説明

長い貯蔵寿命の乳及び乳−関連製品類、及びそれらの製造方法及び乳加工プラント

本発明は、長い貯蔵寿命の乳及び乳−関連製品類、及びそのような長い貯蔵寿命の製品の製造方法及び前記方法の実施のための乳加工プラントに関する。本発明の方法は、微生物の物理的分離及び多くとも200m秒の高温処理の組合せにより特徴づけられ、そして得られる製品は好都合な性質を有することが見出された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長い貯蔵寿命の乳及び乳−関連製品類、及びそのような長い貯蔵寿命の製品の製造方法及び前記方法の実施のための乳加工プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
乳及び乳−由来の製品は、所望しない酵素を不活性化し、そして病原性及び腐敗微生物を破壊するために熱処理される。加熱工程はさらに、製品の感覚的特徴及び栄養値に肯定的に又は不定的に影響を及ぼす、物理的及び化学的変化(タンパク質変性、褐変化、等)を引起す。乳及び乳−由来の製品は、熱処理の強さにおいて異なる、広範囲の工程により処理され得る。熱処理にかかわらず、目的は、乳に関連する病原性微生物から発生する可能性がある健康障害の最小化、及び最終製品に対する物理的、化学的、感覚的及び栄養的変化を最少にすることである。
【0003】
3種の一般的タイプの熱処理(軽い〜重度)は、熱化、低温殺菌及び殺菌である。熱化はグラム陰性向精神性植物微生物を破壊し、冷蔵貯蔵寿命を高めるのに十分な軽い熱処理(典型的には、57〜68℃で15秒)である。低温殺菌(典型的には、72℃で15秒)は、食中毒を引起すことができる植物病原性生物(細菌、酵母及びカビ)のほとんどを破壊する。殺菌は、最も重度の熱処理(典型的には、121℃で3分)であり、そしてすべての微生物(植物性及び胞子)を破壊するか、又はそれらがさらに成長できないようにする。
【0004】
熱処理工程の強度は、貯蔵寿命及び最終製品性質に影響を及ぼすだろうし、そして製品の意図される使用に基づいて選択される。熱処理の強度の上昇は一般的に、製品腐敗の割合を低めることができ;しかしながら、これは最終製品に対する高められた化学的、物理的、感覚的及び栄養的変化に対してバランスを取られなければならない。製造と消費との間の時間が短い場合、最少レベルの熱処理で十分である。消費の前の時間が長いか、又は製品が過酷な環境(熱帯)に暴露される場合、製品は良好な微生物品質を有するべきであり、そして重度の熱処理の副作用が許容されるべきである。
【0005】
周囲温度での乳製品の貯蔵寿命を数日、延長するためには、それは低温殺菌の間よりも高温に加熱されるべきであり、そして処理後の汚染が排除されるべきである。100℃を越す温度が必要とされるが、しかしながら、これは乳製品に所望しない変化、すなわちpH低下、カルシウム沈殿、タンパク質変性、メイラード褐変、及びカゼインの変化を引起し;それらの変化は重要であり、そして感覚的性質、栄養値、悪い熱交換体に対する感受性、及び沈殿形成に対して影響を及ぼす。
【0006】
超高温(UHT)処理は、連続流動工程として従来技術においては良く知られており、ここで乳製品は135℃の温度に加熱され、約4秒間、保持され、急速に冷却され、そして無菌包装される。UHTは、乳製品を加熱し、そして冷却するために従来の熱交換体(間接的UHT)の使用のを包含し、又は乳製品及び蒸気の直接的混合、続いて、凝集された蒸気を除去するための冷却(直接的UHT)を包含する。UHT乳は、殺菌された乳よりも少数の化学反応を受け、より白色であり、それほどカラメル状にされなかった味であり、ホエータンパク質変性を低め、そして熱感受性ビタミンの損失を低めた製品をもたらす。例えばそうだとしても、貯蔵の間、異臭、特に新鮮でないか、又は酸化された風味の進行が、UHT乳の許容性を制限する最も重要な因子である。この異臭の進行は、加工の間、発生し、そして続く貯蔵を続ける場合に発生する化学反応及び変化(例えば、メイラード反応及び褐変)に関連している。
【0007】
もう1つのタイプの熱処理は、WO98/07,328号に記載されており、ここで液体、例えば新鮮な乳が150℃に1/100秒間、加熱される。そのような熱処理は、UHT処理よりも処理される乳製品に対して温和であるが、しかしそれが微生物の殺害に至る場合、効果的であるものとしては報告されていない。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、改良された味覚及び特に低められた調理味覚を有する長い貯蔵寿命の乳又は乳関連製品、及びそのような乳又は乳関連製品の製造方法、及び前記方法を実施するための乳加工プラントを提供することである。
【0009】
本発明のもう1つの目的は、従来技術の長い貯蔵寿命の乳に比較して、それらを摂取する消費者のために健康である長い貯蔵寿命の乳又は乳関連製品、及びそのような改良された乳又は乳関連製品の製造方法、及び前記方法を実施するための乳加工プラントを提供することである。
【0010】
本発明者は、物理的分離、及び140〜180℃の範囲の温度で長くても20m秒の熱処理による微生物の組合せ除去が驚くべきことには、物理的分離段階が排除されている乳製品に対して、得られる長い貯蔵寿命の乳製品の味覚を改良することを見出した。
【0011】
本発明者はさらに、その組合せが驚くことには、β−ラクトグロブリンの変性の程度を低めることを見出した。β−ラクトグロブリンの変性の程度は、乳血清の他のタンパク質の変性及び生物不活性化のインジケーターである。低い程度の変性は高い量の生活性タンパク質を示し、そして従って、従来技術の比較的長い貯蔵寿命の製品おいてよりも長い貯蔵寿命の乳製品が得られる。
【0012】
本発明の追加の目的及び利点が下記に記載される。
本発明の広い観点は、乳−様液体が110℃以上の温度で短時間、例えば長くとも200m秒、例えば長くとも0.1秒又は長くとも90m秒、処理される、乳又は乳−関連製品の生成方法に関連する。
【0013】
本発明のさらに特定の観点は、
a)乳誘導体を供給し、
b)前記乳誘導体から微生物を物理的に分離し、従って、部分的に殺菌された乳誘導体を入手し、そして
c)前記部分的に殺菌された乳誘導体を含んで成る第1組成物を、高温(HT)−処理に暴露し、ここで前記第1組成物は、140〜180℃の範囲の温度に加熱され、長くとも200m秒の期間、前記温度範囲で維持し、そして次に最終的に冷却する、段階を含んで成る、乳又は乳−関連製品の生成方法に関する。
【0014】
本発明のもう1つの観点は、長い貯蔵寿命の乳又は乳−関連製品、例えば本明細書に記載されるような方法により得られる乳又は乳−関連製品に関する。
【0015】
さらに、本発明の観点は、
−乳誘導体から微生物を除去するよう適合された物理的分離セクション、
−前記物理的分離セクションと液体伝達下にあるHT−処理セクション、ここで前記HT−処理セクションは前記物理的分離セクションの液体製品を140〜180℃の範囲の温度に、長くとも200m秒の間、加熱し、そして続いて、液体製品を冷却するよう適合され、そして
−前記乳加工プラントの製品を包含するために前記HT−処理セクションと、液体伝達下にある包装セクションを含んで成る、乳誘導体を、長い貯蔵寿命を有する乳又は−関連製品に転換するための乳加工プラントに関する。
【0016】
本発明のさらなる観点は、得られる乳又は乳−関連製品の調理風味を低め、そして/又はその健全性を改良するためへの、微生物の物理的分離及び乳誘導体のHT−処理の組合せの使用に関する。
【0017】
本発明においては、用語、“Y及び/又はX”とは、“Y”又は“X”、又は“Y及びX”を意味する。理論的に同じ論理にそって、用語“n1, n2----, ni-1, 及び/又はni”とは、“n1”又は“n2”又は---“ni-1”又は“ni”、又は前記成分n1, n2、----ni-1, 及びniのいずれかの組合せを意味する。
【0018】
本発明においては、用語“乳又は乳−関連製品”とは、脱脂乳の多くの(但しすべてでない)成分を含むことができ、そして任意には、種々の量の乳脂肪を含むことができ、そしてたぶん、非牛乳添加物、例えば非牛乳風味剤、甘味剤、鉱物及び/又はビタミンを含むことができる乳−基材の製品に関する。
【0019】
用語“長い貯蔵寿命”とは、本発明において使用される場合、通常の低温殺菌された乳よりも長い貯蔵寿命を有する製品に関する。貯蔵寿命の長さ、及び乳又は乳−関連製品の実際の貯蔵寿命を測定するための試験が本明細書に記載されている。本発明においては、用語“延長された貯蔵寿命”又はESLは、“長い貯蔵寿命”に類似して使用される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の方法の1つの態様のフローチャートを示し、そしてまた、有用な乳加工プラントの概略である。次の略語が使用される。PHE:予備加熱のためのプレート式熱交換器;DSI(UHT):直接的蒸気注入(超高温殺菌);IIS:即時注入システム(例えば、APV直接的蒸気注入装置);LSI:ゆるい蒸気注入(例えばGEA/NIRO Saniheat蒸気注入器);My:ミクロ。
【0021】
【図2a−c】図2a-cは、ミクロ濾過のために使用され得るいくつかの成分を示す。2a:500〜2000mmの長さ及び0.8μmの孔サイズを有する複数チャネルを含んで成るIsofluxセラミック管状膜;2b:左側に断面で示される管状膜の例;2c:管状膜の長さに対応するカーターの高さ(1);入口(2)及び出口(3)を示す、管状膜のための目的−企画されたハウジング(カーター)の略図。
【0022】
【図3】図3は、従来技術のESL−及びUHT−乳に比較して、本発明の乳又は乳−関連製品に見出される調理味覚のグラフを示す。
【0023】
【図4】図4は、従来技術のESL−及びUHT−乳に比較して、本発明の乳又は乳−関連製品に見出されるβ−ラクトグロブリンの変性の程度のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
発明の特定の記載:
上記に記載されるように、本発明の1つの観点は、
a)乳誘導体を供給し、
b)前記乳誘導体から微生物を物理的に分離し、従って、部分的に殺菌された乳誘導体を入手し、そして
c)前記部分的に殺菌された乳誘導体を含んで成る第1組成物を、高温(HT)−処理に暴露し、ここで前記第1組成物は、140〜180℃の範囲の温度に加熱され、長くとも200m秒の期間、前記温度範囲で維持し、そして次に最終的に冷却する、段階を含んで成る、乳又は乳−関連製品の生成方法に関する。
【0025】
好ましくは、前記方法は、本明細書に記載されるように、乳加工プラントにおいて、連続工程として包含される。
【0026】
本発明者は、上記方法により供給される乳又は乳−関連製品が驚くべきことには、微生物の従来の物理的分離を伴わないでHT−処理に暴露された乳又は乳−関連製品に比較して、低められた調理味覚を有することを見出した。従って、前記乳又は乳−関連製品は、比較できる従来技術の乳製品よりも新鮮な味覚を有する。
【0027】
さらに、本発明者は、本発明の方法により供給される乳又は乳−関連製品が驚くべきことには、微生物の従来の物理的分離を伴わないでHT−処理に暴露された乳又は乳−関連製品よりも低い%のβ−ラクトグロブリンの変性を有することを見出した。
【0028】
さらに、本発明の利点は、それがよりCO2−好意的に新鮮な味覚の乳を供給することである。その長い貯蔵寿命及び高温に対する耐性のために、本発明の乳又は乳−関連製品は、5℃の代わりに周囲温度で輸送され得る。低温ロジスティックスは、高いエネルギー消費であり、そして典型的には、比較できる周囲温度ロジスティックセットアップよりも、比較的多数の小さな、冷却された製品負荷物の輸送を必要とする。従って、本発明の乳又は乳−関連乳製品は、類似する新鮮な味覚を有する従来技術の乳製品よりも低いCO2放出を伴って、製造され、そして小売商に輸送され得る。
【0029】
本発明の好ましい態様においては、本発明はさらに、d)HT−処理された第1組成物を含んで成る第2組成物を包装する段階を含んで成る。
当業者に明白なように、前記方法は1又は複数の追加の段階、例えば均質化段階、貯蔵段階、混合段階、温度調節段階、低温殺菌段階、熱化段階、遠心分離段階、及びそれらの組合せを含むことができる。
【0030】
本発明者は、本発明の方法が驚くべきことには、前記方法が実施される乳加工プラントが、静争される前、作動することができる時間を高めることを、さらに見出した。これは、好都合であると思われ、そして乳製品の製造において費用節減を可能にする。段階b)の間、微生物の物理的分離及び除去が、再び静争の必要性を低め、そして/又は遅延する、プラントにおけるバイオフィルム形成ダウンストリームを有意に低めると思われる。
【0031】
