説明

鏡面反射層を有する保証デバイス

本発明は、少なくとも一つの鏡面反射層(14)、該反射層上の印(12)、該印を覆うポリマー保護層(11)、および該反射層の該印とは反対側のポリマー保護層(10)を含んでなり、該印が感熱色素転写により形成されていることを特徴とする認証デバイス(2)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は保証材料に関する。好ましい形態において、それは、保証目的用の鏡面反射層上の表示印の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カード保有者が現金よりはむしろ信用で支払うことを可能とした取引用カード、すなわちトランザクション・カードの急増は、米国で1950年代初めに始まった。初期のトランザクション・カードは、一般的に、レストランおよびホテルを選択するように制限され、多くの場合、高級個人層に限定された。プラスチックのクレジットカードの導入以来、トランザクション・カードの使用は、急速に米国からヨーロッパへ、さらには全世界へと広がって行った。トランザクション・カードは、情報担体であるだけでなく、また、一般的に、消費者が常時現金を持つ必要がなく商品およびサービスへの対価を支払うことを可能とするか、または、消費者が現金を必要とする場合、トランザクション・カードは現金自動預入支払機(ATM)を通して資金へのアクセスを可能とする。トランザクション・カードは、また、窃盗を通しての現金損失の危険への脅威を低下させ、様々な他の国を旅行する時も両替の必要性を減少させる。トランザクション・カードの利点のせいで、数億枚のカードが、今、製造され、毎年発行されており、それ故に、会社および個人が偽造および窃盗に対して防御する必要性を生じている。
【0003】
初期に、トランザクション・カードは、多くの場合、カード上に浮き彫りにされる発行者の名前、カード保有者の名前、カード番号、および使用期限を含んだ。カードは、また、通常、カード保有者が偽造および改竄を防ぐために署名を提供するカードの裏側の署名欄を含んだ。このように、初期のカードは、単に、商人にデータを提供するためのデバイスとして役立つと共に、カードに関連する唯一の安全保護は、カード上のカード保有者の署名を領収書上のカード保有者の署名と比べることであった。しかし、多くの商人は、多くの場合、領収書上の署名をカード上の署名により認証することを忘れる。
【0004】
トランザクション・カードの普及のせいで、トランザクション・カードは、今、また、グラフィック・イメージ、模様、写真および安全対策を含む。今組み込まれる一つの安全対策は回折格子またはホログラフィック画像であって、これは立体的であるように見えると共に、ホログラムを造りだすための極めて複雑なシステムおよび装置に対する必要性のせいで、トランザクション・カードを不正に複写するかまたは再現するための能力を実質的に制限する。ホログラムは、感光乳剤上への干渉性の2以上の光線、すなわち、対象光線および参照光により作りだされて、それによって、干渉性光線により生成される干渉縞を記録する。対象光線は、会社ロゴ、球体、文字または動物などの記録しようとする対象から反射されるか、またはそれを通して伝達される干渉性光線である。参照光線は、通常、球面波フロントを有する干渉性の平行光線である。干渉縞の記録後、類似の波長参照光線が、干渉縞からのイメージを再構築することによりホログラフィック画像を作りだすために用いられる。しかし、偽造者は偽造法を開発してきた。偽造流行の増大に対する一つの反応は、複雑さの増したホログラムを作製することであったが、しかし、これは、また、コストの増大をもたらしてきた。他のアプローチは、隠れた画像およびこうした画像の検出を可能とするための特定認証または認証装置、例えば、レーザーの使用に依存してきたが、しかし、こうした装置は、多くの場合、高価で不便であった。従って、偽造するには極めて難しくあり、効率のよい費用効果で作製することができると共に、現場条件下で容易で安価に認証または認証できる安全な物品への継続的な技術上の必要性が存在する。
【0005】
トランザクション・カード産業は、多様な産業に対するトランザクション・カードデータの電子読み込み、伝達、および承認を可能とする一段と技術的に進んだトランザクション・カードを開発することをスタートさせた。例えば、磁気カード、ICカード、およびコーリングカードが、拡大した態様、機能、および安全保護のための市場要求に合致するために開発されてきた。画像データに加えて、トランザクション・カード裏側上での磁気ストライプの組み込みは、デジタル化データを機械可読形態において保存することを可能とする。そういうものとして、磁気ストライプ・リーダーは、口座情報および有効期限などの磁気ストライプ中に保存されるデータの伝達と共に、ホスト・コンピュータに直結するレジ・デバイスから受け取る購買データを伝達するために、磁気ストライプカードと併せて用いられる。磁気ストリップは改竄し易く、磁気ストライプ内の情報の機密保持性がなく、ホスト・コンピュータへのデータ伝達に関連する課題を有する。
【0006】
米国特許第6,468,379号(ナイトウ(Naito)ら)には、安全保護層をドナー層として熱基板に転写することができる熱ドナーおよび受容体が開示されている。この偽造予防層は、特別の装飾効果、ホログラム層、回折格子、または蛍光発光材料を含有することができた。この層は、たいがいは、それをしてひっかき、磨耗、および改竄を受け易くする熱映像上に置かれるであろう。さらに、回折格子およびホログラムは、利用可能な新規な複製法により簡単に複写される。
【0007】
米国特許第5,881,196号(フィリップス(Phillips))には、干渉皮膜および着色剤を用いるクラッド層における波長濾過の使用が各種色の導波路モードを生み出すことが開示されている。それが真偽をテストする速くて簡単な方法であるが、一方で、色ずれは、それを偽造に攻撃されやすくする各種手段により生み出すことが可能である。デバイスの1を超える面における導波路を出る光を有して、偽造を一層困難とすることは望ましい。
【0008】
米国特許第6,446,865号(ホルト(Holt)ら)には、光の可視波長により照射されると共に、逆反射膜により反射されるバッジが開示されている。バッジ上の逆反射膜からの反射光を検出し、バッジを身につけた人の身体特性からの反射光を検出する画像システムである。二つの画像システムは、シーケンシャル・レーザー・ラスタ走査システムおよび同時CCTV画像フレームフリーズシステムである。この発明は高水準の安全保護を提供する一方で、機械は情報を読み取りIDカードの真偽を決定することを必要とされる。画像システムは法外にコスト高になるであろうし、携帯認証システムに持ってくるまでは極めて困難であろう。安全保護文書の真偽を検出する簡単に見ることができる方法を有すると共に、認証の光学的および電気的両方の手段を有するデバイスを有することは望ましくあるであろう。
【0009】
米国特許第6,291,150号(キャンプ(Camp)ら)および米国特許第4,948,719号(コイケ(Koike)ら)には、ハロゲン化銀画像化要素における金属層の使用が開示されている。ハロゲン化銀は、乳剤を増感することおよび画像を処理することにおいて金属に対して極めて敏感である。金属はカブリを引き起こし、または、薬剤の浸出、汚染の原因となり、完成画像上に欠陥を形成し得る。銀は、それが、また、ハロゲン化銀画像化乳剤中にあるという理由により、最も適する金属であろう。他の金属は、一般に、ハロゲン化銀の可能な反応および感作のせいで排除される。反射層の使用において限定されない印刷技術を用いることは、好ましいであろう。また、金属層への不良接着のせいで、現像の間、前または後の金属および光感受性層の層間剥離の可能性がある。さらに、キャンプおよびキオレ(Kiole)は、実質的に均一な金属のブランケット式ナイフ塗布を用いた。それが偽造するか、複写するか、または走査するのに一層困難であるという理由により、安全保護用途にパターン化金属皮膜を有することは、さらに有用であろう。この発明は、金属層の光学的性質を利用するだけである。金属層は他の予期せぬ特性を有すると共に、特性が電気的および光学的両方の安全保護要素を有することに対する産業界での必要性が残ったままである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
保証媒体のための保証特徴を提供することができる印を有する鏡面反射層に対する必要性がある。
【0011】
保証媒体のための保証特徴を提供することが、本発明の目的である。
【0012】
偽造する、複製する、または走査することが困難である保証特徴を提供することが、もう一つの目的である。
【0013】
電気的および光学的両方の保証要素を有する保証特徴を提供することが、さらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のこれらおよび他の目的は、少なくとも一つの鏡面反射層、該反射層上の印層、該印層を覆うポリマー保護層、および該反射層の該印とは反対側のポリマー保護層を含んでなり、前記印層が感熱色素転写により形成されていることを特徴とする認証デバイスによって達成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、認証デバイスのための改善された保証またはセキュリティを提供する。本発明は、走査または複製するには難しく、光学的および電気的両方の保証要素を有する保証特徴を形成するための印層および鏡面反射層を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本例の画像デバイスは、セキュリティ目的のための先行技術画像デバイスに対して、多くの利点を有する。
