X線造影剤を含む把持用紐)、あるいは、保液手段の内部にX線造影剤を更に含むことができる。本発明の臓器間スペーサーの主要部である前記保液手段は、一時的貯液機能を有すると共に、スペース確保や臓器保護の各機能を併せ持つ。
【0021】
本発明において保液手段を形成するために使用する多孔性軟質材料は、少なくとも、一時貯液性と保形性を有する材料である限り、特に限定されるものではなく、更に柔軟性を有することが好ましい。
【0022】
本明細書において一時貯液性とは、(1)手術中の血液や浸出液を吸収することのできる吸液性、(2)手術中に保液手段に外的作用が加わっても(例えば、手術中の移動、臓器との接触)、吸収した血液等を充分に保持することのできる保液性、及び(3)保液手段内に吸収されている血液等を、吸引等により保液手段から排出することのできる離液性(脱液性)を備えていることを意味する。
なお、本発明の臓器間スペーサーは、血液等を保液手段に一旦吸液させた後、そのまま、しばらく保持した後、吸引管等による排出操作を実施させることもできるし、あるいは、吸引管の先端に保液手段を配置し、その状態で吸引することにより、保液手段越しに血液等を吸引除去することもできる。
【0023】
前記吸液性は、例えば、自重に対する液体吸収能力、あるいは、所定量の溶液を吸液させた場合の吸液率などによって評価することができる。本発明で用いる多孔性軟質材料の吸液性は、自重に対する液体吸収能力を指標とした場合には、好ましくは自重の100%〜5000%(自重の1倍〜50倍)である。自重の100%以上であると、体積以上の液体を吸収する効果が現れ、スポンジを体内に入れた場合に手術スペースを体液等の液体が邪魔することや、スポンジを入れたことにより体液等の液体が体外へあふれ出ることがない利点がある。一方、自重の5000%を超えると、スポンジの物理的強度が弱くなることがある。吸液性の下限については、より好ましくは自重の150%であり、更に好ましくは200%であり、特に好ましくは300%である。また、上限は、より好ましくは3000%であり、更に好ましくは2000%であり、特に好ましくは1000%である。
【0024】
前記吸液性は、以下に述べる手順により測定した値である。すなわち、
(1)人工血液に浸す前の被検体(例えば、スポンジ)の重量(Wd)を測定し、
(2)3分間人工血液に浸した(水中にスポンジ全体を浸積させ、できるだけスポンジの全表面から水を吸収させる)後、30秒間金網に載せて自然にまかせて余分な人工血液を滴下させ、吸水後の被検体の重量(Ww)を測定する。
(3)下記式:
(Ww−Wd)÷Wd×100(%)
により、増加した重量を吸液前の重量で除することにより、吸液性(%)を算出する。
【0025】
あるいは、所定量の溶液を吸液させた場合の吸液率を指標とした場合には、本発明で用いる多孔性軟質材料の吸液性は、好ましくは40%〜100%である。吸液性の下限については、より好ましくは60%であり、更に好ましくは80%であり、更に好ましくは85%であり、特に好ましくは90%である。
この吸液性は、以下に述べる手順により測定した値である。すなわち、サンプル(直方体形状、50mm×50mm×20mm)に、人工血液を充分に吸液させ、充分に絞っておく。直径9cmのディスポーザブルシャーレの蓋を、裏返した状態で卓上に置き、その中に人工血液20mLを入れる。充分に絞っておいたサンプルを入れ、シャーレの本体底面でサンプルを5回押す。なお、サンプルを押す際は、サンプルが収縮しなくなるところまで押し、押す間隔は1秒間に約1回の割合とする。サンプルを取り出し、シャーレ蓋に残った人工血液の液量(V、単位mL)を測定する。下記式:
(20mL−V)/20mL×100(%)
により、吸液性(%)を算出する。
【0026】
本発明で用いる多孔性軟質材料の保液性は、好ましくは90〜100%であり、より好ましくは92〜100%であり、より好ましくは94〜100%であり、更に好ましくは97〜100%である。
前記保液性は、以下の手順により測定した値である。すなわち、
(1)吸液前の被検体の重量(Wd)を測定し、
(2)被検体に人工血液を充分に吸液させ、吸液させた状態にて重量(Ww)を測定し、(3)吸液させた被検体を板上に置き、その板を45°に傾けた状態で3分間静置した後に、重量(W)を測定する。
(4)下記式:
(W−Wd)÷(Ww−Wd)×100(%)
で求められる値を保液性(%)とする。
【0027】
本発明で用いる多孔性軟質材料の離液性は、好ましくは10〜100%であり、より好ましくは15〜100%であり、更に好ましくは20〜100%であり、更に好ましくは40〜100%であり、更に好ましくは60〜100%であり、更に好ましくは65〜100%である。また、本発明では、離液性が80〜100%、あるいは、85〜100%の多孔性軟質材料を使用することもできる。
【0028】
前記離液性は、以下の手順により測定した値である。すなわち、
(1)吸液前の被検体の重量(Wd)を測定し、
(2)被検体に人工血液を充分に吸液させ、吸液させた状態にて重量(Ww)を測定し、(3)吸液させた被検体を板上に乗せ、吸引用嘴管を被検体の中央に押し当て、−600〜−650mmHg(−80〜−85kPa)の吸引能力により1分間吸引した後の重量(Ws)を測定する。
(4)下記式:
(Ww−Ws)÷(Ww−Wd)×100(%)
