説明

鏡面部とハーフミラー部を合わせ持った鏡装置、それを用いた情報表示装置、及び利用者利用履歴管理表示装置とシステム

【課題】外観を損なうことなく裏側から利用者の画像を撮影することができる鏡装置、及びそれを用いた情報表示装置とシステムの提供。
【解決手段】光透過性を有するガラス板材110と、その少なくとも一部に形成された鏡面部130と、前記ガラス板材110のうちの前記鏡面部130が形成されている部分を除いた部分に形成されているハーフミラー部120とを備えている鏡装置100、その鏡装置100を備えて構成される情報表示装置200、及びそれを用いた利用者利用履歴管理表示システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は鏡面部とハーフミラー部を合わせ持った鏡装置と、それを用いた情報表示装置及び利用者利用履歴管理表示装置とシステムに係わり、特にRFIDタグに記録された情報(以下適宜「タグID」という。)に基づいて利用者に便宜な情報を提供することができる鏡装置と、それを用いた情報表示装置及び利用者利用履歴管理表示装置とシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
美容室や理髪店では、着席した個々の利用者の正面に大型の鏡が据え付けられていて、好みの髪型を美容師、理容師に伝えた後、美容師や理容師が美髪、理髪を行う間、自分の正面の鏡で伝えたとおりの髪型イメージに合っているかどうか眺めて確かめることができるようになっている。またパーマ等の時間がかかる施術を受けている間は、雑誌等を眺めて時間が過ぎるのを待つのが普通である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来の美容室や理髪店のスタイルでは、まず自分がイメージしている髪型を的確に美容師や理容師に伝えることが難しいという問題がある。そして、美髪や理髪の間には、利用者はただ鏡を眺めているか眠るかして時間が経つのを待っていることが多い。このようなときに、利用者正面の鏡の付近にエンターテインメント映像等のテレビ・ビデオ映像を提供することができれば、利用者が退屈な時間を過ごさなくてもすむようになる。
【0004】
また、美容師や理容師に好みの髪型を伝えるときに、さまざまな流行ヘアスタイルの画像を見ながらイメージを伝えたり、あるいは過去に利用者が美髪、理髪を受けたときの自分の髪型仕上がり画像が記録されていてそれを見ながら今回所望する髪型のイメージを伝えたりすれば、単に言葉で伝えるよりもより的確に伝えることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の、及び他の課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様は、
光透過性を有するガラス板材と、
前記ガラス板材の少なくとも一部に形成された鏡面部と、
前記ガラス板材のうちの前記鏡面部が形成されている部分を除いた部分に形成されているハーフミラー部と、
を備えている、鏡装置である。
【0006】
前記ハーフミラー部裏面側の一部には、投射された映像を表示するためのスクリーン部を形成することができる。
【0007】
また本発明の他の態様は、上記した鏡装置が前面に設けられている筐体と、
前記鏡装置のスクリーン部に映像を投射すべく、該筐体内に設けられているプロジェクタと、を有していることを特徴とする、鏡付き情報表示装置である。
【0008】
この鏡付き情報表示装置には、前記筐体内にあって、前記鏡装置のハーフミラー部越しに筐体の外部を撮像できるように設けられているカメラと、
該カメラによって撮像された画像が入力されてこれを処理するためのコンピュータと、をさらに設け、
前記カメラによって撮像された画像を、前記コンピュータを介して前記プロジェクタから前記スクリーン部に投射するように構成することができる。
【0009】
そして、前記コンピュータに接続されているRFIDリーダ装置をさらに設け、当該RFIDリーダ装置に対して所定のRFIDタグにより所定の働きかけをなしたときに、前記カメラに対して前記コンピュータから撮像指令が出力され、あるいは前記コンピュータがシステム終了動作を行うように構成することができる。
【0010】
さらに、前記RFIDリーダ装置が前記所定のRFIDタグを読み取ったときに、あらかじめ前記コンピュータに実装されている利用者データベースから前記RFIDタグの所有者のレコードが呼び出されてその内容が前記プロジェクタを通じて前記スクリーン部に投射されるようにすることができる。