【0017】
本認証デバイスは、セキュリティ用の一部の先行技術画像デバイスよりもうまく改竄を防止する。クレジットカードなどの先行技術デバイスは、デバイスの前面に接着されたホログラムを用いる。これらのホログラムは取り除かれ他のデバイスに再適用されて、偽造クレジットカードおよびIDを作製することができる。本発明の鏡面反射層は極めて繊細であると共に印層に接着しているので、鏡面反射層は、それがいじくられるかまたはカードが広げられると壊される。
【0018】
認証デバイスは、たとえ最新カラー写真複写技術を用いる場合でも複写すること、または、認証デバイスの鏡面反射のせいで走査することがほぼ不可能であるように設計される。
【0019】
本発明の認証デバイスは、光学的および電気的両方の測定を用いて簡単に認証することができる。光学的測定は鏡面反射または鏡面反射パターンのものであることができる。電気的測定は、保護層中の開口部を通して反射層の導電率を測定する。認証デバイスは、すばやい認証査定のための光学的測定で簡単に見れる保証特徴、および二次的に特徴を偽造するにはさらに困難であるものとしてのデバイスを認証するための装置を必要とする電気的特徴の両方を有する。
【0020】
認証デバイスは、また、ホログラフィック様に見える判および他の印を形成することができる金属鏡面反射のパターンを有することができる。これらのパターンは、各認証デバイスの製造時に特注生産することができるホログラム様金属パターンをもたらす、感熱式印刷金属を含む多くの方法により形成することができる。
【0021】
認証デバイスは、また、認証デバイスに別のセキュリティ層を加える導光層を含有する。光導波路は、必要とされるすべてが光源と見る人であるので、認証のための簡単な方法である。導光層は光の色を変えることができるか、または、認証デバイス上に印刷される印の部分を明るくすることができる。
【0022】
本発明は、さらに、画像デバイスの両側上の耐磨耗性表面として役立つポリマー層を提供する、そこで、それは、画像および鏡面反射層が保護層の下にあるので画像の取扱いまたは使用の間簡単には損傷を受けない。本発明の耐磨耗性表面は、指紋、液のこぼれ、および他の有害な環境曝露からの保護を提供する。
【0023】
認証デバイスは、多重の認証および偽造防止特徴を有し、また認証デバイスは、必要とされるセキュリティの量および使われようとするデバイス当りの量に基づきこれら対策の一つ、一部、またはすべてを含むことが可能である。認証デバイスは、特定用途および検出方法のセキュリティニーズに合わせられる。例えば、国家警察員は、懐中電灯により簡単に検出できる導光性の保証特徴を欲するであろうが、しかし、電気テスターを現場で用いるような保証特徴は必要としないであろう。これらのおよび他の利点は以下の詳細説明から明らかになる。
【0024】
用語「パターン」は、規則的であろうが不規則であろうがあらゆる所定の配置を意味する。用語「光」は可視光を意味する。用語「全体光透過率」は、光源の500ナノメートルでの光全体量に比べての500ナノメートルでの試料を通して透過する光の百分率を意味する。これは、光のスペクトルおよび拡散の両方を含む。「透明な」は、500ナノメートルで80%以上の全体光透過率を有する膜を意味する。「実質的に透明な」は、物体または膜がその上に入射する光の少なくとも70%を透過することを意味する。
【0025】
画像デバイスの「鏡面」は、デバイス表面から反射する光の大部分が(拡散ではなく)正反射される場として定義される。この面から反射される光の拡散反射は、一般的に30%未満である。画像デバイスの「拡散面」は、デバイス表面から反射する光の大部分が拡散的に反射される場として定義される。この面から反射される光の拡散反射は、一般的に70%を超える。用語「高分子膜」はポリマーを含む膜を意味する。用語「ポリマー」はホモ−およびコ−ポリマーを意味する。
【0026】
鏡面反射層は、好ましくは、金属層を含む。金または銀などの金属は、反射体中に用いられる場合に反射体の効率を上げる極めて効率的な反射率を有する。金属は、また、反射膜に強度、硬度、および導電性特質を付加する。別の実施形態において、反射層は合金を含む。合金を用いることは、反射および機械的性質が異なる性質を有する2以上の金属を用いることにより調整できるので好ましい。異なる金属または合金を用いることは、異なる色の鏡面反射層を生みだすことができる。金属は真空蒸着または陰極スパッタリングを用いて塗布することができると共に、材料コストを節減する極めて薄い金属層による高鏡面反射の高い量を有する。この金属層は、写真複写することが困難であるかまたは不可能であり、従って、光学的安全デバイスを造りだすために特に適する画像を生みだす。
【0027】
金属反射層は、好ましくは、約10μm未満の厚さを有し、その結果、ホイルを少なくとも部分的に引き裂くかまたは破ることなしに、それが塗布される安全保護物品からホイルを取り除くことは極めて困難である。拡散および鏡面反射面を有する基部が0.1GPa未満のひっかき感度を有する画像デバイスが好ましい。画像デバイスが組み立てられる場合に、上にかぶさる印層および保護層が金属反射層を保護する。金属反射面は極めてひっかき傷がつきやすいので、偽造の可能性が低下する。認証デバイスを解体して別の画像を挿入しようとすると、金属反射層自体が引き裂かれて破壊される。低ひっかき感度を有することは、画像デバイスがいじくるには困難であることを保証する助けになる。
【0028】
好ましくは、金属層は不連続パターンの形態をとる。不連続パターンは観察者に見えるかまたは見えないかのいずれかであることができるセキュリティ機能を提供する。見ることのできる不連続部は、パターン、点、線、画像、文字、および回折パターンを形成することができる。
【0029】
金属は、好ましくは、熱転写されて鏡面反射層を造りだす。金属の熱転写は均一な金属場を造りだすことができるか、または、簡単に金属パターンを造りだすことができる。材料は、ドナー要素の転写層を受容体に近接して置き、熱または照射をかけることにより、熱質量転写ドナー要素の転写層から受容体基板に転写することができる。熱転写層からの材料はこのやり方で選択的に受容体に転写して、受容体上に転写材料の画像様パターンを形成することができる。多くの例において、例えば、ランプまたはレーザーからの光を用いる熱転写は、多くの場合に達成することができる正確度および精度のせいで有利である。熱転写パターン(例えば、線、円、四角、または他の形状)のサイズおよび形状は、例えば、光線のサイズ、光線の曝露パターン、熱質量転写要素と接触する有向光線の持続時間、および/または熱質量転写要素の材料を選択することにより、制御することができる。あるいは、感熱式印刷ヘッドまたは他の加熱要素(パターン化または別法)は、選択的にドナー要素を直接加熱することができ、それによって転写層部分をパターン様に転写する。感熱式印刷ヘッドまたは他の加熱要素は、パターン化金属鏡面反射層を造りだすために特に適することが可能である。
【0030】
マスキングを用いて、所期のパターンをマスク中に形成し、金属はマスクを通して塗布される。鏡面反射の所期のパターンが既知であり、多くの複製品が生産されようとする場合(運転免許証用の判など)、マスキングは、すばやくしかも安価に金属パターンを造りだすための方法である。マスキングは、スクリーン印刷または真空蒸着などの金属を塗布しようとするあらゆる用途において用いることができる。マスクを通して金属要素により熱ドナー要素を照射することは、また、反射パターンを制御することができる。
【0031】
不連続パターンは、好ましくは、2μm未満の不連続部を有する。2μm未満の不連続部は人の目に対する閾値よりも下であり、従って、観察者には、金属層は連続であるように見えるであろう。機械は、不連続部を電気的または光学的にいずれかで検出することができるであろう。これは、偽造するには困難であろう認証デバイスに対するセキュリティ保護の別のレベルを造りだすことができるであろう。
【0032】
別の実施形態において、不連続パターンは、好ましくは、5〜100μmの不連続部を有する。不連続部が5〜100μm間である場合に、不連続部は目によって見ることができ、パターン、画像、またはグラフを形成することができる。これは、すばやく評価することができる簡単に認証されるセキュリティ機能である。さらに好ましくは、金属層は、認証デバイスが視覚的認証および機械的認証の両方を有するように、2μmより下、および5〜100μm間両方の不連続部を有する。例えば、警察官は認証デバイスの認証を目によって簡単に評価することができると共に、第2チェックとして、認証を認証するために機械を用いることができる。
【0033】
認証デバイスは、好ましくは層の平面中に色の異なる部分を含む、少なくとも一つの鏡面反射層を有する。これは、観察者の目によって簡単に見られる認証デバイスにセキュリティ保護の別のレベルを付加する。各種色は鏡面反射層中の各種金属の使用から生じることができるであろうし、または色素および/または顔料を用いて印刷することができるであろう。多色鏡面反射層は、正確な比色分析および密度を有するすべての色を再現することは困難であろうから、偽造するには一層困難であろう。
【0034】
鏡面反射層の色の異なる部分は、好ましくは、いくつかの照射源下で2以上の色が観察者の目には同じに見えるが、しかし、異なる照射下ではそれらが異なる色に見えるメタメルマッチである。デバイスが真正であることを認証するために、デバイスは、色が一つの照射において同じ色に、しかし第2照射において異なる色であるように見えるであろう二つの異なる光源下に置かれるであろう。試験は安価であるであろうし、人は結果を見ることができるであろうから、その結果、高価な認証機械部品は必要ないであろう。さらに、色は画像またはパターンを形成してセキュリティ機能の複雑さを上げることができ、セキュリティ保護の別の層を付加する。
