説明

長いオープンタイムを有するプライマーを含有する低エネルギー表面接着システム

本発明は、a)平均3個以上の脂肪族イソシアネート基を有し、アルコキシシラン基をさらに含有する1種以上のプレポリマー;b)1種以上の芳香族ポリイソシアネート;c)水分に曝露されると加水分解して少なくとも1個のイソシアネート反応性基を形成する少なくとも1個の複素環を有する1種以上の化合物;d)1種以上の溶剤;並びにe)1種以上のアミン及び/又は有機金属ポリウレタン触媒を含む組成物であって、該組成物中の芳香族イソシアネート基の脂肪族イソシアネート基との比が、約0.5:1.0から約1.5:1.0、好ましくは、約0.9:1.0から約1.5:1.0であり、イソシアネート基の、少なくとも1個の加水分解性複素環を有する1種以上の化合物から誘導され得るイソシアネート反応性基との当量比が、約0.8:1.0から約5.3:1.0、最も好ましくは、約1.5:1.0から約1.7:1.0である組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2008年10月29日に出願された「Low Energy Surface Bonding System Containing a Primer with Long Open Time」と題する米国仮特許出願第61/109,415号の優先権を主張し、その全体の内容は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
発明の分野
本発明は、低表面エネルギー基板を含む基板の表面にポリイソシアネート官能性接着剤を結合させるために有用なプライマーに関し、このプライマーは長いオープンタイムを示す。別の実施形態において、本発明は、上記プライマー及びイソシアネート官能性接着剤を含む接着システムに関する。本発明は、上記プライマーで下塗りされた物品及び本発明の接着システムで接着された物品にも関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
プラスチック部品は、いろいろな製造品目においてより一般的になってきている。プラスチック部品は、柔軟なデザイン性と共にコスト及び重量削減をもたらす。ポリオレフィンなどの低表面エネルギープラスチックは、それらのコスト、デザイン及び加工上の利点のために、多くの製品における使用に有利である。多くの製品は、部品の様々な機能及び動作上の要求のために、様々な材料から製造された部品を含む。いくつかの部品は、好ましくは、低表面エネルギープラスチックから製造され、他のものは、高表面エネルギープラスチック、金属、木材及び/又はガラスから製造される。
【0004】
接着剤を利用する製品の組立は、接着剤がデザイン及び加工上の柔軟性を提供するので有利である。イソシアネート官能性接着剤システム(しばしばポリウレタン接着剤と呼ばれる)は、ポリイソシアネート系接着剤が多くの基板に良好に接着するので、種々の基板を接着するための一般的な接着剤システムである。イソシアネート官能性接着剤システムは、基板及び製品の使用に応じて、種々多様な性質を提供するために配合することができる。
【0005】
低エネルギープラスチック表面は、一般的に、イソシアネート官能性接着剤システムのこのような表面への接着を促進するために何らかの表面処理を必要とする。このような処理は、表面の火炎処理、コロナ放電処理、化学エッチング及び/又はプライマー塗布の1つ以上を含む。一般的なプライマーシステムは、様々な工程に利用され、ここではプライマーを塗布し、溶剤担体を揮発させ、次いで、接着剤を基板の表面に塗布する。低表面エネルギープラスチック部品を一緒に又は他の基板と接着するための既知のシステムは、一般的に、プライマーの塗布及び接着剤の塗布の間の比較的短いオープンタイムしか与えない。これらのシステムの例は、欧州特許第149,856号及び米国特許第5,576,558号に示されている(共に参照により本明細書に組み込まれている。)。ここでいうオープンタイムとは、溶剤が揮発した後、プライマーが依然として接着剤システムに結合する時間を意味する。ここでいう結合(link up)とは、接着剤のその接着剤の官能基への化学結合を意味する。
【0006】
低エネルギー表面プラスチック部品は、自動車に、例えば内装部品及びバンパーフェイシャとしてしばしば使用される。シートモールディングコンパウンドは、ボディ部品に使用され、接着が難しい表面であり得る。自動車製造業者を含めた多くの製造業者は、自動車製造労働者が、溶剤蒸気に曝露されるため、また環境及び安全規制が溶剤除去及び換気システムを求めることがあるため、組立工場においてプライマーを使用させたがらない。したがって、組立作業におけるプライマーの使用は、組立工場にコスト及び健康及び安全の懸念を加えることがある。望ましいものは、長いオープンタイムを有し、それによって組立作業から遠く離れた時間及び場所において基板への塗布を可能にするプライマーである。自動車製造業者との関連で、これは、構成部品が、部品供給業者の工場において下塗りされ、次いで自動車が組み立てられる工場に輸送されることを意味する。2008年2月19日に出願された共有の米国特許出願第12/03420号及び「One Component Glass Primer Including Oxazoladine」の名称の特許協力条約出願PCT/US 08/054号は、ポリイソシアネート官能性接着剤システムをガラスに結合させるために有用な長いオープンタイムプライマーシステムを開示しており、参照により本明細書に組み込まれている。イソシアネート官能性接着剤システムを低エネルギープラスチック表面に結合させるための長いオープンタイムのプライマーシステムは、これらの出願に開示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
必要とされるものは、最長90日以上の長いオープンタイムを有する、イソシアネート官能性接着剤システムを低表面エネルギー基板に結合させ得るプライマーシステムである。さらに必要とされるものは、種々の他の基板にも使用することができ、また低表面エネルギープラスチック基板及び他の基板、例えばガラス、金属、被覆された金属及び相対的に高い表面エネルギーを有するプラスチック基板の接着に使用することができるプライマーシステムである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要約
一実施形態において、本発明は、a)平均3個以上の脂肪族イソシアネート基を有し、アルコキシシラン基をさらに含有する1種以上のプレポリマー;b)1種以上の芳香族ポリイソシアネート;c)水分に曝露されると加水分解して少なくとも1個のイソシアネート反応性基を形成する、少なくとも1個の複素環を有する1種以上の化合物;d)1種以上の溶剤;並びにe)1種以上のアミン及び/又は有機金属ポリウレタン触媒を含む組成物であり、ここで、該組成物中の芳香族イソシアネート基の脂肪族イソシアネート基との比は、約0.5:1.0から約1.5:1.0、好ましくは約0.9:1.0から約1.5:1.0であり、イソシアネート基の、少なくとも1個の加水分解性複素環を有する1種以上の化合物から誘導され得るイソシアネート反応性基との当量比は、約0.8:1.0から約5.3:1.0であり、最も好ましくは約1.5:1.0から約1.7:1.0である。好ましい一実施形態において、上記組成物は、塗膜形成樹脂をさらに含む。別の好ましい実施形態において、水分に曝露されると加水分解する少なくとも1個の複素環を有する1種以上の化合物は、1個以上のアゾール基を含む1種以上の化合物を含む。
【0009】
別の実施形態において、本発明は、上記に記載された組成物及びイソシアネート官能性接着剤を含む2つの基板を一緒に接着するためのシステムである。好ましくは、イソシアネート官能性接着剤は、一液型接着剤システムであり、好ましくは水分への曝露によって硬化する。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、本発明による組成物を表面と接触させるステップと溶剤を蒸発させるステップとを含む、表面へのポリイソシアネート官能性接着剤の接着を強化するために表面を下塗りする方法である。別の実施形態において、本発明は、a)本発明の組成物を基板の1つ以上の表面に塗布し溶剤を蒸発させるステップ;b)イソシアネート官能性接着剤を、ステップa)に従って上記組成物を塗布した2つ以上の基板の表面に塗布するステップ;c)2つ以上の基板を基板の間に置かれた接着剤と一緒に接触させるステップ;並びにd)2つ以上の基板を一緒に接着するために接着剤を硬化させるステップを含む2つの基板を一緒に接着する方法である。好ましい一実施形態において、基板の少なくとも1つは、表面処理された低表面エネルギープラスチックである。別の好ましい実施形態において、ステップa)は、ステップb)から遠く離れた時間及び/又は場所で実施される。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、本発明の組成物を、基板の1つ以上の表面上に堆積させている基板である。好ましい一実施形態において、基板は、表面処理された低表面エネルギー基板である。溶剤が揮発した後、組成物の固体物のみが、表面上に残り、従って本発明の組成物から溶剤を差し引いたものが基板の表面上に位置する。
【0012】