段階a)で供給される乳誘導体は好ましくは、液体乳誘導体である。本明細書において使用される場合、用語“乳誘導体”は、全乳、脱脂乳、脂肪を含まない乳、低脂肪、全脂肪乳、ラクトースを含まない又はラクトースを減じられた乳(ラクトースを、ラクターゼ酵素によりグルコース及びがラクトースに加水分解することにより、又は他の方法、例えばナノフィルトレーション、電気透析、イオン交換クロマトグラフィー及び遠心分離技法により生成される)、濃縮乳又はドライミルクを包含する。
【0032】
脂肪を含まない乳は、無脂又は脱脂乳製品である。低脂肪乳は典型的には、約1%〜約2%の脂肪を含む乳として定義される。全脂肪乳はしばしば、約3.25%の脂肪を含む。本明細書において使用される場合、用語“乳”とはまた、動物及植物源からの乳を包含することを意味する。
【0033】
乳の動物源は、ヒト、牛、羊、ヤギ、バファロー、ラクダ、ラマ、雌ウシ及びシカを包含するが、但しそれらだけには限定されない。
本発明の好ましい態様においては、乳誘導体は牛乳を包含する。
【0034】
乳の植物源は、大豆から抽出された乳を包含するが、但しそれだけには限定されない。さらに、用語“乳誘導体”とは、全乳のみならず、また脱脂乳、又はそれに由来するいずれかの液体成分、例えばホエー又は乳血清を言及する。“ホエー”又は“乳血清”とは、乳に含まれる乳脂肪及びカゼインのすべて又は実質的に一部が除去された後に残存する乳成分を意味する。用語“ホエー”とはまた、レネット基材のチーズ製造の副産物である甘性ホエー、及びカゼイン塩又はクオーク及びクリームチーズの製造の間、典型的には生じる乳の酸性化の副産物である酸ホエーも包含する。
【0035】
本発明の態様においては、段階a)の乳誘導体は、多くとも60%w/wの乳脂肪を含んで成る。そのような乳誘導体の例は、ダブルクリームである。
本発明のもう1つの態様においては、段階a)の乳誘導体は、多くとも40%w/wの乳脂肪を含んで成る。そのような乳誘導体の例は、ホイッピングクリームである。
【0036】
さらに、本発明の態様においては、段階a)の乳誘導体は、多くとも20%w/wの乳脂肪を含んで成る。そのような乳誘導体の例は、約18%w/wの乳脂肪を含むシングル/ダブルクリームである。
【0037】
本発明のさらなる態様においては、段階a)の乳誘導体は、多くとも4%w/wの乳脂肪を含んで成る。そのような乳誘導体の例は、典型的には2〜4%の乳脂肪及び好ましくは3%w/wの乳脂肪を含む全脂肪乳である。
【0038】
本発明のさらなる態様においては、段階a)の乳誘導体は、多くとも2%w/wの乳脂肪を含んで成る。そのような乳誘導体の例は、典型的には0.7〜2%の乳脂肪及び好ましくは1〜1.5%w/wの乳脂肪を含む全脂肪乳である。
【0039】
本発明の追加態様においては、段階a)の乳誘導体は、多くとも0.7%w/wの乳脂肪を含んで成る。そのような乳誘導体の例は、通常0.1〜0.7%w/wの乳脂肪、及び好ましくは0.3〜0.6%w/wの乳脂肪、例えば約0.5%w/wの乳脂肪を含む脂肪乳である。
【0040】
本発明の追加態様においては、段階a)の乳誘導体は、多くとも0.1%w/wの乳脂肪を含んで成る。そのような乳誘導体の例は、0.05〜0.1w/wの範囲の脂肪含有率を有する脱脂乳である。この態様は、段階b)の物理的分離がミクロ濾過を包含する場合、特に好ましい。
【0041】
本発明においては、組成物がX%(w/w)の特定成分を含んで成るか、含むか又は有すると言われる場合、その特定成分の重量%は、特にことわらない限り、組成物の合計重量に対して計算される。
【0042】
本発明の特に好ましい態様においては、段階a)の乳誘導体は、ラクトースを減じられた乳を含んで成る。乳誘導体は例えば、ラクトースを減じられた乳から成ることができる。
【0043】
本発明においては、用語“ラクトースを減じられた乳”とは、1kgの乳当たり多くとも0.5gのラクトースを含んで成る乳を言及する。さらに好ましくは、乳誘導体はラクトースを含まない。本発明においては、用語“ラクトースを含まない乳”とは、1kgの乳当たり多くとも0.05gのラクトースを含んで成る乳を意味する。
【0044】
本発明の態様においては、段階a)の乳誘導体は、2.5〜4.5%w/wのカゼイン、0.25〜1%w/wの乳血清タンパク質及び0.01〜3%w/wの乳脂肪を含んで成る。本発明のさらにより好ましい態様においては、段階a)の乳誘導体は、2.5〜4.5%w/wのカゼイン、0.25〜1%w/wの乳血清タンパク質及び0.01〜0.1%w/wの乳脂肪を含んで成る。
【0045】
本発明の方法は好ましくは、新鮮な乳誘導体、すなわち乳誘導体の源から、例えば牛から最近搾乳された乳に基づかれる乳誘導体の処理のために使用され得る。例えば、好ましくは、乳誘導体は、多くとも48時間目、すなわち、搾乳以来多くとも48時間、及びより好ましくは、多くとも36時間目、例えば多くとも24時間目である。
【0046】
好ましくは、乳誘導体は、良好な品質のものであり、そして通常、乳誘導体は、多くとも100,000コロニー形成単位(cfu)/ml、好ましくは多くとも50,000cfu/ml、及びさらにより好ましくは多くとも25,000cfu/mlを含んで成る。さらに好ましくは、乳誘導体は、多くとも10,000cfu/ml、例えば多くとも7,500cfu/mlを含んで成る。
【0047】
段階a)の乳誘導体は、1又は複数の添加剤を含んで成る。例えば、前記1又は複数の添加剤は風味剤を含むことができる。有用な風味剤は、例えばイチゴ、チョコレート、バナナ、マンゴ、及び/又はバニラである。
【0048】
他方では、又はさらに、前記1又は複数の添加剤は、1又は複数のビタミンを含むことができる。有用なビタミンは例えば、ビタミンA及び/又はビタミンDである。他のビタミン、例えばビタミンB、C及び/又はEもまた有用である。
【0049】
他方では、又はさらに、前記1又は複数の添加剤はまた、1又は複数の鉱物を含むことができる。有用な鉱物の例は、乳鉱物サプリメントCapolac MM-0525 (ArIa Foods Ingredients Amba, Denmark)である。もう1つの有用な添加剤はホエータンパク質である。
【0050】
本発明の好ましい態様においては、段階a)の誘導体は、低温殺菌され、そしてたぶんまた、均質化されている。
本発明の方法の段階b)は、乳誘導体からの微生物の物理的分離を包含し、そしてそれにより、部分的に殺菌された乳誘導体を得る。この分離は実際、微生物を単に殺害し、そして乳における死亡した微生物を放置する他の殺菌技法に反して、乳誘導体から微生物を除去する。
【0051】
本発明においては、用語“微生物”とは、例えば細菌及び細菌胞子、酵母、カビ及びカビ胞子に関する。
物理的分離は、例えば乳誘導体の少なくとも90%の微生物、好ましくは少なくとも95%の微生物、及びさらにより好ましくは、少なくとも99%の微生物を除去することができる。
【0052】
本発明の1つの態様においては、段階b)の物理的分離は、前記乳誘導体の遠心除菌を含んで成る。
本発明のもう1つの態様においては、段階b)の物理的分離は、前記乳誘導体のミクロ濾過を包含する。
【0053】
本発明の好ましい態様においては、ミクロ濾過は、0.5〜1.5ミクロ、好ましくは0.6〜1.4ミクロン、さらにより好ましくは0.8〜1.2ミクロの範囲の孔サイズを有するフィルターを用いて実施される。
【0054】
それらの孔サイズ範囲は、乳誘導体のタンパク質組成物の実質的な変更を伴わないで、乳誘導体中の微生物のほとんどを保持するので、好都合であることが見出された。
本発明の態様においては、使用されるミクロフィルターは、クロスフローミクロフィルターである。
【0055】
適切なミクロ濾過システムは、引用により本明細書に組み込まれるTetra Pak Dairy 加工Handbook 2003 (ISBN 91-631-3427-6)に見出され得る。
さらに本発明の態様においては、段階b)の物理的分離は、前記乳誘導体の遠心除菌及びミクロ濾過の両者を包含する。
【0056】
本発明の1つの態様においては、遠心除菌は、少なくとも1つの遠心除菌機、好ましくは少なくとも2つの一連の遠心除菌機、及びさらにより好ましくは、少なくとも3個の一連の遠心除菌機の使用を包含する。
【0057】
物理的分離は好ましくは、周囲温度で、それ以下で、又はそれよりもわずかに高い温度で実施される。従って、乳誘導体の温度は、物理的分離の間、高くとも60℃、例えば高くとも40℃、例えば高くとも20℃又は高くとも10℃であり得る。
【0058】
物理的分離の間、乳誘導体の温度は例えば、2〜60℃、及び好ましくは20〜50℃の範囲であり得る。
1つの一相又はニ相遠心除菌機を包含する適切な遠心除菌機は、引用により本明細書に組込まれるTetra Pak Dairy processing Handbook 2003 (ISBN 91-631-3427-6)に見出され得る。
【0059】
前記方法の段階c)は、前記一部殺菌された乳誘導体を含んで成る第1組成物を、高温(HT)−処理に暴露することを包含する。前記第1組成物は、140〜180℃の温度に加熱され、その温度で長くとも200m秒間、保持され、そして次に、最終的に冷却される。
本発明の1つの態様においては、前記第1組成物は、段階a)の一部殺菌された乳誘導体から成る。
【0060】
しかしながら、本発明のもう1つの態様においては、前記一部殺菌された乳誘導体は、HT−処理の前、1又は複数の添加剤、例えば乳脂肪を添加されており、そしてこの場合、前記第1組成物は、1又は複数の前記添加剤(例えば、乳脂肪)及び前記一部殺菌された乳誘導体の両者を含んで成る。
【0061】
本発明の1つの態様においては、第1組成物は、少なくとも50%(w/w)の一部殺菌された段階b)の乳誘導体、好ましくは少なくとも75%(w/w)の一部殺菌された乳誘導体、及びさらにより好ましくは、少なくとも85%(w/w)の一部殺菌された乳誘導体を含んで成る。例えば、第1組成物は、少なくとも90%(w/w)の一部殺菌された段階b)の乳誘導体、好ましくは少なくとも95%(w/w)の一部殺菌された乳誘導体、及びさらにより好ましくは、少なくとも97.5%(w/w)の一部殺菌された乳誘導体を含んで成る。
【0062】
第1組成物は通常、水を含んで成り、そして例えば、少なくとも50%(w/w)の水、好ましくは少なくとも70%(w/w)の水及びさらにより好ましくは少なくとも80%(w/w)の水を含むことができる。例えば、第1組成物は、少なくとも85%(w/w)の水、好ましくは少なくとも90%(w/w)の水、及びさらにより好ましくは少なくとも95%(w/w)の水を含んで成ることができる。
【0063】
本発明の好ましい態様においては、第1組成物はさらに、1又は複数の脂質源を含んで成る。
【0064】
1又は複数の脂質源は、例えば植物脂肪及び/又は植物油を含んで成ることができる。1又は複数の脂質源は、植物脂肪及び/又は植物油から成ることがさらに可能性であろう。これは典型的には、乳又は乳関連製品がいわゆるフィルドミルク、すなわち元の乳脂肪の少なくとも1部が非乳脂質源、例えば植物油又は植物脂肪により置換されている乳製品である場合である。
【0065】
前記植物油は、例えばヒマワリ油、トウモロコシ油、胡麻油、ダイズ油、パーム油、亜麻仁油、 ブドウ種子油、菜種油、オリーブ油、落花生油、及びそれらの組合せから成る群から選択された1又は複数の油を含んで成る。
【0066】
植物脂肪が所望される場合、前記植物脂肪は、パーム油基剤の植物脂肪、パーム核油基剤の植物脂肪、ピーナツバター、カカオ脂、椰子油、及びそれらの組合せから成る群から選択された1又は複数の脂肪を含んで成る。
【0067】
本発明の好ましい態様においては、前記1又は複数の脂質源は、乳脂肪源を含んで成るか、又はさらに、それから成る。
前記乳脂肪源は、クリーム、生クリーム、無水バター脂肪、ホエークリーム、バターオイル、バター油留分、及びそれらの組合せから成る群から選択された1又は複数の脂肪源を含んで成る。
【0068】
長い貯蔵寿命の乳の製造は典型的には、乳の乳脂肪画分のUHT−処理を包含する。本発明者は、UHT−処理された乳脂肪、例えばクリームが単に、比較的少量で長い貯蔵寿命の乳に添加されたとしても、それは所望しない調理味覚に寄与することができることを見出した。本発明者はさらに、乳脂肪、例えばクリームを、乳の貯蔵寿命を失わないで、通常行われる処理よりも弱い熱処理に暴露することができることを見出した。
【0069】
従って、本発明の好ましい態様においては、1又は複数の脂質源、例えば乳脂肪源、例えばクリームは、70〜100℃の範囲の温度で2〜200秒間、熱処理される。例えば、1又は複数の脂質源は、70〜85℃の範囲の温度で、100〜200秒間、熱処理され得る。他方では、1又は複数の脂質源は、85〜100℃の範囲の温度で、2〜100秒間、熱処理され得る。
【0070】
本発明のもう1つの好ましい態様においては、1又は複数の脂質源、例えば乳脂肪源、例えばクリームは、100〜180℃の範囲の温度で10m秒〜4秒間、熱処理されている。
例えば、1又は複数の脂質源は、100〜130℃の範囲の温度で、0.5〜4秒間、熱処理され得る。他方では、1又は複数の脂質源は、130〜180℃の範囲の温度で、10m秒〜0.5秒間、熱処理され得る。
【0071】