【0035】
一つの実施形態において、少なくとも一つの鏡面反射層は、屈折率の異なる複数のポリマー層を含む。多層光学体は、一定の波長範囲(例えば、可視、IR、またはUVスペクトルのすべてまたは一部)にわたり光を反射する。多層光学体は、一般的に、同時押出し成形され、多層構造に配向される。多層化ポリマー膜は、好ましくは0.5μm以下の平均厚さを伴う層を有する。さらに詳細には、多層化ポリマー膜は、0.5μm以下の平均厚さを有すると共に、正の、すなわち、延伸するとその延伸方向の屈折率が増大する応力光係数を伴う、複屈折ポリマー、特に結晶、半晶質、またはナフタリン・ジカルボン酸ポリエステルなどの液晶材料、例えば、2,6−ポリエチレン・ナフタレート(「PEN」)またはエチレングリコール、ナフタリン・ジカルボン酸およびいくつかの他の酸から誘導されるコポリマー(「coPEN」)の層;および0.5μm以下の平均厚さを有する選択された第2ポリマー、例えば、ポリエチレン・テレフタレート(PET)またはcoPENの層を含む。好ましくは、少なくとも一つの方向にこれらの多層化ポリマー膜を延伸した後、前記ナフタリン・ジカルボン酸ポリエステルの層は、少なくとも一つの平面内軸に関連する第2ポリマー層よりも高い屈折率を有する。多層化ポリマー鏡面反射層は、層が金属をデバイス中に組み込むことなしで鏡面反射率の高い量を与えるので、利点に恵まれる。デバイス中の金属は、認証デバイスの他の認証法に干渉することができるであろう。さらに、多層反射体および感熱色素昇華層が同時押出し成形されることは好ましい。これは、処理段階数および認証デバイスを造りだすための時間を減らす、感熱色素受像層を有する鏡面反射層を造りだす。鏡面反射層および感熱色素受像層が互いに不可欠に形成されるので、二層間の優れた接着があり、一段と耐久力のある認証デバイスを造りだす。
【0036】
高反射率および高鏡面反射率を有する金属被覆多層ポリマーは好ましい。得られる金属被覆多層鏡は、多層化膜または反射金属単独のいずれよりも高い反射率を有する。
【0037】
高密度および彩度を有する感熱色素転写により形成しようとする印層のため、感熱色素受容層が一般的に用いられる。この色素受容層は塗布するか(例えば、押し出すかまたは被覆する)、または鏡面反射層と共に同時押出し成形することができる。
【0038】
図1に示されるのは、鏡面反射層および印を有する認証デバイス2の説明図である。図1の認証デバイス層は、順番に、上部保護層11、印層12、鏡面反射層14、および下部保護層10である。図1中の要素の構造は、それらが認証デバイスを製造し認証するために簡単な物を形成するので好ましい。
【0039】
図2に示されるのは、印層28と共に金属鏡面反射層、および導光層22を有する認証デバイス16の説明図である。認証デバイス層は、順番に、上部保護層30、印層28、鏡面反射層26、上部クラッド層24、導光層22、下部クラッド層20、および下部保護層18である。印層28は、一般に、インク、熱転写、または色素印刷層である。図2中の要素の構造は、造りだされる認証デバイスが多坑偽造特性を有し、簡単に製造可能なので好ましい。
【0040】
図3に示されるのは、導光層40を取り囲む二つの鏡面反射層42および38、および印層44および36を有する認証デバイス32の説明図である。印層44および36は、一般に、インク、熱転写、または色素印刷などの方法により形成される印刷層である。認証デバイス層は、順番に、上部保護層46、上部印層44、上部反射層42、導光層40、下部反射層38、下部印層36、および下部保護層34である。図3中の要素の構造は、造りだされる認証デバイスが多くの坑偽造および偽造防止特性を有するので好ましい。
【0041】
反射層42および38中の孔48および52は、表面58から当てられる光が表面60上で見ることができるように見当が合っている。反射層42および38中の孔54、56および59は、光が表面58および60上で見ることができるように光導波路40から逃れることを可能とする。
【0042】
ポリカーボネート(本明細書において用いられる用語「ポリカーボネート」は、炭酸およびジオールまたはジフェノールを意味する)およびポリエステルは、画像受像層において用いるように示唆されてきた。ポリカーボネート(米国特許第4,740,497号および第4,927,803号に開示されているものなど)は、感熱色素転写用に用いられる場合に、良好な色素取り込み特性および望ましい低い色あせ特性を有することが見出されてきた。米国特許第4,695,286号に記載されているように、少なくとも約25,000の数平均分子量のビスフェノールAポリカーボネートは、それらが、また、感熱式印刷の間に起こることが可能である表面変形を最小化することにおいて特に望ましくあることが見出されてきた。
【0043】
ポリエステルは容易に合成し、溶媒を全く用いず、比較的無害の化学出発材料を用いて融解縮合により処理することができる。芳香族ジエステルから形成されるポリエステル(米国特許第4,897,377号に開示されているような)は、一般に、感熱色素転写用に用いられる場合に良好な色素取り込み特性を有する。米国特許第5,387,571号(デーリー(Daly))に開示されている脂環式ジエステルから形成されるポリエステル、およびその開示内容が参考のため包含される米国特許第5,302,574号(ローレンス(Lawrence)ら)に開示されているポリエステルおよびポリカーボネート混合物がある。
【0044】
ポリマーは、個々のポリマーの利点を獲得し、組み合わせ効果を最適化するために色素受容層において使用するために混合することが可能である。例えば、米国特許第4,695,286号に記載されているタイプの比較的安価な未変性のビスフェノールAポリカーボネートは、感熱式印刷の間に起こることが可能である表面変形、および印刷後に起こることが可能である光あせの両方に対する改善された耐性を有する中間コストの受容層を得るために、米国特許第4,927,803号に記載されているタイプの変性ポリカーボネートと混合することが可能である。しかし、こうした混合がある量の煙霧を示すことが可能であるので、ポリマーが互いに完全に混和できていない場合、こうしたポリマー混合に伴う問題が生じる。煙霧は一般に望ましくないが、一方で、それは透明度受容体にとって特に有害である。完全に適合していない混合物は、また、可変の色素取り込み、一段と不良の画像安定性、および色素ドナーに対する可変の焼付をもたらすことが可能である。
【0045】
本発明の色素受け取り要素において用いられるポリエステルポリマーは、脂環式二塩基酸(Q)およびジオール(L)から誘導される反復単位に基づく縮合タイプのポリエステルであって、(Q)は、脂環式環の(好ましくはすぐに隣接する)二つの炭素原子内のそれぞれカルボキシル基を有するジカルボン酸単位を含有する1以上の脂環式環を表し、(L)は、それぞれのヒドロキシル基またはヒドロキシル基に隣接することが可能である脂環式環にすぐには隣接しない(好ましくは1〜約4個の炭素原子を離した)少なくとも一つの芳香族環をそれぞれが含有する1以上のジオール単位を表す。本発明の目的のため、用語「二塩基酸誘導単位」および「ジカルボン酸誘導単位」は、カルボン酸それら自体からだけでなく、各ケースにおいて同じ反復単位が得られるポリマー中に見られるように、酸塩化物、酸無水物およびエステルなどのそれらの同等物からも誘導される単位を定義するように意図されている。対応する二塩基酸の各脂環式環は、また、任意に、例えば、1以上のC1〜C4アルキル基と置換することが可能である。それぞれのジオールは、また、任意に、例えば、C1〜C6アルキル、アルコキシ、またはハロゲン基により芳香族または脂環式環上で置換することが可能である。
【0046】
本発明の好ましい実施形態において、ジカルボン酸誘導単位およびジオール誘導単位の脂環式環は、4〜10個の環炭素原子を含有する。特に好ましい実施形態において、脂環式環は6個の環炭素原子を含有する。
【0047】
少なくとも約25,000の数分子量を有する未変性ビスフェノールAポリカーボネート、および、反復する二塩基酸誘導単位とジオール誘導単位、対応するジカルボン酸の各カルボキシル基の二つの炭素原子内に脂環式環を含有するジカルボン酸誘導単位を含む少なくとも50モル%の二塩基酸誘導単位、および対応するジオールまたは脂環式環の各ヒドロキシル基にすぐには隣接しない芳香族環を含有する少なくとも30モル%のジオール誘導単位を含むポリエステルを含む、感熱色素転写用の色素受け取り要素が好ましい。このポリマー混合物は、優れた色素取り込みおよび画像色素安定性を有すると共に、本質的に煙霧はない。それは改善された指紋耐性および再転写耐性を有する受像体を提供し、有意に下がったサーマル・ヘッド圧および印刷ライン時間を伴う感熱式プリンタにおいて有効に印刷することができる。驚くことに、これらの脂環式ポリエステルは、高分子量ポリカーボネートと相溶することが見出された。
【0048】
少なくとも約25,000の数分子量を有する未変性ビスフェノールAポリカーボネートの例には、米国特許第4,695,286号に開示される物が挙げられる。特定例には、マクロロン(Makrolon)5700(バイエル(Bayer AG))およびLEXAN141(ゼネラルエレクトリック(General Electric Co.))ポリカーボネートが挙げられる。
【0049】
