説明

長さ測定装置

【課題】搬送中の長尺材の長さを精度よく測定することができる長さ測定装置を提供する。
【解決手段】長さ検出装置1は、搬送ライン2の搬送方向上流側に設けられた通過検出部3と、搬送方向下流側に設けられた位置検出部4と、長尺材の長さを算出する算出部5と、演算部5等を制御する制御部6を備えている。通過検出部3は、搬送ライン2に向けて投光する複数の通過投光部31と、搬送ライン2を挟んで通過投光部31と対向して設けられた複数の通過受光部32とをセットで具備している。位置検出部4は、搬送方向にほぼ直交する光を搬送ライン2に向けて投光し、該光を該搬送方向に平行走査する投光部41と、該投光部41と搬送ライン2を挟んで対向し、該投光部41からの光を受光する受光部42とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長さ測定装置に関する。特に、搬送中の長尺材の長さを精度よく測定することができる長さ測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、搬送ライン上の鋼管や棒鋼や型鋼等の長尺材の長さを搬送中に測定する装置として、長尺材にローラを押し当て、ローラの回転数から長さを測定する装置が知られている。しかしながら、このような装置では、ローラと長尺材との間のすべりにより大きな誤差が発生する。
そして、そのような誤差を防ぐ測定装置として、図1に示すように、レンズと搬送方向に並べた複数の受光素子とを具備した受光部と、光源とを、搬送ラインを挟んで搬送方向と直交する方向に備え、受光部と光源との間を搬送ライン上の材料が通過するようにした測定装置が知られている(特許文献1参照)。
この測定装置では、長尺材の後端が所定の位置を通過したときに、光源からの光を受光する受光素子の位置から長尺材の前端の位置を検出し、検出した前端の位置と後端が通過した所定の位置とから長尺材の長さを算出する。しかしながら、このような装置では、長尺材の前端の搬送方向での位置が同じでも、パスラインが変動し、前端の位置が、搬送方向に直交する方向で、受光部との距離が変動する位置P1,P2間で変動すると、長尺材の前端を通過して受光素子に受光される光の位置が位置Q1、Q2間で変動する。従って、検出される前端の位置が変動し、測定される長尺材の長さに大きな誤差が生じる。
【0003】
また、長尺材の端の通過を検出する複数の光センサを搬送方向に備えた測定装置が知られている(特許文献2参照)。この測定装置では、長尺材の後端の通過をいずれかの光センサが検出したときの長尺材の前端の位置を、前端がどの光センサとどの光センサとの間に在るかという情報と長尺材の推定搬送速度から算出する。そして、算出した前端の位置と、後端を検出した光センサの位置とから、長尺材の長さを算出する。推定搬送速度は、複数の光センサを通過する時間から計算する。しかしながら、このような装置では、長尺材の長さの算出に推定した搬送速度を用いるので、測定精度を良くするためには、搬送速度の推定値の精度を高くしなければならない。そして、搬送速度の推定値の精度を高くするためには、光センサの数を多くしなければならず、光センサの数が多くなると光センサの保守等に手間が掛かるという問題がある。
【0004】
また、長尺材の前端と後端の通過を検出する2個の検出器とレーザドップラ速度計とを備えた測定装置が知られている(特許文献3参照)。この測定装置では、長尺材の前端と後端を検出した時点とレーザドップラ速度計で測定した長尺材の搬送速度等から長尺材の長さを算出する。この測定装置は、長尺材の長さを概ね精度良く測定することができるので、長尺材の長さの測定に広く用いられている。
レーザドップラ速度計は、レーザ光を長尺材に投光し、その反射光によって搬送速度を検出する。しかし、レーザ光の投光部及び受光部から長尺材までの距離や、レーザ光を反射する長尺材の表面とレーザ光の光軸との角度等によっては、受光部の受光量が大きく変動する。そして、受光量が減少すると、搬送速度の測定が出来なくなる虞がある。
そのために、長尺材が鋼管や棒鋼の場合には、鋼管や棒鋼の外径に合わせてレーザ光の投光部及び受光部から長尺材までの距離を調整することにより、精度よく測定することができる。