さらに別の実施形態において、本発明は、本発明の組成物及びイソシアネート官能性接着剤システムによって一緒に接着された2つ以上の基板を含む組立品を含む。一般的に、1つ以上の基板の表面上に位置する組成物は、溶剤を含まない。硬化接着剤は、ポリウレタン、ポリ尿素又はポリウレタン−ポリ尿素であり得る。基板の1つ以上は、低表面エネルギープラスチックであり得る。別の実施形態において、1つの基板は、低表面エネルギープラスチックであり、もう1つは、より高い表面エネルギーを有する。
【0013】
本発明の組成物は、低表面エネルギープラスチック部品、より高い表面エネルギープラスチック部品、金属部品、ガラス部品、被覆された金属部品、複合部品及び木製部品を含む、いろいろな部品同士を接着するために使用することができる。プライマーシステムとして使用された場合の本発明の組成物のオープンタイムは、90日の長さであり得、より好ましくは9カ月の長さであり、最も好ましくは1年の長さであり得る。好ましくは、オープンタイムは、23℃及び50パーセント相対湿度から32℃及び80パーセント相対湿度において、20秒及び90日の間であり、より好ましくは20秒及び9カ月の間である。本発明のシステムは、内部装備品を車室に接着するために、プラスチック部品をガラスに接着するために、フェイシャをバンパーシステムに、トリムなどのプラスチック部品を金属、複合材又はシートモルディングコンパウンドベースのボディ部品に接着するために使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
本明細書で使用されるオープンタイムは、プライマーシステムが、イソシアネート官能性接着剤に結合させ得るプライマーシステムの塗布からの時間を意味する。好ましい一実施形態において、オープンタイムは、プライマーシステムの溶剤が基板への塗布後に揮発したときに始まり、基板の表面上に残っている組成物の部分が、接着剤システムにもはや結合し得ないときに終わる。接着剤がプライマーシステムに結合しなかったことの証拠は、以下に記載される性能試験における下塗りされた表面の表面からの接着破壊である。本明細書で使用される結合(link up)は、接着剤システムと化学反応して化学結合を形成するプライマーシステムの能力を意味する。結合の証拠は、以下に記載される性能試験における凝集破壊によって明らかにされる。低表面エネルギープラスチックに関して使用される表面処理は、表面を酸化してプラスチックの表面上に追加の極性基を作るための表面の処理を意味する。これは、化学エッチング、火炎処理、コロナ放電などによる表面の処理によって達成し得る。
【0015】
低表面エネルギー基板(プラスチック)は、約45mJ/m以下、より好ましくは約40mJ/m以下、最も好ましくは約35mJ/m以下の表面エネルギーを有する材料を意味する。このような材料の中に含まれるのは、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリアミド、シンジオタクチックポリスチレン、オレフィン含有ブロックコ−ポリマー、及び約20mJ/m未満の表面エネルギーを有するポリテトラフルオロエチレン(TEFLON)などのフッ素化ポリマーである。(「表面エネルギー」という表現は、しばしば、他によって「臨界濡れ張力」と同義語として使用される。)
【0016】
高い又はより高いエネルギー表面は、表面が、接着剤システムが表面に接着(表面に結合)するのを可能にする、表面上に有意の数の極性基を有することを意味する。しばしば、イソシアネート官能性接着剤システムなどの接着剤システムは、プライマーシステム又は表面処理を必要とせず、より高い表面エネルギー基板に接着し得る。
【0017】
本発明の組成物の一成分は、平均3個以上の脂肪族イソシアネート基を有し、アルコキシシラン基をさらに含む1種以上のプレポリマーである。脂肪族イソシアネート基は、非芳香族炭素原子に結合しているイソシアネート基である。本明細書で使用されるプレポリマーは、プレポリマーが平均3個以上のイソシアネート反応性基を有することを条件として、1種以上の脂肪族ポリイソシアネートの3個以上の活性水素原子を有する1種以上の化合物との反応生成物を意味する。脂肪族イソシアネート含有プレポリマーは、アルコキシシラン基をさらに含む。アルコキシシラン基は、そのケイ素原子に結合している1個以上のアルコキシ基を有するケイ素原子を含む。好ましくは、ケイ素原子は、それらに結合している2又は3個のアルコキシ基を有する。ケイ素原子は、さらに、炭素、ケイ素又は酸素、窒素若しくは硫黄などのヘテロ原子に結合していてよい。アルコキシシランは、1個以上のアルコキシシラン及び1個以上のイソシアネート反応性基若しくはイソシアネート基を含む化合物を、脂肪族イソシアネート及びイソシアネート反応性化合物と反応させることによって、脂肪族イソシアネート含有プレポリマーに組み込まれる。好ましくは、脂肪族イソシアネート含有プレポリマーは、4個以上の脂肪族イソシアネート基を有する。好ましくは、脂肪族イソシアネート含有プレポリマーは、6個以下の脂肪族イソシアネート基を有し、より好ましくは5個以下の脂肪族イソシアネート基を有する。
【0018】
本明細書で使用される「イソシアネート−反応性化合物」という用語には、少なくとも2つのイソシアネート反応性部分を有する任意の有機化合物、例えば、活性水素部分を含有する化合物、又はイミノ−官能性化合物が含まれる。本発明の目的のために、活性水素含有部分は、分子中のその位置のために、Journal of the American Chemical Society、49巻、3181頁(1927年)においてWohlerによって記載されたZerewitnoff試験による有意の活性を示す水素原子を含む部分を意味する。このような活性水素部分の例は、−COOH、−OH、−NH、−NH−、−CONH、−SH、及び−CONH−である。好ましい活性水素含有化合物には、ポリオール、ポリアミン、ポリメルカプタン及びポリ酸が含まれる。好適なイミノ−官能性化合物は、例えば、その全体を参照により本明細書に組み込んでいる米国特許第4,910,279号に記載されているような、1分子当たり少なくとも1個の末端イミノ基を有するものである。好ましくは、イソシアネート反応性化合物は、ポリオールであり、より好ましくは、ポリエーテルポリオールである。プレポリマーの調製に有用な好ましいポリオールには、参照により本明細書に組み込んでいるWuの米国特許第6,512,033号のカラム4、10行から64行に記載されたものが含まれ、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリ(アルキレンカーボネート)ポリオール、ヒドロキシル含有ポリチオエーテル、ポリマーポリオール(コポリマーポリオールと一般的に呼ばれる、このようなポリオール中のビニルポリマーの分散液)及びこれらの混合物が含まれる。好ましいポリオールは、ポリオールの主鎖中に1個以上のアルキレンオキシド単位を含むポリエーテルポリオールである。好ましいアルキレンオキシド単位は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及びこれらの混合物である。アルキレンオキシドは、直鎖又は分枝鎖アルキレン単位を含むことができる。好ましくは、ポリオールは、プロピレンオキシド単位、エチレンオキシド単位又はこれらの混合物を含む。アルキレンオキシド単位の混合物がポリオールに含まれる実施形態において、様々な単位をランダムに配置することができ、又は各アルキレンオキシドのブロックで配置することができる。好ましい一実施形態において、ポリオールは、ポリオールをキャップするエチレンオキシド鎖を有するプロピレンオキシド鎖を含む。好ましくは、イソシアネート反応性化合物は、少なくとも約3.0の官能価を有し、最も好ましくは少なくとも約4.0であり、好ましくは、約6.0を上回らず、最も好ましくは、約5.0を上回らない。好ましくは、イソシアネート反応性化合物の当量は、少なくとも約50、より好ましくは、少なくとも約100であり、より好ましくは、少なくとも約300であり、好ましくは、約1,500を上回らず、最も好ましくは、約1,000を上回らない。
【0019】
本発明に使用されるプレポリマーは、バルク重合及び溶液重合などの任意の好適な方法によって調製し得る。プレポリマーを調製する反応は、無水条件下で、好ましくは窒素ブランケットなどの不活性雰囲気下で実施して、大気水分によるイソシアネート基の架橋を防ぐようにする。反応は、サンプルの滴定により求めた残余のイソシアネート含有量が所望の理論値に非常に近くなるまで、好ましくは、約0℃及び約150℃の間、より好ましくは、約25℃及び約90℃の間の温度で実施する。プレポリマー中のイソシアネート含有量は、好ましくは、約0.1重量パーセント以上、より好ましくは、約1.5重量パーセント以上、最も好ましくは、約1.8重量パーセント以上である。プレポリマー中のイソシアネート含有量は、好ましくは、約10重量パーセント以下、より好ましくは、約5重量パーセント以下、さらにより好ましくは、4.5重量パーセント以下、最も好ましくは、3重量パーセント以下である。「イソシアネート含有量」は、プレポリマーの総重量に対するイソシアネート部分の重量百分率を意味する。プレポリマーを調製する反応は、ウレタン触媒の存在下で実施し得る。このような例には、オクタン酸錫、オレイン酸錫、酢酸錫、及びラウリン酸錫などのカルボン酸の錫塩が含まれる。同様に、ジラウリン酸ジブチル錫及びジ酢酸ジブチル錫などのジアルキル錫ジカルボン酸塩は、ウレタン触媒として当技術分野で知られており、第3級アミン及び錫メルカプチドも同様である。好ましくは、プレポリマーを調製する反応は、オクタン酸錫によって触媒される。使用される触媒の量は、一般的に、イソシアネートの性質に応じて、触媒される混合物の約0.005及び約5重量部の間である。