で求められる値を離液性(%)とする。
【0029】
本明細書において、低離液性とは、前記測定法により測定した離液性が40%未満であることを意味し、高離液性とは、40%以上であることを意味する。
【0030】
本明細書において保形性とは、本発明の臓器間スペーサーを体内に挿入した後、鏡視下手術中に予想される各種外的圧力が荷重された場合であっても、その形状を実質的に保持することのできる性質を意味する。前記の外的圧力としては、例えば、吸引管による脱液操作時にかかる圧力、臓器間スペーサーの移動時にかかる圧力、手術スペースの確保の際にかかる圧力、臓器保護の際にかかる圧力などを挙げることができる。
前記保形性は、例えば、圧縮残留歪みによって評価することができる。
【0031】
本発明で用いる多孔性軟質材料の圧縮残留歪みは、好ましくは10%以下であり、より好ましくは5%以下である。圧縮残留歪みは低いほど好ましいため、下限値は0%である。10%(好ましくは5%)を超えると、スポンジの表面積が縮小し、吸水性が下がり、柔軟性も低くなることがある。
【0032】
本明細書において、圧縮残留歪みとは、JIS K 6400:1997に基づいて測定した値を意味する。その概略は、試験片(50mm×50mm×20mm)の中央部の厚さを、フォームを変形させない状態でノギスを用いて0.1mmまで測定する(t)。続いて、試験片を2枚の圧縮板を用いて試験片の厚さを50%まで圧縮させる。少なくとも15分以内に圧縮状態のまま温度70±1℃の恒温槽中に入れ、22時間加熱する。試験装置を恒温槽から取り出して、1分以内に試験片を圧縮板から取り出し、木材のような熱伝導率の低い材料の上に置く。試験片を温度23±2℃、相対湿度50±5%(16時間以上調整した槽内)で30分間放置し回復させた後、同じ箇所の厚さを0.1mmまで測定する(t)。
下記式:
(t−t)÷t×100(%)
[式中、tは圧縮前の厚さであり、tは圧縮後の厚さである]
で求められる値を圧縮残留歪み(%)とする。
【0033】
本明細書において柔軟性とは、臓器と接触した際に、臓器を傷つけることのない表面の性状を意味する。前記柔軟性は、例えば、JIS K 6400に基づいて、あるいは、それに準じて測定する硬さ又は反発弾性によって評価することができる。
【0034】
本発明で用いる多孔性軟質材料の硬さは、好ましくは10〜200Nである。硬さの下限は、より好ましくは15Nであり、更に好ましくは20Nであり、特に好ましくは25Nである。硬さの上限は、より好ましくは150Nであり、更に好ましくは100Nである。
【0035】
本明細書において、硬さとは、JIS K 6400:1997に準じて実施する、後述の実施例5に記載の方法で測定した値を意味する。すなわち、被検体(80×80×20mmを2枚重ねたもの)を試験機の台上に置き、加圧板(直径33.7mm)をサンプル片の上面に載せて荷重を0.2Nにしたときの厚さを0.1mmまで読み取り、これを初めの厚さとする。次に加圧板を毎分100±20mmの速さで10mm押し込んだ後、直ちに荷重を除き、再び加圧板を100±20mmの速さで30mmまで押し込み、静止後20秒経過した時の荷重を読み取る。
【0036】
本発明で用いる多孔性軟質材料の反発弾性は、好ましくは10〜100である。その下限は、より好ましくは20であり、更に好ましくは30である。
本明細書において、反発弾性とは、JIS K 6400:1997に準じて実施する、後述の実施例6に記載の方法で測定した値を意味する。すなわち、被検体(80×80×20mmを2枚重ねたもの)から476mm上の距離にJISB1501に規定される5/8並球の鋼球を設置し、自由落下させ、跳ね上がった鋼球の最上面を測定する。サンプル片から16mmの位置を0として、476mmの位置を100として、数値化する。
【0037】
本発明で用いる多孔性軟質材料は、これまで述べた一時貯液性、保形性、柔軟性以外に、所望により、変形性、滅菌処理に対する耐性、非固着性、耐久性、適度な膨潤性、間接的吸液性を有することが好ましい。なお、本発明の臓器間スペーサーは、鏡視下手術の間だけ、体内で使用することを念頭においた手術用具であり、手術目的が完了したところで体外に取り出すことを前提としているため、本発明で用いる多孔性軟質材料は、生分解性である必要はない。むしろ、強度又はコストなどの点から、非生分解性であることが好ましい。
【0038】
本明細書において変形性とは、トロッカー経由で体内へ挿入する際に、トロッカーを通過可能な形状に変化させることのできる性質を意味する。変形させることなく、そのままの形状でトロッカーを通過可能である形状及びサイズを有する場合には、必ずしも変形性は必要でない。なお、この変形性と、先述の保形性とは、一見、矛盾する性質に見えるが、本明細書における保形性とは、先述のとおり、鏡視下手術中に予想される各種外的圧力が荷重された場合に、その形状を実質的に保持することができる性質を意味するのに対して、本明細書における変形性とは、前記のとおり、トロッカーを通過させるために、極めて高い荷重(すなわち、鏡視下手術中に予想される外的圧力よりも極めて高い荷重)をかけることにより形状を変化させるものである。従って、変形性と保形性とは矛盾する性質ではない。
【0039】
