鏡開き装置
【課題】視覚的に強く魅了させ得る鏡開きを実現させる鏡開き装置を提供する。
【解決手段】鏡開き装置30は、上面に開口部を有する略円筒形状の樽枠部材31と、樽枠部材31の開口部を覆うように設けられる鏡蓋1と、該鏡蓋1に回転力を与えて回転させる弾性部材21と、樽枠部材31の内部に設けられ、鏡蓋1の下方側から外力を加える押し上げ装置40と、樽枠部材31の内部に設けられ、開放された開口部から紙片を上方に放出する放出装置50とを備える。
【解決手段】鏡開き装置30は、上面に開口部を有する略円筒形状の樽枠部材31と、樽枠部材31の開口部を覆うように設けられる鏡蓋1と、該鏡蓋1に回転力を与えて回転させる弾性部材21と、樽枠部材31の内部に設けられ、鏡蓋1の下方側から外力を加える押し上げ装置40と、樽枠部材31の内部に設けられ、開放された開口部から紙片を上方に放出する放出装置50とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、祝宴や興行の打ち上げなどといった種々の行事に用いられる鏡開き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、正月のみならず、祝宴、祝賀会、興行の始めや打ち上げ、出初め式などの伝統的行事や社会的行事などにおいても、鏡開きという儀式が行われる。この鏡開きは、酒樽の上部に設けられた鏡蓋を木槌で叩き割ることによって、その行事の雰囲気を一気に盛大なものへと誘う。
【0003】
そのような鏡開きを行うための鏡開き用酒樽に関する内容が、たとえば、下記特許文献1に開示されている。特許文献1には、趣向的な小祝宴などにおいての演出効果を高めるための鏡開き用酒樽について開示されており、その鏡開き用酒樽には、お酒を収容する酒用容器を有する樽状本体部と、樽状本体部の上部に設けられ、複数の扇形状を有する分割蓋体を磁気的連結手段により連結して円盤形状に形成された鏡蓋とが備えられている。
【0004】
上記のような場合において、特許文献1の鏡開き用酒樽は、磁気的連結手段の連結する力を開放するように木槌で鏡蓋を叩くことにより、複数の分割蓋体の連結が解けて鏡蓋は外れ、鏡蓋が叩き割れたように見える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−14988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、鏡蓋は磁気的連結手段により連結されているだけであり、分割されやすくなっているものの、木槌で鏡蓋を叩いたときの豪快さやインパクトに欠けるものがあった。
【0007】
この発明の目的は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、視覚的に強く魅了させ得る鏡開きを実現させる鏡開き装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、種々の行事に用いられる鏡開き装置であって、上面に開口部を有する筒形状の樽枠部材と、前記樽枠部材の開口部を覆うように設けられ、外力が加えられることにより前記開口部を開放する鏡蓋と、前記樽枠部材の内部に設けられ、前記開放された開口部から複数の紙片を上方に放出する放出装置とを備えることを特徴とする。これによれば、鏡蓋を開放して、樽枠部材の開口部から複数の紙片を放出することにより、放出された複数の紙片が宙を舞い、通常の鏡開きとは異なる演出を実現することができる。
【0009】
また、前記樽枠部材の内部に設けられ、前記鏡蓋の下方側から前記外力を加える押し上げ装置を備えるが好ましい。これによれば、簡易な構成の機械的な力をきっかけに装置の開口部を開放することができる。
【0010】
また、前記鏡蓋は、各々が板形状を有し、平面方向における同一方向に隣接して並べられることで平板形状を形成する複数の板部材と、前記複数の板部材のうちの内側の各板部材と、前記内側の各板部材に隣接する外側の各板部材とを連結させる連結部材と、内側の各板部材に対して、隣接する外側の各板部材に向けて平面方向に引っ張る態様で力を与えるとともに、前記外力が加えられたときには前記連結部材を回転軸とした回転力を与えて回転させる弾性部材とを備えるのが好ましい。これによれば、弾性部材の作用により簡易な構成にして、装置の開口部を勢いよく開放することができる。
【0011】
また、前記放出装置は、前記複数の紙片を保持するホルダと、前記ホルダに保持される複数の紙片と当設するように設けられ、回転することにより当設する前記複数の紙片を順次放出するローラとを備えるのが好ましい。これによれば、簡易な構成にして、紙片を勢いよく放出することができる。
【0012】
また、放出装置および押し上げ装置は、リモートコントローラにより遠隔的に操作されるのが好ましい。これによれば操作者がリモートコントローラを操作することにより、紙片の放出タイミングや鏡蓋の開放タイミングにおいて正確に各処理を行うことができる。
【0013】
また、前記鏡蓋を叩く木槌と、所定の長さを有し、一方端が前記木槌に接続され、他方端が前記鏡蓋の所定の位置に接続される紐部材とを備え、前記木槌を前記鏡蓋から所定の距離だけ離すことにより、前記鏡蓋に前記外力を加えるのが好ましい。これによれば、非常に簡易な構成にして、人的な力をきっかけに装置の開口部を開放することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、鏡蓋を開放して、樽枠部材の開口部から複数の紙片を放出することにより、放出された複数の紙片が宙を舞い、通常の鏡開きとは異なる演出を実現するため、行事に参加している人たちを、視覚的に強く魅了させ得る鏡開きを実現させる鏡開き装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この実施形態における鏡開き装置の概略斜視図である。
【図2】鏡開き装置の概略平面図である。
【図3】鏡蓋の概略側面図である。
【図4】内側板部材を回転させる原理を段階的に示す概略図である。
【図5】鏡開き装置の内部の概略平面図である。
【図6】押し上げ装置の概略側面図である。
【図7】放出装置の概略側面図である。
【図8】押し上げ装置、放出装置およびリモコンの電気的構成を示すブロック図である。
【図9】リモコンの概略正面図である。
【図10】鏡開き装置の動作を段階的に示す概略図である。
【図11】鏡蓋の他の例を示す概略平面図である。
【図12】鏡蓋のさらに他の例を示す概略平面図である。
【図13】鏡開き装置の他の例の要部を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
鏡開き装置は、図1および図5に示すように、上面に開口部を有する略円筒形状の樽枠部材31と、樽枠部材31の開口部を覆うように設けられる鏡蓋1と、樽枠部材31の内部に設けられ、鏡蓋1の下方側から外力を加える押し上げ装置40と、樽枠部材31の内部に設けられ、開放された開口部から紙片を上方に放出する放出装置50とを備える。
【0018】
樽枠部材31は、図1に示すように、上面を開口させる開口部を有し、高さ方向に延在し、高さ方向の中間部近傍においてくびれを有する略円筒形状の側面部31aおよび底面部31bを備えた有底筒状に形成されている。開口部には、鏡蓋1を所定位置に載置させる縁部材31cが設けられている。また、図示しないが、側面部31aの外周には種々の装飾が施されている。たとえば、樽枠部材31の外周には、菰(むしろ)が巻きつけられていたり、樽枠部材31の側面部31aqの表面には、登録商標された酒名、会社名、模様などが表記されたりしている。
【0019】
鏡蓋1について、図1〜図4を参照しつつ具体的に説明する。なお、図1および図2などにおいて一点鎖線で示される線分Tは、内側板部材1bと内側板部材1cとの間における境界に沿って鏡開き装置を水平方向に2分する中央線を示し、中央線Tよりも外側板部材1aおよび内側板部材1b側を「左」側とし、中央線Tよりも外側板部材1dおよび内側板部材1c側を「右」側とする。鏡蓋1は、中央線Tを境に左右対称の構成を有する。従って、以下ではこのことに基づいて、適宜説明を省略する。
【0020】
この鏡蓋1は、図1および図2に示すように、平面方向における同一方向に隣接して並べられることで円盤形状を形成する外側板部材1a、内側板部材1b、内側板部材1c、外側板部材1dと、外側板部材1aおよび外側板部材1aに隣接する内側板部材1bを連結させる蝶番2a〜2c、また、外側板部材1dおよび外側板部材1dに隣接する内側板部材1cを連結させる蝶番2d〜2fとを備え、上方側にいわゆる観音開きするように、内側板部材1b,1cが回動可能に構成されている。
