説明

長尺シートの印刷が可能な画像形成装置

【課題】長尺シートにトナー像を転写することが可能な画像形成装置において、トナーの劣化に伴う画像欠陥の発生を防止する。
【解決手段】長尺シートS22に印刷処理を施すに際し、当該長尺シートS22が白紙領域P1を含んでいる場合に、その白紙領域P1の現像タイミングにおいて現像ローラーからトナーを回収する剥ぎ取り動作が行なわれる。剥ぎ取り動作は、現像ローラーと磁気ローラーとの間の電位差を調整することで実行される。印字領域G21、G22の現像タイミングにおいて、現像ローラーと磁気ローラーとの間の電位差は所定の第1電位差に設定され、白紙領域P1の現像タイミングにおいては、前記第1電位差よりも小さい第2電位差に設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートにトナー像を転写する画像形成装置に関し、特にA3サイズを超える長尺シートにトナー像を転写可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用した、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置は、像担持体(例えば、感光体ドラムや転写ベルト)上に形成された静電潜像に現像剤を供給して該静電潜像を現像することにより、像担持体上にトナー像を形成する。前記現像を行う方式の一つとして、非磁性体のトナーおよび磁性体のキャリアを含む二成分現像剤を用いたタッチダウン現像方式が知られている。このローラー、磁気ローラー上に二成分現像剤層(いわゆる磁気ブラシ層)が担持され、現像ローラー上に前記磁気ブラシ層からトナーを受け取ってトナー層が担持され、該トナー層から像ローラーにトナーが供給されることで前記静電潜像が可視化される。
【0003】
タッチダウン現像方式が採用された現像装置において、1枚のシートを印刷する度に、現像ローラーに与えるバイアスを変化させることで、現像ローラー上に一旦担持されたトナーを磁気ローラー上の磁気ブラシ層によって強制的に回収させる剥ぎ取り動作を実行させることが知られている。この剥ぎ取り動作の実行により、現像ローラー上に長時間トナーが滞留することに伴うトナーの劣化を抑止することができる(例えば特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−55837号公報
【特許文献2】特開2005−55840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画像形成装置には、A4やA3サイズのような定型シートへの印刷だけでなく、副走査方向のサイズが1000mm以上に至るような長尺シートへの印刷にも対応できるものがある。このような長尺シートでは、1枚のシート当たりの現像時間が長くなることから、現像ローラー上にトナー層が担持されている時間が長くなる。このため、シート間に前記剥ぎ取り動作を実行させるとしても、1枚の長尺シートの転写処理の間に現像ローラー上のトナーが過剰に帯電されてしまい、ベタ画像欠け等の転写不良(画像欠陥)が発生してしまうことがあった。
【0006】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたもので、長尺シートにトナー像を転写することが可能な画像形成装置において、トナーの劣化に伴う画像欠陥の発生を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、静電潜像及びシートに転写するトナー像を担持する像担持体と、トナーおよびキャリアを含む現像剤を貯留する現像ハウジングと、所定の方向に回転しつつ前記現像ハウジング内の現像剤を受け取って、現像剤層を担持する現像剤担持体と、前記現像剤層に接触した状態で回転しつつ、前記現像剤層からトナーを受け取ってトナー層を担持し、前記静電潜像の現像のために前記トナー層のトナーを前記像担持体に供給するトナー担持体と、前記トナー担持体に担持されたトナーを前記現像剤担持体へ強制的に戻す剥ぎ取り動作を行う剥離手段と、前記トナー像を転写されるシートが、定型シート又は該定型シートよりも副走査方向のサイズが長い長尺シートのいずれであるかを判別するシートサイズ判別手段と、各長尺シートについて、前記トナー像が形成される画像データに基づいて、トナー像が実質的に転写されない白紙領域が副走査方向に所定長さ以上存在するか否かを判定する判定手段と、前記剥ぎ取り動作を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記シートサイズ判別手段が、前記トナー像を転写されるシートが前記長尺シートであると判別した場合であって、前記判定手段が所定長さ以上の前記白紙領域が存在すると判定した場合に、前記像担持体に形成される前記白紙領域に対応する前記静電潜像の現像タイミングにおいて、前記剥離手段に前記剥ぎ取り動作を実行させる。
【0008】
この構成によれば、長尺シートがトナー像の転写対象とされ、且つ、当該長尺シートに所定長さ以上の白紙領域が存在する場合に、前記白紙領域に対応する静電潜像の現像タイミングにおいて、前記剥離手段が前記剥ぎ取り動作を実行する。すなわち、白紙領域の現像タイミングにおいては、トナー担持体から像担持体にトナーが供給されない。つまり、トナー担持体上にトナー層を維持させる必要がないので、当該タイミングにおいてトナー担持体上からトナーを剥ぎ取っても、画像形成に影響はない。そして、このような剥ぎ取り動作を行うことで、1枚の長尺シートの転写処理の間にトナー担持体上のトナーが過剰に帯電されてしまうことを防止できる。
【0009】
上記構成において、前記白紙領域の副走査方向の所定長さが、前記トナー担持体の1周分の周長であることが望ましい。
【0010】
この構成によれば、トナー担持体の周方向の全周に亘りトナーの剥ぎ取りを行わせることができる。従って、前記剥ぎ取り動作の実行により、トナー担持体全周面の良好なリフレッシュを行わせることができる。
【0011】
上記構成において、前記現像剤担持体及び前記トナー担持体の少なくとも一方にバイアスを印加して両者間に所定の電位差を形成するバイアス印加手段をさらに備え、
前記剥離手段は、前記バイアス印加手段を利用したものであり、前記制御手段は、前記バイアス印加手段を制御するものであって、前記制御手段は、前記長尺シートにトナー像が転写される印字領域に対応する前記静電潜像の現像タイミングにおいて、前記現像剤担持体と前記トナー担持体との間の電位差が所定の第1電位差となるよう前記バイアスを設定し、前記白紙領域に対応する前記静電潜像の現像タイミングにおいて、前記現像剤担持体と前記トナー担持体との間の電位差を、前記第1電位差に対して所定値だけ異ならせ、前記トナー担持体上のトナーを電気的な力で前記現像剤担持体に回収可能な第2電位差に設定することが望ましい。
【0012】
この構成によれば、前記印字領域の現像タイミングと前記白紙領域の現像タイミングとの間でバイアスを変化させるだけで、トナー担持体上へのトナー層の形成と、該トナー層からのトナーの引き剥がしとを実行させることが可能となる。
【0013】
この場合、1の長尺シートについて、前記判定手段が所定長さ以上の前記白紙領域が存在しないと判定した場合、前記制御手段は、前記長尺シートの転写処理の際、前記現像剤担持体と前記トナー担持体との間の電位差を、前記第1電位差よりも所定値だけ大きく、前記トナー担持体のトナー層をより厚く形成可能な第3電位差に設定することが望ましい。
【0014】
1の長尺シートについて前記白紙領域が存在しない場合、前記剥ぎ取り動作が実行されないことになるので、トナー担持体上のトナーが過剰に帯電される場合が起こり得る。この場合、像担持体へのトナーの移動が不十分となり、現像性が低下する場合がある。上記の構成によれば、前記白紙領域が存在しない場合に、前記電位差が、トナー層をより厚く形成可能な第3電位差に設定されるので、十分な現像性を確保することができる。
【0015】
上記構成において、前記制御手段は、第1シートに対する転写処理とこれに続く第2シートに対する転写処理との間のシート間においても、前記剥ぎ取り動作を実行させるものであって、前記制御手段は、前記第1シートが前記定型シートである場合、前記現像剤担持体と前記トナー担持体との間の電位差が所定の第4電位差となるよう前記バイアスを設定し、前記第1シートが前記長尺シートである場合、前記現像剤担持体と前記トナー担持体との間の電位差が前記第4電位差よりも小さい第5電位差となるよう前記バイアスを設定することが望ましい。