【0011】
また、本発明のさらに他の態様は、光透過性を有するガラス板材と、前記ガラス板材の少なくとも一部に形成された鏡面部と、前記ガラス板材のうちの前記鏡面部が形成されている部分を除いた部分に形成されているハーフミラー部と、該ハーフミラー部裏面側の一部に形成された、投射された映像を表示するためのスクリーン部と、を備えている鏡装置が前面に設けられている筐体と、
前記鏡装置のスクリーン部に映像を投射すべく、該筐体内に設けられているプロジェクタと、
前記筐体内にあって、前記鏡装置のいずれかの部分を介して前記筐体外部を撮像できるように設けられているカメラと、
該カメラによって撮像された画像が入力されてこれを処理するためのコンピュータと、
前記コンピュータに接続されているRFIDリーダ装置と、を備え、
前記コンピュータはネットワークを介してシステムサーバに接続可能とされており、該システムサーバではこれに実装されている利用者データベースに当該システム利用者の利用履歴情報が蓄積されており、利用者が自己の保有している固有のRFIDタグを前記RFIDリーダ装置に読み取らせると前記コンピュータを通じてシステムサーバから該当利用者の利用履歴情報が読み出されて該コンピュータに転送され、それがプロジェクタにより前記鏡装置のスクリーン部に表示されることを特徴とする利用者利用履歴管理表示システムである。
【0012】
上記利用者利用履歴管理表示システムを美容室又は理容室の利用者利用履歴を管理するために適用して、前記利用者データベースに利用者毎に過去に利用したときの髪型の画像を記録格納しておき、
利用者が自己の保有するRFIDタグを前記RFIDリーダ装置に読み取らせると、その利用者が過去に利用した際に記録された髪型の画像がシステムサーバの利用者データベースから前記コンピュータによって取得されてプロジェクタにより鏡装置のスクリーン部に表示されることを特徴とする、美容室又は理容室の利用者利用履歴管理表示システムを構成することができる。
【0013】
この際、美容や理髪の間、前記RFIDリーダ装置の読み取り可能範囲に置いてあった利用者のRFIDタグを、美容又は理髪終了後に読み取り可能範囲外に移動させたことを前記RFIDリーダ装置が検知して前記コンピュータを介して前記カメラに撮像指令を与え、該カメラによって撮像された美容又は理髪後の利用者の画像を前記コンピュータによって取得し、前記システムサーバの利用者データベースに該当利用者の最新髪型記録として格納するようにすることができる。
【0014】
また、前記利用者が初めての利用者であって、前記システムサーバの利用者データベースに該当利用履歴が存在しない場合に、当該美容室又は理容室のおすすめ髪型を含む画像が前記コンピュータ及びプロジェクタを介して前記スクリーン部に表示されるようにすることができる。
【発明の効果】
【0015】
前記本発明の一態様による鏡装置及び鏡付き情報表示装置によれば、通常の鏡面部に加えてハーフミラー部が設けられているので、鏡装置の表面の全体を、全身を映すことができる姿見として用いることができるとともに広い鏡面による斬新な意匠が得られる。そして、前記ハーフミラー部などを通して鏡装置の外観を損なうことなくその裏側から利用者の画像を撮影することができる。ハーフミラー部裏面側の一部にスクリーン部を設ければ、利用者に向けて様々な画像を適宜の大きさで表示することができるとともに、スクリーン部を除く部分をハーフミラー部による姿見として利用することができる。RFIDリーダ装置をさらに設けることにより、利用者が所持しているRFIDタグ付きの会員カードなどによってカメラによる撮影やシステムに所定の動作をさせることができる。
【0016】
それまでに撮影した利用者の髪型記録を利用者データベースに格納しておき、前記RFIDタグ付き会員カードによって対応する髪型記録をデータベースから読み出してスクリーン部に表示させれば、利用者はその画像を見ながら美容師や理容師に自分の希望する髪型イメージを的確に伝えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明をその実施形態に即して添付図面を参照しつつ説明する。
【0018】
《鏡装置》
本発明の一実施形態に係る鏡装置の構成を、図1A〜図3Bに示す。図1Aは一実施例の鏡装置100の正面図、図1Bはその側断面図、図2Aは他の実施例による鏡装置100’の正面図、図2Bはその側断面図、図3Aはさらに他の実施例による鏡装置100”の正面図、図3Bはその側断面図である。
【0019】