他方では、段階c)の内容に記載されるHT−処理は例えば、1又は複数の脂質源の別の熱処理のために使用され得る。
段階c)のHT−処理は、第1組成物を、140〜180℃、好ましくは145〜170℃、及びさらにより好ましくは、150〜160℃の範囲の温度に加熱することを包含する。
【0072】
本発明の1つの態様においては、段階c)のHT−処理は、第1組成物を、140〜170℃、好ましくは145〜160℃、及びさらにより好ましくは、150〜155℃の範囲の温度に加熱することを包含する。
【0073】
本発明のもう1つの態様においては、段階c)のHT−処理は、第1組成物を、150〜180℃、好ましくは155〜170℃、及びさらにより好ましくは、160〜165℃の範囲の温度に加熱することを包含する。
【0074】
本発明のさらなる態様においては、第1組成物は、段階c)に供給される場合、70〜75℃の範囲の温度を有する。
HT−処理の高温は例えば、意図された温度から多くとも+/-2℃、好ましくは多くとも+/-1℃, 及びさらにより好ましくは多くとも+/-0.5℃、例えば多くも+/-0.25℃であり得る。
【0075】
本発明の好ましい態様においては、第1組成物は、HT-温度範囲に、長くとも200m秒、好ましくは長くとも150m秒、及びさらにより好ましくは、長くとも100m秒間、維持される。
例えば、第1組成物は、HT-温度範囲に、長くとも10〜200m秒、好ましくは長くとも25〜150m秒、及びさらにより好ましくは、長くとも30〜100m秒間、維持される。
【0076】
本発明のもう1つの態様においては、第1組成物は、HT-温度範囲に、長くとも10〜100m秒、好ましくは長くとも25〜90m秒、及びさらにより好ましくは、長くとも30〜70m秒間、維持される。
前記工程のパラメーターと、第1組成物がHT-処理温度で維持される、時々“保持時間”として言及される時間との間の関係は典型的には、機器製造業者により提供される。
【0077】
そうでなければ、保持時間は、下記に概略されるようにして決定され得る:
1.実験式を通して第1組成物からの供給の熱用量を計算し;
2.予備加熱温度から所望する熱処理温度への供給温度を高めるために必要とされるエネルギー(kg/時の上記)を計算し、
3.合計蒸気流から必要とされる加熱蒸気流を引き算することにより、過剰の蒸気(輸送のために使用される)を計算し;
4.保持細胞の正確な体積を決定し;
5.いずれかの体積変化(例えば、加熱蒸気凝集)を包含する、工程ユニット中への及びそれをを通しての材料の体積流速を決定し;
6.体積流速により保持細胞体積を割算することにより保持時間を計算する。
【0078】
本発明の好ましい態様においては、第1組成物の加熱、保持及び冷却を包含するHT-処理の期間は、多くとも500m秒、好ましくは多くとも300m秒、及びさらにより好ましくは200m秒、例えば多くとも150m秒である。
【0079】
例えば、第1組成物の加熱、保持及び冷却を包含するHT-処理の期間は、多くとも400m秒、好ましくは多くとも350m秒、及びさらにより好ましくは250m秒、例えば多くとも175m秒である。
第1組成物の加熱、保持及び冷却を包含するHT-処理の期間は、第1組成物の温度が少なくとも95℃である持続期間として計算され得る。
【0080】
段階c)の冷却は好ましくは、第1組成物を、多くとも90℃、例えば多くとも70℃の温度に冷却する。本発明の態様においては、第1組成物は、2〜90℃、好ましくは70〜90℃、及びさらにより好ましくは72〜85℃の温度に冷却される。
本発明の好ましい態様においては、HT−処理の冷却の持続期間は、多くとも50m秒、好ましくは多くとも110秒、及びさらにより好ましくは多くとも5m秒、例えば1m秒である。
【0081】
段階c)のHT−処理の加熱は、第1組成物の温度を急速に高めることができるべきである。そのような急速な温度上昇は、第1組成物と蒸気との接触により達成され得る。従って、本発明の好ましい態様においては、HT−処理の加熱は、蒸気と第1組成物との接触により実施される。蒸気との第1組成物の接触を利用できる異なった技法が存在する。それらの1つは、蒸気が加熱されるべき液体中に注入される直接的蒸気注入である。もう1つの技法は、液体が蒸気で満たされたチャンバー中に注入される蒸気注入である。
【0082】
蒸気の温度は典型的には、HT−処理の所望する処理温度よりも幾分高く、例えばHT−処理の所望する処理温度よりも、多くとも10℃、好ましくは多くとも5℃、さらにより好ましくは多くとも3℃高い。
【0083】
例えば、HT−処理の加熱は、蒸気と第1組成物との接触を含んで成り、そして他のエネルギー源が同様に加熱に寄与していることが注目されるべきである。
本発明の1つの態様においては、HT−処理の加熱は、電磁エネルギーに第1組成物を暴露することを含んで成るか、又はそれから成る。有用な電磁エネルギーの例は、IR放射線及び/又はμ波放射線である。
【0084】
加熱された第1組成物はHT−処理の一部として急速に冷却され、そして本発明の好ましい態様においては、HT−処理の冷却は、フラッシュ冷却を含んで成るか、又はそれから成ることがまた重要である。
【0085】
本発明においては、用語“フラッシュ冷却”とは、真空チャンバー中に温液体又はエアロゾルを導入し、例えば噴霧することにより得られる冷却であり、それにより、液体の一部が蒸発し、そして残る液体を急速に冷却する。
【0086】
有用なHT−処理システムの例は、SaniheatTM-system Gea Niro (Denmark)、Gea Niro (Denmark)のthe Linient Steam Injection (LSITM)-system 又はInvensys APV (Denmark)のthe Instant Infusion System (IIS) である。
【0087】
有用なHT−処理システムの例は、例えば引用により本明細書に組込まれる、国際特許出願WO2006/123,047A1号WO98/07,328号に見出される。
高温処理の一般的観点が、引用により本明細書に組込まれる、“食品加工における熱技法”ISBN185573558Xに見出される。
【0088】
段階d)の包装は、いずれかの適切な包装技法であり、そしていずれかの適切な容器が本発明の乳又は乳関連製品を包装するために使用され得る。
しかしながら、本発明の好ましい態様においては、段階d)の包装は、無菌充填システムを用いることにより実施され、そしてそれは好ましくは、1又は複数の無菌容器中に乳を満たすことを包含する。
【0089】
有用な容器の例は、例えばボトル、ダンボール箱、レンガ及び/又はバッグである。
包装には、包装の間、高くとも30℃、好ましくは多くとも25℃、及びさらにより、好ましくは、高くとも20℃、例えば高くとも10℃である。
包装の間の第2組成物の温度は例えば、2〜30℃、及び好ましくは5〜25℃の範囲であり得る。
【0090】
本発明の1つの態様においては、第2組成物は、少なくとも50%(w/w)の段階c)のHT−処理された第1組成物、好ましくは少なくとも75%(w/w)の段階c)のHT−処理された第1組成物、及びさらにより好ましくは少なくとも85%(w/w)の段階c)のHT−処理された第1組成物を含んで成る。例えば、第2組成物は、少なくとも90%(w/w)の段階c)のHT−処理された第1組成物、好ましくは少なくとも95%(w/w)の段階c)のHT−処理された第1組成物、及びさらにより好ましくは少なくとも97.5%(w/w)の段階c)のHT−処理された第1組成物を含んで成る。
【0091】
第2組成物は通常、水を含んで成り、そして例えば、少なくとも50%(w/w)の水、好ましくは少なくとも60%(w/w)の水、及びさらにより好ましくは、少なくとも70%(w/w)の水を含んで成る。例えば、第2組成物は通常、水を含んで成り、そして例えば、少なくとも75%(w/w)の水、好ましくは少なくとも80%(w/w)の水、及びさらにより好ましくは、少なくとも85%(w/w)の水を含んで成る。
【0092】
本発明の好ましい態様においては、第2組成物は、少なくとも90%(w/w)の水を含んで成る。
さらに、第2組成物は、乳誘導体及び/又は第1組成物と同じ添加剤を含むことができる。
【0093】
長い貯蔵寿命の乳製品に関しては、所望しない酵素活性は微生物増殖と同じほどの問題であり、そして従って、好ましくは、本発明の方法はまた、酵素不活性化段階を含んで成る。
本発明の好ましい態様においては、前記酵素不活性化段階は、処理されるべき液体を、70〜90℃の範囲で、30〜500秒の間、維持することを含んで成る。
【0094】
例えば、液体は、70〜80℃の範囲の温度で、30〜500秒、好ましくは40〜300秒、及びさらにより好ましくは50〜150秒間、維持され得る。
本発明の好ましい態様においては、液体は、70〜75℃の範囲の温度で、30〜500秒、好ましくは40〜300秒、及びさらにより好ましくは50〜150秒間、維持され得る。
【0095】
他方では、液体は、80〜90℃の範囲の温度で、10〜200秒、好ましくは25〜100秒、及びさらにより好ましくは10〜50秒間、維持され得る。
そのような温度処理は、酵素、例えばプラスミン、及びプロ酵素、例えばプラスミノーゲンの活性を低めることがわかっている。
【0096】
酵素不活性化段階は好ましくは、処理された液体のプラスミン及びプラスミノーゲンの組合わされた活性を、未処理の液体の活性に対して少なくとも60%、好ましくは65%及びさらにより好ましくは少なくとも70%、低めるべきである。
【0097】
組合わされた活性は、乳又は乳関連製品におけるプラスミンの活性及びプラスミノーゲンのプラスミンへの転換から得られる活性の基準である。組合わされた活性は、例3の分析Gに従って決定される。
【0098】
本発明のいくつかの態様は、さらに低レベルの組合わされたプラスミン及びプラスミノーゲン活性を必要とし、そしてそのような態様に関しては、酵素不活性化段階は好ましくは、処理された液体のプラスミン及びプラスミノーゲンの組合わされた活性を、未処理の液体の活性に対して少なくとも80%、好ましくは85%及びさらにより好ましくは少なくとも90%、低めるべきである。
【0099】
本発明の好ましい態様においては、酵素不活性化段階は、処理された液体のプラスミン及びプラスミノーゲンの組合わされた活性を、未処理の液体の活性に対して少なくとも95%、好ましくは97.5%及びさらにより好ましくは少なくとも99%、低めるべきである。
【0100】
本発明の1つの態様においては、乳又は乳関連製品のプラスミン及びプラスミノーゲンの組合わされた活性は、多くとも8.000μ単位/ml、好ましくは多くとも5.000μ単位/ml及びさらにより好ましくは多くとも3.000μ単位/mlである。
【0101】
本発明においては、1単位(U)のプラスミン活性は、基質としてChromozyme PL (Tosyl-Gly-Pro-Lys-4-nitranilide acetat)を用いて、25℃、pH8.9で、1分当たり1μモルのp−ニトロアニリンを生成できるプラスミン活性である。
【0102】
本発明のもう1つの態様においては、乳又は乳関連製品のプラスミン及びプラスミノーゲンの組合わされた活性は、多くとも2.500μ単位/ml、好ましくは多くとも1.000μ単位/ml及びさらにより好ましくは多くとも750μ単位/mlである。さらに好ましくは、乳又は乳関連製品のプラスミン及びプラスミノーゲンの組合わされた活性は、多くとも600μ単位/ml、好ましくは多くとも400μ単位/ml及びさらにより好ましくは多くとも200μ単位/mlである。
【0103】
酵素不活性化段階は、微生物の物理的分離の前、HT−処理の前、及び/又は包装の前、前記方法の異なった段階の間、実施され得る。
本発明の1つの態様においては、第1組成物は、段階c)の前、酵素不活性化段階に暴露される。
本発明のもう1つの態様においては、第2組成物は、段階d)の前、酵素不活性化段階に暴露される。
【0104】
さらに、本発明の1つの態様は、
a)少なくとも95%(w/w)の脱脂乳を含んで成る乳誘導体を供給し、前記乳誘導体は多くとも0.1%(w/w)の乳脂肪を含んで成り、
b)0.8〜1.2ミクロンのミクロフィルター孔サイズを用いて前記乳誘導体をミクロ濾過し、従って、部分的に殺菌された乳誘導体を得、
b1)前記部分的に殺菌された乳誘導体と、適切な量の低温殺菌されたクリームとを混合し、
b2)段階b1)の生成物の温度を、30〜300秒間、72〜75℃の範囲の温度に調節し、
c)段階b2)の生成物の少なくとも95%(w/w)を含んで成る第1組成物を、HT−処理に暴露し、ここで前記第1組成物は、140〜180℃の範囲の温度に加熱され、長くとも20m秒の期間、前記温度範囲で維持し、そして次に最終的に冷却し、
d)前記熱処理された第1組成物の少なくとも95%(w/w)を含んで成る第2組成物を無菌包装する、段階を含んで成る、乳又は乳関連製品の製造方法に関する。
【0105】
本発明のもう1つの態様は、