【0021】
また、外側板部材1aに設けられる固定部材3a,3bおよび外側板部材1dに設けられる固定部材3c,3dと、固定部材3a〜3dの各々に固定される引きばね部材4a〜4dと、引きばね部材4aと引きばね部材4bとを所定の経路で接続する弾性部材6a、および、引きばね部材4cと引きばね部材4dとを所定の経路で接続する弾性部材6bとを備える。
【0022】
また、外側板部材1a、内側板部材1b、内側板部材1c、外側板部材1dの各々は、所定の厚みの板形状を有し、図2に示すように、平面方向において幅L1を有する。また、外側板部材1a、内側板部材1b、内側板部材1c、外側板部材1dは、樽枠部材31の縁部材31cにより、円盤形状を形成した状態に載置される。外側板部材1a,1dについては、樽枠部材31の縁部材31cに固定されているため、外力を加えられても載置された状態を維持する。
【0023】
内側板部材1bは、外側板部材1aと隣接しており、上記したように、外側板部材1aと隣接する部分の上方側において蝶番2a〜2cにより連結されている。従って、蝶番2a〜2cを回転軸として、内側板部材1bは回動可能に構成されている。また、図2および図3に示すように、内側板部材1bは、下面側にストッパ部材5aを有する。ストッパ部材5aは、紐状部材を引っかけて保持できるように構成されている。また、内側板部材1bと隣接する側の内側板部材1cにおける端面7aは、端面7aの上端側が内側板部材1bの上面と鋭角をなすように形成されている。こうすることにより、内側板部材1bが回動する際に、隣接する内側板部材1cと接触しない。
【0024】
なお、内側板部材1cは、内側板部材1bと中央線Tについて左右対称であるだけであって、同様の構成を有するため、説明は省略する。なお、内側板部材1bの有する部材と対応する部材について、ストッパ部材5b、端面7bというように対応させて符号を付す。
【0025】
また、固定部材3a,3bは、図2に示すように、外側板部材1aの円盤形状の弧を形成する部分において、弧を略3等分にする2箇所に設けられる。固定部材3a,3bは、ある程度離れた位置から目視されても視認できない程度に透明性を有するのが好ましい。また、固定部材3a,3bは、外側板部材1aの上面あるいは側端面に設けられる。
【0026】
また、引きばね部材4a,4bの各々は、所定の付勢力を有し、固定部材3a,3bの各々に接続されている。また、引きばね部材4a,4bも同様、視認され得ない程度に透明性を有するのが好ましい。
【0027】
弾性部材6aは、内側の各板部材1b、1cに対して、隣接する外側の各板部材1a、1dに向けて平面方向に引っ張る態様で力を与えるとともに、上方の外力が加えられたときには蝶番2a〜2cを回転軸とした回転力を与えて回転させる状態で設けられる。
【0028】
具体的には、弾性部材6aは、図2および図3に示すように、引きばね部材4aの固定部材3a側とは反対側に連結され、外側板部材1aと隣接する内側板部材1bの表面を通過し、内側板部材1bにおける中央線T側の端面7aを経由して裏面に折り返し、ストッパ部材5aに引っ掛けられ、再び内側板部材1bの中央線T側の端面7aを折り返して内側板部材1bの表面を通過し、引きばね部材4bの固定部材3b側とは反対側に連結される。
【0029】
ここで、弾性部材6の作用について詳細に説明すると、図4(A)に示すように、弾性部材6aは自らの有する弾性力により、固定部材3bと連結された引きばね部材4bに接続されている位置P2において力S2を、内側板部材1bの端部の位置P1(中央線T側の端面上端部)において力S1を生じさせる。この図4(A)の状態において、弾性部材6a上に生じる力S1と力S2とは、外側板部材1aおよび内側板部材1bの形成する平面と略同一平面にあることより、弾性部材6aの弾性力は、つり合った状態(平衡状態)にある。従って、外側板部材1aおよび内側板部材1bは、図1〜図3および図4(A)に示されるような状態で静止する。
【0030】
上記したような平衡状態にある場合において、内側板部材1bの位置P1近傍に、図4(B)の下方から上方に向かって外力F0が加えられることにより、位置P1における力S1は蝶番2c(位置P3)を中心とした円C2の接線方向に分解される。ここにおいて接線方向に分解された力を力F1とすると、この力F1が蝶番2c(位置P3)を回転軸とした内側板部材1bにおいて回転するための力(すなわち、回転力)となり、上方(図4(B)における反時計方向)に向かって内側板部材1bが回動を始める。
【0031】
また、回動を始めた内側板部材1bは、図4(C)に示すように、さらに力S1の接線方向の分解成分の力F1によって回転する力が加えられ、勢いよく回動し、図4(D)に示すように、結果的に外側板部材1aと内側板部材1bとが対面するように衝突する。このとき、外側板部材1aと内側板部材1bとの衝突の際に、拍子木のたたく音のような高い衝撃音が発せられる。
【0032】
而して、平面方向に弾性力を保持していた弾性部材6aにより、内側板部材1bに対して上方に所定の外力F0が加えられると、内側板部材1bに所定の力(ここにおいては、回転する力)が弾性部材6aから与えられ、蝶番2a〜2cを回転軸として内側部材1bは回動する。
【0033】
なお、鏡蓋1の中央線Tより右側は、上記で説明した中央線Tより左側の構成と同様の構成を有するため、同様に、平面方向に弾性力を保持していた弾性部材6bにより、上方に所定の外力が加えられると、内側板部材1cに所定の力が弾性部材6bから与えられ、蝶番2d〜2fを回転軸として内側部材1cは回動する。
【0034】
このように弾性部材6の作用により簡易な構成にして、装置の開口部を勢いよく開放することができる。
【0035】
樽枠部材31の内部には、図5及び図6に示すように、押し上げ装置40および放出装置50が配置されている。
【0036】
押し上げ装置40は、押し上げ装置用制御装置41と、押し上げ装置用駆動部42と、押し上げ部材43とを備える。
【0037】
押し上げ装置用制御装置41は、押し上げ装置40の有する各構成(押し上げ装置用駆動部42を含む)の動作を制御する制御部41aと、後述するリモートコントローラ(以下「リモコン」という)70から信号を受信し、また、受信した信号に応じて押し上げ装置40の有する各構成に動作させるための信号を送信する送受信部41bとを備える(図8参照)。
【0038】
押し上げ装置用駆動部42は、押し上げ装置用制御装置41から駆動する旨の信号を受信して駆動する駆動モータ42aと、駆動モータ42aからの駆動力を伝達する複数のギアを収容したギアボックス42bと、ギアボックス42bを介して伝達される駆動力により回動するリフト部材42cとを備える。すなわち、この押し上げ装置用駆動部42は、押し上げ装置用制御装置41が送信した駆動する旨の信号に基づいて駆動モータ42aが駆動し、駆動モータ42aの駆動により、ギアボックス42bを介して、リフト部材42cを上方(図6においては反時計方向)に回転させる。
【0039】
押し上げ部材43は、図6に示すように、鏡蓋1の内側板部材1b,1cにおける両者の下方に位置する矩形状の押し上げ部43aと、押し上げ部43aから下方に延在する縦棒部43cと、縦棒部43cの下端に位置し、リフト部材42cと当設する下端部43bとを備える。押し上げ部材43は、透明なプラスチックで形成されている。また、縦棒部43cの周囲には、左右方向への移動を規制する留め具44が複数設けられている。留め具44は、たとえば、U字形状の金属部材であり、縦棒部43cの周囲をゆとりをもって囲み、樽枠部材31の内壁面に固定される。この留め具44により、押し上げ部材43における上下方向への移動が誘導される。すなわち、押し上げ部材43は、左右方向の動きは規制され、上下方向にのみ移動が自由である。
【0040】
上記したように、押し上げ装置40においては、押し上げ装置用制御装置41から送られる駆動する旨の信号に基づいて駆動モータ42aが駆動することにより、ギアボックス42bを介してリフト部材42cが上方(図6中においては矢印Z1の示す方向)に向かって回転する。リフト部材42cの回転により、押し上げ部材43の下端部43bが上方に持ち上げられて、図6において矢印Z2の示す方向に押し上げ部材43が上昇する。その結果、押し上げられた押し上げ部材43の押し上げ部43aが、上方に位置する鏡蓋1の内側板部材1b,1cの両者を下方から押し上げる。この押し上げ部材43による押し上げの力は、前述した鏡蓋1の内側板部材1b,1cに加えられる所定の外力となり、図6中の矢印Z3およびZ4に示すように、内側板部材1b,1cは観音開きして、鏡蓋1が開かれる。すなわち、機械的な力をきっかけに樽枠部材31開口部を開放することができる。