【0020】
脂肪族イソシアネート含有プレポリマーは、本発明の組成物が、イソシアネート官能性プレポリマーに結合し得るのに十分な量で本発明の組成物中に存在する。好ましくは、脂肪族イソシアネート含有プレポリマーは、本発明の組成物の重量に対して、約40重量部以上、より好ましくは、約45重量部以上、最も好ましくは、約50重量部以上の量で存在する。好ましくは、脂肪族イソシアネート含有プレポリマーは、本発明の化合物の重量に対して、約90重量部以下、より好ましくは、約80重量部以下、最も好ましくは、約60重量部以下の量で存在する。
【0021】
脂肪族イソシアネート含有官能性プレポリマーを調製するのに有用なポリイソシアネートには、非芳香族炭素原子に結合した平均2個以上のイソシアネート基を含有する任意のイソシアネートが含まれる。本発明において有用な好ましい脂肪族ポリイソシアネートの中には、エチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、シクロブタン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,3−及び1,4−ジイソシアネート並びにこれらの異性体の混合物;1−イソシアナト3,3,5−トリメチル5−イソシアナトメチルシクロヘキサン及びイソホロンジイソシアネートが含まれる。より好ましい脂肪族ポリイソシアネートには、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイシホロンジイソシアネートが含まれる。
【0022】
脂肪族イソシアネート含有プレポリマーを調製するのに有用なアルコキシシランには、1個以上のイソシアネート反応性又はイソシアネート基を有する任意のアルコキシシランが含まれる。好ましくは、アルコキシシランは、1シラン当たり平均2から3個のアルコキシ基を有する。好ましいイソシアネート反応性基は、活性水素原子を有する基である。より好ましいイソシアネート反応性基には、ヒドロキシル、カルボン酸、メルカプト及びアミノ基が含まれる。本発明において有用なより好ましいアルコキシシランには、1−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びビス(トリメトキシ−シリルプロピル)アミンが含まれる。脂肪族イソシアネート含有プレポリマーは、好ましくは、約3.0重量パーセント以上のアルコキシシラン基を含有し、より好ましくは、約8.0重量パーセント以上のアルコキシシラン基を含有する。脂肪族イソシアネート含有プレポリマーは、好ましくは、約30重量パーセント以下のアルコキシシラン基を含み、より好ましくは、約25重量パーセント以下のアルコキシシラン基を含む。脂肪族イソシアネート含有プレポリマーは、好ましくは、約2.5重量パーセント以上のイソシアネート基を含み、より好ましくは、約3.5重量パーセント以上のイソシアネート基を含む。脂肪族イソシアネート含有プレポリマーは、好ましくは、約6.0重量パーセント以下のイソシアネート基を含み、より好ましくは、約5.0重量パーセント以下のイソシアネート基を含む。少なくとも3個以上の脂肪族イソシアネート基を有するプレポリマーは、プライマー組成物としての使用のために十分な数平均分子量を有する。好ましくは、数平均分子量(M)は、約500ダルトン以上であり、より好ましくは、1,000ダルトン以上である。好ましくは、数平均分子量(M)は、約6,000ダルトン以下であり、より好ましくは、5,000ダルトン以下である。
【0023】
本発明の組成物は、1種以上の芳香族ポリイソシアネートをさらに含む。芳香族ポリイソシアネートは、芳香族炭素原子に結合した、平均約2個以上、好ましくは約3個以上のイソシアネート基を有する化合物である。芳香族イソシアネートは、芳香族炭素原子に結合したイソシアネートである。平均2個以上、好ましくは3個以上の芳香族イソシアネート基を有する任意の化合物、オリゴマー又はプレポリマーは、本発明において使用し得る。1種以上の芳香族ポリイソシアネートは、好ましくは、ポリイソシアネート、ポリマーポリイソシアネート、又はポリイソシアネートの1個若しくは複数のイソシアネート反応性基を有する化合物との付加物の1つ又は複数を含む。さらにより好ましくは、1種以上の芳香族ポリイソシアネートは、i)1種以上のポリイソシアネート又はポリマーポリイソシアネート及びii)ポリイソシアネートの、アルコキシシラン基をさらに含む1個以上のイソシアネート反応性基を有する化合物との1種以上の付加物を含む。さらにより好ましくは、ポリイソシアネートの、1個以上のイソシアネート反応性基を有する化合物との1種以上の付加物は、リン含有ポリイソシアネート及びイソシアネート基と反応性の2個以上のアミノ基を含有するアミノアルキルシランの反応生成物を含む。芳香族ポリイソシアネートが、ポリイソシアネート及び1個以上のイソシアネート反応性基を有する1種以上の化合物の付加物である実施形態において、イソシアネート反応性基を含む化合物は、1個以上のイソシアネート反応性基を有する化合物が、600以上、好ましくは800以上、より好ましくは1,000以上の数平均分子量を有する、上記に記載された任意のこのような化合物であってよい。2個以上のイソシアネート反応性基を有する化合物は、6,000以下、好ましくは、5,000以下、より好ましくは、4,500以下の数平均分子量を示すことが好ましい。好ましい一実施形態において、上記付加物は、芳香族ポリイソシアネート、2種以上のイソシアネート反応性化合物を含む化合物並びに1個以上のアルコキシシラン基及び1個以上のイソシアネート反応性基を有する1種以上の化合物の付加物を含む。本明細書で有用な、1個以上のアルコキシシラン基及び1個以上のイソシアネート反応性基を有する1種以上の化合物は、3個以上の脂肪族イソシアネート基を含有するプレポリマーにおいて有用であるとして上記に記載されたものである。好ましい芳香族ポリイソシアネートの中には、メチルジフェニルジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、2,4’−及び2,6−トリレンジイソシアネート及びこれらの異性体の混合物、ナフチレン1,5−ジイソシアネート、トリフェニルメタン4,4',4”−トリイソシアネート及びこれらのポリマー誘導体及びトリス(イソシアナトフェニル)チオホスフェートが含まれる。より好ましいポリイソシアネートは、メチルジフェニルジイソシアネート及びこのポリマー誘導体並びにトリス(イソシアナトフェニル)チオホスフェートを含む。好ましい一実施形態において、芳香族ポリイソシアネートは、1種以上の芳香族ポリイソシアネート及び/又はこれらのポリマー誘導体並びに1種以上のリン酸塩含有芳香族ポリイソシアネートの混合物である。芳香族ポリイソシアネートは、基板接着及び開環された複素環化合物との反応を促進するのに十分な量で存在する。好ましくは、芳香族ポリイソシアネートは、約4重量パーセント以上、最も好ましくは、7重量パーセント以上の量で存在する。好ましくは、芳香族ポリイソシアネートは、約30重量パーセント以下、より好ましくは、約25重量パーセント以下、より好ましくは、約25重量パーセント以下、さらにより好ましくは、約22重量パーセント以下、最も好ましくは、約18重量パーセント以下の量で存在する。芳香族ポリイソシアネートが、1種以上の芳香族イソシアネート及び/又はそれらのポリマー誘導体並びに1種以上のリン酸塩含有芳香族ポリイソシアネートを含む実施形態において、芳香族ポリイソシアネート及び/又はそのポリマー誘導体の量は、約1重量パーセント以上であり、最も好ましくは、約3重量パーセント以上であり、リン酸塩含有芳香族ポリイソシアネートの量は、約1重量パーセント以上であり、より好ましくは、約4重量パーセント以上である。このような実施形態において、芳香族ポリイソシアネート及び/又はそれらのポリマー誘導体の量は、約20重量パーセント以下、より好ましくは、約15重量パーセント以下、最も好ましくは、11重量パーセント以下であり、リン酸塩含有芳香族ポリイソシアネートの量は、約10重量パーセント以下、より好ましくは、約7重量パーセント以下である。好ましい一実施形態において、芳香族ポリイソシアネートは、約200以上、より好ましくは、約300以上の数平均分子量を有する。好ましい一実施形態において、芳香族ポリイソシアネートは、約800以下、より好ましくは、約500以下の数平均分子量を有する。好ましい一実施形態において、芳香族ポリイソシアネートは、約0.9から約5.5重量パーセントのイソシアネート含有量を示す。
【0024】