しかしながら、長尺材が型鋼の場合には、H型鋼や山型鋼やZ型鋼等のように、断面形状が種々あり、置き方によってレーザ光を反射する表面の傾きが変わるので、型鋼までの距離を調整するだけでなく、レーザ光を反射する型鋼の表面の傾きに合わせてレーザ光の投光部及び受光部の位置を調整しなければならないという問題がある。図2に、各型鋼の断面を示す。特に同じ搬送ラインに複数の断面形状の型鋼を搬送する場合には、型鋼の断面形状に合わせてレーザ光の投光部及び受光部の位置を調整しなければならないので手間が掛かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭51−32659号公報
【特許文献2】特開平11−237214号公報
【特許文献3】特開昭62−240805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、斯かる従来技術の問題を解決するためになされたものであり、搬送中の長尺材の長さを精度よく測定することができる長さ測定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らは、長尺材のパスラインが変動しても、また、同一の搬送ラインに種々の断面形状の長尺材を搬送させても、搬送中に長尺材の長さを精度よく測定できる長さ測定装置を検討した。そして、検討の結果、搬送ラインに直交する光によって長尺材の端の位置を検出するようにすることにより、長尺材のパスラインの変動や、長尺材の断面形状の影響を受けずに長さを精度良く測定できることを見出した。
【0008】
本発明は、上記の本発明者の検討結果に基づき完成されたものである。すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、搬送ライン中を搬送される長尺材の長さを搬送中に測定する長さ測定装置であって、搬送方向の上流側及び下流側の内のいずれか一方側に設けられ、前記長尺材の前記一方側の端が所定の位置を通過するのを検出する通過検出部と、搬送方向の上流側及び下流側の内のいずれか他方側に設けられ、前記通過検出部が検出した前記通過時点における前記長尺材の前記他方側の端の位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部が検出した前記長尺材の前記他方側の端の位置と前記所定の位置とから前記長尺材の長さを算出する算出部とを備え、前記位置検出部は、搬送方向にほぼ直交する光を前記搬送ラインに向けて投光し、該光を該搬送方向に平行走査する投光部と、該投光部と該搬送ラインを挟んで対向し、該投光部からの光を受光する受光部とを具備し、前記通過検出部が前記長尺材の前記一方側の端が前記所定の位置を通過したことを検出したときに、前記平行走査された光の前記受光部での受光が前記長尺材によって遮られる位置と遮られない位置とから前記長尺材の前記他方側の端の位置を検出することを特徴とする長さ測定装置を提供する。
【0009】
本発明で、ほぼ直交するとは、完全に直交する場合だけでなく、本発明の長さ測定装置に求められる長さの測定精度に影響を与えない範囲内に変動している直交も含まれることを表したものである。
本発明によれば、投光部から搬送方向にほぼ直交するように投光され、搬送方向に平行走査された光によって、長尺材の端の位置を検出するので、長尺材のパスラインが変動して長尺材の位置が搬送方向に直交する方向に変動しても、また、長尺材の断面形状が種々に変化しても、位置検出部が検出する長尺材の端の位置は変わらない。従って、長尺材の長さを精度よく測定できる。
【0010】
好ましくは、前記受光部は、搬送方向に延びる光導棒と該光導棒の一端側に設けられた光検出器とを具備し、前記投光部から前記光導棒に入射した光の一部が前記光検出器に導かれる。
【0011】
斯かる好ましい受光部によれば、光導棒は、搬送方向の長さを容易に変更することができるので、受光部が受光できる搬送方向の範囲を容易に長くすることができる。
【0012】
また、本発明は、搬送ライン中を搬送される長尺材の長さを搬送中に測定する長さ測定装置であって、搬送方向の上流側及び下流側の内のいずれか一方側に設けられ、前記長尺材の前記一方側の端が所定の位置を通過するのを検出する通過検出部と、搬送方向の上流側及び下流側の内のいずれか他方側に設けられ、前記通過検出部が検出した前記通過時点における前記長尺材の前記他方側の端の位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部が検出した前記長尺材の前記他方側の端の位置と前記所定の位置とから前記長尺材の長さを算出する算出部とを備え、前記位置検出部は、前記搬送ラインに向けて投光する投光部と、前記搬送ラインを挟んで該投光部と対向して設けられたテレセントリックレンズ付きの撮像部とを具備し、前記撮像部は、テレセントリックレンズの光軸が搬送方向にほぼ直交するように設けられ、前記通過検出部が前記長尺材の前記一方側の端が前記所定の位置を通過したことを検出したときに、前記搬送ラインを搬送される前記長尺材の前記他方側の端を撮像し、前記位置検出部は、前記撮像部が撮像した撮像画像から前記長尺材の前記他方側の端の位置を検出することを特徴とする長さ測定装置を提供する。
