説明

長さ調節可能なホースを有する給気レスピレータ

【課題】ホースが作業環境内に位置する物品に不注意に引っ掛かる機会を減少させる。
【解決手段】給気レスピレータ10は、(a)給気レスピレータ10のユーザによって携行されるように設計された清浄空気供給源16と、(b)少なくともユーザの鼻と口を覆ってフィットする大きさに作られた面体18と、(c)長さを調節可能な可撓性の部材からなり、清浄空気を該ユーザに供給するために該清浄空気供給源16から該面体18に延びており、圧縮された所定の長さを有する第1部分と圧縮されていない長さを有する第2部分を有する長さ調節可能なホース12と、(d)ホース12の第1部分を覆うとともに、第1部分が圧縮された所定の長さを有するように第1部分を保持する第1スリーブ14と、(e)ホース12の第2部分を覆う第2スリーブとを有し、ホース12の全長が第1スリーブ14と第2スリーブによって覆われている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レスピレータ面体と清浄空気供給源との間の導管として長さ調節可能なホースを使用する、給気レスピレータに関する。
【背景技術】
【0002】
給気レスピレータは通常、周囲の空気が汚染物質を含有する環境において装着される。清浄空気は周囲空気をエアフィルターに通過させる供給タンクから、又は動力付き空気源から装着者に送達される。
【0003】
清浄空気を装着者に供給するために動力付き空気源を使用するシステムは、動力付き空気浄化レスピレータと呼ばれており――略称「PAPR」として既知である。PAPRは典型的には2つの主要部分、つまり面体とフィルタリングユニットとを有する。面体は少なくともユーザーの鼻及び口を覆って装着され(目及び耳も覆ってもよい)、フィルタリングユニットは一般にユーザーの腰周りに装着される。フィルタリングユニットは、多くの場合、フィルターカートリッジと、ハウジングと、ファンと、該ファンを駆動させる電動モータとを包含する。ファン及びモータはハウジングの中に収容され、フィルターカートリッジはハウジング本体に取り付けられる。周囲空気は、フィルターカートリッジの中に収容されたフィルター要素を通して押し進められることによって、濾過される。この濾過空気は、次いで、固定長ホースを通して面体に送達される。電動ファンは、空気をフィルターカートリッジからホースを通して面体内部に送り込む。ファンはPAPRシステムを通じて空気移動に必要とされる作業を行うので、ユーザーは、容易に清浄な空気の供給を快適に受けることができる。既知のPAPRの代表例は、次の特許:米国特許第6,796,304号(オデル(Odell)ら)、米国特許第6,575,165号(クック(Cook)ら)、米国特許第6,666,209号(ベネット(Bennett)ら)、及び米国特許第6,837,239号(ベインツソン(Beizndtsson)ら)に記載されている。
【0004】
清浄空気を装着者に提供するために加圧式供給タンクを使用する給気レスピレータは、自蔵型呼吸装置、又は「SCBA」と呼ばれることが多い。SCBAもまた、清浄空気を清浄空気供給源から面体に送達するホースを有する。SCBAの例は、次の公報:US 2005/0022817 A1、US 2004/0182395 A1、及びUS 2003/0111076 A1に示されている。
【0005】
既知の給気システムは、清浄空気を作業者に供給する際に非常に有益であったものの、これらの既知の製品にはある特定の欠点、つまり、空気を面体に送達するために使用されるホースが、給気レスピレータを使用する作業場内に存在する突起物に頻繁に引っ掛かるという欠点があった。給気レスピレータは、様々なサイズの人々によって使用されるように設計されている。それ故、フィルタリングユニットから面体に延びるホースは、胴体の長い人に適応するように十分長くサイズ設定されている。しかし、胴体のより短い人がこの同じ給気レスピレータを使用する時、余分なホース長がユーザーの身体から離れてぶら下がる。この余分なホースは、作業者が働く区域内に突き出した物品に引っ掛かって、ユーザーを苛立たせ、ことによると作業環境において危険な状況を引き起こす可能性がある。更に重要なことに、物体に引っ掛かるホースは、面体又は清浄空気供給源のいずれかからのホースの係合離脱を引き起こし、その結果、このシステムによって提供される呼吸の保護を危うくすることがある。また、もつれたホースは隣接した物体を転倒させる可能性があり、あるいはユーザーのバランスを失わせることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開米国特許第6,796,304号