【0016】
この構成によれば、長尺シートに対する転写処理を終えたあとのシート間においては、前記現像剤担持体と前記トナー担持体との間の電位差が定型シートの場合よりも小さく設定されるので、前記現像剤担持体に向かう電気的な力によるトナーの引き剥がし力を強くすることができる。従って、長尺シートの転写処理においてトナー担持体上にトナーが比較的強固に担持されていても、前記強められた引き剥がし力によってトナーをトナー担持体上から良好に回収することができる。
【0017】
上記構成において、前記像担持体、前記現像ハウジング、前記現像剤担持体及びトナー担持体を各々有し、互いに異なる第1色及び第2色のトナー像を形成する第1画像形成ユニット及び第2画像形成ユニットを少なくとも備え、前記判定手段は、前記画像データにおいて前記第1色及び第2色の各々について前記白紙領域の判定を行い、前記制御手段は、第1画像形成ユニット及び第2画像形成ユニットの各々について独立して前記剥ぎ取り動作を実行させることが望ましい。
【0018】
この構成によれば、複数の画像形成ユニット毎に前記白紙領域の有無が判別され、各々独立して前記剥ぎ取り動作が実行される。従って、例えばフルカラーのトナー像を形成する画像形成装置において、各色の画像欠陥の発生を抑止できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、長尺シートにトナー像を転写することが可能な画像形成装置において、トナーの劣化に伴う画像欠陥の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】現像装置の垂直方向の断面図である。
【図3】現像装置の水平方向の断面図である。
【図4】現像装置の現像動作を説明するための模式図である。
【図5】現像ローラーからのトナーの剥ぎ取り動作を説明するための模式図である。
【図6】制御部の機能ブロック図である。
【図7】長尺シート及び定型シートを示す模式図である。
【図8】シートの連続印刷のパターンを示す模式図である。
【図9】定型シートの印刷処理時における現像バイアス波形の一例を示すタイムチャートである。
【図10】長尺シートの印刷処理時における現像バイアス波形の一例を示すタイムチャートである。
【図11】定型シート及び定型シートのシート間におけるバイアス波形の一例を示すタイムチャートである。
【図12】制御部によるバイアス設定動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す断面図である。ここでは、画像形成装置1として、プリンター機能と複写機能を備えた複合機を例示するが、画像形成装置は、プリンター、複写機、ファクシミリ装置であってもよい。
【0022】
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する装置本体10と、装置本体10上に配置される自動原稿給送装置20と、装置本体10の右側面10Rの下方に取り付けられた長尺シートの給紙用の外付けカセット70とを備える。装置本体10の内部には、複写する原稿画像を光学的に読み取る読取ユニット25と、シートにトナー像を形成する画像形成部30と、前記トナー像をシートに定着させる定着部60と、画像形成部30へ搬送される定型シートを貯留する給紙部40と、定型シート又は長尺シートを給紙部40又は外付けカセット70から画像形成部30及び定着部60を経由してシート排出口10Eまで搬送する搬送経路50と、この搬送経路50の一部を構成するシート搬送路を内部に有する搬送ユニット55とが収容されている。
【0023】
自動原稿給送装置(ADF)20は、装置本体10の上面に回動自在に取り付けられている。ADF20は、装置本体10における所定の原稿読取位置(第1コンタクトガラス241が組み付けられた位置)に向けて、複写される原稿シートを自動給送する。一方、ユーザーが手置きで原稿シートを所定の原稿読取位置(第2コンタクトガラス242の配置位置)に載置する場合は、ADF20は上方に開かれる。ADF20は、原稿シートが載置される原稿トレイ21と、自動原稿読取位置を経由して原稿シートを搬送する原稿搬送部22と、読取後の原稿シートが排出される原稿排出トレイ23とを含む。
【0024】
読取ユニット25は、装置本体10の上面のADF20から自動給送される原稿シートの読取用の第1コンタクトガラス241、又は手置きされる原稿シートの読取用の第2コンタクトガラス242を通して、原稿シートの画像を光学的に読み取る。読取ユニット25内には、光源、移動キャリッジ、反射ミラー等を含む走査機構と、撮像素子とが収容されている(図略)。走査機構は、原稿シートに光を照射し、その反射光を撮像素子に導く。撮像素子は、前記反射光をアナログ電気信号に光電変換する。前記アナログ電気信号は、A/D変換回路でデジタル電気信号に変換された後、画像形成部30に入力される。
【0025】
画像形成部30は、フルカラーのトナー画像を生成しこれをシート上に転写する処理を行うもので、タンデムに配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の各トナー像を形成する4つのユニット32Y、32M、32C、32Bkを含む画像形成ユニット32と、該画像形成ユニット32の上に隣接して配置された中間転写ユニット33と、中間転写ユニット33上に配置されたトナー補給部34とを含む。
【0026】
各画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkは、感光体ドラム321(像担持体)と、この感光体ドラム321の周囲に配置された、帯電器322、露光器323、現像装置324、一次転写ローラー325及びクリーニング装置326とを含む。
【0027】
感光体ドラム321は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。感光体ドラム321としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。帯電器322は、感光体ドラム321の表面を均一に帯電する。露光器323は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム321の周面に、原稿画像の画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。
【0028】
現像装置324は、感光体ドラム321上に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラム321の周面にトナーを供給する。現像装置324は、2成分現像剤用のものであり、スクリューフィーダー、磁気ローラー、及び現像ローラーを含む。この現像装置324の詳細については、後記で詳細に説明する。
【0029】
一次転写ローラー325は、中間転写ユニット33に備えられている中間転写ベルト331を挟んで感光体ドラム321とニップ部を形成し、感光体ドラム321上のトナー像を中間転写ベルト331上に一次転写する。クリーニング装置326は、クリーニングローラー等を有し、トナー像転写後の感光体ドラム321の周面を清掃する。
【0030】
中間転写ユニット33は、中間転写ベルト331、駆動ローラー332及び従動ローラー333を備える。中間転写ベルト331は、駆動ローラー332及び従動ローラー333に架け渡された無端ベルトであって、該中間転写ベルト331の外周面には、複数の感光体ドラム321からトナー像が、同一箇所に重ねて転写される(一次転写)。
【0031】
駆動ローラー332の周面に対向して、二次転写ローラー35が配置されている。駆動ローラー332と二次転写ローラー35とのニップ部は、中間転写ベルト331に重ね塗りされたフルカラーのトナー像をシートに転写する二次転写部35Aとなる。駆動ローラー332又は二次転写ローラー35のいずれか一方のローラーに、トナー像と逆極性の二次転写バイアス電位が印加され、他方のローラーは接地される。
【0032】