【0013】
本発明で、ほぼ直交するとは、完全に直交する場合だけでなく、本発明の長さ測定装置に求められる長さの測定精度に影響を与えない範囲内に変動している直交も含まれることを表したものである。
ここで、テレセントリックレンズについて説明する。図3は、テレセントリックレンズの説明図である。
テレセントリックレンズでは、被写体から光軸に平行に発せられた光束が光学系に取り込まれる。従って、被写体と光学系の距離が変化しても、像の大きさは変わらない。図3(a)は、従来のレンズでの被写体と像の関係を示す図である。同じ大きさの被写体でもレンズから遠くにある被写体の像は小さくなる。図3(b)は、テレセントリックレンズでの被写体と像の関係を示す図である。同じ大きさの被写体がテレセントリックレンズから遠い位置と近い位置とにあっても、像は同じ大きさになる。
図3(c)は、従来のレンズでの光路を示す図である。従来のレンズでは、撮像できる範囲をレンズの中心から見た角度で表すことができる。この角度を画角といい、主光線間の角度で定義される。
図3(d)は、テレセントリックレンズでの光路を示す図である。テレセントリックレンズとは、光軸に対して平行な主光線が焦点を通るように配列された光学系をいい、画角が0°となる。従って、被写体とテレセントリックレンズとの距離が変化しても像は変わらない。
【0014】
本発明によれば、投光部から投光された光の中から搬送方向にほぼ直交する光がテレセントリックレンズによって選択され、その選択された光で撮像画像が形成される。そして、その撮像画像から長尺材の端の位置を検出するので、長尺材のパスラインが変動して長尺材の位置が搬送方向に直交する方向に変動しても、また、長尺材の断面形状が種々に変化しても、位置検出部が検出する長尺材の端の位置は変わらない。従って、長尺材の長さを精度よく測定できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、搬送中の長尺材の長さを精度よく測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、従来の長さ測定装置の一部の構成図である。
【図2】図2は、型鋼の断面図である。
【図3】図3は、テレセントリックレンズの説明図であり、図3(a)は、従来のレンズでの被写体と像の関係を示す図であり、図3(b)は、テレセントリックレンズでの被写体と像の関係を示す図であり、図3(c)は、従来のレンズでの光路を示す図であり、図3(d)は、テレセントリックレンズでの光路を示す図である。
【図4】図4は、第1の実施形態に係る長さ測定装置の構成図である。
【図5】図5は、受光センサと受光部の受光状態の推移図であり、図5(a)は、検出範囲内に型鋼の前端が無い場合の受光センサと受光部の受光状態の推移図であり、図5(b)は、検出範囲内に型鋼の前端がある場合の受光センサと受光部の受光状態の推移図である。
【図6】図6は、同長さ測定装置を用いた測定方法のフロー図である。
【図7】図7は、受光部の他の一例を示す構成図である。
【図8】図8は、第2の実施形態に係る長さ測定装置の構成図である。
【図9】図9は、撮像部が撮像した撮像画像を2値化した画像である。
【図10】図10は、同長さ測定装置を用いた測定方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の第1の実施形態に係る長さ測定装置1について説明する。
図4は、長さ測定装置1の構成図であり、搬送ライン2を上から見た図である。
長さ測定装置1は、搬送ライン2の搬送ロール21上を搬送される長尺材の長さを搬送中に測定する。長尺材は、搬送ライン2を矢印A方向に搬送されている。長尺材には、材質や断面形状の制限は無く、例えば、鋼管、棒鋼、型鋼、平鋼等が挙げられるが、本実施形態では、型鋼を例として、長さ測定装置1を説明する。
長さ測定装置1は、搬送ライン2の搬送方向上流側に設けられた通過検出部3と、搬送方向下流側に設けられた位置検出部4と、長尺材の長さを算出する算出部5とを備えている。また、長さ測定装置1は、演算部5等を制御する制御部6を備えている。