本発明の組成物は、水分に曝露されると加水分解して少なくとも1個のイソシアネート反応性基を形成する少なくとも1つの複素環を有する1種以上の化合物を含む。好ましくは、上記環式環は、1個以上の窒素及び/又は酸素原子を含み、加水分解でヒドロキシル及び/又はアミノ基を形成する。最も好ましくは、複素環は、少なくとも1個の酸素及び少なくとも1個の窒素原子の両方を含有する。好ましくは、加水分解で、少なくとも1個のヒドロキシル及び少なくとも1個のアミノ基が形成される。好ましくは、複素環は、5又は6員であり、5員環が好ましい。好ましくは、複素環は、アゾール環である。好ましい一実施形態において、水分に曝露されると加水分解する少なくとも1個の複素環を有する1種以上の化合物は、1個以上のオキサゾリジン、イソオキサゾリジン、オキサゾリジノン又はオキサゾリジンジオン基を含有する1種以上の化合物を含む。より好ましくは、水分に曝露されると加水分解する少なくとも1個の複素環を有する1種以上の化合物は、1個以上のオキサゾリジン基を含有する1種以上の化合物を含む。最も好ましくは、水分に曝露されると加水分解する少なくとも1個の複素環を有する1種以上の化合物は、1個以上のビスオキサゾリジン基を含有する1種以上の化合物を含む。水分に曝露されると加水分解する少なくとも1個の複素環を有する1種以上の化合物は、以下に記載される少なくとも1個の加水分解性複素環を有する1種以上の化合物から誘導され得るイソシアネート反応性基の当量に等しいイソシアネートの比をもたらすのに十分な量で存在する。好ましくは、水分に曝露されると加水分解する少なくとも1個の複素環を有する1種以上の化合物は、約1重量パーセント以上、より好ましくは、2重量パーセント以上、最も好ましくは、3重量パーセント以上の量で存在する。好ましくは、水分に曝露されると加水分解する少なくとも1個の複素環を有する1種以上の化合物は、約10重量パーセント以下、より好ましくは、7重量パーセント以下、最も好ましくは、6重量パーセント以下の量で存在する。
【0025】
本発明の組成物は、溶剤をさらに含む。組成物の成分の全てを溶解又は分散する任意の溶剤を使用することができる。好ましくは、溶剤は、周囲条件下で揮発する。好ましくは、溶剤は、約50℃及び約180℃の間の沸点を有する。好ましい溶剤には、ケトン、エステル、エーテル及び炭化水素が含まれる。より好ましい溶剤には、ケトン及びアセテートが含まれ、メチルエチルケトン、3−メトキシブチルアセテート及びエチルアセテートが最も好ましい。溶剤は、本発明の他の成分を分散又は溶解するのに十分な量で存在する。好ましくは、溶剤は、約35重量パーセント以上、より好ましくは、約40重量パーセント以上、より好ましくは、約45重量パーセント以上、最も好ましくは、約50重量パーセント以上の量で存在する。好ましくは、溶剤は、約85重量パーセント以下、より好ましくは、約75重量パーセント以下、最も好ましくは、約70重量パーセント以下の量で存在する。
【0026】
本発明の組成物は、イソシアネート基のイソシアネート反応性基との反応のための、当業者に知られている1種以上のアミン又は有機金属ポリウレタン触媒をさらに含む。好ましくは、触媒は、周囲条件で揮発性ではない。このような化合物は、当技術分野でよく知られている。好ましい触媒には、有機金属化合物、アミン系触媒又はこれらの混合物が含まれる。好ましくは、有機金属化合物及びアミン系触媒の混合物が使用される。好ましい有機金属触媒の中には、金属アルカノエート、金属酢酸塩、及び金属アセチルアセトネートがある。好ましい金属アルカノエート触媒には、ビスマス、亜鉛、カリウム及びナトリウムアルカノエート、例えばビスマスオクトエート、ビスマスネオデカノエート、亜鉛オクトエート、カリウムオクトエート、及びナトリウムオクトエートが含まれる。金属酢酸塩には、酢酸カリウムが含まれる。金属アセチルアセトネートには、鉄アセチルアセトネート及びジブチル錫ジアセチルアセトネートが含まれる。好ましい金属塩触媒は、金属としてビスマス又は錫を含有し、錫が最も好ましい。好ましいアミン触媒には、ジモルホリノジアルキルエーテル、ジ((ジアルキルモルホリノ)アルキル)エーテル、ビス−(2−ジメチルアミノ−エチル)エーテル、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルシクロ−ヘキシルアミン、N,N−ジメチルピペラジン4−メトキシエチルモルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、及びこれらの混合物が含まれる。好ましいジモルホリノジアルキルエーテルは、ジモルホリノジエチルエーテルである。好ましいジ((ジアルキル−モルホリノ)アルキル)エーテルは、(ジ−(2−(3,5−ジメチルモルホリノ)エチル)エーテル)である。第3級アミンは、イソシアネート基のイソシアネート反応性基との反応を触媒するのに十分な量で使用される。好ましくは、第3級アミンは、本発明の組成物の重量に対して、約0.15重量部以上、最も好ましくは、約0.2重量部以上の量で使用される。好ましくは、第3級アミンは、本発明の組成物の重量に対して、約2.0重量部以下、より好ましくは1.75重量部以下、さらにより好ましくは、約1.0重量部以下、最も好ましくは、約0.4重量部以下の量で使用される。使用される場合に、有機金属化合物系触媒は、好ましくは、本発明の組成物の重量に対して、約0重量部以上、より好ましくは、約0.01重量部以上、最も好ましくは約0.02重量部以上の量で使用される。このような有機金属化合物系触媒は、好ましくは、接着剤組成物の重量に対して、約5重量部以下、より好ましくは、約2.0重量部以下、さらにより好ましくは、約1重量部以下、最も好ましくは、約0.6重量部以下の量で使用される。
【0027】
本発明の組成物は、1種以上の塗膜形成樹脂をさらに含むことができる。塗膜形成樹脂は、好ましくは、高分子量樹脂である。塗膜形成樹脂は、基板の表面に堆積された場合、本発明の組成物に強度を提供する塗膜を形成することの目的のために存在する。溶剤の蒸発により塗膜を形成する任意の高分子量樹脂を使用することができる。高分子量樹脂は、接着剤システムと反応するか又は基板の表面と反応する官能基を有し得る。別法として、反応性官能基は、高分子量樹脂が本発明の組成物において作用するのに必要とされない。好ましい塗膜形成樹脂の例は、ビニル、アクリレート、スチレン、ジエン、メタクリレート、アリル、チオレン、ビニルエーテル、不飽和エステル、イミド、N−ビニル、アクリルアミド含有基及びこれらの混合物などを含む1種以上の官能基を含有する樹脂である。好ましい官能基は、アクリレート官能基である。樹脂は、好ましくは、溶剤の蒸発により強い塗膜の形成を促進する分子量を有する。好ましくは、高分子量樹脂は、約5,000以上、より好ましくは、約10,000以上、最も好ましくは、約15,000以上の重量平均分子量を有する。好ましくは、高分子量樹脂は、約200,000以下、より好ましくは、約150,000以下、最も好ましくは、約100,000以下の重量平均分子量を有する。塗膜形成樹脂は、基板上に塗膜を形成するのに十分な量で存在する。好ましくは、塗膜形成樹脂は、約0重量パーセント以上、最も好ましくは、約1重量パーセント以上の量で存在する。好ましくは、塗膜形成樹脂は、約8重量パーセント以下、最も好ましくは約3重量パーセント以下の量で存在する。
【0028】
本発明の組成物は、組成物に所望の色、粘度及び垂れ下り抵抗を与えるためにカーボンブラックなどの1種以上の補強充てん剤をさらに含むことができる。1種以上の補強充てん剤は、組成物に使用することができ、好ましくは、1種以上のカーボンブラックである。本発明で使用されるカーボンブラックは、それを非導電性にするために特に処理されていない標準のカーボンブラックであってよい。標準のカーボンブラックは、特に表面処理又は酸化されていないカーボンブラックである。1種以上の非導電性カーボンブラックを、標準のカーボンブラックと共に使用することができるが、このような含有物は不必要なコストを追加することがある。組成物中のカーボンブラックの量は、所望の色、粘度、及び垂れ下り抵抗を提供する量である。カーボンブラックは、好ましくは、組成物の重量に対して、約0重量パーセント以上、より好ましくは、約2重量パーセント以上、最も好ましくは、約4重量パーセント以上の量で使用される。カーボンブラックは、好ましくは、組成物の重量に対して、約20重量パーセント以下、より好ましくは、約15重量パーセント以下、最も好ましくは、約12重量パーセント以下である。標準のカーボンブラックは、当技術分野でよく知られており、Colombianから入手できるRAVEN(商標)790、RAVEN(商標)450、RAVEN(商標)500、RAVEN(商標)430、RAVEN(商標)420及びRAVEN(商標)410カーボンブラック及びCabotから入手できるCSX(商標)カーボンブラック、及びDegussaから入手できる Printex(商標) 30カーボンブラックを含む。非導電性カーボンブラックは、当技術分野でよく知られており、Colombianから入手できるRaven(商標)1040及びRAVEN(商標)1060カーボンブラックを含む。
【0029】
