説明

長尺体の支持装置および支持方法

【課題】長尺体が巻回されかつデータキャリアが設けられた軸芯部材を支持軸で支持する際に、軸芯部材の装着方向によらず、データキャリアに対するデータの通信を適切に行なうことができる長尺体の支持装置および支持方法を提供する。
【解決手段】基端部221Eと先端部221Tとを有し、軸芯部材27における中空部の一端側を先端部221T側から挿入することで当該軸芯部材27を支持する支持軸221と、支持軸221を基端部221E側から支えるフレームと、ループアンテナ26とを備え、中空部の両端面271には、ループアンテナ26を介して、所定のデータの記憶および送信の少なくとも一方が可能なデータキャリア29が設けられ、支持軸221の先端部には、中空部の一端側に設けられたデータキャリア29Aを破断する破断手段25が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺体の支持装置および支持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帯状の接着シートを繰り出して半導体ウェハ(以下「ウェハ」と称す場合がある)に貼付する貼付装置において、接着シートが巻回された軸芯部材にデータキャリアを設け、当該データキャリアに書き込まれたデータを読み取って、貼付条件を適切に設定する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の構成では、軸芯部材の一端にデータキャリアを設けるとともに、軸芯部材が装着される巻き出し軸の一端にテープデータ読み書き装置を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−12807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、データキャリアが巻き出し軸周りに位置ずれを起こしてしまうと、データの読み取りや書き込み(データの通信)を行うことができなくなるため、軸芯部材のデータキャリアが設けられた一端とテープデータ読み書き装置が設けられた巻き出し軸の一端が一致するよう軸芯部材を装着しなければならず、軸芯部材の装着が煩わしいという問題がある。また、軸芯部材に巻回された接着シートを逆方向に繰り出す場合には、軸芯部材の装着方向が反対となるため、データキャリアが他端に設けられている軸芯部材を準備する必要がある。
【0005】
本発明の目的は、長尺体が巻回されかつデータキャリアが設けられた軸芯部材を支持軸で支持する際に、軸芯部材の装着方向によらず、データキャリアに対するデータの通信を適切に行なうことができる長尺体の支持装置および支持方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の長尺体の支持装置は、中空筒状の軸芯部材に巻回された長尺体を繰出可能に支持、または、中空筒状の軸芯部材に帯状シートを巻取可能に支持する長尺体の支持装置において、基端部と先端部とを有し、前記軸芯部材における中空部の一端側を当該先端部側から挿入することで当該軸芯部材を支持する支持軸と、前記支持軸を前記基端部側から支えるフレームと、通信部とを備え、前記中空部の両端部には、前記軸芯部材の軸線に交差する面内に配置されるとともに、前記通信部を介して所定のデータの記憶および送信の少なくとも一方が可能なデータキャリアが設けられ、前記支持軸の先端部には、前記中空部の一端側に設けられたデータキャリアを破断する破断手段が設けられている、という構成を採用している。
【0007】
この際、前記支持軸の先端部には、前記軸芯部材の位置決めが可能なガイド手段を着脱可能に支持する連結手段が設けられていることが好ましい。
【0008】
一方、本発明の長尺体の支持方法は、中空筒状の軸芯部材に巻回された長尺体を繰出可能に支持、または、中空筒状の軸芯部材に帯状シートを巻取可能に支持する長尺体の支持方法において、
前記軸芯部材における中空部の両端部であって当該軸芯部材の軸線に交差する面内に、所定のデータの記憶および送信の少なくとも一方が可能なデータキャリアが設けられた軸芯部材を用意する工程と、前記軸芯部材における中空部の一端側を支持軸の先端部側から挿入するときに、当該一端側に設けられたデータキャリアを破断する工程と、前記支持軸を前記軸芯部材の中空部に挿入して当該軸芯部材を支持する、という構成を採用している。