本発明のさらに好ましい実施形態において、未変性ビスフェノールAポリカーボネートおよびポリエステルポリマーは、一定質量比で混合されて最終混合物の所期のTgを生み出すと共にコストを最小化する。都合よく、ポリカーボネートおよびポリエステルポリマーは、約75:25〜25:75、さらに好ましくは約60:40〜約40:60の質量比で混合することが可能である。
【0050】
本発明の好ましい混合物のためのポリエステルの特性の中でも、それらがテレフタル酸塩などの芳香族ジエステルを含有しないこと、およびそれらが対象の組成混合物でのポリカーボネートと適合することが挙げられる。ポリエステルは、好ましくは、約40℃〜約100℃のTgを有し、ポリカーボネートは約100℃〜約200℃のTgを有する。ポリエステルは、好ましくは、ポリカーボネートよりも低いTgを有し、ポリカーボネート用の高分子可塑剤として作用する。最終ポリエステル/ポリカーボネート混合物のTgは、好ましくは、40℃〜100℃間である。より高いTgのポリエステルおよびポリカーボネートポリマーは、添加可塑剤と共に有用であることが可能である。好ましくは、潤滑剤および/または界面活性剤は、より簡単な処理および印刷のための色素受容層に添加される。潤滑剤は、ポリマー押出し成形、キャスティングロール剥離、および印刷適性に役立つことができる。
【0051】
好ましくは、色素受容層は同時押出し成形される。一部の色素受容層は、ポリエステルまたは金属などの一般的な基板への十分でない接着性を有する。色素受容層(DRL)の同時押出し成形は、DRLおよび基板への良好な接着性を有する連携層(複数を含む)が簡単な処理性を可能とするという効果がある。
【0052】
好ましくは、認証デバイスは、1%未満の光透過率を有する少なくとも一つの鏡面反射層を有する。1%未満の光透過率を有する一つの鏡面反射層を有することは、デバイスに入射する光の大部分が反射されるので、簡単に読むことができるデバイスを可能とする。極めて反射的な鏡面反射層を有することは、また、印刷される前面および背面印を区分する。鏡面反射のすべての層に対する光透過率が約20%以上である場合、背面印は、前面印を隠し認証デバイスを読み難くしてデバイスの前面を通して見ることができるであろう。好ましくは、認証デバイス中の少なくとも一つの鏡面反射層の厚さは、500〜2000オングストローム間である。この範囲の鏡面反射層の厚さが、1%未満の光透過率を有する鏡面反射層をもたらすことが示されてきた。反射層が2300オングストローム厚さを超える場合に、光透過率は有意には低下しないが、しかし、材料コストは増加する。
【0053】
本発明の別の実施形態において、少なくとも一つの鏡面反射層は、10〜90%間の光透過率を有する。これは好ましく、その結果、前面および背面印が組み合わせて見ることができるであろう。例えば、認証デバイスの前面は、画像、文字、および判の一部を有することができるであろう。認証デバイスの背面は判の他の部分を保持することができるであろう。カードが見られる(カードが字光式である場合に最も簡単に見られる)場合に、判の二つの部分は合致して完全な判を形成する。前面を明るくする場合に、より多くの光が鏡面反射層から反射され、判の第2部分を有するデバイスの背面は簡単には見られない。登録カードの表面に印を加えることは、認証デバイスに対する安全保護のもう一つのレベルを付加する。高光透過率では、カードは鏡面反射層からの多くの反射光を有することはないので、そこで、デバイスは鏡面反射層を持たないように見えるが、しかし、なお、写真複写または走査をするには困難であるその偽造防止特性を保持する。好ましくは、少なくとも一つの鏡面反射層は、10〜100オングストロームの厚さを有する。この範囲の厚さが、10〜90%間の透過率を有する鏡面反射層を作りだすことが示されてきた。
【0054】
少なくとも3Hの鉛筆硬度は、印上の保護層に対して好ましい。これは、一般的に、認証デバイスの外側表面である保護層が通常の磨耗および引き裂きまで持続することを保証する。鉛筆硬度3Hは耐久力があり、ひっかきに対して耐性がある。鉛筆硬度は、1kgの負荷の下で鉛筆硬度テスターを用いてJIS−K5400により測定することができ、膜上にひっかき傷を作らない最も高い硬度を試験値として記録する。
【0055】
保護層は、それを容易に検査し読み取ることを可能としながら、セキュリティ画像を改竄および磨耗から保護するために、多くの例において最適化される。保護層は、一般的に、その清澄性、透明度、色、およびカードが受ける状態、例えば、擦り減りおよび磨耗下での外観を維持するために最適化される。
【0056】
好ましくは、保護層はポリマーを含む。ポリマーは容易に処理され、一般的に安価であり、ロールからロールへと巻き取られ、引き裂き耐性があり、優れた適合性、良好な化学耐性および高強度を有することができる。好ましいポリマーは、強く、可撓性があるものである。好ましいポリマーには、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、セルロース・エステル、ポリスチレン、ポリビニル樹脂、ポリスルホンアミド、ポリエーテル、ポリイミド、フッ化ビニリデン樹脂、ポリウレタン、ポリフェニレン・サルファイド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアセタール、ポリスルホネート、ポリエステル・アイオノマー、およびポリオレフィン・アイオノマーが挙げられる。機械的または光学的性質を改善するためのこれらポリマーのコポリマーおよび/または混合物は、用いることができる。透明な複合レンズ用の好ましいポリアミドには、ナイロン6、ナイロン66、およびそれらの混合物が挙げられる。ポリアミドのコポリマーは、また、適する連続相ポリマーである。有用なポリカーボネートの例は、ビスフェノールAポリカーボネートである。複合レンズの連続相ポリマーとしての使用に適するセルロース・エステルには、硝酸セルロース、3酢酸セルロース、2酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、およびそれらの混合物またはコポリマーが挙げられる。好ましくは、ポリビニル樹脂には、ポリ塩化ビニル、ポリ(ビニル・アセタール)、およびそれらの混合物が挙げられる。ビニル樹脂のコポリマーは、また、利用することができる。本発明の複合レンズ用の好ましいポリエステルには、4〜20個の炭素原子の芳香族、脂肪族または脂環式ジカルボン酸、および2〜24個の炭素原子を有する脂肪族または脂環式グリコールから製造される物が挙げられる。適するジカルボン酸の例には、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタリン・ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ナトリウムスルホイソフタル酸、およびそれらの混合物が挙げられる。適するグリコールの例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、1,4−シクロへキサンジメタノール、ジエチレングリコール、他のポリエチレングリコールおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0057】
ポリマー保護膜は、好ましくは、規則的であろうが不規則であろうが、膜の曝露側またはデバイス中の他の層に取り付けられる膜側いずれかの上にあらゆる表面構造を含むことができる表面微構造を有する。微構造は、球、プリズム、ピラミッド、および立方体の先の尖った、鈍くした、または丸い先端部または断面を有するプリズムの線形配列であることができる。光学的要素は不規則または規則的であると共に、独立かまたは重複することができる。側面は、勾配をつけるか、曲がるか、または直線かまたはこれら三つのあらゆる組合せであることができる。表面微構造は、また、一般的に道路および建設標識に用いられる逆反射構造、または光を平行にするように設計されるフレスネルレンズであることができる。微構造は、好ましくは、保護膜のデバイスから顔をそらし観察者に向う側上にある。微構造は逆反射特性を有することができ、その結果、懐中電灯または他の照明デバイスがカードを照明するために用いられる場合に、カードは追加の保証機能のため光を逆反射する。微構造は、また、反射よけ表面構造または追加の効用を有するあらゆる他の微構造であることができるであろう。微構造は、また、デバイスの残りに面する保護膜中にあることができる。この微構造は、光が追加の保証機能のための安全デバイス中を通過し反射する通路に影響を及ぼすことができる。
【0058】
500MPaを超える弾性率を有する保護層は、それが取り扱いの困難さによりよく耐えることができるので好ましい。0.6GPaを超える衝撃抵抗度を有する保護層は好ましい。0.6GPaを超える衝撃抵抗度は、認証デバイスがひっかきおよび機械変形に耐性があることを可能とする。
【0059】
2軸配向ポリマーシートは、それらが薄くあり、キャストコート化ポリマーシートに比べて弾性率がより高いので好ましい。2軸配向シートは、いくつかの層を含むことが可能であるシートの同時押出し成形と、続く2軸配向により都合よく製造される。こうした2軸配向シートは、例えば、米国特許第4,764,425号に開示されている。
【0060】
保護層は、好ましくは、層表面上に硬い皮膜を有して層をより耐久性あるものとしひっかきを困難とする。保護層上の硬い皮膜は、一般的に、約1〜約15μm、好ましくは約2〜約3μmの厚さを有し、こうした硬い皮膜は、適切な重合性材料のフリーラジカル重合(熱的かまたは紫外線によるかのいずれかで開始される)により提供することが可能である。本発明における使用のための好ましい硬い皮膜は、ウイスコンシン53151、ニューベルリン、ウエスト・リンカーン・アベニュー6700のテクラ(Tekra Corporation)により商品名「TERRAPIN」で市販されているアクリルポリマー皮膜である。保護層は、また、ホログラム、印刷、またはエレクトロニクスなどの他の安全対策を含有することができる。