【0041】
なお、上記した押し上げ装置40は、押し上げ部43aが、鏡蓋1の内側板部材1bおよび内側板部材1cの両者を押し上げる位置に設けられる必要がある。すなわち、押し上げ部43aの上方には、少なくとも内側板部材1bおよび内側板部材1cの両者がともに配置される位置となるように、押し上げ装置40が配置される。なお、適宜押し上げ部43aの大きさを変更して対応するようにしてもよい。
【0042】
放出装置50は、図7に示すように、放出装置用制御装置51と、放出装置用制御装置51と各々導線51cを介して電気的に接続され、放出装置用制御装置51からの信号に応じて紙片Pを上方に放出する第1放出部52および第2放出部53とを備える。また、放出装置用制御装置51、第1放出部52、および、第2放出部53は、同一の基部54上に固定されている。
【0043】
放出装置用制御装置51は、放出装置50の有する各構成(駆動モータ524および駆動モータ534を含む)の動作を制御する制御部51aと、後述するリモコン70から信号を受信し、また、受信した信号に応じて放出装置50の有する各構成に動作させるための信号を送信する送受信部51bとを備える(図8参照)。
【0044】
第1放出部52は、第1放出部52に電力を供給する電源部525と、紙片Pを保持するホルダ521と、基部54に固定される板ばね522と、板ばね522の上部に設けられ、放出装置用制御装置51から送信される駆動する旨の信号に基づいて駆動する駆動モータ524と、ホルダ521に保持される紙片Pと当設するように設けられ、駆動モータ524から突出する駆動軸を回転軸として回転するピックアップローラ523とを備える。
【0045】
ホルダ521は、所定のサイズを有する紙片Pを保持する。この実施形態においては、紙幣サイズの紙片を保持できるものとする。また、ホルダ521は、放出したい紙片Pの紙片サイズに合わせて、適宜取り替え可能である。ホルダ521においてピックアップローラ523側に位置するホルダの前面部は、ピックアップローラ523が紙片Pと当設することを妨げないような高さで形成されている。ホルダの前面部は、たとえば、図7に示すように、紙片Pの高さの略半分の高さまで延在している。
【0046】
駆動モータ524は、放出装置用制御装置51が受信したリモコン70からの駆動する旨の信号に基づいて駆動し、駆動モータ524から突出する駆動軸を介して駆動力を伝達する。すなわち、駆動モータ524は、駆動軸を介してピックアップローラ523を図7において時計方向に回転させる。また、板ばね522に設けられる駆動モータ524は、板ばね522の有する付勢力により図7中の左側に力を受けている。
【0047】
ピックアップローラ523は、表面に弾性部材が被膜されているため、表面において摩擦力を有する。このことにより、ピックアップローラ523は、表面の摩擦力により当設する紙片Pと滑らないように当設している。また、駆動モータ524が基部54に固定される板ばね522から図7の左側方向に力を受けているため、駆動モータ524の駆動軸を回転軸とするピックアップローラ523は、板ばね522の付勢力の影響を受けて、ホルダ521に保持される紙片Pと適度な強度で当設される。このことより、ピックアップローラ523は、当設する紙片Pを順次引っかけ上げるように上方に放出することが可能となる。
【0048】
上記したように、第1放出部52においては、放出装置用制御装置51からの駆動する旨の信号に基づいて駆動モータ524が駆動し、駆動モータ524の駆動によりピックアップローラ523が回転して、ピックアップローラ523の回転によりピックアップローラ523と当設する紙片Pが引っかけられて順次上方(図7における時計方向)に放出される。
【0049】
なお、第2放出部53は、上記した第1放出部52と同様の構成を有し、放出装置用制御装置51を隔てて対称的に構成されているものであるため、ここでは詳細な説明を省略する。なお、第1放出部52の有する部材と対応する部材について、電源部535と、保持するホルダ531と、板ばね532と、駆動モータ534と、ピックアップローラ533というように対応させて符号を付す。
【0050】
なお、放出装置用制御装置51は、リモコン70から2種類の信号を受信する。一方は、第1放出部52を駆動するための信号であり、他方は、第2放出部53を駆動するための信号である。従って、リモコン70から送信された信号を放出装置用制御装置51が受信し、受信した信号が第1放出部52または第2放出部53のいずれの信号かを区別して受信し、対応する信号を第1放出部52または第2放出部53のいずれに送信して駆動される。なお、放出装置用制御装置51は、複数の信号を同時に受信することも可能である。
【0051】
図8は、押し上げ装置40、放出装置50、および、後述のリモコン70の電気的構成を示すブロック図である。図8中の一点鎖線は、送受信される信号の経路を示し、一点鎖線の矢印の向いている方向は信号が送信される方向を示している。
【0052】
リモコン70は、リモコン70が備える各構成を制御するリモコン制御部71と、操作者からの要求を受け付ける操作部73と、操作部73で受け付けた要求を押し上げ装置40および放出装置50に送信するリモコン送信部72とを備える。
【0053】
このリモコン70は、図9に示すように、ボタン73a、ボタン73b、およびボタン73cの3つのボタンによる操作部73を有する。このため操作者によりボタン73aが押下されると押し上げ装置40を駆動させる旨の信号(以下、「信号D1」という)が押し上げ装置40の送受信部41bに送信され、ボタン73bが押下されると第1放出部52を駆動させる旨の信号(以下、「信号D2」という)が放出装置用制御装置51の送受信部51bに送信され、ボタン73cが押下されると第2放出部53を駆動させる旨の信号(以下、「信号D3」という)が放出装置用制御装置51の送受信部51bに送信される。このリモコン70より送信された信号D1、信号D2、信号D3を受信した押し上げ装置40および放出装置50は、受信した各信号に基づいて、各の有する駆動モータ42a、駆動モータ524、および、駆動モータ523を駆動させる。
【0054】
次に、鏡開き装置の動作について図10を参照しつつ説明する。
【0055】
まず、鏡開き装置は、図10(A)に示すように、鏡蓋1が開いていない状態にある(図10(A)参照)。
【0056】
ここで、操作者がリモコン70のボタン73aを押下する。すると、リモコン70から押し上げ装置40を駆動させる旨の信号D1が押し上げ装置用制御装置41の送受信部41bに送信される。信号D1を受信した押し上げ装置用制御装置41は、信号D1に基づいて、押し上げ装置用駆動部42の駆動モータ42aを駆動し、リフト部材42cを回動させる。このことにより、リフト部材42cに当設する下端部43bが上方に持ち上げられて押し上げ部材43が上昇する。すると、押し上げ部材43の押し上げ部43aが鏡蓋1の内側板部材1b,1cを下方から押し上げる。この押し上げの力が内側板部材1b,1cに加えられることにより、内側板部材1b,1cが上方に回動し、弾性部材6a,6bの弾性力により鏡蓋1が観音開きする(図10(B)参照)。
【0057】
次に、鏡蓋1を開くために、リモコン70のボタン73bを押下する。すると、リモコン70から放出装置50の第1放出部52を駆動させる旨の信号D2が放出装置用制御装置51の送受信部51bに送信される。信号D2を受信した放出装置用制御装置51は、信号D2に基づいて、第1放出部52の駆動モータ524を駆動させ、ピックアップローラ523を回転させる。このことにより、ピックアップローラ523に当設する紙片Pがピックアップローラ523の表面における摩擦力により引っかけ上げられて、順次に上方へ放出され、紙片Pが宙を舞う(図10(C)参照)。なお、ピックアップローラ523の回転数は、毎分4000〜5000回転程度であり、毎分4500回転程度が好ましい。
【0058】