a)少なくとも95%(w/w)の脱脂乳を含んで成る乳誘導体を供給し、前記乳誘導体は多くとも0.1%(w/w)の乳脂肪を含んで成り、
b)0.8〜1.2ミクロンのミクロフィルター孔サイズを用いて前記乳誘導体をミクロ濾過し、従って、部分的に殺菌された乳誘導体を得、
b1)前記部分的に殺菌された乳誘導体と、適切な量の低温殺菌されたクリームとを混合し、
b2)段階b1)の生成物の温度を、30〜300秒間、75〜85℃の範囲の温度に調節し、
c)段階b2)の生成物の少なくとも95%(w/w)を含んで成る第1組成物を、HT−処理に暴露し、ここで前記第1組成物は、140〜180℃の範囲の温度に加熱され、長くとも20m秒の期間、前記温度範囲で維持し、そして次に最終的に冷却し、
d)前記熱処理された第1組成物の少なくとも95%(w/w)を含んで成る第2組成物を無菌包装する、段階を含んで成る、乳又は乳関連製品の製造方法に関する。
【0106】
本発明のもう1つの観点は、本発明の方法により得られる乳又は乳関連製品に関する。例えば、乳又は乳関連製品は、段階c)のHT−処理された第1組成物であり得、又は他方では、それは段階d)の包装された第2組成物であり得る。
本発明の追加の観点は、好ましくは長い貯蔵寿命及び低レベルの調理味覚を有する、乳又は乳関連製品に関する。
【0107】
さらに、本発明の観点は、本明細書に記載されるような方法により得られる、包装された乳又は乳関連製品に関する。前記乳又は乳関連製品は、本明細書に記載のようにして、容器に包装され得る。
【0108】
製品の貯蔵寿命は典型的には、製品が一定の最少許容レベル以下に低下する品質を伴わないで、貯蔵され得る時間として記載される。これは非常に鋭く且つ正確な定義ではなく、そしてそれは、“最少許容品質”の官能に大部分依存する。
本発明においては、用語“貯蔵寿命”とは、乳又は乳関連製品が、所望しない現象が起こる前、特定温度で、密封されて貯蔵され得る時間を意味する。
【0109】
本発明の1つの態様においては、所望しない現象は、乳又は乳関連製品が非殺菌性であることが見出されることである。非殺菌性乳又は乳関連製品は、食物がたぶん、製造、分配及び貯蔵の間、保持される通常の非冷蔵状態で製品において増殖できる微生物を含まない製品である。非無菌性及び微生物存在又は増殖は、Marth, E. H., ed. 1978. in Standard methods for the examination of dairy products. Am. Publ. Health Assoc, Washington, DCに従って検出され得る。
【0110】
乳タンパク質のタンパク質分解の生成物である疎水性ペプチドは、所望しない苦い味覚を生ぜしめることが知られている。従って、本発明の態様においては、所望しない現象は、乳又は乳関連製品が500〜3000g/モルの範囲のモル重量を有する、少なくとも1mg/l、例えば少なくとも20mg/l、又は少なくとも50mg/lの疎水性ペプチドを含むことが見出されていることである。
【0111】
本発明のもう1つの態様においては、所望しない現象は、乳又は乳関連製品が500〜3000g/モルの範囲のモル重量を有する、少なくとも100mg/l、例えば少なくとも200mg/l、又は少なくとも500mg/lの疎水性ペプチドを含むことが見出されていることである。
【0112】
本発明のさらなる態様においては、所望しない現象は、乳又は乳関連製品が500〜3000g/モルの範囲のモル重量を有する、少なくとも750mg/l、例えば少なくとも1000mg/l、又は少なくとも2000mg/lの疎水性ペプチドを含むことが見出されていることである。
【0113】
乳又は乳関連製品1モル当たり500〜3000gの範囲のモル重量を有する疎水性ペプチドの濃度は、Kai-Ping et al, J. Agric. Food Chem. 1996, 44, 1058-1063に記載のようにして決定される。乳又は乳関連製品はサンプルとして使用され、そしてKai-Pingなどに従って、得られる500〜3000g/モル分子量画分が続いて、C18カラム上での分析HPLCにより分析される。得られるクロマトグラムが、乳又は乳関連製品1モル当たり500〜3000gの範囲のモル重量を有する疎水性ペプチドの濃度を決定するために使用される。
【0114】
さらに本発明の1つの態様においては、所望しない現像は、乳又は乳関連製品が、乳及び乳製品の官能分析に関するISO 22935-1 :2009、ISO 22935-2:2009及びISO 22935-3:2009に従っての官能試験を用いて、所望しない官能性質を有することが見出されることである。官能性質、例えば外観、コンシステンシー、臭気及び味覚が好ましくは試験される。
貯蔵寿命の決定のためには、複数の異なったタイプの所望しない現象を組合すことが好ましい。
【0115】
従って、本発明の好ましい態様においては、貯蔵寿命は、下記から成る群から選択された所望しない現像の最初の出現により決定される:
−乳又は乳関連製品が非殺菌性であることが見出され、そして
−乳又は乳関連製品が、500〜3000g/モルの範囲のモル重量を有する少なくとも1mg/lの阻止性ペプチドを含むことが見出される。
【0116】
本発明のもう1つの好ましい態様においては、貯蔵寿命は、下記から成る群から選択された所望しない現像の最初の出現により決定される:
−乳又は乳関連製品が非殺菌性であることが見出され、
−乳又は乳関連製品が、500〜3000g/モルの範囲のモル重量を有する少なくとも1mg/lの阻止性ペプチドを含むことが見出され、そして
−乳又は乳関連製品が所望しない官能性質を有することが見出される。
【0117】
本発明のさらに好ましい態様においては、貯蔵寿命は、下記から成る群から選択された所望しない現像の最初の出現により決定される:
−乳又は乳関連製品が非殺菌性であることが見出され、そして
−乳又は乳関連製品が所望しない官能性質を有することが見出される。
本発明の1つの態様においては、前記乳又は乳関連製品の貯蔵寿命が、25℃で維持される場合、少なくとも30日である。
【0118】
本発明のもう1つの態様においては、前記乳又は乳−関連製品の貯蔵寿命は、包装の後、最初の21日、25℃で及び続く時間、5℃で保持される場合、少なくとも49日である。
本発明のさらなる態様においては、前記乳又は乳−関連製品の貯蔵寿命は、包装の後、最初の21日、25℃で及び続く時間、5℃で保持される場合、少なくとも49日である。
【0119】
さらに本発明の1つの態様においては、前記乳又は乳−関連製品の貯蔵寿命は、5℃で保持される場合、少なくとも70日である。
本発明のさらなる態様においては、前記乳又は乳−関連製品の貯蔵寿命は、25℃で保持される場合、少なくとも119日である。
【0120】
本発明のもう1つの態様においては、前記乳又は乳−関連製品の貯蔵寿命は、25℃で保持される場合、少なくとも182日である。
【0121】
本発明の乳又は乳関連製品は、比較的低含有率の変性されたβ−ラクトグロブリンを有すると思われる。好ましくは、変性された及び変性されていないβ−ラクトグロブリンの両者の合計量に対して、乳又は乳関連製品のβ−ラクトグロブリンの多くとも40%(w/w)、好ましくは多くとも35%(w/w)及びさらにより好ましくは、多くとも30%(w/w)が変性される。
【0122】
本発明の好ましい態様においては、変性された及び変性されていないβ−ラクトグロブリンの両者の合計量に対して、乳又は乳関連製品のβ−ラクトグロブリンの多くとも30%(w/w)、好ましくは多くとも25%(w/w)及びさらにより好ましくは、多くとも20%(w/w)が変性される。
変性の程度は、例3の分析Cに従って測定される。
【0123】
本発明の態様においては、乳又は乳関連製品は、多くとも60%(w/w)の乳脂肪を含んで成る。そのような乳又は乳関連製品の例は、ダブルクリームである。
本発明のもう1つの態様においては、乳又は乳関連製品は、多くとも40%(w/w)の乳脂肪を含んで成る。そのような乳又は乳関連製品の例は、ホイッピングクリームである。
【0124】
本発明のもう1つの態様においては、乳又は乳関連製品は、多くとも20%(w/w)の乳脂肪を含んで成る。そのような乳又は乳関連製品の例は、18%w/wの乳脂肪を含むクリームである。
【0125】
本発明のさらなる態様においては、乳又は乳関連製品は、多くとも4%(w/w)の乳脂肪を含んで成る。そのような乳又は乳関連製品の例は、典型的には2〜4%(w/w)の乳脂肪及び好ましくは約3%(w/w)の乳脂肪を含む全脂肪乳である。
【0126】
本発明のさらなる態様においては、乳又は乳関連製品は、多くとも1.5%(w/w)の乳脂肪を含んで成る。そのような乳又は乳関連製品の例は、典型的には0.7〜2%(w/w)の乳脂肪及び好ましくは1〜1.5%(w/w)の乳脂肪を含む半−脱脂乳である。
【0127】
本発明の追加の態様においては、乳又は乳関連製品は、多くとも0.7%(w/w)の乳脂肪を含んで成る。そのような乳又は乳関連製品の例は、通常0.1〜0.7%(w/w)の乳脂肪及び好ましくは0.3〜0.6%(w/w)の乳脂肪、例えば約0.5%(w/w)の乳脂肪を含む脱脂乳である。
【0128】
本発明の好ましい態様においては、乳又は乳関連製品は、多くとも0.1%(w/w)の乳脂肪を含んで成る。そのような乳又は乳関連製品の例は、0.05〜0.1%(w/w)の範囲での脂肪含有率を有する脱脂乳である。
【0129】
本発明のさらに好ましい態様においては、乳又は乳関連製品は、2.5〜4.5%(w/w)のカゼイン、0.25〜1%(w/w)の乳血清タンパク質、及び0.01〜3%の乳脂肪を含んで成る。本発明のさらにより好ましい態様においては、乳又は乳関連製品は、2.5〜4.5%(w/w)のカゼイン、0.25〜1%(w/w)の乳血清タンパク質、及び0.01〜0.1%の乳脂肪を含んで成る。
【0130】
乳又は乳関連製品は通常、水を含んで成り、そして例えば、少なくとも60%(w/w)の水、好ましくは少なくとも70%(w/w)の水、及びさらにより好ましくは、少なくとも80%(w/w)の水を含んで成る。例えば、乳又は乳関連製品は、少なくとも85%(w/w)の水、好ましくは少なくとも87.5%(w/w)の水、及びさらにより好ましくは、少なくとも90%(w/w)の水を含んで成る。
【0131】
乳又は乳関連製品はさらに、本明細書に言及される添加剤のいずれかを含むことができる。
【0132】
本発明の追加の観点は、
−乳誘導体から微生物を除去するよう適合された物理的分離セクション、
−前記物理的分離セクションと液体伝達下にあるHT−処理セクション、ここで前記HT−処理セクションは前記物理的分離セクションの液体製品を140〜180℃の範囲の温度に、長くとも200m秒の間、加熱し、そして続いて、液体製品を冷却するよう適合され、そして
−前記乳加工プラントの製品を包含するために前記HT−処理セクションと、液体伝達下にある包装セクションを含んで成る、乳誘導体を、長い貯蔵寿命を有する乳又は−関連製品に転換するための乳加工プラントに関する。
【0133】
本発明においては、用語“流体伝達”とは、流体伝達下にあるセクションが、その液体が1つのセクションから他のセクションに移動されるよう配置されていることを意味する。これは典型的には、ピペット及びポンプ及び/又は弁によりプラントの適切なセクションを相互連結することにより実施される。
【0134】
乳加工プラントは、本発明の方法の実施のために適切である。
物理的分離セクションは例えば、本明細書に言及される1又は複数のミクロ濾過システムを含むことができ、そして他方では又はさらに、それは本明細書に言及される1又は複数の遠心除菌機を含むことができる。
【0135】
HT−処理セクションは、本明細書に言及される1又は複数のHT処理システムを含んで成り、そして包装セクションは典型的には、商業的に入手できる包装又は充填システムを含むであろう。
【0136】
上記に言及されるセクションの他に、乳加工プラントは、ポンプ、弁、配管、ホモジナイザー、加熱機、等を含むことができ、それらのすべては当業者に良く知られたユニットであり、そして同様に市販されている。
【0137】
さらに、本発明の1つの観点は、得られる乳又は乳−関連製品の調理風味を低め、そして/又はその健全性を改良するためへの、微生物の物理的分離及び乳誘導体のHT−処理の組合せの使用に関する。
【0138】
本発明の典型的な態様は、その対応する低く低温殺菌された、新鮮な製品と同じ味覚、臭気及び外観を有するESL乳又は乳基材の製品に関する。1つの典型的な態様においては、本発明は、熱処理された製品への化学的、物理的及び官能的変化を最小にするために、高温(110〜150℃)でのAPV−IIS熱処理及び短い保持時間(0.1秒以下)を用いて、ESL乳又は乳関連製品の製造のための方法を提供する。
【0139】
第2の典型的な態様においては、本発明は、熱処理された製品への化学的、物理的及び官能的変化を最小にするために、ミクロ濾過又は低い低温殺菌段階と組み合わされる、高温(110℃)でのAPV-IIS熱処理及び0.1秒以下の保持時間を用いて、ESL乳又は乳関連製品の製造方法を提供する。