鏡装置100は基材となるガラス板材110の面上に所望の機能を実現する膜面を設けてなり、ハーフミラー部120、鏡面部130、スクリーン部140を備える。図1Aでは、ハーフミラー部120は、ガラス板材110の裏面側(以下本明細書中では、人物等の被反射体に臨む面を「表面側」、その反対側を「裏面側」という。)にハーフミラー膜102aを成膜して形成されている。ハーフミラー膜102aは通常のコーティングや蒸着によって形成されるが、適当な反射率を有する半透過膜を適宜用いることができる。鏡面部130を構成する表面鏡膜130aは、ガラス板材110の裏面側に銀引きし、あるいはスパッター等で不透明な反射膜を形成した表面鏡である。本実施例では鏡装置100のほぼ中央付近の矩形領域に表面鏡膜130aを形成して鏡面部130としている。なお、鏡装置100においてこの鏡面部130を設ける部位、寸法、平面形状は、利用者の映り具合や鏡装置としての外観意匠等の観点から適宜決定することができる。
【0020】
本実施例の鏡装置100には、上記のようにオプションとしてスクリーン部140が設けられている。これは、図1Bに示すように、鏡装置100の下部1/3ほどの部分を映像投影面とするものである。図1Bに示すように、スクリーン部140は、ガラス板材110の裏面側に設けた透明中間膜140a及び乳白中間膜140b(本実施例の場合、一枚の中間膜について、上部2/3程度を透明に、下部1/3程度を乳白膜としてなるものを用いている。)をそれと同サイズの別の透明なガラス板材112で挟む合わせガラス構造としているが、この別のガラス板材112を使用せずに、ガラス板材110の裏面側の映像投影面とすべき領域に直接乳白フィルムを貼設するといった簡易な構成をとることもできる。なお、投影される映像光が裏面側(すなわち表示装置200の内部)で反射することがないように、ガラス板材112の裏面側にエッチングなどにより反射防止部142をさらに設けてもよい。
【0021】
次に、鏡装置100のハーフミラー部120及び鏡面部130の形成プロセスを説明する。まずガラス板材110の裏面側の鏡面部130を除く部分をマスクして、銀引きまたはスパッターで表面鏡膜130aを形成する。その後、前記マスクを剥離して、ハーフミラー膜120aをスパッター等によって形成する。
【0022】
本実施例の鏡装置100によれば、表面鏡として形成された鏡面部130によって利用者の髪型や容姿などを明瞭に映すことができるとともに、ハーフミラー部120の部分と合わせて全身を映すことができ、またハーフミラー部120により鏡装置100の外観を損なうことなくカメラなどの機材を鏡装置100の裏面側に設置することができる。
【0023】
次に、他の実施例に係る鏡装置100’について、図2A、図2Bを参照して説明する。この鏡装置100’は、前記第1実施例と同様に、ハーフミラー部120、鏡面部130、スクリーン部140を備えている。ハーフミラー部120の構成としては、まず鏡面部130に相当する部分をマスクして、残りの部分にスパッター等でハーフミラー膜120aを形成してハーフミラー部120とする。鏡面部130は、前記マスクを剥離してから、別部材の表面鏡130bを適宜の方法でガラス板材110の裏面側に固設することにより構成している。またスクリーン部140は、乳白膜140bを挟み込んでスクリーン用の合わせガラス材140cをガラス板材110の下部に、部分合わせガラスとして構成している。なお、このスクリーン部140の設置を省略することができるのは、第1実施例と同様である。
【0024】
次に、さらに他の実施例に係る鏡装置100”について、図3A、図3Bを参照して説明する。この鏡装置100”は、ハーフミラー部120及び鏡面部130の構成については上述した第1実施例と同様であるが、スクリーン部140としては、あらかじめ乳白中間膜140bを2枚の合わせガラス部材140cにより挟み込んで形成した合わせガラスを前記ガラス板材110の裏面側に固設する構造を採用している。なお、スクリーン部140は、上記以外にも種々の構成によって実現することができ、要するに、鏡装置の裏面側からプロジェクタ等の手段によって映像を投射したときにスクリーンの機能を果たす適宜の構成を採用することができる。
【0025】
《鏡付き情報表示装置》
次に、上記実施例に基づいて構成を例示した鏡装置を利用した鏡付き情報表示装置200について、図4A、図4Bに図示する一実施例に基づいて説明する。図4Aは本実施例による鏡付き情報表示装置(以下簡単のために適宜「表示装置」と略記する。)200の側断面図、図4Bはその正面図である。
【0026】