また、上記のように、操作者がボタン73aを押下した後に、ボタン73bとともにボタン73cを押下してもよい。こうすることにより、第1放出部52の動作と同様に、第2放出部53が駆動され、上方に順次紙片Pを同時に放出させることができる。すなわち、第1放出部52および第2放出部53を同時に駆動させることができるため、たとえば、異なる種類の紙を第1放出部52と第2放出部53とから同時に放出することが可能になる。たとえば、このとき放出させる紙片Pは、お金を模した紙片や紅白の紙片などであると、より見栄えが豪華である。
【0059】
以上より、鏡蓋を開放して、樽枠部材の開口部から複数の紙片を放出することにより、放出された複数の紙片が宙に舞い、通常の鏡開きとは異なる演出を実現することができる。従って、この鏡開き装置が用いられる行事に参加している人たちを、視覚的に強く魅了させ得る鏡開きを実現させることができる。
【0060】
なお、上記の実施形態において、鏡蓋1における弾性部材6a,6bは、上記で説明したものに限られるものではない。たとえば、図11および図12に示されるような弾性部材でもよい。以下の説明においては、上記の実施形態で説明した点と同一の点については説明および図示を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0061】
例えば、図11に示す鏡蓋10は、弾性部材11a、12a、13a、14aを有する。弾性部材11a,12aは、外側板部材1aの上面に設けられる固定部材11b,12bと内側板部材1bの上面に設けられる固定部材11c,12cとの各々を連結するように、鏡蓋10の平面方向において、所定の弾性力(張力)を有する状態で設けられている。同様に、弾性部材13a,14aは、外側板部材1dの上面に設けられる固定部材13c,14cと内側板部材1cの上面に設けられる固定部材13b,14bとの各々を連結するように、鏡蓋10の平面方向において、所定の弾性力(張力)を有する状態で設けられている。このようにして、上記した実施形態と同様、弾性部材11a、12a、13a、14aを平面方向において所定の弾性力を有する状態で設けることにより、内側板部材1b,1cを観音開きさせることができる。
【0062】
また、図12に示すように、鏡蓋20は、弾性部材21a、22a、23a、24aを有する。弾性部材21a,22aは、外側板部材1aの側面に設けられた固定部材21b,22bと内側板部材1bの側面に設けられた固定部材21c,22cとの各々を連結するように、鏡蓋20の平面方向において、所定の弾性力を有する状態で設けられている。同様に、弾性部材23a,24aは、外側板部材1dの側面に設けられた固定部材23b,24bと内側板部材1bの側面に設けられた固定部材23c,24cとの各々を連結するように、鏡蓋20の平面方向において、所定の弾性力を有する状態で設けられている。この鏡蓋20の場合も同様の効果を奏する。
【0063】
また、鏡蓋1の内側板部材1b,1cに押し上げ装置50を用いて外力を与えて、鏡蓋1を開くようにする場合について説明したが、これに限ることなく、たとえば、図13に示すように、所定の長さを有し、一方端を木槌80に結び付け、他方端を内側板部材1bと内側板部材1cとの間を通過させ、先端部が二股に分岐されて各々が内側板部材1bのストッパ部材5aと内側板部材1cのストッパ部材5bとに連結される、透明な紐部材81を用いた鏡開き装置であってもよい。この場合、木槌80を扱う操作者が、木槌80で鏡蓋82の所望の場所を叩いた後、木槌80を素早く引き上げる。このとき、引き上げられた木槌80は、ストッパ部材5a,5bとの距離が、紐部材81の有する長さより遠くなるように引き離されるようにする。こうすることにより、紐部材81が連結されたストッパ部5a,5bが引っ張り上げられる。すなわち、内側板部材1b,1cには、下方側から上方側への力が加えられるため、鏡蓋1を人(操作者)のきっかけにより開くことができる。
【0064】
また、鏡開き装置における押し上げ装置40および放出装置50の動作は、操作者によりリモコン70から行われる場合について説明したが、これに限ることなく、押し上げ装置40および放出装置50の動作は、リモコンタイマなどにより、時間的に制御されるようにしてもよい。こうすることにより、たとえば、予めタイマで時間を設定しておけば、リモコン70から押し上げ装置40を駆動させる旨の信号を送信した後に放出装置50を駆動させる旨の信号を自動で送信することができる。
【0065】
また、樽枠部材31の内部に設けられた押し上げ装置40および放出装置50は、樽枠部材31の底面上に載置される場合について説明したが、これに限ることなく、樽枠部材31の内部に底上げするための中板を設け、その上に、押し上げ装置40および放出装置50を載置するようにしてもよい。こうすることにより、放出装置50の放出する位置が高くなるため、放出された紙片はより高く舞い上がる。
【0066】
また、内側板部材1b,1cは、押し上げ部材43といった形状を有する部材により、押し上げられる場合について説明したが、これに限ることなく、風圧により押し上げられるようにしてもよい。
【0067】
また、鏡蓋1を4枚で構成するものとしたが、5枚以上で構成するものとしてもよい。
【0068】
また、内側板部材1b、1cは、上方に外力が加えられることにより鏡蓋1の上側で回転するものとしたが、下方に外力が加えられることにより鏡蓋1の下側で回転するものでとしてもよい。
【0069】
また、蝶番は、外側部材1aおよび内側部材各1b、また、外側部材1dおよび内側部材各1cを連結するのに3つずつ設けられる場合について説明したが、これに限ることなく、1つずつ、2つずつ、または、4つずつ以上でもよい。
【0070】
また、押し上げ装置40における押し上げ部材43は、1本である場合について説明したが、これに限ることなく、複数本でもよい。なお、この場合、内側板部材1b,1cの両者を同時に押し上げるように構成する。
【0071】
また、押し上げ装置40の送受信部41bおよび放出装置50の送受信部5bは、リモコン70と無線で信号を送受信する場合について説明したが、これに限ることなく、有線で信号の送受信を行ってもよい。
【0072】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1,10,20,82 鏡蓋、1a〜1d 板部材、2a〜2f 蝶番、3a〜3d 固定部材、4a〜4d 引きばね部材、5a,5b ストッパ部材、6a,6b,11a〜11d,21a〜21d 弾性部材、7a,7b 端面、31 樽枠部材、31a 側面部、40 押し上げ装置、43 押し上げ部材、50 放出装置、52 第1放出部、53 第2放出部、70 リモコン、80 木槌、81 紐部材。
【技術分野】
【0001】
この発明は、祝宴や興行の打ち上げなどといった種々の行事に用いられる鏡開き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、正月のみならず、祝宴、祝賀会、興行の始めや打ち上げ、出初め式などの伝統的行事や社会的行事などにおいても、鏡開きという儀式が行われる。この鏡開きは、酒樽の上部に設けられた鏡蓋を木槌で叩き割ることによって、その行事の雰囲気を一気に盛大なものへと誘う。
【0003】
そのような鏡開きを行うための鏡開き用酒樽に関する内容が、たとえば、下記特許文献1に開示されている。特許文献1には、趣向的な小祝宴などにおいての演出効果を高めるための鏡開き用酒樽について開示されており、その鏡開き用酒樽には、お酒を収容する酒用容器を有する樽状本体部と、樽状本体部の上部に設けられ、複数の扇形状を有する分割蓋体を磁気的連結手段により連結して円盤形状に形成された鏡蓋とが備えられている。
【0004】
上記のような場合において、特許文献1の鏡開き用酒樽は、磁気的連結手段の連結する力を開放するように木槌で鏡蓋を叩くことにより、複数の分割蓋体の連結が解けて鏡蓋は外れ、鏡蓋が叩き割れたように見える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−14988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、鏡蓋は磁気的連結手段により連結されているだけであり、分割されやすくなっているものの、木槌で鏡蓋を叩いたときの豪快さやインパクトに欠けるものがあった。
【0007】