トナー補給部34は、イエロー用トナーコンテナ34Y、マゼンタ用トナーコンテナ34M、シアン用トナーコンテナ34C、及びブラック用トナーコンテナ34Bkを含む。これらトナーコンテナ34Y、34C、34M、34Bkは、それぞれ各色のトナーを貯留するものであり、YMCBk各色に対応する画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkの現像装置324に、図略の供給経路を通して各色のトナーを供給する。各トナーコンテナ34Y、34C、34M、34Bkには、当該コンテナ内のトナーを図略のトナー排出口へ搬送する搬送スクリュー341が備えられている。この搬送スクリュー341が駆動部962(図6)にて回転駆動されることで、現像装置324内へトナーが補給される。
【0033】
給紙部40は、画像形成処理が施されるシートのうち、定型シートS1を収容する2段の給紙カセット40A、40Bを備える。これら給紙カセット40A、40Bは、装置本体10の前方から手前方向に引出可能である。本明細書において「定型シート」とは、例えばISO216で画定されているA列、B列に従ったサイズであって、一般の画像形成装置において汎用されているサイズのシートを指す。例えば、A3、A4、A5、B4、B5サイズ等のシートが、定型シートS1である。勿論、サイズスタンダードはISO216以外の規格に従ったものでも良く、例えばANSI、LDR、LGL、Folio、Quarto、Letter、EXEC、STMTなどの規格に基づいた定型シートであっても良い。
【0034】
給紙カセット40A(40B)は、定型シートS1が積層されてなるシート束を収納するシート収容部41と、前記シート束を給紙のためにリフトアップするリフト板42とを備える。給紙カセット40A(40B)の右端側の上部には、ピックアップローラー43と、給紙ローラー44とリタードローラー45とのローラー対とが配置されている。ピックアップローラー43及び給紙ローラー44の駆動により、給紙カセット40A内のシート束の最上層のシートS1が1枚ずつ繰り出され、搬送経路50の上流端へ搬入される。
【0035】
装置本体10の右側面10Rには、手差し給紙用の給紙トレイ46が設けられている。給紙トレイ46は、その下端部において装置本体10に対して開閉自在に取り付けられている。ユーザーは、手差し給紙を行う場合、図示の通り給紙トレイ46を開き、その上にシートを載置する。給紙トレイ46に載置されたシートは、ピックアップローラー461及び給紙ローラー462の駆動によって、搬送経路50へ搬入される。但し、本実施形態では、この給紙トレイ46が、長尺シートS2の給紙用のトレイとして活用されている例を示している。
【0036】
外付けカセット70は、長尺シートS2の給紙のためオプションで装置本体10に取り付けられる給紙カセットである。外付けカセット70は、給紙口711を有するハウジング71を備える。ハウジング71内には、長尺シートの巻回体からなるロール紙72が収容されている。ロール紙72の巻芯は回転軸721に挿通されており、回転軸721が駆動されることで、ロール紙72から長尺シートS2が繰り出される。長尺シートS2は、折り返し従動ローラー73を介して、送り出しローラー対74によって給紙口711から給紙トレイ46上に送り出される。
【0037】
ユーザーは、長尺シートS2の給紙を行わせる場合、先ず給紙トレイ46を開き、ロール紙72から長尺シートS2を所定長だけ繰り出させて、そのシート先端をピックアップローラー461とその直下に配置された図略の摩擦パッドとの間にニップさせる。以下は上記の手差し給紙と同様に、長尺シートS2は、ピックアップローラー461及び給紙ローラー462の駆動によって、搬送経路50へ搬入される。給紙ローラー462の近傍には、長尺シートS2を所定の長さで切断するカッター463が配置されている。カッター463としては、裁断刃が搭載された移動体をシートの幅方向に走行させる構成のものを採用することができる。
【0038】
本明細書において「長尺シート」とは、定型シートよりも副走査方向のサイズが長尺であるシートを指し、本実施形態ではA3サイズ又はこれと同等のシートよりも副走査方向のサイズが長尺であるシートを言う。長尺シートの副走査方向のサイズは、例えば500mm〜1500mm程度である。
【0039】
搬送経路50は、給紙部40から画像形成部30を経由して定着部60の出口までシート(定型シートS1又は長尺シートS2)を搬送する主搬送路50Aと、シートに対して両面印刷を行う場合に片面印刷されたシートを画像形成部30に戻すための反転搬送路50Bと、主搬送路50Aの下流端から反転搬送路50Bの上流端へシートを向かわせるためのスイッチバック搬送路50Cと、主搬送路50Aの下流端から装置本体10の左側面10Lに設けられたシート排出口10Eまでシートを水平方向に搬送する水平搬送路50Dとを含む。この水平搬送路50Dの大半は、搬送ユニット55の内部に備えられているシート搬送路で構成されている。
【0040】
主搬送路50Aの、二次転写部35Aよりも上流側には、レジストローラー対51が配置されている。シートは、停止状態のレジストローラー対51にて一旦停止され、スキュー矯正が行われる。その後、画像転写のための所定のタイミングで、レジストローラー対51が駆動モーター(図略)で回転駆動されることで、シートは二次転写部35Aに送り出される。この他、主搬送路50Aには、シートを搬送するための搬送ローラー52が複数配置されている。他の搬送路50B、50C、50Dも同様である。
【0041】
搬送経路50の最下流端には、排紙ローラー53が配置されている。排紙ローラー53は、装置本体10の左側面10Lに配置される図略の後処理装置に、シート排出口10Eを通してシートを送り込む。なお、後処理装置が取り付けられない画像形成装置では、シート排出口10Eの下方にシート排出トレイが設けられる。
【0042】
搬送ユニット55は、定着部60から搬出されるシートを、シート排出口10Eまで搬送するユニットである。本実施形態の画像形成装置1は、定着部60が装置本体10の右側面10R側に配置され、シート排出口10Eは、右側面10Rと対向する装置本体10の左側面10L側に配置されている。従って、搬送ユニット55は、装置本体10の右側面10Rから左側面10Lに向けて、シートを水平方向に搬送する。
【0043】
定着部60は、シートにトナー像を定着させる定着処理を施す誘導加熱方式の定着装置であって、加熱ローラー61、定着ローラー62、加圧ローラー63、定着ベルト64及び誘導加熱ユニット65を含む。定着ローラー62に対して加圧ローラー63が圧接され、定着ニップ部が形成されている。加熱ローラー61及び定着ベルト64は誘導加熱ユニット65によって誘導加熱され、その熱を前記定着ニップ部に与える。シートが定着ニップ部を通過することで、シートに転写されたトナー像が当該シートに定着される。
【0044】
続いて、現像装置324について詳細に説明する。図2は、現像装置324の内部構造を概略的に示す垂直方向の断面図、図3は、現像装置324の水平方向の断面図である。現像装置324は、該現像装置324の内部空間を画定する現像ハウジング80を含む。この現像ハウジング80には、非磁性体のトナーおよび磁性体のキャリアを含む現像剤を貯留するキャビティであって、現像剤を攪拌しつつ搬送することが可能とされた現像剤貯留部81が備えられている。また、現像ハウジング80の内部には、現像剤貯留部81の上方に配置された磁気ローラー82(現像剤担持体)と、磁気ローラー82の斜め上方位置で磁気ローラー82に対向配置された現像ローラー83(トナー担持体)と、磁気ローラー82に対向配置された現像剤規制ブレード84とを含む。
【0045】
現像剤貯留部81は、現像装置324の長手方向に延びる2つの隣り合う現像剤貯留室81a,81bを含む。現像剤貯留室81a,81bは、現像ハウジング80に一体に形成され長手方向に延びる仕切り板801によって互いに仕切られているが、図3に示すように、長手方向における両端部において連通路803、804によって互いに連通されている。各現像剤貯留室81a,81bには、軸回りに回転することにより現像剤を攪拌及び搬送するスクリューフィーダー85,86が収容されている。スクリューフィーダー85,86は、図略の駆動機構により回転駆動されるが、その回転方向が互いに逆方向に設定されている。これにより現像剤は、図3に矢印で示すように、現像剤貯留室81aおよび現像剤貯留室81b間を攪拌されつつ循環搬送される。この攪拌により、トナーとキャリアとが混合され、トナーが例えばマイナスに帯電される。