【0140】
第1の典型的な態様においては、本発明は、a)20日〜6ヶ月の範囲の貯蔵寿命、及びb)多くとも30mg/mlでのラクトース含有率、及び/又はc)多くとも40mg/lのフロシン含有率、及び/又は多くとも15mg/lの2−ヘプタノン含有率、及び/又は多くとも25mg/lの2−ナナノン含有率により特徴づけられる延長された貯蔵寿命(ESL)を有する乳又は乳関連製品を提供する。
【0141】
1つの典型的な観点においては、乳又は乳関連製品は、35℃以下の温度で貯蔵される場合、4〜6ヶ月の範囲の貯蔵寿命を有することができる。
第2の典型的な観点においては、乳又は乳関連製品は、8℃以下の温度で貯蔵される場合、20〜60日の範囲の貯蔵寿命を有することができる。
【0142】
第3の典型的な観点においては、乳又は乳関連製品は、140〜160℃、好ましくは150℃の温度で、多くとも90m秒、より好ましくは25〜75m秒の保持時間を伴って、蒸気の直接的な注入により、乳又は乳由来の製品を加熱することを含んで成る熱処理工程により生成される。
【0143】
第4の典型的な観点においては、乳又は乳由来の製品は、熱処理工程により製造され、ここで前記工程に続いて、b)低温殺菌、又はc)遠心除菌又はその組合せを含んで成る前処理が実施される。
【0144】
さらに典型的な態様においては、本発明は、乳又は乳関連製品を、90m秒又はそれ以下、より好ましくは25〜75m秒の保持時間を伴って、140〜160℃、好ましくは150℃での蒸気の直接的注入により処理する段階を含んで成る熱処理工程による乳又は乳関連製品の製造方法に関する。
【0145】
この典型的な態様の方法は、乳又は乳由来の製品は、熱処理工程により製造され、ここで前記工程に続いて、b)低温殺菌、又はc)遠心除菌又はその組合せを含んで成る前処理が実施される。
【0146】
第3の典型的な態様においては、90m秒又はそれ以下、より好ましくは25〜75m秒の保持時間を伴って、140〜160℃、好ましくは150℃の温度での蒸気の直接的注入を含んで成る熱処理工程の乳又は乳関連製品の製造のためへの使用に関する。
この第3の典型的な態様の使用は、熱処理工程を用い、ここで前記工程に続いて、b)低温殺菌、又はc)遠心除菌又はその組合せを含んで成る前処理が実施される。
【0147】
本発明の典型的な観点は、延長された貯蔵寿命(ESL)を有する乳又は乳関連製品を供給し、ここで前記製品は、無菌であるか、又は有意に低められた微生物含有率(生存胞子計数)を少なくとも有すると共に、原乳の栄養及び官能特性のほとんどを保持する。ESL製品の改良された性質が、添加剤(例えば、ミルクステーリングのインヒビター)の使用を伴わないで得られ、そして照射滅菌の使用に依存しない。本発明の1つの典型的な態様の乳又は乳関連製品は、UHT乳の貯蔵寿命に匹敵する延長された貯蔵寿命を有し、その結果、それは、新鮮な乳の所望する風味を保持しながら、製造の後、6ヶ月まで消費され得る。もう1つの典型的な態様によれば、乳又は乳関連製品は、新鮮な乳の所望する風味を保持しながら、20〜60日の延長された貯蔵寿命を有する。
【0148】
健康な牛から分泌された乳は基本的に無菌であるが、しかし種々の源、例えば乳房の外部及び内部、土壌、敷きわら、肥料、搾乳装置及び貯蔵タンクから乳への細菌の導入は一般的に回避できない。低温殺菌牛乳法令(PMO)標準によれば、個々の生産者についてグレードA原乳の合計細菌計数(TBC)は、100,000cfu/mlを越えるべきではないが(FDA, 2001, Grade "A" Pasteurized Milk Ordinance., U.S. Dept. of Health and Human Services, Public Health Service. Publication No. 229. Washington, DC)、細菌計数についての理想的規格は、7500以下である。低温殺菌に続いて、推薦される細菌計数は、20,000cfu/mlを越えるべきではない。例えば、149℃で3秒のUHT処理の後、微生物/胞子は、標準プレート計数試験により測定される場合、生存することはできな(GiINs et al., J Dairy Sci.1985 2875-9)。
【0149】
本発明の乳又は乳関連製品の延長された貯蔵寿命は、低残留レベルの生存微生物のためである。加工及び包装に続いてすぐに測定される場合(無菌条件下で)、製品は、コロニー形成単位/ml(cfu/ml)として測定される場合、多くとも1,000cfu/ml、より好ましくは500 cfu/ml、100 cfu/ml、50 cfu/ml、10 cfu/ml、1 cfu/ml 又は< 1 cfu/mlの生存胞子計数を有する、好ましくは、製品は、0〜1,000cfu/ml、より好ましくは0〜1000cdf/ml、0〜50cfu/ml 又は0〜10cfu/ml又は0〜10cfu/ml の存在胞子を有する。
本発明の好ましい態様においては、乳又は乳関連製品は、0 cfu/ml を含む。
【0150】
乳又は乳関連製品における生存胞子計数を決定するための適切な方法は、当業界において知られている:例えば、標準のプレート計数試験は、Marth, E. H., ed. 1978. in Standard methods for the examination of dairy products. Am. Publ. Health Assoc, Washington, DCにより記載されている。標準方法によれば、乳サンプルが乳寒天(Oxid)の培地上にプレートされ、そしてコロニーが、30℃での3日間のインキュベーションの後、計数される(Health protection agency (2004) Plate count test at 30 degrees C. National Standard Method D2 IISue 3, www.hpa- standardmethods.orq.uk/pdf sops. asp.)。他方では、胞子計数が、明視野顕微鏡法及びトーマ計算板方法を用いての直接的顕微鏡計数により決定され得る。
【0151】
乳の熱処理の間に生成される多くの揮発性化合物は、乳における調理され、古く及び亜流酸性徴候に関連しており、そしてほとんどの消費者により異臭と見なされる。熱処理は、原乳においてほとんど検出できる、異臭化合物、例えばアルデヒド、メチルケトン及び種々の硫黄化合物を導くタイプ2反応の直接的な原因であることが知られている。
【0152】
原乳及び低温殺菌された乳に検出される合計ケトン(それぞれ、1%及び3%原乳1kg当たり約6g及び11gの合計ケトン)のレベルは有意に異ならないが、しかしUHT乳においては12倍、高められ得る(それぞれ、1%及び3%UHT乳1kg当たり約78mg及び120mgの合計ケトン)。主要ケトン寄与体は、2−ヘプタノン及び2−ノナノンであり、それらの濃度は、原乳サンプル及び低温殺菌された乳サンプルにおいてよりも、UHT乳において、それぞれ34及び52倍高い。それらのレベルは、それぞれ、1%及び3%UHT乳 1kg当たり約22及び34μgの2−ヘプタノンに対応し;そしてそれぞれ、1%及び3%UHT乳1kg当たり約35及び53μgの2−ノナノンに対応する。他の寄与体は、2,3−ブタンジオン、2−ペンタノン及び2−ウンデカノンである。
【0153】
芳香影響は、濃度に依存するのみならず、また官能閾値にも依存するので、臭気活性値(OAV=濃度/官能閾値)が考慮されるべきである。計算された臭気活性値は、2,3−ブタンジオン、2−ヘプタノン、2−ノナノン、2−メチルプロパナール、3−メチルブタナール、ノナナール、デカナール及びジメチルスルフィドがUHT乳の異臭に対する重要な寄与体であることを示す。
【0154】
本発明の典型的な態様においては、原乳/低温殺菌された乳の天然の官能特性が、製品における低レベルの揮発性異臭化合物のために、本発明のESl乳又は乳関連製品に保持される。特に、処理及び包装(無菌条件下)に続いて、すぐに得られる乳製品は、1%脂肪(又は3%脂肪)乳1kg当たりのμg合計ケトンの単位で測定される検出レベルの合計ケトンレベルの多くとも60(100)、より好ましくは多くとも50 (80)、40 (60)、30 (40)、20 (20) 及び10 (10)μgの検出できる合計ケトンを含む。好ましくは、1%脂肪(又は3%脂肪)乳1kg当たりのμg合計ケトンの単位で測定される検出できる合計ケトンレベルは、6−60(8−100)の範囲内、より好ましくは6 - 60 (8 - 100)、より好ましくは6 - 50 (8 - 80)、 6 - 40 (8 - 60)、 6 - 30 (8 - 40)、6 -20 (8 - 20)又は 6 -10 (8 - 10)μgの合計ケトン内にある。
【0155】
本発明の典型的な態様においては、処理及び包装(無菌条件下)に続いて、すぐに得られる乳製品は、1%脂肪(又は3%脂肪)乳1kg当たりのμg合計2−ヘプタノンの単位で測定される検出レベルの合計2−ヘプタノンレベルの多くと15 (25)、より好ましくは多くとも10 (20)、 7 (15)、 5 (10) 又は2 (5)μgの検出できる合計2−ヘプタノンを含む。好ましくは、1%脂肪(又は3%脂肪)乳1kg当たりのμg合計2−ヘプタノンの単位で測定される検出できる合計2−ヘプタノンレベルは、1 - 15 (1 - 25)の範囲内、より好ましくは1 - 10 (1 - 20)、 1 - 7 (1 - 15)、1 - 5 (1 - 10) 又は 1 -3 (1 - 5)μgの合計2−ヘプタノン内にある。
【0156】
本発明の典型的な態様においては、処理及び包装(無菌条件下)に続いて、すぐに得られる乳製品は、1%脂肪(又は3%脂肪)乳1kg当たりのμg合計2−ノナノンの単位で測定される検出レベルの合計2−ノナノンレベルの多くと25 (40)、より好ましくは多くとも20 (30)、15 (25)、10 (15)又は 5 (10)μgの検出できる合計2−ノナノンを含む。好ましくは、1%脂肪(又は3%脂肪)乳1kg当たりのμg合計2−ノナノンの単位で測定される検出できる合計2−ノナノンレベルは、0.2 - 25 (0.2 - 40)の範囲内、より好ましくは0.2 - 20 (0.2 - 30)、0.2 - 15 (0.2 - 25)、0.2 - 10 (0.2 - 15) 又は0.2 -5 (0.2 - 10)μgの合計2−ノナノン内にある。
【0157】
ガスクロマトグラフィーと組合されるベッドスペース固相ミクロ抽出法(HSSPME)は、酪農食品における揮発性成分の抽出及び定量分析のための早く且つ信頼できる技法を提供する(P. A. Vazquez- Landaverde et al., 2005 J. Dairy Sci. 88:3764-3772)。例えば、乳揮発物の質量スペクトルは、5973四極子質量分析器検出器を備えたAgilent6890ガスクロマトグラフィー(Agilent Technologies, Inc., Wilmington, DE)を用いて得られる。SPME繊維が、35℃で3時間、40mlの琥珀色のガラス製バイアルにおける20gの乳サンプルのヘッドスペースに暴露され、そして次に、スプリットレス条件下で5分間、GC−質量分光分析注入口に挿入される。DB-1細管カラム(30m×0.32mm i.d., 1ミクロのフィルム厚;Scientific, Folsam, CA)は、クロマトグラフィー分離を提供する。オーブン温度プログラムは、35℃で8分間、維持され、4℃/分の速度で150℃に高められ、次に、20℃/分の速度で230℃に高められ、そして最終的に、230℃で20分間、維持される。
【0158】
ヘリウムが、2.5ml/分でキャリヤーガスとして使用される。注入器、検出器トランスファーライン、及びイオン源温度は、それぞれ250、280及び230℃である。70eVの電圧及び35〜350のm/z範囲での電子衝撃電離が4.51スキャン/秒で集められる。装置調節及びデータ分析は、増強されたChemStationソフトウェア(Agilent Technologies, Inc.)を用いて実施される。乳における揮発性化合物は、純粋化合物の質量スペクトル及び保持時間と比較することにより同定される。
【0159】
乳の熱処理は、ホエータンパク質、酵素及びビタミンの変性、分解及び不活性化を導くタイプ1反応の原因である。メイラード反応は、そのようなタイプ1反応において主要役割を演じる。この反応は、製品におけるフルオシン(エプシロン−N−2−フロイルメチル−L−リシン)及びラクツロース(4−O−β−ガラクトピラノイル−D−フルクトース)レベル及びフロシン/ラクツロース比を測定することによりモニターされ得る。低温殺菌された乳のフロシン含有率は一般的に、1.0〜2.0mg/1L乳であり、ところがUHTにおけるレベルは加熱条件に依存するが、しかし約56mg/lのレベルが通常のUHTに報告されている。通常のUHTのラクツロース含有率は、34〜42mg/mlの範囲にあることが報告されている。
【0160】