長さ測定装置1は、型鋼Kの上流側の端である後端が通過検出部3を通過したときの下流側の端である前端の位置を位置検出部4で検出し、型鋼Kの長さを測定する。
【0018】
通過検出部3は、型鋼Kの後端が所定の位置を通過するのを検出する。通過検出部3は、搬送ライン2に向けて投光する複数の通過投光部31と、搬送ライン2を挟んで通過投光部31と対向して設けられた複数の通過受光部32とをセットで具備している。通過投光部31は、例えば、レーザダイオードであり、通過受光部32は、例えば、フォトダイオードである。本実施形態では、通過投光部31と通過受光部32とのセット数をn個とする。この通過投光部31と通過受光部32とのセットを通過検出セット33と呼び、搬送方向の最も上流側に設けられた通過検出セット33を第1通過検出セット33と呼び、第1通過検出セット33の次の下流側に設けられた通過検出セット33を第2通過検出セット33と呼び、以下同様に、第3通過検出セット33等と呼ぶ。
それぞれの通過検出セット33は、搬送方向に所定の間隔を空けて設けられている。この所定の間隔は、例えば2mである。
通過投光部31と通過受光部32とは、両者を結ぶ直線が搬送方向とほぼ直交するように設けられている。通過投光部31から投光され、通過受光部32で受光される光が、型鋼Kの後端の通過を検出したい所定の位置を通るように通過検出セット33は配置されている。
また、通過検出部3は、各通過受光部32に接続されて制御部6に型鋼Kの後端の通過信号を伝達する信号発信部34を具備している。信号発信部34は、それぞれの通過受光部32がそれぞれの通過投光部31からの光を受光していない状態から受光している状態に変化したときに、それぞれの通過検出セット33の所定の位置を型鋼Kの後端が通過したとして、通過信号を制御部6に伝達する。
例えば、型鋼Kの搬送速度が4m/s程度であれば、通過検出セット33からは、0.5秒程度の間隔で通過信号が送られることになる。
【0019】
位置検出部4は、通過検出部3が型鋼Kの後端がそれぞれの所定の位置を通過した時点における型鋼Kの先端の位置を検出する。
位置検出部4は、搬送方向にほぼ直交する光を搬送ライン2に向けて投光し、該光を該搬送方向に平行走査する投光部41と、該投光部41と搬送ライン2を水平方向に挟んで対向し、該投光部41からの光を受光する受光部42とを具備している。
投光部41は、レーザ光(光)L1を発する半導体レーザ411と、レーザ光L1を回転しながら反射するポリゴンミラー412と、平面ミラー413と、放物面鏡414とを具備している。ポリゴンミラー412は矢印B方向に回転している。
半導体レーザ411から発せられたレーザ光L1は、ポリゴンミラー412、平面ミラー413、放物面鏡414の順に反射する。放物面鏡414は、平面ミラー413で反射したレーザ光L1が搬送方向にほぼ直交する方向に反射するように湾曲している。
従って、半導体レーザ411から発せられたレーザ光L1は、搬送方向にほぼ直交するように搬送ライン2に投光され、ポリゴンミラー412が回転しているので、搬送ライン2を搬送方向に、例えば1kHzで平行走査する。レーザ光L1が平行走査する範囲よりも内側に型鋼Kの先端の位置を検出する検出範囲が設けられる。この検出範囲は、通過検出セット33間の間隔よりも広くなければならない。
また、投光部41は、平面ミラー413で反射したレーザ光L1を受光する受光センサ415を具備しており、演算部5は、受光センサ415がレーザ光L1を受光する時点を基準として、任意の時点におけるレーザ光L1の走査位置を算出する。受光センサ415は、例えば、PINフォトダイオードである。
【0020】
受光部42は、位置検出部4が型鋼Kの前端の位置を検出する検出範囲を搬送方向にカバーするように受光範囲を有している。レーザ光L1の走査箇所に型鋼Kが無いときには、レーザ光L1は受光部42で受光されるが、レーザ光L1の走査箇所に型鋼Kが有るときには、レーザ光L1は型鋼Kで遮られ受光部42で受光されない。受光部42は、投光部41からの光を受光している受光状態か否かを制御部6に伝達する。
受光部42は、レーザ光L1が受光範囲に投光されたか否かを検出する構成ならどのような構成でもよく、構成の一例を挙げれば、受光部42は搬送方向に並んだ複数のフォトダイオード421を具備した構成である。制御部6は、いずれかのフォトダイオード421が投光部41からの光を受光しているときは、受光部42は受光状態であるとし、いずれのフォトダイオード421も投光部41からの光を受光していないときは、受光部42は受光状態でないとする。