また、滅菌処理に対する耐性(例えば、耐熱性、耐薬品性、耐UV性)を有することにより、滅菌した状態で製品を提供することができる。更に、非固着性を有することにより、臓器への固着を防止することができる。
【0040】
また、充分な耐久性を有することにより、鉗子等によりその一部を掴んでも、ちぎれたりすることがなく、あるいは、体内での溶解、崩壊等を回避し、体内へ残留することを防止することができるため、鏡視下手術で安全に使用することができる。
前記耐久性は、例えば、引張り強度により評価することができる。本発明で用いる多孔性軟質材料の引張り強度は、好ましくは5N以上であり、より好ましくは8N以上であり、より好ましくは10N以上であり、より好ましくは20N以上であり、更に好ましくは23N以上である。また、その上限は、好ましくは200Nであり、より好ましくは150Nであり、更に好ましくは100Nであり、特に好ましくは50Nである。
【0041】
本明細書において、引張り強度とは、JIS K 6400−5:2004により測定した値を意味する。その概要は、厚さ1cmで2号型の試験片を作製し、毎分500mmで引張り、試験片が破断されるまでの最大荷重を測定する。
【0042】
本発明で用いる多孔性軟質材料の膨潤度は、好ましくは50%〜150%であり、より好ましくは90%〜110%であり、更に好ましくは95%〜105%である。
本明細書において、膨潤度とは、後述の実施例8に記載の方法で測定した値を意味する。すなわち、100mL容ビーカーに人工血液50mLを入れる。縦、横、高さの寸法を予め測定したサンプル(約20mm×20mm×10mm)を、人工血液を入れたビーカーに静かに落とし、3分間放置後、ピンセットで静かに取り出し、金網上に30秒間置いて人工血液を滴下させた後、再び、サンプルの寸法を測定する。
下記式:
(Vw/Vd)×100(%)
[式中、Vwは、吸液後のサンプル体積であり、Vdは、吸液前のサンプル体積である]
で求められる値を膨潤度(%)とする。
【0043】
本明細書において、間接的吸液性とは、後述の実施例9に記載の方法で評価した性能を意味する。すなわち、人工血液50mLを入れた12cm×23cm×5cmの容器に、サンプル(直方体形状、80mm×80mm×20mm)を静置し、サンプルの上面を繰り返し押し込むことにより、前記サンプルに人工血液を充分に吸液させる。サンプルの周りに、サンプルに吸液されなかった人工血液が充分に残っていることを確認した後、吸引嘴管の先端をサンプル中央部に当て、−600〜−650mmHg(−80〜−85kPa)で減圧下、押し込みながら、人工血液を吸引する。サンプル中及びサンプル周辺の人工血液の全量が、充分に時間をかけて吸引したとき、除去されるか否かを確認する。前記の吸引時間は1分間とし、1分以内にサンプル周辺の人工血液が除去された場合、間接的吸引性を有すると判定し、1分間の吸引の後でも、サンプル周辺の人工血液が除去されずに残っていた場合、間接的吸引性を有しないと判定する。
多孔性軟質材料が間接的吸液性を示すと、吸引除去対象である血液あるいは胆汁、腸液などの浸出液、もしくは臓器を洗浄する等のために用いる生理食塩水等を直接的に吸引する必要がなくなり、保液手段を介して間接的に浸出液を除去できるため、組織等を傷つける危険性を回避することができる。
【0044】
本発明で用いる多孔性軟質材料は、これらの各種性質を有していることにより、先述した鏡視下手術に特有の各種の問題点を解決することができる。これらの各種性質の中でも、単に、吸液性及び保液性に優れているだけでは、鏡視下手術用の臓器間スペーサーとしては充分ではなく、特に、離液性、間接吸液性、及び強度(例えば、引張り強度)等の性質が重要である。
【0045】
本発明で用いる多孔性軟質材料としては、例えば、医療用に使用可能な各種スポンジ[軟質発泡体(フォーム)]を挙げることができる。より具体的な素材としては、これまで述べた各種性質を有する限り、例えば、ポリウレタン(低離液性ポリウレタン又は高離液性ポリウレタン)、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリエチレン等を用いることができ、ポリウレタンが特に好ましい。
【0046】
これまで述べた各種性質(特に、離液性、強度、間接吸液性等)を総合すると、本発明で用いる多孔性軟質材料としては、高離液性ポリウレタンが好ましい。例えば、後述の実施例で使用した高離液性ポリウレタン(例えば、サンプルB、サンプルC、サンプルD、サンプルE、サンプルb)を挙げることができる。これらの高離液性ポリウレタンの中でも、更に引張り強度の点を考慮すると、サンプルB、サンプルEが好ましい。あるいは、間接的吸液性の点を考慮すると、サンプルB、サンプルC、サンプルDが好ましい。従って、これらを全て総合的に判断すると、サンプルBが最も好ましい。
【0047】
本発明で用いることのできる高離液性ポリウレタンの各種性能を、本発明で利用可能な一般的なポリウレタンの各種性能と共に、表1に示す。なお、表1におけるI欄は、サンプルB、サンプルC、サンプルD、サンプルE、サンプルbに共通する好適範囲であり、II欄は、サンプルB、サンプルC、サンプルD、サンプルEに共通する更なる好適範囲であり、III欄は、サンプルB、サンプルEに共通する更なる好適範囲である。また、IV欄は、一般的なポリウレタンに関するものである。
【0048】
【表1】