【特許文献2】特開米国特許第6,575,165号
【特許文献3】特開米国特許第6,666,209号
【特許文献4】特開米国特許第6,837,239号
【特許文献5】US 2005/0022817 A1
【特許文献6】US 2004/0182395 A1
【特許文献7】US 2003/0111076 A1
【特許文献8】米国特許意匠第D501,288号
【特許文献9】米国特許第6,783,574号
【特許文献10】米国特許第6,119,691号
【特許文献11】米国特許第5,472,600号
【特許文献12】米国特許第6,344,071B1号
【特許文献13】米国特許第5,078,132号
【特許文献14】米国特許第4,443,354号
【特許文献15】米国特許第6,615,828号
【特許文献16】米国特許第6,186,130号
【特許文献17】米国特第6,666,209 B2号
【特許文献18】米国特許第6,286,144号
【特許文献19】英国特許第1,419,841号
【特許文献20】米国特許第4,923,083号
【特許文献21】米国特許第4,078,692号
【特許文献22】米国特許第3,346,187号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
余分なホース長の問題は、エンドユーザーに様々な長さのホースを提供することで、当該技術分野において対処されてきた。1つの長さのホース以上のものを提供することで、ユーザーは自分にとって最も適したホースを選択することができる。しかし、1を超えるホースの作製及び配布を必要とするので、この方式もまた不利である。多数のホースの必要性は、雇用者の健康及び安全計画のコスト及び複雑さを増大させる。また、ユーザーが1を超える長さのホースを提供されている時でさえ、ユーザーは正確な長さを有するものではなく、自身の要求に最も近いものを選択しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(a)給気レスピレータのユーザーによって携行されるように設計された清浄空気供給源、(b)少なくともユーザーの鼻及び口を覆ってフィットする大きさに作られた面体、(c)供給源から面体に延びるホース、及び(d)ホースの長さを調節するための手段、を適切に含むか、又はこれらから本質的に成ることができる、給気レスピレータを提供する。
【0009】
本発明は、ホース長調節手段を有するという点において、既知の給気レスピレータとは異なる。この特徴は、様々な身長及びサイズの人々が、ホースのもつれの問題に遭遇せずに、同じ給気レスピレータを装着するのを可能にするという点において有益である。配布可能な複数のサイズのホースを有する必要はなく、また各ホースは正確な長さに調整され得る。本発明の給気レスピレータのユーザーは、ホース長を自分の胴体の長さに適応させることができ、その結果、余分なホースが自分の身体から自由にぶら下がるのを防止する。本発明の給気レスピレータは、それ故、エンドユーザーに対し、並びに他の人々及び作業環境内の物に対し、より大きい利便性及び安全性を提供する。
【0010】
本発明のこれら及び他の利点は、本発明の図面及び「発明を実施するための最良の形態」により十分に示され、且つ説明されており、ここで同様の参照番号は類似の部分を表すために使用される。しかし、図面及び説明は例示の目的に過ぎず、本発明の範囲を過度に制限する形で読み取るべきではないことを理解すべきである。
【0011】
用語解説
本発明を説明する際、次の用語は以下のように定義される。
【0012】
「長さ調節可能なホース」とは、望ましい長さに調節され得るホースを意味する。
【0013】
「呼吸領域」とは、清浄空気が給気レスピレータの装着者によって吸入される、内部気体空間の部分を意味する。
【0014】