本発明の組成物は、紫外線によって照射された場合に蛍光を発する成分をさらに含有することができる。蛍光成分は、多くの供給源、例えばWisconsin州、Milwaukee市、Aldrich Chemical Co.から容易に入手できる。特定の例として、蛍光成分は、New York(米国)州、Tarrytown市、Ciba Specialty Chemicalsから入手できるUvitex OBのブランドの蛍光剤であり得る。プライマーに添加される蛍光剤の量は、プライマーで処理された窓の範囲が、窓が紫外線を照射された場合に明らかであるのに十分でなければならない。本発明の組成物は、安定化量の有機亜リン酸塩をさらに含むことができる。有機亜リン酸塩は、好ましくは、基板表面への接着剤組成物の結合の耐久性を高めるために十分な量で存在する。好ましい一実施形態において、本発明の組成物は、光安定剤を含む。それが結合している構造の寿命のかなりの部分の間、システムが基板への丈夫な結合を維持するのを促進する任意の光安定剤を使用することができる。別の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、紫外線吸収剤をさらに含む。基板への接着剤の結合の耐久性を高める任意の紫外線吸収剤を使用することができる。好ましい紫外線吸収剤には、ベンゾフェノン及びベンゾトリアゾールが含まれる。このような添加剤は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2006−0124225号に記載されている。
【0030】
組成物が、基板表面への良好な接着及び長いオープンタイムの両方を提供するために、芳香族イソシアネート基の脂肪族イソシアネート基に対する比が重要である。比が高すぎる場合、オープンタイムは短縮され、比が低すぎる場合、プライマーは、特定の基板によく接着しない。好ましくは、比は、約0.5:1.0以上、より好ましくは約0.8:1.0以上、さらにより好ましくは、約0.9:1.0以上、さらにより好ましくは、約1.0:1.0以上、最も好ましくは、約1.05:1.0以上である。好ましくは、比は、約1.5:1.0以下、より好ましくは、約1.3:1.0以下、最も好ましくは、約1.2:1.0以下である。同様に、存在するイソシアネート基の、水分に曝露されると加水分解する少なくとも1個の複素環を有する1種以上の化合物に由来するイソシアネート反応性基の当量の数との比は、好ましくは、約0.8:1.0以上、より好ましくは、約1.0:1.0以上、最も好ましくは、約1.5:1.0以上である。存在するイソシアネート基の、水分に曝露されると加水分解する少なくとも1個の複素環を有する1種以上の化合物に由来するイソシアネート反応性基の当量の数との比は、好ましくは、約5.3:1.0以下、より好ましくは、約5.0:1.0以下、さらにより好ましくは、約2.7:1.0以下、最も好ましくは、約1.7:1.0以下である。最も好ましい実施形態において、存在するイソシアネート基の、水分に曝露されると加水分解する少なくとも1個の複素環を有する1種以上の化合物に由来するイソシアネート反応性基の当量の数との比は、好ましくは、約1.5から約1.7である。この比が低すぎる場合、組成物は、基板によく結合せず、比が高すぎる場合、組成物は、長いオープンタイムを示さない。本発明の組成物は、好ましくは、約1重量パーセント以上、より好ましくは、2重量パーセント以上のアルコキシシランを含有する。好ましくは、本発明の組成物は、10重量パーセント以下、好ましくは、4重量パーセント以下のアルコキシシラン基を含有する。
【0031】
組成物は、溶剤中で成分を接触させ、混合して溶液又は分散液を形成することによって調製される。イソシアネート基及びアルコキシシラン基の早期反応を防ぐために、水分を含まない環境で混合を行うことが好ましい。
【0032】
本発明のシステムは、プラスチック、金属、被覆された金属、ガラス、複合材などに接着するために設計された、アクリル、メタクリル、イソシアネート、シロキシ又はこれらの混合物から選択される1個以上の官能基を有する任意の接着剤を使用することができる。好ましい接着剤システムは、イソシアネート基、シロキシ基又はイソシアネート及びシロキシ基の組合せを有する接着剤である。最も好ましいのは、イソシアネート基又はイソシアネート及びシロキシ基を有する接着剤システムである。イソシアネート基を有する又はイソシアネート及びシロキシ基を有する好ましい接着剤システムの例は、関連部分が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第4,374,237号、米国特許第4,687,533号、米国特許第4,780,520号、米国特許第5,063,269号、米国特許第5,623,044号、米国特許第5,603,798号、米国特許第5,852,137号、米国特許第5,976,305号、米国特許第5,852,137号、米国特許第6,512,033号に開示されている。本発明において有用なポリイソシアネート官能性接着剤は、一般的に、イソシアネート官能基、プレポリマーの硬化のための触媒及び当業者によく知られている他の添加剤を有するプレポリマーを含む。本発明において使用されるプレポリマーは、ポリウレタン接着剤組成物において使用される従来のプレポリマーであり得る。好ましい一実施形態において、プレポリマーは、シラン官能基を有する化合物又はポリマーとブレンドされる。別の好ましい実施形態において、プレポリマーは、シラン官能基及びイソシアネート官能基を含有する。シラン官能基を有するウレタンプレポリマーは、接着剤に使用される全プレポリマーとして使用することができ、又はシラン官能基を有さないプレポリマーとブレンドすることができる。一実施形態において、本発明の接着剤組成物は、柔軟な主鎖を有し、シラノール縮合が可能なシラン部分を有するポリマーを含有する。柔軟な主鎖を有するポリマーは、シラノール縮合が可能なシランで官能化し得る柔軟な主鎖を有する任意のポリマーであってよい。好ましいポリマー主鎖の中には、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリオレフィンなどがある。より好ましいポリマー主鎖の中には、ポリエーテル及びポリウレタンがあり、最も好ましいのは、ポリエーテルである。このような接着剤組成物の例は、Mahdiの米国特許出願第2002/01550 A1号に開示されているものである。さらにより好ましくは、ポリマーは、シラノール縮合が可能なシラン部分を有するポリエーテルである。いくつかの実施形態において、本発明において有用なポリマーは、全て参照により本明細書に組み込まれている、Yukimotoら、米国特許第4,906,707号; Iwakiriら、米国特許第5,342,914号; Yukimoto、米国特許第5,063,270号; Yukimotoら、米国特許第5,011,900号;又はSuzukiら、米国特許第5,650,467号に開示されているポリマーである。より好ましくは、このようなポリマーは、1分子当たり少なくとも1個の反応性ケイ素基を含有するオキシアルキレンポリマーである。「シロキシ基」、「反応性ケイ素基」又は「シラノール縮合が可能な反応性シラン」という用語は、加水分解性基又はヒドロキシル基が、ケイ素原子に結合しており、シラノール縮合反応によって架橋し得るケイ素含有基を意味する。加水分解性基は、特に限定されず、従来の加水分解性基から選択される。特定の例は、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノ−オキシ基、メルカプト基、及びアルケニルオキシ基である。それらの中で好ましいのは、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノ−オキシ基、メルカプト基、及びアルケニルオキシ基である。アルコキシ基は、より好ましく、メトキシ又はエトキシ基は、それらの穏やかな加水分解性による取り扱いの容易さのために最も好ましい。1から3個のヒドロキシル基又は加水分解性基は1個のケイ素原子に結合し得る。1個の反応性ケイ素基当たり、2個以上のヒドロキシル基又は加水分解性基が存在する場合、それらは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。反応性ケイ素基は、1個以上のケイ素原子を有し得る。
【0033】
本発明の組成物は、プラスチック(このようなプラスチックは、高及び/又は低表面エネルギーを有し得る)、シートモールディングコンパウンド、金属、複合材、被覆された金属、ガラス及び木材などのいろいろな基板のためのプライマーとして使用することができる。本発明の組成物は、同一材料の基板及び記載した材料の任意の混合物の基板を組み立てるために使用することができる。本発明の組成物は、好ましくは、低表面エネルギープラスチック基板を互いに又は他の種類の基板と接着するために使用される。好ましい一実施形態において、低表面エネルギーを有する1つ以上の基板を、低表面エネルギー表面を有さない又は高エネルギー表面を有する1つ以上の基板に接着することができる。別の実施形態において、基板は、シートモールディングコンパウンドであり、このような表面は、任意の他の種類の基板に接着することができる。低表面エネルギープラスチックと使用される場合、低表面エネルギープラスチックの表面は、本発明の組成物の塗布前に表面処理することができる。火炎処理、コロナ放電、化学エッチングなどを含めて、プラスチックの表面に存在する極性基の数を増加する、任意の知られている表面処理手段を利用することができる。
【0034】
一般的に、基板を一緒に接着する方法は、本発明の組成物を基板の表面と接触させるステップと本発明の組成物の溶剤を揮発させるステップとを含む。その後、好適な接着剤を、1つ以上の他の基板に接着する予定の基板の部分に沿って基板の表面に塗布する。その後、接着剤を基板の間に置くように、接着剤を、第2の基板と接触させる。接着剤を硬化させて基板の間に丈夫な結合を形成する。
【0035】