【0049】
また、後述の実施例にも示すとおり、ポリウレタンbと低離液性ポリウレタンAとを比較すると、吸液性、引張り強度などの点で、低離液性ポリウレタンが優れている。また、臓器圧排用パッドに使用されるポリビニルアルコールと低離液性ポリウレタンとを比較すると、柔軟性(例えば、硬さ、反発弾性)、圧縮残留歪みなどの点で、低離液性ポリウレタンが優れている。臓器圧排用パッドに使用されるセルロース(例えば、オペスポンジX;白十字)と低離液性ポリウレタンとを比較すると、機械強度の点で、低離液性ポリウレタンが優れている。また、離液性の点では、高離液性ポリウレタンが優れている。
【0050】
図1に、本発明の臓器間スペーサーの一態様を模式的に示す。また、図1に示す臓器間スペーサーの平面図、底面図、及び側面図を、それぞれ、図2〜図4に示す。
図1に示す臓器間スペーサー10は、保液手段として機能するスポンジ本体1と、把持用紐2とからなる。スポンジ本体1は、上面1a及び下面1bが正方形である四角柱形状であり、上面1aから下面1bに貫通する一対の貫通孔3a、3bが設けられている。紐2は、X線造影糸を含んでおり、スポンジ本体1の上面1aの近傍空間、一方の貫通孔3a内、下面1bの近傍空間、もう一方の貫通孔3b内をこの順に結ぶ閉環構造からなる。
【0051】
紐2は、貫通孔3a、3b内でスポンジ本体1に固定することもできるし、あるいは、固定しないでおくこともできる。紐2をスポンジ本体1に固定した場合には、上面1aから突出した概略円弧部分2aの長さと、下面1bから突出した概略直線部分2bの長さは、それぞれ、使用中に不変である。一方、紐2をスポンジ本体1に固定しない場合には、使用前及び/又は使用中に、それぞれの長さを変化させることができる。また、一方の面(上面1a)から突出した部分(概略円弧部分2a)のみを把持部として機能するように、紐の長さを調節して設けることもできる(図4参照)し、あるいは、両方の面(上面1a及び下面1b)からそれぞれ突出した部分を、それぞれ把持部として機能するようにすることもできる。
【0052】
スポンジ本体1は、鏡視下手術において、臓器を傷つけることなく、愛護的に圧排することにより、手術に必要なスペースを確保するためのスペーサーとして機能することができる。また、鏡視下手術において、臓器を保護するための保護材や、血液や浸出液の吸収材として機能することができる。
【0053】
本発明の臓器間スペーサーにおける保液手段(例えば、スポンジ本体)の大きさは、鏡視下手術において体表面の切開した箇所から、圧縮して、又は巻いて、又は折り畳んで、あるいは、そのままで挿入可能である限り、特に限定されるものではない。鏡視下手術における一般的な切開創は、最大で40mmであり、通常では5〜12mmであり、最小で2mmである。また、一般的なトロッカーの直径は、通常で2〜30mmであり、好ましくは5〜12mmである。切開創の大きさ又はトロッカー径に応じて、保液手段の大きさを適宜決定することができる。例えば、厚みとしては、一般的に、0.5〜10cmの範囲で選択することができる。また、直方体形状の場合、一般的に、5cm×5cm×0.5cm〜10cm×10cm×10cmの範囲で選択することができる。なお、本発明の臓器間スペーサーを体内から取り出す場合には、圧縮して、又はそのままで、あるいは、電気メス等により複数の小片に切断した後、切開創又はトロッカー経由で取り出すことができる。
【0054】
本発明の臓器間スペーサーに所望により設けることのできる把持用紐の材質は、手術中に鉗子で把持することによりスポンジ本体を自在に移動可能である限り、特に限定されるものではないが、例えば、繊維、軟質プラスチック、硬質プラスチック、金属等を用いることができる。把持形状を維持できる硬質材質を用いる場合には、把持用紐の把持が容易であり、且つ、スポンジ本体の移動もスムーズに行うことができる。把持形状が維持されない軟質材質を用いる場合には、臓器損傷のリスクを低減することができる。
【0055】
本発明の臓器間スペーサーにおける把持用紐の長さは、鏡視下手術において保液手段を移動させるために、鉗子により把持可能である限り、特に限定されるものではないが、保液手段の表面から(図4における長さL)、好ましくは1mm〜100mmであり、より好ましくは10mm〜50mmである。
【0056】
本発明では、把持用紐を介して保液手段を移動させることができるように、把持用紐が保液手段の表面に設けられている限り、把持用紐と保液手段との連結方法は特に限定されるものではない。例えば、保液手段に1又は複数の貫通孔を設け、貫通孔に紐を通した後、閉環状とすることにより連結する方法、保液手段を2分割し、その間に紐を挟み込むことにより連結する方法、保液手段の1又は複数の表面に、接着手段(例えば、接着テープ、接着剤、又は熱融着)により直接紐を連結する方法などを挙げることができる。接着剤等を利用する必要がない点で、スポンジ本体に貫通孔を設け、貫通孔に紐を通した後、閉環状とすることにより連結する方法が好ましい。
紐は一重または二重以上に通した状態で把持用紐とすることができる。二重以上に通すことにより、例えば、X線撮影の際に映し出される造影の強度を上げることができ、あるいは、臓器間スペーサーに対する安定感を上げる(把持用紐と保液手段との接触面積が増加することにより、保液手段が引き裂かれるリスクを低減することができる)などの効果を期待することができる。なお、二重以上に通す場合には、前記効果とコストの面から、特に二重にすることが好ましい。
【0057】
本発明の臓器間スペーサーにおける把持用紐に内包させることのできるX線造影剤としては、例えば、硫酸バリウム、あるいは、硫酸バリウムに、ポリアミド、ポリプロピレン、又は合成ゴムを混ぜ合わせたものを用いることができる。X線造影剤を把持用紐に内包させる方法としては、例えば、X線造影糸で把持用紐を形成する方法、X線造影糸を把持用紐内に封入する方法などを挙げることができる。
また、X線造影剤の機能を本発明の臓器間スペーサーに持たせるためには、前記把持用紐を用いる他、スポンジ原料にX線造影剤を混ぜた後スポンジを形成させる方法や、X線造影剤をスポンジ内部に注入させる方法や、X線造影剤を含んだ紐、棒、シートをスポンジ内部に挿入させる方法や、X線造影剤を含んだタグを付ける方法や、ステープラーにX線造影剤を添付やコーティング等させて付け加える方法や、前記把持用紐と同様の方法にて作成したX線造影糸をスポンジに縫い込む方法など、特にその方法は限定しない。
【0058】
本発明の臓器間スペーサーにおける保液手段(例えば、スポンジ本体)の形状は、鏡視下手術において臓器の圧排に用いることのできる形状であれば、特に限定されるものではないが、例えば、
上面及び下面が多角形[例えば、三角形、正方形、長方形、平行四辺形(好ましくは菱形)、台形、正六角形]である角柱形状、
底面が多角形[例えば、三角形、正方形、長方形、平行四辺形(好ましくは菱形)、台形、正六角形]である角錐形状、切頭(truncated)角錐台形状、若しくは双角錐(2つの角錐の底面同士を接触させてできる立体)形状、
上面及び下面が円若しくは楕円である円柱形状、
底面が円又は楕円である円錐形状、切頭円錐台形状、若しくは双円錐(2つの円錐を底面同士を接触させてできる立体)形状、
上面及び下面が部分円若しくは部分楕円[例えば、半円、半楕円、扇形、弓形(円弧と弦に囲まれた形状)]である部分円柱形状、
底面が部分円若しくは部分楕円[例えば、半円、半楕円、扇形、弓形(円弧と弦に囲まれた形状)]である部分円錐形状、部分切頭円錐台形状、若しくは部分双円錐形状、
球体若しくはその部分形状[半球体、球冠(球体を1つの平面で切断して生じる立体の各々)、球帯(球体を、平行する2平面で切断した際に、前記2平面間に生じる立体)]、楕円球体(若しくは卵形状)若しくはその部分形状、