この発明の目的は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、視覚的に強く魅了させ得る鏡開きを実現させる鏡開き装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、種々の行事に用いられる鏡開き装置であって、上面に開口部を有する筒形状の樽枠部材と、前記樽枠部材の開口部を覆うように設けられ、外力が加えられることにより前記開口部を開放する鏡蓋と、前記樽枠部材の内部に設けられ、前記開放された開口部から複数の紙片を上方に放出する放出装置とを備えることを特徴とする。これによれば、鏡蓋を開放して、樽枠部材の開口部から複数の紙片を放出することにより、放出された複数の紙片が宙を舞い、通常の鏡開きとは異なる演出を実現することができる。
【0009】
また、前記樽枠部材の内部に設けられ、前記鏡蓋の下方側から前記外力を加える押し上げ装置を備えるが好ましい。これによれば、簡易な構成の機械的な力をきっかけに装置の開口部を開放することができる。
【0010】
また、前記鏡蓋は、各々が板形状を有し、平面方向における同一方向に隣接して並べられることで平板形状を形成する複数の板部材と、前記複数の板部材のうちの内側の各板部材と、前記内側の各板部材に隣接する外側の各板部材とを連結させる連結部材と、内側の各板部材に対して、隣接する外側の各板部材に向けて平面方向に引っ張る態様で力を与えるとともに、前記外力が加えられたときには前記連結部材を回転軸とした回転力を与えて回転させる弾性部材とを備えるのが好ましい。これによれば、弾性部材の作用により簡易な構成にして、装置の開口部を勢いよく開放することができる。
【0011】
また、前記放出装置は、前記複数の紙片を保持するホルダと、前記ホルダに保持される複数の紙片と当設するように設けられ、回転することにより当設する前記複数の紙片を順次放出するローラとを備えるのが好ましい。これによれば、簡易な構成にして、紙片を勢いよく放出することができる。
【0012】
また、放出装置および押し上げ装置は、リモートコントローラにより遠隔的に操作されるのが好ましい。これによれば操作者がリモートコントローラを操作することにより、紙片の放出タイミングや鏡蓋の開放タイミングにおいて正確に各処理を行うことができる。
【0013】
また、前記鏡蓋を叩く木槌と、所定の長さを有し、一方端が前記木槌に接続され、他方端が前記鏡蓋の所定の位置に接続される紐部材とを備え、前記木槌を前記鏡蓋から所定の距離だけ離すことにより、前記鏡蓋に前記外力を加えるのが好ましい。これによれば、非常に簡易な構成にして、人的な力をきっかけに装置の開口部を開放することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、鏡蓋を開放して、樽枠部材の開口部から複数の紙片を放出することにより、放出された複数の紙片が宙を舞い、通常の鏡開きとは異なる演出を実現するため、行事に参加している人たちを、視覚的に強く魅了させ得る鏡開きを実現させる鏡開き装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この実施形態における鏡開き装置の概略斜視図である。
【図2】鏡開き装置の概略平面図である。
【図3】鏡蓋の概略側面図である。
【図4】内側板部材を回転させる原理を段階的に示す概略図である。
【図5】鏡開き装置の内部の概略平面図である。
【図6】押し上げ装置の概略側面図である。
【図7】放出装置の概略側面図である。
【図8】押し上げ装置、放出装置およびリモコンの電気的構成を示すブロック図である。
【図9】リモコンの概略正面図である。
【図10】鏡開き装置の動作を段階的に示す概略図である。
【図11】鏡蓋の他の例を示す概略平面図である。
【図12】鏡蓋のさらに他の例を示す概略平面図である。
【図13】鏡開き装置の他の例の要部を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
鏡開き装置は、図1および図5に示すように、上面に開口部を有する略円筒形状の樽枠部材31と、樽枠部材31の開口部を覆うように設けられる鏡蓋1と、樽枠部材31の内部に設けられ、鏡蓋1の下方側から外力を加える押し上げ装置40と、樽枠部材31の内部に設けられ、開放された開口部から紙片を上方に放出する放出装置50とを備える。
【0018】
樽枠部材31は、図1に示すように、上面を開口させる開口部を有し、高さ方向に延在し、高さ方向の中間部近傍においてくびれを有する略円筒形状の側面部31aおよび底面部31bを備えた有底筒状に形成されている。開口部には、鏡蓋1を所定位置に載置させる縁部材31cが設けられている。また、図示しないが、側面部31aの外周には種々の装飾が施されている。たとえば、樽枠部材31の外周には、菰(むしろ)が巻きつけられていたり、樽枠部材31の側面部31aqの表面には、登録商標された酒名、会社名、模様などが表記されたりしている。
【0019】
鏡蓋1について、図1〜図4を参照しつつ具体的に説明する。なお、図1および図2などにおいて一点鎖線で示される線分Tは、内側板部材1bと内側板部材1cとの間における境界に沿って鏡開き装置を水平方向に2分する中央線を示し、中央線Tよりも外側板部材1aおよび内側板部材1b側を「左」側とし、中央線Tよりも外側板部材1dおよび内側板部材1c側を「右」側とする。鏡蓋1は、中央線Tを境に左右対称の構成を有する。従って、以下ではこのことに基づいて、適宜説明を省略する。
【0020】
この鏡蓋1は、図1および図2に示すように、平面方向における同一方向に隣接して並べられることで円盤形状を形成する外側板部材1a、内側板部材1b、内側板部材1c、外側板部材1dと、外側板部材1aおよび外側板部材1aに隣接する内側板部材1bを連結させる蝶番2a〜2c、また、外側板部材1dおよび外側板部材1dに隣接する内側板部材1cを連結させる蝶番2d〜2fとを備え、上方側にいわゆる観音開きするように、内側板部材1b,1cが回動可能に構成されている。
【0021】
また、外側板部材1aに設けられる固定部材3a,3bおよび外側板部材1dに設けられる固定部材3c,3dと、固定部材3a〜3dの各々に固定される引きばね部材4a〜4dと、引きばね部材4aと引きばね部材4bとを所定の経路で接続する弾性部材6a、および、引きばね部材4cと引きばね部材4dとを所定の経路で接続する弾性部材6bとを備える。
【0022】
また、外側板部材1a、内側板部材1b、内側板部材1c、外側板部材1dの各々は、所定の厚みの板形状を有し、図2に示すように、平面方向において幅L1を有する。また、外側板部材1a、内側板部材1b、内側板部材1c、外側板部材1dは、樽枠部材31の縁部材31cにより、円盤形状を形成した状態に載置される。外側板部材1a,1dについては、樽枠部材31の縁部材31cに固定されているため、外力を加えられても載置された状態を維持する。
【0023】
内側板部材1bは、外側板部材1aと隣接しており、上記したように、外側板部材1aと隣接する部分の上方側において蝶番2a〜2cにより連結されている。従って、蝶番2a〜2cを回転軸として、内側板部材1bは回動可能に構成されている。また、図2および図3に示すように、内側板部材1bは、下面側にストッパ部材5aを有する。ストッパ部材5aは、紐状部材を引っかけて保持できるように構成されている。また、内側板部材1bと隣接する側の内側板部材1cにおける端面7aは、端面7aの上端側が内側板部材1bの上面と鋭角をなすように形成されている。こうすることにより、内側板部材1bが回動する際に、隣接する内側板部材1cと接触しない。
【0024】
なお、内側板部材1cは、内側板部材1bと中央線Tについて左右対称であるだけであって、同様の構成を有するため、説明は省略する。なお、内側板部材1bの有する部材と対応する部材について、ストッパ部材5b、端面7bというように対応させて符号を付す。
【0025】
また、固定部材3a,3bは、図2に示すように、外側板部材1aの円盤形状の弧を形成する部分において、弧を略3等分にする2箇所に設けられる。固定部材3a,3bは、ある程度離れた位置から目視されても視認できない程度に透明性を有するのが好ましい。また、固定部材3a,3bは、外側板部材1aの上面あるいは側端面に設けられる。
【0026】
また、引きばね部材4a,4bの各々は、所定の付勢力を有し、固定部材3a,3bの各々に接続されている。また、引きばね部材4a,4bも同様、視認され得ない程度に透明性を有するのが好ましい。
【0027】