本発明の組成物は、当技術分野でよく知られている任意の手段によって塗布し得る。それは、本発明の組成物の十分な量が表面に塗布されるように、接着剤が塗布される基板の表面に、はけ塗り、ロール塗り又は組成物を含有する布を当てることによって手作業で塗布することができる。好ましくは、組成物はロボットを使用して塗布する。この作業のために有用なロボットは、例えば、Ohio州、Amherst市、Nordson Corporationにより供給される自動プライマー計量分配塗布機と共に使用される、Michigan州、Rochester Hills市のFanuc Robotics Americaから入手できるM710Iである。下塗り後に少なくとも約8から約15秒の乾燥時間をあけて、組成物を塗布する。好ましくは、組成物の塗布後、少なくとも20秒で、接着剤を塗布する。凝集塗膜を形成するために十分な量で、組成物を塗布する。好ましくは、塗膜は、溶剤が揮発した後に、約1ミクロン以上、より好ましくは、約3ミクロン以上、最も好ましくは、5ミクロン以上の厚さを示す。好ましくは、塗膜は、溶剤が揮発した後に、約20ミクロン以下、より好ましくは、約16ミクロン以下、最も好ましくは、14ミクロン以下の厚さを示す。
【0036】
いくつかの実施形態において、接着剤組成物は、本発明の組成物の塗布後すぐに基板に塗布する。本発明の組成物の塗布及び接着剤の塗布の間の最短時間は、溶剤が揮発するのに必要な時間である。いくつかの実施形態において、本発明の組成物の塗布の場所と異なる場所で、例えば、工場の異なる部分又は異なる工場で、接着剤を塗布することができる。さらに、工場は、何マイルと離れて、例えば、数百又は数千マイル離れていてよい。本発明の組成物の塗布からずっと後に、接着剤組成物を塗布することができる。表面への本発明のプライマー組成物の塗布及び接着剤の塗布の間の期間は、本発明のプライマー組成物が、依然として、接着剤に結合し得る任意の期間であってよい。いくつかの実施形態において、本発明の組成物及び接着剤組成物の塗布の間の時間は、好ましくは、約5日以上、より好ましくは、30日以上、さらにより好ましくは、約3カ月(90日)以上、さらにより好ましくは、約9カ月以上、最も好ましくは、最長約1年であってよい。本発明の組成物及び接着剤組成物の塗布の間の期間は、約1年以下、より好ましくは、約9カ月以下、さらにより好ましくは、約90日以下、好ましくは、約60日以下であってよい。
【0037】
窓へプライマーを塗布するための一方法は、(a)窓に光を向けて基板の一部を照射するステップと;(b)窓の照射された部分に沿って本発明の組成物を塗布するステップとを含む。組成物が蒸発する成分を含有する場合、上記方法は、成分が蒸発して組成物の塗布の範囲を示すので、基板の赤外線画像を形成するステップをさらに含むことができる。組成物が、紫外線を照射された場合に蛍光を発する成分を含有する場合、上記方法は、基板を紫外線で照射して組成物の塗布の範囲を示すステップをさらに含むことができる。これらの方法は、参照により本明細書に組み込まれている、同一出願人による米国特許出願公開第2003/0232152A1号及び2003年6月11日出願のPCT国際特許出願第2003/106579号(WO03/19745)に開示されたように実施することができる。
【0038】
接着剤組成物を基板に塗布し、その後、第1の基板上の接着剤を第2の基板と接触させる。その後、接着剤を硬化条件に曝露する。好ましい一実施形態において、1つの基板は、低表面エネルギープラスチックであり、他の基板は、場合によって塗装し得るプラスチック、金属、ガラス繊維又は複合材基板である。一般的に、プライマー及び接着剤は、周囲温度で、大気水分の存在下で塗布する。大気水分への曝露は、接着剤の硬化をもたらすのに十分である。対流熱、又は電子レンジ加熱を用いて硬化している接着剤に熱を加えることによって、及び/又は大気中の水分量を高めることによって、例えば湿度室を使用することによって、硬化をさらに促進することができる。
【0039】
好ましくは、接着された接着剤システムは、以下の試験に従って試験された場合、以下の性質を示す。好ましくは、本発明の接着システムは、火炎処理されたポリプロピレンに接着された場合、本発明の組成物の塗布後約90日に、接着剤の塗布が起こる、以下に記載されるカタプラズマ試験(cataplasma test)への曝露後に、約75パーセントを上回る凝集破壊を示す。好ましくは、本発明の接着システムは、約50N/cm以上、より好ましくは、約60N/cm以上の、本発明の組成物の塗布後約28日に、接着剤の塗布を行う以下で定義される方法によるt−剥離強度を示す。
【0040】
本発明の組成物に対して列挙した成分の全ての百分率は、組成物の総重量に基づく。本明細書に記載された分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(SECとも呼ばれる)によって測定することができる数平均分子量である。ポリウレタンプレポリマーについて、当業者に知られているように、イソシアネート化合物及びそれらが反応するポリオール化合物の当量比から近似数平均分子量を計算することも可能である。特に指定のない限り、全ての部及び百分率は、重量によるものであり、接着剤システムの重量に基づく。
【実施例】
【0041】
本発明の例示的実施形態
以下の実施例は、本発明を例示するために提供されるが、その範囲を制限することは意図されていない。全ての部及び百分率は、特に指定のない限り重量による。
【0042】
試験方法
基板の調製。重ね剪断試験(lap shear test)は、以下の試験手順に従って、いくつかの火炎処理されたガラス繊維強化ポリプロピレン(PP)部品に対して実施した。eコートサンプルの試験表面を、ヘプタンできれいにし、けば立ちのない紙で乾燥させる。乾燥させた、きれいな表面に、試験したプライマー組成物を塗布し、15分間風乾(flash off)する。PPプレートの試験表面をヘプタンできれいにし、けば立ちのない紙で乾燥させる。火炎及び基板の間の100mmの距離及び600mm/sの基板速度で、さらなる酸素追加をせず、空気−プロパン混合物50:2を使用する、ARCOTEC, Oberflachtechnik GmbH製ARCOGAS FTS 101D装置を使用して、乾燥させたPP表面を火炎処理に曝露する。
【0043】
クイックナイフ接着。クイックナイフ接着試験において、プライマーを、きれいにしたプラスチック基板に、標準化塗布機を用いて塗布して、12から13ミクロンの均一な塗膜厚みを得る。15分の規定風乾時間後、規定形状、一般的に10mm(高さ)×10−15mm(幅)×200mm(長さ)を有する接着剤ビードを塗布する。接着剤ビードを約6mmの高さに圧縮する。以下に記載される曝露の後、以下の試験を実施する。接着剤ビードの縁端を基板と平行に約10mm切り取って、90°の角度で剥離する。約10 mmごとに、剥離されたビードを基板までナイフで切り込み、剥離を続ける。剥離されたサンプルは、凝集破壊の百分率によって評価し、凝集破壊は、接着剤の硬化したバルク内の破壊を意味し、特に1=約0パーセントの凝集破壊、1=約25パーセントの凝集破壊、3=約50パーセント凝集破壊、4=約75凝集破壊であり、5=約100パーセント凝集破壊である。本明細書において凝集破壊モード百分率と共に使用される表示aは、プライマーを用いる又は用いない接着剤が、基板から剥離したことを意味し、bは、プライマーから剥離したことを意味する。
【0044】
曝露サイクル。実施されたスクリーニングのための曝露サイクルは、(1)23℃、50パーセント相対湿度(Rh.)で7日間、(2)さらに23℃の水中で7日間、(3)90℃で7日間、さらに(4)カタプラズマの7日間である。カタプラズマ処理は、綿によるサンプルの包装及び10倍の水による綿包装の飽和及び次いでの蒸発を防ぐためのアルミフォイル及びポリエチレン(PE)フォイル中のラッピングを含む。包装したサンプルを70℃で7日間、−20℃で16時間曝露し、周囲温度にし、包装を解いたサンプルを23℃で2時間貯蔵する。
【0045】
剥離強度。剥離強度値を、例えば、Zwick/Roell ZWART.PROなどの引張試験機を使用するT剥離試験を適用することによって測定する。プラスチック部品を3×20cmの部分に切断する。清掃、プライマー及び接着剤塗布を、クイックナイフ試験の説明に記載されたように実施する。用意されたサンプルを装置に取り付け、サンプルを90°の角度で剥離し、剥離強度値をN/cmで測定し、ここで、cmで表した長さは、剥離したビードの幅である。
【0046】
以下の実施例において使用された組成物において使用された成分を表1に記載する。
【0047】
【表1】

【0048】
得られた組成物は、芳香族イソシアネートの脂肪族イソシアネートに対する当量比1.05、イソシアネート基のオキサゾリジンの加水分解性同等物に対する比1.62及びシランの重量パーセント1.8及び固体含有率43パーセントを示す。
【0049】
プライマー組成物のBETASEAL 1759、1850、1855、Ll FRB及びBS L1 DCG 一液型ポリイソシアネート官能性接着剤及びBETAMATE 7160 一液型ポリイソシアネート官能性接着剤との試験の結果を表2から7に集めている。BETASEAL及びBETAMATEは、The Dow Chemical Companyの商標である。
【0050】
表2は、15分の風乾時間及び23℃/50パーセント相対湿度の7日間の曝露及びさらなる7日間のカタプラズマ処理の後の、火炎処理したガラス繊維強化ポリプロピレン上のBETASEAL 1759接着剤と組み合わせた本発明の組成物の重ね剪断値を示している。