正八面体(正三角形8面からなる)、正十二面体(正五角形1b面からなる)、若しくは正二十面体(正三角形20面からなる)
等を挙げることができる。なお、薄いシート状、紐状、帯状などの形状は、臓器間に必要なスペースを形成することができず、本発明の臓器間スペーサーの形状としては好ましくない。
図5に示す楕円球体の部分形状(例えば、楕円球体を平面で2つに等分割した場合の一方)や、半球体は、平面側(図5における1c)を下にした場合に、安定性に優れていると共に、臓器と接触する面(図5における1d)が曲面となるため、好ましい。
【0059】
本発明の臓器間スペーサーを体内へ挿入する際には、体表面の切開箇所から(好ましくはトロッカーを介して)、圧縮した状態で、又は巻いた状態で、又は折り畳んだ状態で、形態を変化させた状態で、あるいは、そのままの状態で、挿入することができる。より具体的には、例えば、軟質樹脂製の袋内に真空パックにより圧縮した状態で、若しくは、その袋から取り出して、体内へ挿入する方法、あるいは、本発明の挿入具を用いて体内へ挿入する方法、挿入時に形態を変化させる方法などを挙げることができる。
【0060】
本発明の挿入具は、本発明の臓器間スペーサーをその内部に収納可能な筒状収納部を少なくとも備えている限り、特に限定されるものではなく、前記筒状収納部に加えて、例えば、前記筒状収納部に収納された状態の臓器間スペーサーを押し出すための押出手段を備えるイントロデューサー型挿入具、臓器間スペーサーを筒状収納部内に引込むための引込手段を備える第1のエキストラクター型挿入具、筒状収納部の一方の端部に漏斗部を設ける第2のエキストラクター型挿入具などを挙げることができる。
【0061】
前記筒状収納部は、本発明の臓器間スペーサーを、圧縮して、又は巻いて、又は折り畳んで、あるいは、そのままで収納することができる限り、その形状は特に限定されるものではなく、例えば、横断面が円又は楕円である円筒形状、横断面が多角形である筒状形状などを挙げることができる。筒状収納部の大きさは、その全体及び一部がトロッカー内に挿入可能である限り、特に限定されるものではない。例えば、筒状収納部が円筒形状である場合には、筒状収納部の外径をトロッカーの内径よりも小さくすることにより、トロッカー内に挿入することができる。
【0062】
筒状収納部及び押出手段を備えるイントロデューサー型挿入具としては、例えば、図6に示す挿入具を挙げることができる。図6に示すイントロデューサー型挿入具20は、臓器間スペーサー(図示せず)を内部に収納可能な筒状収納部21と、前記筒状収納部内に収納された状態の臓器間スペーサーを押し出すことのできる押出手段22とからなる。前記押出手段は、臓器間スペーサーと直接接触する押圧パッド22a、前記押圧パッドと連結する押圧ロッド22b、前記押圧ロッドのもう一方の端部と連結する操作持ち手22cとからなる。本発明では、臓器間スペーサーをイントロデューサー型挿入具に予め挿入した状態で提供することもできるし、あるいは、臓器間スペーサーとイントロデューサー型挿入具とを分離した状態で提供し、鏡視下手術の際に、臓器間スペーサーを挿入具内にセットすることもできる。
【0063】
筒状収納部及び引込手段を備える第1のエキストラクター型挿入具としては、例えば、図7に示す挿入具を挙げることができる。図7に示すエキストラクター型挿入具30は、臓器間スペーサー(図示せず)を内部に収納可能な筒状収納部31と、臓器間スペーサーを前記筒状収納部の内部に引込むことのできる引込手段32とからなる。引込手段32は、臓器間スペーサーを掴むことのできる把持部32a、前記把持部を操作するためのつまみ部32c、把持部とつまみ部とを連結する連絡部32bとからなる。つまみ部32cを引き出す(すなわち、図7において矢印Aで示す方向に移動させる)と、連絡部32bも矢印A方向に移動し、把持部32aの先端が閉じ、臓器間スペーサーを掴むことができる。つまみ部32cを更に引き出すと、把持部32aに把持された臓器間スペーサーを筒状収納部31内まで引込むことができる。筒状収納部31内に収納した臓器間スペーサーは、引込手段32を挿入具30から取り外し、代わりに、適当な押出手段(図示せず)を用いることにより、筒状収納部31から押し出すことができる。
【0064】
筒状収納部及び漏斗部を備える第2のエキストラクター型挿入具としては、例えば、図8及び図9に示す挿入具を挙げることができる。図8及び図9に示すエキストラクター型挿入具40は、臓器間スペーサー(図示せず)を内部に収納可能な筒状収納部41と、その一方の端部41aに設ける漏斗部42とからなる。図8に示す漏斗部42の漏斗本体42aは、スライド可能なつまみ部42bを操作することにより、図9に示すように、筒状収納部41内に収納することが可能である。臓器間スペーサーを筒状収納部内に収納する場合は、図8に示すように、漏斗本体42aを開放することにより、端部41a側から筒状収納部内に収納することができる。一方、臓器間スペーサーを筒状収納部から押し出す場合には、図9に示すように、漏斗本体42aを筒状収納部41内に収納した状態で、端部41a又は41bのいずれか一方から、適当な押出手段を筒状収納部41に挿入することにより、逆の端部から臓器間スペーサーを筒状収納部外へ押し出すことができる。
【0065】
本発明のエキストラクター型挿入具(第1及び第2のエキストラクター型挿入具を含む)は、臓器間スペーサーを体内へ挿入する際に使用することができるだけでなく、手術後に臓器間スペーサーを体外へ取り出す場合にも、同様の操作により、臓器間スペーサーを筒状収納部内に収納することができるため、体内挿入及び体外取出しの両方の用途に使用することができる。
【0066】
例えば、図7に示すエキストラクター型挿入具の場合、把持部32aが設けられている側の端部31aを、体表面の切開箇所から(例えば、トロッカーを介して)体内に挿入し、引込手段32を操作することにより、体内から臓器間スペーサーを筒状収納部31内に回収することができる。
あるいは、図8及び図9に示すエキストラクター型挿入具の場合、端部41a側を、体表面の切開箇所から体内に挿入し、漏斗本体42aを開放することにより、体内から臓器間スペーサーを筒状収納部41内に回収することができる。この場合、図7に示す引込手段32を筒状収納部41の端部41b側から挿入することにより、より容易に、臓器間スペーサーを筒状収納部41内に回収することができる。
【0067】
本発明の鏡視下手術用キットは、本発明の臓器間スペーサーと、本発明の挿入具とを含む限り、特に限定されるものではない。本発明の鏡視下手術用キットは、始めから臓器間スペーサーを挿入具内にセットした状態で提供することもできるし、あるいは、臓器間スペーサーと挿入具とを分離した状態で提供し、鏡視下手術の際に、臓器間スペーサーを挿入具内にセットすることもできる。滅菌処理が可能な点で、臓器間スペーサーを挿入具内にセットした状態で提供することが好ましい。
【実施例】
【0068】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0069】
《実施例1:吸液性の評価》
本実施例及び以下の各実施例では、多孔性軟質材料として、低離液性ポリウレタン(タフポンジ;ホギメディカル)、開腹手術用の高離液性ポリウレタン、ポリビニルアルコール(レトラクターパッド;平和医療器械)の3種類(以下、サンプルセットAと称する)を使用した。
また、別のサンプルセットとして、前記低離液性ポリウレタン(タフポンジ;ホギメディカル。以下、サンプルAと称することがある)、異なる4種類の高離液性ポリウレタン(以下、サンプルB〜Eと称することがある)、ポリエチレン(以下、サンプルFと称することがある)の6種類(以下、サンプルセットBと称する)を使用した。サンプルセットA及びBで用いた各多孔性軟質材料の主な性能を表2に示す。なお、表2における伸びは、JIS K 6400−5:2004に従って、測定した。
【0070】
【表2】