【0046】
磁気ローラー82は、現像装置324の長手方向に沿って配設されており、図2では時計方向に回転可能である。磁気ローラー82の内部には、固定式の所謂磁石ロール(図示せず)が配置されている。磁石ロールは複数の磁極を有しており、本実施形態では汲上極821、規制極822及び主極823を有する。汲上極821は現像剤貯留部81に対向し、規制極822は現像剤規制ブレード84に対向し、主極823は現像ローラー83に対向している。
【0047】
磁気ローラー82は、汲上極821の磁力によって現像剤貯留部81から現像剤をその周面82A上に磁気的に汲み上げる(受け取る)。汲み上げられた現像剤は、磁気ローラー82の周面82A上に磁気的に現像剤層(磁気ブラシ層)として保持され、磁気ローラー82の回転に伴って現像剤規制ブレード84に向けて搬送される。
【0048】
現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の回転方向から見て現像ローラー83よりも上流側に配置され、磁気ローラー82の周面82Aに磁気的に付着した現像剤層の層厚を規制する。現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の長手方向に沿って延びる磁性材料からなる板部材であり、現像ハウジング80の適所に固定された所定の支持部材841によって支持されている。また、現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の周面82Aとの間で所定の寸法の規制ギャップGを形成する規制面842(つまり現像剤規制ブレード84の先端面)を有する。
【0049】
磁性材料から形成された現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の規制極822によって磁化されて、現像剤規制ブレード84の規制面842と規制極822との間に、つまり規制ギャップGにおいて磁路が形成される。汲上極821によって磁気ローラー82の周面82A上に付着した現像剤層が、磁気ローラー82の回転に伴って規制ギャップG内に搬送されると、現像剤層の層厚は規制ギャップGにおいて規制される。これにより、周面82A上には所定厚さの均一な現像剤層が形成される。
【0050】
現像ローラー83は、現像装置324の長手方向に沿って、且つ、磁気ローラー82に対して平行に延びるように配設されており、図2では時計方向に回転可能である。現像ローラー83は、磁気ローラー82の周面82A上に保持された現像剤層に接触した状態で回転しつつ、前記現像剤層からトナーを受け取ってトナー層を担持する周面83Aを有する。現像動作が行なわれる現像時には、前記トナー層のトナーが感光体ドラム321の周面に供給される。
【0051】
現像ローラー83および磁気ローラー82は、駆動源Mによって回転駆動される。現像ローラー83の周面83Aと磁気ローラー82の周面82Aとの間には、所定の寸法の隙間Sが形成されている。隙間Sは例えば約130μmに設定されている。現像ローラー83は、現像ハウジング80に形成された開口を通して感光体ドラム321に臨むように配置され、周面83Aと感光体ドラム321の周面との間にも所定の寸法の隙間が形成されている。
【0052】
図3に示すように、現像ハウジング80には、当該現像ハウジング80内におけるトナーの濃度を計測するトナー濃度センサ87が配置されている。トナー濃度センサ87は、例えば、透磁率を計測する透磁率センサを備えて構成され、トナー濃度に応じて変化する透磁率に応じた電圧を出力する。トナー濃度センサ87の出力は、例えば10ビットで表され、0〜1023の値で示される。本実施形態では、トナーが非磁性体であるので、トナー濃度が低くなると出力ビットが高くなり、逆にトナー濃度が高くなると出力ビットが低くなる。トナー濃度センサ87の出力は、制御部90(図6)に与えられる。
【0053】
次に、図4を参照して、現像装置324のバイアス印加のための構成及び現像動作について説明する。現像装置324は、現像動作を制御するために、第1印加部88と、第2印加部89と、第1印加部88および第2印加部89(剥離手段/バイアス印加手段)を制御する制御部90(制御手段)とをさらに含む。同図に示すように、第1印加部88は、直列に接続された直流電圧源881と交流電圧源882とを有し、磁気ローラー82に接続されている。直流電圧源881から出力された直流バイアスに交流電圧源882から出力された交流バイアスが重畳された電圧が磁気ローラー82に印加される。第2印加部89は、直列に接続された直流電圧源891と交流電圧源892とを有し、現像ローラー83に接続されている。直流電圧源891から出力された直流バイアスに交流電圧源892から出力された交流バイアスが重畳された電圧が、現像ローラー83に印加される。
【0054】
磁気ローラー82および現像ローラー83に印加される直流バイアスおよび交流バイアスは、現像装置324が感光体ドラム321の周面上にトナーを供給する(静電潜像を現像する)現像時、1枚のシートに対する画像形成処理を終え次のシートに画像形成処理を施し始めるまでのシート間で変更される。本実施形態ではさらに、トナー像が転写されるシートが長尺シートである場合において、トナー像が形成される画像データが所定の白紙画像領域を含んでいるとき、或いは含んでいないときに、定型シートに対する現像バイアスとは異なる現像バイアスが印加されるよう、第1印加部88および第2印加部89が制御される。この点については、後記で詳述する。
【0055】
感光体ドラム321上の静電潜像の現像メカニズムを説明する。磁気ローラー82の周面82A上の磁気ブラシ層は、現像剤規制ブレード84によって層厚が均一に規制された後、磁気ローラー82の回転に伴って現像ローラー83に向けて搬送される。その後、隙間S(図2)の領域において、磁気ブラシ層中の多数の磁気ブラシDBが、回転中の現像ローラー83の周面83Aに接触する。
【0056】
このとき、制御部90は、第1印加部88および第2印加部89を制御して所定の直流バイアスおよび交流バイアスを磁気ローラー82および現像ローラー83のそれぞれに印加する。これにより、磁気ローラー82の周面82Aと現像ローラー83の周面83Aとの間に所定の電位差が生じる。この電位差により、周面82Aと周面83Aとの対向位置において(主極823(図2)と周面83Aとの対向位置において)、磁気ブラシDBからトナーTのみが周面83Aに移動し、磁気ブラシDBのキャリアCは周面82A上に残る。これにより、現像ローラー83の周面83A上に所定厚さのトナー層TLが担持される。
【0057】
周面83A上のトナー層TLは、現像ローラー83の回転に伴って感光体ドラム321の周面に向けて搬送される。感光体ドラム321にも、直流電圧と交流電圧との重畳電圧が印加されているので、感光体ドラム321の周面と現像ローラー83の周面83Aとの間には所定の電位差が生じている。この電位差により、トナー層TLのトナーTが感光体ドラム321の周面に移動する(トナーの供給)。これにより、感光体ドラム321の周面上の静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
【0058】
図5は、現像ローラー83から磁気ローラー82側へのトナーの剥ぎ取り動作を説明するための模式図である。この剥ぎ取り動作は、従来の画像形成装置ではシート間に実行されているが、本実施形態では長尺シート用の画像データに、トナー像が実質的に転写されない白紙領域が副走査方向に所定長さ以上存在する場合に、その白紙領域に対応する静電潜像の現像タイミングにおいても実行される。
【0059】
実際の現像動作では、トナー層TL中のトナーTのうち、感光体ドラム321に移動せず周面83A上に残留する残留トナーRTが発生する。残留トナーRTは、現像ローラー83の回転に伴って周面83Aと磁気ローラー82の周面82Aとの対向位置に搬送されたとき、磁気ブラシDBによる掻き取り力と両ローラー82、83間の電気的な力とによって回収される。回収した残留トナーRTを有する磁気ブラシDBは、磁気ローラー82の回転に伴って主極823よりも下流側に搬送されると、前記磁石ロールの剥離極(図示せず)の磁力によって周面82Aから剥離し、現像剤貯留部81(図2)に戻される。