「清浄空気」とは、酸素を人に提供すべく濾過されるか、あるいは他の方法で呼吸するのに安全にされた空気(又は他の酸素含有気体)を意味する。
【0015】
「清浄空気供給源」とは、安全に呼吸するのに清浄空気(又は酸素)の供給物を人に提供できる、フィルタリングユニット又はタンクなどの装置を意味する。
【0016】
「柔軟性のある顔面接触部材」とは、マスク本体を人の鼻及び口を覆って快適に支持させることができるように柔軟に作られた、面体の部分を意味する。
【0017】
「延びる又はから延びる」とは、ホースが、清浄空気供給源と面体との間のどこかに位置し、そのようなパーツの間で流体連通が起きるのを助けることを意味する(ホースは、いずれかの端部にてそのようなパーツに直接的に取り付けられる必要はない)。
【0018】
「外部気体空間」とは、人に装着される時に面体を取り巻き、且つ吐き出された気体がマスクの内部気体空間を出た後にこれを最終的に受容する、周囲大気の気体空間を意味する。
【0019】
「面体」とは、外部気体空間から分離した内部気体空間を生み出すのを助けるために、少なくとも人の呼吸経路(鼻及び口)を覆って人に装着される装置を意味する。
【0020】
「フィルターカートリッジ」とは、フィルター要素を包含し、且つフィルタリングユニットへの接続又はフィルタリングユニットにおける使用に適合した構造体を意味する。
【0021】
「フィルタリングユニット」とは、周囲空気を濾過すること及び動力式の空気移動を引き起こすことを司る、PAPRの部分を意味する。
【0022】
「ホース」とは、透過性壁(単数又は複数)の中に流体を有する導管を包含し、これを通して空気が移動して清浄空気を清浄空気供給源から面体に送達できる装置を意味する。
【0023】
「内部気体空間」とは、マスクが装着される時、マスク本体と人の顔面との間に存在する空間を意味する。
【0024】
「マスク本体」とは、少なくとも人の鼻及び口を覆ってフィットし得、且つ外部気体空間から分離した内部気体空間を画定するのを助け得る構造体を意味する。
【0025】
「動力付き空気浄化レスピレータ又はPAPR」とは、濾過空気を内部気体空間の呼吸領域に送達するために外部電源を使用する、給気レスピレータを意味する。
【0026】
「自蔵型呼吸装置」又はSCBAとは、清浄空気の供給物を貯蔵する加圧式ボトル又はタンクを有する、給気レスピレータを意味する。
【0027】
「給気レスピレータ」とは、清浄空気の供給物を当該装置の装着者に送達できる装置を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による動力付き空気浄化レスピレータシステム10の斜視図。
【図2】本発明による長さ調節可能なホース12であって、管長を固定するためのスリーブ14を包含するホース12の平面図。
【図3】管長全体を被覆するためのスリーブ14,38を包含する、図2の長さ調節可能なホース12の平面図。
【図4】長さが固定されるか又は延ばされていない第1部分35を有する、長さ調節可能なホース12’の平面図。
【図5】本発明による自蔵型呼吸装置50の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の好ましい実施形態を説明する際、明瞭化のために特定の術語が使用される。しかし、本発明は、そのように選択された特定の用語に制限されることを意図するものではなく、また、そのように選択された各用語は、同様に機能する全ての技術的同等物を包含することを理解すべきである。
【0030】
本発明の実施に際して、当該技術分野において公知の給気レスピレータほど扱い難くない、動力付き空気浄化レスピレータが提供される。より小柄なユーザーにとって長すぎる可能性のある、均一な長さのホースを有した既知の給気レスピレータとは異なり、本発明は、不要なホース長に関する問題及びコストを少なくする長さ調節可能なホースを有する給気レスピレータを当該技術分野に提供する。
【0031】