【0071】
(1)サンプルセットAにおける吸液性の評価
人工血液に浸す前のサンプル(直方体形状、20mm×20mm×10mm)の重量(Wd、単位g)を測定した。続いて、人工血液[Synthetic blood reagent mix、 Johnson、 Moen&co.]50mLを入れた100mL容ビーカーに、前記サンプルを静かに落とし、3分間放置した後、ピンセットで静かに取り出し、金網上に30秒間置いて人工血液を滴下させた。サンプルを別のビーカーに入れ、その重量(Ww、単位g)を測定した。
吸液性は、下記式:
(Ww−Wd)÷Wd×100(%)
により算出した。
【0072】
結果を表3に示す。各材料について3つのサンプルを用意し、各サンプルにおける吸液性(%)の平均値を算出した。数値が高いほど、吸液性に優れていることを示す。
【0073】
【表3】

【0074】
(2)サンプルセットBにおける吸液性の評価
サンプル(直方体形状、50mm×50mm×20mm)は、人工血液を充分に吸液させた後、充分に絞っておいた。直径9cmのディスポーザブルシャーレの蓋を、裏返した状態で卓上に置き、その中に人工血液20mLを入れた。充分に絞っておいたサンプルを入れ、シャーレの本体底面でサンプルを5回押した。なお、サンプルを押す際は、サンプルが収縮しなくなるところまで押し、押す間隔は1秒間に約1回の割合とした。サンプルを取り出し、シャーレ蓋に残った人工血液の液量(V、単位mL)を測定した。
吸液性は、下記式:
(20mL−V)/20mL×100(%)
により算出した。
【0075】
結果を表4に示す。各材料について3つのサンプルを用意し、各サンプルにおける吸液性(%)の平均値を算出した。数値が高いほど、吸液性に優れていることを示す。
【0076】
【表4】