【0061】
認証デバイスは、好ましくは、少なくとも1ミリメートル離れた、反射層の直接接触用の少なくとも二つの開口部を有する。これらの開口部は、反射層の導電率を測定するために用いられる。2以上の開口部を有することは、反射層の導電率がカードを横断して変わることができるであろう場での多重の読取りを可能とする。これは、認証デバイスを偽造することを難しくする。デバイスは、鏡面反射層中の不連続点により造りだされるカスタマイズ可能な回路を有することが可能である。カスタマイズ可能な回路を造りだす(外見および抵抗率両方において)ことは、画像デバイスを偽造し、または改竄ことを一層難しくする。
【0062】
好ましくは、鏡面反射面は、50〜2500オーム/スクエア間の抵抗率を有する。この範囲は、鏡面反射面の導電率の簡単な測定を可能とする。鏡面反射面の抵抗率が2650オーム/スクエアを超える場合に、鏡面反射面の抵抗率はカードの残り部分の抵抗率に近づく。これは低信号対雑音比をもたらし、読取りが困難である。よりよい信号対雑音比を有するには極めて高い電圧が必要とされるであろうし、それは高価につき、また危険であるであろう。40オーム/スクエア未満の抵抗率は、製造するには高価につく。50〜2500オーム/スクエアの抵抗率は、正確で簡単な測定のための高信号対雑音比を可能とする。
【0063】
認証デバイスは、好ましくは、誘電体により分離される少なくとも一つの金属反射層および一つの導電層を含む。誘電体は、ポリマー、空気、および発泡または空洞のあるポリマーなどのあらゆる不良導電性材料であることができよう。導電層は透明、半透明、または不透明であることができ、白、黒、または色つきであることができる。認証デバイスは、好ましくは、直接接触用の2以上の、認証デバイスの各側上に少なくとも一つの開口部を有する。電子測定デバイスは、デバイスの静電容量を測定するために用いることができる。デバイスの静電容量を測定することは、デバイスが極めて複雑な構造を有するので偽造を抑止する。さらに、デバイスが解体される場合に導電層が引き裂かれ、誘電体と導電層が分離し、それらを一緒に元に戻して同じ量の静電容量を生みだすことを難しくするので、カードを改竄することは困難となる。静電容量測定は、導電率測定などの他の安全対策と組み合わせて、偽造をさらに抑止することができる。
【0064】
透明な導電層を有することは、その後側の層(反射層または印など)をなお見ることができるので好ましい。導電性導管を提供するために、それは、置換または非置換アニリン含有ポリマー、置換または非置換ピロール含有ポリマー、置換または非置換チオフェン含有ポリマーからなる群から選択される高可視光透過率導電性ポリマーを有する。上記ポリマーは、認証デバイス中の他の層に望ましい導電率、接着性を提供すると共に、高光透過率を有する。本発明の導電性材料は、共役ポリマー主鎖成分を有する導電性ポリチオフェンおよび高分子ポリアニオン成分を含有するポリチオフェン/ポリアニオン組成物を含む皮膜組成物から被覆される。本発明による使用のために好ましいポリチオフェン成分は、少なくとも一つのアルコキシ基、例えば、C1〜C12アルコキシ基、またはnが1〜4である−O(CH22O)nCH3基により置換されるチオフェン核を含有するか、または、そこで、チオフェン核は、置換形態においてこうした基を含むアルキレン基により二つの酸素原子上で閉環される。導電性ポリチオフェン/ポリアニオン組成物およびポリアニオンの存在下で合成されるポリチオフェンの水分散液の調製、ならびにこうした分散液からの帯電防止皮膜の製造は、欧州特許第0440957号(および対応する米国特許第5,300,575号)、ならびに、例えば、米国特許第5,312,681号;第5,354,613号;第5,370,981号;第5,372,924号;第5,391,472号;第5,403,467号;第5,443,944号;および第5,575,898号に記載されている。
【0065】
一般的な組成物が上に記載されるが、一方で、本発明において用いられるポリチオフェン/ポリアニオン組成物はそれら自体新しくはなく、市販されているものである。本発明における使用のための好ましい導電性ポリチオフェン/ポリアニオンポリマー組成物には、バイエル(Bayer Corporation)からバイトロン(Baytron)Pとして市販されているポリ(3,4−エチレン・ジオキシチオフェン)/ポリ(スチレン・スルホネート)である最も好ましい導電性ポリチオフェン/ポリアニオンポリマー組成物を有する、3,4−ジアルコキシ置換ポリチオフェン/ポリ(スチレン・スルホネート)が挙げられる。
【0066】
水溶性ポリマー、アクリル、スチレン、アクリロニトリル、ビニルハロゲン化物、ブタジエン、および他などの合成ラテックスポリマー、またはポリウレタン、ポリエステル、ポリエステル・アイオノマー、ポリアミド、およびエポキシドなどの水分散性縮合重合体を含むあらゆる高分子膜形成結合剤は、導電層の完全性を改善し、下にあるかおよび/または上にある層への帯電防止層の接着性を改善するために、任意に、導電層内で用いることが可能である。好ましい結合剤には、ポリエステル・アイオノマー、中間ポリマーを含有する塩化ビニリデン、および米国特許第6,124,083号に開示されるようなスルホン化ポリウレタンが挙げられる。導電性ポリチオフェン/ポリアニオン組成物対添加結合剤質量比は、100:0〜0.1:99.9、好ましくは1:1〜1:20、さらに好ましくは1:2〜1:20に変動することができる。用いられる導電性置換または非置換チオフェン含有ポリマーのドライ・カバリッジは、導電性ポリマーの固有の導電率および導電性ポリマー対結合剤質量比に応じて決まる。ポリチオフェン/ポリアニオン組成物の導電性置換または非置換チオフェン含有ポリマー成分のための好ましいドライ・カバリッジの範囲は、約0.5mg/m2〜約3.5mg/m2であり、このドライ・カバリッジは、処理される写真要素の色および光学密度への導電性ポリマーの影響を最小にしながら、写真処理の前および後で所期の電気抵抗率値を提供することが好ましい。
【0067】
導電性作用物質(複数を含む)および高分子結合剤に加えて、本発明の導電性材料には、架橋剤、被覆助剤および界面活性剤、分散助剤、合体剤、殺生剤、艶消し粒子、ワックスおよび他の潤滑剤を挙げることが可能である。例えば、導電性皮膜配合における被覆助剤の通常のレベルは、全体溶液質量に対して0.01〜0.3質量%の活性被覆助剤である。これらの被覆助剤は、一般的に、陰イオンまたは非イオン性のいずれかであり、水性塗料用に適用される多くの物から選択することができる。塗料溶液の種々の成分は、混合の前にpH調整から恩恵を受けて適合性を保証することが可能である。pH調整用の通常使われる作用物質には、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラエチルアミン、硫酸、および酢酸が挙げられる。
【0068】
本発明の導電性材料は、ローラー模様仕上げ塗り、グラビア・コーティング、エア・ナイフ・コーティング、ロッド・コーティング、押出しコーティング、ナイフ・コーティング、カーテン・コーティング、およびスライド・コーティングなどのあらゆる公知のコーティング技術を用いて、水または有機溶媒いずれかのコーティング配合物から塗布することが可能である。被覆後、層は、一般に、対流加熱などの公知の技術により加速することができる簡単な蒸発により乾燥される。公知の被覆および乾燥方法は、Research Disclosure No.308119(1989年12月発行、第1007−1008頁)にさらに詳細に記載されている。パターンを形成するための導電性材料被覆用の好ましい方法は、導管を含有するシートをロール塗りし次に引っかき刃での導管の先端に位置する導電性材料の除去によるか、または導管の先端に逆ロール接触することによって、導管中に導電性材料を被覆することである。
【0069】
好ましくは、鏡面反射層の印層とは反対側に第2印層がある。第2画像は、装飾目的用であることが可能であり、有用な情報を提供することが可能であり、および/またはカード認証を認証するための手段を提供することが可能である。これらの第2印は、文字、画像、グラフ、バーコード、またはあらゆる他の印刷情報または保証機能であることができる。これらの第2印は偽造を一層難しくし、認証デバイス上に入れようとするより多くの情報を可能とする。例えば、認証デバイスが運転免許証である場合、デバイスの前面は画像、文字、および署名を有することができるであろう。デバイスの背面は1次元または2次元のバーコードその他の保証機能を保持することができるであろう。
【0070】
認証デバイス印は、好ましくは、生物測定情報を含む。指紋、虹彩色素パターンおよび網膜模様などの独特の外面的に検出可能な人体解剖学的特徴、または外的振る舞いの特徴;例えば、文体および声紋に基づく自動認識の一層安全な方法の開発に向けての動きがあり続けてきた。生物測定として公知のこうした技術は、その個人に独特である特徴による人の識別により、認識システムの信頼性を増大させる上で有効である。いくつかの代表的な技術には、外部人皮膚パターンに焦点を合せた指紋認識、人の手の形状および寸法に焦点を当てた手の構成、目の網膜中の人独特の血管配置を定義する網膜走査、個人固有の音波を識別する声紋認証、および署名認証が挙げられる。印が生物測定情報を含有する場合には、別のレベルのセキュリティが認証デバイスに加えられ、それを複製または偽造することが一層難しくなる。