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明によれば、データキャリアが軸芯部材の両端部に設けられているので、軸芯部材が支持軸に挿入されさえすれば、軸芯部材の装着方向によらず、データキャリアと通信部とが通信可能に位置決めされ、データキャリアとのデータの通信を確実に行なうことができる。そして、破断手段を備えているので、軸芯部材の両端部それぞれに設けられたデータキャリアのうち、使用しない方のデータキャリアを破断して通信部との通信を行えないようにすることができ、通信部が両端部のデータキャリアと通信(混信)してしまうことを避けることができる。
【0010】
この際、ガイド手段を着脱可能に支持する連結手段が支持軸に備えられていれば、当該支持軸の軸線方向における軸芯部材の位置決めを行うことができ、通信部とデータキャリアとが支持軸の軸線方向に移動して通信できなくなるような間隔となることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る貼付装置の側面図。
【図2】図1の貼付装置の支持装置の分解斜視図。
【図3】図1の貼付装置の支持装置の部分断面図。
【図4】(A),(B),(C)は、本発明の変形例に係る支持装置の概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図においては、本発明の内容を理解しやすくするために各構成の形状や配置状態を誇張して示している。また、本実施形態において基準となる図を挙げることなく、例えば、上、下、左、右、または、手前、奥といった方向を示した場合は、全て図1を基準としている。
図1において、貼付装置1は、ウェハWFに接着シートASを貼付するものである。ここで、接着シートASは、基材シートBSの一方の面に接着剤層ADが積層されるとともに、当該接着剤層ADを介して剥離シートRLに仮着された長尺体としての原反RSとし、中空円筒状の軸芯部材27の外周に巻回されて予め準備されている。
【0013】
なお、図2に示すように軸芯部材27の両端部としての端面271には、それぞれデータキャリア29が設けられている。
各データキャリア29は、軸芯部材27の端面271における開口の一部を覆うとともに、当該軸芯部材27の軸線CFに直交する面内に設けられている。これらデータキャリア29は、端面271の外周縁の一部に沿う被着体類似縁291と、逃げ縁292とに囲まれた平面視でD字状に形成されている。
データキャリア29は、電磁波を通信媒体としてデータを読み取って記憶したり、データを送信したりすることができるものである。このようなデータキャリア29としては、例えば、ICチップと、このICチップに接続された送受信用の導電性コイルとから構成されるいわゆるRFメモリやRFIDタグ等を用いることができる。
【0014】
図1に示すように、貼付装置1は、接着シートASを繰出可能に支持する支持装置2と、接着シートASを繰り出す繰出手段3と、繰り出された接着シートASをウェハWFに押圧して貼付する押圧手段4と、ウェハWFと押圧手段4とを相対移動させる移動手段5とを備え、パーソナルコンピュータやシーケンサ等の制御手段6によってその全体的な動作が制御されるように構成されている。
【0015】
支持装置2は、フレーム21と、このフレーム21に設けられた支持部22とを備えている。
繰出手段3は、その全体がフレーム21に支持され、原反RSを案内するガイドローラ32,33と、原反RSの剥離シートRLを折り返すことで当該剥離シートRLから接着シートASを剥離する剥離板34と、駆動機器としての回動モータ35によって駆動する駆動ローラ36と、駆動ローラ36との間に剥離シートRLを挟み込むピンチローラ37と、駆動機器としての回動モータ39によって剥離シートRLを回収する回収ローラ38とを備えている。
押圧手段4は、ゴムや樹脂等の弾性変形可能な部材で構成され、図示しない支持部材により回転自在に支持されている。
移動手段5は、ウェハWFが載置され、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない吸着保持手段によって当該ウェハWFを吸着保持可能なテーブル51と、テーブル51の下面にスライダ52が固定された駆動機器としての単軸ロボット53とを備え、スライダ52をスライド駆動することで、テーブル51を左右方向に移動可能に構成されている。
【0016】