【0077】
《実施例2:保液性の評価》
人工血液を吸液させる前のサンプル(直方体形状、20mm×20mm×80mm)の重量(Wd、単位g)を測定した。人工血液[Synthetic blood reagent mix、 Johnson
、 Moen&co.]を充分に吸液させた後、その重量(Ww、単位g)を測定した。続いて、
塩化ビニル製の板の上に置き、板を45°に傾けた状態で3分間静置した後、サンプルの重量(W、単位g)を測定した。
保液性は、下記式:
(W−Wd)÷(Ww−Wd)×100(%)
により算出した。
【0078】
サンプルセットAに関する結果を表5に、サンプルセットBに関する結果を表6に、それぞれ示す。各材料について3つのサンプルを用意し、各サンプルにおける保液性(%)の平均値を算出した。数値が高いほど、保液性に優れていることを示す。
【0079】
【表5】

【0080】
【表6】

【0081】
《実施例3:離液性の評価》
人工血液を吸液させる前のサンプル(直方体形状、20mm×50mm×50mm)の重量(Wd、単位g)を測定した。人工血液[Synthetic blood reagent mix、 Johnson、 Moen&co.]を充分に吸液させた後、プラスチック製の板の上に置き、その重量(Ww、単位g)を測定した。ヤンカーサクションの先端をサンプル中央部に当て、−600〜−650mmHg(−80〜−85kPa)で減圧下、押し込みながら1分間、人工血液を吸引した。吸引後のサンプル重量(Ws、単位g)をプラスチック製板に載せたまま、測定した。
離液性は、下記式:
(Ww−Ws)÷(Ww−Wd)×100(%)
により算出した。
【0082】
サンプルセットAに関する結果を表7に、サンプルセットBに関する結果を表8に、それぞれ示す。各材料について3つのサンプルを用意し、各サンプルにおける離液性(%)の平均値を算出した。数値が高いほど、離液性に優れていることを示す。
【0083】
【表7】

【0084】
【表8】

【0085】
《実施例4:圧縮残留歪みの評価》
試験片(50mm×50mm×20mm)の中央部の厚さを、フォームを変形させない状態でノギスを用いて0.1mmまで測定した(t)。続いて、試験片を2枚の圧縮板を用いて試験片の厚さを50%まで圧縮させた。少なくとも15分以内に圧縮状態のまま温度70±1℃の恒温槽中に入れ、22時間加熱した。試験装置を恒温槽から取り出して、1分以内に試験片を圧縮板から取り出し、塩化ビニル板の上に置いた。試験片を温度23±2℃、相対湿度50±5%(16時間以上調整した槽内)で30分間放置し回復させた後、同じ箇所の厚さを0.1mmまで測定した(t)。
圧縮残留歪み(%)は、下記式:
(t−t)÷t×100(%)
で計算した。
【0086】
サンプルセットAに関する結果を表9に、サンプルセットBに関する結果を表10に、それぞれ示す。各材料について3つのサンプルを用意し、各サンプルにおける圧縮残留歪み(%)の平均値を算出した。ポリビニルアルコールでは、70℃処理により水分が除去され乾燥してしまい、柔軟性を失っていた。圧縮残留歪みの数値が低いほど、保形性に優れていることを示す。
【0087】
【表9】

【0088】
【表10】

【0089】
《実施例5:硬さ(柔軟性)の評価》
80×80×20mmのサンプル片を2枚重ねたものを被検体とした。前記被検体(厚さ40mm)を試験機の台上に置き、加圧板(直径33.7mm)をサンプル片の上面に載せて荷重を0.2Nにした。次に加圧板を毎分100±20mmの速さで10mm押し込んだ後、直ちに荷重を除き、再び加圧板を100±20mmの速さで30mm押し込み、静止後20秒経過した時の荷重(N)を読み取った。
サンプルセットAに関する結果を表11に、サンプルセットBに関する結果を表12に、それぞれ示す。各材料について3つのサンプルを用意し、各サンプルにおける硬さ(N)の平均値を算出した。
【0090】
【表11】

【0091】
【表12】

【0092】
《実施例6:反発弾性の評価》
80×80×20mmのサンプル片を2枚重ねたものを被検体とした。前記被検体から476mm上の距離にJISB1501に規定される5/8クロム鋼球を設置し、自由落下させ、跳ね上がった鋼球の最上面を測定した。サンプル片から16mmの位置を0として、476mmの位置を100として、数値化した。
サンプルセットAに関する結果を表13に、サンプルセットBに関する結果を表14に、それぞれ示す。各材料について3つのサンプルを用意し、各サンプルにおける反発弾性の平均値を算出した。
【0093】
【表13】

【0094】
【表14】

【0095】
《実施例7:引張り強度の評価》
JIS K 6400−5:2004に従って、厚さ1cmで2号型の試験片を作製した。毎分500mmで引張り、試験片が破断されるまでの最大荷重を測定した。
サンプルセットAに関する結果を表15に、サンプルセットBに関する結果を表16に、それぞれ示す。各材料について3つ(サンプルセットA)又は5つ(サンプルセットB)のサンプルを用意し、各サンプルにおける引張り強度(N)の平均値を算出した。
【0096】
【表15】