【0071】
導光層を含む実施形態は、ポリマー導光層のいずれかの側上にポリマー層を有して、導光層が中で芯として作用する導光板を造りだすと共に、導光層の両側上のポリマー層はクラッディングとして機能する。導光層は光透過性材料から作製される。クラッディングは芯を取り巻き、芯の屈折率未満である屈折率を有する。こうした配置は、一般的に、芯を通過する光の実質的な内部反射をもたらす。光の内部反射は、光がクラッディングの内側表面に出会うので、芯を通過してくる光が芯の中心に向けて反射する時に起こる。導光板の効率は、クラッド層が芯層より0.03未満小さい場合に低下する。クラッディングは、また、反射層であることができる。導光層を取り巻く反射層(金属など)を有することは、鏡のように作用すると共に、大部分の光を導光層中に保持し、極めて効果的な光導波路(導波管とも呼ばれる)を作製する。
【0072】
多様な材料が導光層およびクラッディングを形成するために用いることができる。導光層は、一般的に、例えば、メタクリル酸n−ブチルおよびメタクリル酸2−エチルヘキシルなどのメタクリル酸塩を含む高分子材料から形成される。詳細には、一つの適する芯材料は、メタクリル酸n−ブチルおよびメタクリル酸2−エチルヘキシルの1:1質量混合物を含み、これは、順番に、ジメタクリル酸トリエチレングリコール架橋剤0.05質量%およびパーオキシ2炭酸ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)(パーカドックス(Perkadox)16.TM.,イリノイ州、シカゴのアクゾ・ノベル・ケミカルズ(Akzo Nobel Chemicals,Inc.,))熱開始剤0.2質量%を含有することができる。追加の材料および例は、本明細書において参考のため包含される米国特許第5,225,166号に示される。
【0073】
導光層、またはクラッディングを取り巻く層は、多様な各種化合物から形成することができる。ポリマーは、それらが安く簡単に処理可能であるので好ましい。例として、フルオロポリマーは、導光層用のクラッディングとして有用であることが見いだされてきた。
【0074】
導光層を有する認証デバイスは、好ましくは、光入力領域を有する。この領域は、カードの導光層中に光を入力するために用いることができる。入力領域は、一般的に、認証デバイス側上にある。好ましくは、導光層は色を有する。光(白いまたは色つきのいずれか)が光入力領域に当てられる時に、それは導光層を通して導かれ、光導波路層中の色により色づけされる。例えば、白光が光入力領域に当てられ、導光層が青に色付けられる場合、次に、導光層を出る光は青色である。光は、デバイス表面の一つの上の光出力領域またはデバイスの他方側のいずれかで出る。
【0075】
光導波路は、導光層中に埋め込まれる膜または直線または曲線の繊維であって、パターン、画像、または文字を形成することができる。光導波路層は、丸いかまたは円筒型繊維を含有することができるであろう、または、デバイスは、また、丸くない構造で作製することができる。四角、三角、星またはフラット・ストリップ導波管は構築することができると共に、視角により同じ色の変化を有する。これらの丸くない導波管は、光損失を増大させることが可能であるが、しかし、これらのセキュリティ導波管デバイスは、それらの丸くない形状、それらの着色剤の使用、およびより高い光損失光学材料により引き起こされるそれらの低下した効率が、それが交信に用いられる光ファイバー中にあるので制限的限定ではないように、一般的に全く短くある。ファイバーは、光導波路層が高分子層の両側上に接着される導光ファイバーを含むであろうように、デバイス中に積層するか、または、ファイバーをデバイス中に接着するあらゆる他の方法で光導波路層を形成することができるであろう。
【0076】
導光層は、好ましくは、それらが優れた色再現および色安定性を有するので、色素または顔料を含む。色素および顔料は、大きな色域および彩度を造りだすことができる。さらに、それらは押出し成形およびコーティング中に簡単に組み込まれる。ナノサイズ顔料は、また、顔料粒子表面積対体積比が非常に大きいのでそれらが色を付けるのにより効果的であるという理由により、同じ彩度を達成するためにより少ない顔料が必要とされる利点を持って用いることができる。
【0077】
導光層のために多様な光源を用いることができる。レーザーまたは濾過されて特定の光波長のみを可能とする光源などの単色光源、および白熱または電気アーク源などの多色灯光源の両方を、用いることができる。
【0078】
光出口領域は、鏡面反射光出口領域または散光出口領域であることができるであろう。より多い鏡面反射光出量を有するために、レーザーなどのより多くの鏡面反射光源が用いられ、三角形または他の幾何学的図形が導光層から出た光を誘導するために用いられる。導光層を出るより散乱性の光のために、より散乱性の光源が表面粗さを有する光出口領域と共に好ましい。この粗さは導光層からの光を散乱して方向付ける。粗さは、半球形、卵形の溝、または不規則形状を有するくぼみまたはクレーターであることが可能であり、導光層の元の表面上に隆起する部分を含むことが可能である。
【0079】
好ましくは、画像は、光がデバイスの光入力領域に当てられる場合鏡面反射層が見られる時にカラーで表される。カラー光は光入力領域に当てることができるか、または、導光層は色合いを有して導光層を出る光に色合いを与える。画像は光出口領域に位置合わせされ、その結果、光が光入力領域に当てられる時それが画像と位置合わせされた状態で出てくるので、画像がカラー光で照射される。
【0080】
導光層は、好ましくは、さらに、蛍光または燐光性材料を含む。光が導光層を通過するので、蛍光および燐光性材料は「光を放つ」。燐光性材料は、光が除去された後特定時間にわたり光を放ち続ける。「輝く」光の出口領域は、印に位置合わせされた文字、画像、およびグラフを形成することができる。これは、例えば、彼らの懐中電灯を免許証上に照らしてそれが蛍光または燐光性パターンをその上に有するかどうかを見ることにより、暗闇中で運転免許証が本物であるかどうかを警察官が検出する簡単な方法として、運転免許証上に用いることができるであろう。一般的な蛍光材料は、バイエル/米国からのBLANCOPHOR・SOLである。
【0081】
燐光性材料は、青、緑、黄、オレンジ、および赤を含む種々の色において利用可能である燐光性顔料を含む。最も一般的な燐光性顔料は、人の目に対して最も輝き、約530ナノメートルの波長を有する黄緑である。この顔料は、銅ドープ化硫化亜鉛からなる。燐光性顔料は、励起エネルギー源および強度、目の暗順応、周辺光、および燐光の面積およびそれからの距離、ならびに他の要因に応じて、4時間まで、およびそれ以上にわたり暗闇中で目に見えたままで残ることができる。事実上あらゆる光があるレベルでの燐光を刺激するのに有効ではあるけれども、高いエネルギーの紫外線(UV)源は励起源として最も有効と考えられる。
【0082】
それを被覆できる形態において、または基板上に蛍光または燐光性顔料を提供する上で、顔料は、実質的に透明でなければならないし、実際、高透明度のものであることが好ましい結合媒体中に分散される。特定結合性媒体は、被覆しようとする、または中で燐光性材料が混合されようとする材料に応じて技術熟練者によって選択することができる。硫化亜鉛およびアルミン酸ストロンチウムは、二つの一般的な燐光性材料である。
【0083】
好ましくは、認証デバイスは導光層の両側上に開口部を有する金属層を有する。これは、光が光入力領域に当てられる場合に、認証デバイスの両側の照明を可能とする。さらに、金属反射層中の開口部は、互いに、またはカードの各側上の印に位置合わせすることができ、認証デバイスの複雑さを増大させ、デバイスを複写または偽造することを一段と難しくするであろう。互いに位置合わせされた開口部を有することは、光がデバイスを通過することが可能となるので、好ましい。これは、簡単に認証されるセキュリティ機能をデバイスに付加する。別の実施形態において、開口部は、光が光入力領域に当てられると、デバイスの両側上の印の所定の部分が照らされるように位置合わせされる。これは、偽造するには極めて難しいが簡単に認証できるデバイス(警察官は光入力面で懐中電灯を照らし印が正しく「光を発する」かどうかを確かめることができる)を造り出す。
【0084】
好ましくは、追加層は、特別の効用を付加するために認証デバイスに添加される。こうした層は、ティント、帯電防止材料、または蛍光増白剤を含有することが可能であろう。蛍光増白剤は、紫外光を吸収し、それを可視青光として放出する、実質的に無色で蛍光性の有機化合物である。例には、4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸の誘導体、4−メチル−7−ジエチルアミノクマリンなどのクマリン誘導体、1−4−ビス(O−シアノスチリル)ベンゾールおよび2−アミノ−4−メチル・フェノールが挙げられるがそれらに限定されない。蛍光増白剤は、蛍光増白剤のさらなる有効利用をもたらす表面薄層において用いることができる。
【0085】