図1は、管15(図2)を覆って配置されたスリーブ14を有する長さ調節可能なホース12を包含する、動力付き空気浄化レスピレータシステム10を示し、この管15を通して空気がフィルタリングユニット16からフード18に通過する。フィルタリングユニット16は、電動モータ22によって駆動されるファン20を有する。ファン20は、フィルター要素24を通して空気を引き寄せ、この濾過空気をフード18によって画定される内部気体空間内に押し進める。ファン20及び電動モータ22は、典型的にはハウジング26の中に収容される。電気スイッチ28は、PAPR10をオンオフすることを可能にさせるために、回路31内に包含されてもよい。フィルター要素は、一般にフィルターカートリッジハウジング24の中に収容され、このハウジング24は通常、PAPRハウジング26に取外し可能に取り付けられている。PAPRハウジング26は、一般にユーザーの腰周りに装着され、米国特許意匠第D501,288号(テイラー(Taylor))に示されたもののようなベルトによって支持されてもよい。本発明が使用されてもよいPAPRシステムの例は、米国特許第6,796,304号(オデル(Odell)ら)、第6,666,209号(ベネット(Bennett)ら)、及び第6,575,165号(クック(Cook)ら)に示されている。清浄空気の源を装着者に提供するために使用できる濾材としては、帯電した繊維のウェブなどの微粒子濾材、特に帯電した超極細繊維が挙げられる――米国特許第6,783,574号(アンガドジバンド(Angadjivand)ら)、第6,119,691号(アンガドジバンド(Angadjivand)ら)、及び第5,472,600号(エレフソン(Ellefson)ら)参照。あるいは、気体状汚染物質を濾過するために、活性炭フィルターなどの気体フィルターも使用することができる――米国特許第6,344,071B1号(スミス(Smith)ら)、第5,078,132号(ブラウン(Braun)ら)、及び第4,443,354号(エイアン(Eian))参照。フィルターカートリッジ(単数又は複数)において、微粒子及び気体濾材の組み合わせを含有するフィルター要素も使用されてもよい。フィルタリングユニット16には、複数のカートリッジ24も取り付けられてもよい。またPAPRには、流量が規定レベル未満に落ち込んだ時をユーザーに知らせるセンサが設けられ得る――米国特許第6,615,828号(ペザーブリッジ(Petherbridge))参照。更に、フィルター要素の使用量の記録を保持するために、不揮発性記憶装置がフィルター要素に付随してもよい――米国特許第6,186,130号(ホーグ(Hogue))参照。空気流を測定するシステムも使用されてもよい――米国特第6,666,209 B2号(ベネット(Bennett)ら)参照。図1に示されたPAPRは、外部気体空間から分離した内部気体空間を提供する面体としてフード18を使用しているが、本発明による給気システムは、装着者の鼻及び口(及び任意に目)を覆ってフィットするフェイスマスクも使用することができ、又は完全密閉スーツであり得る――例えば、米国特許第6,286,144号(ヘンダーソン(Henderson)ら)参照。
【0032】
図2は、本発明による長さ調節可能なホース12の第1実施形態を示す。長さ調節可能なホース12は、第1スリーブ14と管15とを包含する。スリーブ14は、管15を覆って配置され、第1及び第2端部30及び32それぞれを有する。第1端部30は伸縮性であり、つまり、それは管15の第1端部44に適応しぴったりと握持するために、弾力的に伸張され得る。スリーブ端部30はまた、装置を組み立てる時に管15がそれを通過できるよう拡大され得る。端部30の弾性的性質により、スリーブ14は管15の周りにきつくぴったりとフィットすることができる。本発明の下、第1管端部44への第1スリーブ端部30の(物理的な、機械的な、又は化学的な)適切な固定を可能にする、いかなる他の方法も考慮される。機械的把持の他に、スリーブ端部は、例えば、管端部に(接着剤を使用して)接着されるか、(類似のプラスチックを使用して)溶接されるか、又は(ボタン又はスナップを使用して)締着され得る。
【0033】