弾性部材6aは、内側の各板部材1b、1cに対して、隣接する外側の各板部材1a、1dに向けて平面方向に引っ張る態様で力を与えるとともに、上方の外力が加えられたときには蝶番2a〜2cを回転軸とした回転力を与えて回転させる状態で設けられる。
【0028】
具体的には、弾性部材6aは、図2および図3に示すように、引きばね部材4aの固定部材3a側とは反対側に連結され、外側板部材1aと隣接する内側板部材1bの表面を通過し、内側板部材1bにおける中央線T側の端面7aを経由して裏面に折り返し、ストッパ部材5aに引っ掛けられ、再び内側板部材1bの中央線T側の端面7aを折り返して内側板部材1bの表面を通過し、引きばね部材4bの固定部材3b側とは反対側に連結される。
【0029】
ここで、弾性部材6の作用について詳細に説明すると、図4(A)に示すように、弾性部材6aは自らの有する弾性力により、固定部材3bと連結された引きばね部材4bに接続されている位置P2において力S2を、内側板部材1bの端部の位置P1(中央線T側の端面上端部)において力S1を生じさせる。この図4(A)の状態において、弾性部材6a上に生じる力S1と力S2とは、外側板部材1aおよび内側板部材1bの形成する平面と略同一平面にあることより、弾性部材6aの弾性力は、つり合った状態(平衡状態)にある。従って、外側板部材1aおよび内側板部材1bは、図1〜図3および図4(A)に示されるような状態で静止する。
【0030】
上記したような平衡状態にある場合において、内側板部材1bの位置P1近傍に、図4(B)の下方から上方に向かって外力F0が加えられることにより、位置P1における力S1は蝶番2c(位置P3)を中心とした円C2の接線方向に分解される。ここにおいて接線方向に分解された力を力F1とすると、この力F1が蝶番2c(位置P3)を回転軸とした内側板部材1bにおいて回転するための力(すなわち、回転力)となり、上方(図4(B)における反時計方向)に向かって内側板部材1bが回動を始める。
【0031】
また、回動を始めた内側板部材1bは、図4(C)に示すように、さらに力S1の接線方向の分解成分の力F1によって回転する力が加えられ、勢いよく回動し、図4(D)に示すように、結果的に外側板部材1aと内側板部材1bとが対面するように衝突する。このとき、外側板部材1aと内側板部材1bとの衝突の際に、拍子木のたたく音のような高い衝撃音が発せられる。
【0032】
而して、平面方向に弾性力を保持していた弾性部材6aにより、内側板部材1bに対して上方に所定の外力F0が加えられると、内側板部材1bに所定の力(ここにおいては、回転する力)が弾性部材6aから与えられ、蝶番2a〜2cを回転軸として内側部材1bは回動する。
【0033】
なお、鏡蓋1の中央線Tより右側は、上記で説明した中央線Tより左側の構成と同様の構成を有するため、同様に、平面方向に弾性力を保持していた弾性部材6bにより、上方に所定の外力が加えられると、内側板部材1cに所定の力が弾性部材6bから与えられ、蝶番2d〜2fを回転軸として内側部材1cは回動する。
【0034】
このように弾性部材6の作用により簡易な構成にして、装置の開口部を勢いよく開放することができる。
【0035】
樽枠部材31の内部には、図5及び図6に示すように、押し上げ装置40および放出装置50が配置されている。
【0036】
押し上げ装置40は、押し上げ装置用制御装置41と、押し上げ装置用駆動部42と、押し上げ部材43とを備える。
【0037】
押し上げ装置用制御装置41は、押し上げ装置40の有する各構成(押し上げ装置用駆動部42を含む)の動作を制御する制御部41aと、後述するリモートコントローラ(以下「リモコン」という)70から信号を受信し、また、受信した信号に応じて押し上げ装置40の有する各構成に動作させるための信号を送信する送受信部41bとを備える(図8参照)。
【0038】
押し上げ装置用駆動部42は、押し上げ装置用制御装置41から駆動する旨の信号を受信して駆動する駆動モータ42aと、駆動モータ42aからの駆動力を伝達する複数のギアを収容したギアボックス42bと、ギアボックス42bを介して伝達される駆動力により回動するリフト部材42cとを備える。すなわち、この押し上げ装置用駆動部42は、押し上げ装置用制御装置41が送信した駆動する旨の信号に基づいて駆動モータ42aが駆動し、駆動モータ42aの駆動により、ギアボックス42bを介して、リフト部材42cを上方(図6においては反時計方向)に回転させる。
【0039】
押し上げ部材43は、図6に示すように、鏡蓋1の内側板部材1b,1cにおける両者の下方に位置する矩形状の押し上げ部43aと、押し上げ部43aから下方に延在する縦棒部43cと、縦棒部43cの下端に位置し、リフト部材42cと当設する下端部43bとを備える。押し上げ部材43は、透明なプラスチックで形成されている。また、縦棒部43cの周囲には、左右方向への移動を規制する留め具44が複数設けられている。留め具44は、たとえば、U字形状の金属部材であり、縦棒部43cの周囲をゆとりをもって囲み、樽枠部材31の内壁面に固定される。この留め具44により、押し上げ部材43における上下方向への移動が誘導される。すなわち、押し上げ部材43は、左右方向の動きは規制され、上下方向にのみ移動が自由である。
【0040】
上記したように、押し上げ装置40においては、押し上げ装置用制御装置41から送られる駆動する旨の信号に基づいて駆動モータ42aが駆動することにより、ギアボックス42bを介してリフト部材42cが上方(図6中においては矢印Z1の示す方向)に向かって回転する。リフト部材42cの回転により、押し上げ部材43の下端部43bが上方に持ち上げられて、図6において矢印Z2の示す方向に押し上げ部材43が上昇する。その結果、押し上げられた押し上げ部材43の押し上げ部43aが、上方に位置する鏡蓋1の内側板部材1b,1cの両者を下方から押し上げる。この押し上げ部材43による押し上げの力は、前述した鏡蓋1の内側板部材1b,1cに加えられる所定の外力となり、図6中の矢印Z3およびZ4に示すように、内側板部材1b,1cは観音開きして、鏡蓋1が開かれる。すなわち、機械的な力をきっかけに樽枠部材31開口部を開放することができる。
【0041】
なお、上記した押し上げ装置40は、押し上げ部43aが、鏡蓋1の内側板部材1bおよび内側板部材1cの両者を押し上げる位置に設けられる必要がある。すなわち、押し上げ部43aの上方には、少なくとも内側板部材1bおよび内側板部材1cの両者がともに配置される位置となるように、押し上げ装置40が配置される。なお、適宜押し上げ部43aの大きさを変更して対応するようにしてもよい。
【0042】
放出装置50は、図7に示すように、放出装置用制御装置51と、放出装置用制御装置51と各々導線51cを介して電気的に接続され、放出装置用制御装置51からの信号に応じて紙片Pを上方に放出する第1放出部52および第2放出部53とを備える。また、放出装置用制御装置51、第1放出部52、および、第2放出部53は、同一の基部54上に固定されている。
【0043】
放出装置用制御装置51は、放出装置50の有する各構成(駆動モータ524および駆動モータ534を含む)の動作を制御する制御部51aと、後述するリモコン70から信号を受信し、また、受信した信号に応じて放出装置50の有する各構成に動作させるための信号を送信する送受信部51bとを備える(図8参照)。
【0044】
第1放出部52は、第1放出部52に電力を供給する電源部525と、紙片Pを保持するホルダ521と、基部54に固定される板ばね522と、板ばね522の上部に設けられ、放出装置用制御装置51から送信される駆動する旨の信号に基づいて駆動する駆動モータ524と、ホルダ521に保持される紙片Pと当設するように設けられ、駆動モータ524から突出する駆動軸を回転軸として回転するピックアップローラ523とを備える。
【0045】
ホルダ521は、所定のサイズを有する紙片Pを保持する。この実施形態においては、紙幣サイズの紙片を保持できるものとする。また、ホルダ521は、放出したい紙片Pの紙片サイズに合わせて、適宜取り替え可能である。ホルダ521においてピックアップローラ523側に位置するホルダの前面部は、ピックアップローラ523が紙片Pと当設することを妨げないような高さで形成されている。ホルダの前面部は、たとえば、図7に示すように、紙片Pの高さの略半分の高さまで延在している。
【0046】