【0051】
【表2】

【0052】
表3は、24時間の風乾時間及び23℃/50パーセント相対湿度の7日間の曝露、7日間の水への曝露及びさらなる7日間のカタプラズマ処理の後の、火炎処理したガラス繊維強化ポリプロピレン上のBETASEAL 1795接着剤及びBETAMATE 7160接着剤と組み合わせた本発明のプライマーの重ね剪断値を示している。
【0053】
【表3】

【0054】
表4は、15分間のオープンタイム及び23℃/50パーセント相対湿度の7日間の曝露及びさらなる7日間のカタプラズマ処理の後の、火炎処理したポリプロピレン上のBETASEAL 1759接着剤と組み合わせた本発明のプライマー組成物の接着性能の評価を示している。
【0055】
【表4】

【0056】
表5は、2及び4週のオープンタイム(23℃/50% R.H.)の後の、火炎処理したガラス繊維強化ポリプロピレン上のBETASEAL 1759接着剤と組み合わせた本発明の組成物のクイックナイフ及びT剥離試験結果を示している。プライマー処理したガラス繊維強化ポリプロピレンを、プライマーの塗布後2週間及び4週間に接着剤と接触させる。
【0057】
【表5】

【0058】
表6は、32℃及び80% R.H.での様々なオープンタイム後の、eコート上の様々なBETASEAL接着剤と組み合わせた本発明のプライマー組成物のクイックナイフ接着試験結果を示している。
【0059】
【表6】

【0060】
表7は、32℃及び80% R.H.での15分間のオープンタイム後の、様々なプラスチック上のBETASEAL 1759接着剤と組み合わせた本発明のプライマー組成物のクイックナイフ接着試験結果を示している。
【0061】
【表7】

【0062】
PBT/ASAは、ポリブチレンテレフタレート及びグラフトされたアクリル基を有するアクリロニトリル−スチレンアセテートのブレンドである。
【0063】
第1の組成物の実施形態において、本発明は、a)平均3個以上の脂肪族イソシアネート基を有し、アルコキシシラン基をさらに含有する1種以上のプレポリマー;b)1種以上の芳香族ポリイソシアネート;c)水分に曝露されると加水分解して少なくとも1個のイソシアネート反応性基を形成する少なくとも1個の複素環を有する1種以上の化合物;d)1種以上の溶剤;及びe)1種以上のアミン又は有機金属ポリウレタン触媒を含み、ここで、芳香族イソシアネート基の脂肪族イソシアネート基との比は、約0.5:1.0から約1.5:1.0であり、イソシアネート基の少なくとも1個の加水分解性複素環を有する1種以上の化合物から誘導されるイソシアネート反応性基との当量比は、約0.8:1.0から約5.3:1.0である。好ましい一実施形態において、芳香族イソシアネート基の脂肪族イソシアネート基との比は、約0.9:1.0から約1.5:1.0であり、イソシアネート基の少なくとも1個の加水分解性複素環を有する1種以上の化合物から誘導されるイソシアネート反応性基との当量比は、約1.5:1.0から約1.7:1.0である。組成物の実施形態1による第2の組成物の実施形態において、組成物は塗膜形成樹脂をさらに含む。組成物の実施形態1又は2による第3の組成物において、b)1種以上の芳香族ポリイソシアネートは、ポリイソシアネート、ポリマーポリイソシアネート、又はポリイソシアネートの2個以上のイソシアネート反応性基を有する化合物との付加物の1つ又は複数を含む。組成物の実施形態1から3のいずれか1つによる第4の組成物の実施形態において、b)1種以上の芳香族ポリイソシアネートは、i)ポリイソシアネート又はポリマーポリイソシアネートの1つ又は複数及びii)ポリイソシアネートのアルコキシシラン基をさらに含有する1個以上のイソシアネート反応性基を有する化合物との1種以上の付加物を含む。組成物の実施形態3による第5の組成物の実施形態において、ポリイソシアネートの1個以上のイソシアネート反応性基を有する化合物との1種以上の付加物は、リン含有ポリイソシアネート及び1個以上のイソシアネート反応性基を含有するアミノアルキルシランの反応生成物を含む。組成物の実施形態1から5のいずれか1つによる第6の組成物の実施形態において、水分に曝露されると加水分解する少なくとも1個の複素環を有する1種以上の化合物は、1個以上のアゾール基を含有する1種以上の化合物を含む。組成物の実施形態1から5のいずれか1つによる第7の組成物の実施形態において、水分に曝露されると加水分解する少なくとも1個の複素環を有する1種以上の化合物は、1個以上のオキサゾリジン基を含有する1種以上の化合物を含む。組成物の実施形態1から5のいずれか1つによる第8の組成物の実施形態において、水分に曝露されると加水分解する少なくとも1個の複素環を有する1種以上の化合物は、1個以上のビスオキサゾリジン基を含有する1種以上の化合物を含む。組成物の実施形態1から8のいずれか1つによる第9の組成物の実施形態において、芳香族イソシアネート基の脂肪族イソシアネート基との比は、約1.0:1.0から約1.3:1.0である。組成物の実施形態1から8のいずれか1つによる第10の組成物の実施形態において、芳香族イソシアネート基の脂肪族イソシアネート基との比は、約1.05:1.0から約1.2:1.0である。組成物の実施形態1から10のいずれか1つによる第11の組成物の実施形態において、平均3個以上の脂肪族イソシアネート基を有し、アルコキシシラン基をさらに含有するプレポリマーの分子量は、約500から約6,000である。組成物の実施形態1から11のいずれか1つによる第12の組成物の実施形態において、組成物中のアルコキシシラン基の重量百分率は、組成物の重量に対して1.0重量パーセントを上回る。組成物の実施形態1から11のいずれか1つによる第13の組成物の実施形態において、組成物中のアルコキシシラン基の重量百分率は、組成物の重量に対して約1.0から約10重量パーセントである。組成物の実施形態1から13のいずれか1つによる第14の組成物の実施形態において、a)1種以上のプレポリマーは、平均4個以上の脂肪族イソシアネート基を有し、アルコキシシラン基をさらに含有する。組成物の実施形態1から14のいずれか1つによる第15の組成物の実施形態において、組成物は、1種以上の補強充てん剤を含む。組成物の実施形態15による第16の組成物の実施形態において、1種以上の補強充てん剤はカーボンブラックを含む。組成物の実施形態1から16のいずれか1つによる第17の組成物の実施形態において、溶剤は、ケトン、エステル、エーテル又は炭化水素を含む。組成物の実施形態1から17のいずれか1つによる第18の組成物の実施形態において、溶剤は、約50℃から約180℃の沸点を示す。組成物の実施形態1から18のいずれか1つによる第19の組成物の実施形態において、塗膜形成樹脂は、ビニル、アクリレート、スチレン、ジエン、メタクリレート、アリル、チオレン、メタクリレート、アリル、チオレン、ビニルエーテル、不飽和エステル、イミド、N−ビニル、アクリルアミド含有部分及びこれらの混合物を含む1個以上の官能基を含有する。塗膜形成樹脂樹脂がアクリレート官能基を含有する、組成物の実施形態1から19のいずれか1つによる第20の組成物。a)平均3個以上の脂肪族イソシアネート基を有し、アルコキシシラン基をさらに含有する約1から90重量パーセントの1種以上のプレポリマー;b)約1から約25重量パーセントの1種以上の芳香族ポリイソシアネート;c)水分に曝露されると加水分解して少なくとも1個のイソシアネート反応性基を形成する少なくとも1個の複素環を有する約1から約10重量パーセントの1種以上の化合物;d)約45から約75重量パーセントの1種以上の溶剤;e)約0.01から約5重量パーセントの1種以上のアミン又は有機金属ポリウレタン触媒;f)約0から約8重量パーセントの1種以上の塗膜形成樹脂;g)約0から約20重量パーセントの1種以上の顔料を含み、ここで、百分率は、組成物の総重量に基づく、組成物の実施形態1から20のいずれか1つによる第21の組成物。成分b)が、i)約3から約15重量パーセントのi)ポリイソシアネート又はポリマーポリイソシアネートの1つ又は複数、及び約1から約7重量パーセントのii)ポリイソシアネートのアルコキシシラン基をさらに含有する2個以上のイソシアネート反応性基を有する化合物との1種以上の付加物を含む組成物の実施形態21による第22の組成物の実施形態。低エネルギープラスチックの表面に堆積された組成物が、低エネルギープラスチックの表面への堆積後最長3カ月まで、ポリウレタン接着剤に結合し得る、組成物の実施形態1から22のいずれか1つによる第23の組成物の実施形態。
【0064】
組成物の実施形態1から23のいずれか1つによる組成物及びイソシアネート官能性接着剤を含む、2つの基板を一緒に接着するためのシステムを含む第24の実施形態。イソシアネート官能性接着剤が、一液型水分硬化性接着剤である、システムの実施形態24による第25のシステムの実施形態。
【0065】
組成物の実施形態11から23のいずれか1つによる組成物を表面と接触させるステップと溶剤を蒸発させるステップとを含む、ポリイソシアネート官能性接着剤の表面への接着を強化するために表面に下塗りをする方法を含む第26の実施形態。表面が、表面処理された低表面エネルギープラスチックである、方法の実施形態26による方法を含む第27の実施形態。
【0066】