受光部42の他の例として、レーザ光L1を集光する放物面鏡と、集光されたレーザ光L1を検出するフォトダイオードを具備した構成でもよい。
【0021】
位置検出部4の検出範囲内に型鋼Kの前端が在るか否かの判断と、検出範囲内に前端が在る場合の前端の位置の検出方法を説明する。
図5(a)は、検出範囲内に型鋼Kの前端が無い場合の受光センサ415と受光部42の受光状態の推移図であり、図5(b)は、検出範囲内に型鋼Kの前端がある場合の受光センサ415と受光部42の受光状態の推移図である。受光している状態をオンとし、受光していない状態をオフとしている。なお、1kHzで平行走査された場合には、受光センサ415のオンとオンとの間隔は、1msecである。
検出範囲内に型鋼Kの前端が無い場合について説明する。
受光センサ415は、放物面鏡414を走査しているレーザ光L1を受光したときにオンになっている。そして、受光部42は、レーザ光L1が検出範囲内を走査している間、オンになっている。図中で受光部42がオフになっている箇所は、レーザ光L1が受光部42が受光できる範囲の外を走査しているときである。
次に、検出範囲内に型鋼Kの前端が在る場合について説明する。
受光センサ415は、検出範囲内に型鋼Kが無い場合と同様に、放物面鏡414を走査しているレーザ光L1を受光したときにオンになっている。
そして、受光部42は、レーザ光L1が搬送方向の前方から後方に向けて走査しているので、レーザ光L1が、型鋼Kの前端よりも下流側を走査しているとき、つまり平行走査されたレーザ光L1の受光部42での受光が型鋼Kによって遮られない位置であるときはオンであり、レーザ光L1が、型鋼Kの前端よりも上流側を走査しているとき、つまり平行走査されたレーザ光L1の受光部42での受光が型鋼Kによって遮られる位置であるときはオフになっており、型鋼Kの前端のところでオンからオフに変化している。
【0022】
従って、レーザ光L1が検出範囲を走査しているときに、受光部42の受光状態がオンのままである場合は、検出範囲内に型鋼Kの前端が無いと判断され、レーザ光L1が検出範囲を走査しているときに、受光部42の受光状態がオンからオフに変化している場合は、検出範囲内に型鋼Kの前端が在ると判断される。
そして、検出範囲内に型鋼Kの前端が在る場合には、受光部42の受光状態がオンからオフに変化した時点と、受光センサ415がレーザ光L1を受光した時点との時間差を求め、その時間差から型鋼Kの前端の位置を求める。受光部42の受光状態がオンからオフに変化した時点と、受光センサ415がレーザ光L1を受光した時点との時間差から型鋼Kの前端の位置を求めるには、レーザ光L1が受光センサ415で受光されてからの時間と、搬送ライン2でのレーザ光L1の走査位置との関係を計算や試験から求めておき、求めた関係と検出した前記の時間差から型鋼Kの前端の位置を求める。
【0023】
次に、上記の長さ測定装置1を用いた型鋼Kの長さの検出方法について説明する。
図6は、測定方法のフローを示す。
最初に、制御部6は、通過検出部3が型鋼Kの後端の通過を検出した回数を示す変数mを1にする(ステップ1、以下S1と記す)。
型鋼Kの搬送が始まり信号発信部34からの通過信号を受けると(S2)、制御部6は、次のレーザ光L1の走査時の1スキャンでの受光センサ415と受光部42とにおける受光状態のオンオフの推移のデータを変数mと共に記憶部(図示せず)に記憶する(S3)。
そして、変数mがn以上か否かを判断する(S4)。変数mがn以上でなければ、変数mに1を加え(S5)、S2に戻って、次の通過信号を待ち、S2〜S5を繰り返す。
S4において変数mがn以上であれば、型鋼Kの後端が最も下流側に設けられた通過検出セット33の箇所を通過したとして、演算部5に型鋼Kの長さを演算させる。
演算部5は、S3で記憶部が記憶した受光センサ415と受光部42とにおける受光状態のオンオフの推移のデータから、検出範囲内に型鋼Kの前端が在ることが検出されているデータを検索する。この検索は、上述したように、レーザ光L1が検出範囲を走査している間に、受光部42の受光状態がオンからオフに変化しているか否かで判断する(S6)。
そして、検出範囲内に型鋼Kの前端が在ることが検出されているデータを検索によって探し出すと、そのデータでの型鋼Kの前端の位置を求める。前端の位置は、上述したように、受光部42の受光状態がオンからオフに変化した時点と、受光センサ415がレーザ光L1を受光した時点との時間差から求める(S7)。