【0060】
なお、上記の剥ぎ取り動作は、磁気ローラー82と現像ローラー83との間の電位差を小さくすることにより促進される。本実施形態では、シート間及び前記白紙領域の現像時において前記電位差を一時的に小さくすることで、現像ローラー83から残留トナーRTを強制的に引き剥がし、周面83Aがリフレッシュされる。特に、長尺シートS2に対する現像動作の実行後は、トナーが過剰に帯電して劣化する傾向があるので、前記電位差をより小さくして前記リフレッシュを行うことが望ましい。
【0061】
続いて、画像形成装置1の電気的構成について説明する。画像形成装置1は、当該画像形成装置1の各部の動作を統括的に制御する制御部90を備える。図6は、制御部90の機能ブロック図である。制御部90は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。また、画像形成装置1は、図1〜図5で説明した構成に加えて、操作部961、駆動部962、画像メモリー963及びI/F(インターフェイス)964を備える。
【0062】
操作部961は、液晶タッチパネル、テンキー、スタートキー及び設定キーなどを備え、画像形成装置1に対するユーザーの操作や各種の設定を受け付ける。例えば画像形成処理を行わせるシートの選択操作も、この操作部961において受け付けられる。
【0063】
駆動部962は、モーター及びそのトルクを伝達するギア機構からなり、トナーコンテナ34Y、34C、34M、34Bkに備えられている搬送スクリュー341を回転駆動させる。駆動部962は、トナーコンテナ34Y、34C、34M、34Bkから各々に対応して配置されている現像装置324へトナーを補給する際に、搬送スクリュー341を回転駆動する。
【0064】
画像メモリー963は、当該画像形成装置1がプリンターとして機能する場合に、例えばパーソナルコンピューターなどの外部機器から与えられる印刷用画像データを一時的に記憶する。また、画像形成装置1が複写機として機能する場合には、ADF20により光学的に読み取られた画像データを一時的に記憶する。
【0065】
I/F964は、外部機器とのデータ通信を実現させるためのインターフェイス回路であり、例えば画像形成装置1と外部機器とを接続するネットワークの通信プロトコルに従った通信信号を作成すると共に、ネットワーク側からの通信信号を画像形成装置1が処理可能な形式のデータに変換する。パーソナルコンピューター等から送信される印刷指示信号はI/F964を介して制御部90に与えられ、また画像データは、I/F964を介して画像メモリー963に記憶される。
【0066】
制御部90は、前記CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、シートサイズ判別部91(シートサイズ判別手段)、白紙領域判定部92(判定手段)、タイミング設定部93、バイアス制御部94(制御手段)及び電位差記憶部95を備えるように機能する。
【0067】
シートサイズ判別部91は、トナー像を転写されるシートのサイズを判別する。この判別のため、シートサイズ判別部91は、画像メモリー963に格納された画像データを参照し、その副走査方向のデータ幅等に基づきシートのサイズを判定する。このシートサイズ判別部91によって、印刷対象とされるシートが、図7(A)、(B)に示す長尺シートS2(S21、S22)であるか、或いは図7(C)に示す定型シートS1であるかの判別が為される。勿論、定型シートS1である場合は、その定型シートサイズの判別も行われる。また、長尺シートS2である場合は、その副走査方向の長さ情報が特定される。前記長さ情報は、長尺シートS2の外付けカセットからの繰り出し量の制御、及びカッター463の動作制御に用いられる。
【0068】
白紙領域判定部92は、少なくともシートサイズ判別部91によって長尺シートS2への印刷用と判定された画像データについて、トナー像が実質的に転写されない白紙領域が副走査方向に所定長さ以上存在するか否かを判定する。長尺シートS2へ形成される画像は、しばしば多くの白紙領域を含む。例えば、文字だけを含む横断幕のような画像が形成される場合、その文字間に比較的大きい面積の白紙領域が形成される場合がある。この白紙領域の現像タイミングにおいては、トナーは感光体ドラム321には供給されず、現像ローラー83の周面83Aに担持された状態が維持されてしまう。上述のシート間でのトナーの引き剥がしタイミングを待っていたのでは、トナー層の周面83A上での滞留時間が長くなり、当該トナーが劣化してしまう。また、長尺シートに「白紙領域」を形成せねばならないので、感光体ドラム321側へ前記トナー層のトナーを吐き出させることもできない。そこで、本実施形態においては、白紙領域の現像タイミングに、現像ローラー83上のトナーを磁気ローラー82側へ強制的に戻す剥ぎ取り動作を実行させる。白紙領域判定部92は、前記剥ぎ取り動作が実行可能か否かを判別するために、画像データ中における白紙領域の有無を判定するものである。
【0069】
白紙領域の検知方法としては、例えば、前記画像データを副走査方向に所定幅(例えば10mm程度)に区画し、各区画において有効画素(白以外と判定される画素)の画素数が実質的にゼロであるか否かに基づき白紙区画であるか否かを評価する手法を採用することができる。さらに、白紙区画の副走査方向への連続性に基づき、所定長さの白紙領域が存在しているか否かを判定することができる。この白紙領域の副走査方向の所定長さは、現像ローラー83の1周分の周長であることが望ましい。この場合、現像ローラー83の周面83Aの全周に亘りトナーの剥ぎ取りを行わせることができ、良好なリフレッシュを行わせることができる。
【0070】
図7(A)に示す長尺シートS21は、副走査方向に途切れのないトナー像G2が形成される例を示している。この場合、白紙領域判定部92は、「白紙領域が存在しない」旨の判定信号をバイアス制御部94へ出力する。一方、図7(B)に示す長尺シートS22は、副走査方向に互いに離間したトナー像G21、G22(印字領域)が形成される例を示している。この場合、白紙領域判定部92は、「白紙領域が存在する」旨の判定信号をバイアス制御部94へ出力すると共に、タイミング設定部93へトナー像G21、G22間の白紙領域P1の幅を特定可能な画像データ上の座標情報を出力する。図7(C)は、トナー像G1が転写される定型シートS1を示している。このような定型シートS1に対しては、白紙領域判定部92は白紙領域の有無判定を行わない。これは、定型シートS1は副走査方向の幅が短いため、一般にシート間で実行される剥ぎ取り動作で現像ローラー83のリフレッシュが可能だからである。勿論、定型シートS1も白紙領域の有無を判定する対象としても良い。
【0071】
タイミング設定部93は、白紙領域判定部92から与えられる白紙領域P1の画像データ上における座標情報に基づき、現像バイアスの変更タイミングを演算により求め、そのタイミング情報をバイアス制御部94へ出力する。すなわち、タイミング設定部93は、白紙領域P1の座標情報を感光体ドラム321上における白紙領域P1の開始及び終了のタイミング情報に置換し、現像バイアス制御を連携させる。
【0072】
バイアス制御部94は、第1印加部88及び第2印加部89が磁気ローラー82及び現像ローラー83に与えるバイアスを制御することで、現像装置324による現像動作やトナーの剥ぎ取り動作を制御する。バイアス制御部94は、画像データが定型シートS1用又は長尺シートS2用であるか、長尺シートS2用である場合に白紙領域を含んでいるか否かによって、磁気ローラー82と現像ローラー83との電位差を変化させる。
【0073】
電位差記憶部95は、種々の条件下においてバイアス制御部94が設定する現像動作時のバイアス及び剥ぎ取り動作時のバイアス、並びに磁気ローラー82と現像ローラー83との電位差の設定値を記憶する。以下、電位差記憶部95に記憶されるバイアス及び電位差の設定値を例示する。
【0074】