支持部22は、図2および図3に示すように、基端部221Eと先端部221Tとを有し、軸芯部材27における中空部の一端側(図3中左側)を先端部221T側から挿入することで、当該軸芯部材27を支持する円柱状の支持軸221と、当該支持軸221に挿入された軸芯部材27の図3中左方向への移動を規制する内ガイド板222とを備えている。支持軸221は、基端部221E側がフレーム21に形成された貫通孔21Aを貫通し、フレーム21の他方の面(図3中左面)に設けられた回転軸受BCにより、回転可能に支持されている。
【0017】
支持軸221は、先端部221Tにおける図3中右端側の面が当該支持軸221の軸線CEに直交する先端面221Cとされ、この先端面221Cに導電体をループ状に巻回形成した通信部としてのループアンテナ26が設けられている。また、先端部221Tには、連結手段としての細軸部24と、先端部221Tから軸線CE方向に突出して形成された破断手段25とが備えられている。
【0018】
細軸部24は、支持軸221に比べて細い円柱状であり、その軸線が、支持軸221の軸線CEと一致するよう設けられ、ガイド手段28を着脱可能に支持するようになっている。ガイド手段28は、細軸部24を挿通可能な挿入孔282を備えたボス281と、ボス281にねじ係合され締め付けによってボス281の移動を規制する固定手段としてのクランパ283と、ボス281に取り付けられた外ガイド板284とを備え、細軸部24に固定されることにより、ループアンテナ26とデータキャリア29との間隔を所定の間隔に維持可能になっている。
【0019】
破断手段25は、先端面221Cの外縁に沿った形状に設けられ、軸芯部材27の一端側に設けられたデータキャリア29を破断可能な形状に形成されている。なお、破断手段25は、本実施形態において、先端面221Cから離間する方向に向かって鋭利に形成された複数の山型が連続した形状に設けられている。
【0020】
ループアンテナ26には、制御手段6による制御に基づき、データキャリア29に記憶されたデータを読み取ったり、データキャリア29にデータを書き込んだりすることのできるリーダライタ7が接続されている。なお、データキャリア29とループアンテナ26とで通信するデータとしては、接着シートASの種類、材質、品名、コード、厚さ、長さ、幅、直径などの規格寸法、さらには、原反RSのロットナンバー、原反RSを使用した長さ、原反RSの残りの長さ、接着シートASの品質保証期限、繰出開始前後の接着シートASの残数、繰り出された接着シートASの枚数、接着シートASを最適に繰り出すことのできる推奨繰出速度、接着シートASを最適に貼付することができる推奨貼付張力や推奨押圧力などの接着シートASの貼付条件、接着シートASや原反RSについての相談窓口の連絡先などが例示できる。そして、貼付装置1に設けられた図示しないモニタにデータキャリア29から読み取ったデータを表示させたり、読み取ったデータを基に当該貼付装置1の貼付条件を設定したりすることができる。
【0021】
以上の貼付装置1において、ウェハWFに接着シートASを貼付する際には、まず、軸芯部材27に巻回された原反RSを支持軸221に支持させる。このとき、支持軸221が破断手段25を備えているので、データキャリア29のうち、軸芯部材27の一端側に設けられたデータキャリア29Aを破断することができる。そして、軸芯部材27が支持軸221に挿入されると、当該軸芯部材27の軸線CFが支持軸221の軸線CEと平行となり、それら軸線CF、CEに対して直交する面内に設けられたデータキャリア29Bとループアンテナ26とが対向することとなる。これにより、データキャリア29Bが支持軸221の軸線CE周りのどのような位置に取り付けられていても、データキャリア29Bとループアンテナ26とが対向した位置関係を維持可能となる。
【0022】
そして、細軸部24を介してガイド手段28を取り付けて軸芯部材27の位置決めを行う。これにより、データキャリア29Bがループアンテナ26に対して軸線CE方向に位置ずれを起こし、それらが通信できなくなるような間隔となることを防止し、確実にそれらの通信距離を維持することができる。
【0023】
なお、破断手段25により破断されたデータキャリア29Aは、軸芯部材27の内壁と支持軸221との隙間に折り曲げられるように入り込み、ループアンテナ26に対向することがないので、ループアンテナ26が2つのデータキャリア29A,29Bと通信(混信)することはない。