駆動モータ524は、放出装置用制御装置51が受信したリモコン70からの駆動する旨の信号に基づいて駆動し、駆動モータ524から突出する駆動軸を介して駆動力を伝達する。すなわち、駆動モータ524は、駆動軸を介してピックアップローラ523を図7において時計方向に回転させる。また、板ばね522に設けられる駆動モータ524は、板ばね522の有する付勢力により図7中の左側に力を受けている。
【0047】
ピックアップローラ523は、表面に弾性部材が被膜されているため、表面において摩擦力を有する。このことにより、ピックアップローラ523は、表面の摩擦力により当設する紙片Pと滑らないように当設している。また、駆動モータ524が基部54に固定される板ばね522から図7の左側方向に力を受けているため、駆動モータ524の駆動軸を回転軸とするピックアップローラ523は、板ばね522の付勢力の影響を受けて、ホルダ521に保持される紙片Pと適度な強度で当設される。このことより、ピックアップローラ523は、当設する紙片Pを順次引っかけ上げるように上方に放出することが可能となる。
【0048】
上記したように、第1放出部52においては、放出装置用制御装置51からの駆動する旨の信号に基づいて駆動モータ524が駆動し、駆動モータ524の駆動によりピックアップローラ523が回転して、ピックアップローラ523の回転によりピックアップローラ523と当設する紙片Pが引っかけられて順次上方(図7における時計方向)に放出される。
【0049】
なお、第2放出部53は、上記した第1放出部52と同様の構成を有し、放出装置用制御装置51を隔てて対称的に構成されているものであるため、ここでは詳細な説明を省略する。なお、第1放出部52の有する部材と対応する部材について、電源部535と、保持するホルダ531と、板ばね532と、駆動モータ534と、ピックアップローラ533というように対応させて符号を付す。
【0050】
なお、放出装置用制御装置51は、リモコン70から2種類の信号を受信する。一方は、第1放出部52を駆動するための信号であり、他方は、第2放出部53を駆動するための信号である。従って、リモコン70から送信された信号を放出装置用制御装置51が受信し、受信した信号が第1放出部52または第2放出部53のいずれの信号かを区別して受信し、対応する信号を第1放出部52または第2放出部53のいずれに送信して駆動される。なお、放出装置用制御装置51は、複数の信号を同時に受信することも可能である。
【0051】
図8は、押し上げ装置40、放出装置50、および、後述のリモコン70の電気的構成を示すブロック図である。図8中の一点鎖線は、送受信される信号の経路を示し、一点鎖線の矢印の向いている方向は信号が送信される方向を示している。
【0052】
リモコン70は、リモコン70が備える各構成を制御するリモコン制御部71と、操作者からの要求を受け付ける操作部73と、操作部73で受け付けた要求を押し上げ装置40および放出装置50に送信するリモコン送信部72とを備える。
【0053】
このリモコン70は、図9に示すように、ボタン73a、ボタン73b、およびボタン73cの3つのボタンによる操作部73を有する。このため操作者によりボタン73aが押下されると押し上げ装置40を駆動させる旨の信号(以下、「信号D1」という)が押し上げ装置40の送受信部41bに送信され、ボタン73bが押下されると第1放出部52を駆動させる旨の信号(以下、「信号D2」という)が放出装置用制御装置51の送受信部51bに送信され、ボタン73cが押下されると第2放出部53を駆動させる旨の信号(以下、「信号D3」という)が放出装置用制御装置51の送受信部51bに送信される。このリモコン70より送信された信号D1、信号D2、信号D3を受信した押し上げ装置40および放出装置50は、受信した各信号に基づいて、各の有する駆動モータ42a、駆動モータ524、および、駆動モータ523を駆動させる。
【0054】
次に、鏡開き装置の動作について図10を参照しつつ説明する。
【0055】
まず、鏡開き装置は、図10(A)に示すように、鏡蓋1が開いていない状態にある(図10(A)参照)。
【0056】
ここで、操作者がリモコン70のボタン73aを押下する。すると、リモコン70から押し上げ装置40を駆動させる旨の信号D1が押し上げ装置用制御装置41の送受信部41bに送信される。信号D1を受信した押し上げ装置用制御装置41は、信号D1に基づいて、押し上げ装置用駆動部42の駆動モータ42aを駆動し、リフト部材42cを回動させる。このことにより、リフト部材42cに当設する下端部43bが上方に持ち上げられて押し上げ部材43が上昇する。すると、押し上げ部材43の押し上げ部43aが鏡蓋1の内側板部材1b,1cを下方から押し上げる。この押し上げの力が内側板部材1b,1cに加えられることにより、内側板部材1b,1cが上方に回動し、弾性部材6a,6bの弾性力により鏡蓋1が観音開きする(図10(B)参照)。
【0057】
次に、鏡蓋1を開くために、リモコン70のボタン73bを押下する。すると、リモコン70から放出装置50の第1放出部52を駆動させる旨の信号D2が放出装置用制御装置51の送受信部51bに送信される。信号D2を受信した放出装置用制御装置51は、信号D2に基づいて、第1放出部52の駆動モータ524を駆動させ、ピックアップローラ523を回転させる。このことにより、ピックアップローラ523に当設する紙片Pがピックアップローラ523の表面における摩擦力により引っかけ上げられて、順次に上方へ放出され、紙片Pが宙を舞う(図10(C)参照)。なお、ピックアップローラ523の回転数は、毎分4000〜5000回転程度であり、毎分4500回転程度が好ましい。
【0058】
また、上記のように、操作者がボタン73aを押下した後に、ボタン73bとともにボタン73cを押下してもよい。こうすることにより、第1放出部52の動作と同様に、第2放出部53が駆動され、上方に順次紙片Pを同時に放出させることができる。すなわち、第1放出部52および第2放出部53を同時に駆動させることができるため、たとえば、異なる種類の紙を第1放出部52と第2放出部53とから同時に放出することが可能になる。たとえば、このとき放出させる紙片Pは、お金を模した紙片や紅白の紙片などであると、より見栄えが豪華である。
【0059】
以上より、鏡蓋を開放して、樽枠部材の開口部から複数の紙片を放出することにより、放出された複数の紙片が宙に舞い、通常の鏡開きとは異なる演出を実現することができる。従って、この鏡開き装置が用いられる行事に参加している人たちを、視覚的に強く魅了させ得る鏡開きを実現させることができる。
【0060】
なお、上記の実施形態において、鏡蓋1における弾性部材6a,6bは、上記で説明したものに限られるものではない。たとえば、図11および図12に示されるような弾性部材でもよい。以下の説明においては、上記の実施形態で説明した点と同一の点については説明および図示を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0061】
例えば、図11に示す鏡蓋10は、弾性部材11a、12a、13a、14aを有する。弾性部材11a,12aは、外側板部材1aの上面に設けられる固定部材11b,12bと内側板部材1bの上面に設けられる固定部材11c,12cとの各々を連結するように、鏡蓋10の平面方向において、所定の弾性力(張力)を有する状態で設けられている。同様に、弾性部材13a,14aは、外側板部材1dの上面に設けられる固定部材13c,14cと内側板部材1cの上面に設けられる固定部材13b,14bとの各々を連結するように、鏡蓋10の平面方向において、所定の弾性力(張力)を有する状態で設けられている。このようにして、上記した実施形態と同様、弾性部材11a、12a、13a、14aを平面方向において所定の弾性力を有する状態で設けることにより、内側板部材1b,1cを観音開きさせることができる。
【0062】
また、図12に示すように、鏡蓋20は、弾性部材21a、22a、23a、24aを有する。弾性部材21a,22aは、外側板部材1aの側面に設けられた固定部材21b,22bと内側板部材1bの側面に設けられた固定部材21c,22cとの各々を連結するように、鏡蓋20の平面方向において、所定の弾性力を有する状態で設けられている。同様に、弾性部材23a,24aは、外側板部材1dの側面に設けられた固定部材23b,24bと内側板部材1bの側面に設けられた固定部材23c,24cとの各々を連結するように、鏡蓋20の平面方向において、所定の弾性力を有する状態で設けられている。この鏡蓋20の場合も同様の効果を奏する。