図8は、シートの連続印刷のパターンを示す模式図であり、図8(A)は複数枚の定型シートS1(S11、S12、S13)が連続印刷される例、図8(B)は2枚の長尺シートS2(S21、S22)を連続印刷した後に定型シートS1が印刷される例、図8(C)は定型シートS1が印刷された後に2枚の長尺シートS2(S21、S23)が印刷される例をそれぞれ示している。
【0075】
図9は、図8(A)の如く、定型シートS11、S12、S13が連続印刷される場合におけるバイアス波形を示し、図9(A)は、各シートに対する現像タイミングにおいて印加される現像バイアス波形(現像ローラー83側から見た磁気ローラー82のバイアス波形)を、図9(B)は、各シートのシート間において現像ローラー83上の残留トナーを磁気ローラー82へ回収させる際に印加される剥ぎ取りバイアス波形をそれぞれ示している。図9に示す通り、バイアス制御部94は、現像時における磁気ローラー82と現像ローラー83との間の電位差E1より、剥ぎ取り時(シート間)の電位差E2の方を小さく設定する。
【0076】
バイアス制御部94が、現像時において第1印加部88及び第2印加部89を通して磁気ローラー82及び現像ローラー83に印加させる現像バイアスBa1の一例は次の通りである。
磁気ローラー82の直流バイアスVmag_dc;350V
現像ローラー83の直流バイアスVslv_dc;50V
磁気ローラー82の交流バイアスVmag_ac;2500V(4.7kHz)
現像ローラー83の交流バイアスVslv_ac;1500V(4.7kHz)
感光体ドラム321−現像ローラー83間のバイアスのDuty比;43%
現像ローラー83−磁気ローラー82のバイアスのDuty比;70%
【0077】
一方、バイアス制御部94が、シート間においてトナーの剥ぎ取りのために設定する剥ぎ取りバイアスBa2の一例は、次の通りである。なお、交流バイアスVmag_ac、Vslv_ac及びDuty比は上記と同じである。
磁気ローラー82の直流バイアスVmag_dc;150V
現像ローラー83の直流バイアスVslv_dc;50V
【0078】
上記の通り、シート間において、現像バイアスBa1の電位差E1に対して所定値だけ異ならせた(電位差を小さくした)電位差E2が設定される。これにより、磁気ローラー82上の磁気ブラシDBで現像ローラー83の周面83Aから引き剥がされたトナーは、電気的な力で磁気ローラー82へ回収されるようになる。図8(A)の如く、定型シートS11、S12、S13が連続印刷される場合、バイアス制御部94は、定型シートS11の現像タイミングにおいて、上記現像バイアスBa1(図9(A)のバイアス波形)を磁気ローラー82及び現像ローラー83に印加させる。定型シートS12、S13の現像タイミングにおいても同様である。その間のシート間D11、D12においては、バイアス制御部94は、上記剥ぎ取りバイアスBa2(図9(B)のバイアス波形)を磁気ローラー82及び現像ローラー83に印加させる。
【0079】
図10は、長尺シートが連続印刷される場合におけるバイアス波形を示し、図10(A)は、各長尺シートの印字領域(図7(B)に例示するトナー像G21、G22の形成領域)に対する現像タイミングにおいて印加される第1現像バイアスBb1の波形(現像ローラー83側から見た磁気ローラー82のバイアス波形)を示す。図10(B)は、1枚の長尺シート内における白紙領域(図7(B)に例示する白紙領域P1)の現像タイミング、若しくは長尺シートの印刷処理後のシート間において、現像ローラー83上の残留トナーを磁気ローラー82へ回収させる際に印加される剥ぎ取りバイアスBcの波形を示す。図10(C)は、白紙領域を含まない長尺シートの現像タイミングにおいて印加される第2現像バイアスBb2の波形を示す。
【0080】
バイアス制御部94は、白紙領域を含む1枚の長尺シートに対する印刷処理中において、磁気ローラー82と現像ローラー83との間の電位差を変化させ、前記白紙領域に対応する静電潜像の現像タイミングにおいて、磁気ローラー82からトナーを回収する前記剥ぎ取り動作を実行させる。すなわち、バイアス制御部94は、印字領域の現像タイミングで印加する第1現像バイアスBb1における磁気ローラー82と現像ローラー83との間の電位差E1(第1電位差)より小さい電位差E2(第2電位差)を有するバイアスを、白紙領域の現像タイミングで剥ぎ取りバイアスBcとして印加する。上記電位差E2は、長尺シートの印刷処理後のシート間において設定される電位差と同じである。
【0081】
一方、バイアス制御部94は、長尺シートが白紙領域を含まないと判定された場合には、当該長尺シートに対する現像タイミングにおいて、磁気ローラー82と現像ローラー83との間の電位差が、前記電位差E1よりも所定値だけ大きく、現像ローラー83の周面83Aにトナー層をより厚く形成可能な電位差E3(第3電位差)である第2現像バイアスBb2を印加するよう制御する。
【0082】
かかる制御は、現像性の低下を予防するために実行される。すなわち、1の長尺シートについて白紙領域が存在しない場合、前記剥ぎ取り動作が実行されないことになるので、現像ローラー83上のトナーが過剰に帯電される場合が起こり得る。この場合、感光体ドラム321へのトナーの移動が不十分となり、現像性が低下する場合がある。そこで、前記電位差を、現像ローラー83上にトナー層をより厚く形成可能な第3電位差に設定することで、トナーの供給可能量を増加して現像性の低下を抑止するものである。
【0083】
バイアス制御部94が、白紙領域を含む長尺シートの現像時において、印字領域の現像タイミングで第1印加部88及び第2印加部89を通して磁気ローラー82及び現像ローラー83に印加させる第1現像バイアスBb1の一例は次の通りである。本実施形態では、定型シートの現像タイミングに印加される現像バイアスBa1と同じである。
磁気ローラー82の直流バイアスVmag_dc;350V
現像ローラー83の直流バイアスVslv_dc;50V
磁気ローラー82の交流バイアスVmag_ac;2500V(4.7kHz)
現像ローラー83の交流バイアスVslv_ac;1500V(4.7kHz)
感光体ドラム321−現像ローラー83間のバイアスのDuty比;43%
現像ローラー83−磁気ローラー82のバイアスのDuty比;70%
【0084】
一方、バイアス制御部94が、前記白紙領域の現像タイミング、若しくは、長尺シートの印刷処理後のシート間においてトナーの剥ぎ取りのために設定する剥ぎ取りバイアスBcの一例は、次の通りである。なお、交流バイアスVmag_ac、Vslv_ac及びDuty比は、上記第1現像バイアスBb1と同じである。
磁気ローラー82の直流バイアスVmag_dc;150V
現像ローラー83の直流バイアスVslv_dc;50V
【0085】
また、バイアス制御部94が、白紙領域が存在しない長尺シートの現像タイミングで印加させる第2現像バイアスBb2の一例は、次の通りである。なお、交流バイアスVmag_ac、Vslv_ac及びDuty比は、上記第1現像バイアスBb1と同じである。
磁気ローラー82の直流バイアスVmag_dc;400V
現像ローラー83の直流バイアスVslv_dc;50V
【0086】
ここで、バイアス制御部94によるバイアス設定の具体例を、図8(B)及び(C)に示した印刷例に基づいて説明する。図8(B)の例においては、白紙領域P1を含む長尺シートS22が最初の印刷対象となる。バイアス制御部94は、長尺シートS22の印字領域G21、G22については第1現像バイアスBb1を、白紙領域P1については剥ぎ取りバイアスBcを印加させる。長尺シートS22の印刷処理後のシート間D21においては、前記剥ぎ取りバイアスBcが印加される。
【0087】
次に印刷対象とされる長尺シートS21は、白紙領域を含まない長尺シートである。この場合、バイアス制御部94は、長尺シートS21の印字領域G2の現像タイミングにおいて第2現像バイアスBb2を印加させる。この長尺シートS22の印刷処理後のシート間D22においては、前記剥ぎ取りバイアスBcが印加される。続いて印刷対象とされるシートは、定型シートS1である。このため、バイアス制御部94は、定型シートS1の現像タイミングにおいて上記現像バイアスBa1(第1現像バイアスBb1と同じ)を印加させるものである。
【0088】