本実施例は、本発明の鏡装置を備えた表示装置200を美容室の姿見として設置した構成例である。表示装置200は概して、後述する装置の機構部分を収納するための枠体250と、その枠体250の正面に適宜の手段で固設された鏡装置100、枠体250及び鏡装置100と建物の天井面及び床面との間を隠す上部幕板260a及び下部幕板260bとを備えてなる。なお、各幕板260a、260bを用いることなく、床面から天井面までの一体のガラス板材を用いて構成することもできる。枠体250は、木製あるいは金属製のフレームとして、設置する環境に合わせて適切な材料、形状、寸法を採用して構成することができる。上部幕板260aと下部幕板260bは、表示装置200の外観意匠を整えるための化粧部材であり、設置される環境、インテリアのコンセプトなどに応じて種々の化粧板などを用いることができる。鏡装置100は上記実施例に関して説明したように、ハーフミラー部120、鏡面部130、及びスクリーン部140を備えている。鏡装置100の鏡面部130の両側部には、利用者の頭部を照明するための照明器具280が設置されている。なお、鏡装置としては、上記実施例により説明した鏡装置100、100’、100”のほか、本発明を逸脱しない範囲で種々の変形例による鏡装置を採用することができる。
【0027】
また、表示装置200には、静止画あるいは動画を撮影することができるカメラ210、鏡装置100のスクリーン部140に映像を投射するためのプロジェクタ220、カメラ210及びプロジェクタ220を制御するためのコンピュータ230、及びそのコンピュータ230に接続されて動作指令を与えるためのRFIDリーダ装置240が設けられている。
【0028】
カメラ210は、鏡装置100の正面に座った利用者の頭部を撮影することができるように、ハーフミラー部120の裏面側に利用者からは見えないように取り付けられる。一般的にいわゆるウェブカメラとして用いられるCCDカメラや、その他のデジタルカメラなど、コンピュータ230との間で通信可能な構成を有するカメラを適宜採用することができる。
【0029】
プロジェクタ220はやはりコンピュータ230に接続されており、コンピュータ230の記憶装置に格納されている画像ファイルを再生したり、DVDドライブなどにセットされているメディアの画像を再生したりして、これを枠体250の後方に設けた反射鏡270を介して鏡装置100のスクリーン部140に投射することができ、これによりスクリーン部140上に投影画像IMGを得ることができる。なお、カメラ210は、鏡面部130の上下左右いずれの側に取り付けることも自由である。また、プロジェクタ220に対しては、コンピュータ230のほかに、適宜の画像供給手段(DVDプレイヤー等)を接続してもよい。
【0030】
コンピュータ230は、上記のようにカメラ210とプロジェクタ220の動作を制御するとともに、後述するように、ネットワークを介して利用者利用履歴管理表示システムを構成するシステムサーバと接続されており、このシステムサーバと利用者に関する利用履歴データなどの情報を、ネットワークを通じて授受することができるようになっている。このコンピュータ230のシステム構成には特に制約がなく、実装された利用者利用履歴管理表示システムクライアントソフトウェアの実行に必要な演算速度と記憶容量を備えていればよい。また設置場所などの条件によりデスクトップ、ラップトップなど種々の形式のものを採用することができる。
【0031】
RFIDリーダ装置240は、RFIDタグに記録されている情報を読み取るためのもので、読み取られた情報データは接続されているコンピュータ230に入力される。本実施例では利用者利用履歴管理表示システムが導入されている美容室の会員カードに、それぞれの会員IDデータを記録したRFIDタグを収装しており、これをRFIDリーダ装置240により読み取ってコンピュータ230のシステムクライアントソフトウェアに受け渡すことができる構成となっている。RFIDリーダ装置240としては、例えば汎用のアンテナ内蔵タイプのものを適宜選択すればよい。また、リーダ装置240の設置場所としては会員カードを容易に近づけることができるような場所が好ましく、例えば表示装置200に近接させてサイドテーブルのような置き台を設けてその内部に収納するようにすると、外観上も好ましい。
【0032】
《利用者利用履歴管理表示システム》