【0063】
また、鏡蓋1の内側板部材1b,1cに押し上げ装置50を用いて外力を与えて、鏡蓋1を開くようにする場合について説明したが、これに限ることなく、たとえば、図13に示すように、所定の長さを有し、一方端を木槌80に結び付け、他方端を内側板部材1bと内側板部材1cとの間を通過させ、先端部が二股に分岐されて各々が内側板部材1bのストッパ部材5aと内側板部材1cのストッパ部材5bとに連結される、透明な紐部材81を用いた鏡開き装置であってもよい。この場合、木槌80を扱う操作者が、木槌80で鏡蓋82の所望の場所を叩いた後、木槌80を素早く引き上げる。このとき、引き上げられた木槌80は、ストッパ部材5a,5bとの距離が、紐部材81の有する長さより遠くなるように引き離されるようにする。こうすることにより、紐部材81が連結されたストッパ部5a,5bが引っ張り上げられる。すなわち、内側板部材1b,1cには、下方側から上方側への力が加えられるため、鏡蓋1を人(操作者)のきっかけにより開くことができる。
【0064】
また、鏡開き装置における押し上げ装置40および放出装置50の動作は、操作者によりリモコン70から行われる場合について説明したが、これに限ることなく、押し上げ装置40および放出装置50の動作は、リモコンタイマなどにより、時間的に制御されるようにしてもよい。こうすることにより、たとえば、予めタイマで時間を設定しておけば、リモコン70から押し上げ装置40を駆動させる旨の信号を送信した後に放出装置50を駆動させる旨の信号を自動で送信することができる。
【0065】
また、樽枠部材31の内部に設けられた押し上げ装置40および放出装置50は、樽枠部材31の底面上に載置される場合について説明したが、これに限ることなく、樽枠部材31の内部に底上げするための中板を設け、その上に、押し上げ装置40および放出装置50を載置するようにしてもよい。こうすることにより、放出装置50の放出する位置が高くなるため、放出された紙片はより高く舞い上がる。
【0066】
また、内側板部材1b,1cは、押し上げ部材43といった形状を有する部材により、押し上げられる場合について説明したが、これに限ることなく、風圧により押し上げられるようにしてもよい。
【0067】
また、鏡蓋1を4枚で構成するものとしたが、5枚以上で構成するものとしてもよい。
【0068】
また、内側板部材1b、1cは、上方に外力が加えられることにより鏡蓋1の上側で回転するものとしたが、下方に外力が加えられることにより鏡蓋1の下側で回転するものでとしてもよい。
【0069】
また、蝶番は、外側部材1aおよび内側部材各1b、また、外側部材1dおよび内側部材各1cを連結するのに3つずつ設けられる場合について説明したが、これに限ることなく、1つずつ、2つずつ、または、4つずつ以上でもよい。
【0070】
また、押し上げ装置40における押し上げ部材43は、1本である場合について説明したが、これに限ることなく、複数本でもよい。なお、この場合、内側板部材1b,1cの両者を同時に押し上げるように構成する。
【0071】
また、押し上げ装置40の送受信部41bおよび放出装置50の送受信部5bは、リモコン70と無線で信号を送受信する場合について説明したが、これに限ることなく、有線で信号の送受信を行ってもよい。
【0072】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1,10,20,82 鏡蓋、1a〜1d 板部材、2a〜2f 蝶番、3a〜3d 固定部材、4a〜4d 引きばね部材、5a,5b ストッパ部材、6a,6b,11a〜11d,21a〜21d 弾性部材、7a,7b 端面、31 樽枠部材、31a 側面部、40 押し上げ装置、43 押し上げ部材、50 放出装置、52 第1放出部、53 第2放出部、70 リモコン、80 木槌、81 紐部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
種々の行事に用いられる鏡開き装置であって、
上面に開口部を有する筒形状の樽枠部材と、
前記樽枠部材の開口部を覆うように設けられ、外力が加えられることにより前記開口部を開放する鏡蓋と、
前記樽枠部材の内部に設けられ、前記開放された開口部から複数の紙片を上方に放出する放出装置とを備えることを特徴とする鏡開き装置。
【請求項2】
前記樽枠部材の内部に設けられ、前記鏡蓋の下方側から前記外力を加える押し上げ装置を備える請求項1に記載の鏡開き装置。
【請求項3】
前記鏡蓋は、
各々が板形状を有し、平面方向における同一方向に隣接して並べられることで平板形状を形成する複数の板部材と、
前記複数の板部材のうちの内側の各板部材と、前記内側の各板部材に隣接する外側の各板部材とを連結させる連結部材と、
内側の各板部材に対して、隣接する外側の各板部材に向けて平面方向に引っ張る態様で力を与えるとともに、前記外力が加えられたときには前記連結部材を回転軸とした回転力を与えて回転させる弾性部材とを備える請求項1または2に記載の鏡開き装置。
【請求項4】
前記放出装置は、
前記複数の紙片を保持するホルダと、
前記ホルダに保持される複数の紙片と当設するように設けられ、回転することにより当設する前記複数の紙片を順次放出するローラとを備える請求項1から3のいずれかに記載の鏡開き装置。
【請求項5】
前記放出装置および前記押し上げ装置は、リモートコントローラにより遠隔的に操作される請求項1から4のいずれかに記載の鏡開き装置。
【請求項6】
前記鏡蓋を叩く木槌と、
所定の長さを有し、一方端が前記木槌に接続され、他方端が前記鏡蓋の所定の位置に接続される紐部材とを備え、
前記木槌を前記鏡蓋から所定の距離だけ離すことにより、前記鏡蓋に前記外力を加える請求項1に記載の鏡開き装置。
【請求項1】
種々の行事に用いられる鏡開き装置であって、
上面に開口部を有する筒形状の樽枠部材と、
前記樽枠部材の開口部を覆うように設けられ、外力が加えられることにより前記開口部を開放する鏡蓋と、
前記樽枠部材の内部に設けられ、前記開放された開口部から複数の紙片を上方に放出する放出装置とを備えることを特徴とする鏡開き装置。
【請求項2】
前記樽枠部材の内部に設けられ、前記鏡蓋の下方側から前記外力を加える押し上げ装置を備える請求項1に記載の鏡開き装置。
【請求項3】
前記鏡蓋は、
各々が板形状を有し、平面方向における同一方向に隣接して並べられることで平板形状を形成する複数の板部材と、
前記複数の板部材のうちの内側の各板部材と、前記内側の各板部材に隣接する外側の各板部材とを連結させる連結部材と、
内側の各板部材に対して、隣接する外側の各板部材に向けて平面方向に引っ張る態様で力を与えるとともに、前記外力が加えられたときには前記連結部材を回転軸とした回転力を与えて回転させる弾性部材とを備える請求項1または2に記載の鏡開き装置。
【請求項4】
前記放出装置は、
前記複数の紙片を保持するホルダと、
前記ホルダに保持される複数の紙片と当設するように設けられ、回転することにより当設する前記複数の紙片を順次放出するローラとを備える請求項1から3のいずれかに記載の鏡開き装置。
【請求項5】
前記放出装置および前記押し上げ装置は、リモートコントローラにより遠隔的に操作される請求項1から4のいずれかに記載の鏡開き装置。
【請求項6】
前記鏡蓋を叩く木槌と、
所定の長さを有し、一方端が前記木槌に接続され、他方端が前記鏡蓋の所定の位置に接続される紐部材とを備え、
前記木槌を前記鏡蓋から所定の距離だけ離すことにより、前記鏡蓋に前記外力を加える請求項1に記載の鏡開き装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−90745(P2012−90745A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240321(P2010−240321)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(510285713)株式会社マジックマイスター・コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(510285713)株式会社マジックマイスター・コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】
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