【0024】
ここで、例えば、貼付装置1が勝手反対に形成されたものである場合、図1中二点鎖線で示すように、原反RSの繰出方向が反対となる。このような場合、データキャリア29Aが支持軸221の先端部221T側(図3中右側)になるように軸芯部材27を支持させればよい。
【0025】
この後、移動手段5が単軸ロボット53を駆動してテーブル51左方向に搬送させ、ウェハWFが所定の位置に達したことを図示しない光センサ等の検知手段が検知した時点で、繰出手段3が回動モータ35、39を駆動して接着シートASを繰り出し、押圧手段4が当該接着シートASを搬送されるウェハWFに押圧して貼付する。
【0026】
ここで、制御手段6は、貼付開始前にリーダライタ7を制御し、ループアンテナ26に電流を流すことで磁束、静電気、マイクロ波等の伝送手段を発生させ、データキャリア29の導電性コイルを介して起電力を発生させ、データキャリア29Bに書き込まれたデータを読み取り、当該読み取ったデータに基づいて、貼付装置1全体を制御する。この制御は、例えば、データキャリア29Aに書き込まれたデータのうち、接着シートASの推奨繰出速度を基にして、回動モータ35、39の回転速度や、単軸ロボット53でテーブル51を移動させる移動速度を決定したり、推奨押圧力を基にして、押圧手段4を昇降させる図示しない直動モータの昇降量やその出力軸に加えるトルクなどを決定し、押圧力を設定したりすることができる。
このとき、ループアンテナ26とデータキャリア29Bの導電性コイルとが対向していることで、ループアンテナ26で発生する伝送手段の通過位置に導電性コイルを常時存在させることができるため、リーダライタ7は、ループアンテナ26を介して導電性コイルに効率よく起電力を発生させ、データキャリア29BのICチップに書き込まれたデータを確実に読み取ることができる。
【0027】
また、制御手段6は、貼付開始後の軸芯部材27の回転中に、リーダライタ7を制御して伝送手段を発生させ、上記同様に起電力を発生させてデータキャリア29Bにデータを書き込むこともできる。このように軸芯部材27が回転している場合であっても、データキャリア29Bの導電性コイルがループアンテナ26の伝送手段の通過位置に常時存在することとなり、リーダライタ7は、ループアンテナ26を介して導電性コイルに効率よく起電力を発生させ、データキャリア29Bのチップにデータを確実に書き込むことができる。このときに書き込むデータとしては、例えば、接着シートASを使用した枚数や、原反RSを使用した長さ等が例示できる。
そして、所定枚数のウェハWFに接着シートASが貼付し終わると、リーダライタ7を制御してデータキャリア29Bにデータを書き込むこともできる。このときに書き込むデータとしては、例えば、繰出開始前の接着シートASの残数から接着シートASを使用した枚数を差し引いた繰出開始後の接着シートASの残数や、原反RSの残りの長さ等が例示できる。なお、使用した接着シートASの数は、回動モータ35の起動回数や、ウェハWFが所定の位置に達したことを検知する図示しない検知手段が検知した回数等によって算出することができ、原反RSを使用した長さは、回動モータ35の回転数やパルス等によって算出することができる。このように、例えば、1の原反RSにおける接着シートASを全て使用してしまう前に、他の原反RSに型換えをする場合、1の原反RSのデータキャリア29Bにデータを書き込んでおくことによって、当該1の原反RSを再度使用するときに、上述と同様にしてデータを読み取ることで、即対応することができる。また、データキャリア29Bに記憶させた接着シートASの残数を、図示しない外部コンピュータに送信することで、原反RSの在庫を管理することもできる。
【0028】
以上のような本実施形態によれば、データキャリア29が軸芯部材27の両端面271に設けられているので、軸芯部材27が支持軸221に挿入されさえすれば、軸芯部材27の装着方向によらず、データキャリア29Bとループアンテナ26とが通信可能に位置決めされ、データキャリア29とのデータの通信を確実に行なうことができる。そして、破断手段25を備えているので、軸芯部材27の両端面271それぞれに設けられたデータキャリア29のうち、一端側に設けられた使用しない方のデータキャリア29Aを破断してループアンテナ26との通信を行えないようにすることができ、ループアンテナ26が2つのデータキャリア29A、29Bと通信(混信)してしまうことを避けることができる。