源乳/低温殺菌された乳の栄養性質は、乳における低レベルのフロシン及び/又はラクツロースにより示されるように、本発明のいくつかの典型的な態様のESL乳又は乳関連製品に保存される。特に、処理及び包装(無菌条件下)に続いてすぐに得られる乳製品は、mg/1Lの乳の単位で測定される、検出レベル、例えば多くとも40mg/l、より好ましくは多くとも30, 20, 10又は5mg/lのフロシンを含むことができる。好ましくは、1Lの乳製品当たりのmgフロシンの単位で測定される検出できるフロシンレベルは、0〜30mg/l、より好ましくは0〜20、0〜10又は0〜5mg/lの範囲内である。
【0161】
他方では、1Lの乳製品当たりmgフロシンの単位で測定されるフロシンレベルは、0〜100mg/l、好ましくは0〜75mg/l、及びさらに好ましくは0〜50mg/lの範囲内にある。
同様に、処理及び包装(無菌条件下)に続いてすぐに得られる乳製品は、mg/1Lの乳の単位で測定される、検出レベル、例えば多くとも30mg/l、より好ましくは多くとも20, 10, 5又は2mg/lのラクツロースを含むことができる。好ましくは、1Lの乳製品当たりのmgラクツロースの単位で測定される検出できるラクツロースレベルは、0〜30mg/l、より好ましくは0 - 20、0 - 10、0 - 5 又は 0 - 2mg/lの範囲内である。
【0162】
乳における脂溶性ビタミンは熱処理により最小に影響されるが、水溶性ビタミンは一部破壊され得る。結果的に、UHT処理は、ビタミンB類を、10%、葉酸を15%、及びビタミンCを25%、低める。本発明のいくつかの典型的な対応のESL乳は、製造工程の間、20%以下、低められるビタミンC含有物を有する。
【0163】
ヒドロキシメチルフルフラール(MMF)は、熱損傷された乳の認識されるマーカーであり、ここでUHT乳におけるHMFのレベルが4〜16μモル/lの範囲であることが報告されている(Singh et al., Lait (1989) 69 (2) 131-136)。処理及び包装(無菌条件下)に続いてすぐに得られるESL乳又は乳関連製品は、1μモル/lの単位で測定される検出できるレベルのHMF、多くとも6μモル/l、より好ましくは多くとも5, 4, 3, 2又は1μモル/lのHMFを含む。好ましくは、乳製品1L当たりのμモルHMFの単位で測定される検出できるHMFレベルは、0−6μモル/l、より好ましくは0−5、0−4、0−3又は0−2μモル/lの範囲内にある。
【0164】
乳又は乳由来の製品におけるフロシン及びラクツロースレベルを決定するための方法は当業界において知られており:両HPLC又は酵素アッセイ、及び前部表面蛍光分光法は、Kulmyrzaev et al., 2002 in Lait 82: 725-735により記載されている。乳におけるHMFレベルの決定方法は、Singh et al., Lait (1989) 69 (2) 131-136により記載される。
【0165】
高温(例えば、110, 120, 130, 140又は150℃又はそれらの間のいずれかの温度)及び0.1秒以下(例えば、0.02, 0.05, 0.01秒、又はそれらの間の時間)の非常に短い保持時間による熱処理は、標準のUHT乳に比較して、高い細菌学的品質、及び低められた化学的及び官能的変化を有するESL乳を生成する。この乳は、超短生成物−蒸気注入のために企画された市販のプラントを用いて、直接的蒸気注入により製造され得る。1つのそのようなプラントは、APV Instant Infusion System (APV- HS)である。もう1つのそのようなプラントは、GEA NIRO SaniheatTMである。
【0166】
上記方法(少なくとも150℃の温度で、25〜80m秒の間、乳の熱処理により特徴づけられる)の典型的な態様においては、乳又は乳関連製品は、前処理段階にゆだねられる。この前処理は、上記HT−処理、例えばAPV−IIS−タイプの処理の前に実施される、ミクロ濾過段階、低い低温殺菌段階、又は遠心除菌段階、又はそれらのいずれかの組合せのいずれかであり得る。この前処理段階(ミクロ濾過、及び/又は低温殺菌、及び/又は遠心除菌)は、HT−処理の前、乳製品において微生物真荷(胞子計数を包含する)を低めるよう作用する。さらに、そのような組合わされた処理は、より強く、そしてUHT乳を特徴づける異臭の発生を回避するので、新鮮な乳の新鮮な風味を保持しながら、UHT乳の貯蔵寿命に匹敵する貯蔵寿命を有する乳製品を提供する。
【0167】
前処理がミクロ濾過段階を用いる場合、これは、0.05〜10ミクロンの範囲のコロイド状及び懸濁された粒子を分離できる低トランスメンブラン−圧力膜工程により実施され得る。前処理が低温殺菌段階を用いる場合、これは、71〜74℃で15〜30秒間の加熱により実施され得る。好ましくは、この低温殺菌段階は、また、高温短時間(HTST)低温殺菌としても知られている、72℃で15秒間、実施される。
【0168】
前処理が遠心除菌段階を用いる場合、これは、乳から微生物を分離するよう企画された遠心分離機により実施され得る。遠心分離のための適切な装置は、一相又は二相遠心除菌を包含する(Tetra Pak Dairy processing Handbook 2003 ISBN 91-631-3427-6)。細菌及び特に細菌熱耐性胞子は、乳よりも高い密度を有する。
【0169】
本発明の方法は、いずれかの乳誘導体、すなわち“出発材料”を殺菌するために使用され得る。本発明の1つの態様においては、出発材料は好ましくは、新鮮な全乳又は脱脂乳である。本発明のもう1つの態様においては、出発材料は好ましくは、6.4〜6.8のpH及び0.13〜0.15%の滴定酸度を有する牛乳である。
【0170】
本発明のいくつかの態様においては、少なくともミクロ濾過及びHT−処理段階の組合せにより製造される、得られる乳製品は、延長された貯蔵寿命(ESL)を有し、そしてその対応する低い低温殺菌された新鮮な製品と実質的に同じように、味がし、匂いがし、そして見える。SaniheatTM処理された又はIIS−処理された製品は、1又は複数の次の特性により特徴づけられる:
【0171】
1.延長された貯蔵寿命、及び
2.対応する低い低温殺菌された新鮮な製品と同じ味覚、匂い及び外観、及び好ましくは、
3.低温度のホエータンパク質変性、
4.低ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)含有率、
5.低ラクツロース含有率、
6.低メイラード反応製品含有率、
7.メイラード反応による低められたリシンの損失。
【0172】
下記に、本発明の追加の典型的な態様が記載される。
典型的な態様1:下記により特徴づけられる延長された貯蔵寿命(ESL)を有する乳又は乳関連製品:
a.20日〜6ヶ月の範囲の貯蔵寿命、及び
b.多くとも30mg/lのラクツロース含有率、及び/又は
c.多くとも40mg/lのフロシン含有率、及び/又は
d.多くとも15mg/lの2−ヘプタノン含有率、及び/又は
e.多くとも25mg/lの2−ノナノン含有率。
【0173】
典型的な態様2:35℃以下の温度で貯蔵される場合、貯蔵寿命が4〜6ヶ月の間である場合の典型的な態様1の乳又は乳関連製品。
典型的な態様3:8℃以下の温度で貯蔵される場合、貯蔵寿命が20〜60日の間である場合の典型的な態様1の乳又は乳関連製品。
【0174】
典型的な態様4:多くとも10cfu/mlの胞子含有率を有する、典型的な態様1の乳又は乳関連製品。
典型的な態様5:多くとも1000cfu/mlの胞子含有率を有する、典型的な態様2の乳又は乳関連製品。
典型的な態様6:多くとも6μモル/lのHMF含有率を有する、典型的な態様1の乳又は乳関連製品。
【0175】
典型的な態様7:140〜160℃、好ましくは150℃で蒸気の直接的注入により乳又は乳関連製品を、多くとも90m秒、より好ましくは25〜75m秒の保持時間、加熱することを含んで成る熱処理により製造される、典型的な態様1〜6のいずれかの乳又は乳関連製品。
【0176】
典型的な態様8:典型的な態様7の乳又は乳関連製品、ここで熱処理工程は、下記を含んで成る前処理に続く:
a.ミクロ濾過、又は
b.低温殺菌、又は
c.遠心除菌、又はそれらの組み合わせ。
【0177】
典型的な態様9:典型的な態様8の乳又は乳関連製品、ここでミクロ濾過は、0.87μm又はそれ以下の孔サイズを有する膜フィルターを使用する。
典型的な態様を10:典型的な態様8の乳又は乳関連製品、ここで低温殺菌は、72℃で15秒間、加熱することを含んで成る。
【0178】
典型的な態様11:典型的な態様7又は8の乳又は乳関連製品、ここで蒸気が非熱焼性材料、好ましくはセラミック材料から成る内部表面を含んで成るチャンバー中に注入される。
【0179】
典型的な態様12:140〜160℃、好ましくは150℃の温度で、90m秒又はそれ以下、より好ましくは25〜75m秒の保持時間の蒸気の直接的注入により乳又は乳関連製品を処理する段階を含んで成る熱処理工程による、典型的な態様1〜6のいずれかの乳又は乳関連製品の製造方法。
【0180】
典型的な態様13:典型的な態様12の乳又は乳関連製品の製造方法を、ここで熱処理工程は、下記を含んで成る前処理に続く:
a.ミクロ濾過、又は
b.低温殺菌、又は
c.遠心除菌、又はそれらの組み合わせ。
【0181】
典型的な態様14:140〜160℃、好ましくは150℃の温度で、90m秒又はそれ以下、より好ましくは25〜75m秒の保持時間の蒸気の直接的注入を含んで成る熱処理工程の、典型的な態様1〜6のいずれかの乳又は乳関連製品を製造するためへの使用。
【0182】
典型的な態様15:典型的な態様14の使用、ここで熱処理工程は、下記を含んで成る前処理に続く:
a.ミクロ濾過、又は
b.低温殺菌、又は
c.遠心除菌、又はそれらの組み合わせ。
【実施例】
【0183】
例1本発明の乳の製造
本発明の長い貯蔵寿命の乳を、図1におけるフローチャートに従って、次の処理段階により、酪農業者からの収集の24時間以内に製造した:
段階1:原(低温殺菌されていない)乳を集め、そして5℃で貯蔵し;
段階2:段階1からの原乳を、プレート熱交換体を用いて50〜60℃に予備加熱し、そして次に、標準の酪農遠心分離機を用いて、遠心分離にゆだね、クリーム画分及び脱脂乳画分を製造し;
【0184】
段階3:段階2からのクリーム画分を、直接的蒸気注入を用いて、注入ユニット(APV)において143℃に4秒間、加熱し、そして次に20℃に冷却することから成るUHT処理により殺菌した。
段階4:次に、段階3からの脱脂乳を、付髄的ミクロ濾過のためのイソフラックスセラミック管状膜(規格は下記に与えられる)を用いてミクロ濾過し(MF)、ここで濃縮水の再循環流速は約116〜126L/時に設定され、そして透過液体は1時間当たり、約117〜128Lの濾過された脱脂乳であった。透過液は無菌の容器に集められた。
【0185】
段階5:段階4の透過液(ミクロ濾過された脱脂乳)を、72℃の温度に15秒間、予備加熱し(低い熱の低温殺菌)、そして次に、段階6に従って処理した。
段階6:段階5の予備加熱された製品を、GEA/NIROにより製造された蒸気注入装置(LSI)を用いての直接的蒸気注入により、150℃で0.09秒の保持時間、殺菌し、そして70〜72℃にフラッシュ冷却した。
【0186】
段階7:1.5%(w/w)脂肪の最終脂肪含有率の乳を生成するために、段階7の熱処理された脱脂乳製品と共に混合される段階3からのUHTクリーム画分を含んで成る乳サンプルを調製した。
【0187】
段階8:次に、1.5%の脂肪含有率を有する段階7の製品を、200rpmで50バール下で均質化した。
段階9:段階8の製品を、5℃の包装温度に冷却し、そして無菌容器中に無菌下で包装し、そして密封した。
段階10:段階9の包装された乳製品を、5℃で貯蔵した。
【0188】
イソフラックスセラミック管状膜:1020mmの長さ及び0.8μmの孔サイズを有する、39のチャネルを含んで成り、ここで分離層の厚さはフィルターの入口から出口に向かって減少し、フィルターに沿っての透過液の平均した流れを可能にする。フィルター(36)を、フィルターハウジングに平行に積層する。カーターに、濾過されるべき脱脂乳のための1つの入口及び透過液のための2つの出口を供給する。カーターに、膜フィルター上での脱脂乳の付随的循環を確保するポンプを供給する。凝縮水は、処理されるべき脱脂乳に循環して戻る。フィルター及びカーターは、Tami (Germany)により供給される。
【0189】
例2従来技術の乳の製品
従来技術の乳を例1に従って製造した。但し、段階4(ミクロ濾過)を除外し、そして段階2の脱脂乳を段階5に直接、供給した。
【0190】
例3分析方法
分析A:官能試験
官能プロフィール又はQDA、すなわち定量記述的分析は、製品の官能性質及び特性の集約の説明である。それは、通常、それらが官能される順序での属性の列挙、及び各属性についての集約値を含む確立された方法である。官能プロフィールは、乳及び乳製品の官能分析に関連するISO 13299:2003及びISO 22935-1 :2009, ISO 22935-2:2009,及びISO 22935-3:200に記載される。