次に、図8(C)の例においては、定型シートS1が最初の印刷対象となる。従って、バイアス制御部94は、定型シートS1の現像タイミングにおいて上記現像バイアスBa1を印加させる。これに続くシート間D23では、上記剥ぎ取りバイアスBa2(剥ぎ取りバイアスBcと同じ)が印加される。
【0089】
引き続いて印刷対象とされるシートは、白紙領域を含まない長尺シートS21である。従って、バイアス制御部94は、長尺シートS21の印字領域G2の現像タイミングにおいて第2現像バイアスBb2を印加させる。これに続くシート間D24においては、前記剥ぎ取りバイアスBcが印加される。続いて、3つの印字領域G23、G24、G25と、これら領域間の2つの白紙領域P21、P22とを含む長尺シートS23が印刷対象とされる。この場合、バイアス制御部94は、前記印字領域G23、G24、G25の現像タイミングにおいては第1現像バイアスBb1を、白紙領域P21、P22については剥ぎ取りバイアスBcをそれぞれ印加させるものである。
【0090】
ここで、シート間において印加される剥ぎ取りバイアスの好ましい変形例について説明する。上述した通り、長尺シートの印刷処理が実行されると、現像ローラー83上のトナーが劣化し、現像性に悪影響を及ぼす可能性がある。上記の例では、白紙領域を含まない長尺シートS21の印刷処理後に、劣化したトナーが現像ローラー83に残存している可能性が高いと言える。白紙領域を含む長尺シートS22、S23では印刷処理中に剥ぎ取り動作が行われるが、白紙領域が比較的少ない場合は、同様に劣化したトナーが現像ローラー83に残存し得る。従って、これら長尺シートの印刷処理後のシート間において、現像ローラー83からトナーを確実に剥ぎ取り、周面83Aを確実にリフレッシュしておくことが望ましい。
【0091】
図11は、シート間において印加される剥ぎ取りバイアスの変形例を示すもので、図11(A)は、定型シートに対する印刷処理が為された後のシート間において印加される第1剥ぎ取りバイアスBc1を、図11(B)は、長尺シートに対する印刷処理が為された後のシート間において印加される第2剥ぎ取りバイアスBc2をそれぞれ示している。第1剥ぎ取りバイアスBc1において設定される磁気ローラー82と現像ローラー83との間の電位差E4(第4電位差)に対して、第2剥ぎ取りバイアスBc2において設定される電位差E5(第5電位差)の方が小さい値とされる。
【0092】
このように剥ぎ取りバイアスを変更すれば、長尺シートに対する転写処理を終えた後のシート間においては、磁気ローラー82に向かう電気的な力によるトナーの引き剥がし力を強くすることができる。従って、長尺シートの印刷処理において現像ローラー83上にトナーが比較的強固に担持されていても、前記強められた引き剥がし力によってトナーを現像ローラー83上から良好に回収させることができる。
【0093】
上記の第1剥ぎ取りバイアスBc1は、上記剥ぎ取りバイアスBcの一例と同じ値とすることができる。すなわち、
磁気ローラー82の直流バイアスVmag_dc;150V
現像ローラー83の直流バイアスVslv_dc;50V
とすることができる。なお、交流バイアスVmag_ac、Vslv_ac及びDuty比は、上記第1現像バイアスBb1と同じである。
【0094】
一方、第2剥ぎ取りバイアスBc2の一例は、次の通りである。なお、交流バイアスVmag_ac、Vslv_ac及びDuty比は、上記第1現像バイアスBb1と同じである。
磁気ローラー82の直流バイアスVmag_dc;100V
現像ローラー83の直流バイアスVslv_dc;50V
【0095】
上記第1、第2剥ぎ取りバイアスBc1、Bc2の印加例について、図8(A)〜(C)に示した印刷例に基づいて説明する。先ず、図8(A)は定型シートS11、S12、S13が連続印刷される例であるので、そのシート間D11、D12において印加されるバイアスは、第1剥ぎ取りバイアスBc1である。図8(B)の例では、長尺シートS22、S21が連続印刷されるので、そのシート間D21、D22において印加されるバイアスは、第2剥ぎ取りバイアスBc2となる。図8(C)の例では、定型シートS1の印刷後に長尺シートS21が印刷される。このため、シート間D23では第1剥ぎ取りバイアスBc1が、シート間D24では第2剥ぎ取りバイアスBc2が印加されることになる。
【0096】
なお、バイアス制御部94は、画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bk(第1色及び第2色のトナー像を形成する第1画像形成ユニット及び第2画像形成ユニット)の各々について独立的に上記のバイアス印加制御を行う。すなわち、白紙領域判定部92は、画像データにおいてイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各々について前記白紙領域の有無判定を行い、バイアス制御部94は、画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bk毎に前記剥ぎ取り動作を実行させる。従って、本実施形態のようにフルカラーのトナー像を形成する画像形成装置1において、各色の画像欠陥の発生を抑止できるものである。
【0097】
図12は、制御部90によるバイアス設定動作に一例を説明するためのフローチャートである。ここでは、画像形成装置1がプリンターとして動作する場合を想定している。また、シート間においては、図11に示すバイアス制御が適用される場合を例示している。なお、ここでは画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkの内の一つについて実行されるバイアス設定動作を例示している。
【0098】
先ず、外部機器から印刷指示がI/F964を通して制御部90に与えられたか否かが判定される(ステップS1)。印刷指示が与えられていない場合は(ステップS1でNO)、待機する。
【0099】
印刷指示が与えられた場合(ステップS1でYES)、その画像データが画像メモリー963に取り込まれる(ステップS2)。そして、ページナンバーを示すカウンターが、n=1にセットされる(ステップS3)。その後、シートサイズ判別部91により、前記画像データが参照され、画像データの最初のページ画像データが定型シート用のものか、或いは長尺シート用のものであるかが判定される(ステップS4)。
【0100】
シートサイズ判別部91が「長尺シート用」と判定した場合(ステップS4でYES)、続いて白紙流域判定部92により当該ページ画像データにおいて白紙領域の検出処理が実行され(ステップS5)、副走査方向に所定長さ以上(例えば現像ローラー83の周面83Aの一周分以上)の白紙領域が存在するか否かが判定される(ステップS6)。
【0101】
上記の白紙領域が存在する場合(ステップS6でYES)、バイアス制御部94は、電位差記憶部95を参照して、当該長尺シートの印字領域については、磁気ローラー82と現像ローラー83との間の電位差が第1電位差である上述の第1現像バイアスBb1を、白紙領域については、前記第1電位差よりも小さい第2電位差を有する剥ぎ取りバイアスBcを設定する(ステップS7)。
【0102】
これに続き、タイミング設定部93が、白紙領域の画像データ上における座標情報に基づき、現像バイアスの変更タイミングを演算により求める(ステップS8)。つまり、1枚の長尺シートの印刷中において、白紙領域及び印字領域の副走査方向における分布に応じた、第1現像バイアスBb1から剥ぎ取りバイアスBcへの変更タイミング又はその逆の変更タイミングが特定される。しかる後、当該長尺シート用のページ画像データについての印刷処理が、長尺シートに対して実行される(ステップS9)。
【0103】
これに対し、上記の白紙領域が存在しない場合(ステップS6でNO)、バイアス制御部94は、上記第1電位差よりも所定値だけ大きく、現像ローラー83の周面83Aにトナー層をより厚く形成可能な第3電位差を有する第2現像バイアスBb2を設定する(ステップS10)。しかる後、当該長尺シート用のページ画像データについての印刷処理が、長尺シートに対して実行される(ステップS9)。
【0104】