次に、検出範囲内に型鋼Kの前端が在る時の型鋼Kの後端の位置を次のようにして求める。検出範囲内に型鋼Kの前端が在る時のデータと共に記憶された変数mによって、型鋼Kの前端の位置が検出された時に後端が通過した通過検出セット33を求める。例えば、変数mが1ならば、第1通過検出セット33であり、変数mが2ならば、第2通過検出セット33である。そして、求めた通過検出セット33が型鋼Kの後端の通過を検出する所定の位置が、型鋼Kの後端の位置である(S8)。
次に、演算部5は、求めた型鋼Kの前端の位置と後端の位置とから、型鋼Kの長さを算出する(S9)。
【0024】
本実施形態の長さ測定装置1によれば、投光部41から搬送方向にほぼ直交するように投光され、搬送方向に平行走査された光によって、長尺材の前端の位置を検出するので、長尺材のパスラインが変動して長尺材の位置が搬送方向に直交する方向に変動しても、また、長尺材の断面形状が種々に変化しても、位置検出部4が検出する長尺材の前端の位置は変わらない。従って、長尺材の長さを精度よく測定できる。
特に、本実施形態では、長尺材の前端の位置を検出し易いように、投光部41と受光部42とを水平方向に配置しているが、投光部41からのレーザ光L1が搬送方向にほぼ直交しているので、長尺材のパスラインが変動し、投光部41及び受光部42と長尺材との距離が変動しても長尺材の長さを精度よく測定できる。
【0025】
上記実施形態では、受光部が複数の受光素子を具備している例を説明したが、受光部の構成は、上記の例に限られず、例えば、次のような構成でもよい。
図7は、受光部の他の一例を示す構成図である。受光部42aは、搬送方向に延びた光導棒422と光導棒422の一端側に取り付けられた光検出器423とを具備している。光検出器423は、例えば、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、光電子増倍管等である。光導棒422は、透明な材質から成っており、投光部41からのレーザ光L1の入射側とは反対側の内面422aにレーザ光L1が乱反射する粗面を具備している。
投光部41からのレーザ光L1は、内面422aで乱反射し、光導棒422の内面で反射を繰り返して一部が光検出器423で検出される。このような受光部42aによっても、上述した受光部42と同等の効果を得ることができる。
また、この受光部42aによれば、光導棒422は、搬送方向の長さを容易に変更することができるので、受光部42aが受光できる搬送方向の受光範囲を容易に長くすることができる。
そして、受光部42aが受光できる搬送方向の受光範囲を長くすると共に、投光部41がレーザ光L1を平行走査する搬送方向の範囲を長くすることにより、型鋼Kの前端の検出範囲を搬送方向に長くすることができる。そうして、型鋼Kの前端の検出範囲を搬送方向に長くすれば、通過検出セット33間の間隔を長くすることができるので、通過検出セット33の数を減らしてコストを低くすることができる。
【0026】
本実施形態では、通過検出部3が型鋼Kの後端の通過を検出し、その時の型鋼Kの前端の位置を位置検出部4が検出するようにしたが、通過検出部3を搬送方向下流側に設け、位置検出部4を搬送方向上流側に設け、通過検出部3が型鋼Kの下流側の端である前端の通過を検出し、その時の型鋼Kの上流側の端である後端の位置を位置検出部4が検出するようにしてもよい。
また、本実施形態では、通過検出セット33を複数としたが、1セットとしてもよい。
また、通過検出部3において、通過投光部31からの光を通過受光部32が直接に受光するようにして型鋼Kの通過を検出したが、通過投光部31からの光を型鋼Kに反射させ、反射した光を通過受光部32が受光するようにして型鋼Kの通過を検出するようにしてもよい。
【0027】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る長さ測定装置について説明する。
本実施形態に係る長さ測定装置は、第1の実施形態に係る長さ測定装置と、位置検出部4の構成が異なり、位置検出部4に関係しない構成は同じである。
図8は、長さ測定装置1aの構成図である。第1の実施形態に係る長さ測定装置と同じ構成物には、同じ番号を付しており、説明を省略する。