a)組成物の実施形態1から23のいずれか1つによる組成物を基板の1つ又は複数の表面に塗布し、溶剤を蒸発させるステップ;b)それに対して組成物がステップa)により塗布された2つ以上の基板の表面にイソシアネート官能性接着剤を塗布するステップ;c)基板の間に接着剤が置かれるように、2つ以上の基板を一緒に接触させるステップ;及びd)2つ以上の基板を一緒に接着するために接着剤を硬化させるステップを含む、2つの基板を一緒に接着する方法を含む第28の実施形態。基板の少なくとも1つが、表面処理された低表面エネルギープラスチックである、方法の実施形態28による方法を含む第29の実施形態。プライマーの塗布及び接着剤の塗布の間の時間が、約20秒間から約3カ月間である、方法の実施形態28又は29による第30の方法の実施形態。少なくとも1つの基板が、表面処理された低表面エネルギープラスチックであり、他の基板が、低表面エネルギープラスチックではない、方法の実施形態28から30のいずれか1つによる第31の実施形態。ステップa)の後、基板の1つ以上が、ステップb)の実施のために別の場所に移動される、方法の実施形態28から31のいずれか1つによる第32の実施形態。
【0067】
組成物の実施形態1から23の組成物をそれらの上に堆積させた基板を含む物品を含む第33の実施形態。溶剤が、基板上に堆積された組成物から揮発した、物品の実施形態33による物品を含む第34の実施形態。基板の少なくとも1つが、表面処理された低表面エネルギープラスチックである、物品の実施形態33又は34による物品を含む第35の実施形態。他の基板の少なくとも1つが、表面処理された低表面エネルギープラスチックではない、物品の実施形態35による物品を含む第36の実施形態。実施形態1から23の組成物が溶媒を含まない組成物をその上に堆積させた基板を含む物品を含む、第37の実施形態。基板の少なくとも1つが、表面処理された低表面エネルギープラスチックである、物品の実施形態37による物品を含む第38の実施形態。処理された低表面エネルギープラスチック。他の基板の少なくとも1つが、低表面エネルギープラスチックではない、物品の実施形態38による物品を含む第39の実施形態。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)平均3個以上の脂肪族イソシアネート基を有し、アルコキシシラン基をさらに含有する1種以上のプレポリマー;
b)1種以上の芳香族ポリイソシアネート;
c)水分に曝露されると加水分解して少なくとも1個のイソシアネート反応性基を形成する少なくとも1個の複素環を有する1種以上の化合物;
d)1種以上の溶剤;
e)1種以上のアミン又は有機金属ポリウレタン触媒
を含み、ここで、芳香族イソシアネート基の脂肪属イソシアネート基との比は、約0.5:1.0から約1.5:1.0であり、イソシアネート基の少なくとも1個の加水分解性複素環を有する1種以上の化合物から誘導され得るイソシアネート反応性基との当量比は、約0.8:1.0から約5.3:1.0である組成物。
【請求項2】
芳香族イソシアネート基の脂肪族イソシアネート基との比が、約0.9:1.0から約1.5:1.0であり、イソシアネート基の少なくとも1個の加水分解性複素環を有する1種以上の化合物から誘導され得るイソシアネート反応性基との当量比が、約1.5:1.0から約1.7:1.0である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
塗膜形成樹脂をさらに含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
b)1種以上の芳香族ポリイソシアネートが、ポリイソシアネート、ポリマーポリイソシアネート、又はポリイソシアネートの2個以上のイソシアネート反応性基を有する化合物との付加物の1種以上を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
b)1種以上の芳香族ポリイソシアネートが、i)ポリイソシアネート又はポリマーポリイソシアネートの1種以上及びii)ポリイソシアネートのアルコキシシラン基をさらに含有する1個以上のイソシアネート反応性基を有する化合物との1種以上の付加物を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
ポリイソシアネートの1個以上のイソシアネート反応性基を有する化合物との1種以上の付加物が、リン含有ポリイソシアネート及び1個以上のイソシアネート反応性基を含有するアミノアルキルシランの反応生成物を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
水分に曝露されると加水分解する少なくとも1個の複素環を有する1種以上の化合物が、1個以上のアゾール基を含有する1種以上の化合物を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
水分に曝露されると加水分解する少なくとも1個の複素環を有する前記1種以上の化合物が、1個以上のオキサゾリジン基を含有する1種以上の化合物を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
水分に曝露されると加水分解する少なくとも1個の複素環を有する前記1種以上の化合物が、1個以上のビスオキサゾリジン基を含有する1種以上の化合物を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物中のアルコキシシラン基の重量百分率が、組成物の重量に対して約1.0から約10重量パーセントである、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
1種以上の補強充てん剤をさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
a)平均3個以上の脂肪族イソシアネート基を有し、アルコキシシラン基をさらに含有する約1から90重量パーセントの1種以上のプレポリマー;
b)約1から約30重量パーセントの1種以上の芳香族ポリイソシアネート;
c)水分に曝露されると加水分解して少なくとも1個のイソシアネート反応性基を形成する少なくとも1個の複素環を有する約1から約10重量パーセントの1種以上の化合物;
d)約35から約85重量パーセントの1種以上の溶剤;
e)約0.01から約5重量パーセントの1種以上のアミン又は有機金属ポリウレタン触媒;
f)約0から約8重量パーセントの1種以上の塗膜形成樹脂;
g)約0から約20重量パーセントの1種以上の顔料
を含み、ここで、百分率は、前記組成物の総重量に基づく、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
成分b)が、約3から約15重量パーセントのi)ポリイソシアネート又はポリマーポリイソシアネートの1種以上、及び約1から約7重量パーセントのii)ポリイソシアネートの2個以上のイソシアネート反応性基を有し、アルコキシシラン基をさらに含有する化合物との1種以上の付加物を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物及びアクリル、メタクリル、イソシアネート、シロキシ又はこれらの混合物から選択される1種以上の官能基を有する接着剤を含む、2つの基板を一緒に接着するシステム。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物を表面と接触させるステップと溶剤を蒸発させるステップとを含む、ポリイソシアネート官能性接着剤の表面への接着を強化するために表面を下塗りする方法。
【請求項16】
a)請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物を基板の1つ以上の表面に塗布し、溶剤を蒸発させるステップ;
b)イソシアネート官能性接着剤を、前記組成物がステップa)に従って塗布された2つ以上の基板の表面に塗布するステップ;
c)基板の間に置かれた前記接着剤と共に、2つ以上の基板を一緒に接触させるステップ;及び
d)2つ以上の基板が一緒に接着されるように前記接着剤を硬化させるステップ
を含む、2つの基板を一緒に接着する方法。
【請求項17】
プライマーの塗布及び接着剤の塗布の間の時間が、約20秒間から約1年間である、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
ステップa)の後に、1つ以上の基板が、ステップb)の実施のために別の場所に移動される、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1から13の組成物をその上に堆積させた基板を含む物品。
【請求項20】
溶剤を含まない請求項1から13の組成物をその上に堆積させた基板を含む物品。



【公表番号】特表2012−507605(P2012−507605A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534742(P2011−534742)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/062498
【国際公開番号】WO2010/096110
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】