【0191】
サンプル/サンプルの品質
試験を実施できるためには、試験の前、利用できる訓練のためのサンプルが存在すべきである。実際の試験に関しては、十分な量の個々のサンプルが存在すべきである。それらはまた、代表的な品質のものであるべきである。
【0192】
1つのセッションの間、計算され得るサンプルの数は、サンプルの性質及び評価されるべき属性の量に依存する。少数のみの属性が評価される場合、より多くのサンプルが試験に含まれ得、そして逆もまた同様である。通常、最大10のサンプルが1つのセッションにおいて評価される。
【0193】
パネルリーダー
パネルリーダーは、パネルの訓練、企画及び試験の実施について責任を負う。パネルリーダーの要件はISO13300−1:2006に記載されている。
査定者
パネルの査定者は、低濃度での風味を検出する彼らの能力のために選択される。リクルートプロセスは、ISO 8586-1:1993に記載されている。彼らは、一定タイプの製品、この場合、乳について訓練される。官能プロフィール試験の前、パネルは試験される製品及び属性について数度、訓練される。訓練の目的は、基準を使用し、そしてその基準の意味を理解するために均一な手段を得ることである。
個々の試験に関しては、6〜12の査定者のパネルが、製品を評価するために使用される。
【0194】
評価室
訓練及び試験が実施される室は、ISO 8589:2007に言及される必要条件を満たすべきである。
【0195】
サンプルのプレゼンテーション
サンプルは、3数学コードによりブラインド使用され、その供給順序はランダムにされるべきである。サンプルは、蓋付きの小さなプラスチックポットに供給される(www.kemikalia.se art. no. 165555からの"Aseptisk provburk" 100 ml)。
【0196】
基準及び訓練セッション
固定されたエンドポイントを有する連続直尺が使用される。エンドポイントは、それぞれ属性が“まったくない”=0、属性の“非常に強い”強度=10として記載される。個々の査定者の任務は、個人の属性の強さを示すために基準をマークすることである。煮沸された/調理された風味に関しては、パネルは、基準に基づいて、低く低温殺菌された乳(72℃/15秒、1.5%の脂肪)が値0を有し、ESL乳(直接的蒸気注入127℃/2秒、1.5%の脂肪)が値2.5を有し、そしてUHT(直接的蒸気注入143℃/6秒、1.5%の脂肪)が値7.5であることと一致した。数は、試験の間、査定者に示されていない。
【0197】
訓練期間の間、査定者は、属性についていかに同定するか、そしてそれらを、見ること、におい、味覚、等によりいかにして評価するかについて学習するであろう。彼らはまた、個々の属性を評価する共通の手段を確立し、例えばESLについての煮沸された風味は基準に基づいて2.5である。1又は複数の個人的評価がまた、訓練期間の間、行われ、試験を実施する個人の査定者の能力が評価される。
【0198】
試験
個人のセッションは、パネルの訓練/再考により開始する。3個の既知サンプルを最初に使用する;低く低温殺菌された乳(72℃/15秒、1.5%の脂肪)、ESL乳(直接的蒸気注入、127℃/2秒、1.5%の脂肪)及びUHT(直接的蒸気注入、143℃/6秒、1.5%の脂肪)(すべては基準に基づいて特定位置を有する)。その後、パネルは1又は2個の未知のサンプルを得、彼らは、基準(パネルの基準目盛)に基づいて置く場所を、コンセンサスを通して決定する。
【0199】
パネルは、評価するためのサンプルの数、及び必要であるいずれか他の情報について知らされるべきである。FIZZソフトウェアがその評価のために使用される。試験の間、1度に1つのサンプルが査定者に供給される。パネルについての任務は、製品を見/感じ/匂いを嗅ぎ/味わい、そして個々の属性について基準に基づいてマークすることである。査定者は個々のサンプルについてのコメントを書くことも可能である。彼らは、属性とサンプルとの間で水により口をすすぐべきである。
【0200】
分析Aについての参照
ISO 22935-1 :2009, ISO 22935-2:2009、及びISO 22935-3:2009。これは乳及び乳製品の官能分析に関する。
ISO 13299:2003 官能分析 − 方法 -- 官能プロフィールを完成するための一般的指標。
ISO 13300-1 :2006 官能分析 -- 官能評価実験室のスタッフの一般的指標 -- パート1 : スタッフの責任。
ISO 8586-1 : 1993 官能分析 -- 査定者の選択、訓練及びモニタリングの一般的指標 -- パート1 : 選択された査定者。
ISO 8589:2007 官能分析 -- 試験室の設計のための一般的指標。
Stone, H and Sidel, J. L (2004) 官能評価の実施。Tragon Corporation, California, ISBN0-12-672690-6。
【0201】
分析B−粒度分布
乳サンプルにおける粒度を、Mastersizer 2000プログラムを作動するマルバーン装置を用いて決定し、ここで平均粒子直径を、体積による平均直径(μm)により測定する。
【0202】
分析C:変性されたβ−ラクトグロブリン
処理された乳製品のβ−ラクトグロブリンの変性の程度の決定は、処理されていない乳誘導体のサンプル及び処理された乳製品のサンプルを必要とする。個々のサンプルを、ISO 13875:2005(E)“液体乳−サンプルにおける酸溶性β−ラクトグロブリンの量を決定するために酸溶性β−ラクトグロブリン含有率の決定“に従って分析−単位mg/lサンプルで表す。
【0203】
乳製品のβ−ラクトグロブリンの変性程度(DD)を、下記式により計算する:
DD = 100%*(BLGr - BLGh)/BLGr
式中、DDは、β−ラクトグロブリンの変性の程度(DD)であり、
BLGrは未処理の乳誘導体におけるβ−ラクトグロブリンの含有率(mg/l)、
BLGhは、変性の程度が関係する処理された乳製品におけるβ−ラクトグロブリンの含有率(mg/l)である。
【0204】
分析D:ラクツロース決定
乳サンプルにおけるラクツロース含有率を、International Organisation for Standards, 与えられる出版番号: ISO 11285:2004(E); IDF 175: 2004 (E)により定義される酵素アッセイにより測定する。
【0205】
分析E:HPLCによるヒドロキシメチルフルフラール(HMF)定量化
乳サンプルにおけるHMFの含有率、及びHMF及びその前駆体の含有率を、次のプロトコールに従って、1組のHMF標準と一緒に、平行して測定する:
HMF標準:1〜60μMのヒドロキシメチルフルフラール(HMF)水溶液を、mili Q水中、0.5mM及び1.2mMのHMF標準水溶液から調製する。
【0206】
分析されるべき乳サンプルの調製:9%(重量/体積)水溶液を、乳サンプルから調製し、そして次に、その溶液を少なくとも1時間、撹拌する。10mlのサンプルをこの溶液から取り、次に、50mlのフラスコに移し、これに、0.15Mのシュウ酸5mlを添加し、“乳HMFサンプル”を得る。
【0207】
サンプル前処理:“乳HMFサンプル”における、それぞれHMF、及びHMF及びその前駆体の定量化を別々に分析し、ここでサンプルは次の前処理を受ける:
1)“乳HMFサンプル”と、サンプルにおけるHMFの含有率を定量化する前、室温で60分間、放置し“そのまま”:
2)“乳HMFサンプル”を、HMF前駆体をHMFに転換するために蓋をして60分間調理し、続いて、サンプルにおける前駆体を包含するHMFの含有率を定量化する前、5℃に冷却する。
【0208】
サンプルを冷却した後、5mlの40%TCA(トリクロロ酢酸)を、上記前処理されたサンプルの個々に、及び個々のHMF標準及びブランク対照サンプルに添加し、次に、0.22μmのフィルターを通して、それぞれ濾過し、そして次に、濾液を、次の通りに、HPLC分析にゆだねる。
【0209】
サンプル(20μlの体積)を、ApexII ODS 5μm(vydac)を備えたHPLC中に注入し、そして下記を含んで成る移動相により分析する:次の傾斜下での溶離剤A:水、0.1%TFA;及び溶離剤B:90%アセトニトリル、10%水0.1%TFA:
【0210】
【表1】

【0211】
HMFを284nmで検出し、そして個々のサンプルクロマトグラムについてのHMFピーク領域を、0.0を通して強制される検量線の傾斜を計算するために使用される、HMF標準のピーク領域と共に決定する。
【0212】
サンプル中のHMFを、次の通りに計算する:
HMF[μg/100g]=(Samplepeakarea*MWHMF*VDissolvement)/(傾斜*/msample)
式中、Samplepeakarea=サンプルクロマトグラムにおけるHMFのピーク領域
傾斜=検量線の傾斜
msample=計量されたサンプル量[g]
VDissolvement=合計体積溶解性(10ml)
MWHMF=126.1g/モル
【0213】
分析F−フロシン決定
乳サンプルを、105℃でHCl溶液において一晩、加水分解し;そして加水分解物の1アリコートを用いて、全窒素含有率を決定し;そしてもう1つのアリコートを、C18カラムに通し、フロシンを分離し、次にこれを、HPLC-DADにより決定し、そしてフロシン標準に関して定量化する。
【0214】
分析G−プラスミン/プラスミノーゲンの決定
乳サンプルにおけるプラスミン活性、及びウロキナーゼによるプラスミノーゲンの活性化の後、プラスミン由来の活性を、特定の非蛍光のペプチドN−スクシニル−L−アラニル−L−フェニルアラニル−L−リシル−7−アミド−4−メチルクマリンからプラスミンにより放される蛍光生成物AMC(7−アミド−4−メチルクマリン)の濃度を測定することにより決定した[1]。
【0215】
プラスミン及びプラスミノーゲンを、Saint Denisなど. [2]により記載のようにして実施した。1mlの乳サンプルを、8mモル/lのEACA及び0.4モル/lのNaClを含む、1mlの100mモル/lのトリス−HCl緩衝液(pH8.0)と共に、37℃で10分間プレインキュベートし、カゼインミセルからプラスミンを解離した。
【0216】
プラスミノーゲンを、1mlのウロキナーゼ溶液(8mモル/lのEACA及び0.4モル/lのNaClを含む、100mモル/lのトリス−HCl緩衝液(pH8.0)中、200 Ploug U/ml)の存在下で1mlの乳サンプルの37℃での60分のインキュベーションにより、活性プラスミンに前もって転換した[3,4,5]。インキュベーションは、V−底ミクロ管において37℃で実施された。
【0217】
インキュベートされた反応混合物は、200μlの2.0mモル/lのN−スクシニル−L−アラニル−L−フェニルアラニル−L−リシル−7−アミド−4−メチルクマリン(20%v/vのジメチルスルホキシド及び80%v/vの60mモル/lのトリス−HCl緩衝液(pH8.0)、並びに0.25モル/lのNaClに溶解されている)と共に混合された、200μlの調製された乳サンプルから成った。37℃での温度を安定化するために10分間のプレインキュベーションの後、ペプチド加水分解の速度を、サンプルにおけるプラスミン又はプラスミン由来の活性に依存して、5〜90分間隔にわたって3時点で、インキュベーションの間、放出されるAMCの蛍光を測定することにより決定した。
【0218】
個々の測定に関して、100μlの反応混合物を、1mlの蒸留水及び1mlのClarifying Reagent(商品登録されている)と共に、キュベットにおいて混合し、いずれの酵素反応も停止した。それらの段階は、乳濁りの妨害を伴わないで直接的分光蛍光測定(ex=370nm, em=440nm)を可能にした。
【0219】
プラスミノーゲン含有率を、ウロキナーゼによるプラスミノーゲン活性化の後、全プラスミン活性から生来のプラスミン活性を引き算することにより計算した。個々のサンプルを、二重反復して分析した。インキュベーションの間の蛍光強度の上昇は、4時間まで線状であった。乳サンプルなしでの類似する反応混合物を、対照として使用し、すべての実験において無視できる、クマリン−ペプチドの自発的加水分解を決定した。
【0220】
分析Gについての引例
[1] Pierzchala P. A., A new fluorogenic substrate for plasmin, Biochem. J. 183(1979) 555-559。
[2] Saint-Denis T., Humbert G., Gaillard J. L., Enzymatic assays for native plasmin, plasminogen and plasminogen activators in bovine milk, J. Dairy Res. 68 (2001) 437-449。