図2が示すように、スリーブ14の対向端部32は、端部32におけるスリーブ開口部の大きさを調節できる締結具34を有する。締結具34は、フック・ループ・タイプであってもよい。管15は、螺旋状に巻いたコードを覆って配置されたプラスチック材料から作製されてもよい(例えば、英国特許第1,419,841号参照)。この種の管15は、可撓性であり、軸方向の圧縮に対する抵抗を示す傾向がある。管15は、その自然に延びた状態から圧縮されると、軸方向に拡大する傾向を示すように形成される。逆に、張力を加えることによって管が軸方向に延ばされると、管は縮んで、その自然に延びた状態に戻る傾向を有する。螺旋状に巻いたコードは、管15に形状及び構造一体化をもたらし、管15が必要に応じて延びるか又は縮むことを可能にする。あるいは、管は可撓性の、成形された回旋状ホースであり得る。管15の第1端部44は、ホース12を面体18に取り付けることができるよう、その上に、例えば、クイックリリーススイベル(Q.R.S)アダプタを有し得る。ホース12の対向端部46は、フィルタリングユニット16(図1)に固定されるための差し込み取付具を有し得る。所望により他のアダプタ又は取付具が使用されてもよい。管15の一部分は、スリーブ14の内部から延び出て、望ましい長さを達成する。締結具34は、さらなる管15がスリーブ14の中から延ばされる(又は引き寄せられる)のを防止するために、管15の周りに締め付けられる。こうしてホース12の長さがセットされる。その螺旋状に巻いた、又はつる巻状の、コード様構造のために、管15は無負荷状態の全長にまで軸方向に拡大する傾向がある。スリーブを端部30にて管に弾力的に固定させることによって、また、締結具34を端部32にて管の周りにきつく固定させることによって、管15のその全長への自然拡大を抑制させることができ、その結果、望ましい長さを達成できる。図面では機械的締結具が例示されているが、本発明の下、ホースの拡大を抑制させるためのあらゆる技術が考慮される。スリーブ14は、例えば、弾性的取付具、接着テープ、ボタン等、本質的にあらゆる把持装置を使用して、又は、第1スリーブ端部に関して先に述べた技術を使用して、管15に固定され得る。
【0034】
図3は、長さ調節可能なホース12が、第1及び第2端部40及び42を有する第2スリーブ38を包含してもよいことを示している。第1端部40は開いており、第1スリーブ14に適応するために十分な大きさに作られている。第2端部42は、管15(図2)の周りにきつくフィットするために伸縮性である。第2スリーブ38により、本質的に管の全長は外観の点で均一であり、外スリーブ部材によって完全に保護されるか、又は被覆される。
【0035】
図2及び3に例示された本発明の第1実施形態の長さ調節可能なホース12を組み立てるために、ユーザーは、管15の第1端部44を第1スリーブ14の第2端部32内に挿入することから始める。管15は、伸縮性端部30が管15の周りにきつくフィットするまでスリーブ14を通して引き寄せられ、管15の第1端部44は、スリーブ14から軸方向に突き出る。管15は、望ましい長さが達成されるまでスリーブ14の中で圧縮される。締結具34は、望ましい長さで管15の周りに固定される。管15の第2端部46は、第2スリーブ38の開放端部40内に配置される。スリーブ38の第2端部42は、管15の第2端部46の周りにぴったりと固定される。これは、管38の端部42を伸縮性にすることによって、又はそれにフック・ループ材などの調節可能な締結具を設けることによって達成できる。ホース12は、その結果、望ましい長さに調節されて特定のユーザーにフィットし、管15は、第1スリーブ及び第2スリーブ14及び38によって完全に被覆される。本発明の長さ調節可能なホースは、その結果、より小柄なユーザーによる装置の使用中に、過度のホースのたるみが起きるのを防止する。したがって、たるみが引き起こす苛立たしさ及び潜在的な危険は減少される。ホースが隣接した物体に不注意により引っ掛かるいかなる機会をも更に減少させるために、システム上に機械設備も備えることができ、この機械設備により使用中にホースを着用者の身体に密接に保持することができる。
【0036】