【0029】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0030】
破断手段25の形状は、データキャリア29を破断可能な形状であれば、特に制限はなく、例えば、図4(A),(B)に示すものが挙げられる。
図4(A)において、破断手段25Aは、先端面221Cから離間する方向に突出した円錐状の傾斜面251Aを有する。
図4(B)において、破断手段25Bは、先端面221Cから離間する方向かつ軸線CEに向かって傾斜した4つの傾斜板251Bを有し、当該傾斜部251Bは、先端面221Cにおいて、軸線CEで直交する十文字状に配置されている。なお、傾斜板251Bの数は、データキャリア29を破断可能であれば何枚でもよく、3枚以下でもよいし、5枚以上でもよい。
【0031】
さらに、図4(C)に示すように、支持軸221に吸引孔221Aと当該吸引孔221Aに吸引力を付与する減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない吸引手段とからなる回収手段23を設けてもよい。この回収手段23は、破断手段25で破断したデータキャリア29Aを吸い込むことにより、当該データキャリア29Aを回収する。なお、回収手段23は、端面271を全蔽したデータキャリアに対応し、軸芯部材27内に外気(気体)を送り込むエア供給孔221Bを設けてもよい。
【0032】
また、支持軸221をフレーム21に対して回転不可能に設け、軸芯部材27が支持軸221に対して回転するようにしてもよい。
さらに、細軸部24およびガイド手段28を設けなくてもよい
【0033】
データキャリア29は、各端面271にそれぞれ複数個配置されていてもよい。
また、データキャリア29は、データの記憶のみができるものであってもよいし、データの送信のみができるものであってもよく、例えば、バーコードやQRコード(登録商標)や、磁気シートとしてもよい。この際、通信部として、ループアンテナ26の代わりに、バーコードやQRコードを読み取り可能なリーダを設ければよいし、磁気シートの場合、磁界を発生させて磁性体を磁化してデータを書き込んだり、磁界の変化を検知してデータを読み出したりするいわゆる磁気ヘッドを使用すればよい。なお、バーコードやQRコードのように記憶する情報量が少ないものの場合は、これらコードに上位のコンピュータ等の上位の制御手段にアクセスできるコードを記憶させておき、当該上位の制御手段から上記同様のデータを受信するようにしてもよい。
また、ループアンテナ26は、細軸部24を囲うことのない位置に形成されてもよい。
さらに、データキャリア29は、D形状以外に丸形状、三角形状、四角形状、等の形状であってよいし、端面271における開口を全て覆うような形状のものであってもよい。
【0034】
また、ループアンテナ26やデータキャリア29は、少々湾曲した面内や折れ曲がった面内に設けるようにしてもよい。要は、ループアンテナ26とデータキャリア29とが対向し、データキャリア29が支持軸221の軸心CE周りに位置ずれを起こしても、それらの対向した位置関係を維持可能であればよい。
前記実施形態では、軸芯部材27の軸線CFに直交する面内にデータキャリア29を設けた例を挙げたが、データキャリア29を当該軸線CFに対して60度傾けた状態で軸芯部材27に設けた場合にでも、支持軸221の軸線CEに直交する先端面221Cに設けたループアンテナ26と通信できることが実証できた。
さらに、バーコードを軸線CFに対して30度傾けた状態で軸芯部材27に設けた場合(ピッチ角30度)にでも、支持軸221の軸線CEに直交する先端面221Cに読取面を設けたバーコードリーダと通信できることが実証できた。なお、QRコードの場合、同角度は65度(ピッチ角65度)で通信できることが実証できた。
また、前記実施形態では、支持軸221の軸線CEに直交する先端面221Cにループアンテナ26を設けた例を挙げたが、ループアンテナ26を当該軸線CEに対して60度傾けた状態で支持軸221に設けた場合にでも、軸芯部材27の軸線CFに直交する面内に設けたデータキャリア29と通信できることが実証できた。
さらに、バーコードリーダの読取面を軸線CEに対して30度傾けた状態で支持軸221に設けた場合(ピッチ角30度)にでも、軸芯部材27の軸線CFに直交する面内に設けたバーコードと通信できることが実証できた。なお、QRコードの場合、同角度は65度(ピッチ角65度)で通信できることが実証できた。