位置検出部7は、搬送ライン2に向けて投光する投光部71と、投光部71と搬送ライン2を水平方向に挟んで対向したテレセントリックレンズ73付きの撮像部72を具備している。撮像部72は、例えばCCDカメラである。撮像部72は、複数が搬送方向に並置されている。撮像部72は、テレセントリックレンズ73の光軸が搬送方向にほぼ直交するように設けられている。撮像部72が撮像できる搬送方向の範囲よりも内側に検出範囲が設けられる。この検出範囲は、通過検出セット33間の間隔よりも広くなければならない。
撮像部72は、型鋼Kの搬送中は、常に搬送ライン2を撮像しており、通過検出部3が型鋼Kの後端の通過を検出したときも、搬送ライン2を搬送される型鋼Kの前端を撮像する。
また、位置検出部7は、画像処理部74を具備しており、画像処理部74は、撮像部72が撮像した画像を所定の濃度によって2値化処理し、2値化した画像を制御部6に伝達する。制御部6は、2値化された画像に基づいて、検出範囲内に型鋼Kの前端が在るか否かを判断し、前端が在る場合には、前端の位置を算出する。
投光部71は、発光するものなら何でもよく、例えば、LEDや、電球等が挙げられる。
また、撮像部72の数を複数としたが、1つでもよい。
【0028】
次に、位置検出部7の検出範囲内に型鋼Kの前端が在るか否かの判断と、検出範囲内に前端が在る場合の前端の位置の検出方法を説明する。
図9は、撮像部72が撮像した撮像画像を2値化した画像である。画像は、複数の撮像部72が撮像した撮像画像を繋げて表示している。
図9では、型鋼Kの前端が画像の中央部分に映っている。検出範囲に型鋼Kが在ると、そこの部分は暗い像となるので、2値化された画像では、濃度の濃い像として表示される。
従って、2値化された画像で搬送方向の上流側から濃度の濃い像が下流側に向けて延出していれば、検出範囲内に型鋼Kの前端が在ると判断することができる。そして、延出した先端が、型鋼Kの前端の位置を表すことになる。そして、撮像画像の各画素の位置と検出範囲での搬送方向の位置は、関係付けられるので、延出した前端部の画素の位置から型鋼Kの前端の位置を算出することができる。図9は、撮像部72が2次元画像を撮像した場合を説明したが、撮像部72が1次元画像を撮像するラインセンサの場合も同様に行うことができる。
【0029】
次に、上記の長さ測定装置1aを用いた型鋼Kの長さの検出方法について説明する。
図10は、検出方法のフローを示す。
最初に、制御部6は、通過検出部3が通過を検出した回数を示す変数mを1にする(S11)。
型鋼Kの搬送が始まり信号発信部34からの通過信号を受けると(S12)、制御部6は、そのときの撮像部72の撮像画像のデータを変数mと共に記憶部(図示せず)に記憶する(S13)。
そして、変数mがn以上か否かを判断する(S14)。変数mがn以上でなければ、変数mに1を加え(S15)、S12に戻って、次の通過信号を待ち、S12〜S15を繰り返す。
S14において変数mがn以上であれば、型鋼Kの後端が最も下流側に設けられた通過検出セット33の箇所を通過したとして、演算部5に型鋼Kの長さを演算させる。
演算部5は、S13で記憶部が記憶した撮像部72の撮像画像のデータから、検出範囲内に型鋼Kの前端が在ることが検出されているデータを検索する。この検索は、上述したように、2値化された画像で搬送方向の上流側から濃度の濃い像が下流側に向けて延出しているか否かで判断する(S16)。
そして、検出範囲内に型鋼Kの前端が在ることが検出されているデータを検索によって探し出すと、そのデータでの型鋼Kの前端の位置を求める。前端の位置は、上述したように、延出した先端部の画素の位置から求める(S17)。
次に、検出範囲内に型鋼Kの前端が在る時の型鋼Kの後端の位置を次のようにして求める。検出範囲内に型鋼Kの前端が在る時のデータと共に記憶された変数mによって、型鋼Kの前端の位置が検出された時に後端が通過した通過検出セット33を求める。例えば、変数mが1ならば、第1通過検出セット33であり、変数mが2ならば、第2通過検出セット33である。そして、求めた通過検出セット33が型鋼Kの後端の通過を検出する所定の位置が、型鋼Kの後端の位置である(S18)。
次に、演算部5は、求めた型鋼Kの前端の位置と後端の位置とから、型鋼Kの長さを算出する(S19)。
【0030】
本実施形態の長さ測定装置1aによれば、投光部71から投光された光の中から搬送方向にほぼ直交する光がテレセントリックレンズ73によって選択され、その選択された光で撮像画像が形成される。そして、その撮像画像から長尺材の端の位置を検出するので、長尺材のパスラインが変動して長尺材の位置が搬送方向に直交する方向に変動しても、また、長尺材の断面形状が種々に変化しても、位置検出部7が検出する長尺材の端の位置は変わらない。従って、長尺材の長さを精度よく測定できる。