認証デバイス中の層は、印刷適性を含むシートの特性を改善し、防湿材を提供し、それらを熱シール性とし、または接着性を改善するために用いることが可能であるあらゆる数の皮膜により被覆するか、または処理することが可能である。この例は、印刷適性用のアクリル皮膜、熱シール特性用の被覆用ポリ塩化ビニリデンであるであろう。さらなる例には、印刷適性または接着性を改善するための炎、プラズマまたはコロナ放電処理が挙げられる。本発明の認証デバイスは、透明ポリマー製の膜またはシートと組み合わせて用いることが可能である。こうしたポリマーの例には、ポリカーボネート、テレフタル酸ポリエチレン、テレフタル酸ポリブチレンおよびポリエチレン・ナフタレートなどのポリエステル、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリルポリマー、およびポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエーテル・スルホン、ポリスルホン、ポリアリレートおよびトリアセチル・セルロースが挙げられる。
【0086】
本発明の認証デバイスは、また、光拡散器、例えば、バルク拡散器、レンズ層、ビーズ層、表面拡散器、ホログラフ拡散器、微構造拡散器、別のレンズアレイ、または種々のそれらの組合せと併せて用いることが可能である。認証デバイスは、また、1枚以上の積層光管理膜、または輝度向上膜、逆反射膜、導波管、および拡散器を含むあらゆる他の光学膜を伴う用途において用いることが可能である。
【0087】
本発明の認証デバイスを偽造または複写することをさらに難しくするために、他のセキュリティ機能を認証デバイスに追加することが可能である。組み込むことが可能であるセキュリティ機能の例には、複合印刷パターン、縮小写真印画識別、透かし、および紫外線蛍光発生繊維が挙げられる。好ましくは、鏡面反射層またはポリマー保護層はホログラム(複数を含む)を含有する。これはデバイスに別のセキュリティ機能を付加すると共に、ホログラムが金属反射層上に形成される場合、金属反射層は、好ましくは、約10μm未満の厚さを有し、その結果、少なくとも部分的にホイルを引き裂くか破くことなしに、それが塗布されるセキュリティ物品からホイルを除去することは極めて難しい。クレジット・カード、またはRFおよびチップは、認証デバイス中に組み込むことができる。他のセキュリティ機能には、透明結合剤中の真珠光沢粒子、ホログラフィック画像または回折効果などの特定の光学効果を提供する微構造表面、などが挙げられる。同様に、電子式双方向性回路は本発明のカード中に組み込むことができる。
【0088】
本明細書において用いられる用語「画像化要素」は、画像の画像化要素上への転写を決定する多技術に当てはまる受像層と共に、画像化支持体を含む。こうした技術には、感熱色素転写、静電記録式印刷、またはインクジェット印刷、ならびに写真用ハロゲン化銀画像用の支持体が挙げられる。
【0089】
好ましくは、感熱式プリンタは印(画像、文字、およびグラフ)を形成する。感熱式印刷は良好な画像品質を作りだすと共に、既にセキュリティカード産業界において所定の位置を占めている。
【0090】
本発明の受け取り要素の熱色素画像受像層は、十分な色素密度、印刷効率および高品質画像を提供するポリマーまたはポリマー混合物を含むことが可能である。例えば、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ(スチレン−コ−アクリロニトリル)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ乳酸、飽和ポリエステル樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリ(塩化ビニル−コ−塩化ビニリデン)、塩素化ポリプロピレン、ポリ(塩化ビニル−コ−酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル−コ−酢酸ビニル−コ−無水マレイン酸)、エチル・セルロース、ニトロセルロース、ポリ(アクリル酸)エステル、アマニ油変性アルキド樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、フェノール変性アルキド樹脂、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、ポリスチレンおよびポリビニルトルエンなどのビニルポリマーまたはビニルポリマーのメタクリル酸塩またはアクリル酸塩とのコポリマー、ポリ(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン)、低分子量ポリエチレン、フェノール変性ペンタエリスリトール・エステル、ポリ(スチレン−コ−インデン−コ−アクリロニトリル)、ポリ(スチレン−コ−インデン)、ポリ(スチレン−コ−アクリロニトリル)、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、ポリ(メタクリル酸メチル)と混合したポリ(メタクリル酸ステアリル)が挙げられる。それらの中でも、ポリエステル樹脂および塩化ビニル酢酸ビニルコポリマーの混合物が好ましく、ポリエステル樹脂および塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーの混合比は、好ましくは、ポリエステル樹脂質量100部当り50〜200質量部である。ポリエステル樹脂および塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーの混合物の使用により、画像受像層上の転写により形成される画像の耐光性は改善することができる。
【0091】
色素画像受像層は、意図された目的のために有効であるあらゆる量において存在することが可能である。一般に、良好な結果は、約1〜約10g/m2の濃度で得られてきた。保護膜は、さらに、ハリソン(Harrison)らの米国特許第4,775,675号に記載されているように、色素受け取り層上に被覆することが可能である。
【0092】
本発明の色素受け取り要素により用いられる色素ドナー要素は、月並みに、その上に色素含有層を有する支持体を含む。あらゆる色素は、それが熱作用により色素受け取り層に転写可能であるならば、本発明において用いられる色素ドナー中に用いることができる。特に良好な結果は、昇華型色素により得られてきた。本発明における使用のために利用できる色素ドナーは、例えば、米国特許第4,916,112号、第4,927,803号、および第5,023,228号に記載されている。上述したように、色素ドナー要素は色素転写画像を形成するために用いられる。こうした方法は、色素ドナー要素を画像様に加熱し、上述のように色素画像を色素受け取り要素に転写して色素転写画像を形成することを含む。印刷の感熱色素転写法の好ましい実施形態において、シアン、マゼンタ、およびイエロー色素の連続的な反復面により被覆されるポリ(エチレンテレフタレート)支持体を含む色素ドナー要素が用いられ、色素転写段階が順次各色に対して行われて3色色素転写画像を得る。処理が単一色に対してのみ行われる場合には、次に、単色の色素転写画像が得られる。
【0093】
色素ドナー要素から本発明の受け取り層に色素を転写するために用いることができる感熱式印字ヘッドは、市販されている。例えば、フジツウ・サーマル・ヘッド(Fujitsu Thermal Head)(FTP−040MCS001)、TDKサーマル・ヘッドF415HH7−1089、またはローム(Rohm)サーマル・ヘッドKE2008−F3を用いることができる。あるいは、例えば、GB第2,083,726A号に記載されているレーザーなどの他の公知の感熱色素転写のためのエネルギー源は、用いることが可能である。
【0094】
本発明の感熱色素転写組立ては、(a)色素ドナー要素、および(b)上述のような色素受け取り要素を含み、色素受け取り要素は、ドナー要素の色素層が受け取り要素の色素画像受像層と接触するように、色素ドナー要素との重ね合わせの関係にある。
【0095】
3色画像が得られようとする場合に、上記組立ては、熱が感熱式印字ヘッドによりかけられる時、一定時間の間、三つの場合に基づき形成される。第1色素が転写された後、要素は剥がされる。第2色素ドナー要素(または異なる色素面を有するドナー要素の別の面)が、次に、色素受け取り要素と見当が合って持ち込まれ、処理は繰り返される。第3色は同じやり方で得られる。
【0096】
以下の実施例は、本発明の実施を説明する。それらは、本発明のすべての可能な変形を網羅するようには意図されていない。部および百分率は特記のない限り質量による。
【実施例】
【0097】
この実施例において、画像、不連続部による鏡面金属反射率のパターン、および導光層を有する認証デバイスを造りだした。
【0098】
導光層は、接着のためラテックスおよびゼラチン下塗り層により被覆される両側表面を有する、約100μm厚さのイーストマン・コダック社(Eastman Kodak Company)からのESTAR商標ポリエステルからなった。金属銀ドナーを有する感熱式プリンタを利用して、導光層の両側上に印刷した。高分子クラッディングを全く必要としないので、金属反射層を用いた。ドナーは、剥離層を有する約6μm厚さのポリエステル(PET)基部および真空メッキされた100ナノメートルの金属銀からなった。剥離層は加熱される(感熱式印字ヘッドにより)時に剥離され、金属銀層を印刷しようとする基板(この場合にはラテックスおよびゲル下塗り層を有する100μmPET基部)に転写する。PET導光層の上側を、0.1ミリメートル径〜10ミリメートル径の差があっては印刷されようとしない選択された円面積により均一に印刷した。得られる上部反射層は、円形不連続部を有する均一で実質的な反射層であった。導光層の下側を、文字およびバーコードを印刷しない代わりに、文字およびバーコードの形態における不連続部により均一で実質的な反射層を造りだすことを除いて、上部反射層と同じやり方で印刷した。
【0099】