【0097】
【表16】

【0098】
《実施例8:膨潤度の評価》
100mL容ビーカーに人工血液[Synthetic blood reagent mix,Johnson, Moen&co.]50mLを入れた。縦、横、高さの寸法を予め測定したサンプル(約20mm×20mm×10mm)を、人工血液を入れたビーカーに静かに落とし、3分間放置後、ピンセットで静かに取り出し、金網上に30秒間置いて人工血液を滴下させた後、再び、サンプルの寸法を測定した。
膨潤度は、下記式:
(Vw/Vd)×100(%)
[式中、Vwは、吸液後のサンプル体積であり、Vdは、吸液前のサンプル体積である]
により算出した。
サンプルセットBに関する結果を表17に示す。各材料について3つのサンプルを用意し、各サンプルにおける膨潤度(%)の平均値を算出した。
【0099】
【表17】

【0100】
《実施例9:間接的吸液性の評価》
人工血液50mLを入れた12cm×23cm×5cmの容器に、サンプル(直方体形状、80mm×80mm×20mm)を静置し、サンプルの上面を繰り返し押し込むことにより、前記サンプルに人工血液を充分に吸液させた。サンプルの周りに、サンプルに吸液されなかった人工血液が充分に残っていることを確認した後、吸引嘴管の先端をサンプル中央部に当て、−600〜−650mmHg(−80〜−85kPa)で減圧下、押し込みながら、人工血液を吸引した。サンプル中及びサンプル周辺の人工血液の全量が、充分に時間をかけて吸引したとき、除去されるか否かを確認した。
結果を表18に示す。なお、前記時間は1分間とし、表中に示す記号[−]は、1分間の吸引の後でも、サンプル周辺の人工血液が除去されずに残っていたことを意味する。
【0101】
【表18】

【0102】
《実施例10:臓器間スペーサーの作製》
実施例1〜9の評価に使用した低離液性ポリウレタン及び高離液性ポリウレタンを、以下の形状及びサイズに切り出すことにより、本願発明の臓器間スペーサーを作製した。
(A)直方体形状:縦×横×厚さの長さ
(1)50mm×50mm×5mm、(2)50mm×50mm×10mm、
(3)50mm×50mm×20mm、(4)50mm×50mm×30mm、
(5)50mm×50mm×50mm、
(6)80mm×80mm×5mm、(7)80mm×80mm×10mm、
(8)80mm×80mm×20mm、(9)80mm×80mm×30mm、
(10)80mm×80mm×50mm、
(11)100mm×100mm×5mm、(12)100mm×100mm×10mm、
(13)100mm×100mm×20mm、(14)100mm×100mm×30mm、
(15)100mm×100mm×50mm
(B)立方体形状:1辺の長さ
(1)20mm、(2)30mm、(3)40mm、(4)50mm、
(5)80mm、(6)100mm
(C)円盤形状:直径×厚さ
(1)直径50mm×厚さ5mm、(2)直径50mm×厚さ10mm、
(3)直径50mm×厚さ20mm、(4)直径50mm×厚さ30mm、
(5)直径50mm×厚さ50mm、
(6)直径80mm×厚さ5mm、(7)直径80mm×厚さ10mm、
(8)直径80mm×厚さ20mm、(9)直径80mm×厚さ30mm、
(10)直径80mm×厚さ100mm、
(11)直径100mm×厚さ5mm、(12)直径100mm×厚さ10mm、
(13)直径100mm×厚さ20mm、(14)直径100mm×厚さ30mm、
(15)直径100mm×厚さ50mm
【0103】
前記臓器間スペーサーの内、低離液性ポリウレタンについては(A)直方体形状の(1)、(2)、(6)、(7)、(B)立方体形状の(1)、(C)円盤形状の(1)、(2)、(6)、(7)について、手で変形させた状態で、内径11mmの筒状収納部の一端から押し込むことにより、筒状収納部内に挿入することができた。また、高離液性ポリウレタンについては、(A)直方体形状の(1)、(2)、(3)、(C)円盤形状の(1)、(2)、(3)について、手で変形させた状態で、内径11mmの筒状収納部の一端から押し込むことにより、筒状収納部内に挿入することを確認できた。
また、(A)直方体形状の(3)、(4)、(11)、(12)、(B)立方体形状の(2)、(C)円盤形状の(3)、(4)、(11)、(12)について、同様にして、内径15mmの筒状収納部内に挿入することができた。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の臓器間スペーサーは、鏡視下手術の用途に適用することができる。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一時貯液性を有する多孔性軟質材料からなる保液手段を含む、鏡視下手術用の臓器間スペーサーであって、前記多孔性軟質材料の吸液性が、吸液前の乾燥重量(自重)に対する液体吸収能力として、自重の100〜5000%であり、前記多孔性軟質材料の保液性が90〜100%であり、前記多孔性軟質材料の離液性が10〜100%であることを特徴とする、前記の鏡視下手術用臓器間スペーサー。
【請求項2】
前記多孔質性軟質材料がポリウレタン又はセルロースである、請求項1に記載の鏡視下手術用臓器間スペーサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−120952(P2011−120952A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30798(P2011−30798)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【分割の表示】特願2009−548118(P2009−548118)の分割
【原出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(803000034)学校法人日本医科大学 (37)
【出願人】(000137052)株式会社ホギメディカル (31)
【Fターム(参考)】