特に、本実施形態では、長尺材の前端の位置を検出し易いように、投光部71と撮像部72とを水平方向に配置しているが、テレセントリックレンズを用いているので、長尺材のパスラインが変動し、投光部71及び撮像部72と長尺材との距離が変動しても長尺材の長さを精度よく測定できる。
なお、本実施形態でも、通過検出部3が型鋼Kの後端の通過を検出し、その時の型鋼Kの前端の位置を位置検出部7が検出するようにしたが、通過検出部3を搬送方向下流側に設け、位置検出部7を搬送方向上流側に設け、通過検出部3が型鋼Kの下流側の端である前端の通過を検出し、その時の型鋼Kの上流側の端である後端の位置を位置検出部7が検出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1、1a・・・長さ測定装置
2・・・搬送ライン
3・・・通過検出部
4・・・位置検出部
41・・・投光部
42、42a・・・受光部
422・・・光導棒
5・・・演算部
7・・・位置検出部
71・・・投光部
72・・・撮像部
73・・・テレセントリックレンズ
K・・・型鋼(長尺材)
L1・・・レーザ光(光)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ライン中を搬送される長尺材の長さを搬送中に測定する長さ測定装置であって、
搬送方向の上流側及び下流側の内のいずれか一方側に設けられ、前記長尺材の前記一方側の端が所定の位置を通過するのを検出する通過検出部と、
搬送方向の上流側及び下流側の内のいずれか他方側に設けられ、前記通過検出部が検出した前記通過時点における前記長尺材の前記他方側の端の位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部が検出した前記長尺材の前記他方側の端の位置と前記所定の位置とから前記長尺材の長さを算出する算出部とを備え、
前記位置検出部は、搬送方向にほぼ直交する光を前記搬送ラインに向けて投光し、該光を該搬送方向に平行走査する投光部と、該投光部と該搬送ラインを挟んで対向し、該投光部からの光を受光する受光部とを具備し、前記通過検出部が前記長尺材の前記一方側の端が前記所定の位置を通過したことを検出したときに、前記平行走査された光の前記受光部での受光が前記長尺材によって遮られる位置と遮られない位置とから前記長尺材の前記他方側の端の位置を検出することを特徴とする長さ測定装置。
【請求項2】
前記受光部は、搬送方向に延びる光導棒と該光導棒の一端側に設けられた光検出器とを具備し、
前記投光部から前記光導棒に入射した光の一部が前記光検出器に導かれることを特徴とする請求項1に記載の長さ測定装置。
【請求項3】
搬送ライン中を搬送される長尺材の長さを搬送中に測定する長さ測定装置であって、
搬送方向の上流側及び下流側の内のいずれか一方側に設けられ、前記長尺材の前記一方側の端が所定の位置を通過するのを検出する通過検出部と、
搬送方向の上流側及び下流側の内のいずれか他方側に設けられ、前記通過検出部が検出した前記通過時点における前記長尺材の前記他方側の端の位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部が検出した前記長尺材の前記他方側の端の位置と前記所定の位置とから前記長尺材の長さを算出する算出部とを備え、
前記位置検出部は、前記搬送ラインに向けて投光する投光部と、前記搬送ラインを挟んで該投光部と対向して設けられたテレセントリックレンズ付きの撮像部とを具備し、
前記撮像部は、テレセントリックレンズの光軸が搬送方向にほぼ直交するように設けられ、前記通過検出部が前記長尺材の前記一方側の端が前記所定の位置を通過したことを検出したときに、前記搬送ラインを搬送される前記長尺材の前記他方側の端を撮像し、
前記位置検出部は、前記撮像部が撮像した撮像画像から前記長尺材の前記他方側の端の位置を検出することを特徴とする長さ測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−36913(P2013−36913A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174557(P2011−174557)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(592244376)住友金属テクノロジー株式会社 (43)
【Fターム(参考)】