次に、図5を参照して本発明の一実施例に係る利用者利用履歴管理表示システムの構成と作用について説明する。図5は、一実施例に係る利用者利用履歴管理表示システムの概略構成図である。この場合、美容室チェーンの複数の店舗にわたって本システムが導入されている構成を示している。一店舗内の各ブースに設置されているコンピュータ230は、ネットワークNによって相互に接続されており、そのネットワークNはさらに通常の接続機器(図示省略)を介してインターネットINに接続されている。そして、インターネットINを介して、本システムのシステムサーバSにさらに接続されている。また同様の構成を有する他店舗のネットワーク300もインターネットINを介してシステムサーバSにアクセスすることができる。さらに、後述するが、利用者の家庭などに設置したシステムクライアントソフトウェアが実装されたコンピュータ400からシステムサーバSにアクセスすることもできるように構成されている。
【0033】
システムサーバSには利用者履歴データベースが実装され、前記コンピュータ230からのネットワークを介した問い合わせに対して、サーチ結果を取得して問い合わせ元のコンピュータ230にそれを返すように構成されている。このデータベースには各利用者ごとに作成されたレコードが格納されている。各レコードには、各利用者の会員IDにひも付けられて、過去に利用したときに撮影された髪型画像データが記録されるようになっている。また、髪型画像だけでなく、ヘアカラー番号、パーマの種類、髪の状態といった付随データを同じく会員IDにひも付けて記録しておくようにしてもよい。
【0034】
表示装置200に関して説明したように、各コンピュータ230にはそれぞれカメラ210、プロジェクタ220、及びRFIDリーダ装置240が接続されている。(簡略化のため、一部図示を省略している。)ここで、クライアントソフトウェアの動作について、図6のフローチャートを参照して説明する。まず利用者の会員IDが記録されているRFIDタグが収められている会員カードをRFIDリーダ装置240が格納されているサイドテーブルなどの上に載せると、その会員IDデータがRFIDリーダ装置240によって取得され、コンピュータ230へ転送される。(S501、Yes)取得した会員IDデータは、ネットワークN、インターネットINを通じてシステムサーバSに送信され(S502)、システムサーバSにおいて、その会員IDデータに一致するレコードが利用者履歴データベースに存在するかが調べられ、レコードが存在すれば(S503、Yes)そのレコードに記録されている過去に利用した際に撮影された画像がコンピュータ230にダウンロードされてプロジェクタ220によって表示装置200のスクリーン部140に表示される(S504)。利用者は、その画像を見ながら今回どのような髪型にしたいかを美容師に的確に伝えることができる。なお、スクリーン部140には、髪型画像のほかに、前記したパーマの種類等の付随データも表示するようにしてもよい。また、このときに、コンピュータ230の画面上にはクライアントソフトウェアのインターフェイス画面が表示されるようにしておく。このインターフェイス画面には、表示装置200のスクリーン部140に表示されているのと同じデータがインターフェイス画面内の各フィールドに表示されるとともに、システムサーバSの利用者履歴データベースを検索するための検索用フィールドを用意しておくとよい。これにより、例えば利用者が希望するヘアカラーやパーマの種類などをキーとしてデータベース内を検索し、利用者自身のデータだけでなく参考として他の会員のデータも参照することができるように構成することができる。このような構成にあっては、他の利用者に自身のデータが公開されるのを望まない会員もあると考えられるので、新規入会時にその旨利用者に承諾を得るようにし、また利用者履歴データベースの各レコードにはそのレコードが属する会員ID以外の会員IDを用いたクエリーに対しては読み出しされないようにするプロテクトがかけられるようにしておくとよい。会員IDデータに一致するレコードがデータベースに存在しなければ(S503、No)、その会員IDデータに対応する新たなレコードをデータベースに作成し、コンピュータ230にはあらかじめシステムサーバSに格納しておいた「おすすめヘアスタイル」などの画像がダウンロードされてやはり表示装置200のスクリーン部140に表示される(S505)。この後、美髪の作業中はコンピュータ230のクライアントソフトウェアとしては次のアクションを待つアイドリング状態となる。この間は、コンピュータ230や直接プロジェクタ220に接続された他のAV機器(DVDプレイヤーなど)からの映像を表示装置200のスクリーン部140に投影させることができる。
【0035】