その後、制御部90は次ページのページ画像データが画像メモリー963に格納されているか否かを確認する(ステップS11)。次ページの画像データが存在する場合は(ステップS11でYES)、バイアス制御部94は、先のシート(第1シート)の印刷処理の完了時点から、次のシート(第2シート)の印刷処理が開始されるまでのシート間に印加されるバイアスを設定する。この場合、直前に印刷処理を施したシートが長尺シートであったことから、シート間に印加されるバイアスを、定型シートの場合おける磁気ローラー82と現像ローラー83との間の第4電位差よりも小さい値の第5電位差を有する第2剥ぎ取りバイアスBc2が設定される(ステップS12)。
【0105】
その後、ページナンバーのカウンターが1つインクリメントされ(ステップS13)、ステップS4に戻って処理が繰り返される。次ページのページ画像データが存在しない場合は(ステップS11でNO)、処理を終える。
【0106】
一方、ステップS4においてシートサイズ判別部91が「定型シート用」と判定した場合(ステップS4でNO)、バイアス制御部94は、前記第1電位差を有する現像バイアスBa1を設定する(ステップS14)。しかる後、当該定型シート用のページ画像データについての印刷処理が、定型シートに対して実行される(ステップS15)。
【0107】
その後、制御部90は次ページのページ画像データが画像メモリー963に格納されているか否かを確認する(ステップS16)。次ページの画像データが存在する場合は(ステップS16でYES)、バイアス制御部94は、直前に印刷処理を施したシートが定型シートであったことから、シート間に印加されるバイアスを、第4電位差を有する第1剥ぎ取りバイアスBc1に設定する(ステップS17)。その後、ページナンバーのカウンターが1つインクリメントされ(ステップS13)、ステップS4に戻って処理が繰り返される。次ページのページ画像データが存在しない場合は(ステップS16でNO)、処理を終える。
【0108】
以上説明した通りの、本実施形態の画像形成装置1によれば、長尺シートにトナー像を転写することが可能な画像形成装置1において、トナーの劣化に伴う画像欠陥の発生を防止することができる。すなわち、長尺シートに印刷処理を施すに際し、当該長尺シートが白紙領域を含んでいる場合に、その白紙領域の現像タイミングにおいて現像ローラー83からトナーを回収する剥ぎ取り動作が実行されるので、劣化したトナーが現像ローラー83の周面83Aに滞留することを抑止できる。これにより、感光体ドラム321に対する現像性を良好なものとすることができる。
【符号の説明】
【0109】
1 画像形成装置
10 装置本体
30 画像形成部
32Y、32M、32C、32Bk 画像形成ユニット
321 感光体ドラム(像担持体)
324 現像装置
34 トナー補給部(トナー補給手段)
80 現像ハウジング
82 磁気ローラー(現像剤担持体)
83 現像ローラー(トナー担持体)
88 第1印加部(剥離手段/バイアス印加手段)
89 第2印加部(剥離手段/バイアス印加手段)
90 制御部
91 シートサイズ判別部(シートサイズ判別手段)
92 白紙領域判定部(判定手段)
93 タイミング設定部
94 バイアス制御部(制御手段)
95 電位差記憶部
S1、S11、S12、S13 定型シート
S2、S21、S22、S23 長尺シート
G21、G22、G23、G24、G25 トナー像(印字領域)
P1、P21、P22 白紙領域
D11、D12、D21、D22、D23、D24 シート間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像及びシートに転写するトナー像を担持する像担持体と、
トナーおよびキャリアを含む現像剤を貯留する現像ハウジングと、
所定の方向に回転しつつ前記現像ハウジング内の現像剤を受け取って、現像剤層を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤層に接触した状態で回転しつつ、前記現像剤層からトナーを受け取ってトナー層を担持し、前記静電潜像の現像のために前記トナー層のトナーを前記像担持体に供給するトナー担持体と、
前記トナー担持体に担持されたトナーを前記現像剤担持体へ強制的に戻す剥ぎ取り動作を行う剥離手段と、
前記トナー像を転写されるシートが、定型シート又は該定型シートよりも副走査方向のサイズが長い長尺シートのいずれであるかを判別するシートサイズ判別手段と、
各長尺シートについて、前記トナー像が形成される画像データに基づいて、トナー像が実質的に転写されない白紙領域が副走査方向に所定長さ以上存在するか否かを判定する判定手段と、
前記剥ぎ取り動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記シートサイズ判別手段が、前記トナー像を転写されるシートが前記長尺シートであると判別した場合であって、前記判定手段が所定長さ以上の前記白紙領域が存在すると判定した場合に、前記像担持体に形成される前記白紙領域に対応する前記静電潜像の現像タイミングにおいて、前記剥離手段に前記剥ぎ取り動作を実行させる、画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記白紙領域の副走査方向の所定長さが、前記トナー担持体の1周分の周長である、画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記現像剤担持体及び前記トナー担持体の少なくとも一方にバイアスを印加して両者間に所定の電位差を形成するバイアス印加手段をさらに備え、
前記剥離手段は、前記バイアス印加手段を利用したものであり、前記制御手段は、前記バイアス印加手段を制御するものであって、
前記制御手段は、
前記長尺シートにトナー像が転写される印字領域に対応する前記静電潜像の現像タイミングにおいて、前記現像剤担持体と前記トナー担持体との間の電位差が所定の第1電位差となるよう前記バイアスを設定し、
前記白紙領域に対応する前記静電潜像の現像タイミングにおいて、前記現像剤担持体と前記トナー担持体との間の電位差を、前記第1電位差に対して所定値だけ異ならせ、前記トナー担持体上のトナーを電気的な力で前記現像剤担持体に回収可能な第2電位差に設定する、画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
1の長尺シートについて、前記判定手段が所定長さ以上の前記白紙領域が存在しないと判定した場合、
前記制御手段は、前記長尺シートの転写処理の際、前記現像剤担持体と前記トナー担持体との間の電位差を、前記第1電位差よりも所定値だけ大きく、前記トナー担持体のトナー層をより厚く形成可能な第3電位差に設定する、画像形成装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の画像形成装置において、
前記制御手段は、第1シートに対する転写処理とこれに続く第2シートに対する転写処理との間のシート間においても、前記剥ぎ取り動作を実行させるものであって、
前記制御手段は、
前記第1シートが前記定型シートである場合、前記現像剤担持体と前記トナー担持体との間の電位差が所定の第4電位差となるよう前記バイアスを設定し、
前記第1シートが前記長尺シートである場合、前記現像剤担持体と前記トナー担持体との間の電位差が前記第4電位差よりも小さい第5電位差となるよう前記バイアスを設定する、画像形成装置。
【請求項6】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記像担持体、前記現像ハウジング、前記現像剤担持体及びトナー担持体を各々有し、互いに異なる第1色及び第2色のトナー像を形成する第1画像形成ユニット及び第2画像形成ユニットを少なくとも備え、
前記判定手段は、前記画像データにおいて前記第1色及び第2色の各々について前記白紙領域の判定を行い、
前記制御手段は、第1画像形成ユニット及び第2画像形成ユニットの各々について独立して前記剥ぎ取り動作を実行させる、画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−25061(P2013−25061A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159552(P2011−159552)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】