図4は、長さ調節可能なホース12’を提供する別の方法を示す。この実施形態では、結合材36を使用して、管15’がその自然拡大を達成するのを防止する。あるいは、管は自然にではなく、ユーザーによる軸方向の張力(又は引張り)に反応して軸方向に拡大する、成形された回旋状の管であり得る。結合材36は、管15’の側面に沿って一線に延びるビードの形態であってもよい。結合材は、管の側面の全長に沿って、又は、様々な大きさのユーザーに適応するために拡大するのに十分な距離の側面に沿って、延在してもよい。2本又はそれ以上のそのようなビード線が、管15’上に互いに対して180°で配置されてもよい。所望する場合、4本のビード線を互いに対して90°で使用することができる。望ましい長さのホース12’を達成するために、ホース15’は、一方の端部にて固定され、他方にて引張られてビード線36を破断することができる。ホース15’がその望ましい長さに延ばされたとき、ビード線36がそれ以上に破断されぬよう、ホースへの引張りを止めるべきである。延ばされたホースは、2つの部分、圧縮された第1部分35と延ばされた第2部分37とを有する。こうしてホース12’の望ましい長さが達成される。
【0037】
上で例示及び説明された調整機構に加え、本発明に関して他の手法が考慮される。ホース長は、例えば、1以上の次の技術を使用して調節され得る:(i)ホースを軸方向に引張ることによりひだを固定長まで延ばすことのできる、可撓性ドリンクストローにおけるような、成形された蛇腹形(concertina)又はひだ(米国特許第4,923,083号、第4,078,692号、及び第3,346,187号参照)(ii)例えば、管材料の内部構造体と係合するリブ状の外縁を介して、ホースの内部構造体を圧縮状態又は望ましい長さに保持する、内部摩擦による係合機構、(iii)(ワイヤの長さを変化させ、その結果、呼吸用ホースの長さを制御することにより)ホースの中央部を通って延びてホースの対向端部を共に接続する、長さ調節可能な内部ワイヤ、(iv)ユーザーに適合するように長さを修正するために、構造部材を滑動させることによって調節され得る(アンテナのような)入れ子式装置、及び(v)張力の下でハウジング内に格納された、反跳ホース(recoil hose)(そのホースは、望ましい長さまでハウジングから引き寄せられ得る)。加えて、可撓性ブレーシングアームを使用するブレース及び留め具構成体は、圧縮された可撓性ホースの一部分上に固着されてもよい。留め具は、ホースを特定のひだ(単数又は複数)で係合させ、ホースがブレースポイント間で延びるのを防ぐために、ブレースを適所に保持するであろう。
【0038】
図5は、面体18’と、ホース52と、清浄空気供給源又はタンク54とを包含する、SCBAシステム50を例示している。ホース52は、その第1端部44にて、面体18’に取り付けられた取付具58に取り付けられる。ホース52の第2端部は、タンク54に接続された取付具に固定される。タンク54には、SCBAの装着者が呼吸するための加圧された清浄空気の供給物が入っている。SCBAは、ストラップ62とベルト64とを包含するハーネス60を使用して、装着者の背中に支持され得る。面体18’は装着者の鼻、口、及び目を覆ってフィットするように適合され、面体18’を装着者の頭部上に支持するためのハーネス66を包含する。面体18’はまた、装着者が周囲の環境を見ることのできる窓68を有する。ホース52の長さは、上述の方法又はシステムのうちのいずれか1つを使用して調節され得る。
【0039】
上述の考察は、PAPR又はSCBAのいずれかによって供給される呼吸に適した清浄空気について説明しているが、澄んだ空気を低圧力又は高圧力システムのいずれかからユーザーに供給する空気レギュレータを通して、清浄空気をユーザーの面体又はヘッドトップに供給することも可能である。そのような装置において、ユーザーは典型的にはレギュレータをベルト上に装着し、上述のホースによってレギュレータと面体/ヘッドトップとの間の接続がなされている。レギュレータは、可撓性の長さ調節可能なホースを通してより低圧又は高圧のいずれかの供給物からその空気供給を受け、この場合、低圧は典型的には空気ポンプによってもたらされ、高圧は典型的には空気圧縮機によってもたらされる。既知のレギュレータ製品は、3Mによってフローストリーム(Flowstream)(商標)のブランドの下で市販されており、かかる製品は、レギュレータと面体/ヘッドトップとの間を接続するために大口径のホース(直径≧約3cm、典型的には約2〜5cm)を使用してきた。本発明の目的上、レギュレータ又は他の装置を通して清浄空気供給源に接続されたホースは、面体の方に向って清浄空気供給源「から延びる」ホースであると考えられる。