【0035】
また、長尺体としては、原反RSに限定されず、帯状の接着シート、紙、布、鋼板、ベルト、樹脂、木板などであってもよく、長尺の糸、紐、針金、コード、チューブ、ホースなどであってもよい。
【0036】
また、本発明における接着シートASの種別や材質などは、特に限定されず、例えば、基材シートBSと接着剤層ADとの間に中間層を有するものや、他の層を有する等3層以上のものでもよい。また、接着シートASは、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルムなどであってもよい。半導体ウェハは、シリコン半導体ウェハや化合物半導体ウェハ等が例示でき、このような半導体ウェハに貼付する接着シートは、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルムに限らず、その他の任意のシート、フィルム、テープ等、任意の用途、形状の接着シート等が適用できる。さらに、板状部材が光ディスクの基板であって、接着シートが記録層を構成する樹脂層を有したものであってもよい。以上のように、板状部材としては、ガラス板、鋼板、樹脂板等や、その他の部材のみならず、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。
また、押圧手段4は、前記実施形態で示したもの以外のもので構成してもよく、押圧手段4は板状部材に接着シートが貼付できる限りにおいて何ら限定されるものではなく、例えば、ブレード材、エア噴き付け、ゴム、樹脂、スポンジ等による押圧部材を採用することができる。
【0037】
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0038】
2…支持装置
21…フレーム
24…細軸部(連結手段)
25…破断手段
26…ループアンテナ(通信部)
27…軸芯部材
28…ガイド手段
29(29A,29B)…データキャリア
221…支持軸
221E…基端部
221T…先端部
271…端面(両端部)
CE…軸線
RS…原反(長尺体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空筒状の軸芯部材に巻回された長尺体を繰出可能に支持、または、中空筒状の軸芯部材に帯状シートを巻取可能に支持する長尺体の支持装置において、
基端部と先端部とを有し、前記軸芯部材における中空部の一端側を当該先端部側から挿入することで当該軸芯部材を支持する支持軸と、
前記支持軸を前記基端部側から支えるフレームと、
通信部とを備え、
前記中空部の両端部には、前記軸芯部材の軸線に交差する面内に配置されるとともに、前記通信部を介して所定のデータの記憶および送信の少なくとも一方が可能なデータキャリアが設けられ、
前記支持軸の先端部には、前記中空部の一端側に設けられたデータキャリアを破断する破断手段が設けられていることを特徴とする長尺体の支持装置。
【請求項2】
前記支持軸の先端部には、前記軸芯部材の位置決めが可能なガイド手段を着脱可能に支持する連結手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の長尺体の支持装置。
【請求項3】
中空筒状の軸芯部材に巻回された長尺体を繰出可能に支持、または、中空筒状の軸芯部材に帯状シートを巻取可能に支持する長尺体の支持方法において、
前記軸芯部材における中空部の両端部であって当該軸芯部材の軸線に交差する面内に、所定のデータの記憶および送信の少なくとも一方が可能なデータキャリアが設けられた軸芯部材を用意する工程と、
前記軸芯部材における中空部の一端側を支持軸の先端部側から挿入するときに、当該一端側に設けられたデータキャリアを破断する工程と、
前記支持軸を前記軸芯部材の中空部に挿入して当該軸芯部材を支持することを特徴とする長尺体の支持方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−115367(P2013−115367A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262604(P2011−262604)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】