美髪が完了してサイドテーブルなどのRFIDリーダ装置240に近接させていた会員カードをその読み取り範囲外に移動させると、コンピュータ230のクライアントソフトウェアは美髪が終わったと解釈し(S506、Yes)、カメラ210に利用者撮影の指令信号を送出して利用者の仕上がった髪型を撮影し(S507)、生成された画像ファイルをシステムサーバSのデータベースに格納されている当該利用者レコードと関連づけてアップロードする(S508)。なお、カメラ210で利用者を撮影する際には、利用者の注意を引くために、プロジェクタ220から撮影までのカウントダウン画像などを適宜表示するようにクライアントソフトウェアを構成しておくことができる。また、このときに、コンピュータ230の画面上には前記したクライアントソフトウェアのインターフェイス画面が表示されるようにしておく。このインターフェイス画面には、今回撮影された髪型画像とともに、ヘアカラー番号やパーマの種類などの付随データを入力するためのフィールドが用意されている。美容師や理容師は、このインターフェイス画面を通じて当該利用者のレコードに前記付随データを記録しておくことができる。
【0036】
上記のように、本実施例の利用者利用履歴管理表示システムでは、基本的な構成として各美容室に設置されている表示装置200をシステムサーバSとネットワークを介して接続することによって構成されているが、例えばシステムサーバSにクライアントソフトウェアのダウンロードサイトを設けてそこに利用者が自宅のコンピュータなどからアクセスしてクライアントソフトウェアをダウンロードし、自分のコンピュータにインストールすることができるようにすれば、利用者は自宅にいながらにして自分の過去の髪型画像を閲覧することができ便利である。この場合、クライアントソフトウェアのダウンロード権限は美容室の利用者に限定されるような認証プロセスを付加することや、ダウンロード用クライアントソフトウェアには、美容室で使用されているものに対して機能制限を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1A】本発明の一実施形態に係る鏡装置の正面図である。
【図1B】図1Aの鏡装置の側断面図である。
【図2A】本発明の他の実施形態に係る鏡装置の正面図である。
【図2B】図2Aの鏡装置の側断面図である。
【図3A】本発明のさらに他の実施形態に係る鏡装置の正面図である。
【図3B】図3Aの鏡装置の側断面図である。
【図4A】本発明の一実施形態に係る鏡付き情報表示装置を模式的に示す側断面図である。
【図4B】図4Aの鏡付き情報表示装置の正面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る利用者利用履歴管理表示システムの概略構成図である。
【図6】図5の利用者利用履歴管理表示システムの概略動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
100、100’、100” 鏡装置
110、112 ガラス板材
120 ハーフミラー部
120a ハーフミラー膜
130 鏡面部
130a 表面鏡膜
140 スクリーン部
140a 透明中間膜
140b 乳白中間膜
140c 合わせガラス材
200 鏡付き情報表示装置
210 カメラ
220 プロジェクタ
230 コンピュータ
240 RFIDリーダ装置
S システムサーバ
N ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有するガラス板材と、
前記ガラス板材の少なくとも一部に形成された鏡面部と、
前記ガラス板材のうちの前記鏡面部が形成されている部分を除いた部分に形成されているハーフミラー部と、
を備えている、鏡装置。
【請求項2】
前記ハーフミラー部裏面側の一部に、投射された映像を表示するためのスクリーン部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の鏡装置。
【請求項3】
請求項2に記載の鏡装置が前面に設けられている筐体と、
前記鏡装置のスクリーン部に映像を投射すべく、該筐体内に設けられているプロジェクタと、を有していることを特徴とする、鏡付き情報表示装置。
【請求項4】
前記筐体内にあって、前記鏡装置のハーフミラー部越しに筐体の外部を撮像できるように設けられているカメラと、
該カメラによって撮像された画像が入力されてこれを処理するためのコンピュータと、をさらに備え、
前記カメラによって撮像された画像を、前記コンピュータを介して前記プロジェクタから前記スクリーン部に投射することができるようになっている、ことを特徴とする請求項3に記載の鏡付き情報表示装置。