【0040】
過去に使用されてきたホースは、本質的に全ての大きさの人々に適応する固定長を有していた。この長さは、本明細書において、「従来のホース長」又は「CHL」と呼ばれる。本発明は、可変的な又は望ましいホース長「DHL」を提供することができ、これはCHL−「X」に等しく、式中、「X」は不必要なホース長の量であり、この不必要なホース長は、既知のシステムにおいて余分なたるみを作る可能性があった。従来のホース長は、典型的には約100センチメートル(cm)であった。このホース長は、身長約150〜190cmのユーザーに適応するために提供された。最も小柄なユーザーに関して、最小のDHLは約60cmであり、したがってX=40cmである。本発明の各ユーザーに関するDHLは、それ故、約100cm〜約60cmのCHLの間あたりにある。それ故、本発明のホースは、好ましくは長さ約60cmから長さ100cmまで調節可能である。
【0041】
上記の考察は、大部分において、ホース調節装置をホースそれ自体と関連し又は適合している機構として説明してきたが、しかし、この装置はまた、面体に関連させる又は適合させもよい。これは、ホースを面体内に進入させることのできる装置を有する面体を作ることによって達成され得る。そのような装置は、特に、フード又はヘッドトップ(ヘルメット)の形態の面体に適している可能性がある。同様に、調節機構は、清浄空気供給源に関連させる又は適合させることもできる。
【0042】
本発明は、その精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変形及び変更を加えられてもよい。従って、本発明は、上記に限定されるものではなく、請求項及びそのいずれかの同等物に記載の限定によってコントロールされる。
【0043】
本発明はまた、本明細書に具体的に開示されないいずれかの要素がない場合でも、好適に実施されることがある。
【0044】
上記の全ての特許及び特許出願は、背景技術部分のものを含め、全体的に参考として本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給気レスピレータであって、
(a) 該給気レスピレータのユーザによって携行されるように設計された清浄空気供給源と、
(b) 少なくとも該ユーザの鼻と口を覆ってフィットする大きさに作られた面体と、
(c) 長さを調節可能な可撓性の部材からなり、清浄空気を該ユーザに供給するために該清浄空気供給源から該面体に延びており、圧縮された所定の長さを有する第1部分と圧縮されていない長さを有する第2部分を有する長さ調節可能なホースと、
(d) 該ホースの第1部分を覆うとともに、該第1部分が該圧縮された所定の長さを有するように該第1部分を保持する第1スリーブと、
(e) 該ホースの第2部分を覆う第2スリーブとを有し、該ホースの全長が該第1スリーブと該第2スリーブによって覆われている給気レスピレータ。
【請求項2】
該ホースは第1端部、第2端部、該第1端部と第2端部の間に位置する中間位置を有し、該第1部分が該第1端部から該中間位置まで延びている請求項1の給気レスピレータ。
【請求項3】
該第1スリーブが第1端部と第2端部を有し、該第1スリーブの第1端部と第2端部が該ホースの第1端部と中間位置にそれぞれ固定されている請求項2の給気レスピレータ。
【請求項4】
該第2スリーブが第1端部と第2端部を有し、該第2スリーブの第2端部が該ホースの第2端部に固定されており、該第2スリーブの第1端部が該第1スリーブの外側で開放されている請求項3の給気レスピレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−66095(P2012−66095A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240831(P2011−240831)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【分割の表示】特願2008−506567(P2008−506567)の分割
【原出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】