上部および下部保護層は、コダック・プロフェッショナル・エクタサーム(Kodak Professinal Ektatherm)XLS透明材料(一般的なポリカーボネート色素画像受像層を有する2軸配向ポリエステル)であった。透明材料の実質的に透明な2軸配向ポリエステルシートが保護層であった。2軸配向ポリエステルは、磨耗から印層を保護するための耐性を有した。画像および文字を、コダック8670PS感熱式色素転写プリンタを利用して上部保護層上に印刷することにより、上部印層を造りだした。下部印層を、印刷される印が文字とグラフであることを除いて上部印を印刷したのと同じ方法で、下部保護層上に形成した。下部印層上の文字を、下部反射層中の文字不連続部に合わせて印刷した。認証デバイスが組み立てられる場合に印層が保護層を通して正しく見えるように、印をすべて逆から印刷した。
【0100】
感圧接着剤(PSA)により上部印層を上部反射層に、および下部印層を下部反射層に接着することにより、認証デバイスを組み立てた。感圧接着剤はパーマネント水系アクリル接着剤12μm厚さであった。PSAをこの実施例において用いたが、UV硬化または熱活性化などのあらゆる形態の接着剤を用いることができたであろう。二つが接着する時、下部印層文字は下部反射層相手の文字不連続部と1列に並んだ。
【0101】
実施例の構造は以下の通りであった:

上部保護層
上部印層
感圧接着剤
上部反射層
導光層
下部反射層
感圧接着剤
下部印層
下部保護層
【0102】
実施例の認証デバイスは、それが多印(文字、画像、グラフ、およびバーコード)を有するので偽造を防ぐ。さらに、デバイスがいじくられる場合に、極めて薄く繊細である上部および下部反射層は、引き裂かれ、壊される。印は保護層下に埋め込まれ、多くの場合、デバイスが解体される場合にそれら自身を壊す。これは、デバイスを開けてデバイス中に異なる画像(人の写真のような)を置くか、または文字を変える(誕生日など)ことが難しいので、デバイスの不正開封防止を一段と進める。
【0103】
実施例の認証デバイスは、デバイスの鏡面反射のせいで、高性能カラーコピー印刷技術または走査を用いる時でさえ、複写することはほとんど不可能であった。走査およびコピー印刷は、デバイスの反射性質を捕えられず、反射層中の印および不連続部の詳細の一部を失った。
【0104】
実施例の認証デバイスは、また、安全保護の別の層を認証デバイスに付加する導光層を含有する。懐中電灯によりデバイスの横手で光を当てた。光は他の3側面上でデバイスから出る一方で、それは、また、上部および下部反射層中の不連続部を通して出た。上部保護層を通して見て、印の一部は上部反射層中の円形不連続部を通して明るくなった。下部保護層を通して見て、文字形状の不連続部が下部印層の文字および文字の位置に合致し従って明るくなるにつれて、下部印層の文字が明るくなった。これは、偽造するかまたは改竄することが難しい極めて複雑な安全デバイスを造りだす。
【0105】
実施例の保護層は、画像デバイスの両側上で耐磨耗表面として役立ち、従って、それは取扱いまたは使用の間簡単には損傷を受けない。層は、また、指紋付き、液体のこぼれ、および他の環境有害曝露からの保護を提供する。
【0106】
本発明は、そのある種の好ましい実施形態への詳細な参照により、詳しく記載されてきたが、しかし、変形および修正は本発明の精神および範囲内で達成することができることは理解される。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】順番に保護層、印層、鏡面反射層、および保護層を含む認証デバイスの断面を示す。
【図2】順番に保護層、印層、開口部を有する鏡面反射層、クラッド層、導光層、クラッド層、および保護層を含む認証デバイスの断面を示す。
【図3】順番に保護層、印層、開口部を有する鏡面反射層、導光層、開口部を有する鏡面反射層、印層、および保護層を含む認証デバイスの断面を示す。
【符号の説明】
【0108】
2 鏡面反射層および印を有する認証デバイス
10 下部保護層
11 上部保護層
12 印層
14 鏡面反射層
16 鏡面反射層、印、および導光層を有する認証デバイス
18 下部保護層
20 下部クラッド層
22 導光層
24 上部クラッド層
26 鏡面反射層
28 印層
30 上部保護層
32 導光層および印を取り囲む二つの鏡面反射層を有するデバイス
34 下部保護層
36 下部印層
38 下部反射層
40 導光層
42 上部反射層
44 上部印
46 上部保護層
48、52、54、56、59 開口部
58および60 表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの鏡面反射層、該反射層上の印、該印を覆うポリマー保護層、および該反射層の該印とは反対側のポリマー保護層を含んでなり、該印が感熱色素転写により形成されていることを特徴とする認証デバイス。
【請求項2】
前記鏡面反射層が金属層を含む、請求項1に記載の認証デバイス。
【請求項3】
前記金属層が不連続パターン形態にある、請求項2に記載の認証デバイス。
【請求項4】
前記不連続パターンが2μm未満の不連続部間の距離を提供する、請求項3に記載の認証デバイス。
【請求項5】
前記不連続パターンが5〜100μmの不連続部間の距離を提供する、請求項3に記載の認証デバイス。
【請求項6】
前記少なくとも一つの鏡面反射層が色の異なる部分を有する層を含む、請求項1に記載の認証デバイス。
【請求項7】
前記少なくとも一つの鏡面反射層がパターン形態にある鏡面反射材料を含む、請求項1に記載の認証デバイス。
【請求項8】
前記少なくとも一つの鏡面反射層が屈折率の異なる複数のポリマー層を含む、請求項1に記載の認証デバイス。
【請求項9】
前記屈折率の異なる複数のポリマー層が感熱色素受容層を含む、請求項8に、記載の認証デバイス。
【請求項10】
前記少なくとも一つの鏡面反射層が1%未満の光透過率を有する、請求項1に記載の認証デバイス。
【請求項11】
前記少なくとも一つの鏡面反射層が10〜90%の光透過率を有する、請求項1に記載の認証デバイス。
【請求項12】
前記少なくとも一つの鏡面反射層が500〜2000オングストロームの厚さを有する、請求項1に記載の認証デバイス。
【請求項13】
前記少なくとも一つの鏡面反射層が10〜100オングストロームの厚さを有する、請求項1に記載の認証デバイス。
【請求項14】
前記印の上の前記保護層が3Hを超える硬度を有する、請求項1に記載の認証デバイス。
【請求項15】
前記デバイスに前記鏡面反射層の直接接触用の少なくとも二つの離れた開口部を設けてなり、該分離開口部が少なくとも1ミリメートル離されている、請求項1に記載の認証デバイス。
【請求項16】
前記少なくとも一つの鏡面反射層が、少なくとも一つの金属鏡面反射層、および誘電体材料により該金属鏡面反射層から分離された導電層を含む、請求項1に記載の認証デバイス。
【請求項17】
前記導電層が実質的に透明である、請求項16に記載の認証デバイス。
【請求項18】
前記少なくとも一つの鏡面反射層の該印とは反対側に更に第2の印を含む、請求項1に記載の認証デバイス。
【請求項19】
前記印が生物測定情報を含む、請求項1に記載の認証デバイス。
【請求項20】
少なくとも一つの鏡面反射層、該反射層上の印、該印を覆うポリマー保護層、該反射層の該印とは反対側のポリマー保護層、およびポリマー導光層を含んでなり、さらに、前記ポリマー導光層の各側に屈折率が前記ポリマー導光層よりも0.05超高い層を有し、かつ前記少なくとも一つの鏡面反射層に開口部を設けてなることを特徴とする認証デバイス。
【請求項21】
前記デバイスに前記鏡面反射層の直接接触用の少なくとも二つの離れた開口部を設けてなり、該分離開口部が少なくとも1ミリメートル離されている、請求項20に記載の認証デバイス。
【請求項22】
前記少なくとも一つの鏡面反射層が、少なくとも一つの金属鏡面反射層、および誘電体材料により該金属鏡面反射層から分離された導電層を含む、請求項20に記載の認証デバイス。
【請求項23】
前記導電層が実質的に透明である、請求項22に記載の認証デバイス。
【請求項24】
前記少なくとも一つの鏡面反射層の該印とは反対側に更に第2の印を含む、請求項20に記載の認証デバイス。
【請求項25】
前記ポリマー導光層が色を有する、請求項20に記載の認証デバイス。
【請求項26】
前記デバイスがさらに光入力領域を含む、請求項20に記載の認証デバイス。
【請求項27】
前記鏡面反射層を見た時、前記デバイスの光入力領域に光が当たると画像がカラーで表示される、請求項20に記載の認証デバイス。
【請求項28】
前記ポリマー導光層が燐光性材料を含む、請求項20に記載の認証デバイス。
【請求項29】
前記デバイスが前記ポリマー導光層の両側に開口部を有する金属層を含む、請求項20に記載の認証デバイス。
【請求項30】
前記開口部が、光が前記デバイスを通過できるように位置合わせされている、請求項20に記載の認証デバイス。
【請求項31】
前記印および前記開口部が、前記印の所定部分が前記光導波路により光が当たるように位置合わせされている、請求項20に記載の認証デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−500631(P2007−500631A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532469(P2006−532469)
【出願日】平成16年4月27日(2004.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/012864
【国際公開番号】WO2004/104913
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】