【請求項5】
前記コンピュータに接続されているRFIDリーダ装置をさらに備え、当該RFIDリーダ装置に対して所定のRFIDタグにより所定の働きかけをなしたときに、前記カメラに対して前記コンピュータから撮像指令が出力されることを特徴とする請求項4に記載の鏡付き情報表示装置。
【請求項6】
前記コンピュータに接続されているRFIDリーダ装置をさらに備え、当該RFIDリーダ装置に対して所定のRFIDタグにより所定の働きかけをなしたときに、前記コンピュータがシステム終了動作を行うように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の鏡付き情報表示装置。
【請求項7】
前記RFIDリーダ装置が前記所定のRFIDタグを読み取ったときに、あらかじめ前記コンピュータに実装されている利用者データベースから前記RFIDタグの所有者のレコードが呼び出されてその内容が前記プロジェクタを通じて前記スクリーン部に投射されることを特徴とする請求項5に記載の鏡付き情報表示装置。
【請求項8】
光透過性を有するガラス板材と、前記ガラス板材の少なくとも一部に形成された鏡面部と、前記ガラス板材のうちの前記鏡面部が形成されている部分を除いた部分に形成されているハーフミラー部と、該ハーフミラー部裏面側の一部に形成された、投射された映像を表示するためのスクリーン部と、を備えている鏡装置が前面に設けられている筐体と、
前記鏡装置のスクリーン部に映像を投射すべく、該筐体内に設けられているプロジェクタと、
前記筐体内にあって、前記鏡装置のいずれかの部分を介して前記筐体外部を撮像できるように設けられているカメラと、
該カメラによって撮像された画像が入力されてこれを処理するためのコンピュータと、
前記コンピュータに接続されているRFIDリーダ装置と、を備え、
前記コンピュータはネットワークを介してシステムサーバに接続可能とされており、該システムサーバではこれに実装されている利用者データベースに当該システム利用者の利用履歴情報が蓄積されており、利用者が自己の保有している固有のRFIDタグを前記RFIDリーダ装置に読み取らせると前記コンピュータを通じてシステムサーバから該当利用者の利用履歴情報が読み出されて該コンピュータに転送され、それがプロジェクタにより前記鏡装置のスクリーン部に表示されることを特徴とする利用者利用履歴管理表示システム。
【請求項9】
請求項7に記載の利用者利用履歴管理表示装置が美容室又は理容室の利用者利用履歴を管理するために適用されており、前記利用者データベースには利用者毎に過去に利用したときの髪型の画像が記録格納されており、
利用者が自己の保有するRFIDタグを前記RFIDリーダ装置に読み取らせると、その利用者が過去に利用した際に記録された髪型の画像がシステムサーバの利用者データベースから前記コンピュータによって取得されてプロジェクタにより鏡装置のスクリーン部に表示されることを特徴とする、美容室又は理容室の利用者利用履歴管理表示システム。
【請求項10】
美容や理髪の間、前記RFIDリーダ装置の読み取り可能範囲に置いてあった利用者のRFIDタグを、美容又は理髪終了後に読み取り可能範囲外に移動させたことを前記RFIDリーダ装置が検知して前記コンピュータを介して前記カメラに撮像指令を与え、該カメラによって撮像された美容又は理髪後の利用者の画像を前記コンピュータによって取得し、前記システムサーバの利用者データベースに該当利用者の最新髪型記録として格納することを特徴とする請求項8に記載の美容室又は理容室の利用者利用履歴管理表示システム。
【請求項11】
前記利用者が初めての利用者であって、前記システムサーバの利用者データベースに該当利用履歴が存在しない場合に、当該美容室又は理容室のおすすめ髪型を含む画像が前記コンピュータ及びプロジェクタを介して前記スクリーン部に表示されることを特徴とする請求項9に記載の美容室又は理容室の利用者利用履歴管理表示システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−61039(P2009−61039A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−230528(P2007−230528)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【出願人】(899000079)学校法人慶應義塾 (742)
【出願人】(000223986)フィグラ株式会社 (68)
【Fターム(参考)】