[3] Korycka-Dahl M., Ribadeau-Dumas B., Chene N., Martal J., Plasmin activity in milk, J. Dairy Sci. 66 (1983) 704-711。
[4] Richardson B.C., Pearce K. N., The determination of plasmin in dairy products, N. Z. J. Dairy Sci. Technol. 16 (1981) 209-220。
[5] RollemaH.S.,Visser S., Poll J. K., Spectrophotometric assay of plasmin and plasminogen in bovine milk, Milchwissenschaft 38 (1983) 214-217。
【0221】
例4比較分析
例1の乳製品(本発明の乳)及び例2の乳製品(従来技術の乳)を、下記について分析した:
−調理された味覚−上記分析Aを用いる
−変性されたβ−ラクトグロブリン−上記分析Cを用いる。
【0222】
結果は、図3及び4に示される。
図3に示されるように、調理された味覚は、高温処理のみにゆだねられたサンプルに比較して、高温処理と組合して、ミクロ濾過により処理されたサンプルにおいて低いことが官能評価により見出された。標準UHT乳製品(直接的蒸気注入、143℃/6秒)における調理された味覚は、他のサンプルにおいてよりも一層強かった。
【0223】
同じ方法で、図4は、β−ラクトグロブリンの変性の程度は、驚くべきことに、高温処理のみにゆだねられたサンプルに比較して、高温処理と組合してのミクロ濾過により処理されたサンプルにおいて低かったことを示す。標準UHT乳製品(直接的蒸気注入、143℃/6秒)におけるβ−ラクトグロブリン変性は、他のサンプルにおいてよりも一層強かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)乳誘導体を供給し、
b)前記乳誘導体から微生物を物理的に分離し、従って、部分的に殺菌された乳誘導体を入手し、そして
c)前記部分的に殺菌された乳誘導体を含んで成る第1組成物を、高温(HT)−処理に暴露し、ここで前記第1組成物は、140〜180℃の範囲の温度に加熱され、長くとも200m秒の期間、前記温度範囲で維持し、そして次に最終的に冷却する、段階を含んで成る、乳又は乳−関連製品の生成方法。
【請求項2】
d)前記HT−処理された第1組成物を含んで成る第2組成物を包装する段階をさらに含んで成る、請求項1記載の方法。
【請求項3】
段階a)の前記乳誘導体が多くとも60%w/wの乳脂肪を含んで成る、請求項1〜2のいずれか1項記載の方法。
【請求項4】
段階a)の前記乳誘導体が多くとも40%w/wの乳脂肪を含んで成る、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
段階a)の前記乳誘導体が多くとも4%w/wの乳脂肪を含んで成る、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
段階a)の前記乳誘導体が多くとも0.1%w/wの乳脂肪を含んで成る、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
段階a)の前記乳誘導体が、ラクトースを低められた乳を含んで成る、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
段階a)の前記乳誘導体が、1又は複数の添加剤を含んで成る、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
段階a)の前記乳誘導体が、低温殺菌されている、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
段階b)の前記物理的分離が、前記乳誘導体の遠心除菌を包含する、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
段階b)の前記物理的分離が、前記乳誘導体のミクロ濾過を包含する、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
段階b)の前記物理的分離が、前記乳誘導体の遠心除菌及びミクロ濾過を包含する、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記ミクロ濾過が、0.5〜1.5ミクロの範囲の孔サイズを有するフィルターを用いて実施される、請求項11又は12記載の方法。
【請求項14】
前記使用されるマイクロフィルターが、クロス−フローマイクロフィルターである、請求項11〜13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記遠心除菌が、少なくとも1つの遠心除菌機の使用を含んで成る、請求項10又は12記載の方法。
【請求項16】
前記第1組成物がさらに、1又は複数の脂質源を含んで成る、請求項1〜15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記1又は複数の脂質源が、植物脂肪及び/又は植物油を含んで成る、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記植物油が、ヒマワリ油、トウモロコシ油、胡麻油、ダイズ油、パーム油、亜麻仁油、 ブドウ種子油、菜種油、オリーブ油、落花生油、及びそれらの組合せから成る群から選択された1又は複数の油を含んで成る、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記植物脂肪が、パーム油基剤の植物脂肪、パーム核油基剤の植物脂肪、ピーナツバター、カカオ脂、椰子油、及びそれらの組合せから成る群から選択された1又は複数の脂肪を含んで成る、請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記1又は複数の脂肪源が、乳脂肪源を含んで成る、請求項17記載の方法。
【請求項21】
前記乳脂肪源が、クリーム、生クリーム、無水バター脂肪、ホエークリーム、バターオイル、バター油留分、及びそれらの組合せから成る群から選択された1又は複数の脂肪源を含んで成る、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記1又は複数の脂質源が、2〜200秒間、70〜100℃の範囲の温度で熱処理されている、請求項17〜21のいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
前記1又は複数の脂質源が、10m秒〜4秒間、100〜180℃の範囲の温度で熱処理されている、請求項17〜22のいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
段階c)の前記HT−温度範囲が、140〜180℃、及び好ましくは145〜170℃、及びさらにより好ましくは、150〜160℃である、請求項17〜23のいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
前記第1組成物が、長くとも200m秒、好ましくは長くとも150m秒、及びさらにより好ましくは長くとも100m秒の間、前記HT−温度範囲で維持される、請求項17〜24のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
前記第1組成物の加熱、維持及び冷却を包含するHT−処理の接続時間が、長くとも500m秒、好ましくは長くとも300m秒、及びさらにより好ましくは長くとも200m秒、例えば150m秒である、請求項17〜25のいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
前記HT−処理の冷却の持続期間が、長くとも50m秒、好ましくは長くとも10m秒、及びさらにより好ましくは長くとも1m秒、例えば0.1m秒である、請求項17〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
前記HT−処理の加熱が、前記第1組成物と蒸気との接触により実施される、請求項17〜27のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
前記HT−処理の加熱が、前記第1組成物と蒸気との接触を含んで成る、請求項17〜28のいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
前記HT−処理の加熱が、前記第1組成物を電磁エネルギーに暴露することを含んで成る、請求項17〜29のいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
前記HT−処理の冷却が、フラッシュ冷却を含んで成る、請求項17〜30のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
段階d)の前記包装が、無菌包装である、請求項2〜31のいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
前記無菌包装が、無菌充填システムを用いることにより実施される、請求項32記載の方法。
【請求項34】
段階d)の前記包装が、前記乳又は乳−関連製品を、1又は複数の無菌容器中に充填することにより実施される、請求項32〜33のいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
処理される液体を、70〜90℃の範囲の温度で、30〜500秒の間、維持することを含んで成る酵素不活性化段階をさらに含んで成る、請求項17〜34のいずれか1項記載の方法。
【請求項36】
前記第1組成物が、段階c)のHT−処理の前、前記酵素不活性化段階に暴露される、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記第2組成物が、段階d)の包装の前、前記酵素不活性化段階に暴露される、請求項35〜36のいずれか1項記載の方法。
【請求項38】
請求項1〜37のいずれか1項記載の方法により得られる乳又は乳−関連製品。
【請求項39】
前記乳又は乳−関連製品の貯蔵寿命が、25℃で保持される場合、少なくとも30日である、請求項38記載の乳又は乳−関連製品。
【請求項40】
前記乳又は乳−関連製品の貯蔵寿命が、包装の後、最初の21日、25℃で及び続く時間、5℃で保持される場合、少なくとも49日である、請求項38記載の乳又は乳−関連製品。
【請求項41】
前記乳又は乳−関連製品の貯蔵寿命が、包装の後、最初の21日、25℃で及び続く時間、5℃で保持される場合、少なくとも49日である、請求項38記載の乳又は乳−関連製品。
【請求項42】
前記乳又は乳−関連製品の貯蔵寿命が、5℃で保持される場合、少なくとも70日である、請求項38記載の乳又は乳−関連製品。
【請求項43】
前記乳又は乳−関連製品の貯蔵寿命が、25℃で保持される場合、少なくとも119日である、請求項38記載の乳又は乳−関連製品。
【請求項44】
前記乳又は乳−関連製品の貯蔵寿命が、25℃で保持される場合、少なくとも182日である、請求項38記載の乳又は乳−関連製品。
【請求項45】
変性された及び変性されていない両β−ラクトグロブリンの合計量に対して、多くとも40%(w/w)のβ−ラクトグロブリンが、変性されている、請求項38〜44のいずれか1項記載の乳又は乳−関連製品。
【請求項46】
得られる乳又は乳−関連製品の調理風味を低め、そして/又はその健全性を改良するためへの、微生物の物理的分離及び乳誘導体のHT−処理の組合せの使用。
【請求項47】
乳誘導体を、長い貯蔵寿命を有する乳又は−関連製品に転換するための乳加工プラントであって、
−乳誘導体から微生物を除去するよう適合された物理的分離セクション、
−前記物理的分離セクションと液体伝達下にあるHT−処理セクション、ここで前記HT−処理セクションは前記物理的分離セクションの液体製品を140〜180℃の範囲の温度に、長くとも200m秒の間、加熱し、そして続いて、液体製品を冷却するよう適合され、そして
−前記乳加工プラントの製品を包含するために前記HT−処理セクションと、液体伝達下にある包装セクションを含んで成るプラント。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−515537(P2012−515537A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546594(P2011−546594)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【国際出願番号】PCT/DK2010/050019
【国際公開番号】WO2010/085957
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(508104282)
【Fターム(参考)】